JP2017128765A - 方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板の製造方法、変圧器またはリアクトル用の鉄心、および、騒音評価方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板の製造方法、変圧器またはリアクトル用の鉄心、および、騒音評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変圧器やリアクトルの発する騒音に対して、鉄心の素材となる鋼板の磁歪特性を変化させ、騒音レベルを変化、低減させ得る方向性電磁鋼板の提供【解決手段】少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区細分化された方向性電磁鋼板であり、鋼板の圧延方向に周波数fの正弦波で変化する最大値が1.7Tの磁化を発生させて磁化方向の長さ変化を測定することで得られる磁歪変位波形について、4fの周波数の磁歪成分の振幅が0.03×10−6以下である方向性電磁鋼板。前記磁歪変位波形について、歪取り焼鈍前の4fの周波数の磁歪成分の振幅λA、歪取り焼鈍後の4fの周波数の磁歪成分の振幅λBとして、これらが式(1)に示す条件を満足する方向性電磁鋼板。0≦λA−λB≦0.02×10−6・・・(1)【選択図】なし

Description

本発明は、騒音が小さい変圧器やリアクトルが得られる方向性電磁鋼板およびその製造方法、その電磁鋼板で製造される変圧器やリアクトルの鉄心に関するものである。また、変圧器やリアクトルの鉄心が発する騒音を、鉄心の素材となる方向性電磁鋼板の磁歪特性から評価する騒音評価方法に関するものである。
変圧器は、通電中には常時、騒音を発する。これは、変電所周辺住民の生活環境の劣化を引き起こすため、低い騒音レベルが求められる。騒音問題への対応策として、変圧器発注時の要求仕様で、設置場所に応じた騒音レベルの上限が設定されており、完成した変圧器の騒音レベルがその上限値を超過しないことが強く求められている。
変圧器の騒音発生源の一つは鉄心で、鉄心騒音の一因は方向性電磁鋼板の磁歪現象である。これは、方向性電磁鋼板が交流で磁化される時、その磁化の強さの変化に伴って電磁鋼板の外形がわずかに変化する現象で、定量的に表現する場合には、一般的に鋼板の長さの変化量ΔLを元の長さLで除した歪λとしての値
λ=ΔL/L
で表される。測定法としては、例えば特許文献1や特許文献2に、磁歪の測定方法や測定装置が提案されている。この磁歪が鉄心に振動を発生させ、それが変圧器のタンクなどの外部構造物に伝搬して騒音となる。
磁歪特性は、方向性電磁鋼板の構造や状態、具体的には結晶方位集積度や絶縁被膜が鋼板に付与する張力、鋼に内在する歪など、様々な因子によって変化する。従って、磁歪特性が変化すると騒音レベルが変化し、場合によっては騒音の低減が可能である。実際に、非特許文献1には、異なる種類の方向性電磁鋼板を鉄心に用いた2台の変圧器の騒音レベルに差が生じた例が示されている。よって、望ましい磁歪特性を持つ方向性電磁鋼板を使用することが、設定された騒音レベル上限値のクリアにつながると考えられる。
磁歪特性を変化させる処理の一つとして、方向性電磁鋼板の表面に局部的な歪を導入し、磁区を細分化する技術がある。一般的には、この歪は鋼板圧延方向に対してほぼ直交する方向に線状に導入され、その結果、特許文献3に記載されているように歪導入方向に延伸する還流磁区が形成されて180°磁区が細分化され、鉄損を下げる効果を持つ。一方で、磁歪特性を変化させるため、騒音が増大しない歪の導入条件を見出すことが必要である。例えば特許文献4では鋼板表面へのレーザビームの照射による磁区細分化法が取り上げられているが、低鉄損化を図ると共に磁歪も増加させない照射条件が示されている。また特許文献5では同様に電子ビームの照射による磁区細分化法が取り上げられているが、ここでも鉄損と磁歪の双方に良好な結果が得られる照射条件が示されている。
歪により磁区を細分化した鋼板に関して磁歪の評価を行う場合には、実際の変圧器鉄心の騒音によく相関する評価方法を用いる必要があることは言うまでもない。特許文献4と特許文献5では磁歪のpeak-to-peak値(λp−p)を用いて評価しているが、これは磁歪変化の1周期での最大の振れ幅であり、良く用いられる方法である。また、特許文献6では磁歪のzero-to-peak値(λ0−p)を用いて評価しているが、これは磁化0の時点を基準とした最大磁化時点の変位である。
さらに、特許文献7に、騒音レベル予測方法が提案されている。これは、交流励磁時の磁歪変位波形を微分して速度に変換し、それに人の聴覚の周波数特性であるA特性聴感補正を適用するもので、磁歪速度レベル(LVA)と呼ばれており、より実際の騒音レベルに近い評価が可能であると記載されている。
このように、磁歪評価には様々な方法があるが、これは騒音への対応において絶対的な方法がまだ存在していないことを示す。
また、特許文献4〜6では、レーザや電子ビームの照射法を工夫して磁歪を制御し、騒音抑制に繋げる方法が提案されているが、現在でも鉄心騒音の低減が求められているため、更に工夫された磁区細分化方法が必要である。
特開平04−005524号公報 特開平07−110369号公報 特開2002−12918号公報 特開2007−277644号公報 特開2015−161017号公報 特開2002−356750号公報 特開平07−111217号公報
電気学会技術報告第616号「静止器の騒音対策技術の現状とその動向」、電気学会、1996年
本発明は、少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区が細分化された方向性電磁鋼板について、その鋼板を用いて製造された変圧器やリアクトルの鉄心の騒音レベルを低減することを目的とする。さらに、鉄心の騒音レベルを精度良く評価する方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区細分化された方向性電磁鋼板であり、鋼板の圧延方向に周波数fの正弦波で変化する最大値が1.7Tの磁化を発生させて磁化方向の長さ変化を測定することで得られる磁歪変位波形について、4fの周波数の磁歪成分の振幅が0.03×10−6以下であることを特徴とする、方向性電磁鋼板を提供する。
前記磁歪変位波形について、歪取り焼鈍前の4fの周波数の磁歪成分の振幅λ、歪取り焼鈍後の4fの周波数の磁歪成分の振幅λとして、これらが式(1)に示す条件を満足することが好ましい。
0≦λ−λ≦0.02×10−6 ・・・(1)
また、前記歪の導入部に発生した還流磁区について、延伸方向の長さ0.5mmの領域に還流磁区幅が30μm以下の部分が1か所以上含まれ、かつ同領域において還流磁区幅が40μm以上の部分が1か所以上含まれることが好ましい。
また、本発明は、上記方向性電磁鋼板を製造する方法であって、線状の歪を鋼板表面からのレーザ照射によって導入することを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。前記線状の歪を導入する際に、フォーカスレンズを上下振動させ、その振動をレーザビームのスキャン速度に同期させてもよい。
また、本発明は、上記電磁鋼板を用いて製造される変圧器またはリアクトル用の鉄心を提供する。
さらに、本発明は、少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区細分化された方向性電磁鋼板を用いた鉄心で製造された変圧器またはリアクトルの騒音を評価する方法であり、鉄心素材として使用される前記鋼板の圧延方向に周波数fの正弦波で変化する磁化を発生させて磁化方向の長さ変化を測定することで得られる磁歪変位波形について、4fの周波数の磁歪成分の振幅で変圧器またはリアクトルの騒音を評価することを特徴とする、騒音評価方法を提供する。鉄心素材として使用される前記鋼板に歪取り焼鈍を施す前後の4fの周波数の成分の磁歪の差によって変圧器またはリアクトルの騒音を評価してもよい。
本発明によれば、電磁鋼板を用いて製造された変圧器やリアクトルの鉄心の騒音レベルを低減させることができる。
3相積鉄心の構造の概略を示す図である。 磁歪λp−pと鉄心騒音との関係を示すグラフである。 磁歪λ0−pと鉄心騒音との関係を示すグラフである。 磁歪速度レベルLVAと鉄心騒音との関係を示すグラフである。 磁歪λと鉄心騒音との関係を示すグラフである。 磁歪差λ−λと鉄心騒音との関係を示すグラフである。 磁歪差λ−λと鉄心の鉄損との関係を示すグラフである。
まず、磁歪の評価方法について述べる。磁歪は一般的には方向性電磁鋼板の原板から採取された一定のサイズの矩形サンプルで測定される。この矩形サンプルの4辺の内、平行な2辺を鋼板の圧延方向に一致させる必要がある。このサンプルに対して、例えば上記特許文献1や特許文献2の方法を用いて磁歪測定する。その時のサンプルの磁化方向は圧延方向に一致させ、磁歪の測定方向もそれに一致させる必要がある。励磁は、50Hzや60Hzなどの一定の周波数fで一定の振幅の正弦波状の磁化変化が発生する様に制御する必要がある。磁歪評価での正弦波磁化変化の最大値は変圧器鉄心の最大磁化に一致させるのが評価精度面で望ましいが、一致させることが必須ではない。
磁歪の検出には光学的振動計や歪みゲージなどが使用可能である。注意点は、磁化周波数の4倍の周波数4fの磁歪成分が精度良く測定できることである。これは、例えば磁化が50Hzであれば200Hz成分、60Hzであれば240Hz成分となる。
磁歪λは、鋼板の長さの変化量ΔLを元の長さLで除した
λ=ΔL/L
として表す。サンプルの全長で測定するのであれば、測定された変化量をサンプル長で除し、サンプルの一部分を測定範囲とするのであれば、測定された変化量を測定範囲の長さで除する。
測定装置には磁歪の変位波形を得る機能が必要である。この変位波形から磁化周波数の4倍の周波数の磁歪周波数成分を抽出する必要があり、そのためには周波数アナライザやA/D変換でデジタル化されたデータを高速フーリエ変換(FFT)するソフトウエアなどを用いる。周波数成分の大きさはピーク値、実効値、平均値などいずれで表しても良いが、比較する場合には統一する必要がある。なお、本発明ではピーク値、すなわち0レベルからの最大振幅を用いている。従って、上記式(1)の0.02×10−6は実効値では0.014×10−6、平均値では0.012×10−6となる。
歪取り焼鈍では、サンプルに内在する転位、欠陥などを除去し、磁区細分化のために導入された歪も含めて全ての歪の解放を行う。このためにはバッチ焼鈍炉や連続焼鈍炉などを用いると良い。ここで注意すべきは歪解放の不足と新たな歪みの導入で、前者は十分な最高温度と時間が、後者にはサンプル内の温度偏差が過剰とならない冷却時の降温率制限が必要である。具体例として、例えばバッチ焼鈍の場合は保定時間800℃で2時間、降温率10℃/時間程度である。
次に、上記のように4f成分が好ましく制御され、変圧器またはリアクトル用の鉄心素材として使用された際の鉄心騒音が小さくなる鋼板の特徴について説明する。
本発明の実施形態にかかる方向性電磁鋼板は、少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区細分化された方向性電磁鋼板であり、鋼板の圧延方向に周波数fの正弦波で変化する最大値が1.7Tの磁化を発生させて磁化方向の長さ変化を測定することで得られる磁歪変位波形について、4fの周波数の磁歪成分の振幅が0.03×10−6以下である。
さらに、磁歪変位波形について、歪取り焼鈍前の4fの周波数の磁歪成分の振幅λ、歪取り焼鈍後の4fの周波数の磁歪成分の振幅λとして、これらが下記式(1)
0≦λ−λ≦0.02×10−6 ・・・(1)
を満足することが好ましい。
また、磁歪を制御するために、鋼板表面の還流磁区幅を規定する。すなわち、歪の導入部に発生した還流磁区について、延伸方向の長さ0.5mmの領域に還流磁区幅が30μm以下の部分が1か所以上含まれ、かつ同領域において還流磁区幅が40μm以上の部分が1か所以上含まれることが好ましい。
上記のような本発明の実施形態にかかる鋼板は、方向性電磁鋼板表面への歪導入方法の条件を以下のようにして調整することが可能である。
本発明の実施形態にかかる方向性電磁鋼板の製造方法において、鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入される歪は、鋼板表面からのレーザ照射によって導入する。また、線状の歪を導入する際には、フォーカスレンズを上下振動させ、その振動とレーザビームのスキャン速度とを同期させることにより制御することが好ましい。
なお、上記製造方法は、本発明の方向性電磁鋼板の製造法の一例を示すものであり、歪導入方法はレーザ照射に限定されず、フォーカス変動にも限定されるものではない。
次に、実際に鉄心の騒音を確認した結果を以下に示す。局所への歪導入によって磁区細分化された方向性電磁鋼板を複数種類用意して、それぞれの方向性電磁鋼板から、図1に示す3相積鉄心を製作した。これらの鉄心にコイルを巻いて周波数f(50Hz)で励磁し、騒音計を用いて騒音レベルを測定した。同時に、鉄心の材料である方向性電磁鋼板から矩形サンプルを作成して歪取り焼鈍を行う前後で、上記特許文献1の方法による磁歪測定を行った。磁歪測定では、まず、従来から用いられているpeak-to-peak値λp−p、zero-to-peak値λ0−p、磁歪速度レベルLVAを求めた。更に、本発明の実施形態にかかる、磁歪変位波形から抽出した磁化周波数fの4倍すなわち4fの周波数の成分の磁歪λ、サンプルに歪取り焼鈍を施して同様に求めた磁歪λと先のλとの差であるλ−λを求めた。これらの各磁歪評価指標λp−p、λ0−p、LVA、λ、λ−λと騒音レベルとの間に、どの程度の相関性があるかを、線形近似での相関係数によって検討した。結果を図2〜図6に示す。
まず、図2については、λp−pと騒音レベルとの相関係数の絶対値|r|が0.01で、相関性は見られない。図3のλ0−pについては、|r|は0.21でほとんど相関がない。図4のLVAでは、|r|は0.52で若干の相関が見られるが、十分とは考えられない。本発明の実施形態にかかる図5のλは、|r|が0.92で良く相関しており、本発明が効果的であることが示されている。また、本発明の異なる実施形態にかかる図6のλ−λでは|r|が0.94と、λよりもわずかに高い相関性が得られており、本発明の実施形態の内で最も高い相関性が得られている。
本発明の実施形態にかかるλが騒音に良く相関するのは、局所への歪導入による磁区細分化が磁歪変位波形の中の磁化変化の4倍の周波数の成分を変化させ、それが鉄心騒音を変化させるためと考えられる。また、歪取り焼鈍を施して測定するλを用いてλ−λを算出すると、磁区細分化のために導入された歪がある状態とない状態との比較になり、その歪の影響がより明確に現れると考えられる。
低騒音の鉄心の素材となりうる方向性電磁鋼板を得るためには、図5から、λが0.03×10−6以下であることが好ましい。しかし、この条件では鉄損までは考慮されておらず、低鉄損も確保される条件を見出すことが望ましい。そこで、λ−λを用いる。まず低騒音を得るためには、図6から、λ−λが0.02×10−6以下であることが好ましい。さらに、鉄損も配慮する。図7は、λ−λと図1に示す3相積鉄心で測定された鉄損との関係を示す。λ−λが0以下になると鉄損が急増してしまう。これは磁区細分化が不十分なためと考えられる。つまり、λ−λを用いることで、鉄心の騒音と鉄損とを両立する観点からの適切な範囲を提示することができる。
さらに発明者らはこのような特性が鋼板のどのような特徴によるものかを詳細に検討した。その結果、4f成分の磁歪は、局所への歪導入によって発生する還流磁区の形状に依存することを知見した。具体的には、還流磁区の幅は均一でなく、延伸方向に途切れることなくある程度長く延伸する中において、部分的に幅が狭くなった領域が存在する場合に4f成分の磁歪が好ましい値になることがわかった。その理由は明確ではないが、鋼板が励磁により伸び縮みする際、鋼板中の磁束は均一でなく、特に板厚方向に偏在すること、また還流磁区の延伸方向への180°磁壁の移動において還流磁区幅に特定の変動があることが騒音の起因になる鋼板の形状変化において、特に4f成分の周波数帯で有利に働くためと推測される。
以下、実施例および比較例を示して、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
板厚0.23mmの方向性電磁鋼板でレーザビーム照射条件の異なる5種類の材料を準備した。ここで使用したレーザは、出力パワー200W、ビームの板幅方向スキャン速度は20m/sec、圧延方向照射ピッチは5mmとした。また、フォーカスレンズの振動は20kHzとした。それらの材料から、サイズが100mm×500mmのサンプルを採取し、磁束密度1.7T、周波数50Hzで磁歪λを測定した。具体的には、上記特許文献1に基づき、レーザ振動計の変位出力をデジタルオシロスコープでデジタルデータとし、それをFFTで周波数分析して得た200Hzの振幅値を磁歪測定長で除した。磁歪測定は歪取り焼鈍前後で行い、磁歪差λ−λも求めた。
次に、同じ材料を用いて図1の変圧器用3相積鉄心を作製し、励磁コイルを施した。これを無響室内に設置して励磁し、騒音計を用いて騒音レベルを測定した。また、電力計を用いて鉄損を測定した。励磁条件は1.7T、60Hzである。これらの結果およびレーザ照射条件と還流磁区幅を表1に示す。
材料No.1はフォーカスレンズを上下振動させずにレーザ照射している。還流磁区幅については、全ての材料が最大幅40μm以上で、材料No.3〜5が最小幅30μm以下である。磁歪λについては、材料No.1、2、6が本発明の範囲を超えており、本発明例となるのは材料No.3〜5である。ただし、No.5は、磁歪差λ−λが0未満となっている。
磁歪λが0.03×10−6以下で、磁歪差λ−λが0.02×10−6以下の材料No.3〜5は、それ以外の材料よりも明らかに低騒音である。ただし、材料No.5は、騒音低減効果はあるものの、磁歪差が負値のため鉄損が他よりも高い。また、磁歪λは騒音の大小関係に一致しており、騒音の評価に有効であることがわかる。
なお、本実施例では磁束密度と周波数が磁歪測定と騒音測定で異なるが、評価には問題ないことがわかる。
Figure 2017128765

Claims (8)

  1. 少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区細分化された方向性電磁鋼板であり、
    鋼板の圧延方向に周波数fの正弦波で変化する最大値が1.7Tの磁化を発生させて磁化方向の長さ変化を測定することで得られる磁歪変位波形について、4fの周波数の磁歪成分の振幅が0.03×10−6以下であることを特徴とする、方向性電磁鋼板。
  2. 前記磁歪変位波形について、歪取り焼鈍前の4fの周波数の磁歪成分の振幅λ、歪取り焼鈍後の4fの周波数の磁歪成分の振幅λとして、これらが式(1)に示す条件を満足することを特徴とする、請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
    0≦λ−λ≦0.02×10−6 ・・・(1)
  3. 前記歪の導入部に発生した還流磁区について、延伸方向の長さ0.5mmの領域に還流磁区幅が30μm以下の部分が1か所以上含まれ、かつ同領域において還流磁区幅が40μm以上の部分が1か所以上含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板を製造する方法であって、
    線状の歪を鋼板表面からのレーザ照射によって導入することを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記線状の歪を導入する際に、フォーカスレンズを上下振動させ、その振動をレーザビームのスキャン速度に同期させることを特徴とする、請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁鋼板を用いて製造される変圧器またはリアクトル用の鉄心。
  7. 少なくとも鋼板表面に鋼板圧延方向と交差して線状に導入された歪によって磁区細分化された方向性電磁鋼板を用いた鉄心で製造された変圧器またはリアクトルの騒音を評価する方法であり、
    鉄心素材として使用される前記鋼板の圧延方向に周波数fの正弦波で変化する磁化を発生させて磁化方向の長さ変化を測定することで得られる磁歪変位波形について、4fの周波数の磁歪成分の振幅で変圧器またはリアクトルの騒音を評価することを特徴とする、騒音評価方法。
  8. 鉄心素材として使用される前記鋼板に歪取り焼鈍を施す前後の4fの周波数の成分の磁歪の差によって変圧器またはリアクトルの騒音を評価することを特徴とする、請求項7に記載の騒音評価方法。
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