JP2017140939A - 車両の運転制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンと回転電機とを接続する摩擦クラッチを係合状態にしてエンジンを着火始動させる際、摩擦クラッチの状態によっては着火始動が失敗するおそれがある。
【解決手段】エンジン10と、回転電機20と、これらの間に配される摩擦クラッチC1とを有する本発明の車両の運転制御装置は、係合解除状態にある摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを判定する判定手段と、運転を停止したエンジンのクランク軸を所定位相に保持し得るオルタネーター70とを具え、エンジンを停止した状態での車両の走行中にエンジンの始動要求があった場合、係合状態へと切り替えるべく摩擦クラッチに圧油を供給し、摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したと判定した後、エンジンに燃料を供給し、クランク軸の回転に対する拘束を解除すると共に燃料を点火プラグ12により着火燃焼させてエンジンを始動する。
【選択図】図4
【解決手段】エンジン10と、回転電機20と、これらの間に配される摩擦クラッチC1とを有する本発明の車両の運転制御装置は、係合解除状態にある摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを判定する判定手段と、運転を停止したエンジンのクランク軸を所定位相に保持し得るオルタネーター70とを具え、エンジンを停止した状態での車両の走行中にエンジンの始動要求があった場合、係合状態へと切り替えるべく摩擦クラッチに圧油を供給し、摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したと判定した後、エンジンに燃料を供給し、クランク軸の回転に対する拘束を解除すると共に燃料を点火プラグ12により着火燃焼させてエンジンを始動する。
【選択図】図4
Description
本発明は、原動機として火花点火方式の内燃機関と回転電機とを用い、これらの間に油圧作動の摩擦クラッチを介在させた車両の運転制御装置に関する。
内燃機関と回転電機とを原動機として用いたハイブリッド車両においては、車両の走行中であっても、その燃費向上のために内燃機関を積極的に停止させるようにしている。このため、内燃機関の動力伝達経路にクラッチを介在させ、通常は内燃機関を停止しておき、必要に応じて内燃機関を駆動し、その出力トルクを回転電機の回転子側へと伝達できるようにした効率の良いハイブリッド車両も提案されている。
回転電機を用いた車両の走行中に停止状態にある内燃機関を始動する場合、内燃機関の始動に伴って発生する振動やトルク変動などによって、運転者を含む車両の乗員に違和感を持たせないようにすることが望まれる。このため、衝撃の大きな始動用モーターを使用することなく、火花点火方式の内燃機関の膨張行程にある燃焼室に燃料を直接噴射供給し、これを点火プラグにより着火燃焼させる、いわゆる着火始動方法が例えば特許文献1などで提案されている。もちろん、停止中の内燃機関に供給した燃料を点火プラグにて着火燃焼させただけでは内燃機関を始動するためのトルクが不足するため、クラッチを係合状態に切り替え、回転電機の出力トルクの一部を始動補助トルクとして内燃機関のクランク軸に与えている。
車両の走行中に火花点火方式の内燃機関を着火始動させる場合、適切なタイミングでクラッチを係合状態へと切り替える必要がある。通常、内燃機関と回転電機との間に配されるクラッチとして、伝達トルク容量が大きな湿式多板方式の摩擦クラッチが用いられる。
しかしながら、湿式多板方式の摩擦クラッチは、周知のように、回転速度や作動油の状態によって、完全係合状態に至るまでの過渡特性が大きくばらつき、その係合途中での伝達トルクが意図した伝達トルクにまで達していないこともしばしば発生する。このため、湿式多板方式の摩擦クラッチに圧油を供給して係合状態へと移行させるタイミングと、点火プラグにより燃料を着火燃焼させるタイミングとが合致しない場合、上述した着火始動が不発に終ってしまう。より具体的には、燃料が点火プラグにて着火燃焼する前に補助トルクが内燃機関のクランク軸に伝達されると、その回転位相がずれてしまい、燃料の着火燃焼による起爆トルクが充分に得られない。従って、補助トルクを加えても内燃機関を始動させるために必要なトルクを満たさないことになる。逆に、湿式多板方式の摩擦クラッチが係合状態へと切り替わるタイミングに遅れが発生すると、点火プラグにより燃料が着火燃焼して得られるトルクが低下した後に補助トルクが内燃機関に与えられることとなる。この結果、内燃機関を始動させるために必要なトルクを得ることができない。
このように、内燃機関と回転電機とを接続する湿式多板方式の摩擦クラッチの応答性や伝達トルクのばらつきのため、内燃機関の着火始動を安定して衝撃を少なくした状態で行うことが困難であった。
本発明の目的は、ハイブリッド車両の走行中に内燃機関の着火始動を安定して行うことができ、しかも内燃機関の着火始動の際に発生する衝撃を可能な限り少なくし得る車両の運転制御装置を提供することにある。
本発明は、車両の運転状態に応じて運転および停止の何れかに切り替えられる火花点火方式の内燃機関と、回転子が車両の駆動輪側に接続する回転電機と、この回転電機の回転子と前記内燃機関のクランク軸との間に配され、圧油を用いて係合状態および係合解除状態の何れかに切り換えられる摩擦クラッチとを有する車両の運転制御装置であって、係合解除状態にある前記摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを判定する判定手段と、前記内燃機関の運転を停止した状態にて前記内燃機関のクランク軸の回転位相を所定位相に保持し得る回転止め手段とを具え、前記内燃機関を停止した状態での車両の走行中に前記内燃機関の始動要求があった場合、前記摩擦クラッチを係合解除状態から係合状態へと切り替えるべく前記摩擦クラッチに圧油を供給し、前記摩擦クラッチへの圧油の供給を開始してから、前記所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したと前記判定手段が判定した後、前記内燃機関に燃料を供給し、前記回転止め手段による前記内燃機関のクランク軸の回転に対する拘束を解除すると共に前記内燃機関に供給された燃料を点火プラグにより着火燃焼させて前記内燃機関を始動させることを特徴とするものである。
本発明においては、車両の走行中に内燃機関の始動要求があった場合、摩擦クラッチが係合解除状態から係合状態へと切り替えられるように、摩擦クラッチに圧油を供給する。同時に、判定手段は摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを判定する。摩擦クラッチに圧油が供給される状態では、回転止め手段が内燃機関のクランク軸の回転を拘束しているため、内燃機関のクランク軸は静止した状態に保持されている。そして、摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したと判定手段が判定した後、内燃機関に燃料を供給する。そして、回転止め手段による内燃機関のクランク軸の回転に対する拘束を解除すると共に内燃機関に供給された燃料を点火プラグにより着火燃焼させる。この結果、点火プラグによる燃料の着火燃焼に伴って発生するトルクに回転電機からの補助トルクが加わり、内燃機関が円滑に始動することとなる。
本発明による車両の運転制御装置において、前記判定手段は、係合解除状態にある前記摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行するのに要する移行時間を取得する取得手段を含むことができる。この場合、取得手段は、前記回転電機の回転速度を取得する手段と、前記摩擦クラッチに供給される作動油の油温を取得する手段とを含むものであってよい。あるいは、前記判定手段は、前記摩擦クラッチに供給される作動油の油圧を検出する油圧センサーまたは前記摩擦クラッチの伝達トルクを検出するトルクセンサーを含むものであってよい。
前記回り止め手段がオルタネーターまたは内燃機関の始動用モーターを含むものであってよい。
本発明の車両の運転制御装置によると、摩擦クラッチが所定の伝達トルクを持つ係合状態へと移行した後に内燃機関に燃料を供給し、クランク軸に対する拘束を解除して燃料を点火プラグにて着火燃焼させることにより、内燃機関を確実に始動させることができる。
本発明による車両の運転制御装置の一実施形態について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲の請求項1に記載の構成を含むあらゆる車両に対して応用することができる。
本実施形態におけるハイブリッド車のギヤトレーンを模式的に図1に示し、その主要部の制御ブロックを図2に示す。本実施形態におけるハイブリッド車は、原動機としてエンジン10と回転電機20とを1つずつ含み、本発明における内燃機関としてのエンジン10は、燃料を燃料噴射弁11から図示しない燃焼室へと直接噴射する直噴形の火花点火方式の内燃機関である。燃料噴射弁11から燃焼室に供給される燃料の量および噴射タイミングは、ECU30の運転状態判定部31からの情報に基づき、ECU30のエンジン制御部32にて制御される。運転者によって操作される図示しないアクセルペダルの踏み込み量は、アクセル開度センサーS1により検出され、その検出情報がECU30に出力される。ECU30の運転状態判定部31は、アクセルペダルの踏み込み量を含む車両の運転状態を判定する。また、点火プラグ12の点火時期も同様に、ECU30の運転状態判定部31からの情報に基づき、ECU30のエンジン制御部32にて設定される。ECU30のエンジン制御部32は、ここで設定した点火時期に点火プラグ12が火花放電を起こすように、イグニッションコイル13を駆動する。
エンジン10と左右の駆動輪Wとの間には、先の回転電機20と、トルクコンバーター40と、自動変速機50と、差動歯車装置60とが直列に配されている。エンジン10とトルクコンバーター40の入力軸41との間には、第1の摩擦クラッチC1が配され、回転電機20の回転子21とトルクコンバーター40の入力軸41との間には、第2の摩擦クラッチC2が配されている。これら2つの摩擦クラッチC1,C2は、周知の油圧制御装置OCを用いてそれぞれ独立に係合状態と係合解除状態との何れかに切り替えることができるようになっており、これらは一般的な湿式多板クラッチであってよい。複数の摩擦係合要素51と図示しない複数の遊星歯車列とを組み合わせた自動変速機50は、トルクコンバーター40と、駆動輪Wに接続する差動歯車装置60との間に組み入れられている。そして、車両の走行速度、すなわち車速Vと、アクセル開度θとに応じて複数の摩擦係合要素51を選択的に係合または係合解除状態に切り替え、所定の変速段を達成するようになっている。このような自動変速機50に代えて溝幅を変更可能な一対のプーリとこれらに巻き掛けられる無端ベルトとを用いた無段変速機(CVT)を用いることも可能である。
本実施形態では、回転電機20のみを作動させるEVモードと、エンジン10と回転電機20とを共に作動させるHVモードと、エンジン10のみを作動させるCVモードとが車両の運転状態に基づいて車載のECU30により切り替えられる。EVモードが選択された場合、基本的に第2の摩擦クラッチC2は係合状態、第1の摩擦クラッチC1は係合解除状態となる。また、HVモードが選択された場合、基本的に第1および第2の摩擦クラッチC1,C2は共に係合状態となる。さらに、CVモードが選択された場合、基本的に第1の摩擦クラッチC1は係合状態となり、第2の摩擦クラッチC2は係合解除状態となる。
HVモードでのエンジン10からの出力トルクは、このエンジン10単独か、回転電機20と共に駆動輪Wを駆動するための動力源として、あるいは発電機として回転電機20を駆動するための動力源として与えられる。HVモードは、アクセル開度θが所定値θH、例えば30%以上、かつ車速Vが所定値VH、例えば毎時30kmを越えているか、または高圧二次電池B1のSOCが所定値、例えば40%未満の場合にのみ選択される。ただし、HVモードにおいて車速Vが所定値VH、例えば毎時60kmを越えた場合にはCVモードが選択され、それ以外の場合には基本的にEVモードが選択されるが、これに限定されない。また、車両の後進はEVモードにて実行されるが、これに限定されない。
車両の走行中にアクセルペダルが運転者によって踏み込まれなかったり、図示しないブレーキペダルが踏み込まれたりした場合、高圧二次電池B1のSOCに応じて回転電機20が発電機として機能する。つまり、回生エネルギーが回転電機20によって高圧二次電池B1に蓄えられ、回転電機20は、いわゆるエンジンブレーキとして働く。特に、HVモードまたはCVモードにて車両の走行中にアクセルペダルが運転者によって踏み込まれなかった場合、エンジン10が運転停止状態となり、第1の摩擦クラッチC1が係合解除状態へと切り替えられる。
なお、車速は車速センサーS2によって検出され、その情報がECU30に出力される。また、高圧二次電池B1のSOCはECU30の運転状態判定部31にて算出される。
ECU30の油圧制御部33は、上述した各種センサーS1,S2などからの情報に基づき、油圧制御装置OCを介して摩擦クラッチC1,C2や自動変速機50の摩擦係合要素51などの作動を適切に制御する。
本実施形態におけるエンジン10の始動は、一般的な始動用モーターを用いることなく、停止状態にあるエンジン10の初爆気筒の燃焼室に燃料を供給し、点火プラグ12により着火燃焼させることによって行う。この場合、初爆気筒の図示しないピストンが最も効率よく図示しないクランク軸を駆動させることができるような位置に静止させておくことが望ましい。この目的のため、クランク軸の回転位相を検出し、その検出情報をECU30に出力するクランク角センサーS3が設けられている。そして、このクランク角センサーS3からの情報に基づき、エンジン10のクランク軸をあらかじめ設定した回転位相で停止させ、エンジン10の始動を行うまで、クランク軸の回転位相を維持しておく。例えば、エンジン10が6気筒の場合、初爆気筒のピストンの位相が圧縮上死点を基準として、例えば60±12°の膨張行程となるように、クランク軸を静止させることが望ましいが、これに限定されない。エンジン10のクランク軸をあらかじめ設定した回転位相で停止させる技術は、特許文献1などに開示されており、この技術を利用することができる。
本実施形態ではエンジン10により駆動され、車載の鉛蓄電池B2を充電するためのオルタネーター70を本発明におけるクランク軸回り止め手段として機能させている。すなわち、オルタネーター70の図示しないフィールドコイルに流れる電流、すなわちフィールド電流を意図的に増大させることにより、オルタネーター70の発電抵抗を増やし、停止状態にあるエンジン10のクランク軸の回転を抑制することができる。なお、このようなオルタネーター70に代え、始動用モーターを本発明のクランク軸回り止め手段として機能させることも可能である。要するに、静止状態にあるクランク軸の回転を阻止するような負荷をエンジン10に与えることができるものであれば、どのようなものであってもよい。クランク軸回り止め手段に要求される負荷トルクは、完全に係合状態となった場合の第1の摩擦クラッチC1のトルク容量から、エンジン10の始動に必要な最低限のトルクを減算した値以上であればよい。
また、係合解除状態にある第1の摩擦クラッチC1を係合状態へと切り替える場合、油圧制御装置OCによって所定の圧油を第1の摩擦クラッチC1に供給しても、所望のトルク伝達容量に達するまで時間遅れが発生する。このため、第1の摩擦クラッチC1を係合状態へと切り替えるのに要する移行時間tTを適切に設定する必要がある。そして、第1の摩擦クラッチC1が所望のトルク伝達容量に達した時点で、クランク軸の回り止めを解除すると共に点火プラグ12による燃料の着火燃焼を行うことが有効である。このため、回転電機20の回転子21の回転速度と、作動油、すなわち自動変速機油の油温とに基づき、係合解除状態にある第1の摩擦クラッチC1を係合状態へと切り替えるのに要する移行時間tTが適切に設定される。これは、あらかじめ実験などで取得しておくことができ、本実施形態では図3に示す如きマップとして、ECU30の油圧制御部33に記憶させており、従ってECU30の油圧制御部33は本発明の取得手段として機能する。
これに伴い、回転電機20の回転子21の回転速度を検出し、その検出情報をECU30に出力する回転電機回転速度センサーS4と、自動変速機油の油温を検出し、その検出情報をECU30に出力する油温センサーS5とがさらに設けられている。
このように、本実施形態では係合解除状態にある第1の摩擦クラッチC1が所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを、ECU30の油圧制御部33にて取得される移行時間tTにより判定するようにしている。しかしながら、第1の摩擦クラッチC1に供給される作動油の油圧を検出する油圧センサーや、あるいは第1の摩擦クラッチC1の伝達トルクを検出するトルクセンサーを利用することも可能である。この場合、油圧センサーやトルクセンサーからの検出信号に基づき、ECU30の運転状態判定部31が第1の摩擦クラッチC1が所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを判定する。
このようなエンジン10の始動は、EVモードからHVモードに切り替わる場合と、CVモードでの走行中にアクセル開度θが0%になったことによるエンジン10の運転停止状態から、運転者がアクセルペダルを再び踏み込んだ場合とで実行される。これらの場合、停止状態にあるエンジン10に接続するオルタネーター70に電気的負荷抵抗を与え、初爆気筒に供給される燃料が点火プラグ12により着火燃焼するまでエンジン10のクランク軸の回転位相がずれないようにしておく。この状態で、第1の摩擦クラッチC1が所定のトルク容量となった時点でオルタネーター70の電気的負荷を0にすると共に初爆気筒の点火プラグ12を駆動する。この結果、点火プラグ12による燃料の着火燃焼によって発生する起爆トルクと、回転電機20から第1の摩擦クラッチC1を介してエンジン10側に与えられる補助トルクとを重畳させた状態でエンジン10のクランク軸に作用させることができる。この結果、大きな衝撃を生ずることなくエンジン10を確実に始動させることが可能となる。
ECU30の回転電機制御部34は、高圧二次電池B1に接続するインバーターIVを介して回転電機20の作動を制御する。回転電機20は、アクセル開度θや車速Vおよび高圧二次電池B1のSOCなどを含む車両の運転状態に基づき、ECU30の回転電機制御部34にて制御される。
トルクコンバーター40のケース42に設けられたポンプインペラー43と、その出力軸44につながるタービンランナー45とは、ロックアップクラッチ46を介して接続している。このロックアップクラッチ46には車両の運転状態に応じてあらかじめ設定された圧油が供給され、係合状態/スリップ係合状態/係合解除状態の何れかに制御される。
トルクコンバーター40と、左右の駆動輪Wの回転軸、すなわち車軸WAに接続する差動歯車装置60との間に組み込まれた自動変速機50の出力軸52に設けられた出力歯車53には、差動歯車装置60の最終減速歯車61が噛み合っている。
このような本実施形態によるエンジン10の始動手順を図4のフローチャートを参照しながら説明すると、まずS11のステップにて車両がEVモードの運転状態にあるか否かを判定する。ここで車両がEVモードの運転状態にあると判断した場合には、S12のステップに移行して高圧二次電池B1のSOCが40%未満であるか否かを判定する。ここでSOCが40%未満である、すなわち高圧二次電池B1を充電するために車両をHVモードに切り替える必要があると判断した場合には、S15のステップに移行する。また、S12のステップにて高圧二次電池B1のSOCが40%以上であると判断した場合には、S13のステップに移行して車速Vが閾値VH、例えば毎時30km以上であるか否かを判定する。ここで車速Vが閾値VH以上である、すなわちエネルギー効率の観点からエンジン10の出力を利用した方が良いので車両をHVモードに切り替える必要があると判断した場合には、S15のステップに移行する。また、S13のステップにて車速Vが閾値VH未満であると判断した場合には、S14のステップに移行してアクセル開度θが閾値θH、例えば30%以上であるか否かを判定する。ここでアクセル開度θが閾値θH以上である、すなわち回転電機20の運転だけでは運転者の希望する出力トルクを得ることができないので車両をHVモードに切り替える必要があると判断した場合には、S15のステップに移行する。また、S14のステップにてアクセル開度θが閾値θH未満である、すなわち現在の車両のモードをHVモードに切り替える必要がないと判断した場合には、先のS11のステップに戻って上述した処理を繰り返す。
S15のステップでは、解放状態にある第1のクラッチC1を係合状態へと移行させるために要する移行時間tTをECU30に記憶されたマップから取得する。同時に、エンジン10のクランク軸の回転位相が変化しないように、オルタネーター70のフィールドコイルに電流を供給してクランク軸の回り止めを行う。しかる後、S16のステップに移行して第1のクラッチC1に圧油の供給を開始してからの時間TNが取得した移行時間tT以上となったか否かを判定する。そして、第1のクラッチC1への圧油の供給開始からの時間TNが移行時間tT以上となった、すなわち第1のクラッチC1が係合状態に切り替わったと判断した場合には、S17のステップにて燃料を最も大きな始動トルクが得られる初爆気筒に噴射する。そして、S18のステップにてエンジン10のクランク軸の回り止めを解除すると共に燃料を噴射した気筒に配された点火プラグ12に電圧を印加し、燃料を着火させてエンジン10の始動を行う。
一方、S11のステップにて車両がEVモードではないと判断した場合、S19のステップに移行して今度は車両がCVモードでの運転状態にあるか否かを判定する。ここで車両がCVモードでとの運転状態にあると判断した場合には、S20のステップに移行してエンジン10が停止状態にあるか否かを判定する。ここでエンジン10が停止状態にある、すなわちアクセル開度θが0%であると判断した場合には、S21のステップに移行して第2の摩擦クラッチC2を係合状態に移行させ、高圧二次電池B1のSOCに応じて回転電機20を発電機として機能させる。そして、S22のステップにてアクセル開度θが0%ではない閾値θL以上である、すなわち運転者が加速を希望していると判断した場合には、上述したS15に移行し、エンジン10の始動を行うべく、S15〜S18のステップを実行する。
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のない構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
10 エンジン
11 燃料噴射弁
12 点火プラグ
20 回転電機
21 回転子
30 ECU
33 油圧制御部
70 オルタネーター
C1 第1の摩擦クラッチ
OC 油圧制御装置
tT 移行時間
11 燃料噴射弁
12 点火プラグ
20 回転電機
21 回転子
30 ECU
33 油圧制御部
70 オルタネーター
C1 第1の摩擦クラッチ
OC 油圧制御装置
tT 移行時間
Claims (1)
- 車両の運転状態に応じて運転および停止の何れかに切り替えられる火花点火方式の内燃機関と、回転子が車両の駆動輪側に接続する回転電機と、この回転電機の回転子と前記内燃機関のクランク軸との間に配され、圧油を用いて係合状態および係合解除状態の何れかに切り換えられる摩擦クラッチとを有する車両の運転制御装置であって、
係合解除状態にある前記摩擦クラッチが所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したか否かを判定する判定手段と、
前記内燃機関の運転を停止した状態にて前記内燃機関のクランク軸の回転位相を所定位相に保持し得る回転止め手段と
を具え、前記内燃機関を停止した状態での車両の走行中に前記内燃機関の始動要求があった場合、前記摩擦クラッチを係合解除状態から係合状態へと切り替えるべく前記摩擦クラッチに圧油を供給し、
前記摩擦クラッチへの圧油の供給を開始してから、前記所定以上のトルクを伝達できるような係合状態へと移行したと前記判定手段が判定した後、前記内燃機関に燃料を供給し、前記回転止め手段による前記内燃機関のクランク軸の回転に対する拘束を解除すると共に前記内燃機関に供給された燃料を点火プラグにより着火燃焼させて前記内燃機関を始動させることを特徴とする車両の運転制御装置。
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---|---|---|---|
JP2016023870A JP2017140939A (ja) | 2016-02-10 | 2016-02-10 | 車両の運転制御装置 |
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