JP2017128850A - 鉄骨躯体に敷設された既存屋根の改修方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1には、既設屋根上に新設屋根を重ね葺きするために重ね葺き用固定具を用い方法を提案している。
なお、「屋根からの固定具の延出部分」とは、屋根材で形成する屋根面上に固定具の先端部分が突出している部分を指すものである。
そして、配設した落下防止板により、屋根撤去時の部材落下を防ぐことができ、屋内側の使用制限を最小限にすると共に、撤去した部材の回収を容易に行うことができる。さらに、落下防止板が天井化粧材を兼ねる場合には、新設屋根の種類にかかわらずに裏面側(室内側)の意匠性を高めることができる。
また、固定具としては、型鋼から鉛直方向に延在して屋根材を固定するものであれば、特にその具体的な構成は限定するものではない。なお、屋根材の表面に至る固定具の上端には締着具が配設され、下端は型鋼(の上フランジや下フランジ)に係合している。即ちこの固定具は、上端が締着具により、下端が型鋼への係合により,固定された状態であって、この固定具により型鋼と屋根材とが一体化されている。
例えば後述する図示実施例では、取付孔を備える波形スレート板を屋根材とし、J字状の固定ボルトを固定具とし、そのJ字状の下端を型鋼の上フランジに係合させると共に上端を前記屋根材に挿通させてナットを締着した構造の既存屋根を用いているが、特にこれに限定するものではなく、どのような構造でもよい。
第1の工程にて用いる落下防止板は、隣り合う型鋼間に配設されるものであって、落下物の室内側への落下を防止するものであれば、特にその具体的な構成を限定するものではなく、美観を損ねるものでなければ特に限定するものではないが、天井化粧板を兼ねるものであることが望ましい。新設屋根の種類にかかわらずに裏面側(室内側)の意匠性を高めることができるからである。
即ちこの先願構造では、予め型鋼に、補助材を固定しておき、この補助材と隣り合う型鋼との間に天井化粧材(落下防止板)を係止状に取り付ける構成を採用している。
より詳しくは、前記先願構造では、天井化粧材(落下防止板)の一方の端縁を型鋼に係止し、他方の端縁を隣り合う型鋼に固定した補助材に係止する構成である。
また、前記補助材は、取付状態において型鋼のウエブに取り付けられる中央縦片部と、該中央縦片部の下端から型鋼の下フランジとは逆方向に延在する横片部とを有する構成である。
そして、予めそれぞれの型鋼に前記補助材を取り付け、間隔を隔てて突き合わされた前記型鋼の下フランジと前記補助材の横片部との間に、前記天井化粧材(落下防止板)を弾性に抗して押し込んで配設することにより、前記嵌合部を前記型鋼の下フランジ、前記補助材の横片部に弾性的に嵌合させて取り付けることができる。
なお、後述する図示実施例では、この補助材を、型鋼と略対称状に成型した形状のものを用い、天井化粧材(落下防止板)を左右対称状の部材として成形しているが、それに限定されるものではない。但し、この場合には、部材の生産に関しても取付作業(取付方向の誤りを生じない)においても利点が大きい
上記型鋼の中でもリップを有するC型鋼、リップZ型鋼が望ましい。なお、これらの型鋼は、下フランジが同一方向に延在するように配設して母屋を形成するが、一部にはこの型鋼同士を背中合わせに接続して用いるようにしてもよい。
この工程では、既存屋根における屋根材と固定具とを分離するのであるが、屋根からの固定具の延出部分を切除するか、屋根からの固定具の延出部分を鉛直方向に押し込むかの何れか一方であることが望ましい。前述のように「屋根からの固定具の延出部分」とは、屋根材で形成する屋根面上に固定具の先端部分が突出している部分を指すので、後述する図示実施例では締着しているナットがその部分に相当するが、それぞれ工具を用いて容易に行うことができる。
そして、前者がC型鋼の上フランジ、下フランジに係止されている場合に有効であり、後者が上フランジに係止されている場合にのみ有効となる。
また、後者のナット等の固定具の先端部分を打突等にて鉛直方向に押し込む場合には、下方の圧力の解除が優先され、型鋼と屋根材との一体化が解除され、固定具(ボルト)は打突の圧力で下方へ落下する場合が多い。
この工程では、第2の工程にて分離した屋根材を撤去して新設屋根を敷設するが、前述のように第2の工程にて屋根材と固定具とは分離されているので、容易に屋根材を取り外して撤去することができる。
また、新設屋根については、特に限定するものではなく、例えば既存屋根を構成していた屋根材の新たな製品を用いるようにしてもよい。即ち新たな屋根材としては、平板状や波板状のスレート板などの外装材を用いるようにしてもよいが、特に限定するものではない。
まず、図1は、落下防止板1を配設する第1の工程を模式的に示すものであり、落下防止板1を配設した後の状態は図2に示すとおりである。
また、図3は、屋根材5と固定具7とを分離する第2の工程の途中の状態を示すものである。
なお、図4は、第2の工程にて分離した屋根材を撤去して新設屋根8を敷設する第3の工程を模式的に示すものであり、新設屋根8は点線にて示している。
図1(a)に示すように、既存屋根に用いられる型鋼4は、縦方向に配されるウエブ41の両端(上下端)にフランジ43,42を有するリップ溝型鋼(C型鋼)であって、先端に上向きリップ421を備える下フランジ42は、図面右方へ延在している。なお、同図中に示される符号5は波形スレート板(屋根材)であり、6はその下面側に配設される木毛セメント板、7は前記屋根材5を固定する固定具(フックボルト)であって、この固定具7は、下端が型鋼4の上フランジ43の下向きリップ431に係合状に取り付けられ、上端にナット7bが屋根材5上に締着されている。
前記中央縦片部21は、前述のように取付状態において型鋼4のウエブ41に沿うものであり、この第1実施例では鉛直状の縦片状に形成した。
前記横片部22は、前述のように中央縦片部21の下端から前記下フランジ42とは逆方向に延在する。
なお、図1(c)に示す落下防止板1は、取り付けられた状態(図2)の落下防止板1を抜き出して示した分解断面図であるから、実際の配設以前の落下防止板1は、左右の押し込み片部12,13がもっと広く拡開している。即ち図中の拡開角度より大きく成形されている。
このように、天井方向へ押し上げるという簡易な操作にて落下防止板1を容易に且つ確実に型鋼4及び補助材2に固定することができる。しかもこの第1実施例では、前述のように落下防止板1が左右対称状に成形されたものである。そのため、この落下防止板1の設計、成形を容易に行うことができ、またその取付作業に際しても、取付方向の誤りを生ずることがない。
また、この第1実施例では、前記化粧面部11の前端及び後端が折り下げられているので、化粧面部11の曲げ強度が高いものとなり、形状安定性も高いものとなった。さらに、前記落下防止板1には、嵌合部14,15の下端に下方へ延在する固定部14b,15bを設けてビス1bにて固定したので、嵌合部14,15の固定がより強固に且つ確実なものとなった。
図3は、前述のように屋根材5と固定具7とを分離する第2の工程の途中の状態を示し、屋根からの固定具7の延出部分をハンマー等を用いてハッチング矢印で示すように鉛直方向に押し込むことにより、屋根材5と固定具7とを分離する。なお、図中に点線にて示すように、固定具7の延出部分(=フックボルト7の上端とナット7b)を切除した後、鉛直方向に押し込むようにしてもよい。
下方へ移動する固定具7の下端は、前記落下防止板1の化粧面部11や押し込み片部12,13に受支され、型鋼4の下フランジ42へと導かれる。
このように前記落下防止板1に受支された固定具4は、最終的には、型鋼4の下フランジ42上に受け止められる状態となるため、室内側への落下が生ずることがない。
図4は、前記第2の工程にて分離した屋根材5を撤去すると共にその裏面側の木毛セメント板6をも撤去し、併せて固定具7も取り除いた後にその後に前述のように点線にて示す新設屋根8を敷設している。
この新設屋根8としてはどのような屋根を敷設してもよく、特に限定されるものではなく、例えば新たな屋根材5及び新たな木毛セメント板6、新たな固定具7を用いて図2に示す既存屋根と全く同様に新設屋根8を構築してもよい。その際、例えば木毛セメント板6が老化していない場合にはそのまま新設屋根8に流用してもよい。
また、嵌合部14,15には、それぞれ側方から上方へ向くL字状片16,17が延設され、ビス1bを嵌合部14,15の縦片部(固定部14b,15b)に打ち込んでもその頭部をこのL字状片16,17が隠すことができる。
また、この第3実施例では、前記第2実施例におけるL字状片16,17に代えて外向き片16b,17bが設けられている。
また、この第4実施例では、前記第2実施例におけるL字状片16,17に代えて外向き片16c,17cが設けられている。
また、この第4実施例では、前記第2実施例におけるL字状片16,17に代えて外向き片16d,17dが設けられている。
また、この化粧カバー9は、図示するように樋状に形成され、底面に相当する化粧面91の左右端を立ち上げて側面92,92とし、該側面92,92の上端をそれぞれ内側へ折曲して取付嵌合部93,93とした構成である。
そのため、この第6実施例では、化粧カバー9と前記落下防止板1Eとが相まって天井全体の美観向上が果たされる。
なお、図10に示す第7実施例では、落下防止板1や補助材2については、前記第1実施例と全く同様であり、化粧カバー9については、前記第6実施例と全く同様であるから、それぞれの構成、部位に同一符号を付記して説明を省略する。
そのため、この第7実施例における第2の工程では、固定具7'の延出部分(=フックボルト7'の上端とナット7b)を切除する方法を採用した。この固定具7'を下方から抜き出して取り出せるのであれば、そのようにしてもよいが、多くの場合には、延出部分を切除した固定具7'を前後方向に倒す方法が採られることが多い。
11 化粧面部
12,13 押し込み片部
14,15 嵌合部
2 補助材
21 中央縦片部
22 横片部
221 上向き片
4 型鋼
41 ウエブ
42 下フランジ
421 上向きリップ
7 固定具
7b ナット
8 既存屋根
9 化粧カバー
91 化粧面
Claims (3)
- 屋根材表面から鉛直方向に固定具を取り付けて複数の型鋼にて形成される鉄骨躯体に屋根材を敷設してなる既存屋根の改修方法であって、
隣り合う型鋼間に落下物の室内側への落下を防止する落下防止板を配設する第1の工程と、
既存屋根における前記屋根材と前記固定具とを分離する第2の工程と、
前記第2の工程にて分離した屋根材を撤去して新設屋根を敷設する第3の工程と、
からなることを特徴とする鉄骨躯体に敷設された既存屋根の改修方法。 - 第2の工程は、屋根からの固定具の延出部分を切除するか、屋根からの固定具の延出部分を鉛直方向に押し込むかの何れか一方であることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨躯体に敷設された既存屋根の改修方法。
- 落下防止板は、落下防止板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄骨躯体に敷設された既存屋根の改修方法。
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