JP2017137215A - 炭酸カルシウム資材の製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウム資材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】海生貝類を再資源化することにより得られる炭酸カルシウム資材の塩分含有量を低減する。【解決手段】炭酸カルシウム資材の製造方法は、海生貝類から貝肉が除去された貝殻を準備する貝殻準備工程と、貝殻準備工程で準備された貝殻を焼成して焼成貝殻を得る焼成工程と、焼成工程において得られた焼成貝殻を分級して、貝殻が有する殻皮を分離した殻皮除去貝殻を得る殻皮分離工程とを備えている。この炭酸カルシウム資材の製造方法において、焼成工程では、貝殻を80℃以下の加熱開始温度から30℃/分以下の昇温速度で昇温させる。【選択図】図1

Description

この発明は、炭酸カルシウム資材の製造方法に関し、特に、海生貝類の貝殻を再資源化することにより得られる炭酸カルシウム資材の製造方法に関する。
火力発電所等においては、多量の冷却水が必要となるため、冷却水として海水を利用することが行われている。このように海水を冷却水等として利用する施設(海水利用施設)の水路には、ムラサキイガイ等の貝類(海生貝類、以下、単に「貝類」とも呼ぶ)が発生・生育する。貝類が発生・生育した状態を放置すると、水路を閉塞して取水や排水に支障を来す虞がある。そこで、従来から、海水利用施設においては、定期的に水路の清掃を行い、水路において発生・生育した貝類を除去することが行われている。
水路の清掃により除去された貝類(除去貝)は、廃棄物として埋め立て処分や焼却処分が行われているが、埋め立て処分場や焼却処分場の確保が容易ではない。そのため、除去貝の再資源化を行い、廃棄物としての排出量を低減することが求められている。そこで、除去貝の廃棄物としての排出量を低減するため、除去貝を有効利用することが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、除去貝から有用エキスと分解物、貝殻を各々分離して取り出すとともに、有用エキスを摂餌促進物質として利用し、分解物を飼料原料として利用することが提案されている。そして残った貝殻は、必要に応じて更に破砕し、焼成等を施して、カルシウム原料や水処理材、吸着材等として利用することが提案されている。
特開2004−351307号公報
ところで、貝殻は、一般的に、炭酸カルシウムを含み貝殻の主たる部分である殻本体と、殻本体の外部を覆う膜状の殻皮とからなる。この殻皮は、主として化学的な安定性が高いキチン質からなっているため、除去することが困難である。具体的にいえば、殻皮を形成するキチン質は、アルカリ処理によりキトサンに変換した後、キトサンを酸に溶解させることは可能である。しかしながら、キトサンを酸に溶解させる際には、殻本体の炭酸カルシウムも溶解する。また、貝肉を発酵分解する一般的なバクテリアは、キチン質を分解しないため、貝肉を発酵分解することのみによって殻皮を除去することができない。
このように貝殻に残存した殻皮は、生育環境である海水中の塩分を含むため、貝殻全体を焼成して得られたカルシウム原料(炭酸カルシウム資材)には、殻皮に由来する塩分が含有されることとなる。炭酸カルシウム資材に含有される塩分は、その用途によっては重大な影響を及ぼす虞がある。例えば、炭酸カルシウム資材を土壌改良資材に用いた場合、炭酸カルシウム資材に含有される塩分によって塩害が生じる虞があり、また、炭酸カルシウム資材をセメント原料に用いた場合、炭酸カルシウム資材に含有される塩分によって鉄筋等の腐食を誘発する虞がある。また、これらの用途以外においても、炭酸カルシウム資材に含まれる塩分の含有量をより少なくすることが求められている。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、海生貝類を再資源化することにより得られる炭酸カルシウム資材の塩分含有量を低減する技術を提供することを目的とする。
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
炭酸カルシウム資材の製造方法であって、海生貝類から貝肉が除去された貝殻を準備する貝殻準備工程と、前記貝殻準備工程で準備された前記貝殻を焼成して焼成貝殻を得る焼成工程と、前記焼成工程において得られた前記焼成貝殻を分級して、前記貝殻が有する殻皮を分離した殻皮除去貝殻を得る殻皮分離工程と、を備え、前記焼成工程では、前記貝殻を80℃以下の加熱開始温度から30℃/分以下の昇温速度で昇温させる、炭酸カルシウム資材の製造方法。
この適用例によれば、貝殻を80℃以下の加熱開始温度から30℃/分以下の昇温速度で昇温させることにより、貝殻が有する殻皮が変性して殻本体に固着することを抑制し、殻皮を殻本体から剥離させることができる。そして、分級により殻皮を分離することにより、炭酸カルシウム資材として殻皮が除去された殻皮除去貝殻を得ることができる。一般に、海生貝類の貝殻が有する殻皮には、生育環境である海水の塩分が含まれるが、本適用例によって殻皮が分離されることにより、得られた殻皮除去貝殻への殻皮由来の塩分の含有が抑制される。そのため、得られた炭酸カルシウム資材の塩分の含有量を十分に少なくすることが可能となる。
[適用例2]
適用例1記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、さらに、前記殻皮分離工程において得られた前記殻皮除去貝殻を破砕して破砕貝殻を得る破砕工程と、前記破砕工程において得られた前記破砕貝殻を分級して、用途に応じた大きさの破砕貝殻を分離する工程と、を備える、炭酸カルシウム資材の製造方法。
炭酸カルシウム資材の大きさには、その用途に応じて適正な範囲がある。そのため、殻皮分離工程において殻皮が除去された殻皮除去貝殻を破砕し、得られた破砕貝殻を分級して用途に応じた大きさの破砕貝殻を分離することにより、用途に適した大きさの破砕貝殻(炭酸カルシウム資材)を得ることができる。
[適用例3]
適用例2記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、前記炭酸カルシウム資材は、土壌改良資材、養鶏用飼料、食品添加物あるいは化粧品の原料であり、前記焼成工程における加熱終了温度は、120℃ないし150℃である、炭酸カルシウム資材の製造方法。
土壌改良資材、養鶏用飼料、食品添加物あるいは化粧品の原料では、衛生上の観点から貝類に存在するサルモネラ菌などの細菌を死滅させた滅菌状態とすることが求められる。また、土壌改良資材、養鶏用飼料、食品添加物あるいは化粧品の原料では、炭酸カルシウム資材への炭化物の含有量をより少なくすることが求められる。本適用例によれば、加熱終了温度を120℃以上とすることにより、炭酸カルシウム資材を滅菌状態とすることができる。また、加熱終了温度を150℃以下とすることにより、殻本体に含まれるタンパク質の炭化を抑制することができる。そのため、滅菌状態で、かつ、炭化物の含有量が少ない、良質の土壌改良資材、養鶏用飼料、食品添加物および化粧品の原料を提供することが可能となる。
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、前記焼成工程は、連続式のロータリーキルンで行われる、炭酸カルシウム資材の製造方法。
連続式のロータリーキルンでは、炉体の回転速度と、バーナの発熱用もしくは外部ヒータの発熱量とにより決定されるロータリーキルンの運転状態によって、焼成開始温度(すなわち、投入端の温度)と昇温速度とを所望の状態とすることができる。そのため、焼成工程において殻皮を殻本体から剥離させることがより容易となる。
土壌改良資材の製造工程を示す工程図。 土壌改良資材の製造工程を示す工程図。
本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
B.実施例:
C.変形例:
A.実施形態:
図1および図2は、本発明の一実施形態における土壌改良資材の製造工程を示す工程図である。本実施形態の土壌改良資材は、出発原料としての貝殻11を再資源化処理することにより製造される。本実施形態の土壌改良資材製造工程においては、まず、図1(a)に示すように、再資源化の対象となる貝殻11が準備される。貝殻11としては、例えば、発電所等の海水を利用する施設の水路に発生したムラサキイガイ等の海生貝類から貝肉を除去したものが使用される。貝肉の除去は、例えば、貝肉を含む貝全体とおが屑等の媒体材とを混合したものを盛土状に堆積し(例えば、特開2012−110795号公報参照)、あるいは、貝全体を曝気槽に投入して(例えば、特開2007−160130号公報参照)、貝肉を発酵分解させることで行うことができる。また、貝殻11として、アサリやホタテ貝等の食用の海生貝類の残滓である貝殻や、真珠を採種した残滓であるアコヤガイの貝殻を使用することも可能である。なお、食用貝の貝殻やアコヤガイの貝殻に貝肉が残存する場合には、上述のように貝肉を発酵分解させて、残存する貝肉が除去される。なお、このように貝肉を発酵分解させても、貝殻11が有する殻皮は、殻皮が主として化学的な安定性が高いキチン質からなっているため、除去することが困難である。
準備された貝殻11は、図1(b)に示すように、水112により洗浄される。具体的には、まず、準備された貝殻11を金網籠120に装入し、金網籠120を振り動かすことにより、貝肉の除去に使用され、貝殻11に付着している媒体材等を篩い落とす。次いで、貝殻11が装入された金網籠120をピット110に貯留された水112に投入し、金網籠120を振り動かすことにより、貝殻11は洗浄される。なお、貝殻の洗浄は、この方法の他、種々の方法によって行うことも可能である。例えば、貝殻に流水を噴射して洗浄を行うものとしても良く、上面が開いた容器に貝殻を装入して当該容器を水没させて振り動かすものとしても良い。後者の場合においても、媒体材がおが屑などの低比重のものであれば、除去することができる。また、準備される貝殻11の状態によっては、洗浄を省略し、あるいは、複数の方法によって洗浄を行うことも可能である。
洗浄の後、貝殻11は、天日干しされることで乾燥される(図1(c))。天日干しによる乾燥により、貝殻11に含まれる水分が焼成(後述する)の工程に影響を与えない程度(例えば、水分量が貝殻11全体の5重量%以下)に調整される。なお、準備される貝殻11の状態によっては、乾燥を省略することも可能である。
乾燥された貝殻11は、図1(d)に示すように、ロータリーキルン200を用いて焼成される。ロータリーキルン200は、いわゆる内熱型のロータリーキルンであり、ロータリーキルン200の本体であり傾斜がつけられた円筒状の炉体202と、炉体202の一端(投入端)に設けられた投入部210と、投入部210とは反対の端(排出端)に設けられたバーナ220とを有している。また、炉体202の投入端には、フード204を介して炉体202の内部に接続されている排気管230が設けられている。
炉体202の内部は、バーナ220が炉体202の内部に向けて火炎を噴出することにより、火炎からの放射熱と、高温の燃焼ガスから伝達される熱とにより加熱される。このとき、炉体202の内部においては、バーナ220が設けられた排出端から投入端に向かってバーナ220が噴出する火炎からの距離が離れるとともに、燃焼ガスがバーナ220から投入端に設けられた排気管230に向かって流れる。そのため、炉体202の内側の温度は、投入端から排出端に向かって上昇する。
投入部210を介して炉体202に投入された貝殻11は、ロータリーキルン200の炉体202がその軸を中心に回転することにより攪拌される。また、ロータリーキルン200の炉体202には傾斜がつけられているため、炉体202の回転により、貝殻11は、投入端から排出端に向かって徐々に移動する。そして、排出端からは、焼成された貝殻(焼成貝殻)12が取り出される。このように、貝殻11は、投入端から排出端に向かって温度が上昇する炉体202の内側を移動するため、投入端の低い温度から排出端の高い温度まで、徐々に昇温される。そして、貝殻11を徐々に昇温させることにより、発酵分解によっては除去することが困難な殻皮が、貝殻11の主な部分である殻本体から剥離し、殻皮が殻本体から剥離することにより、殻皮を容易に除去することが可能となる。
なお、殻皮をより確実に除去するためには、殻皮が殻本体から剥離する前に変性して、変性した殻皮が殻本体に固着することを抑制することが求められる。変性した殻皮が殻本体に固着することを抑制するためには、投入端の温度、すなわち、加熱開始時の温度(加熱開始温度)を80℃以下とするのが好ましく、60℃以下とするのがより好ましい。また、排出端の温度、すなわち、加熱終了時の温度(加熱終了温度)は、焼成貝殻12を滅菌状態とするため、100℃以上とするのが好ましく、120℃以上とするのがより好ましい。なお、加熱終了温度の上限は、殻本体に含まれるタンパク質(コンキオリン)の炭化を抑制するため、150℃とするのが好ましい。
貝殻11が投入端から排出端まで炉体202内を移動する時間(焼成時間)、すなわち、貝殻11を投入端から投入して焼成貝殻12として排出端から取り出されるまでの時間は、貝殻11の温度が急速に上昇し変性した殻皮が殻本体に固着することを抑制するため、3分以上とするのが好ましく、5分以上とするのがより好ましい。さらに、焼成貝殻12をより確実に滅菌状態とするためには、焼成時間は10分以上とするのが好ましい。なお、ロータリーキルン200を用いる場合には、焼成時間は、炉体202の回転速度を変更することにより、調整することができる。
なお、殻皮を殻本体から剥離させる条件は、加熱開始温度および焼成時の貝殻11の昇温速度を用いて規定することができる。具体的には、焼成時において、上述の加熱開始温度から、30℃/分以下の昇温速度で昇温するように貝殻11を焼成することにより、殻皮を殻本体から剥離させることができる。この場合、加熱終了温度および焼成時間は、上述の加熱開始温度および昇温速度を充足するように適宜調整される。なお、より確実に殻皮を殻本体から剥離させるため、昇温速度は、20℃/分以下とするのがより好ましく、10℃/分以下とするのがさらに好ましい。また、昇温速度には実質的に下限はないが、昇温速度が低くなりすぎると焼成に要する時間が長くなるため、昇温速度は1℃/分以上とするのが好ましい。
焼成の後、図2(a)に示すように、篩い分け(分級)を行うことにより、焼成貝殻12から剥離した殻皮18を分離し、殻皮18が除去された焼成貝殻13(殻皮除去貝殻)を得る。具体的には、焼成貝殻12を分級機300の篩310の上に投入し、篩310を振動駆動装置320により楕円軌道を描くように振動させる。この篩310のメッシュサイズを適宜調整することにより、小片となる殻皮18は篩310の下に落下し、殻皮18が除去された焼成貝殻13は篩310の一端から送出される。
殻皮18が除去された焼成貝殻13は、次に破砕機400に投入されて破砕され、破砕貝殻14が得られる(図2(b))。破砕機400としては、鬼歯412が設けられた2つのロール410を回転駆動させ、2つのロール410に設けられた鬼歯412に被破砕物(ここでは、焼成貝殻13)を噛み込ませて破砕する一般的な破砕機を用いることができる。なお、図2の例では、2つのロール410を用いる破砕機400を用いて焼成貝殻13を破砕しているが、焼成貝殻13の破砕は、他の種類の破砕機(例えば、打撃式の破砕機や単一ロールの破砕機)を用いて行うことができる。
破砕貝殻14には、土壌改良資材として適度な大きさの貝殻片と、土壌改良資材としては過度に小さい貝殻片(貝殻細片)とが含まれる。そこで、図2(c)に示すように、破砕貝殻14を分級機500に投入し、篩い分けを行うことにより、貝殻細片19を分離する。これにより、破砕貝殻14から貝殻細片19が分離された破砕貝殻15、すなわち、最終製品としての土壌改良資材が得られる。なお、図2(c)の例では、分級を1段階でのみ行っているが、多段階の分級を行うものとしても良い。例えば、破砕機によって破砕された破砕貝殻に、土壌改良資材として過度に大きい貝殻片が含まれる場合には、過度に大きい貝殻片を篩い分けて分離するものとしても良い。この場合、篩い分けにより分離された過度に大きい貝殻片を再度破砕し、再度破砕された貝殻片を篩い分けることにより、土壌改良資材となる破砕貝殻15を得るものとしても良い。
一般的に、貝殻の外部を覆う殻皮には、貝類の生育環境である海水中の塩分が含まれる。しかしながら、本実施形態によれば、焼成工程(図1(c))において殻皮が殻本体から剥離され、焼成工程に次いで行われる殻皮分離工程(図2(a))において、剥離された殻皮が殻本体から分離されるので、これらの工程を経た破砕貝殻13〜15には、殻皮に由来する成分がほとんど含まれない。そのため、最終製品の土壌改良資材となる破砕貝殻15において、土壌改良資材として含有が望ましくない塩分の含有量を十分に少なくすることができる。言い換えれば、本実施形態によれば、土壌改良資材として含有が望ましくない塩分の含有量を十分に少なくした土壌改良資材を製造することが可能となる。
B.実施例:
貝肉を除去したムラサキイガイの貝殻を貯留した水に浸漬して洗浄した後、洗浄した貝殻を天日干しして水分量が貝殻全体の5重量%以下となるようにした。この天日干しした貝殻の一部を試料(殻皮残存試料)として取り置き、残部の貝殻の焼成を行った。焼成は、炉体長:12m(有効長11m),炉体径:φ1.4mの炉体が傾斜した内熱型のロータリーキルンを用いて行った。炉体内の温度は、バーナの発熱量を調整することにより、投入端を60℃とし、排出端を120℃とした。また、炉体の回転速度を調整して、焼成時間を10分とした。なお、炉体内の温度分布は厳密に評価できないが、昇温速度は10℃/分以下と推定される。
次いで、焼成した貝殻を振動移送型の分級機により篩い分けて、焼成により剥離した殻皮を除去した。殻皮が除去した後、貝殻を2つのロールを使用した破砕機により破砕し、貝殻片を得た。次に、大きさが広く分布している貝殻片をさらに振動移送型の分級機に投入し、分級することにより土壌改良資材として適度な大きさの貝殻片(殻皮除去試料)を得た。
このようにして得られた殻皮除去試料と、焼成前に取り置いた殻皮残存試料との塩分含有量を評価した。塩分含有量は、殻皮残存試料および殻皮除去試料のそれぞれについて、水抽出を行い、得られた水抽出液の塩分濃度を硝酸銀滴定により定量した。なお、水抽出と、塩分濃度の評価は、「土壌養分分析法」(農林省農林水産技術会議事務局監修、1994年発行)に記載の方法に準じて行った。
評価の結果、殻皮残存試料の塩分含有量は、試料乾燥重量100g中776mgであり、殻皮除去試料の塩分含有量は、試料乾燥重量100g中8.9mgであった。この結果から、本実施例に示した方法により殻皮を除去することで、最終製品として得られる土壌改良資材の塩分含有量は、殻皮を除去しない場合に比べて1/87となり、本発明により塩分含有量を十分に低減した土壌改良資材が得られることが確認できた。
C.変形例:
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記実施形態では、炉体202が傾斜した内熱型のロータリーキルン200を用いて貝殻11を焼成しているが、貝殻11の焼成は、異なる形式のロータリーキルンや電気炉等を用いて行うことができる。例えば、炉体が傾斜した外熱型のロータリーキルン、炉体内部に螺旋状の移送部材が設けられた内熱型あるいは外熱型のロータリーキルン、バッチ処理型のロータリーキルンや電気炉等を用いて行うことが可能である。これらの場合においても、上述の焼成開始温度から、上述の昇温速度で貝殻を昇温させることにより、殻皮を殻本体から剥離させることができる。
なお、貝殻11の焼成には、炉体が傾斜し、あるいは、炉体内部に螺旋状の移送部材が設けられたロータリーキルン(連続式のロータリーキルン)を用いるのが好ましい。本実施形態のように、連続式のロータリーキルンを用いれば、ロータリーキルンの運転状態(炉体の回転速度、および、バーナの発熱用もしくは外部ヒータの発熱量)を調整することにより、焼成開始温度と昇温速度とを所望の状態とすることができるので、焼成工程において殻皮を殻本体から剥離させることがより容易となる。
C2.変形例2:
上記実施形態では、分級機300,500として、篩310,510を振動駆動装置320,520により楕円軌道を描くように振動させる振動移送型の分級機を用いているが、分級機としては、篩を傾斜した重力移送型の分級機や、空気圧を利用した分級機等、種々の分級機を用いることができる。
C3.変形例3:
上記実施形態では、本発明を土壌改良資材の製造に適用しているが、本発明は、土壌改良資材の他、養鶏用飼料、食品添加物、ファンデーション等の化粧品の原料、セメント原料等の種々の炭酸カルシウム資材の製造に適用することができる。これらの場合においても、炭酸カルシウム資材における塩分の含有量をより少なくするのが望ましい。従って、貝殻の殻皮をより確実に除去することが可能な本発明を適用することにより、塩分の含有量の低いより良質な炭酸カルシウム資材を得ることができる。
なお、炭酸カルシウム資材の用途に応じて、破砕および破砕後の分級工程を省略することができる。例えば、セメント原料として使用する場合には、破砕以降の工程を省略しても良い。また、破砕後の分級工程において得られた種々の大きさの貝殻片を、その大きさに応じて適した用途に用いることも可能である。例えば、図2(c)に示す分級工程において分離された貝殻細片19を、土壌改良資材以外の用途に用いるものとしても良い。一般的には、分級により、用途に応じた大きさの破砕貝殻が分離できればよい。
C4.変形例4:
上記実施形態では、加熱終了温度の好適な上限を150℃としているが、セメント原料等の殻本体に含まれるタンパク質の炭化が問題とならない炭酸カルシウム資材を製造する場合には、加熱終了温度を150℃以上とすることができる。この場合においても、殻皮を殻本体から剥離させるため、貝殻は、上述の加熱開始温度から、上述の昇温速度で昇温するように焼成される。
11…貝殻
12…焼成貝殻
13…焼成貝殻
14…破砕貝殻
15…破砕貝殻
18…殻皮
19…貝殻細片
110…ピット
112…水
120…金網籠
200…ロータリーキルン
202…炉体
204…フード
210…投入部
220…バーナ
230…排気管
300…分級機
310…篩
320…振動駆動装置
400…破砕機
410…ロール
412…鬼歯
500…分級機
510…篩
520…振動駆動装置

Claims (4)

  1. 炭酸カルシウム資材の製造方法であって、
    海生貝類から貝肉が除去された貝殻を準備する貝殻準備工程と、
    前記貝殻準備工程で準備された前記貝殻を焼成して焼成貝殻を得る焼成工程と、
    前記焼成工程において得られた前記焼成貝殻を分級して、前記貝殻が有する殻皮を分離した殻皮除去貝殻を得る殻皮分離工程と、
    を備え、
    前記焼成工程では、前記貝殻を80℃以下の加熱開始温度から30℃/分以下の昇温速度で昇温させる、
    炭酸カルシウム資材の製造方法。
  2. 請求項1記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、さらに、
    前記殻皮分離工程において得られた前記殻皮除去貝殻を破砕して破砕貝殻を得る破砕工程と、
    前記破砕工程において得られた前記破砕貝殻を分級して、用途に応じた大きさの破砕貝殻を分離する工程と、
    を備える、
    炭酸カルシウム資材の製造方法。
  3. 請求項2記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、
    前記炭酸カルシウム資材は、土壌改良資材、養鶏用飼料、食品添加物あるいは化粧品の原料であり、
    前記焼成工程における加熱終了温度は、120℃ないし150℃である、
    炭酸カルシウム資材の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、
    前記焼成工程は、連続式のロータリーキルンで行われる、
    炭酸カルシウム資材の製造方法。
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JPH1143324A (ja) * 1997-07-23 1999-02-16 Toshiba Corp 貝殻の資源化方法
JP2012097043A (ja) * 2010-11-02 2012-05-24 Natural Japan Co Ltd ラジカル発生剤及びその製造方法
JP2014097917A (ja) * 2012-11-13 2014-05-29 Nx Inc シジミ貝殻焼成品の製造方法、及びそれを有効成分とした肝臓機能障害改善用組成物

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