JP2017141991A - 冷却設備機器の監視装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間継続的に運転可能に冷却設備機器を監視する監視装置を提供する。
【解決手段】冷却設備機器の使用状況を監視する監視装置MCであって、冷却設備機器の設置場所での外気温度を示す情報と、冷却設備機器を構成する所定部品の使用状況を示す情報と、を取得する通信部45と、通信部45の取得情報に基づき、所定部品の現在の摩耗度を示す情報を導出した後、冷却設備機器の設置場所での外気温度の情報と、所定部品の現在の摩耗度を示す情報とに基づいて、冷却設備機器の運転状況を判定する制御部42と、を備えている。
【選択図】図5
【解決手段】冷却設備機器の使用状況を監視する監視装置MCであって、冷却設備機器の設置場所での外気温度を示す情報と、冷却設備機器を構成する所定部品の使用状況を示す情報と、を取得する通信部45と、通信部45の取得情報に基づき、所定部品の現在の摩耗度を示す情報を導出した後、冷却設備機器の設置場所での外気温度の情報と、所定部品の現在の摩耗度を示す情報とに基づいて、冷却設備機器の運転状況を判定する制御部42と、を備えている。
【選択図】図5
Description
本発明は、冷却設備機器を構成する部品の摩耗度から冷却設備機器の運転状況を監視する監視装置に関する。
従来、機器を構成する部品の故障確率を予測する手法として、生存時間分析と呼ばれる技術がある。例えば、下記特許文献1には、機器の故障において原因となる故障部品が特定されない場合であっても、そのようなケースを含む交換作業の情報に基づいて、故障確率算出に用いられる生存曲線を生成する手法が記載されている。
冷却設備機器(主として食品・飲料品用)に関しては、設置環境(主に外気温)により構成部品の摩耗度が大きく異なる。また、かかる冷却設備機器は長期間継続的に運転することが要求される。しかし、従来の生存時間分析では、冷却設備機器の設置環境に応じた適切な予測結果が得られず、その結果、冷却設備機器の長期間継続的な運転に影響を及ぼすおそれがある。
それゆえに、本発明の目的は、長期間継続的に運転可能に冷却設備機器を監視する監視装置を提供することである。
本発明の一形態に係る監視装置は、冷却設備機器の使用状況を監視する監視装置であって、前記冷却設備機器の設置場所での外気温度を示す情報と、前記冷却設備機器を構成する所定部品の使用状況を示す情報と、を取得する通信部と、前記通信部の取得情報に基づき、前記所定部品の現在の摩耗度を示す情報を導出した後、前記冷却設備機器の設置場所での外気温度の情報と、前記所定部品の現在の摩耗度を示す情報とに基づいて、前記冷却設備機器の運転状況を判定する制御部と、を備えている。
上記形態によれば、長期間継続的に運転可能に冷却設備機器を監視する監視装置を提供することが出来る。
≪1.実施形態≫
以下、上記図面を参照して、本発明の一実施形態に係る監視装置MCを用いた冷却設備機器1を詳説する。
以下、上記図面を参照して、本発明の一実施形態に係る監視装置MCを用いた冷却設備機器1を詳説する。
≪1−1.冷却設備機器1の基本構成≫
図1において、冷却設備機器1は、例えばコンビニエンスストア等の店舗CVSにて、主として食品や飲料品を低温で保存するために設置され、少なくとも一台の冷凍機2と、少なくとも一台のショーケース3(図示は五個)と、を備える。一台の冷凍機2と、少なくとも一台のショーケース3とは冷媒配管で接続される。なお、図1には、二台の冷凍機2a,2bと、五台のショーケース3a〜3eと、が例示され、冷凍機2aにはショーケース3aが冷媒回路4aを介して接続され、冷凍機2bにはショーケース3b〜3eが冷媒回路4bを介して接続される。図1にはさらに、冷却設備機器1の運転状況を監視する監視装置MCも示されている。監視装置MCについては、図5以降を参照して後で詳説する。
図1において、冷却設備機器1は、例えばコンビニエンスストア等の店舗CVSにて、主として食品や飲料品を低温で保存するために設置され、少なくとも一台の冷凍機2と、少なくとも一台のショーケース3(図示は五個)と、を備える。一台の冷凍機2と、少なくとも一台のショーケース3とは冷媒配管で接続される。なお、図1には、二台の冷凍機2a,2bと、五台のショーケース3a〜3eと、が例示され、冷凍機2aにはショーケース3aが冷媒回路4aを介して接続され、冷凍機2bにはショーケース3b〜3eが冷媒回路4bを介して接続される。図1にはさらに、冷却設備機器1の運転状況を監視する監視装置MCも示されている。監視装置MCについては、図5以降を参照して後で詳説する。
次に、図2を参照して、各冷凍機2と、それに接続された一台のショーケース3の構成を説明する。
冷凍機2は、大略的に、例えば一台の圧縮機21と、インタークーラ22と、ファン23と、ガスクーラ24と、スプリット熱交換器25と、制御回路基板26と、を備える。
また、ショーケース3は、膨張弁31と、蒸発器32と、陳列棚33と、を備える。
冷凍機2は、大略的に、例えば一台の圧縮機21と、インタークーラ22と、ファン23と、ガスクーラ24と、スプリット熱交換器25と、制御回路基板26と、を備える。
また、ショーケース3は、膨張弁31と、蒸発器32と、陳列棚33と、を備える。
圧縮機21のケースの内部には、低段圧縮要素211と、高段圧縮要素212と、が設けられる。各圧縮要素211,212は、ケースの内部に配置されたモータ213と同期回転する。かかる回転により、低段圧縮要素211は、冷凍機2の入口Lin1から配管P1を通じて、低段吸込口214から吸入された低圧の冷媒(例えばCO2)を中間圧まで昇圧する。かかる中間圧の冷媒を、低段圧縮要素211は低段吐出口215から吐出する。
低段吐出口215は、配管P2を介してインタークーラ22の入口と接続される。インタークーラ22の出口は、配管P3を介して高段吸込口216と接続される。また、インタークーラ22の近くにはファン23が配置されており、インタークーラ22内を通過する冷媒はファン23からのエアフローで冷却された後、配管P3を通じて高段吸込口216に吸入される。高段圧縮要素212は、高段吸込口216に吸入された中間圧の冷媒を更に高圧まで昇圧して、高段吐出口217から吐出する。
以上のように、本実施形態では、圧縮機21は冷媒を二段圧縮している。
以上のように、本実施形態では、圧縮機21は冷媒を二段圧縮している。
なお、モータ213の運転周波数は、後述の制御部261の制御下で動作するインバータ回路264により変更される。この制御により、各圧縮要素211,212の回転数が調整可能となっている。
高段吐出口217からの吐出冷媒は、配管P4を介してガスクーラ24の入口に吸入される。ガスクーラ24内を通過する冷媒はファン23からのエアフローで冷却された後、ガスクーラ24の出口から吐出される。ガスクーラ24からの吐出冷媒は、配管P5を介して、スプリット熱交換器25の第一流路251の入口に吸入される。
また、この配管P5の途中からは配管P6が分岐して、スプリット熱交換器25の第二流路252の入口と接続される。よって、配管P6に導入された冷媒は、第二流路252の入口に吸入される。配管P6の途中には、膨張弁253が設けられており、この膨張弁253は、配管P5から配管P6へと分岐した冷媒を膨張させる。このようにして冷却された冷媒は、スプリット熱交換器25の第二流路252に吸入される。
スプリット熱交換器25では、第一流路251を流れる高温高圧の冷媒が、第二流路252を流れる低温低圧の冷媒によって過冷却される。過冷却された冷媒は、第一流路251から、配管P7を通じて、冷凍機2の出口Lout1に向けて流れる。その後、出口Lout1からの吐出冷媒は、配管P8を通じて、ショーケース3の入口Lin2に吸入される。なお、第二流路252を通過した冷媒は、配管P9を通じて、配管P3に合流した後、高段吸込口216に吸入される。
配管P8の途中には、後述の制御部261による制御下で開閉される電磁弁4が設けられる。この電磁弁4は、圧縮機21への液バックを防止するためのバックアップ電磁弁として使用される。
ショーケース3において、膨張弁31は、過冷却された冷媒を膨張させて低温にする。膨張弁31の吐出冷媒は、蒸発器32において蒸発させられ、蒸発器32の周囲の空気から熱が奪われる。換言すると、蒸発器32の周囲にて冷気が生成される。この冷気がショーケース3内に導入され、その結果、ショーケース3の陳列棚33に載置された食品等が冷蔵・冷凍される。
≪1−2.冷却設備機器1におけるセンサ類≫
冷凍機2やショーケース3には様々なセンサが設けられている。本実施形態で特徴的な運転状況の監視で必要であるのは、外気温センサSe1と、回転センサSe2、庫内温度センサSe3であるため、これら以外のセンサの詳細な説明を控える。
冷凍機2やショーケース3には様々なセンサが設けられている。本実施形態で特徴的な運転状況の監視で必要であるのは、外気温センサSe1と、回転センサSe2、庫内温度センサSe3であるため、これら以外のセンサの詳細な説明を控える。
外気温センサSe1は、本冷凍機2の筐体においてファン23の通風口近傍に設けられ、外気温度を検出して、制御部261(図3を参照)に出力する。
また、回転センサSe2は、例えばホールセンサであって、ファン23を駆動するモータ231(図3を参照)に備わる回転体の回転数を検出して、制御部261に出力する。
また、庫内温度センサSe3は、陳列棚33の冷気吹き出し口周辺の温度(以下、庫内温度という)を検出して、制御部261に出力する。
また、回転センサSe2は、例えばホールセンサであって、ファン23を駆動するモータ231(図3を参照)に備わる回転体の回転数を検出して、制御部261に出力する。
また、庫内温度センサSe3は、陳列棚33の冷気吹き出し口周辺の温度(以下、庫内温度という)を検出して、制御部261に出力する。
≪1−3.制御回路基板≫
制御回路基板26には、図3に示すように、例えば、制御部261と、NVRAM262と、SRAM263とが実装される。制御部261は、例えばマイコンである。NVRAM(不揮発性メモリ)262は、冷凍機2と、それに接続されたショーケース3とを制御するためのプログラムP1を格納している。他にも、制御回路基板26には、モータ213への供給電流を生成するインバータ回路264や、ファン23のモータ231の駆動回路265等が実装される。
制御回路基板26には、図3に示すように、例えば、制御部261と、NVRAM262と、SRAM263とが実装される。制御部261は、例えばマイコンである。NVRAM(不揮発性メモリ)262は、冷凍機2と、それに接続されたショーケース3とを制御するためのプログラムP1を格納している。他にも、制御回路基板26には、モータ213への供給電流を生成するインバータ回路264や、ファン23のモータ231の駆動回路265等が実装される。
また、制御部261は、NVRAM262に格納されたプログラムP1を、SRAM263を作業領域として用いつつ実行する。これにより、制御部261は、ショーケース3内の温度を設定温度に調整すると共に、監視装置MC側での処理のために、下表1に記載のデータを定期的(所定時間おき)に収集し、収集時点での日時と紐付けしてNVRAM262に格納する。以下、表1に記載のデータを、本実施形態では、診断用パラメータという。
上表1に記載の通り、診断用パラメータは、外気温センサSe1の検出結果である外気温度、圧縮機21の実運転時間、圧縮機21の発停回数、制御回路基板26の通電時間、ファン23の回転数、電磁弁のオンオフ回数および温度偏差である。圧縮機21の発停回数は、圧縮機21に備わるマグネットスイッチのオンオフ回数で近似される。通電時間は、制御回路基板26に実装されたインバータ回路264に電力供給がなされている時間である。ファン23の回転数は、モータ231の回転数で定義される。温度偏差は、庫内温度−設定温度で定義される。
冷却設備機器1の構成部品の摩耗度は外気温度により大きく異なり、冷却設備機器1が過負荷であれば、冷凍機2の寿命は短くなる傾向にある。それ故、制御部261は、監視装置MCが構成部品の摩耗度を導出する際に外気温度を考慮するために、外気温度を収集する。
また、圧縮機21の実運転時間が長くなる程、冷凍機2の寿命が短くなる傾向にある。制御回路基板26の通電時間が大きくなる程、インバータ回路264に使用されるコンデンサの寿命が短くなる傾向にある。ファン23のモータの回転数が多くなるほど、冷凍機2の寿命は短くなる傾向にある。
それに対し、圧縮機21に備わるマグネットスイッチのオンオフ回数、または、電磁弁4のオンオフ回数に関しては、冷凍機2が低負荷となる程、マグネットスイッチまたは電磁弁4の寿命が短くなる傾向がある。
なお、便宜上、表1の各データは、制御部261の制御下で冷凍機2のNVRAM262に格納されるとして説明するが、一部のデータ(例えば、電磁弁4のオンオフ回数)がショーケース3に備わるNVRAM(図示せず)に格納されても良い。
≪1−3.冷却設備機器1における監視装置MCの構成≫
冷却設備機器1はさらに、図4に示すように、監視装置MCを備えている。監視装置MCは、各冷凍機2等に備わる制御回路基板26と、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANを介してデータ通信可能に接続される。具体的には、監視装置MCは、図5に示すように、制御回路基板41上に実装された制御部(監視側)42と、NVRAM43と、SRAM44と、通信部(通信インタフェイス)45と、表示装置46と、を備えている。
冷却設備機器1はさらに、図4に示すように、監視装置MCを備えている。監視装置MCは、各冷凍機2等に備わる制御回路基板26と、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANを介してデータ通信可能に接続される。具体的には、監視装置MCは、図5に示すように、制御回路基板41上に実装された制御部(監視側)42と、NVRAM43と、SRAM44と、通信部(通信インタフェイス)45と、表示装置46と、を備えている。
制御部42は、例えばマイコンである。NVRAM43は、監視装置MCの構成各部を制御するためのプログラムP2を格納する。制御部42は、NVRAM43に格納されたプログラムP2を、SRAM44を作業領域として用いつつ実行する。これにより、制御部42は、冷却設備機器1の構成各部の余寿命診断(劣化度診断)、冷却設備機器1全体の診断および改善提案に関する処理(詳細は後述)を実行する。
ここで、図3を再度参照する。制御回路基板26には、監視装置MCとの通信を行うために、前述の構成に加え、通信部(通信インタフェイス)266が実装されている。制御部261は、プログラムP1の実行中、監視装置MC側からの要求があると、ショーケース3内の温度調整に並行して、収集日時と紐付けた診断用パラメータ群(表1参照)を通信部266を介して監視装置MCに返すという処理を実行する。
≪1−4.監視装置MCの処理≫
次に、図6を参照して、監視装置MCの詳細な処理手順を説明する。
冷却設備機器1の運転開始後、制御部42はプログラムP2の実行を開始する。制御部42は、予め定められたタイミング毎に(例えば一定時間毎に)、データ送信を行うように、通信部45を介して各冷凍機2に順次要求する(ステップS01)。
次に、図6を参照して、監視装置MCの詳細な処理手順を説明する。
冷却設備機器1の運転開始後、制御部42はプログラムP2の実行を開始する。制御部42は、予め定められたタイミング毎に(例えば一定時間毎に)、データ送信を行うように、通信部45を介して各冷凍機2に順次要求する(ステップS01)。
各冷凍機2において、制御部261は、監視機器MCからの要求に応答して、予め定義されたデータを、通信部(通信部266他)を介して監視装置MCに送信する。送信データには、収集日時と紐づいた診断用パラメータ群(表1参照)も含まれる。監視装置MCにおいて、通信部45は、制御部42の制御下で、各冷凍機2の送信データを順次受信しNVRAM43等に順次格納する(ステップS02)。
監視装置MCの制御部42は、次に、NVRAM43内に格納されたデータから、冷却設備機器1の構成各部の余寿命診断、冷却設備機器1全体の診断および改善提案に必要な診断用パラメータ群(表1を参照)を抽出する(ステップS03)。
制御部42は、次に、ステップS03で抽出した診断用パラメータ群を、処理し易いように初期化する(ステップS04)。例えば、相異なる種別の診断用パラメータが同一日時に収集されているとは限らないので、制御部42は、初期化処理の一例として、同一日時に収集された診断用パラメータのみを選択する。その後、制御部42は、NVRAM43内に過去に格納された診断用パラメータ群に、今回初期化した診断用パラメータ群を追加し保存する(ステップS05)。
制御部42は、診断用パラメータに関連する部品(即ち、表1の判定部品)の余寿命診断を行う(ステップS06)。以下、診断用パラメータに関連する部品として、マグネットスイッチを例に採り上げ、余寿命診断処理について詳説する。
まず、図7,図8を参照して、マグネットスイッチのオンオフ回数と、外気温度との関係について説明する。
図7,図8に示すように、外気温度は複数範囲(例えば0℃未満、0℃以上15℃未満、15℃以上25℃未満、25℃以上35℃未満、35℃以上の五温度範囲)に区分される。
制御部42は、本冷却設備機器1の運転開始から現時点までの各外気温度(診断用パラメータ)がどの温度範囲に属するかを判定する。制御部42は、その後、外気温度(診断用パラメータ)の総数に対する、各温度範囲に属する外気温度の個数の比率を求める。これによって、制御部42は、本冷却設備機器1がどのような温度環境下に設置されているかを認識する。図7には、冷却設備機器1は、0℃未満の環境下で、総運転時間の約30%の時間だけ運転することが示されている。他の温度範囲での運転時間に関しては、図7の記載を参照されたい。
圧縮機21の発停回数は、本実施形態では、マグネットスイッチのオンオフ回数で定義される。図8に示すように、低温環境下(0℃未満)で本冷却設備機器1を運転すると、マグネットスイッチのオンにより圧縮機が回転し始めた後、庫内温度が急激に低下してオフ、という動作が繰り返される。従って、低温環境下では、単位時間あたりのオンオフ回数は相対的に大きく増加する。低温環境下の場合とは異なり、高温環境下(35℃以上)では、庫内温度が急激に低下しないので、単位時間あたりのオンオフ回数は低温環境下の場合との比較で相対的に減少する。中間温度環境下(0℃以上35℃未満)では、単位時間あたりのオンオフ回数は、低温環境下および高温環環境下の中間水準となる。
なお、電動弁4はサーモオフ時に閉じられるので、電磁弁4のオンオフ回数は、圧縮機21の発停回数と同様になる。
制御部42は、現在までの総運転時間における各発停回数(診断用パラメータ)がどの温度範囲に属するかを特定し、温度範囲毎に発停回数(診断用パラメータ)の個数を求める。次に、制御部42は、温度範囲毎に、発停回数の個数を運転時間で除算して、単位時間あたりの発停回数を劣化係数として求める。例えば、0℃未満の温度範囲に関し、劣化係数をk(0℃)、発停回数の個数をn(0℃)、さらに、0℃未満の温度範囲における本冷却設備機器1の運転時間をT(0℃)とすると、k(0℃)は、n(0℃)/T(0℃)と導出される(図8を参照)。
次に、制御部42はさらに、温度範囲毎に、総運転時間と、比率と、劣化係数とを乗算して、マグネットスイッチの摩耗度(使用状況)を求める。例えば、総運転時間をTとし、0℃未満の温度範囲に関し、摩耗度をw(0℃)、比率をr(0℃)、さらに、劣化係数をk(0℃)とすると、w(0℃)は、T×r(0℃)×k(0℃)と導出される。
制御部42は、各温度範囲の摩耗度の総和(以下、総摩耗度という)を算出する。制御部42はさらに、将来にわたり算出した総摩耗度でマグネットスイッチが使用されるとの仮定の下、予め定められた耐久性(即ち、表1の寿命目安)を総摩耗度で除算して、マグネットスイッチの余寿命(即ち、寿命が残り何年程度か)を算出する。
一般的な生存時間分析では、冷却設備機器が設置される外気温度環境は考慮されないが、ステップS06の余寿命診断によれば、冷却設備機器1が設置される外気温度環境が考慮されてマグネットスイッチの摩耗度が求められるため、より実情に即した余寿命を推定することが出来る。
なお、各冷凍機2に備わる圧縮機、制御回路基板(具体的にはコンデンサ)、ファンのモータの余寿命に関しても、本冷却設備機器1が設置される外気温度環境に基づき算出されることが望ましい。但し、上記例では発停回数に基づき摩耗度が導出されているが、圧縮機等の余寿命は実運転時間に基づき算出される。具体的には、圧縮機の実運転時間、制御回路基板(具体的にはコンデンサ)上の回路に流れる電流量、ファンの実運転時間に関しては、本冷却設備機器1がある程度低温の環境下に設置された場合の方が、余寿命が長くなる傾向がある。
再度、図6を参照する。ステップS06が終了すると、制御部42は、診断用パラメータに関連する判定部品の中に摩耗が著しいものがあるか否かを判断する(ステップS07)。そのために、制御部42は、判定部品のそれぞれに関して求めた現在の余寿命が、予め定められた基準値以下になったか否かを判断する。
余寿命が所定値以下になった判定部品がある場合(ステップS07でYESと判断した場合)、制御部42は、対象となる判定部品の余寿命が少ないことを示す情報を生成して、生成した情報を例えば表示装置46に表示させる(ステップS08)。これにより、監視装置MCは、ユーザに判定部品の交換や修理を促す。
ステップS07でNOと判断した場合、制御部42は、各判定部品の余寿命を示す情報を生成して、生成した情報を例えば表示装置46に表示させる(ステップS09)。
次に、制御部42は、本冷却設備機器1の状態を診断する(ステップS010)。
前述の通り、ステップS06の最中、制御部42は、温度範囲毎に、発停回数(診断用パラメータ)の個数を求めている。これと同様に、制御部42は、温度範囲毎の実運転時間(診断用パラメータ)と、制御回路基板の電流量(診断用パラメータ)、ファン回転数(診断用パラメータ)を求めておく。
前述の通り、ステップS06の最中、制御部42は、温度範囲毎に、発停回数(診断用パラメータ)の個数を求めている。これと同様に、制御部42は、温度範囲毎の実運転時間(診断用パラメータ)と、制御回路基板の電流量(診断用パラメータ)、ファン回転数(診断用パラメータ)を求めておく。
また、NVRAM43には、ステップS010で使用されるテーブルが格納されている。テーブルには、診断パラメータの組み合わせ毎に、本冷却設備機器1の運転状況に課題があるか否かを診断するための基準および診断結果が記載されている。このテーブルの詳細な内容は下表2に示す通りである。
本実施形態では、制御部42は、上記番号1〜3のいずれかに定義された診断基準を満たすか否かを判断する。具体的には、番号1に関し、制御部42は、下記の条件1〜4の全てを満たす場合、冷凍機低負荷状況であると診断する。ここで、冷凍機低負荷状況とは、冷凍機2の冷却能力に対し負荷が少ないため、冷凍機2が始動・停止を繰り返す状況を意味する。
条件1:0℃未満の外気温度で全運転時間の30%以上、冷却設備機器1が運転
条件2:0℃未満で圧縮機の摩耗度が所定の基準値以上
条件3:0℃未満で圧縮機のマグネットスイッチの摩耗度が所定の基準値未満
条件4:0℃未満で電磁弁4の摩耗度が所定の基準値未満
条件1:0℃未満の外気温度で全運転時間の30%以上、冷却設備機器1が運転
条件2:0℃未満で圧縮機の摩耗度が所定の基準値以上
条件3:0℃未満で圧縮機のマグネットスイッチの摩耗度が所定の基準値未満
条件4:0℃未満で電磁弁4の摩耗度が所定の基準値未満
なお、摩耗度の基準値に関しては、次の通りである。例えば、マグネットスイッチの標準的な摩耗度は、本冷却設備機器1の耐用年数、マグネットスイッチの寿命目安およびマグネットスイッチの故障率等から予め定められている。他の基準値も同様にして定められる。
また、番号2に関し、制御部42は、下記の条件5〜10の全てを満たす場合、冷凍機高負荷状況であると診断する。冷凍機高負荷状況とは、冷凍機2の冷却能力に対し負荷が大きいため、冷凍機2が常時動作、または長時間フル稼働を強いられている状況である。
条件5:35℃以上の外気温度で全運転時間の10%以上、冷却設備機器1が運転
条件6:35℃以上で圧縮機の摩耗度が所定の基準値未満
条件7:35℃以上で圧縮機のマグネットスイッチの摩耗度が所定の基準値以上
条件8:35℃以上で制御回路基板26(特にコンデンサ)の摩耗度が所定の基準値未満
条件9:35℃以上でファン23のモータの摩耗度が所定の基準値未満
条件10:35℃以上で電磁弁4の摩耗度が所定の基準値以上
条件5:35℃以上の外気温度で全運転時間の10%以上、冷却設備機器1が運転
条件6:35℃以上で圧縮機の摩耗度が所定の基準値未満
条件7:35℃以上で圧縮機のマグネットスイッチの摩耗度が所定の基準値以上
条件8:35℃以上で制御回路基板26(特にコンデンサ)の摩耗度が所定の基準値未満
条件9:35℃以上でファン23のモータの摩耗度が所定の基準値未満
条件10:35℃以上で電磁弁4の摩耗度が所定の基準値以上
また、番号3に関し、制御部42は、下記の条件11〜10の全てを満たす場合、一部冷却不良状況であると診断する。一部冷却不良状況とは、何らかの理由により一部のショーケースのみが冷却不良を起こしている状態である。
条件11:温度偏差が正
条件12:35℃未満の外気温度で全運転時間の40%以上、冷却設備機器1が運転
条件13:35℃未満で圧縮機の摩耗度が所定の基準値未満
条件14:35℃未満で圧縮機のマグネットスイッチの摩耗度が所定の基準値以上
条件11:温度偏差が正
条件12:35℃未満の外気温度で全運転時間の40%以上、冷却設備機器1が運転
条件13:35℃未満で圧縮機の摩耗度が所定の基準値未満
条件14:35℃未満で圧縮機のマグネットスイッチの摩耗度が所定の基準値以上
ステップS010が終了すると、制御部42は、本冷却設備機器1の現状が冷凍機低負荷状況、冷凍機高負荷状況または一部冷却不良であるか否かを判断する(ステップS011)。
いずれかの状況に該当すると判断した場合(ステップS011でYESと判断した場合)、制御部42は、本冷却設備機器1がいずれかの運転状況であることをユーザに通知するために第一メッセージ情報を生成して、生成した第一メッセージ情報を例えば表示装置46に表示させる(ステップS012)。制御部42は、第一メッセージ以外にも、故障リスクのある部品や運転リスクを通知する第二メッセージ情報を表示装置46に表示させても良い。さらに、現在の状況を改善する提案内容を通知する第三メッセージ情報を、制御部42は表示装置46に表示させても良い。なお、これらのメッセージ情報は、NVRAM43に予め格納されている。
具体的には、冷凍機低負荷状況であれば、「本店舗で推奨される容量を超えた冷凍機2が設置されていることで、冷凍機2の始動・停止が繰り返されています」という第一メッセージ情報が表示される。この第一メッセージ情報に加え、「マグネットスイッチや電磁弁の劣化が顕著となり、当該部品の故障可能性が高まっています」という第二メッセージ情報が表示されても良い。さらに、「過熱度、各種弁開度、冷媒量の調整等で冷凍機2の始動・停止の頻度を抑制できる場合があります」という第三メッセージ情報が表示されても良い。
また、冷凍機高負荷状況であれば、「本店舗の冷却設備機器1の負荷が大きいため、高温環境下での冷却能力不足が懸念されます」という第一メッセージ情報M1が表示される。この第一メッセージ情報M1に加え、「制御回路基板26のコンデンサ、ファン23のモータ等の部品の負荷が増大し、当該部品の故障可能性が高まる」という第二メッセージ情報M2が表示されても良い。さらに、「ショーケース3における過熱度の調整、庫内の設定温度の見直しや、各種弁開度、冷媒量の調整等で冷却能力不足を改善できる場合があります」や「低容量の冷凍機2を追加したり、本店舗内の空調機器(図示せず)により冷却能力の補充を受けたりすることで、本冷却設備機器1の冷却能力不足を改善できる場合があります」という第三メッセージ情報M3が表示されても良い。なお、図9には、冷凍機高負荷状況の場合における表示装置46の表示画面が模式的に示される。
また、一部冷却不良状況であれば、「本店舗の一部のショーケース3のみ冷却能力が低下しています」という第一メッセージ情報が表示される。この第一メッセージ情報に加え、「制御回路基板26のコンデンサ、ファン23のモータ等の部品の負荷が増大し、当該部品の故障可能性が高まる」という第二メッセージ情報が表示されても良い。さらに、「当該ショーケース3の影響で他のショーケースの省エネルギー性が悪化する可能性があります」という第二メッセージ情報が表示されても良い。さらに、「ショーケース3における過熱度の調整、庫内の設定温度の見直し等で、ショーケース3の冷却能力の低下を改善できる場合があります」や「ショーケース3の配管構造やショーケース3の点検修理等でショーケース3の冷却能力の低下を改善できる場合があります」という第三メッセージ情報が表示されても良い。
以上のステップS012が終了した場合、または、ステップS011でNOと判断した場合、制御部42は、ステップS01を再度行う。
≪1−5.監視装置MCの作用・効果≫
上記の通り、本監視装置MCにおいて、制御部42は、本冷却設備機器1の運転中、図6のステップS01〜S012を繰り返す。この間、制御部42は、各冷凍機2が定期的に収集した診断用パラメータを受け取り、図6のステップS06を行うたびに、受け取った外気温度(診断用パラメータ)に基づき、本冷却設備機器1が運転開始から現時点までの間どのような外気温度環境に置かれていたかを判定する。従って、本冷却設備機器1の総運転時間が長くなる程、外気温(診断用パラメータ)のデータ数は多くなり、判定結果が更新されるため、ステップS06で特定される外部温度環境の判定結果の確度が高まっていく。
上記の通り、本監視装置MCにおいて、制御部42は、本冷却設備機器1の運転中、図6のステップS01〜S012を繰り返す。この間、制御部42は、各冷凍機2が定期的に収集した診断用パラメータを受け取り、図6のステップS06を行うたびに、受け取った外気温度(診断用パラメータ)に基づき、本冷却設備機器1が運転開始から現時点までの間どのような外気温度環境に置かれていたかを判定する。従って、本冷却設備機器1の総運転時間が長くなる程、外気温(診断用パラメータ)のデータ数は多くなり、判定結果が更新されるため、ステップS06で特定される外部温度環境の判定結果の確度が高まっていく。
また、制御部42は、ステップS06で特定した外気温度環境下で冷却設備機器1が今後も運転するとの前提で、各診断用パラメータによる判定部品の余寿命を求める。このように、ステップS06では、冷却設備機器1が設置される外気温度環境が考慮されて、判定部品の余寿命が求められるため、より実情に即した余寿命を推定することが出来る。
ところで、店舗CVS(図1を参照)に設置された冷却設備機器1の使用状況は、外気温度により変わる。それ故、本監視装置MCにおいて、制御部42は、ステップS06で、冷却設備機器1が設置された外気温度環境と、各判定部品の摩耗度とに基づき、冷却設備機器1がどのような状況で運転しているか(具体的には、冷凍機低負荷状況で運転しているのか、冷凍機高負荷状況で運転しているのか、一部冷却不良状況で運転しているのか)を定期的に診断する。そして、制御部42は、診断結果と共に、故障リスクのある部品や運転リスクや、現在の状況を改善する提案内容を、ユーザに提示する。例えば、外気温度35℃以上の環境下に冷却設備機器1が設置され、圧縮機21の実運転時間が定常的に長い場合(即ち、摩耗度が所定の基準値以上の場合)、冷凍機高負荷状況と判断され、各種メッセージ情報が表示される。この場合、ユーザは、表示内容に従って、冷凍機高負荷状況が改善するように適切に対応することで、本冷却設備機器1の予防保全を行うことが出来、その寿命到来を先送りできる場合がある。このように、本実施形態の監視装置MCによれば、店舗CVS単位で冷却設備機器1の使用状況等をユーザが知ることができる。さらに、状況に応じて、監視装置MCは、故障リスクのある部品や運転リスクを通知したり、現在の状況を改善する提案内容を通知したりするので、ユーザは修理等の対応を取りやすく、その結果、冷却設備機器1の長期間継続的な運転が可能となる。
≪1−6.付記≫
上記では、制御部42が作成したメッセージ情報は表示装置46に表示されるとして説明した。しかし、本冷却設備機器1を遠隔のサーバ装置で集中管理している場合には、制御部42が作成したメッセージ情報は、集中管理のためにサーバ装置に送信されても構わない。従って、表示装置46は監視装置MCの必須構成ではない。
上記では、制御部42が作成したメッセージ情報は表示装置46に表示されるとして説明した。しかし、本冷却設備機器1を遠隔のサーバ装置で集中管理している場合には、制御部42が作成したメッセージ情報は、集中管理のためにサーバ装置に送信されても構わない。従って、表示装置46は監視装置MCの必須構成ではない。
本発明に係る監視装置は、冷却設備機器を長期間継続的に運転可能にし、店舗用冷却設備機器等に好適である。
1 冷却設備機器
2 冷凍機
21 圧縮機(所定部品の例)
26 制御回路基板(所定部品の例)
266 通信部(被監視側)
23 ファン
231 モータ(所定部品の例)
4 電磁弁
MC 監視装置
42 制御部
45 通信部(監視側)
2 冷凍機
21 圧縮機(所定部品の例)
26 制御回路基板(所定部品の例)
266 通信部(被監視側)
23 ファン
231 モータ(所定部品の例)
4 電磁弁
MC 監視装置
42 制御部
45 通信部(監視側)
Claims (5)
- 冷却設備機器の使用状況を監視する監視装置であって、
前記冷却設備機器の設置場所での外気温度を示す情報と、前記冷却設備機器を構成する所定部品の使用状況を示す情報と、を取得する通信部と、
前記通信部の取得情報に基づき、前記所定部品の現在の摩耗度を示す情報を導出した後、前記冷却設備機器の設置場所での外気温度の情報と、前記所定部品の現在の摩耗度を示す情報とに基づいて、前記冷却設備機器の運転状況を判定する制御部と、を備えた監視装置。 - 前記制御部は、前記冷却設備機器の運転状況を示す第一メッセージ情報を生成し、
前記監視装置は、前記制御部が生成した第一メッセージ情報を表示する表示装置を、さらに備える、請求項1に記載の監視装置。 - 前記制御部は、前記運転状況の下で生じるリスクを示す第二メッセージ情報をさらに生成し、
前記表示装置は、前記制御部が生成した第二メッセージ情報を表示する、請求項2に記載の監視装置。 - 前記制御部は、前記運転状況を改善する提案内容を示す第三メッセージ情報をさらに生成し、
前記表示装置は、前記制御部が生成した第三メッセージ情報を表示する、請求項2または3に記載の監視装置。 - 前記制御部は、
前記冷却設備機器が、全運転時間のうち所定の基準時間以上、所定の外気温度範囲内で運転しているか否かを、前記通信部が取得した外気温度に基づき判定し、
前記所定の外気温度範囲における前記所定部品の現在の摩耗度が所定条件を満足するか否かを判定し、さらに、
前記判定の結果の組み合わせに基づき、前記冷却設備機器の運転状況を判定する、請求項1〜4のいずれかに記載の監視装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016022106A JP2017141991A (ja) | 2016-02-08 | 2016-02-08 | 冷却設備機器の監視装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019190753A (ja) * | 2018-04-26 | 2019-10-31 | エア・ウォーター物流株式会社 | 輸送用血液恒温装置 |
WO2019239549A1 (ja) * | 2018-06-14 | 2019-12-19 | 三菱電機株式会社 | 機器管理システム |
-
2016
- 2016-02-08 JP JP2016022106A patent/JP2017141991A/ja active Pending
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