JP2017128541A - アポトーシス誘導剤 - Google Patents

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俊雄 吉原
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Abstract

【課題】ヒトに比較的安全に投薬可能な医薬品の有効成分となり得るアポトーシス誘導剤の提供。【解決手段】クレマスチン、プロメタジン、アリメマジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン、エバスチン、ロラタジン、ルパタジン、トラニラスト、及びオキサトミドからなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、アポトーシス誘導剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトに比較的安全に投薬可能であり、がん等の細胞増殖機能の亢進した疾患に対する治療薬の有効成分となり得るアポトーシス誘導剤に関する。
近年、既に承認された医薬品等について、新しい薬理効果を発見し、別の疾患の治療剤として利用する、いわゆるドラッグ・リポジショニングに注目が集まっている。既承認薬は、臨床試験が行われており、ヒトに投与した場合の安全性と体内動態が確認されている。例えば、がん等の細胞増殖の異常亢進に起因する疾患に対する治療剤の場合、充分な薬効と、重篤な副作用がない等の安全性の両方を充足する新薬の開発は非常に困難である。しかし、アポトーシス誘導作用のように増殖異常に対する治療効果が期待できる薬効を有する薬剤が既承認剤薬から発見されれば、より低コストかつ早期に、安全な治療剤が開発できる。
細胞増殖の異常亢進に起因する疾患の一つに、乾癬が挙げられる。乾癬等の皮膚疾患においては、ケラチノサイトの細胞増殖制御機構が破綻をきたし、皮膚上皮細胞の病的な異常増殖による皮膚の肥厚が認められる。現在の乾癬治療の外用剤としては、ステロイド(副腎皮質ホルモン)剤とビタミンDが使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、ステロイド剤は副作用の問題があり、ビタミンDは効果発現までにかなりの期間を要するというデメリットがある。そこで、作用機序の異なる新たな治療剤の開発が求められている。例えば、アポトーシス誘導作用によりケラチノサイトの過増殖を抑制する薬剤は、乾癬等の皮膚疾患の治療剤としての利用が期待できる。
その他、アポトーシス誘導作用を有する新規薬剤の開発が望まれている疾患として、慢性炎症性疾患が挙げられる。例えば、副鼻腔の粘膜に慢性的な炎症が生じる慢性鼻副鼻腔炎では、炎症の慢性化により、膿が副鼻腔に溜まったり、鼻茸(炎症性増殖性の腫瘤)が形成される。多量の炎症性サイトカインやケモカインの産生を通して慢性炎症の原因となっている増殖した線維芽細胞に対してアポトーシスを誘導させることができれば、増殖が抑制される結果、炎症が治まり、鼻茸が縮小する。つまり、アポトーシス誘導剤は、慢性鼻副鼻腔炎等の炎症性疾患に対する治療剤としての利用が期待できる。
小林仁、「乾癬治療におけるビタミンD3軟膏の位置付け」、乾癬治療、有限会社光原社発行、2001年、第1巻、第1〜6ページ。
本発明は、ヒトへの投与の安全性が確認されており、かつアポトーシス誘導作用を有する化合物を有効成分とするアポトーシス誘導剤を提供する。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、抗ヒスタミン剤としてアレルギー性疾患の治療に使用されている化合物のうち、クレマスチン、プロメタジン、アリメマジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン、エバスチン、ロラタジン、ルパタジン、トラニラスト、及びオキサトミドが、鼻茸由来の繊維芽細胞やがん細胞に対して増殖抑制作用及びアポトーシス誘導作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るアポトーシス誘導剤は、下記[1]〜[5]である。
[1] クレマスチン、プロメタジン、アリメマジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン、エバスチン、ロラタジン、ルパタジン、トラニラスト、及びオキサトミドからなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、アポトーシス誘導剤。
[2] 非アレルギー性疾患の治療に用いられる、前記[1]のアポトーシス誘導剤。
[3] 鼻腔又は副鼻腔の非アレルギー性炎症の治療に用いられる、前記[1]のアポトーシス誘導剤。
[4] がんの治療に用いられる、前記[1]のアポトーシス誘導剤。
[5] 乾癬の治療に用いられる、前記[1]のアポトーシス誘導剤。
本発明に係るアポトーシス誘導剤の有効成分は、いずれも、抗ヒスタミン剤としてアレルギー性疾患の治療に使用されている化合物であり、ヒトへの投与の安全性が確認されている。このため、本発明に係るアポトーシス誘導剤は、重篤な副作用のおそれが小さく、がんや乾癬等の細胞の異常増殖に起因する疾患や、炎症性疾患等に対する治療剤として非常に優れている。
図1は、実施例1において、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を示した図である。 図2は、実施例1において、薬剤濃度(μM)の対数値を横軸、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした各薬剤処理群の相対細胞数(%)を縦軸としてプロットしたグラフである。 図3は、実施例2において、薬剤濃度が25μM、刺激時間が48時間の場合の、各薬剤処理群の相対細胞数(%)(図3(a))と相対Caspase活性値(%)(図3(b))の算出結果を示した図である。 図3は、実施例2において、薬剤濃度が50μM、刺激時間が24時間の場合の、各薬剤処理群の相対細胞数(%)(図4(a))と相対Caspase活性値(%)(図4(b))の算出結果を示した図である。 図5は、実施例2において、薬剤濃度が50μM、刺激時間が48時間の場合の、各薬剤処理群の相対細胞数(%)(図5(a))と相対Caspase活性値(%)(図5(b))の算出結果を示した図である。 図6は、実施例3において、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を示した図である。 図7は、実施例3において、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性を100%とした各薬物処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を示した図である。 図8は、実施例4において、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を示した図である。 図9は、実施例4において、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性を100%とした各薬物処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を示した図である。 図10は、実施例5において、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を示した図である。 図11は、実施例5において、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性を100%とした各薬物処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を示した図である。 図12は、実施例6において、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を示した図である。 図13は、実施例6において、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性を100%とした各薬物処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を示した図である。
本発明に係るアポトーシス誘導剤は、クレマスチン((2R)−2−{2−[(1R)−1−(4−Chlorophenyl)−1−phenylethoxy]ethyl}−1−methylpyrrolidine)(CAS No.:14976-57-9(フマル酸塩))、プロメタジン((2RS)−N,N−Dimethyl−1−(10H−phenothiazin−10−yl)propan−2−ylamine)(CAS No.:60-87-7)、アリメマジン(N,N,2−Trimethyl−3−(10H−phenothiazin−10−yl)propylamine)(CAS No.:84-96-8)、ホモクロルシクリジン(1−[(RS )−(4−Chlorophenyl)(phenyl)methyl]−4−methylhexahydro−1H−1,4−diazepine)(CAS No.:848-53-3)、シプロヘプタジン(4−(5H−Dibenzo[a,d]cyclohepten−5−ylidene)−1−methylpiperidine)(CAS No.:129-03-3)、メキタジン(10−[(3RS)−1−Azabicyclo[2.2.2] oct−3−ylmethyl]−10H−phenothiazine)(CAS No.:29216-28-2)、アゼラスチン(4−[(4−chlorophenyl)methyl]−2−[(4RS)−(1-methylazepan−4−yl)]phthalazin−1(2H)−one)(CAS No.:79307-93-0(塩酸塩))、エバスチン(1−[4−(1,1−Dimethylethyl)phenyl]−4−[4−(diphenylmethoxy)piperidin−1−yl]butan−1−one)(CAS No.:90729-43-4)、ロラタジン(Ethyl 4−(8-chloro−5,6−dihydro−11H−benzo[5,6]cyclohepta[1,2−b]pyridin−11−ylidene)−1−piperidinecarboxylate)(CAS No.:79794-75-5)、ルパタジン(8−Chloro−11−[1−[(5−methyl−3−pyridinyl)methyl]piperidin−4−ylidene]−6,11−dihydro−5H−benzo[5,6]cyclohepta[1,2−b]pyridine)(CAS No.:158876-82-5)、トラニラスト(2−{[(2E) −3−(3,4−dimethoxyphenyl)prop−2−enoyl]amino}benzoic acid)(CAS No.:53902-12-8)、及びオキサトミド(1−[3−[4−(Diphenylmethyl)−1−piperazinyl]propyl]−2−benzimidazol−2(3H)−one)(CAS No.:60607-34-3)からなる群より選択される一種以上の化合物を有効成分とする。
これらのアポトーシス誘導作用を有する化合物は、いずれも、抗ヒスタミン作用を有しており、既にアレルギー性疾患の治療薬として使用されている。クレマスチンはエタノールアミン系抗ヒスタミン剤であり、プロメタジン及びアリメマジンはフェノチアジン系抗ヒスタミン剤であり、ホモクロルシクリジン及びシプロヘプタジンはピペラジン系抗ヒスタミン剤であり、メキタジン、アゼラスチン、エバスチン、ロラタジン、ルパタジン、及びオキサトミドヒスタミンH1拮抗薬であり、トラニラストはメディエーター遊離抑制薬である。これらの化合物が具体的にどのような作用機序によってアポトーシスを誘導しているのかは明らかではない。生体内において、ヒスタミンの作用を抑制する経路とアポトーシスを誘導する経路はさほど密接な関連性がないこと、後記実施例に示すように、抗ヒスタミン剤のうち、アポトーシス誘導作用を有する化合物は一部にすぎないことから、各化合物は、ヒスタミンの作用を抑制する作用機序とは全く異なる機序によってアポトーシスを誘導しているものと推定される。
本発明に係るアポトーシス誘導剤の有効成分としては、これらのアポトーシス誘導作用を有する化合物のみならず、その薬理学的に許容される塩であってもよい。これらの化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。
本発明に係るアポトーシス誘導剤の有効成分としては、これらのアポトーシス誘導作用を有する化合物又はその薬理学的に許容される塩の溶媒和物であってもよい。当該溶媒和物を形成する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル等を挙げることができる。
本発明に係るアポトーシス誘導剤に含有させる有効成分は、1種類のみであってもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。複数の有効成分を組み合わせて服用することにより、単独で服用した場合に比べて、より低用量でより高いアポトーシス誘導効果が得られる場合がある。
本発明に係るアポトーシス誘導剤としては、前記有効成分をそのまま患者に投与してもよいが、好ましくは、有効成分と薬理学的及び製剤学的に許容し得る添加物とを含む医薬組成物の形態の製剤として投与すべきである。薬理学的及び製剤学的に許容し得る添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤等を用いることができる。製剤の形態はこれらに限定されることはない。本発明に係るアポトーシス誘導剤を有効成分とする医薬組成物(以下、「本発明に係る医薬組成物」ということがある。)の剤型としては、特に限定されるものではなく、投与方法に応じて適宜採用することができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤等を挙げることができる。経鼻投与、皮膚上投与、経皮投与、経眼投与、吸入投与、注入投与、舌下投与、注腸投与等の非経口投与に適する製剤としては、例えば、粉末噴霧剤、点鼻剤、クリーム剤、軟膏剤、ロ−ション剤、ゲル剤、皮膚外用貼付剤、パップ剤、吸入剤、坐剤、点眼剤、注射剤、点滴剤等を挙げることができるが、本発明に係る医薬組成物の剤型としては、服用が比較的容易な経口剤、又は直接患部に適用可能な粉末噴霧剤、点鼻剤、皮膚外用貼付剤、軟膏剤、クリーム剤等が好ましい。
経口投与に適する製剤には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、ハードファット等の基剤を用いることができる。注射又は点滴用に適する製剤には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性又は用時溶解型注射剤を構成し得る溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の製剤用添加物を用いることができる。
クリーム剤、軟膏剤、ロ−ション剤、ゲル剤、皮膚外用貼付剤、パップ剤等の経皮投与や皮膚上投与に適する製剤には、水、エタノール、プロピレングリコール、AZONE、テルペン類、脂肪酸、脂肪酸エステル、アルコール類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の経皮吸収促進剤;グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;ゼラチン、カゼイン、プルラン、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、可溶性デンプン、カルボキシデンプン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子等の基剤を用いることができる。
本発明に係る医薬組成物は、本発明に係るアポトーシス誘導剤の他にも有効成分を含有していてもよい。本発明に係るアポトーシス誘導剤と併用される有効成分としては、例えば、抗がん剤、抗炎症剤、ステロイド剤等のように、がん、慢性の炎症性疾患、乾癬等の治療や副作用低減等に用いられる医薬品の有効成分が好ましい。
抗炎症剤としては、抗菌作用を有さず抗炎症作用を有する12員環のシュードエリスロマイシン誘導体(学校法人北里研究所 EM700シリーズ、国際公開第2002/14338号及び国際公開第2004/39823号参照。)やそのジヒドロ体(特許第5118973号公報及びThe Journal of Antibiotics, 2012, vol.65, p.487-490参照。)が挙げられる。例えば、非アレルギー性の慢性鼻副鼻腔炎の治療に用いる場合には、本発明に係るアポトーシス誘導剤を、9−ジヒドロ−シュードエリスロマイシンA 6,9−エポキシド(EM900)又はデ(3’−N−メチル)−3’−N−(p−クロロベンジル)−9−ジヒドロ−シュードエリスロマイシンA 6,9−エポキシド(EM905)と組み合わせた医薬組成物として患者に投与されることが好ましい。また、本発明に係るアポトーシス誘導剤と併用されるステロイド剤としては、例えば、フルチカゾンフランカルボン酸エステルが挙げられる。
本発明に係るアポトーシス誘導剤は、哺乳動物に投与されるものであることが好ましく、ヒトや、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、サル、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ロバ、イヌ、ネコ等の家畜や実験動物に投与されるものであることがより好ましく、ヒトに投与されるものであることがさらに好ましい。
本発明に係るアポトーシス誘導剤又はそれを含有する医薬用組成物(これらを製剤化したものも含む。)の投与量は、投与された動物において、標的の細胞に対してアポトーシスを誘導するために充分な量であればよく、投与対象の生物種、性別、年齢、体重、症状、投与の形態、アポトーシス誘導剤の有効成分の種類等に応じて適宜調整することができる。特に、本発明に係るアポトーシス誘導剤の有効成分は、抗アレルギー剤として承認を得る際に体内動態が確認されている。そこで、本発明に係るアポトーシス誘導剤の投与経路、投与量、及び投与間隔等の設定には、当該体内動態の情報を参考にすることができる。
経口投与する場合には、本発明に係るアポトーシス誘導剤の投与量及び投与間隔は、アレルギー性疾患に対する治療剤として有効性が確認されている投与方法を参考に適宜決定することができる。有効成分の種類によっては、アポトーシス誘導作用を得るために必要な有効成分の量は、抗ヒスタミン作用を得るために必要な量から大きく外れていないものもあるためである。例えば、報告されているアゼラスチンの、in vitroにおけるウサギの白血球からのヒスタミン遊離抑制作用の50%阻害濃度(IC50値)(例えば、International Archives of Allergy and Immunology, 1985, vol.77, p.451-455参照。)が、同じくin vitroにおけるヒトの線維芽細胞の細胞増殖抑制作用のIC50値(後記実施例2参照。)がほぼ同程度である。また、報告されているロラタジンの、in vitroにおけるラットの肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用のIC50値(例えば、「薬理と治療」、1996, vol.24, p.49-52参照。)が、同じくin vitroにおけるヒトの線維芽細胞の細胞増殖抑制作用のIC50値(後記実施例2参照。)がほぼ同程度である。また、報告されているメキタジンの、ラットの腹腔細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を示す濃度範囲(例えば、「日薬理誌」、1988, vol.92, p.145-157参照。)や、モルモットの気道に対するヒスタミン収縮抑制作用のIC50値(例えば、「日薬理誌」、1981, vol.78, p.279-289参照。)が、同じくin vitroにおけるヒトの線維芽細胞の細胞増殖抑制作用を示す濃度範囲とほぼ同程度である。
本発明に係るアポトーシス誘導剤を経口投与する場合、成人の一日あたりの投与量は、有効成分の種類にもよるが、有効成分の量で、例えば0.01〜500mg程度とすることができる。一般的には、上記の投与量を一日あたり1回から数回に分けて投与することができるが、数日ごとに投与してもよい。また、皮膚上投与や経皮投与の場合、経口投与の場合よりも10〜1000倍程度高濃度の範囲内でも、重篤な副作用を引き起こすことなく使用できる場合もある。
本発明に係るアポトーシス誘導剤は、他のアポトーシス誘導剤と同様に、がんや乾癬(ケラチノサイトの異常増殖)、関節リウマチ(滑膜繊維芽細胞の異常増殖)等の細胞の異常増殖に起因する疾患に対する医薬用組成物の有効成分として好適である。特に、乾癬の治療剤として用いた場合には、皮膚の肥厚が抑制されるだけではなく、アレルギー反応の抑制も同時に期待することができる。
また、炎症性疾患の治療において、好中球や好酸球等の炎症を引き起こす原因となる細胞や、実際に炎症を起こしている細胞に対してアポトーシスを誘導させることができれば、炎症を抑えることができる。このため、本発明に係るアポトーシス誘導剤は、炎症性疾患、特に非アレルギー性の炎症性疾患に対する医薬用組成物の有効成分としても好適である。当該炎症性疾患としては、例えば、慢性鼻副鼻腔炎、滑膜炎等が挙げられる。本発明に係るアポトーシス誘導剤は、特に、非アレルギー性の慢性鼻副鼻腔炎に対する治療剤として有用である。
以下、本発明の実施例等を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例において使用された薬剤は、塩酸ジフェンヒドラミン(Diphenhydramine)(LKT Laboratories社製)、ジフェニルピラリン塩酸塩(Diphenylpyraline)(和光純薬社製)、フマル酸クレマスチン(Clemastine)(和光純薬社製)、マレイン酸クロルフェニラミン(Chlorpheniramine)(和光純薬社製)、塩酸トリプロリジン(Triprolidine)(R&D SYSTEMS社製)、塩酸プロメタジン(Promethazine)(東京化成工業社製)、酒石酸アリメマジン(Alimemazine)(Tronto Rseach Chemicals社製)、塩酸ヒドロキシジン(Hydroxyzine)(LKT Laboratories社製)、塩酸ホモクロルシクリジン(Homochlorcyclizine)(SIGMA−ALDRICH社製)、塩酸シプロヘプタジン(Cyproheptadine)(SIGMA−ALDRICH社製)、メキタジン(Mequitazine)(和光純薬社製)、ケトチフェンフマル酸塩(Ketotifen)(LKT Laboratories社製)、アゼラスチン塩酸塩(Azelastine)(BIOSCIENCE社製)、エメダスチンフマル塩酸塩(Emedastine)(東京化成工業社製)、エピナスチン塩酸塩(Epinastine)(東京化成工業社製)、エバスチン(Ebastine)(Cayman Chemical社製)、セチリジン塩酸塩(Cetirizine)(東京化成工業社製)、ベポタスチンベジル酸塩(Bepotastine)(和光純薬社製)、フェキソフェナジン塩酸塩(Fexofenadine)(東京化成工業社製)、ロラタジン(Loratadine)(東京化成工業社製)、レボセチリジン塩酸塩(Levocetirizine)(東京化成工業社製)、ルパタジンフマル酸塩(Rupatadine)(Santa Cruz Biotechnologies社製)、トラニラスト(Tranilast)(東京化成工業社製)、及びオキサトミド(Oxatomide)(和光純薬社製)である。これらはいずれも抗ヒスタミン剤であり、アレルギー性疾患の治療に使用されている。
[実施例1]
25種類の既知の薬剤の、ヒトの鼻茸から分離培養した線維芽細胞の細胞増殖に対する影響を調べた。線維芽細胞は一定のATPを有しており、ATP量から線維芽細胞の数(すなわち、細胞野増殖性)を評価した。
<線維芽細胞の調製>
線維芽細胞は手術時に摘出した鼻茸から分離培養した。鼻茸を1mm以下に切り、PBS(リン酸生理食塩水)にて1回、10%FBS(ウシ胎児血清)、ペニシリン(100 U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、アンホテリシンB(2.5mg/mL)添加Dulbeco’s Modified Eagle Medium(D’MEM)(SIGMA社製)培養液にて2回洗浄した後、数切片をビ−カ−に入れ、0.1%のコラゲナ−ゼtype2(Worthington社製)入りHanks’ Balanced Salt Solution(HBSS)(GIBCO社製)30mLでスタ−ラ−を使用して3時間撹拌した。次いで、遠心機(3000rpm、5分間)で分離して遠沈させた細胞に、培養液を10mL加え浮遊させた。同様の操作を4回繰り返し、75cmのフラスコ(IWAKI社製)で、37℃、5容量%CO下、細胞培養を開始した。数週間培養した後に、75cmのフラスコは線維芽細胞でほぼ満ちた。その後トリプシン処理で継代を変え、実験には第3継代の線維芽細胞を使用した。
<細胞増殖活性の測定>
24穴プレート(FALCON社製)の各ウェルに、線維芽細胞を5×10個/mLの濃度で培養液1mLを入れ、37℃、5容量%CO下、24時間培養した(n=4)。培養後、DMSOに溶解させた各薬剤を、最終濃度が100μMになるように培養液に添加した。コントロ−ル(vehicle)には、DMSOのみを一定量培養液に添加した。24時間培養した後に、各ウェルの細胞に対して「ATP Lite(商標)」(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences社製)を行い、ATP量から線維芽細胞の細胞数の変化を評価した。各ウェルのATP量は、1−way ANOVAの分散分析の後、Dunnett’sの多重比較検定を行った。
コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とし、各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を図1に示す。この結果、フマル酸クレマスチン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、及びオキサトミドの12種類では、相対細胞数が30%以下であり、細胞増殖が顕著に抑制されていた。
細胞増殖抑制作用が観察された12種類の薬剤について、繊維芽細胞に添加する薬剤の最終濃度が6.25μM、12.5μM、25μM、50μM、又は100μMとなるようにし、刺激時間(薬剤添加からの培養時間)を48時間とした以外は、同様にして、細胞増殖活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした場合の相対細胞数(%)を算出した。各薬剤について、薬剤濃度(μM)の対数値を横軸、相対細胞数(%)を縦軸としてプロットしたグラフを図2に示す。また、図2の結果から求めた各薬剤の細胞増殖に対するIC50値を表1に示す。
[実施例2]
細胞増殖抑制作用が観察された12種類の薬剤のうちのトラニラスト以外の11種類について、実施例1で用いた線維芽細胞を用いて細胞増殖に対する影響を調べた。対照として、細胞増殖抑制作用が観察されなかったエピナスチン塩酸塩、塩酸ヒドロキシジン、及びケトチフェンフマル酸塩についても同様にして細胞増殖に対する影響を調べた。
<細胞増殖活性の測定>
繊維芽細胞に添加する各薬剤の最終濃度が25μM又は50μMとなるようにし、刺激時間を24時間又は48時間とした以外は、実施例1と同様にして、細胞増殖活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした場合の相対細胞数(%)を算出した。薬剤濃度が25μM、刺激時間が48時間の結果を図3(a)に、薬剤濃度が50μM、刺激時間が24時間の結果を図4(a)に、薬剤濃度が25μM、刺激時間が48時間の結果を図5(a)に、それぞれ示す。
<Caspase−3/7活性の測定>
24穴プレート(FALCON社製)の各ウェルに、線維芽細胞を5×10個/mLの濃度で培養液1mLを入れ、37℃、5容量%CO下、24時間培養した(n=4)。培養後、DMSOに溶解させた各薬剤を、最終濃度が各濃度(25μM、50μM)になるように培養液に添加した。コントロ−ル(vehicle)には、DMSOのみを一定量培養液に添加した。24時間又は48時間培養した後に、各ウェルの細胞に対して「Caspase−Glo(登録商標)3/7 Assay」(Promega社製)を行い、線維芽細胞のCaspase−3/7活性を評価した。各ウェルのCaspase活性値は、1−way ANOVAの分散分析の後、Dunnett’sの多重比較検定を行った。
コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性値を100%とし、各薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)を算出した。薬剤濃度が25μM、刺激時間が48時間の結果を図3(b)に、薬剤濃度が50μM、刺激時間が24時間の結果を図4(b)に、薬剤濃度が25μM、刺激時間が48時間の結果を図5(b)に、それぞれ示す。この結果、エピナスチン塩酸塩、塩酸ヒドロキシジン、及びケトチフェンフマル酸塩では、刺激時間や薬剤濃度にかかわらず、細胞増殖抑制は観察されず、相対Caspase活性値も低かった。これに対して、実施例1で細胞増殖抑制作用が観察された11種類では、いずれも、相対Caspase活性値がエピナスチン塩酸塩等よりも高く、ヒト鼻茸由来線維芽細胞に対するアポトーシス誘導活性を有することが確認された。
[実施例3]
実施例1で用いた25種類について、HaCaT細胞(ヒトケラチノサイトに由来する培養細胞株、Cell Lines Service社製)の細胞増殖に対する影響を調べた。
HaCaT細胞の培養は、10%となるようにFBS(Gibco社製)及び20mg/Lとなるようにカナマイシン(Gibco社製)を添加した、RPMI−1640培地(和光純薬社製)を使用した。
<細胞増殖活性の測定>
各薬剤について、HaCaT細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにし、刺激時間を24時間とした以外は、実施例1と同様にして、細胞増殖活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした場合の相対細胞数(%)を算出した。なお、測定装置として、「FilterMax F5 Multi−Mode Microplate Reader」(モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を使用した。
各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を図6に示す。この結果、フマル酸クレマスチン、メキタジン、エバスチン、ルパタジンフマル酸塩、及びオキサトミドの5種類では、相対細胞数が20%以下であり、細胞増殖が顕著に抑制されていた。また、トラニラストでは、相対細胞数が40%程度であり、細胞増殖の抑制が観察された。
<Caspase−3/7活性の測定>
アゼラスチン塩酸塩、トラニラスト、オキサトミド、及び塩酸ヒドロキシジンについて、HaCaT細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、Caspase−3/7活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性値を100%とし、各薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)を算出した。
薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を図7に示す。この結果、細胞増殖抑制作用が観察されなかったアゼラスチン塩酸塩及び塩酸ヒドロキシジンでは、相対Caspase活性値はほぼ100%であり、アポトーシス誘導は観察されなかった。これに対して、やや弱い細胞増殖抑制作用が観察されたトラニラストでは相対Caspase活性値が200%程度、強い細胞増殖抑制作用が観察されたオキサトミドでは相対Caspase活性値は2000%を超えており、ヒトケラチノサイトに対するアポトーシス誘導活性を有することが確認された。
[実施例4]
実施例1で用いた25種類の薬剤のうち、塩酸トリプロリジンとエピナスチン塩酸塩を除く23種類について、HSC−3細胞(ヒト舌がん細胞に由来する培養細胞株、JCRB Cell Bankから入手)の細胞増殖に対する影響を調べた。
HaCaT細胞の培養は、10%となるようにFBS(Gibco社製)及び20mg/Lとなるようにカナマイシン(Gibco社製)を添加した、RPMI−1640培地(和光純薬社製)を使用した。
<細胞増殖活性の測定>
各薬剤について、HSC−3細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにし、刺激時間を24時間とした以外は、実施例3と同様にして、細胞増殖活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした場合の相対細胞数(%)を算出した。
各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を図8に示す。この結果、酒石酸アリメマジン、フマル酸クレマスチン、塩酸シプロヘプタジン、エバスチン、塩酸ホモクロルシクリジン、ロラタジン、メキタジン、オキサトミド、塩酸プロメタジン、ルパタジンフマル酸塩、及びトラニラストの11種類では、対細胞数がおおよそ20%以下であり、細胞増殖が顕著に抑制されていた。
<Caspase−3/7活性の測定>
細胞増殖抑制作用が観察された薬剤のうち、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、フマル酸クレマスチン、オキサトミド、メキタジン、ルパタジンフマル酸塩、エバスチン、及び酒石酸アリメマジンについて、HSC−3細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにした以外は、実施例3と同様にして、Caspase−3/7活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性値を100%とし、各薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)を算出した。
薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を図9に示す。この結果、いずれの薬剤でも相対Caspase活性値がおおよそ150%以上であり、がん細胞に対するアポトーシス誘導活性を有することが確認された。
[実施例5]
実施例1で用いた25種類の薬剤のうち、フェキソフェナジン塩酸塩を除く24種類について、KYSE−180細胞(ヒト食道がん細胞に由来する培養細胞株、JCRB Cell Bankから入手)の細胞増殖に対する影響を調べた。
KYSE−180細胞の培養は、10%となるようにFBS(Gibco社製)及び20mg/Lとなるようにカナマイシン(Gibco社製)を添加した、RPMI−1640培地(和光純薬社製)を使用した。
<細胞増殖活性の測定>
各薬剤について、KYSE−180細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにし、刺激時間を24時間とした以外は、実施例3と同様にして、細胞増殖活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした場合の相対細胞数(%)を算出した。
各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を図10に示す。この結果、フマル酸クレマスチン、酒石酸アリメマジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン塩酸塩、オキサトミド、エバスチン、ロラタジン、及びルパタジンフマル酸塩では、相対細胞数がおよそ20%以下であり、細胞増殖が顕著に抑制されていた。
<Caspase−3/7活性の測定>
細胞増殖抑制作用が観察された薬剤のうち、アゼラスチン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、及びメキタジンについて、KYSE−180細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにした以外は、実施例3と同様にして、Caspase−3/7活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性値を100%とし、各薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)を算出した。
薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を図11に示す。この結果、いずれの薬剤でも相対Caspase活性値がおおよそ800%以上であり、がん細胞に対するアポトーシス誘導活性を有することが確認された。
[実施例6]
実施例1で用いた25種類について、MeWo細胞(ヒトメラノーマ細胞に由来する培養細胞株、European Collection of Authenticated Cell Culturesから入手)の細胞増殖に対する影響を調べた。
MeWo細胞の培養は、10%となるようにFBS(Gibco社製)及び20mg/Lとなるようにカナマイシン(Gibco社製)を添加した、RPMI−1640培地(和光純薬社製)を使用した。
<細胞増殖活性の測定>
各薬剤について、MeWo細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにし、刺激時間を24時間とした以外は、実施例3と同様にして、細胞増殖活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とした場合の相対細胞数(%)を算出した。
各薬剤処理群の相対細胞数(%)の算出結果を図12に示す。この結果、フマル酸クレマスチン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン塩酸塩、オキサトミド、エバスチン、ロラタジン、及びルパタジンフマル酸塩では、相対細胞数がおよそ20%以下であり、細胞増殖が顕著に抑制されていた。トラニラストでは、相対細胞数が30%程度であり、細胞増殖の抑制が観察された。
<Caspase−3/7活性の測定>
アゼラスチン塩酸塩、オキサトミド、トラニラスト、及び塩酸ヒドロキシジンについて、MeWo細胞に添加する各薬剤の最終濃度が100μMとなるようにした以外は、実施例3と同様にして、Caspase−3/7活性を測定し、コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性値を100%とし、各薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)を算出した。
薬剤処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を図13に示す。この結果、細胞増殖抑制作用が観察されたアゼラスチン塩酸塩、オキサトミド、及びトラニラストでは、相対Caspase活性値がおおよそ200%以上であり、メラノーマに対するアポトーシス誘導活性を有することが確認された。一方で、細胞増殖抑制作用が観察されなかった塩酸ヒドロキシジンでは、相対Caspase活性値はほぼ100%であり、アポトーシス誘導は観察されなかった。

Claims (5)

  1. クレマスチン、プロメタジン、アリメマジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メキタジン、アゼラスチン、エバスチン、ロラタジン、ルパタジン、トラニラスト、及びオキサトミドからなる群より選択される一種以上の化合物、若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、アポトーシス誘導剤。
  2. 非アレルギー性疾患の治療に用いられる、請求項1に記載のアポトーシス誘導剤。
  3. 鼻腔又は副鼻腔の非アレルギー性炎症の治療に用いられる、請求項1に記載のアポトーシス誘導剤。
  4. がんの治療に用いられる、請求項1に記載のアポトーシス誘導剤。
  5. 乾癬の治療に用いられる、請求項1に記載のアポトーシス誘導剤。
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