JP2017135466A - マイクロストリップ線路、及び、平衡不平衡変換素子 - Google Patents

マイクロストリップ線路、及び、平衡不平衡変換素子 Download PDF

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亮平 細野
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Abstract

【課題】従来よりも製造コストを低下させることが容易であるシングルエンド型マイクロストリップ線路を実現する。
【解決手段】マイクロストリップ線路において、グランドパッド13aを起点としストリップ導体12から遠ざかる方向に延伸する帯状導体14a、を備えており、グランドパッド13a及び帯状導体14aは、グランド導体15から絶縁されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、信号の伝送を行うマイクロストリップ線路に関する。また、本発明は、当該マイクロストリップ線路を備えた平衡不平衡変換素子に関する。
無線通信の大容量化を図るために、使用する周波数帯域の広帯域化及び高周波化が進んでいる。近年では、マイクロ波帯(0.3GHz以上30GHz以下)のみならず、ミリ波帯(30GHz以上300GHz以下)が無線通信に使用されるようになっている。このような高周波信号を低損失で伝送するために、(1)誘電体基板、(2)その誘電体基板の表面に形成された1本又は2本ストリップ導体、及び(3)その誘電体基板の裏面に形成された接地導体を備えたマイクロストリップ線路が広く用いられている。
ストリップ導体が1本のマイクロストリップ線路は、シングルエンド信号の不平衡伝送に用いられる。本明細書においては、これを「シングルエンド型マイクロストリップ線路」と呼ぶ。一方、ストリップ導体が2本のマイクロストリップ線路は、差動信号の平衡伝送に用いられる。本明細書においては、これを「差動型マイクロストリップ線路」と呼ぶ。
シングルエンド型マイクロストリップ線路と差動型マイクロストリップ線路との接続には、平衡不平衡変換素子が用いられる。平衡不平衡変換素子は、(1)誘電体基板、(2)その誘電体基板の表面に形成された、(2−1)シングルエンド型マイクロストリップ線路として機能する第1のストリップ導体、(2−2)差動型マイクロストリップ線路として機能する第2,第3ストリップ導体、及び(2−3)第1ストリップ導体と第2,第3ストリップ導体との間に介在する分配器、並びに、(3)その誘電体基板の裏面に形成された接地導体により構成される。分配器としては、ウィルキンソン型、分布結合型、ブランチライン型、ラットレース型などの分配器が用いられる。
特許文献1には、ラットレース型分配器を構成するリング線路の一部を、誘電体基板の表面に形成された導体線路と誘電体基板の内層に形成された導体線路とからなる分布結合線路に置き換え、リング線路の電気長を短縮した平衡不平衡変換素子が開示されている。
特開2014−216914号(公開日:2014年11月17日)
ところで、マイクロストリップ線路とICとの接続には、マイクロストリップ線路を構成する誘電体基板の表面に形成された電極パッドが用いられる。従来のシングルエンド型マイクロストリップ線路6における典型的な電極パッドの構成を図10に示す。
従来のシングルエンド型マイクロストリップ線路6においては、誘電体基板61の表面に形成された1本のストリップ導体62の端部62aを信号パッド(ICの信号端子を接続するための電極パッド)として用いる。また、ストリップ導体62の端部62a近傍においてストリップ導体62の第1側辺62b1に対向する導体片を第1グランドパッド(ICのグランド端子を接続するための電極パッド)63aとして用いる。また、ストリップ導体62の端部62a近傍においてストリップ導体62の第2側辺62b2に対向する導体片を第2グランドパッド63bとして用いる。これら2つのグランドパッド63a〜63bは、それぞれ、誘電体基板61を貫通するスルービア61a〜61bによって、誘電体基板61の裏面に形成された不図示の接地導体に短絡されている。これら2つのグランドパッド63a〜63bの電位を、それぞれ、接地電位に維持するためである。なお、平衡不平衡変換素子を構成するシングルエンド型マイクロストリップ線路においても、分配器側と反対側の端部において、同様の接続構造が採用される。
シングルエンド型マイクロストリップ線路6において図10に示す接続構造を採用する場合には、誘電体基板61に少なくとも2つのスルービア61a〜61bを形成する必要があり、このことが、製造コストの低下を阻害する要因となっていた。スルービア61a〜61bを形成するためには、誘電体基板61に貫通孔を穿孔する工程や、貫通孔の孔璧にスパッタリング及び/又はメッキにより金属薄膜を成膜する工程など、コストの掛る工程を実施する必要があるためである。
また、このようなシングルエンド型マイクロストリップ線路6を含んだ平衡不平衡変換素子においても、同様の問題が存在することが明らかであろう。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも製造コストを低下させることが容易なマイクロストリップ線路を実現することにある。また、従来よりも製造コストを低下させることが容易な平衡不平衡変換素子を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るマイクロストリップ線路は、誘電体基板、前記誘電体基板の表面に形成された、(1)ストリップ導体、(2)前記ストリップ導体の第1端辺近傍において前記ストリップ導体の側辺に対向するグランドパッド、及び、(3)前記グランドパッドを起点とし前記ストリップ導体から遠ざかる方向に延伸する帯状導体、並びに、前記誘電体基板の裏面に形成されたグランド導体、を備えており、前記グランドパッド及び前記帯状導体は、前記グランド導体から絶縁されている、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、グランドパッドに帯状導体が付加されているので、グランドパッドとグランド導体と間の容量が大きくなる。これにより、グランドパッドをグランド導体に短絡せずとも、グランドパッドの電位を安定的に接地電位に維持することが可能になる。従って、グランドパッドの電位を安定的に接地電位に維持するために、従来のようにグランドパッドをグランド導体に短絡する必要がない(実際、上記の構成では、グランドパッド及び帯状導体がグランド導体から絶縁されている)。そのため、スルービアの形成が不要であり、従来よりも製造コストを低く抑えることが可能である。
本発明に係るマイクロストリップ線路において、前記誘電体基板の表面に形成された、(4)前記ストリップ導体の第1端辺近傍において前記ストリップ導体の他の側辺に対向する他のグランドパッド、及び、(5)前記他のグランドパッドを起点とし前記ストリップ導体から遠ざかる方向に延伸する他の帯状導体を更に備えており、前記他のグランドパッド及び前記他の帯状導体は、前記グランド導体から絶縁されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、シングルエンド型マイクロストリップ線路において、上記の効果を得ることができる。
本発明に係るマイクロストリップ線路において、前記グランドパッドには、前記帯状導体の2つの側辺のうち、前記ストリップ導体の前記第1端辺から第2端辺への流れの下流側に位置する側辺が接続されており、前記他のグランドパッドには、前記他の帯状導体の2つの側辺のうち、上記流れの下流側に位置する側辺が接続されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記マイクロストリップ線路を平衡不変換素子に組み込んだ場合に、その変換損失の大きさ十分に小さく(例えば使用帯域の全体に亘って2dBよりも小さく)抑えることができる。
本発明に係るマイクロストリップ線路において、前記帯状導体及び前記他の帯状導体の長さLを、使用帯域の中心周波数に対応する自由空間波長λで除した規格化長L/λは、0.085以上0.169以下である、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記マイクロストリップ線路を平衡不変換素子に組み込んだ場合に、その変換損失の大きさ更に小さく(例えば使用帯域の全体に亘って1.5dBよりも小さく)抑えることができる。
本発明に係るマイクロストリップ線路において、前記誘電体基板の前記表面には、前記グランドパッドと前記他のグランドパッドとに接続されたブリッジ導体が更に形成されており、前記ブリッジ導体は、前記グランド導体から絶縁されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記マイクロストリップ線路を平衡不変換素子に組み込んだ場合に、その変換損失の大きさ十分に小さく(例えば使用帯域全体に亘って2dBよりも小さく)抑えることができる。また、2つのグランドパッドをブリッジ導体により短絡する構成が採用されているため、グランドパッド及び帯状導体を、それぞれの電位が一致した状態で、接地電位と同等の電位に維持することができる。
本発明に係るマイクロストリップ線路において、前記グランドパッドには、前記帯状導体の2つの側辺のうち、前記ストリップ導体の前記第1端辺から第2端辺への流れの上流側に位置する側辺が接続されており、前記他のグランドパッドには、前記他の帯状導体の2つの側辺のうち、上記流れの上流側に位置する側辺が接続されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記マイクロストリップ線路を平衡不変換素子に組み込んだ場合に、その変換損失の大きさ十分に小さく(例えば使用帯域の略全体に亘って2dBよりも小さく)抑えることができる。
本発明に係るマイクロストリップ線路において、前記帯状導体及び前記他の帯状導体の長さLを、使用帯域の中心周波数に対応する自由空間波長λで除した規格化長L/λは、0.07以上0.175以下である、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記マイクロストリップ線路を平衡不変換素子に組み込んだ場合に、その変換損失の大きさ更に小さく(例えば使用帯域の全体に亘って2dBよりも小さく)抑えることができる。
上記の課題を解決するために、本発明に係る平衡不平衡変換素子は、シングルエンド型マイクロストリップ線路と、分配器と、前記分配器を介して前記シングルエンド型マイクロストリップ線路に接続された差動型マイクロストリップ線路と、を備え、上述のマイクロストリップ線路が、前記シングルエンド型マイクロストリップ線路又は前記差動型マイクロストリップ線路として用いられている、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、従来の平衡不平衡変換素子と比べて、製造コストを低く抑えることが可能である。
本発明に係る平衡不平衡変換素子において、前記分配器は、第1接続点において前記シングルエンド型マイクロストリップ線路の前記ストリップに接続され、第2接続点において前記差動型マイクロストリップ線路のストリップ導体に接続され、第3接続点において前記差動型マイクロストリップ線路の他のストリップ導体に接続されたリング線路を備えており、前記分配器において、前記第2接続点から前記第1接続点に至る経路の電気長L21及び前記第3接続点から前記第1接続点に至る経路の電気長L31は、平衡不平衡変換の対象となる信号の波長をλとして、その差の絶対値|L31−L21|がλ/2+nλ(nは、0以上の任意の整数)に一致するように設定されており、前記差動型マイクロストリップ線路において、前記他のストリップ導体に折り返し部を設けることによって、前記ストリップ導体の長さと前記他のストリップ導体の長さとを一致させた、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上述のシングルエンド型マイクロストリップ線路が用いられているため、従来の平衡不平衡変換素子と比べて、製造コストを低く抑えることが可能である。
本発明に係る平衡不平衡変換素子において、前記分配器は、(1)前記第1接続点を含む第1直線部、(2)前記第1直線部の終端点を始端点とし、前記第1直線部の延伸方向と直交する方向に延伸する第2直線部であって、前記第2接続点を含む第2直線部、(3)前記第2直線部の終端点を始端点とし、前記第1直線部の延伸方向と反対方向に延伸する第3直線部であって、前記第3接続点を含む第3直線部、及び(4)前記第3直線部の終端点を始端点とし、前記第2直線部の延伸方向と反対方向に延伸する第4直線部からなるリング線路を備えている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上述の平衡不平衡変換素子において、好適に平衡不平衡変換を実施することができる。
本発明に係る平衡不平衡変換素子において、前記分配器は、前記第2直線部から前記リング線路の内側に向かって突出した第1スタブと、前記第4直線部から前記リング線路の内側に向かって突出した第2スタブとを更に備えている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、分配器で生じた反射波を打ち消す反射波が生じる。このため、上述の平衡不平衡変換素子において、好適に平衡不平衡変換を実施することができる。
本発明によれば、従来よりも製造コストを低下させることが容易であるマイクロストリップ線路を実現することができる。また、本発明によれば、従来よりも製造コストを低下させることが容易である平衡不平衡変換素子を実現することができる。
(a)は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロストリップ線路の平面図である。(b)は、同マイクロストリップ線路の断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロストリップ線路の平面図である。(b)は、同マイクロストリップ線路の断面図である。 (a)は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロストリップ線路の平面図である。(b)は、同マイクロストリップ線路の断面図である。 図1に示すマイクロストリップ線路を備えた平衡不平衡変換素子の平面図である。 図1〜3のマイクロストリップ線路をそれぞれ備えた3つの平衡不平衡変換素子の変換損失の周波数依存性を示すグラフである。 図1に示すマイクロストリップ線路を備えた平衡不平衡変換素子の変換損失の周波数依存性を示すグラフである。 図6に示す変換損失について、使用帯域における最悪値を帯状導体の規格化長L/λの関数として表したグラフである。 図3に示すマイクロストリップ線路を備えた平衡不平衡変換素子の変換損失の周波数依存性を示すグラフである。 図8に示す変換損失について、使用帯域における最悪値を帯状導体の規格化長L/λの関数として表したグラフである。 従来のマイクロストリップ線路の平面図である。
〔マイクロストリップ線路の第1の実施形態〕
本発明に係るマイクロストリップ線路の第1の実施形態について、図1を参照して説明する。本実施形態に係るマイクロストリップ線路は、シングルエンド型マイクロストリップ線路として実現されている。以下、本実施形態に係るマイクロストリップ線路を、シングルエンド型マイクロストリップ線路と呼ぶ。
図1は、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1の構成を示す図である。図1において、(a)はシングルエンド型マイクロストリップ線路1の平面図(端部近傍の拡大図)であり、(b)は、シングルエンド型マイクロストリップ線路1の断面図(AA’断面)である。
シングルエンド型マイクロストリップ線路1は、図1に示すように、誘電体基板11、ストリップ導体12、第1グランドパッド13a、第2グランドパッド13b、第1帯状導体14a、第2帯状導体14b、及びグランド導体15を備えている。ストリップ導体12、第1グランドパッド13a、第2グランドパッド13b、第1帯状導体14a、及び第2帯状導体14bは、誘電体基板11の表面に形成されており、グランド導体15は、誘電体基板11の裏面に形成されている。なお、「表面」及び「裏面」という呼称は、誘電体基板11の2つの主面を区別するための便宜的な呼称に過ぎず、シングルエンド型マイクロストリップ線路1の配置方法や実装方法に関して、何ら制限を加えるものではない。
誘電体基板11は、表面及び裏面が長方形の板状部材であり、誘電体により構成されている。本実施形態においては、厚さ50μmの液晶ポリマー基板(誘電率2.9、誘電正接0.003)を誘電体基板11として用いている。
ストリップ導体12は、線状又は帯状の導体パターンである。本実施形態においては、幅0.2mmの帯状の導体パターンを、ストリップ導体12として用いる。ストリップ導体12の第1端辺12a1近傍は、ICの信号端子を接続するための電極パッドとして機能する。なお、以下の説明においては、ストリップ導体12の第1端辺12a1から第2端辺(不図示)へと向かう流れ(ベクトル場)を考え、これを「流れA」と呼ぶ。
第1グランドパッド13aは、ICのグランド端子を接続するための電極パッドである。第1グランドパッド13aは、ストリップ導体12の第1端辺12a1近傍においてストリップ導体12の第1側辺12b1に対向するように配置されている。本実施形態においては、1辺0.1mmの正方形状の導体パターンを、第1グランドパッド13aとして用い、この第1グランドパッド13aを、ストリップ導体12aの第1側辺12b1との間隔D1が0.05mmとなるように配置する。
第2グランドパッド13bは、第1グランドパッド13aと同様、ICのグランド端子を接続するための電極パッドである。第2グランドパッド13bは、ストリップ導体12の第1端辺12a1近傍においてストリップ導体12の第2側辺12b2に対向するように配置されている。本実施形態においては、第1グランドパッド13aと同様に、1辺0.1mmの正方形状の導体パターンを、第2グランドパッド13bとして用い、この第2グランドパッド13bを、ストリップ導体12aの第2側辺12b2との間隔D2が0.05mmとなるように配置する。
第1帯状導体14aは、第1グランドパッド13aに接続された帯状の導体パターンである。本実施形態においては、幅W1が0.1mm、長さL1が0.8mmの帯状の導体パターンを、第1帯状導体14aとして用い、この第1帯状導体14aを、ストリップ導体12の第1側辺12b1との間隔D1が0.05mmとなるように配置する。第1帯状導体14aは、ストリップ導体12から遠ざかる方向(本実施形態においては、ストリップ導体12と直交する方向)に延伸し、第1グランドパッド13aと共にL字型の導体パターンを構成する。なお、L字型の導体パターンを構成するような第1グランドパッド13aと第1帯状導体14aとの接続態様としては、(1)第1帯状導体14aの、流れAの上流側に位置する側辺(第1側辺)14a1を、第1グランドパッド13aの、流れAの下流側に位置する辺に接続する態様と、(2)第1帯状導体14aの、流れAの下流側に位置する側辺(第2側辺)14a2を、第1グランドパッド13aの、流れAの上流側に位置する辺とを接続する態様とが考えられるが、本実施形態においては、前者の態様が採用されている。
第2帯状導体14bは、第2グランドパッド13bに接続された帯状の導体パターンである。本実施形態においては、第1帯状導体14aと同様に、幅W1が0.1mm、長さL1が0.8mmの帯状の導体パターンを、第2帯状導体14bとして用い、この第2帯状導体14bを、ストリップ導体12の第2側辺12b2との間隔D2が0.05mmとなるように配置する。第2帯状導体14bは、ストリップ導体12から遠ざかる方向(本実施形態においては、ストリップ導体12と直交する方向)に延伸し、第2グランドパッド13bと共にL字型の導体パターンを構成する。なお、L字型の導体パターンを構成するような第2グランドパッド13bと第2帯状導体14bとの接続態様としては、(1)第2帯状導体14bの、流れAの上流側に位置する側辺(第1側辺)14b1を、第2グランドパッド13bの、流れAの下流側に位置する辺に接続する態様と、(2)第2帯状導体14bの、流れAの下流側に位置する側辺(第2側辺)14b2を、第2グランドパッド13bの、流れAの上流側に位置する辺とを接続する態様とが考えられるが、本実施形態においては、前者の態様が採用されている。
グランド導体15は、誘電体基板11の裏面において、少なくともストリップ導体12に対向する領域、並びに、第1帯状導体14a及び第2帯状導体14bに対向する領域を覆う面状導体である。本実施形態においては、誘電体基板11の裏面全体を覆う面状導体をグランド導体15として用いる。
なお、誘電体基板11には、第1グランドパッド13a、第2グランドパッド13b、第1帯状導体14a、及び第2帯状導体14bをグランド導体15に短絡するための短絡手段(スルービアなど)は設けられていない。したがって、第1グランドパッド13a、第2グランドパッド13b、第1帯状導体14a、及び第2帯状導体14bは、何れも、誘電体基板11によってグランド導体15から絶縁されている。
以上のように、シングルエンド型マイクロストリップ線路1においては、第1グランドパッド13aに第1帯状導体14aを付加することによって、第1グランドパッド13aとグランド導体15との結合容量を大きくしている。これにより、第1グランドパッド13aをグランド導体15に短絡せずとも、第1グランドパッド13aの電位を安定的に接地電位に維持することが可能になる。同様に、シングルエンド型マイクロストリップ線路1においては、第2グランドパッド13bに第2帯状導体14bを付加することによって、第2グランドパッド13bとグランド導体15との結合容量を大きくしている。これにより、第2グランドパッド13bをグランド導体15に短絡せずとも、第2グランドパッド13bの電位を安定的に接地電位に維持することが可能になる。
従来技術では、第1グランドパッド13a及び第2グランドパッド13bと、グランド導体とをそれぞれ短絡するために、これらを貫通するスルービアを設ける必要があった。しかし、シングルエンド型マイクロストリップ線路1においては、第1グランドパッド13a及び第2グランドパッド13bをグランド導体15に短絡する必要がない。そのため、スルービアの形成が不要であり、製造コストを低く抑えることが可能である。
〔マイクロストリップ線路の第2の実施形態〕
本発明に係るマイクロストリップ線路の第2の実施形態について、図2を参照して説明する。本実施形態に係るマイクロストリップ線路も、第1の実施形態に係るマイクロストリップ線路と同様、シングルエンド型マイクロストリップ線路として実現されている。以下、本実施形態に係るマイクロストリップ線路を、シングルエンド型マイクロストリップ線路と呼ぶ。
図2は、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路2の構成を示す図である。図2において、(a)はシングルエンド型マイクロストリップ線路2の平面図であり、(b)は、シングルエンド型マイクロストリップ線路2の断面図(AA’断面)である。
シングルエンド型マイクロストリップ線路2は、図2に示すように、誘電体基板21、ストリップ導体22、第1グランドパッド23a、第2グランドパッド23b、第1帯状導体24a、第2帯状導体24b、グランド導体25、及びブリッジ導体26を備えている。ストリップ導体22、第1グランドパッド23a、第2グランドパッド23b、第1帯状導体24a、第2帯状導体24b、及びブリッジ導体26は、誘電体基板11の表面に形成されており、グランド導体25は、誘電体基板21の裏面に形成されている。
本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ2は、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1にブリッジ導体26を付加したものである。ブリッジ導体26を除き、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路2が備えている各部材は、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1が備えている同一名称の部材と同様に構成されている。
ブリッジ導体26は、第1グランドパッド23aと第2グランドパッド23bとを短絡する(直流的に導通させる)ための導体である。本実施形態においては、長辺がストリップ導体22の端辺22a1に対向し、かつ、当該長辺の両端に、それぞれ、第1グランドパッド23aの短辺と第2グランドパッド23bの短辺とが接続された長方形状の導体片をブリッジ導体26として用いる。本実施形態において、ブリッジ導体26は、第1グランドパッド23a、第2グランドパッド23b、第1帯状導体24a及び第2帯状導体24bと共に、ひとつの導体パターンとして一体成形されている。また、図2の(b)に示すように、ブリッジ導体26、第1グランドパッド23a及び第2グランドパッド23bと同様に、グランド導体25から絶縁されている(不図示)。
以上のように、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路2においては、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1の構成に加えて、第1グランドパッド23aと第2グランドパッド23bとをブリッジ導体26により短絡する構成が採用されている。このため、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路2によれば、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1の効果に加えて、第1グランドパッド23a、第2グランドパッド23b、第1帯状導体24a及び第2帯状導体24bを、それぞれの電位が一致した状態で、接地電位と同等の電位に維持することができるという更なる効果を奏する。
〔マイクロストリップ線路の第3の実施形態〕
本発明に係るマイクロストリップ線路の第3の実施形態について、図3を参照して説明する。本実施形態に係るマイクロストリップ線路も、第1及び第2の実施形態に係るマイクロストリップ線路と同様、シングルエンド型マイクロストリップ線路として実現されている。以下、本実施形態に係るマイクロストリップ線路を、シングルエンド型マイクロストリップ線路と呼ぶ。
図3は、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3の構成を示す図である。図3において、(a)はシングルエンド型マイクロストリップ線路3の平面図であり、(b)は、シングルエンド型マイクロストリップ線路3の断面図(AA’断面)である。
シングルエンド型マイクロストリップ線路3は、図3に示すように、誘電体基板31、ストリップ導体32、第1グランドパッド33a、第2グランドパッド33b、第1帯状導体34a、第2帯状導体34b、及びグランド導体35を備えている。ストリップ導体32、第1グランドパッド33a、第2グランドパッド33b、第1帯状導体34a、及び第2帯状導体34bは、誘電体基板11の表面に形成されており、グランド導体35は、誘電体基板31の裏面に形成されている。
本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ3は、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1において第1グランドパッド13aと第1帯状導体14aとの接続態様、及び、第2グランドパッド13bと第2帯状導体14bとの接続態様を変更したものである。この変更点を除き、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3が備えている各部材は、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1が備えている同一名称の部材と同様に構成されている。上述したとおり、L字型の導体パターンを構成するような第1グランドパッド33aと第1帯状導体34aとの接続態様としては、(1)第1帯状導体34aの、流れAの上流側に位置する側辺(第1側辺)34a1を、第1グランドパッド33aの、流れAの下流側に位置する辺に接続する態様と、(2)第1帯状導体34aの、流れAの下流側に位置する側辺(第2側辺)34a2を、第1グランドパッド33aの、流れAの上流側に位置する辺とを接続する態様とが考えられる。第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1においては、前者の態様が採用されているのに対して、本実施形態に係るシングルストリップ線路1においては、後者の態様が採用されている。すなわち、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3では、第1帯状導体34aの、流れAの下流側に位置する側辺(第2側辺)34a2が、第1グランドパッド33aの、流れAの上流側に位置する辺と接続されている。第2グランドパッド33bと第2帯状導体34bとの接続態様についても同様のことが言える。
以上のように、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3においては、第1,2帯状導体34a,34bの、流れAの下流側に位置する側辺34a2,34b2を、第1,2グランドパッド33a,33bの、流れAの上流側に位置する辺と接続する態様が採用されている。本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3においても、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1において得られる性能に準じた性能が得られる。例えば、後述するように、本実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3を用いた平衡不平衡変換素子においても、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ1を用いた平衡不平衡変換において得られる変換損失に準じた変換損失が得られる。
〔平衡不平衡変換素子4の構成〕
本発明の一実施形態に係る平衡不平衡変換素子4について、図4を参照して説明する。図4は、平衡不平衡変換素子4の平面図である。
平衡不平衡変換素子4は、誘電体基板41及び誘電体基板41の裏面に形成されたグランド導体を共有するシングルエンド型マイクロストリップ1と差動型マイクロストリップ線路5とを備えている。誘電体基板41の表面には、分配器43が形成されており、この分配器43を介してシングルエンド型マイクロストリップ線路1のストリップ導体12と差動型マイクロストリップ線路5のストリップ導体対52(後述)とが接続される。平衡不平衡変換素子4は、シングルエンド型マイクロストリップ線路1を不平衡伝送されるシングルエンド信号を、差動型マイクロストリップ線路5を平衡伝送される差動信号に変換する機能、及び、差動型マイクロストリップ線路5を平衡伝送される差動信号を、シングルエンド型マイクロストリップ線路1を不平衡伝送されるシングルエンド信号に変換する機能を有している。
平衡不平衡変換素子4が備えるシングルエンド型マイクロストリップ線路1は、既に説明した図1に示すシングルエンド型マイクロストリップ線路1であるので、ここでは、その説明を省略する。なお、本実施形態に係る平衡不平衡変換素子4においては、シングルエンド型マイクロストリップ線路として、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1を用いているが、これに限定されない。すなわち、平衡不平衡変換素子4は、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1の代わりに、第2の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路2、又は、第3の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3を備えていてもよい。
平衡不平衡変換素子4が備える差動型マイクロストリップ線路5は、ストリップ導体対52、第1グランドパッド53a、第2グランドパッド53b、及び第3グランドパッド53cを備えている。
ストリップ導体対52は、対になった第1ストリップ導体521及び第2ストリップ導体522から構成される。第1ストリップ導体521及び第2ストリップ導体522は、それぞれ、線状又は帯状の導体パターンである。第1ストリップ導体521の端部521a、及び第2ストリップ導体522の端部522aは、それぞれ、ICの信号端子を接続するための電極パッドとして機能する。第1ストリップ導体521及び第2ストリップ導体522を、電極パッドとして機能する第1区間I1、第1区間I1に隣接する第2区間I2、第2区間I2に隣接する第3区間I3に分けると、第1ストリップ導体521と第2ストリップ導体522との間隔は、第1区間I1において一定(ICの信号端子の間隔と等しい間隔)であり、第2区間I2において第1区間I1から遠ざかるに従って次第に狭くなり、第3区間I3において一定(第1区間I1における間隔よりも狭い、伝送損失を最小化するべく最適化された間隔)である。
第1グランドパッド53aは、ICのグランド端子を接続するための電極パッドである。第1グランドパッド53aは、第1ストリップ導体521の端部521a近傍において第1ストリップ導体521の第2側辺521b2に対向するように配置される。
第2グランドパッド53bは、第1グランドパッド53aと同様、ICのグランド端子を接続するための電極パッドである。第2グランドパッド53bは、第2ストリップ導体522の端部522a近傍において第2ストリップ導体522の第2側辺522b2に対向するように配置される。
第3グランドパッド53cは、第1グランドパッド53a及び第2グランドパッド53bと同様、ICのグランド端子を接続するための電極パッドである。第3グランドパッド53cは、第1ストリップ導体521の端部521aと第2ストリップ導体522の端部522aとの近傍において、第1ストリップ導体521の第1側辺521b1と第2ストリップ導体522の第1側辺522b1とに対向するように配置される。
なお、平衡不平衡変換素子4においては、差動型マイクロストリップ線路として、上記の構成の差動型マイクロストリップ線路5を用いるが、これに限定されることはなく、従来公知の差動型マイクロストリップ線路を用いてもよい。
また、差動型マイクロストリップ線路5においては、第1ストリップ導体521の電気長と第2ストリップ導体522の電気長とを一致させる構成が採用されている。これは、差動型マイクロストリップ線路5に入力された差動信号を、正相信号と逆相信号との位相差を保ったまま分配器43に入力するためである。また、差動型マイクロストリップ線路5においては、第2ストリップ導体522に折り返し部52dを設ける構成が採用されている。これは、第2ストリップ導体522の配置に要する領域を徒に拡大することなく、第1ストリップ導体521の電気長と第2ストリップ導体522の電気長とを一致させるためである。
分配器43は、シングルエンド型マイクロストリップ線1のストリップ導体12及び差動型マイクロストリップ線路5のストリップ導体対52と同様、誘電体基板41の表面に形成された導体パターンにより構成されている。本実施形態においては、分配器43として、リング線路43aを含むラットレース型分配器を用いる。
リング線路43aは、誘電体基板41の上面に形成された4つの直線部43a1〜43a4からなる。第1直線部43a1は、線状又は帯状の導体パターンであり、その中間に設けられた接続点P1において、シングルエンド型マイクロストリップ線路1のストリップ導体12に接続されている。第2直線部43a2は、第1直線部43a1の終端点を始端点とし、第1直線部43a1の延伸方向と直交する方向に延伸する線状又は帯状の導体パターンであり、その中間に設けられた接続点P2において、差動型マイクロストリップ線路5の第1ストリップ導体521に接続されている。第3直線部43a3は、第2直線部43a2の終端点を始端点とし、第1直線部43a1の延伸方向と反対方向に延伸する線状又は帯状の導体パターンであり、その中間に設けられた接続点P3において、差動型マイクロストリップ線路5の第2ストリップ導体522に接続されている。第4直線部43a4は、第3直線部43a3の終端点を始端点とし、第1直線部43a1の始端点を終端点とし、第2直線部43a2の延伸方向と反対方向に延伸する線状又は帯状の導体パターンである。
リング線路43aにおいて、接続点P2から接続点P1に至る経路の電気長L21、及び、接続点P3から接続点P1に至る経路の電気長L31は、平衡不平衡変換の対象となる信号の波長λとして、その差の絶対値|L31−L21|がλ/2+nλ(nは、0以上の任意の整数)に一致するように設定される。特に本実施形態においては、その差L31−L21がλ/2に一致するように設定されている。これにより、接続点P2及び接続点P3から入力された逆位相の信号は、同位相の信号として接続点P1から出力される(差動信号からシングルエンド信号への変換)。逆に、接続点P1から入力された信号は、逆位相の信号として接続点P2及び接続点P3から出力される(シングルエンド信号から差動信号への変換)。
また、リング線路43aにおいて、接続点P1を経て接続点P2から接続点P3に至る経路の電気長L213=L21+L31、及び、接続点P1を経ずに接続点P2から接続点P3に至る経路の電気長L23は、平衡不平衡変換の対象となる信号の波長をλとして、その差の絶対値|L213−L23|がλ/2+nλ(nは、0以上の任意の整数)に一致するように設定される。特に本実施形態においては、その差L213−L23がλ/2に一致するように設定されている。これにより、接続点P2から入力された信号が接続点P3から出力されるという問題、及び、接続点P3から入力された信号が接続点P2から出力されるという問題の発生を回避することができる。
前者の問題を回避することができるのは、接続点P2から信号が入力されたとき、接続点P1を経て接続点P3に至る信号成分と接続点P1を経ずに接続点P3に至る信号成分とが互いに逆位相となり打ち消し合うからである。また、後者の問題を回避することができるのは、接続点P3から信号が入力されたとき、接続点P1を経て接続点P2に至る信号成分と接続点P1を経ずに接続点P2に至る信号成分とが互いに逆位相となり打ち消し合うからである。
分配器43は、更に、第1スタブ43b及び第2スタブ43cを含んでいる。第1スタブ43bは、第2直線部43a2からリング線路43aの内側に向かって突出した帯状導体であり、第2スタブ43cは、第4直線部43a4からリング線路43aの内側に向かって突出した帯状導体である。第1スタブ43b及び第2スタブ43cは、分配器43において生じた反射波を打ち消す反射波を生じる。
以上のように、本実施形態に係る平衡不平衡変換素子4においては、図1に示すシングルエンド型マイクロストリップ線路1が用いられているため、従来の平衡不平衡変換素子と比べて、製造コストを低く抑えることが可能である。
〔平衡不平衡変換素子の特性〕
次に、平衡不平衡変換素子4の特性について、図5を参照して説明する。ここでは、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1(図1)を備えた平衡不平衡変換素子4を「構造A」、第2の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路2(図2)を備えた平衡不平衡変換素子4を「構造B」、第3の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3(図3)を備えた平衡不平衡変換素子4を「構造C」とし、これらの構造を有する平衡不平衡変換素子4の特性について検討する。
図5は、構造A〜Cを有する平衡不平衡変換素子4について、変換損失の周波数依存性を示すグラフである。なお、変換損失は、|S12×S13+S21×S31|/2√2により定義される量であり、差動モード利得とも呼ばれる。ここで、S12は、差動型マイクロストリップ線路5の第1ストリップ導体521から分配器43に入力される信号のなかで、分配器43からシングルエンド型マイクロストリップ線路1〜3のストリップ導体12に出力される成分が占める割合を表すSパラメータである。S13は、差動型マイクロストリップ線路5の第2ストリップ導体522から分配器43に入力された信号のなかで、分配器43からシングルエンド型マイクロストリップ線路1〜3のストリップ導体12に出力される成分が占める割合を表すSパラメータである。S21は、シングルエンド型マイクロストリップ線路1〜3のストリップ導体12から分配器43に入力された信号のなかで、分配器43から差動型マイクロストリップ線路5の第1ストリップ導体521に出力される成分が占める割合を表すSパラメータである。S31は、シングルエンド型マイクロストリップ線路1〜3のストリップ導体12から分配器43に入力された信号のなかで、分配器43から差動型マイクロストリップ線路5の第2ストリップ導体522に出力される成分の割合を示すSパラメータである。変換損失(dBを単位として負の値を取る)の大きさ(絶対値)が小さいほど、平衡不平衡変換素子4は、優れた特性を有していると言える。
図5のグラフから、A〜Cの何れの構造を採用した場合でも、平衡不平衡変換素子4の変換損失の大きさは、使用帯域の略全域(50GHz以上68GHz以下)において2dBを下回っていることが分かる。すなわち、A〜Cの何れの構造を採用した場合でも、平衡不平衡変換素子4は、優れた変換特性を有しているといえる。
なお、構造A〜構造Cを有する平衡不平衡変換素子4の優劣を比較すると、最も優れているのは、構造Aを有する平衡不平衡変換素子4であり、次に優れているのは、構造Cを有する平衡不平衡変換素子4であり、最も劣っているのは、構造Bを有する平衡不平衡変換素子4である。実際、構造Aを有する平衡不平衡変換素子4の変換損失の大きさは、使用帯域(50GHz以上70GHz)の全域において1.5dBを下回っている。また、構造Cを有する平衡不平衡変換素子4の変換損失の大きさは、使用帯域の全域において2dBを下回っている。構造Bを有する平衡不平衡変換素子4の変換損失の大きさは、使用帯域(50GHz以上70GHz)の略全域(50GHz以上68GHz以下)において、帯域において2dBを下回っているものの、高周波端(68GHz以上70GHz以下)において2dBを上回っている。
〔第1の実施形態における帯状導体の好ましい長さ〕
次に、第1の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路1における、第1帯状導体14aの長さL1及び第2帯状導体14bの長さL2の最適値について、図6及び図7を参照して説明する。なお、以下の説明においては、シングルエンド型マイクロストリップ線路1が組み込まれた平衡不平衡変換素子4の変換損失を、シングルエンド型マイクロストリップ線路1の評価基準として用いる。また、第1帯状導体14aの長さL1と第2帯状導体14bの長さL2とが等しいものとし、これらの長さを「帯状導体14a,14bの長さL」と記載する。また、帯状導体14a,14bの長さLを、使用帯域(50GHz以上70GHz以下)の中心周波数(60GHz)に対応する自由空間波長λで除した商L/λを、「帯状導体14a,14bの規格化長L/λ」と記載する。
図6は、帯状導体14a,14bの長さLを0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mmに設定したときに得られる、平衡不平衡変換素子4の変換損失の周波数依存性を示すグラフである。図7は、使用帯域(50GHz以上70GHz以下)における変換損失の最悪値を、帯状導体14a,14bの規格化長L/λの関数として表したグラフである。
図7によれば、帯状導体14a,14bの規格化長L/λを0.085以上0.169以下としたときに、使用帯域における変換損失の大きさの最悪値を2dBよりも小さくできることが分かる。すなわち、帯状導体14a,14bの規格化長L/λが0.085以上0.169以下であるシングルエンド型マイクロストリップ線路1は、平衡不平衡変換素子4における使用に好適であることが分かる。
〔第3の実施形態における帯状導体の好ましい長さ〕
次に、第3の実施形態に係るシングルエンド型マイクロストリップ線路3における、第1帯状導体34aの長さL1及び第2帯状導体34bの長さL2の最適値について、図8及び図9を参照して説明する。なお、以下の説明においては、シングルエンド型マイクロストリップ線路3が組み込まれた平衡不平衡変換素子4の変換損失を、シングルエンド型マイクロストリップ線路3の評価基準として用いる。また、第1帯状導体34aの長さL1と第2帯状導体34bの長さL2とが等しいものとし、これらの長さを「帯状導体34a,34bの長さL」と記載する。また、帯状導体34a,34bの長さLを、使用帯域(50GHz以上70GHz以下)の中心周波数(60GHz)に対応する自由空間波長λで除した商L/λを、「帯状導体34a,34bの規格化長L/λ」と記載する。
図8は、帯状導体34a,34bの長さLを0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmに設定したときに得られる、平衡不平衡変換素子4の変換損失の周波数依存性を示すグラフである。図9は、使用帯域(50GHz以上70GHz以下)における変換損失の最悪値を、帯状導体34a,34bの規格化長L/λの関数として表したグラフである。
図9によれば、帯状導体34a,34bの規格化長L/λを0.07以上0.175以下としたときに、使用帯域における変換損失の大きさの最悪値を2dBよりも小さくできることが分かる。すなわち、帯状導体34a,34bの規格化長L/λが0.07以上0.175以下であるシングルエンド型マイクロストリップ線路3は、平衡不平衡変換素子4における使用に好適であることが分かる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態(実施例)に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、本明細書においては、本発明をシングルエンド型マイクロストリップ線路に適用した実施形態について説明したが、本発明の適用対象はシングルエンド型マイクロストリップ線路に限定されない。すなわち、本発明は、差動型マイクロストリップ線路にも適用することができる。シングルエンド型マイクロストリップ線路の端部においては、第1グランドパッド、ストリップ導体、第2グランドパッドがこの順に並んだ構造が採用されている。このような構造に対して、第1グランドパッド及び/又は第2グランドパッドに帯状導体を付加することが本発明の骨子であった。差動型マイクロストリップ線路の端部においては、第1グランドパッド、第1ストリップ導体、第3グランドパッド、第2ストリップ導体、第2グランドパッドがこの順に並んだ構造が採用されている。このような構造に対して、第1グランドパッド及び/又は第2グランドパッドに帯状導体を付加すれば、本発明を差動型マイクロストリップ線路にも適用することができる。本発明を差動型マイクロストリップ線路に適用した場合、本発明をシングルエンド型マイクロストリップ線路に適用した場合と同様、第1グランドパッド及び/又は第2グランドパッドと誘電体基板の裏面に形成されたグランド導体との間の容量を増加させるという作用が得られる。したがって、本発明を差動型マイクロストリップ線路に適用した場合、本発明をシングルエンド型マイクロストリップ線路に適用した場合と同様の効果を得られることは、図面に基づく説明を行うまでもなく明らかであろう。
1、2、3 シングルエンド型マイクロストリップ線路
4 平衡不平衡変換素子
5 差動型マイクロストリップ線路
11、41 誘電体基板
12 ストリップ導体
13a、23a、33a、53a 第1グランドパッド
13b、23b、33b、53b 第2グランドパッド
14a、24a、34a 第1帯状導体
14b、24b、34b 第2帯状導体
15 グランド導体
26 ブリッジ導体
43 分配器
43a リング線路
43b 第1スタブ
43c 第2スタブ
53c 第3グランドパッド
521 第1ストリップ導体
522 第2ストリップ導体

Claims (11)

  1. 誘電体基板、
    前記誘電体基板の表面に形成された、(1)ストリップ導体、(2)前記ストリップ導体の第1端辺近傍において前記ストリップ導体の側辺に対向するグランドパッド、及び、(3)前記グランドパッドを起点とし前記ストリップ導体から遠ざかる方向に延伸する帯状導体、並びに、
    前記誘電体基板の裏面に形成されたグランド導体、を備えており、
    前記グランドパッド及び前記帯状導体は、前記グランド導体から絶縁されている、
    ことを特徴とするマイクロストリップ線路。
  2. 前記誘電体基板の表面に形成された、(4)前記ストリップ導体の第1端辺近傍において前記ストリップ導体の他の側辺に対向する他のグランドパッド、及び、(5)前記他のグランドパッドを起点とし前記ストリップ導体から遠ざかる方向に延伸する他の帯状導体を更に備えており、
    前記他のグランドパッド及び前記他の帯状導体は、前記グランド導体から絶縁されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップ線路。
  3. 前記グランドパッドには、前記帯状導体の2つの側辺のうち、前記ストリップ導体の前記第1端辺から第2端辺への流れの下流側に位置する側辺が接続されており、
    前記他のグランドパッドには、前記他の帯状導体の2つの側辺のうち、上記流れの下流側に位置する側辺が接続されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロストリップ線路。
  4. 前記帯状導体及び前記他の帯状導体の長さLを、使用帯域の中心周波数に対応する自由空間波長λで除した規格化長L/λは、0.085以上0.169以下である、
    ことを特徴とする請求項3に記載のマイクロストリップ線路。
  5. 前記誘電体基板の前記表面には、前記グランドパッドと前記他のグランドパッドとに接続されたブリッジ導体が更に形成されており、
    前記ブリッジ導体は、前記グランド導体から絶縁されている、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載のマイクロストリップ線路。
  6. 前記グランドパッドには、前記帯状導体の2つの側辺のうち、前記ストリップ導体の前記第1端辺から第2端辺への流れの上流側に位置する側辺が接続されており、
    前記他のグランドパッドには、前記他の帯状導体の2つの側辺のうち、上記流れの上流側に位置する側辺が接続されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロストリップ線路。
  7. 前記帯状導体及び前記他の帯状導体の長さLを、使用帯域の中心周波数に対応する自由空間波長λで除した規格化長L/λは、0.07以上0.175以下である、
    ことを特徴とする請求項6に記載のマイクロストリップ線路。
  8. シングルエンド型マイクロストリップ線路と、分配器と、前記分配器を介して前記シングルエンド型マイクロストリップ線路に接続された差動型マイクロストリップ線路と、を備え、請求項1〜7の何れか1項に記載のマイクロストリップ線路が、前記シングルエンド型マイクロストリップ線路又は前記差動型マイクロストリップ線路として用いられている、ことを特徴とする平衡不平衡変換素子。
  9. 前記分配器は、第1接続点において前記シングルエンド型マイクロストリップ線路の前記ストリップに接続され、第2接続点において前記差動型マイクロストリップ線路のストリップ導体に接続され、第3接続点において前記差動型マイクロストリップ線路の他のストリップ導体に接続されたリング線路を備えており、
    前記分配器において、前記第2接続点から前記第1接続点に至る経路の電気長L21及び前記第3接続点から前記第1接続点に至る経路の電気長L31は、平衡不平衡変換の対象となる信号の波長をλとして、その差の絶対値|L31−L21|がλ/2+nλ(nは、0以上の任意の整数)に一致するように設定されており、
    前記差動型マイクロストリップ線路において、前記他のストリップ導体に折り返し部を設けることによって、前記ストリップ導体の長さと前記他のストリップ導体の長さとを一致させた、
    ことを特徴とする請求項8に記載の平衡不平衡変換素子。
  10. 前記分配器は、(1)前記第1接続点を含む第1直線部、(2)前記第1直線部の終端点を始端点とし、前記第1直線部の延伸方向と直交する方向に延伸する第2直線部であって、前記第2接続点を含む第2直線部、(3)前記第2直線部の終端点を始端点とし、前記第1直線部の延伸方向と反対方向に延伸する第3直線部であって、前記第3接続点を含む第3直線部、及び(4)前記第3直線部の終端点を始端点とし、前記第2直線部の延伸方向と反対方向に延伸する第4直線部からなるリング線路を備えている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の平衡不平衡変換素子。
  11. 前記分配器は、前記第2直線部から前記リング線路の内側に向かって突出した第1スタブと、前記第4直線部から前記リング線路の内側に向かって突出した第2スタブとを更に備えている、
    ことを特徴とする請求項10に記載の平衡不平衡変換素子。
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