JP2017139408A - 半導体装置中空封止用熱硬化型シート及びそれを用いて中空封止された半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 封止性、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、耐封止材進入圧力性、信頼性に優れる半導体装置中空封止用熱硬化型シートと、それを用いて中空封止された半導体装置を提供する。【解決手段】 熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層が、片面に形成される支持層と、を有し、前記支持層が、ガラス又はアルミニウム、銅、ステンレス、並びにそれら金属の合金から選ばれ、前記熱硬化性樹脂層の厚さが3〜30μmで、前記支持層の厚さが5〜50μmで、硬化前の熱硬化性樹脂層を160℃、2MPaで18秒間プレスした後におけるフロー量が100〜1500μmである半導体装置中空封止用熱硬化型シート。【選択図】 図4
Description
本発明は、封止性、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、耐封止材進入圧力性、信頼性に優れる半導体装置中空封止用熱硬化型シートと、それを用いて中空封止された半導体装置に関する。
従来から、電子機器の小型化・軽量化が進められており、これに伴い電子機器に搭載する半導体装置の小型化・軽量化が進められている。
一方、近年、機能素子が基板上に中空封止された半導体装置、例えば、水晶振動子、圧電振動子等の各種振動子、加速度センサー、角速度センサー等の各種センサー類、表面弾性波フィルター等の表面弾性波デバイス、各種MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等が、さまざまな電子機器に多数使用されている。
このような中空部分を必須とする半導体装置には、金属パッケージあるいはセラミックパッケージが適用されてきたが、半導体装置の小型化、軽量化、薄型化に伴い、樹脂封止が必要となってきている。
このような半導体装置のパッケージ化の樹脂封止技術として種々の方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、近年、機能素子が基板上に中空封止された半導体装置、例えば、水晶振動子、圧電振動子等の各種振動子、加速度センサー、角速度センサー等の各種センサー類、表面弾性波フィルター等の表面弾性波デバイス、各種MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等が、さまざまな電子機器に多数使用されている。
このような中空部分を必須とする半導体装置には、金属パッケージあるいはセラミックパッケージが適用されてきたが、半導体装置の小型化、軽量化、薄型化に伴い、樹脂封止が必要となってきている。
このような半導体装置のパッケージ化の樹脂封止技術として種々の方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかし、特許文献1〜3の方法では、いずれも中空封止を高精度で生産性良く成形することは困難であった。
本発明の目的は、封止性、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、耐封止材圧力性、信頼性に優れる半導体装置中空封止用熱硬化型シートと、それを用いて中空封止された半導体装置を提供するものである。
本発明の目的は、封止性、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、耐封止材圧力性、信頼性に優れる半導体装置中空封止用熱硬化型シートと、それを用いて中空封止された半導体装置を提供するものである。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の厚みを有する熱硬化性樹脂層を用いることにより、フラックス洗浄液による劣化を防ぐことができ、また、特定の材質からなり且つ特定の厚みを有する支持層を用いることにより、封止材進入時の熱と圧力による、中空部の断面形状の変形を防ぐことができることを見出した。それにより、上記目的を達成するに至った。
即ち本発明は以下の通りである。
即ち本発明は以下の通りである。
(1)熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層が、片面に形成される支持層と、を有し、前記支持層が、ガラス又はアルミニウム、銅、ステンレス、並びにそれら金属の合金から選ばれ、前記熱硬化性樹脂層の厚さが3〜30μmで、前記支持層の厚さが5〜50μmで、硬化前の熱硬化性樹脂層を160℃、2MPaで18秒間プレスした後におけるフロー量が100〜1500μmである半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
(2)前記熱硬化性樹脂層が、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する請求項1に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
(2)前記熱硬化性樹脂層が、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する請求項1に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
(3)前記支持層の熱硬化性樹脂層が形成された面とは反対の面に、厚さが5〜300μmの保護フィルムを積層した上記(1)又は(2)に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
(4)ロール形状で作製される上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを用いて中空封止された半導体装置。
(4)ロール形状で作製される上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを用いて中空封止された半導体装置。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートは、封止性、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、耐封止材進入圧力性、信頼性に優れることから、中空封止される半導体装置の封止に適用できる。
本発明は、封止性、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、耐封止材進入圧力性、信頼性に優れる半導体装置中空封止用熱硬化型シートと、それを用いて中空封止された半導体装置を提供するものである。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートは、熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層が、片面に形成される支持層と、を有し、前記支持層が、ガラス又はアルミニウム、銅、ステンレス、並びにそれら金属の合金から選ばれ、前記熱硬化性樹脂層の厚さが3〜30μmで、前記支持層の厚さが5〜50μmで、硬化前(以下、「Bステージ状態」ともいう)の熱硬化性樹脂層を160℃、2MPaで18秒間プレスした後におけるフロー量が100〜1500μmであることを特徴とする。
なお、ここで「硬化前(Bステージ状態)」とは、本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを作製する際、フィルム化の熱履歴で、ある程度硬化反応が進んだ状態のことである。
熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂は、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する樹脂層であることが好ましい。
なお、ここで「硬化前(Bステージ状態)」とは、本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを作製する際、フィルム化の熱履歴で、ある程度硬化反応が進んだ状態のことである。
熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂は、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する樹脂層であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂層に使用する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、フロー量の制御や特性面からエポキシ樹脂が好ましい。
本発明では、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する樹脂層であることがより好ましい。
本発明では、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する樹脂層であることがより好ましい。
本発明に使用する(A)成分を構成する架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分は、架橋性官能基を有する官能性モノマーを重合した重合体が挙げられる。
架橋性官能基としては、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアヌル基、アミノ基等が挙げられる。架橋性官能基を有する官能性モノマーとして具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリルレート類等が挙げられる。
本発明に使用する架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分として、具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを含有し、且つ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等が好ましく、さらに熱硬化性成分として用いるエポキシ樹脂と非相溶であることが好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体は、たとえば、エポキシ基含有(メタ)アクリルエステル共重合体、エポキシ基含有アクリルゴム等を使用することができ、エポキシ基含有アクリルゴムがより好ましい。
架橋性官能基としては、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアヌル基、アミノ基等が挙げられる。架橋性官能基を有する官能性モノマーとして具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリルレート類等が挙げられる。
本発明に使用する架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分として、具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを含有し、且つ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等が好ましく、さらに熱硬化性成分として用いるエポキシ樹脂と非相溶であることが好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体は、たとえば、エポキシ基含有(メタ)アクリルエステル共重合体、エポキシ基含有アクリルゴム等を使用することができ、エポキシ基含有アクリルゴムがより好ましい。
エポキシ基含有アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
高分子量成分の官能性モノマーとして好ましく用いられるグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有反復単位の量は、0.5〜6.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%が更に好ましい。エポキシ基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
高分子量成分の官能性モノマーとして好ましく用いられるグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有反復単位の量は、0.5〜6.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%が更に好ましい。エポキシ基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
高分子量成分の官能性モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の他に、たとえば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度(以下「Tg」という)を考慮して決定し、Tgは−50〜50℃となるようにする。Tgが−50℃以上であると、Bステージ状態での樹脂層のタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じにくいからである。一方、Tgが50℃以下であると使用する溶媒に可溶となり易いことから好ましい。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、熱機械分析計(TMA)を用いて測定する。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、熱機械分析計(TMA)を用いて測定する。
本発明において、架橋性官能基を含む高分子量成分は、重量平均分子量が10万以上であるが、重量平均分子量は30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、フィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、樹脂層と被着体との密着性を確保できる。
重量平均分子量を上記範囲とするには、官能性モノマーの混合比等で調整することができる。
なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
重量平均分子量を上記範囲とするには、官能性モノマーの混合比等で調整することができる。
なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
上記官能性モノマーを重合させて、架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができる。
このような重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、ナガセケムテックス株式会社製のHTR−860P−3等が挙げられる。
このような重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、ナガセケムテックス株式会社製のHTR−860P−3等が挙げられる。
本発明において、架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分の使用量は、(A)成分の総量100質量部に対して15〜85質量部である。上記高分子量成分の使用量が15質量部未満の場合、得られる樹脂層の可とう性が不足して脆くなりやすく、さらには樹脂層の流動性が増大し中空構造部に樹脂層が流れ込みやすい。また上記高分子量成分の使用量が85質量部を超えると得られる樹脂層の流動性が低下しやすく、さらにはフラックス洗浄液に対する耐性が低下しやすい。同様の理由で、上記高分子量成分の使用量は20〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましく、25〜35質量部が更に好ましい。
本発明において、(A)成分を構成する熱硬化性成分としては、エポキシ樹脂を主成分とし、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。なお、ここで「エポキシ樹脂」とは硬化前のエポキシ樹脂化合物のことであり、上記の高分子量成分と混合して硬化させて樹脂層を形成する。また、ここで「エポキシ樹脂を主成分とする」とは、熱硬化性成分に対して硬化前のエポキシ樹脂及び硬化剤が主成分として含有されることである。
熱硬化性成分に主成分として用いられる硬化前のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;等を使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
このようなエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のエピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007、1009;ダウケミカル社製のDER−330、301、361;新日鐵住金化学株式会社製のYD8125、YDF8170;等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のエピコート152、154;日本化薬株式会社製のEPPN−201;ダウケミカル社製のDEN−438;等が挙げられ、また、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEOCN−102S、103S、104S、1012、1025、1027;新日鐵化学株式会社製のYDCN701、702、703、704;等が挙げられる。
多官能エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のEpon 1031S;チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163;ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、614、614B、622、512、521、421、411、321;等が挙げられる。
アミン型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のエピコート604;新日鐵住金化学株式会社製のYH−434;三菱ガス化学株式会社製のTETRAD−X、TETRAD−C;住友化学株式会社製のELM−120;等が挙げられる。
複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810;UCC社製のERL4234、4299、4221、4206;等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、株式会社ダイセル製のセロキサイド2021、2080、エポリードGT300、400、EHPE3150等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
脂環式エポキシ樹脂としては、株式会社ダイセル製のセロキサイド2021、2080、エポリードGT300、400、EHPE3150等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
本発明における(A)成分にはエポキシ樹脂硬化剤を使用することもできる。
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができる。たとえば、アミン類;ポリアミド;酸無水物;ポリスルフィド;三フッ化ホウ素;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類;フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂;等が挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂硬化剤が好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができる。たとえば、アミン類;ポリアミド;酸無水物;ポリスルフィド;三フッ化ホウ素;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類;フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂;等が挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂硬化剤が好ましい。
好ましいフェノール樹脂硬化剤としては、DIC株式会社製の商品名:プライオーフェンLF2882、プライオーフェンLF2822、プライオーフェンLF4871、プライオーフェンTD−2090、プライオーフェンTD−2149、プライオーフェンVH−4150、プライオーフェンVH4170等が挙げられる。
本発明において、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分の使用量は、(A)成分の総量100質量部に対して15〜85質量部である。上記熱硬化性成分の使用量が15質量部未満の場合、得られる樹脂層の耐熱性及び流動性(フロー量)が低下しやすく、85質量部を超えると得られる樹脂層の可とう性が低下しやすい。同様の理由で、上記熱硬化性成分の使用量は、50〜80質量部が好ましく、60〜80質量部がより好ましく、65〜75質量部が更に好ましい。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートの熱硬化性樹脂層に用いる(B)成分のフィラーとしては、特に制限が無く、例えば、結晶性シリカ、非晶性シリカ、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等を使用することができる。
フィラーの使用量は、(A)樹脂の全総量100質量部に対して1〜400質量部である。上記フィラーの使用量が1質量部未満の場合、樹脂層の弾性率が低下して信頼性が低下しやすく、さらには樹脂層の流動性が増大し中空構造部に樹脂層が流れ込みやすい。また、400質量部を超えると、樹脂層と基板の間の密着性が低下しやすい。同様の理由で、上記フィラーの使用量は50〜350質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましく、150〜250質量部が更に好ましい。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを構成する熱硬化性樹脂層は、硬化前の160℃、2MPaで18秒間プレスした後におけるフロー量が100〜1,500μmである。フロー量が100μm未満の場合、樹脂層と基板との密着性が低下し、貼付面にボイドが発生しやすく、1,500μmを超えると樹脂層の流動性が増大し中空構造部に樹脂層が流れ込みやすく、中空構造部の断面形状が変化しやすい。同様の理由で、フロー量は200〜1,200μmが好ましく、300〜1,000μmがより好ましく、500〜900μmが更に好ましい。
フロー量は、半導体装置中空封止用熱硬化型シートの熱硬化性樹脂層と支持層が積層してある状態で、縦10mm、横20mmに打ち抜いた短冊状サンプルを、熱圧着試験装置(テスター産業株式会社製)を用いて、熱板温度:160℃、圧力:2MPaで18秒間プレスした後、サンプルの端部からはみ出した樹脂の長さを光学顕微鏡で測定した値である。短冊状サンプルの4辺の端部から樹脂がはみ出すが、各辺のはみ出し長さが、この範囲内である、又は、4辺の端部からのはみ出し長さの平均がこの範囲内であるとよい。
このフロー量は、例えば、フィラーの充填量を増やしたり、架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分の使用量を増やしたり、熱硬化性成分として多官能エポキシ樹脂を使用して樹脂層の橋架け密度を向上させたり、フィルム化する際の熱履歴を増やすことによってBステージ状態での硬化度を向上させることによって小さくすることができる。
このフロー量は、例えば、フィラーの充填量を増やしたり、架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分の使用量を増やしたり、熱硬化性成分として多官能エポキシ樹脂を使用して樹脂層の橋架け密度を向上させたり、フィルム化する際の熱履歴を増やすことによってBステージ状態での硬化度を向上させることによって小さくすることができる。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを構成する熱硬化性樹脂層の厚さは3〜30μmである。3μm未満の場合、半導体装置中空封止用熱硬化型シートと基板との密着性が低下し、貼付面にボイドが発生しやすく、30μmを超えると中空構造部に樹脂層が流れ込みやすく、中空構造部の断面形状が変化しやすく、さらには半導体装置が厚くなりやすい。同様の理由で、熱硬化性樹脂層の厚さは5〜25μmが好ましく、10〜20μmが更に好ましい。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを構成する支持層の厚さは5〜50μmである。支持層の厚さが5μm未満ではシート作製時の強度不足によりシートが作製できない可能性が有り、支持層の厚さが50μmを超えるとシートが高価になりやすくさらには半導体装置が厚くなりやすい。同様の理由で、支持層の厚さは10〜40μmが好ましく、20〜30μmが更に好ましい。
支持層の材質は、二酸化ケイ素、酸化ビスマス、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化リン、酸化ゲルマニウム、フッ化ベリリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、よりなる群またはその混合物からなるガラスや、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレスよりなる群またはその混合物からなる金属から選ばれる。これらの材質からなる支持層を熱硬化性樹脂層の片面に設けることにより、フラックスによる熱硬化性樹脂層の膨潤と劣化を防ぐことができ、さらに封止材進入時の熱と圧力による封止用シートの形状変化を防止することができる。また、硬化前の160℃、2MPaで18秒間プレスした後でのフロー量を100〜1,500μmとすることで、中空封止を高精度で生産性良く成形できる効果がある。
これらのなかで、耐熱性を向上し、中空構造を歪みなく形成ができる為の低線膨張係数で、低加熱収縮率である点、且つ簡単で安価に入手するために、二酸化ケイ素を含む石英ガラス、銅、アルミニウム、ステンレスが好ましい。
支持層は、耐熱性の向上の観点からTg又は融点が400℃以上であることが好ましい。また、高いほど好ましく、500℃以上であることがより好ましく600℃以上であることが更に好ましい。
また必要に応じて、熱硬化性樹脂層と支持層の密着力を向上するために、支持層にプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理、薬剤処理、高密着力のポリイミド層形成等の表面処理を行っても良い。
支持層は、耐熱性の向上の観点からTg又は融点が400℃以上であることが好ましい。また、高いほど好ましく、500℃以上であることがより好ましく600℃以上であることが更に好ましい。
また必要に応じて、熱硬化性樹脂層と支持層の密着力を向上するために、支持層にプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理、薬剤処理、高密着力のポリイミド層形成等の表面処理を行っても良い。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートの支持層とは反対の面に、保護層を積層することも出来る。この場合、支持層/熱硬化性樹脂層/保護層の順序で保護層を積層することになる。保護層の厚さは5〜300μmであり、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは5〜100μmであり、更に好ましくは10〜100μmである。保護層の厚さが5μm未満ではシート作製時の強度不足により十分に保護できない可能性が有り、フィルムの厚さが300μmを超えても特に利点は無く、フィルム自体が高価になる可能性が有る。
保護層として使用できる材料としては特に制限が無く、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリエーテルアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムを使用できる。また、必要に応じて、プライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理、離型処理等の表面処理を行っても良い。
本発明において、熱硬化性樹脂層には着色剤を添加しても良い。
着色剤としては特に制限が無く、例えば、カーボンブラック、黒鉛、チタンカーボン、二酸化マンガン、フタロシアニン系等の顔料あるいは染料を使用することができる。着色剤の使用量は(A)樹脂の全総量100質量部に対して10質量部未満であり、好ましくは8質量部未満であり、より好ましくは6質量部未満であり、更に好ましくは5質量部未満である。着色剤の使用量が10質量部を超えると得られる半導体装置中空封止用熱硬化型フィルムと基板との密着性が低下する可能性がある。
着色剤としては特に制限が無く、例えば、カーボンブラック、黒鉛、チタンカーボン、二酸化マンガン、フタロシアニン系等の顔料あるいは染料を使用することができる。着色剤の使用量は(A)樹脂の全総量100質量部に対して10質量部未満であり、好ましくは8質量部未満であり、より好ましくは6質量部未満であり、更に好ましくは5質量部未満である。着色剤の使用量が10質量部を超えると得られる半導体装置中空封止用熱硬化型フィルムと基板との密着性が低下する可能性がある。
本発明において、熱硬化性樹脂層にはカップリング剤等の添加剤を添加してもよい。
カップリング剤としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられるが、シラン系カップリング剤が好ましい。
カップリング剤としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられるが、シラン系カップリング剤が好ましい。
シラン系カップリング剤としては、特に制限は無く、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−ジメトキシシラン、3−シアノプロピル−トリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネート等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
チタン系カップリング剤としては、特に制限は無く、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
アルミニウム系カップリング剤としては、特に制限は無く、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム−モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノ−エチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
上記の添加剤は(A)樹脂の全総量100質量部に対して、50質量部以下の配合量にすることが好ましい。上記添加剤の添加量が50質量部より多いと、得られる半導体装置中空封止用熱硬化型フィルムの耐熱性が低下する可能性がある。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートは、半導体装置の生産における工程の簡素化のため、ロール形状で作製されることが好ましい。
半導体装置中空封止用熱硬化型シートは、例えば、支持層上に熱硬化性樹脂層のワニスを塗布した後、加熱乾燥することによって溶剤を除去することによって作製することができる。その時の加熱乾燥条件は、使用する樹脂層の成分や溶剤の種類によって異なるが、一般的には60〜200℃の温度で3〜30分間加熱するものである。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートの形態及び使用例に関して図を用いて説明する。
図1は、支持層1及び熱硬化性樹脂層2からなる半導体装置中空封止用熱硬化型シート10であり、図2は支持層1、熱硬化性樹脂層2及び保護層3からなる半導体装置中空封止用熱硬化型シート10である。また、図3は中空封止される半導体装置の封止前の基板4の模式図である。図3の構造を作製するための方法に特に制限はないが、例えば基板4上に感光性ポリイミドを用いてパターニングすることにより作製することができる。基板を底面とし、感光性ポリイミドを側壁とする一面が開口した空間を形成でき、この開口を半導体装置中空封止用熱硬化型シート10で封止することで中空を得ることができる。
図1又は図2からなる半導体装置中空封止用熱硬化型シート10を、図1の場合はそのまま基板4に熱硬化性樹脂層2が接するようにロールラミネートし、図2の場合は保護層3をはく離した後、基板4に熱硬化性樹脂層2が接するようにロールラミネートする。その後、加熱によって熱硬化性樹脂層を硬化させ、中空封止された半導体装置5(図4)を得ることができる。
図1は、支持層1及び熱硬化性樹脂層2からなる半導体装置中空封止用熱硬化型シート10であり、図2は支持層1、熱硬化性樹脂層2及び保護層3からなる半導体装置中空封止用熱硬化型シート10である。また、図3は中空封止される半導体装置の封止前の基板4の模式図である。図3の構造を作製するための方法に特に制限はないが、例えば基板4上に感光性ポリイミドを用いてパターニングすることにより作製することができる。基板を底面とし、感光性ポリイミドを側壁とする一面が開口した空間を形成でき、この開口を半導体装置中空封止用熱硬化型シート10で封止することで中空を得ることができる。
図1又は図2からなる半導体装置中空封止用熱硬化型シート10を、図1の場合はそのまま基板4に熱硬化性樹脂層2が接するようにロールラミネートし、図2の場合は保護層3をはく離した後、基板4に熱硬化性樹脂層2が接するようにロールラミネートする。その後、加熱によって熱硬化性樹脂層を硬化させ、中空封止された半導体装置5(図4)を得ることができる。
基板4に熱硬化性樹脂層2が接するようにロールラミネートする工程は、基板4に負荷を与えず、作業性に優れる点で、ラミネート温度が180℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが更に好ましい。また、好ましいラミネート圧力は、0.05MPa以上、1.0MPa以下であり、速度は、0.05m/min以上、1.0m/min以下である。
中空封止された半導体装置の製造方法としては、上述したロールラミネートによる方法に限らず、基板に半導体装置中空封止用熱硬化型シートをヒートプレスで接着する方法を使用することもできる。
中空封止された半導体装置の製造方法としては、上述したロールラミネートによる方法に限らず、基板に半導体装置中空封止用熱硬化型シートをヒートプレスで接着する方法を使用することもできる。
本発明の半導体装置中空封止用熱硬化型シートは、耐熱性、信頼性、接着性及び作業性に優れるため、その他の半導体装置の封止、半導体素子のデバイス面封止、半導体素子の裏面保護等の用途にも使用することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ワニスの作製)
熱硬化性成分としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学株式会社製、商品名:YDF−8170C、エポキシ当量:160g/eq)11質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学株式会社製、商品名:YDCN−703、エポキシ当量:210g/eq)4質量部、フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名:プライオーフェンLF4871)10質量部、架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分としてエポキシ基含有アクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:HHTR−860P−3DR、重量平均分子量:80万、Tg:−7℃)16質量部、硬化促進剤として1−シアノ−1−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:キュアゾール2PZ−CN)0.04質量部、フィラーとしてシリカフィラー(株式会社アドマテックス製、商品名:SO−C2、比重:2.2g/cm3、平均粒子径0.5μm)59質量部、シランカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(株式会社NUC製、商品名:A−189)0.1質量部及びγ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン(株式会社NUC製、商品名:A−1160)0.2質量部からなる組成物にシクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、真空脱気して不揮発分(NV)約45質量%のワニスaを得た。
なおNVの測定方法は下記の通りとした。以下、特にことわりがない限り、実施例において「%」は「質量%」である。
NV(%)=(加熱乾燥後のワニス量(g)/加熱乾燥前のワニス量(g))×100
乾燥条件:170℃、1時間
熱硬化性成分としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学株式会社製、商品名:YDF−8170C、エポキシ当量:160g/eq)11質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学株式会社製、商品名:YDCN−703、エポキシ当量:210g/eq)4質量部、フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名:プライオーフェンLF4871)10質量部、架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分としてエポキシ基含有アクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:HHTR−860P−3DR、重量平均分子量:80万、Tg:−7℃)16質量部、硬化促進剤として1−シアノ−1−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:キュアゾール2PZ−CN)0.04質量部、フィラーとしてシリカフィラー(株式会社アドマテックス製、商品名:SO−C2、比重:2.2g/cm3、平均粒子径0.5μm)59質量部、シランカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(株式会社NUC製、商品名:A−189)0.1質量部及びγ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン(株式会社NUC製、商品名:A−1160)0.2質量部からなる組成物にシクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、真空脱気して不揮発分(NV)約45質量%のワニスaを得た。
なおNVの測定方法は下記の通りとした。以下、特にことわりがない限り、実施例において「%」は「質量%」である。
NV(%)=(加熱乾燥後のワニス量(g)/加熱乾燥前のワニス量(g))×100
乾燥条件:170℃、1時間
<半導体装置中空封止用熱硬化型シートの評価>
(1)フロー量
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートを縦10mm、横20mmに打ち抜いた短冊状サンプルとし、熱硬化性樹脂層と支持層が積層してある状態で、熱圧着試験装置(テスター産業株式会社製)を用いて、熱板温度:160℃、圧力:2MPaで18秒間プレスした後、サンプルの端部からはみ出した樹脂の長さを光学顕微鏡で測定し、フロー量を算出した。
(1)フロー量
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートを縦10mm、横20mmに打ち抜いた短冊状サンプルとし、熱硬化性樹脂層と支持層が積層してある状態で、熱圧着試験装置(テスター産業株式会社製)を用いて、熱板温度:160℃、圧力:2MPaで18秒間プレスした後、サンプルの端部からはみ出した樹脂の長さを光学顕微鏡で測定し、フロー量を算出した。
(2)中空部の断面形状の評価
感光性ポリイミドを用いて基板上に図3の凹形状のパターンを複数形成し、その上から、半導体装置中空封止用熱硬化型シートを、ホットロールラミネータ(大成ラミネーター株式会社製、商品名:VA−400III型)を使用して貼付け(ラミネート条件:80℃、0.2MPa、0.5m/min)、フィルム付き基板を得た。その後、110℃で1時間、170℃で3時間、順次加熱して熱硬化性樹脂層を硬化し、断面研磨して中空部の断面形状を観察した。
評価基準は以下の通りである。
良好:凹みが少なくほぼ設計どおりの形状(直方体)が再現されている状態
不良:凹みがあり、設計どおりの形状(直方体)が再現されていない状態
感光性ポリイミドを用いて基板上に図3の凹形状のパターンを複数形成し、その上から、半導体装置中空封止用熱硬化型シートを、ホットロールラミネータ(大成ラミネーター株式会社製、商品名:VA−400III型)を使用して貼付け(ラミネート条件:80℃、0.2MPa、0.5m/min)、フィルム付き基板を得た。その後、110℃で1時間、170℃で3時間、順次加熱して熱硬化性樹脂層を硬化し、断面研磨して中空部の断面形状を観察した。
評価基準は以下の通りである。
良好:凹みが少なくほぼ設計どおりの形状(直方体)が再現されている状態
不良:凹みがあり、設計どおりの形状(直方体)が再現されていない状態
(3)加熱押し込み後の中空部の断面形状の評価
感光性ポリイミドを用いて基板上に図3の凹形状のパターンを複数形成し、その上から、得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートを、ホットロールラミネータ(大成ラミネーター株式会社製、商品名:VA−400III型)を使用して貼付け(ラミネート条件:80℃、0.2MPa、0.5m/min)、フィルム付き基板を得た。その後、110℃で1時間、170℃で3時間、順次加熱して熱硬化性樹脂層を硬化した。これをダイシングして、図3の凹形状のパターンに個片化した後、中空部の中央を、中空になっている箇所のみ加圧できるサイズの冶具のついた熱圧着機を使用して180℃、1MPaで押し込み、凹み具合を確認し評価した。
感光性ポリイミドを用いて基板上に図3の凹形状のパターンを複数形成し、その上から、得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートを、ホットロールラミネータ(大成ラミネーター株式会社製、商品名:VA−400III型)を使用して貼付け(ラミネート条件:80℃、0.2MPa、0.5m/min)、フィルム付き基板を得た。その後、110℃で1時間、170℃で3時間、順次加熱して熱硬化性樹脂層を硬化した。これをダイシングして、図3の凹形状のパターンに個片化した後、中空部の中央を、中空になっている箇所のみ加圧できるサイズの冶具のついた熱圧着機を使用して180℃、1MPaで押し込み、凹み具合を確認し評価した。
(実施例1)
得られたワニスaを支持層(箔)(銅箔、膜厚:18μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートAを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートAを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
得られたワニスaを支持層(箔)(銅箔、膜厚:18μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートAを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートAを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
(実施例2)
得られたワニスaを支持層(箔)(銅箔、膜厚:35μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートBを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートBを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
得られたワニスaを支持層(箔)(銅箔、膜厚:35μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートBを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートBを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
(実施例3)
得られたワニスaを支持層(箔)(銅箔、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートCを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートCを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
得られたワニスaを支持層(箔)(銅箔、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートCを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートCを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
(実施例4)
得られたワニスaを支持層(ガラス(SiO2、Na2O、CaO混合)、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートDを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートDを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
得られたワニスaを支持層(ガラス(SiO2、Na2O、CaO混合)、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートDを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートDを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
(比較例1)
得られたワニスaを支持層(PET、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートEを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートEを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
得られたワニスaを支持層(PET、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートEを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートEを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
(比較例2)
得られたワニスaを支持層(芳香族ポリイミド、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートFを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートFを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
得られたワニスaを支持層(芳香族ポリイミド、膜厚:50μm)上に塗布し、90℃、5分及び110℃、5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜とし、Bステージ状態の半導体装置中空封止用熱硬化型シートFを得た。
得られた半導体装置中空封止用熱硬化型シートFを上記の(1)〜(3)の条件で評価した。結果をまとめて表1に示した。
実施例1〜4の支持層が、ガラス又は金属からなる層を用いた場合は、中空形状が良好で、しかも、押し込み後の断面形状も良好となる。これに対し、比較例1、2の支持層にプラスチックフィルムを用いた場合、中空形状は良好であるが、押し込み後の断面形状に凹みが発生し耐封止材進入圧力性等に劣り、封止性がよくない。
実施例1〜4は、支持層にガラス又は金属からなる層を用いているので、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、信頼性に優れる。
実施例1〜4は、支持層にガラス又は金属からなる層を用いているので、耐フラックス性、耐フラックス洗浄液性、信頼性に優れる。
1:支持層(支持箔)
2: 熱硬化性樹脂層
3: 保護層
4:基板
10:半導体装置中空封止用熱硬化型シート
2: 熱硬化性樹脂層
3: 保護層
4:基板
10:半導体装置中空封止用熱硬化型シート
Claims (5)
- 熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層が、片面に形成される支持層と、を有し、前記支持層が、ガラス又はアルミニウム、銅、ステンレス、並びにそれら金属の合金から選ばれ、前記熱硬化性樹脂層の厚さが3〜30μmで、前記支持層の厚さが5〜50μmで、硬化前の熱硬化性樹脂層を160℃、2MPaで18秒間プレスした後におけるフロー量が100〜1500μmである半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
- 前記熱硬化性樹脂層が、(A)架橋性官能基を含む重量平均分子量が10万以上で、Tgが−50〜50℃である高分子量成分15〜85質量%、及びエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分15〜85質量%を含む樹脂100質量部、及び(B)フィラー1〜400質量部を含有する請求項1に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
- 前記支持層の熱硬化樹脂層が形成された面とは反対の面に、厚さが5〜300μmの保護フィルムを積層した請求項1又は請求項2に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
- ロール形状で作製される請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シート。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置中空封止用熱硬化型シートを用いて中空封止された半導体装置。
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