以下、実施形態のドキュメント管理装置、ドキュメント管理方法及びプログラムを、図面を参照して説明する。
長期の使用を前提とした社会インフラシステムでは、そのシステムの施設情報を、随時行われる補修や改良更新に伴う変更情報を反映しながら長期間に亘って維持管理していく必要がある。施設情報を記載したドキュメントは、同一のドキュメント番号が付与された複数枚(例えば数十枚〜数百枚程度)のシート(ページ)で構成されているものが多くを占める。このようなドキュメントは、補修や改良更新の都度、変更内容を変更管理番号で管理しながら図面1枚単位で差し替え、設備同様に長期間に亘って維持管理していく必要があるといった著しい特徴がある。変更が発生すると、変更管理番号を増やすが、この行為はレヴィジョンアップ(Rev−up)する、といった慣用的な表現で使われることが多い。
これらのドキュメントには外形図など1枚で完結し得るもの含まれるが、補修や改良更新を行い変更点が発生した場合は、その都度、変更管理を行って1枚単位で差し替えていくため、本質的には複数枚で構成されるドキュメントの管理と同じである。
大量生産を前提とした単品製品(標準品)などの場合、その製品情報を記載するドキュメントは、その製品が製造中か製造廃止かによらず、世の中にその製品がまだ使用されている可能性があることに鑑み、図面そのものを残しておく。よって、「使用廃止」といった状態で扱うことはない。
一方、いわゆる一品モノとして設計・製造・施工・調整される社会インフラシステムでは、例えば、ある設備を全面更新した場合、その設備は撤去され、廃棄される。このような場合、施設情報に、その設備が撤去され、現在使用されていないことを漏れなく反映する必要がある。よって、その設備の情報を記載した図面は「使用廃止」という状態(ステータス)になることも著しい特徴である。
「使用廃止」のドキュメントは基本的に使用することはない。しかし、「使用廃止」であることを明確に管理しておかないと、ドキュメント同士でお互いの情報をやりとり(これを「呼び合い」などと言う)している場合、「使用廃止」のドキュメントのドキュメント番号が記載されたままになってしまう。このままでは、正確な情報を得られなくなってしまうことから、「使用廃止」の管理は他のドキュメントにはない著しい特徴である。
このような特徴のため、ドキュメントを使用する立場からは、ドキュメントを収集し、整理し、分類し、差替して最新の情報に維持するなど、ドキュメントの使用に際しての利便性向上が求められていた。さらには、ドキュメントの体系的整備に伴う人間系作業の負担軽減や、人間系作業を伴うことに起因する差替間違え等の整備ミスの撲滅なども求められていた。
これには、別々の業者から工事毎にドキュメントの納品を受け、そのドキュメントを管理し、そのドキュメントの情報に基づき設備を維持管理するという、ドキュメントを使う立場に立ったドキュメント管理システムが必要である。
特に、長期にわたり同一ドキュメントへの差替をしながら最新情報を継続的に反映し、長期間に亘り設備同様に維持管理が必要となるドキュメントの管理は大きな負担となっている。このことは、例えば、水道事業体などの社会インフラシステムにおいても深刻な問題となっている。また、社会インフラシステムにおけるドキュメント管理に限らず、一般のドキュメントの管理であっても、ドキュメントを収集し、整理し、分類し、差替して最新情報に維持するなどの作業は発生する。
実施形態のドキュメント管理システムは、ドキュメントを使う側の立場の視点でドキュメントの管理を自動化し、省力化する。特に、別々の業者から工事毎に納品され、設備の補修・改良更新の情報を反映させながら、設備同様、長期に亘って維持管理していくといった社会インフラで扱うドキュメントの著しい特徴を考慮しているが、一般のドキュメントの管理にも適用可能である。
図1は、ドキュメント管理システムの動作概要を示す図である。
記載場所に一定のルールが認められるドキュメントでは、記載場所と情報の属性とに一定の対応関係がある。ドキュメント管理システムは、この対応関係を利用して、ドキュメントから情報を抽出し、抽出した情報をドキュメントの管理に使用する。このように、ドキュメントに記載され、ドキュメントの管理に使用可能な情報を、「管理用情報」と記載する。ドキュメントの媒体は任意であり、紙のドキュメントでもよく、電子化されたドキュメントでもよい。電子化されたドキュメントは、任意のアプリケーションプログラムで取り扱うことのできるデータである。例えば、文書編集ソフトウェア、表計算ソフトウェア、コンピュータグラフィック編集ソフトウェア、プレゼンテーションソフトウェア、ファイル閲覧ソフトウェアなどで編集や閲覧が可能なデータである。
ドキュメント管理システムは、紙媒体のドキュメントを電子化したデータや、CD(Compact Disc)等の記録媒体に記録されたドキュメントのデータ、メールに添付されたドキュメントのデータなどを取得する。ドキュメント管理システムは、ドキュメントのデータを単位電子データに分割する。単位電子データとは、ドキュメントを1枚(1ページ)単位、分割可能な最小単位、又は、利用に適した単位に分割した電子データであり、管理対象となる最小の単位のドキュメントデータである。ドキュメント管理システムは、ドキュメントから抽出した管理用情報を用いて、単位電子データごとに固有の情報(以下、「固有情報」と記載する。)を生成し、付与する。
ドキュメント管理システムは、各単位電子データの格納場所を固有情報に基づいて決定し、決定した格納場所をドキュメント格納装置に生成して単位電子データを自動で格納する。単位電子データの格納場所は、ドキュメントの管理に適したディレクトリ構造のパスで表される記憶領域とする。固有情報が変更された場合、ドキュメント管理システムは、単位電子データの格納場所を自動で変更する。
またドキュメント管理システムは、固有情報に含まれる変更管理番号(Rev)を比較することで、最新のドキュメントであるか否かを自動判定する。変更管理番号は、ドキュメントの更新(差替)の回数を示す。ドキュメント管理システムは、最新のドキュメントによる差替が必要と判断したときは、ドキュメント格納装置に格納済みの単位電子データの差替えを行う。また、ドキュメント管理システムは、差替により使用廃止となった単位電子データに、使用廃止を表す情報を付加する。
図2は、ドキュメント管理システム1の構成を示すブロック図である。
同図に示すドキュメント管理システム1は、スキャン装置2と、補助入力装置3と、ドキュメント管理装置4と、ドキュメント格納装置5と、閲覧装置6と、印刷装置7とを備える。これらの装置は、ネットワーク8により接続される。同図では、スキャン装置2と、補助入力装置3と、閲覧装置6と、印刷装置7とをそれぞれ1台ずつ示しているが、ドキュメント管理システム1は、それぞれを複数備え得る。また、同図では、ドキュメント格納装置5を複数台示しているが、ドキュメント管理システム1は、ドキュメント格納装置5を1台のみ備えてもよい。以下では、n台(nは2以上の整数)のドキュメント格納装置5をそれぞれ、ドキュメント格納装置5−1〜5−nと記載する。また、ネットワーク8は、外部ネットワーク9と接続される。
スキャン装置2は、紙媒体のドキュメントを電子化し、ドキュメント電子データを生成する。スキャン装置2は、例えば、スキャナ、デジタルカメラなどである。
補助入力装置3は、ドキュメント管理装置4においてフォーマットの学習・蓄積・予測を行う際にユーザが行う補助入力や、ユーザによる固有情報の手動変更等を入力する。補助入力装置3は、例えば、コンピュータ端末で実現することができる。補助入力装置3は、入力部31と、表示部32と、処理部33とを備える。入力部31は、ユーザがデータや指示を入力するための入力装置である。入力部31は、例えば、タッチパネルに配されたセンサや、キーボード、ボタン、マウスなどである。表示部32は、データを表示する表示装置である。表示部32は、例えば、タッチパネルやLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイである。処理部33は、入力部31により入力されたデータや指示を、ネットワーク8を介してドキュメント管理装置4に送信する。また、処理部33は、ネットワーク8を介してドキュメント管理装置4から受信したデータを表示部32に表示する。
ドキュメント管理装置4は、ドキュメントの管理に関する処理を行う。
ドキュメント格納装置5は、電子化されたドキュメントのデータベース(以下、「DB」と記載する)を記憶する。
閲覧装置6は、ユーザがドキュメント格納装置5に格納されているドキュメントを閲覧するためのコンピュータ端末である。閲覧装置6は、入力部61と、表示部62と、処理部63とを備える。入力部61、表示部62及び処理部63はそれぞれ、補助入力装置3の入力部31、表示部32及び処理部33と同様の機能を有する。
印刷装置7は、ドキュメント格納装置5から読み出したドキュメントの印刷を行う。
ネットワーク8は、各装置間のデータを伝送する。ネットワーク8は、例えば、LAN(Local Area Network)やVLAN(仮想LAN)などの私設網である。
外部ネットワーク9は、電子メールやインターネットと接続するためのネットワークである。外部ネットワーク9は、例えば、公衆網である。
図3は、ドキュメント管理装置4の構成を示すブロック図である。ドキュメント管理装置4は、1台以上のコンピュータ装置により実現される。ドキュメント管理装置4が複数台のコンピュータ装置により実現される場合、いずれのコンピュータ装置がいずれの機能部を実現するかは任意とすることができる。また、複数のドキュメント管理装置4により同一の機能部を実現してもよい。ドキュメント管理装置4は、入力部41と、表示部42と、読込部43と、記憶部44と、処理部45とを備える。
入力部41及び表示部42はそれぞれ、補助入力装置3の入力部31及び表示部32と同様の機能を有する。ユーザは、情報や指示の入力に、補助入力装置3の入力部31に代えて入力部41を用いてもよい。入力部41を用いる場合、補助入力装置3の表示部32に代えて、表示部42が表示を行う。
読込部43は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からデータを読込む。
記憶部44は、フォーマット記憶部441と、固有情報記憶部442と、格納場所情報記憶部443とを備える。
フォーマット記憶部441は、学習済みフォーマットのDBを記憶する。学習済みフォーマットのDBは、ドキュメントのフォーマット別のフォーマット対応テーブルにより構成される。フォーマット対応テーブルは、ドキュメントにおける管理用情報の記載場所とその管理用情報がどのような意味を持っているかを表す属性とを対応付けた情報である。
固有情報記憶部442は、固有情報のDBを記憶する。
格納場所情報記憶部443は、格納場所情報のDBを記憶する。格納場所情報は、単位電子データの格納場所と、その格納場所のアドレスとを対応付けた情報である。
処理部45は、ドキュメント取得部451と、フォーマット判定部452と、学習処理部453と、分割部454と、固有情報管理部455と、格納場所管理部456と、通知部457とを備える。
ドキュメント取得部451は、電子化されたドキュメントであるドキュメント電子データを取得する。
フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データと学習済みフォーマットとを照合する。つまり、フォーマット判定部452は、ユーザが指定したドキュメント上の管理用情報の記載場所と、フォーマット対応テーブルが示す学習済みフォーマットの管理用情報の記載場所とを比較し、フォーマットの一致を判定するための所定の条件を満たすか否かを判定する。これにより、フォーマット判定部452は、マッチする学習済みフォーマットがあるか否かを判断する。
学習処理部453は、フォーマットを学習し、学習したフォーマットを示すフォーマット対応テーブルをフォーマット記憶部441に登録する。
分割部454は、ドキュメント電子データを分割し、単位電子データを生成する。
固有情報管理部455は、情報抽出部4551と、属性付与部4552と、暗号化部4553と、属性化抽出情報生成部4554と、固有情報生成部4555と、固有情報付加部4556と、固有情報登録部4557と、固有情報変更部4558と、変更検出部4559とを備える。
情報抽出部4551は、ドキュメントとマッチする、すなわち、フォーマット判定部452が条件を満たすと判定した学習済みフォーマットが示す各記載場所における情報を、そのドキュメントの単位電子データから抽出する。この抽出した情報を抽出情報と記載する。属性付与部4552は、学習済みフォーマットで示される記載場所に対応した属性と、情報抽出部4551が単位電子データから取得したその記載場所の抽出情報との対応を示す情報を記憶する。暗号化部4553は、抽出情報に記述されている情報を暗号化する。属性化抽出情報生成部4554は、抽出情報に記述されている情報に、その抽出情報と対応する属性を表す属性情報を付加し、属性化抽出情報を生成する。固有情報生成部4555は、属性化抽出情報を用いて固有情報を生成する。固有情報付加部4556は、各単位電子データに固有情報を付加する。固有情報登録部4557は、各単位電子データの固有情報を固有情報記憶部442に格納する。固有情報変更部4558は、単位電子データに付加されている固有情報及び固有情報記憶部442に登録されている固有情報を変更する。変更検出部4559は、固有情報記憶部442に登録されている固有情報の変更を検出する。
格納場所管理部456は、格納場所情報登録部4561と、格納場所決定部4562と、格納処理部4563と、格納場所変更指示部4564と、差替判定部4565とを備える。
格納場所情報登録部4561は、ドキュメント格納装置5における格納場所の構成を示す格納場所情報を格納場所情報記憶部443に格納する。格納場所決定部4562は、固有情報に基づいて、格納場所となるドキュメント格納装置5及びディレクトリを決定する。格納処理部4563は、単位電子データを、その単位電子データの固有情報に基づいて格納場所決定部4562が決定した格納場所のドキュメント格納装置5に格納する。格納場所変更指示部4564は、固有情報の変更に基づいて各単位電子データの格納場所を変更するようドキュメント格納装置5に指示する。差替判定部4565は、新たに読込んだドキュメント電子データから得られた単位電子データにより、既にドキュメント格納装置5に登録されている単位電子データの差替えが必要か否かを判断する。
通知部457は、固有情報記憶部442に記憶されている固有情報の設定内容に基づいてメッセージを出力する。
図4は、ドキュメント格納装置5の構成を示すブロック図である。ドキュメント格納装置5は、コンピュータ装置により実現される。なお、ドキュメント管理装置4とドキュメント格納装置5とが同一のコンピュータ装置により実現されてもよい。また、ドキュメント管理装置4がドキュメント格納装置5の任意の一部の機能を有してもよい。ドキュメント格納装置5は、ドキュメント記憶部51と、処理部52とを備える。
ドキュメント記憶部51は、ドキュメントのDBを記憶する。
処理部52は、格納場所生成部521と、格納実行部522と、差替部523と、差替確認部524と、格納場所変更部525と、データ転送部526と、格納場所構成通知部527とを備える。
格納場所生成部521は、ドキュメント記憶部51に単位電子データの格納場所を生成する。格納実行部522は、ドキュメント記憶部51に単位電子データを格納する。差替部523は、ドキュメント記憶部51に格納されている単位電子データを差替える。差替確認部524は、単位電子データの差替が正常に行われたか否かを判断する。格納場所変更部525は、ドキュメント記憶部51に格納されている単位電子データの格納場所を変更する。データ転送部526は、ドキュメント記憶部51に格納している単位電子データの格納場所が他のドキュメント格納装置5となった場合に、その単位電子データを新たな格納先である他のドキュメント格納装置5に転送する。格納場所構成通知部527はドキュメント記憶部51におけるドキュメントの格納場所の構成をドキュメント管理装置4に通知する。
図5は、ドキュメントの例を示す図である。同図では、媒体が紙のドキュメントを示している。同図に示すドキュメントは、複数のシートからなる。ドキュメントには、ドキュメントの管理に用いられる管理用情報が記載されている。同図に示すドキュメントには、管理用情報として、客先名、機場名、図面名称、図番(図面番号)、変更管理番号が記述されている。全ての管理用情報が各シートに記述されている場合もあり、一部の管理用情報が表紙のみに記述されている場合もある。
図6は、フォーマット対応テーブルを示す図である。フォーマット対応テーブルは、学習済みのドキュメントのフォーマットを示す。ドキュメントのフォーマットは、管理用情報の属性とその管理用情報の記載場所との対応により示される。同図では、記載場所を矩形のエリアの対角の座標により表している。座標の原点は、ドキュメントの左下隅など、任意の場所に予め決めておく。
図7は、固有情報を示す図である。同図では、固有情報は、1以上の属性化情報を含む。属性化情報は、ドキュメント電子データから抽出された抽出情報の記述内容に属性を付与して生成される。単位電子データ毎にグルーピングされた属性化情報を、「属性化情報群」と記載する。
固有情報は、さらに、1以上の未属性化情報を有してもよい。未属性化情報は、抽出情報以外に、ユーザが任意に付与する情報である。未属性化情報は、属性化情報と同じく一括で追加や変更が可能である。例えば属性化情報として図面名称が得られたが、実際の内容に即していないため、実際の内容に即した図面名称を付与したいときなどに、抽出された図面名称とは別の図面名称を別の未属性化情報として追加する。固有情報には未属性化情報の設定領域が予め幾つか用意される。これらの未属性化情報の集合を「未属性化情報群」と記載する。
属性化情報群及び未属性化情報群に含まれる情報は、階層−1、階層−2、…、階層−nのように階層化の順序が予め決められている。
図8は、ドキュメント管理装置4の固有情報記憶部442に記憶される固有情報DBを示す図である。固有情報DBは、単位電子データの固有情報と、単位電子データの通し番号と、単位電子データ名とを対応付けた情報である。通し番号は、各単位電子データを一意に特定するシーケンス番号である。単位電子データ名は、単位電子データの名称であり、予め決められた名称付与規則に基づいて固有情報を用いて生成される。
図9は、ドキュメント格納装置5のドキュメント記憶部51におけるドキュメントDBのディレクトリ構造を示す。単位電子データの格納場所となるフォルダのディレクトリは、固有情報から決定される。同図では、固有情報を構成する「階層−1」、「階層−2」、「階層−3」の属性化情報の設定内容を利用して、格納場所となるフォルダのディレクトリを、「(階層−1の設定内容)/(階層−2の設定内容)/(階層−3の設定内容)」としている。なお、「/」の左側が「/」の右側よりも1つ上の階層のディレクトリであることを示す。同一のドキュメントであれば単位電子データによらず同じ設定内容となる情報を格納場所(フォルダのディレクトリ)の決定規則に用いることにより、同一のドキュメントの単位電子データを同じフォルダに格納することができる。各フォーマットに対応した格納場所の決定規則は、予めドキュメント管理装置4に入力され、変更が可能である。格納場所の決定規則が変更された場合は、変更後の決定規則に従って既に格納済みの単位電子データの格納場所のディレクトリも変更される。また、固有情報の設定内容が変更された場合、変更後の固有情報の設定内容に従って格納場所のディレクトリも変更される。
図10は、ドキュメント管理装置4の格納場所情報記憶部443に記憶される格納場所情報を示す図である。格納場所情報は、ドキュメント格納装置5と、IP(Internet Protocol)アドレスと、格納場所とを対応付けた情報である。なお、単位電子データを格納すべきドキュメント格納装置5の選択規則は、固有情報の一部の情報に基づいて予め決定し、ドキュメント管理装置4に登録しておく。例えば、ドキュメント格納装置5の選択に用いられる情報として、固有情報における所定階層以上の属性の設定内容(階層−1の設定内容や、階層−1と階層−2の設定内容の組合せなど)を用いることができる。
ドキュメント管理システム1は、以下の(1)〜(10)の処理を行う。
(1)情報の属性と、その情報の記載場所との対応関係を用いた情報抽出処理。
ドキュメント管理装置4のドキュメント取得部451は、管理対象のドキュメントをスキャンしたドキュメント電子データを取得する。なお、スキャンは、スキャン装置2により紙をスキャンして電子データとするスキャンに限らない。ソフト的なスクリーンショットやスナップショット、又は、デジタルカメラ(以下、「デジカメ」と記載する)による撮影画像など、一括で一定の情報を取得する意味でのスキャンまでを全て含む。
ドキュメントの種類によって、管理用情報の属性とその管理用情報の記載場所とには一定のルールがある。ドキュメント管理装置4の情報抽出部4551は、スキャンにより一括で取得したドキュメント電子データから、予め学習しておいたフォーマットにおける管理用情報の属性とその管理用情報の記載場所との対応関係を用いて、管理用情報を抽出する。
例えば、図番の情報が記載場所Aに記載されているとする。情報抽出部4551は、ドキュメント電子データから図番の情報を抽出したい場合、一括で取得したドキュメント電子データにおける記載場所Aから情報を抽出する。
また、例えば、情報抽出部4551は、管理対象のドキュメント電子データから特定のDEV−NO(デバイスナンバー)を抽出する。DEV−NOは、補助継電器などの用品一つ一つに固有の情報であり、「52−SP1」などのような英数字やハイフンの組み合わせである。このDEV−NO(用品)の記載場所には一定のルールが認められる。例えば、A4横の展開接続図であれば、その図の下側に、図中に記載されている補助継電器の接点を使っている他のページが一定のフォーマットで記載される。そこで、この補助継電器の記載場所(エリア)を予め指定しておき、情報抽出部4551は、その記載場所から選択的に情報を抽出する。情報抽出部4551は、この抽出した情報からDEV−NOや、そのDEV−NOを補助継電器の接点を使っている他のページの情報を抽出することができる。これにより、膨大な図面のスキャンに要する時間を短縮でき、かつ、接点を使っている他のページ記載場所が分かっているため、誤情報を誤認識することもない。抽出した情報は、固有情報に設定される。
(2)管理用情報とその記載場所の対応関係の学習、蓄積及び予測の処理。
ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、抽出したい管理用情報と、その管理用情報の記載場所の対応関係を、スキャンしたドキュメントから取得して学習する。このスキャンをテストスキャンと記載する。学習処理部453は、この管理用情報と記載場所との対応は、この種類のドキュメントが持つ対応ルールである、ということを学習し、フォーマット記憶部441に蓄積する。この対応関係の学習により、固有情報管理部455は、どのようなドキュメントであっても、管理用情報と記載場所との対応関係を利用して、ドキュメントの管理に必要となる管理用情報を自動で取得することが可能になる。
具体的には、ユーザは、テストスキャンしたドキュメントの画像上で、補助入力装置3の入力部31によりエリアを指定し、そのエリアに記述される管理用情報の属性を入力する。ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、エリア指定された記載場所にはどのような属性の管理用情報が記載されているかを対応付けるフォーマット対応テーブルを作成することで、そのドキュメントのフォーマットを学習する。
例えば、学習処理部453は、ドキュメントから抽出された管理用情報の記載場所の相対位置関係により、図番は図面の右下、Rev(変更管理番号)は図面の左下、図面は横長だから、これは展開接続図である、などのようにして学習を行う。展開接続図でも、作成した業者や、同じ業者での業者内の部門が違えば図番も異なるので、図番のルールを組み入れて学習精度を高めることもできる。図番のルールは、図番の付与の仕方の規則である。例えば、図番の何文字目が数字である、又は、英字であるなどの規則である。
また、学習処理部453は、各管理用情報の記載場所の重心を算出し、各重心を結ぶ線の数と、結ぶ線により形成される図形などの情報の組み合わせによりフォーマットを学習することができる。例えば、各管理用情報の重心を結ぶ線が3本であれば、各管理用情報の記載場所の重心を結ぶ線により形成される図形は三角形となり、各頂点の角度で三角形の違いが分かる。フォーマット判定部452は、管理対象のドキュメント電子データにおいて指定された各管理用情報の重心を結ぶ図形が、学習済みのフォーマットにより示される各管理用情報の重心を結ぶ図形と類似しているかどうかで、ドキュメントがどの種類の図面であるかを予測する。また、スキャン時の角度の微妙なずれがあったとしても、フォーマット判定部452に図形の相似性を用いたファジー(あいまい)な判断を組み入れることにより、テストスキャンのデータを蓄積し予測する際の精度を向上させることができる。例えば、管理対象のドキュメント電子データにおいて指定された各管理用情報の記載場所の重心を結ぶ図形と、学習済みフォーマットが示す各管理用情報の記載場所の重心を結ぶ図形とで、図形の大きさの誤差及び各頂点の角度の誤差が所定以内であるとする。この場合、フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データは、その学習済みフォーマットの図面と判定する。
また、ドキュメント管理装置4のフォーマット判定部452は、それらの図形に相似性があることを利用してフォーマットを判断することもできる。つまり、フォーマット判定部452は、管理対象のドキュメント電子データとフォーマット学習に用いたドキュメント電子データとのサイズが異なっていても、各管理用情報の記載場所の重心を結ぶ図形が同じ種類であれば、同じフォーマットであると判断する。例えば、フォーマット判定部452は、管理対象のドキュメント電子データにおいて指定された各管理用情報の記載場所の重心を結ぶ図形と、学習済みフォーマットが示す各管理用情報の記載場所の重心を結ぶ図形とのいずれかを縮小又は拡大する。フォーマット判定部452は、縮小又は拡大後の両図形の各頂点のずれが所定以内である場合、そのドキュメント電子データは、その学習済みフォーマットの図面であると判断する。これにより、原寸コピーのスキャンによりスキャンサイズがA3、縮小コピーのスキャンによりスキャンサイズがA4と違っても、フォーマット判定部452は、フォーマットを特定することができる。
また、フォーマット判定部452は、スキャン方向が正しい方向でなくとも、どの種類(どのフォーマット)の図面であるかを予測し、学習精度を向上させる。例えば、フォーマット判定部452は、スキャン方向がフォーマット学習時と90度回転していても、管理対象のドキュメント電子データと学習済みフォーマットとにおける図番の記載場所などを照合することにより、そのドキュメントがどの種類の図面であるかを予測する。そのため、フォーマット判定部452は、スキャンにより得られた管理対象のドキュメント電子データを正しい方向に戻してどの種類の図面であるかを予測する。例えば、フォーマット判定部452は、A4横図面をA4縦でスキャンしているならば、ドキュメント電子データを90度回転して本来の方向にし、学習済みフォーマットとの照合を行う。回転角度が分からない場合、フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データを90度、180度、270度回転させたそれぞれと、学習済みフォーマットとの照合を行ってもよい。また、フォーマット判定部452は、図形の相似性の利用と、ドキュメント電子データの回転との両方を組み合わせでフォーマットを予測しもよい。
また、フォーマット判定部452は、抽出情報に記述されている情報の記述パターンからフォーマットを予測してもよい。例えば、学習済みフォーマットが示す図番の文字の構成が、数字・アルファベット・数字・アルファベット・数字・数字・数字であったとする。フォーマット判定部452は、管理対象のドキュメント電子データから読み取った抽出情報の記述内容がこれと同じパターンであり、他の抽出情報についてもその学習済みフォーマットが示す文字の構成と同じパターンである場合、その学習済みフォーマットと一致すると予測する。
また、管理用情報の記載場所のエリアをユーザが直接指定するのではなく、管理用情報(属性は既知)の設定内容の文字情報を入力することで指定してもよい。ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、テストスキャン画像に光学文字認識技術を使って文字情報を得る。学習処理部453は、テストスキャン画像より得られた文字情報の中から、入力された文字情報を検出し、その検出された文字情報の記載場所を抽出する。学習処理部453は、抽出した記載場所を用いてフォーマット対応テーブルを生成する。
(3)学習済みフォーマットと新しく読込するドキュメントの照合処理。
ドキュメント管理装置4のフォーマット判定部452は、学習済みフォーマットが示す「管理用情報の属性」と「その管理用情報の記載場所」との対応関係、及び、新しく読込する管理対象のドキュメントにおける「管理用情報」と「その管理用情報の記載場所」との対応関係が一致するかどうかを照合する。照合は、記載場所の数(つまり、抽出したい管理用情報の数でもある)が一致しているかどうかや、各記載場所の座標の差異が所定以内であるかどうかで行い、可能な限り必要最低限の照合情報で照合する。また、照合の誤りを防ぎ、照合の信頼性を高める手段として、記載場所を囲うマーキング用の図形であるマーキング図形を導入してもよい。
ユーザは、新しく読込した管理対象のドキュメント電子データにおいて取得したい管理用情報の記載場所を、補助入力装置3によりマーキング図形で囲って示す(エリア指定し)。ドキュメント管理装置4のフォーマット判定部452は、このマーキング図形が持つ情報の組み合わせを、ドキュメントフォーマットを特徴付けるものとして、照合用データとして扱う。
マーキング図形が持つ情報の例としては、そのマーキング図形の形状(長さL×高さHなど)や、そのマーキング図形の重心座標などがある。また、マーキング図形群が持つ情報の例としては、マーキング図形の数、マーキング図形同士の相対関係などがある。
ドキュメント管理装置4のフォーマット判定部452は、ユーザが指定したマーキング図形が持つ情報や、それらマーキング図形群が持つ情報をリスト化して照合用データとする。フォーマット判定部452は、この照合用データと、学習済みフォーマットにより示されるマーキング図形が持つ情報や、それらマーキング図形群が持つ情報のリストと照合する。
また、フォーマット判定部452は、マーキング図形を元のドキュメント電子データとは別の層(レイヤ)の上に置き、元の電子データとは独立に扱えるようにしてもよい。また、画像認識の一致・不一致を活用した照合を行う方法もある。
元の画像と同じレイヤに乗せたマーキング図形の情報で照合しようとしても、元の画像も一緒に画像認識してしまい、正しく照合ができない。これを解消するために、マーキング図形を使用し、かつ、マーキング図形を元の画像とは別の層で扱えるようにする点に特徴がある。
(4)抽出情報への属性の付与処理。
ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、予め、ドキュメント電子データから抽出したい管理用情報と、その記載場所との対応関係をテストスキャンにより取得して学習する。属性付与部4552は、学習しておいた管理用情報と記載場所との対応関係に基づいて、単位電子データから得られた抽出情報と管理用情報の属性とを対応付けることにより、抽出情報に対応する属性を付与する。
分割部454は、ドキュメント電子データを1ページ単位、分割可能な最小単位、又は、利用に適した単位毎に分割して単位電子データを生成する。属性付与部4552により抽出情報へ属性を付与する処理は、固有情報生成部4555が各単位電子データの固有情報を生成するために必要となる前処理的なプロセスである。
例えば、ある情報が記載されている場所が、学習済みフォーマットでは「図番」を記載している場所である場合、属性付与部4552は、この場所から抽出した情報に「図番」という属性を付与する。
なお、属性は、抽出情報と同様に、予め、暗号化、符号化、又は、圧縮(抽出情報容量の圧縮)を行っておいてもよい。例えば、あるルールに基づいて属性「機場名」→「xy23fg」のように暗号化しておく。暗号化部4553は、抽出情報の暗号化、符号化、又は、圧縮を行い、属性化抽出情報生成部4554は、その抽出情報に暗号化、符号化、又は、圧縮された属性を付与し、属性化抽出情報を生成する。
(5)抽出情報の暗号化、符号化、圧縮(抽出情報容量の圧縮)。
ドキュメント管理装置4の情報抽出部4551は、ドキュメント電子データが直接文字情報を取得できるデータである場合は、ユーザが指定したエリア内のその文字情報を取得する。ドキュメント電子データから取得した情報が画像情報の場合、情報抽出部4551は、光学文字認識により文字情報に変換する。暗号化部4553は、文字情報化された抽出情報を、一定のルールに従い暗号化、符号化又は圧縮(容量低減)する。
暗号化部4553は、文字情報をJISコードなどの一般的な文字コードへ逆変換し(戻し)、これに独自の暗号化ルールにより16進数や2進数の情報に暗号化する。この独自の暗号化ルールを予め複数利用可能としておき、暗号化部4553は、この中からランダムで利用する暗号化ルールを選び、選んだ暗号化ルールで文字情報を暗号化する。暗号化部4553は、選ばれた暗号化ルールを表す情報を、固有情報内の冗長ビットなどに付与する。この冗長ビットは、暗号化された文字情報が設定される属性化情報内に設けるが、固有情報内の他の位置に設けてもよい。固有情報を利用する場合、この冗長ビットが表わす暗号化ルールに対応した復号ルールを用いて、固有情報に含まれる暗号化された情報を復号する。暗号化部4553は、未属性化情報を暗号化してもよい。また、冗長ビットには、いずれの属性化情報・未属性化情報が暗号化されているかを示す情報を設定してもよい。
固有情報の暗号化を行うことにより、ドキュメントが万が一流出した場合に、どの施設のどの設備のドキュメントであるかなどの重要な情報がすぐには分からないようにすることができる。
(6)単位電子データ毎の固有情報の生成と、固有情報を構成する属性情報による誤り検出の処理。
ドキュメント管理装置4の固有情報生成部4555は、抽出情報の組み合わせにより単位電子データ毎の固有情報を生成する。
固有情報生成部4555は、階層−1、階層−2のようにナンバリングされた属性を一定のルールで組み合わせる。例えば、固有情報生成部4555は、属性が付与された抽出情報を、階層−1「顧客名」、階層−2「機場名」、階層−3「設備名」、階層−4「図面名称」、階層−5「図番」、階層−6「シート番号」、階層−7「Rev(変更管理番号)」の順に組み合わせる。これにより、施設に関する属性の情報を体系的に整備することができる。
単位電子データにおける各属性の管理用情報の記述内容が全て一致していなければ、固有情報は重複しない。そのため、スキャンした画像情報を文字情報に変換する際の誤りが含まれたとしても、全く違う図面と取り違えるといったことを防ぐ、正確性の確保にもなっている。
情報抽出部4551は、通常、複数枚で構成されるドキュメントを読込む際は連続スキャンされることが殆どであることを利用し、誤り検出処理を行ってもよい。例えば、抽出情報と属性との対応付けにより、属性が「図番」、抽出情報の記述内容が「1A2B3456」の単位電子データが連続で取得されたとする。情報抽出部4551は、その単位電子データの中で1つだけ他とは異なる記述内容の図番が得られた単位電子データが混ざっていた場合、その記述内容は誤りである確率が高いことを利用して誤りを検出する。情報抽出部4551は、誤りの検出を補助入力装置3の表示部32に表示させ、正しい記述内容の入力を促す。また、情報抽出部4551は、ドキュメント電子データの目次からシートの数を抽出し、そのドキュメント電子データをシート単位に分割して得られた単位電子データの数と一致しない場合に、エラーの可能性があると判断してもよい。情報抽出部4551は、補助入力装置3の表示部32にメッセージを表示させて、ユーザに確認を促してもよい。
上記の誤り検出の考え方を用いて、属性付けの処理を短縮することもできる。複数枚で構成されるドキュメントの図番などが同じであることが分かっている場合は、固有情報生成部4555は、最初のページで取得した図番の抽出情報から生成した属性化情報を残りの全てのページにも属性化情報として与える。これにより、属性の対応付けの処理速度が向上する。但し、別の図番が混在しているリスクがあるため、情報抽出部4551は、連続する単位電子データのそれぞれから得られた属性「ページ」の抽出情報が、昇順の記述内容になっているかどうかといった補助的な誤り検出処理を行ってもよい。
また、誤り検出方法や、その方法を用いた誤りの自動修正方法として、例えば「仲間外れ」の情報を誤りであると自動判定してもよい。例えば、連続する各単位電子データから得られた同一の属性の抽出情報については、記述内容が所定の割合以上一致しているとする。その場合、属性化抽出情報生成部4554は、異なる記述内容の抽出情報が得られた単位電子データとその抽出情報を補助入力装置3の表示部32に表示させる。ユーザは、その抽出情報が正しいか否かを判断し、誤っている場合は正しい内容を入力する。情報抽出部4551は、入力に従って、正しい記述内容を得る。これにより、人間系による最終判断がなされ、正しい情報が固有情報として採用される。このように、人間系判断を介在させ得るような柔軟なシステムとすることができる。
(7)固有情報の付与方法と固有情報の消去・変更・追加処理。
固有情報付加部4556は、固有情報を、その固有情報が得られたドキュメントが持つ情報の一部として新たにそのドキュメントに付与する。付与された固有情報は消去、変更、追加が可能である。消去、変更、追加ができるようにしているのは、例えば、施設の統廃合、広域化によって、所管がA事業体から、B事業体になった場合でも、その変更分を反映できるようにするためである。
また、近年は、施設の統廃合、広域化がよく行われるが、それ以前にも顧客名称や機場名が変更となったために施設情報が正確性を欠いてしまうことがあった。その結果、必要な情報を得るために時間を浪費してしまうこともある。そこで、ドキュメント管理システム1は、変更が発生した時点で、その変更を固有情報に反映可能とする。一般のドキュメントにおいても、整理し直しなどで同様の変更対応が求められる可能性がある。
固有情報変更の自動反映は、補助入力装置3の入力部31により、「変更前名称」を「変更後名称」に一括変換するよう指示が入力されたことをトリガーとする。その際、固有情報変更部4558は、変換したい情報のみを参照するのではなく、変換したい情報が図面のどの場所にあるかも確認することにより多重チェックを行う。よって、意図していなかった箇所が変換されることを防ぐことができる。
固有情報付加部4556は、紙幣の透かしの技術の考え方を応用して固有情報を単位電子データに付与してもよい。つまり、電子化されていることを活用し、固有情報を付与する層(レイヤ)を別に設ける。この別のレイヤに固有情報を付与することが、見えないけれど透かしが入っていることに相当する。固有情報付加部4556は、元のドキュメント電子データのレイヤ数がnである場合、n+1番目若しくは最大レイヤ数のレイヤに固有情報を付与する。
また、PDFデータの分割・削除・並べ替え・結合などを行えるアプリケーションソフトでは、PDFにテキストにより記述したコメントや図形を張り付ける機能を有するものがある。これと同じ考え方で、固有情報付加部4556は、PDFデータに、固有情報を暗号化したものをコメントや図形により付与してもよい。
また、固有情報付加部4556は、固有情報を二次元バーコードのようなある種の図形の組み合わせにより表したものを、PDF形式などの単位電子データに埋め込んでもよい。もしくは、図面を作成する時点において、そのような固有情報を予めドキュメントに埋め込んでおいてもよい。
また、固有情報付加部4556は、文字情報で表した固有情報を暗号化せずにそのままPDF等の単位電子データの特定場所に貼付(書き込み、埋め込み)してもよい。その際に、文字色を透明に指定することで、普段は見えないが、マウスでエリア指定すると文字色が反転するために、必要なときに見ることができるようにしてもよい。
また、固有情報付加部4556は、固有情報の一部は通常参照や編集を可能とし、他の部分は通常は参照不可として、単位電子データに付加してもよい。これにより、固有情報の根幹部分や、詳細過ぎる情報については、通常は参照できないようにすることができる。このように、固有情報を参照可の情報と参照不可の情報とにより階層化し、利便性を向上する。
また、固有情報に設定する抽出情報の記述内容には属性化抽出情報生成部4554によって属性情報が付加される。この属性情報に可変(書き換え可能)なビットエリアを幾つか用意しておき、ユーザが補助入力装置3により入力した指示に基づいて、そのビットエリアに当初の属性のナンバリング(階層−1、階層−2…)とは別体系のナンバリングを付与できるようにしてもよい。この書き換え可能なビットにより、別体系のナンバリングを用いて単位電子データ毎のソートを行えるようにする。ソート自体は、当初からの属性を使っても可能であるが、当初からの属性には含まれない別体系による検索をさせるため、また、新しい属性を後から意図的に付与するために、このビットエリアを用意しておく。例えば、ドキュメント管理装置4の処理部45は、固有情報記憶部442に登録されている固有情報の一覧を、通常は階層−1の昇順に並べた中で、さらに、階層−2の昇順に並べて閲覧装置6の表示部62に表示させる。処理部45は、別体系のナンバリングを使用して、固有情報の一覧を、1番にナンバリングされた階層の昇順に並べた中で、さらに、2番にナンバリングされた階層の昇順に並べて閲覧装置6の表示部62に表示させる。
(8)固有情報を利用したドキュメントの格納場所検索、自動格納、格納場所自動生成、及び、格納場所変更の処理。
ドキュメント管理装置4及びドキュメント格納装置5は、ドキュメントに付与された固有情報に基づき、ドキュメントの格納場所(例えば、フォルダ)の検索、格納すべき場所への自動格納、格納場所の自動生成、格納場所の変更を行う。格納場所の変更には、格納場所をドキュメント格納装置5の格納場所Aから格納場所Bへ移動や、別のドキュメント格納装置5への転送などがある。例えば、管轄が機場Aから機場Bへ変更となったために固有情報が変更された場合や、管理方法が変更になった場合に移動が発生し得る。別のドキュメント格納装置5へ転送を行う際には、移動先や移動元のドキュメント格納装置5の空きの記憶容量や、ハードディスクドライブ構成の変更などを考慮する。
ドキュメント管理装置4の格納場所情報登録部4561は、予めドキュメント格納装置5のIPアドレスや、ドキュメント格納装置5内の格納場所構成などをリスト化しておき、格納場所情報記憶部443に記憶させておく。格納場所決定部4562は、スキャンされた新たな管理対象のドキュメント電子データに固有情報が付与された後、この格納場所構成のリストの情報を基に、ドキュメント電子データを格納すべきドキュメント格納装置5がどこかを検索する。格納処理部4563は、この検索結果に基づき、格納すべきフォルダへドキュメント電子データを格納する。
格納場所決定部4562は、スキャンされたドキュメント電子データの固有情報から新しい格納場所が必要かどうかを、固有情報の設定内容と、格納場所構成のリストとを比較して判断する。例えば、格納場所決定部4562は、格納場所構成のリストに無い機場名が固有情報に含まれていると判断した場合、スキャンされたドキュメント電子データを保存するためのフォルダを作成するようドキュメント格納装置5に指示する。ドキュメント格納装置5の格納場所生成部521はドキュメント記憶部51に指示されたフォルダを作成し、格納実行部522は、作成したフォルダにドキュメント電子データを格納する。
また、ユーザは、補助入力装置3の入力部31又はドキュメント管理装置4の入力部41により、施設の統廃合や広域化に伴う管轄変更を固有情報に反映する。ドキュメント管理装置4の格納場所変更指示部4564は、その変更が反映された固有情報を基に、ドキュメント格納装置5に格納されているドキュメント電子データの格納場所の変更や、別のドキュメント格納装置5への移動を指示する。
図11は、固有情報の設定内容の変更例を示す図である。同図では、機場Aが機場Yに統合された場合を示す。ドキュメント格納装置5のドキュメント記憶部51に、図9に示すディレクトリ構造のフォルダが構成されているとする。ユーザが補助入力装置3により属性化情報「客先名:○○企業団」及び「機場:機場A」が設定されている固有情報に対して、属性「機場」の設定内容を「機場A」から「機場Y」に変更する指示を入力する。これにより、ドキュメント管理装置4の固有情報変更部4558は、固有情報記憶部442を検索し、例えば、属性化情報「客先名:○○企業団」及び「機場:機場A」が設定されている固有情報を特定し、その固有情報に対応付けられた単位電子データ名を読み出す。固有情報変更部4558は、特定した固有情報から格納場所を判断すると、その格納場所のIPアドレスを格納場所情報記憶部443から読み出す。固有情報変更部4558は、読み出したIPアドレスによりドキュメント格納装置5にアクセスし、格納場所と単位電子データ名に基づいて、固有情報変更対象の単位電子データを特定する。固有情報変更部4558は、特定した単位電子データに付加されている固有情報の属性「機場」の設定内容を「機場A」から「機場Y」に書き換える。さらに、固有情報変更部4558は、固有情報記憶部442において特定した固有情報の属性「機場」の設定内容を「機場A」から「機場Y」に書き換える。同図では、図7に示す固有情報に対して書き換えを行った例を示している。この場合、格納場所変更指示部4564は、固有情報が変更された単位電子データの格納場所のディレクトリを、「○○企業団/機場A/仕様編」から、「○○企業団/機場Y/仕様編」に変更する。固有情報の変更前に、ドキュメント格納装置5のドキュメント記憶部51に「○○企業団/機場Y」のディレクトリが生成されていない場合、「○○企業団/機場A/仕様編」のディレクトリが新たに生成され、この生成されたディレクトリに格納場所が変更となる。あるいは、「○○企業団/機場A/仕様編」から「○○企業団/機場Y/仕様編」にディレクトリ名を変更してもよい。また、固有情報の変更前に、ドキュメント記憶部51に「○○企業団/機場Y」のディレクトリが生成されている場合は、そのディレクトリの配下に格納場所が変更となる。
また、階層−1及び属性−2の設定内容により格納先のドキュメント格納装置5が決定される場合に、上記のように固有情報の属性「機場」の設定内容が書き換えられ、格納先のドキュメント格納装置5が変更になったとする。ドキュメント管理装置4の格納場所変更指示部4564は、新たに単位電子データの格納先となったドキュメント格納装置5に対して、固有情報が変更された単位電子データを格納するディレクトリの生成を指示するとともに、現在その単位電子データを格納しているドキュメント格納装置5のディレクトリを通知する。新たに格納先となったドキュメント格納装置5は、ドキュメント管理装置4からの指示に基づいてディレクトリを生成し、現在の格納先のドキュメント格納装置5から固有情報が変更された単位電子データを読み出して、格納する。
図12は、固有情報における階層の変更例を示す図である。図7に示す固有情報の単位電子データが、図9に示すディレクトリ構造のフォルダに格納されている場合に、ユーザが補助入力装置3によりその固有情報の階層−2と階層−3の入れ替えを入力したとする。固有情報変更部4558は、固有情報記憶部442からその固有情報に対応付けられた単位電子データ名を読み出す。さらに、固有情報変更部4558は、その固有情報から格納場所を判断すると、その格納場所のIPアドレスを格納場所情報記憶部443から読み出す。固有情報変更部4558は、読み出したIPアドレスによりドキュメント格納装置5にアクセスし、格納場所と単位電子データ名に基づいて、固有情報変更対象の単位電子データを特定する。固有情報変更部4558は、特定した単位電子データに付加されている固有情報に、階層−2の属性化情報と階層−3の属性化情報を入れ替える変更を行う。さらに、固有情報変更部4558は、固有情報記憶部442に記憶されている図7の固有情報に、階層−2の属性化情報と階層−3の属性化情報を入れ替える変更を行う。格納場所変更指示部4564は、固有情報が変更された単位電子データの格納場所のフォルダのディレクトリを、「○○企業団/機場A/仕様編」から「○○企業団/仕様編/機場A」に変更する。
(9)固有情報を利用したドキュメントの自動差替、差替後の自動チェック処理。
ドキュメント管理装置4及びドキュメント格納装置5は、単位電子データの自動差替、差替後の自動チェックを行う。自動差替は、その単位電子データの固有情報を活用して行う。
ドキュメント管理装置4の差替判定部4565は、新たに読込んだドキュメント電子データの単位電子データについて生成した固有情報と、固有情報記憶部442に登録されている固有情報とを比較する。差替判定部4565は、固有情報記憶部442に登録されている固有情報のうち、生成した固有情報とRev又は通し番号以外が全て一致し、Rev又は通し番号のみが異なるものがある場合、新しいRev又は通し番号の単位電子データを最新とする。ドキュメント格納装置5の差替部523は、ドキュメント記憶部51に格納されている古いRev又は通し番号の単位電子データを破棄(又は一時退避場所へ退避)し、最新の単位電子データと差替える。
図13は、ドキュメントの差替例を示す図である。図7に示す固有情報の単位電子データが、図9に示すディレクトリ構造のフォルダに格納されている場合に、ドキュメント管理装置4が新たに読込んだ管理対象のドキュメント電子データの単位電子データについて図13に示す固有情報が生成されたとする。差替判定部4565は、生成された固有情報と、Revのみが異なる他の固有情報が既に固有情報記憶部442に登録されており、その登録済みの固有情報のほうがRevの値が小さいことを検出する。差替判定部4565は、その登録済みの固有情報が得られた単位電子データを、新たに読込んだドキュメント電子データの単位電子データに差し替える。差替判定部4565は、差し替えにより使用廃止となった単位電子データに、使用廃止を示す情報を付加する。この使用廃止を示す情報は、固有情報に設定してもよい。さらに、差替判定部4565は、固有情報記憶部442に記憶されているその使用廃止となった単位電子データの固有情報に、使用廃止を示す情報を付加又は設定する。
ドキュメント格納装置5の差替確認部524は、差替えた単位電子データの枚数(最新のページとして元のドキュメントに入れ込んだ単位電子データ)と、差し替えられた単位電子データの枚数との比較を行うことで差替漏れがないかを確認してもよい。また、差替確認部524は、差替ではないが、新規に追加となった枚数を計数し、差替漏れがないかを確認してもよい。
また、差替確認部524は、ドキュメントの目次に各ページのRevが記載されている場合、そのページの差し替えた単位電子データの固有情報に目次と同じRevが設定されているか否かによって、差替が正常に行われたか否かを判断してもよい。
(10)固有情報を利用した情報提供処理。
固有情報に、付加的な情報を含めてもよい。これにより、ユーザが、ドキュメント(媒体を問わない、電子写真なども含む)にアクセスすると、予め組んである条件が成立した場合は、そのドキュメントに付与されている固有情報から付加的な情報の提供を受けることができる。
図面には作成、調査、承認などのサインに年月日で表される日付が付与されている。そこで、ドキュメント管理装置4の情報抽出部4551は、この日付をドキュメント電子データから抽出し、固有情報管理部455は、抽出された日付を固有情報に設定する。ドキュメント管理装置4の通知部457は、固有情報記憶部442に記憶されている固有情報が示す日付を起点として一定期間経過後に、メッセージを出力する。例えば、通知部457は、固有情報が示す日付に基づいて設備更新の推奨時期になったことを検出すると、「更新時期が近づいています。更新計画の立案をお願いします」などのメッセージを閲覧装置6や外部ネットワーク9に接続されるコンピュータ端末などに出力し、表示させる。
また、ドキュメントを作成する際に、予め自動的に情報提供させることを目的として、製造年月日や営業所連絡先を含めた固有情報を付与しておく。閲覧装置6の処理部63は、表示中の単位電子データから固有情報を読取ることにより、製造年月日や営業所連絡先をポップアップ表示する。
また、上述のように、ドキュメント管理装置4の固有情報付加部4556は、二次元バーコードやARコードなどのようにある種の図形の組み合わせにより表される固有情報を図面に付加しておく。固有情報生成部4555は、この固有情報に、サービスセンターのURLを含める。閲覧装置6の処理部63は、この固有情報を読取って、サービスセンターのURLを表示部62に表示する。ユーザが入力部61により、そのサービスセンターのURLへのアクセス指示を入力すると、処理部63は、そのURLのウェブサイトを表示部62に表示する。このウェブサイトにより、ユーザは、関連情報を取得することができる。閲覧装置6に代えて、他の装置を用いてもよい。例えば、閲覧装置6に代えて、スマートフォンを用いることができる。
また、機器に貼付された電子チップに点検情報が埋め込みされている場合に、その電子チップから読込んだデータをドキュメント管理装置4に通知し、固有情報生成部4555は、その受信したデータを図面や点検報告書などのドキュメント電子データの固有情報に含めてもよい。固有情報は、例えば、二次元バーコードによって単位電子データに付与する。ユーザは、印刷装置7が印刷した単位電子データに記載されている固有情報をスマートフォンなどにより読み取ることにより、点検データが表示される。ユーザは、この表示された点検データを見ながら、現場の機器の点検を行うことができる。これにより、図面・点検報告書・機器に貼付の点検データチップを統合的に管理することが可能になる。
続いて、ドキュメント管理システム1の動作例を説明する。この動作例では、ドキュメント管理システム1は、(1)ドキュメント取得処理、(2)フォーマット学習処理、(3)固有情報管理処理、(4)ドキュメントDB自動生成処理、(5)ドキュメントの自動差替処理、(6)ドキュメント差替後の自動チェック処理を行う。各処理の詳細を以下に示す。なお、以下の説明では、用途や方法などが異なる複数の動作例を記載している処理があるが、それらは適宜組み合わせることが可能である。
図14は、ドキュメント管理システム1におけるドキュメント取得処理を示すフロー図である。
ドキュメントが電子化されている場合(ステップS105:電子データ)、ドキュメント管理装置4のドキュメント取得部451は、その電子化されたドキュメントを取得する。ドキュメント電子データがCDやDVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている場合、ドキュメント取得部451は、読込部43がその記録媒体から読込んだドキュメント電子データを取得し、保存する。ドキュメント電子データがネットワーク8を介して接続される各種のコンピュータ装置や記録媒体に記憶されている場合、ドキュメント取得部451は、ネットワーク8を介してドキュメント電子データを受信し、保存する。ドキュメント電子データが、電子メールに添付されるなど外部ネットワーク9を介して取得される場合、ドキュメント取得部451は、外部ネットワーク9を介して取得したドキュメント電子データを、ネットワーク8から受信して保存する。
ドキュメント取得部451は、ドキュメント電子データが編集可能な状態であるか否かを判断する(ステップS110)。ドキュメント取得部451は、ドキュメント電子データがPDF形式であるなど、編集可能な状態ではないと判断した場合(ステップS110:NO)、取得したドキュメント電子データを記憶する(ステップS115)。
ドキュメント取得部451は、ドキュメント電子データが、文書編集ソフトウェア、表計算ソフトウェア、コンピュータグラフィック編集ソフトウェア等により編集可能な状態であると判断した場合(ステップS110:YES)、ステップS120の処理を行う。すなわち、ドキュメント取得部451は、取得したドキュメント電子データをソフトスキャンし、編集不可の状態の電子データに変換する(ステップS120)。ソフトスキャンには、例えば、スナップショットなどを利用することができる。また、編集不可の状態の電子データへの変換として、PDF形式などへの変換を用いることができる。ドキュメント取得部451は、編集不可の状態に変換されたドキュメント電子データを記憶する(ステップS115)。
なお、編集可能な状態のドキュメント電子データから直接文字情報を抽出できる場合、ドキュメント取得部451は、ステップS120のソフトスキャンを省略して保存してもよい。
一方、ドキュメントの媒体が紙である場合(ステップS105:紙)、スキャン装置2は、ドキュメントをスキャンして電子化し、ドキュメント電子データを作成する(ステップS125)。ドキュメント電子データは、例えば、編集不可のPDF形式のデータであるが、他の任意のデータ形式であってもよい。スキャン装置2は、生成したドキュメント電子データをドキュメント管理装置4に送出する(ステップS130)。ドキュメント管理装置4のドキュメント取得部451は、ネットワーク8を介してスキャン装置2から受信したドキュメント電子データを保存する(ステップS115)。
ステップS115の処理の後、フォーマット判定部452は、ドキュメント取得部451が保存した電子データと学習済みフォーマットの照合処理を行う(ステップS135)。
そこでまず、ユーザは補助入力装置3の入力部31により、ドキュメント電子データにおける各管理用情報の記載場所を指定する。例えば、ユーザは、マウスによって記載場所を囲んでエリア指定することにより指定してもよく、予め用意されたマーキング図形と、そのマーキング図形を用いた読み取り位置とを指定することにより、記載場所を指定してもよい。マーキング図形を使用する場合、ドキュメント管理装置4は、例えば、形状や大きさの異なる複数のマーキング図形を予め用意しておく。
フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データにおける管理用情報及びその記載場所の対応関係と、フォーマット対応テーブルに設定されている属性情報及びその記載場所の対応関係とが一致するかどうかによって学習済みフォーマットとの照合を行う。管理用情報及びその記載場所の対応関係は、属性Aの情報は記載場所P1に記載、属性Bの情報は記載場所P2に記載…、といった対応関係のことである。より具体的には、属性が「客先名」の情報はドキュメントの中央よりも上側に記載、属性が「図番」の情報はドキュメントの下右側に記載、…のような対応関係である。
照合のため、フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データにおいて指定された各管理用情報の記載場所を座標に変換する。フォーマット判定部452は、各管理用情報の座標と、フォーマット記憶部441内のフォーマット対応テーブルに設定されている各属性の記載場所が示す座標とを照合する。この照合に用いるデータを、照合用データと記載する。照合用データとして、例えば、各記載場所(マーキング図形)の重心の位置の座標を用いることができる。フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データから得られた照合用データと、フォーマット対応テーブルから取得した照合用データとの差異が所定以内である場合、照合成功と判断する。
なお、フォーマット判定部452は、情報記載場所が一致しても、ドキュメント電子データから取得した記載場所の数と、フォーマット対応テーブルから取得した記載場所の数とが異なる場合、学習済みフォーマットと不一致であると判断する。例えば、フォーマット対応テーブルには属性情報の記載場所が3つ登録されているとする。電子データから得られた管理用情報の記載場所は4つであり、そのうち3つはフォーマット対応テーブルに設定されている記載場所に対応していたとしても、記載場所の数が不一致なために、フォーマット判定部452は、学習済みフォーマットと不一致であると判断する。またあるいは、フォーマット判定部452は、各管理用情報の記載場所と各情報の記載場所とが対応していたとしても、記載場所の数が不一致な場合は、その旨を表示部42や補助入力装置3の表示部32に表示して知らせ、人間系判断を介在させてもよい。ユーザは、入力部31により、ドキュメント電子データのフォーマットが学習済みフォーマットに一致するか否かの判断結果を入力する。
なお、照合方法には、上記のように記載場所の重心の座標を照合用データとして用いる以外にも、以下の方法がある。
(a)フォーマット判定部452は、上記の記載場所の座標の比較に加え、各マーキング図形の形状(長さL×高さHの長方形など)を照合用データとして用いる。この場合、フォーマット対応テーブルには、各属性の記載場所に対応付けて、マーキング図形の情報を設定しておく。また、フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データの画像に、ユーザが指定したマーキング図形の画像を付加する。ドキュメント電子データが、複数のレイヤ(層)の画像データを重ねあわせたデータである場合、フォーマット判定部452は、入力されたマーキング図形の画像データを、元のドキュメント電子データの画像データの上にレイヤを変えて上乗せする。これによりマーキング図形の画像データを、元の画像データとは異なる層の図形として扱えるようになり、図形の形状、数、原点からの重心座標、図形の相対位置関係を元の画像データとは独立に扱えるようすることができる。
(b)ドキュメント作成元が異なる場合、各管理用情報に用いられる記述パターンが異なる場合がある。そこで、フォーマット判定部452は、上記の記載場所の座標の比較に加え、マーキング図形内の管理用情報の記述パターンも照合用データとして用いる。この場合、フォーマット対応テーブルには、各属性の記載場所に対応付けて、管理用情報の記述パターンの情報を設定しておく。記述パターンとは、例えば、図番が、「8K1G0001-sh002」などのように英数字混在であった場合、何文字目が英字、何文字目以降は全て数字、何文字目は「-(ハイフン)」、全体の文字数などといった特徴のことである。
(c)電子データ化の過程において、縮小や拡大などの異なる画像サイズにスキャン、上下逆にスキャン、左右逆にスキャン、斜めに傾いてスキャンされる場合がある。そこで、フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データを適宜に拡大縮小、回転又は反転する、あるいは、外枠ラインとドキュメントの外枠角度から角度を微調整することによって、管理用情報の座標を補正する。フォーマット判定部452は、補正した管理用情報の座標を照合用データとして用いることにより、照合において誤判定がでないように信頼性を高める。
フォーマット判定部452は、ドキュメント電子データから得られた照合用データと、各学習済みフォーマットのフォーマット対応テーブルから得られた照合用データのそれぞれとを一つずつ照合し、一致するフォーマット対応テーブルを探す。
なお、以下のように照合手順を行ってもよい。すなわち、各ドキュメント用のフォーマット対応テーブルに対応付けて、照合用データパターンをフォーマット記憶部441に記憶しておく。照合用データパターンとは、各マーキング図形の形状、マーキング図形の数、各当該マーキング図形の重心座標、各マーキング図形エリア内の情報パターン、各マーキング図形の相対位置関係などの任意の複数の照合用データの組み合わせである。フォーマット判定部452は、フォーマット記憶部441に記憶される照合用データパターンのうち、ドキュメント電子データから得られた照合用データパターンとの類似のもの特定する。フォーマット判定部452は、特定した照合用データパターンと対応付けられたフォーマット対応テーブルから上記の照合処理を行う。これにより、照合速度を向上させる。
フォーマット判定部452は、ステップS135の照合処理において学習済みフォーマットとの照合が成功したか否かを判断する(ステップS140)。フォーマット判定部452が、いずれのフォーマット対応テーブルとも照合が成功せず、学習済みフォーマットと一致しなかったと判断した場合(ステップS140:NO)、学習処理部453は、後述する図15に示すフォーマット学習処理を行う(ステップS145)。フォーマット学習処理の後、固有情報管理部455は、後述する図16に示す固有情報管理処理を行う(ステップS150)。
フォーマット判定部452が、いずれかのフォーマット対応テーブルとの照合が成功し、学習済みフォーマットと一致したと判断した場合(ステップS140:YES)、固有情報管理部455は、後述する図16に示す固有情報管理処理を行う(ステップS155)。
なお、ドキュメント電子データが学習済みフォーマットであることがユーザの判断で分かる場合は、ステップS135〜ステップS145の処理を行わなくてもよい。つまり、ユーザが補助入力装置3の入力部31により、ドキュメント電子データに一致該当するフォーマット対応テーブルを選択する。ドキュメント管理システム1は、後述する図16に示す固有情報管理処理を行う。このフォーマット対応テーブルに基づいて記載場所から管理用情報を抽出することで、その抽出された管理用情報の属性が一意に定まる。
図15は、ドキュメント管理システム1におけるフォーマット学習処理を示すフロー図である。フォーマット学習処理では、フォーマットの生成、学習、蓄積、及び、予測を行う。
ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、ドキュメント電子データのフォーマット対応テーブルを生成するためにテストスキャンを行う(ステップS205)。すなわち、学習処理部453は、フォーマットの学習に使用するドキュメントをスキャンし、画像データを得る。なお、図14のステップS145としてフォーマット学習処理を行う場合、学習処理部453は、ステップS115において保存されたドキュメント電子データを用いてもよい。ユーザは、補助入力装置3の入力部31を用いて、テストスキャンされた画像データにおける管理用情報の記載場所を指定する。学習処理部453は、指定された記載場所の特徴を抽出する(ステップS210)。例えば、学習処理部453は、指定された記載場所の座標を特徴として抽出したり、各記載場所の相対場所の関係などから特徴を抽出したり、記載場所における情報の記述パターンなどを得たりする。また、マーキング図形により記載場所を指定した場合、その使用したマーキング図形を特徴とする。
学習処理部453は、ステップS210において抽出した記載場所の特徴と、各ドキュメントのフォーマット対応テーブルから得られる記載場所の特徴とを照合することにより、学習済みフォーマットとの類似判定を行う(ステップS215)。照合方法は任意とすることができる。例えば、学習処理部453は、ステップS210において指定された記載場所の数が同じ又は所定の差異以内のフォーマット対応テーブルを類似と判断する。あるいは、学習処理部453は、ステップS210において指定された各記載場所の重心等をつないで得られる図形と、フォーマット対応テーブルに設定されている各記載場所の重心等をつないで得られる図形との相似性から判定してもよい。学習処理部453は、さらに、テストスキャンされた画像データから得られた特徴パターンと、学習済みフォーマットの特徴パターンとの比較結果を類似性判定に用いてもよい。特徴パターンとして、照合用データパターンや記述パターンを用いることができる。
学習処理部453は、類似する学習済みフォーマットがあったか否かを判断する(ステップS220)。学習処理部453は、記載場所の特徴が類似するフォーマット対応テーブルを検出した場合、類似する学習済みフォーマットがあったと判断する(ステップS220:YES)。学習処理部453は、テストスキャンを行ったドキュメントのフォーマット(未知フォーマット)と類似する学習済みフォーマットのフォーマット対応テーブルを読み出す(ステップS225)。学習処理部453は、読み出したフォーマット対応テーブルと同じ設定内容のフォーマット対応テーブルを生成し、補助入力装置3の表示部32に表示する(ステップS230)。ユーザは、表示されたフォーマット対応テーブルに対し、入力部31によって、不足している情報の補完、不要な情報の削除、一致しない情報の変更を入力する(ステップS235)。ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、補助入力装置3から入力された情報を受信する。学習処理部453は、受信した情報に基づいてステップS230において生成したフォーマット対応テーブルを変更し、未知フォーマットのフォーマット対応テーブルを生成する(ステップS250)。
一方、学習処理部453は、記載場所の特徴が類似するフォーマット対応テーブルを検出しなかった場合、類似する学習済みフォーマットがなかったと判断する(ステップS220:NO)。補助入力装置3は、入力部31によりユーザが入力した管理用情報の情報記載場所と、その記載場所に設定される管理用情報の属性とをドキュメント管理装置4に送信する。ドキュメント管理装置4の学習処理部453は、補助入力装置3から記載場所とその記載場所に対応した属性とを受信する(ステップS240、ステップS245)。記載場所は、テストスキャンにおいて指定されたいずれの記載場所であるかを選択する情報でもよい。学習処理部453は、記載場所と、記載場所に対応した属性とを設定した未知フォーマットのフォーマット対応テーブルを生成する(ステップS250)。
学習処理部453は、ステップS250において生成した未知フォーマットのフォーマット対応テーブルを保存する(ステップS255)。固有情報管理部455は、図16に示す固有情報管理処理を行う(ステップS260)。学習処理部453は、学習済みフォーマットとの類似性の有無に依らず、生成した未知フォーマットのフォーマット対応テーブルをフォーマット記憶部441に格納し、フォーマット対応テーブルの構築・追加変更などのDB化を行う(ステップS265)。
フォーマット対応テーブルをDB化した後、学習処理部453は、フォーマットの特徴パターンを抽出し、ステップS265において追加したフォーマット対応テーブルと対応付けてフォーマット記憶部441に保存する。フォーマット記憶部441は、特徴パターンのDB化(構築・追加変更)を行う(ステップS270)。
なお、フォーマット対応テーブルのDBと、フォーマット特徴の特徴パターンのDBとを別々のDBとして独立させてもよい。
図16は、ドキュメント管理システムにおける固有情報管理処理を示すフロー図である。固有情報管理処理では、固有情報の生成、単位電子データへの固有情報の付与、固有情報の変更、及び、固有情報DBの更新を行う。
ドキュメント管理装置4の属性付与部4552は、図14のステップS135において照合が成功した学習済みフォーマットのフォーマット対応テーブルをフォーマット記憶部441から読み出す(ステップS305)。なお、学習済みフォーマットとの照合が成功しなかった場合、属性付与部4552は、ステップS145の処理において生成したフォーマット対応テーブルをフォーマット記憶部441から読み出す。
分割部454は、図14のステップS115において保存したドキュメント電子データを、単位電子データに分割し、通し番号を付与する(ステップS310)。分割の単位は、1ページ単位、分割可能な最小単位、又は、利用に適した単位である。通し番号は、固有情報を単位電子データ毎に付与できるようにするために用いられる。これにより固有情報を最大限活用できるようにする。
情報抽出部4551は、ステップS305において読み出したフォーマット対応テーブルが示す記載場所から抽出情報を取得する。属性付与部4552は、情報抽出部4551が取得した抽出情報と属性との対応を示す情報を記憶する。属性付与部4552は、ステップS305において読み出されたフォーマット対応テーブルに設定されている属性のそれぞれについて、以下のステップS315〜ステップS335の処理を、単位電子データ毎に行う。
例えば、10ページで1つの意味を持つドキュメントの単位電子データへの分割単位が1ページである場合、10ページ分の単位電子データに分割される。1ページあたり抽出したい管理用情報が5つ(属性が5つ)あると、10[ページ」×5[管理用情報/ページ]=50[管理用情報]となる。そのため、固有情報管理部455は、ステップS315〜ステップS335の処理を50回分行う。
以下では、i番目の管理用情報(上記の例の場合、iは1以上50以下の整数)についてのステップS315〜ステップS335の処理を、ステップS315−i〜ステップS335−iと記載する。
フォーマット対応テーブルには、管理用情報の属性とその管理用情報の記載場所とがリスト化されている。また、フォーマット対応テーブルには、管理用情報の記載ルール(例えば、ドキュメント番号を構成する文字の種類と文字数)が対応付けられている。属性付与部4552は、照合が成功したフォーマット対応テーブルに設定されているi番目の管理用情報に対応した属性と記載場所を読み出す。情報抽出部4551は、ドキュメント電子データにおけるi番目の管理用情報に対応した記載場所から画像情報を抽出し、属性付与部4552は、抽出された画像情報にi番目の管理用情報に対応した属性を付与する(ステップS315−i)。
例えば、情報抽出部4551が電子データにおける記載場所(x1,y1)〜(x2,y2)から抽出した画像情報は、その時点ではその記載場所からの抽出情報でしかない。しかし、「記載場所」と「その記載場所の管理用情報の属性」(例えば、カタログ番号、カタログが扱う商品名、見積番号、見積項目、見積項目の金額、見積合計額、設計ドキュメントの番号、ページ、点検記録、点検日、点検項目、点検結果等)との対応関係により、その記載場所からの抽出情報に属性が対応付けられる。
情報抽出部4551は、ステップS315−iにおいて得た抽出情報が画像情報である場合は、その画像情報を光学文字認識(OCR)により文字情報に変換する(ステップS320−i)。抽出情報を直接文字情報として取得できる場合、情報抽出部4551は、画像情報を文字情報化する処理を省略できる。情報抽出部4551は、抽出情報を文字情報化した結果を得る(ステップS325−i)。なお、抽出情報を直接文字情報として取得できる場合とは、例えば、電子データが文書編集ソフトウェア、表計算ソフトウェア、コンピュータグラフィック編集ソフトウェア等により編集可能な場合である。
暗号化部4553は、文字情報化された抽出情報と、その抽出情報の属性を示す文字情報とを暗号化する(ステップS330−i)。例えば、暗号化部4553は、文字情報化された抽出情報をバイナリ変換する。属性化抽出情報生成部4554は、抽出情報がどのような属性の情報かが分からなくなるのを防ぐため、暗号化等された抽出情報及びその属性からなる1つの組を、属性化抽出情報として生成する(ステップS335−i)。属性化抽出情報は、属性付けが済んでいる情報、属性化された抽出情報、の意であり、その生成方法は限定しない。これら属性化抽出情報は、属性化情報として固有情報の生成に用いられる。
なお、抽出情報とその属性を1組として扱う処理は、暗号化等を行う前の「記載場所からの情報抽出」の際や、「抽出情報の文字情報化」の際において行ってもよい。
ステップS335−1〜ステップS335−nの処理の後、固有情報生成部4555は、属性化抽出情報を単位電子データ毎にグルーピングし、「属性化情報群」として扱う。ユーザは、補助入力装置3の入力部31により、単位電子データ毎に未属性化情報群を入力する。固有情報生成部4555は、単位電子データ毎に、属性化抽出情報群と未属性化情報を階層化する(ステップS340)。これは、ドキュメントDBの自動生成や格納場所検索、格納場所自動変更などを行うにあたり、各属性の上位/下位の階層化を予め決めておくものである。学習済みのフォーマットであれば、以前に補助入力装置3の入力部31により入力した各属性の上位/下位の階層化を使用し、新たに生成したフォーマットであれば、補助入力装置3の入力部31により各属性の上位/下位の階層化を入力する。固有情報生成部4555は、単位電子データ毎に、各属性の上位/下位の階層化に基づいて、属性化情報群に含まれる属性化情報と未属性化情報群に含まれる未属性化情報を階層化する。
固有情報生成部4555は、単位電子データ毎に、階層化された属性化情報群と未属性化情報群を組み合わせ、固有情報を生成する(ステップS345)。固有情報付加部4556は、各単位電子データに、その単位電子データに対応する固有情報を付与する(ステップS350)。固有情報付与する際の形態や、付与方法は、様々な方法がある。例えば、固有情報付加部4556は、固有情報そのまま(暗号化等された属性化抽出情報の組み合わせであり、例えば、「abcf2435」などのような英数字情報)を、単位電子データと同じ層(レイヤ)の余白部に記載する。
固有情報を付与する際の形態には、例えば、以下がある。
(a)固有情報を、バーコード、二次元バーコード、ARコードなどのようにある種の図形の組み合わせとして付与する。
(b)暗号化等された属性化抽出情報の組み合わせで表される固有情報をそのまま付与する。
一方、固有情報の付与の方法には、例えば、以下がある。
(a)固有情報を単位電子データの同じ層(レイヤ)の余白部などに記載する。
(b)固有情報を単位電子データとは別の層(レイヤ)に記載する。
(c)固有情報を単位電子データのファイル名として付与する。
これらの方法は、ドキュメントのフォーマットの特徴によって使い分けることが可能であり、ユーザにより指定してもよい。
また、以下のように、これらを適宜組み合わせることができる。
(a)固有情報を二次元バーコードなどのようにある種の図形の組み合わせの形態で、単位電子データとは別の層(レイヤ)に付与する。
(b)上記の(a)において、固有情報に、その固有情報を付与する単位電子データに関連する追加情報等を追加する。追加の内容は、ユーザが補助入力装置3の入力部31により入力する。これにより、単位電子データに記載された固有情報の読取りにより、その単位電子データに関連する追加情報等が提供されるサービスに活用する。例えば、単位電子データと類似の商品や、オプション価格などが、単位電子データに記載されていなくとも、その単位電子データの固有情報に、それらの情報を提供するサイトのURLを設定することができる。スマートフォンなどの二次元バーコード/ARコード撮影アプリケーションを起動し、単位電子データに付与されている固有情報を撮影することにより、それらの情報を提供するサービス提供サイトへのURLが表示される。このように、固有情報に、ドキュメントに関連する情報を取得可能なアドレスを含める。
(c)固有情報に、その固有情報を付与する単位電子データが呼び合いを行っている他のドキュメント(例えば、単位電子データが展開接続図Aのものであれば、信号取合の呼び合いをしている展開接続図B)や、システムに組み込みされている単品製品仕様書/取扱い説明書などに関する情報を設定する。これらの情報は、補助入力装置3又は入力部41により入力してもよく、単位電子データに記述されている場合は、単位電子データにおいてエリア指定することで読み出してもよい。これにより、単位電子データに付加された固有情報を読取することで、当該単位電子データに関連するドキュメントを参照できるサービスに活用する。また、別のドキュメントの参照だけでなく、顧客サービスセンターや営業担当、トラブル発生時の連絡先なども提供し、ビジネスの在り方をよりスマートにすることも可能である。上記の(b)がコンシューマ向け、単品製品向けであるのに対し、(c)は、社会インフラシステムなど、システムを扱う場合に好適である。
固有情報登録部4557は、固有情報のDB化を行う(ステップS355)。
そこでまず、固有情報登録部4557は、単位電子データに名称を付与する。固有情報登録部4557は、固有情報を構成している属性化情報の中から、単位電子データ名として的確なものを幾つか選び、これらを組み合わせて単位電子データ名を生成する。固有情報登録部4557は、固有情報を加工した情報あるいは固有情報の一部の情報を単位電子データ名の生成に使用してもよい。
例えば、設計図面の単位電子データの固有情報に、階層−1「設備名:設備A」、階層−2「ドキュメント番号:1A2B3456」、階層−3「ページ:3」が含まれるとする。また、単位電子データ名の名称付与規則が、「(階層−1の設定内容)_(階層−2の設定内容の1、3、5、6文字目)−(階層−3の設定内容)」であるとする。固有情報生成部4555は、単位電子データ名「設備A_1234−3」を生成する。単位電子データ名の名称付与規則は、例えば、図15のステップS235やステップS245においてユーザが補助入力装置3により入力するが、他のタイミングで入力してもよい。
次に、固有情報登録部4557は、ステップS310において単位電子データに付与された通し番号を取得する。単位電子データは、1ページ単位又は分割可能な最小単位又は利用に適した単位であるため、その数が多くなることが予想される。そこで、例えば、分割部454は、スキャンを行ったときや現在の年月日日時分秒をドキュメント電子データの仮名称とする。分割部454は、このドキュメント電子データから分割された単位電子データに、例えばシーケンシャルな番号を付与する。分割部454は、単位電子データの通し番号を、その単位電子データが得られたドキュメント電子データの仮名称の後ろに「ハイフン」とその単位電子データの番号を追加して生成する。
固有情報登録部4557は、単位電子データの通し番号、単位電子データ名及び固有情報を対応付けたリストを作成し、固有情報記憶部442に登録する。
ドキュメント管理システム1は、図18に示すドキュメントの自動差替処理及び図19に示すドキュメントの差替後の自動チェック処理を行う(ステップS360)。
なお、補助入力装置3の入力部31により固有情報の変更が入力された場合、固有情報変更部4558は、その変更内容を受信する(ステップS365)。固有情報変更部4558は、入力された変更内容に従ってドキュメント格納装置5に記憶されている単位電子データに付加されている固有情報と、固有情報記憶部442に登録されている固有情報を変更する(ステップS360)。固有情報の変更は、例えば、設備の管轄変更があった場合や、図15のステップS235において入力されるが、他のタイミングで入力されてもよい。具体的には、固有情報変更部4558は、ユーザが入力した変更対象の固有情報を特定する情報に基づいて、固有情報記憶部442に登録されている固有情報を特定し、特定した固有情報を、ユーザが入力した変更内容に従って変更する。さらに、固有情報変更部4558は、変更後の固有情報に基づいて単位電子データ名を生成する。固有情報変更部4558は、生成した単位電子データ名により、変更された固有情報に対応付けて固有情報記憶部442に登録されていた単位電子データ名を変更する。固有情報変更部4558は、変更前の固有情報から格納場所を判断すると、その格納場所のIPアドレスを格納場所情報記憶部443から読み出す。固有情報変更部4558は、読み出したIPアドレスによりドキュメント格納装置5にアクセスし、格納場所と変更前の単位電子データ名に基づいて、固有情報変更対象の単位電子データを特定する。固有情報変更部4558は、特定した単位電子データに付加されている固有情報を、ユーザが入力した変更内容に従って変更し、単位電子データ名を変更後の単位電子データ名とする。
ドキュメント管理システム1は、図18に示すドキュメントの自動差替処理及び図19に示すドキュメントの差替後の自動チェック処理を行う(ステップS360)。
図17は、ドキュメント管理システムにおけるドキュメントDB生成処理を示すフロー図である。
ドキュメント格納装置5に新規にドキュメントを格納する場合は、ドキュメント記憶部51にドキュメントの格納場所(例えば、フォルダ)が生成されていない(ステップS405:NO)。格納場所決定部4562は、格納場所情報記憶部443を参照して、新規に格納するドキュメントの格納場所がないと判断すると、単位電子データの固有情報を基に格納場所を自動で作成する。ドキュメント格納装置5は1つとは限らず、幾つか存在する場合がある。ドキュメント格納装置5は、LAN等のネットワーク上のアドレスで特定できるため、ドキュメントを格納するドキュメント格納装置5をこのアドレスで指定する。いずれのドキュメント格納装置5を使用するかは、固有情報に設定されている属性化情報又は未属性化情報の設定内容に応じて決定される。例えば、階層−1の属性の設定内容によって、ドキュメント格納装置5−1〜5−nのいずれを使用するかを決定する。格納場所決定部4562は、ドキュメントの格納場所の構築指令を生成する(ステップS410)。
固有情報は属性化情報および未属性化情報で構成されており、これらは既述のとおり階層化されている。そこで、格納場所決定部4562は、この関係に基づいて格納場所の構築指令を生成する。例えば、固有情報に、階層−1「機場:機場A」、階層−2「設備:設備B」、階層−3「図面名称:概要編」、階層−4「図面番号:A1B23456」、階層−5「(空白):(空白)」の情報が含まれているとする。また、格納場所構成の決定規則が、「階層−1/階層−2/階層−3/階層−4/階層−5」であるとする。この場合、格納場所決定部4562は、「機場A/設備B/概要編/A1B23456/(空白)」を格納場所とする。
格納処理部4563は、生成した格納場所構築指令をドキュメント格納装置5へ送信する(ステップS415)。ドキュメント格納装置5の格納場所生成部521は、格納場所構築指令を受信すると(ステップS420)、受信した格納場所構築指令に基づきドキュメント記憶部51に格納場所を生成する(ステップS425)。
ドキュメント格納装置5は、ドキュメント記憶部51にドキュメントの格納場所が存在する場合(ステップS405:YES)、又は、ステップS425の処理の後、ドキュメント格納装置5は、ステップS430の処理を行う。つまり、ドキュメント格納装置5の格納場所構成通知部527は、自装置のネットワーク上のアドレスと格納場所構成をドキュメント管理装置4へ送信する(ステップS430)。この送信は定期的に行われる。
ドキュメント管理装置4の格納場所情報登録部4561は、ドキュメント格納装置5からアドレスと格納場所構成を受信し、記憶する(ステップS435)。格納場所情報登録部4561は、受信したアドレスと格納場所構成とを対応付けた格納場所テーブルを生成する(ステップS440)。格納場所情報登録部4561は、生成した格納場所テーブルを格納場所DB433に登録し、DB化する(ステップS445)。
ドキュメント管理システム1は、ドキュメント格納場所の検索及び自動保存を行う。そこで、ドキュメント管理装置4の格納場所管理部456は、固有情報DB432と、格納場所DB433を参照し、ドキュメント電子データ(単位電子データ)の格納場所を検索する(ステップS450)。つまり、格納場所決定部4562は、固有情報記憶部442から固有情報を読み出し、格納場所構成の決定規則に従って固有情報から格納場所を特定する。格納場所決定部4562は、その格納場所が格納場所情報記憶部443に登録されているか否かを判断する(ステップS455)。
格納場所決定部4562は、格納場所が登録されていないと判断した場合(ステップS455:NO)、ステップS410からの処理を実行し、格納場所を生成する。一方、格納場所決定部4562は、格納場所が登録されていると判断した場合(ステップS455:YES)、その格納場所に対応したアドレスを格納場所情報記憶部443から読み出す(ステップS460)。格納処理部4563は、読み出された固有情報が付与されている単位電子データを、読み出されたアドレスのドキュメント格納装置5へ送信し、格納を指示する(ステップS465)。ドキュメント格納装置5の格納実行部522は、ドキュメント管理装置4からドキュメント電子データを受信し(ステップS470)、ドキュメント記憶部51における指定の格納場所へ格納する(ステップS475)。
閲覧装置6の処理部63は、ドキュメント格納装置5からドキュメント電子データを読み出して表示部62に表示し、印刷装置7は、ドキュメント格納装置5からドキュメント電子データを読み出して印刷する(ステップS480)。
初めてドキュメント格納装置5に格納場所を作成した後も、ドキュメント管理装置4は、新たなドキュメント電子データを読込した際は、固有情報DB432と、格納場所DB433を参照し、電子データの格納場所を検索する。格納場所を検索しても格納すべき場所がない場合(例えば、新しい機場名のドキュメントである場合など)は(ステップS455:NO)、ドキュメント管理システム1は、上記のステップS410〜S450を経て、再度ステップS455からの処理を行う。
なお、格納場所は自動変更が可能である。
また、階層化された属性は、一度階層化した後もその階層構造の変更が可能である。例えば、階層構造における上下関係が、「属性化情報Aの方が属性化情報Bよりも上位」であったものを逆転させ、「属性化情報Bの方を属性化情報Aよりも上位」とするように変更できる。この階層構造の変更を反映することで、格納場所の構造を変化させることができる。
或いは、階層構造における上下関係を変える必要が無い場合であっても、属性に対応する抽出情報が古くなってしまい、新しい情報へ更新する必要がある場合は、当該属性を一括で更新を行うことができる。これらの変更は、補助入力装置3から行い、変更内容は固有情報変更部4558により固有情報DB432に反映される。
図18は、ドキュメント管理システム1におけるドキュメントの自動差替処理を示すフロー図である。
ドキュメント管理装置4の差替判定部4565は、新規に読込んだドキュメント電子データによる差替の要否を判定する(ステップS505)。ドキュメント管理装置4が外部から新規にドキュメント電子データを読込した場合は、図16の処理によって単位電子データ毎に固有情報を付与し、固有情報DB432へ固有情報を登録する。その際、例えば、変更管理番号(Rev)のみ不一致で他の属性化情報が一致している固有情報がすでに固有情報記憶部442に登録されているとする。この場合、差替判定部4565は、ドキュメント格納装置5のドキュメント記憶部51に格納済みの単位電子データの方が古く、新規に読込んだドキュメント電子データから得られた単位電子データの方が新しいため、差替が必要と判断する。
差替判定部4565は、ステップS505の差替要否判定処理により差替が不要と判断した場合(ステップS510:NO)、ドキュメント管理システム1は、図17の処理を開始する。一方、差替判定部4565は、差替が必要と判断した場合(ステップS510:YES)、ステップS515の処理を行う。つまり、差替判定部4565は、格納済みの被差替ドキュメント(不要ドキュメント)を一時退避し、新規の単位電子データへの差替を実行する一連の処理指令をドキュメント格納装置5に出力する(ステップS515)。具体的には、差替判定部4565は、新規の単位電子データの格納場所を、格納場所構成の決定規則に従って固有情報から判断する。差替判定部4565は、格納場所に対応したIPアドレスを格納場所情報記憶部443から読出し、読み出したIPアドレスのドキュメント格納装置5に、被差替ドキュメントの単位電子データ名、新規の単位電子データ、及び、格納場所の情報を設定した差替指示を出力する。
ドキュメント格納装置5の差替部523は、差替指示を受信すると、古い方の単位電子データを退避データの記憶領域に一時的に退避させ(ステップS520)、新しい方の単位電子データを古い方のデータが格納されていた場所に格納する(ステップS525)。これにより、自動的に差替を実行する。
ドキュメント格納装置5の差替確認部524は、ステップS525において差替を行った後、差替が正しく行われたかを確認する差替後自動チェックを行う(ステップS530)。差替確認部524は、単位電子データの差替後、単位電子データの集まりであり、一つの意味を成すドキュメントグループ(例えば、複数枚単位で構成されるドキュメント)の総ページ数の数え上げや、当該ドキュメントグループの目次に記載されている変更管理番号と、新しく格納された単位電子データの変更管理番号が一致していることなどを用いて、正しく差替が行われているかを自動チェックする。
差替確認部524は、差替が正しく行われたと判断すると(ステップS535:NO)、ステップS525において退避させていた古い方の単位電子データを削除する(ステップS540)。この削除は、メモリからの消去でもよく、固有情報などに削除を表すデータを付加するような論理的な削除であってもよい。
この際、人間系への情報提供として、ドキュメント管理装置4は、正しく差替完了したことを示すメッセージを補助入力装置3の表示部32に表示させてもよい。ユーザがこのメッセージを確認し、削除の実行を入力した場合に、退避させていた古い方の単位電子データを削除してもよい。
ドキュメント管理システム1は、図17に示すドキュメントDB生成処理を行う。
一方、差替確認部524は、差替が正しく行われなかったと判断すると(ステップS535:YES)、その旨を補助入力装置3の表示部32に表示するなどして知らせる。ドキュメント管理システム1は、図15のステップS235からの処理を行う。例えば、ユーザは、補助入力装置3からドキュメント格納装置5を参照し、手動操作により単位電子データの差替を行う。
図19は、ドキュメント管理システム1におけるドキュメントの差替後の自動チェック処理を示すフロー図である。差替後の自動チェック処理では、固有情報変更管理と、固有情報DB432及び格納場所DB433への変更の反映を行う。
ドキュメント管理装置4の変更検出部4559は、固有情報DB432の固有情報DBの状態を定期的にチェックし、固有情報に変化が生じているかどうかを検出する(ステップS605)。例えば、属性化情報のうち、階層化の関係が運用上で変更になった場合、図16のステップS360において、ユーザはその変更を補助入力装置3の入力部31により入力する。また、例えば、設備Aの管轄は機場Aだったが、施設統廃合で機場Bとなった場合などは、属性化情報の変更が必要となる。ユーザは、図16のステップS360において、この変更を補助入力装置3の入力部31により入力する。図16のステップS365において、固有情報変更部4558は、この入力に基づいて固有情報を変更する。
変更検出部4559は、固有情報に変化が生じていないと判断した場合(ステップS610:NO)、上述した図17の処理を行う。一方、変更検出部4559が、固有情報に変化が生じたと判断した場合(ステップS610:YES)、処理部45は、この変更内容を固有情報DB432及び格納場所DB433へ反映する。つまりドキュメント管理システム1は、上述した図17のステップS445からの処理を行い、格納場所を自動変更する。
なお、格納場所を自動変更する旨をドキュメント管理装置4の表示部42又は補助入力装置3の表示部32に表示させ、人間系へ情報提供する機能を有してもよい。
上述した実施形態では、ドキュメントから管理用情報を抽出して固有情報を作成しているが、上記の実施形態や他の実施形態での管理用情報の使用を見据え、ドキュメント作成時に固有情報を生成し付与しておいてもよい。例えば、固有情報をそのまま、又は、二次元バーコード、ARコードなどある種の図形の形態でドキュメントに付与しておく。ドキュメント管理装置4がドキュメント電子データを取り込んだ際には、すでに固有情報が付与されている。ドキュメント管理装置4は、属性化情報生成から固有情報生成までの処理は実行せず、付与されている固有情報を直接取得し、固有情報DB432に登録する。
また、ドキュメント作成時に予め固有情報が記載されていないドキュメントに対し、ドキュメント格納装置5が生成した固有情報を付与する。この付与された固有情報には、もともとドキュメントが有している情報以外の関連情報として、関連ドキュメント(信号取合が記載されているドキュメント、おおもとの仕様が記載されているドキュメントなど)の情報や、例えばサービスセンターのURLなどの付加情報を付与しておく。このドキュメントの参照時、ユーザはこれら付与された固有情報を活用したサービスを受けることができる。
また、固有情報に、ドキュメント同士の関連度を示す関連情報を組み入れてもよい。例えば、ドキュメント管理装置4は、ドキュメントAに記載の中で、ドキュメントBの情報(図面番号など)が出現した回数を数える。ドキュメント管理装置4は、出現回数、あるいは、出現回数を単位ページあたりに換算した値を関連度とする。この関連度を活用することで、ドキュメントの参照時、「関連図面は以下があります」等のポップアップ表示を表示画面に表示させるなどの支援機能を提供できる。
また、ドキュメント管理システム1は、DB化と同じ仕組みで固有情報を活用し、ドキュメント格納装置5のドキュメント記憶部51に格納されているドキュメントを体系的にリスト化してもよい。例えば、水道事業者が複数業者から工事毎に完成ドキュメントの納品を受けることから、施設情報の整備が煩雑になることは既述のとおりであるが、この実施形態を用いれば、負担を大幅に減ずることができる。
また、ドキュメントリストの一覧で所望のドキュメント番号をクリックするだけで、所望のドキュメントを参照できるようになるなど利便性を向上させてもよい。
日本を含む先進諸国では、社会インフラの維持管理や更新が緊喫かつ中長期的・継続的な課題となっている。特に、人口減少社会が到来した日本では、高度成長期に急速に整備された社会インフラの再整備・再構築にあたり、財源となる税収やインフラ料金収入の低下、ベテランの職員や現場作業員の退職による人的資源不足を踏まえ、更新需要のピーク平滑化や予算確保のための計画的な改良・更新が不可欠である。
その際、補修・更新といった施設管理とそのための財源を算定し、長期的に管理・経営していくアセットマネジメント(資産管理)の導入が有効となるが、その実施には施設の最新情報を整備しておく必要がある。
しかし、工事完成図書などのドキュメントは業者毎、工事毎に納品される。それらを施設毎・設備毎に体系的に整理し直し、かつ、改良や更新によって生じる変更図面を差し替えるなどの作業が継続的に必要である。これらの労力がアセットマネジメントを導入・実施する上での障壁となっており、施設情報の整備そのものが行われていない場合や、最新情報に保たれていないといった問題がある。
例えば、水道業界では、特に中小事業体において団塊世代の大量退職により人員が不足し、施設情報の整備が十分に行われていないところが多い。そのため、人口減少を踏まえた施設の統廃合や広域化を推進するために必要なアセットマネジメントの導入が遅れており、他方、料金収入不足を賄う水道料金の値上げも受け入れられ難く、非常に深刻な問題となっている。
ドキュメント管理システム1は、これらの労力を軽減し、施設情報を最新情報に保つことが可能である。ドキュメント管理システム1は、社会インフラの図書などドキュメントの管理だけでなく、他の一般のドキュメントの管理へも適用可能である。
上述した実施形態によれば、業者別に、また、工事毎に納品される工事完成図書を、施設毎・設備毎に体系的に整理し直すことや、改良や更新によって生じる変更図書の差し替えなどを反映した施設情報の整備を自動化することが可能となる。よって、従来これらに要していた労力を大幅に削減できる効果(利点)がある。そして、この労力の削減により、アセットマネジメントを実施する障壁を解消することができる。さらに、本実施形態によれば、アセットマネジメントが自動化されるために、人間系作業を大幅に軽減することができるため、最新情報を正確に反映した施設情報の整備を工事完了後に速やかに、かつ正確に実施できる。
これにより、社会インフラの再整備・再構築の課題である更新需要のピーク平滑化や予算確保のための計画的な改良・更新が可能となり、将来に亘って持続可能な社会インフラの機能の維持及び向上に資することができる。このことは、先進諸外国における社会インフラの老朽化問題(例えば、アメリカにおけるハイウェイの補修)や、発展途上国・新興国における急速な社会インフラ整備(例えば、人口の爆発増加に伴う電力インフラ、水インフラの急速な整備)においても、将来に亘り持続可能な社会インフラの機能の維持及び向上を行っていく上で共通となる重要な事項である。
また、人口減少社会が到来した日本においては、水道業界に限らず様々な業界においても、減少する労働力への対応策として、設備やシステムの統廃合及び効率性・利便性を追求していくためのシステムの広域化を推進していく必要がある。そのため、従来別々であったシステムを1つに統合することによるシステムの規模拡大及び複雑化に伴い、図書管理の負担が更に増大していくことは避けられない。
これらのことを踏まえ、本実施形態を適用することにより得られる利点の具体例として、水道事業体における施設情報管理(図書管理)について以下に述べる。
水道事業体では、業者別に、工事毎に納品される工事完成図書の情報に基づき、設備の維持管理や改良更新の計画策定、発注などの業務を行っている。発注では、土木、建築、機械、電気、情報通信などの設備(発注区分)毎に請負業者が異なる。また、同一の発注区分として、例えば電気設備に注目してみると、A機場とB機場で請負業者が異なることも多く、さらには近年の市場競争の激化やオープンシステム採用の影響により、同一機場の電気設備であっても納入業者が複数混在する場合もある。従って、水道事業体が保有する資産(設備やシステムなど)管理は、煩雑を極める。
さらに、人口減少に伴う給水量低下及び水道料金収入低下への対応策として、浄水場や配水池、給水所などの施設の統廃合や、労働力減少への対応策として水道事業者同士の経営統合などが今後推進されていく。よって、施設の名称や管轄の変更などが多数発生し、これらを適切に反映していく必要性から、水道事業体が保有する資産(設備やシステムなど)管理は、より一層の負担の増大を強いられることになる。
また、水道事業体に限ったことではないが、電力、ガス、水道、下水道などの社会インフラ設備は長期間の使用が前提となっている。補修や改良、部分更新が随時行われるが、それらの変更情報は当初納入した図書(例えば、数十枚〜数百枚で構成される展開接続図など)に、変更図面の差し替えを行っていくことで、変更情報を反映しながら長期間に亘って維持管理していく必要がある。
これらのことから、実施形態のドキュメント管理システム1を適用することによる、最新情報を反映した施設情報整備の労力削減、人間系作業を排除した速やか且つ正確性がもたらす効果(利点)は非常に大きい。そして、その効果は対象を水道事業体に限定することなく広く他の分野にも発揮することができる。
具体的な効果としては、以下がある。ドキュメント管理システム1は、ドキュメント1枚単位又は分割可能な最小単位又は利用に適した単位の単位毎に固有の情報を付与する。よって、ドキュメントを格納すべき格納場所の自動生成、自動検索、自動格納、格納場所自動変更、最新版管理による自動差替、差替後の自動チェックの機能を実現できる。従って、既述のドキュメント管理の煩雑さや労力を削減し、速やか且つ正確なドキュメント管理を実現できる効果がある。
なお、ドキュメント管理システム1による管理対象は、社会インフラの図書のようなドキュメントに限定されない。また、ドキュメントとは、図面、取扱説明書、修繕・点検報告書、見積書、伝票、チラシ、カタログなど情報などが記載されているあらゆるものを差し、社会インフラの図面はドキュメントの一例にすぎない。
ドキュメントが持つ情報と、その情報の記載場所に一定の対応関係があるか、若しくはその対応関係を見出すことで適用することができるため、あらゆるドキュメントにその効果を発揮できる。
ドキュメントを収集し、整理し、分類し、差替して最新の情報に維持するなどは、社会インフラにおいて作成されるドキュメント管理のみが抱える課題や問題ではなく、一般の分野における日常業務の書類管理などでも共通である。そのため、本実施形態の効果は、一般の分野でも発揮できる。
例えば、社会インフラシステムの分野に限らず、保管スペース削減のためなどを理由にドキュメントを電子データ化することが行われているが、本実施形態では、ドキュメント1枚単位又は分割可能な最小単位又は利用に適した単位の単位毎に固有の情報を付与する。これにより、ドキュメントを格納すべき格納場所の自動生成、自動検索、自動格納、格納場所自動変更、最新版管理による自動差替、差替後の自動チェックの機能を適用でき、その効果を発揮できる。
また、固有情報の付与においては、バーコードやARコード、二次元バーコードなどの暗号化等(符号化、情報圧縮化など)の技術や、文字コードやバイナリ処理などの変換技術を応用し、情報容量を確保できる。そのため、固有情報に多様かつ多数の属性情報(例えば、カタログなどであれば、カタログが扱う商品、カタログ番号、メーカー、発行年月日など)を含めることができ、適用分野やその範囲は非常に広いといえる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、属性付与部とドキュメント管理部とを持つことにより、ドキュメントを体系的にドキュメント格納装置に格納することができる。
上述した実施形態におけるスキャン装置2、補助入力装置3、ドキュメント管理装置4、ドキュメント格納装置5、閲覧装置6及び印刷装置7の一部又は全ての機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、スキャン装置2、補助入力装置3、ドキュメント管理装置4、ドキュメント格納装置5、閲覧装置6及び印刷装置7の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。