JP2017128019A - 液体吐出装置及び液体吐出装置における液体吐出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出部のばらつきに起因するドット割れの発生頻度を小さく抑えることができる液体吐出装置及び液体吐出装置における液体吐出方法を提供する。【解決手段】駆動信号を受けた駆動素子の駆動に応じて液体を吐出可能な吐出部と、駆動信号COMAを生成する駆動信号生成回路とを有する。駆動信号COMAには、駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、第1液滴の吐出後に第2液滴を吐出させる第2電位変化と、第3液滴を吐出させる第3電位変化と、第3液滴の吐出後に第4液滴を吐出させる第4電位変化とが含まれる。第1液滴と第2液滴との各重量の和と、第3液滴と第4液滴との各重量の和は、着弾により形成されるドットが同じドットサイズに属する重量範囲内にある。第1液滴と第2液滴とが空中で合体した液滴を用いる第1動作モードと、第3液滴と第4液滴とが空中で合体した液滴を用いる第2動作モードとを有する。【選択図】図25
Description
本発明は、相対移動する用紙等の対象物に対して液体を吐出可能な吐出部を備えた液体吐出装置及び液体吐出装置における液体吐出方法に関する。
従来から、用紙等の媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置として、吐出ヘッドのノズルからインク(液体の一例)を吐出して用紙等の媒体に印刷を行うインクジェット式のプリンターが広く知られている。吐出ヘッドには、駆動素子を有する吐出部がノズル毎に設けられ、駆動素子が駆動されることでインク室に発生した吐出圧によってノズルから液滴が吐出される(例えば特許文献1〜8等)。
この種のインクジェット式のプリンターでは、ノズルごとの駆動素子に供給される駆動信号を発生可能な駆動信号発生回路(駆動信号発生部の一例)と、吐出ヘッドによるインク滴の吐出を制御する制御部とを有する。このプリンターでは、吐出ヘッドに設けられた複数のノズル列の内、インク滴の飛行速度が最も遅いノズル列を基準ノズル列とし、駆動信号発生回路は、基準ノズル列から吐出されるインク滴の飛行速度を必要な速度以上にすべく設定された駆動電圧値の駆動信号を発生する。
また、1ドット当たりに複数のインク滴を吐出し、これら複数のインク滴を媒体に着弾するまでに合体させることで、媒体に大きなドットを形成する技術も知られている(特許文献1〜3等)。例えば特許文献1には、1印字周期中に同一のノズルから2以上のインク滴を吐出し、各インク滴を着弾するまでに1つのインク滴に合体させることで、1ドットを形成するインクジェットヘッドが開示されている。先行のインク滴の吐出速度よりも高速な吐出速度で後続のインク滴を吐出し、媒体に着弾するまでにこれらのインク滴を合体させることで1つのドットを形成する。
ところで、近年、印刷速度の高速化が進み、吐出ヘッドと媒体との相対移動速度が高速化している。吐出ヘッドと媒体との相対移動速度が高速になると、吐出部がノズルから吐出したインク滴が媒体に着弾して形成されるドットの着弾位置が、吐出部間の吐出速度のばらつきによって大きくばらつくことになる。この種のばらつきの原因としては、吐出ヘッドの製造ばらつき(例えば特許文献4、5)や吐出ヘッドの筐体への取り付けばらつき(例えば特許文献6〜8)等が挙げられる。
ところで、吐出部の吐出速度のノズル列間でのばらつきに起因するドットの着弾位置のばらつきは、ラインプリンターにおいて媒体が高速搬送されたり、シリアルプリンターにおいて吐出ヘッドが高速移動したりして、媒体と吐出ヘッドとの間の相対移動速度が高速になるほど助長される。例えば後続のインク滴の吐出速度がその速度のばらつきに起因して遅過ぎると、後続のインク滴が先行のインク滴に着弾前に追いつくことができず、先行の液滴と後続の液滴とが1つの液滴に合体できないまま着弾することで、1つのドットになるはずが2つのドットに分かれるドット割れが発生する。また、印刷ヘッドから吐出された液滴の吐出方向がばらつく場合があり、先行の液滴の吐出経路と、後続の液滴の吐出経路とがずれると、後続の液滴が先行の液滴に合体できなかったり、合体できてもその合体が不完全になったりする場合があり、この場合もドット割れが発生する。
なお、シリアルプリンターやラインプリンター等の記録方式の違いに依らず、吐出部と媒体とが相対移動する過程で、吐出部から液体を吐出する構成の液体吐出装置であれば、この種の課題は概ね共通する。
本発明の目的は、吐出部のばらつきに起因するドット割れの発生頻度を小さく抑えることができる液体吐出装置及び液体吐出装置における液体吐出方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体吐出装置は、駆動信号を受けた駆動素子の駆動に応じて液体を吐出可能な吐出部と、前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を有し、前記駆動信号には、前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化と、前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化とが含まれ、前記第1液滴の重量と前記第2液滴の重量の和と、前記第3液滴の重量と前記第4液滴の重量の和は、当該和の重量を有する液滴が着弾して形成されるドットが同じドットサイズに属する重量範囲内にあり、前記第1液滴と前記第2液滴とが空中で合体した液滴を用いる第1動作モードと、前記第3液滴と前記第4液滴とが空中で合体した液滴を用いる第2動作モードとを有している。
上記課題を解決する液体吐出装置は、駆動信号を受けた駆動素子の駆動に応じて液体を吐出可能な吐出部と、前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を有し、前記駆動信号には、前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化と、前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化とが含まれ、前記第1液滴の重量と前記第2液滴の重量の和と、前記第3液滴の重量と前記第4液滴の重量の和は、当該和の重量を有する液滴が着弾して形成されるドットが同じドットサイズに属する重量範囲内にあり、前記第1液滴と前記第2液滴とが空中で合体した液滴を用いる第1動作モードと、前記第3液滴と前記第4液滴とが空中で合体した液滴を用いる第2動作モードとを有している。
この構成によれば、液体吐出装置には、吐出部からの吐出順が先行の第1液滴と後続の第2液滴とを空中で合体させた液滴を用いる第1動作モードと、吐出部からの吐出順が先行の第3液滴と後続の第4液滴は合体した液滴を用いる第2動作モードとを含む複数の動作モードが事前に準備されている。2種類の液滴を合体させるに際して複数のモードが事前に準備されているので、種々のばらつき等の状況に応じて第1動作モードと第2動作モードとを使い分けることによって、1つに合体した液滴を対象物に着弾させて形成される被形成物の品質を向上させることができる。
なお、「第1液滴の重量と前記第2液滴の重量の和と、前記第3液滴の重量と前記第4液滴の重量の和は、等しく」とは、重量が完全に一致することのみを指すものではなく、その重量の和が、そのときの重量の和から決まるドットサイズ(例えば大ドット)の許容範囲内で同じであればよい。つまり、第1動作モードと第2動作モードで形成される各ドットのサイズが同じドットサイズに属するとみなしうる範囲内であればよい。また、2種類の液滴を合体して形成される液滴の着弾後のドットサイズは大ドットに限定されず、中ドット又は小ドットでもよい。さらに、「空中で合体」とは、先行の液滴と後続の液滴とが空中で合体を終えることに限らず、先行の液滴が空中にある段階で後続の液滴が合体し始め先行の液滴が着弾し始めた後に合体を終える場合も、その合体が空中で開始されておりかつその合体した液滴が着弾してできたドットの形状が、空中で合体を終えた場合にできるドット形状と同じものが得られる限りにおいて含まれる。すなわち、第3液滴と第4液滴とが空中で合体できたかどうかは、ドットの形状から判断できる。
上記液体吐出装置では、前記第3液滴の吐出から前記第4液滴を吐出するまでの期間は、前記第1液滴の吐出から前記第2液滴を吐出するまでの期間より短いことが好ましい。
この構成によれば、第3液滴の吐出から第4液滴を吐出するまでの期間は、第1液滴の吐出から第2液滴を吐出するまでの期間より短いので、第1動作モードのときよりも第2動作モードのときに、先に吐出された先行の液滴と後から吐出された後続の液滴とが合体する位置までの吐出部からの距離が短くなる。つまり、第1動作モードと第2動作モードとで、先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの吐出部からの距離が異なる。よって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つのモードを選択するモードの使い分けによって、モードを選択できない構成の場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第3液滴の吐出から第4液滴を吐出するまでの期間は、第1液滴の吐出から第2液滴を吐出するまでの期間より短いので、第1動作モードのときよりも第2動作モードのときに、先に吐出された先行の液滴と後から吐出された後続の液滴とが合体する位置までの吐出部からの距離が短くなる。つまり、第1動作モードと第2動作モードとで、先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの吐出部からの距離が異なる。よって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つのモードを選択するモードの使い分けによって、モードを選択できない構成の場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第4電位変化に要する期間は、前記第2電位変化に要する期間よりも短いことが好ましい。
この構成によれば、第4電位変化に要する期間は、第2電位変化に要する期間よりも短いため、液滴の吐出速度が第2液滴よりも第4液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第2液滴と第4液滴との吐出時の電位変化に要する期間以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第4電位変化に要する期間は、第2電位変化に要する期間よりも短いため、液滴の吐出速度が第2液滴よりも第4液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第2液滴と第4液滴との吐出時の電位変化に要する期間以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第3電位変化に要する期間は、前記第1電位変化に要する期間よりも長いことが好ましい。
この構成によれば、第3電位変化に要する期間は、第1電位変化に要する期間よりも長いため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化に要する期間以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第3電位変化に要する期間は、第1電位変化に要する期間よりも長いため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化に要する期間以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第4電位変化の変化量は、前記第2電位変化の変化量よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、第4電位変化の変化量は、第2電位変化の変化量よりも大きいため、液滴の吐出速度が第2液滴よりも第4液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第2液滴と第4液滴との吐出時の電位変化の変化量以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第4電位変化の変化量は、第2電位変化の変化量よりも大きいため、液滴の吐出速度が第2液滴よりも第4液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第2液滴と第4液滴との吐出時の電位変化の変化量以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第3電位変化の変化量は、前記第1電位変化の変化量よりも小さいことが好ましい。
この構成によれば、第3電位変化の変化量が、前記第1電位変化の変化量よりも小さいため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で低速化する。第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化の変化量以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第3電位変化の変化量が、前記第1電位変化の変化量よりも小さいため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で低速化する。第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化の変化量以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第3電位変化に要する期間は、前記第1電位変化に要する期間よりも短いことが好ましい。
この構成によれば、第3電位変化に要する期間は、第1電位変化に要する期間よりも短いため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化に要する期間以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第3電位変化に要する期間は、第1電位変化に要する期間よりも短いため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化に要する期間以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第3電位変化の変化量は、前記第1電位変化の変化量よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、第3電位変化の変化量が、前記第1電位変化の変化量よりも大きいため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化の変化量以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
この構成によれば、第3電位変化の変化量が、前記第1電位変化の変化量よりも大きいため、液滴の吐出速度が第1液滴よりも第3液滴で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴と第3液滴との吐出時の電位変化の変化量以外の他の条件が仮に同じとすれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部から先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記吐出部が吐出した液滴が着弾する対象物は媒体であり、前記第2動作モードが用いられる場合は、前記第1動作モードが用いられる場合よりも、前記吐出部と前記媒体との間隔が狭いことが好ましい。
この構成によれば、第2動作モードが用いられる場合は、第1動作モードが用いられる場合よりも、吐出部と媒体との間隔が狭いので、モードを使い分けることで、他のモードを選択した場合に比べより高品質の被形成物を取得できる。
上記液体吐出装置では、前記第1動作モードにおいて前記吐出部から吐出された前記第1液滴と前記第2液滴とが着弾前に合体できなかった失敗吐出を液滴の着弾形状に基づいて検出する検出部と、前記検出部が前記失敗吐出を検出した場合、前記第2動作モードを設定する設定部とを更に備えていることが好ましい。
この構成によれば、検出部によって、第1動作モードにおいて吐出部から吐出された第1液滴と第2液滴とが着弾前に合体できなかった失敗吐出が、液滴の着弾形状に基づいて検出される。失敗吐出が検出された場合、設定部によって第2動作モードが設定される。第2動作モードが設定されることで、後続の液滴が先行の液滴に着弾前に合体し易くなり、失敗吐出を回避し易くなる。
上記液体吐出装置では、前記第1動作モードにおいて前記吐出部から吐出された前記第1液滴と前記第2液滴とのうち少なくとも一方の飛行経路が吐出方向に対してずれる失敗吐出を液滴の着弾形状に基づいて検出する検出部と、前記検出部が前記失敗吐出を検出した場合、前記第2動作モードを設定する設定部とを更に備えていることが好ましい。
この構成によれば、検出部によって、第1動作モードにおいて吐出部から吐出された第1液滴と第2液滴とのうち少なくとも一方の飛行経路が吐出方向に対してずれる失敗吐出が液滴の着弾形状に基づいて検出される。検出部が失敗吐出を検出した場合、設定部によって、第2動作モードが設定される。よって、吐出された第1液滴と第2液滴とのうち少なくとも一方の飛行経路が吐出方向に対してずれることに起因する失敗吐出を抑制できる。
上記液体吐出装置では、前記検出部が前記失敗吐出を検出した場合、前記設定部は前記第2動作モードを推奨する旨を報知部にて報知し、前記第2動作モードが選択された旨の操作信号を入力すると、前記第2動作モードを設定することが好ましい。
この構成によれば、検出部が失敗吐出を検出した場合、設定部は第2動作モードを推奨する旨を報知部にて報知する。そして、第2動作モードが選択された旨の操作信号を入力すると、第2動作モードが設定される。その結果、その後は第2動作モードで第3液滴と第4液滴とが吐出されるので、失敗吐出を抑制できる。
上記液体吐出装置では、前記検出部が前記失敗吐出を検出すると、前記設定部は、前記第1動作モードから前記第2動作モードへ設定を切り換えることが好ましい。
この構成によれば、検出部が失敗吐出を検出すると、設定部によって、第1動作モードから第2動作モードへ設定が切り換えられる。したがって、検出部が失敗吐出を検出すれば、設定部により自動で適切な動作モードに切り換えられるので、被形成物の失敗回数を低減できるうえ、適切な条件の駆動信号の波形に切り換えられることで、成功吐出を実現できる。
この構成によれば、検出部が失敗吐出を検出すると、設定部によって、第1動作モードから第2動作モードへ設定が切り換えられる。したがって、検出部が失敗吐出を検出すれば、設定部により自動で適切な動作モードに切り換えられるので、被形成物の失敗回数を低減できるうえ、適切な条件の駆動信号の波形に切り換えられることで、成功吐出を実現できる。
上記課題を解決する液体吐出装置における液体吐出方法であって、前記液体吐出装置は、駆動信号を受けた駆動素子の駆動に応じて液体を吐出可能な吐出部と、前記駆動信号を生成する駆動信号生成部とを備え、前記駆動信号には、前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化と、前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化と、が含まれ、前記第1液滴の重量と前記第2液滴の重量の和と、前記第3液滴の重量と前記第4液滴の重量の和は、当該和の液滴が着弾して形成されるドットが同じドットサイズに属する重量範囲内にあり、前記第1液滴と前記第2液滴とが合体した液滴を用いる第1動作モードと、前記第3液滴と前記第4液滴とが合体した液滴を用いる第2動作モードと、を有しており、前記第1動作モードと前記第2動作モードとのうちいずれか1つのモードを設定するモード設定ステップと、第1動作モードが設定された場合は、前記駆動信号生成部が、前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化とを含む駆動信号を生成し、当該駆動信号を受けて駆動する駆動素子の駆動に応じて吐出部から前記第1電位変化に基づく第1液滴と、前記第2電位変化に基づく第2液体とを吐出し、前記第1液滴と前記第2液滴とが合体した液滴を媒体に着弾させる第1動作ステップと、一方、第2動作モードが設定された場合は、前記駆動信号生成部が、前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化とを含む駆動信号を生成し、当該駆動信号を受けて駆動する駆動素子の駆動に応じて吐出部から前記第3電位変化に基づく第3液滴と、前記第4電位変化に基づく第4液体とを吐出し、前記第3液滴と前記第4液滴とが合体した液滴を媒体に着弾させる第2動作ステップと、を備えている。この液体吐出方法によれば、上記液体吐出装置と同様の作用効果が得られる。
以下、液体吐出装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、液体吐出装置の一例としてのプリンター11は、インクジェット式のラインプリンターである。プリンター11は、用紙等の媒体Pを搬送する搬送装置12と、搬送装置12によって所定方向に搬送される媒体Pにインク滴を吐出して画像や文書等を印刷する吐出ユニット15と、吐出ユニット15よりも搬送方向Yの下流側の位置で媒体P上の印刷結果を読み取り可能な画像読取部の一例としてのスキャナー装置18とを備える。スキャナー装置18は、例えば印刷品質の検査時及びテスト印刷時に媒体Pに印刷された印刷結果の読み取りに使用される。プリンター11は、スキャナー装置18が読み取った印刷結果画像に基づき印刷結果を画像解析し、吐出ユニット15の液滴吐出条件を規定する動作モードが適切であるか否かを解析する機能を有している。
図1に示すように、液体吐出装置の一例としてのプリンター11は、インクジェット式のラインプリンターである。プリンター11は、用紙等の媒体Pを搬送する搬送装置12と、搬送装置12によって所定方向に搬送される媒体Pにインク滴を吐出して画像や文書等を印刷する吐出ユニット15と、吐出ユニット15よりも搬送方向Yの下流側の位置で媒体P上の印刷結果を読み取り可能な画像読取部の一例としてのスキャナー装置18とを備える。スキャナー装置18は、例えば印刷品質の検査時及びテスト印刷時に媒体Pに印刷された印刷結果の読み取りに使用される。プリンター11は、スキャナー装置18が読み取った印刷結果画像に基づき印刷結果を画像解析し、吐出ユニット15の液滴吐出条件を規定する動作モードが適切であるか否かを解析する機能を有している。
搬送装置12は、動力源となる搬送モーター20と、搬送方向Yに所定距離だけ離れて配置された一対の搬送ローラー21,22及びアイドルローラー23と、これら各ローラー21〜23に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト24と、搬送ベルト24上へ媒体Pを給送する給送ローラー25とを備えている。搬送モーター20は、搬送ローラー21に動力伝達可能に連結されており、搬送モーター20が駆動されることで、搬送ベルト24の上の媒体Pは、吐出ユニット15に対して搬送方向Yに一定速度で搬送される。
吐出ユニット15は、搬送ベルト24の搬送方向Y略中央位置においてベルト面から上方(図1では紙面直交方向手前側)へ所定のギャップを隔てた位置に配置されている。吐出ユニット15は、搬送ベルト24の搬送方向Yと直交する幅方向に沿って媒体Pの想定最大幅よりも少し広い範囲に亘って延びている。吐出ユニット15から一定速度で搬送中の媒体Pに対してインク滴が吐出されることで、媒体Pに印刷が施される。
また、図1に示すように、プリンター11には、搬送ベルト24の搬送速度を検出するための搬送速度検出部として機能するエンコーダー28が設けられている。エンコーダー28は搬送ベルト24の側縁部に沿って配列されて一定ピッチで例えば磁極(N極・S極)が変化するスケール部28Aと、スケール部28Aの磁極を検出するセンサー28B(例えば磁気センサー)とを有している。なお、エンコーダー28は、搬送系の動力源(搬送モーター20)の回転や動力伝達系(搬送ローラー21等)の回転を検出するロータリーエンコーダーでもよい。
次に図2及び図3を参照して、プリンター11を備えた印刷システムの構成を説明する。図3に示すように、印刷システム90は、プリンター11と、プリンター11と通信可能に接続された印刷データ生成用のホスト装置100とを備える。ホスト装置100は、例えばパーソナルコンピューターからなり、本体101、モニター102及び入力装置103を備える。本体101にはプリンタードライバー105が内蔵されている。プリンタードライバー105は、例えばユーザーが入力装置103の操作で印刷対象として選択した画像データからプリンター11が解釈可能な印刷データPDを生成する。
詳しくは、プリンタードライバー105は、印刷対象の画像データに対し解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理などを施して、1ドット(1画素)が複数階調(本例では4階調)で表現された印刷画像データを生成する。さらにプリンタードライバー105は、この印刷画像データに、印刷制御に必要な各種コマンド等を含むヘッダーを付して印刷データPDを生成し、生成した印刷データPDをプリンター11に送信する。プリンター11は、ホスト装置100から受信した印刷データPDに基づき画像等の印刷を行う。
図3に示すプリンター11は、印刷制御を司る制御部30、ホスト装置100と通信可能な通信インターフェイス(以下、「通信I/F31」という)、ホスト装置100から受信した印刷データPDを一時格納する記憶部32、前述の吐出ユニット15、及び吐出ユニット15を制御する記録制御系33等を備える。制御部30には、搬送装置12の動力源である搬送モーター20、エンコーダー28、吐出ユニット15を制御する記録制御系33及びスキャナー装置18等が電気的に接続されている。エンコーダー28は、吐出ヘッド16に対する媒体Pの相対移動距離(搬送距離)に比例するパルス数かつ相対移動速度に反比例する周期のパルスを含むエンコーダーパルス信号ESを出力する。
図2及び図3に示すように、記録制御系33は、記憶部32から印刷データPDの一部を読み出した印刷画像データを複数に分配する分配器34、その分配された印刷画像データDIを更に複数に分配して下流段に転送するデータコントローラー35を備えている。さらに記録制御系33は、印刷画像データDIが分配された各印刷画像データYIに基づき各吐出ヘッド16(図2参照)を制御するヘッドコントローラー36を備えている。なお、記憶部32は、RAM及び不揮発性メモリーにより構成され、印刷データPDをはじめとする各種のデータがRAMに格納されると共に、図38及び図39にフローチャートで示されるプログラムを含む各種のプログラム等が不揮発性メモリーに記憶されている。
図2に示すように、吐出ユニット15は、媒体Pの想定最大幅全域に亘って印刷可能な複数の吐出ヘッド16が、所定の配置パターンで配列された所謂マルチヘッドタイプのものである。本例では、データコントローラー35はq個(但し、qは2以上の自然数(図2ではq=2))備えられている。1個のデータコントローラー35には、r個(但し、rは2以上の自然数(図2の例では4個))のヘッドコントローラー36が接続されている。吐出ユニット15は、K(=q×r)個の吐出ヘッド16を備える。図2の例では、複数の吐出ヘッド16は、第1の吐出ヘッド161〜第8の吐出ヘッド168の計8個からなる。
図2に示すように、K個の吐出ヘッド16は、一例として2列に配置された吐出ヘッド16が列間で列方向に半ピッチずつずれたジグザグ状に配列されている。本例では、吐出ヘッド16と同数個設けられたヘッドコントローラー36が、それぞれ対応する吐出ヘッド16を個々に制御する。
図2に示すように、吐出ヘッド16のノズル開口面(底面)には、m列(但し、mは2以上の自然数)のノズル列N1,N2,…,Nm(図2の例ではm=4でN1〜N4)が設けられている。複数の吐出ヘッド16がジグザグ状に配置されることで、吐出ヘッド16間で同種(例えば同一インク色)のノズル列がノズル列方向(図2における上下方向)に連続して分布している。このため、ラインプリンターであるこのプリンター11では、各吐出ヘッド16の同種の各ノズル列Ni,Ni,…,Ni(但しi=1,…,m)によって、想定最大幅の媒体Pに幅一杯の印刷が可能となっている。
図2では、搬送方向Yに搬送される媒体Pは、吐出ヘッド16に対してノズル列方向と交差する相対移動方向RMに相対移動する。そして、吐出ヘッド16のノズル列N1〜N4のノズル17a(図4参照)から吐出された液滴(インク滴)が、相対移動する媒体Pの表面に着弾して印刷データPDに基づく多数のドットが媒体P上に形成されることで、媒体Pに画像や文書が印刷される。
図4に示すように、吐出ヘッド16のノズル開口面16a(底面)に設けられたn列(図4では4列)のノズル列N1〜Nmは、媒体Pの搬送方向Yと交差する方向(ノズル列方向)に一定のノズルピッチで一列に配列されたF個のノズル♯1〜♯Fによりそれぞれ構成されている。なお、一ノズル列当たりのノズル17aの個数Fは、例えば180個又は360個である。また、ノズル♯1〜♯Fの配列は、1列に限らず、2列が列間で半ピッチずつずれたジグザグ状でもよい。
本例では、n列のノズル列N1〜Nmは、異なる色のインク滴を吐出するものか、あるいは同一色のインク滴を吐出するものである。前者の場合、図2及び図4の例で示すm=4の場合、4列のノズル列N1〜N4は、ノズル17aから吐出されるインクの色、すなわち黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の4色にそれぞれ対応している。
また、後者の場合、図2では吐出ユニット15を1個のみ示しているが、実際には、吐出ユニット15が、色数(例えば4色)と同数個(例えば4個)設けられる。同一色のm列のノズル列N1〜Nmの各ノズル17aは、ノズル列方向と直交する方向にノズル列N4の中心線(仮想線)上に投影したときの投影ノズルのピッチが、ノズル列ごとのノズルピッチの1/mとなるように配置され、これにより印刷解像度を高めている。また、投影ノズルのピッチをノズルピッチの1/mにして印刷解像度を高める他の構成として、吐出ヘッド16をノズル列方向に対して斜めに傾けて配置するものでもよい。
本実施形態における図4に示す吐出ヘッド16は、m列のノズル列のうちp列(但し、pはm未満の自然数)(図4の例では1列)ずつのノズル列を有する単位ヘッド部17が、ヘッド本体16bのノズル開口面16a側の面にm/p個(図4の例では4個)配置されている。複数の単位ヘッド部17は、ヘッド本体16bに対して各ノズル列N1〜Nmが互いに平行に配置される向きに取り付けられている。
図4に示すように、単位ヘッド部17には、各ノズル17aと対応する駆動素子42が、ノズル列ごとにノズル数と同数配列された駆動素子群41が内蔵されている。但し、図4では吐出ヘッド16の外側に、ノズル17aに対応する一部の駆動素子42だけを模式的に描いている。駆動素子42は、所定駆動波形の駆動信号が印加されると、電歪作用により、ノズル17aに連通するキャビティー174の内壁部の一部を構成する後述の振動板175(いずれも図5参照)を振動させる。この振動板175の振動によりキャビティー174を膨張・圧縮させることによりノズル17aから液滴が吐出される。なお、駆動素子42は、圧電素子以外に、駆動信号に基づいて静電作用により駆動される静電駆動素子からなるものであってもよい。さらに駆動素子42は、インクを加熱して膜沸騰により発生した気泡の圧力(膨張圧)を利用してノズルから液滴を吐出させるヒーター素子でもよい。このように吐出ヘッド16のノズル17aから液滴を吐出する吐出駆動方式は、圧電駆動方式、静電駆動方式、加熱駆動方式のいずれを採用してもよい。
図4に示すように、ノズル列N1〜Nmごとの単位ヘッド部17は、ノズル17aと駆動素子42とを有する吐出部D1〜Dmを、複数個(F個)ずつ備えている。m=4である本例の場合、単位ヘッド部17は、ノズル17aと駆動素子42とを有する吐出部D1〜D4を、例えば180個ずつ備える。なお、吐出部D1〜D4を特に区別しない場合は、単に「吐出部D」と記す。
次に図5を参照して、吐出ヘッド16のノズル17aからインクの液滴を吐出する吐出部Dの構成について説明する。図5では、吐出ヘッド16に設けられた複数個のノズル17aと同数個設けられた吐出部Dのうち1個の吐出部Dと、この1個の吐出部Dにインク供給口181を通じて連通するリザーバー182と、インクカートリッジやインクタンク等のインク供給源(図示略)からリザーバー182にインクを供給するためのインク供給流路183とを示している。
図5に示すように、吐出部Dは、駆動素子42の一例である圧電素子170と、内部にインクが充填されたキャビティー174(インク室)と、キャビティー174に連通するノズル17aと、振動板175とを備えている。吐出部Dは、圧電素子170が駆動信号に基づく駆動電圧の印加により駆動され、キャビティー174内のインクをノズル17aから吐出させる。
吐出部Dのキャビティー174は、凹部を有する所定形状に成形されたキャビティープレート176と、ノズル17aが形成されたノズルプレート177と、振動板175とにより区画される空間である。キャビティー174は、インク供給口181を通じてリザーバー182と連通している。リザーバー182は、インク供給流路183を通じて1つのインク供給源(図示略)と連通している。
本実施形態では、圧電素子170として、例えば図5に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。圧電素子170は、下部電極171と、上部電極172と、下部電極171及び上部電極172の間に設けられた圧電体173とを有する。下部電極171は所定の基準電位Vsに設定され、上部電極172に駆動信号が供給されることで、下部電極171及び上部電極172の間に電圧が印加される。この印加電圧に応じて圧電素子170は図5における上下方向に撓んで振動する。
キャビティープレート176の上面開口部を閉塞する状態に設置された振動板175には、圧電素子170の下部電極171が接合されている。このため、圧電素子170が駆動信号により振動すると、振動板175も振動する。そして、振動板175の振動によりキャビティー174の容積(キャビティー174内の圧力)が変化し、キャビティー174内に充填されたインクがノズル17aより吐出される。インクの吐出によりキャビティー174内のインクが減少した場合、リザーバー182からキャビティー174へインクが供給される。また、リザーバー182へはインク供給源からインク供給流路183を通じてインクが供給される。
図3に示すように、各ヘッドコントローラー36は、第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37Dを有している。第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37Dは、対応する単位ヘッド部17が備えるヘッド駆動回路38を駆動制御する。
図3に示す制御部30は、印刷データPD中のコマンドを解釈し、コマンドの指示に従って搬送モーター20を制御する。また、制御部30は、印刷データPDのうちの印刷画像データを分配器34で分配した各印刷画像データDIを各データコントローラー35へ転送する。また、制御部30は、駆動素子42に印加する駆動信号COMA,COMB(図7参照)の波形形状を規定するモード選択情報MSを、ヘッドコントローラー部37A〜37Dごとに指示する。このようにデータコントローラー35には、印刷画像データDIと、エンコーダーパルス信号ESと、後述する吐出動作モードを指示するモード選択情報MSとが入力される。
図3に示すデータコントローラー35は、分配器34から入力した印刷画像データDIを、r個の吐出ヘッド16に対応するr個の印刷画像データYIに分け、さらに各印刷画像データYIをノズル列の列数mでm分割した印刷画像データZIを、第1〜第mのヘッドコントローラー部37A〜37Dに転送する。また、データコントローラー35は、エンコーダー28から入力したエンコーダーパルス信号ESを基にそのパルス周期の例えば1/2又は1/4のパルス周期を有するタイミング信号TSを生成し、このタイミング信号TSをヘッドコントローラー36へ出力する。このタイミング信号TSは、吐出タイミングを決める印刷周期と同じパルス周期である。
ヘッドコントローラー36内の4個の第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37Dは、一ノズル列分の印刷画像データZIを基に印字データSI,SPを生成し、対応する単位ヘッド部17が有するヘッド駆動回路38に印字データSI,SP等を転送する。そして、各ヘッド駆動回路38は、単位ヘッド部17ごとに設けられたF個(例えば360個)の吐出部D(図4参照)を制御する。印字データは、ヘッド駆動回路38がF個の吐出部Dの制御に使用可能な一ノズル列分のデータであり、吐出データSIと定義データSP(図6参照)とを含む。
次に図6を参照して、ヘッドコントローラー36及び吐出ヘッド16の電気的構成について説明する。図6に示すヘッドコントローラー36内の4個の第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37Dには、吐出データSI等と、タイミング信号TSと、モード選択情報MSとが入力される。第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37Dは、基本的に同じ構成を有するため、以下では第1ヘッドコントローラー部37Aについて説明する。第1ヘッドコントローラー部37Aは、ヘッド制御ユニット51、調整部52及び駆動信号生成回路53を備えている。駆動信号生成回路53はDAC(Digital Analog Converter)54を備える。
ヘッドコントローラー部37A内において印字データSI,SPは、ヘッド制御ユニット51に入力される。ヘッド制御ユニット51は印字データSI,SPをタイミング信号TSに基づく転送タイミングでヘッド駆動回路38に転送する。すなわち、ヘッド制御ユニット51は、印刷周期TA毎にノズル一列分の印字データSI,SPをヘッド駆動回路38へ出力する。なお、
調整部52は、制御部30から吐出ヘッド16の動作モードを規定するモード選択情報を入力し、モード選択情報に応じて駆動素子42に印加される駆動信号COMの波形を調整する調整指示値を駆動信号生成回路53に出力する。
調整部52は、制御部30から吐出ヘッド16の動作モードを規定するモード選択情報を入力し、モード選択情報に応じて駆動素子42に印加される駆動信号COMの波形を調整する調整指示値を駆動信号生成回路53に出力する。
駆動信号生成回路53は、調整指示値とタイミング信号TSとを入力する。駆動信号生成回路53は、例えば複数の印刷モードに応じた複数の波形データを不図示の記憶部に記憶し、指示された印刷モードに応じた波形データを記憶部から読み出す。そして、駆動信号生成回路53は、その読み出した波形データに従って駆動信号COMA,COMB(図7参照)を生成する。また、駆動信号生成回路53は、タイミング信号TSに基づきラッチ信号LAT及びチャネル信号CHを生成する。駆動信号生成回路53は、生成した各信号LAT,CHをヘッド駆動回路38に出力するとともに、DAC54を介して駆動信号COMA,COMBをヘッド駆動回路38に出力する。
DAC54は、駆動信号生成回路53から入力したデジタル信号である駆動信号COMA,COMBをアナログ信号に変換し、アナログ信号からなる駆動信号COMA,COMBをヘッド駆動回路38に出力する。
ここで、図7を参照して、駆動信号生成回路53が生成する駆動信号等について説明する。駆動信号生成回路53は、図7に示すように、一つの印刷周期TA内に二種類の駆動信号COMA,COMBを同時に生成して並列に出力する。駆動信号COMAは、印刷周期TA内に1つの第1駆動パルスDP1を含む。また、駆動信号COMBは、印刷周期TA内に3つの駆動パルス、すなわち、時系列の順番に配列された第2駆動パルスDP2、第3駆動パルスDP3及び第4駆動パルスDP4を含む。なお、印刷周期TAは、吐出ヘッド16が1つのドットを形成しうる1つの液滴を吐出する吐出駆動周期に相当する。
図7に示す駆動信号COMA,COMBは、ヘッド駆動回路38内で第1〜第4駆動パルスDP1〜DP4のうち吐出データSI(HL)に対応する駆動パルスが選択される。この選択には、定義データSPが使用される。ヘッド駆動回路38は、印刷周期TA毎に、第1〜第4駆動パルスDP1〜DP4のうち吐出データSIに対応する駆動パルスを選択し、その選択された駆動パルスが吐出部Dに印加される。
また、ラッチ信号LATは、印刷周期TAの開始時期を規定するパルス信号である。また、チャネル信号CHは、印刷周期TA内における駆動パルスの切り換わりタイミングを規定するパルス信号である。本例のチャネル信号CHは、印刷周期TA内に複数の駆動パルスを含む駆動信号COMBの各駆動パルスDP2,DP3,DP4の切り換わりタイミングを規定するパルス信号である。
図6に示す駆動信号生成回路53は、駆動信号COMA,COMBを生成するために二対の電極を有する。低電位側電極に基準電位Vsが印加され、高電位側電極に波形パラメーターに応じた駆動波形の駆動電位が印加される。
このため、図6に示す調整部52が、モード選択情報に応じて調整した波形指示情報WS(波形パラメーター)を駆動信号生成回路53に出力することで、駆動信号生成回路53が生成する駆動信号COMA,COMBの波形を調整することが可能となっている。このように図6に示す第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37D内の各調整部52が、モード選択情報MSj(j=1〜n)に応じて波形パラメーターWPj(j=1〜n)を調整することで、駆動信号生成回路53内のDAC54から各ヘッド駆動回路38へ出力される駆動信号COMA,COMBの波形が調整される。
図6に示すように、ヘッド駆動回路38は、シフトレジスター61、ラッチ回路62、制御ロジック63、デコーダー64、レベルシフター65及びスイッチ回路66を備えている。印字データSI,SPは、吐出データSIと波形選択用の定義データSPとからなる。吐出データSIは、1画素(ドット)当たり2ビットで表されるドットデータ(HL)のうち上位ビットHのみをノズル数F(例えば360ノズル)分集めた上位ビットデータSIHと、下位ビットLのみをノズル数F分集めた下位ビットデータSILとにより構成される。定義データSPは、吐出データSI中の2ビットのビットデータ(HL)と、駆動信号COMA,COMB(図7参照)中の駆動パルスDP1〜DP4のうち選択される駆動パルスとの対応関係を示す所定ビット数(例えば4ビット)のデータである。また、吐出データSIを構成するF個(例えば360個)のドットデータ(HL)は、非吐出、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調を表す。
ヘッド制御ユニット51は、印字データSI,SPを1ノズル列分ずつヘッド駆動回路38へ転送し、その転送された印字データSI,SPは、シフトレジスター61に1ノズル列分ずつ順次入力される。駆動信号生成回路53からのラッチ信号LATはラッチ回路62に入力され、チャネル信号CHは制御ロジック63に入力される。また、駆動信号生成回路53からの駆動信号COMA,COMBは、スイッチ回路66に入力される。
シフトレジスター61には、1ノズル列に相当する例えば360ノズル分(360ビット)の印字データSI,SPが入力される。シフトレジスター61は不図示の第1シフトレジスター(第1SR)、第2シフトレジスター(第2SR)及び第3シフトレジスター(第3SR)を備える。第1SRには吐出データSIのうち上位ビットデータSIHが格納され、第2SRにはその下位ビットデータSILが格納される。また、第3SRには、定義データSPが格納される。
ラッチ回路62は、シフトレジスター61(第1SRと第2SR)からの吐出データSI(SIH,SIL)をLAT信号に基づき保持し、印刷周期のタイミングごとにそれまで保持していた吐出データSIをデコーダー64へ出力する。
制御ロジック63には、図9に示す翻訳ルールのテーブルが格納されている。吐出データSIの2ビットの階調情報(HL)は、非吐出(微振動)が「00」、小ドットが「01」、中ドットが「10」、大ドットが「11」となっている。これらの2ビットの階調情報(HL)と、第1〜第4駆動パルスDP1〜DP4のうち選択するべき駆動パルスとの対応関係を定義付けるのが定義データSPである。制御ロジック63は、定義データSPを翻訳して図9に示す真理値表データRDをデコーダー64へ送る。デコーダー64は、図9に示す真理値表データRDを参照し、吐出データSI(階調情報HL)に応じた図9に示すパルス選択情報を出力する。
デコーダー64は、吐出データSIを構成する360ノズル(1ノズル列)分の上位ビットSIHと下位ビットSILの各組み合わせからなる階調情報を基に、真理値表データRDを参照して、複数ビット(本例では4ビット)のパルス選択情報PSを360ノズル分出力する。
図9に示す例では、デコーダー64は、入力された吐出データSIが、「00」のときに第3駆動パルスDP3を選択する旨のパルス選択情報(0010)、「01」のときに第2駆動パルスDP2を選択する旨のパルス選択情報(0100)を、スイッチ回路66へ出力する。さらにデコーダー64は、入力された吐出データSIが、「10」のときに第4駆動パルスDP4を選択する旨のパルス選択情報(0001)、「11」のときに第1駆動パルスDP1を選択する旨のパルス選択情報(1000)を、スイッチ回路66へ出力する。4桁(4ビット)のパルス選択情報は、その上位ビットから下位ビットに向かう降順の順番に、レベルシフター65を介してスイッチ回路66へ入力される。4桁のパルス選択情報は、第1〜第4駆動パルスDP1〜DP4のそれぞれに対応しており、スイッチ回路66では、その値が「1」となった桁と対応する駆動パルスが選択される。
レベルシフター65は、電圧増幅器として機能し、ビット値が「1」の場合に、スイッチ回路66を駆動可能な例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。このスイッチ回路66の入力側には、駆動信号生成回路53からの駆動信号COMA,COMBが供給されており、スイッチ回路66の出力側には駆動素子42(圧電素子170)が接続されている。
スイッチ回路66は、COMA用とCOMB用との2段のスイッチとを備え、デコーダー64からレベルシフター65を介して入力するパルス選択情報PSに基づいて2段のスイッチのオン/オフを切り換えることで、第1〜第4駆動パルスDP1〜DP4のうち、吐出データSI(HL)に応じた駆動パルスを選択して駆動素子42に出力する。
例えば図8に示すように、吐出データSIが「11」の場合、デコーダー64からパルス選択情報(1000)(図9参照)がスイッチ回路66に入力され、スイッチ回路66からは大ドット用の第1駆動パルスDP1を含む駆動信号SLが出力される。また、吐出データSIが「10」の場合、パルス選択情報(0001)がスイッチ回路66に入力され、スイッチ回路66からは中ドット用の第4駆動パルスDP4を含む駆動信号SMが出力される。さらに吐出データSIが「01」の場合、パルス選択情報(0100)がスイッチ回路66に入力され、スイッチ回路66からは小ドット用の第2駆動パルスDP2を含む駆動信号SSが出力される。また、吐出データSIが「00」の場合、パルス選択情報(0010)がスイッチ回路66に入力され、スイッチ回路66からは微振動用の第3駆動パルスDP3を含む駆動信号SVが出力される。ここで、以下では、駆動信号SL,SM,SS,SVを駆動信号DSと総称する場合がある。スイッチ回路66から出力された駆動信号DSが駆動素子42に印加されることにより、その印加された駆動信号DS中の駆動パルスに応じた振動態様で駆動素子42が駆動され、非吐出(微振動)以外のときはノズル17aからその振動態様に応じたサイズのインク滴が吐出される。
次に、図10〜図12を参照して、吐出部Dのインク吐出動作について説明する。図10に示す状態において、吐出部Dが備える圧電素子170(図5参照)に対してヘッド駆動回路38(図6参照)から供給された駆動信号DS(図8参照)が印加されると、圧電素子170の電極171,172間に駆動信号DSに基づく電界に応じた歪みが発生し、吐出部Dの振動板175は図11における上方向へ撓む。これにより、図10に示す初期状態と比較して、図11に示すように、吐出部Dのキャビティー174の容積が拡大する。図11に示す状態において、駆動信号DSの示す電位を変化させると、振動板175はその弾性復元力によって復元し、図12に示すように、初期状態における振動板175の位置を越えて同図における下方向に移動し、キャビティー174の容積が急激に収縮する。このときキャビティー174内に発生する圧縮圧力により、キャビティー174を満たすインクの一部が、このキャビティー174に連通するノズル17aからインク滴として吐出される。
このとき、圧電素子170に図8に示す大ドット用の駆動信号SLが印加されると、振動板175が第1パルスDPaと第2パルスDPbに応じて2回振動し、ノズル17aから中サイズの液滴(インク滴)が2つ吐出される。そして、先に吐出された1つ目の液滴に、後から吐出された2つ目の液滴に追いつき、2つの液滴が媒体Pに着弾する前に空中で合体し、その合体した大サイズの液滴が媒体Pに着弾する。また、圧電素子170に図8に示す中ドット用の駆動信号SMが印加されると、振動板175が第4駆動パルスDP4に応じて1回振動し、ノズル17aから中サイズの液滴が1つ吐出される。さらに圧電素子170に図8に示す小ドット用の駆動信号SSが印加されると、振動板175が第2駆動パルスDP2に応じて1回振動し、ノズル17aから小サイズの液滴が1つ吐出される。また、圧電素子170に図8に示す微振動用の駆動信号SVが印加されると、振動板175が第3駆動パルスDP3に応じて1回振動し、ノズル17aからインクを吐出させない強さでノズル17a及びキャビティー174内のインクが振動する。
図13は、大ドットを印刷するときの液滴(インク滴)の飛翔の様子を示す。大ドットを印刷するときは、2つのパルスDPa,DPbを含む第1駆動パルスDP1(第1駆動波形)(図8参照)が駆動素子42に印加される。このため、図13に示すように、まず第1パルスDPaに基づく電圧が駆動素子42に印加されることで吐出部Dのノズル17aから先行の第1液滴La1が吐出され、この吐出時期に少し遅れて第2パルスDPbに基づく電圧が駆動素子42に印加されることで吐出部Dのノズル17aから後続の第2液滴Lb1が吐出される。両パルスDP1,DP2の波形形状の違いから、第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも第2液滴Lb1の吐出速度Vm2の方が高速となっている(Vm1<Vm2)。このため、第1液滴La1が媒体Pの表面の着弾位置PLに着弾するまでに、第2液滴Lb1が第1液滴La1に追いつき、両液滴La1,Lb1が着弾前に1つの液滴Lc1として合体する。この1つの大サイズの液滴Lc1が媒体Pに着弾した結果、所定速度で相対移動方向RMに相対移動する媒体Pの表面に大ドットLDが形成される。
ここで、液滴La1,Lb1の吐出速度Vm1,Vm2は、吐出ヘッド16の個体差、吐出ユニット及び吐出ヘッド16の取付け位置のばらつき、経年劣化などに応じてばらつく。しかし、本実施形態では、モード選択情報MSに従って調整部52により波形パラメーターが調整されることで、着弾前に1つの液滴Lc1に合体できる吐出速度Vm1,Vm2の関係を満たす駆動信号COMA,COMBの生成が可能である。このような条件を満たす駆動信号COMA,COMBがヘッド駆動回路38に入力されることで、吐出データ「11」のときにノズル17aから吐出された2つの液滴La1,Lb1が空中で合体した後に媒体Pに着弾することで、1つの大ドットLDが形成される。
ところで、図2及び図3に示す吐出ヘッド16間で吐出部D(図4参照)の吐出特性がばらつく場合がある。その原因としては、吐出ヘッド16の個体差、吐出ヘッド16の吐出ユニット本体への取付位置のばらつき、ノズル開口面16aの撥液処理膜(例えば撥水膜)の経年劣化、ワイピング時の摩耗等に起因するノズル17aの開口形状の経年劣化などが挙げられる。また、本例では、単位ヘッド部17のヘッド本体16bに対する取付位置のばらつきもその原因の1つになる。さらに媒体Pを搬送する搬送ベルト24を含む搬送系の取付位置の高さ方向のばらつきは、吐出ヘッド16と媒体Pとのギャップのばらつきをもたらすため、2つの液滴が合体できないまま着弾するドット割れの原因になる。このように吐出ヘッド16及び搬送系の初期ばらつき及び経年劣化等が、ドット割れの原因になる。特にプリンター11がラインプリンターである本例では、吐出ヘッド16と媒体Pとの相対移動速度(媒体搬送速度)が、シリアルプリンターに比べ高速であるため、吐出部Dの少しの吐出特性のばらつきが、印刷品質に大きく影響し易い。
特に本実施形態のプリンター11は、吐出ヘッド16のノズル17aから先に吐出させた先行の第1液滴(第1インク滴)と後から吐出させた後続の第2液滴(第2インク滴)とを対象物の一例である媒体Pに着弾する前に空中で合体させることで大きなドットを形成する技術を採用する。この大ドットの形成時において、吐出部Dの吐出特性のばらつきは、2つの液滴が合体することなく、あるいは不完全な合体のまま着弾する失敗吐出を招く。この場合、後続の液滴の吐出速度が低速過ぎると、先行の液滴に後続の液滴が着弾までに追いつくことができず2つの液滴が着弾したときに2つのドットが分離又は一部重なっただけのドット割れが発生する。
図14は、大ドットを印刷するときの2つの液滴(インク滴)が合体しない失敗吐出の様子を示す。吐出ヘッド16等のばらつきや経年劣化が原因で、2つの液滴が着弾するまでに合体できない場合がある。図14に示すように、先行の第1液滴La1の吐出速度Vm1に対して後続の第2液滴Lb1の吐出速度Vm2が遅かったり、後続の第2液滴Lb1の吐出速度Vm2に対して先行の第1液滴La1の吐出速度Vm1が速かったりした場合、後続の第2液滴Lb1が先行の第1液滴La1に追いつけないまま着弾する。この結果、図14に示すように、第1液滴La1と第2液滴Lb1とが相対移動方向RMに異なる位置に離れて媒体Pの表面に着弾し、大ドットLDが相対移動方向RMに2つのドット(中ドット)分離したり、2つのドットが相対移動方向RMにずれて重なったりする、ドット割れが発生する。
一方、ノズル開口面16aの撥液処理膜の経年劣化が原因で、ノズル17aから吐出される液滴の吐出経路がその吐出方向に対して曲がる(傾く)飛行曲がりが発生する場合がある。この種の飛行曲がりが発生すると、先行の液滴と後続の液滴が空中で合体できず、この場合も同様にドット割れを引き起こすことになる。
図15は、大ドットを印刷するときの2つの液滴(インク滴)が一方の液滴の飛行曲がり原因で合体しない失敗吐出の様子を示す。吐出ヘッド16の撥液処理膜の劣化やノズル17aの開口形状の劣化は、吐出される際のインク滴のノズル17aからの分離(切れ)が円滑に進みにくい。例えばノズル開口周縁部にその周方向の一部で液滴の分離抵抗が大きい箇所があると、ノズル17aから液滴がその分離抵抗の大きい側へ傾いて吐出され、これが原因で飛行曲がりが発生する。この種の飛行曲がりは、液滴の吐出速度が高速なほど液滴がノズル17aから分離しやすくなるので起こりにくく、液滴の吐出速度が低速なほど液滴がノズル17aから分離しにくくなるので起こりやすい。
図15に示すように、第1液滴La1が斜めに吐出された飛行曲がりが発生した後、後続の第2液滴Lb1が吐出方向(ノズル軸線方向)へ吐出されても、第1液滴La1が斜めに曲がった飛行経路(図15中の一点鎖線)を辿るため、両液滴が合体するタイミングで第1液滴La1が第2液滴Lb1の飛行経路から外れる。その結果、第2液滴Lb1が第1液滴La1と合体できなかったり、合体が不完全になったりする。不完全な合体とは、2つの液滴La1,Lb1がずれた状態で一部のみ合体し、その後、表面張力によって球形状に近づくが、球形状になり切らない異形状のまま着弾し、異形状なドットが形成される場合の合体などをいう。このように液滴の飛行曲がりが原因でも、ドット割れは発生する。つまり、大ドットを形成するはずの2つのドット(中ドット)が分離又は一部重複した状態でずれる、ドット割れが発生する。そのため、本実施形態では、この種のドット割れの原因となる吐出ヘッド16間での吐出部Dの吐出特性のばらつきを改善する対策を採用している。特に本例では、ヘッドコントローラー36が単位ヘッド部17ごとに吐出制御できることから、単位ヘッド部17ごとに吐出制御を実施する。
ここで、第1動作モードは、少なくとも大ドット用の駆動信号COMAの波形が、適切な液滴(インク滴)の吐出が可能に設計された波形パラメーターが設定されたモードである。例えば第1駆動パルスDP1が圧電素子170に印加される際において、第1パルスDPaの印加による圧電素子170の振動の直後は、圧電素子170及びキャビティー174内のインクに残留振動が残り、その残留振動が適度に収束しないうちに次の第2パルスDPbを圧電素子170に印加すると、第2液滴Lb1の適切な吐出を妨げる虞がある。そのため、第1動作モードの駆動信号COMAの波形は、この種の残留振動による影響も考慮されて適切な吐出が可能に各種の波形パラメーターが設計されている。第1動作モードは、予め設計された波形パラメーターがデフォルトで設定された標準動作モードとして初期設定されている。
ところで、吐出ヘッド16の製造ばらつき、吐出ヘッド16の組み付けばらつき、吐出ヘッド16と媒体Pとの間隔(ギャップ)のばらつきや、吐出ヘッド16の経年劣化などが原因で、予め設計された標準的な第1動作モードであっても、適切な液滴の吐出ができない場合が起こりうる。例えば大ドット形成時において、先行の液滴と後続の液滴との間に過剰に長い時間間隔が生じたり、先行の液滴の吐出速度が高速側にばらついたり、後続の液滴の吐出速度が低速側にばらついたりすると、先行の液滴と後続の液滴とが着弾する前に空中で合体できなかったり不完全な合体となる失敗吐出が発生する場合がある。この場合、媒体Pには、先行の液滴と後続の液滴とが分かれて着弾して2つのドットに分離した状態、又は2つのドットが一部重なっただけのドット割れが発生する。
そのため、本実施形態では、この種のドット割れを無くして正常吐出となるように、第1動作モードとは駆動信号の波形形状の異なる第2動作モードを用意している。つまり、第2動作モードは、第1動作モードでは正常吐出ができない状況(例えばドット割れ)が発生した場合に、第1動作モードから切り換えて使用されるモードである。
また、吐出ヘッド16のノズル17aの開口形状のばらつき、ノズル開口面16aの処理層の経年劣化、ノズル開口形状の経年劣化などが原因で、ノズル17aから吐出される液滴の飛行経路が吐出方向に対して曲がる(傾く)飛行曲がりが発生する場合がある。この種の飛行曲がりが例えば先行の液滴に発生すると、吐出方向に対して経路を外れた先行の液滴に、吐出方向に吐出された後続の液滴が合体できなくなる失敗吐出が発生する場合がある。
そのため、本実施形態では、この種の飛行曲がりを抑制した正常吐出となるように、第1動作モードとは駆動信号の波形形状の異なる第2動作モードを用意している。つまり、第2動作モードは、第1動作モードでは正常吐出ができない状況(例えば飛行曲がり)が発生した場合に、第1動作モードから切り換えて使用されるモードである。
本実施形態では、第1〜第4ヘッドコントローラー部37A〜37D内の調整部52は、ノズル列ごとの単位ヘッド部17の吐出制御を行うことで、ドット割れを発生させない吐出特性となるようノズル列単位で吐出部Dの吐出特性を調整する。
図16は、後続の液滴が先行の液滴に追いつけないことが原因で起こるドット割れ(図14参照)を抑制する対策を施した場合における液滴の飛行の様子を示す。図16に示すように、先行の第3液滴La2に空中で追いついて合体できるように後続の第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を速くするこの方法を第1調整方法と呼ぶ。この第1調整方法によれば、図16に示すように、第3液滴La2が着弾する前に第4液滴Lb2が第3液滴La2に追いついて合体できるので、媒体Pに適切な形状(略円形状)の大ドットを形成できる。
なお、図16のように、第4液滴Lb2が第3液滴La2に追いつくためには、第3液滴La2の吐出速度Vm3を遅くする第2調整方法でもよいし、第3液滴La2の吐出速度Vm3を遅くしかつ第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を速くする第3調整方法でもよい。
図17及び図18は、先行の液滴が飛行曲がりのため、後続の液滴が先行の液滴に合体できないことが原因で起こるドット割れ(図15参照)を抑制する対策を説明する液滴の飛行の様子を示す。図17に示すように、先行の第3液滴La2を飛行曲がりが起こらない程度に高速の吐出速度Vm3(Vm1<Vm3<Vm4)で吐出方向に吐出させることで、後続の第4液滴Lb2を第3液滴La2に合体させる。この方法を第4調整方法と呼ぶ。この第4調整方法によれば、図17に示すように、先行の第3液滴La2が着弾する前に後続の第4液滴Lb2が第3液滴La2と合体できるので、搬送中の媒体Pに適切な形状(略円形状)の大ドットを形成できる。
また、図18に示すように、先行の第3液滴La2が飛行曲がりのため吐出方向から外れた斜めの方向に吐出されても、後続の第4液滴Lb2の吐出速度を高速に調整することで、斜めに吐出された第3液滴La2が正常な吐出方向に対して大きく外れないうちに、第4液滴Lb2が第3液滴La2に追いついて合体する。この方法を第5調整方法と呼ぶ。この第5調整方法によれば、図18に示すように、第3液滴La2が吐出した後、相対的に早期に第4液滴Lb2が第3液滴La2と合体し、その合体した大サイズの液滴Lc2が媒体P上に着弾するので、搬送中の媒体Pに適切な形状(略円形状)の大ドットを形成できる。
図19は、ドット割れの有無を検出する際に行われるテスト印刷の印刷結果をスキャナー装置18で読み取った画像を示す。テスト印刷では図19に示すテストパターンTP1が印刷され、この印刷結果が読み取られて同図の画像が得られる。ドット割れの有無は、次のように判定される。まず第1動作モードの下でテストパターンTP1を印刷するテスト印刷を行う。テスト印刷では、全てのノズル17aについて液滴を吐出させるか、ノズル列ごとに代表的な1個又は複数個のノズル17aについて液滴を吐出させるかする。なお、図19では、1つの吐出ヘッド16につきノズル1列分のドットのみ図示するが、実際には全ノズル列(つまり全単位ヘッド部17)分のドットが形成される。
テスト印刷は次のように行われる。制御部30は、テスト用の印刷データPDに基づきノズル列ごとの吐出部Dにノズル17aから液滴を吐出させ、吐出した液滴を媒体P上に着弾させることで、ドット群からなるテストパターンTP1を印刷する。このテスト印刷では、第1動作モードが選択される。このため、制御部30から第1動作モードを指示するモード選択情報を受け付けた駆動信号生成回路53は、予め設定されたデフォルト(初期設定)の波形パラメーターを用いて第1動作モードの駆動信号COMA,COMBを生成してヘッド駆動回路38へ出力する。
各吐出ヘッド161〜168では、第1動作モードの駆動信号COMA,COMBを受けた駆動素子42が例えば電歪作用による変形によってノズル17aから液滴を吐出することで、その吐出された液滴が媒体Pに着弾してドットが形成されることにより、テストパターンTP1が印刷される。吐出特性は吐出ヘッド161〜168間で異なるので、吐出ヘッド16ごとに正常吐出か失敗吐出かが決まる。図19の例では、吐出ヘッド161,168が正常吐出をした結果、正常なドットDnが形成される。一方、吐出ヘッド163が図14に示すような第1液滴と第2液滴との吐出速度の不適切さがが原因で、空中で合体できない失敗吐出をした結果、2つの中ドットが相対移動方向RMにずれたドット割れのドットDf1が形成される。また、図19の例では、吐出ヘッド166が図15に示すような飛行曲がりに起因する失敗吐出をした結果、2つの中ドットが相対移動方向RMと交差する斜め方向にずれてドット割れした異形状のドットDf2が形成される。
媒体Pに印刷されたテストパターンTP1は、制御部30の指示でスキャナー装置18により読み取られる。制御部30はスキャナー装置18からテスト印刷結果の読取画像データを取得する。さらに制御部30は、この読取画像データについて画像解析を行うことで、テスト印刷結果からドット割れの有無を判定し、その判定結果に基づきそのドット割れを発生させた吐出ヘッド16及び単位ヘッド部17を検出する。詳しくは、制御部30は、ドット割れを構成する2つのドットの中心を割り出し、割り出した2つの中心を結ぶ方向(ずれ方向)及び中心間の距離(ずれ量)を求め、そのずれ方向及びずれ量に基づき、そのドット割れを無くす駆動信号COMA,COMBの波形形状を形成しうる波形パラメーターに調整する。
ここで、ドット割れが検出された場合、制御部30は、デフォルトの波形パラメーターが設定された第1動作モードから、デフォルトと異なる波形パラメーターが設定される第2動作モードに変更する。このとき、制御部30は、デフォルトの波形パラメーターのうち少なくとも1つを変更することで、第1動作モードから第2動作モードへ切り換える。なお、ここでいう第2動作モードとは、デフォルトの波形パラメーターと異なる波形パラメーターが設定される動作モードを指し、波形パラメーターの調整されうる数の組合せ分の数だけ第2動作モードの種類がある。
そのため、制御部30は、ドット割れを検出した場合、そのドット割れを形成したノズル17aが属する単位ヘッド部17に供給される駆動信号COMAを規定する波形パラメーターを調整する。このように波形パラメーターを調整することにより、制御部30は、解析した失敗吐出の原因別に例えば第1〜第5調整方法のうちその原因に応じた1つの調整方法を選択する。なお、制御部30には、第1〜第5調整方法以外の他の調整方法も用意されている。
ここで、第1動作モードは、第2液滴Lb1が第1液滴La1に追いつけることを前提に設計されており、Vm1<Vm2の速度条件を満たす。また、第2動作モードは、第4液滴Lb2が第3液滴La2に追いつける調整を行うモードなので、Vm3<Vm4の速度条件を満たす。但し、吐出速度Vm1,Vm2及び吐出速度Vm3,Vm4は、吐出開始時点の初速から飛行中の空気抵抗を受けて徐々に遅くなる。このため、飛行中の吐出速度は位置を無視して比較はできないが、ノズル17aから吐出方向(ノズル軸線方向)に同じ距離の位置で比較すれば、Vm1<Vm2と、Vm3<Vm4との速度条件は成立する。
また、第1動作モードと第2動作モードで形成される各大ドットは同じサイズである必要があるため、第1動作モードにおける第1液滴La1の重量w1と第2液滴Lb1の重量w2との和と、第2動作モードにおける第3液滴La2の重量w3と第4液滴Lb2の重量w4との和とを同じにする。そのため、w1+w2=w3+w4の重量条件が成立するように調整する。但し、重量条件については、大ドットとみなしうる重量範囲内で多少変動することは許容される。例えば大ドットとみなしうる最大変動幅を±α(但しαは正の実数(α>0))、大ドットの理想重量をWLとすると、WL−α以上かつWL+α以下の重量範囲であれば大ドットを形成できる。よって、重量w1,w2の和と、重量w3,w4の和が、以下の (1)式及び(2)式を満たすことが、同じドットサイズ(本例では大ドットサイズ)に属する重量条件となる。
WL−α≦w1+w2≦WL+α …(1)
WL−α≦w3+w4≦WL+α …(2)
本実施形態では、上記(1)式及び(2)式で示される重量条件が成立すれば、第1動作モードにおける第1液滴La1の重量w1と第2液滴Lb1の重量w2との和と、第2動作モードにおける第3液滴La2の重量w3と第4液滴Lb2の重量w4との和とが同じであるものとみなす。なお、αは、中ドットと大ドットとのサイズ比率又は重量比率から決まる値である。例えばαは、大ドット径と中ドット径の差の1/5以下の寸法、あるいは大ドットの重量WLと中ドットの重量WMとの差(WL−WM)の1/5以下の重量を、変動幅とすることが好ましい。例えばαは、大ドットの液滴重量WLの10%以下の値が好ましい。もちろん、このように規定されるα値に限定されず、第1動作モードで大ドットの形成に使用される第1液滴La1と第2液滴Lb1との各重量w1,w2の和と、第2動作モードで大ドットの形成に使用される第3液滴La2と第4液滴Lb2との各重量w3,w4の和とが、共に大ドットが属する重量範囲内に属すればよい。また、大ドットと小ドットとがあるのみで中ドットがない3階調の場合、中ドットを小ドットに置き換えて上記の考え方に基づいてαを定めればよい。なお、最大変動幅αを零とし(α=0)、第1動作モードでドットの形成に使用される第1液滴La1と第2液滴Lb1との各重量w1,w2の和と、第2動作モードでドットの形成に使用される第3液滴La2と第4液滴Lb2との各重量w3,w4の和とを同じにすることが好ましい(w1+w2=w3+w4)。
WL−α≦w1+w2≦WL+α …(1)
WL−α≦w3+w4≦WL+α …(2)
本実施形態では、上記(1)式及び(2)式で示される重量条件が成立すれば、第1動作モードにおける第1液滴La1の重量w1と第2液滴Lb1の重量w2との和と、第2動作モードにおける第3液滴La2の重量w3と第4液滴Lb2の重量w4との和とが同じであるものとみなす。なお、αは、中ドットと大ドットとのサイズ比率又は重量比率から決まる値である。例えばαは、大ドット径と中ドット径の差の1/5以下の寸法、あるいは大ドットの重量WLと中ドットの重量WMとの差(WL−WM)の1/5以下の重量を、変動幅とすることが好ましい。例えばαは、大ドットの液滴重量WLの10%以下の値が好ましい。もちろん、このように規定されるα値に限定されず、第1動作モードで大ドットの形成に使用される第1液滴La1と第2液滴Lb1との各重量w1,w2の和と、第2動作モードで大ドットの形成に使用される第3液滴La2と第4液滴Lb2との各重量w3,w4の和とが、共に大ドットが属する重量範囲内に属すればよい。また、大ドットと小ドットとがあるのみで中ドットがない3階調の場合、中ドットを小ドットに置き換えて上記の考え方に基づいてαを定めればよい。なお、最大変動幅αを零とし(α=0)、第1動作モードでドットの形成に使用される第1液滴La1と第2液滴Lb1との各重量w1,w2の和と、第2動作モードでドットの形成に使用される第3液滴La2と第4液滴Lb2との各重量w3,w4の和とを同じにすることが好ましい(w1+w2=w3+w4)。
図20及び図21は、制御部30が報知部の一例としての表示部14(図23参照)に表示させるテスト印刷解析結果を示す設定画面である。図20は、2つの液滴の着弾前の合体が間に合わないことを原因とするドット割れが検出されたときの設定画面71であり、図21は、液滴の飛行曲がりが原因でドット割れが検出されたときの設定画面72である。
図20に示す設定画面71は、飛行曲がり以外を原因とするドット割れが検出された場合の例であり、駆動信号COMの調整対象とされる吐出ヘッドの情報と、制御部30の解析結果に基づき推奨される吐出動作モード(図20の例では「第2動作モード」)とが表示される。第2動作モードは、波形パラメーターをデフォルト値から調整可能に用意されたモードであり、制御部30は、解析結果に応じた適切な波形パラメーターを求める。設定画面71には、推奨される吐出動作モードの表示領域の隣に詳細ボタン73が用意されている。ユーザーが詳細ボタン73を選択操作すると、制御部30が解析結果に基づき算出した波形パラメーターの詳細な値を含む詳細情報が別画面に表示される。ユーザーは推奨された吐出動作モードへの変更を希望する場合、操作部13(図23参照)を操作して設定ボタン74を選択する。制御部30は、操作部13から設定ボタン74を選択した旨の操作信号を入力すると、第1動作モードから第2動作モードへ設定を変更する。
図21に示す設定画面72は、液滴の飛行曲がりを原因とするドット割れが検出された場合の例であり、駆動信号COMの調整対象とされる吐出ヘッドの情報と、制御部30の解析結果に基づき推奨される吐出動作モード(図20の例では「第2動作モード」)とが表示される。制御部30は、解析結果に応じた適切な波形パラメーターを求める。図20の設定画面71の場合と同様に、ユーザーが、推奨される吐出動作モードの表示領域の隣に用意された詳細ボタン73を選択操作すると、波形パラメーターの詳細な値を含む詳細情報が別画面に表示される。ユーザーは推奨された吐出動作モードへの変更を希望する場合、操作部13を操作して設定ボタン74を選択する。制御部30は、操作部13から設定ボタン74を選択した旨の操作信号を入力すると、第1動作モードから第2動作モードへ設定を変更する。なお、設定画面71,72の表示及びユーザーによる設定ボタン74の選択操作は、ホスト装置100のモニター102及び入力装置103を用いて行われる構成でもよい。
また、図22に示すように、吐出ヘッド16(又は単位ヘッド部17)のノズル開口面16aと媒体Pとの間隔であるギャップが、第1ギャップG1のときには第1動作モードが設定され、第1ギャップG1よりも小さな第2ギャップG2のときに第2動作モードが設定される。例えば複数の吐出ヘッド16を有する吐出ユニット15は、ギャップ調整機構を構成する動力源の動力によりスライド機構(いずれも図示せず)を介して昇降可能に設けられている。制御部30は、ギャップ調整機構の動力源の動力伝達経路上に配置された回転軸の回転を検出可能なエンコーダー(いずれも図示略)の出力パルスの数を計数ことで、動力源を制御して吐出ヘッド16を目標高さに調整する。このとき制御部30は、媒体Pの種類情報(例えば紙種情報)から決まる必要なギャップが得られる高さを目標高さとする。ギャップは、媒体Pの種類情報に応じて媒体厚が相対的に薄い媒体よりも厚い媒体の方が大きな値に設定される。例えば媒体Pが用紙の場合、ギャップは普通紙よりも厚紙の方が大きな値に設定される。
そして、制御部30は、吐出ヘッド16と媒体Pとのギャップが閾値G0を超えるギャップG1(>G0)であれば、第1動作モードを設定するが、閾値G0以下のギャップG2(≦G0)であれば、第2動作モードを設定する。ここで、第1動作モードでは標準的なギャップの場合でも、第1液滴と第2液滴とが着弾前に合体する駆動信号COMに設計されている。これに対して、吐出ヘッド16の組付けばらつきを含む種々のばらつきや経年劣化などが原因で、標準的なギャップを下回った小さなギャップで印刷が行われる場合がある。この場合、第1動作モードの駆動信号COMを使用して駆動素子42に駆動パルスを印加した際に、そのとき吐出された後続の第2液滴が先行の第1液滴に追いつくために必要な飛行距離が不足し、2つの液滴が合体できずにドット割れを起こす虞がある。そのため、本実施形態では、閾値G0以下のギャップG2であるときには、制御部30は、そのときのギャップG2に応じて波形パラメーターを調整することで第2動作モードを設定する。このように本実施形態では、ギャップに応じても吐出動作モードが変更される。
なお、吐出ヘッド16と媒体支持面(図1の例では搬送ベルト面)との間隔のばらつきが原因で、第1動作モードで想定されているギャップが正規の値の範囲よりも小さい側に変動した場合、第1動作モードから第2動作モードに設定が変更される。この場合、メンテナンス作業者がギャップを測定した値を入力すると、制御部30が、その入力したギャップ測定値を基に第2動作モードの波形パラメーターを計算し、計算した波形パラメーターと共に第2動作モードを設定する。
次に図23を参照して制御部30及び調整部52の電気的な構成を説明する。図23に示すように、プリンター11は制御部30と電気的に接続された操作部13と表示部14とを備える。制御部30は、スキャナー装置18からテスト印刷結果を読み取った読取画像データを入力すると、その読取画像データを解析してドット割れを検出する検出部81を有する。つまり、検出部81は、ドット割れを引き起こす失敗吐出を検出する。このとき、検出部81は、ドット割れの方向及びずれ量に基づき原因を解析し、原因別にドット割れを検出する。また、ドット割れを検出した場合、それがノズル列に属する一部のノズルの問題であるのか、ノズル列全体に係る吐出特性に原因があるか否かも検出する。一部のノズルの問題とは、例えばノズル17a内の増粘インクや紙粉の付着、インク中の気泡などに起因する吐出不良が原因で起こったドット割れが挙げられる。この場合、例えばノズルクリーニングを行えば問題は解消される可能性が高い。一方、ノズル列全体に係る吐出特性に原因がある場合は、吐出特性を規定する駆動信号COMの波形形状を調整すれば、そのノズル列全体の吐出性能が改善され、例えばドット割れが解消される。
設定部82は、ドット割れが検出され、かつそれがノズル列全体に係る吐出特性に原因があると検出された場合、デフォルトの第1動作モードに対して波形パラメーターの少なくとも一部を変更した第2動作モードを設定する。このとき、設定部82は、検出部81が検出したドット割れを構成する2つのドットの中心間を結ぶずれ方向と中心間距離(ずれ量)とを画像解析により取得した検出結果データに基づいて、ドット割れが防止されうるように波形パラメーターを調整する。また、設定部82は、第2動作モードへの変更が必要な場合、表示部14に設定画面71(図20)又は設定画面72(図21)を表示させる表示処理を行う。さらに設定部82は、表示処理の後、ユーザーから操作部13の操作による第2動作モードへの設定の変更の要否を受け付ける受付処理と、設定変更の旨を受け付けたときに第1動作モードから第2動作モードへ設定を変更する設定処理とを行う。そして、第2動作モードへの設定を終えた設定部82は、以後、制御部30が印刷の指示を受け付けたときに、データコントローラー35を介して各ヘッドコントローラー部37A〜37D内の調整部52へモード選択情報MSを転送する。モード選択情報MSには、調整するべき波形パラメーターに関する情報が含まれる。
なお、モード選択情報MSは、印刷ジョブごとに転送してもよいし、一度転送して設定した後は、電源が遮断されるまではその設定を維持し、次回電源が投入されたときに改めてモード選択情報MSを転送する構成としてもよい。また、プリンター11が複数の印刷モードを備える場合、印刷モードごとに吐出動作モードを設定しそのモード選択情報MSを転送する構成でもよいし、特定の印刷モードのみ吐出動作モードを設定しそのモード選択情報MSを転送する構成としてもよい。
また、図23に示す調整部52は、入力したモード選択情報MSを基に波形パラメーターを調整してその調整した波形パラメーターを指示する波形指示情報WSを駆動信号生成回路53(図6参照)へ出力する。調整部52は、第1動作モードを選択する旨のモード選択情報MSである場合、標準波形指示部91を起動し、デフォルトの第1動作モードで規定される波形パラメーターを指定する波形指示情報WSを駆動信号生成回路53に出力する。調整部52は、波形指示情報WSの出力によって、駆動信号生成回路53に対して、指定された波形パラメーターでの駆動信号の生成を指示する。
また、調整部52は、第2動作モード用の波形パラメーターを指定するために第1調整指示部92、第2調整指示部93及び第3調整指示部94を備える。第1調整指示部92は、第1液滴と第2液滴との間隔時間Tを調整して指示する。また、第2調整指示部93は、吐出するときに印加される駆動パルスDPの電位変化の変化量Eを調整して指示する。さらに第3調整指示部94は、駆動パルスDPの電位変化に要する時間tを調整する。この電位変化に要する時間tは、駆動パルスDPの吐出時の電位変化の傾きPw(勾配)を規定するものである。つまり、第3調整指示部94は、駆動パルスDPの電位変化の時間tに対する傾きPwを調整する波形パラメーターの1つとして使用される。つまり、波形パラメーターには、間隔時間Tと、駆動パルスの吐出期間における電位変化量Eと、駆動パルスの吐出期間における電位変化の傾きPwを規定する時間t(以下、「電位変化所要時間t」ともいう。)との3種類がある。
次に図24〜図37を参照して、駆動信号生成回路53が調整部52からの波形指示情報WS中の波形パラメーターに基づき生成する第2動作モードにおける駆動信号COMAについて説明する。なお、ここでは、大ドットのドット割れを対策するので、大ドットを形成する際に使用される駆動信号COMAについて説明する。
まず図24を参照して、駆動信号を示しつつ3種の波形パラメーターについて説明する。なお、図24に示すように、第1動作モードと第2動作モードとで、第1駆動パルスDP1における第1パルスDPaと第2パルスDPbとを、区別のため、以下の説明では、別の名称で呼ぶ場合がある。すなわち、第1動作モードにおける第1パルスDPaを駆動パルスP1と称し、第2パルスDPbを駆動パルスP2と称する。また、第2動作モードにおける第1パルスDPaを駆動パルスP3と称し、第2パルスDPbを駆動パルスP4と称する。
図24の上段に示すように、第1動作モードの駆動信号COMAでは、駆動パルスP1について、電位変化量E1、電位変化所要時間t1とし、駆動パルスP2について、電位変化量E2、電位変化所要時間t2とし、さらに駆動パルスP1と駆動パルスP2との間隔を間隔時間T1とする。また、図24の下段に示す第2動作モードの駆動信号COMAでは、1つ目の駆動パルスP3について、電位変化量E3、電位変化所要時間t3とし、2つ目の駆動パルスP4について、電位変化量E4、電位変化所要時間t4とし、さらに駆動パルスP3と駆動パルスP4のとの間隔を間隔時間T2とする。
ここで、駆動パルスP1の傾きPw1で規定される吐出期間(電位変化期間)の始点時刻から、駆動パルスP2の傾きPw2で規定される吐出期間の始点時刻までの時間を間隔時間としてもよい。また、駆動パルスP1の傾きPw1で規定される吐出期間の終点時刻から、駆動パルスP2の傾きPw2で規定される吐出期間の始点時刻までの時間を間隔時間としてもよい。さらに駆動パルスP1の終点時刻から、駆動パルスP2の傾きPw2で規定される吐出期間の始点時刻までの時間を間隔時間としてもよい。これらはいずれも、間隔時間を規定する波形パラメーターとなりうる。
そして、本実施形態では、図24の上段に示された第1動作モードの駆動信号COMAを規定する5つの波形パラメーターである、間隔時間T1、電位変化量E1,E2、傾きPw1,Pw2を規定する電位変化所要時間t1,t2のうち少なくとも1つを変更する調整を行うことで、第2動作モードを設定する。
以下、図25〜図37を参照して第2動作モードを規定する波形パラメーターの調整の仕方を説明する。なお、各図において上段は第1動作モードの駆動信号COMAを示し、下段は第2動作モードの駆動信号COMAを示す。各図において上段の第1動作モードの駆動信号COMAは、図24の上段に示されたものと同じ波形であり、第2動作モードにおけるどの波形パラメーターが調整されたかを分かり易くする比較のために描かれている。
まず図25では、ドット割れを発生しにくくするために、第3液滴La2の吐出から第4液滴Lb2を吐出するまでの期間を、第1液滴La1の吐出から第2液滴Lb1を吐出するまでの期間よりも短くする。つまり、第2動作モード時の第3液滴La2と第4液滴Lb2との間隔時間T2を、第1動作モード時の第1液滴La1と第2液滴Lb1との間隔時間T1よりも短く調整する(T1>T2)。この調整により第2動作モードにおいて、第3液滴La2と第4液滴Lb2との間隔時間T2が短くなることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。なお、本実施形態では、間隔時間T1が、第1液滴の吐出から第2液滴を吐出するまでの期間の一例に相当し、間隔時間T2が、第3液滴La2の吐出から第4液滴Lb2を吐出するまでの期間の一例に相当する。この点は、以下の図30、図31、図32、図36及び図37においても同様である。
また、図26では、ドット割れを発生しにくくするために、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を高速に調整する。そのために、第4電位変化に要する期間を、第2電位変化に要する期間よりも短くする。これにより、2つ目の駆動パルスP4の吐出期間における電位変化の傾きPwを大きく調整する。特に本例では、2つ目の駆動パルスP4の傾きPw4を規定する電位変化所要時間t4を、傾きPw2を規定する電位変化所要時間t2よりも短く調整する(t2>t4)。この調整により、図26に示すように、2つ目の駆動パルスP4の吐出期間における電位変化の傾きPw4を、第1動作モード時の傾きPw2よりも大きく調整する(Pw2<Pw4)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4が、第1動作モード時の第2液滴Lb1の吐出速度Vm2よりも高速になることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。なお、本実施形態では、電位変化所要時間t2が、第2電位変化に要する期間の一例に相当し、電位変化所要時間t4が、第4電位変化に要する期間の一例に相当する。この点は、以下の図31及び図32においても同様である。
また、図27では、ドット割れを発生しにくくするために、第3液滴La2の吐出速度Vm3を低速に調整する。そのために1つ目の駆動パルスの吐出期間における電位変化の傾きPwを調整する。すなわち、1つ目の駆動パルスP3の傾きPw3を規定する電位変化所要時間t3を、第1動作モード時の傾きPw1を規定する電位変化所要時間t1よりも長く調整する(t1<t3)。この調整により、図27に示すように、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化の傾きPw3を、第1動作モード時の1つ目の駆動パルスP1の吐出期間における電位変化の傾きPw1よりも小さく調整する(Pw1>Pw3)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも低速になることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。なお、本実施形態では、電位変化所要時間t1が、第1電位変化に要する期間の一例に相当し、電位変化所要時間t3が、第3電位変化に要する期間の一例に相当する。この点は、以下の図30、図32、図34〜図37においても同様である。
さらに図28では、ドット割れを発生しにくくするために、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を高速に調整する。そのために2つ目の駆動パルスP4の吐出期間における電位変化量E4を、第1動作モード時の電位変化量E2よりも大きく調整する(E2<E4)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4が、第1動作モード時の第2液滴Lb1の吐出速度Vm2よりも高速になることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。なお、本実施形態では、電位変化量E2が、第2電位変化の変化量の一例に相当し、電位変化量E4が、第4電位変化の変化量の一例に相当する。この点は、以下の図31、図32においても同様である。
また、図29では、ドット割れを発生しにくくするために、第3液滴La2の吐出速度を低速に調整する。そのために1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3を、第1動作モード時の電位変化量E1よりも小さく調整する(E1>E3)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも低速になることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。なお、本実施形態では、電位変化量E1が、第1電位変化の変化量の一例に相当し、電位変化量E3が、第3電位変化の変化量の一例に相当する。この点は、以下の図30、図32、図33、図35〜図37においても同様である。
また、図30では、ドット割れを発生しにくくするために、複数の波形パラメーターを調整する。図30の例では、第3液滴La2の吐出速度Vm3を低速に調整するとともに間隔時間T2を短く調整する。そのために1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3を、第1動作モード時の電位変化量E1よりも小さく調整する(E1>E3)。また、1つ目の駆動パルスP3の傾きPw3を規定する電位変化所要時間t3を、第1動作モード時の傾きPw1を規定する電位変化所要時間t1よりも長く調整することにより(t1<t3)、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化の傾きPw3を、第1動作モード時の傾きPw1よりも小さく調整する(Pw1>Pw3)。さらに間隔時間T2を間隔時間T1よりも短く調整する(T1>T2)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも低速になることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。
図31では、図30と同様に複数の波形パラメーターを調整するが、第3液滴La2の吐出速度を低速に調整した図30の例とは逆に、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を高速に調整する。図31の例では、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を高速に調整するとともに間隔時間T2を短く調整する。そのために2つ目の駆動パルスP4の吐出期間における電位変化量E4を、第1動作モード時の電位変化量E2よりも大きく調整する(E2<E4)。また、2つ目の駆動パルスP4の傾きPw4を規定する電位変化所要時間t4を、第1動作モード時の傾きPw2を規定する電位変化所要時間t2よりも短く調整することにより(t2>t4)、2つ目の駆動パルスP4の吐出期間における電位変化の傾きPw4を、第1動作モード時の傾きPw2よりも大きく調整する(Pw2<Pw4)。さらに間隔時間T2を間隔時間T1よりも短く調整する(T1>T2)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4が、第1動作モード時の第2液滴Lb1の吐出速度Vm2よりも高速になることで、第4液滴Lb2が第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図16参照)。なお、図30及び図31において、間隔時間T2を調整しない実施(T1=T2)も可能である。
また、図32では、全て(この例では5つ)の波形パラメーターを調整することで、第3液滴La2の吐出速度Vm3を低速に調整するとともに、第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を高速に調整し、さらに第3液滴La2と第4液滴Lb2との間隔時間T2を短く調整する。すなわち、1つ目の駆動パルスP3について、電位変化量E3を小さく調整し(E1>E3)、電位変化所要時間t3を長く調整することで傾きPw3を小さく調整する(t1<t3,Pw1>Pw3)。また、2つ目の駆動パルスP4について、電位変化量E4を大きく調整し(E2<E4)、電位変化所要時間t4を短く調整することで傾きPw4を大きく調整する(t2>t4,Pw2<Pw4)。さらに間隔時間T2を間隔時間T1よりも短く調整する(T1>T2)。なお、図32において、間隔時間T2を調整しない実施(T1=T2)や、傾きPw3,Pw4のうち少なくとも一方を調整しない実施(Pw1=Pw3、Pw2=Pw4、Pw1=Pw3かつPw2=Pw4)、さらに電位変化量E3,E4のうち少なくとも一方を調整しない実施(E1=E3、E2=E4、E1=E3かつE2=E4)も可能である。
また、飛行曲がりが原因で発生するドット割れの場合、図18に示すように、飛行曲がりの第3液滴La2がノズル17aの軸線方向に対して大きく外れないうちに第4液滴Lb2を第3液滴La2に合体させる。そのため、第3液滴La2を低速に調整するか、第4液滴Lb2を高速に調整する。この場合、図25〜図32を用いて上述した調整方法を使用すればよい。
これに対して、図17に示すように、第3液滴La2の飛行曲がりを抑制するため、図33〜図37に示す以下の調整方法を採用して、第3液滴La2の吐出速度Vm3を高速に調整する。
図33では、飛行曲がりに起因するドット割れを抑制するべく、第3液滴La2の吐出速度Vm3を高速に調整するために、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3を、第1動作モード時の電位変化量E1よりも大きく調整する(E1<E3)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも高速になることで、第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなる。第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなるため、第4液滴Lb2が第3液滴La2に合体でき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図17参照)。
ここで、飛行曲がりの原因としては、ノズル17aの開口形状のばらつきや劣化、ノズル開口面16aにおけるノズル17aの開口近傍部分の劣化が挙げられる。後者の劣化には、ノズル開口面16aに施されている不図示の撥液膜の劣化が含まれる。このようにノズル開口形状のばらつきや劣化、撥液膜のばらつきや劣化が存在すると、ノズル17aの開口の周方向において液滴がノズルから分離されるときに液滴がノズル開口から受ける抵抗力が偏ることになる。そのため、大きな抵抗力を受けた部分で液滴の切れが悪くなり、大きな抵抗力を受けた側へ傾いて吐出される。そのため、ノズル開口の周方向の抵抗力を受けてもノズル軸線方向に吐出できるだけの吐出力を付与すればよく、そのために第4液滴Lb2の吐出速度Vm4を高速に調整する。但し、電位変化量E3は、第4液滴Lb2が第3液滴La2に着弾前に合体できる範囲内で大きく調整する。
また、図34では、飛行曲がりに起因するドット割れを抑制するべく、第3液滴La2の吐出速度Vm3を高速に調整するために、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化の傾きPwを調整する。すなわち、1つ目の駆動パルスP3の傾きPw3を規定する電位変化所要時間t3を、第1動作モード時の傾きPw1を規定する電位変化所要時間t1よりも短く調整する(t1>t3)。この調整により、図34に示すように、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化の傾きPw3を、第1動作モード時の傾きPw1よりも大きく調整する(Pw1<Pw3)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも高速になることで、第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなる。第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなるため、第4液滴Lb2が第3液滴La2に合体でき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図17参照)。
また、図35では、飛行曲がりに起因するドット割れを抑制するべく、第3液滴La2の吐出速度Vm3を高速に調整するために、複数の波形パラメーターを調整する。詳しくは、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量Eと電位変化の傾きPwとを調整する。すなわち、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3を、第1動作モード時の電位変化量E1よりも大きく調整し(E1<E3)、さらに1つ目の駆動パルスP3の傾きPw3を規定する電位変化所要時間t3を、第1動作モード時の傾きPw1を規定する電位変化所要時間t1よりも短く調整する(t1>t3)。この調整により、図35に示すように、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3及び電位変化の傾きPw3を、第1動作モード時の電位変化量E1及び傾きPw1よりも大きく調整する(E1<E3,Pw1<Pw3)。この調整の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも高速になることで、第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなる。第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなるため、第4液滴Lb2が第3液滴La2に合体でき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図17参照)。
さらに図36では、飛行曲がりに起因するドット割れを抑制するべく、図35で調整に用いた複数の波形パラメーターに加え、間隔時間T2も短く調整する。すなわち、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3を、第1動作モード時の電位変化量E1よりも大きく調整する(E1<E3)。さらに1つ目の駆動パルスP3の傾きPw3を規定する電位変化所要時間t3を、第1動作モード時の傾きPw1を規定する電位変化所要時間t1よりも短く調整することで(t1>t3)、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化の傾きPw3を、第1動作モード時の傾きPw1よりも大きく調整する(Pw1<Pw3)。さらに間隔時間T2を第1動作モード時の間隔時間T1よりも短く調整する(T1>T2)。この調整(E1<E3,Pw1<Pw3,T1>T2)の結果、第2動作モードにおいて、第3液滴La2の吐出速度Vm3が、第1動作モード時の第1液滴La1の吐出速度Vm1よりも高速になることで、第3液滴La2の飛行曲がりが発生しにくくなるうえ、第3液滴La2と第4液滴Lb2との吐出間隔が短くなる。このため、第4液滴Lb2が、飛行曲がりの抑制された第3液滴La2に早期に追いつき、着弾前に1つの液滴Lc2に合体する(図17参照)。なお、第3液滴La2の高速化は、第4液滴Lb2が第3液滴La2にその着弾前に追いついて合体できる範囲内に限られる。
第4液滴Lb2が第3液滴La2に追いつく前に着弾してしまう速度まで第3液滴La2を高速に調整する必要がある場合は、第4液滴Lb2の吐出速度も高速に調整すればよい。この場合、波形パラメーターE4,t4(つまりPw4)のうち少なくとも一つを、E2<E4とt2>t4のうち少なくとも一方の条件を満たすように調整する。また、これに加え、第2動作モード時の間隔時間T2を第1動作モード時の間隔時間T1よりも短く調整してもよい。
ところで、飛行曲がりに起因するドット割れを発生しにくくするために、図33〜図36において第3液滴La2の吐出速度Vm3を高速に調整した場合、合体後の液滴Lc2が目標着弾時期よりも少し早めに媒体Pに着弾し、その着弾位置が目標位置よりも相対移動方向RMの上流側へ少しずれる心配がある。図37では、この種の着弾位置ずれを抑制するべく、第3液滴La2の吐出時期を調整する。すなわち、図37では、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間における電位変化量E3及び電位変化の傾きPw3を大きく調整することで、第3液滴La2の吐出速度Vm3を高速に調整するが、吐出速度Vm3の高速化による着弾位置のずれ量を考慮し、1つ目の駆動パルスP3の吐出期間を規定する電位変化の開始時期を調整時間Δtだけ遅らせる。この吐出時期の調整は、1つ目の駆動パルスP3の最高電位保持時間を調整時間Δtだけ延長することで実現される。この最高電位保持時間を延長させる指示は、調整部52が調整時間Δtだけ調整された最高電位保持時間の情報を含む波形指示情報WSを駆動信号生成回路53に出力することにより行われる。駆動信号生成回路53は、入力した波形指示情報WS中の波形パラメーターの値に従って指示された波形形状の駆動信号COMAを生成する。
なお、第3液滴La2の吐出速度Vm3を低速側に調整する場合(図27、図29、図30、図32)、合体後の液滴Lc2が目標着弾時期よりも少し遅れて着弾し、その着弾位置が目標位置よりも相対移動方向RMの下流側へ少しずれることが心配される場合がある。この場合、1つ目の駆動パルスP3における吐出期間を規定する電位変化の開始時期を調整時間Δtだけ早めてもよい。すなわち、第3液滴La2の吐出速度Vm3の低速化による着弾位置のずれ量を考慮して、このずれ量を小さくしうる調整時間Δtだけ第3液滴La2の吐出時期を早める。この吐出時期の調整は、1つ目の駆動パルスP3の最高電位保持時間を調整時間Δtだけ短縮することで実現される。
次に、プリンター11の作用を説明する。制御部30は、操作者による入力装置103又は操作部13の操作による操作信号を入力してモード選択処理の指示を受け付けると、図38にフローチャートで示されるモード選択処理ルーチンを実行する。以下、モード選択処理の詳細を、図38を参照して説明する。
まずステップS11では、テスト印刷を行う。制御部30は記憶部32からテスト印刷データを読み出してヘッドコントローラー36へ出力する。このとき初期設定のままであれば、第1動作モードで印刷される。すなわち、制御部30は、第1動作モードを指定するモード選択情報MSを調整部52に出力する。調整部52は、入力したモード選択情報MSを基に波形パラメーターを生成し、その波形パラメーターを含む波形指示情報WSを駆動信号生成回路53に出力する。この結果、駆動信号生成回路53からは、第1動作モードの波形パラメーターに基づき生成された駆動信号COMA,COMBがヘッド駆動回路38へ出力される。また、テスト印刷データが複数に分配されてデータコントローラー35及びヘッドコントローラー36を介して各ヘッド駆動回路38へ転送される。そして、ヘッド駆動回路38は、駆動信号COMA,COMB中の駆動パルスDP1〜DP4のうちテスト印刷データに基づき選択された1つが圧電素子170に印加されたり駆動パルスDP1〜DP4が印加されなかったりすることで、吐出部Dが吐出制御される。この結果、プリンター11は、第1動作モードでテスト印刷を行う。なお、テスト印刷パターンは、全ノズルを使用して大ドットを印刷してもよいし、代表的な一部のノズルを使用して大ドットを印刷してもよい。
ステップS12では、テスト印刷結果をスキャナー装置で読み取る。図1に示すように、媒体Pにテスト印刷を行う吐出ユニット15よりも搬送方向Yの下流側に配置されたスキャナー装置18が媒体Pに印刷されたテスト印刷結果の画像(テスト印刷画像)を読み取る。
ステップS13では、読取画像データを基に画像解析を行う。この画像解析は、制御部30が有する検出部81が行う。詳しくは、大ドットのドット形状を取得し、その取得したドット形状を基にドット割れの有無を解析することで、ドット割れを検出する。このとき、2つのドットを認識できる形状であれば、その認識した2つのドットの中心を結ぶ方向をずれ方向として取得すると共に、中心間距離をずれ量として測定する。そして、検出部81は、ドット割れの発生率をノズル列ごとに計算し、その計算結果からノズル列の吐出特性に起因するドット割れであると判断すればそのノズル列を吐出調整対象とし、ノズル列当たりに30%未満のノズル分のドット割れしか存在しなければ、そのノズル列を吐出調整対象とはしない。なお、検出部81は、ドット割れを検出した場合、ずれ方向とずれ量とに基づいて、そのドット割れが、後続の液滴が先行の液滴に着弾前に追いつけなかったことに起因する失敗吐出によるものか、それとも先行の液滴が飛行曲がりにより飛行経路を外したことに起因する失敗吐出によるものかなどその原因も検出する。
ステップS14では、ドット割れがあるか否かを判定する。すなわち、検出部81はノズル列の吐出調整対象とするべきドット割れが検出されたか否かを判定する。吐出調整対象とするべきドット割れであればステップS15に進み、吐出調整対象とするべきドット割れでなければ当該ルーチンを終了する。
ステップS15では、調整用の波形パラメーターを算出する。制御部30は、吐出調整対象のドット割れである場合、検出部81が算出したドット割れを構成する2つのドットの中心間を結ぶずれ方向とずれ量(中心間距離)とに基づいて、そのずれ方向のずれ量を低減又は無くすために調整するべき少なくとも1つの波形パラメーターの調整量を算出する。詳しくは、間隔時間T2、電位変化量E3、電位変化量E4、電位変化所要時間t3及び電位変化所要時間t4のうち少なくとも1つの波形パラメーターの調整量を算出する。こうして間隔時間T1から間隔時間T2への変更、電位変化量E1から電位変化量E3への変更、電位変化量E2から電位変化量E4への変更、電位変化所要時間t1から電位変化所要時間t3への変更、電位変化所要時間t2から電位変化所要時間t4への変更のうち、少なくとも1つの波形パラメーターを変更する。このとき、波形パラメーターの1つである電位変化所要時間t1から電位変化所要時間t3への変更により電位変化の傾きPw1から傾きPw3への変更が行われ、電位変化所要時間t2から電位変化所要時間t4への変更により電位変化の傾きが傾きPw2から傾きPw4へ変更される。
ステップS16では、第2動作モードを推奨する設定画面を表示する。すなわち、制御部30は、第2液滴が第1液滴に追いつけなかったことに起因する失敗吐出であれば図20に示す設定画面71を表示部14に表示し、液滴の飛行曲がりに起因する失敗吐出であれば、表示部14に図21に示す設定画面72を表示する。
ステップS17では、第2動作モードを選択したか否かを判定する。この判定は、制御部30が有する設定部82が行う。設定画面71又は設定画面72を見た操作者は、操作部13を操作して必要に応じて詳細内容を確認した後、設定ボタン74を選択操作する。制御部30は、操作部13から第2動作モードが選択された旨の操作信号を入力すると、第2動作モードを選択したと判定してステップS18に進み、第2動作モードが選択された旨の操作信号を入力しなければ第2動作モードを選択しなかったと判定し、当該ルーチンを終了する。後者の場合、第1動作モードが維持される。
ステップS18では、第2動作モードを設定する。すなわち、設定部82は、吐出動作モードの設定を、第1動作モードから第2動作モードへ変更する。こうして吐出動作モードを選択設定する処理が終了する。
次に図39を参照して印刷処理について説明する。
ステップS21では、第2動作モードが選択されたか否かを判定する。第2動作モードが選択されていなければ(つまり第1動作モードが選択されたままであれば)ステップS22に進み、第2動作モードが選択されていればステップS23に進む。
ステップS21では、第2動作モードが選択されたか否かを判定する。第2動作モードが選択されていなければ(つまり第1動作モードが選択されたままであれば)ステップS22に進み、第2動作モードが選択されていればステップS23に進む。
ステップS22では、第1動作モードの波形パラメーターを基に駆動信号COMAを生成し出力する。すなわち、制御部30は、第1動作モードを選択するモード選択情報MSを調整部52に出力し、調整部52が第1動作モード時の波形パラメーターを含む波形指示情報WSを駆動信号生成回路53へ出力する。この結果、駆動信号生成回路53が図8及び図24に示す第1動作モードのときの駆動信号COMAを生成し出力する。
ステップS23では、第2動作モードの波形パラメーターを基に駆動信号COMAを生成し出力する。すなわち、制御部30は、第2動作モードを選択するモード選択情報MSを調整部52に出力する。調整部52はモード選択情報MSに応じた調整後の波形パラメーターを設定用のメモリー(図示省略)から読み出して、その調整後の波形パラメーターを含む波形指示情報WSを駆動信号生成回路53へ出力する。この結果、駆動信号生成回路53が、図25〜図37のうちいずれか1つの第2動作モードのときの駆動信号COMAを生成し出力する。
ステップS24では、印字データを転送する。すなわち、制御部30が、印字データを、データコントローラー35及びヘッドコントローラー36を介してノズル列ごとに分配して各ヘッド駆動回路38へ転送する。この結果、印字データを構成する吐出データの2ビットの階調情報(HL)が大ドットを示す「11」である場合、図25〜図37のいずれか1つに示された第2動作モード時の駆動パルスDP1を構成する駆動パルスP3と駆動パルスP4とが圧電素子170に印加される。その結果、図16〜図18に示すように、吐出ヘッド16のノズル17aから第3液滴La2と第4液滴Lb2とが順次に吐出され、空中で両液滴La2,Lb2が1つの大サイズの液滴Lc2に合体する。そして、その液滴Lc2が媒体Pに着弾することで、適正な例えば円形状の大ドットが形成される。こうして大ドットがドット割れすることなく、媒体Pに高品質の印刷が施される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)プリンター11は、吐出部Dからの吐出順が先行の第1液滴La1と後続の第2液滴Lb1とを空中で合体させた液滴Lc1を用いる第1動作モードと、吐出部Dからの吐出順が先行の第3液滴La2と後続の第4液滴Lb2とが空中で合体した液滴Lc2を用いる第2動作モードとを含む複数の動作モードを備えている。2種類の液滴を合体させる際の吐出特性の異なる複数のモードが予め準備されているので、種々のばらつき等の状況に応じて第1動作モードと第2動作モードとを使い分けることによって、1つに合体した液滴を媒体P(対象物の一例)に着弾させて形成される印刷物(被形成物の一例)を高い品質で提供できる。プリンター11がラインプリンターであって、媒体Pが比較的高速で搬送されても、その搬送中の媒体Pに吐出ヘッド16のノズル列毎の吐出部Dから液滴を吐出する場合、ノズル列間のドットの着弾位置のばらつきを小さく抑えることができる。
(1)プリンター11は、吐出部Dからの吐出順が先行の第1液滴La1と後続の第2液滴Lb1とを空中で合体させた液滴Lc1を用いる第1動作モードと、吐出部Dからの吐出順が先行の第3液滴La2と後続の第4液滴Lb2とが空中で合体した液滴Lc2を用いる第2動作モードとを含む複数の動作モードを備えている。2種類の液滴を合体させる際の吐出特性の異なる複数のモードが予め準備されているので、種々のばらつき等の状況に応じて第1動作モードと第2動作モードとを使い分けることによって、1つに合体した液滴を媒体P(対象物の一例)に着弾させて形成される印刷物(被形成物の一例)を高い品質で提供できる。プリンター11がラインプリンターであって、媒体Pが比較的高速で搬送されても、その搬送中の媒体Pに吐出ヘッド16のノズル列毎の吐出部Dから液滴を吐出する場合、ノズル列間のドットの着弾位置のばらつきを小さく抑えることができる。
(2)第3液滴La2の吐出から第4液滴Lb2を吐出するまでの間隔時間T2(期間の一例)は、第1液滴La1の吐出から第2液滴Lb1を吐出するまでの間隔時間T1より短い。よって、第1動作モードのときよりも第2動作モードのときに、吐出部から、先に吐出された先行の液滴と後から吐出された後続の液滴とが合体する位置までの距離が短くなる。つまり、第1動作モードと第2動作モードとで、吐出部から、先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの距離が異なる。よって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つのモードを選択するモードの使い分けによって、モードを選択できない構成の場合に比べより高品質な印刷物(被形成物の一例)を提供できる。
(3)第4電位変化に要する期間である電位変化所要時間t4は、第2電位変化に要する電位変化所要時間t2よりも短いので、液滴の吐出速度が第2液滴Lb1よりも第4液滴Lb2で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第2液滴Lb1と第4液滴Lb2との吐出時の電位変化所要時間t2,t4以外の他の波形パラメーターの条件が同じであれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部Dから先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な印刷物を提供できる。
(4)第3電位変化に要する期間である電位変化所要時間t3は、第1電位変化に要する期間よりも長いため、液滴の吐出速度が第1液滴La1よりも第3液滴La2で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴La1と第3液滴La2との吐出時の電位変化所要時間t1,t3以外の他の波形パラメーターの条件が同じであれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部Dから先行の液滴と後続の液滴とが合体するまでの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な印刷物を取得できる。
(5)第4電位変化の変化量である第4電位変化量E4は、第2電位変化の変化量である第2電位変化量E2よりも大きいため、液滴の吐出速度が第2液滴Lb1よりも第4液滴Lb2で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第2液滴Lb1と第4液滴Lb2との吐出時の電位変化量以外の他の波形パラメーターの条件が仮に同じであれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部Dから、先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な印刷物を提供できる。
(6)第3電位変化の変化量である第3電位変化量E3が、第1電位変化の変化量である第1電位変化量E1よりも小さいため、液滴の吐出速度が第1液滴La1よりも第3液滴La2で低速化する。第1及び第2動作モードで第1液滴La1と第3液滴La2との吐出時の電位変化量以外の他の波形パラメーターの条件が仮に同じであれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部Dから、先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な印刷物を提供できる。
(7)第3電位変化に要する期間である第3電位変化所要時間t3は、第1電位変化に要する期間である第1電位変化所要時間t1よりも短いため、液滴の吐出速度が第1液滴La1よりも第3液滴La2で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴La1と第3液滴La2との吐出時の電位変化所要時間以外の他の波形パラメーターの条件が仮に同じであれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部Dから、先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な印刷物を提供できる。
(8)第3電位変化の変化量である第3電位変化量E3が、第1電位変化の変化量である第1電位変化量E1よりも大きいため、液滴の吐出速度が第1液滴La1よりも第3液滴La2で高速化する。そのため、第1及び第2動作モードで第1液滴La1と第3液滴La2との吐出時の電位変化量以外の他の波形パラメーターの条件が仮に同じであれば、第1動作モードよりも第2動作モードが選択されたときの方が、吐出部Dから先行の液滴と後続の液滴とが合体する位置までの距離が短くなる。よって、先行の液滴と後続の液滴とが着弾前に早期に合体し易くなる。したがって、第1動作モードと第2動作モードのうちから適切な1つを選択するモードの使い分けによって、他のモードを選択した場合に比べより高品質な印刷物を提供できる。
(9)第2動作モードが用いられる場合は、第1動作モードが用いられる場合よりも、吐出ヘッド16の吐出部Dと媒体Pとの距離が狭いので、複数の吐出動作モードを使い分けることで、他のモードを選択した場合に比べより高い品質の印刷物を提供できる。
(10)第1動作モードにおいて吐出部Dから吐出された第1液滴La1と第2液滴Lb1とが着弾前に合体できなかった失敗吐出を液滴の着弾形状に基づいて検出する検出部81と、検出部81が失敗吐出を検出した場合、第2動作モードを設定する設定部82とを更に備える。よって、第2動作モードが設定されることで、後続の液滴が先行の液滴に着弾前に合体し易くなり、失敗吐出を回避し易くなる。
(11)第1動作モードにおいて吐出部Dから吐出された第1液滴La1と第2液滴Lb1とのうち少なくとも一方の飛行経路が吐出方向(ノズル軸線方向)に対して外れる失敗吐出を液滴の着弾形状に基づいて検出する検出部81と、検出部81が失敗吐出を検出した場合、第2動作モードを設定する設定部82を更に備える。よって、第2動作モードが設定されることで、吐出された第3液滴La2と第4液滴Lb2とのうち少なくとも一方の飛行経路が吐出方向に対して外れることに起因する失敗吐出を抑制できる。
(12)検出部81が失敗吐出を検出した場合、設定部82は第2動作モードを推奨する旨を表示部14に報知し、第2動作モードが選択された旨の操作信号を入力すると、第2動作モードを設定する。その結果、その後は第2動作モードで第3液滴La2と第4液滴Lb2とが吐出されるので、失敗吐出を抑制できる。
(13)検出部81が失敗吐出を検出すると、設定部82によって第1動作モードから第2動作モードへ設定が切り換えられる。したがって、検出部81が失敗吐出を検出すれば、設定部82により自動で適切な動作モードに切り換えられるので、印刷物の失敗回数を低減できるうえ、適切な波形パラメーターの条件の駆動信号COMAの波形に切り換えられることで、成功吐出を実現できる。
(14)スキャナー装置18でテストパターンTP1を読み取った読取画像を画像解析することで、ドットの位置ずれ及びドット割れの有無を判定し、吐出特性を自動で調整することで、吐出ヘッド16間のばらつきに起因するドット割れを解消できる。よって、例えば作業者が拡大鏡等を用いてテストパターンTP1のドットの位置ずれやドット割れの有無を目視で検査しなくても、適切な吐出特性を自動で設定できる。
(15)吐出ヘッド16の固体差に起因するノズル列間の吐出速度のばらつきを小さく抑え、ドット割れの発生を低減できる。また、ノズル列ごとの単位ヘッド部17の単位で吐出特性を調整できるので、ノズル列毎に吐出特性を調整できる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・テスト印刷において第1動作モードと第2動作モードとの両方の吐出を行ってもよい。例えば第1動作モードの吐出と、波形パラメーターを変えた複数組の条件で複数種の第2動作モードで吐出を行う。この構成であれば、ドットの中心間を結ぶずれ方向及び中心間距離(ずれ量)等の値を基に波形パラメーターの調整値を推定する演算をしなくても、実際のテスト印刷結果からドット形状が一番円形に近くなった波形パラメーターの条件を選択すればよい。この場合、テスト印刷結果から最適な波形パラメーターの条件を選定する方法は、ユーザーが拡大鏡等を用いた目視で最適と判断したドットと対応付けられた番号等の識別子を、操作者が操作部13の操作でプリンター11に入力する方法でもよい。この場合、制御部30はその入力された識別子と対応する波形パラメーターを選択して第2動作モードを設定する。また、スキャナー装置18が読み取ったテスト印刷結果の読取画像データに基づいて制御部30が最適なドットを判定し、その最適なドットの印刷に用いた波形パラメーターを選択して第2動作モードを設定する構成でもよい。
・テスト印刷において第1動作モードと第2動作モードとの両方の吐出を行ってもよい。例えば第1動作モードの吐出と、波形パラメーターを変えた複数組の条件で複数種の第2動作モードで吐出を行う。この構成であれば、ドットの中心間を結ぶずれ方向及び中心間距離(ずれ量)等の値を基に波形パラメーターの調整値を推定する演算をしなくても、実際のテスト印刷結果からドット形状が一番円形に近くなった波形パラメーターの条件を選択すればよい。この場合、テスト印刷結果から最適な波形パラメーターの条件を選定する方法は、ユーザーが拡大鏡等を用いた目視で最適と判断したドットと対応付けられた番号等の識別子を、操作者が操作部13の操作でプリンター11に入力する方法でもよい。この場合、制御部30はその入力された識別子と対応する波形パラメーターを選択して第2動作モードを設定する。また、スキャナー装置18が読み取ったテスト印刷結果の読取画像データに基づいて制御部30が最適なドットを判定し、その最適なドットの印刷に用いた波形パラメーターを選択して第2動作モードを設定する構成でもよい。
・設定画面71,72で操作者に確認することなく、制御部30が推奨モードを自動で設定してもよい。
・第1動作モードをデフォルトとしたが、デフォルトでなくてもよい。例えば第2動作モードをデフォルトとしてもよい。この場合、第2動作モードから第1動作モードへ変更後、経年劣化等の原因でドット割れが発生した場合、第1動作モードからデフォルトの第2動作モードへ変更することで、ドット割れを回避できる。
・第1動作モードをデフォルトとしたが、デフォルトでなくてもよい。例えば第2動作モードをデフォルトとしてもよい。この場合、第2動作モードから第1動作モードへ変更後、経年劣化等の原因でドット割れが発生した場合、第1動作モードからデフォルトの第2動作モードへ変更することで、ドット割れを回避できる。
・第1動作モードと第2動作モードとを含んでいれば吐出動作モードの数は適宜設定してもよい。例えば1種の波形パラメーター(例えば間隔時間T、電位変化所要時間t、電位変化量Eのうちの1つ)につき2〜10個の値の異なる調整値を用意し、異なる波形パラメーターごとの調整値を組み合わせの数だけ吐出動作モードを用意してもよい。また、第1動作モードの波形パラメーターと第2動作モードの波形パラメーターとが1つずつ用意されただけで2つの吐出動作モードのうちから一方を選択する構成でもよい。
・吐出動作モードは、第1動作モードと第2動作モードとを含んでいれば、吐出動作モードの数は適宜変更できる。例えば2つの吐出動作モードのみを備えてもよいし、3つ以上の吐出動作モードを備えてもよい。
・第1動作モードと第2動作モードとを含む複数の動作モードは、第3液滴の吐出から第4液滴を吐出するまでの間隔時間(第2間隔時間T2)が、第1液滴の吐出から第2液滴を吐出するまでの間隔時間(第1間隔時間T1)よりも短い動作モード(吐出間隔時間変更モード)を、第2間隔時間T2の値を変えて複数種備えた構成でもよい。
・第1動作モードと第2動作モードとを含む複数の動作モードは、第4電位変化に要する時間(第4電位変化所要時間t4)が、第2電位変化に要する時間(第2電位変化所要時間t2)よりも短い動作モード(第1の電位変化所要時間変更モード)を、第4電位変化所要時間t4の値を変えて複数種備えた構成でもよい。
・第1動作モードと第2動作モードとを含む複数の動作モードは、第3電位変化に要する時間(第3電位変化所要時間t3)が、第1電位変化に要する時間(第1電位変化所要時間t1)よりも長い動作モード(第2の電位変化所要時間変更モード)を、第3電位変化所要時間t3の値を変えて複数種備えた構成でもよい。
・第1動作モードと第2動作モードとを含む複数の動作モードは、第4電位変化の変化量(第4電位変化量E4)が、第2電位変化の変化量(第2電位変化量E2)よりも大きい動作モード(第1の電位変化量変更モード)を、第4電位変化量E4の値を変えて複数種備えた構成でもよい。
・第1動作モードと第2動作モードとを含む複数の動作モードは、第3電位変化の変化量(第3電位変化量E3)が、第1電位変化の変化量(第1電位変化量E1)よりも小さい動作モード(第2の電位変化量変更モード)を、第3電位変化量E3の値を変えて複数種備えた構成でもよい。
・飛行曲がりが原因の失敗吐出は、第1液滴の飛行経路が吐出方向に対してずれる場合に限定されず、第2液滴の飛行経路が吐出方向に対してずれる場合、第1液滴と第2液滴の飛行経路が共に吐出方向に対してずれる場合でもよい。いずれの場合も、検出部81は、画像読取部の一例としてのスキャナー装置18で読み取った液滴の着弾形状に基づくずれ方向とずれ量の情報を用いて飛行曲がりが原因の失敗吐出を検出できる。
・ドット割れが検出された場合、ギャップに応じて波形パラメーターを変更する構成に加え、ギャップを大きな値に変更するギャップ調整を加えてもよい。この場合、ギャップの調整後の値に応じて吐出タイミングを調整することが好ましい。
・液体吐出装置が画像読取部(スキャナー装置18)を備えない構成の場合、液体吐出装置とは別体のスキャナー装置に読み取らせたテスト印刷結果の画像データをホスト装置又は携帯型メモリー(例えばUSBメモリー)から液体吐出装置へ送る。そして、検出部81がその画像データの解析結果から得た波形パラメーターに応じた第2動作モードを設定する構成でもよい。この構成でも、テスト印刷結果に応じた適切な波形パラメーターに調整された第2動作モードを設定できる。また、例えばホスト装置内の印刷ドライバーがテスト印刷結果の画像データを解析して得た波形パラメーターに応じた推奨の吐出動作モードをモニター102又は表示部14に表示し、操作者が操作部13を操作してその推奨された吐出動作モードを設定する構成でもよい。このように液体吐出装置が検出部を有しない構成でもよい。
・複数の吐出ヘッド16を配列してなるマルチヘッドタイプにおいて、各吐出ヘッドをノズル列方向が媒体Pの搬送方向Yに対して斜めに交差する向きに傾けた状態に配列することで、ノズルの搬送方向Yと直交する方向のピッチを短くして印刷解像度を高くする構成としてもよい。この場合、一のノズル列のノズルの搬送方向と直交する方向のピッチ間に、他の一のノズル列のノズルが位置する状態に複数のノズル列を配置し、更なる高解像度を得る構成としてもよい。
・ラインプリンターは、複数の吐出ヘッドを配列してなるマルチヘッドタイプに限定されず、媒体Pの搬送方向と交差する幅方向に亘る印刷領域の全域に一定のピッチでノズルが配列されてなる複数のノズル列を有する1つの長尺状のラインヘッドを備えた構成でもよい。また、1つの長尺状のラインヘッドに備えられた複数のノズル列は、異なるインク色を吐出するものでもよいし、同一のインク色を吐出するものでもよい。
・駆動素子は、電力が与えられて発熱することで液体を沸騰させてその沸騰時の気体の圧力で液体を吐出部から吐出させるヒーター素子でもよい。また、ヒーター素子を用いる吐出ヘッドにおいてサイズの異なる複数種のドットを形成するべく、1つの吐出部に複数種(例えば2種)のノズル(例えば大ノズルと小ノズル)を設け、吐出に使用するノズル及びノズルの数を変えて吐出する液滴(インク滴)の大きさ及び数を調整することで、ドットのサイズを異ならせてもよい。この構成でも、先行の液滴と後続の液滴とを合体させた液滴を媒体に着弾させる場合、ドット割れの発生を抑制できる。
・ドットの階調は、4階調(大ドット、中ドット、小ドット、吐出なし)に限定されず、3階調(大ドット、小ドット、吐出なし)又は2階調(吐出あり、吐出なし)でもよい。さらに5階調以上の階調を採用してもよい。また、1台の液体吐出装置が、印刷モードに応じて複数の階調を使い分ける構成でもよい。また、先行の液滴と後続の液滴とを合体させた液滴を対象物(例えば媒体P)に着弾させて形成するドットのサイズは中ドット又は小ドットでもよい。
・制御部30が行うモード選択処理及び印刷処理は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されたり、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・液体吐出装置は、ラインプリンターに限定されない。液体吐出装置は、液体を吐出する吐出部を有する液体吐出方式(例えばインクジェット方式)のものであればよい。例えば、吐出部が媒体の搬送方向と交差する方向に移動可能で、吐出部の移動による主走査と媒体の搬送による副走査とを略交互に行って媒体に印刷するシリアルプリンター、又は吐出部が主走査方向と副走査方向との両方に移動して媒体に印刷するラテラル式プリンターでもよい。
・液体吐出装置は、インクジェット式のプリンターに限定されず、インク以外の他の液体を吐出する装置でもよい。例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの機能材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出する液体吐出装置でもよい。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。さらに光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために熱硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を吐出する液体吐出装置でもよい。このように液体吐出装置が吐出する「液体」には、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等の液体の他、機能材料の粒子等の固体を一部に含む流動状の液状体、ゲルのような流状体も含まれる。また、液体吐出装置が液体を吐出する対象物は、用紙、樹脂製フィルム、ラミネートフィルム、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシート等の印刷対象の媒体の他、素子や配線等が液体吐出で形成される基板等の媒体も含まれる。さらに対象物は、吐出された液体を着弾させて吐出形成物を形成する際のベースとなる媒体に限定されない。また、吐出形成物は平面状に限定されず、液体吐出装置は、インクジェット方式で対象物に吐出形成物として立体成形物を製造する例えば3Dプリンターでもよい。
11…液体吐出装置の一例としてのプリンター、13…操作部、14…報知部の一例としての表示部、15…吐出ユニット、16…吐出ヘッド、16a…ノズル開口面、17…単位ヘッド部、17a…ノズル、18…画像読取部の一例を構成するスキャナー装置、30…制御部、32…記憶部、36…ヘッドコントローラー、37A〜37D…ヘッドコントローラー部、38…ヘッド駆動回路、42…駆動素子、51…ヘッド制御ユニット、52…調整部、53…駆動信号生成回路、54…DAC、71,72…設定画面、74…設定ボタン、81…検出部、82…設定部、91…標準波形指示部、92…第1調整指示部、93…第2調整指示部、94…第3調整指示部、102…モニター、103…入力装置、170…圧電素子、D,D1〜D4,D1〜Dm…吐出部、N1〜N4…ノズル列、PD…印刷データ、P…媒体、COMA…駆動信号、DP1…第1駆動パルス、DP2…第2駆動パルス、DP3…第3駆動パルス、DP4…第4駆動パルス、DPa…第1パルス、DPb…第2パルス、P1,P2…第1動作モードの駆動パルス、P3,P4…第2動作モードの駆動パルス、La1…第1液滴、Lb1…第2液滴、La2…第3液滴、Lb2…第4液滴、TP1…テストパターン、Dn…正常なドット、Df1…ドット割れのドット、Df2…異形状のドット、G1,G2…ギャップ、G0…閾値、w1…第1液滴の重量、w2…第2液滴の重量、w3…第3液滴の重量、w4…第4液滴の重量、T1…第1液滴の吐出から前記第2液滴を吐出するまでの期間の一例としての間隔時間、T2…第3液滴の吐出から前記第4液滴を吐出するまでの期間の一例としての間隔時間、t1…第1電位変化に要する期間の一例としての第1電位変化所要時間、t2…第2電位変化に要する期間の一例としての第2電位変化所要時間、t3…第3電位変化に要する期間の一例としての第3電位変化所要時間、t4…第4電位変化に要する期間の一例としての第4電位変化所要時間、E1…第1電位変化の変化量の一例としての第1電位変化量、E2…第2電位変化の変化量の一例としての第2電位変化量、E3…第3電位変化の変化量の一例としての第3電位変化量、E4…第4電位変化の変化量の一例としての第4電位変化量、RM…相対移動方向、Y…搬送方向。
Claims (14)
- 駆動信号を受けた駆動素子の駆動に応じて液体を吐出可能な吐出部と、
前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
を有し、
前記駆動信号には、
前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、
前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化と、
前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、
前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化とが含まれ、
前記第1液滴の重量と前記第2液滴の重量の和と、前記第3液滴の重量と前記第4液滴の重量の和は、当該和の重量を有する液滴が着弾して形成されるドットが同じドットサイズに属する重量範囲内にあり、
前記第1液滴と前記第2液滴とが空中で合体した液滴を用いる第1動作モードと、
前記第3液滴と前記第4液滴とが空中で合体した液滴を用いる第2動作モードと
を有することを特徴とする液体吐出装置。 - 前記第3液滴の吐出から前記第4液滴を吐出するまでの期間は、前記第1液滴の吐出から前記第2液滴を吐出するまでの期間より短い、ことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
- 前記第4電位変化に要する期間は、前記第2電位変化に要する期間よりも短い、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。 - 前記第3電位変化に要する期間は、前記第1電位変化に要する期間よりも長い、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第4電位変化の変化量は、前記第2電位変化の変化量よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第3電位変化の変化量は、前記第1電位変化の変化量よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第3電位変化に要する期間は、前記第1電位変化に要する期間よりも短い、
ことを特徴とする請求項1乃至3、5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第3電位変化の変化量は、前記第1電位変化の変化量よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至3、5、7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記吐出部が吐出した液滴が着弾する対象物は媒体であり、
前記第2動作モードが用いられる場合は、前記第1動作モードが用いられる場合よりも、前記吐出部と前記媒体との間隔が狭いことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第1動作モードにおいて前記吐出部から吐出された前記第1液滴と前記第2液滴とが着弾前に合体できなかった失敗吐出を液滴の着弾形状に基づいて検出する検出部と、
前記検出部が前記失敗吐出を検出した場合、前記第2動作モードを設定する設定部とを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第1動作モードにおいて前記吐出部から吐出された前記第1液滴と前記第2液滴とのうち少なくとも一方の飛行経路が吐出方向に対してずれる失敗吐出を液滴の着弾形状に基づいて検出する検出部と、
前記検出部が前記失敗吐出を検出した場合、前記第2動作モードを設定する設定部とを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記検出部が前記失敗吐出を検出した場合、前記設定部は前記第2動作モードを推奨する旨を報知部にて報知し、前記第2動作モードが選択された旨の操作信号を入力すると、前記第2動作モードを設定することを特徴とする請求項10又は11に記載の液体吐出装置。
- 前記検出部が前記失敗吐出を検出すると、前記設定部は、前記第1動作モードから前記第2動作モードへ切り換えることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
- 液体吐出装置における液体吐出方法であって、
前記液体吐出装置は、駆動信号を受けた駆動素子の駆動に応じて液体を吐出可能な吐出部と、
前記駆動信号を生成する駆動信号生成部とを備え、
前記駆動信号には、前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、
前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化と、前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化と、が含まれ、
前記第1液滴の重量と前記第2液滴の重量の和と、前記第3液滴の重量と前記第4液滴の重量の和は、当該和の液滴が着弾して形成されるドットが同じドットサイズに属する重量範囲内にあり、
前記第1液滴と前記第2液滴とが合体した液滴を用いる第1動作モードと、
前記第3液滴と前記第4液滴とが合体した液滴を用いる第2動作モードと、を有しており、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとのうちいずれか1つのモードを設定するモード設定ステップと、
第1動作モードが設定された場合は、前記駆動信号生成部が、前記駆動素子を駆動させて第1液滴を吐出させる第1電位変化と、前記第1液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第2液滴を吐出させる第2電位変化とを含む駆動信号を生成し、当該駆動信号を受けて駆動する駆動素子の駆動に応じて吐出部から前記第1電位変化に基づく第1液滴と、前記第2電位変化に基づく第2液体とを吐出し、前記第1液滴と前記第2液滴とが合体した液滴を媒体に着弾させる第1動作ステップと、
一方、第2動作モードが設定された場合は、前記駆動信号生成部が、前記駆動素子を駆動させて第3液滴を吐出させる第3電位変化と、前記第3液滴の吐出後に前記駆動素子を駆動させて第4液滴を吐出させる第4電位変化とを含む駆動信号を生成し、当該駆動信号を受けて駆動する駆動素子の駆動に応じて吐出部から前記第3電位変化に基づく第3液滴と、前記第4電位変化に基づく第4液体とを吐出し、前記第3液滴と前記第4液滴とが合体した液滴を媒体に着弾させる第2動作ステップと、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置における液体吐出方法。
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JP2016008504A JP2017128019A (ja) | 2016-01-20 | 2016-01-20 | 液体吐出装置及び液体吐出装置における液体吐出方法 |
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-
2016
- 2016-01-20 JP JP2016008504A patent/JP2017128019A/ja active Pending
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