JP2017132712A - モノクローナル抗体、検出方法、及び検出装置 - Google Patents

モノクローナル抗体、検出方法、及び検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】マイコプラズマ・ニューモニエに対する反応性の高いモノクローナル抗体、及び、検出装置の提供。【解決手段】マイコプラズマ・ニューモニエのP30タンパクにおける、N末端より177番目から274番目までのC末端側に複数回出現する特定のアミノ酸配列に特異的に反応するが、N末端から176番目までには反応しない前記モノクローナル抗体。及び、前記モノクローナル抗体を用いたサンドイッチ法によるイムノクロマトによる免疫学的検出装置。【選択図】図1

Description

本発明は、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)の検出に用いるモノクローナル抗体及びそれを用いる関連技術に関するものである。
マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)は、肺炎の原因となる菌の一つであり、感染すると激しい咳と発熱が長期にわたり続くのが特徴である。
患者の気道からは、数週から数ヶ月にわたりこの菌が分離され、主に接触や咳による飛沫感染で伝播し、家庭や学校、病院などの施設内のような閉鎖的な空間で流行しやすい。気管支や肺胞外部にある間質という組織で炎症を起こすため、他の肺炎と異なり聴診器で聞かれる雑音が出にくく、診断が遅れてしまうことも多い。
典型的な症状では、発熱や全身倦怠,頭痛を伴った気分不快が数日続き、乾性の咳に始まり、以後は悪化すると痰がからみ血痰になることもある。咳は解熱後も3〜4週にわたり続く。
マイコプラズマ肺炎は間質の肺炎であり、重症化することは少ないとされるが、長期化することによって気管支炎や肺炎を併発し、さらに気管支喘息を起こすこともある。稀に重症肺炎になり、胸水が貯留することもある。
患者の中には、吐き気,嘔吐,下痢の消化器症状を起こし、中耳炎や副鼻腔炎、鼓膜炎,さらには筋肉痛・関節痛・発疹などが出現する場合もある。
合併症として、中枢神経の異常(無菌性髄膜炎、脳炎、ギラン・バレー症候群)、皮膚病変、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎など様々な症例が報告されている。これらの症状には個人差があり、数日で治る人から1ヶ月以上続く人もある。
肺炎球菌による老人に特有な肺炎とは異なり、マイコプラズマ・ニューモニエによる肺炎は、幅広い年齢層で罹患し、特に幼児期、学童期、青年期に多く見られる。潜伏期間は、2〜3週間とかなり長いため、その間の周囲への感染拡大にも注意が必要である。重症化することは一般的には少ないと言われるが、十分な免疫が出来にくいために、何度も繰り返し感染することがある。
マイコプラズマ・ニューモニエは、他の細菌と異なり細胞壁を持たないため、ベータラクタム系(ペニシリン系およびセファム系)の抗生物質に感受性を示さない。
そのため、治療薬としては、マクロライド系抗生物質が第一選択肢あり、エリスロマイシン、リカマイシン、クラリス、ミオカマイシン、ジョサマイシン、クラリシッド、ジスロマック等がよく使用される。
最近では、このマクロライド系の抗生物質が効かない耐性菌が増えてきて問題となっており、このような耐性菌には、ミノマイシンなどのテトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質が使用される。
マイコプラズマ・ニューモニエの診断は、一般的な感染症の指標である白血球や、CRP(炎症反応)の上昇が少なく、これらの一般的な血液検査では困難である。診断の一つとしては、マイコプラズマ・ニューモニエに感染することで体内に作られる抗体を利用して、採血してこれを調べる方法がある。
正確な検査方法は、ペア血清を用いて比較する方法であり、症状が現れ始めた頃(急性期)と、約2週間後の回復した頃(回復期)の2回採血して、この間の抗体価の上昇の程度を見て診断する方法である。通常、4倍以上抗体が上昇していればマイコプラズマ・ニューモニエと診断できる。急性期の1回だけの採血では、320倍以上などの高力価をもって診断する。
しかし、この方法は、適正な時期に採血出来ないと正確な結果が得られず、また、結果がわかるまで長期間がかかるという欠点がある。
より信頼できる診断方法としては、分離培養法と遺伝子検査法がある。分離培養は、確定診断法でもあり、専用のPPLO培地に咽頭ぬぐい検体や喀痰検体を播いて2〜4週間の期間、培養することで判定するが、数パーセントの割合でうまく育たないことがある。
遺伝子検査としては、マイコプラズマのDNAを抽出・増幅して検出することが出来るPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)やLAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)法があり(特許文献1:特開2009−131174号公報参照)、培養法とよく相関することが知られている。
これらは高感度で特異性の高い方法として非常に有用であるが、特別な装置を必要とし、試料の前処理などが煩雑であるうえに、結果が出るまでに数時間を要する。更に検査コストも高いことから、開業医などで広く検査に採用することはできない。
マイコプラズマ・ニューモニエを免疫反応により検出しようとする試みは早くから行われており、古くは1988年に同定用及び診断用試薬のためのモノクローナル抗体の製造法、およびこれを用いた酵素免疫測定法や凝集法による検出が開示されている(特許文献2:特開昭63−184064号公報)。
さらに、1993年には、マイコプラズマ・ニューモニエに特異性の高いP1タンパクに対するモノクローナル抗体の作製とこれを用いた検出法(特許文献3:特開平5−304990号公報)、2001年にはマイコプラズマ・ニューモニエのRibosomal ProteinL7/L12タンパクに対して特異的なモノクローナル抗体と検出法(特許文献4:国際公開第2001/57199号公報)も開示されている。
そして最近では、マイコプラズマ・ニューモニエ抗原を免疫的に検出する簡易迅速検査法として、P1タンパクに対するモノクローナル抗体を用いたイムノクロマト法(特許文献5:特開2013−72663号公報)、Dnakに対するモノクローナル抗体を用いたイムノクロマト法(特許文献6:国際公開第2011/068189号公報)、P30タンパクに対するモノクローナル抗体を用いたイムノクロマト法(特許文献7:国際公開第2015/025968号公報)も開示されている。
なお、特許文献7には、P30タンパクに対するモノクローナル抗体が概念的に記載されているものの、「エピト−プはアミノ酸配列AA74−274に存在する」という漠然とした記載しかない。もとより、274個あるアミノ酸の配列のうち、74個から274個までという範囲は、全体の約73パーセントに及び、エピトープを具体的に特定しているとは言えない。結局、当業者といえども、特許文献7を実用に供することはできない。
これらのイムノクロマト法を用いた試薬は既にいくつかが販売されており、咽頭患部を綿棒で拭って緩衝液などに溶出させ、テストデバイスに滴下するだけの簡単な操作で十数分以内に出現するラインの有無による判定で感染の有無を知ることが出来るため、抗生物質の選択のため感染初期の診断を望む臨床現場に取り入れられるようになってきた。
しかしながら、マイコプラズマ肺炎では抗原量が比較的少ないために、これらの方法では感度が不十分であり、感染患者の取りこぼしが大きな問題となっている。
また、Dnakを標的にした場合には、近縁種のマイコプラズマ・ジェニタリウムとも交差反応し(特許文献6)、L7/L12タンパクを標的とした市販キットでもマイコプラズマ・ジェニタリウムとの交差反応性が記載されている。このように標的の配列によっては、近縁種の細菌と交差反応性を有する問題がある。
一方、標的の配列部分にアミノ酸の置き換えの変異や欠損が発生すると反応性が変化して、抗体の特異性に合致せず、その結果免疫反応ができなくなり感染者を陰性と判断してしまう可能性もある。
ここで免疫反応の標的タンパクとなるP1タンパク、及びP30タンパクは、細胞吸着器官の先端部に存在しており、気道上皮に付着して感染する際の接着タンパク(adhesin)として非常に重要な役割を果たしている。
そのうちP30タンパクは、一般的には274個のアミノ酸からなり、様々な変異株の配列分析や、マイコプラズマ属の他の近縁種細菌(M.genitaliumやM.gallisepticum)との類似配列の比較分析もなされている(非特許文献1:JOUNAL OF BACTERIOLOGY、APR.2011、p1726−1733)。
P30タンパクの配列中には、近縁種のマイコプラズマ属のジェニタリウムに存在する同様の接着タンパクであるP32に全く同じ配列が存在しており、N末端から50〜130番目あたりには全体的に高い相同性が認められている。
73〜125番目の配列については、以下に示すようにマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma Genitalium)のP32タンパクの68〜120番目の配列と非常によく似ていて、P30の81番目CがP32の76番目Sに、P30の117番目LがP32の112番目Iに換わっているだけである。
マイコプラズマ・ニューモニエ P30 アミノ酸配列 73〜125
「WFIPTVAGCFGFSALAIILGLAIGLPIVKRKEKRLLEEKERQEQLAEQLQRIS」
マイコプラズマ・ジェニタリウム P32 アミノ酸配列 68〜120
「WFIPTVAGSFGFSALAIILGLAIGLPIVKRKEKRLLEEKERQEQIAEQLQRIS」
このように、P30に対するモノクローナル抗体であっても、マイコプラズマ・ジェニタリウムなど他の種類の菌と相同性の高い部分の配列にエピトープを持つ場合には、交差反応の影響が大きくなることが考えられる。
サンドイッチ反応においては、固相化抗体、標識抗体の両方に交差反応があればマイコプラズマ・ニューモニエでなくとも近縁種細菌の存在で偽陽性判定となり、いずれか一方の抗体のみに交差反応性がある場合にはマイコプラズマ・ニューモニエが存在していても、近縁種細菌の共存の影響でサンドイッチ結合を阻害されるために偽陰性判定となることが考えられる。
P30タンパクは、N末端から177番目以降の配列(C末端側)に特徴的な繰り返し配列を持つことが知られており、この繰り返し配列の結合ペプチドを合成して免疫原としたポリクローナル抗体も作製されている。
しかしながら、ヒトの組織タンパクであるケラチン、ミオシン、フィブリノーゲンと免疫的な交差反応性を示すなど、その好ましくない性質についても報告されている(非特許文献2:INFECTION AND IMMUNITY、July、1996、p2595−2601)。
特開2009−131174号公報 特開昭63−184064号公報 特開平5−304990号公報 国際公開第2001/57199号公報 特開2013−72663号公報 国際公開第2011/068189号公報 国際公開第2015/025968号公報 JOUNAL OF BACTERIOLOGY、APR.2011、p1726−1733 INFECTION AND IMMUNITY、July、1996、p2595−2601
本発明は、マイコプラズマ・ニューモニエに対する反応性の高いモノクローナル抗体及び、これを用いる検出装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係るモノクローナル抗体は、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)のP30タンパクにおける、N末端より177番目から274番目までのC末端側に複数回出現するアミノ酸配列に特異的に反応するが、N末端から176番目までには反応しない。
より具体的には、アミノ酸配列PGMAPRPに反応性を有する第一のモノクローナル抗体である。
また、別のアミノ酸配列PHPGMAPに反応性を有する第二のモノクローナル抗体である。
そして本発明は、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)を第一のモノクローナル抗体、第二のモノクローナル抗体を用いてサンドイッチ反応により免疫学的に検出する装置を提供する。
第一のモノクローナル抗体、第二のモノクローナル抗体のいずれかが、当該発明のモノクローナル抗体であり、より好ましい形態においては、第一のモノクローナル抗体と第二のモノクローナル抗体の両方に当該モノクローナル抗体を組み合わせて使用する。
好ましくは、免疫学的検出方法はイムノクロマト法である。
マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)のP30タンパクのN末端より177番目以降のC末端側に複数存在するアミノ酸配列を検出することでP30タンパクを認識しマイコプラズマ肺炎を診断する方法を提供する。
P30タンパクに繰り返し配列が存在することは、同一タンパク中に複数存在する標的を検出する方法を作ることによって、その数に対応して感度を上げることが出来るため非常に有用である。
更に、標的部位の一部に欠損が発生したり部分的に変異が発生したりしても取り逃しなく検出できるという大きなメリットがある。
本発明者らは、以下に述べるように、P30タンパク中に複数存在する配列に対するモノクローナル抗体を作製することに成功し、効率よくマイコプラズマ・ニューモニエを検出できる技術を確立するに至ったものである。
本発明におけるモノクローナル抗体を用いると、簡便かつ迅速にマイコプラズマ・ニューモニエを検出できるイムノクロマト法による検出装置を提供できる。また、マイコプラズマ・ニューモニエのP30タンパクと、マイコプラズマ・ジェニタリウムのP32タンパクとを弁別できるし、更に、標的タンパク中において一部に欠損が発生したり部分的に変異が発生したりしても取り逃しなく検出することができ、正しい診断が可能となる。
(開発の経緯)
まず本発明者らが本願発明の完成に達するまでの経緯を述べる。
モノクローナル抗体の作製は、免疫原にマイコプラズマ・ニューモニエFH株菌体の可溶化物を用いて常法に従って行った。
すなわち、マイコプラズマ・ニューモニエFH株可溶化抗原と完全フロインドアジュバンドを混合して、エマルジョンを調製し、これをマウスの腹腔内に免疫した。
免疫から二週間後、同じくマイコプラズマ・ニューモニエFH株可溶化抗原と不完全フロインドアジュバンドを混合してエマルジョンを調製し、前記マウスの腹腔内に追加免疫を3回行った。
最終免疫の3日後に、マウスから脾臓を摘出し、その中に含まれる免疫細胞を取り出し、ポリエチレングリコールの存在下で、骨髄腫ミエローマ細胞と細胞融合を行い、ハイブリドーマを調製した。各ハイブリドーマから産生される培養上清中の抗体を、抗原結合プレート、及び抗マウスPOD(西洋わさびペルオキシダーゼ)標識ポリクローナル抗体を用いたELISA法で確認することにより抗原に反応するモノクローナル抗体生産株23種を選別した。
選別されたモノクローナル抗体は、それぞれ腹水化を行った後に、プロテインGアフィニティークロマトカラムを用いてIgGとして精製し、これらを用いてイムノクロマト法の試作を行い反応性の確認を行った。
すなわち、それぞれのモノクローナル抗体を1mg/ml濃度でPBS緩衝液にて調製し、ニトロセルロースメンブレン(ミリポア社:HF0135ハイフローメンブレン)に1.3μL/cmをライン状に塗布して結合させた。これを十分に乾燥させたのちに約5mm幅の短冊状に裁断してテストストリップを作製した。
一方、それぞれのモノクローナル抗体は金コロイド粒子(平均粒径60μm)に結合させることで標識物を作製した。
これらを組み立ててイムノクロマト法の抗原サンドイッチによる検出試薬として作製し、マイコプラズマ・ニューモニエ抗原との反応性を確認した。
ここで、本発明者らは、P30タンパクに反応性を有する、特に検出感度の高い2種のモノクローナル抗体を選定し、これらをそれぞれ抗マイコプラズマ モノクローナル抗体#004(以下、抗体#004)、と抗マイコプラズマ モノクローナル抗体#006(以下、抗体#006)と名付けた。
以下にP30タンパクの代表的な全配列を示す。
[P30タンパク(Wild Type:M129株)のアミノ酸274個全配列]
MKLPPRRKLKLFLLAWMLVLFSALIVLATLILVQHNNTELTEVKSELSPLNVVLHAEEDTVQIQGKPITEQAWFIPTVAGCFGFSALAIILGLAIGLPIVKRKEKRLLEEKERQEQLAEQLQRISAQQEEQQALEQQAAAEAHAEAEVEPAPQPVPVPPQPQVQINFGPRTGFPPQPGMAPRPGMPPHPGMAPRPGFPPQPGMAPRPGMPPHPGMAPRPGFPPQPGMAPRPGMPPHPGMAPRPGFPPQPGMAPRPGMQPPRPGMPPQPGFPPKR
(エピトープの解析)
抗体#004および抗体#006をリガンド固定用カラムに結合させてアフィニティークロマトカラムを作製し、マイコプラズマ・ニューモニエ菌体の可溶化溶液からのP30タンパクを精製したところ、N末端のアミノ酸配列は「AEEDTVQIQGKPITE」であることがアミノ酸分析の結果より明らかとなった。
これはP30の全アミノ酸配列274個のうちN末端から55個迄のアミノ酸が欠損して、配列番号の56番目のA(アラニン)から並んでいるものであることが分かった。
すなわち、抗体#004および抗体#006は、マイコプラズマ・ニューモニエの接着タンパク(Adhesin Protein)として知られているP30抗原(接着因子)の56番目〜274番目の配列のうち、いずれかの配列をエピトープとして認識するモノクローナル抗体である。
エピトープをさらに詳細に調べるために、以下に示すP30を断片化した発現タンパクを作製した。これらの発現蛋白は、一般的な遺伝子組み換えの手法によりそれぞれの配列に該当する遺伝子配列をプラスミドDNAに組み入れた大腸菌を培養することで作製した。
これらの組み換えタンパク配列を用いて、ウエスタンブロッティングを行い、その結果により抗体#004および抗体#006との反応性を確認した。
断片化フラグメント名とP30のアミノ酸配列の番号
SS− :配列番号52−274
No.4:配列番号52−155
No.5:配列番号81−175
No.6:配列番号101−195
No.7:配列番号121−215
No.8:配列番号141−235
No.9:配列番号161−255
No.10:配列番号181−274
No.5′:配列番号52−175
No.6′:配列番号52−195
No.7′:配列番号52−215
No.8′:配列番号52−235
No.9′:配列番号52−255
その結果、抗体#004および抗体#006は、断片化フラグメントNo.4,No.5には反応せず、No.6〜No.10、および、No.6’〜No.9’までに反応性が認められた。
これらの共通の配列を確認したところ、P30の181〜195番目のアミノ酸配列PRPGMPPHPGMAPRPを認識することが分かった。
Figure 2017132712
<実施例1>
[合成ペプチドによるイムノクロマト競合法による測定]
P30のアミノ酸配列PRPGMPPHPGMAPRPの中から以下に示すペプチドを作製した。これらを検体として使用し、マイコプラズマ・ニューモニエ抗原を固相に用いたイムノクロマト競合法による測定を行った。
(合成ペプチド)
ペプチド1−1:PRPGMPPHPGMAPRP
ペプチド1−2:PGMPPHPGMAPRP
ペプチド1−3:GMPPHPGMAPRP
ペプチド1−4:MPPHPGMAPRP
ペプチド1−5:PHPGMAPRP
ペプチド1−6:PGMAPRP
ペプチド1−7:PGMAPR
ペプチド1−8:PGMAP
ペプチド1−9:MPPHPGM
ペプチド1−10:GMPPHPGMAP
ペプチド1−11:MPPHPGMAP
ペプチド1−12:GMPPHPGM
ペプチド1−13:PPHPGM
図1を参照しながら、以下検出装置の作製方法を示す。ここで、図1(a)は本発明の一実施の形態における検出装置の側面図、図1(b)、(b’)は同検出装置の正面図である。
図1に示すように、この検出装置は、滴下部11、標識区域12、多孔質担体13、検出区域14、対象区域15、吸液部16を有する。
また図中、Aは、マイコプラズマ・ニューモニエ、Bは、本発明のモノクローナル抗体を標識したモノクローナル抗体標識物、Cは複合体、Xは合成ペプチドである。
この検出装置は、イムノクロマト競合法を利用した、モノクローナル抗体標識物の、種々の合成ペプチドへの反応性を確認するための装置であるが、他の要素は、イムノクロマト競合法を利用した検出装置として、通常使用されるもので差し支えない。以下、更に詳しく説明する。
(標識成分の調製)
G.Frens(Nature、241、20−22、1973)の方法に従い金コロイド粒子を作製した。この金コロイド10mLに対し、抗体♯004を40μg室温にて混合し、金コロイド標識抗体♯004を調製した。同様にして金コロイド標識抗体♯006も調製した。
(標識区域12の調製)
金コロイド標識抗体♯004をOD520nm=1.0となるように調製し、反応確認のために対照として金コロイド標識ウサギγグロブリンをOD520nm=0.2となるように調製したものを混合し調製液を作製した。
この調製液をガラス繊維パッドにテスト当たり36μLずつそれぞれ塗布した後、凍結乾燥させ、標識区域12である金コロイド標識抗体♯004#塗布パッドを調製した。抗体♯006についても同様に金コロイド標識抗体♯006塗布パッドを調製した。
(検出区域14の調製)
マイコプラズマ・ニューモニエ FH株(ATCC♯15531)を8.1x108CFU/mLとなるようにPBS緩衝液で調製し、多孔質坦体13であるニトロセルロースメンブレン(ミリポア社)の所定位置に、テスト当たり0.73μLでライン状に塗布し検出区域14を形成した。
また、検出区域14の下流側に、抗ウサギ抗体をテスト当たり0.73μLで塗布し、反応確認のための対照区域15を形成した。乾燥作業を経て、マイコプラズマ・ニューモニエ抗原固相化メンブレン(検出区域14の配置された多孔質担体13)を調製した。
(検出装置の作製)
滴下部11としてのADVANTEC Grade60(商標)濾紙を用い、金コロイド標識抗体♯004塗布パッド、マイコプラズマ・ニューモニエ抗原固相化メンブレン、吸液部16としての濾紙とをそれぞれ重ね合わせ、粘着剤付きの台紙に貼付してイムノクロマト競合法を利用した検出装置を作製した。同様に抗体♯004の代わりに抗体♯006を用いた検出装置も作製した。
(検体試料液の調製)
抽出液としてTris−HCl緩衝液を用い、この抽出液にて各ペプチドをそれぞれ1.0mg/mLとなるように調製し、検体試料液として用いた。対照として、抽出液のみを用いた。
(反応性試験)
作製した2種の検出装置に検体試料液をピペットで100μL滴下した後、15分後の検出区域14のライン発色を確認した。ここで、マイコプラズマ・ニューモニエ抗原固相化メンブレンと、各モノクローナル抗体(抗体#004、抗体#006)は免疫反応して、金コロイドの赤紫色の発色ラインを形成するが、エピトープに対応するペプチドが存在すると競合的に阻害がかかり、発色ラインが形成されない。
すなわち、発色の阻害があることで、モノクローナル抗体のエピトープを含むペプチドであることが確認される。
(モノクローナル抗体#004の検討結果)
発色に阻害がかかったもの:ペプチド1−1、ペプチド1−2、ペプチド1−3、ペプチド1−4、ペプチド1−5、ペプチド1−6
発色したもの:ペプチド1−7、ペプチド1−8、ペプチド1−9
以上の結果より、モノクローナル抗体♯004は「PGMAPRP(Pro−Gly−Met−Ala−Pro−Arg−Pro)」であることが判明した。
(モノクローナル抗体#006の検討結果)
発色に阻害がかかったもの:ペプチド1−1、ペプチド1−2、ペプチド1−3、ペプチド1−4、ペプチド1−5、ペプチド1−10、ペプチド1−11
発色したもの:ペプチド1−6、ペプチド1−9、ペプチド1−12、ペプチド1−13
以上の結果より、モノクローナル抗体#006は「PHPGMAP(Pro−His−Pro−Gly−Met−Ala−Pro)」のペプチド配列に反応性を有することが確認された。
さらに、抗体#006については、「PHPGMAP」の2つめのアミノ酸がRに置換された「P“R”PGMAP」および6番目がPに置換された「PHPGM“P”P」にも反応性を有することが確認された。
これらのエピトープであるアミノ酸配列について、P30タンパク中の存在位置を調べた。まず、NCBI(National Center for Biotechnology Information)のProtein BLASTにて、マイコプラズマ・ニューモニエのP30タンパクを検索したところ27種のデータが得られた。(2015年12月10日時点)
Figure 2017132712
ここで、AAD40198は、極めて特殊な変異株(class2−3 mutant)であり目的の配列を持たないため分析対象から外し、他の株の配列を調べると、N末端から177番目以降に、エピトープに該当する配列が含まれることが分かる。
この配列はP(プロリン)を多く含む繰り返し配列構造があることがよく知られており、非特許文献1にも記載されているように、主に3種の繰り返し配列を含んでいる。これらの177番目以降の配列をまとめると次の5種のグループに分類される。
なお、WildタイプであるM129株はグループ1、FH株はグループ2に分類され、ほとんどの株はグループ1、またはグループ2に属する。
(グループ1)
AAD40199、P75330、WP_010874809、AGC04353、NP_110141、ALA30330、ALA35258、ALA34557、ALA33841、ALA33136、ALA32435、AAB96036、AAB36603
(グループ2)
BAL22031、WP_014325546、ALA37372、ALA39474、ALA38776、ALA38073、ALA36662、ALA35953、ALA30620、ABR09215
(グループ3)
WP_038534422
(グループ4)
CAB56613
(グループ5)
AAC45467
そして、非特許文献2にならって6個のアミノ酸からなる繰り返し配列PGMAPR(Pro−Gly−Met−Ala−Pro−Arg)を配列A、繰り返し配列PGMPPH(Pro−Gly−Met−Pro−Pro−His)を配列B、繰り返し配列PGFPPQ(Pro−Gly−Phe−Pro−Pro−Gln)を配列Cとそれぞれ表すと、各グループは次のように表現される。
グループ1
「配列A・配列B・配列A・配列C・配列A・配列B・配列A・配列C・配列A・配列B・配列A・配列C・配列A+PMGQPPRPMGPPQPGFPPKR」
グループ2
「配列A・配列B・配列A+SGFPPQ+配列A・配列B・配列A・配列C・配列A・配列B・配列A・配列C・配列A+PMGQPPRPMGPPQPGFPPKR」
グループ3
「配列A・配列B・配列A・配列C+PGMALRQGMPPH+配列A・配列C・配列A+PMGQPPRPMGPPQPGFPPKR」
グループ4
「配列A・配列B・配列A・配列C・配列A+PMGQPPRPMGPPQPGFPPKR」
グループ5
「配列A+PMGQPPRPMGPPQPGFPPKR」
抗体♯004のエピトープと考えられる配列PGMAPRPについては、配列Aに配列B、配列CまたはP(Pro)が続いている部分となるため、グループ1に7か所、グループ2に6か所、グループ3に4か所、グループ4に3か所、グループ5に1か所存在していることが分かる。
抗体#006のエピトープと考えられる配列PHPGMAPについては、配列Bに配列Aが続くか、PH(Pro−His)に配列Aが続く部分となるため、グループ1に3か所、グループ2に3か所、グループ3に2か所、グループ4に1か所存在し、グループ5には存在していないことが分かる。
ここで抗体#006は、「P“R”PGMAP」および「PHPGM“P”P」にも反応するため、配列Aと配列Bの連続部分、および各配列のC末端側にある配列中の「PRPGMPP」にも反応すると考えられる。
この配列は他のエプトープと重なることもあるが、グループ1に4か所、グループ2に4か所、グループ3に2か所、グループ4に1か所、グループ5に1か所存在していることが分かる。そのため、グループ5のような特殊な変異株でも検出可能となる。
また、グループ2において、配列Cである「PGFPPQ」が「”S”GFPPQ」に変換されている部分があり、グループ3では配列Aである「PGMAPR」が「PGMA“L”R」に、配列Bである「PGMPPH」が「”Q“GMPPH」に変換されている部分がある。
このように、株によって部分的に変異することに対して、繰り返し構造を捕まえることで他の配列部分でも検出可能となり、偽陰性をなくす上でも大変重要なのである。
すなわち、このような繰り返し配列を認識することは、反応の機会を増やすことが出来るため高感度化につながるのみならず、種々の変異や欠損に対しても取りこぼしなく検出できる大きなメリットがあることが分かった。
<実施例2>
続いて検出装置の実施例について述べるが、装置はELISA法や免疫凝集法など、当該モノクローナル抗体を用いて確立される免疫測定系は種々考えられ、ここに記載するイムノクロマト法に限定されるものではない。
また、装置に使用するモノクローナル抗体は、当該発明の2種のモノクローナル抗体を組み合わせて使用することが望ましいが、いずれか1種を他のP30タンパクに反応する抗体と組み合わせて使用することも当然可能であり、これも本発明に含まれる。
また、他の抗体についてはモノクローナル抗体のみならずポリクローナル抗体も使用することが出来る。
[イムノクロマトサンドイッチ法による測定]
図2(a)は本発明の一実施の形態における検出装置の側面図、図2(b)は同検出装置の正面図である。また、図中、Aはマイコプラズマ・ニューモニエ、Bは本発明のモノクローナル抗体を標識したモノクローナル抗体標識物、Cは複合体、Dは本発明のモノクローナル抗体、Yは検査対象物中のマイコプラズマ・ニューモニエ(P30タンパク)である。この検出装置は、モノクローナル抗体に特徴を有するが、他の要素は、イムノクロマトサンドイッチ法を利用した検出装置として通常使用されるもので差し支えない。ここで、モノクローナル抗体標識物Bから標識物を除いたものを、第一のモノクローナル抗体(PGMAPRP反応性)とし、モノクローナル抗体Dを第二のモノクローナル抗体(PHPGMAP反応性)とするのが好ましい。一方、反応性は低下するものの、両方とも第一のモノクローナル抗体としたり、両方とも第二のモノクローナル抗体にしたり、さらには、上記と第一、第二を入れ替えたりするなど、種々変更することもでき、このような場合も本発明の保護範囲に包含される。以下、更に詳しく説明する。ここでは、実施例1の(標識成分の調整)と(標識区域12の調整)と同じ方法で、金コロイド標識抗体#004塗布パッドを調整した。
(検出区域14の調製)
本発明の抗体♯006を1.0mg/mLとなるようにPBS緩衝液で調製し、多孔質坦体13であるニトロセルロースメンブレン(ミリポア社)の所定位置に、テスト当たり0.73μLでライン状に塗布し検出区域14を形成した。また、検出区域14の下流側に、抗ウサギ抗体を同様にテスト当たり0.73μLで塗布し、反応確認のための対照区域15を形成した。乾燥作業を経て、抗体♯006固相化メンブレン(検出区域14の配置された多孔質担体13)を調製した。
(検出装置の作製)
滴下部11としてのADVANTEC Grade60(商標)濾紙を用い、金コロイド標識抗体♯004塗布パッドと、抗体♯006固相化メンブレンと、吸液部16としての濾紙とをそれぞれ重ね合わせ、粘着剤付きの台紙に貼付してイムノクロマトサンドイッチ法を利用した検出装置を作製した。
(検体試料液の調製)
抽出液には実施例1と同じ抽出液を用いた。
[反応性確認試験]
抽出液にて以下に示すマイコプラズマ属菌を、表中の濃度に調製したものを検体試料液とした。対照として抽出液のみを使用した。
i)マイコプラズマ・ニューモニエ(各1×106 CFU/mL)
Mycoplasma pneumoniae FH (ATCC15531)
Mycoplasma pneumoniae M129−B7(ATCC29342)
Mycoplasma pneumoniae M22(ATCC39505)
Mycoplasma pneumoniae M52(ATCC15293)
Mycoplasma pneumoniae Mac(ATCC15492)
Mycoplasma pneumoniae PI 1428(ATCC29085)
Mycoplasma pneumoniae UTMB−10P(ATCC49894)
Mycoplasma pneumoniae Bru(ATCC15377)
ii)近縁種細菌 マイコプラズマ・ジェニタリウム
Mycoplasma genitalium(1×106 CFU/mL)
(反応性試験)
作製した検出装置に検体試料液をピペットで100μL滴下した後、15分後の検出区域14のライン発色を確認した。
Figure 2017132712
(測定結果)
8種類のマイコプラズマ・ニューモニエ株が全て検出できた。一方、近縁種であるマイコプラズマ・ジェニタリウムについては反応性を示さなかった。
これは当該モノクローナル抗体が、マイコプラズマ・ニューモニエの株間で保存された配列を検出することで広く様々な株と反応するが、異なる近縁種では交差反応を示さない有用な認識部位を持っているためである。
(交差反応性試験)
非特許文献2によるとP30の繰り返し配列は、構造タンパクであるケラチン、フィブリノーゲン、ミオシンなどに免疫的に強い交差反応性を示すことが記載されている。
そこで、検体としてマイコプラズマ・ニューモニエの入っていない陰性測定試料と0.2μg/mLにて添加した陽性測定試料を準備し、これにケラチン、フィブリノーゲンをそれぞれ100μg/mLになるように添加して反応性を確認した。
Figure 2017132712
本検出系において、100μg/mL濃度のケラチン、フィブリノーゲンは陰性判定であり、交差反応による偽陽性はなかった。また、本来の陽性反応を示すマイコプラズマ・ニューモニエ陽性試料(FH株)を測定し、ケラチンおよびフィブリノーゲンを添加して反応性を確認したが、陽性判定に阻害はかからず反応への影響はなかった。
したがって、抗マイコプラズマ・ニューモニエ モノクローナル抗体#004、および#006は、ケラチン、フィブリノーゲンとの交差反応を示さず、陰性反応、陽性反応共に影響を受けないことが確認された。
<実施例3>
[イムノクロマトサンドイッチ法とPCR法による測定の比較]
臨床的にマイコプラズマ・ニューモニエ感染が疑われる患者の184名の咽頭拭い検体を用い、イムノクロマトサンドイッチ法とPCR法による比較を行った。
(イムノクロマトサンドイッチ法を利用した検出装置での測定)
実施例2の(標識成分の調製)から(検出装置の作製)までと同様の方法でイムノクロマトサンドイッチ法を利用したマイコプラズマ・ニューモニエ検出装置を作製した。
(検体試料液の調製)
抽出液には実施例1と同じ抽出液を用いた。滅菌済みの咽頭用綿棒で患者の咽頭を拭い、その綿棒を抽出液にて抽出し、検体試料液とした。
(反応性試験)
作製した検出装置に検体試料液をピペットで100μL滴下した後、15分後の検出区域14のライン発色を確認した。ライン発色が認められたものを陽性とした。
(PCR法での測定)
イムノクロマトサンドイッチ法に用いた検体試料液の一部を用い、DNA抽出、リアルタイムPCR測定を実施した。DNA抽出にはQIAGEN社のQIAamp DNA Mini Kit(商品名)を使用した。
リアルタイムPCRは「外来診療を目的としたReal−Time PCR法によるMycoplasma・pneumoniae肺炎迅速診断のための検査体系の構築(日本臨床微生物学会誌 Vol.19、No.3、2009)」の手順に従って行った。検出機器にはタカラバイオ社製のThermal Cycler Dice RealTime System TP800を用い、検出試薬にはタカラバイオ社製のSYBR Green 1(SYBR Premix DimerEraser)(商品名)を用いた。
(測定の結果)
それぞれの方法の測定結果をまとめると次の通りである。
Figure 2017132712
以上より、本法においてはPCR法に対する陽性一致率は70.4%であった。
既に市販されているリボゾームタンパクL7/L12を標的としたイムノクロマトキット「リボテスト マイコプラズマ」では、添付文書にPCR法との相関性は57.6%と記載されている。
また、別のマイコプラズマ抗原キットである「プロラスト Myco」の添付文書では、PCR法との相関性は44.9%と記載されている。
これらに対して、本法はマイコプラズマ抗原を高感度に検出できることが確認された。一方、陰性検体103例については全てが発色を認めず陰性判定であり特異性についても良好であった。
(a)本発明の一実施の形態における検出装置の側面図、(b)本発明の一実施の形態における検出装置の正面図、(b’)本発明の一実施の形態における検出装置の正面図 図2(a)は本発明の一実施の形態における検出装置の側面図、図2(b)は同検出装置の正面図
11 滴下部
12 標識区域
13 多孔質担体
14 検出区域
15 対象区域
16 吸液部
A マイコプラズマ・ニューモニエ
B モノクローナル抗体標識物
C 複合体
D 本発明のモノクローナル抗体
X 合成ペプチドY 検査対象物中のマイコプラズマ・ニューモニエ(P30タンパク)

Claims (7)

  1. マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)のP30タンパクにおける、N末端より177番目から274番目までのC末端側に複数回出現するアミノ酸配列に特異的に反応するが、N末端から176番目までには反応しないモノクローナル抗体。
  2. 前記アミノ酸配列は、7個のアミノ酸からなる請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 前記アミノ酸配列の先頭と末尾が、P(Pro)である請求項1又は2記載のモノクローナル抗体。
  4. 前記アミノ酸配列は、PGMAPRP(Pro−Gly−Met−Ala−Pro−Arg−Pro)である請求項3記載のモノクローナル抗体。
  5. 前記アミノ酸配列は、PHPGMAP(Pro−His−Pro−Gly−Ala−Pro)である請求項3記載のモノクローナル抗体。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のモノクローナル抗体を用いて、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma Genitalium)に反応性を示さず、マイコプラズマ・ニューモニエを特異的に検出する検出方法。
  7. 多孔質担体と、請求項1から5のいずれかに記載のモノクローナル抗体が固相化される検出区域とを有し、イムノクロマト法による免疫学的検出を行う検出装置。
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