JP2017134932A - リチウムイオン二次電池外装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】成型加工後の耐カール性を有すると共に、フレキシブルエレクトロニクスに搭載できる十分な屈曲性を有するリチウムイオン二次電池外装材を提供すること。【解決手段】基材層、バリア層及びヒートシール層をこの順に備え、ループスティフネス試験方法により測定されるバリア層のループスティフネスの値が30mN以上140mN以下である、リチウムイオン二次電池外装材。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池外装材に関する。
パソコンや携帯電話等の電子機器は小型化が進んでおり、それらに搭載されるリチウムイオン二次電池にも同様に小型化が求められている。そのためリチウムイオン二次電池外装材(以下、単に外装材と言うこともある。)も缶からラミネートフィルムへと移行が進んでおり、さらにラミネートフィルム自体も薄膜化が進んでいる。
ラミネートフィルムタイプの外装材構成としては、例えば、基材層/バリア層/腐食防止処理層/ヒートシール層が挙げられる。この外装材は基材層を外側とし、ヒートシール層を電池内容物側として使用される。この構成では、例えば特許文献1のように、バリア層として軟質アルミニウム箔が用いられており、電池内部への水分透過を防止するバリア機能を果たしている。
特許第3567230号公報
ところで、近年では様々なフレキシブルエレクトロニクスが登場し、リチウムイオン二次電池にもそれらに搭載できるような屈曲性が求められてきている。屈曲性が不足していると、度重なる屈曲によりやがてラミネートフィルム内に微細なクラックが入り、外装材としての機能を発揮できなくなる恐れがある。ラミネートフィルムタイプの外装材は缶タイプに比べると屈曲性が高いと言えるが、更なる屈曲性向上が求められていることも事実である。しかし、ラミネートフィルムの屈曲性向上を優先させすぎると、成型加工した際に大きくカールしてしまい、その後のラインにセットできなくなるなど工程上問題がある。
上記事情に鑑み、本発明は、成型加工後の耐カール性を有すると共に、フレキシブルエレクトロニクスに搭載できる十分な屈曲性を有するリチウムイオン二次電池外装材を提供することを目的とする。
本発明者は、硬さが所定の範囲である金属箔をバリア層として用いた外装材が、上記課題を解決することを見出した。すなわち本発明は、基材層、バリア層及びヒートシール層をこの順に備え、ループスティフネス試験方法により測定されるバリア層のループスティフネスの値が30mN以上140mN以下である、リチウムイオン二次電池外装材を提供する。本発明は、少なくとも外装材のバリア層として、ループスティフネスの値が30mN以上140mN以下である金属箔を用いることにより、フレキシブルエレクトロニクスに搭載できる屈曲性と成型加工後にカールしない特性を併せ持つ。これに対し、例えば、上記特許文献1の外装材では、バリア層として軟質アルミニウム箔を使用しているため、その硬さをループスティフネスで測定すると17mN程度と非常に低い。これにより、成型加工した際のカールが大きくなる恐れがある。
本発明において、バリア層の厚さが10μm以上50μm以下であることが好ましい。これにより、本発明の効果をさらに向上することができる。
本発明によれば、成型加工後の耐カール性を有すると共に、フレキシブルエレクトロニクスに搭載できる十分な屈曲性を有するリチウムイオン二次電池外装材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池外装材を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池外装材を示す断面図である。図1に示す外装材1は、基材層11の一方の面に、第1接着層12、腐食防止処理層13、バリア層14、腐食防止処理層13、第2接着層15、ヒートシール層16が順次積層されてなる。
<外装材>
外装材1は、電極や電解液などの電池内容物を詰めるためのパウチとして使用される。外装材1は基材層11を外側、ヒートシール層16を電解液側として使用される。外装材1は電池内容物を詰めるための凹部を成型加工により形成するため、延伸や圧縮に耐えなければならない。
外装材1の全体の厚さとしては、25μm以上300μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下がより好ましい。外装材1の厚さが少なくとも25μm以上あれば電池外装材として必要なバリア性や機械特性が得られるが、300μmより厚くしても前述の特性は向上せず、層厚が増加した分電池内容物の挿入空間が減少し、電池のエネルギー密度の低下を招くだけである。
[基材層]
基材層11は、リチウムイオン二次電池製造時のヒートシール工程における耐熱性付与、および加工や流通の際に起こりうるピンホール対策の目的で設けるものであり、基材層11としては絶縁性を有する樹脂層を用いるのが好ましい。そのような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらの樹脂をそのまま延伸または未延伸フィルムとして使用してもよく、あるいは溶媒に溶かして、バリア層に塗布するための塗液に含ませて使用してもよい。基材層は単層でもよく、2層以上でもよい。樹脂層としては、成型性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性の観点から、延伸ポリエステルフィルムや延伸ポリアミドフィルムが好ましい。
基材層11の厚さは、3μm以上40μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。基材層11の厚さが3μmよりも薄いと、耐ピンホール性、絶縁性が低下し易く、40μmよりも厚いと、成型性が低下し易い。
[第1接着層]
第1接着層12は、基材層11がフィルムである場合に、腐食防止処理層13またはバリア層14に基材層11を貼りつける役割を果たす。基材層11を塗液を用いて形成する場合には第1接着層12を設けなくても良い。第1接着層12の材料としては、例えば、各種ポリオールを主剤成分とし、イソシアネート化合物またはその誘導体を硬化剤成分としたポリウレタン系接着剤が挙げられる。主剤成分となるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系の二塩基酸、及びイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系の二塩基酸の一種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族系のジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脂環式系のジオール、およびキシリレングリコールなどの芳香族系のジオールの一種以上とを用いて得られる化合物が挙げられる。また、これらのポリオールに含まれる水酸基をイソシアネート化合物により鎖伸長を行ったポリウレタンポリオールを用いることも可能である。
硬化剤成分となるイソシアネート化合物またはその誘導体としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、またはこれらのジイソシアネート類をトリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、ジイソシアネート類を水と反応させることで得られたビューレット体、三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、またはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネート類などが挙げられる。これらのイソシアネート化合物またはその誘導体は有機溶剤系、水系どちらでもかまわない。通常、ドライラミネート用で用いるポリウレタン系接着剤であれば、基本組成は上記主剤と硬化剤の組み合わせで十分であるが、その他接着特性を向上させる目的や各種耐性を付与させる目的で、他の添加剤を含んでもかまわない。その一例としては、例えば、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン系化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。
第1接着層12の厚さは1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましい。
[腐食防止処理層]
腐食防止処理層13は、電解液や、電解液と水分の反応により発生するフッ酸によるバリア層14の腐食を抑制する役割を果たす。また、バリア層14と、第1接着層12及び第2接着層15との密着力を高める役割を果たす。
腐食防止処理層としては、塗布型又は浸漬型の耐酸性の腐食防止処理剤によって形成された塗膜や、バリア層14を構成する金属に由来する金属酸化物の層が挙げられる。このような塗膜あるいは層は、酸に対する腐食防止効果に優れる。塗膜としては、例えば、酸化セリウム、リン酸塩及び各種熱硬化性樹脂からなる腐食防止処理剤によるセリアゾール処理によって形成される塗膜、あるいはクロム酸塩、リン酸塩、フッ化物及び各種熱硬化性樹脂からなる腐食防止処理剤によるクロメート処理により形成される塗膜等が挙げられる。なお、バリア層14の耐食性が充分に得られる塗膜であれば、上述したものには限定されない。例えば、リン酸塩処理、ベーマイト処理等によって形成した塗膜であってもよい。一方、バリア層14を構成する金属に由来する金属酸化物の層としては、使用されるバリア層14に応じた層が挙げられる。例えばバリア層14としてアルミニウム箔が用いられた場合は、酸化アルミニウム層が腐食防止処理層として機能する。これらの腐食防止処理層は、単層で又は複数層組み合わせて使用することができる。また、二層ある腐食防止処理層13は同一の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。さらに、腐食防止処理層には、シラン系カップリング剤、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン等の添加剤が添加されてもよい。
以下に、腐食防止処理層13の一実施形態についてより詳細に説明する。
一実施形態に係る腐食防止処理層13は、希土類元素系酸化物100質量部に対してリン酸またはリン酸塩が1質量部以上100質量部以下添加された層(A)13aと、カチオン性ポリマーおよび該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を有する層(B)13bと、アニオン性ポリマーおよび該アニオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を有する層(C)13cを順に積層した多層構造からなる。腐食防止処理層13は層(A)13aのみでもよく、層(A)13aと層(B)13bのみでもよい。また層(B)13bと層(C)13cが逆になってもよい。
また図1にはバリア層14の両面に腐食防止処理層13を設けているが、どちらか片面だけに設けてもよい。
(希土類元素系酸化物)
希土類元素系酸化物としては、例えば、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタンなどが挙げられるが、酸化セリウムが好ましい。
本実施形態において、層(A)13aを形成する際には、リン酸またはリン酸塩を分散安定化剤として用い、希土類元素系酸化物を分散安定化させてゾル状態にしたもの(希土類元素系酸化物ゾル)を使用してもよい。このような場合、特に、平均粒径が100nm以下の希土類元素系酸化物ゾルが好ましい。希土類元素系酸化物ゾルには、例えば水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いることができ、特に水系の希土類元素系酸化物ゾルが好ましい。
前記分散安定化剤としては、リン酸またはリン酸塩の他にも、硝酸、塩酸などの無機酸、酢酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸を用いてもよいが、リン酸またはリン酸塩が分散安定化剤として特に好ましい。リン酸またはリン酸塩を分散安定化剤として用いることにより、希土類元素系酸化物を分散安定化するだけでなく、リン酸のキレート能力を利用したバリア層である金属箔との密着性の向上、フッ酸の影響で溶出した金属イオンの捕獲(すなわち、不動態の形成)による耐電解液性の付与、低温でもリン酸の脱水縮合が起こりやすいことによる層(A)13aの凝集力の向上などが期待できる。凝集力が向上することで、外装材の強度物性が良好となる傾向にある。
リン酸またはリン酸塩などのリン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。また、その他にも、リン酸アルミニウムやリン酸チタンなどの各種塩を用いても良い。さらには、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩(縮合リン酸塩)が、機能発現の点から好ましい。特に、ゾル状態の希土類元素系化合物(すなわち、希土類元素系化合物ゾル)を用いて層(A)13aを形成させる場合、乾燥造膜性(すなわち、乾燥能力や熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる分散安定化剤が好ましい。よって、リン酸塩を形成する塩としては、低温での脱水縮合性に優れるNaイオン塩が好ましい。また、水溶性の塩が好ましい。
層(A)13aは、上述した希土類元素系酸化物100質量部に対してリン酸またはリン酸塩が1質量部以上100質量部以下添加されて形成される。リン酸またはリン酸塩の配合量は5質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。リン酸またはリン酸塩の添加量が上記下限値より少ないと、得られる希土類元素系酸化物ゾルの安定化が低下すると共に、外装材としての機能が不十分となる。一方添加量が上記上限値より多くなると、希土類元素系酸化物ゾルの機能が低下する。
なお、上述したように、分散安定化剤としてリン酸塩を用いる場合、リン酸塩を形成する塩としてはNaイオン塩が好ましいが、そのリン酸塩の添加量が上記範囲より多くなると、上述したような弊害が生じることはいうまでもない。
このように、希土類元素系酸化物にリン酸化合物を添加することで、希土類元素系酸化物の分散安定化だけでなく、バリア層である金属箔の腐食に対するインヒビター効果を付与させることができる。また、リン酸化合物の金属箔への密着性を向上させることも可能となり、耐電解液性という点で相乗的な効果を発揮できる。
ところで、クロメート処理に代表される通常の化成処理では、金属箔からなるバリア層と化成処理層との間に傾斜構造を形成させる。そのため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いて金属箔に処理を施し、クロムやノンクロム系の化合物と作用させて化成処理層を金属箔に形成させる場合が多い。その化成処理の一例としてリン酸クロメート処理が挙げられ、これは浸漬型でも樹脂バインダーを用いた塗布型でもその基本原理は同じである。しかしながらこれらの化成処理剤は酸を用いていることから、作業環境やコーティング装置の腐食を伴うものである。
一方、上述したような、本実施形態で用いる腐食防止処理層は、金属箔に対して傾斜構造を形成させる必要がなく、そのような点で化成処理とは定義が異なるものである。そのため、腐食防止処理剤の性状も酸性や中性、アルカリ性に拘ることは無い。
腐食防止処理層(A)13aの単位面積当たりの質量aは、0.010g/m以上0.200g/mであることが好ましく、0.040g/m以上0.100g/mであることがより好ましい。質量aが上記下限値より小さくなると、金属箔であるバリア層の腐食防止効果を有する希土類元素系酸化物や、リン酸またはリン酸塩の絶対量が少なくなるため、耐電解液性や耐フッ酸性が得られにくくなる。一方、質量aが上記上限値より大きくなると、本実施形態で用いる希土類元素系酸化物ゾルの乾燥に伴うゾル・ゲル反応が進行しにくくなり(すなわち、熱量不足になりゾル・ゲル反応が進行しにくくなり)、希土類元素系酸化物ゾルの凝集力が低下し、外装材とした際の強度物性を低下させる恐れがある。従って、層(A)13aの単位面積当たりの質量aが上記範囲内であれば、耐電解液性を保持するとともに、希土類元素系酸化物ゾルの凝集力を維持できるので、外装材に求められる強度を十分に付与できる。
(カチオン性ポリマー)
本発明者らは、外装材で要求される耐電解液性や耐フッ酸性をより向上させるべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマーが耐電解液性や耐フッ酸性に優れる化合物であることを見出した。この要因としては、フッ素イオンをカチオン性基でトラップすること(アニオンキャッチャー)で、金属箔であるバリア層のダメージを抑制するためと推測される。
前記カチオン性ポリマーとしては、アミンを含有するポリマーが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールが好ましい。特に好適なのはポリアリルアミンまたはその誘導体である。
ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸またはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入させた共重合体や、カルボキシメチルセルロースまたはそのイオン塩などのカルボキシル基を有する多糖類が挙げられる。
ポリアリルアミンとしては、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能である。これらのアミンはフリーのアミンであっても、酢酸や塩酸によって安定化したアミンであってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いることも可能である。
なお、アミノフェノールの場合も、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いることが可能である。
これらカチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようにカチオン性ポリマーは外装材に有効な材料であり、カチオン性ポリマーを有する層(B)を、上述した層(A)と組み合わせて用いることで、より一層、機能の向上が期待できる。
ところで、外装材の耐水性評価において水浸漬を行うことを考慮して、腐食防止処理層13にはアンカーコート剤としての耐水性・耐水接着性が備わっていることが求められる。アミンなどのカチオン性基を有するカチオン性ポリマーは、耐フッ酸性という点で有効であるが、水系であるためカチオン性ポリマーを単独で用いると、耐水性に劣るという結果を招く。
そこで、本発明者らは、電解液評価後の水浸漬に伴うデラミネーションの課題について鋭意検討した結果、カチオン性ポリマーが耐水性に劣る原因として、カチオン性ポリマーが水に溶解することや、接着界面での耐水性に問題があることに注目した。さらに、要因の解決策としては、前者は架橋剤を添加すること、後者は接着界面で相互作用を形成させることが挙げられるが、後者の要因の一つが前者であることから、前者を改善することにより後者も解決することを見出した。これらの知見により、耐水性の問題を解決するに至った。
(架橋剤)
カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤としては、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、またはこれらイソシアネート類をトリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体や、イソシアネート類を水と反応させることで得られたビューレット体、三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、またはこれらポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸などのジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪酸あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにはポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いても良い。
オキサゾリン基を有する化合物としては、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物を用いることができる。また、イソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどと共重合させたものを用いることができる。
さらに、架橋剤として、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にすることが可能なシランカップリング剤を用いるのが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特に、カチオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―イソシアナートプロピルトリエトキシシランが好適である。
これらの架橋剤はカチオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上50質量部以下添加するのが好ましい。架橋剤の添加量が上記下限値より少ないと、架橋構造が不十分となる。一方添加量が上記上限値より多いと、塗液のポットライフが低下する恐れがある。
なお、カチオン性ポリマーが、ポリアリルアミンの1級アミンをメトキシカルボニル化させたポリアリルアミンの誘導体である場合は、熱架橋性を有するため、架橋剤を添加しなくても架橋剤を添加したものと実質的に同等とみなすことができる。また、カチオン性ポリマーを架橋させる方法としては、上述した架橋剤を用いる以外にも、チタニウムやジルコニウム化合物を架橋剤として用いてイオン架橋などの架橋構造を形成させる方法を用いても構わない。
架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、架橋剤とシランカップリング剤を併用してもよい。
上述したように、カチオン性ポリマーはフッ酸のトラップという点で非常に効果的な材料である。また、架橋剤を添加することにより、耐水性も向上できる。従って腐食防止処理層13が、図1に示すようにカチオン性ポリマーを有する層(B)13bを備えることで、耐電解液性、耐フッ酸性、耐水性がより向上する。
しかしながら、上述したようなカチオン性ポリマーを有する層(B)13bは金属箔を腐食から守る機能は持たない。そこで、図1に示すように腐食防止処理層13を、層(B)13bと共に、層(A)13aを備えた多層構造とすることにより、金属箔の腐食防止効果が得られるようになる。
なお、詳しくは後述するが、層(A)13aは、図1に示すようにバリア層14上に直接積層していることが好ましい。また層(A)13aは、上述したようにリン酸またはリン酸塩により希土類元素系酸化物が分散安定化されたゾル状態のもの(希土類元素系酸化物ゾル)により形成されるので、層(A)13aは実質上、希土類元素系酸化物のゾル粒子が密集した構造となっている。一方、層(B)13bは、ゾル粒子が密集した層(A)13aの間隙を埋めながら、かつ層(A)13a上に積層している。すなわち、層(B)13bを構成する腐食防止処理組成物(B)が、層(A)13aの間隙に浸透しながら層(A)13a上に塗工され、層(B)13bを形成する。この際、層(A)13aの間隙に浸透した腐食防止処理組成物(B)が熱架橋されることで、層(B)13bは層(A)13aの保護層的な効果を発現する。
層(B)13bが層(A)13aの保護層的な役割をより効果的に発現するためには、層(A)の単位面積当たりの質量a(g/m)と、層(B)の単位面積当たりの質量b(g/m)との関係が、2≧b/aを満たせばよい。
各層の質量の関係(b/a)が上記範囲を超える場合でも、層(B)13bが層(A)13aの保護層的な役割を果たすことは可能であるが、その場合、層(A)13aの間隙を埋める割合に加えて、層(A)13a上に積層される層(B)13bの割合が必要以上に増えることになる。層(B)13b中のカチオン性ポリマーは、単独で存在するよりも、層(B)13b中において層(A)13a中の希土類元素系酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化するほうが耐電解液性や耐フッ酸性の機能をより効果的に発現する傾向にある。従って、各層の質量の関係(b/a)が上記範囲を超えると、結果として層(A)13a中の希土類元素系酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化せずに単独で存在するカチオン性ポリマーの割合が増えるので、耐電解液性や耐フッ酸性の機能が十分に発揮されなくなる場合があり、耐電解液性や耐フッ酸性が低下する恐れがある。また、腐食防止処理組成物(B)の塗工量が増えるので、硬化しにくくなる場合もある。腐食防止処理組成物(B)を十分に硬化させるためには、乾燥温度を高く設定したり、硬化時間を長く設定したりすればよいが、その結果、生産性が低下する恐れがある。よって、生産性を維持しつつ、耐電解液性や耐フッ酸性を向上させる観点から、各層の質量の関係(b/a)は2≧b/aであることが好ましく、1.5≧b/a≧0.01であることがより好ましく、1.0≧b/a≧0.1であることが特に好ましい。
なお、上記関係は層の質量を基準としているが、各層の比重を求めることができれば、腐食防止処理層13の厚さに換算することもできる。
(アニオン性ポリマー)
本発明者らは、さらに検討した結果、アニオン性ポリマーが層(A)の安定性を向上させる化合物であることも見出した。その効果としては、硬くて脆い層(A)をアクリル系樹脂成分で保護したり、希土類元素系酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にNaイオン由来の汚染)をトラップしたり(カチオンキャッチャー)する効果が挙げられる。
一般的に、リチウムイオン二次電池外装材の用途に限らず、例えば腐食性化合物による金属箔の腐食を防止する目的で設けられる保護層中に、イオンコンタミ、特にNaイオンなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンコンタミを起点にして保護層が侵されてしまうという問題がある。従って、上述した希土類元素系酸化物ゾル中に含まれるNaイオンなどのイオンコンタミを固定化させる目的でアニオン性ポリマーを用いることが、外装材の耐性を向上させるという点で効果的である。
前記アニオン性ポリマーは、上述したカチオン性ポリマーとは正反対の特性をもつ材料である。具体的にはカルボキシル基を有するポリマーが挙げられ、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体が挙げられる。共重合体として用いられる成分としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミドやN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミドやN,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのシラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものなどが挙げられる。
アニオン性ポリマーは、イオンコンタミを捕捉する点で非常に効果的な材料であり、アニオン性ポリマーを含む層(C)13cを、上述した層(A)13aおよび層(B)13bと組み合わせて用いることで、より一層、機能の向上が期待できる。しかしながら、カチオン性ポリマーの場合と同様に、アニオン性ポリマーは水系であるため単独で用いてしまうと、耐水性に劣るという結果を招く。従って、層(C)13cには、カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を添加することが好ましい。
架橋剤としては、前述した架橋剤の中から、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、架橋剤とシランカップリング剤を併用してもよい。
これらの架橋剤はアニオン性ポリマー100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下添加するのが好ましい。架橋剤の添加量が上記下限値より少ないと、架橋構造が不十分となる。一方添加量が上記上限値よりも多いと、塗液ポットライフが低下する恐れがある。
上述したように、アニオン性ポリマーはイオンコンタミを捕捉する点で非常に効果的な材料であり、架橋剤を添加することで耐水性も向上できる。しかしながら、上述したようなアニオン性ポリマーを有する層(C)13cは金属箔を腐食から守る機能は持たない。そこで、図1に示すように腐食防止処理層13を、層(C)13cだけでなく層(A)13aも備えた多層構造とすることにより、金属箔の腐食防止効果が得られるようになる。
なお、層(C)13c中のアニオン性ポリマーは単独で存在するよりも、層(A)13a中の希土類元素系酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化する方が耐電解液性や耐フッ酸性の機能をより効果的に発現する傾向にある。従って、層(A)13a上に積層する層(C)13cの割合が必要以上に多くなると、結果として層(A)13a中の希土類元素系酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化せずに単独で存在するアニオン性ポリマーの割合が増える。その結果、耐電解液性や耐フッ酸性の機能が十分に発揮されなくなる場合があり、耐電解液性や耐フッ酸性が低下する恐れがある。
耐電解液性や耐フッ酸性をより効果的に発現させるためには、層(A)の単位面積当たりの質量a(g/m)と、層(B)の単位面積当たりの質量b(g/m)と、層(C)の単位面積当たりの質量c(g/m)との関係が、2≧(b+c)/aを満たせばよい。各層の質量の関係(b+c)/aが上記範囲を超える場合でも、本発明の効果を発揮することもあるが、この場合、腐食防止処理組成物(B)や、腐食防止処理組成物(C)の塗工量が増えるので、これらが硬化し難くなることもある。腐食防止処理組成物(B)や腐食防止処理組成物(C)を十分に硬化させるためには、乾燥温度を高く設定したり、硬化時間を長く設定したりすればよいが、その結果、生産性が低下する恐れがある。
従って、生産性を維持しつつ、耐電解液性や耐フッ酸性を向上させる観点から、各層の質量の関係(b+c)/aは2≧(b+c)/aが好ましく、1.5≧(b+c)/a≧0.01がより好ましく、1.0≧(b+c)/a≧0.1が特に好ましい。
本実施形態において、腐食防止処理層13の厚さとしては、特に制限されないが、例えば0.01μm以上10μm以下が好ましい。
[バリア層]
バリア層14はリチウムイオン二次電池内部に水分が侵入するのを防ぐ役割を果たす。バリア層14としては、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔などの水分バリア性の高い各種金属箔を使用することができる。金属箔としては、ループスティフネス試験方法により測定されるループスティフネスが30mN以上140mN以下であることを特徴とする。金属箔のループスティフネスが30mN以上であると成型加工後のカールがその後の工程上問題ない程度まで抑制され、ループスティフネスが140mN以下であるとフレキシブルエレクトロニクスに搭載できる屈曲性が得られる。このような観点から、バリア層14のループスティフネスは30mN以上140mN以下であることが好ましく、35mN以上130mN以下であることがより好ましい。なお、ループスティフネス試験方法では、ループスティフネステスタを用いて、幅15mm長さ160mm厚さ20μmのサイズのサンプル(バリア層)のループスティフネスを、ループ長100mm、圧縮距離10mmの条件で測定する。
バリア層14の層厚としては10μm以上50μm以下が好ましく、20μm以上30μm以下がより好ましい。バリア層14の層厚が下限値よりも薄いと外装材の加工性が劣り、また箔としての製造が困難となる。一方上限値よりも厚いと外装材自体が重くなり、また加工性が向上することはないので体積エネルギー密度の低下につながる。
[第2接着層]
第2接着層15は、腐食防止処理層13を設けたバリア層14上にヒートシール層16を貼りつけるために設けられる。第2接着層15は、押出ラミネーション、熱ラミネーション、ドライラミネーションなどの手法によって製造される。第2接着層15としては、下記(i)または(ii)であることが好ましい。
(i)酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)
(ii)酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)(30質量部以上99質量部以下)に、イソシアネート化合物またはその誘導体(β)とシランカップリング剤(γ)とを(β)+(γ)が1質量部以上70質量部以下で配合した樹脂組成物。ただし、イソシアネート化合物またはその誘導体(β)とシランカップリング剤(γ)の質量比が、(β)+(γ)=100において、(β):(γ)=10以上90以下:90以下10以上である。なお、(α)+{(β)+(γ)}=100質量部とする。
第2接着層15が上記(ii)の場合、酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)が99質量部より多いと耐電解液性に劣り、30質量部より少ないと後述するヒートシール層16との接着性に劣る。好ましくは酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)を60質量部以上80質量部以下配合する。一方、イソシアネート化合物またはその誘導体(β)とシランカップリング剤(γ)の質量比が上記範囲を逸脱すると耐電解液性が劣化する。好ましくは、(β):(γ)=50以上80以下:80以下50以上である。
酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)としては、ポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸などをグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、またはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上述した樹脂を有機溶媒に分散させたディスパージョンタイプを用いてもよく、これにより各種接着に有効な添加剤や、後述するイソシアネート化合物またはその誘導体(β)およびシランカップリング剤(γ)を配合することが可能になる。
イソシアネート化合物またはその誘導体(β)としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、またはこれらのジイソシアネート類をトリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、ジイソシアネート類を水と反応させることで得られたビューレット体、三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、またはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネート類などが挙げられる。
これらのイソシアネート化合物またはその誘導体(β)は有機溶剤系、水系どちらでも構わない。
シランカップリング剤(γ)としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β―メトキシエトキシ)シラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
特にシランカップリング剤(γ)は酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)と反応性がある官能基を有するのが好ましい。このような観点から、シランカップリング剤(γ)としては、エポキシシラン、アミノシランが好ましく、反応性としては低いがイソシアネートシランも好ましい。
第2接着層15の厚さは、1μm以上40μm以下であることが好ましく、3μm以上20μm以下であることがより好ましい。
[ヒートシール層]
ヒートシール層16は、外装材1に電池内容物を詰めた後に封をするための層である。ヒートシール層16を構成する成分としては、ポリオレフィン樹脂、またはポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸などをグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、第2接着層15の説明において先に例示した各種ポリオレフィン樹脂の中から、1種以上を選択して使用してもよい。
またヒートシール層16は単層フィルムであっても、複数の層を積層させた多層フィルムであってもよい。必要とされる機能に応じて、例えば、防湿性を付与するという点ではエチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。
さらにヒートシール層16には各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを配合してもよい。
ヒートシール層16の厚さは、10μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
<外装材の製造方法>
次に図1に示す本実施形態のリチウムイオン二次電池外装材1の製造方法について説明する。以下では、腐食防止処理層として上記のとおり詳述した一実施形態に係る腐食防止処理層を採用した場合を記載しているが、製造方法は以下の内容に限定されない。
(バリア層への腐食防止処理層の積層工程)
希土類元素系酸化物と、該希土類元素系酸化物100質量部に対して1質量部以上100質量部以下のリン酸またはリン酸塩とを含む腐食防止処理組成物(A)を、バリア層14上へ塗工し、乾燥・硬化・焼付けを行い、層(A)13aを形成させる。次いで、層(A)13a上に、カチオン性ポリマーおよび該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む腐食防止処理組成物(B)を塗工し、乾燥・硬化・焼付けを行い、層(B)13bを形成させる。次いで、層(B)13b上にアニオン性ポリマーおよび該アニオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む腐食防止処理組成物(C)を塗工し、乾燥・硬化・焼付けを行い、層(C)13cを形成させる。このようにして、層(A)13aと層(B)13bと層(C)13cとからなる腐食防止処理層13を、バリア層14上に積層させる。
なお、腐食防止処理層13においては、バリア層14上に層(A)13aが直接積層されているのが好ましいが、層(B)13bと層(C)13cの順番は特に制限されない。また必要に応じて層(A)13aと、層(B)13bと、層(C)13cとを繰り返し積層してもかまわない。
塗工方法としては、公知の方法が用いられるが、例えば、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどが挙げられる。
(基材層の積層工程)
腐食防止処理層13を積層したバリア層14上に基材層11を貼り合わせる。貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーションなどの手法を用い、上述した接着剤にて両者を貼り合わせ、基材層11/第1接着層12/腐食防止処理層13/バリア層14/腐食防止処理層13からなる積層体を作製する。
なお、基材層11がフィルムでない場合には、上述した腐食防止処理層13を塗工するのと同様の方法で塗液を塗工したり、溶融樹脂を押出したりするなどして、腐食防止処理層13を積層したバリア層14上に基材層11を設けることができる。
(ヒートシール層の積層工程)
前記積層体上にヒートシール層16を積層する方法としては、ドライプロセスとウェットプロセスが挙げられる。
ドライプロセスの場合は、前記積層体のバリア層よりも内側にある腐食防止処理層13上に接着樹脂を押出ラミネートし、さらにインフレーション法またはキャスト法により得られるヒートシール層16を積層して、外装材1を製造する。なお、腐食防止処理層13はこの押出ラミネーションの際にインラインで設けても良い。その後、腐食防止処理組成物と接着樹脂との密着性を向上させる目的で、熱処理(エージング処理や熱ラミネーションなど)を施すことも可能であるが、本実施形態においては、上述したような層構成を形成させることで、押出ラミネート時の少ない熱量でも密着性に優れる外装材1が得られる。
またインフレーション法またはキャスト法にて、接着樹脂とヒートシール層16とで多層フィルムを作製し、該多層フィルムを積層体上に熱ラミネーションにより積層させることも可能である。
ウェットプロセスの場合は、酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)の分散液を、前記積層体のバリア層よりも内側にある腐食防止処理層13上に塗工し、酸変性ポリオレフィン系樹脂(α)の融点以上の温度で溶媒を飛ばし、樹脂を溶融軟化させて焼きつけを行う。その後、ヒートシール層16を熱ラミネーションなどの熱処理により積層させて、外装材1を製造する。塗工方法としては、バリア層14への腐食防止処理層13の積層工程の説明で例示した各種塗工方法が挙げられる。
以上のようにして作製された本実施形態のリチウムイオン二次電池外装材は、腐食防止処理層が希土類元素系酸化物などを有する層(A)、または層(A)とカチオン性ポリマーなどを有する層(B)とを含む多層構造であることにより、耐電解液性、耐フッ酸性、耐水性に優れる。また、アニオン性ポリマーなどを有する層(C)をさらに含めば、耐電解液性、耐フッ酸性、耐水性がより良好なものとなる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(基材層)
A−1:2軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ25μm)。
A−2:ポリアミド酸樹脂(厚さ25μm)。
(第1接着層)
B−1:ポリエステルウレタン系接着剤(厚さ5μm)。
(腐食防止処理層)
希土類元素系酸化物などを有する層(A)
CA−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10wt%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」。なお、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸のNa塩を10質量部配合し、酸化セリウムゾルを得た。
CB−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度を5wt%に調整した「ポリアリルアミン」90wt%と「1,6−ヘキサンジオールのエピクロルヒドリン付加物」10wt%とからなる組成物。
CC−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度を5wt%に調整した「ポリアクリル酸アンモニウム塩」90wt%と、「アクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体」10wt%とからなる組成物。
(バリア層)
D−1:ループスティフネスが38mNである銅箔(厚さ20μm)。
D−2:ループスティフネスが52mNである燐青銅箔(厚さ20μm)。
D−3:ループスティフネスが89mNであるステンレス箔(厚さ20μm)。
D−4:ループスティフネスが130mNであるステンレス箔(厚さ20μm)。
D−5:ループスティフネスが18mNであるアルミ箔(厚さ20μm)
D−6:ループスティフネスが149mNであるステンレス箔(厚さ20μm)。
D−7:ループスティフネスが211mNであるステンレス箔(厚さ20μm)。
なお、ループスティフネスはループスティフネス試験方法に準じて測定した。ループスティフネス試験方法では、ループスティフネステスタ(東洋精機製作所製、型式DA)を用いて、幅15mm長さ160mm厚さ20μmのサイズのサンプル(バリア層)のループスティフネスを常温で測定した。ループ長は100mm、圧縮距離は10mm、ロードレンジは×10(MAX500mN)とした。
(第2接着層)
E−1:無水マレイン酸でグラフト変性したポリプロピレン系樹脂(厚さ20μm)。
(ヒートシール層)
F−1:第2接着層側をコロナ処理した無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm)。
[外装材の作製方法]
まずバリア層(D−1〜D−6)の両面に、各腐食防止処理層を構成する組成物(CA−1、CB−1、CC−1)を適宜マイクログラビアコートにより塗工し、各腐食防止処理層の構成成分に応じて、乾燥ユニットにて150度以上250度以下で焼付け処理を施し、バリア層の両面に腐食防止処理層を積層させた。
次いで腐食防止処理層を設けたバリア層上に、ドライラミネート手法を用いて接着剤組成物(B−1)を塗工し、基材層(A−1)を貼り合わせた。また基材層(A−2)は、腐食防止処理層を設けたバリア層上に直接塗工して形成した。
最後に積層体のバリア層よりも内側にある腐食防止処理層上に、押出装置にて接着剤組成物(E−1)を押出して接着層を形成した後、さらにヒートシール層(F−1)を貼り合わせてサンドイッチラミネーションすることでヒートシール層を形成した。
以上の工程を経て、表1に示す構成の各実施例および比較例の外装材を作製した。
Figure 2017134932
[外装材の評価方法]
(屈曲性試験)
サンプルを幅50mm長さ100mmに切り抜き、円筒形マンドレル屈曲試験器(島津社製)にて屈曲させた。直径10mmのマンドレルを使用し、180度の屈曲を300回施した後のサンプル短辺の中間部を折り返し、長辺の2辺を幅3mmでヒートシールした。その後、残った短辺から含有水分量を20ppm以下に押さえたエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を重量比で1対1対1にした電解液を3mg注入した後、同様に残った1辺を幅3mmでヒートシールし、水分透過測定用の25mm×100mmサンプルを作製した。一方、屈曲を行わなかったこと以外は上記と同様にして、水分透過測定用の基準サンプルを作製した。
次に、作製したサンプル及び基準サンプルを60℃90%の環境下に4週間保管させた後、電解液中の水分含有量をカールフィッシャー試験機で測定した。サンプルにおける水分含有量を、屈曲を行っていない基準サンプルにおける水分含有量と比較し、相対評価した。
○:基準サンプルと比較して120%未満の水分含有量であった。
×:基準サンプルと比較して120%以上の水分含有量であった。
(カールの良否判定)
サンプルを幅100mm長さ200mmに切抜き、絞り加工装置にて成型サイズ70mm×80mm、加工位置は端から10mm、パンチコーナーRが1.5mm、パンチ肩Rが0.75mm、ダイ肩Rが0.75mm、絞り深さ2mmの成型加工を行った。成型凸部を上にして水平な台にサンプルを設置し、最もカールした角部分の台からの距離を定規で測定した。
○:台からの距離が10mm以下であった。
×:台からの距離が10mm超であった。
Figure 2017134932
表2に示したとおり、ループスティフネスの値が30mN以上140mN以下である金属箔をバリア層として用いた実施例1から5では、フレキシブルエレクトロニクスに搭載できる屈曲性を保持しつつカールを抑制することができた。これに対し、バリア層のループスティフネスの値が30mN未満である比較例1はカールを抑制しきれず、逆に140mNよりも大きい比較例2および3ではフレキシブルエレクトロニクスに搭載できる屈曲性が得られない結果となった。
1…外装材、11…基材層、12…第1接着層、13…腐食防止処理層、13a…層(A)、13b…層(B)、13c…層(C)、14…バリア層、15…第2接着層、16…ヒートシール層。

Claims (2)

  1. 基材層、バリア層及びヒートシール層をこの順に備え、ループスティフネス試験方法により測定される前記バリア層のループスティフネスの値が30mN以上140mN以下である、リチウムイオン二次電池外装材。
  2. 前記バリア層の厚さが10μm以上50μm以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池外装材。
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