JP2017141922A - 補機駆動ベルト張力調整装置 - Google Patents

補機駆動ベルト張力調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能な補機駆動ベルト張力調整装置を提供すること。【解決手段】補機駆動ベルト張力調整装置10は、第1プーリ1と第2プーリ2との間で駆動力を伝達するベルト3の緩み側区間に張力を与えるローラ12と、ローラ12とを支持するアーム13と、アーム13を第2プーリ2の回転軸心AXを旋回軸心として揺動させる揺動機構4と、を備える。揺動機構4は、第2プーリ2のシャフト5に固定された第1ハウジング41と、第1ハウジング41の周方向外側に設けられ、第1ハウジング41に対して周方向に回動自在に支持された第2ハウジング42と、第1ハウジング41あるいは第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する周方向の位相差を軸方向の直動運動に変換する回動−直動変換機構6と、軸方向の直動運動をアーム13の回動運動に変換する直動−回動変換機構7と、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、補機駆動ベルト張力調整装置補機駆動ベルト張力調整装置に関する。
近年、自動車の環境負荷低減に対する要求が高まっており、燃費規制(CO2排出量削減)の厳格化への対応が求められている。このような環境保全や省資源化要求に対し、燃費向上アイテムへのニーズが増加しており、アイドリングストップ機構の搭載やハイブリッド化が進んでいる。自動車の内燃機関においては、主機であるエンジンや、エアコン等を稼働するために必要なウォーターポンプやコンプレッサ、ラジエータファン等の補機類を補機ベルトで機械的に接続して駆動するベルト駆動方式の補機駆動ベルトシステム(以下、「補機駆動系」という)が一般的である。補機駆動系は、主機プーリであるクランクプーリと各補機プーリとに巻き掛けられた補機ベルトを介して駆動力が伝達される。この補機駆動系においても、損失低減ニーズが高まってきている。
ベルトにより駆動力を伝達する補機駆動系においては、各プーリとベルトとの間でスリップが発生しないような張力をベルトに与える必要があるため、ベルトの張力を一定値とするためのテンショナーを用いるのが一般的である。このテンショナーは、テンショナーを設けた区間のベルトの張力を一定に保つ機能を有している。ベルトに掛かる張力は、駆動プーリによって引き込まれる側(以下、「張り側」ともいう)で大きくなり、駆動プーリによって押し出される側(以下、「緩み側」ともいう)で小さくなる。例えば、補機としてオルタネータが設けられている場合には、主機プーリであるエンジンのクランクプーリが駆動プーリとなり、補機プーリであるオルタネータプーリが従動プーリとなる。
ベルトを駆動するために必要な張力は、ベルトによって伝達される伝達トルクに比例して大きくなる。すなわち、ベルトを駆動するために必要な張力の適正値は、従動プーリの負荷状態によって変化する。具体的には、例えば、オルタネータの発電量に応じてベルトを駆動するために必要な張力が変化する。オルタネータの発電量が大きく伝達トルクが大きい場合には、オルタネータの発電量が小さく伝達トルクが小さい場合と比較して、オルタネータのロータに接続された補機プーリの回転抵抗が増加するため、大きな伝達トルクを得るためには、小さな伝達トルクを得る場合よりも大きな張力が必要となる。このため、テンショナーは、例えば、オルタネータの発電量が最大となってオルタネータの補機プーリの回転抵抗が最大となったとしても、各プーリとベルトとの間でスリップ等が発生しないように、予めオルタネータの最大発電量に対応した張力が得られるように設定される。
ここで、張り側にテンショナーを設けた場合には、従動プーリの負荷が最大となったとしても、ベルトに掛かる張力が小さい緩み側の張力が、各プーリとベルトとの間でスリップ等が発生しないような張力となるように、ベルトの張り側に与える張力(以下、「張り側張力」という)を設定する必要がある。すなわち、従動プーリの負荷が最大となったとき、各プーリとベルトとの間でスリップ等が発生しないような緩み側の張力が得られるような張り側張力を初期張力として設定する必要がある。このように、張り側にテンショナーを設けた場合には、従動プーリの最大負荷時に必要な張り側張力を初期張力として設定する必要があるため、従動プーリの負荷が小さく伝達トルクが小さいときに不要な張力がベルトに掛かることとなり、ベルトによる駆動力の伝達効率が低下する。
一方、緩み側にテンショナーを設けた場合には、ベルトの緩み側に与える張力(以下、「緩み側張力」という)の初期張力を、従動プーリの最大負荷時に必要な緩み側張力とすればよい。すなわち、補機駆動系においてテンショナーを設ける場合、ベルトの張り側にテンショナーを設ける場合よりも、ベルトの緩み側にテンショナーを設ける場合の方が、ベルトに与える初期張力を小さくすることができる。このため、テンショナーは、ベルトの緩み側に設けるのが好ましい。
アイドリングストップ機構搭載車両やハイブリッドシステム搭載車両では、従来のオルタネータに代えて、スタータ機能付き発電機(ISG:Integrated Starter Generator)を採用したISG搭載のエンジンが普及しつつある。このようなISG搭載エンジンでは、エンジンによる駆動力をISGに伝達して回生する場合と、ISGによる駆動力を伝達してエンジン始動や駆動アシストを行う場合とで、駆動側と従動側とが入れ替わる。すなわち、回生時にはクランクプーリが駆動プーリ、ISGプーリが従動プーリとなり、エンジン始動時や駆動アシスト時にはISGプーリが駆動プーリ、クランクプーリが従動プーリとなる。このように、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系においては、張り側と緩み側とが、何れのプーリが駆動プーリであるかによって入れ替わり、一方から他方に伝達トルクが発生する。このため、例えば、特許文献1には、補機類の動作状態に応じて補機を揺動させることで、ベルトに掛かる張力を調整するベルト張力調整装置が記載されている。
特開2009−180177号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、補機(モータジェネレータ)自体を揺動する構造であるため、揺動を繰り返すことによってモータジェネレータの配線が疲労劣化により断線する可能性があり、補機駆動系における信頼性の低下要因となり得る。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能な補機駆動ベルト張力調整装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、補機駆動ベルト張力調整装置は、第1プーリと第2プーリとの間で駆動力を伝達するベルトの緩み側区間に張力を与えるローラと、前記ローラを支持するアームと、前記アームを前記第2プーリの回転軸心を旋回軸心として揺動させる揺動機構と、を備え、前記揺動機構は、前記第2プーリのシャフトに固定された第1ハウジングと、前記第1ハウジングの周方向外側に設けられ、前記第1ハウジングに対して周方向に回動可能に支持された第2ハウジングと、前記第1ハウジングあるいは前記第2ハウジングに与えられたトルクに応じて変化する前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差を軸方向の直動運動に変換する回動−直動変換機構と、前記軸方向の直動運動を前記アームの回動運動に変換する直動−回動変換機構と、を含んでいる。
上記構成により、伝達トルクに比例した緩み側張力をベルトに与えることができ、補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、望ましい態様として、前記ベルトは、前記第1プーリと前記第2プーリとの間で一方から他方へ双方向に駆動力を伝達し、前記ローラは、前記ベルトの前記第2プーリから前記第1プーリへの送り出し区間に張力を与える第1ローラと、前記ベルトの前記第1プーリから前記第2プーリへの送り出し区間に張力を与える第2ローラと、を含んでいるのが好ましい。
上記構成により、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系において、双方向に発生する伝達トルクに比例した緩み側張力をベルトに与えることができ、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、上記構成において、前記回動−直動変換機構は、前記第1ハウジングの外周面に設けられた突起部と前記第2ハウジングの内周面に設けられた突起部との間に設けられた弾性部材と、前記第1ハウジングとの間、及び、前記第2ハウジングとの間にねじ部を介して設けられた第1円環部材と、を含んでいても良い。
また、上記構成において、前記回動−直動変換機構は、転動体を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、弾性部材によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板及び第2カム板と、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に設けられた第1円環部材と、を含み、前記第1カム板は、前記第1ハウジングに対し周方向位置が固定されて配置され、前記第2カム板は、前記第2ハウジングに対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置され、前記第1円環部材は、前記第1カム板に軸方向の一端が当接して配置されていても良い。
また、上記構成において、前記第2プーリの回転軸心に対して周方向に固定されたベース部材を備え、前記ベース部材は、前記第2プーリの回転軸心を中心とするベース円環部を有し、前記アームは、前記ベース円環部の周方向内側に設けられ、前記ベース円環部に対して周方向に回動可能に支持されたアーム円環部を有し、前記直動−回動変換機構は、前記アーム円環部の内周面あるいは外周面との間にねじ部を介して設けられた第2円環部材を含んでいても良い。
また、上記構成において、前記第2円環部材は、軸受を介して前記第1円環部材と接続されていても良い。
本発明によれば、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能な補機駆動ベルト張力調整装置を提供することができる。
図1は、補機駆動系の一例を示す図である。 図2は、駆動プーリにおける伝達トルクと、張り側及び緩み側における張力との関係を示す概念図である。 図3は、2つのプーリにベルトが巻き掛けられた補機駆動系における伝達トルクと張力との関係を示す図である。 図4は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。 図5は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の概略断面図である。 図6は、図5に示すA−A矢示断面図である。 図7は、第2プーリが駆動力を発生しているときの第1ハウジングと第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差を示す図である。 図8は、第1プーリが駆動力を発生しているときの第1ハウジングと第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差を示す図である。 図9は、第2プーリが駆動力を発生しているときの回動−直動変換機構及び直動−回動変換機構の状態変化を示す図である。 図10は、第1プーリが駆動力を発生しているときの回動−直動変換機構及び直動−回動変換機構の状態変化を示す図である。 図11は、第2プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。 図12は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。 図13は、実施形態1の変形例に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。 図14は、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の概略断面図である。 図15は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図14に示すA矢示方向に見た図である。 図16は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図15に示すB矢示方向に見た図である。 図17は、第1プーリが駆動力を発生しているときの回動−直動変換機構及び直動−回動変換機構の状態変化を示す図である。 図18は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、補機駆動系の一例を示す図である。図1に示す補機駆動系は、例えば自動車の内燃機関において、主機であるエンジンや、エアコン等を稼働するために必要なウォーターポンプやコンプレッサ、ラジエータファン等の補機類を補機ベルトで機械的に接続して駆動するベルト駆動方式の補機駆動ベルトシステムであり、主機であるエンジンのクランクシャフトに設けられたクランクプーリ101と、各補機類のシャフトに設けられた補機プーリ201〜205とにベルト301が巻き掛けられ、ベルト301を介して各補機類に駆動力が伝達される。
本実施形態では、図1に示す例において、エンジンによって発生する駆動力を各補機類に伝達する際に、エンジンのクランクプーリ101を駆動プーリと称し、各補機類の補機プーリ201〜205を従動プーリと称する。また、補機類としてスタータ機能付き発電機(ISG:Integrated Starter Generator)が設けられた補機駆動系において、ISGによる駆動力を伝達してエンジン始動や駆動アシストを行う場合には、ISGのシャフトに設けられたISGプーリが駆動プーリとなり、クランクプーリ101が従動プーリとなる。
図2は、駆動プーリにおける伝達トルクと、張り側及び緩み側における張力との関係を示す概念図である。図3は、2つのプーリにベルトが巻き掛けられた補機駆動系における伝達トルクと張力との関係を示す図である。図2及び図3に示す例では、駆動プーリ100が矢示方向に駆動力を発生させているときの張り側張力T1と緩み側張力T2との関係を示している。図3(a−1)は、張り側及び緩み側の何れにもテンショナー400を設けていない例を示し、図3(a−2)は、張り側及び緩み側の何れにもテンショナー400を設けていない場合の伝達トルクと張力との関係を示している。図3(b−1)は、張り側にテンショナー400を設けた例を示し、図3(b−2)は、張り側にテンショナー400を設けた場合の伝達トルクと張力との関係を示している。図3(c−1)は、緩み側にテンショナー400を設けた例を示し、図3(c−2)は、緩み側にテンショナー400を設けた場合の伝達トルクと張力との関係を示している。また、図3(a−2)乃至図3(c−2)に記載した破線は、張り側張力T1の理想特性を示し、図3(a−2)乃至図3(c−2)に記載した一点鎖線は、緩み側張力T2の理想特性を示している。
図2に示すように、駆動プーリ100が矢示方向に回転して駆動力を発生させたとき、ベルトによって伝達される伝達トルクNは、駆動プーリ100の半径r、張り側張力T1、緩み側張力T2を用いて以下の式で表される。
N=r×(T1−T2)
上式に示すように、伝達トルクNは、張り側張力T1と緩み側張力T2との張力差T1−T2と比例する。すなわち、補機駆動系においてスリップを生じることなくトルクを伝達するために必要な張力差T1−T2を与えることで、駆動プーリ100が発生させた駆動力を従動プーリに伝達することができる。
図3(a−1)に示すように、張り側及び緩み側の何れにもテンショナー400を設けていない場合でも、図3(a−2)に示すように、ベルト300に掛かる初期張力T0を適切に設定すれば、補機駆動系における最大伝達トルクNmaxを得ることができる。ここで、緩み側張力T2が最大伝達トルクNmaxを得るための緩み側張力T2の最小値T2min以下となると、最大伝達トルクNmaxあるいはそれ以下の伝達トルク領域においてベルト300のスリップが発生することとなる。従って、補機駆動系において達成しようとする最大伝達トルクNmaxの発生時において、緩み側張力T2が最小値T2minを下回らないように、初期張力T0を設定する必要がある。図3に示す例では、最大伝達トルクNmaxの発生時において、緩み側張力T2が最小値T2minとなったときの張り側張力T1の最大値をT1maxとしている。
図3(b−1)に示すように、張り側にテンショナー400を設けて、張り側張力T1を一定に保つことで最大伝達トルクNmaxを達成しようとすると、図3(b−2)に示すように、初期張力T0がT1max以上となるようにテンショナー400を設定する必要がある。この場合には、最大伝達トルクNmax以下の伝達トルク領域において、本来必要としない過大な張力がベルト300に掛かることとなり、駆動プーリ100及び従動プーリ200に大きな負荷が掛かり、駆動力の伝達効率が低下する。
一方、図3(c−1)に示すように、緩み側にテンショナー400を設けて、緩み側張力T2を一定に保つことで最大伝達トルクNmaxを達成しようとする場合には、図3(c−2)に示すように、初期張力T0がT2min以上となるようにテンショナー400を設定すればよい。しかしながら、緩み側にテンショナー400を設けた場合でも(図3(c−1)参照)、伝達トルクの大きさに依らず、常にT2min以上の張力を緩み側に与える必要がある(図3(c−2)参照)。自動車等の内燃機関においては、アイドリング時や高速走行時等の低トルク領域における損失をより小さくし、緩み側張力T2を理想特性に近付ける、すなわち、伝達トルクの大きさに比例した緩み側張力T2を与えることで、更なる燃費の向上が見込まれる。
図4は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。図4に示す補機駆動系は、第1プーリ1と第2プーリ2との間で駆動力を伝達するベルト3が巻き掛けられている。なお、図4は、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の初期状態、すなわち、補機駆動系の停止状態における構造概念例を示している。
図4に示す補機駆動系において、第1プーリ1は、例えば、自動車の内燃機関であるエンジンのクランクシャフトに設けられたクランクプーリであり、第2プーリ2は、例えばISGのシャフトに設けられたISGプーリである。すなわち、図4に示す補機駆動系では、エンジンによる駆動力をISGに伝達して回生する場合と、ISGによる駆動力を伝達してエンジン始動や駆動アシストを行う場合とで、駆動側と従動側とが入れ替わる。すなわち、回生時には第1プーリ1であるクランクプーリが駆動プーリ、第2プーリ2であるISGプーリが従動プーリとなり、エンジン始動時や駆動アシスト時には第2プーリ2であるISGプーリが駆動プーリ、第1プーリ1であるクランクプーリが従動プーリとなる。このように、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系においては、張り側と緩み側とが、何れのプーリが駆動プーリであるかによって入れ替わるため、何れのプーリが駆動プーリであるかによって双方向の伝達トルクが発生する。すなわち、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系において、ベルト3は、第1プーリ1であるクランクプーリと第2プーリ2であるISGプーリとの間で、一方から他方へ双方向に駆動力を伝達する。
上述したように、補機駆動系においては、伝達トルクの大きさに比例した緩み側張力を与えるのが好ましい。本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10は、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系において、双方向に発生する伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることが可能な構成としている。以下、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10の構成について説明する。なお、以下の説明では、ベルト3が図4に示す矢示方向に進むものとして説明する。
図5は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の概略断面図である。図6は、図5に示すA−A矢示断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10は、第1ローラ11と、第2ローラ12と、アーム13と、ベース部材14と、揺動機構4と、を備えている。
第1ローラ11は、第1プーリ1と第2プーリ2との間で一方から他方へ双方向に駆動力を伝達するベルト3の第2プーリ2から第1プーリ1への送り出し区間に張力を与える。第2ローラ12は、ベルト3の第1プーリ1から第2プーリ2への送り出し区間に張力を与える。
アーム13は、第1ローラ11と第2ローラ12とを支持する。
ベース部材14は、第2プーリ2の回転軸心に対して周方向に固定されている。
揺動機構4は、アーム13を第2プーリ2の回転軸心AXを旋回軸心として揺動させる。
図5に示すように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10の揺動機構4は、第2プーリ2の構成要素を含み構成されている。具体的には、揺動機構4は、第1ハウジング41と、第2ハウジング42と、回動−直動変換機構6と、直動−回動変換機構7と、を含み構成されている。
第1ハウジング41は、第2プーリ2のシャフト5に固定された円筒形状の部材である。
第2ハウジング42は、第1ハウジング41の周方向外側に第1軸受81を介して設けられ、第1ハウジング41に対して周方向に回動可能に支持された円筒形状の部材である。なお、第1軸受81は、例えば玉軸受で構成されるが、この第1軸受81の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
回動−直動変換機構6は、第1ハウジング41あるいは第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の周方向の位相差を軸方向の直動運動に変換する。
直動−回動変換機構7は、軸方向の直動運動をアーム13の回動運動に変換する。
回動−直動変換機構6は、弾性部材61と、第1円環部材63と、を含み構成されている。
弾性部材61は、図6に示すように、第1ハウジング41の外周面に設けられた突起部411と第2ハウジング42の内周面に設けられた突起部421との間に設けられている。なお、弾性部材61は、例えば、板ばねやコイルばねであってもよいし、弾性ゴムのような固体部材であってもよい。この弾性部材61の構成や材質、形状によって本発明が限定されるものではない。
第1円環部材63は、図5に示すように、第1ハウジング41との間、及び、第2ハウジング42との間にねじ部62を介して設けられている。
ねじ部62は、第1円環部材63の内周面に設けられたおねじと第1ハウジング41の内周面に設けられためねじとが噛み合い、第1円環部材63の外周面に設けられたおねじと第2ハウジング42の内周面に設けられためねじとが噛み合うことで構成される。なお、ねじ部62は、例えばボールねじやすべりねじで構成することも可能である。このねじ部62の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
ベース部材14は、図5に示すように、第2プーリ2の回転軸心AXを中心とする円環形状のベース円環部141を有している。
アーム13は、図5に示すように、ベース円環部141の内周面に第2軸受82を介して設けられた円環形状のアーム円環部131を有している。なお、第2軸受82は、例えば玉軸受で構成されるが、この第2軸受82の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
直動−回動変換機構7は、図5に示すように、アーム円環部131の内周面との間にねじ部71を介して設けられた第2円環部材72を含み構成されている。図5に示す例では、ボールねじでねじ部71を構成した例を記載している。この場合には、アーム円環部131がボールねじのナットとして機能し、第2円環部材72がねじ軸として機能し、アーム円環部131と第2円環部材72との間に設けられた転動体によって第2円環部材72の直動運動がアーム円環部131の回動運動に変換される。なお、ねじ部71は、例えばすべりねじで構成されていてもよく、このねじ部71の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。また、図5に示す例では、アーム円環部131の内周面と第2円環部材72の外周面との間にねじ部71が構成される例を示したが、アーム円環部131の外周面と第2円環部材72の内周面との間にねじ部71が構成されていてもよい。
第2円環部材72は、図5に示すように、第3軸受83を介して第1円環部材63と接続されている。なお、第2円環部材72は、第3軸受83とのつれ回りを防ぎ、軸方向に直動運動させる必要がある。このため、例えば、ベース部材14に第2円環部材72の内周面に対向する円環状の突出部を設け、この突出部の外周面と第2円環部材72の内周面とにスプラインを設けて、第2円環部材72の内周面に設けたスプラインとベース部材14の突出部の外周面に設けたスプラインとが嵌合し、第2円環部材72がベース部材14に設けられた突出部に回転不能に支持されることで、第2円環部材72の回転運動を抑制する構成であっても良い。また、第3軸受83は、例えばスラストニードル軸受で構成される。これら第2円環部材72の支持構造や、第3軸受83の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
第1ローラ11は、図5に示すように、軸受112及び軸受113を介してアーム13から延びるシャフト132に設けられ、回転軸BXを中心に回転自在に支持された円筒形状のローラハウジング111を含み構成されている。また、第2ローラ12は、図5に示すように、軸受122及び軸受123を介してアーム13から延びるシャフト133に設けられ、回転軸CXを中心に回転自在に支持された円筒形状のローラハウジング121を含み構成されている。なお、軸受112、軸受113、軸受122、軸受123は、例えば玉軸受で構成されるが、これら軸受112、軸受113、軸受122、軸受123の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
次に、図4乃至図12を参照して、上述のように構成した本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10の動作について説明する。
図7は、第2プーリが駆動力を発生しているときの第1ハウジングと第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差を示す図である。図8は、第1プーリが駆動力を発生しているときの第1ハウジングと第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差を示す図である。図9は、第2プーリが駆動力を発生しているときの回動−直動変換機構及び直動−回動変換機構の状態変化を示す図である。図10は、第1プーリが駆動力を発生しているときの回動−直動変換機構及び直動−回動変換機構の状態変化を示す図である。図11は、第2プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。図12は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。
本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10において、回動−直動変換機構6は、第1ハウジング41あるいは第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差を、図5中に示す軸方向の直動運動に変換し、直動−回動変換機構7は、軸方向の直動運動を、図4中に示すアーム13の回動運動に変換する。
第2プーリ2が駆動力を発生しているとき、すなわち、第2プーリ2が駆動プーリであり、第1プーリ1が従動プーリであるとき、図7に示すように、第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動によって第1ハウジング41の回転角θ1と第2ハウジング42の回転角θ2との間に位相差Δθが生じる。このとき、図9に示すように、回動−直動変換機構6を構成する第1円環部材63、第3軸受83、及び直動−回動変換機構7を構成する第2円環部材72が矢示方向に移動する。また、このとき、図11に示すように、アーム13が矢示方向に揺動し、第1ローラ11がベルト3の緩み側を押して張力を与える。
第1プーリ1が駆動力を発生しているとき、すなわち、第1プーリ1が駆動プーリであり、第2プーリ2が従動プーリであるとき、図8に示すように、第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動によって第1ハウジング41の回転角θ1’と第2ハウジング42の回転角θ2’との間に位相差Δθ’が生じる。このとき、図10に示すように、回動−直動変換機構6を構成する第1円環部材63、第3軸受83、及び直動−回動変換機構7を構成する第2円環部材72が矢示方向に移動する。また、このとき、図12に示すように、アーム13が矢示方向に揺動し、第2ローラ12がベルト3の緩み側を押して張力を与える。
本実施形態において、第1ハウジング41あるいは第2ハウジング42に与えられるトルクと、このトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差と、この位相差によって回動−直動変換機構6により生じる第1円環部材63、第3軸受83、及び第2円環部材72の直動方向の移動量と、この直動方向の移動量によって直動−回動変換機構7により生じるアーム13の揺動量とは、それぞれ比例関係にある。すなわち、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10では、上述したような構成とすることにより、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系において、双方向に発生する伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることが可能となる。
(変形例)
上述した例では、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10を、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系に適用する例を示したが、例えば、第2プーリ2がオルタネータのシャフトに設けられる従動プーリである構成の補機駆動系に適用することも可能である。
図13は、実施形態1の変形例に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。図13に示す例では、第2プーリ2が従動プーリであり、第2プーリ2が駆動プーリになり得ない補機駆動系に実施形態1の変形例に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aを適用する場合の構成例を示している。この場合には、上述した補機駆動ベルト張力調整装置10に対し、第1ローラ11を設けない構成とすることで、容易に実現可能である。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10,10aでは、ISGやオルタネータ等の補機類を揺動させる構造を有していないので、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がないため、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10,10aを実現することができる。
以上説明したように、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置10は、第1プーリ1と第2プーリ2との間で一方から他方へ双方向に駆動力を伝達するベルト3の第2プーリ2から第1プーリ1への送り出し区間に張力を与える第1ローラ11と、ベルト3の第1プーリ1から第2プーリ2への送り出し区間に張力を与える第2ローラ12と、第1ローラ11と第2ローラ12とを支持するアーム13と、アーム13を第2プーリ2の回転軸心AXを旋回軸心として揺動させる揺動機構4と、を備えている。
揺動機構4は、第2プーリ2のシャフト5に固定された第1ハウジング41と、第1ハウジング41の周方向外側に設けられ、第1ハウジング41に対して周方向に回動可能に支持された第2ハウジング42と、第1ハウジング41あるいは第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差を軸方向の直動運動に変換する回動−直動変換機構6と、軸方向の直動運動をアーム13の回動運動に変換する直動−回動変換機構7と、を含み構成されている。
この構成において、第2プーリ2の回転軸心を中心とするベース円環部141を有し、第2プーリ2の回転軸心AXに対して周方向に固定されたベース部材14を備え、回動−直動変換機構6を、第1ハウジング41の外周面に設けられた突起部411と第2ハウジング42の内周面に設けられた突起部421との間に設けられた弾性部材61と、第1ハウジング41との間、及び、第2ハウジング42との間にねじ部62を介して設けられた第1円環部材63と、を含む構成とし、アーム13を、ベース円環部141の周方向内側に設けられ、ベース円環部141に対して周方向に回動可能に支持されたアーム円環部131を有する構成とし、直動−回動変換機構7を、アーム円環部131の内周面(あるいは外周面)との間にねじ部71を介して設けられた第2円環部材72を含む構成とし、第2円環部材72と第1円環部材63とを軸方向に第3軸受83を介して接続することで、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系において、一方から他方へ双方向に発生する伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることができ、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、第2プーリ2が従動プーリであり、第2プーリ2が駆動プーリになり得ない補機駆動系に適用することも可能であり、容易に実施形態1の変形例に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aを実現することができる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10,10aでは、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がなく、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10,10aを実現することができる。
このように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10,10aを補機駆動系に適用することで、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能となる。
(実施形態2)
図14は、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の概略断面図である。図15は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図14に示すA矢示方向に見た図である。図16は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図15に示すB矢示方向に見た図である。図16(a)は、第1プーリ1が駆動力を発生していない初期状態を示し、図16(b)は、第1プーリ1が駆動力を発生しているときの第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差を示している。図17は、第1プーリが駆動力を発生しているときの回動−直動変換機構及び直動−回動変換機構の状態変化を示す図である。図18は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。なお、上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bは、第1プーリ1と第2プーリ2との間で駆動力を伝達するベルト3の緩み側区間に張力を与えるローラ12と、ローラ12を支持するアーム13と、第2プーリ2の回転軸心AXに対して周方向に固定されたベース部材14と、アーム13を第2プーリ2の回転軸心AXを旋回軸心として揺動させる揺動機構4と、を備えている。
図14に示すように、揺動機構4は、第2プーリ2の構成要素を含み構成されている。具体的には、揺動機構4は、第1ハウジング41と、第2ハウジング42と、回動−直動変換機構6aと、直動−回動変換機構7と、を含み構成されている。
第1ハウジング41は、第2プーリ2のシャフト5に固定された円筒形状の部材である。
第2ハウジング42は、第1ハウジング41の周方向外側に第1軸受81を介して設けられ、第1ハウジング41に対して回動可能に支持された円筒形状の部材である。
回動−直動変換機構6aは、第1ハウジング41あるいは第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差を軸方向の直動運動に変換する。
直動−回動変換機構7は、軸方向の直動運動をアーム13の回動運動に変換する。
回動−直動変換機構6aは、第1カム板66及び第2カム板67と、第1円環部材68と、を含み構成されている。
第1カム板66及び第2カム板67は、図14乃至図16に示すように、複数個のころ状あるいは玉状の転動体64を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、弾性部材65によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の部材である。なお、転動体64は、例えば複数の転動体64が円環状の転動体支持部材により支持される構造であってもよい。また、図15に示す例では、4つの転動体64が周方向に90度ずつずれた位置に配置された例を示したが、転動体64の数及び位置はこれに限らず、3つ以上の転動体64が周方向に等間隔に配置される構成であってもよい。また、弾性部材65は、例えば円環状の皿ばねで構成されるが、板ばねやコイルばねであってもよいし、弾性ゴムのような固体部材であってもよい。この弾性部材65の構成や材質、形状によって本発明が限定されるものではない。
第1円環部材68は、第1ハウジング41と第2ハウジング42との間に設けられた円環状の部材である。
第1カム板66は、図14に示すように、輪止め部材93によって係止された弾性部材65によって軸方向の移動が制限されると共に、固定部材91によって第1ハウジング41に対し周方向位置が固定されて配置されている。なお、図14に示す例において、輪止め部材93は、2つの円環状の部材で構成されているが、この輪止め部材93の構成により本発明が制限されるものではない。また、図14に示す例では、第1カム板66の第1ハウジング41に対する周方向位置を固定部材91によって固定する構造としたが、この第1カム板66の第1ハウジング41に対する周方向位置を固定する構造については、これに限るものではなく、この構造によって本発明が限定されるものではない。
第2カム板67は、図14に示すように、固定部材92によって第2ハウジング42に対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置されると共に、第4軸受84を介して固定部材91と接続されている。なお、第4軸受84は、第2カム板67の第2ハウジング42に対する軸方向位置のズレを固定部材91で抑制すると共に、第1ハウジング41と第2ハウジング42との周方向の位相差を許容するために設けているが、第2カム板67の第2ハウジング42に対して軸方向位置を固定する構造については、これに限るものではなく、この構造によって本発明が限定されるものではない。また、第4軸受84は、例えばスラストニードル軸受で構成されるが、この第4軸受84の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
第1円環部材68は、図14に示すように、第1カム板66に軸方向の一端が当接して配置され、第3軸受83を介して第2円環部材72と接続されている。
次に、図14乃至図18を参照して、上述のように構成した本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bの動作について説明する。なお、上述した実施形態1では、駆動側と従動側とが入れ替わる補機駆動系にも適用可能な構成について説明したが、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bは、例えば、第2プーリ2がオルタネータのシャフトに設けられる従動プーリであり、第2プーリ2が駆動プーリになり得ない補機駆動系に適用可能な構成としている。
本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bにおいて、回動−直動変換機構6aは、第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差を、図14中に示す軸方向の直動運動に変換する。
上述したように、第1カム板66及び第2カム板67は、弾性部材65によって軸方向に付勢力が与えられている。第1カム板66及び第2カム板67は、周方向に対して周期的に厚さが異なっている。このため、第1プーリ1が駆動力を発生していないとき、図16(a)に示すように、弾性部材65によって与えられる反力によって、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が最も薄いD1となる。このとき、転動体64は、図16(a)に示す例において、第1カム板66上の周方向位置C1と第2カム板67上の周方向位置C2とが一致する位置にある。
第1プーリ1が駆動力を発生しているとき、第2ハウジング42に与えられたトルクによって第1カム板66と第2カム板67とが周方向にずれるトルクが発生し、図16(b)に示すように、転動体64が第1カム板66と第2カム板67との間で移動する。このとき、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が大きくなり、軸方向に推力が発生する。この推力と弾性部材65による反力とがつり合うように、第1カム板66が周方向に固定された第1ハウジング41と、第2カム板67が周方向に固定された第2ハウジング42との間に、第1カム板66上の周方向位置C1と第2カム板67上の周方向位置C2とがずれた分だけの位相差Δθを生じる。このとき、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計D2は、図17に示すように、弾性部材65が軸方向に変形することで、第1プーリ1が駆動力を発生していないときよりもΔDだけ厚くなる(D2=D1+ΔD)。この結果として、図17に示すように、回動−直動変換機構6aを構成する第1円環部材68、第3軸受83、及び直動−回動変換機構7を構成する第2円環部材72が矢示方向に移動する。また、このとき、図18に示すように、アーム13が矢示方向に揺動し、ローラ12がベルト3の緩み側を押して張力を与える。
本実施形態において、第2ハウジング42に与えられるトルクと、このトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差と、この位相差によって回動−直動変換機構6aにより生じる第1円環部材68、第3軸受83、及び第2円環部材72の直動方向の移動量と、この直動方向の移動量によって直動−回動変換機構7により生じるアーム13の揺動量とは、それぞれ比例関係にある。すなわち、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bでは、上述したような構成とすることにより、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることが可能となる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bでは、オルタネータ等の補機類を揺動させる構造を有していないので、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がないため、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10bを実現することができる。
以上説明したように、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bは、転動体64を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、弾性部材65によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板66及び第2カム板67と、第1ハウジング41と第2ハウジング42との間に設けられた第1円環部材68と、を含み構成されている回動−直動変換機構6aを備えることで、例えば、第2プーリ2がオルタネータのシャフトに設けられる従動プーリであり、第2プーリ2が駆動プーリになり得ない補機駆動系において、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることができ、補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bでは、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がなく、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10bを実現することができる。
このように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bを補機駆動系に適用することで、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能となる。
上述したように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10,10a,10bを用いることで、伝達トルクに比例した緩み側張力をベルトに与えることができるので、この補機駆動ベルト張力調整装置10,10a,10bは、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立するのに適している。
1 第1プーリ
2 第2プーリ
3 ベルト
4 揺動機構
5 シャフト(第2プーリ)
6,6a 回動−直動変換機構
7 直動−回動変換機構
10,10a,10b 補機駆動ベルト張力調整装置
11 第1ローラ
12 第2ローラ(ローラ)
13 アーム
14 ベース部材
41 第1ハウジング
42 第2ハウジング
61 弾性部材
62 ねじ部
63,68 第1円環部材
65 弾性部材
66 第1カム板
67 第2カム板
71 ねじ部
72 第2円環部材
81 第1軸受
82 第2軸受
83 第3軸受
84 第4軸受
91,92 固定部材
93 輪止め部材
100 駆動プーリ
101 クランクプーリ
111,121 ローラハウジング
112,113,122,123 軸受
131 アーム円環部
132,133 シャフト
141 ベース円環部
200 従動プーリ
201〜205 補機プーリ
301 ベルト
400 テンショナー
411 突起部
421 突起部
AX 回転軸心(第2プーリ)
BX 回転軸(第1ローラ)
CX 回転軸(第2ローラ、ローラ)
T0 初期張力
T1 張り側張力
T2 緩み側張力

Claims (2)

  1. 第1プーリと第2プーリとの間で駆動力を伝達するベルトの緩み側区間に張力を与えるローラと、
    前記ローラを支持するアームと、
    前記アームを前記第2プーリの回転軸心を旋回軸心として揺動させる揺動機構と、
    を備え、
    前記揺動機構は、
    前記第2プーリのシャフトに固定された第1ハウジングと、
    前記第1ハウジングの周方向外側に設けられ、前記第1ハウジングに対して周方向に回動可能に支持された第2ハウジングと、
    前記第1ハウジングあるいは前記第2ハウジングに与えられたトルクに応じて変化する前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差を軸方向の直動運動に変換する回動−直動変換機構と、
    前記軸方向の直動運動を前記アームの回動運動に変換する直動−回動変換機構と、
    を含んでいる、
    補機駆動ベルト張力調整装置。
  2. 前記ベルトは、前記第1プーリと前記第2プーリとの間で一方から他方へ双方向に駆動力を伝達し、
    前記ローラは、
    前記ベルトの前記第2プーリから前記第1プーリへの送り出し区間に張力を与える第1ローラと、
    前記ベルトの前記第1プーリから前記第2プーリへの送り出し区間に張力を与える第2ローラと、
    を含んでいる、
    請求項1に記載の補機駆動ベルト張力調整装置。
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