JP2017137500A - 耐食性を有するコーティング組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】規制されている物質或いは環境に対して危険要因/危険性を、及び/又は人々に対して健康上若しくは安全上の問題を呈すると知られている物質を使用せずに、所望の程度の腐食制御/耐性を与えるように配合された耐食性コーティング組成物を提供する。
【解決手段】耐食性コーティング組成物であって、結合ポリマー;該結合ポリマー内に分散しているリン酸アルミニウムを含み、該コーティング組成物が金属基材に適用される場合、該リン酸アルミニウムが非晶質リン酸アルミニウムから基本的に構成され、該コーティング組成物が、約1〜25重量パーセントの範囲のリン酸アルミニウムを含み、該コーティング組成物が、該金属基材に適用されて水及び酸素と接触する場合、約50〜500 ppmの範囲の制御されたホスフェート送達を与える、前記耐食性コーティング組成物。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、耐食性を有するコーティング組成物に関し、より詳細には、非晶質リン酸ア
ルミニウム腐食防止顔料を含むように特に配合されたコーティング組成物及びそれを製造
する方法に関する。
(発明の背景)
金属基材の表面にフィルム層を形成するために使用される、耐食性を与えるための1つ
以上の材料を含むように配合されたコーティング組成物は、当分野に公知である。そのよ
うなコーティング組成物は、3つの異なる機構の1つにより腐食に対するある程度の保護を
与えることが知られている材料を利用する。
コーティング組成物における腐食制御の第一の機構は、生じる硬化したフィルムに高度
の耐湿性及び耐水拡散性を与える結合剤組成物が、フィルム組成物のバリア性を高める顔
料又は固体成分と組み合わされ、それにより、硬化したコーティングフィルムに入る水に
対する物理的バリアを提供して、その下の被覆された金属基材表面を腐食から保護する配
合物により与えられるものである。この点で有用な顔料材料又は固体成分には、粒子及び
/又はフレークの形態のアルミニウム、酸化鉄、マイカ、タルク、ケイ酸カルシウム、及
び硫酸バリウムがある。コーティング組成物における腐食制御の第二の機構は、硬化した
コーティングフィルムの中に入る水及び酸素との接触で犠牲腐食するように選択された所
望の材料を金属基材表面に隣接して配置し、それにより犠牲腐食してカソード防食し、下
にある金属基材を腐食から守ることにより与えられるものである。亜鉛金属はこの点で有
用な例示的な材料であり、コーティング組成物の構成成分として基材の表面に与えること
ができ、或いはそれとは別に与えることができる。
腐食制御の第三の機構は、コーティング組成物が、腐食防止性である材料(例えば、腐
食防止顔料)であって、水及び酸素と接触すると、基材表面に拡散し、基材に吸着して不
浸透性層を形成するか、又は金属基材の表面との反応生成物を形成し、それにより、それ
が水、酸素、及び他の腐食性物質と反応するのを防ぐ物質を放出するという点で腐食防止
性である前記材料を利用するものである。これは基材表面を不動態化するように作用し、
それにより表面を腐食から保護する。この点で有用であると知られている材料には、リン
モリブデン酸カルシウム亜鉛、三リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛鉄、リン
ケイ酸亜鉛ストロンチウム、リンケイ酸カルシウム、リン酸亜鉛アルミニウム、鉛含有物
質、及びクロム酸塩含有物質がある。
当分野に公知である耐食性コーティング組成物は、望まれない腐食に対してある程度の
保護を与えるが、そのような公知のコーティング組成物は、環境に対して危険/危険要因
を、及び/又は人々に対して健康上若しくは安全上の危険要因を呈する物質の使用に依存
することがあり、これらの理由から、そのようなコーティング組成物の使用は、制限又は
完全に禁止されたか、そうされつつある。さらに、そのような公知のコーティング組成物
は、ある程度の腐食保護を与えるが、特定の最終使用用途の要求を満たすのに十分な、望
まれるレベル又は必要とされるレベルの腐食制御を与えることができない。
したがって、耐食性コーティング組成物が、規制されている物質或いは環境に対して危
険要因/危険性を、及び/又は人々に対して健康上若しくは安全上の問題を呈すると知られ
ている物質を使用せずに、所望の程度の腐食制御/耐性を与えるように配合されることが
望ましい。そのような耐食性コーティング組成物が、公知のコーティング組成物に比べて
、所望の改善された程度の耐食性を与え、それにより特定の最終使用用途のニーズを満た
すように配合されることが望ましい。そのような耐食性コーティング組成物が、容易に入
手可能な物質から配合され、かつ/又は新型の装置の使用を必要とせず、過度に労働集約
的でなく、経済的に実現可能であるようにコーティング組成物の製造を容易にする方法に
より製造されることがさらに望ましい。
本発明の原理により製造される耐食性コーティング組成物は、結合ポリマー及び該結合
ポリマー内に分散しているリン酸アルミニウムを含む。結合ポリマーは、ポリウレタン、
ポリエステル、溶剤型エポキシ、無溶剤型エポキシ、水性エポキシ、エポキシコポリマー
、アクリル、アクリルコポリマー、シリコーン、シリコーンコポリマー、ポリシロキサン
、ポリシロキサンコポリマー、アルキド、及びこれらの組み合わせを含む群から選択でき
る。リン酸アルミニウムは非晶質リン酸アルミニウムを含む。好ましい実施態様において
、リン酸アルミニウムは、該コーティング組成物が金属基材の表面に適用される時点で、
非晶質オルトリン酸アルミニウムである。コーティング組成物は、約1〜25重量%の範囲の
リン酸アルミニウムを含む。
例の実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは、アルミニウム原子及び/又はホ
スフェート原子に結合したヒドロキシル官能基を含む非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウ
ムである。さらに、コーティング組成物は、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムのヒド
ロキシル官能基が結合ポリマー中の官能基に結合している化学系を有する。例の実施態様
において、非晶質リン酸アルミニウムはポリマー骨格を含む化学構造を有し、非晶質リン
酸アルミニウムは該ポリマー骨格の内部と外側の両方でホスフェートアニオンを含む。さ
らに、非晶質リン酸アルミニウムは、最大約25重量%の水の水吸着能力を有する。
例の実施態様において、コーティング組成物は、約50〜500 ppmの範囲の、好ましくは
約100〜200 ppmの範囲の例えばホスフェートアニオンの制御されたホスフェートの送達を
与える。例の実施態様において、コーティング組成物は、総可溶物含量が、約1500 ppm未
満、800 ppm未満、好ましくは約400 ppm未満、より好ましくは約100〜250 ppmである。非
晶質リン酸アルミニウムは、好ましくはアルカリ金属を実質的に含まない。
耐食性コーティング組成物は、アルミニウム源を含む出発物質を、リン源及びアルカリ
性溶液と合わせ、合わせた出発物質を反応させて、非晶質リン酸アルミニウム沈殿を含む
溶液を形成することにより形成される。アルミニウム源は、アルミン酸ナトリウム、水酸
化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及びこれらの組み合わせを含む群から選択でき、リ
ン源はリン酸又はリン酸塩でよい。合わせる工程は、最初に水酸化アルミニウムをリン酸
と混合して酸性リン酸アルミニウムを形成し、次いで酸性リン酸アルミニウムをアルミン
酸ナトリウムと合わせて、非晶質リン酸アルミニウムを形成することを含み得る。アルミ
ン酸ナトリウムを合わせる工程の前に、酸性リン酸アルミニウムは、アルミン酸ナトリウ
ムがそれに加えられた後よりも、P:Alモル比が高い。
例の実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは処理されて、望ましくない可溶物
が上述のレベルに低減される。処理の工程は、非晶質リン酸アルミニウム沈殿を、非晶質
リン酸アルミニウム中の対象とするイオンを置換するように選択されたアルカリ土類金属
と接触させることを含み得る。例の実施態様において、対象とするイオンはアルカリ金属
、例えば、ナトリウムであり、アルカリ土類金属はカルシウム化合物、例えば、水酸化カ
ルシウムCa(OH)2を含む。処理の工程の後、沈殿は実質的にアルカリ金属を含まない。
処理された非晶質リン酸アルミニウムは、約300℃未満の温度で乾燥されるが、乾燥さ
れた沈殿は非晶質オルトリン酸アルミニウムを含む。非晶質オルトリン酸アルミニウムは
、結合ポリマーと混合されて、耐食性コーティング組成物を形成する。
そのような耐食性コーティング組成物は、特定の配合物及び/又は最終使用用途により
、プライマーコート、ミッドコート、及び/又はトップコートコーティングとして使用で
きる。耐食性コーティング組成物は金属基材に塗布され、乾燥されて、完全に硬化したフ
ィルムを形成できる。結合ポリマーが溶剤系である場合、硬化したフィルム中の非晶質リ
ン酸アルミニウムが、フィルムに入る水を吸着及び/又は吸収することと、不動態化ホス
フェートアニオンを与えることとの両方により、下にある基材の腐食を制御する。
本明細書に開示される耐食性コーティング組成物は、規制されている物質又は環境に対
して危険要因/危険性を、及び/若しくは人々に対して健康上若しくは安全上の問題を呈す
ると知られている物質を使用せずに、所望の程度の腐食制御/耐性を与えるように配合さ
れる。さらに、そのような耐食性コーティング組成物は、公知のコーティング組成物に比
べて、所望の向上した程度の耐食性を与えるように配合されており、それにより特定の最
終使用用途のニーズを満たす。そのような耐食性コーティング組成物は、容易に入手可能
な物質から配合され、かつ新型の装置の使用を必要とせず、過度に労働集約的でなく、経
済的に実現可能であるように製造を容易にする方法により製造される。
(詳細な説明)
耐食性コーティング組成物及びそれを製造する方法が本明細書に開示される。そのよう
な耐食性コーティング組成物は、腐食を防止するための最適量の不動態化アニオン、例え
ばホスフェートアニオンの制御された放出/送達と、制御された量の総可溶物とが組み合
わさった所望の特徴を与えるように特に設計された、所望の量の非晶質リン酸アルミニウ
ム腐食防止顔料を含むように配合されている。そのような特徴が合わさって、耐食性コー
ティング組成物が、フィルム及びコンポジットの完全性及び安定性を損なわずに、下にあ
る金属基材表面に向上した程度の耐食性を与えることができ、それによりそのような向上
した耐食性を、従来の耐食性コーティング組成物に比べて長い耐用寿命の間与える。これ
らの耐食性コーティング組成物に使用される非晶質リン酸アルミニウムは、そのようなコ
ーティング組成物を形成するのに有用な種々の異なる結合ポリマー又は結合ポリマー系と
高レベルの適合性を持つように特に設計されてもおり、それにより、いくつもの異なる最
終使用産業における種々の最終使用用途のニーズ及び条件を満たすように耐食性コーティ
ング組成物を配合する際の高度の柔軟性及び選択肢を与える。
耐食性コーティング組成物は、異なる最終使用用途並びに他の因子により選択できる所
望の結合ポリマーを含む。例の結合ポリマーには、公知の耐食性コーティング組成物を製
造するのに現在使用されているものがあり、水性ポリマー、溶剤系ポリマー、及びこれら
の組み合わせの一般群から選択できる。耐食性コーティング組成物を製造するのに有用な
例の水性ポリマーには、アクリル及びアクリルコポリマー、アルキド、エポキシ、ポリウ
レタン、並びにシリコーン及びポリシロキサンポリマーがある。耐食性コーティング組成
物を製造するのに有用な例の溶剤系及び/又は非水性ポリマーには、アクリル及びアクリ
ルコポリマー、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサン、ポリエステル、
及びアルキドがある。好ましい結合ポリマーには、アクリルコポリマーラテックス、アル
キド、ポリウレタン、及びエポキシポリマーがある。
例の実施態様において、耐食性コーティング組成物は、該コーティング組成物の総重量
に基づいて、約15〜75重量%の範囲、好ましくは約20〜60重量%の範囲、より好ましくは約
20〜35重量%の範囲の結合ポリマーを含む。約15重量%未満の結合ポリマーを含む耐食性コ
ーティング組成物は、所望の程度の耐食性を与えるのに必要であるよりも多量の腐食防止
顔料を含むことがある。約75重量%を超える結合ポリマーを含む耐食性コーティング組成
物は、所望の程度の耐食性を与えるのに不十分である量の腐食防止顔料を含むことがある
。特定の量の結合ポリマーが提供されてきたが、耐食性コーティング組成物を配合するの
に使用される結合ポリマーの正確な量が、使用される結合ポリマーの種類、使用される防
止顔料の種類及び/若しくは量、並びに/又は特定の最終使用用途、例えば、被覆されるべ
き基材及び基材に意図される腐食性の環境などの因子により変わることが理解できよう。
耐食性コーティング組成物の製造に有用な腐食防止顔料は、リン酸塩含有化合物を含む
。好ましいリン酸塩含有化合物は、リン酸アルミニウムである。この点で有用なリン酸ア
ルミニウムには、非晶質リン酸アルミニウム、結晶質リン酸アルミニウム、及びこれらの
組み合わせがある。好ましいリン酸アルミニウムは非晶質リン酸アルミニウムであり、最
も好ましいリン酸アルミニウムは非晶質オルトリン酸アルミニウムである。非晶質リン酸
アルミニウムは、拡散する水がコーティング中で顔料と接触する場合、金属基材に不動態
化を与えるのに十分な量のホスフェートアニオンを放出することが示されたので、非晶質
リン酸アルミニウムの使用が好ましい。さらに、硬化したフィルムが水と接触する場合、
可溶物がそのフィルムの浸透圧による膨れ(osmotic blistering)を起こさないように十
分に低い可溶物質含量を有する非晶質リン酸アルミニウム組成物を製造できることが見い
だされた。したがって、これらの耐食性コーティング組成物に使用される非晶質リン酸ア
ルミニウムは、不動態化アニオン、例えばホスフェートアニオンの制御された放出若しく
は送達を与えて腐食を防止するように、かつ低い総可溶物含量を有して浸透圧による膨れ
を回避するように特に設計されている。
例の実施態様において、非晶質オルトリン酸アルミニウムは、非晶質ヒドロキシリン酸
アルミニウム(aluminum hydroxy phosphate)である。非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウ
ムは、組成物内で均一な分散性を与え、分散液が配合物の貯蔵寿命の間安定のままである
ので好ましい。非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムの水酸基含量は、配合物の結合ポリ
マーの好適な基、例えば、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、酸性基などとの
水素結合を与えることによりマトリックスの安定性を与える独特な官能基である。この特
徴は、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムに独特であり、結晶性又は他の種類の非晶質
リン酸塩には存在しない。複合体中のAl-OH対Al-OP比を調整することにより、共沈殿プロ
セスにおいて物質中に混入される二次成分の放出を制御することが可能である。そのよう
な二次成分は、合成反応から生じるリン酸ナトリウム塩を含み得る。
耐食性コーティング組成物は、最終用途に配置された場合腐食を防止するのに十分な量
の不動態化アニオンを与えるように計算された特定量の防止顔料を含むように配合される
。例の実施態様において、耐食性コーティング組成物は、コーティング組成物乾燥フィル
ムの総重量に対して、約3〜25重量%の範囲、好ましくは約5〜15重量%の範囲、より好まし
くは約8〜12重量%の範囲の非晶質リン酸アルミニウムを含む。約3重量%未満の非晶質リン
酸アルミニウムを含む耐食性コーティング組成物は、所望の程度の耐食性を与えるには不
十分である量を含むことがある。約25重量%を超える非晶質リン酸アルミニウムを含む耐
食性コーティング組成物は、所望の程度の耐食性を与えるのに必要であるより多い量を含
むことがあり、そのような追加の量は、硬化したコーティングフィルムの長期の安定性及
び/又は完全性を損なうように作用し得る。特定の量の非晶質リン酸アルミニウムが与え
られてきたが、耐食性コーティング組成物を配合するのに使用される正確な量の非晶質リ
ン酸アルミニウムが、使用される結合ポリマーの種類及び/若しくは量、並びに/又は特定
の最終使用用途、例えば、塗布すべき基材及び基材に意図される腐食環境などの因子によ
り変わることが理解できよう。
先に簡単に述べられたとおり、非晶質リン酸アルミニウムは、コーティング組成物が金
属基材の表面に適用され、硬化フィルムに形成され、腐食環境に配置された場合、水及び
酸素と接触すると、1種以上の不動態化アニオンの制御された放出又は送達を与えるよう
に特に設計されている。時間が経つと、水/水分は、適用されたコーティングフィルム中
に移動又は拡散し、その水は、フィルム中で利用可能なホスフェート成分と接触する。そ
のような水との接触は、制御された方法で非晶質リン酸アルミニウムからのホスフェート
アニオンの放出/送達を促進する。これらのホスフェートアニオンは、下にある金属基材
の表面又はその酸化物層中の鉄種と反応し、下にある金属表面を腐食から保護するバリア
を形成するように作用する不動態膜をその上及びその中に形成する。これらの耐食性コー
ティング組成物を製造するのに使用される非晶質リン酸アルミニウムの特徴は、制御され
た量のホスフェートアニオンを放出/送達するように設計されていることである。具体的
には、そうでなくては有効フィルム耐用寿命を損ない得る他のコーティング硬化フィルム
性能特性を犠牲にせずに、最適レベルの腐食保護を与えるように計算されたホスフェート
アニオンの量を放出/送達するには。
例の実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは、最終使用用途に配置された硬化
したフィルム中に存在する場合、約50〜500 ppm、好ましくは100〜200 ppmの範囲の不動
態化ホスフェートアニオンを放出するように設計されている。送達すべき不動態化アニオ
ンの量は、耐食性組成物の製造に使用される非晶質リン酸アルミニウムの装入量又は量、
使用される結合ポリマーの種類、保護される金属基材の種類、及び最終使用用途に存在す
る腐食環境の種類などのいくつかの異なる因子による。好ましい実施態様において、保護
される金属基材が鉄を含み、腐食環境が水、酸素、及び他の腐食性塩を含む場合、非晶質
リン酸アルミニウムは、およそ160 ppmの不動態化ホスフェートアニオンを放出するよう
に設計される。
約50 ppm未満の不動態化アニオンの制御放出を有する非晶質リン酸アルミニウムは、腐
食を防止するのに十分な量の不動態化アニオンを与えられないことがある。約500 ppmよ
り高い不動態化アニオンの制御放出を有する非晶質リン酸アルミニウムは、腐食を防止す
るのには十分なレベルを与えるが、硬化したフィルムに膨れ又は他の望ましくない効果を
起こし得る多すぎる不動態化アニオンを与えることがあり、これは長期の完全性及び安定
性を損なうことがあり、そのためコーティングの有効な耐用寿命を短くすることがある。
制御されたレベル又は最低レベルの可溶物を有する耐食性コーティング組成物が設計さ
れる。本明細書では、「可溶物」及び「非不動態化可溶物」は、非晶質リン酸アルミニウ
ム製造の副生成物として通常製造される物質を意味するように交換可能に使用され、ナト
リウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属、並びにサルフェート、クロリド、
及びニトレートなどのアニオンを含み得るが、非晶質リン酸アルミニウム中に存在する不
動態化アニオンを含まないように理解される。好ましい実施態様において、非不動態化可
溶物の量は零である。非不動態化可溶物の最大量は250 ppmである。
そのような可溶物の存在が、確認されないままの場合、耐食性コーティング組成物及び
/又はそれから形成される硬化したフィルムの安定性及び/又は完全性を損なうように作用
することがあり、それによりその意図される耐用寿命に悪影響を与えることが発見された
。例えば、そのような可溶物の存在は、特定の腐食環境に曝露される場合、望ましくない
膨れ、基材からの離層、フィルム下の腐食、及び他の種類の望ましくないフィルム破断を
もたらし、そのフィルム破断は下の金属基材表面を保護されないまま曝露するように作用
することが見いだされた。
例の実施態様において、耐食性コーティング組成物が、約1パーセント未満(又は10,000
ppm未満)の総可溶物、すなわちホスフェート不動態化アニオンを含む可溶物を、好まし
くは約1,500 ppm未満の総可溶物を、より好ましくは約400 ppm未満の総可溶物を含むこと
が望ましい。例の実施態様において、耐食性コーティング組成物は、約50〜800 ppmの範
囲の総可溶物、好ましくは約100〜250 ppmの範囲の総可溶物を含む。約1,500 ppm未満の
総可溶物を含む耐食性コーティング組成物は、最終使用腐食環境に曝露された場合、膨れ
又は他の望ましくないフィルム事象を示さない硬化したフィルムを生み出し、それにより
有効耐用寿命を延ばすように作用する。したがって、耐食性コーティング組成物の特徴は
、不動態化アニオンの制御放出を与えるほかに、意図される耐用寿命を確実にするために
低減された量の総可溶物を有するように特に設計されている点である。
(製造方法)
一般的に、非晶質リン酸アルミニウムは、核形成カチオンがアルミニウムのみであるか
、又はカルシウム、マグネシウム、バリウムなどの他の多価カチオンと組み合わせたアル
ミニウムであるホスフェート複合体である。ホスフェート複合体は、水酸化アルミニウム
、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムなどの好適な塩を、塩の完
全な溶解を達成するモル量でリン酸に溶解させることにより製造される。ホスフェート複
合体は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アルミン酸ナトリウ
ム、アルミン酸カリウムなどのアルカリ性溶液又は塩基による中和により、酸性溶液から
沈殿する。生じる沈殿した固体の組成は、金属とホスフェートアニオンの比に依存する。
沈殿した複合体、すなわち、非晶質リン酸アルミニウムの性質は、塩の酸への溶解の間に
利用される処理パラメーター及び沈殿/中和の条件、例えば、中和剤の選択、温度、反応
物の添加の順序、反応物の添加の速度、並びに撹拌の程度及び期間に依存する。
そのため、耐食性コーティング組成物に含まれる非晶質リン酸アルミニウムは、制御さ
れた物質の送達、温度、撹拌、及びpHの特定の条件下で、アルミニウム源及びリン源を含
む選択された出発物質を合わせることにより、沈殿生成物として製造される。出発物質及
び処理条件の賢明な選択により、所望の不動態化アニオン含量、該不動態化アニオンの制
御された送達/放出、及び所望の低減された総可溶物の組み合わされて設計された上述の
性質を生み出す目的で意図的に作り出された物質含量及び化学構造を有する非晶質リン酸
アルミニウムが生じる。
沈殿により非晶質リン酸アルミニウムを形成するのに有用なアルミニウム源には、塩化
アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩がある。沈殿
により非晶質リン酸アルミニウムを形成するのに有用なアルミニウム源には、アルミン酸
ナトリウムなどのアルミン酸化合物、水酸化アルミニウム、又は金属形態のアルミニウム
もある。沈殿により非晶質リン酸アルミニウムを形成するのに有用なリン源には、リン酸
、及びオルトリン酸塩又はポリリン酸塩としてのリンの塩がある。アルカリ溶液を使用し
て、pHを制御するか、又は主成分の反応を中和する。例の実施態様において、アルカリ溶
液は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びこれらの組み合わ
せを含み得る。例の実施態様において、水酸化ナトリウムがアルカリ溶液として使用され
る。有用なアルミニウム源、ホスフェート源、及びアルカリ源には、それぞれ引用により
その全体として本明細書に組み込まれる米国公開特許第2006/0045831号及び同第2008/003
8556号に開示されているものがある。
非晶質リン酸アルミニウムは、上述の物質の選択的な組み合わせにより製造できる。下
記の選択された製造方法は、例として以下に与えられるが、具体的に開示されたものとは
別の他の製造方法も利用され得ることが理解できよう。
(製造の硫酸アルミニウム法)
例の実施態様において、上述の設計された性質を有する非晶質リン酸アルミニウムは、
米国公開特許第2006/0045831号に開示されているとおり硫酸アルミニウム、リン酸、及び
水酸化ナトリウムを合わせることにより製造される。この例のプロセスに利用される処理
工程は、一般的に下記を含む:リン酸の希釈溶液、硫酸アルミニウムの希釈溶液、及び水
酸化ナトリウム又は水酸化アンモニウムの希釈溶液などの主な試薬を製造すること;スロ
ッシングシステム(sloshing system)を備えた反応器に、制御しながら同時に試薬を加え
、プロセスの間の混合物の均一性を保つこと;及び反応器への試薬の添加の間、該混合物
の温度及びpH(酸性度)並びに反応時間を制御すること。
この例のプロセスにおける主な試薬は、下記のとおり製造できる。リンの源は、浄化さ
れ変色した、任意の出所からの肥料グレードのリン酸である。例えば、およそ54%のP2O5
を含む市販のリン酸を、化学処理し、かつ/又は処理された水で希釈すると、およそ20%の
P2O5濃度になり得る。この例のプロセスに有用な他の試薬は市販の硫酸アルミニウムであ
り、アルミナ(水和された酸化アルミニウム)と濃硫酸(98% H2SO4)との反応により得るこ
とができ、浄化されておよそ28%の濃度のAl2O3で保存される。反応が好ましい速度論を持
つためには、硫酸アルミニウムは、およそ5.0%のAl2O3で処理された水で希釈される。
反応の中和は、種々の濃度で商業的に購入可能な水酸化ナトリウム溶液により実施され
る。およそ50%の濃度のNaOHを購入して希釈できる。例えば、最初の試薬が混合される反
応の第一フェーズにおいて、水酸化ナトリウムをおよそ20%のNaOHの濃度で使用できる。
反応の第二フェーズにおいて、生成物の酸性度を微調整するために、およそ5.0%のNaOHの
水酸化ナトリウム溶液を使用できる。代わりとなる中和剤として、水酸化アンモニウム又
は炭酸ナトリウム(ソーダ灰)を使用できる。
この例のプロセスにおいて、化学反応は、非晶質オルトリン酸アルミニウム又はオルト
リン酸アルミニウム(Al2(HPO4)3又はAl(H2PO4)3)の形成をもたらす。該反応は、3種の試
薬、すなわち、リン酸溶液、硫酸アルミニウム溶液、及び水酸化ナトリウム溶液の混合に
より実施される。該試薬は、典型的にはスロッシングシステムを含む反応器に、約30分の
期間の間に加えられる。反応器への試薬の添加の間、該混合物のpHは、4.0〜4.5の範囲に
、反応温度は35℃〜40℃に制御される。該反応は、試薬混合の約15分後に完了する。この
期間に、該混合物のpHは、より希釈された水酸化ナトリウムの添加により5.0に調整する
ことができる。この例のプロセスにおいて、温度は、好ましくは、およそ40℃より低く維
持される。反応の終わりに、形成された懸濁液は、約0.8:1〜1.2:1のP:Alモル比を含むは
ずである。
上述のとおり、耐食性コーティング組成物中の本明細書において使用される非晶質リン
酸アルミニウムの特徴は、低減された総可溶物含量を有するように設計されることである
。所望の低い総可溶物含量は、1つ以上の異なる加工又は処理工程の間に達成できる。例
の実施態様において、イオン交換処理工程が利用されて、非晶質リン酸アルミニウム中の
望ましくない総可溶物の含量が低減される。イオン交換プロセスは、沈殿の形成とは別で
その後の工程として実施されるか、又は沈殿の形成の間に主な試薬を反応させる工程の間
にその場で実施されるかのいずれかで実施できる。
例の実施態様において、イオン交換プロセスは、主な試薬を合わせる、かつ/又は混合
する間に、所望のイオン交換物質を反応器に送達することにより、非晶質リン酸アルミニ
ウムのその場での形成の間に実施される。例の実施態様において、イオン交換物質は、非
晶質リン酸アルミニウム中の望ましくない対象とするイオンと置換又は交換することが意
図されるアルカリ土類金属を含む化合物を含む。例の実施態様において、このように処理
される非晶質リン酸アルミニウムは、実質的にアルカリ金属を含まない。
選択されるイオン交換物質の種類は、可溶物の望ましくない存在を減らすことに加え、
非晶質リン酸アルミニウムの化学構造に影響を与えることがあり、その構造は、制御され
た不動態化アニオンの送達の設計された性質に影響を及ぼし得ることが発見された。非晶
質リン酸アルミニウム中の望ましくないイオンがナトリウムである例の実施態様において
、イオン交換物質がCa(OH)2を含むことが望ましい。イオン交換物質としてCa(OH)2を使用
する特徴は、カルシウムイオンが、非晶質リン酸アルミニウム中のナトリウムイオンを置
換するように作用し、望ましくない可溶物の量を低減することと、非晶質リン酸アルミニ
ウムの化学構造の変化を起こすことの両方の効果を有することである。具体的には、二価
カルシウムイオンの存在は、非晶質リン酸アルミニウム内の鎖の伸長を有利にして促進す
るように作用するが、その鎖の伸長は、核形成プロセスの間に小さい粒子の凝集によりば
らつきのない粒径を生み出すことを助け、それにより、得られる固体中の微粒子の低減に
つながるので望ましい。
或いは、イオン交換プロセスは、沈殿形成後に実施される。これは、反応器内又は反応
器の外側で沈殿が反応溶液中で浮遊物として存在する間に実施できるか、又は、例えば濾
過プロセスなどにより、沈殿が溶液から分離された後に実施でき、又は、濾過された沈殿
が洗浄された後に実施できる。上述のとおり、好ましい実施態様において、Ca(OH)2がイ
オン交換物質として使用され、非晶質リン酸アルミニウム沈殿が、イオン交換処理工程の
間にイオン交換物質と接触するように配置され、望ましくない可溶物がそこから除去され
る。
非晶質オルトリン酸アルミニウムの形成の後、およそ6.0%〜10.0%の固形物を含み、約4
5℃のおよその最大温度、及び約1.15〜1.25 g/cm3の密度を有する懸濁液が、分離のため
に処理される。例の実施態様において、懸濁液は、従来のフィルタープレスにポンプで送
られる。フィルタープレスにおいて、液相(「リカー」と称されることもある)は固相(
「ケーク」と称されることもある)から分離される。およそ35%〜45%の固形分を含むウェ
ットケークは、洗浄サイクルのためにフィルター中に置かれたままである。濾過された濃
縮物は、基本的に硫酸ナトリウムの濃縮溶液であるが、フィルターから除かれて、将来の
使用のために保存される。フィルタープレスの使用が分離技術として開示されたが、他の
種類の分離技術を利用できることが理解できよう。
例の実施態様において、ウェットケークの洗浄は、フィルター自体の中で、かつ複数の
処理工程で実施される。第一の洗浄(「置換洗浄」)において、ケークを汚染している濾過
された物質の大部分が除去される。該洗浄工程は、処理された水を、所定の流速で流して
ケークにかけて使用して実施される。第二の洗浄工程は、やはり処理された水により実施
され、汚染物質を、無くさないとしてもさらに低減することができる。わずかにアルカリ
性の溶液を使用する第三の洗浄を利用して、ケークを中和し、そのpHを7.0の範囲に維持
することができる。圧縮空気をケークにある期間吹きつけることができる。好ましくは、
湿った生成物の固形分含量は、約35%〜45%である。特定の洗浄技術及び順序の利用が開示
されてきたが、他の種類の洗浄技術を利用できることが理解できよう。
湿っており洗浄されておよそ35%の固形分を含むフィルターケークが、コンベアベルト
によりプレスフィルターから抜き取られ、反応器/分散器に移動されるように、ケーク分
散液を処理できる。ケークの分散は、テトラピロリン酸ナトリウムの希釈溶液の添加によ
り補助される。
分散工程の後、約30%〜50%の固形分パーセンテージを持つリン酸アルミニウム「マッド
」が乾燥ユニットにポンプで送られるとき、次いで生成物は乾燥される。例の実施態様に
おいて、物質からの水の除去は、約300℃未満の温度、好ましくは約40〜140℃の温度、よ
り好ましくは約130℃未満の温度の熱気流の試料を通る注入による「ターボドライヤー」
タイプなどの乾燥装置により実施できる。生じる乾燥非晶質リン酸アルミニウム生成物の
最終的な水含量は、約10〜20重量%の水である。特定の乾燥技術の利用が開示されてきた
が、他の種類の乾燥技術が利用できることを理解できよう。
(製造のアルミン酸ナトリウム法)
他の例のプロセスにおいて、非晶質リン酸アルミニウムは、米国公開特許第2008/00385
56号に開示されるとおり、アルミニウム源としてアルミン酸ナトリウムを使用して製造さ
れる。そのような実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは、リン酸と水酸化アル
ミニウムとの反応により製造される。該プロセスは、アルミン酸ナトリウムを使用して実
施できる中和の工程をさらに含み得る。特定の実施態様において、非晶質リン酸アルミニ
ウムを製造するプロセスは、リン酸と、水酸化アルミニウムと、アルミン酸ナトリウムと
を反応させることを含む。一実施態様において、非晶質リン酸ナトリウムアルミニウムを
製造するプロセスは、リン酸アルミニウムとアルミン酸ナトリウムとを反応させることを
含む。
一実施態様において、該反応は2工程を含む。第一工程において、リン酸は水酸化アル
ミニウムと反応し、酸性のpHでリン酸アルミニウムを生み出す。一実施態様において、非
晶質リン酸アルミニウムは、水溶性のリン酸アルミニウムとして生じる。特定の実施態様
において、水溶性非晶質リン酸アルミニウムのpHは約3.5未満である。特定の実施態様に
おいて、pHは、約3、2.5、2、1.5、又は1である。特定の実施態様において、非晶質リン
酸アルミニウムは、より高いpHで微細な固液分散液として生じる。一実施態様において、
pHは、約3、4、5、又は6である。
第二工程において、第一化学工程から得た酸性リン酸アルミニウム水溶液又は分散液を
、アルミン酸ナトリウムと反応させる。特定の実施態様において、アルミン酸ナトリウム
は、約10を超えるpHで水溶液として使用される。一実施態様において、アルミン酸ナトリ
ウム水溶液のpHは、約11、12、又は13である。一実施態様において、アルミン酸ナトリウ
ム水溶液のpHは約12を超える。非晶質リン酸アルミニウムナトリウムは固体沈殿として生
じる。一実施態様において、固体リン酸アルミニウムナトリウムは、約0.85のP:Alのモル
比、及び約0.50のNa:Alのモル比を有する。一実施態様において、固体非晶質リン酸アル
ミニウムナトリウムは、約1のP:Alのモル比、及び 約0.76のNa:Alのモル比を有する。特
定の実施態様において、他の配合比率の分子を、同じ手順により得ることができる。
一実施態様において、固体の水和した水酸化アルミニウムは、第一の化学工程において
リン酸に加えられる。他の実施態様において、固体の水和した水酸化アルミニウムは、精
製された液体アルミン酸ナトリウム溶液に加えられて、コロイド状溶液を形成する。他の
実施態様において、固体の水和した水酸化アルミニウムは、第二反応工程において、固体
として直接、又は水中の固液懸濁液として加えられる。特定の実施態様において、反応は
単一の工程で実施される。
この例のプロセスにおいて有用なアルミン酸ナトリウムは、当業者に公知である方法に
より得られるものを含む。例えば、アルミン酸ナトリウムは、ボーキサイト鉱石からアル
ミナ(Al2O3)を抽出するバイヤープロセスの第一工程から生じる標準的な化学製品として
、「精製されたナトリウムに富む溶液(purified sodium pregnant solution)としばしば
称される液体形態で提供できる。この液体アルミン酸ナトリウム水溶液を周囲温度で飽和
させ、水酸化ナトリウムNaOHで安定化させる。その典型的な組成は、アルミン酸ナトリウ
ム、58〜65質量%(25〜28質量%のAl2O3)及び水酸化ナトリウム、3.5〜5.5質量%(2.5〜4質
量%の遊離Na20)である。特定の実施態様において、それは、約1.10〜2.20のNa:Alモル比
及び低い不純物(ボーキサイトの出所による: Fe=40 ppm、重金属=20 ppm、及び少量のア
ニオンCl-及びSO4 2-)を有する。特定の実施態様において、アルミン酸ナトリウム水溶液
は、約1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.
70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.0、2.05、2.10、2.15、又は2.2のNa:Alのモル比
を有する。特定の実施態様において、溶液の色は琥珀色である。特定の実施態様において
、溶液の粘度はおよそ100 cPである。特定の態様において、アルミン酸ナトリウム溶液は
、研磨濾過により精製される。特定の実施態様において、アルミン酸ナトリウム溶液は、
固体水酸化アルミニウム及び水酸化ナトリウムから再生される。
固体の水和した水酸化アルミニウムは、当業者に公知である方法により得ることができ
る。一実施態様において、水酸化アルミニウムは、バイヤープロセスにより製造される工
業化学品である。固体の水和した水酸化アルミニウムは、溶液の冷却により達成される沈
殿により「精製されたアルミン酸ナトリウムに富む溶液(purified sodium aluminate pre
gnant solution)」から得ることができる。一実施態様において、そのように製造された
アルミン酸ナトリウムは、低レベルの不純物及び可変量の湿り気(カチオン約70 ppm、ク
ロレート約0.85質量%、及びサルフェート約0.60質量% (これらの不純物は、「精製された
アルミン酸ナトリウムに富む溶液の精製レベルにより決定される)並びに総水分、水和、
及び湿り気約22.0〜23.5質量%を有する。一態様において、原料は両方とも、標準的な主
要な工業製品であり、ボーキサイト処理の第一及び第二工程でありボーキサイト加工者に
より大量に製造される(商品)である。
一実施態様において、化学反応はリン酸アルミニウムナトリウム(Al(OH)7Na7(P04).1.7
H20) の形成をもたらす。リン酸アルミニウムナトリウムの形成後、およそ6.0%〜10.0%の
固形分を含み、45℃のおよその最大温度及び1.15〜1.25 g/cm3の範囲の密度を有する懸濁
液が、ポンプで従来のフィルタープレスに送られる。
先に開示された例のプロセスと同様に、この例のプロセスも、所望の低い総可溶物含量
を与えるのに有用な1つ以上の処理工程を含む。例の実施態様において、そのような処理
工程は、上述のイオン交換プロセスを含む。そのようなイオン交換工程は、非晶質リン酸
アルミニウム沈殿の形成の間にその場で、又はその後に、硫酸アルミニウムを含む例のプ
ロセスに関して先に述べたのと同様に実施できる。例の実施態様において、水酸化カルシ
ウム、Ca(OH)2が、好ましいアルカリ土類金属イオン交換物質として使用され、処理され
る非晶質リン酸アルミニウムの望ましくない可溶物含量を低減し、かつ、好ましい化学構
造の形成を促す。
主な反応物の反応から生じた非晶質リン酸アルミニウム沈殿を含む溶液は、硫酸アルミ
ニウムの例のプロセスに関して先に開示されたとおり、さらに処理でき、例えば分離、洗
浄などができる。
好ましい実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは、アルミン酸ナトリウムを使
用するプロセスにより製造される。アルミン酸ナトリウムプロセスが、硫酸アルミニウム
プロセスには存在しない、非晶質リン酸アルミニウムの基本的な特性に対する制御の向上
した程度を与えることが発見された。
そのような好ましい実施態様において、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムは、酸性
リン酸アルミニウムの3〜1(3 to 1)のP:Al水溶液を、アルミン酸ナトリウム (NaOH/Al(
OH)3)の水溶液と反応させて製造されるが、酸性リン酸アルミニウムは、水酸化アルミニ
ウムをリン酸水溶液に溶解させることにより製造される。生じた非晶質ヒドロキシリン酸
アルミニウムは、約0.5:1〜1.5:1のP:Al比及び約0.25:1〜1:1のNa:Al比を有する。非晶質
ヒドロキシリン酸アルミニウムがこの範囲のP:Al比を有することが望ましいが、その理由
は、これが、対象とするコーティング配合化学作用と適合性のある粒子の形態及び性質の
好適な範囲を与えるからである。また、この範囲にあるそのような固体のホスフェート放
出率は、腐食防止のための所望のレベルの不動態化を与える。非晶質ヒドロキシリン酸ア
ルミニウムがこの範囲のNa:Al比を有することが望ましいが、その理由は、溶解度と放出
率とが釣り合っており、フィルムマトリックスの適合性及び不動態化の性質を与えるから
である。
アルミン酸ナトリウムは、酸性リン酸アルミニウム溶液に加えられ、下記の2つの目的
を達成する。第一に、それは、より多くのアルミニウムイオンを加えて、上述の目標とす
るP:Al比を達成する。第二に、アルミニウムイオンを加えると、最終的に、非晶質ヒドロ
キシリン酸アルミニウム粒子の凝集が起こる。水酸化アルミニウムに加えられる水酸化ナ
トリウムは前者の溶解を助け、より低い温度での酸性リン酸アルミニウムの反応を加速さ
せ、反応媒体の中和によりリン酸アルミニウムの沈殿を促す。反応条件によって、ナトリ
ウムは、ホスフェート基のリン原子に結合した酸素基をキャップすることにより、かつ溶
解状態のホスフェートアニオンと合わさることにより、ヒドロキシリン酸アルミニウム構
造中に組み込まれ、いくつかの可能性のある可溶性リン酸ナトリウム化合物の1つを形成
し得る。上述のとおり、ナトリウムイオンの存在により促進されるこのキャッピングは、
イオン交換プロセスの間に与えられる二価カルシウムイオンによるナトリウムイオンの置
換により、制御され、鎖の伸長に転化され得る。
この沈殿は下記の競合反応を含む:(1)アルミン酸ナトリウムのアルミニウムイオンが、
酸性リン酸アルミニウム溶液中のホスフェートアニオンと反応して、固体の凝集した不溶
性非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムを形成する;及び(2)アルミン酸ナトリウムのナト
リウムイオンが、酸性リン酸アルミニウム溶液のホスフェートアニオンと反応して、可溶
性のリン酸ナトリウム塩を形成する。
これらの反応のいずれかの優勢は、具体的な反応条件、とりわけ、温度及び酸性リン酸
アルミニウムの固体のヒドロキシリン酸アルミニウムへの転化に利用できるアルミニウム
の濃度に依存する。最初に、アルミニウムカチオンはホスフェートアニオンと錯化し、つ
いには一団となって粒子を形成し、それが凝集して不溶性粒子を形成する。形成されるリ
ン酸ナトリウム塩は可溶性であり、溶解状態にとどまる。したがって、アルミン酸ナトリ
ウムのゆっくりした添加、長い撹拌、及び高温は、可溶性のナトリウム塩を犠牲にしてヒ
ドロキシリン酸アルミニウムの形成を有利にするだろう。そのため、このようにプロセス
を制御すると、最終生成物に存在する望ましくない可溶性の塩のレベルが低減する。或い
は、アルミン酸ナトリウムを酸性リン酸アルミニウムに速やかに添加すると、生成物のラ
ンダムな混合物が形成するだろう。アルミン酸ナトリウムのナトリウムは、どこかに行く
必要があるので、それはヒドロキシリン酸アルミニウムの酸素基をキャップし、それは水
酸化ナトリウムとして吸蔵されたままであり、それは利用可能なホスフェートと反応して
ナトリウム塩を形成し、かつ/又は、それはヒドロキシリン酸アルミニウム粒子の表面で
対イオンになる。このようにプロセスを制御すると、高レベルの望ましくない可溶物が生
じる。
非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウム沈殿を形成した後、該沈殿は濾過され、洗浄され
、湿式粉砕され、噴霧乾燥され、約0.5〜8ミクロンのD50の粒度分布を有する白色パウダ
ーを与える。例の実施態様において、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムが約0.9〜1の
P:Al比を有し、約1ミクロンのD50及び約4ミクロン未満のD90の粒度分布を有することが望
ましい。耐食性コーティング組成物に使用するために、非晶質リン酸アルミニウムが約20
ミクロン未満、好ましくは約0.5〜10ミクロンの範囲、より好ましくは約1.0〜8.0ミクロ
ンの範囲の粒径を有することが望ましい。約0.5ミクロン未満の粒径は、コーティング配
合物の処理に干渉し、結合剤樹脂吸収の増大によりフィルム性質に悪影響を与え得る。
非晶質リン酸アルミニウムの基本的な特性に対する制御増大は、アルミン酸塩の濃度を
操作することにより達成されるが、それは、生じる非晶質リン酸アルミニウム中のP:Al比
を上述の望ましい量に調整及び微調整するように作用し、それにより、不動態化アニオン
の所望の制御された送達を与えることができる非晶質リン酸アルミニウムの形成を促進す
る。さらに、製造のアルミン酸ナトリウムプロセスは、以前は利用可能でなかった総可溶
物含量を制御する方法を与え、例えば、総可溶物含量は、アルミン酸塩溶液に組み込まれ
る塩基の量により制御でき、それにより所望のフィルム安定性及び完全性を有するコーテ
ィング組成物の形成が促進される。
さらに、アルミン酸ナトリウムプロセスは、特定の最終使用耐食用途において使用する
ための非晶質リン酸アルミニウムの所望の性能特性の調整を可能にするように、共に、又
は個別に作用する、添加の順序、撹拌の速度、反応器中の滞留時間、及び温度制御などの
他のプロセス変量の操作を容易にする。これらの変量により影響を受け得る性質には、望
ましくない可溶物の量、不動態化アニオンの放出率、非晶質リン酸アルミニウムの粒度分
布、不動態化アニオンの量がある。例えば、アルミン酸塩を非晶質リン酸アルミニウムに
加える速度及び反応器内の反応生成物の滞留時間は、無秩序度を制御するように作用し得
るが、その理由は、それが、上述の可能性のある反応種及び可能性のある反応生成物に関
連するからである。
上述のとおり製造された非晶質リン酸アルミニウムは、非晶構造を維持し結晶構造への
転化を避ける目的のため、好ましくは高温乾燥又は他の熱処理に付されない。このように
形成された非晶質リン酸アルミニウムが、低温乾燥の後ですら、望ましい非晶構造を保持
することを発見したが、この構造は腐食防止顔料として使用するための独特な利点/特徴
を与える。そのような非晶質リン酸アルミニウムは、結晶性リン酸アルミニウムと比べる
と著しく増大した水吸着能力又は再水和の程度を示すが、それにより、そのような非晶質
リン酸アルミニウムは、乾燥によりいったん脱水すると、再水和して最大約25重量%の水
を含むことができる。この特徴は、非晶質リン酸アルミニウムが、非水性結合ポリマーを
含む耐食性コーティング組成物と共に使用される場合、特に有用である。そのようなコー
ティング組成物において、非晶質リン酸アルミニウムは、腐食防止顔料であるほかに、水
分捕捉剤として、硬化したフィルムへの水の浸入を遅くさせ、硬化したフィルムへの水の
拡散を制限する両方の役割を果たす。そのため、この水吸着特性は、腐食制御のもう1つ
の水分バリア機構を与えるように機能する。この効果は、電気インピーダンス分光法(EIS
)を利用して効果を試験することにより示された。
先に開示されたアルミン酸塩プロセスを利用して製造された非晶質リン酸アルミニウム
は、二次的な成分(ドーパント)の包含を可能にし、最終使用条件下でこれらの成分の制
御放出を与える独特な化学構造を有する。具体的には、アルミン酸塩プロセスにより製造
された非晶質リン酸アルミニウムは、非晶質リン酸アルミニウム骨格構造の中と外の両方
に存在する不動態化アニオンを含む化学構造を有する。
上述のとおり、アルミン酸塩プロセスは、試薬の注意深い操作を可能にするが、それに
より、非晶質リン酸アルミニウムが実際に特定の不動態化アニオン、例えばリン酸塩のキ
ャリアである制御された放出組成物が製造される。この特徴により、ベースの非晶質リン
酸アルミニウムの放出性を、封入された可溶性リン酸塩と組み合わせることにより、不動
態化ホスフェートアニオンの放出率を調整できる。そのため、生じた非晶質リン酸アルミ
ニウムは2つの固体の単純な混合物ではなく、むしろ可溶性の塩が非晶質リン酸アルミニ
ウム骨格構造と密接して同時に製造される製造プロセスの結果である。アルミン酸塩プロ
セスは、イオンクラスターの間にアルミニウムの橋を選択的に製造することができ、それ
は、P:Al比に依存して、生成物の形態の特徴を決定する。
記載された方法により製造された非晶質リン酸アルミニウムは、20 m2/gより高いが約8
0 m2/g未満の表面積(BET法により測定)を有する。例の実施態様において、表面積は、
約20〜60 m2/gの範囲、より好ましくは、約20〜30 m2/gの範囲である。
耐食性コーティング組成物は、選択された結合ポリマーを上述の量の非晶質リン酸アル
ミニウムと合わせることにより製造される。非晶質リン酸アルミニウムは、配合状態又は
好みにより、乾燥したパウダーの形態の組成配合物のために提供でき、又はスラリー若し
くは液体懸濁液の形態で提供できる。
表1は、参考のために本明細書に開示した方法で製造したエポキシ-ポリアミドプライマ
ー組成物の形態の、例の耐食性コーティング組成配合物を表す。
Figure 2017137500
この例において、第一エポキシ樹脂は、EPON 828(Hexion Chemical社製)などのジグリ
シジルエーテル又はビスフェノールAに基づく液体エポキシ樹脂であり、添加剤は、フィ
ルム形成における流延性を高めるポリマーであり(Cytec社製)、顔料分散剤はAnti-terra
U (BykChemie社製)などの添加剤であり、溶媒1はトルエン又はキシレンなどの芳香族溶媒
であり、溶媒2はグリコールエーテルであり、沈降防止添加剤はBentone SDなどのチキサ
トロープ(thixatrope)であり、主要な着色顔料は赤色酸化鉄であり、耐食性顔料は製造
のアルミン酸ナトリウム法により製造した非晶質リン酸アルミニウムであり乾燥パウダー
の形態で与えられ、体質顔料1は硫酸バリウムであり、体質顔料2はケイ酸マグネシウムで
あり、体質顔料3はマイカであり、第二のエポキシ樹脂は第一の添加と同じであり、第三
の溶媒はキシレンであり、硬化剤はEPIKURE 3175(Hexion社製)などのポリアミド樹脂であ
る。非晶質リン酸アルミニウムの装入量は、組成物の総重量に対しておよそ10重量%であ
った。さらに、この例の配合物の変形を、5及び15重量%の非晶質リン酸アルミニウム装入
レベルで製造した。
これらの例のエポキシ系組成物を鋼鉄基材に適用し、完全に硬化したフィルムを形成さ
せた。フィルム試料を、ASTM D 5894-05に準じた曝露試験、プロヒージョン(prohesion)
試験、及びASTM B 117塩霧曝露に付した。試料の評価は、ASTM D 610、D 714、及びD 145
4に準じて実施した。これらの試験のそれぞれにおいて、エポキシ系試料は、例えばクロ
ム酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、及びリン酸亜鉛などの従来の防止顔料を含む従来の腐食コ
ーティング組成物と少なくとも同様に良好な性能を示すか、又はより優れた性能を示した
上述の目視の試験に加え、エポキシ系の例の試料を、電気インピーダンス分光法(EIS)
を利用しても試験した。EIS試験の間、5%塩化ナトリウム溶液への2000時間の曝露後、リ
ン酸亜鉛及びモリブデン酸亜鉛含有の従来試料はインピーダンスの著しい低下を示し、フ
ィルムのバリア性が低下し、対照に比べてフィルムが電解質で飽和し、腐食プロセスが開
始したことを示す。腐食を開始するプロセスが、これらの確立された腐食防止顔料の存在
下で起こったことを意味するので、これは驚くべき大変な観察である。破断機構の次の工
程は、フィルムの基材に対する接着結合の劣化であり、それによりさらに多くの部位を解
放して腐食が活発に起こるようにする。
EIS試験から得た予期せぬ結果は、5重量%及び15重量%の非晶質リン酸アルミニウムを装
入したエポキシ系試料の両方が、対照に比べて一桁エポキシフィルムのインピーダンスの
増加を示した観察であった。この結果は、これらの試料の非晶質リン酸アルミニウムが、
水捕捉剤として働いて、拡散している水をマトリックスから除去し、腐食反応を防止した
ことによりエポキシのバリア性を高めていることを示す。
水がフィルムに浸透するにつれ、水はフィルム中に存在する非晶質リン酸アルミニウム
粒子に引きつけられ、該粒子に蓄積する。水は、優先的に非晶質リン酸アルミニウムに吸
着され、局所的な粒子飽和の後で初めて水はその位置を越えてフィルム中に進行する。こ
れが起こる場合、次の非晶質リン酸アルミニウムの層が水を吸着するだろう。これはフィ
ルムを通る水の拡散を著しく遅くし、それによりフィルムの耐用寿命を増加させる。さら
に、再水和し飽和した非晶質リン酸アルミニウム粒子の周りの水の存在は、移動しつつあ
る水へのホスフェートアニオンの放出をもたらす。したがって、フィルムを通って基材へ
水が拡散できるほど十分に耐用寿命が長い場合ですら、基材に到達する水溶液は不動態化
ホスフェートアニオンを含み、それにより鋼鉄基材の腐食を防止するだろう。
さらに、非晶質リン酸アルミニウムが、防止するほどの量のホスフェートアニオンを放
出する能力は、フィルム中の物理的欠陥又は損傷の部位で腐食防止を与える。この発見に
より、プライマーだけではなくミッドコート及びトップコートにおけるバリア促進剤とし
ての非晶質リン酸アルミニウムの実際的な混入が可能になる。従来の防止顔料は、腐食制
御の不動態化機構のみを与えるので、プライマーにおいてしか価値がない。本発明による
非晶質リン酸アルミニウム及びそれを含むコーティング組成物は、二重の機構、水吸着促
進バリア性及び不動態化アニオンの放出により腐食から保護する。
表2は、参考のために、本明細書に開示される方法で製造したアクリルラテックスプラ
イマー組成物の形態の、例の耐食性コーティング組成配合物を表す。
Figure 2017137500
この例において、顔料分散剤はSurfynol CT-131であり、腐食防止顔料は、製造のアル
ミン酸ナトリウム法により製造した非晶質リン酸アルミニウムでありパウダーの形態で与
えられ、消泡剤はDrewplus L-475であり、融合剤1はEastman EBであり、融合剤2はDowano
l DPnBであり、融合剤3はTexanolエステルアルコールであり、分散剤/界面活性剤はSurfy
nol DF 210であり、可塑剤はSanticizer 160であり、フラッシュさび防止剤は安息香酸ア
ンモニウム塩であり、HASE増粘剤はAcrysol TT 615である。この配合物中の非晶質リン酸
アルミニウムの装入量は、組成物の総重量に対しておよそ4.6重量%であった。
上述のアクリルラテックス系耐食性コーティング組成物を、エポキシ系組成物に関して
先に記載したとおり鋼鉄基材(溶剤洗浄冷間圧延鋼及び研磨ブラスト鋼の両方)に適用し、
硬化させて保護フィルムを形成した。得られた試料をASTM D 5894-05に準じて塩霧及びプ
ロヒージョン試験に付した。試験は、アクリルラテックス系耐食性コーティング組成物が
、フラッシュさび防止剤を使用してもしなくても従来の耐食性コーティング組成物よりも
およそ23%性能が良かったことを示した。フラッシュさび防止剤なしの優れた性能は驚く
べきことであり予想外であったが、適用期間を含むコーティングの耐用寿命の全ての段階
でのホスフェートアニオンの制御放出のためである。
先に示されたとおり、本発明の実施態様は、非晶質リン酸アルミニウムを含む新規な耐
食性コーティング組成物を与える。本発明は限定された数の実施態様に関して記載されて
きたが、1つの実施態様の具体的な特徴を本発明の他の実施態様に帰するべきではない。
どの単一の実施態様も、本発明の全態様を代表するものではない。いくつかの実施態様に
おいて、組成物又は方法は、本明細書に言及されない多くの化合物又は工程を含み得る。
他の態様において、組成物又は方法は、本明細書に列記されない化合物又は工程を全く含
まないか、又は実質的に含まない。
例えば、所望ならば、非晶質リン酸アルミニウムに加えて、耐食値を有すると知られて
いる1種以上の成分、例えば、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、クロメート、ボレー
ト、バリウム、マグネシウム、モリブデン、及びこれらの組み合わせなどのカチオンを含
む耐食性コーティング組成物を製造できる。そのような他の元素の添加は、コーティング
組成物の耐食性効果を増加又は補うように作用することができる。
さらに、本明細書に記載される耐食性コーティング組成物が、非晶形態のリン酸アルミ
ニウムを含むように設計されてきたが、本明細書に記載される耐食性組成物が公知の結晶
形態のリン酸アルミニウムを含み得ることが理解できよう。例えば、そのような結晶質リ
ン酸アルミニウムは、コーティング組成物の設計された耐食性機構及び/又は性質に悪影
響を与えないか、又は損なわないような量で存在できる。
記載された実施態様からの変形及び改良が存在する。コーティング組成物及び/又は非
晶質リン酸アルミニウムを製造する方法は、いくつかの行為又は工程を含むものとして記
載されている。これらの工程又は行為は、特記されない限り、任意の配列又は順番で実施
できる。最後に、本明細書に開示される数は、その数を記載するのに「約」又は「およそ
」という言葉が使用されているかどうかにかかわらず、近似を意味するように解釈される
べきである。添付される請求項は、そのような改良及び変形の全てを本発明の範囲内にあ
るものとして含むものとする。

Claims (87)

  1. 耐食性コーティング組成物であって、
    結合ポリマー;
    該結合ポリマー内に分散しているリン酸アルミニウムを含み、該コーティング組成物が金
    属基材に適用される場合、該リン酸アルミニウムが非晶質リン酸アルミニウムから基本的
    に構成され、
    該コーティング組成物が、約1〜25重量パーセントの範囲のリン酸アルミニウムを含み、
    該コーティング組成物が、該金属基材に適用されて水及び酸素と接触する場合、約50〜50
    0 ppmの範囲の制御されたホスフェート送達を与える、前記耐食性コーティング組成物。
  2. 前記コーティング組成物が、約1,500 ppm未満の総可溶物含量を有する、請求項1記載
    のコーティング組成物。
  3. 前記コーティング組成物が、約400 ppm未満の総可溶物含量を有する、請求項1記載の
    コーティング組成物。
  4. 前記コーティング組成物が、約100〜250 ppmの総可溶物含量を有する、請求項1記載の
    コーティング組成物。
  5. 前記結合ポリマーが、水性ポリマー及び溶剤系ポリマー及び無溶剤型ポリマーからなる
    群から選択される、請求項1記載のコーティング組成物。
  6. 前記結合ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、溶剤型エポキシ、無溶剤型エポキ
    シ、水性エポキシ、エポキシコポリマー、アクリル、アクリルコポリマー、シリコーン、
    シリコーンコポリマー、ポリシロキサン、ポリシロキサンコポリマー、アルキド、及びこ
    れらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のコーティング組成物。
  7. 前記制御されたホスフェート送達が約100〜200 ppmである、請求項1記載のコーティン
    グ組成物。
  8. 亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、クロメート、ボレート、バリウム、マグネシウム
    、及びモリブデンからなる群から選択される成分をさらに含む、請求項1記載のコーティ
    ング組成物。
  9. 前記非晶質リン酸アルミニウムがアルカリ金属を実質的に含まない、請求項1記載のコ
    ーティング組成物。
  10. 前記リン酸アルミニウムが、最大約25重量パーセントの水の水吸着能力を有する、請求
    項1記載のコーティング組成物。
  11. 前記非晶質リン酸アルミニウムが、アルミニウム原子に結合したヒドロキシル官能基を
    含む非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである、請求項1記載のコーティング組成物。
  12. 前記非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムの前記ヒドロキシル官能基が、前記結合ポリ
    マー中の官能基と結合している化学系を含む、請求項11記載のコーティング組成物。
  13. 前記ヒドロキシル官能基がP-OHを含む、請求項11記載のコーティング組成物。
  14. 前記非晶質リン酸アルミニウムがホスフェートアニオンを含み、ホスフェートの前記制
    御された送達がホスフェートアニオンの送達を含む、請求項1記載のコーティング組成物
  15. 前記非晶質リン酸アルミニウムがポリマー骨格を含む化学構造を有し、該非晶質リン酸
    アルミニウムが、該ポリマー骨格の内部と外側の両方でホスフェートアニオンを含む、請
    求項1記載のコーティング組成物。
  16. 前記金属基材上に配置される、請求項1記載のコーティング組成物から形成されたプラ
    イマーコーティング。
  17. 前記金属基材又はその上に配置されたプライマー層に接触している、請求項1記載のコ
    ーティング組成物から形成されたコーティング系のミッドコート又はトップコート。
  18. 金属基材に適用され、硬化されてフィルムを形成するコーティング組成物を含む耐食性
    保護を与える系であって、該硬化したコーティング組成物が、結合ポリマー及びその中に
    分散している非晶質リン酸アルミニウム腐食防止顔料を含み、該非晶質リン酸アルミニウ
    ムが非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムを含み、該コーティング組成物が、該コーティ
    ング組成物の総重量に対して約1〜25重量パーセントの範囲の前記非晶質リン酸アルミニ
    ウムを含み、該コーティング組成物が約500 ppm未満のホスフェートアニオンの制御され
    た送達を有する、前記系。
  19. 前記腐食防止顔料が非晶質リン酸アルミニウムからなる、請求項18記載の系。
  20. 前記コーティング組成物と前記金属基材の表面との間に置かれた不動態化フィルムを含
    み、該不動態化フィルムが、前記非晶質リン酸アルミニウム中に存在するリン酸ナトリウ
    ム塩と該金属基材から形成された反応生成物である、請求項18記載の系。
  21. 前記結合ポリマーがエポキシを含み、前記非晶質リン酸アルミニウムが、硬化したフィ
    ルムに浸入する水を最大約25重量パーセント吸収及び/又は吸着する、請求項18記載の
    系。
  22. 前記コーティング組成物が、約1,500 ppm未満の総可溶物含量を有する、請求項18記
    載の系。
  23. 前記コーティング組成物が、約800 ppm未満の総可溶物含量を有する、請求項18記載
    の系。
  24. 前記コーティング組成物が、約100〜250 ppmの総可溶物含量を有する、請求項18記載
    の系。
  25. 前記非晶質リン酸アルミニウムが、その中にナトリウムが組み込まれた化学構造を含む
    、請求項18記載の系。
  26. 前記非晶質リン酸アルミニウムが、その中にカルシウムが組み込まれた化学構造を含む
    、請求項18記載の系。
  27. 前記非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウム由来のヒドロキシル基が、前記結合ポリマー
    の好適な基に結合して、マトリックスの安定性及び水分バリアの増大を前記コーティング
    組成物に与える、請求項18記載の系。
  28. 前記非晶質リン酸アルミニウムが、ポリマー骨格を含む化学構造を有し、該非晶質リン
    酸アルミニウムが、該ポリマー骨格の内部と外側の両方でホスフェートアニオンを含む、
    請求項18記載の系。
  29. 前記結合ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、溶剤型エポキシ、無溶剤型エポキ
    シ、水性エポキシ、エポキシコポリマー、アクリル、アクリルコポリマー、シリコーン、
    シリコーンコポリマー、ポリシロキサン、ポリシロキサンコポリマー、アルキド、及びこ
    れらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18記載の系。
  30. 前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量に対して5〜15重量パーセ
    ントの前記非晶質リン酸アルミニウムを含み、約400 ppm未満の総可溶物含量を有する、
    請求項18記載の系。
  31. 前記非晶質リン酸アルミニウムがオルトリン酸塩である、請求項18記載の系。
  32. 前記非晶質リン酸アルミニウムがアルカリ金属を実質的に含まない、請求項18記載の
    系。
  33. 前記非晶質リン酸アルミニウムが、最大約25重量パーセントの水の水吸着能力を有する
    、請求項18記載の系。
  34. 前記コーティング組成物が、前記金属基材上に配置されたプライマーコーティングであ
    る、請求項18記載の系。
  35. 前記コーティング組成物が、前記金属基材上又は該金属基材上に配置されたプライマー
    層上に配置されたミッドコート又はトップコートコーティングである、請求項18記載の
    系。
  36. 前記コーティング組成物が、100〜200 ppmのホスフェートアニオンの制御された送達を
    有する、請求項18記載の系。
  37. 耐食性コーティング組成物を製造する方法であって、
    アルミニウム源を含む出発物質をリン源及びアルカリ溶液と合わせ、該合わせた出発物質
    を反応させて、非晶質リン酸アルミニウム沈殿を含む溶液を形成することにより非晶質リ
    ン酸アルミニウム腐食防止顔料を製造する工程;
    該非晶質リン酸アルミニウム沈殿を処理して、総可溶物を約1,500 ppm未満に低下させる
    工程;
    該沈殿を約300℃未満の温度で乾燥させる工程であって、該乾燥した沈殿が非晶質オルト
    リン酸アルミニウムを含む前記工程;及び
    該非晶質オルトリン酸アルミニウムを結合ポリマーと混合して該コーティング組成物を形
    成する工程であって、該コーティング組成物が、約25重量パーセント未満の該コーティン
    グ組成物の総重量を含む前記工程;
    を含む、前記方法。
  38. 前記処理工程が、前記非晶質リン酸アルミニウム沈殿を、該非晶質リン酸アルミニウム
    中の対象とするイオンを置換するように選択されたアルカリ土類金属と接触させることを
    含む、請求項37記載の方法。
  39. 前記対象とするイオンがアルカリ金属である、請求項38記載の方法。
  40. 前記対象とするイオンがナトリウムであり、前記アルカリ土類金属がカルシウム化合物
    を含む、請求項39記載の方法。
  41. 前記カルシウム化合物が、水酸化カルシウム、Ca(OH)2である、請求項40記載の方法
  42. 前記処理工程の後で、前記沈殿がアルカリ金属を実質的に含まない、請求項37記載の
    方法。
  43. 前記アルミニウム源が、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウ
    ム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37記載の方法。
  44. 前記リン源がリン酸である、請求項37記載の方法。
  45. 前記の合わせる工程が、最初に水酸化アルミニウムをリン酸と混合して酸性リン酸アル
    ミニウムを形成すること、及び次いで、該酸性リン酸アルミニウムをアルミン酸ナトリウ
    ムと合わせて前記非晶質リン酸アルミニウムを形成することを含む、請求項37記載の方
    法。
  46. 前記アルミン酸ナトリウムと合わせる工程の前に、前記酸性リン酸アルミニウムが、該
    アルミン酸ナトリウムがそれに加えられた後よりも高いP:Alモル比を有する、請求項45
    記載の方法。
  47. 前記処理工程の後で、前記非晶質リン酸アルミニウム沈殿が、約400 ppm未満の総可溶
    物含量を有する、請求項37記載の方法。
  48. 前記コーティング組成物が、50〜500 ppmのホスフェートアニオンの制御された送達を
    有する、請求項47記載の方法。
  49. 前記非晶質オルトリン酸アルミニウムが非晶質ヒドロキシオルトリン酸アルミニウムで
    あり、該非晶質ヒドロキシオルトリン酸アルミニウムがポリマー骨格を含む化学構造を有
    し、該非晶質ヒドロキシオルトリン酸アルミニウムが、該ポリマー骨格の内部と外側の両
    方で不動態化ホスフェートアニオンを含む、請求項37記載の方法。
  50. 前記乾燥工程の後で、前記非晶質オルトリン酸アルミニウムが、最大約25重量パーセン
    トの水の水吸着能力を有する、請求項37記載の方法。
  51. 前記耐食性コーティング組成物を金属基材に適用し、該適用されたコーティング組成物
    を完全に硬化したフィルムに形成する工程をさらに含み、前記結合ポリマーが溶剤系であ
    り、該硬化したフィルム中の前記非晶質オルトリン酸アルミニウムが、該フィルムに浸入
    する水を吸着及び/又は吸収することと、不動態化ホスフェートアニオンを提供すること
    との両方により、該下にある基材の腐食を制御する、請求項37記載の方法。
  52. 前記結合ポリマーがエポキシを含む、請求項51記載の方法。
  53. 金属基材上に配置された、請求項37記載の方法により製造された前記耐食性コーティ
    ング組成物から形成されたプライマーコーティング。
  54. 金属基材上又は該金属基材上に配置されたプライマー層上に配置された、請求項37記
    載の方法により製造された前記耐食性コーティング組成物から形成されたミッドコート又
    はトップコートコーティング。
  55. 耐食性コーティング組成物を製造する方法であって、
    アルミン酸ナトリウム、リン酸、及び水酸化ナトリウムを含む出発物質を合わせて、オル
    トリン酸アルミニウム沈殿を含む溶液を形成することにより、非晶質オルトリン酸アルミ
    ニウム腐食防止顔料を製造する工程;
    該沈殿を処理して、総可溶物のレベルを1,500 ppm未満に低減する工程;
    該沈殿を約300℃未満の温度で乾燥させる工程であって、該乾燥した沈殿が非晶質オルト
    リン酸アルミニウムを含む前記工程;
    該乾燥した非晶質オルトリン酸アルミニウムを、約0.01〜25ミクロンの範囲の粒径を有す
    るように分粒する工程;及び
    該非晶質オルトリン酸アルミニウムを結合ポリマーと混合して、該コーティング組成物を
    形成する工程であって、該コーティング組成物が、約25重量パーセント未満の該コーティ
    ング組成物の総重量を含む前記工程;
    を含む、前記方法。
  56. 前記結合ポリマーが溶剤系ポリマーを含み、前記コーティング組成物が金属基材に適用
    され、乾燥されて完全に硬化したフィルムを形成し、前記非晶質オルトリン酸アルミニウ
    ムが、該フィルムに浸入する水を吸収及び/又は吸着することと、不動態化アニオンを生
    成することとの両方により腐食を制御する、請求項55記載の方法。
  57. 前記結合ポリマーがエポキシポリマーを含む、請求項55記載の方法。
  58. 前記処理工程が、アルカリ土類金属を使用するイオン交換プロセスを実施することを含
    む、請求項55記載の方法。
  59. 前記アルカリ土類金属がカルシウム化合物である、請求項55記載の方法。
  60. 前記処理工程の後で、前記沈殿がアルカリ金属を実質的に含まない、請求項55記載の
    方法。
  61. 前記の合わせる工程の間、水酸化アルミニウムを前記出発物質にさらに加えることによ
    り、P:Alの比を低下させる、請求項55記載の方法。
  62. 前記の合わせる工程の間、追加の水酸化ナトリウムを加えることにより生じる総可溶物
    の量を低下させる、請求項61記載の方法。
  63. 前記の合わせる工程の間、前記沈殿リン酸アルミニウムが非晶質ヒドロキシオルトリン
    酸アルミニウムである、請求項55記載の方法。
  64. 前記混合工程の間、前記非晶質リン酸アルミニウムがオルトリン酸塩である、請求項5
    5記載の方法。
  65. 前記非晶質オルトリン酸アルミニウムが、その化学構造内に組み込まれた1種以上のア
    ルカリ金属を含む、請求項55記載の方法。
  66. 前記の合わせる工程の間、アルミン酸ナトリウムが、約60秒から1時間の期間をかけて
    ゆっくりと加えられる、請求項55記載の方法。
  67. 前記の合わせる工程の間、前記出発物質が、約15〜60分の期間、共に混合される、請求
    項55記載の方法。
  68. 前記の合わせる工程の間、前記出発物質が、約25〜200℃の温度に付される、請求項5
    5記載の方法。
  69. 前記の合わせる工程の間、前記アルミン酸ナトリウムが、約10秒〜30分の期間をかけて
    ゆっくりと加えられ、約1〜30分の期間、共に混合され、約25〜200℃の温度に付される、
    請求項55記載の方法。
  70. 前記混合工程の間、前記非晶質オルトリン酸アルミニウムのヒドロキシル基が、前記結
    合ポリマーの好適な官能基と結合して、該結合ポリマー内に均一に分散した該非晶質オル
    トリン酸アルミニウムを含む安定なマトリックスを形成する、請求項55記載の方法。
  71. 前記混合工程の間、前記結合ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、溶剤型エポキ
    シ、無溶剤型エポキシ、水性エポキシ、エポキシコポリマー、アクリル、アクリルコポリ
    マー、シリコーン、シリコーンコポリマー、ポリシロキサン、ポリシロキサンコポリマー
    、アルキド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項55記載の方法
  72. 前記の合わせる工程が、最初に酸性オルトリン酸アルミニウムを形成し、次いでアルミ
    ン酸ナトリウムを、該酸性オルトリン酸アルミニウムに加えて、P:Alのモル比を低下させ
    ることを含む、請求項55記載の方法。
  73. 前記非晶質リン酸アルミニウムが非晶質ヒドロキシオルトリン酸アルミニウムであり、
    前記非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムがポリマー性骨格を含む化学構造を有し、該非
    晶質ヒドロキシオルトリン酸アルミニウムが、該ポリマー骨格の内部と外側の両方で不動
    態化ホスフェートアニオンを含む、請求項55記載の方法。
  74. 耐食性コーティング組成物を製造する方法であって、
    アルミン酸ナトリウム、リン酸、及び水酸化ナトリウムを合わせ、該合わせた出発物質を
    、該反応生成物を処理しながら反応させて、オルトリン酸アルミニウム沈殿を含む溶液を
    形成することにより、非晶質オルトリン酸アルミニウム腐食防止顔料を製造する工程;
    該沈殿を約300℃未満の温度で乾燥させる工程であって、該乾燥した沈殿が非晶質オルト
    リン酸アルミニウムを含む前記工程;
    該乾燥した非晶質オルトリン酸アルミニウムを、約0.01〜25ミクロンの範囲の粒径を有す
    るように分粒する工程;及び
    該非晶質オルトリン酸アルミニウムを結合ポリマーと混合して、該コーティング組成物を
    形成する工程であって、該コーティング組成物が約25重量パーセント未満の該コーティン
    グ組成物の総重量を含む前記工程;
    を含む、前記方法。
  75. 前記処理工程が、前記沈殿から総可溶物を除去することを含む、請求項72記載の方法
  76. 前記処理工程が、アルカリ土類金属を使用するイオン交換プロセスを実施して、前記沈
    殿内の対象とするイオンを除去することを含む、請求項75記載の方法。
  77. 前記アルカリ土類金属がカルシウム化合物であり、前記対象とするイオンがアルカリ金
    属を含む、請求項76記載の方法。
  78. 前記の合わせる工程の間、前記オルトリン酸アルミニウム沈殿が、非晶質ヒドロキシオ
    ルトリン酸アルミニウムである、請求項74記載の方法。
  79. 前記処理工程の後で、前記沈殿がアルカリ金属を実質的に含まない、請求項74記載の
    方法。
  80. 前記製造工程の間、酸性オルトリン酸アルミニウムが最初に製造され、次いで、前記ア
    ルミン酸ナトリウムがそこに加えられて、P:Alのモル比を低下させる、請求項74記載の
    方法。
  81. 前記の合わせる工程の間、前記アルミン酸ナトリウムが、約60秒〜30分の期間をかけて
    ゆっくりと加えられる、請求項74記載の方法。
  82. 前記の合わせる工程の間、前記出発物質が、約15〜30分間の期間、共に混合される、請
    求項74記載の方法。
  83. 前記の合わせる工程の間、前記出発物質が約25〜200℃の温度に付される、請求項74
    記載の方法。
  84. 前記の合わせる工程の間、前記アルミン酸ナトリウムが、約10秒〜30分の期間をかけて
    ゆっくりと加えられ、約1〜30分の期間、共に混合され、約25〜200℃の温度に付される、
    請求項74記載の方法。
  85. 前記混合工程の間、前記非晶質オルトリン酸アルミニウムのヒドロキシル基が、前記結
    合ポリマーの好適な官能基と結合して、該結合ポリマー内に均一に分散した該非晶質オル
    トリン酸アルミニウムを含む安定なマトリックスを形成する、請求項74記載の方法。
  86. 前記混合工程の間、前記結合ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、溶剤型エポキ
    シ、無溶剤型エポキシ、水性エポキシ、エポキシコポリマー、アクリル、アクリルコポリ
    マー、シリコーン、シリコーンコポリマー、ポリシロキサン、ポリシロキサンコポリマー
    、アルキド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項74記載の方法
  87. 前記非晶質オルトリン酸アルミニウムがポリマー骨格を含む化学構造を有し、前記非晶
    質リン酸アルミニウムが、該ポリマー骨格の内部と外側の両方で不動態化ホスフェートア
    ニオンを含む、請求項74記載の方法。
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