以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示処理部5、表示デバイス6、操作デバイス7、制御部8、記憶デバイス(device)9を備える。前記超音波診断装置1は、コンピュータ(computer)としての構成を備えている。
超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例であり、被検体の生体組織に対して超音波を送信する。超音波プローブ2においては、特に図示しないが複数の超音波トランスデューサ(transducer)がアジマス(azimuth)方向に配列されている。超音波プローブ2により、生体組織にせん断弾性波を生じさせるための超音波パルス(プッシュパルス)が送信される。また、超音波プローブ2により、せん断弾性波を検出するための検出用超音波パルスが送信され、そのエコー信号が受信される。
また、超音波プローブ2により、Bモード画像を作成するためのBモード画像用超音波パルスが送信され、そのエコー信号が受信される。
送受信ビームフォーマ3は、制御部8からの制御信号に基づいて、超音波プローブ2を駆動させて所定の送信パラメータ(parameter)を有する前記各種の超音波パルスを送信させる(送信制御機能)。また、送受信ビームフォーマ3は、超音波のエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行なう。
送受信ビームフォーマ3及び制御部8は、本発明における送信制御部の実施の形態の一例である。また、前記送信制御機能は、本発明における送信制御機能の実施の形態の一例である。
エコーデータ処理部4は、図2に示すように、Bモード処理部41、伝搬速度算出部42、弾性値算出部43を有する。Bモード処理部41は、送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。
また、伝搬速度算出部42は、検出用超音波パルスのエコー信号から得られ、送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに基づいて、前記せん断弾性波の伝搬速度を算出して、せん断弾性波の伝搬速度を示すデータを作成する。ちなみに、例えば伝搬速度算出部42は、前記検出用超音波パルスのエコーデータにおいて、せん断弾性波による生体組織の変位を検出することによりせん断弾性波を検出し、その伝搬速度を算出する。
伝搬速度は、後述の表示領域Rd内から得られたエコーデータに基づいて算出される。従って、表示領域Rd内におけるせん断弾性波の伝搬速度が算出される。伝搬速度を示すデータは、後述の弾性画像における画素に対応する部分ごとに得られる。
生体組織におけるせん断弾性波の速度は、生体組織の弾性に応じて異なっている。従って、表示領域Rd内において、生体組織の弾性に応じた伝搬速度を得ることができる。
弾性値算出部43は、プッシュパルスが送信された生体組織の弾性値(ヤング率(Pa:パスカル))を、前記伝搬速度に基づいて算出し、弾性値を示すデータを作成する。弾性値を示すデータも、後述の弾性画像における画素に対応する部分ごとに得られる。
ちなみに、伝搬速度のみが算出され、弾性値は必ずしも算出されなくてもよい。伝搬速度を示すデータ又は弾性値を示すデータを、弾性データと云うものとする。伝搬速度算出部42及び弾性値算出部43は、本発明における第一の算出部の実施の形態の一例である。また、伝搬速度算出部42及び弾性値算出部43による機能は、本発明における第一の算出機能の実施の形態の一例である。また、伝搬速度及び弾性値は、本発明における生体組織の弾性に関するデータの値の実施の形態の一例である。
表示処理部5は、図3に示すように、Bモード画像データ作成部51、弾性画像データ作成部52、画像表示制御部53、領域設定部54、計測値算出部55、第一の基準値算出部56及び回数算出部57を有する。Bモード画像データ作成部51は、Bモードデータをスキャンコンバータ(scan converter)によって走査変換してBモード画像データを作成する。弾性画像データ作成部52は、弾性データをスキャンコンバータによって走査変換して弾性画像データを作成する。
画像表示制御部53は、Bモード画像データに基づくBモード画像BIを表示デバイス6に表示させる。また、画像表示制御部53は、図4に示すように、弾性画像データに基づく弾性画像EIを表示領域Rdに表示させる。より詳細には、画像表示制御部53は、前記Bモード画像データ及び前記弾性画像データを合成して合成画像データを作成し、この合成画像データに基づく合成画像を表示デバイス6に表示させる。合成画像は、背景のBモード画像BIが透過する半透明のカラー画像である。このカラー(color)画像は、伝搬速度又は弾性値に応じた色を有する画像であり、生体組織の弾性に応じた色を有する弾性画像EIである。
また、画像表示制御部53は、後述するように回数算出部57によって算出された弾性計測の推奨回数を表示デバイス6に表示させる。詳細は後述する。画像表示制御部53は、本発明における報知部の実施の形態の一例である。また、画像表示制御部53による弾性計測の推奨回数の表示機能は、本発明における報知機能の実施の形態の一例である。
表示領域Rdは、領域設定部54によって設定される。より詳細には、領域設定部54は、操作者による操作デバイス7における入力に基づいて、表示領域Rdを設定する。表示領域Rdは、せん断弾性波が検出される領域であり、この領域において前記検出用超音波パルスの送受信が行われる。
また、領域設定部54は、操作者による操作デバイス7における入力に基づいて、図4に示すように、表示領域Rdに表示された弾性画像EIの一部に計測領域Rmを設定する。計測領域Rmは、弾性画像EIにおいて生体組織の弾性を計測する対象となる領域である。
計測値算出部55は、弾性画像EIにおいて弾性計測を行なう。具体的には、計測言算出部55は、前記弾性計測として、計測領域Rmについての計測値を算出する。計測値は伝搬速度又は弾性値である。計測領域Rmが、複数の画素を含んでいる場合、計測値は、計測領域Rmにおける伝搬速度又は弾性値の平均値である。計測値算出部55は、一フレーム毎に前記計測値を算出する。計測値算出部55は、本発明における計測部の実施の形態の一例である。また、計測値算出部55による機能は、本発明における計測値算出機能の実施の形態の一例である。
第一の基準値算出部56は、弾性画像EIに設定された計測領域Rmについての弾性計測の推奨回数を回数算出部57によって算出するための第一の基準値を算出する。第一の基準値は、一フレームにおける前記弾性データの信頼度と関係する値であり、例えば伝搬速度又は弾性値の一フレームにおける散布度である。散布度は、分散やIQR(interquartile range:四分位範囲)などである。
回数算出部57は、前記弾性計測の回数として推奨される推奨回数を、第一の基準値に基づいて算出する。回数算出部57は、前記第一の基準値と前記弾性計測の推奨回数の関数を用いて、前記弾性計測の回数の算出を行なう。前記関数は、予め記憶デバイス9に記憶されている。詳細は後述する。回数算出部57は、本発明における第二の算出部の実施の形態の一例である。
表示デバイス6は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。表示デバイス6は、本発明における表示デバイスの実施の形態の一例である。
操作デバイス7は、特に図示しないが、ユーザーからの指示や情報の入力を受け付けるデバイスである。操作デバイス7は、操作者からの指示や情報の入力を受け付けるボタン及びキーボード(keyboard)などを含み、さらにトラックボール(trackball)等のポインティングデバイス(pointing device)などを含んで構成されている。例えば、操作デバイス7は、ユーザーから、表示領域Rdや計測領域Rmを設定する入力を受け付ける。
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。この制御部8は、記憶デバイス9に記憶されたプログラムを読み出し、超音波診断装置1の各部を制御する。例えば、制御部8は、記憶デバイス9に記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムにより、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4及び表示処理部5の機能を実行させる。
制御部8は、送受信ビームフォーマ3の機能のうちの全て、エコーデータ処理部4の機能のうちの全て及び表示処理部5の機能のうちの全ての機能をプログラムによって実行してもよいし、一部の機能のみをプログラムによって実行してもよい。制御部8が一部の機能のみを実行する場合、残りの機能は回路等のハードウェアによって実行されてもよい。
なお、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4及び表示処理部5の機能は、回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
記憶デバイス9は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)などである。
超音波診断装置1は、記憶デバイス9として、HDD、RAM及びROMの全てを有していてもよい。また、記憶デバイス9は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体であってもよい。
制御部8によって実行されるプログラムは、記憶デバイス9を構成するHDDやROMなどの非一過性の記憶媒体に記憶されている。また、プログラムは、記憶デバイス9を構成するCDやDVDなどの可搬性を有し非一過性の記憶媒体に記憶されていてもよい。
記憶デバイス9には、例えば複数フレームの弾性画像EIの各々についての前記弾性データが記憶される。また、記憶デバイス9には、弾性画像データが記憶されてもよい。さらに、記憶デバイス9には、BモードデータやBモード画像データが記憶されてもよい。
次に、本例の超音波診断装置1の作用について図5のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、本例の超音波診断装置1の作用として、複数回の(複数フレームにおける)弾性計測が行われる場合における弾性計測の推奨回数の表示について説明する。
先ず、ステップS1においては、生体組織に対し超音波プローブ2からBモード画像用超音波パルスの送信が開始される。そして、このBモード画像用超音波パルスのエコー信号に基づいて、表示デバイス6にBモード画像BIが表示される。また、Bモード画像BIに表示領域Rdが設定された後に、超音波プローブ2から前記生体組織に対してプッシュパルスと検出用超音波パルスの送信が開始される。そして、検出用超音波パルスのエコー信号に基づいて弾性データが作成され、表示領域Rdに弾性画像EIが表示される。また、ユーザーは、弾性画像EIに計測領域Rmを設定する。
ここでは、前記生体組織として肝臓に対する超音波の送信が行われ、肝臓の弾性画像EIが表示される。
次に、ステップS2では、計測値算出部55が、計測領域Rmにおける計測値を算出する。計測値は、例えば前記プッシュパルスによって生じたせん断弾性波の伝搬速度の計測領域Rmにおける平均値である。この平均値は、一フレームの弾性画像における平均値である。
なお、ステップS2において、ユーザーが、弾性画像EI及びBモード画像BIを操作デバイス7によってフリーズ(freeze)する入力を行ない、操作デバイス7によって計測を指示する入力を行なった後に、計測値算出部55が前記計測値の算出を行なってもよい。
次に、ステップS3では、図6に示すように、画像表示制御部53は、表示デバイス6に弾性計測の回数として推奨される推奨回数を表示させる。ここで表示される回数は、残りの弾性計測の推奨回数である。ここでは、画像表示制御部53は、「推奨計測回数:あと○回」の文字からなるメッセージMを、表示デバイス6に表示させる。
回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第一の基準値に基づいて算出する。第一の基準値は、第一の基準値算出部56によって算出される。ここでは、第一の基準値は、一フレームの弾性画像EIの計測領域Rmにおける伝搬速度の分散である。計測領域Rmは、複数の画素を含んでおり、その画素の各々における伝搬速度の分散が、第一の基準値である。
ここで、上述したように、一フレームにおける伝搬速度のばらつきが大きいと、弾性データの値として、正確な値を得られていない可能性がある。そこで、本例では、弾性データの信頼度と関係する第一の基準値として、一フレームにおける伝搬速度の分散が用いられている。
回数算出部57による推奨回数の算出についてより詳細に説明する。回数算出部57は、例えば図7に示す関数F1を用いて前記弾性計測の推奨回数を算出する。関数F1は、予め記憶デバイス9に記憶されており、伝搬速度の分散と弾性計測の推奨回数との関係を示す関数である。関数F1は、伝搬速度の分散が大きいほど、弾性計測の推奨回数が多くなる関数になっている。このような関数F1とした理由について説明する。肝硬変などの肝臓においては、伝搬速度の分散が大きくなるので、弾性計測の計測値としてより正確な値を得るために、弾性計測の回数を多くする必要がある。一方、正常な肝臓や比較的軽度の肝炎の肝臓においては、伝搬速度の分散が小さくなり、安定してより正確な計測値を得ることができるので、弾性計測の回数が少なくても、弾性計測の計測値としてより正確な値を得ることができる。そこで、関数F1は、弾性計測の推奨回数が伝搬速度の分散に比例する関数になっている。
ちなみに、関数F1における比例定数は、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の推奨回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。
回数算出部57は、第一の基準値算出部56によって算出された前記伝搬速度の分散と、上述の関数F1とから、前記弾性計測の推奨回数を算出する。
以上の処理により、弾性計測の推奨回数が表示されると、ユーザーは、表示された推奨回数を参照して弾性計測を複数回行なう。複数回の弾性計測の計測値の平均値が算出されてもよい。超音波診断装置1において、ユーザーによる操作デバイス7における前記フリーズの操作及び計測指示の操作が行われなくても、回数算出部57によって算出された推奨回数に到達するまで、新たなフレームについての弾性画像EIが取得され、この弾性画像EIにおける計測値算出部55による計測値の算出が行われてもよい。
以上説明した本例によれば、既に得られた弾性データの信頼度に基づいて、弾性計測の推奨回数として、残りの回数が算出される。そして、弾性計測の残りの回数を示すメッセージMが表示されることによって、ユーザーは適切な弾性計測の回数の目安を知ることができる。これにより、例えば、正常肝や比較的軽度の肝炎患者である場合、従来よりも弾性計測の回数を減らすことができる。
次に、第一実施形態の変形例について説明する。この変形例では、表示処理部5は、図8に示すようにさらにクオリティ値算出部58を有している。このクオリティ値算出部58は、前記伝搬速度及び前記弾性値の信頼度、すなわち前記伝搬速度及び前記弾性値が、生体組織の弾性をどれだけ正確に反映した値であるかを示すクオリティ値を算出する。クオリティ値は、弾性画像における複数の画素の各々に対応する伝搬速度及び弾性値の各々について算出される。具体的には、クオリティ値算出部58は、クオリティ値として、せん断弾性波による生体組織の変位に比例する値を算出する。せん断弾性波による生体組織の変位は、前記検出用超音波パルスのエコーデータにおいて検出される。
せん断弾性波が小さいほど、検出用超音波パルスのエコー信号においてS/Nが悪化し、せん断弾性波の正確な検出が困難となる。これにより、より正確なせん断弾性波の伝搬速度の算出が困難になる。従って、せん断弾性波による生体組織の変位が小さいほど小さい値となるクオリティ値が算出される。クオリティ値が小さいほど、前記伝搬速度及び前記弾性値の信頼度が低く、クオリティ値が大きいほど、前記伝搬速度及び前記弾性値の信頼度が高い。
この変形例では、第一の基準値算出部56は、一フレームにおける伝搬速度のデータのうち、前記クオリティ値が所要の閾値よりも高い伝搬速度のデータを有効データとして特定する。そして、第一の基準値算出部56は、前記第一の基準値として有効データの数を算出する。
回数算出部57は、伝搬速度の分散の代わりに、有効データの数を用いて前記弾性計測の推奨回数を算出する。この場合、回数算出部57は、関数F1の代わりに、図9に示す関数F2を用いて前記弾性計測の推奨回数を算出する。関数F2は、予め記憶デバイス9に記憶されており、有効データの数と弾性計測の回数との関係を示す関数である。関数F2は、有効データの数が多いほど、弾性計測の推奨回数が少なくなる関数になっている。このような関数F2とした理由について説明する。肝硬変などの肝臓においては、正確な伝搬速度が得られない可能性が高く、有効データの数がより少なくなる恐れが高い。そこで、有効データの数が少ないほど、弾性計測の計測値としてより正確な値を得るために、弾性計測の回数を多くする必要がある。一方、正常な肝臓や比較的軽度の肝炎である場合においては、安定してより正確な計測値を得ることができ、有効データの数がより多くなる。従って、弾性計測の回数が少なくても、弾性計測の計測値としてより正確な値を得ることができる。そこで、関数F2は、弾性計測の推奨回数が有効データ値の数に反比例する関数になっている。
ちなみに、関数F2における比例定数も、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の推奨回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。
この変形例において、前記第一の基準値として、前記有効データの数の代わりに、一フレームにおける有効データの割合が用いられてもよい。また、前記第一の基準値として、一フレームの弾性画像EIにおいて有効データが占める面積が用いられてもよい。
さらに、第一の基準値算出部56は、一フレームにおける伝搬速度のデータのうち、前記クオリティ値が所要の閾値よりも低い伝搬速度のデータを無効データとして特定してもよい。この場合、第一の基準値算出部56は、前記第一の基準値として無効データの数を算出する。もしくは、第一の基準値算出部56は、一フレームにおける無効データの割合を算出してもよいし、一フレームの弾性画像EIにおいて無効データが占める面積を算出してもよい。
第一の基準値として無効データの数、割合又は面積が算出され、これらのうちいずれか一つを用いて弾性計測の推奨回数が算出されてもよい。この場合、回数算出部57は、無効データの数、割合又は面積が大きいほど、弾性計測の推奨回数が多くなる関数を用いて、弾性計測の推奨回数を算出する。
また、第一の基準値として、前記クオリティ値の平均値が用いられてもよい。この場合、回数算出部57は、クオリティ値の平均値が大きくなるほど、弾性計測の推奨回数が少なくなる関数を用いて、弾性計測の推奨回数を算出する。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。ただし、第一実施形態と同一事項については説明を省略する。
本例の超音波診断装置1において、表示処理部5は、第一の基準値算出部56の代わりに、図10に示すように、第二の基準値算出部59を有する。第二の基準値算出部58は、弾性画像EIに設定された計測領域Rmについての弾性計測の推奨回数を回数算出部57によって算出するための第二の基準値を算出する。第二の基準値は、複数フレームにおける前記弾性データの信頼度と関係する値であり、例えば伝搬速度又は弾性値の一フレームにおける代表値の複数フレームにおける散布度である。散布度は、分散やIQR(interquartile range:四分位範囲)などである。
本例では、回数算出部57は、第二の基準値に基づいて前記弾性計測の推奨回数を算出する。詳細は後述する。本例における回数算出部57は、本発明における第三の算出部の実施の形態の一例である。
次に、本例の超音波診断装置1の作用について図11のフローチャートに基づいて説明する。ここでも、本例の超音波診断装置1の作用として、弾性計測の推奨回数の表示について説明する。
先ず、ステップS11においては、ステップS1と同様に、Bモード画像BI及び弾性画像EIが表示され、また計測領域Rmが設定される。また、ステップS12においては、ステップS2と同様に、計測領域Rmにおける計測値として伝搬速度の平均値が算出される。この平均値は、一フレームの弾性画像における平均値である。
次に、ステップS13においては、ステップS12における計測値の算出がN(N≧2)フレーム目であるか否かが制御部8によって判定される。Nフレーム目ではないと判定された場合(ステップS13において「NO」)、ステップS12の処理へ戻り、新たなフレームについての弾性画像EIが取得された後、この弾性画像EIにおける計測領域Rmにおける計測値が算出される。
一方、ステップS13において、ステップS12における計測値の算出がNフレーム目であると判定された場合(ステップS13において「YES」)、ステップS14の処理へ移行する。このステップS14では、画像表示制御部53は、ステップS3と同様に、表示デバイス6に弾性計測の推奨回数(図6に示すメッセージM)を表示させる。
回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第二の基準値に基づいて算出する。第二の基準値は、第二の基準値算出部59によって算出される。ここでは、第二の基準値は、伝搬速度の一フレームにおける代表値のNフレームにおける分散である。伝搬速度の一フレームにおける代表値は、例えば計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値である。
ここで、一フレームのみならず、複数フレームにおける伝搬速度のばらつきが大きい場合にも、弾性データの値として、正確な値を得られていない可能性がある。そこで、本例では、複数フレームにおける弾性データの信頼度と関係する第二の基準値として、Nフレームにおける伝搬速度の分散が用いられている。
回数算出部57による推奨回数の算出についてより詳細に説明する。回数算出部57は、本例では、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散と、弾性計測の推奨回数との関係を示す関数F3(図示省略)を用いて、前記弾性計測の推奨回数を算出する。関数F3も予め記憶デバイス9に記憶されている。関数F3は、弾性計測の推奨回数が、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散に比例する関数である。このような関数F3とした理由について説明する。肝硬変などの肝臓においては、一フレームにおける伝搬速度の分散が大きくなるだけではなく、一フレームにおける伝搬速度の平均値の複数フレームにおける分散が大きくなる。また、複数回の計測の途中において、ユーザーが超音波プローブを動かしてしまったり、被検体の呼吸や体動が生じたりすることによって生体組織が動くことによっても、複数回の計測における伝搬速度の平均値の分散が大きくなるおそれがある。一方、正常な肝臓や比較的軽度の肝炎の肝臓においては、一フレームにおける伝搬速度の分散が小さくなるとともに、複数フレームにおける伝搬速度の平均値の分散が小さくなる。具体的に、図12に基づいて説明すると、図12は、一例として6(すなわち、N=6)フレームにおける計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値の各々を示している。図12において、符号L1−1は、肝硬変の肝臓における伝搬速度の平均値の6フレームにおけるデータを示す。また、符号L2−1は、正常肝における伝搬速度の平均値の6フレームにおけるデータを示す。肝硬変などの肝臓においては、伝搬速度が大きく、なおかつ各々のフレームの計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値の分散が大きい。一方、正常な肝臓や比較的軽度の肝炎の肝臓においては、伝搬速度が小さく、なおかつ各々のフレームの計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値の分散が小さい。
従って、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散が大きい場合、弾性計測の計測値としてより正確な値を得るために、弾性計測の回数を多くする必要がある。一方、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散が小さい場合、安定してより正確な計測値を得ることができるので、弾性計測の回数は少なくてもよい。従って、関数F3は、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散に比例する関数になっている。
なお、各フレームの計測領域Rmにおける伝搬速度は、図13に示すような分布となる。図13において、符号L1−2は、肝硬変の肝臓における伝搬速度の6フレームにおけるデータを示す。また、符号L2−2は、正常肝における伝搬速度の6フレームにおけるデータを示す。すなわち、肝硬変などの肝臓においては、各フレームの計測領域Rmにおける伝搬速度の分散が大きくなる。また、正常な肝臓や比較的軽度の肝炎の肝臓においては、各フレームの計測領域Rmにおける伝搬速度の分散は小さくなる。
ちなみに、関数F3における比例定数も、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。
回数算出部57は、第二の基準値算出部59によって算出された第二の基準値、すなわち計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散と、上述の関数F3とから、前記弾性計測の推奨回数を算出する。ちなみに、この弾性計測の推奨回数も、残りの回数である。
以上の処理により、弾性計測の推奨回数が表示されると、ユーザーは、第一実施形態と同様に、表示された推奨回数を参照して弾性計測を複数回行なう。また、第一実施形態と同様に、複数回の弾性計測の計測値の平均値が算出されてもよい。また、第一実施形態と同様に、超音波診断装置1において、ユーザーによる操作デバイス7における前記フリーズの操作及び計測指示の操作が行われなくても、回数算出部57によって算出された回数に到達するまで、新たなフレームについての弾性画像EIが取得され、この弾性画像EIにおける計測値算出部55による計測値の算出が行われてもよい。
以上説明した本例によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、第二実施形態の変形例について説明する。この変形例では、表示処理部5は、図14に示すようにさらにクオリティ値算出部58を有している。このクオリティ算出部58は、第一実施形態と同様にしてクオリティ値を算出する。
この変形例では、第二の基準値算出部59は、クオリティ値が所要の閾値よりも高い有効データの一フレームにおける数を算出し、この一フレームにおける有効データの数のNフレームにおける代表値を、前記第二の基準値として算出する。前記代表値は、一フレームにおける有効データの数のNフレームにおける平均値である。
回数算出部57は、上述した計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける分散の代わりに、前記有効データの数のNフレームにおける平均値を用いて前記弾性計測の推奨回数を算出する。この場合、回数算出部57は、関数F3の代わりに、関数F4(図示省略)を用いて前記弾性計測の推奨回数を算出する。関数F4も、予め記憶デバイス9に記憶されており、弾性計測の推奨回数が、前記有効データの数のNフレームにおける平均値と反比例する関数である。
ちなみに、関数F4における比例定数も、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の推奨回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。
この変形例において、前記第二の基準値として、前記有効データの数のNフレームにおける平均値の代わりに、一フレームにおける有効データの割合のNフレームにおける平均値が用いられてもよい。また、前記第一の基準値として、一フレームの弾性画像EIにおいて有効データが占める面積のNフレームにおける平均値が用いられてもよい。
さらに、第二の基準値算出部59は、第二の基準値として、一フレームにおける前記無効データの数のNフレームにおける平均値を算出してもよい。また、第二の基準値算出部59は、第二の基準値として、一フレームにおける無効データの割合のNフレームにおける平均値や、一フレームの弾性画像EIにおいて無効データが占める面積を算出してもよい。この場合、回数算出部57は、無効データの数のNフレームにおける平均値、無効データの割合のNフレームにおける平均値又は無効データが占める面積が大きいほど、弾性計測の推奨回数が多くなる関数を用いて、弾性計測の推奨回数を算出する。
また、第一の基準値として、一フレームにおける前記クオリティ値の平均値のNフレームにおける平均値が用いられてもよい。この場合、回数算出部57は、一フレームにおける前記クオリティ値の平均値のNフレームにおける平均値が大きくなるほど、弾性計測の推奨回数が少なくなる関数を用いて、弾性計測の推奨回数を算出する。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。ただし、第一、第二実施形態と同一事項については説明を省略する。
本例の超音波診断装置1において、表示処理部5は、第一の基準値算出部56及び第二の基準値算出部59の代わりに、図15に示すように、第三の基準値算出部60を有する。第三の基準値算出部60は、弾性画像EIに設定された計測領域Rmについての弾性計測の推奨回数を回数算出部57によって算出するための第三の基準値を算出する。第三の基準値は、前記弾性データの値からなる。例えば、第三の基準値は、伝搬速度又は弾性値の一フレームにおける代表値の複数フレームにおける代表値である。伝搬速度又は弾性値の一フレームにおける代表値は、例えば一フレームにおける計測領域Rmにおける伝搬速度又は弾性値の平均値である。また、複数フレームにおける代表値は、例えば一フレームにおける計測領域Rmにおける伝搬速度又は弾性値の平均値の複数フレームにおける平均値である。
本例では、回数算出部57は、第三の基準値に基づいて前記弾性計測の推奨回数を算出する。詳細は後述する。本例における回数算出部57は、本発明における第四の算出部の実施の形態の一例である。
次に、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。ここでも、本例の超音波診断装置1の作用として、弾性計測の推奨回数の表示について説明する。
本例の超音波診断装置1における作用は、第二実施形態における図11のフローチャートと基本的に同一である。ただし、ステップS14における弾性計測の推奨回数の算出処理が異なっている。具体的には、回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第三の基準値算出部60によって算出された前記第三の基準値に基づいて算出する。ここでは、第三の基準値は、計測領域Rmにおける伝搬速度の一フレームにおける平均値のNフレームにおける平均値である。
より詳細には、回数算出部57は、本例では、前記第三の基準値、すなわち計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値と、弾性計測の推奨回数との関係を示す関数F5(図示省略)を用いて、前記弾性計測の推奨回数を算出する。関数F5も予め記憶デバイス9に記憶されている。関数F5は、弾性計測の推奨回数が、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値に比例する関数である。このような関数F5とした理由について説明する。肝硬変などの肝臓においては、せん断弾性波の伝搬速度が速くなるため、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値も大きくなる。従って、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値が大きい場合、弾性計測の計測値としてより正確な値を得るために、弾性計測の回数を多くする必要がある。一方、正常な肝臓や比較的軽度の肝炎の肝臓においては、せん断弾性波の伝搬速度が遅くなるため、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値も小さくなる。従って、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値が小さい場合、安定してより正確な計測値を得ることができるので、弾性計測の回数は少なくてもよい。従って、関数F5は、弾性計測の推奨回数が、計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値に比例する関数になっている。
なお、第三の基準値が、計測領域Rmにおける弾性値の一フレームにおける平均値のNフレームにおける平均値である場合も、関数F5は、弾性計測の推奨回数が、前記平均値に比例する関数である。
ちなみに、関数F5における比例定数も、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の推奨回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。
回数算出部57は、第三の基準値算出部60によって算出された第三の基準値、すなわち計測領域Rmにおける伝搬速度の平均値のNフレームにおける平均値と、上述の関数F5とから、前記弾性計測の推奨回数を算出する。ちなみに、この弾性計測の推奨回数も、残りの回数である。
弾性計測の推奨回数が表示された後の処理についても、第一、第二実施形態と同様であり、説明を省略する。以上説明した本例によっても、第一、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
ちなみに、第三の基準値は、伝搬速度又は弾性値の一フレームにおける平均値であってもよい。また、第三の基準値は、一フレームの弾性画像の一画素における伝搬速度又は弾性値であってもよい。また、第三の基準値は、一フレームの弾性画像の一画素における伝搬速度又は弾性値の複数フレームにおける平均値であってもよい。
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。ただし、第一、第二、第三実施形態と同一事項については説明を省略する。
本例の超音波診断装置1において、表示処理部5は、図16に示すように、第一の基準値算出部56及び第二の基準値算出部59を有していてもよい。本例では、回数算出部57は、前記第一の基準値及び前記第二の基準値に基づいて弾性計測の推奨回数を算出する。詳細は後述する。本例における回数算出部57は、本発明における第二の算出部の実施の形態の一例である。
本例の超音波診断装置1における作用は、第二実施形態における図11のフローチャートと基本的に同一である。ただし、ステップS14における弾性計測の推奨回数の算出処理が異なっている。具体的には、回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第一の基準値算出部56によって算出された前記第一の基準値及び第二の基準値算出部59によって算出された前記第二の基準値に基づいて算出する。具体的には、回数算出部57は、弾性計測の推奨回数Ntを、下記の(式1)によって算出する。
Nt=p・X+q・Y ・・・(式1)
(式1)において、Xは前記第一の基準値であり、Yは前記第二の基準値である。前記第一の基準値は、上述のように、例えば一フレームの計測領域における伝搬速度の分散である。本例では、Nフレームの弾性画像が得られるので、前記第一の基準値は、前記Nフレームのうち、いずれか一フレームの計測領域における伝搬速度の分散である。
また、(式1)において、p、qは任意の係数である。これらp、qは、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の推奨回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。より詳細には、前記第一の基準値及び前記第二の基準値が分散である場合、分散が大きくなるほどNtが多くなり、分散が小さくなるほどNtが少なくなるよう、p、qが設定される。また、前記第一の基準値及び前記第二の基準値が有効データの数、割合又は面積である場合、有効データの数、割合又は面積が大きくなるほどNtが少なくなり、有効データの数、割合又は面積が小さくなるほどNtが多くなるよう、p、qが設定される。また、前記第一の基準値及び前記第二の基準値が無効データの数、割合又は面積である場合、無効データの数、割合又は面積が大きくなるほどNtが多くなり、無効データの数、割合又は面積が小さくなるほどNtが小さくなるよう、p、qが設定される。
上記(式1)によって算出される弾性計測の推奨回数Ntも、他の実施形態と同様に、残りの回数である。
弾性計測の推奨回数が表示された後の処理についても、第一、第二、第三実施形態と同様であり、説明を省略する。以上説明した本例によっても、第一、第二、第三実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、第四実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。第一変形例の超音波診断装置1において、表示処理部5は、図17に示すように、第一の基準値算出部56及び第三の基準値算出部60を有していてもよい。
本例では、回数算出部57は、前記第一の基準値及び前記第三の基準値に基づいて弾性計測の推奨回数を算出する。詳細は後述する。本例における回数算出部57は、本発明における第二の算出部の実施の形態の一例である。
この第一変形例の超音波診断装置1における作用は、第二実施形態における図11のフローチャートと基本的に同一である。ただし、ステップS14における弾性計測の推奨回数の算出処理が異なっている。具体的には、回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第一の基準値算出部56によって算出された前記第一の基準値及び第三の基準値算出部60によって算出された前記第三の基準値に基づいて算出する。具体的には、回数算出部57は、弾性計測の推奨回数Ntを、下記の(式2)によって算出する。
Nt=p・X+r・Z ・・・(式2)
(式2)において、p、Xは上記(式1)と同様であり説明を省略する。また、(式2)において、Zは前記第三の基準値である。また、rは任意の係数であり、例えば臨床上の蓄積結果を踏まえて、弾性計測の回数として、最適な値、すなわちより正確な弾性計測の計測値が得られつつも、できるだけ少ない回数が得られる値に設定される。より詳細には、前記第三の基準値が伝搬速度又は弾性値である場合、伝搬速度又は弾性値が大きくなるほどNtが大きくなり、伝搬速度又は弾性値が小さくなるほどNtが小さくなるよう、rが設定される。
上記(式2)によって算出される弾性計測の推奨回数Ntも、他の実施形態と同様に、残りの回数である。
次に、第二変形例について説明する。第二変形例の超音波診断装置1において、表示処理部5は、図18に示すように、第二の基準値算出部59及び第三の基準値算出部60を有していてもよい。
本例では、回数算出部57は、前記第二の基準値及び前記第三の基準値に基づいて弾性計測の推奨回数を算出する。詳細は後述する。本例における回数算出部57は、本発明における第三の算出部の実施の形態の一例である。
この第二変形例の超音波診断装置1における作用は、第二実施形態における図11のフローチャートと基本的に同一である。ただし、ステップS14における弾性計測の回数の算出処理が異なっている。具体的には、回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第二の基準値算出部59によって算出された前記第二の基準値及び第三の基準値算出部60によって算出された前記第三の基準値に基づいて算出する。具体的には、回数算出部57は、弾性計測の推奨回数Ntを、下記の(式3)によって算出する。
Nt=q・Y+r・Z ・・・(式3)
(式3)において、q,Y,r,Zは、上記(式1)及び(式2)と同様であり説明を省略する。
上記(式3)によって算出される弾性計測の推奨回数Ntも、他の実施形態と同様に、残りの回数である。
次に、第三変形例について説明する。第三変形例の超音波診断装置1において、表示処理部5は、図19に示すように、第一の基準値算出部56、第二の基準値算出部59及び第三の基準値算出部60を有していてもよい。
本例では、回数算出部57は、前記第一の基準値、前記第二の基準値及び前記第三の基準値に基づいて弾性計測の推奨回数を算出する。詳細は後述する。本例における回数算出部57は、本発明における第二の算出部の実施の形態の一例である。
この第三変形例の超音波診断装置1における作用は、第二実施形態における図11のフローチャートと基本的に同一である。ただし、ステップS14における弾性計測の推奨回数の算出処理が異なっている。具体的には、回数算出部57は、表示デバイス6に表示される前記弾性計測の推奨回数を、第一の基準値算出部56によって算出された前記第一の基準値、第二の基準値算出部59によって算出された前記第二の基準値及び第三の基準値算出部60によって算出された前記第三の基準値に基づいて算出する。具体的には、回数算出部57は、弾性計測の推奨回数Ntを、下記の(式4)によって算出する。
Nt=p・X+q・Y+r・Z ・・・(式4)
(式4)において、p,X,q,Y,r,Zは、上記(式1)及び(式2)と同様であり説明を省略する。
上記(式4)によって算出される弾性計測の推奨回数Ntも、他の実施形態と同様に、残りの回数である。
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、弾性計測の推奨回数が表示デバイス6に表示されるとともに、または弾性計測の推奨回数が表示デバイス6に表示されることに代えて、弾性計測の推奨回数が、超音波診断装置1に設けられたスピーカー(図示省略)から音で出力されてもよい。
また、弾性計測の推奨回数が表示された後に、新たに弾性画像が取得されて弾性計測が行われた場合、弾性計測の推奨回数が再度算出されて表示されてもよい。
また、表示される弾性計測の推奨回数は、残りの回数に限られるものではない。例えば、すでに行われた弾性計測も含めた全ての弾性計測の推奨回数が表示されてもよい。
また、前記第一の基準値、前記第二の基準値及び前記第三の基準値は、上述のものに限られるものではない。
また、せん断弾性波は、プッシュパルスによって生じるものに限られるものではない。例えば、せん断弾性波は、被検体の体表面から振動等の外力を与えることによって生体組織に生じるものであってもよいし、被検体における心臓等の臓器の動きによって生体組織に生じるものであってもよい。
また、ユーザーによって操作デバイス7において入力された検査目的又は検査部位に応じた算出式が設定されて、弾性計測の推奨回数が算出されてもよい。この場合、検査目的及び検査部位に応じて適切な回数を算出することができる算出式が記憶デバイス9に記憶されていてもよい。そして、操作デバイス7が、ユーザーによる検査目的又は検査部位の入力を受け付けると、回数算出部57は、入力された検査目的又は検査部位に応じた算出式を記憶デバイス9から読み出し、読み出された算出式に基づいて、弾性計測の推奨回数を算出する。操作デバイス7は、本発明における入力デバイスの実施の形態の一例である。
前記算出式は、前記第一の基準値、前記第二の基準値及び第三の基準値のうち少なくとも一つを含む。例えば、前記算出式は、前記関数F1、F2、F3、F4、F5、(式1)、(式2)、(式3)又は(式4)のいずれかであってもよい。ただし、算出式は、これらに限られるものではない。