実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1における太陽電池の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における太陽電池の構造を示す模式断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態1における太陽電池の構造を示す模式平面図である。図2は、太陽電池1の受光面側である第1主面を示した平面図であり、図1は、図2の破線A−Aにおける断面図である。なお、本発明においては、太陽電池を構成する半導体基板の第1主面を受光面と呼び、第1主面の裏側の第2主面を裏面と呼ぶ。また、本発明では、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である太陽電池について説明するが、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である太陽電池であってもよい。
図1において、太陽電池1は、受光面となる第1主面および裏面となる第2主面を有する第1導電型のn型単結晶シリコン基板2と、n型単結晶シリコン基板2の受光面のほぼ全体に形成された凹凸構造を構成する凸部11と、凹凸構造の表層に形成された第2導電型のp型不純物拡散層12と、p型不純物拡散層12上に形成された反射防止膜等の絶縁層13と、凹凸構造の凸部11の先端部上に選択的に形成され、絶縁層13を貫通して不純物拡散層12と電気的に導通した電極14と、電極14に接触して電気的に接続された導電体15とを備えている。さらに、太陽電池1は、n型単結晶シリコン基板2の裏面に形成された第1導電型のn型不純物拡散層22と、n型不純物拡散層22上に形成された反射防止膜などの絶縁層23と、絶縁層23を貫通して、n型不純物拡散層22と電気的に導通した裏面電極24とを備えている。なお、図1では、裏面電極24が櫛形電極の場合について示したが、n型不純物拡散層22上の全体に形成された裏面電極であってもよい。図1に示した裏面電極24は、具体的には櫛形電極のグリッド電極である。
絶縁層13および絶縁層23は、p型不純物拡散層12およびn型不純物拡散層22の表面の結晶欠陥を終端するために、単層あるいは複数層に形成されたシリコン窒化膜(SiN)やシリコン酸化膜(SiO2)であり、絶縁層13および絶縁層23の厚さは、例えば、1nm〜100nmであってもよい。絶縁層13および絶縁層23は、絶縁層13上に形成された電極14および絶縁層23上に形成された裏面電極24の製造工程における電極焼成時に、電極材料に含まれるガラフリットによりエッチングされて貫通穴が形成され、この貫通穴に電極14の一部が入り込むことで、電極14とp型不純物拡散層12および裏面電極24とn型不純物拡散層22とが接触する。この結果、電極14はp型不純物拡散層13と、裏面電極24はn型不純物拡散層23と、それぞれ電気的に導通する。なお、このように絶縁層上に形成した電極材料が、製造時の焼成工程で絶縁層を貫通して、絶縁層の下の半導体と接触して電気的に導通する現象はファイアースルー現象と呼ばれる。電極14および裏面電極24は、アルミや銀などの金属材料によって形成され、ファイアースルー現象により金属材料の一部は半導体の内部に拡散して拡散層や合金層を形成し、この拡散層や合金層が金属含有層となるため、半導体と電極との間の電気抵抗を小さくすることができる。
図1に示すように、凸部11は、例えば、一辺が5μm程度の四角錐状の形状を呈しており、凸部11がn型シリコン基板2の受光面の全面に多数並んで形成されることで、n型シリコン基板2の受光面側に凹凸構造が形成される。電極14は、凸部11の先端部に形成されており、製造時の焼成工程により電極14の金属材料の一部が凸部11の先端部のp型不純物拡散層12の内部に拡散している。この結果、電極14と不純物拡散層13との接触抵抗を小さくすることができる。特に、電極14の金属材料にアルミを用いた場合には、アルミが凸部11の先端部のp型不純物拡散層12内に多く拡散し、電極14の金属材料に銀を用いた場合には、銀が凸部11の先端部のp型不純物拡散層12内の極浅い部分に拡散する。従って、凸部11の先端部のp型不純物拡散層12を分析すると、p型不純物(例えば、ホウ素)と合わせて、アルミや銀などの電極14を構成する金属材料を検出することができる。なお、電極14の金属材料はアルミおよび銀に限るものではなく、金など他の金属であってもよい。
導電体15は、太陽電池1の受光面のほぼ全面に設けられている。導電体15は、導電性セルロースやカーボンナノチューブコーティングフィルムなどの透明導電体が望ましく、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)やAZO(Aluminium−doped Zinc Oxide:アルミ添加酸化亜鉛)など他の透明導電体材料で構成されたものであってもよい。図1に示すように、導電体15は電極14と他の電極14とを接続し、電極14と他の電極14との間には、間隙が設けられている。受光面に入射した光は、この間隙が設けられた領域に面する導電体15の光透過領域を透過して、導電体15の光透過領域の下のn型シリコン基板2に入光する。
図2に示すように、太陽電池1のn型単結晶シリコン基板2の受光面側の全面には、p型不純物拡散層12が形成されている。また、図2では省略して示したが、図1に示すように、太陽電池1の受光面には全面に亘って多数の凸部11が形成され、多数の凸部11により凹凸構造が構成されている。いくつかの凸部11の先端部には電極14がそれぞれ独立して形成され、複数の電極14に接触して電気的に接続された透明導電体から成る導電体15が設けられている。なお、図1では電極14が全ての凸部11の先端部に形成された場合について示したが、図2では電極14がいくつかの凸部11の先端部に形成された場合を示した。このように、電極14は、受光面に形成した凹凸構造を構成する全ての凸部11の先端部に形成してもよいが、規則的あるいは不規則的にいくつかの凸部11の先端部のみに形成してもよい。
図3は、本発明の実施の形態1における太陽電池の凹凸構造の凸部の構造を拡大して示した模式断面図である。図3に示すように、凸部11の先端部には電極14が形成されており、電極14は導電体15と密着して電気的に接続されている。図3では、電極14が球状の形状を示しているが、電極14が複数の銀ナノ粒子で形成された場合などには、複数の粒子が合体した形状となる。電極14の材料に直径が100nm以下、好ましくは10nm〜50nmの銀ナノ粒子を用いた場合には、電極14と凸部11との接触面積が増大するので、サブミクロンあるいはミクロンサイズの粒子を電極材料に用いるよりも好ましい。なお、ここで言う粒子の直径とは、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡やTEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)など電子顕微鏡で測定した直径である。本発明で電極14の大きさを言う場合にも、同様に電子顕微鏡で測定した大きさである。また、銀ナノ粒子などの金属ナノ粒子が球体を呈していない場合には、最大の幅を本発明で言う直径としてよい。さらに、電極が球体を呈していない場合には、n型単結晶シリコン基板2の第1主面に平行な方向の最大幅を本発明で言う直径としてよい。
図3に示すように、電極14が形成された凸部11の先端部の絶縁膜13には貫通穴13aが形成されており、この貫通穴13aに電極14の一部が入り込んで、電極14はp型不純物拡散層12と接している。この絶縁膜13の貫通穴13aは上述のファイアースルー現象により形成される。また、p型不純物拡散層12の電極14と接した部分には、電極14の金属材料がp型不純物拡散層12の内部に拡散して拡散層や合金層を形成した金属含有層16が存在する。金属含有層16内には、p型不純物(例えば、ホウ素)と電極14の金属材料とが共に含まれており、金属含有層16を分析するとp型不純物と電極14の金属材料とが共に検出される。
金属含有層16が存在することで、p型不純物拡散層12と電極14との間の電気抵抗を小さくすることができるが、金属含有層16は、p型不純物拡散層12など半導体の結晶構造を劣化させるため、生成された少数キャリアの再結合の確率を高める。この結果、金属含有層16の領域が大きいと光電変換効率が低下する。本発明の太陽電池1では、金属含有層16が凸部11の先端部の小さな領域にのみ形成されるため、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、金属含有層16による少数キャリアの再結合確率を低減することができ、光電変換効率を高くすることができる。
なお、ここで言う凸部11の先端部とは、上記のように金属含有層16が形成されて劣化するp型不純物拡散層12の面積を低減するという目的から明らかなように、凸部11の底面までは含まない。すなわち、凹凸構造の凹部の最深部は含まず、概ね凸部11の高さの中間地点よりも頂点側を先端部と呼ぶ。
電極14の金属材料がアルミの場合には、銀など他の金属の場合に比べて、金属含有層16はp型不純物拡散層12のより深い部分まで形成される。
また、図3に示すように、電極14の周囲にはガラスフリット17が存在する。図3では、ガラスフリット17が電極14と絶縁膜13とに接して存在するように示しているが、ガラスフリット17が存在する位置は様々であり、図3に示したものに限らない。ガラスフリット17が、製造工程の焼成時にファイアースルー現象を起こして、絶縁膜13に貫通穴13aを開ける。
以上のように、太陽電池1は構成される。
次に、太陽電池1の製造方法について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。また、図5は、本発明の実施の形態1における太陽電池の製造方法を示す模式断面図である。なお、図4のフローチャートにおいて、ステップS101〜ステップS107の製造工程は、一般的に用いられる太陽電池の製造工程であり、ここで説明する製造工程以外の他の製造工程を用いてもよい。さらに、ステップS101〜ステップS107の工程は適宜順序を入れ替えてもよい。
まず、図5(a)に示すように、ステップS101で、ウェハスライス時に生じたn型単結晶シリコン基板2の表面の汚染およびダメージを除去する。具体的には、例えば、1wt%以上10wt%未満の水酸化ナトリウムを溶解させたアルカリ溶液に、n型単結晶シリコン基板2を浸漬させてn型単結晶シリコン基板2の表面の汚染およびダメージを除去する。
次に、図5(b)に示すように、ステップS102で、n型単結晶シリコン基板2の受光面に凹凸構造を形成する。具体的には、例えば、0.1%以上10%未満のアルカリ溶液中に、イソプロピルアルコールあるいはカプリル酸等の添加剤を加えた溶液に浸漬させて、n型単結晶シリコン基板2の受光面に凹凸構造を形成する。凹凸構造は、n型単結晶シリコン基板2の受光面に加えて、裏面にも形成してよい。なお、ステップS101のn型単結晶シリコン基板2の表面の汚染およびダメージ除去と、ステップS102の凹凸構造の形成とを同時に行ってもよい。
次に、ステップS103で、n型単結晶シリコン基板2の表面を洗浄する。具体的には、例えば、n型単結晶シリコン基板2を、硫酸と過酸化水素水との混合溶液、フッ化水素酸水溶液、アンモニアと過酸化水素水との混合溶液、塩酸と過酸化水素水との混合溶液、に浸漬しn型単結晶シリコン基板2の表面を洗浄する。これらの溶液への浸漬は組み合わされて用いられ、これによりn型単結晶シリコン基板2の表面の有機物、金属、および酸化膜を除去することができる。なお、凹凸構造の形成方法によっては、n型単結晶シリコン基板2をフッ化水素酸水溶液のみに浸漬して酸化膜のみ除去してもよい。
次に、図5(c)に示すように、ステップS104で、n型単結晶シリコン基板2の受光面側にp型不純物拡散層12を形成する。具体的には、例えば、n型単結晶シリコン基板2を高温の熱処理炉に投入し、三臭化ホウ素(BBr3)ガスなどを供給し、n型単結晶シリコン基板2の表面にホウ素(B)を拡散し、第2導電型のp型不純物拡散層12を形成する。p型不純物拡散層12の厚さは、例えば、100nm〜5μmで形成してよい。
ステップS105は必要に応じて行われる。ステップS105では、ステップS104でn型単結晶シリコン基板2の裏面に形成されたp型不純物拡散層を除去する。具体的には、n型単結晶シリコン基板2の裏面をアルカリ溶液に接触させて、p型不純物拡散層を除去する。この際に、n型単結晶シリコン基板2の受光面に酸化膜やフィルムなどの保護膜を形成することで、n型単結晶シリコン基板2の受光面のp型不純物拡散層12が、アルカリ溶液の影響を受けなくすることができる。
次に、図5(d)に示すように、ステップS106で、n型単結晶シリコン基板2の裏面側にn型不純物拡散層22を形成する。具体的には、例えば、n型単結晶シリコン基板2の裏面側に固相拡散源となるリン(P)の拡散材を塗布し、n型単結晶シリコン基板2を800℃〜900℃で熱処理することによって、第1導電型のn型不純物拡散層22を形成する。n型不純物拡散層の厚さは、例えば、100nm〜5μmで形成してよい。なお、n型単結晶シリコン基板2の裏面側へのn型不純物拡散層22の形成は、ステップS103とステップS104との間に行ってもよい。
次に、図5(e)に示すように、ステップS107で、n型単結晶シリコン基板2の受光面に絶縁膜13およびn型単結晶シリコン基板2の裏面に絶縁膜23を形成し、受光面および裏面の結晶欠陥を終端する。絶縁膜13および絶縁膜23は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)を単層で形成してもよく、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜(SiN)とを積層して形成してもよい。絶縁膜13および絶縁膜23は、例えば、1nm〜100nmの厚さで形成してよい。具体的には、シリコン酸化膜は、酸化雰囲気中で800℃〜1000℃で熱処理を行うことによって形成することができる。また、シリコン窒化膜は、シラン(SiH4)とアンモニア(NH3)を用いたプラズマCVD法によって形成することができる。
次に、図5(f)に示すように、ステップS108で、n型単結晶シリコン基板2の受光面に形成した凹凸構造の凸部11の先端部に電極14を形成する。具体的な一例として、本実施の形態1では、電極14の材料に銀ナノ粒子を用いた場合について説明する。なお、電極14の材料には、銀ナノ粒子の他に、金ナノ粒子や白金ナノ粒子など他の金属ナノ粒子を用いてもよい。直径が概ね100nm以下、好ましくは直径10〜50nmの銀ナノ粒子とガラスフリットとを有機溶液や水系溶剤に混合して液状にし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムやポリイミドフィルムなどに塗布する。そして、銀ナノ粒子を塗布したPTFEフィルムを、例えば、50℃で10分〜30分乾燥させ、銀ナノ粒子をPTFEフィルム上に設置する。その後、n型単結晶シリコン基板2の受光面を、PTFEフィルムの銀ナノ粒子が設置された側の面に押し当て、さらに例えば50℃〜200℃で5分〜120分乾燥させ、n型単結晶シリコン基板2の受光面に形成した凹凸構造の凸部11の先端部に銀ナノ粒子を転写して付着させる。銀ナノ粒子は乾燥中に接触点である凸部11の先端部に凝集し、図1に示したように凸部11の先端部に電極14が形成される。
また、他の方法として、銀ナノ粒子とともにガラスフリットを凹凸構造を構成する凸部の先端部上に選択的に付着させてもよい。具体的には、n型単結晶シリコン基板2の受光面に銀ナノ粒子とガラスフリットとを含む液状の溶液を塗布し、受光面を下向きにして重力により余分な溶液を下に落としながら乾燥する。これにより凸部11の先端部には銀ナノ粒子を凝集させて電極14を形成することができる。
なお、以上のように凸部11の先端部に電極14を形成した後、リフロー炉などを用いて500℃以上900℃以下で1秒以上10秒以下、好ましくは2秒以上5秒以下熱処理を行ってもよい。このように熱処理を行うと、銀ナノ粒子がさらに凝集するので電極14の大きさをさらに小さくすることができる。なお、この熱処理は必ず必要なものではなく、省略してもよい。
次に、図5(g)に示すように、ステップS109で、n型単結晶シリコン基板2の裏面に裏面電極24を形成する。具体的には、例えば、スクリーン印刷機を用いて、n型単結晶シリコン基板2の裏面側に絶縁膜23上に銀やアルミなどの金属粒子とガラスフリットとを混ぜたペーストを印刷し、その後、例えば200℃で30分乾燥させる。
次に、図5(h)に示すように、ステップS110で、電極14および裏面電極24の焼成を行う。具体的には、n型単結晶シリコン基板2を電気炉などの加熱炉に投入し、700℃〜900℃で加熱して、電極14および裏面電極24を焼成する。この焼成により、電極14は、ファイアースルー現象により、n型単結晶シリコン基板2の受光面に形成された凸部11の先端部で、凸部11の表層のp型不純物拡散層12と電気的に導通する。同様に、裏面電極24は、ファイアースルー現象により、n型単結晶シリコン基板2の裏面側に形成されたn型不純物拡散層22と電気的に導通する。
焼成時のファイアースルー現象は以下のように進行する。n型単結晶シリコン基板2を投入した加熱炉の温度が600℃近辺に達すると、ます、電極14および裏面電極24に含まれるガラスフリットが溶解し、絶縁膜13および絶縁膜23に貫通穴を開ける。その後、加熱炉の温度が700℃〜900℃の電極14および電極24の金属材料の融点近傍に達すると電極14および電極24が溶解し、絶縁膜13および絶縁膜23に開けられた貫通穴に流れ込み、p型不純物拡散層12およびn型不純物拡散層22と接触する。そして、p型不純物拡散層12およびn型不純物拡散層22と接触した電極14および電極24の金属材料の一部が、p型不純物拡散層12およびn型不純物拡散層22の内部に拡散し、p型不純物拡散層12およびn型不純物拡散層22の内部にそれぞれ金属含有層16を形成する。
そして、図5(i)に示すように、ステップS111で、導電体15を電極14に接合する。具体的には、導電性セルロースやカーボンナノチューブコーティングフィルムなど軟化温度が低いフィルム状の導電体15を、n型単結晶シリコン基板2の受光面上に設置し、導電体15と電極14とを接触させた後、加熱炉に投入してフィルムの軟化温度以上の温度で加熱する。これにより、導電体15が軟化して電極14に密着し、電極14と導電体15とが電気的に接続される。導電体15が、導電性セルロースである場合は200℃程度で加熱すればよい。また、導電体15が、カーボンナノチューブコーティングフィルムである場合は、カーボンナノチューブがコーティングされたフィルム自体の軟化温度に合わせて加熱温度を設定すればよい。
なお、導電体15は、導電性セルロースやカーボンナノチューブコーティングフィルムなど軟化点が低いフィルム状の透明導電体に限らず、ITOやAZOなど他の透明導電体であってもよい。導電体15が、ITOやAZOの場合には、スパッタリングなどの成膜プロセスにより作製することができる。この場合には、受光面の凹凸形状の凹部(凸部11と隣の凸部11との間)にITOやAZOが形成されるのを抑制するために、凹部をポリイミドなどの透明な絶縁材料で埋めてから、ITOやAZOを形成してもよい。但し、ITOやAZOなどの成膜プロセスで形成される透明導電体はファイアースルー現象を起こさないので、凹凸構造の凹部を絶縁材料で埋めずに、そのまま凹凸構造上に形成してもよい。この場合、ITOやAZOなどの透明導電体が、凹凸構造の形状に沿って凹凸状に形成される。なお、導電体15が、前述の導電性セルロースやカーボンナノチューブコーティングフィルムなど軟化点が低いフィルム状の透明導電体の場合であっても、受光面の凹凸形状の凹部をポリイミドなどの透明な絶縁材料で埋めてから、導電体15を設けてもよい。
以上のように、太陽電池1は製造される。
次に、本発明の実施の形態1に係る太陽電池1の効果について説明する。
一般に、太陽電池の光電変換効率ηは、以下に示す数式(1)によって表されることが知られている。なお、数式(1)においてPは太陽電池に入射された光の単位時間あたりのエネルギー量である。
η=(Voc×Jsc×FF)/P×100 (%) …(1)
数式(1)において、Vocは開放電圧、Jscは短絡電流密度、FFは曲線因子である。開放電圧Vocは、太陽電池の電極間が開放された状態で光を受けた場合に、太陽電池の電極間に発生する電圧であり、太陽電池から得ることができる最大電圧である。短絡電流密度Jscは、太陽電池の電極間が短絡された状態で光を受けた場合に、太陽電池の電極間に流れる電流密度であり、太陽電池から引き出すことができる最大電流密度である。曲線因子FFは、開放電圧Vocと短絡電流密度Jscの積に対する出力の比で定義され、太陽電池の最適動作点における、最適動作電圧と最適動作電流密度とが、開放電圧Vocと短絡電流密度Jscとに、どの程度近いかを示す因子である。
開放電圧Vocと短絡電流密度Jscとは、太陽電池の内部に入射する光量、および内部に入射した光により生成されるキャリアの生成量と再結合により消滅する少数キャリアの消滅量との差から成るキャリアの収集量に依存する。また、曲線因子は太陽電池の直列抵抗成分および並列抵抗成分などの抵抗成分の大きさに依存する。
本発明の実施の形態1に係る太陽電池1は、特許文献1に記載された櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、太陽電池1の内部への光の入射を妨げる不透明な電極14が、受光面の凹凸構造の凸部11の先端部に形成されているため、電極の総面積を小さくすることができ、太陽電池1の内部への光の入射量を増大させることができる。この結果、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、開放電圧Vocと短絡電流密度Jscとを大きくすることができる。また、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、電極の総面積が小さいため、電極14によりp型不純物拡散層12に形成される金属含有層16の面積を小さくすることができ、少数キャリアの再結合確率を低減して少数キャリアの消滅量を減少することができる。この結果、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、短絡電流密度Jscを大きくすることができる。
また、凸部11の先端部に形成した電極14の金属材料の一部が、p型不純物拡散層12の内部に拡散して金属含有層16を形成しているため、電極14とp型不純物拡散層12との間の電気抵抗を、特許文献2に記載された従来の太陽電池よりも小さくすることができ、曲線因子FFを大きくすることができる。さらに、図2に示したように電極14は受光面の凹凸構造のすべての凸部11に形成する必要はないが、電極14と隣の電極14との間隔を、従来の太陽電池に用いられる櫛形電極のグリッド電極の間隔より小さくすることによって、p型不純物拡散層12の内部およびn型単結晶シリコン基板2の内部を移動するキャリアの移動距離が短くなるので、すなわちキャリアが移動する導電路が短くなり、太陽電池の直列抵抗成分および並列抵抗成分を低減することができ、曲線因子FFを大きくすることができる。
以上のように本発明の実施の形態1の太陽電池によれば、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、開放電圧Voc、短絡電流密度Jsc、曲線因子FFを大きくすることができるので、光電変換効率を高くすることができる。
以下、櫛形電極を用いた従来の太陽電池との比較を具体的に提示しながら、さらに詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態1に係る太陽電池の構成による太陽電池1の内部に入射する光量の増大効果について説明する。
本発明の太陽電池1として、以下に具体例を挙げて説明する。なお、本発明の太陽電池1は、以下の具体例に限定されるものではない。太陽電池1のn型単結晶シリコン基板2は、一辺15cmの正方形であり、受光面に形成される凹凸構造の凸部11の形状は、底辺の一辺が5μmの四角錐の形状を呈している。電極14は、全ての凸部11の先端部に形成されており、電極14は直径250nmの球状を呈している。この場合、受光面に形成された全ての電極14の合計面積Seは、以下の数式(2)で表される。
Se=152/(5×10−4)2×π×(250×10−7)2
≒1.8cm2 …(2)
太陽電池1の受光面の面積は、一辺が15cmなので225cm2であるから、電極14の合計面積1.8cm2は、受光面の面積の0.8%である。一般的な、櫛形電極を用いた従来の太陽電池では、櫛形電極の面積は、受光面の面積の2%〜6%程度である。従って、本発明の太陽電池1によれば、全ての凸部11の先端部に直径250nmの電極14を形成しても、受光面の面積の内、光が電極に妨げられずに太陽電池1の内部に入射可能な有効受光面積を、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べて1.2ポイント〜5.2ポイント増加させることができる。図2に示したように、電極14は全ての凸部11の先端部に形成する必要はないので、電極14をいくつかの凸部11の先端部に形成した場合には、有効受光面積の増加幅はさらに大きくなる。
以上のように本発明の太陽電池1は、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、有効受光面積が大きいため、太陽電池1の内部に入射する光量を増加させることができるので、開放電圧Vocおよび短絡電流密度Jscを大きくすることができる。
次に、本発明の実施の形態1に係る太陽電池の構成による少数キャリアの消滅抑制効果について説明する。
図6は、櫛形電極を用いた従来の太陽電池の金属含有層の合計面積と開放電圧との関係を示す図である。図6は、櫛形電極を用いた従来の太陽電池Aと、櫛形電極を用いた従来の太陽電池Bとを用いて測定した実験結果であり、太陽電池Aおよび太陽電池Bの受光面に同じ光源から同一照度で光を照射して測定した。太陽電池Aおよび太陽電池Bの受光面の面積は共に239cm2であった。
太陽電池Aと太陽電池Bとは、グリッド電極はともにファイアースルー現象を起こして、グリッド電極の金属材料をp型不純物拡散層に拡散させて、p型不純物拡散層内に金属含有層を形成している。一方、バスバー電極は、太陽電池Bではグリッド電極と同じく、ファイアースルー現象を起こして、バスバー電極の金属材料をp型不純物拡散層に拡散させて、p型不純物拡散層内に金属含有層を形成しているが、太陽電池Aでは、バスバー電極がファイアースルー現象を起こさないようにした。このため、太陽電池Aのバスバー電極の直下のp型不純物拡散層内には、金属含有層は形成されていない。この結果、太陽電池Aでは、金属含有層の合計面積は、8.57cm2であり、太陽電池Bでは、金属含有層の合計面積は、11.02cm2である。太陽電池Aの方が金属含有層の合計面積が太陽電池Bよりも2.45cm2小さくなっており、この差2.45cm2は受光面の面積239cm2の1.03%である。つまり、太陽電池Aの方が太陽電池Bよりも受光面の面積に対する金属含有層の合計面積の比率が1.03ポイント小さい。
なお、太陽電池Aおよび太陽電池Bのグリッド電極およびバスバー電極の合計面積は同じである。すなわち、受光面の面積の内、光が電極に妨げられずに太陽電池の内部に入射可能な有効受光面積は、太陽電池Aと太陽電池Bとで同じである。
図6に示すように、開放電圧Vocは、太陽電池Aが650.7mVであり、太陽電池Bが646.7mVであり、太陽電池Aの方が4.03mV大きくなっている。両者の開放電圧の差は、金属含有層の合計面積の差によるものである。上述したように、p型不純物拡散層内に形成された金属含有層は、生成された少数キャリアの再結合の確率を高めるため、有効受光面積に対する金属含有層の割合が大きいほど、キャリアの生成量と消滅量との差であるキャリアの収集量は低下する。このため、金属含有層の合計面積が2.45cm2小さい太陽電池Aの方が、太陽電池Bよりも開放電圧が4.03mV大きくなっている。
本発明の実施の形態1に係る太陽電池1では、上述の具体例で検討した通り、受光面の面積に対する電極14の合計面積の比率が0.8%であり、櫛形電極を用いた従来の太陽電池の2%〜6%に対して小さく、差は1.2ポイント〜5.2ポイントである。特別な措置を取らない場合には、電極の直下のp型不純物拡散層に金属含有層が形成されるから、受光面の面積に対する金属含有層の合計面積の比率も、本発明の太陽電池1の方が1.2ポイント〜5.2ポイント小さいと言える。
図6で示した太陽電池Aと太陽電池Bとの比較では、受光面の面積に対する金属含有層の合計面積の比率が1.03ポイント小さくなることによって、開放電圧が4.03mV大きくなった。本発明の太陽電池1では、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に対して、受光面の面積に対する金属含有層の合計面積の比率を1.2ポイント〜5.2ポイント低減することができるので、太陽電池Aと太陽電池Bとの関係を適用すれば、開放電圧が4.7mV〜20.5mV大きくなると見積もることができる。図6に示すように太陽電池Bの開放電圧は646.7mVであるから、4.7mV〜20.5mVは、開放電圧の0.7%〜3.1%になり、本発明の太陽電池1では、櫛形電極を用いた太陽電池Bにくらべ、開放電圧Vocを0.7%〜3.1%大きくすることができる。
以上のように本発明の太陽電池1は、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、受光面の面積に対する電極の合計面積が小さいため、電極14の直下のp型不純物拡散層に形成される金属含有層16の合計面積を小さくすることができ、再結合による少数キャリアの消滅量を低減することができるので、開放電圧Vocおよび短絡電流密度Jscを大きくすることができる。
次に、本発明の実施の形態1に係る太陽電池1の構成による太陽電池の抵抗成分の低減効果について説明する。
まず、本発明の太陽電池1は、n型単結晶シリコン基板2の受光面に形成された凹凸構造の全ての凸部11に電極14が形成されている場合について説明する。図2に示すように、導電体15は、受光面のほぼ全面に設けられており、全ての電極14と電気的に接続されている。各凸部11は上述したように底辺の一辺が5μmの四角錐の形状を呈しているものとし、n型単結晶シリコン基板2の受光面に二次元に整列して並んでいるものとする。一方、本発明の太陽電池1と比較する従来の太陽電池は、グリッド電極を2mm間隔で形成した櫛形電極の太陽電池とする。従来の太陽電池も、n型単結晶シリコン基板の受光面に凹凸形状が形成されており、凸部の大きさと間隔とは同じであるとする。
従来の太陽電池では、受光面が電極に覆われておらず、光が太陽電池内部に入射できる領域は、櫛形電極のグリッド電極と隣のグリッド電極との間(グリッド電極間)である。光が太陽電池内部に入射し、グリッド電極間で生成されたキャリアは、近い側のグリッド電極に向かって移動するが、最も移動距離が長くなるキャリアは、グリッド電極間の中間地点で生成されたキャリアである。グリッド電極間隔が2mmであるので、最も移動距離が長くなるキャリアの移動距離は1mmとなる。従って、グリッド電極間で生成された全てのキャリアの移動距離について検討すると、キャリアの移動距離は、0mm〜1mmとなるから、平均移動距離は0.5mmとなる。すなわち、グリッド電極間隔が2mmの櫛形電極を用いた従来の太陽電池では、生成されたキャリアの平均移動距離は0.5mmである。
太陽電池の内部に光が照射されてn型単結晶シリコン基板内に生成されたキャリア(正孔)は、p型不純物拡散層と、n型単結晶シリコン基板との界面のpn接合で加速されて、p型不純物拡散層に移動し、p型不純物拡散層内を移動して電極に到達する。p型不純物拡散層で生成されたキャリア(正孔)は、そのままp型不純物拡散層内を移動して電極に到達する。従って、キャリア(正孔)は、凹凸構造の表面のp型不純物拡散層に沿って移動するため、四角錐の形状を呈する凸部の底面に沿って移動するよりも、側面を2回通る分、移動距離が長くなる。つまり、従来の太陽電池では、グリッド電極間隔2mmから見積もったキャリアの平均移動距離は0.5mmであるが、実際には1個の凸部に対して側面を2回通るため、キャリアの平均移動距離は0.5mmよりも長くなる。
櫛形電極を用いた従来の太陽電池であっても、受光面の凹凸構造は本発明の太陽電池1と同じであるから、上記で見積もった従来の太陽電池のキャリアの平均移動距離0.5mmに存在する凸部の数kは、以下の数式(3)に示す通りになる。
k=0.5/0.005
=100 …(3)
すなわち、従来の太陽電池のキャリアの平均移動距離0.5mmに、100個の凸部が存在する。n型単結晶シリコン基板を用いた太陽電池の凹凸構造の凸部の四角錐は、底面と側面と間の角度が54.7°であるのが一般的であり、ここでの検討においても、本発明の太陽電池1と従来の太陽電池の受光面の凸部の四角錐は共に、底面と側面と間の角度が54.7°であるとする。従って、100個の凸部の表層に形成されたp型不純物拡散層を移動するキャリアの移動距離d1は、以下の数式(4)に示す通りになる。
d1=2×2.5/cos54.5°×100
≒865 …(4)
すなわち、櫛形電極を用いた従来の太陽電池では、グリッド電極間距離が2mmの場合、キャリアの平均走行距離は865μmとなる。
一方、本発明の太陽電池1の場合、受光面の全ての凸部11の先端部に電極14が形成されているとすると、生成されたキャリアの平均移動距離d2は、四角錐の凸部11の側面の中間地点から凸部11の頂点までの距離であるから、以下の数式(5)に示す通りになる。
d2=2.5/cos54.7°/2
≒2.16 …(5)
すなわち、本発明の太陽電池1の場合には、全ての凸部11の先端部に電極14を形成すると、キャリアの平均移動距離は2.16μmとなる。従って、グリッド電極の間隔が2mmの櫛形電極を用いた従来の太陽電池のキャリアの平均移動距離d1と、本発明の太陽電池1の平均移動距離d2との比xは、以下の数式(6)に示す通りになる。
x=d2/d1
=2.16/865
≒0.0025 …(6)
つまり、本発明の太陽電池1のキャリアの平均移動距離d2は、櫛形電極を用いた従来の太陽電池のキャリアの平均移動距離d1の0.25%の距離となる。キャリアの平均移動距離は、キャリアが移動するp型不純物拡散層12の導電路の電気抵抗に比例するから、本発明の太陽電池1では、受光面の全ての凸部11の先端部に電極14を形成することによって、グリッド電極の間隔が2mmの櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、p型不純物拡散層12の導電路の電気抵抗を0.25%まで小さくすることができる。
本発明の太陽電池1では、全ての凸部11の先端部に電極14を形成しなくても、いくつかの凸部11の先端部に電極14を形成すればよい。例えば、10個毎に1個の凸部11の先端部に電極14を形成した場合には、全ての凸部11の先端部に電極14を形成した場合に比べてキャリアの平均移動距離が約10倍になるが、それでも本発明の太陽電池1のキャリアの平均移動距離は、グリッド電極の間隔が2mmの櫛形電極を用いた従来の太陽電池のキャリアの平均移動距離の2.5%の距離に留まる。本発明の太陽電池1のキャリアの平均移動距離が、従来の太陽電池のキャリアの平均移動距離と同等となるのは、400個毎に1個の凸部11の先端部に電極14を形成した場合である。従って、400個毎よりも少ない間隔で1個の凸部11の先端部に電極14を形成することで、グリッド電極の間隔が2mmの櫛形電極を用いた従来の太陽電池よりもp型不純物拡散層12のキャリアの導電路の電気抵抗を小さくすることができ、曲線因子FFを大きくすることができる。
一方、本発明の太陽電池1では、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べ、p型不純物拡散層12と電気的に接触する電極面積が小さい。電極に妨げられずに受光面へ光が入射する有効受光面積のところで説明したように、本発明の太陽電池1の電極14が直径250nmの球状である場合には、全ての凸部11に電極14を形成すると、電極14の合計面積は受光面の面積の0.8%である。一方、櫛形電極を用いた従来の太陽電池の場合は、2%〜6%である。従って、櫛形電極を用いた従来の太陽電池の電極の合計面積は、本発明の太陽電池1の電極14の合計面積よりも2.5倍(=2/0.8)〜7.5倍(=6/0.8)電極面積が大きいので、言い換えれば、電極とp型不純物拡散層との間の接触抵抗は、本発明の太陽電池1の方が従来の太陽電池よりも2.5倍〜7.5倍大きくなる。
上述のように、受光面の全ての凸部11の先端部に電極14を形成した場合には、従来の太陽電池に比べ、p型不純物拡散層12のキャリアの導電路の電気抵抗を0.25%にまで低減することができるから、p型不純物拡散層12のキャリアの導電路の電気抵抗の低減率である0.25%と、電極14とp型不純物拡散層との間の接触抵抗の最大増加率である7.5倍との相乗効果により、本発明による太陽電池の直列抵抗成分の低減効果が決定される。すなわち、p型不純物拡散層12のキャリアの導電路の電気抵抗の低減効果が、電極14とp型不純物拡散層との間の接触抵抗の増大効果を上回れば、太陽電池の直列抵抗成分を低減することができ、曲線因子FFを改善して光電変換効率を高くすることができる。
図7は、本発明の実施の形態1における太陽電池の電極半径と光電変換効率との関係を示す図である。図7は、櫛形電極を用いた従来の太陽電池の光電変換効率の測定値を基に、上述の曲線因子FFの改善効果による本発明の太陽電池1の光電変換効率を計算したものである。図7において、横軸は凸部11の先端部に形成した電極14が球状と仮定した場合の電極14の半径であり、縦軸は光電変換効率である。
櫛形電極を用いた従来の太陽電池は、受光面の面積に対する電極の合計面積の比率が4%であり、開放電圧が660mV、短絡電流密度が38mA/cm2、曲線因子が78%である。また、本発明の太陽電池1は、凸部11が一辺5μmの底面を有する四角錐の形状であるとした。
図7に示すように、本発明の太陽電池1では、電極14の半径が40nm〜900nmの範囲において、櫛形電極を用いた従来の太陽電池の光電変換効率18.8%に比べて、高い光電変換効率が得られる。従って、本発明の実施の形態1における太陽電池1の電極14の大きさは、直径80nm以上1.8μm以下が好ましい。さらに、電極14の半径が50nm〜550nmの範囲においては光電変換効率が20%以上となるので、本発明の実施の形態1における太陽電池1の電極14の大きさは、直径100nm以上1.1μm以下がさらに好ましい。なお、電極14が球状を呈していない場合には、ここで言う直径は、n型単結晶シリコン基板2の第1主面に平行な方向の最大幅としてよい。
以上のように、本発明の実施の形態1に係る太陽電池によれば、太陽電池の受光面に形成した凹凸構造の凸部11の先端部に、アルミや銀などの金属材料から成る電極14を形成したので、電極の合計面積を小さくして太陽電池1の内部に入射する光量を増加させることができる。この結果、開放電圧と短絡電流密とを大きくして光電変換効率を高くすることができるといった効果が得られる。
また、本発明の太陽電池1は、凸部11の先端部に形成した電極14の合計面積が、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べて小さいため、ファイアースルー現象により電極14の金属材料がp型不純物拡散層12の内部に拡散して形成する金属含有層16の面積を小さくすることができる。これにより、再結合による少数キャリアの消滅量を低減することができ、キャリアの収集量を増加することができる。この結果、開放電圧と短絡電流密度とを大きくして光電変換効率を高くすることができるといった効果が得られる。
さらに、本発明の太陽電池1は、全ての凸部11あるいはいくつかの凸部11の先端部に電極14を形成することで、櫛形電極を用いた従来の太陽電池に比べて、p型不純物拡散層12の内をキャリアが移動する距離を短くすることができるので、太陽電池の直列抵抗成分を小さくすることができる。この結果、曲線因子を大きくして光電変換効率を高くすることができるといった効果が得られる。
なお、本実施の形態1では、電極14が、受光面に形成される凹凸構造の凸部11の先端部のみに形成される場合について説明したが、製造工程中に、凸部11の先端部以外の場所に電極材料が付着して電極14が形成された場合であっても、電極14の合計面積が従来の櫛形電極の面積より小さければ、本実施の形態1で説明した効果がられる。また、受光面の凹凸構造は、凸部11が二次元に整列して構成される場合について説明したが、凸部11は受光面に不規則的に配列されていてもよい。
また、本実施の形態1では、n型単結晶シリコン基板を用いた太陽電池について説明したが、p型単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板など他のシリコン系基板を用いた太陽電池であってもよい。p型のシリコン基板を用いる場合には、リン(P)やガリウム(Ga)などのn型不純物を拡散させたn型不純物拡散層を形成すればよい。
実施の形態2.
図8は、本実施の形態2における太陽電池の構造を示す模式平面図である。図8において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。また、図8の破線A−Aにおける断面図は図1と同じである。本発明の実施の形態1とは、導電体15が複数に分割されて受光面に設けられた構成が相違している。本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
図8に示すように、太陽電池1のn型単結晶シリコン基板2の受光面側の全面には、p型不純物拡散層12が形成されている。図8では省略したが、図1で示したように、太陽電池1の受光面には全面に亘って多数の凸部11が形成され、多数の凸部11により凹凸構造が構成されている。いくつかの凸部11の先端部には電極14がそれぞれ独立して形成され、複数の電極14に接触して導電体15が設けられている。図8では、導電体15が太陽電池1の受光面の全面ではなく、太陽電池1の受光面に複数の導電体15が所定の間隔離れて設けられており、電極14は導電体15が設けられた部分のみに形成されている。複数の導電体15は、バスバー電極あるいはタブ線などにより、それぞれ互いに電気的に接続されている(図示せず)。
なお、電極14は、導電体15が設けられていない部分にも形成してもよい。しかし、実施の形態1で説明したように、電極14は不透明であるため太陽電池1の内部に光が入射するのを妨げる。さらに、電極14の直下のp型不純物拡散層12に少数キャリアの再結合確率を高める金属含有層16を形成する。このため、図8に示すように導電体15が設けられていない部分には電極14を形成しない方が望ましい。
図8に示すように、複数の導電体15を所定の間隔離して太陽電池1の受光面に形成する場合には、導電体15は、透明導電体および不透明な導電体から任意に選択して用いることができる。導電体15に不透明な導電体を用いる場合には、導電体15の面積の受光面の面積に対する比率が、従来の太陽電池で用いられている櫛形電極の面積の受光面の面積に対する比率と同等以下にすることが望ましい。
また、導電体15が不透明な導電体である場合であっても、導電体15は、電極14を形成した後に、シート状あるいは帯状の導電体15を電極14の上に設けて、導電体15と電極14とを電気的に接続するのがよい。これにより、不透明な導電体を印刷により形成する従来の櫛形電極を用いた太陽電池に比べ、ファイアースルー現象により不透明な導電体の直下のp型不純物拡散層に形成される金属含有層の面積を小さくすることができる。
つまり、本発明の太陽電池1の導電体15が不透明な導電体であり、導電体15の合計面積が、従来の太陽電池の合計面積と同じ場合、太陽電池1の内部に入射する光量は、従来の太陽電池と同じになる。しかし、本実施の形態2の太陽電池1は、電極14の金属材料がp型不純物拡散層12に拡散して形成する金属含有層16の面積が、従来の櫛形電極に比べて小さいので、再結合による少数キャリアの消滅量を低減することができる。従って、櫛形電極を用いた従来の太陽電池よりも高い光電変換効率を得ることができるといった効果が得られる。
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3における太陽電池を示す模式断面図である。図9において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、n型多結晶シリコン基板の裏面側にも凹凸構造を形成し、裏面側の凹凸構造の凸部の先端部に電極を形成した構成が相違している。本発明の実施の形態3では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。なお、本実施の形態3では、n型多結晶シリコン基板の受光面側が実施の形態1と同一の構成の太陽電池について説明するが、受光面側に櫛形電極を用いた太陽電池の裏面側の構成を本実施の形態3で説明する構成としてもよい。
図9において、n型多結晶シリコン基板2の裏面側には複数の凸部21が配列されて凹凸構造が形成されている。裏面側の凹凸構造は、受光面側の凹凸構造と同時に形成してよく、別々に形成してもよい。裏面側の凹凸構造の凸部21の表層にはn型不純物拡散層22が形成され、n型不純物拡散層22の上には反射防止膜などの絶縁層23が形成されている。凸部21の先端部には裏面電極24が形成され、裏面電極24の一部は、ファイアースルー現象により絶縁層23に形成された貫通穴に入り込み、n型不純物拡散層22と接している。裏面電極24の金属材料の一部は、n型不純物拡散層内に拡散して拡散層や合金層を形成し、金属含有層を形成している。この結果、n型不純物拡散層22と裏面電極24との間の電気抵抗は小さくなっている。なお、裏面電極24の材料は、アルミや銀などの金属材料である。
なお、n型多結晶シリコン基板2の裏面側は光入射面ではないため反射防止膜を形成しなくてもよく、n型不純物拡散層22の表面欠陥等によるキャリア再結合を考慮しなければ、絶縁層23を省略してもよい。その際には、n型不純物拡散層22に直接接するように裏面電極2を形成すればよい。この場合、絶縁層23が無いので、裏面電極24は絶縁層23を開口するファイアースルーを必要としないため、ガラスフリットを混合しない金属ナノ粒子を用いることができる。金属ナノ粒子は、実施の形態1で説明した方法からガラスフリットを除去した方法により裏面側の凸部21の先端部に形成することができる。すなわち、フィルムの片面に金属ナノ粒子と溶剤との混合液を塗布し乾燥させ、金属ナノ粒子を塗布した面にn型多結晶シリコン基板2の裏面側の凹凸構造を押し当てて、凸部21の先端部に金属ナノ粒子を転写して付着させた後、金属ナノ粒子を焼成して裏面電極24を形成してよい。また、金属ナノ粒子を凸部21の先端部に付着させた後に、500℃以上900℃以下で1秒以上10秒以下、好ましくは2秒以上5秒以下熱処理を行って金属ナノ粒子をさらに凝集させた後に、金属ナノ粒子を焼成して裏面電極24を形成してよい。
凸部21の先端部の構造は詳細には実施の形態1の図3で説明した構造と同様である。また、凸部21の先端部に裏面電極24を形成する工程は、実施の形態1の図4で示した工程と同様である。導電体25が、複数の裏面電極24と電気的に接続されている。なお、導電体25は、透明導電体、不透明な導電体のいずれを用いてもよい。また、実施の形態2で説明したように、複数に分割された導電体25であってもよい。
図9に示す本実施の形態3の太陽電池1は、n型単結晶シリコン基板2の裏面側からも光が入射する構成の太陽電池に適している。裏面側からも光が入射する構成の太陽電池1の場合、例えば、実施の形態1の図1に示したような裏面側に櫛形電極を用いた太陽電池に比べ、裏面から入射する光を妨げる裏面電極24の面積が櫛形電極に比べ小さいので、より多くの光を裏面側から太陽電池1の内部に入射させ光電変換効率を向上させることができる。
さらに、裏面電極24は、裏面側の凸部21の先端部に形成されているため、裏面電極24の面積は櫛形電極より小さくなり、n型不純物拡散層22内に裏面電極24の金属材料が拡散して形成される金属含有層の面積も小さくなる。この結果、少数キャリアの再結合確率が高まるのを抑制し、少数キャリアの消滅量を抑制して光電変換効率を向上させることができる。
図10は、本発明の実施の形態3における太陽電池を示す模式断面図である。図9に示した太陽電池の構成に加え、裏面側の導電体25上、すなわち太陽電池1の最裏面側に反射材26を備えた構成をしている。
反射材26は、例えば、酸化チタンを添加したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、白色PETフィルム、あるいは白色塗料を塗布したガラス等の反射率が高い部材で構成される。実施の形態1の図4に示したような工程により、太陽電池1を製造した後に、太陽電池モジュールを製造する際に、太陽電池1の裏面に反射材26を設置し、パッケージ化してよい。
太陽電池1の受光面側から入射し、n型単結晶シリコン基板2を通り抜けた光は、反射材26によって反射され、n型単結晶シリコン基板2の裏面から再度太陽電池1の内部に入射される。太陽電池1の裏面の凸部21の先端部に形成された裏面電極24の面積は、櫛形電極の面積より小さいので、櫛形電極の場合より多くの光が反射材26で反射されて太陽電池1の内部に入射される。この結果、より多くの光が太陽電池1の内部に入射されるので、キャリアの生成量が増加し、光電変換効率を向上させることができる。
図11は、本発明の実施の形態3における他の太陽電池を示す模式断面図である。図9に示した太陽電池の構成に加え、絶縁層23上に裏面反射層27が形成された構成をしている。裏面反射層27は、例えば、銀や金などの金属材料を、絶縁層23を形成した太陽電池1の裏面に真空蒸着やスパッタリングなどの成膜プロセスで形成してもよく、絶縁層23を形成した太陽電池1の裏面に白色塗料などを塗布して形成してもよい。
太陽電池1の受光面側から入射し、n型単結晶シリコン基板2を通り抜けた光は、裏面反射層27によってn型単結晶シリコン基板2の内部に反射され、再度太陽電池1の内部に入射される。太陽電池1の裏面の凸部21の先端部に形成された裏面電極24の面積は、櫛形電極の面積より小さいので、櫛形電極の場合より裏面反射層27の面積を大きくすることができ、より多くの光が裏面反射層27で反射されて太陽電池1の内部に入射される。この結果、より多くの光が太陽電池1の内部に入射されるので、キャリアの生成量が増加し、光電変換効率を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態3に係る太陽電池によれば、太陽電池の裏面に形成した凹凸構造の凸部21の先端部に裏面電極24を形成し、裏面に反射材26あるいは裏面反射層27を設けたので、太陽電池1の受光面から入射し、太陽電池1を通り抜けた光を反射させて、再び太陽電池1の内部に入射させる場合に、裏面側の裏面電極24の面積が小さいのでより多くの光を再度太陽電池1の内部に入射させて入光量を増大することができ、光電変換効率を向上させることができるといった効果が得られる。
また、裏面電極24の金属材料がn型不純物拡散層22内部に拡散して形成された金属含有層の面積が、従来の櫛形電極を用いた場合に比べて小さいため、少数キャリアの再結合による消滅量を低減して、光電変換効率を向上させることができるといった効果が得られる。
なお、n型単結晶シリコン基板の裏面にn型不純物拡散層は必ずしも形成される必要はなく、n型不純物拡散層が無い構成の太陽電池であっても、太陽電池の裏面から太陽電池の内部に入射する光量が増加するので、光電変換効率を向上させることができるといった効果が得られる。太陽電池の裏面側にn型不純物拡散層を形成しない構成の場合には、例えば、アルミを含有する電極材料を用いることで電極材料のアルミがn型単結晶シリコン基板の内部に拡散して、n型単結晶シリコン基板内に金属含有層を形成するので、n型単結晶シリコン基板と裏面電極との間の電気抵抗を小さくすることができる。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4における太陽電池を示す模式断面図である。図12において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、p型不純物拡散層12が凸部11の全体ではなく凸部11の先端部側のみに形成された構成が相違している。本発明の実施の形態4では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。なお、本実施の形態4では、n型多結晶シリコン基板2の裏面側が実施の形態1と同一の構成の太陽電池について説明するが、裏面側を実施の形態3で説明した太陽電池の構成としてもよい。また、裏面側のn型不純物拡散層22を、本実施の形態4で説明するように、裏面側の凹凸構造を形成する凸部の先端部側のみに形成した構成としてもよい。
なお、ここでいう凸部の先端部側とは、凸部の底部を除く範囲であり、凸部の底部が除かれるため、各凸部の先端部側に形成されたp型不純物拡散層はそれぞれ繋がっていない。凸部の先端部側とは、概ね凸部の高さの中間地点から凸部の頂点側の範囲をいう。
図12に示すように、太陽電池1は、n型単結晶シリコン基板2の受光面に形成された凹凸構造を形成する凸部11の先端部側のみにp型不純物拡散層12が形成されている。すなわち、p型不純物拡散層12は、凹凸構造の凹部の最深部では繋がっておらず、凸部11毎にp型不純物拡散層12が分離した構成となっている。p型不純物拡散層12は電、p型不純物拡散層12の内部に電極14の金属材料が拡散して形成された金属含有層により極14と電気的に導通している。また、複数の電極14と導電体15とが電気的に接続されている。
以上の構成とすることにより、本実施の形態4に係る太陽電池1は、実施の形態1で説明した太陽電池よりも、第2動導電型のp型不純物拡散層12の面積を減少させている。p型不純物拡散層12では、n型単結晶シリコン基板2よりも少数キャリアの再結合確率が高いため、本実施の形態4に係る太陽電池1のように、p型不純物拡散層12の面積を減少させることで、少数キャリアの寿命を長くすることができ、キャリアの収集量を増大させて光電変換効率を向上することができる。
次に、本実施の形態4に係る太陽電池1の製造方法について説明する。
図13は、本発明の実施の形態4における太陽電池の製造方法を示す模式断面図である。図13は、本実施の形態4に係る太陽電池1の受光面に、p型不純物拡散層12を形成する工程と、凹凸構造を形成する工程とを示した図である。これら以外の工程については、実施の形態1の図4で示した工程を適宜用いて本実施の形態4に係る太陽電池1を製造することができる。従って、本実施の形態4では、p型不純物拡散層12を形成する工程と、凹凸構造を形成する工程とについて説明し、これら以外の工程については説明を省略する。
まず、実施の形態1で説明したように、n型単結晶シリコン基板2の汚染とダメージ層との除去を行う。その後、n型単結晶シリコン基板2を熱処理炉に投入し、三臭化ホウ素(BBr3)ガスなどを供給し、n型単結晶シリコン基板2の表面にホウ素(B)を拡散し、p型不純物拡散層12を形成する。n型単結晶シリコン基板2の裏面に形成されたp型不純物拡散層は必要に応じて除去する。あるいは、n型単結晶シリコン基板2の受光面にp型不純物拡散層12を形成する前に、予めn型単結晶シリコン基板2の裏面にマスクを形成しておき、n型単結晶シリコン基板2の裏面にp型不純物拡散層が形成されないようにしてもよい。以上の工程により、図13(a)に示すように、n型単結晶シリコン基板2の平坦な受光面にp型不純物拡散層12が形成される。
次に、必要に応じて洗浄などを行った後、n型単結晶シリコン基板2を熱処理炉に投入し、酸素の混合ガスを供給し、900℃で30分間加熱する。この結果、図13(b)に示すように、n型単結晶シリコン基板2の表層にシリコン酸化膜31が形成される。
次に、図13(c)に示すように、p型不純物拡散層2が形成された側の面に形成されたシリコン酸化膜31に、シリコン酸化膜31の一部を除去した開口部32を形成する。開口部32は、例えば、酸化アルミニウムやシリコンカーバイドの微粒子を打ち付けるブラスト処理によって形成することができる。図13(c)では、開口部32が整列して形成されたように示されているが、開口部32は不規則的に形成されていてよい。
次に、図13(c)のように表層部に開口部32を形成したn型単結晶シリコン基板2をアルカリ性溶液に浸漬させて、n型単結晶シリコン基板2とp型不純物拡散層12の一部をエッチングして、受光面側に凹凸構造を形成する。この工程は、実施の形態1の図4で示したステップS102と同じであってよい。この結果、図13(d)に示すように、凹凸構造を形成する凸部11の先端部側にp型不純物拡散層12が形成され、凹凸構造の凹部の最深部にはp型不純物拡散層が存在しない構成となる。
その後、凸部11の頂点に残存するシリコン酸化膜31aとn型単結晶シリコン基板2の裏面と側面とに残存するシリコン酸化膜31とを除去し、実施の形態1の図4で示した残りの工程を経て太陽電池1は製造される。
以上のように、本実施の形態4に係る太陽電池は、p型不純物拡散層12が、凸部11の先端部側のみに形成されるため、p型不純物拡散層12の面積を小さくすることができる。この結果、少数キャリアの再結合の確率が低減され、少数キャリアの寿命を長くすることができ、太陽電池1の光電変換効率を高くすることができるといった効果が得られる。