JP2017136581A - 植物熱分解粉末組成物、炭素含有水系液状物及び植物熱分解粉末組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水との共存により微量でも多種類の分子に対して良好な吸収活性を示し、木炭や活性炭よりも活用範囲の広い植物熱分解粉末組成物の提供。【解決手段】未炭化熱分解生成物に由来した赤外吸収スペクトル形状が、3600cm−1〜3800cm−1間に第一谷点V1、1600cm−1〜1800cm−1間に第一谷点よりも低い第二谷点V2、850cm−1〜1050cm−1間に第一谷点よりも高い第三谷点V3を生じ、第一谷点V1から第二谷点V2に向けて、2700cm−1〜3500cm−1間に頂点を形成しつつ第一谷点V1側が第二谷点V2側よりも急峻となる短波長側ブロード主ピークP1を含む1ないし複数の吸収ピークからなる第一ピーク区間および、第二谷点V2から第三谷点V3に向けて、1515cm−1〜1650cm−1間に頂点を有する長波長側主ピークP5を少なくとも含む複数の吸収ピークからなる第二ピーク区間が形成される。【選択図】図4
Description
この発明は植物熱分解粉末組成物、炭素含有水系液状物及び植物熱分解粉末組成物の製造方法に関するものである。
植物を利用した炭素系組成物としては、木材や竹材などを酸素遮断雰囲気にて蒸し焼きにすることにより炭を製造し、燃料等に使用することが古来行われてきた。炭は燃料以外にも、焼成の際に形成される微細孔により大きな比表面積を有することから、その吸着能力を利用して消臭や水質浄化などにも活用されている。特に、空気や二酸化炭素雰囲気にてヤシ殻炭などを高温熱処理することにより、さらに多孔質化(賦活化)して吸着比表面積を増大したものは活性炭と称され、消臭や水質浄化用の吸着材として大量に使用されている。
他方、特許文献1には、こうした従来の木炭や活性炭の欠点に関し、特定の有害成分に対する選択的な吸着性や除去効果には優れているものの、有害成分の種類によっては吸着性に乏しい場合があることが指摘されている。そして、これを前提とした実用上の問題として、通常の使用環境においては単一の有害成分だけが存在する環境は少なく、複数の有害成分が混在している場合がほとんどであり(例えば、住宅の室内には、建材などから放出されるホルムアルデヒド、アンモニア、硫化水素その他、数多くの化学物質からなる有害成分が存在する)、従来の活性炭では、そのうちの何れか1種に対する吸着性には優れていても、全ての有害成分を実用的に十分な程度に吸着することができない点が挙げられている。
そこで、特許文献1では、これを解決するべく、木炭の原料となる木材チップを、通常の木炭よりも低い450℃〜550℃にて100〜120時間もの長時間をかけて第一段階の炭化処理(低温炭化処理)を行い、次いで800℃〜900℃に昇温して空気中で撹拌しながら8〜16分の第二段階の炭化処理を行い、さらに水と接触させて急冷する活性化木炭の製造方法が開示されている。このようにして得られる活性化木炭は、中心側に低温炭化部分が、外周側に高温炭化部分が形成される2層構造となり、低温炭化部分は酢酸やアンモニアなどの分子量の大きい化合物に対する吸着能に優れ、高温炭化部分はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、エチレンなどの分子量の小さい化合物に対する吸着能に優れるので、分子量の異なる複数種類の有害成分に対し顕著な吸着能を発揮できる、というものである。特許文献1の表1の実験結果によると、11.4リットルのガラス製容器に上記のごとく得られた活性化木炭3gが封入され、容器内に試験ガスを注入して、木炭とガスとを直接接触させる形で吸着能の評価がなされており、アンモニア、硫化水素及びアセトアルデヒドに対し優位な吸着能が発揮されていることが示されている。
炭素 No.183(1998)p.168−172 片桐 元「炭素材料のラマンスペクトル」
特許文献1における低温炭化処理の温度は、原料となる木材チップを構成するセルロースの炭化が、時間さえかければ十分に進行する程度に設定されている。その結果、前述の低温炭化部分は、生成した元素状炭素の拡散速度が小さく、植物組織段階で形成されている空隙を十分に収縮させるには至らず、結果として形成される吸着孔のサイズが大きくなって、比較的大きい分子に対する選択吸着能を示すと考えるのが妥当である。他方、高温炭化処理は、酸素供給下での撹拌と水との接触という、通常の活性炭における賦活処理と類似した内容で実施されており、比表面積が100m2/gを超えるレベルまで微細な空孔が入り組んで形成される。こうした微細孔は、当然にサイズの小さい分子に対する選択吸着能を示すと考えられる。すなわち、特許文献1の活性化木炭は、あくまで木炭表面における気中分子の物理的な吸脱着を原理とするものであり、木炭内部と外周部との吸着孔サイズの相違に基づいて種々の分子に対する選択吸着能を発揮しているに過ぎない。その結果、次のような問題を内包するものである。
(1)木炭内部ないし外周部にかかわらず、細孔表面が吸着分子で覆いつくされると吸着能が極度に低下する問題がある。加熱脱着処理を行えば再生は可能であるが、再生処理コストを要する。
(2)良好な吸着能が得られるのは、雰囲気ガスと木炭とが直接接触する場合に限られ、使用形態が大きく限定される。
(3)十分な消臭効果を得るには、雰囲気ガス10L当たり数グラム程度の多量の活性化木炭が必要であり、長時間に及ぶ2段炭化処理が必要な点に鑑みれば非常に高価な吸着材である。
(4)吸着・消臭以外の用途に乏しい。
(2)良好な吸着能が得られるのは、雰囲気ガスと木炭とが直接接触する場合に限られ、使用形態が大きく限定される。
(3)十分な消臭効果を得るには、雰囲気ガス10L当たり数グラム程度の多量の活性化木炭が必要であり、長時間に及ぶ2段炭化処理が必要な点に鑑みれば非常に高価な吸着材である。
(4)吸着・消臭以外の用途に乏しい。
本発明の課題は、水との共存により微量でも多種類の分子に対し極めて良好な吸収活性を示し、従来の木炭や活性炭よりもはるかに活用範囲の広い植物熱分解粉末組成物とその製造方法、及びその植物熱分解粉末組成物を水に溶解ないし分散させた炭素含有水系液状物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の植物熱分解粉末組成物は、
セルロース及びでんぷんの少なくともいずれかと蛋白質とを含有する植物組織の未炭化熱分解生成物と、植物組織が炭化して形成された元素状炭素とが混合した粉末組成物として形成され、
含有全炭素量に占める有機炭素質量含有率をCO、元素状炭素含有率をCEとしてCO/(CO+CE)が0.05以上0.9以下であり、
未炭化熱分解生成物に由来した赤外吸収スペクトル形状が、3600cm−1から3800cm−1に至る波数区間に第一谷点V1を生じ、1600cm−1から1800cm−1に至る波数区間に第一谷点よりも低い第二谷点V2を生じ、850cm−1から1050cm−1に至る波数区間に第一谷点よりも高い第三谷点V3を生ずるとともに、第一谷点V1から第二谷点V2に向けて、2700cm−1以上3500cm−1以下の区間に頂点を形成しつつ第一谷点V1側が第二谷点V2側よりも急峻となる短波長側ブロード主ピークを少なくとも含む1ないし複数の吸収ピークからなる第一ピーク区間が形成され、第二谷点V2から第三谷点V3に向けて、1515cm−1以上1650cm−1以下の区間に頂点を有する長波長側主ピークを少なくとも含む一体的な複数の吸収ピークからなる第二ピーク区間が形成され、第一谷点V1に対する第三谷点V3の吸光度増分をΔhとし、第一谷点V1と第二谷点V2とを結ぶ第一ベースラインからの第一ピーク区間の最高点までの高さをhAとしてhA/Δhが0.1以上であり、第二谷点V2と第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hAとなるものであり、
炭素含有率が10ppm以上1000ppm以下となるように水に溶解ないし分散させて液状物としたとき、該液状物の液面と接する気中の酸性分子成分と塩基性分子成分との双方に対し、当該粉末組成物を含有しない水よりも大きい吸収活性を示すことを特徴とする。
セルロース及びでんぷんの少なくともいずれかと蛋白質とを含有する植物組織の未炭化熱分解生成物と、植物組織が炭化して形成された元素状炭素とが混合した粉末組成物として形成され、
含有全炭素量に占める有機炭素質量含有率をCO、元素状炭素含有率をCEとしてCO/(CO+CE)が0.05以上0.9以下であり、
未炭化熱分解生成物に由来した赤外吸収スペクトル形状が、3600cm−1から3800cm−1に至る波数区間に第一谷点V1を生じ、1600cm−1から1800cm−1に至る波数区間に第一谷点よりも低い第二谷点V2を生じ、850cm−1から1050cm−1に至る波数区間に第一谷点よりも高い第三谷点V3を生ずるとともに、第一谷点V1から第二谷点V2に向けて、2700cm−1以上3500cm−1以下の区間に頂点を形成しつつ第一谷点V1側が第二谷点V2側よりも急峻となる短波長側ブロード主ピークを少なくとも含む1ないし複数の吸収ピークからなる第一ピーク区間が形成され、第二谷点V2から第三谷点V3に向けて、1515cm−1以上1650cm−1以下の区間に頂点を有する長波長側主ピークを少なくとも含む一体的な複数の吸収ピークからなる第二ピーク区間が形成され、第一谷点V1に対する第三谷点V3の吸光度増分をΔhとし、第一谷点V1と第二谷点V2とを結ぶ第一ベースラインからの第一ピーク区間の最高点までの高さをhAとしてhA/Δhが0.1以上であり、第二谷点V2と第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hAとなるものであり、
炭素含有率が10ppm以上1000ppm以下となるように水に溶解ないし分散させて液状物としたとき、該液状物の液面と接する気中の酸性分子成分と塩基性分子成分との双方に対し、当該粉末組成物を含有しない水よりも大きい吸収活性を示すことを特徴とする。
また、本発明の植物熱分解粉末組成物の製造方法は、
セルロース及びでんぷんの少なくともいずれかと蛋白質とを含有する植物組織原料を、250℃以上であって800℃を超えない焼成温度にて非酸化性雰囲気中で、原料中の含有全炭素量の10%以上95%以下が元素状炭素となり残部が未炭化有機炭素成分として残留するように焼成後、冷却することにより植物組織原料の不完全炭化焼成物を得る焼成工程と、
前記不完全炭化焼成物を粉砕することにより、粉末状の植物熱分解粉末組成物を得る粉砕工程と、をこの順に実施することを特徴とする。
セルロース及びでんぷんの少なくともいずれかと蛋白質とを含有する植物組織原料を、250℃以上であって800℃を超えない焼成温度にて非酸化性雰囲気中で、原料中の含有全炭素量の10%以上95%以下が元素状炭素となり残部が未炭化有機炭素成分として残留するように焼成後、冷却することにより植物組織原料の不完全炭化焼成物を得る焼成工程と、
前記不完全炭化焼成物を粉砕することにより、粉末状の植物熱分解粉末組成物を得る粉砕工程と、をこの順に実施することを特徴とする。
さらに、本発明の炭素含有水系液状物は、上記本発明の植物熱分解粉末組成物を水に溶解ないし分散させたものであり、液面と接する気中の酸性分子成分と塩基性分子成分との双方に吸着活性を示すことを特徴とする。
本発明の植物熱分解粉末組成物は植物組織を原料とするものであるが、特許文献1の活性化木炭のごとくこれを完全炭化させるのではなく、原料中の炭素成分の一部のみが元素状炭素となり、残部が上記植物組織の未炭化熱分解生成物となるよう、いわば炭化進行を中間レベルで停止させる点に特徴がある。未炭化熱分解生成物に含有される炭素原子の結合状態は組成物の赤外吸収スペクトルに反映されるが、そのスペクトル形状が上記特徴を有するものとなることで、当該の粉末組成物は水に対し容易に溶解ないし分散させることができる。そして、該粉末組成物は直接ガス雰囲気と接触させても、当該ガス雰囲気中の臭気成分分子等に対しては吸着活性をほとんど示さないが、これを水に溶解ないし分散させた液状物とすることで、液状物中の炭素含有率が低濃度であっても液面と接する気中の酸性分子成分と塩基性分子成分との双方に対し、当該粉末組成物を含有しない水よりも大きい吸収活性を示すようになる。
その結果、液状物中の微量の粉末組成物粒子自体は、粒子表面での分子吸着容量が極めて小さいにもかかわらず、粒子の周囲に存在する水の溶解能力に基づいて、酸性分子成分と塩基性分子成分のいずれに対しても潤沢な吸収活性を達成することができる。そして、液状物の形での良好な分子吸収能(例えば消臭能)が得られることから、例えば消臭剤として使用する場合は、臭気源に直接振りかけたり、あるいは霧化して散布することにより空間消臭を図ったりするなど、多様な使用形態に適応でき、かつ、粉末組成物の濃度はそれほど高めなくとも十分な消臭効果を発揮できるので安価である。
さらに、水に溶解ないし分散した状態で消臭性を発揮する性質により、例えば液状物を人やペットが経口摂取することにより、胃や腸内の悪臭成分や有害成分を吸着して呼気や排泄物の臭気を減じたり、胃壁や腸壁から水とともに血液中に組成物が吸収されることで体臭の抑制を図ったりすることもできる。また、粉末組成物をあえて液に溶解ないし分散せずとも、固形物や半固形物中に練り込み、水分を含む環境中に投ずれば(例えば飴や錠剤の形で体内に摂取する形態も含む)、周囲の水に固形物中の組成物が溶出して、同様に消臭効果を発揮することができる。このように、従来の消臭剤にはない新しい適用形態が種々可能になる。
なお、本発明の製造方法において「非酸化性雰囲気」とは、大気雰囲気よりも酸素分圧が減じられ、結果として植物組織原料が、酸化・燃焼が抑制された状態で加熱される雰囲気のことをいう。したがって、真空、減圧ないし不活性ガス雰囲気のほか、我が国で古来用いられてきた炭焼き窯のごとく、焼成空間内の雰囲気ガスの外気による対流置換が抑制されるように、焼成空間と外部空間とを隙間や小孔による連通にとどめた半密閉雰囲気も概念として含む。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
まず、植物組織を構成するセルロースやでんぷんは、いずれもグルコース(ブドウ糖)がグリコシド結合により多数直鎖状に連なった分子構造を有する。一方、セルロースないしでんぷんの分子において、その繰り返し単位(グルコース)には4個の水酸基が結合しており、熱分解してグリコシド結合が切断されると、その酸素残基が隣接する炭素原子との間で二重結合を形成し、同じ炭素原子に結合している水酸基とともにカルボキシル基を形成しやすくなる。他方、植物組織には細胞膜等を構成する形で蛋白質が含有されていることが多く、セルロースないしでんぷんが熱分解する際に蛋白質に含有される窒素が作用して、アミンやアミドといった含窒素官能基が形成される。赤外分光学の示すところによると、カルボキシル基については、2700cm−1以上3500cm−1以下の区間にブロードなピーク(短波長側ブロード主ピーク)を形成することが知られている。一方、アミンやアミドといった官能基は、これを特徴づけるピークが複数知られているが、植物組織を不完全炭化して得られる組成物において特徴的なのは、そのうちの1515cm−1以上1650cm−1以下の区間に頂点を有するピーク(長波長側主ピーク)であり、これは隣接する別のピークとともに一体的な複数の吸収ピーク群を形成する。
まず、植物組織を構成するセルロースやでんぷんは、いずれもグルコース(ブドウ糖)がグリコシド結合により多数直鎖状に連なった分子構造を有する。一方、セルロースないしでんぷんの分子において、その繰り返し単位(グルコース)には4個の水酸基が結合しており、熱分解してグリコシド結合が切断されると、その酸素残基が隣接する炭素原子との間で二重結合を形成し、同じ炭素原子に結合している水酸基とともにカルボキシル基を形成しやすくなる。他方、植物組織には細胞膜等を構成する形で蛋白質が含有されていることが多く、セルロースないしでんぷんが熱分解する際に蛋白質に含有される窒素が作用して、アミンやアミドといった含窒素官能基が形成される。赤外分光学の示すところによると、カルボキシル基については、2700cm−1以上3500cm−1以下の区間にブロードなピーク(短波長側ブロード主ピーク)を形成することが知られている。一方、アミンやアミドといった官能基は、これを特徴づけるピークが複数知られているが、植物組織を不完全炭化して得られる組成物において特徴的なのは、そのうちの1515cm−1以上1650cm−1以下の区間に頂点を有するピーク(長波長側主ピーク)であり、これは隣接する別のピークとともに一体的な複数の吸収ピーク群を形成する。
本発明者らは、種々の植物原料を低温にて不完全炭化させて得られる組成物の水に対する溶解性(ないし分散性)と、得られる溶液の各種臭気成分に対する吸収特性を鋭意検討した。その結果、赤外吸収スペクトルが、次の全ての特徴を充足する場合に、組成物の良好な水への溶解性ないし分散性が確保され、かつ、得られる液状物が酸性分子及び塩基性分子の双方に対して良好な吸収性能を示すことを見出して、本発明を完成するに至ったものである(後述の図4参照)。
(1)赤外吸収スペクトルのベースラインが、3600cm−1から3800cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点V1と、1600cm−1から1800cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点V1よりも低い第二谷点V2と、850cm−1から1050cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点よりも高い第三谷点V3とによって、第二谷点V2を底とするV字勾配を形成すること。
(2)第一谷点V1と第二谷点V2とに挟まれる第一ピーク区間に、上記カルボキシル基との関連が深いと考えられる短波長側ブロード主ピークが、第一谷点V1側が第二谷点V2側よりも急峻となる非対称形状に形成されること。
(3)第二谷点V2と第三谷点V3とに挟まれる第二ピーク区間に、長波長側主ピークを少なくとも含む一体的な複数の吸収ピークが形成されること。
(4)第一谷点V1に対する第三谷点V3の吸光度増分をΔhとし、第一谷点V1と第二谷点V2とを結ぶ第一ベースラインからの第一ピーク区間の最高点までの高さ(すなわち、短波長側ブロード主ピークの強度)をhAとしてhA/Δhが0.1以上となること。
(5)第二谷点V2と第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hAとなること。
(1)赤外吸収スペクトルのベースラインが、3600cm−1から3800cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点V1と、1600cm−1から1800cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点V1よりも低い第二谷点V2と、850cm−1から1050cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点よりも高い第三谷点V3とによって、第二谷点V2を底とするV字勾配を形成すること。
(2)第一谷点V1と第二谷点V2とに挟まれる第一ピーク区間に、上記カルボキシル基との関連が深いと考えられる短波長側ブロード主ピークが、第一谷点V1側が第二谷点V2側よりも急峻となる非対称形状に形成されること。
(3)第二谷点V2と第三谷点V3とに挟まれる第二ピーク区間に、長波長側主ピークを少なくとも含む一体的な複数の吸収ピークが形成されること。
(4)第一谷点V1に対する第三谷点V3の吸光度増分をΔhとし、第一谷点V1と第二谷点V2とを結ぶ第一ベースラインからの第一ピーク区間の最高点までの高さ(すなわち、短波長側ブロード主ピークの強度)をhAとしてhA/Δhが0.1以上となること。
(5)第二谷点V2と第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hAとなること。
赤外吸収スペクトルが上記の形状となるようにするためには、植物原料を、250℃以上であって800℃を超えない焼成温度にて非酸化性雰囲気中で、原料中の含有全炭素量の10%以上95%以下が元素状炭素となり残部が未炭化有機炭素成分として残留するように焼成することが必要である。換言すれば、元素状炭素比率が上記の範囲内のものとなるように、植物原料の炭化進行を途中で中断する形で焼成を行うのである。植物組織を上記の温度範囲にて、セルロースやでんぷんの熱分解が顕著に進行するように焼成した場合、焼成によって得られる組成物中の含有全炭素量に占める有機炭素質量含有率をCO、元素状炭素含有率をCEとしてCO/(CO+CE)が0.05以上0.9以下に確保されることとなる。
前述のごとく、特徴(2)における短波長側ブロード主ピークはセルロースやでんぷんの熱分解の途上で形成されるカルボキシル基に由来するものと考えられ、特徴(3)における長波長側主ピークは、上記熱分解のプロセスに蛋白質が関与して形成されるアミンないしアミド基に由来すると考えられる。本発明の植物熱分解粉末組成物が水に溶解ないし分散した状態で、酸性分子と塩基性分子との双方について良好な吸収活性を示すのは、水溶性ないし水分散性を担う未炭化熱分解生成物中のカルボキシル基が塩基性分子の吸着に関与し、同じくアミン等の塩基性官能基が酸性分子の吸着に関与するためであると考えられる。
本発明の植物熱分解粉末組成物を水に対して均一に溶解ないし分散させるためには、焼成により得られる不完全炭化焼成物炭素を微粉砕することが不可欠である。本発明の植物熱分解粉末組成物は、セルロースやでんぷんが熱分解して生ずる分子量の比較的大きい組成物粒子として構成されていると推測される。該粒子の構成単位は親水性の高いグルコースであり、でんぷんを水とともに加熱するとα化しコロイドゾルを形成することからも推測される通り、その微粉末を水中に投ずれば溶解ないし分散してコロイド溶液を形成するものと考えられる。植物熱分解粉末組成物の水への溶解性や分散性を高め、得られる液状物が粗大な浮遊粒子を含まないようにするためには、微粉砕後の粉末組成物を水に溶解ないし分散させてレーザー散乱式粒度計にて測定した組成物粒子の個数平均粒子径は1μm未満となっていることが望ましく、体積相対粒度分布における1μm未満の粒子の体積含有率が1%以上であることが望ましい。
本発明の植物熱分解粉末組成物は、前述のごとく直接ガス雰囲気と接触させても、当該ガス雰囲気中の臭気成分等に対しては吸着活性をほとんど示さない。これは焼成温度自体が低く、通常の木炭と比較すると炭化進行が相当抑制されているため、比表面積の大きい多孔質組織とはならず、未炭化熱分解生成物がこれらの官能基に作用によって分子を吸着できる容量が小さいためであると考えられる。しかし、これを水に溶解ないし分散させた状態にすると、熱分解生成物側の官能基も、これに吸着する酸性分子や塩基性分子も、いずれも水との親和性が非常に大きいため、官能基に吸着した分子は速やかに周囲の水と水和して離脱し、新たな分子の吸着が可能となる。すなわち、液状物中の未炭化熱分解生成物の官能基上では、分子吸着→水和→離脱のプロセスが絶えず継続する。そして、液状物を構成するバルク水が吸着分子に対する溶解度に応じ、官能基から離脱した該吸着分子の吸収の受け皿として機能する結果、該液状物が気中の臭気分子等に対して非常に大きな吸収能力を発揮するものと考えられる。この観点において、粉末組成物の個数平均径をd(μm)とすれば、比表面積値は1.5/d以上10/d以下(単位:m2/g)の小さい値となっていることが望ましい。
植物組織原料の非酸化性雰囲気中での焼成温度は低温側から高温側にて自由に設定は可能であるが、焼成時間の適正な選定が肝要であり、高温でも短時間の焼成とすれば赤外吸収スペクトルを上記形状とすることができ、逆に低温であっても焼成時間が長すぎれば炭化が進行しすぎて、所期の赤外吸収スペクトル形状が得られない場合もある。当然、焼成炉の大きさや熱容量と原料挿入量に応じて温度ごとに適正焼成時間は異なり、赤外吸収スペクトル形状を確認しつつ最適の条件を選定する必要があるが、焼成温度が250℃未満では元素状炭素の比率を10%以上に確保することが困難となる。元素状炭素の比率が不足することは、植物組織原料中のセルロースやでんぷんの熱分解が不十分となって、得られる組成物の粉砕性の低下を招き、水に対する溶解性や分散性が悪化することにもつながる。このとき、本発明を特徴付ける赤外吸収スペクトル形状の上記5つの特徴のうち、特に、アミンないしアミド基に関連する長波長側主ピークの形成が顕著でなくなり、カルボキシル基と関連付けられる短波長側ブロード主ピークとの大小関係を規定する(5)の要件を充足させることが難しくなる。
この場合、液状物の酸性分子成分に対する吸収活性を特に高める観点においては、長波長側主ピークの第二ベースラインからの高さをhjとして、hj/hAが2以上となっていることがより望ましい。また、酸性分子成分の中でも、特に悪臭要因となりやすい硫化水素やメチルメルカプタン等への吸収活性を高めるためには、1690cm−1以上1740cm−1以下の区間に頂点を有するケトン基系ピークの第二ベースラインからの高さが、短波長側ブロード主ピークの第一ベースラインからの強度hAよりも小さくなっていることが望ましい。
他方、焼成温度が800℃を超えたり、それよりも低い焼成温度であっても焼成保持時間が長くなったりしすぎると、元素状炭素となる比率が95%を超えてしまうことにつながる。こうなると、得られる焼成物は炭化が進みすぎて水溶性や水分散性はほとんど失われ、仮に分散剤等を用いて粉末粒子を強制的に液中に分散させても、得られる液状物は酸性分子及び塩基性分子のいずれについても吸収活性はほとんど示さなくなる。このとき、組成物の赤外吸収スペクトルを測定しても、その形状において充足するべき上記5つの特徴はことごとく失われることにつながる。特に、特徴(4)については、過度に炭化が進行した焼成物であっても吸光度のベースラインは、第一谷点V1に相当する波数位置から第三谷点V3に相当する波数位置に向けて有意レベルにて上昇する傾向を見せるが、短波長側ブロード主ピークはほとんど形成されなくなり、結果として第一谷点V1から第三谷点V3に向けた吸光度増分Δhに対する、第一ベースラインからの第一ピーク区間の最高点までの高さhAの比hA/Δhは極度に小さな値となる。
また、本発明の植物熱分解粉末組成物が充足すべき好適な炭化の度合いについては、得られる粉末組成物について測定されるラマン散乱プロファイルによっても規定することができる。炭素含有組成物のラマン散乱プロファイルにおいては、含まれる炭素原子のうちsp3型の結合軌道形態を有するものに基づいて生じるDバンドピーク(1320cm−1以上1370cm−1以下の区間に現れる)と、sp2型の結合軌道形態を有するものに基づいて生ずるGバンドピーク(1570cm−1以上1610cm−1以下の区間に現れる)とが特徴的なものとなる。植物組織を構成するセルロース、でんぷんあるいは蛋白質といった高分子化合物に含まれる有機炭素の結合軌道形態は共有結合性の強いsp3型が主体になっており、その未炭化の分解生成物も含め、ラマン散乱においてはDバンドピークの形成に主に寄与すると考えられる。一方、炭化が進行すれば、有機炭素は元素状炭素に転換されてゆくが、その転換課程はカーボンブラックのような不定炭素から結晶化の進んだグラファイト構造を経て、さらに高温下では部分的にダイヤモンド構造へと変化してゆくと考えられる。これに伴い、ラマン散乱スペクトルは、Dバンド単一ピークの状態からGバンドピークが生成して徐々に高くなり、最終的に元素状炭素の結晶化が進むとDバンドピークとGバンドピークとの2本に鋭く分離する。しかし、炭化途上の過程では、グラファイト化しない不定炭素相の影響によりDバンドピークとGバンドピークとは半値幅が広がり、Gバンドピークの短波長側の裾野とDバンドピークの長波長側の裾野とが互いに重なって、それらGバンドピークとDバンドピークとの間のベースラインよりも高い位置に谷点を生ずるようになる。不定炭素の形成量は、この谷点の散乱強度に反映されることが知られている(非特許文献1)。
本発明者らは、種々の焼成物のラマン散乱スペクトルを測定し、水に対する溶解性(ないし分散性)や、得られる液状物の各種臭気成分に対する吸収特性との相関を鋭意検討した。その結果、組成物のラマン散乱スペクトルを測定したとき、ベースラインからのGバンドピークの高さをIG、谷点の高さをIVとしたとき、IV/IGが0.5以上となっている場合に、焼成物(組成物)の水溶性や水分散性が良好に確保され、その液状物が酸性分子及び塩基性分子のいずれについても顕著な吸収活性を示すことが判明した。IV/IGが0.5未満になると、得られる焼成物は炭化が進みすぎて水溶性や水分散性はほとんど失われることにつながる。
本発明の植物熱分解粉末組成物を水に溶解ないし分散させて液状物としたとき、液面と接する気中成分の中で吸収性能が特に顕著に発揮されるものは、酸性分子成分としては、例えば硫化水素、酢酸、メチルメルカプタンを例示でき、特に酢酸に対する吸収性能は顕著である。また、塩基性分子成分としては、アンモニアやトリメチルアミンを例示できる。これらの分子成分はいずれも水溶性であり、特に粉末組成物を含有しない水にも若干の吸収活性が生じるが、本発明の植物熱分解粉末組成物を溶解ないし分散させておくことにより、含有しない水よりは明らかに大きい吸収活性が発現する。こうした効果が顕著に発揮される植物熱分解粉末組成物の液状物中の濃度は、組成物の種類に応じて異なるが、炭素成分重量濃度に換算して例えば1ppmは最低含有されていることが望ましい。他方、濃度の上限は、水への溶解度や分散性に応じて適宜定まるものであるが、重量炭素成分濃度に換算して例えば2000ppmを超えないことが望ましい。
本発明の植物熱分解粉末組成物において使用する植物組織原料は、でんぷん又はセルロースと蛋白質とを含有するものであって、上記焼成によって得られる組成物が前述の特徴を有した赤外吸収スペクトルを示すものであれば特に限定されず、例えば植物種子を利用することができる。このうち、小豆、大豆、エンドウといった豆類は、アミンないしアミド基形成に必須な蛋白質をバランスよく含有し、かつ、セルロースよりも熱分解しやすいでんぷん質を比較的多く含んでいることで、焼成時に生成する元素状炭素の分散性が向上し、その後の微粉砕工程においても、水への溶解ないし分散が容易な微粉を容易に得ることができる利点がある。また、セルロースが主体ででんぷんをあまり含有しない樹木系の原料と比較して、酸性分子成分(特に硫化水素等)に対する吸収能力が良好となる利点もある。
一方、植物組織原料としては、豆類の殻又は鞘を使用することもできる。豆類の殻や鞘は、豆(種子)を収穫した後の廃棄物となるものであるが、この鞘にも種子ほどではないが蛋白質やでんぷんが比較的多く含まれていることが多く、本発明の植物熱分解粉末組成物の良好な原料となりえる。特に、落花生殻や大豆鞘には蛋白質が多く含有されており、本来は産業廃棄物となるべき豆殻や鞘を、消臭能力に優れた植物熱分解粉末組成物の原料として有効活用できる道を開くことができる。この場合、硬質焼成時に硬質で粗大な元素状炭素粒子となり微粉砕を妨げる可能性のあるセルロースリッチな組織部分は原料前処理等によってあらかじめ取り除いておくとよい。
また、植物組織原料としては、樹木又は草本類を使用することもできる。得られる液状物の酸性臭気成分(特に硫化水素等)に対する吸収能力は種子を組織原料とする組成物よりはやや劣るが、廃材が使用できるなど、より安価に原料調達が可能な利点がある。使用可能な樹木や草本の種類は特に限定はされないが、例えば、桐材、南天材、椿、バラなどを好適に採用することができる。
次に、本発明の植物熱分解粉末組成物は、水に溶解ないし分散させた状態にて界面活性を示すものとして構成できる。密閉空間中に該組成物を含有した本発明の液状物を一定濃度の臭気成分を含有した空気とともに封入して放置すると、臭気成分が液状物に吸収されるに伴い、空間中の臭気成分濃度が時間経過とともに減少する。植物熱分解粉末組成物が界面活性を有している場合、次のような特有の現象が確認できる。
(1)液状物中の組成物濃度を、臭気成分に対する吸収活性が顕著となり始める閾値以上の特定の濃度範囲で変化させた時、空間中の臭気成分の到達濃度の、液状物中の組成物濃度に対する依存性が非常に小さくなる。
(2)空間中の臭気成分の減少は初期段階ではある程度急激であるが、最終濃度近傍に一旦到達すれば、以降長時間放置してもほぼ一定値を保つ。
(1)液状物中の組成物濃度を、臭気成分に対する吸収活性が顕著となり始める閾値以上の特定の濃度範囲で変化させた時、空間中の臭気成分の到達濃度の、液状物中の組成物濃度に対する依存性が非常に小さくなる。
(2)空間中の臭気成分の減少は初期段階ではある程度急激であるが、最終濃度近傍に一旦到達すれば、以降長時間放置してもほぼ一定値を保つ。
(1)の性質は、例えば、液状物中の組成物濃度を、上記閾値前後の低い値(おおむね重量炭素濃度換算にて1ppm以上10ppm以下程度)に確保すれば、組成物濃度をそれ以上に上昇させずとも十分な消臭性能が達成される利点につながるものである。一方、(2)については、液中への臭気成分の吸収が無制限に起こらない代わりに、一旦液中に吸収された臭気成分が再び気中に放出されにくくなることを意味し、臭気が液中に一方向的に吸収されることで環境中への臭気逆拡散の抑制を効果的に図ることができる。他方、液状物が示す界面活性的な性質は当然、消臭とは全く別の用途である洗浄や乳化といった分野でも有効活用することが可能である。
このような界面活性を示す組成物は、使用する植物組織原料自体が界面活性成分を含有している場合か、あるいは含有していない場合においてもこれに界面活性成分を外部添加して焼成を行った場合に得ることができる。植物組織原料に含有される界面活性成分としてはサポニンが代表的なものであり、サポニンを含む植物としては小豆や大豆を例示することができる。特に小豆については得られる焼成物が示す界面活性が顕著である。
本発明者が検討したところによると、界面活性を発現する組成物が得られる焼成温度では原料中に含まれていた界面活性成分が消失することがわかっており、組成物が最終的に発現する界面活性的な特徴は、原料自体に含有される界面活性成分に由来するのではないと考えられる(例えば小豆の場合)。そして、界面活性を発現する焼成物と発現しない焼成物とを乾式ボールミルで粉砕したとき、後者はミル容器の内面に多量のグラファイト粒子が分離付着するのに対し、前者ではこうしたグラファイトの分離がほとんど見られない。そして、グラファイト粒子が分離した乾式粉砕物のラマン散乱スペクトルを測定すると、界面活性を発現する焼成物のスペクトルは、発現しない焼成物のスペクトルよりもグラファイトに由来したGバンドピーク高さが明らかに高くなることもわかった。以上から、界面活性を発現する焼成物の場合グラファイト相の形成が非常に微細であり、粉砕中におけるグラファイトの分離・脱落が起こりにくくなって未炭化熱分解生成物相に一体化する結果、親水性の未炭化熱分解生成物相と疎水性のグラファイト相とがハイブリッド化することで顕著な界面活性を具備するに至ったものと考えられる。そして、原料段階で含まれている界面活性成分は、焼成時のグラファイト相の析出動力学に関与して、その微細化に貢献したものと考えられる。
本発明の組成物が界面活性を発揮するためには、前述のラマン散乱スペクトルにおいて、ベースラインからのDバンドピークの高さをID、ベースラインからのGバンドピークの高さをIGとしたとき、1.0>IG/ID>0.7となっていることが望ましい。IG/IDが0.7以下になると組成物の界面活性は例外なく損なわれる結果を招く。その理由としては、粉砕中における上記グラファイト相の未炭化熱分解生成物相からの分離が考えられる。一方、IG/IDが1.0を超えることは、炭化がほとんど進まないか、逆に過剰に進みすぎるかのいずれかとなる場合であって、組成物の水溶性や水分散性あるいは粉砕性を考慮したとき、好ましくない結果を招くことにつながる。
また、組成物が界面活性を示すためには適正な焼成温度の選択が不可欠であり、例えば小豆の場合の温度範囲は350℃以上550℃以下である。焼成温度を、該温度範囲の下限値を下回って設定しても、上限値を上回って設定しても、組成物には顕著な界面活性が付与されない。これは、界面活性付与に必要な量のグラファイト相が粗大化せずに微細分散析出するための必要条件であると考えられる。
本発明の作用及び効果の詳細については、「課題を解決するための手段」の欄にすでに記載したので、ここでは繰り返さない。
以下、本発明を実施するための形態について、種々の実施例に基づいて説明する。
植物組織原料として表1に示すものを用意した。
植物組織原料として表1に示すものを用意した。
なお、番号6のブリあらは動物組織原料であり、比較例となるものである。また、番号6の小豆試料は、1と同じ乾燥小豆種子100gを水で30分にて茹でこぽす処理を3回繰り返し、その後、皮を取り除いて裏ごしした原料(以下、「こしあん小豆」という)である。この処理により、小豆種子に含まれていたサポニンやタンニンなどの灰汁や渋みの成分が洗い流され、除去された原料が得られる。これらの成分が除去されない番号1の小豆原料に対する比較用に用いるが、必ずしも本発明の範囲外であることを意味しない。
各原料の主要元素の含有比率について、ICP発光分析により調べた結果を表2に示す(表中、原料組成の欄)。
各原料の主要元素の含有比率について、ICP発光分析により調べた結果を表2に示す(表中、原料組成の欄)。
また、豆類協会が発表している乾燥小豆の栄養成分は表3の通りである。炭水化物は主にでんぷんの形態で含有されているものである。
さらに、落花生殻の構成成分は概略以下のようなものであることが知られている。炭水化物は主にでんぷんの形態で含有されているものである。
南天材と桐材の詳細な組成は不明であるが、いずれも木材であり、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンの3つの主要成分が90質量%以上を占めるが、表2の元素分析結果に相当量の窒素が含有されていることを示すまでもなく、細胞膜等の構成成分として蛋白質を含有していることは明らかである。
以上の原料を各々1kg秤量してアルミナ容器に収容し、円形縦型電気炉(ニクロム線、縦:30cm、外径:30cm、内径:24cm、下部閉鎖、上部半密閉)に挿入して、焼成処理を行った。具体的には、250℃〜900℃(ただし、900℃は比較例)の本焼成に入る前に、炉内温度が200℃に到達した時点で1時間程度保持して原料中の水分を飛ばし、次いで上記範囲内の種々の本焼成温度に3時間保持し、その後室温まで炉冷して最終的な焼成物を得た。各焼成物は乳鉢にて予備粉砕して150g秤量し、内径10cmの六角断面形状のボールミルポットに、ほぼ同体積のアルミナボール(直径20mm)とともに封入し、最初の5時間を回転速度600rpmにて、以降を300rpmに減速して20時間まで乾式にて微粉砕処理を行った。微粉砕後の焼成物はボールとともに水に投じて撹拌を加え、440メッシュふるい(目開き:32μm)を通過させて粉末組成物を得た。これらの粉末組成物を用いてラマン散乱分光分析(Renishaw社製:in Via Reflex)とフーリエ変換赤外分光(FT−IR)分析(Thermo Fisher Scientific社製 Nicolet6700)を実施した。
次いで、この粉末組成物30gを1Lの水に投入してボールミルを用いて混合・撹拌し、その後JIS3種濾紙を通過させて粗大な粒子を除去することにより液状物原液を得た。得られた原液はCNH元素分析計(Perkin Elmer社製:PE2400II)により、全炭素量、全有機炭素量及び元素状炭素量を測定した。この原液を水で希釈し、全炭素量が0.1ppm〜100ppmの種々の濃度となるように液状物を作製した。上記の液状物のうち、全炭素濃度が100ppmのものを用いてレーザー散乱式粒度計(島津製作所製:SALD3100)により液中の組成物の体積相対粒度分布と個数相対粒度分布とをそれぞれ測定した。なお、この時点でブリ骨を原料とした焼成物は粉砕性が非常に悪く、また水への溶解性や分散性もほとんど見られなかったので、以降の試験に供することを断念した。
次いで、上記各濃度の液状物群(比較用としての精製水を含む)を以下の方法により消臭試験に供した。
(消臭試験1)
各液状物を20mLシャーレにとり、これを内容積3Lのガス注入用のゴムパッチを有したポリフッ化ビニリデン樹脂製の試験袋に入れて密封した。次に、袋のゴムパッチから乾燥空気を3L注入して膨らませた。続いて、袋を台上に静置し、同じゴムパッチから注射器にて各種臭気成分ガスを、袋内の臭気成分ガス濃度が下記表5の通りとなるように注入した。
(消臭試験1)
各液状物を20mLシャーレにとり、これを内容積3Lのガス注入用のゴムパッチを有したポリフッ化ビニリデン樹脂製の試験袋に入れて密封した。次に、袋のゴムパッチから乾燥空気を3L注入して膨らませた。続いて、袋を台上に静置し、同じゴムパッチから注射器にて各種臭気成分ガスを、袋内の臭気成分ガス濃度が下記表5の通りとなるように注入した。
この状態で室温にて放置し、所定時間経過するごとに袋のゴムパッチから内部のガスを検知管式ガス濃度測定器に吸引し、臭気ガス濃度を調べた。
(消臭試験2)
内容積11.4Lのデシケータに5%酢酸水溶液5mL入れたシャーレを密封するとともに、デシケータに設けたゴム栓部から、半導体抵抗検知式臭気計のプローブを内部に挿入し、臭気計の表示値をモニタリングしたところ、1時間後に表示値はほぼ400にて平衡した。次に、炭素濃度が1000ppmに調整された液状物をゴム栓部から注射器にて3mLデシケータ内に注入し、臭気計の数値の経時変化を測定した。
内容積11.4Lのデシケータに5%酢酸水溶液5mL入れたシャーレを密封するとともに、デシケータに設けたゴム栓部から、半導体抵抗検知式臭気計のプローブを内部に挿入し、臭気計の表示値をモニタリングしたところ、1時間後に表示値はほぼ400にて平衡した。次に、炭素濃度が1000ppmに調整された液状物をゴム栓部から注射器にて3mLデシケータ内に注入し、臭気計の数値の経時変化を測定した。
(消臭試験3)
市販のチューブ入りおろしにんにくを1gシャーレに薄く延ばし、さらに炭素濃度が1000ppmに調整された液状物をシャーレ上のにんにくに振りかけた。このシャーレを内容積11.4Lのデシケータに封入し、デシケータに設けたゴム栓部から半導体抵抗検知式臭気計(新コスモス社製:ポータブル型ニオイセンサーXP‐329m)のプローブを内部に挿入し、臭気計の表示値の経時変化を測定した。
市販のチューブ入りおろしにんにくを1gシャーレに薄く延ばし、さらに炭素濃度が1000ppmに調整された液状物をシャーレ上のにんにくに振りかけた。このシャーレを内容積11.4Lのデシケータに封入し、デシケータに設けたゴム栓部から半導体抵抗検知式臭気計(新コスモス社製:ポータブル型ニオイセンサーXP‐329m)のプローブを内部に挿入し、臭気計の表示値の経時変化を測定した。
以上の試験結果を順に説明する。
(ボールミルによる粉砕性と、得られた粉末組成物の水和性)
表1の最下段には、焼成温度を450℃とした場合の各原料の粉砕性と水和性(水への溶解ないし分散性)についての結果を示している。小豆、落花生殻、南天及び桐のいずれについても、450℃での焼成品(以下、簡単のため「450℃焼成炭」等と記載するが、これは完全炭化していること意味するものではない)は、ボールミル粉砕後のフィルタリングにおいては、440メッシュふるい及びJIS3種ろ紙のいずれにおいても、粗大な粒子の残留がほとんど見られなかった。また、濾紙通過後の液状物の透明度も高く、良好な水和性を示した。一方、小豆を900℃で焼成した組成物(以下、簡単のため同様に「900℃焼成小豆炭」等と記載する)は、450℃焼成小豆炭と比較して非常に硬質であり、ボールミル粉砕後のフィルタリングにおいては、440メッシュふるい上には残留はなかったが、JIS3種濾紙上には5%前後、通過しきれない粉末粒子が残留した。また、濾紙を通過した液状物の色は全体に黒っぽく、液面には微細な黒い粒子が浮遊しているのが見られ、水和性に劣っていることが確認された。
(ボールミルによる粉砕性と、得られた粉末組成物の水和性)
表1の最下段には、焼成温度を450℃とした場合の各原料の粉砕性と水和性(水への溶解ないし分散性)についての結果を示している。小豆、落花生殻、南天及び桐のいずれについても、450℃での焼成品(以下、簡単のため「450℃焼成炭」等と記載するが、これは完全炭化していること意味するものではない)は、ボールミル粉砕後のフィルタリングにおいては、440メッシュふるい及びJIS3種ろ紙のいずれにおいても、粗大な粒子の残留がほとんど見られなかった。また、濾紙通過後の液状物の透明度も高く、良好な水和性を示した。一方、小豆を900℃で焼成した組成物(以下、簡単のため同様に「900℃焼成小豆炭」等と記載する)は、450℃焼成小豆炭と比較して非常に硬質であり、ボールミル粉砕後のフィルタリングにおいては、440メッシュふるい上には残留はなかったが、JIS3種濾紙上には5%前後、通過しきれない粉末粒子が残留した。また、濾紙を通過した液状物の色は全体に黒っぽく、液面には微細な黒い粒子が浮遊しているのが見られ、水和性に劣っていることが確認された。
焼成温度の影響については、小豆と落花生について、さらに250℃及び780℃の焼成品について調べた結果を表6に示す。
焼成温度が250℃まで低下すると、小豆も落花生殻も、まず乳鉢による予備粉砕に非常に難渋するようになり、また、ボールミル粉砕後に440メッシュふるい上に残留する粗大粒子の重量比率が10%以上に達し、粉砕性の明らかな低下が見られた。また、濾紙通過後の液状物にも若干の浮遊物が認められ、900℃焼成小豆炭ほどではないが、450℃焼成炭と比較すれば若干水和性が低下しているのが確認できた。また、表中には示していないが、さらに低い200℃焼成品は予備粉砕自体がほとんど不能であり、液状物への加工は不可能と判断した。
(炭素量分析結果)
各原料の450℃焼成炭について、全炭素量がおおむね100ppmとなるように濃度調整した液状物の炭素量分析結果を表1に示している。植物組織原料を用いた小豆炭、落花生殻炭、桐材炭及び南天材炭の4つはいずれも、有機炭素質量含有率をCO、元素状炭素含有率をCEとしてCO/(CO+CE)の値が0.05以上0.9以下の数値範囲に確保されていることがわかる。一方、900℃焼成小豆炭については有機炭素がほとんど含有されておらず、CO/(CO+CE)の値もゼロになっていることがわかる。また、表中には示していないが、焼成温度を250℃及び780℃とした小豆炭及び落花生炭についても、CO/(CO+CE)の値が0.05以上0.9以下の数値範囲内となっていることがわかった。
各原料の450℃焼成炭について、全炭素量がおおむね100ppmとなるように濃度調整した液状物の炭素量分析結果を表1に示している。植物組織原料を用いた小豆炭、落花生殻炭、桐材炭及び南天材炭の4つはいずれも、有機炭素質量含有率をCO、元素状炭素含有率をCEとしてCO/(CO+CE)の値が0.05以上0.9以下の数値範囲に確保されていることがわかる。一方、900℃焼成小豆炭については有機炭素がほとんど含有されておらず、CO/(CO+CE)の値もゼロになっていることがわかる。また、表中には示していないが、焼成温度を250℃及び780℃とした小豆炭及び落花生炭についても、CO/(CO+CE)の値が0.05以上0.9以下の数値範囲内となっていることがわかった。
(粒度分布測定結果)
表1に、各原料の450℃焼成炭について測定した体積平均粒径、個数平均粒径及び体積相対粒度分布において1μm未満の粒径を有する粒子の体積含有率An(表中ではナノ粒子体積率と表示している)を示しているが、植物組織原料を用いた小豆炭、落花生殻炭、桐材炭及び南天材炭の4つはいずれも個数平均粒子径が1μm未満となり、ナノ粒子体積率が1%以上となっていることがわかる。特に桐材炭については、同一条件粉砕であるにもかかわらず微粉化が極めて著しく、ナノ粒子体積率は54%にも達し、体積平均粒径においても1μm未満となっている。他方、900℃焼成小豆炭については、個数平均径が3μmを超え、微粉砕が困難になっていることが粒度分布測定の結果からも明らかである。図1A及び図1Bは450℃焼成小豆炭の、図2A及び図2Bは450℃焼成落花生殻炭の、そして図3A及び図3Bは450℃焼成落花生殻炭の各液状物の体積相対粒度分布及び個数相対粒度分布の測定結果を示すものである。小豆炭も落花生炭も比較的類似した分布形状を示し、特に体積相対分布においては1μm未満の粒径区間にて個数平均径付近を中心とする小ピークが形成される一方、1μm以上の粒径区間においては10μm前後を中心とする大ピークが形成される2ピーク形状となっている。他方、桐材炭は体積及び個数共に1μm以下の区間に単一のピークが形成されていることがわかる。
表1に、各原料の450℃焼成炭について測定した体積平均粒径、個数平均粒径及び体積相対粒度分布において1μm未満の粒径を有する粒子の体積含有率An(表中ではナノ粒子体積率と表示している)を示しているが、植物組織原料を用いた小豆炭、落花生殻炭、桐材炭及び南天材炭の4つはいずれも個数平均粒子径が1μm未満となり、ナノ粒子体積率が1%以上となっていることがわかる。特に桐材炭については、同一条件粉砕であるにもかかわらず微粉化が極めて著しく、ナノ粒子体積率は54%にも達し、体積平均粒径においても1μm未満となっている。他方、900℃焼成小豆炭については、個数平均径が3μmを超え、微粉砕が困難になっていることが粒度分布測定の結果からも明らかである。図1A及び図1Bは450℃焼成小豆炭の、図2A及び図2Bは450℃焼成落花生殻炭の、そして図3A及び図3Bは450℃焼成落花生殻炭の各液状物の体積相対粒度分布及び個数相対粒度分布の測定結果を示すものである。小豆炭も落花生炭も比較的類似した分布形状を示し、特に体積相対分布においては1μm未満の粒径区間にて個数平均径付近を中心とする小ピークが形成される一方、1μm以上の粒径区間においては10μm前後を中心とする大ピークが形成される2ピーク形状となっている。他方、桐材炭は体積及び個数共に1μm以下の区間に単一のピークが形成されていることがわかる。
(赤外吸収スペクトル測定結果)
図4は、450℃小豆炭の赤外吸収スペクトルを、900℃小豆炭及び450℃ブリ骨炭と比較して示すものである。前述の炭素分析結果から有機炭素をほとんど含有しない900℃小豆炭は、短波長側から長波長側にかけて吸収強度が緩やかに上昇するほぼ平坦なブロファイルを示している。これに対し、有機炭素の含有量が高い450℃小豆炭は、セルロース、でんぷん及び蛋白質などの有機高分子の未炭化分解生成物に由来した多様な官能基群の生成により、複雑なピーク形状を呈していることがわかる。この形状は、植物由来の熱分解組成物に特有のものであり、すでに説明した以下の5つの特徴をすべて具備していることがわかる。
図4は、450℃小豆炭の赤外吸収スペクトルを、900℃小豆炭及び450℃ブリ骨炭と比較して示すものである。前述の炭素分析結果から有機炭素をほとんど含有しない900℃小豆炭は、短波長側から長波長側にかけて吸収強度が緩やかに上昇するほぼ平坦なブロファイルを示している。これに対し、有機炭素の含有量が高い450℃小豆炭は、セルロース、でんぷん及び蛋白質などの有機高分子の未炭化分解生成物に由来した多様な官能基群の生成により、複雑なピーク形状を呈していることがわかる。この形状は、植物由来の熱分解組成物に特有のものであり、すでに説明した以下の5つの特徴をすべて具備していることがわかる。
(1)赤外吸収スペクトルのベースラインBL1,BL2が、3600cm−1から3800cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点V1(図4では3640cm−1付近)と、1600cm−1から1800cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点V1よりも低い第二谷点V2(図4では1740cm−1付近)と、850cm−1から1050cm−1に至る波数区間に形成される第一谷点よりも高い第三谷点V3(図4では950cm−1付近)とによって、第二谷点V2を底とするV字勾配を形成している。900℃小豆炭はこの区間で谷点は全く形成されずプロファイルは平坦である。また、動物性のブリ骨炭は450℃小豆炭の第三谷点V3に近い位置に1つだけ顕著な谷点が形成されているが、残余の2つの谷点は確認できず、ベースラインはV字状とは全く異なる形状になっている。
(2)第一谷点V1と第二谷点V2とに挟まれる第一ピーク区間に、カルボキシル基との関連が深いと考えられる短波長側ブロード主ピークP2が、第一谷点V1側が第二谷点V2側よりも急峻となる非対称形状に形成される。900℃小豆炭及びブリ骨炭は短波長側ブロード主ピーク自体が形成されていない。
(3)第二谷点V2と第三谷点V3とに挟まれる第二ピーク区間に、長波長側主ピークP5を少なくとも含む一体的な複数の吸収ピーク(P5〜P8)が形成される。900℃小豆炭及びブリ骨炭は波長側主ピークP5に相当するピークが形成されていない。
(3)第二谷点V2と第三谷点V3とに挟まれる第二ピーク区間に、長波長側主ピークP5を少なくとも含む一体的な複数の吸収ピーク(P5〜P8)が形成される。900℃小豆炭及びブリ骨炭は波長側主ピークP5に相当するピークが形成されていない。
(4)第一谷点V1に対する第三谷点V3の吸光度増分をΔhとし、第一谷点V1と第二谷点V2とを結ぶ第一ベースラインからの第一ピーク区間の最高点までの高さ(すなわち、短波長側ブロード主ピークの強度)をhAとして、hA/Δhが0.1以上となる(図4では0.82)。900℃小豆炭及びブリ骨炭はhA/Δhがほぼゼロである。
(5)第二谷点V2と第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hA(ずなわち、hB/hA>1)となる。図4ではhB/hAは2.35に達する。900℃小豆炭及びブリ骨炭は、これら2つの主ピーク自体が確認できない
(5)第二谷点V2と第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hA(ずなわち、hB/hA>1)となる。図4ではhB/hAは2.35に達する。900℃小豆炭及びブリ骨炭は、これら2つの主ピーク自体が確認できない
図5は250℃焼成小豆炭と450℃焼成小豆炭の赤外吸収スペクトルを、ベースラインを減じて補正した状態で比較して示すものである。450℃焼成小豆炭のプロファイルに見られた5つの特徴はここでも引き継がれている。また、図6は、780℃焼成小豆炭と450℃焼成小豆炭の赤外吸収スペクトルを同様に比較して示すものである。450℃焼成小豆炭のプロファイルに見られた5つの特徴はここでも引き継がれている。250℃及び450℃焼成小豆炭では、短波長側ブロード主ピークP1が短波長領域で先鋭化し、形状もほぼ同じである。カルボキシル基由来と考えられるこのピークよりもさらに短波長側にはアミンに由来した別のピークが存在している可能性もあり、250℃焼成小豆炭と450℃焼成小豆炭とが780℃焼成小豆炭よりも硫化水素に対する消臭性能が高くなるという後述の実験結果とも符合する。780℃焼成小豆炭は、短波長側ブロード主ピークP1のピーク位置が長波長側にシフトするとともに、赤外吸収スペクトル測定にて特定官能基ピークが通常現れない1800〜2800cm−1付近の吸収強度が一様に上昇し、明らかに異なるピーク形状を示している。カルボン酸特有の結合の分解が生じ始めている可能性を示唆している可能性もある。
他方、アミン・アミド系の長波長側主ピークP5の短波長側ブロード主ピークP2に対する相対強度は450℃焼成小豆炭で最大化し、前後の250℃及び780℃ではそれよりも低い値にとどまっている。蛋白質成分とセルロース・でんぷん成分との相互反応が想定されるアミン・アミド系官能基の形成は、250℃では進行が不十分であり、780℃では、450℃で一旦形成されたこれらの官能基が分解消失する傾向にあることを示唆するものである。このことは、硫化水素に対する消臭性能が780℃で損なわれる後述の実験結果とも符合する。
また、C=O伸縮ピーク(ケトン)に由来すると思われるケトン基系ピークP4(1600cm−1付近)が250℃焼成小豆炭では顕著であるが、450℃及び780℃ではこのピークはほぼ消滅している。250℃ではセルロースないしでんぷん(特にでんぷん)の熱分解進行があまり進行していないことを示している。これは、250℃焼成小豆炭の粉砕性や水への溶解性が悪くなっていることとも関連する結果であるといえる。
次に、図5は250℃焼成落花生殻炭と450℃焼成落花生殻炭の赤外吸収スペクトルを比較して示すものである。また、図6は、780℃焼成落花生殻炭と450℃焼成落花生殻炭の赤外吸収スペクトルを比較して示すものである。小豆炭のプロファイルに見られた前記5つの特徴は落花生殻炭のプロファイルにも明確に認められる。特徴をまとめると以下の通りである。
・短波長側ブロード主ピークP2については、焼成温度が変化したときの傾向が小豆炭の場合とほとんど同じである。
・ケトン基系ピークP4(1600cm−1付近)はここでも250℃で最も顕著であり、450℃及び780℃ではほぼ消滅する。
・長波長側主ピークP5は、小豆炭の場合と異なり、250℃から780℃まで単調増加傾向にある。落花生殻は小豆よりも多孔質であり、植物組織の分解・炭化進行の温度に対する変化が小豆よりも鈍くなっていることを示唆するものである。
・短波長側ブロード主ピークP2については、焼成温度が変化したときの傾向が小豆炭の場合とほとんど同じである。
・ケトン基系ピークP4(1600cm−1付近)はここでも250℃で最も顕著であり、450℃及び780℃ではほぼ消滅する。
・長波長側主ピークP5は、小豆炭の場合と異なり、250℃から780℃まで単調増加傾向にある。落花生殻は小豆よりも多孔質であり、植物組織の分解・炭化進行の温度に対する変化が小豆よりも鈍くなっていることを示唆するものである。
図9は、南天材及び桐材の450℃焼成炭の赤外吸収スペクトルを450℃焼成小豆炭と比較して示すものである。小豆炭及び落花生炭のプロファイルに見られた5つの特徴はここでも引き継がれている。個別的には以下のような特徴が確認できる。
・桐材炭は450℃でもケトン基系ピークP4(1600cm−1付近)の形成が顕著である。原料木材の密度が低く、セルロース分解ないし炭化進行の遅れを示している可能性がある。これは、後述の硫化水素消臭試験の結果とも符合する。しかし、粉砕性は前述のごとく極めて良好であり、粉砕性向上についてセルロース分解とは別の機構が想定される。
・南天材炭については、カルボキシル基系の短波長側ブロード主ピーク形状が、780℃焼成した小豆炭や落花生殻炭の傾向と非常に似通っており、同じ450℃でも他の原料より炭化・収縮が進行しやすくなっており、酸性臭気成分への吸収活性が低下している可能性がある。後述の酢酸消臭テストの結果で、南天材炭・桐材炭は小豆・落花生炭に性能的に及ばないこととも符合する。
以上、各プロファイルにおいて特徴的となる吸収ピークの相対強度を、各ピークとの関連が推定される官能基の種別とともに、表2及び表6にまとめて示している。
・桐材炭は450℃でもケトン基系ピークP4(1600cm−1付近)の形成が顕著である。原料木材の密度が低く、セルロース分解ないし炭化進行の遅れを示している可能性がある。これは、後述の硫化水素消臭試験の結果とも符合する。しかし、粉砕性は前述のごとく極めて良好であり、粉砕性向上についてセルロース分解とは別の機構が想定される。
・南天材炭については、カルボキシル基系の短波長側ブロード主ピーク形状が、780℃焼成した小豆炭や落花生殻炭の傾向と非常に似通っており、同じ450℃でも他の原料より炭化・収縮が進行しやすくなっており、酸性臭気成分への吸収活性が低下している可能性がある。後述の酢酸消臭テストの結果で、南天材炭・桐材炭は小豆・落花生炭に性能的に及ばないこととも符合する。
以上、各プロファイルにおいて特徴的となる吸収ピークの相対強度を、各ピークとの関連が推定される官能基の種別とともに、表2及び表6にまとめて示している。
(ラマン散乱スペクトル測定結果)
図10A〜図10Cに250〜780℃の各温度で焼成して得られる小豆炭のラマン散乱スペクトルを、図11A〜図11Cに250〜780℃の各温度で焼成して得られる落花生殻炭のラマン散乱スペクトルを、それぞれ示している。さらに、図12は、900℃焼成小豆炭のラマン散乱スペクトルを示している。また、図13は、DバンドピークPDに対するGバンドピークPGに相対強度比(IG/ID比)を、小豆炭と落花生殻炭で比較する形で焼成温度に対してプロットしたものである。450℃焼成小豆炭はDバンドピークPDに対するGバンドピークPGに相対強度比(IG/ID比)が、前後の温度(250℃及び780℃)で焼成した小豆炭と比較して突出して高くなっていることがわかる。これに対し、落花生殻炭では、IG/ID比が処理温度の上昇とともに緩やかに上昇しているものの、小豆炭の450℃処理品と比較すればIG/ID比は明らかに低い。不定炭素ピーク強度IVは、Gバンドピーク強度IVとおおむね連動して増減する傾向にある。
図10A〜図10Cに250〜780℃の各温度で焼成して得られる小豆炭のラマン散乱スペクトルを、図11A〜図11Cに250〜780℃の各温度で焼成して得られる落花生殻炭のラマン散乱スペクトルを、それぞれ示している。さらに、図12は、900℃焼成小豆炭のラマン散乱スペクトルを示している。また、図13は、DバンドピークPDに対するGバンドピークPGに相対強度比(IG/ID比)を、小豆炭と落花生殻炭で比較する形で焼成温度に対してプロットしたものである。450℃焼成小豆炭はDバンドピークPDに対するGバンドピークPGに相対強度比(IG/ID比)が、前後の温度(250℃及び780℃)で焼成した小豆炭と比較して突出して高くなっていることがわかる。これに対し、落花生殻炭では、IG/ID比が処理温度の上昇とともに緩やかに上昇しているものの、小豆炭の450℃処理品と比較すればIG/ID比は明らかに低い。不定炭素ピーク強度IVは、Gバンドピーク強度IVとおおむね連動して増減する傾向にある。
また、図13は450℃で焼成して得られる各種原料炭のラマン散乱スペクトルにおけるIG/ID比を比較して示すものである。450℃焼成品のIG/ID比は、落花生殻以外の材料別比較においても小豆炭が突出して高く、他の材質では南天材炭が比較的高い値を示していることがわかる。そして、不定炭素比率IV/IGは、小豆炭が落花生殻炭を各処理温度において若干上回り、炭化の進行が落花生殻炭よりも進みやすいとみられる。いずれも900℃焼成小豆炭と比べると材質及び炭化温度によらず低くなっており、不定炭素比率が900℃焼成小豆炭よりもかなり高くなっていることがわかる。
上記のラマン散乱スペクトルの各ピーク比等の数値結果も表2及び表6にまとめて示している。
上記のラマン散乱スペクトルの各ピーク比等の数値結果も表2及び表6にまとめて示している。
(消臭試験1の結果)
図15A〜図15Cは250〜780℃の各温度で焼成して得られる小豆炭を、種々の濃度にて水に分散させた液状物についての、硫化水素消臭試験の結果を示すものである。450℃焼成小豆炭では、1ppm程度の極めて低い炭素濃度にて雰囲気中の硫化水素濃度が初期濃度から70%以上も減じており、100ppmまで炭素濃度が増加しても硫化水素濃度の到達濃度はほとんど同じとなっていることがわかる。また、硫化水素濃度の減少代は、組成物を含有しない精製水よりも明らかに大きくなっている。そして、硫化水素濃度の減少挙動であるが、試験開始から6時間後までは雰囲気中の硫化水素濃度は比較的急激に減少するが、以降24時間まで放置を続けても硫化水素濃度はほぼ平衡濃度を保持し続けていることがわかる。これらは、450℃焼成小豆炭の粒子が発現する界面活性により、粒子が液面近傍に集まりやすくなっていると考えることで説明ができる。これに対し、450℃及び780℃焼成の小豆炭では、液状物の炭素濃度が10ppmまで増加しても硫化水素濃度の減少は、450℃焼成小豆炭の濃度1ppmでの結果よりもはるかに鈍くなっており、かつ、硫化水素消臭能力の明確な濃度依存性が認められる。したがって、450℃及び780℃焼成の小豆炭の粒子は、液状物中にて水のバルク中に分散しているものと考えられる。図15Dは、炭素濃度を100ppmとして温度別の硫化水素濃度の減少挙動を比較して示すものであるが、界面活性を有さないと考えられる250℃及び780℃焼成の小豆炭は、24時間経過後においても硫化水素濃度の減少が平衡値に達していないのが明らかである。
図15A〜図15Cは250〜780℃の各温度で焼成して得られる小豆炭を、種々の濃度にて水に分散させた液状物についての、硫化水素消臭試験の結果を示すものである。450℃焼成小豆炭では、1ppm程度の極めて低い炭素濃度にて雰囲気中の硫化水素濃度が初期濃度から70%以上も減じており、100ppmまで炭素濃度が増加しても硫化水素濃度の到達濃度はほとんど同じとなっていることがわかる。また、硫化水素濃度の減少代は、組成物を含有しない精製水よりも明らかに大きくなっている。そして、硫化水素濃度の減少挙動であるが、試験開始から6時間後までは雰囲気中の硫化水素濃度は比較的急激に減少するが、以降24時間まで放置を続けても硫化水素濃度はほぼ平衡濃度を保持し続けていることがわかる。これらは、450℃焼成小豆炭の粒子が発現する界面活性により、粒子が液面近傍に集まりやすくなっていると考えることで説明ができる。これに対し、450℃及び780℃焼成の小豆炭では、液状物の炭素濃度が10ppmまで増加しても硫化水素濃度の減少は、450℃焼成小豆炭の濃度1ppmでの結果よりもはるかに鈍くなっており、かつ、硫化水素消臭能力の明確な濃度依存性が認められる。したがって、450℃及び780℃焼成の小豆炭の粒子は、液状物中にて水のバルク中に分散しているものと考えられる。図15Dは、炭素濃度を100ppmとして温度別の硫化水素濃度の減少挙動を比較して示すものであるが、界面活性を有さないと考えられる250℃及び780℃焼成の小豆炭は、24時間経過後においても硫化水素濃度の減少が平衡値に達していないのが明らかである。
また、図15Eは、表1の番号6に示す「こしあん小豆」原料を用いて450℃焼成を行った組成物の硫化水素消臭試験の結果を示すものであるが、乾燥小豆種子を直接焼成したものと大きく異なり、液状物の炭素濃度が10ppmまで増加しても硫化水素濃度の減少は極めて鈍く、かつ、100ppmまで炭素濃度を増加させると硫化水素消臭能力は明らかに増大し、界面活性が損なわれていることが明らかである。
この450℃焼成小豆炭については、炭素濃度10ppm及び100ppmのいずれの液状物についても、非常に良好な洗浄能力を発揮する。これらは、手指等に触れても石鹸などにみられるぬるぬるした触感はほとんど生じないし、例えば炭素濃度10ppmの液状物は、外観上はほぼ透明な水であるが、衣類に付着した油脂汚れやシミ等であって水道水で洗っても落ちないものでも、1〜2cc程度の上記液状物を霧吹きにより直接噴霧すると汚れが浮き上がって広がりはじめ、その後水道水ですすぎ洗いを施すときれいに除去することができる。また、白色の木綿生地に付着したカレー染みのように着色が著しい汚れの場合、噴霧直後から黄色のしみが急速に広がってぼやけはじめ、数分後にはすすぎ洗浄を施さなくとも色が消失して、ほぼ生地と同じ白色になるまでの著しい効果を確認している。これは、組成物が界面活性だけでなく、含まれる官能基にラジカル的な酸化機能が備わっており、有機汚れに対する分解作用が生じている可能性もある。原料は全て天然植物由来であることから、より安全で強力な界面活性剤として、食品分野をはじめとした各種分野での活用が期待される。
次に、図16A〜図16Cは、450℃焼成小豆炭を水に分散させた液状物についての、メチルメルカプタン、アンモニア及びトリメチルアミンに対する消臭試験の結果を示すものである。液状物中の炭素濃度は悪臭閾値の特に高いメチルメルカプタンとトリメチルアミンについては500ppmを、アンモニアについては100ppmを採用している。図16Aのメチルメルカプタンと、図16Cのトリメチルアミンについては、いずれも精製水に対して明確に有意な消臭能力を発揮しており、6時間経過以降は到達濃度が平衡値に達するなど、硫化水素の場合と同様の界面活性挙動を示している。一方、アンモニアについては、3時間経過後には雰囲気中のアンモニア濃度は完全にゼロとなった。アンモニアは水溶性が極端に大きいことから、精製水との差は他の悪臭成分の場合よりは小さくなっている。このように、小豆炭を含有した液状物は、酸性臭気成分と塩基性臭気成分との双方に対し吸収活性を有していることが明らかである。
図17は、450℃焼成落花生殻炭を、種々の濃度にて水に分散させた液状物についての、硫化水素消臭試験の結果を示すものである。液状物の炭素濃度が10ppm以上で、精製水よりも顕著な消臭効果が発揮されていることがわかる。しかし、同じ温度で焼成した小豆炭と異なり、炭素濃度の増加とともに雰囲気中の硫化水素濃度の減少代が大きくなり、また、24時間経過後においても硫化水素濃度の減少は平衡値に達していないとみられる。以上から、450℃焼成落花生殻炭は界面活性を示していないと考えられる。図18は液状物の炭素濃度を500ppmとしたときの、メチルメルカプタンに対する消臭試験の結果を示すものである。図16Aに示す、同一濃度による450℃焼成小豆炭の結果と比較して、落花生殻炭のほうがメチルメルカプタンの減少代が大きく、より大きな消臭効果が発揮されていることがわかる。また、図15Fは、450℃焼成桐材炭を、種々の濃度にて水に分散させた液状物についての、硫化水素消臭試験の結果を示すものである。液状物の炭素濃度にて100ppmまで濃度が増加しても硫化水素に対する消臭性はそれほど顕著ではないことがわかる。
(消臭試験2の結果)
図19は、各種原料の450℃焼成炭の炭素濃度1000ppmの液状物(精製水は比較例)による、酢酸消臭試験の結果を示すものである。いずれの液状物も精製水に対して優位な消臭効果を発揮しており、特に小豆炭、次いで落花生殻炭の消臭能力が顕著であることがわかる。
図19は、各種原料の450℃焼成炭の炭素濃度1000ppmの液状物(精製水は比較例)による、酢酸消臭試験の結果を示すものである。いずれの液状物も精製水に対して優位な消臭効果を発揮しており、特に小豆炭、次いで落花生殻炭の消臭能力が顕著であることがわかる。
(消臭試験3の結果)
図20は、各種原料の450℃焼成炭の炭素濃度1000ppmの液状物(精製水は比較例)による、にんにく消臭試験の結果を示すものである。にんにくの臭気成分のもととなるのはアリインであるが、アリイン自体は臭気を有さず、酸素と接触することによりこれが分解してアリシン(酸性)に変化し、このアリシンが臭気を発する点に留意する必要がある。皮をむいた生にんにくを水の中に入れておくと、水はやがてアリシンにより強烈に臭うようになることが知られている。水はアリインやアリシンをよく溶かすが、揮発・蒸散を阻止する効果まではなく、水中のアリシン濃度が高くなると臭うようになるのである(にんにくを食べると、胃中に水分が多量にあっても臭いは抑制されない)。
図20は、各種原料の450℃焼成炭の炭素濃度1000ppmの液状物(精製水は比較例)による、にんにく消臭試験の結果を示すものである。にんにくの臭気成分のもととなるのはアリインであるが、アリイン自体は臭気を有さず、酸素と接触することによりこれが分解してアリシン(酸性)に変化し、このアリシンが臭気を発する点に留意する必要がある。皮をむいた生にんにくを水の中に入れておくと、水はやがてアリシンにより強烈に臭うようになることが知られている。水はアリインやアリシンをよく溶かすが、揮発・蒸散を阻止する効果まではなく、水中のアリシン濃度が高くなると臭うようになるのである(にんにくを食べると、胃中に水分が多量にあっても臭いは抑制されない)。
小豆炭の液状物については、検知される臭気値の上昇挙動には炭素濃度依存性があり、炭素濃度1000ppm品では1時間後の臭気値は100となり、体感的にもかなり抑制されていることがわかった。一方、炭素濃度500ppmの液状物では、1000ppmの場合よりも臭気値の上昇が速い。桐材炭(炭素濃度500ppm)は小豆炭1000ppmよりは若干劣るものの、相当良好である。南天材炭炭素濃度500ppm)がこれに次ぐ。他方、落花生殻炭を含有した液状物は、何も含有しない精製水より臭気上昇が速い。
小豆炭は界面活性を有し、落花生殻炭は有さないと考えられるから、上記の結果は次のように考えると説明できる。すなわち、小豆炭(おそらく桐材炭も)は液滴の表面に集まって揮散しようとするアリシンを吸着し、液滴内の水に溶かしこむ。溶けたアリシンは液面から揮散しようとするが、臭気吸着能のある小豆炭粒子に液面がびっしり覆われてシールドされる結果、液滴からのアリシンの蒸発が抑制される。
他方、界面活性の小さい落花生炭では、濃度に応じてアリシンを水に引き込む効果は十分持っているが、液面には集まらないのでアリシンの再蒸散を抑制するには至らない(濃度を上げると抑制できる可能性はある)。また、アリインの空気中でのアリシンへの分解は極めて容易に進むため、水溶性炭素に若干でもラジカル的な酸化活性があると、まだ残っているアリインのアリシンへの分解が助長されることもあり得る。これが落花生炭で、精製水よりも臭気の上昇が速かった原因の一つになっている可能性がある。
以上の実験結果に基づいて、本発明の植物熱分解粉末組成物の形成過程及び推定構造と、消臭能や界面活性が発現する推定機構について説明する。
まず、界面活性を示す組成物の推定形成過程について、その根拠とともに説明する。界面活性が顕著に生ずるのは、小豆の乾燥種子を450℃にて直接焼成した場合であり、こしあん小豆を用いると界面活性は損なわれる(図15E)。前述のごとく、小豆種子には界面活性成分であるサポニンが含まれており、こしあん小豆の場合は、繰り返し施される茹でこぼし処理によりサポニン成分が除去されており、図15Eの結果から、サポニンの有無が組成物の界面活性発現に関与している可能性は非常に高い。
まず、界面活性を示す組成物の推定形成過程について、その根拠とともに説明する。界面活性が顕著に生ずるのは、小豆の乾燥種子を450℃にて直接焼成した場合であり、こしあん小豆を用いると界面活性は損なわれる(図15E)。前述のごとく、小豆種子には界面活性成分であるサポニンが含まれており、こしあん小豆の場合は、繰り返し施される茹でこぼし処理によりサポニン成分が除去されており、図15Eの結果から、サポニンの有無が組成物の界面活性発現に関与している可能性は非常に高い。
一方、サポニンを除去しない乾燥小豆種子を用いた場合、焼成温度を250℃に下げても780℃に上昇させても、いずれも界面活性は損なわれる(図15A〜図15D)。780℃焼成の場合はサポニンの高温焼成での分解消失が原因となった可能性が考えられるが、450℃では界面活性の発現が顕著であり、サポニン自体が組成物の界面活性発現を担っていると考えると、それよりも低い250℃焼成炭で界面活性が損なわれる実験事実は説明ができない。また、本発明者らは、250℃焼成小豆炭と450℃焼成小豆炭とをアルミナボールにて微粉砕した後の、アルミナボールへの汚れ付着状況を確認したことろ、図32に示すような結果が得られている。画像中、破線で囲んだボールが450℃焼成小豆炭を粉砕した後のボールであり、その外側のボールが250℃焼成小豆炭である。250℃焼成小豆炭のボール表面はまるで洗剤を用いて洗浄した後のごとく白色で、黒いカーボン汚れの付着が非常に少ないのに対し、450℃焼成小豆炭のボールはカーボンの黒い汚れがびっしり付着しており、外観上に著しい差を生じていることがわかる。これは、250℃焼成炭には原料に含有されていたサポニンが比較的多く残留しており、粉砕中もその洗浄効果によってボールへの汚れ付着が抑制されたのに対し、450℃ではサポニンが分解消失して洗浄効果がなくなり、汚れ付着が顕著になったものと考えられる。焼成前の原料中の界面活性成分が、焼成後の組成物の界面活性自体を担うものでないことは、この実験事実からも裏付けられる。
そして、界面活性を示さない焼成炭は乾式粉砕したときに、グラファイト微粒子が粉砕ポット内壁に付着し組成物から分離し、ラマン散乱スペクトルプロファイルにてグラファイト相の存在を示すGバンドピークのDバンドピークに対する相対強度が低くなる一方(図10A、図10C、図11A〜図11C)、界面活性を示す焼成炭は乾式粉砕中のグラファイト微粒子の分離が見られず、ラマン散乱スペクトルプロファイルにてGバンドピーク強度は明らかに増大する(図10B)。周知のごとく、グラファイトは非常に疎水性が強く、組成物段階で生ずる界面活性は、親水性である植物組織の未炭化熱分解生成物からグラファイト相が分離せず一体化していることに起因していると考えられる。
以上の考察から、界面活性を示す組成物は、例えば図21に示すような構造を有していると考えている。すなわち、組成物粒子100は、セルロース、でんぷんないし蛋白質を含有した植物組織の未炭化熱分解生成物相151と、炭化により生じたグラファイト相154とからなり、グラファイト相154は未炭化熱分解生成物相151の表面に、分離困難な超微細粒子の形で分散一体化している。そして、粒子中の未炭化熱分解生成物相151が親水部を、グラファイト相154が疎水部を形成し、水中では疎水部の水との接触確率がなるべく低くなる液面LS上に存在することがエネルギー的に最も安定であることから、顕著な界面活性を発現するものと考えられる。
未炭化熱分解生成物相151は、すでに説明した赤外吸収スペクトルの測定結果からも明らかなごとく、酸性分子OMAとの親和性が高い塩基性官能基部151Bと、塩基性分子OMBとの親和性が高い酸性官能基部151Aとを有している。液面LS近傍の組成物粒子100は、気中の塩基性分子OMB(アンモニア、トリメチルアミン等)及び酸性分子OMA(硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸等)を酸性官能基部151A及び塩基性官能基部151Bにて各々吸着する。他方、組成物粒子100は水と接しており、上記の塩基性分子OMB及び酸性分子OMAはいずれも水に対する溶解度が比較的高いから、各官能基部151A,151Bに吸着された分子は周囲の水に溶解ないし水和する形で組成物から離脱する。離脱後の官能基部151A,151Bは、新たに分子OMA,OMBの吸着受け入れが可能な状態になる。
こうして、未炭化熱分解生成物相151上では分子吸着→水和→離脱のプロセスが絶えず継続し、気中の臭気成分は官能基部151A,151Bへの吸着を媒介として水相へ輸送される結果、気中濃度が減じられて消臭効果が発現する。組成物粒子100が分散している水への分子の溶解度が大きければ、組成物粒子100自体が有する分子吸着容量がそれほど大きくなくとも、液状物は十分なレベルの消臭容量を確保できると考えられる。また図22に示すごとく、一旦水中に入った分子OMA,OMBは、気中分子の濃度(分圧)に応じて再び液面LSから気中に戻ろうとするが、組成物粒子100が界面活性を有していると、組成物粒子100の濃度が閾値(前述の450℃焼成小豆炭の場合は、炭素濃度にして1ppm)以上に確保されていれば、液面LSは組成物粒子100によりびっしりと配列した状態になる。浮上してくる分子OMA,OMBは、液面LSに配列した組成物粒子100の官能基部151A,151Bにトラップされ、気中への放出が妨げられる。すなわち、液面LSに配列する組成物粒子100の層によるシールド効果により、液面LS近傍の組成物粒子100を媒介とした分子輸送は気中から液中に向かう一方向的なものとなり、液状物から臭気分子が気中へ逆流して消臭効果が損なわれる不具合が起こりにくくなると考えられるのである。
また、上記推定される機構により液状物に吸収された気中分子OMA,OMBは、これら分子との親和性が高い官能基部151B,151Aが高密度に存在する液面LS近傍に濃縮される傾向が高い。したがって、気中分子OMA,OMBの吸収がある程度進み、液面LS近傍の溶存分子濃度が、気中に残存している分子濃度(分圧)と平衡すれば、液状物による気中分子OMA,OMBの吸収速度は鈍くなり、気中分子濃度は経過時間によらず平衡値を維持するようになると考えられる。こうしたメカニズムは、液面LSが組成物粒子100に十分に覆われれば、液状物バルク中の組成物粒子100の濃度とは無関係に成立すると考えられ、450℃焼成小豆炭を含有する液状物にかかる図10Bの実験結果をうまく説明するものである。
本発明者らは、図15Eに示す結果のごとく、組成物に界面活性が発現するためには原料段階での界面活性成分含有が必要条件となっていることに鑑み、上記のような組成物粒子100の推定構造が、次のようなプロセスにより形成されるものと推定した。すなわち、図23に示すように、セルロース、でんぷん及び蛋白質を含有した植物組織の基質は、酸素を遮断した雰囲気で焼成されると、加熱前よりは分子量を減じた分解生成物の微細粒子相151に分解する。このとき、原料中に含有されているサポニン等の界面活性成分は、微細粒子相151により粒界152が形成される時点では元素状炭素までの分解が進まず、界面活性分子特有の振る舞いとして粒界152上に拡散・濃縮する。この状態で基質(微細粒子相151)の熱分解がさらに進行すると、粒界152上の界面活性成分も元素状炭素へと変化し、結果として粒界151上には元素状炭素の核153が多数形成され、以降、微細粒子相151のさらなる熱分解の進行に伴い生成する元素状炭素は、この核を起点に成長し、結果として粒界152上には多数の微細なグラファイト相154が分散析出する。図24に示すように、粒界152に配列したグラファイト相154は、粉砕時にいわばミシン目の役割を果たし、粒子間の分断(粉砕)を生じやすくさせ、組成物をナノ粒子レベルまで容易に微粉砕することができるようになる。図25に示すように、グラファイト相154は微細なため、基質(微細粒子相)151との界面の歪は比較的小さく密着力が上昇する。その結果、粉砕中における基質(微細粒子相)151からのグラファイト相154の脱落が生じにくくなると考えられる。
次に、落花生殻炭のごとく界面活性を有さない組成物については、原料段階で界面活性成分が含有されておらず、次のようなプロセスにより形成されるものと推定した。すなわち、図26に示すように、この場合は、粒界152への界面活性成分の拡散・濃縮が起こらず、元素状炭素の析出は微細粒子相151の粒界三重点など、限られた場所でしか起こりにくくなる。つまり、元素状炭素の成長核の数が図23の場合よりも大幅に減じられる結果、個々のグラファイト相154は粗大化しやすくなる。小豆が原料の場合でも、サポニンを洗い流したこしあん小豆を原料にした場合や、析出したグラファイト相の成長速度が大きく合体も生じやすい高温焼成炭(780℃焼成小豆炭:図15C)の場合も、似たようなプロセスをたどると考えられる。図28に示すように、粗大化したグラファイト相154は基質(微細粒子相)151に歪を与えながら成長するので、あるところまで成長すると基質(微細粒子相)151とグラファイト相154の密着は急激に低下する。その結果、図28に示すように、粉砕中にグラファイト粒子154が脱落し、グラファイト粉末GPの形で分離しやすくなる。
グラファイト相が脱落することで、図29に示すように、得られる組成物粒子200はグラファイト相の残留量が少なく、親水性の未炭化熱分解生成物相が主体となり、液面よりも水中に分散しやすくなる。すなわち、界面活性は喪失する。この場合、液面LS近傍に偶発的に存在する組成物粒子200のみが分子OMA,OMBの吸着に貢献する。その結果、図30に示すように、組成物粒子200の分散濃度が高いほど、分子OMA,OMBに対する吸収能も大きくなる。また、組成物粒子200が液面LSに集まりにくいため、図22のようなシールド効果は生じにくく、吸収された分子OMA,OMBの液面近傍の濃度も上昇しにくいため、気中分子OMA,OMBの吸収は、この場合は液バルクの分子OMA,OMBの濃度が、気中に残存している分子濃度(分圧)と平衡するまで継続する。このような機構を想定することで、界面活性を示さない組成物の消臭試験の結果を説明できる。
また、図15Aに示すように、低温の250℃にて焼成された小豆炭についても450℃焼成小豆炭よりは界面活性が損なわれるが、この理由は図31に示すように、焼成温度が低いために元素状炭素の生成があまり進まず、界面活性発現に必要なグラファイト相154自体が不足するためであると考えられる。また、植物原料基質の熱分解ひいては微細粒子相151間の粒界形成もあまり進まず、粉砕性の低下を招いたと考えられる。
V1 第一谷点
V2 第二谷点
V3 第三谷点
P2 短波長側ブロード主ピーク
P5 長波長側主ピーク
BL1 第一ベースライン
BL2 第二ベースライン
V2 第二谷点
V3 第三谷点
P2 短波長側ブロード主ピーク
P5 長波長側主ピーク
BL1 第一ベースライン
BL2 第二ベースライン
Claims (22)
- セルロース及びでんぷんの少なくともいずれかと蛋白質とを含有する植物組織の未炭化熱分解生成物と、前記植物組織が炭化して形成された元素状炭素とが混合した粉末組成物として形成され、
含有全炭素量に占める有機炭素質量含有率をCO、元素状炭素含有率をCEとしてCO/(CO+CE)が0.05以上0.9以下であり、
前記未炭化熱分解生成物に由来した赤外吸収スペクトル形状が、3600cm−1から3800cm−1に至る波数区間に第一谷点V1を生じ、1600cm−1から1800cm−1に至る波数区間に前記第一谷点よりも低い第二谷点V2を生じ、850cm−1から1050cm−1に至る波数区間に前記第一谷点よりも高い第三谷点V3を生ずるとともに、前記第一谷点V1から前記第二谷点V2に向けて、2700cm−1以上3500cm−1以下の区間に頂点を形成しつつ前記第一谷点V1側が前記第二谷点V2側よりも急峻となる短波長側ブロード主ピークを含む1又は複数の吸収ピークからなる第一ピーク区間が形成され、前記第二谷点V2から前記第三谷点V3に向けて、1515cm−1以上1650cm−1以下の区間に頂点を有する長波長側主ピークを少なくとも含む一体的な複数の吸収ピークからなる第二ピーク区間が形成され、前記第一谷点V1に対する前記第三谷点V3の吸光度増分をΔhとし、前記第一谷点V1と前記第二谷点V2とを結ぶ第一ベースラインからの前記第一ピーク区間の最高点までの高さをhAとしてhA/Δhが0.1以上であり、前記第二谷点V2と前記第三点V3とを結ぶ第二ベースラインからの前記第二ピーク区間の最高点までの高さをhBとしてhB>hAとなることを特徴とする植物熱分解粉末組成物。 - 水に溶解ないし分散させて液状物としたとき、該液状物の液面と接する気中の硫化水素、酢酸又はメチルメルカプタンよりなる酸性分子成分と、アンモニア又はトリメチルアミンよりなる塩基性分子成分との双方に対し、当該粉末組成物を含有しない水よりも大きい吸収活性を示すことを特徴とする請求項1記載の植物熱分解粉末組成物。
- 前記長波長側主ピークの前記第二ベースラインからの高さをhjとして、hj/hAが2以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物熱分解粉末組成物。
- レーザー散乱式粒度計にて測定した個数平均粒子径が1μm未満であり、かつ体積相対粒度分布における1μm未満の粒子の体積含有率が1%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の植物熱分解粉末組成物。
- 前記個数平均径をd(μm)として、比表面積値が1.5/d以上10/d以下(単位:m2/g)である請求項4記載の植物熱分解粉末組成物。
- ラマン散乱スペクトルを測定したとき、1320cm−1以上1370cm−1以下の区間に現れるGバンドピークと、1570cm−1以上1610cm−1以下の区間に現れるDバンドピークとが、Gバンドピークの短波長側の裾野とDバンドピークの長波長側の裾野とが互いに重なって、それらGバンドピークとDバンドピークとの間のベースラインよりも高い位置に谷点を生ずるように形成され、前記ベースラインからの前記Gバンドピークの高さをIG、前記谷点の高さをIVとしたとき、IV/IGが0.5以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の植物熱分解粉末組成物。
- 水に溶解ないし分散させた状態にて界面活性を示すことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の植物熱分解粉末組成物。
- ラマン散乱スペクトルを測定したとき、1320cm−1以上1370cm−1以下の区間に現れるGバンドピークと、1570cm−1以上1610cm−1以下の区間に現れるDバンドピークとが、Gバンドピークの短波長側の裾野とDバンドピークの長波長側の裾野とが互いに重なって、それらGバンドピークとDバンドピークとの間のベースラインよりも高い位置に谷点を生ずるように形成され、前記ベースラインからの前記Dバンドピークの高さをID、前記ベースラインからの前記Gバンドピークの高さをIGとしたとき、1.0>IG/ID>0.7であることを特徴とする請求項7記載の植物熱分解粉末組成物。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の植物熱分解粉末組成物を水に溶解ないし分散させたことを特徴とする炭素含有水系液状物。
- 液面と接する気中の硫化水素、酢酸又はメチルメルカプタンよりなる酸性分子成分と、アンモニア又はトリメチルアミンよりなる塩基性分子成分との双方に対し、当該粉末組成物を含有しない水よりも大きい吸収活性を示すことを特徴とする請求項9記載の炭素含有水系液状物。
- 液中の重量炭素濃度が1ppm以上2000ppm以下である請求項10又は請求項10に記載の炭素含有水系液状物。
- 界面活性を示すことを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の炭素含有水系液状物。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法であって、
セルロース及びでんぷんの少なくともいずれかと蛋白質とを含有する植物組織原料を、250℃以上であって800℃を超えない焼成温度にて非酸化性雰囲気中で、原料中の含有全炭素量の10%以上95%以下が元素状炭素となり残部が未炭化有機炭素成分として残留するように焼成後、冷却することにより前記植物組織原料の不完全炭化焼成物を得る焼成工程と、
前記不完全炭化焼成物を粉砕することにより、粉末状の前記植物熱分解粉末組成物を得る粉砕工程と、
をこの順に実施することを特徴とする植物熱分解粉末組成物の製造方法。 - 前記植物組織原料が植物種子である請求項13記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料が豆類である請求項14記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記豆類が小豆である請求項15記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料が豆類の殻又は鞘である請求項13記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料が落花生殻である請求項17記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料が樹木又は草本類である請求項13記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料が桐材又は南天材である請求項19記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料としてサポニンを含有するものが使用され、前記植物熱分解粉末組成物を、水に溶解ないし水和した状態にて界面活性を示すものとして得る請求項13記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
- 前記植物組織原料が小豆である請求項21記載の植物熱分解粉末組成物の製造方法。
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