以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1,2には、本発明の第一の実施形態として足圧検出装置10が示されている。足圧検出装置10は、図1〜5に示すように、センサ本体としての圧力分布センサ12をアッパーカバー14とロアプレート16の間に配設した構造を有している。以下の説明において、上下方向とは、原則として使用状態の鉛直上下方向となる図2中の上下方向を言う。
より詳細には、圧力分布センサ12は、図6に示すように、弾性部としての誘電体層18の一方の面にエラストマシート20aが重ね合わされると共に、誘電体層18の他方の面にエラストマシート20bが重ね合わされた構造を、有している。
誘電体層18は、弾性材料であるゴムや樹脂などの電気絶縁性エラストマで形成されて、板状乃至はシート状とされており、弾性的に伸縮変形可能とされて、特に厚さ方向で容易に弾性変形可能とされている。なお、誘電体層18の形成材料としては、例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル−ポリ塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸共重合体などが、好適に採用される。更に、誘電体層18は発泡体であっても良く、必要な誘電率と柔軟性が確保されれば、その発泡体は、必ずしも独立気泡によって均質な相を呈するものに限定されず、例えば連続気泡が形成されるなどして不均一な相を呈していても良い。また、誘電体層18の厚さや形成材料などは、後述する圧力検出部30において求められる比誘電率や柔軟性に応じて適宜に設定される。
エラストマシート20aとエラストマシート20bは、互いに略同じ材料および形状で形成されており、ゴム弾性体や高分子エラストマで形成された電気絶縁性のシートであって、本実施形態では平面視で略矩形とされている。さらに、エラストマシート20a,20bには、周上の一辺において外周へ突出する一組の接続片22,24が並んで設けられている。なお、エラストマシート20a,20bの形成材料は、特に限定されるものはないが、たとえばシリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、ポリエステル樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、変性セルロース類などが、好適に採用される。また、図中のエラストマシート20a,20bは、理解を容易とするために透明とされているが、不透明でも良い。
さらに、エラストマシート20aの下面に電極26aが形成されていると共に、エラストマシート20bの上面に電極26bが形成されている。電極26a,26bは、何れも導電性の金属や導電性フィラーを混合したゴム及びエラストマなどで形成されており、直線的に延びる薄肉帯状とされている。また、電極26a,26bは、各32本が並列的に並んで形成されていると共に、それら電極26aと電極26bが互いに傾斜して延びており、本実施形態では互いに略直交する方向へ延びている。なお、以下の説明において、エラストマシート20a,20b上の直交二軸のx−y平面において、y軸と略平行に前後へ延びる電極26aを左から順に01x,02x,03x・・・,32xと称すると共に、x軸と略平行に左右へ延びる電極26bを下から順に01y,02y,03y,・・・,32yと称する。
更にまた、エラストマシート20a,20bは、電極26a,26bの配設領域(感圧部34)よりも外側まで広がっており、エラストマシート20a,20bの電極26a,26bよりも外側には、それぞれ配線28a,28bが導電性材料によって印刷されている。そして、配線28aが電極26aの一端から一方の接続片22まで延びていると共に、配線28bが電極26bの一端から他方の接続片24まで延びている。なお、配線28a,28bは、例えば、エラストマシート20a,20bの表面に導電性インクによってプリントされた配線パターンとして得ることができる。更に、電極26a,26bは、導電性エラストマで形成された導電性インクによって、配線28a,28bと同様にエラストマシート20a,20bに印刷して形成することもできる。また、エラストマシート20a,20bは、電極26a,26bの配設領域および配線28a,28bの形成領域を外れた外周端部において、接着剤や両面テープなどによって相互に固着されている。
かくの如き構造とされたエラストマシート20aとエラストマシート20bが、誘電体層18の上下各一方側から重ね合わされている。これにより、図1に示すように、エラストマシート20aの電極26aとエラストマシート20bの電極26bとが、誘電体層18を挟んで互いに対向するように交差して配置されている。そして、電極26aと電極26bの誘電体層18を介した交差部分においてコンデンサが構成されており、かかるコンデンサによって圧力検出部30が構成されている。なお、図1では、分かり易さのために、圧力分布センサ12、電極26a,26b、配線28a,28b、圧力検出部30が、何れも透視状態で図示されている。
これら電極26a,26bの交差部分(圧力検出部30)では、誘電体層18とエラストマシート20a,20bの積層方向(上下方向)へ圧力が加わると、誘電体層18が変形して電極26a,26b間の距離が短くなって、入力を受けた圧力検出部30の静電容量が変化する。それ故、電気的な制御装置からなるセンサコントローラ32を用いて、各圧力検出部30における静電容量の変化を検知することで、各圧力検出部30に及ぼされた圧力を検出することが可能とされており、複数の圧力検出部30が配された領域が入力される足圧を検出する感圧部34とされている。要するに、圧力分布センサ12は、電極26a,26bの各交差部分(圧力検出部30)が静電容量型の圧力検出素子(セル)として機能して、各圧力検出素子の検出結果に基づいて感圧部34の圧力分布を検出する静電容量型のセンサとされている。
本実施形態の感圧部34は、1024個の圧力検出部30が32列×32行で二次元的に配置された静電容量型のセンサとされている。また、感圧部34の面積が人の足裏の面積よりも大きくされており、感圧部34上に立つことが可能とされている。また、圧力分布センサ12の感圧部34は、後述する圧力検出時に被検者の足が接触することから、柔軟なカバーによって覆われていることが望ましい。
また、配線28aがセンサコントローラ32のコネクタ36aに着脱可能に接続されていると共に、配線28bがセンサコントローラ32のコネクタ36bに着脱可能に接続されており、感圧部34を備えた圧力分布センサ12がセンサコントローラ32に対して着脱可能に接続されている。
センサコントローラ32は、例えば、図1に示されているように、各電極26a,26bに対してコネクタ36a,36bを介してそれぞれ接続されており、電源装置としての作動電圧給電用の電源回路38と、計測手段としての静電容量検知用の検出回路40とを、備えている。電源回路38は、電極26aの01x〜32xと電極26bの01y〜32yに対する給電を選択的に行うようになっており、中央演算装置(CPU)42による制御下で、コンデンサを構成する1024箇所の各交差部分(圧力検出部30)に対して、計測用電圧として周期的な波形電圧を走査的に印加する。
そして、かかる電圧作用下で検出される各圧力検出部30の静電容量の検出信号が、順次に検出回路40で検出され、その検出値がRAM(random access memory)44に記憶される。なお、検出回路40による静電容量の検出は、例えば電流値から求められるインピーダンスを用いて静電容量値を求めることによって行われる。
また、ROM(read only memory)46には、電極26a,26bの交差部分で構成されたコンデンサの特性データが記憶されており、この特性データに基づいて、CPU42により、配線抵抗の影響を排除して求められた静電容量の検出値から電極26a,26bの交差部分に及ぼされた外力である圧迫力が求められる。なお、図1では、分かり易さのために、電源回路38,検出回路40,CPU42,RAM44,ROM46を備えるセンサコントローラ32を、機能ブロックとして簡略に図示した。
従って、電極26a,26bの交差部分で構成された1024箇所の圧力検出部30における静電容量をそれぞれスキャンすることにより、各圧力検出部30に作用する圧力が各別に検出可能とされていると共に、全体として二次元的な圧力分布が検出可能とされている。なお、センサコントローラ32には、外部出力端子(USB)48が設けられており、図示しないコンピュータやタブレットなどの外部機器に接続することで、検出結果を外部機器に出力することができるようになっている。尤も、無線通信などによって検出結果を外部機器にワイヤレス送信できるようにしても良い。
また、圧力分布センサ12は、アッパーカバー14とロアプレート16の間に配設されている。アッパーカバー14は、窓部50を備えた略矩形枠状を呈しており、硬質の合成樹脂などで形成されている。また、本実施形態では、アッパーカバー14における窓部50の周囲は、正面部分(図1中、下部)の高さが他の部分よりも低くなっており、被検者が躓くことなく測定面に載り易くされている。
ロアプレート16は、全体として略板状とされており、基板としてのプレート本体52を備えている。プレート本体52は、図7に一部を示すように、上表板としての板状上部54と下表板としての板状下部56の間にコア材としての断熱部58を備えるサンドイッチ構造を有している。板状上部54は、ABS樹脂などの合成樹脂で形成された平板であって、平坦な上面60を備えている。板状下部56は、ABS樹脂などの合成樹脂で形成された平板であって、下面62が凹凸の少ない平坦な形状とされていると共に、板状上部54と対応する平面形状を有している。
断熱部58は、好適にはポリプロピレンなどの熱可塑性の合成樹脂で形成されており、図7,8に示すように、上下に延びる六角筒形状の周壁部64を二次元的に隙間なく並べたようなハニカム構造を有している。そして、ハニカム構造を構成する多数の周壁部64の軸方向端面に板状上部54と板状下部56が重ね合わされて固着されることにより、断熱部58が板状上部54と板状下部56の上下間に配設されている。これにより、プレート本体52の内部には、板状上部54と板状下部56と断熱部58の周壁部64とによって囲まれた上下に延びる空間66が多数形成されており、断熱部58が設けられた上下中間に六角柱状の空間66が配されている。このように、ロアプレート16が内部に空気の入った空間66を備えていることにより、板状上部54と板状下部56の間で熱が伝達され難くなっており、ロアプレート16のプレート本体52は、中実板状に比して上下方向の熱伝導率が小さくされた断熱構造体とされている。なお、ハニカム構造の断熱部58は、互いに独立する筒状の周壁部64を並べて配置しても構成できるが、本実施形態において各周壁部64は一体的に形成されている。また、断熱部58を構成する複数の周壁部64が相互に略同じ六角筒形状とされており、複数の空間66が相互に略同じ形状とされている。
プレート本体52は、後述する圧力検出時に圧力分布センサ12の下面を安定して支持できるように、十分な硬さ(曲げ変形剛性)を有することが望ましい。具体的には、プレート本体52は、曲げ剛性が4Nm2 /m以上且つ5000Nm2 /m以下であることが望ましく、より好適には、曲げ剛性が10Nm2 /m以上且つ3500Nm2 /m以下とされる。これによれば、圧力分布センサ12に作用する圧力がプレート本体52の変形によって過剰に分散するのを防いで、圧力分布センサ12の圧力検出精度の向上が図られ得る。なお、プレート本体52の曲げ剛性は、例えば、予め準備した幅1mの矩形板状の試験片の長さ方向両端部をピン支持させると共に、試験片の長さ方向中央から長さ方向で両側へ同じ距離だけ離れた位置にそれぞれ下向きの荷重を入力させて、長さ方向中央における入力点に対する下方への相対変位量を測定することにより、測定結果に基づいて算出することができる。
さらに、プレート本体52の下面62には、導電性シールド層68が重ね合わされて固着されている。導電性シールド層68は、薄肉の導電性金属板で形成されており、接着剤などで板状下部56の下面62に接着されている。なお、導電性シールド層68は、金属板の他に、金属製の膜や網、パンチングシートなどを採用することもできる。更に、導電性シールド層68は、金属製に限定されず、導電性フィラーを混ぜた導電性ゴムや導電性樹脂などで形成することによって軽量化を図ることも可能である。また、導電性シールド層68は、板状上部54の上面60に重ね合わせて接着することにより、プレート本体52の上面60に設けることも可能であり、その場合には導電性シールド層68と圧力分布センサ12の間に絶縁層を設けることが望ましい。
更にまた、導電性シールド層68の下面には、滑り止め体としての緩衝ゴム層70が固着されている。この緩衝ゴム層70は、床78との間に作用する面方向の摩擦抵抗(滑り摩擦抵抗)が、プレート本体52の下面と床78との間に作用する面方向の摩擦抵抗よりも大きい材質で形成されており、本実施形態では、ウレタンゴムやエチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴム材料で形成されている。更に、本実施形態では、導電性シールド層68の下面が略全体に亘って平板状の緩衝ゴム層70で覆われており、緩衝ゴム層70が導電性シールド層68に対して広い範囲で固着されていることによって、緩衝ゴム層70の導電性シールド層68に対する固着強度の向上が図られている。このように、緩衝ゴム層70がロアプレート16の下端部を構成していることにより、足圧検出装置10を床78に置く際に、床78の表面が傷付くのを防ぐことができると共に、床78に置く際の音や衝撃も低減乃至は回避される。なお、緩衝ゴム層70は、プレート本体52に固定された導電性シールド層68に固着されることにより、プレート本体52に対して面方向で位置決めされている。
そして、ロアプレート16は、アッパーカバー14の下方に配設されて、外周部分がアッパーカバー14に対して他部材を介することなく直接的に重ね合わされており、外周部分が周方向の複数箇所でねじ72によってアッパーカバー14に固定されている。
さらに、ロアプレート16におけるプレート本体52の上面60には圧力分布センサ12が重ね合わされており、図3,4に示すように、圧力分布センサ12の外周部分には四角枠状の固定部材74が上方から重ね合わされている。そして、固定部材74がねじ76によってロアプレート16に固定されることによって、圧力分布センサ12の外周部分が固定部材74とロアプレート16の間で挟持されている。これにより、圧力分布センサ12の感圧部34よりも外周部分が、アッパーカバー14の窓部50よりも外周において固定部材74とロアプレート16の間で固定されており、プレート本体52の平坦な上面60に重ね合わされた状態に保持されている。かかる圧力分布センサ12の配設状態において、圧力分布センサ12の感圧部34は、アッパーカバー14の窓部50において外部に露出している。なお、本実施形態では圧力分布センサ12がプレート本体52の上面60に直接的に重ね合わされているが、例えば上面60に導電性シールド層68が固着されている場合などには、圧力分布センサ12は上面60に対して間接的に重ね合わされ得る。
かくの如き構造とされた足圧検出装置10は、ロアプレート16が床78に置かれて使用されるようになっており、図示しない被検者がアッパーカバー14の窓部50に足を差し入れて圧力分布センサ12の感圧部34上に立つことにより、被検者の足裏の圧力分布を検出することができる。即ち、被検者から入力される荷重(足圧)によって圧力分布センサ12の上面に下向きの力が作用すると、圧力分布センサ12の圧力検出部30において誘電体層18が弾性変形して、電極26aと電極26bが交差部分で相互に接近する。これにより、コンデンサである圧力検出部30の静電容量が変化することから、各圧力検出部30の静電容量の変化をそれぞれ検出することにより、圧力分布センサ12の感圧部34に作用する圧力の分布が検出されるようになっている。
本実施形態の足圧検出装置10では、ロアプレート16の下端に設けられた緩衝ゴム層70の下面の摩擦係数が、プレート本体52の下面の摩擦係数よりも大きくされていると共に、ロアプレート16が床78上に載置される使用状態において、緩衝ゴム層70がプレート本体52と床78の間に配されて、緩衝ゴム層70が床78に接触するようになっており、足圧検出装置10が床78に対して滑り難くされている。
すなわち、足圧検出装置10では、ロアプレート16のプレート本体52が合成樹脂製で内部に空間66を有する構造とされて、従来の中実金属製のロアプレートを備える従来の足圧検出装置に比して軽量化が図られていることから、従来の足圧検出装置に比して床78との間の滑り摩擦抵抗が小さく、床78上で滑って移動し易くなっている。そこで、本実施形態の足圧検出装置10では、ロアプレート16の下端に床78に対する滑り摩擦抵抗の大きな緩衝ゴム層70を設けることによって、ロアプレート16と床78の間の滑り摩擦抵抗を大きくして、足圧検出装置10の床78に対する滑りが防止されている。これにより、足圧検出装置10の使用時に足圧検出装置10が床78上で位置決めされて、足圧検出装置10が不意に移動することによる足圧検出精度の低下や使用者の転倒などが回避される。
また、緩衝ゴム層70が設けられることにより、プレート本体52や導電性シールド層68の材質選択において床78に対する滑り摩擦によって制限されず、プレート本体52や導電性シールド層68の材質をより大きな自由度で選択することが可能になる。加えて、プレート本体52が床78に対して緩衝ゴム層70を介して間接的に重ね合わされることから、プレート本体52の耐久性の向上や後述する断熱効果の向上などが図られ得る。
ここにおいて、圧力分布センサ12と床78の間に配設されるロアプレート16のプレート本体52が、内部に多数の空間66を有する断熱構造体とされている。これにより、圧力分布センサ12と床78の間に温度差がある場合に、圧力分布センサ12と床78の間での熱の移動がロアプレート16によって低減される。圧力分布センサ12では、誘電体層18の変形特性が温度の影響を受けることから、誘電体層18と床78の間で熱の移動が生じると、荷重に対する誘電体層18の変形量が変化して、同じ荷重入力に対して検出される圧力が変化する。従って、圧力分布センサ12と床78の間での熱の移動がロアプレート16の断熱効果によって低減されることにより、圧力分布センサ12による圧力の検出精度が床78の温度による影響を受け難くなって、足圧を目的とする精度で安定して検出可能となる。なお、空間66を形成する断熱部58が、圧力分布センサ12を支持する上面60を備えた中実板状の板状上部54に対して床78側に配されて、板状上部54と床78の間に介在しており、板状上部54と床78の間での熱移動が防止されるようになっている。
しかも、本実施形態のロアプレート16では、プレート本体52が金属材に比して熱伝導率の小さい合成樹脂材で形成されていることから、より優れた遮熱性能を有するロアプレート16が実現されて、圧力分布センサ12の圧力検出精度に対する床78の温度の影響を有利に防ぐことができる。
また、圧力分布センサ12と床78の間に硬質のロアプレート16が配設されており、圧力分布センサ12がロアプレート16の平坦な上面60に重ね合わされている。これにより、圧力分布センサ12が床78の表面の凹凸などに関わらず平面的に広がる略一定の配設態様とされて、床78の表面の凹凸などによる圧力検出精度への悪影響が回避される。特に、本実施形態のロアプレート16は、ハニカム構造のコア材(断熱部58)を備えるサンドイッチ構造とされていることから、高い曲げ変形剛性が実現されており、床78の表面形状が圧力分布センサ12の圧力の検出精度に及ぼす影響を低減することができる。加えて、本実施形態のロアプレート16は、金属板で形成された導電性シールド層68を備えていることから、導電性シールド層68による補強効果によって、ロアプレート16の変形剛性がより一層高められている。
このように、床78の温度や凹凸が圧力分布センサ12に及ぼす影響が、プレート本体52の断熱性能と曲げ変形剛性によって低減乃至は回避されることから、熱や設置面形状の影響をより受け易い弾性部としての誘電体層18を備えた圧力分布センサ12を採用する場合にも、安定した精度で圧力を検出することが可能となる。
また、ロアプレート16のプレート本体52がハニカム構造の断熱部58を備えたサンドイッチ構造を有していることにより、必要とされるロアプレート16の曲げ変形剛性が中実の単純な板構造に比して小さな重量で実現される。しかも、プレート本体52が合成樹脂で形成されていることにより、金属製のプレート本体を備える構造に比して、ロアプレート16の更なる軽量化が図られている。これらによって、足圧検出装置10の取回し性の向上が図られて、使用時の床78への設置作業などが容易になる。
なお、第一の実施形態では、基板として、ハニカム構造を有するプレート本体52が例示されているが、例えば、図9に示すような別構造のプレート本体80を採用することもできる。以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材および部位については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、プレート本体80以外の部分は、第一の実施形態に係る足圧検出装置10と同一の構造を採用可能である。
基板としてのプレート本体80は、板状上部54と板状下部56の上下対向面間に断熱部82を配した構造とされている。断熱部82は、波板形状を有しており、上端が板状上部54に固着されていると共に、下端が板状下部56に固着されている。そして、板状上部54と断熱部82の間と、板状下部56と断熱部82の間とに、それぞれ空間84が形成されている。この空間84は、一方向に連続して延びており、端部が閉塞されて内部に形成された閉空間とされていても良いが、端部が外部に開放されていても良い。
このような本実施形態に従う構造とされたプレート本体80を備える足圧検出装置においても、第一の実施形態の足圧検出装置10と同様に、センサ本体に対する床の凹凸や床の温度の影響が低減されることによる検出精度の向上と、軽量化が両立して実現され得る。
また、基板として、図10に示すような一体構造のプレート本体90を採用することも可能である。プレート本体90は、上部が非発泡の中実構造とされて平坦な上面を有していると共に、下部が多数の気泡(空間92)を有する断熱構造とされており、それら上部と下部が一体で成形されている。
このような構造であっても、センサ本体に対する床の凹凸や床の温度の影響が低減されることによる検出精度の向上と、軽量化が両立して実現され得る。しかも、プレート本体90の全体が一体形成されていることから、部品点数の削減やプレート本体の組立工程の省略による製造の容易化などが図られ得る。
なお、ハニカム構造を採用する場合であっても、断熱層の周壁部は六角筒状に限定されるものではなく、三角筒状や四角筒状など底面の外形が平面充填形状とされた周壁部が何れも採用可能であり、その場合にも周壁部で囲まれた略同じ形状の空間が多数並んで形成される。
図11,12には、本発明の第二の実施形態としての足圧検出装置100が示されている。足圧検出装置100は、センサ本体としての圧力分布センサ102と基板としてのプレート本体104を備えていると共に、それら圧力分布センサ102とプレート本体104が筐体106に収容された構造を有している。以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材および部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
圧力分布センサ102は、図11,12では詳細な図示が省略されているが、第一の実施形態に示す圧力分布センサ12と略同じ構造を有していると共に、外周端部を上下に貫通する第一のピン挿通孔108が周方向の複数箇所に形成されている。
圧力分布センサ102に重ね合わされるプレート本体104は、前記実施形態に示すプレート本体52,80,90と同様の構造を有しており、圧力分布センサ102との重ね合わせ状態で第一のピン挿通孔108と対応する位置に複数の第二のピン挿通孔110が形成されている。
筐体106は、アッパーカバー112とロアケース114によって構成されている。アッパーカバー112は、第一の実施形態のアッパーカバー14と同様にABS樹脂などで形成された硬質の部材であって、下方へ向けて開口する略矩形箱状とされており、上底壁部を上下に貫通する矩形の窓部50が形成されていると共に、図12に示すように、周壁部の複数箇所に下方へ向けて開口して内周面に雌ねじを形成されたアッパー締結孔118が形成されている。
さらに、アッパーカバー112における窓部50の開口周縁部分には、下方へ向けて突出する位置決めピン120が設けられている。位置決めピン120は、金属製であって、上端部がアッパーカバー112の上底壁部に固着されている。本実施形態では、位置決めピン120が大径の頭部を上端部に有しており、インサート成形によって頭部がアッパーカバー112の上底壁部に固着されている。この位置決めピン120は、圧力分布センサ102の第一のピン挿通孔108およびプレート本体104の第二のピン挿通孔110と対応する位置に配置されており、位置決めピン120の下端部には、下方へ向けて開口するねじ穴が形成されている。
一方、ロアケース114は、アッパーカバー112と同様にABS樹脂などで形成された硬質の部材であって、略矩形板形状を有している。また、ロアケース114は、上面が全体に亘って略同一平面で構成されていると共に、外周端部が周方向の複数箇所において内周部分よりも薄肉とされて、外周端部における薄肉部分の下面が内周部分の下面よりも上方に位置している。更に、ロアケース114の外周端部における薄肉部分には、上下に貫通するロア締結孔122がそれぞれ形成されている。このロア締結孔122は、アッパーカバー112とロアケース114を上下に重ね合わせた状態でアッパーカバー112のアッパー締結孔118と略対応する位置に形成されている。
さらに、ロアケース114には、アッパーカバー112の位置決めピン120と対応する位置に第三のピン挿通孔124が形成されている。この第三のピン挿通孔124は、圧力分布センサ102の第一のピン挿通孔108およびプレート本体104の第二のピン挿通孔110と対応する位置に配置されており、ロアケース114を上下に貫通している。
また、ロアケース114の下面には、滑り止め体としての緩衝ゴム層126が固着されている。緩衝ゴム層126は、第一の実施形態の緩衝ゴム層70と略同じ摩擦係数の大きい材料で形成されており、床78に対する滑り摩擦抵抗が、筐体106を構成するロアケース114の床78に対する滑り摩擦抵抗よりも大きくされている。更に、本実施形態の緩衝ゴム層126は、ロア締結孔122および第三のピン挿通孔124の開口とその周囲を外れたロアケース114の下面の略全体を覆っており、ロアケース114に対して接着や溶着などの手段で固着されている。
そして、アッパーカバー112の周壁部の下面にロアケース114が重ね合わされて、ロアケース114のロア締結孔122に挿通された締結ねじ128が、アッパーカバー112のアッパー締結孔118に螺着されることにより、中空の筐体106がアッパーカバー112とロアケース114によって形成される。なお、筐体106の内部空間は、箱状とされたアッパーカバー112の下開口がロアケース114で覆われることによって画成されており、窓部50を通じて上方へ向けて開放されている。
また、筐体106の内部空間には、圧力分布センサ102とプレート本体104が配設される。即ち、圧力分布センサ102がプレート本体104の上面の所定位置に重ね合わされた状態で重ね合わされて、筐体106に収容されている。なお、本実施形態では省略されているが、第一の実施形態の導電性シールド層68をプレート本体104に重ね合わせて設けても良く、その場合には、第二のピン挿通孔110と対応するピン挿通孔が、導電性シールド層68に貫通形成され得る。
さらに、圧力分布センサ102の第一のピン挿通孔108とプレート本体104の第二のピン挿通孔110には、アッパーカバー112の位置決めピン120が挿通される。これにより、圧力分布センサ102およびプレート本体104がアッパーカバー112に対して面方向で位置決めされて、圧力分布センサ102の感圧部がアッパーカバー112の窓部50を通じて上方へ向けて露出するように位置決めされると共に、圧力分布センサ102がプレート本体104上の所定位置に保持される。
本実施形態では、圧力分布センサ102の第一のピン挿通孔108およびプレート本体104の第二のピン挿通孔110に挿通された位置決めピン120の先端部分が、ロアケース114の第三のピン挿通孔124に挿入されていると共に、第三のピン挿通孔124に下方から挿入された連結ねじ130が、位置決めピン120の先端に開口するねじ穴に螺着されている。これにより、位置決めピン120の先端がロアケース114によって保持されて、軸直角方向の入力時に位置決めピン120が傾いたりアッパーカバー112から脱落したりする等の不具合を回避し易くなることから、圧力分布センサ102やプレート本体104の筐体106に対する面方向の位置決め効果を有効に得ることができる。
このような本実施形態に従う構造とされた足圧検出装置100によれば、第一の実施形態の足圧検出装置10と同様に軽量且つ高強度のプレート本体104が採用されていることによって、装置全体の軽量化が図られる。また、プレート本体104が空間66を備える断熱構造とされていることによって、床78から圧力分布センサ102への熱の伝達が低減されて、圧力分布センサ102の検出精度に対する熱の影響を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、圧力分布センサ102とプレート本体104が筐体106に収容されていることにより、異物の付着による圧力分布センサ102やプレート本体104の汚れや故障などが防止され易くなる。しかも、圧力分布センサ102とプレート本体104を筐体106によって覆うことにより、足圧検出装置100の外観意匠の自由度も大きくなる。
更にまた、筐体106の下面には、筐体106の下面よりも摩擦係数が大きい材料で形成された緩衝ゴム層126が固着されており、筐体106が床78に直接接触することなく、緩衝ゴム層126が床78に接触するようになっている。その結果、硬質の合成樹脂で形成された筐体106を床78に直接接触させる場合に比して、足圧検出装置100と床78の間で作用する面方向の摩擦抵抗(滑り摩擦抵抗)を大きく得ることができる。これにより、使用時に足圧検出装置100に面方向の力が作用しても足圧検出装置100の床78に対する滑りを防ぐことができて、例えば、面方向の力が作用し易い足圧検出装置100に対する使用者の乗降時や足圧の検出中などに足圧検出装置100の滑り移動が回避されて、足圧の検出精度の向上や転倒の防止などが実現される。
特に本実施形態では、緩衝ゴム層126がロアケース114の下面を略全体に亘る広い範囲で覆うように設けられていることから、ロアケース114に対する緩衝ゴム層126の固着強度を大きく得ることができると共に、緩衝ゴム層126の耐久性の向上も図られる。また、ロアケース114の下面にロアケース114と別体の緩衝ゴム層126が固着されていることから、ロアケース114の材質が床78との間の滑り摩擦の大きさによって制限されることはなく、ロアケース114の材質をより高い自由度で選択することができる。
以上の説明からも理解されるように、本実施形態の足圧検出装置100は、前記センサ本体と前記基板を収容する中空の筐体が設けられており、該基板が該筐体に固定されて該筐体を介して床に置かれるようになっていると共に、該筐体の上部に窓部が貫通形成されて、該センサ本体が該窓部を通じて上方へ露出している構造を有している。
これによれば、センサ本体および基板が、窓部を通じて外部に露出するセンサ本体の検出部分(感圧部)以外を筐体で覆われて保護されていることから、異物の付着による汚染や故障などが防止される。また、センサ本体および基板が筐体に収容されることによって、意匠性に優れた外観を採用し易くなる。
さらに、足圧検出装置100は、前記筐体よりも前記床に対する滑り摩擦抵抗が大きい滑り止め体が該筐体に対して面方向で位置決めされており、該筐体が該床に置かれる使用状態において該滑り止め体が該筐体と該床の間に配されて該滑り止め体が該床に接触するようにした。これによれば、空間を有することで軽量とされた基板を採用しても、基板を収容する筐体が床上で滑って意図せずに移動するのを防ぐことができて、足圧の安定した検出が可能になると共に、使用者の転倒なども回避される。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、基板の断熱部としては、平面充填形状を底面外形とする周壁部を複数備えるハニカム構造の他、円のような非平面充填形状を底面外形とする筒状の周壁部を複数並列に配した構造や、格子状の構造、複数の平行板で構成された構造、多数の凹凸を有する二枚のシートが凸面同士又は凹面同士を向い合せて固着された構造なども採用できる。更に、基板の断熱部としては、例えば、グラスウールのようなガラスや合成樹脂で形成された繊維による繊維系断熱構造体や、ウレタンフォームや発泡ゴムのような泡状の空間を多数有する発泡系断熱構造体なども採用可能である。要するに、基板は空間を有する断熱構造体であれば良く、基板の断熱部の構造は空間を形成可能とされていれば特に限定されない。
また、基板の材質は合成樹脂に限定されず、実施形態に示すような合成樹脂と金属の複合材が採用可能である他、木や紙のようなステンレスよりも熱伝導率の低い材料を採用することもできる。更に、基板の空間には、空気以外の気体が充填されていても良い。
前記実施形態では、板状上部54と板状下部56と断熱部58が、相互に別体で形成されて後固着されていたが、それらを一体で形成することもできる。なお、板状上部54と板状下部56の何れか一方が断熱部58と一体形成されていても良い。
また、基板として上述した各種構造を、厚さ方向で複数積層して基板を構成することもできる。具体的には、例えば、前記実施形態では板状上部54と板状下部56と断熱部58からなるプレート本体52によって基板が構成されていたが、プレート本体52を上下に二枚重ねて基板とすることもできる。
また、圧力分布センサ(センサ本体)の具体的な構造は、特に限定的に解釈されるものではない。例えば、ゴム材料に導電性フィラーを混合した導電性ゴムによって弾性部を形成して、荷重の入力時に弾性部が弾性変形して弾性部の電気抵抗が変化することに基づいて足圧を検出する、抵抗型の圧力分布センサを採用することもできる。また、例えば、コイルパターンを有する基板と導電シートが弾性部を介して上下に対向配置されて、導電シートの基板への接近による電磁誘導作用に基づいて足圧を検出する電磁誘導型の圧力分布センサも採用され得る。
また、前記実施形態では、両足の圧力分布を検出する足圧検出装置10が例示されており、感圧部34が両足を載せ得る面積とされていたが、片足の圧力分布のみを検出可能なより小さな面積の感圧部34を備える構造を採用することもできる。
また、前記実施形態では、基板としてのプレート本体52や筐体106を構成するロアケース114の下面の略全体を覆うように滑り止め体としての緩衝ゴム層が設けられていたが、滑り止め体は例えば基板や筐体の下面に対して部分的に設けられていても良い。具体的には、滑り止め体が基板や筐体の下面の隅部などに局所的に設けられ得る他、滑り止め体の非形成部分が上下に貫通する孔状に設けられることによって、滑り止め体が基板や筐体の下面に対して部分的に設けられるようにしても良い。更に、滑り止め体は、足圧検出装置における滑り止め体を除く部分で床に最も近い位置に配される基板や筐体などと比較して床に対する滑り摩擦抵抗が大きいものであれば、ゴム製のものに限定されず、樹脂エラストマや樹脂発泡体などで形成することもできる。
更にまた、第一の実施形態では滑り止め体としての緩衝ゴム層70が導電性シールド層68に固着されていると共に、第二の実施形態では滑り止め体としての緩衝ゴム層126が筐体106に固着されており、何れも滑り止め体が基板に対して間接的に設けられているが、滑り止め体は基板に対して直接固着されて設けることもできる。なお、滑り止め体の基板や筐体などに対する固着は、接着や溶着に限定されず、係止やボルト止めなどの機械的な固着であっても良い。