JP2017134172A - 眼鏡レンズ - Google Patents
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このような眼鏡レンズを装用すれば、近方視の際の視線を補助レンズ104のプリズム効果により無理なく鼻側に屈曲させることができるため、輻輳力が十分でない場合、あるいは斜位や斜視がある場合に有効である。
特に補助レンズ104のプリズム量を大きくした場合には境界部106での段差が大きくなり、また補助レンズ104自体を大きくした場合には境界部106の周長が長くなり、何れの場合も境界部106が目立ってしまい、補助レンズ104によるプリズム効果と見栄えの両立が難しい。
また境界線や段差があることにより装用者自身が感じる違和感も、解消又は軽減することができる。
このようにした場合、結合部を通って左右方向に延びる軸に対する、左側上部境界線、右側上部境界線、左側下部境界線、及び、右側下部境界線の角度によって補間面の大きさが決定される。例えばレンズ下部に大きなプリズム量を設定した場合にはレンズ上部とレンズ下部とで厚みの違いが大きくなるが、設計段階において上記角度を広げて補間面を大きく設定することより、上部屈折力面と下部屈折力面との間に明確な境界線が現れるのを防止することができる。
かかる請求項3においても上部屈折力面と下部屈折力面の間は滑らかな補間面とされているので、遠用部と近用部との間に明確な境界線は現れず、装用者の外観を損ねることを防止することができる。
これに対し請求項4では、レンズ外面を累進屈折面とする一方、レンズ内面の結合部の1点で上部屈折力面又は下部屈折力面をねじることでレンズの上部又は下部のみに特定のプリズム成分を付加することができるため中間部での収差の発生を最小限に抑えることができる。
このようにすることで、累進領域の途中に位置する結合部のポイントで度数変化を大きくすることができる。これにより、従来の累進屈折力レンズに比して少ない眼球運動・回旋量で、遠用・近用の切替えが可能となり、疲労が軽減される。
尚、中間部における明視領域を確保するため、外面の累進屈折面における加入度を、内面の二重焦点面における加入度よりも大きくしておくのが望ましい。
レンズ10はレンズ前面が球面形状をなしており、レンズ内面(後面)の上側に上部屈折力面11が、下側に下部屈折力面12が形成されている。
上部屈折力面11と下部屈折力面12との間は、上部屈折力面11と下部屈折力面12とを滑らかに連結する曲面状の補間面16(図1(B)の斜線部分参照)とされている。
補間面16は、非点収差を生じる面であり、以下、レンズ10において、レンズ内面が補間面16である部分を非点収差部26、上部屈折力面11である部分を上部21、下部屈折力面12である部分を下部22とする。
本例ではレンズ10の上部21に特定のプリズム成分を設定せず、レンズ10の下部22のみに鼻側に基底方向があるプリズム成分を設定している。このため、図2(A)で示すように上部21ではレンズ内面の上部屈折力面11が、前後方向を示すZ軸に対して対称に形成される一方、図2(B)で示すようにレンズ10の下部22では下部屈折力面12とレンズ前面との厚みが鼻側(図中左側)で厚く、耳側(図中右側)で薄くなるように、下部屈折力面12全体が前後方向に傾斜している。
このため本例では、上部屈折力面11と下部屈折力面12の面形状を比べると、左右方向の縁部近傍で前後方向の位置が互いに異なっているが、前述のように上部屈折力面11と下部屈折力面12との間は、補間面16により滑らかに連結されているため、上部屈折力面11と下部屈折力面12との間に明確な境界線は生じない。
加えて本例では、レンズ10の下部22にて近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分が得られるように、レンズ内面の結合部13の1点で下部屈折力面12をねじってレンズ外面との厚みが鼻側で厚く、耳側で薄くなるようにする。
尚、本例では図1で示すようにレンズ10の幾何学中心Oを通って左右方向に延びる軸をX軸、幾何学中心Oを通って上下方向に延びる軸をY軸、幾何学中心Oを通ってX軸及びY軸に直交する軸をZ軸とする。
例えばレンズ10の下部22のみに大きなプリズム量を設定した場合には、レンズの上部21と下部22とで厚みの違いが大きくなるが、設計段階において内面角度θ1,θ2を大きくして補間面16を広く設定することより、上部屈折力面11と下部屈折力面12との間に明確な境界線が現れるのを防止することができる。
同実施形態に係る眼鏡レンズ30は、累進屈折力レンズの下部に、近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分を設定したものである。
このレンズ30は上側に遠方の物体を見るために使用する遠用部31を、下側に近方の物体を見るために使用する近用部32を、遠用部31と近用部32との間に度数が変化する中間部33を備えた構成とされている。
更に本例では、レンズ30の上部(即ち内面36が上部屈折力面51である部分)に特定のプリズム成分を設定せず、レンズ10の下部(即ち内面36が下部屈折力面52である部分)のみに鼻側に基底方向があるプリズム成分を設定している。このため、前述の図2(B)で示した下部屈折力面12と同様に、レンズ前面35との厚みが鼻側で厚く、耳側(図中右側)で薄くなるように、下部屈折力面52全体が前後方向に傾斜している。
但し、結合部53が前後方向において外面35の累進領域43の途中位置に重なるように、結合部53は幾何学中心OからY軸方向にδだけ下がった位置に定めておく。例えば幾何学中心Oから下方に12mmの累進帯長が設定されたレンズにおいて、図5(B)のδが7mmとなる位置に結合部53を設けておく。
そして結合部53における上部屈折力面51と下部屈折力面52のZ座標値及びY軸方向の傾きを算出し、それぞれの差を求める。そして、それらの差がなくなるように、下部屈折力面52をZ軸方向に移動し、かつ、上部屈折力面51に対して傾ける。
加えて本例では、レンズ30の下部にて近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分が得られるように、レンズ内面の結合部53の1点で下部屈折力面52をねじってレンズ外面35との厚みが鼻側で厚く、耳側で薄くなるようにする。
そして上部屈折力面51と下部屈折力面52との間は前述の第1の実施形態と同様の手法を用いて補間面54にて連結する。
図6(A)は、累進屈折面が形成された従来の累進屈折力レンズにおける明視領域を示している。この場合において、レンズの面形状を変化させてレンズの下部のみに特定のプリズム成分を付加すると中間部33全体にねじれが生じて図6(C)で示すように中間部33の明視領域が収差でつぶれてしまう。
これに対し本実施形態では、レンズ内面の結合部53の1点で下部屈折力面52をねじることでレンズの下部のみに特定のプリズム成分を付加することができるため図6(B)で示すように中間部33での収差の発生を最小限に抑えることが可能である。
この実施例(実線)は累進帯長12mmの累進屈折力レンズで、全体加入度2.00Dに対し累進屈折面における加入度を1.25D、二重焦点面における加入度を0.75Dとしたもので、比較例(破線)は累進屈折面だけで加入度2.00Dとしたものである。
同図で示すようにこの実施例では、累進領域が始まる幾何学中心O近傍において度数変化が緩やかで正面視がしやすい。また幾何学中心Oから7mm下方の結合部53の位置に相当するポイントの下方では、加入度が比較例よりも大きくなっている。すなわち、近用部32が上方に拡大されている。従って、実施例では比較例に比して少ない眼球運動・回旋量で、遠用・近用の切替えが可能である。
また乱視度数が処方された場合は、レンズの内面に乱視度数成分を付加することが可能である等、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で実施可能である。
11,51 上部屈折力面
12,52 下部屈折力面
13,53 結合部
14L,14R 上部境界線
15L,15R 下部境界線
16,54 補間面
21 上部
22 下部
35 外面
36 内面
41 遠用領域
42 近用領域
43 累進領域
Claims (5)
- 内面の面形状に基づいて上部と下部とで異なるプリズム成分が設定された眼鏡レンズであって、
前記内面に形成された上部屈折力面と下部屈折力面とは、点状の1つの結合部でのみ接し、前記結合部における前記上部屈折力面と前記下部屈折力面の上下方向の傾きは、同一とされ、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面の間は、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面を滑らかに連結する曲面状の補間面とされていることを特徴とする眼鏡レンズ。 - 前記上部屈折力面と前記補間面との境界線が、背面視において、前記結合部から左斜め上方に延びる直線状の左側上部境界線と、前記結合部から右斜め上方に延びる直線状の右側上部境界線とから構成され、
前記下部屈折力面と前記補間面との境界線が、背面視において、前記結合部から左斜め下方に延びる直線状の左側下部境界線と、前記結合部から右斜め下方に延びる直線状の右側下部境界線とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ。 - 前記内面が、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とされていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の眼鏡レンズ。
- 外面が、上側に遠方の物体を見るために使用する遠用領域を、下側に近方の物体を見るために使用する近用領域を、前記遠用領域と前記近用領域との間に連続的に度数が変化する累進領域を備えた累進屈折面とされ、
前記結合部が、前後方向において前記累進領域の途中位置と重なるように設けられていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の眼鏡レンズ。 - 前記内面が、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とされていることを特徴とする請求項4に記載の眼鏡レンズ。
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シリーズ総編集 大鹿哲朗,大橋裕一 編集 平田直, 専門医のための眼科診療クオリファイ 1 屈折異常と眼鏡矯正, JPN7018002669, 2010, JP, pages 168, ISSN: 0003853588 * |
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