JP2017128529A - 果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規かつ有用な果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法を提供する。【解決手段】本発明に係る果実用病害防除剤は、α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを含む。また、本発明に係る果実の病害防除方法は、α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを用いる。また、この場合において、着果した果実に対し前記α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを処理することが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法に関する。
近年、貿易のグローバル化及び関税の自由化が加速しており、農産物においても我が国と他国との競合が予想される。他国との競合が激化する環境下において、他国産の果実と差別化を図るためには、安心、安全な農産物の生産が重要である。
ところで、例えばブドウを始めとした果実栽培において、病害防除のため年間10回程度の農薬散布が行われている。上記の差別化のためには、農薬の使用をできる限り抑えた農産物の生産が必要となる。
上記目的に関し、植物の病害抵抗性を高める薬剤として、例えば下記非特許文献1に、ジャスモン酸誘導体が開示されている。
Scientia Horticulturae 192:166−172,2015
しかしながら、上記以外の病害抵抗性を高める薬剤については殆ど見当たらない。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、新規かつ有用な果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討を行っていたところ、α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを用いることで、病害防除を行うことができる点を発見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一観点に係る果実用病害防除剤は、α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを含む。
また、本発明の他の一観点に係る果実の病害防除方法は、α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを用いる。
以上、本発明により、新規かつ有用な果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法を提供することができ、果実の病害防除の選択性が向上する。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の例示に限定されるものではない。
本実施形態に係る果実用病害防除剤は、α−ケトールリノレン酸(9,10−ketol−octadecadienoic acid、以下「KODA」という。)及びこの誘導体の少なくともいずれかを含む。ここでKODAは、下記化学式で示される。
また本実施形態において、KODAの誘導体とは、KODAの分子内の原子又は基が他の原子又は基で置き換えられた化合物であって、本実施形態で言及する果実用病害防除剤としてのKODAと同様の機能を有する化合物をいう。KODAの誘導体としては、この限りにおいて限定されるわけではないが、例えばエステル化(アセチル化、ベンゾイル化、リン酸化、硫酸化など)、エーテル化、グリコシル化、アシル化、アミド化等を例示することができるがこれに限定されない。
本実施携帯においてKODAは、例えば、合成によって製造することができる。製造工程としては上記式により示されるKODAを得られる限りにおいて限定されるわけではないが、α−リノレン酸にリポキシゲナーゼを用いて9−ヒドロペロキシαリノレン酸を得て、これにアレンオキサイドシンターゼを作用させてアレンオキシド化させた後、更にこれを開環させてKODAを得ることができる。この合成経路について図1に示しておく。
本実施形態では、KODA及びこの誘導体の少なくともいずれかを含むことで、果実の病害を防除することが可能となる。より具体的には、果実の抗酸化性を向上させることができるようになる。
本実施形態において「果実」とは、種子植物の雌しべの子房が発達・変化したものをいう。
本実施形態において、果実としては特に限定されるわけではないが、例えばブドウ科、カキノキ科、バラ科、ミソハギ科等の果実を例示することができる。ブドウ科の果実としてはブドウ、カキノキ科の果実としてはカキ、バラ科の果実としては、例えばリンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、カリン、ビワ、ウメ等を例示することができるがこれに限定されない。
また本実施形態において「病害」とは、果実における病気による被害をいう。限定されるわけではないが、例えば、果実に胞子あるいは菌糸により感染する、ブドウであれば晩腐病、黒とう病、黒かび病、褐点病などによる被害を、果実がカキであれば黒星病、黒点病、炭疽病などによる被害を、果実がリンゴであれば、炭疽病、灰星病、輪紋病による被害を、果実がモモであれば、黒星病、炭疽病、灰星病などによる被害を、果実がオウトウであれば、炭疽病、灰星病、灰色かび病などによる被害を、果実がナシであれば、黒斑病、輪紋病などによる被害を、果実がカンキツであれば、褐色腐敗病、黒点病、さび果病などによる被害を、果実がビワであれば、灰斑病などによる被害を、果実がウメであれば、黒星病、灰色かび病などによる被害を、それぞれ例示することができる。
本実施形態に係る果実用病害防除剤は、上記のとおりKODA及びこの誘導体の少なくともいずれかを含むものであって、これを後述のように果実に塗布することで、果実における抗酸化性を高めることが可能となり、病害を防止することが可能となる。
より具体的に説明すると、本実施形態における果実用病害防除剤は、上記KODA及びこの誘導体の少なくともいずれかを、有効成分とし、これを直接、又は、水等の溶媒に溶解させて果実等に処理(塗布)することで有効に病害を防除することができる。この場合において、有効成分の量としては、病害を乗除することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば果実1g当たり20μg以上100μg以下の範囲で付着するように塗布することが好ましく、より好ましくは31μg以上62μg以下の範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは50μg以上62μg以下である。
また、本実施形態に係る果実用病害防除剤を塗布するタイミングとしては、果実が結実した段階で果実に直接塗布することが好ましい。KODA及びこの誘導体は果実の周囲に塗布されることにより、病害防除の効果を得ることができる。病害防除性を有している化合物としてジャスモン酸が公知となっているが、これは花芽形成時に塗布するものであり、またその効果もKODAの方が高い。すなわち、結実した段階で塗布するKODA及びその誘導体の方がより効率的に病害を防除することができる。
また、本実施形態に係る果実用病害防除剤を塗布する頻度としては、一度塗布したらそのままとしてもよいが、10〜14日ごとに塗布を繰り返しておくことも好ましい。このようにすることで、果実の病害防除の効果を長期間にわたり持続させることができるようになる。
以上、本実施形態により、新規かつ有用な果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法を提供することができ、果実の病害防除の選択性を向上させることができる。
ここで、上記実施形態に係る果実用病害防除剤を実際に作製し、その効果を確認した。以下具体的に説明する。
まず、上記実施形態に従いα−リノレン酸に基づき合成したKODAを用い、結実したブドウ果実にKODA処理を行った後、当該ブドウ果実にブドウ晩腐病原菌の接種処理を行い、菌繁殖に及ぼす影響を検討した。この結果を図2に示しておく。なおこの場合においては、比較として、KODA処理を行わず、ブドウ果実にブドウ晩腐病原菌の接種処理を行った果実についても確認した。
この結果、処理後の日が経過する毎にKODA処理を行ったものの方が有意に菌繁殖を抑えていることを確認し、KODAの病害防除効果を確認することができた。
ところで、次に、ブドウ果実ではなく寒天培地を用い、この培地上にKODA処理を施し、その後ブドウ晩腐病原菌の繁殖について確認を行った。この結果を図3に示しておく。なおこの場合においても、比較として、KODA処理を行わず、寒天培地にブドウ晩腐病原菌処理のみを行った例についても確認した。
この結果、KODA処理を行っても菌の繁殖を抑える効果について確認することはできなかった。すなわち、この結果から、KODA処理による病原菌への抵抗性の増大はKODAそのものが有する病害防除効果ではなく、KODAによって引き起こされる果実自身の病害抵抗性の増大が推測された。
そこで更に、ブドウ果実の抵抗性を確認するため、ブドウ果実の抗酸化力を解析した。この結果を図4に示す。
この結果、病原菌の接種前のKODA処理を行った果実(KODA+菌+)では、有意にEC50値が低下しており、KODA処理を行った果実ではKODA処理を行わなかった果実に比べて抗酸化活性が増大していることが確認できた。この結果は、オキシリピンの一種であるKODA処理が植物体で機能する免疫作用を高め、病原菌の繁殖を抑制した結果を示している。
また、図5に、KODA処理のアルデヒド類の濃度に対する影響について示す。香気成分の一種であるアルデヒド、特にC6−アルデヒド類は、植物の病害抵抗性を強める成分として知られており、KODA処理によって有意にアルデヒドの増加も観察された。これは、KODAが植物における病害抵抗性に関与する二次代謝物合成へのストレス伝達物質としての働きを持つことを示す。
以上の通り、本発明の効果を確認することができ、新規かつ有用な果実用病害防除剤及び果実の病害防除方法を提供することができることを確認した。
本発明は、果実用病害防除剤及び病害防除方法として産業上の利用可能性がある。
Claims (3)
- α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを含む果実用病害防除剤。
- α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを用いる果実の病害防除方法。
- 着果した果実に対し前記α−ケトールリノレン酸及びこの誘導体の少なくともいずれかを処理する請求項2記載の果実の病害防除方法。
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