JP2017140872A - ステアリング装置 - Google Patents

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典彦 横田
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直大 多賀谷
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亨 伊東
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太輔 本間
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【課題】自動車の二次衝突におけるエネルギー吸収荷重を容易に調整することができ、ステアリングの衝撃吸収動作を初動から終了まで安定した状態で行うことができるステアリング装置を提供する。【解決手段】コラムパイプ6と、抱持本体部1と抱持本体部1の下方で且つ前後方向に沿って形成されたスリット部11とスリット部11の前方側で且つ両端縁同士を連結する連結部12とスリット部11の幅方向両側位置に形成された締付部2とを有するアウターコラムAと、アウターコラムAの幅方向両側を挾持する固定側部41を有する固定ブラケット4と、コラムパイプ6に固着されたストッパ部8を有するストッパブラケットBと、締付具5とを備える。ストッパブラケットBはスリット部11に配置され、連結部12には、脆弱部12aが設けられ、脆弱部12aは二次衝突時にストッパブラケットBの衝突によって破断される構成となる。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の二次衝突におけるエネルギー吸収荷重を容易に調整することができ、ステアリングの衝撃吸収動作を初動から終了まで安定した状態で行うことができるステアリング装置に関する。
従来、テレスコ調整機構と二次衝突時における運転者を保護するための衝撃吸収装置を具備したものが種々存在している。この種のステアリング装置の一般的な構造の一つに、2次衝突時にボルト軸による押圧力に抗してブラケットが長孔に沿って移動する先行技術が開示されている。
また、従来からブラケットの長孔をボルト軸の直径よりも小さく形成し、所定の荷重が作用すると、ボルト軸によってブラケットの長孔縁部が潰されながら移動することが用いられている。上記に示すような先行技術として下記の特許文献1が挙げられる。
特開2002−337699号公報
特許文献1(特開2002−337699号公報)について概略する。なお、本願発明の説明と区別するために、特件文献1の説明では、符号を括弧付けとする。特許文献1(特開2002-337699号公報)のステアリング装置では、二次衝突時の衝撃により車体に対して相対移動する第2アッパーブラケット(22)のシャフト挿入孔(42)に挿入され、車体に対する相対移動が阻止される第1アッパーブラケット(21)と同行移動する左右方向軸心の、ネジシャフト51を備える。
第1アッパーブラケット(21)は、一対の左右側壁(21a、21b)と、両側壁(21a、21b)の上部を互いに連結する連結部(21c)と、各側壁(21a、21b)の上端から左右外方に延びる支持部(21d、21e)とを有する。第1アッパーブラケット(21)は、衝撃によるコラム(2)の車体に対する相対移動時に、車体に対する相対移動が阻止される車体側部材とされる。
第2アッパーブラケット(22)は、一対の左右側壁(22a、22b)と、両側壁(22a、22b)の下端を互いに連結する連結壁(22c)とを有する。両側壁(22a、22b)は、上端がコラム(2)に溶接される。これにより、第2アッパーブラケット(22)は衝撃によるコラム(2)の車体に対する相対移動時に、そのコラム(2)と同行して車体に対して相対移動するコラム側部材とされる。また、第2アッパーブラケット(22)は、第1アッパーブラケット(21)の両側壁(21a、21b)により相対摺動可能に挟み込まれる。
上記第1アッパーブラケット(21)の両側壁(21a、21b)に形成された第1通孔(41)と、第2アッパーブラケット(22)の両側壁22a、22bに形成された第2通孔(シャフト挿入孔)(42)とに、左右方向軸心を有する頭部(51′)付きネジシャフト(51)が挿入されている。
二次衝突時の衝撃によるコラム(2)の車体に対する相対移動に伴いネジシャフト(51)は第2アッパーブラケット(22)の第2通孔(42)に対して相対移動する。ネジシャフト(51)は、シャフト待機領域(42b)から衝撃吸収領域(42a)に第2通孔(42)を押し拡げるように進入することで第2アッパーブラケット(22)が塑性変形されることに基づきその衝撃が吸収される。そして第2通孔(42)の端部とネジシャフト(51)とが当接することで、衝撃吸収ストロークのストッパーとなっている。
二次衝撃時、第2通孔(42)の端部にネジシャフト(51)が突き当たると、その突き当たった衝撃でネジシャフト(51)が撓む等、変形する恐れがある。ネジシャフト(51)が変形すると、その後のエネルギー吸収が不安定になったり、狙った(目標とした)衝撃吸収荷重を得られなくなるおそれがある。本発明の目的は、自動車の二次衝突におけるステアリングの衝撃吸収動作を初動から終了まで安定した状態で行うことができ、運転者の安全をより一層守ることができるステアリング装置を提供することにある。
そこで、発明者は上記課題を解決すべく、鋭意、研究を重ねた結果、請求項1の発明を、コラムパイプと、該コラムパイプを前後方向に移動及び固定する抱持本体部と該抱持本体部の下方で且つ前後方向に沿って形成されたスリット部と該スリット部の前方側で且つ該スリット部の両端縁同士を連結する連結部と前記スリット部の幅方向両側位置に形成された締付部とを有するアウターコラムと、該アウターコラムの幅方向両側を挾持する固定側部を有する固定ブラケットと、前記コラムパイプに固着されたストッパ部を有するストッパブラケットと、締付具とを備え、前記ストッパブラケットは前記スリット部に配置され、前記連結部には、脆弱部が設けられ、該脆弱部は二次衝突時に前記ストッパブラケットの衝突によって破断される構成としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、請求項1に記載のステアリング装置において、前記ストッパ部の後方側には軸方向に沿ってエネルギー吸収部が形成され、前記脆弱部は前記連結部の幅方向両端箇所に形成され、前記エネルギー吸収部は前記連結部の破断後の破断残存部と当接摺動する構成としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のステアリング装置おいて、前記ストッパ部は、テレスコ調整時において、前記連結部と前記締付具のボルト軸に当接可能な構成としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
請求項4の発明を、請求項3に記載のステアリング装置において、前記エネルギー吸収部は、長方形状板の板状部としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項4に記載のステアリング装置において、前記板状部の前方側端部は前方に向かうに従い次第に幅が狭くなる台形状先端としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
請求項6の発明を、請求項4又は5に記載のステアリング装置において、前記エネルギー吸収部の前記板状部の幅方向両側には前後方向に沿って垂下板状側片が設けられ、両該垂下板状側片は前記破断残存部と当接摺動してなる構成としたステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のステアリング装置において、前記連結部の前記脆弱部は、前記連結部の前後方向に薄肉としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項8の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のステアリング装置において、前記連結部の前記脆弱部は、該連結部の上下方向に薄肉としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明では、二次衝突時において、ストッパブラケットが連結部を破断することで、エネルギーを吸収する構成であるため、エネルギー吸収のための専用の部品を新たに設ける必要がなく、構成部品点数を削減することができる。また、連結部の形状や、脆弱部の形状を適宜変更することで容易にエネルギー吸収荷重調整を行うことができる。
請求項2の発明では、ストッパブラケットにおけるエネルギー吸収部と、連結部の破断残存部とが当接摺動することで、エネルギー吸収を行う構成であるため、連結部の脆弱部の形状及びエネルギー吸収部の幅方向寸法とを組み合わせることで、容易にエネルギー吸収荷重を調整することができる。
また、本発明では、二次衝突時のエネルギー吸収は、ストッパブラケットと連結部とによって行われるものであり、固定ブラケット,アウターコラム及びコラムパイプを締め付けるための締付具のボルト軸には、エネルギー吸収時の荷重がかかることはほとんど無い。テレスコ調整とエネルギー吸収とは、同軸上で行われるため、二次衝突時では、安定したエネルギー吸収荷重とすることができる。
請求項3の発明では、前記ストッパブラケットの前記ストッパ部は、テレスコ調整時において、前記連結部と前記締付具のボルト軸に当接可能な構成としたことにより、二次衝突以外の通常時では、ストッパブラケットのストッパ部が、連結部とボルト軸との間を往復移動する構成としたことで、テレスコ調整範囲を設定することができる。
請求項4の発明では、前記ストッパブラケットの前記エネルギー吸収部は、長方形状板の板状部としたことにより、ストッパブラケットの構造を極めて簡単にすることができる。請求項5の発明では、前記板状部の前方側端部付近は前方に向かうに従い次第に幅が狭くなる台形状先端としたことにより、エネルギー吸収部は、先端が台形状の尖った形状となり、二次衝突時にエネルギー吸収部の先端が連結部と衝突したときに、連結部をより一層破断し易いものにできる。
請求項6の発明では、前記エネルギー吸収部の前記板状部の幅方向両側には前後方向に沿って垂下板状側片が設けられ、両該垂下板状側片は前記破断残存部と当接摺動してなる構成としたことにより、ストッパブラケットは、薄い金属板であっても、エネルギー吸収部の力学的強度を維持することができ、エネルギー吸収時においては垂下板状側片が破断残存部と当接摺動することにより、安定した二次衝突における衝撃エネルギー吸収ができる。
請求項7の発明では、前記連結部の前記脆弱部は、前記連結部の前後方向に薄肉としたものであり、請求項8の発明では、前記連結部の前記脆弱部は、該連結部の上下方向に薄肉としたものであり、これによって、脆弱部の構造は極めて簡単なものにでき、常時は、アウターコラムのスリット部における補強としての役目も十分に行うことができる。
(A)は本発明のステアリング装置の側面図、(B)は(A)の(α)部の一部断面にした拡大断面図、(C)は(A)のX1−X1矢視拡大図、(D)は(A)のY1−Y1矢視拡大図である。 (A)は第1実施形態の脆弱部を有するアウターコラムの斜視図、(B)は(A)の(β)部拡大図、(C)は(A)のX2−X2矢視拡大図、(D)は第1実施形態の脆弱部の変形例を有する(A)のX2−X2矢視拡大図、(E)は第1実施形態の脆弱部の別の変形例を有する(A)のX2−X2矢視拡大図、(F)は第2実施形態の脆弱部を有する(A)のY2−Y2矢視拡大断面図、(G)は第2実施形態の脆弱部の変形例を有する(A)のY2−Y2矢視拡大断面図、(H)は第2実施形態の脆弱部の別の変形例を有する(A)のY2−Y2矢視拡大断面図である。 (A)乃至(D)はストッパブラケットにより連結部が破断される行程図、(E)は本発明の特性を示すグラフである。 (A)乃至(D)はストッパブラケットにより連結部が破断される行程の要部拡大図である。 (A)はストッパブラケットの斜視図、(B)はコラムパイプに固着されたストッパブラケットの前後方向に直交する拡大断面図、(C)はコラムパイプに固着されたストッパブラケットの別の実施形態の前後方向に直交する拡大断面図である。 (A)は連結部の破断後における破断残存部の間隔寸法を示す要部拡大平面図、(B)はストッパブラケットの寸法を示す要部拡大平面図である。 本発明においてテレスコ調整として使用する場合の要部縦断拡大側面図である。 (A)は先端部分を台形状とした実施形態のストッパブラケットのコラムパイプに固着された状態の平面図、(B)乃至(D)は先端部分を台形状とした実施形態のストッパブラケットにて連結部を破断させる行程図である。 (A)はストッパブラケットを軸形状とした実施形態の要部斜視図、(B)はストッパブラケットを軸形状とした実施形態を下方より見た平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで、本発明において方向を示す文言として、前方側と、後方側及び幅方向とが存在する。この前方側及び後方側とは、本発明のステアリング装置を自動車に装着した状態で、自動車の前後方向を基準としたものである。
具体的には、ステアリング装置の各構成部材において、自動車の前輪側を前方側とし、ハンドル(ステアリングホィール)9側を後方側とする。前後方向を軸方向と称することもある。また、幅方向とは、前後方向に直交する左右方向である。前後方向,前方側及び後方側については、一部の図面に記載しておく。
本発明の主要な構成は、図1に示すように、アウターコラムAと、固定ブラケット4と、締付具5と、コラムパイプ6と、ストッパブラケットBとから構成される。アウターコラムAは、抱持本体部1と締付部2とから構成されている。前記抱持本体部1は、内部を中空形状とした略円筒状に形成され、具体的にはその内部は中空形状に形成された抱持内周面部1aを有している。前記抱持本体部1の直径方向下部側には、スリット部11が形成されている〔図1(C),(D),図2(A)等参照〕。
該スリット部11は、前記抱持本体部1の下端部分で且つ軸方向の前方側から後方側に沿って、幅方向に離間した空隙部分である。スリット部11の幅方向の両端箇所を平行状態で対向する端縁11a,11aと称する。そして、スリット部11の両端縁11a,11a同士は、後述する締付具5による締付にて、相互に近接し、前記抱持内周面部1aの直径が小さくなり、前記抱持本体部1内に収納装着されたコラムパイプ6をロック(固定)状態にすることができる。
抱持本体部1の抱持内周面部1aは、ロック解除状態のときには、コラムパイプ6が摺動し易いように、該コラムパイプ6の外径よりも僅かに大きくなるように形成されている。また、抱持本体部1は、コラムパイプ6の軸方向の略中間箇所を適宜軸方向において支持することができる長さとなるように形成されている。抱持本体部1の軸方向の前方端部及び後方端部から前記コラムパイプ6がそれぞれ突出するようになっている。
前記アウターコラムAの下部には、締付部2,2が一体形成されている〔図1(C),(D),図2(A)等参照〕。両締付部2,2は、左右対称の形状であり、前記スリット部11の幅方向の両端縁11a,11aの近傍にそれぞれ一体的に形成されている。締付部2,2は、具体的には、前記スリット部11の幅方向両端又はその付近から略垂下状に形成された厚肉板状の部分であり、抱持本体部1の軸方向前方側では垂直板形状である。また、締付部2の軸方向後方側ではブロック形状となり、前記抱持本体部1の水平直径方向の両端の位置までの板厚を有するものである。また、締付部2の軸方向後方側では、幅方向寸法が抱持本体部1の外周直径よりも僅かに大きく形成されることもある。
両締付部2,2が後述する固定ブラケット4の両固定側部41,41にて挟持された状態で、該固定側部41と、前記締付部2,2の外側面とは接触することができる構成となっている。両締付部2,2には、アウターコラムAの軸方向に直交する方向で且つ抱持本体部1の水平直径方向に対して平行となる方向に沿って締付用貫通孔22,22が形成されている〔図2(A)参照〕。
前記抱持本体部1の前後方向の前方側には、アーム部3が形成されている〔図1(A),(C),図2(A)等参照〕。アーム部3は、2本の腕状部31,31からなり、両腕状部31,31が二股状となるように配置されている。両腕状部31,31の前方側端寄りの位置に両腕状部31,31間を橋状となるように環状部32が形成されている。
次に、スリット部11の前方側で、該スリット部11の幅方向において離間且つ対向する端縁11a,11a同士との間には連結部12が形成されている〔図1(B),(C),図2等参照〕。該連結部12は、スリット部11の両端縁11a,11a間を橋渡しするような構造として形成されたものである。連結部12の上面側は抱持内周面部1aと共にアウターコラム6の外周を支持する凹状円弧状又はアーチ状に形成されている。
連結部12には、幅方向両端付近に脆弱部12a,12aが形成されている。両該脆弱部12a,12aは、二次衝突時において、後述するストッパブラケットBのストッパ部8が衝突することにより破断される部位となっている。脆弱部12a,12aは、連結部12に対して幅方向両端箇所に切欠き状又は薄肉状として形成された部位である。両脆弱部12a,12aによって、両該脆弱部12a,12a間の部分が破断され易くなる。
脆弱部12aの第1実施形態として、連結部12の後端側に凹形状又はV字形状の切欠きが形成されたものである〔図2(A)乃至(C)参照〕。また、特に図示しないが、第1変形例として連結部12の前端側に凹形状又はV字形状の切欠きが形成されることもある。さらに、第2変形例として連結部12の前端側と後端側の両端より凹形状又はV字形状の切欠きが形成されることもある〔図2(D)参照〕。
脆弱部12aの第2実施形態として、連結部12の上下方向下端側に凹形状又はV字形状の切欠きが形成されたものである〔図2(F)参照〕。また、第2実施形態の第2変形例として、特に図示しないが連結部12の上下方向上端側に凹形状又はV字形状の切欠きが形成されることもある。さらに第2変形例として連結部12の上端側と下端側の両端より凹形状又はV字形状の切欠きが形成されることもある〔図2(G)参照〕。
また、連結部12の両脆弱部12a,12aの間は全体が薄肉状に形成された薄肉部12cが形成されることもある〔図2(E),(H)参照〕。連結部12の両脆弱部12a,12a間を薄肉部12cとすることにより、連結部12の両脆弱部12a,12a間が破断され易くなる。
そして、連結部12の破断後には、スリット部11の両端縁11a,11aに連結部12の脆弱部12a,12aの破断跡として破断残存部12b,12bが残るように形成される。両破断残存部12b,12bは、両端縁11a,11aから突起状の部位として形成される〔図4(B)乃至(D),図6(A)参照〕。両破断残存部12b,12bは、後述するストッパブラケットBのエネルギー吸収部7が当接しつつ摺動することにより、両者間の摩擦で二次衝突におけるエネルギー吸収動作を行うものである。
次に、固定ブラケット4は、幅方向両側に形成された固定側部41,41と取付頂部42とから構成されている。両固定側部41,41には、略上下方向又は縦方向に長孔としたチルト調整のための調整孔43,43が形成されている〔図1(A),(D)参照〕。締付具5は、ボルト軸51とロックレバー部52と締付カム53とナット54とから構成されている。
前記締付具5におけるロックレバー部52及び締付カム53は、ボルト軸51とナット54とによって、固定ブラケット4及びアウターコラムAに装着される。コラムパイプ6は、その内部にステアリングシャフトの中間部分が内装され、コラムパイプ6の後方側から突出するステアリングシャフトの先端にはハンドル(ステアリングホィール)9が装着されている。
ストッパブラケットBは、コラムパイプ6に固着され、該コラムパイプ6と共に前後方向(軸方向)に往復移動する〔図1(B),(C),図7等参照〕。ストッパブラケットBは、金属材であり、エネルギー吸収部7とストッパ部8とを備えたものである。エネルギー吸収部7とストッパ部8とは、共に金属材からなる板状の部材である。そして、エネルギー吸収部7の前端側にストッパ部8が略直角となるように一体化されている〔図1(B),図5(A),図7等参照〕。
ストッパブラケットBは、エネルギー吸収部7の前後方向がコラムパイプ6の軸方向に一致するようにして、該コラムパイプ6に固着される〔図1(C),図5(A)参照〕。ストッパ部8は、コラムパイプ6の軸方向に対して略直角となる〔図1(B),図7等参照〕。エネルギー吸収部7は、略長方形板状であり、前記コラムパイプ6の直径方向下方側に固着される〔図1(B),(C),図5等参照〕。その固着手段としては、主に溶接である。
エネルギー吸収部7は、板状部71と、垂下板状側片72とから構成され、前記板状部71の幅方向両端より垂下板状側片72,72が形成される。両垂下板状側部72,72は、ストッパブラケットBがコラムパイプ6に適正に固着された状態で下向き垂直状となるように形成された部位である〔図5(B)参照〕。
板状部71は、前後方向を長手方向とする長方形状に形成されている。そして、板状部71の幅方向両端から垂下板状側片72,72が形成され、したがってエネルギー吸収部7の長手方向に直交する断面は、略門形状或いは逆角U字形状に形成されている〔図5(B)参照〕。
エネルギー吸収部7は、板状部71のみで形成され、垂下板状側片72,72が設けられない実施形態も存在する〔図5(C)参照〕。エネルギー吸収部7が板状部71のみで構成されたものでは、垂下板状側片72,72が設けられた板状部71よりも該板状部71の板厚を厚くすることもある。
また、板状部71の形状として、該板状部71の前方側端部付近には、前方に向かうに従い次第に幅が狭くなる台形状の部位が設けられる実施形態も存在する〔図8(A)参照〕。該台形状の部位を台形状先端71aと称する。つまり、板状部71の前方側端部を前記台形状先端71aによって尖った形状としたものである。
このように板状部71に台形状先端71aが設けられることにより、ストッパ部8によって破断された連結部12の破断残存部12b,12b間にエネルギー吸収部7が入り易くなり、円滑なエネルギー吸収を行うことができる。また、板状部71に台形状先端71aが設けられることにより、先端が尖る形状であり、前記ストッパ部8と共に連結部12を破断し易い構造にできる〔図8(B)乃至(C)参照〕。
次に、アウターコラムAの連結部12と、ストッパブラケットBによる二次衝突時の衝撃エネルギー吸収の動作について説明する。まず二次衝突の発生によって、アウターコラムAの抱持本体部1に対して、コラムパイプ6が軸方向前方側に移動する〔図3(A),(B),図4(A)参照〕。
そして、ストッパブラケットBのストッパ部8が、前記連結部12に衝突し、両脆弱部12a,12aにせん断力がかかり、前記連結部12は、両脆弱部12a,12aから破断される〔図3(C),図4(B),(C)参照〕。ここで、連結部12は、両脆弱部12a,12a間の部分が切除されるように破断される。このとき連結部12が破断されることによって、破断された塊を破断塊12dと称する〔図3(C),図4(B),(C)参照〕。
次いで、連結部12が破断されることによって、スリット部11の両端縁11a,11aには、脆弱部12a,12a間の前記破断塊12dが除去された後に、破断残存部12b,12bが形成される〔図3(C),図4(B),(C),図6(A)参照〕。両破断残存部12b,12bは、前記スリット部11の両端縁11a,11aからスリット部11の幅方向中間に向かって、突出するように形成された部位となる。
そして、二次衝突時では、両破断残存部12b,12b間をストッパブラケットBのエネルギー吸収部7の両垂下板状側片72,72が当接しつつ摺動する。また、エネルギー吸収部7が板状部71のみで構成され、両垂下板状側片72,72が設けられない場合は、板状部71の幅方向両側端部が両破断残存部12b,12b間を当接しつつ摺動する。このとき、エネルギー吸収部7と両破断残存部12b,12bとの摩擦によって、衝撃エネルギー吸収動作が行われる〔図3(D),図4(D)参照〕。
ここで破断残存部12b,12bの間隔寸法をLoとし、ストッパブラケットBのエネルギー吸収部7の幅方向の寸法をL1とすると、LoはL1よりも小さくなるようにする。
すなわち、
Figure 2017140872
となる。
ここで、エネルギー吸収部7の幅方向寸法L1については、エネルギー吸収部7に垂下板状側片72,72が形成されているときには、両垂下板状側片72,72の外面側同士の間隔寸法となり(図6参照)、また、エネルギー吸収部7が板状部71のみで構成され、両垂下板状側片72,72が設けられない場合は、板状部71の幅方向寸法となる。
破断残存部12b,12bの間隔寸法Loは、両脆弱部12a,12aの形成位置で決定されるものである。よって、両脆弱部12a,12aの間隔寸法Loは、両破断残存部12b,12bの間隔寸法Loと略同一となる。よって、以下の説明では、両脆弱部12a,12aの間隔寸法もLoとなる。
両破断残存部12b,12bの間隔寸法Loと、エネルギー吸収部7の幅方向寸法L1との差を僅かとすることで、弱いエネルギー吸収となり、その差を大きくすることで強いエネルギー吸収となる。このエネルギー吸収における強弱は、連結部12の両脆弱部12a,12a及び破断残存部12b,12bの間隔寸法Loとエネルギー吸収部7の幅方向寸法L1によって決定される。
また、ストッパブラケットBのストッパ部8によって、連結部12を破断し易くするために、ストッパ部8の幅方向寸法L2をエネルギー吸収部7よりも幅方向において小さくすることもある。
すなわち、
Figure 2017140872
となる。
上記のようにすることで、ストッパブラケットBのエネルギー吸収部7が両破断残存部12b,12bの間を当接摺動するときに、両者間に摩擦が生じ、衝撃エネルギーを吸収することができる。又は両破断残存部12b,12bをエネルギー吸収部7の幅方向両側部分で押し広げるようにして移動してもよい。
また、ストッパブラケットBのストッパ部8によって、連結部12の脆弱部12a,12a間を正確に破断するために、ストッパ部8の幅方向寸法L2は、両脆弱部12a,12aの間隔寸法Loと同等または若干小さくすることもある。
すなわち、
Figure 2017140872
となる。
また、ストッパブラケットBのエネルギー吸収部7の板状部71に台形状先端71aを設け、台形状先端71aの前方側端部の幅方向寸法を両破断残存部12b,12bの間隔より若干小さくすることで、エネルギー吸収部7は、両破断残存部12b,12b間に円滑に挿入できる(図8参照)。そして、台形状先端71aの両破断残存部12b,12b間への挿入後は、台形状先端71aが両破断残存部12b,12bに当接して徐々に押し拡げながら、台形状先端71aによるエネルギー吸収動作から長方形の板状部71によるエネルギー吸収動作に円滑に移動できる。
二次衝突時のエネルギー吸収動作について、図3(E)に特性グラフが示されている。このグラフについて、アウターコラムAの抱持本体部1に包持固定されたコラムパイプ6の抱持力つまりテレスコ保持力は常時一定であり、これに、ストッパ部8が連結部12を破断するときの破断荷重が瞬間に加わる。
その直後、エネルギー吸収部7が両破断残存部12b,12bを当接摺動するときに一定の摩擦荷重が前記テレスコ保持力に加わるものである。このように、本発明では、二次衝突時に、ストッパブラケットBがコラムパイプ6と共にアウターコラムAに対して前方側に移動し、ストッパブラケットBのストッパ部8が連結部12の両脆弱部12a,12aから破断し、破断塊12dを押し退けて、破断残存部12b,12bを形成し、次いでエネルギー吸収部7が両破断残存部12b,12bと当接しつつ摺動し、二次衝突におけるエネルギー吸収を行う。
また、ストッパブラケットBは、ストッパ部8のみから構成される実施形態も存在する(図9参照)。この実施形態では、ストッパ部8が連結部12を両脆弱部12a,12aから破断するものであり、このときに二次衝突のエネルギー吸収を行うことができる。ここで、ストッパ部8の形状は、種々存在し、板状としたり、或いは軸状とすることもある(図9参照)。
次に、本発明の主な構成部材の組み付けについて説明する。アウターコラムAの抱持本体部1の抱持内周面部1aにコラムパイプ6が抱持される。該コラムパイプ6に固着されたストッパブラケットBは、アウターコラムAの両締付部2,2間に配置される。そして、固定ブラケット4の両固定側部41,41との間に前記アウターコラムAの両締付部2,2が挟持され、両固定側部41,41の調整孔43,43と、両締付部2,2に形成された両締付用貫通孔22,22に締付具5のボルト軸51が貫通し、ロックレバー部52及び締付カム53と共にナット54によって装着される〔図1(D)参照〕。
前記締付カム53は、前記ロックレバー部52の回動操作により、前記ボルト軸51の軸方向において厚さが変化する。前記ロックレバー部52の回動操作により、締付具5全体に締付による荷重が生じて、前記固定ブラケット4の両固定側部41,41が相互に狭まるように押圧される。
両固定側部41,41によって、前記締付部2,2が押圧され、両方が締付具5によって締め付けられ、前記アウターコラムAの抱持本体部1のスリット部11の間隔が狭まり、アウターコラムAに装着されたコラムパイプ6が軸方向にロック(固定)される。このとき、アウターコラムAの抱持内周面部1aと、コラムパイプ6の外周側面とは接触状態であり、コラムパイプ6との摩擦力を大きくすることで、コラムパイプ6を軸方向に固定する。
さらに、締付具5の締付の解除を行うと、前記両固定側部41,41の間隔が開き、同時に両締付部2,2の間隔も開くことになり〔図3(A)参照〕、アウターコラムAのコラムパイプ6のロックが解除されコラムパイプ6の軸方向への移動が行えるようになり、テレスコ調整が可能となる。同時にアウターコラムAは、前記固定ブラケット4の両固定側部41,41の調整孔43,43に対して前記締付具5のボルト軸51と共に上下動してチルト調整を行うこともできる。
ストッパブラケットBのストッパ部8は、前記アウターコラムAの連結部12と前記ボルト軸51との間に位置される構成とする(図7参照)。これによって、テレスコ調整時において、コラムパイプ6と共にストッパブラケットBが前方側に移動するときには、ストッパ部8が連結部12に当接することで、テレスコ調整における前方側の移動範囲を規制し、また後方側に移動するときには、ボルト軸51に当接することで、テレスコ調整における後方側の移動範囲を規制するものである。
A…アウターコラム、1…抱持本体部、11…スリット部、1a…端縁、
12…連結部、12a…脆弱部、12b…破断残存部、4…固定ブラケット、
41…固定側部、5…締付具、51…ボルト軸、6…コラムパイプ、
B…ストッパブラケット、7…エネルギー吸収部、71…板状部、71a…台形状先端、
72…垂下板状側片、8…ストッパ部。

Claims (8)

  1. コラムパイプと、該コラムパイプを前後方向に移動及び固定する抱持本体部と該抱持本体部の下方で且つ前後方向に沿って形成されたスリット部と該スリット部の前方側で且つ該スリット部の両端縁同士を連結する連結部と前記スリット部の幅方向両側位置に形成された締付部とを有するアウターコラムと、該アウターコラムの幅方向両側を挾持する固定側部を有する固定ブラケットと、前記コラムパイプに固着されたストッパ部を有するストッパブラケットと、締付具とを備え、前記ストッパブラケットは前記スリット部に配置され、前記連結部には、脆弱部が設けられ、該脆弱部は二次衝突時に前記ストッパブラケットの衝突によって破断される構成としてなることを特徴とするステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のステアリング装置において、前記ストッパ部の後方側には軸方向に沿ってエネルギー吸収部が形成され、前記脆弱部は前記連結部の幅方向両端箇所に形成され、前記エネルギー吸収部は前記連結部の破断後の破断残存部と当接摺動する構成としてなることを特徴とするステアリング装置。
  3. 請求項1又は2に記載のステアリング装置おいて、前記ストッパ部は、テレスコ調整時において、前記連結部と前記締付具のボルト軸に当接可能な構成としてなることを特徴とするステアリング装置。
  4. 請求項3に記載のステアリング装置において、前記エネルギー吸収部は、長方形状の板状部としてなる構成としたことを特徴とするステアリング装置。
  5. 請求項4に記載のステアリング装置において、前記板状部の前方側端部は前方に向かうに従い次第に幅が狭くなる台形状先端としてなることを特徴とするステアリング装置。
  6. 請求項4又は5に記載のステアリング装置において、前記エネルギー吸収部の前記板状部の幅方向両側には前後方向に沿って垂下板状側片が設けられ、両該垂下板状側片は前記破断残存部と当接摺動してなる構成としたことを特徴とするステアリング装置。
  7. 請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のステアリング装置において、前記連結部の前記脆弱部は、前記連結部の前後方向に薄肉としてなることを特徴とするステアリング装置。
  8. 請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のステアリング装置において、前記連結部の前記脆弱部は、該連結部の上下方向に薄肉としてなることを特徴とするステアリング装置。
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