JP2017128552A - 抗癌剤、抗癌剤の制御方法 - Google Patents

抗癌剤、抗癌剤の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗癌剤が正常細胞に蓄積することにより発現する有害事象を抑制する。【解決手段】メトトレキサートと有機磁性体とを結合させた複合体を含む抗癌剤である。有機磁性体は、中心金属と4座配位子として(N、N、O、O)とを含む金属サレン錯体化合物が好ましく、金属サレン錯体化合物の中心金属は、Feが好ましい。本発明は、当該抗癌剤の蓄積領域を、磁場誘導により制御する抗癌剤の制御方法を包含する。【選択図】なし

Description

本発明は、抗癌剤と、抗癌剤の制御方法とに関する。
悪性軟部腫瘍や腎細胞癌等の治療に用いられる薬剤の例として、メトトレキサートがある。体内に導入された薬剤は、患部組織に適用されることで薬理効果を発揮する一方で、正常細胞にも蓄積しうる。薬剤が正常細胞に蓄積すると有害事象(副作用)を発現する可能性がある。メトトレキサートの投与後に発現する可能性がある事象としては、吐き気、嘔吐、骨髄抑制、腎障害等が挙げられる。効率的に薬理効果を発揮させ、かつ有害事象の発現を抑制して患者のクオリティオブライフを向上させる観点から、抗癌剤の制御技術の向上が望まれる。
抗癌剤の制御技術として、ドラッグデリバリがある。従来、ドラッグデリバリでは、担体に所望の薬剤を担持させて患部に誘導する。担体としては、抗体やマイクロスフェア、磁性体が用いられる。引用文献1には、血管に注入可能な粒子から成る生物活性物質を運搬するための磁気応答組成物であって、各粒子が炭素と鉄とを含み、該炭素が各粒子の体積全体にわたって分散されていると共に、該鉄が実質的に酸化されていないことを特徴とする組成物が開示される。
またドラッグデリバリの他の技術として、それ自体が薬理効果を発揮する有機磁性体を用いる技術がある。引用文献2は、そのような有機磁性体として金属サレン錯体化合物を開示する。金属サレン錯体化合物はそれ自身が磁性を備えるため、これと薬剤とを結合させることで薬剤自体に磁性を付与できる。すなわち従来、金属サレン錯体化合物を用いたドラッグデリバリの研究は、担体を使用しないことによる利点、例えば薬剤との結合強度の向上や、体内に投与する物質の分子量の低減等の観点から進められる。
しかし金属サレン錯体化合物は、その性質に未解明な部分を残す。そのためドラッグデリバリの分野で、さらに有効な用途を見出すことが期待される。また金属サレン錯体化合物を含む有機磁性体群の特徴を利用して、ドラッグデリバリの技術向上に貢献することが期待される。
特開2001-10978号公報 特開2012-167067号公報
本発明の課題は、抗癌剤の投与後の有害事象の発現(副作用)を抑制することである。
本発明は、メトトレキサートと有機磁性体とを結合させた複合体を含む抗癌剤である。有機磁性体は、中心金属と4座配位子として(N、N、O、O)とを含む金属サレン錯体化合物であることが好ましい。なおメトトレキサートは、別名のひとつを、N-[p-[[(2,4-ジアミノプテリジン-6-イル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸という。
本発明は、有機磁性体が、式(1)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(1)に示すa1とa2とa3とb1とb2とb3とからなる第一の結合部位群のいずれか一つ以上にメトトレキサートを結合させた複合体を含む抗癌剤を包含する。式(1)において、中心金属M1は、Feと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群から選択されるいずれか一種である。
また本発明は、有機磁性体が、式(2)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(2)に示すd1とd2とd3とe1とe2とe3とからなる第二の結合部位群のいずれか一つ以上と、f1とf2とf3とg1とg2とg3とからなる第三の結合部位群のいずれか一つ以上とに、それぞれメトトレキサートを結合させた複合体を含む抗癌剤を包含する。式(2)において中心金属M2と中心金属M3とは、互いに独立してFeと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群から選択されるいずれか一種である。
上記の金属サレン錯体化合物の中心金属は、Feであることが好ましい。さらに有機磁性体が、式(2)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(2)に示すd1とe1とf1とg1とにそれぞれメトトレキサートを結合させた複合体を含む抗癌剤が好ましい。
本発明は、上記の複合体を含み、癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisとのフェーズを移行する間、2以上のフェーズで、磁場誘導により、正常細胞での蓄積を回避できる抗癌剤を包含する。上記の癌細胞は、乳癌細胞であり、またはトリプルネガティブ乳癌の癌細胞である。すなわち本発明の抗癌剤は、乳癌、とりわけトリプルネガティブ乳癌に対する抗癌作用を発揮する。
本発明は、上記の抗癌剤の蓄積領域を、磁場誘導により制御する抗癌剤の制御方法を包含する。また癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisとのフェーズを移行する間、2以上のフェーズで、抗癌剤の蓄積領域を癌細胞へと磁場誘導により制御する抗癌剤の制御方法を包含する。
本発明は、抗癌剤の投与後の有害事象の発現(副作用)を抑制することができる。
本発明の抗癌剤の製造方法の例を示すスキームである。 本発明の実施例の磁性確認実験の結果である。 本発明の実施例の抗癌作用確認試験の結果である。 本発明の実施例の抗癌作用確認試験の結果である。 本発明の実施例の抗癌作用確認試験の結果である。 本発明の実施例のMRI造影効果確認試験の結果である。
[抗癌剤]
本発明は、メトトレキサートと有機磁性体とを結合させた複合体を含む抗癌剤である。有機磁性体は、それ自身が磁場誘導可能な程度の磁性を備え、かつメトトレキサートを化学結合させることができる。従って、有機磁性体とメトトレキサートとを結合させた複合体を含むことにより、本発明は磁場誘導させることができる。本発明の磁性は、公知の磁気特性測定装置を用いて測定できる。公知の磁気特性測定装置の例として、米国カンタムデザイン社MPMS3(SQUID)等が挙げられる。
本発明は上記の複合体そのものを磁場誘導させることができるため、正常細胞での蓄積を正確に回避できる。その結果、メトトレキサートを体内に投与した後に認められる有害事象の発現を抑制できる。抑制しうる有害事象の例としては、吐き気、嘔吐、骨髄抑制、腎障害等が挙げられる。
本発明で用いられる有機磁性体としては、中心金属と4座配位子として(N、N、O、O)とを含む金属サレン錯体化合物が挙げられる。当該金属サレン錯体化合物は、視認性を有する。例えばMRIでは造影効果を発揮する。そのため本発明は、体内における動態を観察しながら磁場誘導でき、正常細胞を回避するようにその動態を制御できる。
本発明の抗癌剤は、癌細胞での蓄積量が多いほど、言い換えれば本発明を高濃度で癌細胞に接触させるほど、薬理効果が高くなる傾向がある。薬理効果の評価方法としては、癌細胞の生存細胞率が挙げられる。本発明において、薬理効果を発揮するために十分量の抗癌剤が癌細胞に接触したとき、癌細胞の生存細胞率が50%以下になり、好ましくは20%以下になる。生存細胞率の算出方法の例は、実施例に記載した。
公知のメトトレキサートは毛細血管等を通過して癌細胞へ到達するが、投与量の一部は正常細胞に留まる場合がある。そのような場合、癌細胞での蓄積量は相対的に少なくなる。すなわち、抗がん剤の正常細胞での蓄積量と癌細胞での蓄積量とは、トレードオフの関係にあるとみなせる。癌細胞での蓄積量が不十分な場合、薬理効果を発揮できず癌細胞の生存細胞率は、80%を超える場合がある。
本発明は、抗がん剤を磁場誘導可能にしたことにより、正常細胞での蓄積量と癌細胞での蓄積量との相対関係を制御できる。すなわち本発明は、磁場誘導により正常細胞での蓄積を回避できる。その結果、癌細胞での蓄積量を多くでき、癌細胞の生存細胞率は20%以下になる。したがって本発明の作用効果は、本発明の抗癌剤の投与後の癌細胞の生存細胞率により評価できる。
なお本発明の作用効果は、本発明を投与後の個体における有害事象の発現率によっても評価できる。発現率が20%以下である場合には、上記の正常細胞との接触を回避できている状態と定義する。なお、本発明において有害事象の発現率は、本発明を投与した全個体数に対する有害事象が発現した個体数の割合である。
本発明に用いられる金属サレン錯体化合物は、中心金属と4座配位子として(N、N、O、O)とを含む。中心金属としては、Feと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群からいずれか一種が好ましく選択され、より好ましくはFeが選択される。金属サレン錯体化合物を用いた本発明は、磁場に比例して磁化を上昇させることができる。したがって本発明は、本発明にかける磁場を調節することで、所望の磁場誘導を実行するために必要な磁力を得られる。
上記の金属サレン錯体化合物の具体例として、式(1)で表される金属サレン錯体化合物が挙げられる。本発明は、式(1)に示すa1とa2とa3とb1とb2とb3とからなる第一の結合部位群のいずれか一つ以上にメトトレキサートを結合させた複合体を含有しうる。式(1)において、中心金属M1は、Feと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群から選択されるいずれか一種である。なお第一の結合部位群のうちメトトレキサートが結合しない部位は水素が結合する。
上記の金属サレン錯体化合物の他の具体例として、式(2)で表される金属サレン錯体化合物が挙げられる。本発明は、式(2)に示すd1とd2とd3とe1とe2とe3とからなる第二の結合部位群のいずれか一つ以上と、f1とf2とf3とg1とg2とg3とからなる第三の結合部位群のいずれか一つ以上とに、それぞれメトトレキサートを結合させた複合体を含有しうる。式(2)において中心金属M2と中心金属M3とは、互いに独立してFeと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群から選択されるいずれか一種である。なお第二および第三の結合部位群のうち、メトトレキサートが結合しない部位は水素が結合する。
さらに具体的な例としては、式(2)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(2)に示すd1とe1とf1とg1とにそれぞれメトトレキサートを結合させた複合体を含む抗癌剤がある。上記の複合体を、式(3)に示す。
なお式(1)と式(2)とにそれぞれ表される金属サレン錯体化合物を比較すると、式(1)の中心金属M1と式(2)の中心金属M2とM3とに同じ元素を選択する場合、式(2)で表される金属サレン錯体化合物を用いる本発明は、式(1)で表される金属サレン錯体化合物を用いる本発明と比較して磁性が高くなる傾向がある。
また本発明は、癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisとのフェーズを移行する間、2以上のフェーズで、磁場誘導により、正常細胞での蓄積を回避できる抗癌剤である。金属サレン錯体化合物は,細胞周期のG1/S期でのDNAの複製を抑制する。メトトレキサートは、G2/M期で癌細胞の分裂を抑制しアポトーシスを誘導する。本発明は、金属サレン錯体化合物とメトトレキサートとの複合体を含む。したがって、本発明を正常細胞での蓄積を回避し癌細胞に蓄積させるように磁場誘導させることで、癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisと移行する間、2以上のフェーズで有害事象の発現を抑制し、かつ上記の抗癌作用効果を発揮させることができる。上記の癌細胞が乳癌細胞である場合やトリプルネガティブ乳癌細胞であるとき、本発明は特に好適である。
また、本発明においては、有機磁性体の粒径が10〜800nmであることが好ましい。上記の範囲内の粒径を備えることで、本発明は毛細血管中での通過性が良好になり、所望の磁場誘導による制御性を向上できる。また本発明は、正常細胞への蓄積を回避できるため効率的に癌細胞へ蓄積させることができる。そのため、公知のメトトレキサートと比較して低濃度で、実質的な薬理効果を得られる。
[抗癌剤の製造方法]
本発明の抗癌剤の製造方法は、特に限定されないが、図1に示すスキームを例として挙げられる。図1は、式(3)に示す金属サレン錯体化合物の製造方法の例を示すスキームである。
[抗癌剤の制御方法]
本発明は、上記の抗癌剤の蓄積領域を、磁場誘導により制御する抗癌剤の制御方法を包含する。本発明は、癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisとのフェーズを移行する間、2以上のフェーズで、抗癌剤を癌細胞へと磁石を用いて誘導する。本発明の抗癌剤の制御方法は、癌細胞に抗癌剤を蓄積する工程や、正常細胞で構成される領域に流通する抗癌剤を回収し、正常細胞での蓄積量を有害事象を発現しない量になるまで低減する工程や、回収した抗がん剤を癌細胞へ誘導する工程等を含みうる。癌細胞を含む領域には、好ましくは600mT〜1.8T、より好ましくは800mT〜1.5Tの磁場をかける。これにより本発明の抗癌剤の正常細胞での蓄積を回避して抗癌剤の副作用を抑制できる。また癌細胞に高濃度で接触させ、癌細胞のDNA増殖を抑制しアポトーシスを誘導できる。さらに本発明の抗癌剤は、MRIでは造影効果を発揮する。そのためMRIで抗癌剤の分布を視認しながら磁場誘導する場合、一層的確に制御できる。
本発明を、実施例を用いて説明する。ただし本発明は、下記の実施例に限定されない。
本発明の抗癌剤を、図1に示すスキームに従って製造した。下記のステップ1からステップ8までの各工程は、図1に示すスキームをそれぞれ部分的に示す。
(ステップ1)
Compound 1 (10.05g、60.14mmol)に無水酢酸(61ml)とH2SO4(8 drops)とを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液を氷水で冷却し、0.5時間撹拌した。その後、反応溶液をろ過して白色固体を回収した。白色固体を乾燥させ、EA(Ethylamine)/PE(Polyethylene)で再結晶させ、Compound 2 (収量8.26g、収率44.12%)を得た。Compound 2の質量分析結果は、LC-MS(ESI):329[M+H2O]であった。
(ステップ2)
Compound 2 (8.26g、26.54mmol)に10%パラジウムを炭素に担持したもの(826mg)とメタノール(165ml)と酢酸エチル(165ml)を導入し2時間水素雰囲気で水素化した。溶液をろ過してすばやく濃縮し、Compound 3 (収量7.22g、収率96.78%)を得た。Compound 3 の質量分析結果は、LC-MS(ESI):299[M+ H2O]であった。
(ステップ3)
他方、メタノール(200ml)とCompound 4 (メトトレキサート、10g、22.0mmol)との混合物に、SOCl2(6.54g、55.0mmol)を0℃でゆっくり添加した。この溶液を窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させて除去した後、得られた生成物をTHF/H2O(400ml)で再溶解した。さらにNH3とH2Oの混合液を添加してpH7〜pH8に中和した。混合液中の沈殿物をろ過し、40℃で真空乾燥を2回行った。さらに水で洗浄し、Compound 5 (収量10.5g、収率98.9%)を得た。Compound 5の質量分析結果は、LC-MS(ESI):483[M+H]+であった。
(ステップ4)
THF(80ml)とH2O(30ml)とにCompound 5 (2g、4.15mmol)の混合させた混合液にNH3・H2O(1ml)を0℃で添加し、さらにLiOH・H2Oを(174mg、4.15mmol)を加えた。混合液を室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をフラッシュカラムで精製した(H2O:MeOH中=1回目5%-2回目10%-3回目20%)。続いて、濃度1NのHClを添加してPH=6に中和し、固体を析出させた。固体を濾過して回収し、真空下で乾燥させ、Compound 6 (収量1.0グラム、収率51.5%)を得た。Compound 6 の質量分析結果は、LC-MS(ESI):469[M+H]+であった。
(ステップ5)
Compound 6 (672mg、1.44mmol)とHATU (1-[bis(dimethylamino)methylene]-1H-1,2,3-triazolo[4,5-b]pyridinium 3-oxid hexafluorophosphate)(545mg、1.44mmol)とを乾燥DMF(20ml)中に添加し、窒素雰囲気下で室温で0.5時間で撹拌した。さらにCompound 3 (403mg、1.44mmol)とDIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン(N,N-diisopropylethylamine)(555mg、4.31mmol)とを添加した。この溶液を室温で4時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物をDCM (dichloromethane)に再溶解し、濃度1NのHCl水溶液で洗浄した。有機層を濾過し、真空中で濃縮して、Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をフラッシュカラムによって精製して(DCM /メタノール=1回目1%-2回目5%-3回目10%)、Compound 7 (収量300mg、収率28.5%)を得た。Compound 7 の質量分析結果は、LC-S(ESI):732[M+H]+であった。

(ステップ6)
濃縮HCl(32.5ml)およびメタノール(MeOH)(32.5ml)の混合物に、Compound 7 (1.3グラム、17.7mmol)を0℃で添加した。反応混合物を、40分間0℃で撹拌し、溶媒を蒸発させ、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュカラムによって精製し(H2O:ACN= 10%〜20%)、Compound 8 (収量662mg、収率63.5%)を得た。Compound 8 の質量分析結果は、LC-MS(ESI):588[M+H]+であった。
(ステップ7)
乾燥THF(Tetrahydrofuran)(43ml)とCompound 8 (331mg、0.564mmol)との混合物に、窒素ガス雰囲気下で0℃でEDA (Ethylenediamine)(136mg、2.255mmol)と乾燥NEt3 (triethylamine)(28drops)とを添加した。混合物を室温で一晩撹拌した後濾過し、乾燥THFで2回洗浄した。その後、乾燥THF(43ml)中の粗生成物に、窒素ガス雰囲気下0℃でCompound 8 (331mg、0.564mmol)と乾燥NEt3(28drops)とを添加した。混合物を窒素ガス雰囲気下、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、乾燥THFで2回洗浄した。その後40℃の真空オーブンで乾燥させ、Compound 9 (収量670mg、収率99.1%)を得た。Compound 9の質量分析結果は、LC-MS(ESI):1199[M+H]+であった。
(ステップ8)
乾燥DMF (dimethylformamide)(30ml)とCompound 9 (670mg、0.559mmol)の混合物に、窒素雰囲気下、40℃でのFeCl3(91mg、0.559mmol)と乾燥NEt 3(565mg、5.59mmol)を添加した。混合物を40℃で40分間撹拌後、室温に冷却した。その後濾過して得られた生成物をEt2Oで2回洗浄した。さらに40℃の真空オーブンで乾燥させ、Compound 10 (670mg、95.7%)を得た。Compound 10 の質量分析結果は、LC-MS(ESI):1253[(M-O)+H]+であった。Compound 10 を本発明の実施例1とした。
[磁性の確認]
実施例1を、丸型シャーレ内の精製水に添加し、丸型シャーレの底部にネオジム永久磁石(表面磁束密度800mT)を近づけて精製水中の各複合体の状態を観察した。図2は、観察時に撮影したシャーレ内の実施例1の状態である。図2(A)は、磁石を近づけていない丸型シャーレ内の状態である。図2(B)は、磁石を近づけた丸型シャーレ内の状態である。図2(A)では、実施例1は精製水中に分散した。一方、図2(B)では、実施例1は磁場が及ぶ領域に集合した。上記の実験により、実施例1が磁性を備え、磁場誘導させることができると確認できた。
[抗癌作用確認試験]
実施例1と比較例1との抗癌作用確認試験を実施した。試験方法を以下に記載する。比較例には、市販のメトトレキサートを用いた。
1.細胞株:乳癌の癌細胞株(MCF-7)(G0/G1期が80%)
上記のMCF-7は、理化学研究所から譲渡された。
2.試験試薬
American Type Culture Collection社(ATCC社)製の2,3,-bis(2-methoxy-4-nitro-5-sulfophenyl)-5-[(phenylamino)-carbonyl]-2H-tetrazolium inner salt (XTT)細胞増殖試験キット(XTT cell proliferation assay kit)を用いた。XTT標識混合液は、XTT reagent 5 mlとactivation solution 0.1 mlとを混合して調製した。
3.試験方法
細胞増殖試験を、ATCC社の実験プロトコールに従い行った。また当該XTTアッセイの詳細については、本発明者が発表した参考文献1を参考にした。
[参考文献1]
Sato I, Umemura M, Mitsudo K, Kioi M, Nakashima H, Iwai T, Feng X, Oda K, Miyajima A, Makino A, Iwai M, Fujita T, Yokoyama U, Okumura S, Sato M, Eguchi H, Tohnai I, Ishikawa Y., Hyperthermia generated with ferucarbotran (Resovist(R)) in an alternating magnetic field enhances cisplatin-induced apoptosis of cultured human oral cancer cells. J Physiol Sci, 64 (2014) 177-183.
(1)細胞培養
マイクロプレート(組織培養用、96穴、平底)の各ウェル(100μl)に培地としてRPMI-1640(Wako大阪)を添加した。また10%非働化ウシ血清(GIBCO、USA)、100units/mlペニシリン・ストレプトマイシン(Wako大阪)を添加した。乳癌の癌細胞株(MCF-7)を培地に播種し37°C、5%CO2の条件下で培養した。
(2)XTTアッセイ
実施例1と比較例1との水溶液を、それぞれ0μM、1μM、10μM、100μMの濃度で調製した。マイクロプレート(組織培養用、96穴、平底)の各ウェル(100μl)にRPMI-1640と、10%非働化ウシ血清(GIBCO、USA)、100units/mlペニシリン・ストレプトマイシンを添加し、培養細胞を3×105株播種した。さらに各濃度に調整した実施例1と比較例1との水溶液をウェルにそれぞれ添加し、37°C、5%CO2の条件下で、24時間培養した。
各ウェルの培地を交換し、XTT標識混合液を添加し、37°C、5%CO2の条件下で、3時間培養した。培地を除去後、溶剤を添加してフォルマザン色素を溶解させ、450nmの吸光度測定を行った。吸光度測定は、Model 680 microplate Reader(BIO-RAD Laboratories社製 CA, USA)を用いて行った。対照波長は665nmに設定した。吸光度測定の結果から解析した実施例1と比較例1との細胞生存率を図3に示す。細胞生存率は、XTT Cell Proliferation assay Kit (ATCC社)の the manufacturer's protocolに基づき解析した。
[アポトーシス誘導確認試験]
1.細胞株:乳癌の癌細胞株(MCF-7)(G0/G1期が80%)
上記のMCF-7は、理化学研究所から譲渡された。
2.フローサイトメトリー:
フローサイトメトリーは、FACScan (BD FACSCanto II)を使用した。試薬には、The CycletestTM Plus DNA Reagent Kit (BD Biosciencesを用いた。データ解析ソフトはBD FACSDiva software (BD Biosciences)を使用した。実験の詳細な手順は、装置メーカーまたは試薬メーカーの実験プロトコールに従って行った。また上記の参考文献1を参考にした。
実施例1と比較例1との水溶液を,それぞれ濃度0μM、1μM、10μM、100μMで調製して用いた。また実施例1を含有しない水(実施例1の濃度0μM)を比較例2とした。本試験は、実施例1の水溶液と比較例1の水溶液とをそれぞれ細胞株に添加して行った。図4に実施例1と比較例1とをそれぞれ添加した場合のフローサイトメトリーの解析により得られたアポトーシス率を示す。
また図5に示すフローサイトメトリーの解析結果においては、図5(A)に、実施例1を濃度12.5μMで調整した水溶液と、比較例2とをそれぞれ添加した場合の、G0/1期とS期とG2/M期との癌細胞の細胞周期の解析結果を示した。図5(B)は、比較例2を添加した場合の癌細胞の細胞周期の解析結果であり、図5(C)は実施例1を添加した場合の癌細胞の細胞周期の解析結果である。図5(B)と図5(C)とは、それぞれ図5(A)と対応する。図5(B)と図5(C)では、それぞれ実施例1(図5(C))と比較例2(図5(B))との癌細胞の細胞周期の解析結果を示した。
[MRI造影効果確認試験]
実施例1のDMSO溶液と比較例1の水溶液とを、それぞれ0mM、1.25mM、2.5mM、5mMの濃度で調製し、放射線医学総合研究所分子イメージセンターに設置されるMRI(7.0T Burker社製)で撮影した。図6に実施例1と比較例1とのMRI造影効果を示す。図6(A)はT1強調画像であり、図6(B)はT2強調画像である。
図6において、DMSOに溶解させた実施例1は、T1強調画像では低濃度で白色の高シグナルであった。一方、T2強調画像では低濃度で白色が濃くなり、濃度が高くなるに従って白色が薄くなった。これにより本発明のMRI造影効果が確認できた。すなわち本発明を撮影対象に投与することで、撮影領域における水分、血液、脂肪等の存在量を確認できる可能性がある。

Claims (11)

  1. メトトレキサートと有機磁性体とを結合させた複合体を含む抗癌剤。
  2. 有機磁性体が、中心金属と4座配位子として(N、N、O、O)とを含む金属サレン錯体化合物である請求項1に記載の抗癌剤。
  3. 有機磁性体が、式(1)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(1)に示すa1とa2とa3とb1とb2とb3とからなる第一の結合部位群のいずれか一つ以上にメトトレキサートを結合させた複合体を含む、請求項1または請求項2に記載の抗癌剤。
    (式(1)において、中心金属M1は、Feと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群から選択されるいずれか一種である。)
  4. 有機磁性体が、式(2)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(2)に示すd1とd2とd3とe1とe2とe3とからなる第二の結合部位群のいずれか一つ以上と、f1とf2とf3とg1とg2とg3とからなる第三の結合部位群のいずれか一つ以上とに、それぞれメトトレキサートを結合させた複合体を含む、請求項1または請求項2に記載の抗癌剤。
    (式(2)において中心金属M2と中心金属M3とは、互いに独立してFeと、Crと、Mnと、Coと、Niと、Moと、Ruと、Rhと、Pdと、Wと、Reと、0sと、Irと、Ptと、Ndと、Smと、Euと、Gdとからなる群から選択されるいずれか一種である。)
  5. 金属サレン錯体化合物の中心金属がFeである請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の抗癌剤。
  6. 有機磁性体が式(2)で表される金属サレン錯体化合物であって、式(2)に示すd1とe1とf1とg1とにそれぞれメトトレキサートを結合させた複合体を含む、請求項5に記載の抗癌剤。
  7. 癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisとのフェーズを移行する間、2以上のフェーズで、磁場誘導により、正常細胞での蓄積を回避できる、請求項1に記載の抗癌剤。
  8. 癌細胞が乳癌細胞である、請求項7に記載の抗癌剤。
  9. 癌細胞がトリプルネガティブ乳癌の癌細胞である、請求項8に記載の抗癌剤。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の抗癌剤の蓄積領域を、磁場誘導により制御する抗癌剤の制御方法。
  11. 癌細胞がGap1と、Synthesisと、Gap2と、Mitosis and cytokinesisとのフェーズを移行する間、2以上のフェーズで、抗癌剤の蓄積領域を癌細胞へと磁場誘導により制御する請求項10に記載の抗癌剤の制御方法。
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