JP2017141543A - 人工浅場又は干潟 - Google Patents

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Abstract

【課題】中詰材として浚渫土を用いる人工浅場又は干潟であって、潜堤を設置する地盤部分の地盤改良の規模を小さくすることにより、施工コストを大幅に低減することができる人工浅場又は干潟を提供する。
【解決手段】潜堤Aの岸側に、その側面に接して潜堤Aを補強する所定幅の補強土層Bを設け、この補強土層Bの表層を覆うように被覆石Dを設置する。補強土層Bは、水中単位体積質量が潜堤構成材の水中単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上となる補強土で構成するとともに、補強土層Bの表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有する。潜堤Aの背後に設けた補強土層Bが土留め機能を果たすとともに、補強土のせん断強度の効果によりすべり破壊が生じにくくなるため、従来に較べて潜堤Aの規模を小さくでき、原地盤に作用する荷重が小さくなるため、潜堤Aを設置する地盤部分の地盤改良の規模を従来に較べて小さくできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、沿岸海域などの環境改善を目的に造成される人工浅場又は干潟に関するものである。
水質環境改善などを目的として、人工浅場や干潟の造成が行われている。従来、人工浅場や干潟の造成は、石材などで沖合に土留め用の潜堤を設置した後、その岸側(陸側)に中詰材として浚渫土を設置し、その表層に天然砂を覆砂するような工法が採られている(例えば、非特許文献1)。中詰材である浚渫土は、港湾域の水深維持などのために海底から浚渫したものであるため、水分を多く含んだ軟弱な土砂であることが多く、このため表層部は緩やかな勾配となる。通常、中詰材である浚渫土と覆砂材の表層は、勾配1:30〜1:50程度で造成されることが多い。
特開2005−240544号公報 特開2011−208365号公報
「浚渫土の生物生息環境創造への有効利用」、用水と排水、Vol.39、No.7、1997
人工浅場や干潟を造成する原地盤が、岩盤や砂質土のように十分な支持力を有する場合は、土留め用の潜堤は問題なく設置できる。ところが、原地盤が粘性土などの軟弱地盤の場合、潜堤が設置される地盤部分には、地盤の支持力を増加させるための地盤改良が必要になる。地盤改良の方法には、サンドコンパクションパイル工法、置換工法、ドレーン工法、混合処理工法などがあるが、人工浅場や干潟の造成では、地盤内に砕石や砂などを用いた柱状体を設けることで地盤強度を増加させるサンドコンパクションパイル工法が用いられることが多い。しかし、このような地盤改良には多大な施工コストがかかり、従来の人工浅場や干潟の造成では、造成コスト全体の2〜4割程度を地盤改良が占めることが多い。
また、潜堤には石材などを用いるため、中詰材(浚渫土)の吸出し防止のために、潜堤と中詰材の接触面に防砂シートが設置されるが、防砂シートがなんらかの要因で破損した場合、潜堤から中詰材が吸出されて海側に流出し、周辺海域の環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、人工浅場や干潟には、干潟生物の生息環境を確保するために干潟面積ができるだけ広いこと、覆砂層の波浪安定性が高いこと(波による浸食を受けにくいこと)、などが求められる。
土留め用の潜堤の天端高には、下記するような理由により一定の制限があり、このため従来の人工浅場や干潟では、中詰層と覆砂層の表層は比較的大きな勾配(通常、1:30〜1:50程度の勾配)を有している。覆砂層の波浪安定性は、覆砂層の勾配と覆砂材の粒径に依存しており、従来の人工浅場や干潟の覆砂層は、その勾配のために高い波浪安定性を確保することが難しい。また、覆砂材として比較的粗い粒度のものを用いれば、覆砂層の波浪安定性を高めることは可能であるが、覆砂層の粒径範囲が狭くなると生息できる干潟生物種が減少するため、干潟生物の生息環境の面で問題がある。
また、従来の人工浅場や干潟において、中詰材として設置された浚渫土は、その内部の水分が脱水されることで、長期的に圧密沈下(体積減少)が生じる。干潟面積は、満潮と干潮の間に干出する部分であることから、中詰材(浚渫土)の沈下により覆砂層の天端高が低下すると、干潟面積が減少することになる。
このような問題の解決策としては、沈下高さに相当する量の覆砂材を追加施工することが考えられるが、この方法には、覆砂層の生物生息環境をリセットしてしまうことや、天然砂が大量に必要となるため、天然砂採取のための環境破壊、維持メンテナンスコストの増大といった問題がある。また、他の方法として、事前に浚渫土の沈下量を試算しておき、沈下量に相当する高さ分だけ嵩上げした断面で造成することも考えられる。この方法は、土留め用潜堤の天端高を高くする必要がある。しかし、潜堤の天端高は、付近を航行する船舶の安全性から一定深さに設定されることが多く、また、潜堤の天端高を高くすると、潜堤断面も大きくなるため、原地盤が軟弱な場合には、潜堤部分の地盤改良幅が広くなり、施工コスト増につながるといった問題が生じてしまう。
一方、中詰材の圧密沈下や中詰材の流出などを防止するために、中詰材である浚渫土に鉄鋼スラグなどの固化材を混合する方法が知られている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、この方法では、中詰材として膨大な量の浚渫土が使用されるため、大量の固化材が必要であり、材料コストや混合処理のためのコストが嵩み、全体の施工コストが高くなる問題がある。
また、浚渫土の有効利用の観点からは、中詰材としてなるべく多くの浚渫土を使用することが好ましいが、上述したように、従来の人工浅場や干潟では中詰層の表層が比較的大きな勾配を有する構造のために、中詰材として使用できる浚渫土の量が制限される。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、中詰材として浚渫土を用いる人工浅場又は干潟であって、潜堤を設置する地盤部分の地盤改良の規模を小さくすることにより、施工コストを大幅に低減することができ、また、潜堤からの中詰材(浚渫土)の吸出しを適切に防止することができる人工浅場又は干潟を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の点に加えて、広い干潟面積が得られるともに、特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層の高い波浪安定性が得られ、さらに、長期的に中詰材(浚渫土)に圧密沈下が発生しても、干潟面積の減少を抑えることができ、また、中詰材として多量の浚渫土を用いることができる人工浅場又は干潟を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に、その側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層を覆うように設置される被覆石(D)と、中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(E)を備える人工浅場又は干潟であって、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする人工浅場又は干潟。
[2]浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に、その側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように設置される被覆石(D)と、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に設けられる覆砂層(E)を備える人工浅場又は干潟であって、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする人工浅場又は干潟。
[3]上記[1]又は[2]の人工浅場又は干潟において、潜堤(A)の天端高さが補強土層(B)の天端高さよりも低いことを特徴とする人工浅場又は干潟。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)の表層の前記勾配が1:3〜1:5であることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)を構成する補強土は、水中での単位体積重量が10kN/m未満であることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に改質材として製鋼スラグを混合したものであることを特徴とする人工浅場又は干潟。
本発明の人工浅場又は干潟は、潜堤Aの背後(岸側)に設けた補強土層Bが土留め機能を果たすとともに、補強土のせん断強度の効果により従来よりもすべり破壊が生じにくくなるため、従来に較べて潜堤Aの規模を小さくすることができ、これにより原地盤に作用する荷重が小さくなるため、潜堤Aを設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を従来に較べて格段に小さくすることができる。このため施工コストを従来に較べて大幅に低減できる。
また、補強土層Bを構成する補強土は、潜堤Aの構成材(石材など)に較べて間隙が小さく、しかも所定の強度を有するものであるため、補強土層Bによって潜堤Aからの中詰材の吸出しを適切に防止することができる。さらに、岸側に向かって高くなる勾配を有する補強土層Bの表層は波浪により浸食されやすく、その上に覆砂した場合も覆砂層が浸食されやすいが、補強土層Bの表層を被覆石Dで覆うことにより、波浪による補強土層Bの浸食を抑えることができる。
また、本発明の人工浅場又は干潟は、土留め機能を果たす補強土層Bの表層が岸側に向かって高くなる勾配を有しているため、潜堤Aの天端高を変えることなく(すなわち、潜堤Aの天端高が従来の人工浅場や干潟と同等であっても)、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高くすることができ、これにより覆砂層Eの勾配を緩くすることができる。このため、従来の人工浅場や干潟と較べて、(i)干潟面積を大幅に拡大することができる、(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Eの高い波浪安定性が得られる、若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される、という効果が得られる。さらに、中詰層Cの天端高を高くすることができるため、長期的に中詰材(浚渫土)に沈下が生じても干潟面積の減少を抑えることができる。また、浚渫土を中詰材とする中詰層Cの天端高を高くすることができるため、従来構造に較べて浅場や干潟の造成に用いる浚渫土量を増加させることができる利点がある。
本発明の人工浅場又は干潟の一実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図 図1における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図) 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図 図4における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図 図4及び図5の実施形態の人工浅場又は干潟の代表例(図6(ア))と従来の人工浅場又は干潟の代表例(図6(イ))について、その構造を比較して示した説明図 海浜勾配の汀線の浸食・堆積の条件を規定する(1)式の根拠となるグラフ 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図) 実施例1で造成した本発明の人工浅場又は干潟を示す説明図 実施例2で造成した本発明の人工浅場又は干潟を示す説明図 従来の人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図
図11は、従来の人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図であり、サンドコンパクションパイルなどの地盤改良部Fの上に浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤Aと、この潜堤Aの岸側に設けられる中詰層Cと、この中詰層Cの表層上に設けられる覆砂層Eを備える。
これに対して、本発明の人工浅場又は干潟(以下、説明の便宜上、人工浅場又は干潟を「人工浅場」という)は、潜堤Aの背後(岸側)に、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ所定の強度を有する補強土からなる補強土層Bを設けるとともに、この補強土層Bの表層の一部又は全部に岸側に向かって高くなるような勾配を付けたこと、また、補強土層Bの表層を覆砂ではなく被覆石Dで覆うようにしたことを特徴とする。
このような本発明の構造では、補強土層Bが土留め機能を果たすとともに、補強土のせん断強度の効果により従来よりもすべり破壊が生じにくくなるため、潜堤Aの規模を従来に較べて小さくすることができ、原地盤に作用する荷重が小さくなるため、潜堤Aを設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を従来に較べて格段に小さくすることができる。
また、補強土層Bを構成する補強土は、潜堤Aの構成材(石材など)に較べて間隙が小さく、しかも所定の強度を有するものであるため、補強土層Bによって潜堤Aからの中詰材の吸出しを適切に防止することができる。さらに、岸側に向かって高くなる勾配を有する補強土層Bの表層は波浪により浸食されやすく、その上に覆砂した場合も覆砂層が浸食されやすいが、補強土層Bの表層を被覆石Dで覆うことにより、波浪による補強土層Bの浸食を抑えることができる。
一方、図11に示すような従来の人工浅場又は干潟では、一般に土留め用の潜堤Aは、周辺を航行する船舶の安全性から天端高−2.0mまでの高さに設定されることが多い。このため中詰層Cと覆砂層Eの表層は比較的大きな勾配(通常、1:30〜1:50程度の勾配)を有しており、さきに述べたように、この勾配のために覆砂層Eの波浪安定性を確保するのが難しい。また、上記のように潜堤Aの天端高に制限があるため、中詰層Cと覆砂層Eの天端高は、その潜堤Aの天端高の制約を受け、中詰材(浚渫土)の沈下により中詰層Cと覆砂層Eの天端高さが低下すると、干潟面積が減少してしまうことになる。
これに対して、本発明の構造では、土留め機能を果たす補強土層Bの表層が岸側に向かって高くなる勾配を有しているため、潜堤Aの天端高が従来構造と同じであっても、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高くする(嵩上げする)ことができ、これにより覆砂層Eの勾配を緩くすることができる。このため、従来の人工浅場と較べて、(i)干潟面積を大幅に拡大することができる、(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Eの高い波浪安定性が得られる、若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される、という効果が得られる。さらに、中詰層Cの天端高を高くすることができるため、長期的に中詰材(浚渫土)に沈下が生じても、干潟面積の減少を抑えることができるとともに、従来構造に較べて人工浅場の造成に用いる浚渫土量を増加させることができる。
図1及び図2は、本発明の人工浅場の一実施形態を示すものであり、図1は人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図、図2は図1における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図である。
この実施形態は、潜堤の規模を従来に較べて小さくすることにより、原地盤に作用する荷重が特に小さくなるようにし、潜堤を設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を従来に較べて小さくできるようにしたものである。
図1及び図2の人工浅場は、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤Aと、この潜堤Aの岸側に、その側面1(法面)に接して設けられ、潜堤Aを補強する所定幅の補強土層Bと、この補強土層Bの岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層Cと、補強土層Bの表層を覆うように設置される被覆石Dと、中詰層Cの表層上に設けられる覆砂層Eを備えている。
一般に、潜堤Aを支持する海底部(原地盤)には地盤改良部Fが設けられる。特に、原地盤が粘性土などの軟弱地盤の場合には原地盤の地盤改良が必須であり、この地盤改良部Fの上に潜堤Aが築造される。この地盤改良部Fは、サンドコンパクションパイル工法、置換工法、ドレーン工法、混合処理工法など、任意の工法で設けることができるが、人工浅場では、地盤内に砕石や砂などを用いた柱状体を設けることで地盤強度を増加させるサンドコンパクションパイル工法が用いられることが多い。なお、このサンドコンパクションパイル工法では、地盤改良部Fの最上部の盛上り土の上に敷砂(図示せず)が敷設され、その上に潜堤Aを築造する。
潜堤Aは、断面台形状の捨石式傾斜堤であり、この潜堤Aの構造自体は従来と同様であるが、本実施形態では、潜堤Aを設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を小さくするため、図11に示すような従来の潜堤Aに較べて高さが低く、幅も小さく構成されている。
潜堤Aの構成材としては、一般に天然石材が用いられるが、例えば、コンクリートブロック、鉄鋼スラグを主原料とする炭酸固化体ブロック、鉄鋼製造スラグを主原料とする水和硬化体ブロック(例えば、鉄鋼スラグ水和固化体)、塊状の鉄鋼スラグなどを用いてもよく、天然石材を含めたこれらの材料の1種以上を用いることができる。
本実施形態における潜堤Aの幅は、図11に示す従来の潜堤Aに較べて格段に小さく、しかもすべり破壊のせん断抵抗となる補強土層Bが設けられているため、地盤改良部Fの幅は従来の地盤改良部Fに較べてかなり小さい。
潜堤Aの大きさは、設置する海域の水深や環境などによっても異なるので特に制限はないが、本実施形態のように潜堤Aのサイズを小さくする場合では、潜堤材(一般的には、20〜200kg程度の天然石材)による施工可能な潜堤断面として、高さ2〜3m程度、天端幅2m前後、法面勾配1:1.5前後となる。
補強土層Bは、潜堤Aの背後(岸側)に潜堤Aと接するようにして所定幅で設けられる。
この補強土層Bは、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材(例えば天然石材)の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上となる補強土で構成される。また、この28日養生後の一軸圧縮強さは20kN/m以上が好ましく、50kN/m以上がより好ましい。
補強土層Bに、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材の水中での単位体積質量よりも小さい補強土を用いるのは、従来の潜堤A0の面積に相当する部分の質量を軽減することで、地盤に作用する荷重を少なくするためである。具体的には、補強土の水中での単位体積質量は10kN/m未満とすることが好ましい。このような単位体積質量であれば、潜堤Aの構成材(天然石材など)の水中での単位体積質量よりも小さくなり、地盤に作用する荷重を軽減できる。
また、28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上、好ましくは20kN/m以上、より好ましくは50kN/m以上となる補強土を用いるのは、補強土層Bに土留として必要な強度をもたせるとともに、その表層上に設けられる被覆石Dの支持力を得るためである。さらに、補強土の粘着力(一軸圧縮強さの1/2相当)によるせん断抵抗の増加が期待でき、補強土層Bが円弧すべり(すべり破壊)のせん断抵抗になる。このため円弧すべりに対して余裕分が生じ、この面からも地盤改良幅を小さくすることができる。
また、潜堤Aと浚渫土を中詰材とする中詰層Cの間に、上記のような所定の強度を有する補強土からなる補強土層Bを設けることで、中詰材(浚渫土)が潜堤Aを透過して周辺海域に流出すること、すなわち潜堤Aからの中詰材の吸出しを適切に防止することができる。
ここで、補強土として、28日養生後の一軸圧縮強さが20kN/m以上、好ましくは50kN/m以上となるものが望ましいのは、次のような理由による。すなわち、補強土層Bの表層に設ける被覆石Dの標準的な条件として、捨石(天然石など)の水中での単位体積質量10kN/m程度、被覆石Dの厚さ0.5m程度とし、また、補強土層Bの標準的な条件として、補強土(浚渫土と製鋼スラグの混合土)の水中での単位体積質量8kN/m程度、補強土層Bの厚さ2.0〜6.0m程度とした場合、好ましい補強土の強度は、補強土の強度≧10kN/m×0.5m+8kN/m×(2.0m〜6.0m)=21〜53kN/mとなり、したがって、28日養生後の一軸圧縮強さが上記のレベルのものが好ましいことになる。
補強土層Bを構成する補強土には、上記のような水中での単位体積質量と一軸圧縮強さを満足するものであれば、どのような材料でも利用可能であるが、水和反応により強度を発現する補強土として、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材(水硬性を有する固化材)を混合した混合土が挙げられ、本発明ではこの混合土を補強土として好適に使用できる。
浚渫土は、事前に乾燥処理(例えば、天日乾燥など)や脱水処理(薬剤を添加して凝集させた後に脱水・減容化する方法)を施したものであってもよい。土砂は建設残土などでもよい。改質材としては、水和反応を生じさせるものであれば特に種類を問わないが、例えば、セメント、石灰、製鋼スラグなどの鉄鋼スラグ、コンクリート廃材などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
これら改質材の種類と混合量を選択することで、補強土の一軸圧縮強さを調整することができる。
改質材として用いる鉄鋼スラグとしては、高炉で発生する高炉徐冷スラグ(但し、この高炉徐冷スラグは水中で硫化物が溶出しないようにするため、十分にエージング処理したものが好ましい)、溶銑予備処理、転炉脱炭精錬、鋳造、電気炉精錬などの工程で発生する製鋼スラグ(脱燐スラグ・脱硫スラグ・脱珪スラグなどの溶銑予備処理スラグ、脱炭スラグ、鋳造スラグ、電気炉スラグなど)、鉱石還元スラグなどが挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。また、これらのスラグ中でも特に製鋼スラグが好ましく、そのなかでも特に脱炭スラグ(転炉スラグ)、脱燐スラグが好適である。また、十分な効果を得るためには、スラグは粉粒状のものを用いることが好ましい。
また、補強土層Bを構成する補強土は、特に、浚渫土又は/及び土砂に改質材として製鋼スラグを混合したものであることが好ましい。この補強土は、浚渫土又は/及び土砂と製鋼スラグの水和反応、さらに、製鋼スラグによる吸水効果により、浚渫土単体と比べて流動性が大幅に低下するため、混合土の水中投入時において、表層bの勾配を形成しやすい。
補強土層Bは、その表層bの一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有している。本実施形態の補強土層Bは断面山状に構成され、海側(潜堤A側)の斜面部10と平坦状の天端12(頂部)が表層bを構成し、したがって、表層bのうち海側の領域(斜面部10)が岸側に向かって高くなる勾配を有している。一方、補強土層Bの岸側(反潜堤A側)の斜面部11は中詰層Cの下側に位置する。
なお、表層bの勾配は、図4及び図5の実施形態のように、表層bの全部に付けてもよい。
補強土層Bの表層bの勾配(角度)の大きさは任意であるが、あまり急勾配にすると斜面が安定しないため、勾配は1:3〜1:5程度が望ましい。なお、天端12を緩傾斜状にしてもよいが、その場合には覆砂層Eと同程度の勾配が適当である。
補強土層Bの表層bに上記のような勾配を設けることにより、補強土層Bの土留めとしての高さが確保でき、中詰層Cを嵩上げすることができる利点があるが、これについては、他の実施形態(図4及び図5)において説明する。
補強土層Bの天端12の高さは、潜堤Aの天端2よりも高い位置にある。また、補強土層Bの表層bは、潜堤Aの天端2かそれよりも低い位置で潜堤Aの側面1(法面)に接するが、本実施形態では、潜堤Aの天端2の位置で潜堤Aの側面1(法面)に接している。換言すると、補強土層Bは潜堤Aの側面1(法面)全体に接するように設けられている。
補強土層Bの幅wB0は特に制限はないが、この幅wB0が小さすぎると潜堤Aを補強する効果が低下する恐れがあり、また、斜面部11の勾配が急になるので水中施工が難しくなる。一方、幅wB0が大きすぎると施工コストが増加するとともに、補強土層Bの容積が増加することに伴い中詰層Cの容積が相対的に減少するため、中詰材として使用する浚渫土の量が少なくなってしまう。本実施形態では、補強土層Bの幅wB0は、潜堤Aの底面の幅wの2〜7倍程度が好ましい。
また、補強土層Bの表層bの幅wB1も特に制限はないが、この幅wB1が小さすぎると、勾配が急になりすぎ、施工に支障をきたす恐れがある。また、中詰材(浚渫土)の吸出し防止効果が低下する恐れがあるとともに、潜堤Aの補強効果も小さくなる。一方、幅wB1が大きすぎると補強土層Bの幅wB0も大きくなり、上記のような問題が生じてくる。このため本実施形態では、補強土層Bの表層bの幅wB1は、潜堤Aの底面の幅wの1〜3倍程度が好ましい。
なお、中詰層Cの高さにもよるが、一般的には圧密沈下量1〜2m程度であり、標準的な構造・規模の人工浅場では、斜面部10の勾配を1:3とすると、補強土層Bの表層bの幅wB1は8〜20m程度になることが多い。
中詰層Cは補強土層Bの岸側に設けられるが、補強土層Bの斜面部11に対しては、これを覆うようにその上に設けられる。中詰層Cは浚渫土からなる中詰材で構成される。本発明では、施工コスト低減のために、浚渫土に固化材を混合したような中詰材は用いない。このような中詰材を用いないで人工浅場を造成することが、本発明の主旨の一つである。
覆砂層Eには、通常、天然砂が用いられるが、粒状の鉄鋼スラグなどのような他の材料を用いてもよい。
なお、中詰層Cの上の覆砂層Eにも岸側に向かって高くなる勾配が付けられており、この勾配を形成するために、中詰層C、覆砂層Eの1つ以上の敷設厚さが調整される。
本発明の人工浅場は、中詰層Cの表層上に覆砂層Eを設ける一方で、補強土層Bの表層を覆うように被覆石Eを設置することが特徴の1つである。
補強土層Bの表層bには岸側に向かって高くなる勾配があるため、この表層b上に覆砂層を設けた場合には、特に波浪による浸食を受けやすい。このため、補強土層Bの表層bには被覆石Dを設置する。
本実施形態では、補強土層Bの表層bに連なる潜堤Aの天端2の上にも被覆石Dが設置されている。
被覆石Dとしては、潜堤Aの構成材と同様のものを用いることができる。すなわち、一般に天然石材が用いられるが、例えば、コンクリートブロック、鉄鋼スラグを主原料とする炭酸固化体ブロック、鉄鋼製造スラグを主原料とする水和硬化体ブロック(例えば、鉄鋼スラグ水和固化体)、塊状の鉄鋼スラグなどを用いてもよく、天然石材を含めたこれらの材料の1種以上を用いることができる。被覆石Dのサイズ(粒径)は、2〜100mm程度が好ましい。
図1及び図2の実施形態では、補強土層Bの表層bの全体を覆うように被覆石Dを設置しているが、被覆石Dは補強土層Bの表層bのうちの海側の領域のみを覆うように設置してもよい。この場合には、補強土層Bの表層bの残部領域上には覆砂層Eが設けられる。
図3は、そのような構造の人工浅場の一実施形態を示すもので、人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図)である。
この実施形態では、補強土層Bの表層bのうち勾配を有する海側の領域にのみ被覆石Dを設置し、補強土層Bの表層bの残部領域である天端12上には覆砂層Eが設けられている。
その他の構成や機能、作用効果は図1及び図2の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
図4及び図5は、本発明の人工浅場の他の実施形態を示すものであり、図4は人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図、図5は図4における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図である。
この実施形態は、潜堤Aの規模(天端高など)は従来構造とほぼ同等とし、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高く(嵩上げ)できるように、補強土層Bの天端を高くしたものである。さきに述べたように、この構造では、中詰層Cの天端高を高くすることにより覆砂層Eの勾配が緩くなるため、(i)干潟面積を大幅に拡大できる、(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Eの高い波浪安定性が得られる、若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される、という効果が得られる。さらに、中詰層Cの天端高を高くすることができるため、長期的に中詰材(浚渫土)に沈下が生じても干潟面積の減少を抑えることができるとともに、従来構造に較べて人工浅場の造成に用いる浚渫土量を増加させることができる。
潜堤Aの大きさは、設置する海域の水深や環境などによっても異なるので特に制限はないが、通常、高さ2.0〜6.0m程度、天端幅2m前後、法面勾配1:1.5前後であり、天端高は最低水面下−2.0m前後である。
補強土層Bは、図1及び図2の実施形態と同様に、潜堤Aの背後(岸側)に潜堤Aの岸側の側面1と接するようにして所定幅で設けられる。補強土層Bの表層bは、その全体が岸側に向かって高くなる勾配を有している。
本実施形態の補強土層Bは上面が断面山状に構成され、海側(潜堤A側)の斜面部10の上面が表層bを構成し、岸側(反潜堤A側)の斜面部11が中詰層Cの下側に位置する。断面山状の頂部が補強土層Bの天端12である。
補強土層Bの表層bに上記のような勾配を設けることにより、補強土層Bの土留めとしての高さが確保でき、中詰層Cを嵩上げすることができる。補強土層Bの天端12の高さは任意であるが、中詰材(浚渫土)の圧密沈下量に相当する高さを嵩上げできるように設定するのが好ましく、少なくとも潜堤Aの天端2よりも高い位置にあることが好ましい。
本実施形態の補強土層Bの表層bは、潜堤Aの天端2よりも低い位置で潜堤Aの側面1(法面)に接しているが、図1及び図2の実施形態のように、潜堤Aの天端2の位置で潜堤Aの側面1(法面)に接するようにしてもよい。表層bの勾配(角度)の大きさは任意であるが、あまり急勾配とすると斜面が安定しないため、勾配は1:3〜1:5程度が望ましい。
補強土層Bの幅wB0は特に制限はないが、この幅wB0が小さすぎると潜堤Aを補強する効果が低下する恐れがあり、また、斜面部11の勾配が急になるので水中施工が難しくなる。一方、幅wB0が大きすぎると施工コストが増加するとともに、補強土層Bの容積が増加することに伴い中詰層Cの容積が相対的に減少するため、中詰材として使用する浚渫土の量が少なくなってしまう。このため本実施形態では、補強土層Bの幅wB0は、潜堤Aの底面の幅wの1〜4倍程度が好ましい。
また、補強土層Bの表層bの幅wB1も特に制限はないが、この幅wB1が小さすぎると、勾配が急になりすぎ、施工に支障をきたす恐れがある。また、中詰材(浚渫土)の吸出し防止効果が低下する恐れがあるとともに、潜堤Aの補強効果も小さくなる。一方、幅wB1が大きすぎると補強土層Bの幅wB0も大きくなり、上記のような問題が生じてくる。このため補強土層Bの表層bの幅wB1は、潜堤Aの底面の幅wの0.1〜1倍程度が好ましい。
なお、中詰層Cの高さにもよるが、一般的には圧密沈下量1〜2m程度であり、標準的な構造・規模の人工浅場では、斜面部10の勾配を1:3とすると、補強土層Bの表層bの幅wB1は3〜6m程度になることが多い。
本実施形態でも、補強土層Bの表層b全体を覆うように被覆石Dが設置されている。さきに述べたように、補強土層Bの表層bには岸側に向かって高くなる勾配があるため、この表層b上に覆砂層を設けた場合には、特に波浪による浸食を受けやすい。このため、補強土層Bの表層bには被覆石Dを設置する。なお、被覆石Dは補強土層Bの表層bのうちの海側の領域のみを覆うように設置してもよい。この場合には、補強土層Bの表層bの残部領域上には覆砂層Eが設けられる。
その他の構成や機能、作用効果は図1及び図2の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
本実施形態の人工浅場は、従来の人工浅場と較べて、潜堤Aが同じ天端高であっても中詰層Cの天端高を高くすることができ、これにより覆砂層Eの勾配が緩くなる。このため、従来の人工浅場と較べて、
(i)干潟面積を大幅に拡大することができる。
(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Eの高い波浪安定性が得られる。若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される。
という有利な効果が得られる。
本実施形態のような人工浅場において、覆砂層Eの勾配に特別な制限はないが、上記の理由から、1:50未満の緩い勾配、例えば1:70〜1:130程度の緩い勾配とすることが可能である。
図6は、本実施形態の人工浅場の代表例(図6(ア))と従来の人工浅場の代表例(図6(イ))について、その構造を比較して示したもの(模式的な縦断面図)である。図6(ア)に示す本実施形態の人工浅場(以下、説明の便宜上「本発明構造」という)は、潜堤Aの天端高が図6(イ)に示す従来の人工浅場(以下、説明の便宜上「従来構造」という)と同じであるが、従来構造に較べて中詰層Cの天端高は相当程度高く、その分、覆砂層Eの勾配が緩くなっている。以下、この図6に基づいて上記(i)、(ii)の効果を具体的に説明する。
(i)干潟面積の拡大
干潟面積とは、潮汐による海水面の上下変動により、陸地と海面下になることを繰り返す地形の面積のことであり、当然、人工浅場は干潟面積ができるだけ広くなるように造成されることが好ましい。図6に示されるように、本発明構造は、従来構造と較べて覆砂層Eの勾配が緩くなり、この例では、従来構造における覆砂層Eの勾配が1:40であるのに対して、本発明構造における覆砂層Eの勾配は1:110になっている。このため、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の沖合方向への造成幅140mに対する干潟面積の幅(沖合方向への幅)は、従来構造では40mであるのに対して、本発明構造では110mであり、従来構造の3倍近い干潟面積となっている。
一般に、本発明構造では、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の面積の50〜80%程度を干潟面積とすることができ、このため従来構造の2〜3倍程度の干潟面積を確保することができる。
(ii)覆砂層の波浪安定性の向上など
本発明構造では、覆砂層Eの勾配が緩くなることで、従来構造と較べて覆砂層Eの波浪安定性が向上し、より高い波浪に対しても覆砂層Eの浸食が抑えられる。一方、波浪安定性を従来の人工浅場と同程度にした場合には、より粒径の小さい覆砂材を使用でき、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなるため、干潟生物の生息環境が改善され、多様な生物種が生息可能となる。
海浜勾配の汀線の浸食・堆積の条件は、下記(1)式のC値で推定することができ、C値>18では浸食傾向、C値<9では堆積傾向を示す。下記(1)式は、図7(海の自然再生ワーキンググループ、海の自然再生ハンドブック−その計画・技術・実践−、第2巻 干潟編、株式会社ぎょうせい、平成15年11月10日、77頁「図-4.19」)を根拠とする。
Figure 2017141543
本発明構造と従来構造について、覆砂層の浸食を生じない限界波高(波の高さH)、覆砂層の勾配、必要とされる覆砂材の粒径の関係を表1に示す。これによれば、必要とされる覆砂材の粒径が同じである場合、本発明構造の限界波高は従来構造よりも大きくなり、波浪安定性が向上する。一方、限界波高が同じである場合には、本発明構造では従来構造に較べてより粒径が小さい覆砂材が使用でき、従来構造よりも覆砂材の粒径範囲が広がることから、干潟生物の生息環境が改善され、多様な生物種が生息可能となる。
Figure 2017141543
本発明の人工浅場は、(i)図1及び図2の実施形態のように潜堤Aの規模を小さくして原地盤に作用する荷重が低減させることで、潜堤Aを設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を小さくすること、(ii)図4及び図5の実施形態のように補強土層Bの天端を高くすることで中詰層Cの天端高を高くし、覆砂層Eの勾配を緩くすることにより干潟面積の拡大、覆砂層Eの波浪安定性の向上などを図ること、という2つの要求を満たすような構造とすることもできる。
図8は、そのような構造の人工浅場の一実施形態を示すもので、人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図)である。
この実施形態では、図1及び図2の実施形態と同様に、潜堤Aの規模を小さくして地盤改良部Fの規模(地盤改良幅)を小さくする一方で、図4及び図5の実施形態と同様に、補強土層Bの天端を高くすることで中詰層Cの天端高を高くしている。
なお、その他の構成や機能、作用効果は図1及び図2の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
本発明の人工浅場を造成する方法としては、潜堤の設置場所(海底部)が軟弱地盤である場合には地盤改良して地盤改良部Fを設けた上で、潜堤Aを築造する。次いで、この潜堤Aの背後(岸側)に補強土を投入して補強土層Bを設ける。その際、補強土層Bの表層bに所定の勾配を形成する。次いで、補強土層Bの表層b(表層bの全部又は海側の領域)を覆うように被覆石Dを設置する。その後、補強土層Bの岸側に中詰材である浚渫土を投入して中詰層Cを設け、最後に中詰層Cの表層上(補強土層Bの表層bのうちの海側の領域にのみ被覆石Dを設置した場合には、さらに補強土層Bの表層bの残部領域上)に覆砂層Eを設ける。
[実施例1]
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深10mの海域に図9に示す構造の人工浅場(又は干潟)を造成した。
地盤改良部Fは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)で施工し、改良率25%、改良杭の長さ12m、幅(地盤改良幅)21mとした。また、SCP工法による盛上り土の高さ1.0m、敷砂の高さ1.0mとした。
土留用の潜堤Aは、水中での単位体積質量が10kN/mの天然石材を用いた捨石式傾斜堤とし、高さ3.0m、底部幅11m、天端幅2.0m、天端高−5.0m、法勾配1:1.5とした。
補強土層Bの表層bは、潜堤天端の位置より岸側(陸上側)に向かって高くなるように勾配を設けた幅9.0mの斜面部10と、この斜面部10に連なる幅2.0mの天端12(平坦部)からなり、斜面部10は勾配1:3とした。また、天端12(平坦部)から岸側(陸上側)に向かって低くなるように、勾配1:3の斜面部11を海底面まで設けた。
補強土層Bを構成する補強土としては、浚渫土80体積%と製鋼スラグ20体積%の混合土を用いた。室内配合試験の結果、この混合土は、水中での単位体積質量が6.2kN/m、28日養生後の一軸圧縮強が160kN/mであった。
補強土層Bの表層b全体を、被覆厚さ約1.0m、単位体積質量10kN/mの被覆石D(天然石材、粒径2〜100mm)で覆った。
補強土層Bの岸側(陸上側)に、浚渫土(水中での単位体積重量4.5kN/m、粘着力1.5kN/m)を中詰材とする中詰層Cを設けた。さらに、中詰層Cの表層の上に天然砂による覆砂層Eを設けた。覆砂層Eの厚さは0.5m、勾配1:80とした。
以上のように、本実施例の人工浅場(又は干潟)では、従来構造では潜堤の一部が設けられていた部分に、水中単位体積質量が潜堤構成材の水中単位体積質量よりも小さく、且つ所定の強度を有する補強土を設けた構造としたことにより、原地盤に作用する荷重が小さくなり、且つ補強土のせん断抵抗によって従来よりもすべり破壊が生じにくくなるため、従来構造に較べて地盤改良幅を大幅に縮小する(従来構造の0.7倍程度)ことができた。
[実施例2]
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深8mの海域に図10に示す構造の人工浅場(又は干潟)を造成した。
地盤改良部Fは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)で施工し、改良率25%、改良杭の長さ10m、幅(地盤改良幅)38mとした。また、SCP工法による盛上り土(図示せず)の高さ1.0m、敷砂(図示せず)の高さ1.0mとした。
土留用の潜堤Aは、水中での単位体積質量が10kN/mの天然石材を用いた捨石式傾斜堤とし、高さ6.0m、底部幅20m、天端幅2.0m、天端高−2.0m、法勾配1:1.5とした。
補強土層Bは、潜堤法面部−3.0mの位置より、岸側(陸上側)に向かって高くなるように、勾配1:3、幅7.0mの斜面部10(その上面が表層b)を設け、斜面の最上部(補強土層Bの天端12)の標高−0.7mより、岸側(陸上側)に向かって低くなるように、勾配1:3の斜面部11を海底面まで設けた。
補強土層Bを構成する補強土としては、浚渫土70体積%と製鋼スラグ30体積%の混合土を用いた。室内配合試験の結果、この混合土は、水中での単位体積質量が8.2kN/m、28日養生後の一軸圧縮強さが190kN/mであった。
補強土層Bの表層b全体を、被覆厚さ約1.0m、単位体積質量10kN/mの被覆石D(天然石材、粒径2〜100mm)で覆った。
補強土層Bの岸側(陸上側)に、浚渫土(水中での単位体積重量4.5kN/m、粘着力1.5kN/m)を中詰材とする中詰層Cを設けた。さらに、中詰層Cの表層の上に天然砂による覆砂層Eを設けた。覆砂層Eの厚さは0.5mとした。
このような構成とすることで、覆砂層Eの勾配を1:100とし、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の面積の約70%を干潟面積とすることができた。また、従来構造(浚渫土の勾配1/30の場合、標高−2.8m)と比較して、中詰層Cを高さ約2.0m分だけ嵩上げすることができるため、長期的に高さ2.0m分の圧密沈下が発生しても、干潟面積の減少を抑えることができる。また、中詰層Cの天端高を高くすることができるので、従来構造と比較して、浅場造成に用いる浚渫土を増量できる。さらに、補強土層Bにより潜堤Aからの中詰材(浚渫土)の吸出しも適切に防止することができる。
A 潜堤
B 補強土層
C 中詰層
D 被覆石
E 覆砂層
F 地盤改良部
b 表層
1 側面(法面)
2 天端
10,11 斜面部
12 天端

Claims (7)

  1. 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に、その側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層を覆うように設置される被覆石(D)と、中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(E)を備える人工浅場又は干潟であって、
    補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする人工浅場又は干潟。
  2. 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に、その側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように設置される被覆石(D)と、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に設けられる覆砂層(E)を備える人工浅場又は干潟であって、
    補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが10kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする人工浅場又は干潟。
  3. 潜堤(A)の天端高さが補強土層(B)の天端高さよりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の人工浅場又は干潟。
  4. 補強土層(B)の表層の前記勾配が1:3〜1:5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  5. 補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  6. 補強土層(B)を構成する補強土は、水中での単位体積重量が10kN/m未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  7. 補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に改質材として製鋼スラグを混合したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
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