JP2017125847A - 温度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗体膜の転移温度を室温に近づけることができる温度センサを提供する。【解決手段】照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜6と、赤外線吸収膜6の温度変化に伴って抵抗値が変化する抵抗体膜2と、抵抗体膜2に電気的に接続される配線層4と、を備え、抵抗体膜2の抵抗値の変化を配線層4より赤外線の照射強度を表す信号として取り出す温度センサであって、抵抗体膜2は、第1元素と、第2元素とが添加された酸化バナジウム(IV)により構成されており、第1元素の価数Mは4より大きく、第2元素の価数Nは4より小さく、抵抗体膜2を構成する酸化バナジウム(IV)への第1元素の添加量m(atom%)は、第2元素の添加量n(atom%)よりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線の入射光を吸収して温度変化し、その温度変化によって抵抗値が変化する材料を用いて赤外線の放射強度の信号を読み出すボロメータ方式の温度センサに関するものである。
従来、温度センサとして量子(フォトン)型センサやボロメータ方式などの熱型センサが知られている。量子型センサは、ダーク電流に起因したノイズを低下させるために液体窒素温度近くまで冷却しなければ検出感度を高められない。
これに対して、ボロメータ方式の温度センサは素子の冷却が不要である。このため、コストの低減、機器の簡素化および小型化携帯用途において有利であることから、それらを目的としてボロメータ方式の温度センサが用いられている。
このボロメータ方式の温度センサは、測定対象から入射した赤外線を吸収し、これにより温度変化する受光部と、受光部に配置され、温度により抵抗値が変化する材料で構成される抵抗体膜とを備えている。そして、この温度センサは、赤外線の吸収による受光部の温度変化と、これに伴う抵抗体膜の温度変化および抵抗値変化とを利用して、赤外線の強度と測定対象の温度とを検出する。
したがって、抵抗体膜を構成する材料の抵抗値変化の温度依存性が高い、つまり、抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)の絶対値が大きいほど、検出感度が高くなる。しかしながら、従来用いられているSi(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、V(酸化バナジウム(III))等の半導体材料はTCRの絶対値が小さく、例えばSiのTCRは1.5%/K程度である。
TCRの絶対値が大きい材料として、金属絶縁体転移を発現する材料がある。例えば、VOの室温におけるTCRは2.0%/K程度であるが、VO(酸化バナジウム(IV))の金属−絶縁体の変化時におけるTCRは、70%/K以上である。しかし、構造転移によるヒステリシスが発生するため、昇温時の転移温度と降温時の転移温度が互いに異なる。これにより、同温度でも昇温時と降温時でTCRの違いが発生するため、VOで抵抗体膜を構成する場合、温度センサの制御が困難になる。
また、抵抗体膜を構成するVOに単元素を添加することによりヒステリシスを抑制することができるが、単元素の添加によりTCRの絶対値が低下するため、検出感度が低下する。
これについて、特許文献1に記載の温度センサでは、価数の異なる2種類の元素、具体的には、4価のV(バナジウム)よりも価数の大きい第1元素と、4価のVよりも価数の小さい第2元素とを添加したVOで抵抗体膜を構成している。これにより、TCRの絶対値の低下を抑制しつつ、ヒステリシスを抑制することができる。
特開2015−68687号公報
しかしながら、特許文献1に記載の温度センサのように、第1元素の添加量を第2元素の添加量以下とした場合、抵抗体膜の転移温度が室温に比べて高く、例えば80℃前後となる。そのため、温度センサの使用温度をTCRの絶対値が大きくなる転移温度に近づけると、使用温度が室温に比べて高くなり、実効的なセンサ性能の低下等の問題が発生する。
本発明は上記点に鑑みて、抵抗体膜の転移温度を室温に近づけることができる温度センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)と、赤外線吸収膜の温度変化に伴って抵抗値が変化する抵抗体膜(2)と、抵抗体膜に電気的に接続される配線層(4)と、を備え、抵抗体膜の抵抗値の変化を配線層より赤外線の照射強度を表す信号として取り出す温度センサであって、抵抗体膜は、第1元素と、第2元素とが添加された酸化バナジウム(IV)により構成されており、第1元素の価数Mは4より大きく、第2元素の価数Nは4より小さく、抵抗体膜を構成する酸化バナジウム(IV)への第1元素の添加量m(atom%)は、第2元素の添加量n(atom%)よりも大きい。
このように、抵抗体膜を構成するVOへの第1元素の添加量m(atom%)を、第2元素の添加量n(atom%)よりも大きくすることにより、抵抗体膜の転移温度を室温に近づけることができる。
また、請求項10に記載の発明では、照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)と、赤外線吸収膜の温度変化に伴って抵抗値が変化する抵抗体膜(2)と、抵抗体膜に電気的に接続される配線層(4)と、を備え、抵抗体膜の抵抗値の変化を配線層より赤外線の照射強度を表す信号として取り出す温度センサであって、抵抗体膜は、第1元素と、第2元素とが添加された酸化バナジウム(IV)により構成されており、第1元素の価数Mは4より大きく、第2元素の価数Nは4であり、抵抗体膜を構成する酸化バナジウム(IV)への第1元素の添加量m(atom%)は、第2元素の添加量n(atom%)よりも大きい。
このように、第2元素として価数が4の元素を用いた場合にも、抵抗体膜を構成するVOへの第1元素の添加量m(atom%)を、第2元素の添加量n(atom%)よりも大きくすることにより、抵抗体膜の転移温度を室温に近づけることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態にかかる温度センサの断面構成を示す図である。 図1に示す温度センサの製造工程を示した断面図である。 抵抗体膜の温度と抵抗値との関係を示すグラフである。 添加する元素の価数とTCRの絶対値の減少率との関係を示すグラフである。 添加する元素のイオン半径とヒステリシス低下率との関係を示すグラフである。 元素の添加量と転移温度との関係を示すグラフである。 元素の添加量とTCRとの関係を示すグラフである。 NbおよびCrの添加量とTCRおよびヒステリシス幅との関係を示すグラフである。 NbおよびCrの添加量とTCRとの関係を示すグラフである。 NbおよびCrの添加量とヒステリシス幅との関係を示すグラフである。 NbおよびCrの添加量の差と転移温度との関係を示すグラフである。 NbおよびCrの添加量と転移温度との関係を示すグラフである。 良好な特性が得られるNbとCrの添加量の範囲を示すグラフである。 良好な特性が得られるNbとCrの添加量の範囲を示すグラフである。 抵抗体膜の温度と抵抗値との関係を示すグラフである。 抵抗体膜の抵抗率とTCRとの関係を示すグラフである。 第2実施形態にかかる温度センサの製造工程を示した断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる温度センサについて説明する。まず、図1を参照して、本実施形態のボロメータ方式の温度センサの構造について説明する。
図1に示すように、下地絶縁膜となるAl(酸化アルミニウム)層1の上に抵抗体膜となるVO膜2が形成されている。Al層1は、Al(001)基板をパターニングすることによって構成されたものである。AlとVOは格子定数が近く、Al層1の上にVO膜2がエピタキシャル成長によって形成されている。Al層1は結晶構造としてコランダム構造を有しており、その上にルチル構造をとるVO膜2が形成されている。
これらAl層1およびVO膜2の周囲、具体的にはAl層1のうちVO膜2と反対側となる裏面側以外はVO膜2およびパッシベーション膜3によって覆われている。そして、VO膜2については、その両端がパッシベーション膜3に形成された配線層4と電気的に接続されている。なお、Al層1およびVO膜2については、上面形状が単純な四角形状などであっても良いが、所望の抵抗特性に応じて適宜パターニングされた形状とされていても良い。
VO膜2を構成するVOには、4価のVよりも価数が大きく、第1元素に相当する5価のNb(ニオブ)と、価数が4よりも小さく、第2元素に相当する3価のCr(クロム)とが添加されている。つまり、Nbの添加量をm(atom%)、Crの添加量をn(atom%)とすると、VO膜2は、V1−m/100−n/100Crn/100Nbm/100で構成されている。
VO膜2を構成するVOへのNbの添加量m(atom%)は、Crの添加量n(atom%)よりも大きく、本実施形態では、m=6atom%、n=4atom%とされている。
パッシベーション膜3はシリコン酸化膜(SiO膜)などの絶縁膜によって構成されており、Al層1およびVO膜2の側面および上面を覆っている。このパッシベーション膜3にコンタクトホール3aが形成されており、パッシベーション膜3の表面に形成された配線層4がコンタクトホール3aを通じてVO膜2と電気的に接続されている。
配線層4は、VO膜2に電気的に接続されており、VO膜2の抵抗値変化を外部に出力するために用いられる。配線層4は、例えばAl(アルミニウム)配線などによって構成され、VO膜2の両端に接続されている。
また、配線層4を覆うように例えばシリコン窒化膜(SiN膜)にて構成される保護膜5が成膜されている。保護膜5には配線層4の一部を露出させる開口部5aが形成されており、この開口部5aから露出させられた配線層4がパッド部4aとして用いられ、図示しないボンディングワイヤなどと電気的に接続される。
そして、この保護膜5の表面上において、赤外線吸収膜6が形成されている。赤外線吸収膜6は、例えばカーボンペーストやシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜の多層膜などによって構成され、赤外線の照射強度に応じて赤外線を吸収し、その吸収量に応じて温度変化する。この赤外線吸収膜6の温度がVO膜2に伝わり、赤外線吸収膜6の温度変化がVO膜2の抵抗値変化として現れることで、配線層4を通じて赤外線の照射強度を表す信号を外部に取り出すことが可能となっている。このように、赤外線吸収膜6やその下方に位置するAl層1およびVO膜2が配置された部分がセンサ部として機能する。
一方、Al層1の裏面側、つまりVO膜2と反対側において、Al層1を露出させるように、パッシベーション膜3に支持基板7が貼り付けられている。支持基板7は、例えばシリコン基板によって構成されており、Al層1と対応する位置が貫通させられて開口部とされることでAl層1を露出させている。これにより、支持基板7の上方の構成要素のうちのセンサ部として機能する部分が薄膜のメンブレンとされている。また、支持基板7のうちのAl層1と反対側の表面には、シリコン窒化膜などによって構成された保護マスク8が配置されている。保護マスク8も、支持基板7と同様に、Al層1と対応する位置が除去されており、Al層1を露出させている。
なお、支持基板7が除去された部分は、空気が充填もしくは温度センサを図示しない真空容器内に配置することで真空状態とされ、Al層1から支持基板7への伝熱が抑制されるようにしてある。支持基板7とAl層1とは若干接触していても良いが、Al層1の断熱性を高めるために、支持基板7とは接触していない方が好ましい。
このような構成により、本実施形態にかかる温度センサが構成されている。続いて、本実施形態にかかる温度センサの製造方法について、図2を参照しながら説明する。
〔図2(a)に示す工程〕
まず、Al層1を構成するAl(001)基板を用意する。Al(001)基板は、結晶構造としてコランダム構造を有している。このAl(001)基板の表面にルチル構造を有するVO膜2を形成する。例えば、VO膜2をパルスレーザ堆積法によって成膜することができる。
パルスレーザ堆積法による場合、Nbを6atom%、Crを4atom%添加したVターゲットを例えば焼結によって生成しておき、Al(001)基板と共にVターゲットを真空チャンバー内に設置する。そして、レーザ照射によってターゲットを昇華させ、Al(001)基板上にVO膜2を蒸着させる。
このとき、基板温度を350℃以上、例えば500℃とし、真空チャンバー内を1.33Pa(=10mTorr)の酸素雰囲気として、レーザ照射によってVターゲットをアブレーションしてVO膜2を成膜する。
このとき、温度センサが接続される回路とマッチングする抵抗値(例えば10k〜100kΩ)となるようにVO膜2の膜厚制御を行う。例えば、VO膜2の成膜を330℃で行う場合、VO膜2を6〜12nmの膜厚で形成すると、所望の抵抗値(例えば10k〜100kΩ)が得られた。また、VO膜2の抵抗率は、0.08Ω・cmとなった。
このように、パルスレーザ堆積法などによって、VO膜2を成膜することができる。パルスレーザ堆積法によってVO膜2を成膜する場合、組成制御が容易であるし、高融点材料の成膜を容易に行うことが可能となる。このときのVO膜2の結晶構造は、基本的には下地基板となるAl層1の結晶構造が引き継がれることになるため、Al層1と同じになる。すなわち、単結晶で構成されるAl(001)基板の結晶構造が引き継がれ、VO膜2も単結晶となる。VO膜2の成膜後、基板温度を200℃以下に下げる。
〔図2(b)に示す工程〕
表面側にVO膜2を成膜したAl層1を必要に応じてスマートカット法などによって所定厚さに加工したのち、シリコン基板などによって構成される支持基板7に貼り合わせる。そして、図示しないマスクを用いてAl層1およびVO膜2をパターニングし、所望位置にのみ残す。
このような方法を用いてAl層1およびVO膜2を支持基板7上に形成することにより、VO膜2の結晶性を良好にすることができる。これにより、TCR、ノイズ特性などが良好になり、温度センサの特性が向上する。
〔図2(c)に示す工程〕
パターニング後のAl層1およびVO膜2を覆うように、支持基板7の上面にシリコン酸化膜などの絶縁膜で構成されるパッシベーション膜3を成膜する。
〔図2(d)に示す工程〕
図示しないマスクを用いて、パッシベーション膜3の所望位置、具体的にはVO膜2の両端と対応する位置をエッチングし、VO膜2の両端位置を露出させる。そして、アルミニウムなどの配線材料を成膜したのち、これをパターニングすることで配線層4を形成する。
この後の工程については図示しないが、次のような各種工程を行っている。すなわち、配線層4の表面を覆うようにシリコン窒化膜などからなる保護膜5を形成した後、これをパターニングして開口部5aを形成する。また、支持基板7を裏面研削・研磨して薄肉化した後、支持基板7の裏面にシリコン窒化膜などによって構成される保護マスク8を成膜する。さらに、保護マスク8をパターニングしてAl層1およびVO膜2の形成位置と対応する部分を開口させたのち、保護マスク8をマスクとしたウェットエッチングを行うことで支持基板7のうちAl層1およびVO膜2の形成位置と対応する部分を除去する。そして、保護膜5の表面にカーボンペーストなどによる赤外線吸収膜6を形成した後、これをパターニングして所望位置に残す。このようにして、図1に示す温度センサが完成する。
温度センサの動作について説明する。上記のように構成される温度センサでは、センサ上部から赤外線が入射されると、それが赤外線吸収膜6に吸収され、赤外線吸収膜6の温度が上昇し、Al層1およびVO膜2を含めたセンサ部の温度が上昇する。
一方、配線層4を介してVO膜2に直流電圧が与えられており、センサ部の温度上昇に伴ってAl層1およびVO膜2の抵抗値が変化することから、それが電流変化として検出される。これにより、赤外線の照射強度を検出することが可能となる。
なお、ここでは詳細については図示していないが、温度センサにおいてはVO膜2のTCRの絶対値を大きくするために、一定温度駆動(マイクロヒータ制御)を行うのが好ましい。このため、センサ部の近傍にマイクロヒータを備えることで、TCRの絶対値をより大きくすることができる。
このような温度センサでは、VO膜2の抵抗値変化の温度依存性が高いほど、つまり、VO膜2のTCRの絶対値が大きいほど、検出精度が高くなる。したがって、温度センサの検出精度を向上させるために、VOにおいて金属−絶縁体の転移により70%/K以上のTCRが得られる転移温度付近で温度センサを使用することが好ましい。
しかし、構造転移によるヒステリシスが発生するため、昇温時の転移温度と降温時の転移温度は互いに異なる。そのため、転移温度付近では、同温度でも昇温時と降温時でTCRの違いが発生し、制御が困難になる。したがって、温度センサの制御を容易にし、検出精度を向上させるためには、ヒステリシスを抑制することが必要である。
このように、ボロメータ方式の温度センサでは、検出精度の向上のために、絶対値の大きいTCRを得ることと、温度に対する抵抗値の変化におけるヒステリシスを抑制することとの両立が要求されている。
これについて、VO膜2を構成するVOに単元素を添加することで、図3に示すようにヒステリシス幅ΔTが減少し、ヒステリシスが抑制されることが知られている。しかし、単元素を添加した場合、図3に示すように温度に対する抵抗値の変化が小さくなり、TCRの絶対値が減少する。なお、図3において、実線は元素を添加していない場合のVO膜2の温度と抵抗値との関係を示しており、破線は単元素を添加した場合のVO膜2の温度と抵抗値との関係を示している。
例えば、表1、図4、図5に示すように、VO膜2にNbを添加した場合、ヒステリシスは大きく抑制されるが、TCRの絶対値が大きく減少する。また、Crを添加した場合と、Ti(チタン)を添加した場合では、TCRの絶対値の減少率は小さいが、ヒステリシスの抑制の効果が小さい。
Figure 2017125847
なお、表1、図5において、ヒステリシス低下率とは、元素の単位添加量あたりのヒステリシス幅の減少量である。また、ヒステリシス幅とは、昇温時にTCRの絶対値が最大となるときの温度と、降温時にTCRの絶対値が最大となるときの温度との差である。
また、室温と使用温度との差が大きいと、以下の問題が発生する。すなわち、温度センサの使用温度が高くなると、温度依存性をもつノイズ成分の増加により実効的なセンサ性能が低下する。また、使用温度と環境温度との差が大きくなるため、温度一定駆動のための制御が困難になる。また、温度センサで使用するレンズの性能が高温領域において変化するため、制御が困難になる。
そのため、使用温度を室温に近づけることが好ましく、転移温度付近で使用する場合には、転移温度を室温に近づけることが好ましい。
本発明者らは、単元素の添加の効果を添加する元素の価数とイオン半径の観点から調査し、TCR、ヒステリシス、転移温度に関して以下のことを見出した。
第一に、添加される材料である4価のVより価数が大きい元素を添加することで、電子ドーピング効果によりTCRの絶対値が減少する。そして、添加する元素の価数が大きいほど、TCRの絶対値の減少率が大きくなる。なお、前述したように、Cr、Ti等、価数が4以下の元素を添加した場合にもTCRの絶対値は減少するが、価数が4より大きい元素を添加した場合に比べて、TCRの絶対値の減少率は小さい。
第二に、4価のVよりイオン半径が大きい元素を添加することにより、構造相転移が抑制され、ヒステリシスを低減することができる。そして、添加する元素のイオン半径が大きいほど、ヒステリシス低減の効果が大きくなる。
第三に、価数が4より小さい元素を添加した場合、転移温度はVOの転移温度である69℃よりも高くなり、価数が4より大きい元素を添加した場合、転移温度はVOの転移温度よりも低くなる。そして、添加量が多いほど、転移温度の上昇量および低下量が大きくなる。
例えば、表1、図6に示すように、Nbを添加した場合、転移温度が低くなり、Crを添加した場合、転移温度が高くなった。また、図6に示すように、Nbの添加量が増加するにつれて転移温度の低下量が増加し、Crの添加量が増加するにつれて転移温度の上昇量が増加した。
さらに、本発明者らは、価数が互いに異なる2種類の元素、具体的には、価数が4より大きい第1元素、および、価数が4より小さい第2元素を添加した場合の効果を調査し、以下のことを見出した。
第一に、TCRの絶対値の減少率は、第1元素の価数Mと、第2元素の価数Nと、第1元素の添加量と第2元素の添加量が互いに等しいときの減少率と、第1元素のみを添加したときの減少率と、第2元素のみを添加したときの減少率と、第1元素の添加量mと、第2元素の添加量nとに基づいて変化する。
具体的には、酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の最大値TCRMax(%/K)からVO膜2の抵抗温度係数を減算して得られる抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K)とすると、(M−4)+(N−4)=0のとき、ΔTCRは数式1で表される。また、|M−4|>|N−4|のとき、ΔTCRは数式2で表される。また、|M−4|<|N−4|のとき、ΔTCRは数式3で表される。
Figure 2017125847
Figure 2017125847
Figure 2017125847
ここで、a=|(M−4)−(N−4)|とする。また、酸化バナジウム(IV)に第1元素および第2元素を互いに等しい添加量で添加したときの、第1元素および第2元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)とする。また、酸化バナジウム(IV)に第1元素を添加したときの、第1元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)とする。また、酸化バナジウム(IV)に第2元素を添加したときの、第2元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)とする。
例えば、表1、図4、図7に示すように、Nbを6atom%、Crを4atom%添加した場合、TCRの絶対値の減少率は8.2%/K/atom%、TCRの絶対値は16.1%/Kとなった。
なお、図4、図5、図7において、黒四角は、Nbを6atom%、Crを4atom%添加した場合の、TCRの絶対値の減少率、ヒステリシス低下率、TCRの絶対値を示している。
このように、NbおよびCrを添加すると、Nb、Crの一方のみを添加した場合に比べて、TCRの絶対値の減少率が低下した。これは、NbとCrとを添加することにより電子とホールのキャンセルが発生し、電子ドーピング効果によるTCRの絶対値の減少が抑制されたためと考えられる。
第二に、ヒステリシス低下率は、イオン半径から定まるヒステリシス低下量と、第1元素の添加量mと、第2元素の添加量nとに基づいて変化する。
具体的には、VO膜2の温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅をΔT(K)、酸化バナジウム(IV)の温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅をΔT(K)とすると、ΔT<ΔTとなる。そして、酸化バナジウム(IV)に第1元素を添加したときの単位添加量あたりの温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅の低下量をK(K/atom%)、酸化バナジウム(IV)に第2元素を添加したときの単位添加量あたりの温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅の低下量をK(K/atom%)とすると、ΔT−ΔT=mK+nKとなる。
例えば、表1、図5に示すように、Nbを6atom%、Crを4atom%添加した場合、ヒステリシス低下率は、0.81K/atom%となった。
なお、K、Kは、例えば、図5に示すようにイオン半径に対するヒステリシス低下量の測定結果を直線近似し、これにより得られた式にイオン半径を代入することで求めることができる。本発明者らがヒステリシス低下量の測定と測定結果の直線近似を行った結果、ヒステリシス低下率(K/atom%)は、232.6r−13.901となった。ここで、rは添加する元素のイオン半径(nm)である。
Crのみを添加した場合にはヒステリシス低下率が小さいが、このように、NbおよびCrを添加すると、Crのみを添加した場合に比べて添加元素のイオン半径の平均値が増加するため、VO膜2の結晶性の不均一性が増加し、ヒステリシス低下率が大きくなる。
第三に、転移温度の変化量は、第1元素の添加量mと、第2元素の添加量nとに基づいて変化する。例えば、NbとCrを添加した場合、図6に示すように、Nbの添加量がCrの添加量よりも小さいとき、VO膜2の転移温度は、VOの転移温度である69℃よりも高くなる。また、Nbの添加量がCrの添加量と等しいとき、VO膜2の転移温度は69℃となる。また、Nbの添加量がCrの添加量よりも大きいとき、VO膜2の転移温度は、69℃よりも低くなる。表1に示すように、Nbを6atom%、Crを4atom%添加した場合、転移温度は約30K低下し、40℃となった。
このように、TCRとヒステリシス幅は別々の要因によって変化する。したがって、TCRの絶対値が大きく、ヒステリシスが抑制された温度センサを製造するためには、電子ドーピングによるTCRの絶対値の減少を、価数の異なる2種類の元素を添加することで抑制し、イオン半径の大きい元素を添加することでヒステリシスを抑制するという方針で元素を選定すればよい。つまり、イオン半径が大きく価数の効果を打ち消し合う2つの元素を選定すれば、TCRの絶対値が大きく、ヒステリシスが抑制された温度センサを製造することができる。
2種類の元素をNbおよびCrとして、NbおよびCrの添加量と、TCR、ヒステリシス幅との関係について調べたところ、図8に示す結果となった。そして、本発明者らは、図8に示すデータから、図9に示す領域R1においてTCRの絶対値が2%/Kより大きくなり、領域R2においてTCRの絶対値が10%/Kより大きくなり、図10に示す領域R3においてヒステリシス幅が1.0K以下になると予想した。
すなわち、本発明者らは、n≧7(m−11)/2、かつ、n≦−5m/7+28のとき、TCRの絶対値が2%/Kよりも大きくなると予想した。また、n≧7(m−5)/2、かつ、n≦−5m/7+12のとき、TCRの絶対値が10%/Kよりも大きくなると予想した。また、n≧−5(m−8)/3、かつ、n≧−2m+15のとき、ヒステリシス幅が1.0K以下になると予想した。
NbおよびCrの添加量の差と、転移温度との関係について調べたところ、図11に示す結果となった。そして、本発明者らは、図11に示すデータから、NbおよびCrの添加量が図12に示す領域R4に含まれる値であるとき、つまり、n<m、かつ、n≧m−7のとき、転移温度が20℃以上69℃未満になると予想した。
これらの条件を満たす添加量の範囲を図13、図14に示す。NbおよびCrの添加量が領域R5に含まれる値であるとき、つまり、n<mかつn≧m−7かつn≧7(m−11)/2かつn≧−5(m−8)/3のとき、VO膜2のTCRの絶対値が2%/Kよりも大きくなり、ヒステリシス幅が1.0K以下となり、転移温度が20℃以上69℃未満となる。
また、NbおよびCrの添加量が領域R6に含まれる値であるとき、つまり、n<mかつn≧7(m−5)/2かつn≧−5(m−8)/3のとき、VO膜2のTCRの絶対値が10%/Kよりも大きくなり、ヒステリシス幅が1.0K以下となり、転移温度が20℃以上69℃未満となる。
例えば、Nbの添加量を6atom%、Crの添加量を4atom%とした本実施形態では、図15に示すように、TCRの絶対値の減少が抑制されるとともにヒステリシスが抑制されており、前述したように、TCRの絶対値は16.1%/K、ヒステリシス幅は0.3Kとなった。また、転移温度は40℃となった。このように、本実施形態では、TCRの絶対値の減少とヒステリシスとを抑制しながら、転移温度を室温に近づけることができる。
また、このような温度センサにおいては、温度センサを制御する回路側の要請から、VO膜2の抵抗値を10k〜100kΩ程度とすることが望ましい。VO膜2の膜厚の調整により抵抗値の制御が可能であるが、熱時定数、比熱、寸法の観点から、VO膜2の膜厚を100nm以下とすることが望まれる。したがって、100nm以下で要請される抵抗値を満たすために、VO膜2の抵抗率を0.1Ω・cm以下とすることが望ましい。
本実施形態では、図16に示すように、TCRの絶対値が10%/Kよりも大きくなるときの抵抗率が0.1Ω・cm以下となった。このように、本実施形態では、TCRの絶対値の減少を抑制しつつ、VO膜2の抵抗率を0.1Ω・cm以下として熱時定数、比熱、寸法の観点からの要請と回路側の要請とを満たすことができる。
また、VO膜2の抵抗率が増大すると、熱ノイズが発生するが、本実施形態では、VO膜2の抵抗率を0.1Ω・cm以下とすることにより、熱ノイズの発生を抑制し、温度センサの精度を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態では、VO膜2を構成するVOに適切な量のNbとCrとを添加することにより、転移温度を低下させて室温に近づけ、温度センサの検出精度を向上させることができる。また、TCRの絶対値の減少とヒステリシスとを抑制し、低抵抗率を達成することにより、温度センサの検出精度をさらに向上させることができる。このような温度センサの適用により、非冷却ナイトビジョンイメージャの高感度化、非冷却用赤外検知器の高感度化を図ることができる。
なお、本実施形態では、第2元素として価数が4より小さい元素を用いたが、価数が4の元素の中にも、第2元素として用いた場合に、転移温度、TCR、ヒステリシス幅ΔTに関して上記のようにVO膜2の特性が向上するものがある。
例えば第2元素として4価のTiを用いた場合にも、n<mかつn≧m−7とすることで、VO膜2の転移温度を20℃以上69℃未満とすることができる。また、ΔTCR=nΔTCR+(a+1)(m−n)ΔTCRとなることに基づいて第1元素の添加量mおよび第2元素の添加量nを設定することで、VO膜2のTCRの絶対値を2%/K、あるいは10%/Kよりも大きくすることができる。また、ΔT−ΔT=mK+nKであることに基づいて第1元素の添加量mおよび第2元素の添加量nを設定することで、ヒステリシス幅ΔTを1.0K未満とすることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して温度センサの製造方法を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、温度センサの製造方法のうち、支持基板7の上にAl層1とVO膜2とを形成する方法が第1実施形態と異なる。本実施形態におけるAl層1とVO膜2とを形成する方法について、図17を参照しながら説明する。
図17(a)に示す工程では、支持基板7の上面に、熱酸化によりSiO膜9を成膜する。図17(b)に示す工程では、図示しないマスクを用いたエッチングにより、SiO膜9のうち、Al層1の形成予定領域に対応する部分を除去し、支持基板7の上面の一部を露出させる。
図17(c)に示す工程では、PVD(Physical Vapor Deposition)を用いて、SiO膜9を除去した部分にAl層1を成膜し、その後、パルスレーザ堆積法を用いて、Al層1およびSiO膜9の上面に、NbおよびCrが添加されたVO膜2を成膜する。このとき、VO膜2のうち、SiO膜9の上面に形成された部分は、非晶質(アモルファス)状態となる。
図17(d)に示す工程では、図示しないマスクを用いたエッチングにより、VO膜2のうちSiO膜9の上面に形成された部分と、SiO膜9とを除去する。これにより、支持基板7の上面には、Al層1と、Al層1の上面に形成されたVO膜2とが残される。
このように製造される本実施形態の温度センサにおいても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態では、VO膜2を構成するVOに価数が4よりも大きい第1元素としてNbを添加し、価数が4よりも小さい第2元素としてCrを添加したが、第1元素および第2元素は、バナジウム酸化物と合金を形成する元素、具体的には、VOと共にルチル構造の固溶体を形成する元素であって、上記の設計指針にしたがって添加量を設計できる元素であればよく、NbおよびCr以外の元素をVOに添加してもよい。例えば、第1元素として6価のW(タングステン)、5価のMo(モリブデン)、5価のTa(タンタル)等を添加してもよい。また、例えば、第2元素として3価のAl、3価のGa(ガリウム)、3価のFe(鉄)等を添加してもよい。NbおよびCr以外の元素を添加する場合にも、n<m、かつ、n≧m−7とすることで、転移温度を20℃以上69℃未満とすることができる。また、数式1〜3に基づいて第1元素の添加量mおよび第2元素の添加量nを設定することで、VO膜2のTCRの絶対値を2%/K、あるいは10%/Kよりも大きくすることができる。また、ΔT−ΔT=mK+nKであることに基づいて第1元素の添加量mおよび第2元素の添加量nを設定することで、ヒステリシス幅ΔTを1.0K未満とすることができる。
また、上記第1実施形態では、VO膜2が形成される下地絶縁膜としてAl層1を用いたが、下地絶縁膜をVOと格子定数の近いTiO(酸化チタン)で構成してもよい。下地絶縁膜をTiOで構成した場合にも、NbおよびCrの添加量と、TCR、ヒステリシス、転移温度との関係について、第1実施形態と同様の結果が得られる。
1 Al
2 VO
3 パッシベーション膜
4 配線層
5 保護膜
6 赤外線吸収膜
7 支持基板
8 保護マスク

Claims (24)

  1. 照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)と、前記赤外線吸収膜の温度変化に伴って抵抗値が変化する抵抗体膜(2)と、前記抵抗体膜に電気的に接続される配線層(4)と、を備え、前記抵抗体膜の抵抗値の変化を前記配線層より赤外線の照射強度を表す信号として取り出す温度センサであって、
    前記抵抗体膜は、第1元素と、第2元素とが添加された酸化バナジウム(IV)により構成されており、
    前記第1元素の価数Mは4より大きく、
    前記第2元素の価数Nは4より小さく、
    前記抵抗体膜を構成する酸化バナジウム(IV)への前記第1元素の添加量m(atom%)は、前記第2元素の添加量n(atom%)よりも大きい温度センサ。
  2. 前記第1元素の添加量mと、前記第2元素の添加量nとが、n≧m−7を満たす請求項1に記載の温度センサ。
  3. (M−4)+(N−4)=0であり、
    酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の最大値TCRMax(%/K)と前記抵抗体膜の抵抗温度係数との差をΔTCR(%/K)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素および前記第2元素を互いに等しい添加量で添加したときの、前記第1元素および前記第2元素の添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素を添加したときの、前記第1元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)としたとき、
    ΔTCR=nΔTCR+(m−n)ΔTCRとなることに基づいて、前記最大値TCRMaxから前記差ΔTCRを減算して得られる前記抵抗体膜の抵抗温度係数が2%/Kよりも大きくなるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項1または2に記載の温度センサ。
  4. |M−4|>|N−4|であり、
    酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の最大値TCRMax(%/K)と前記抵抗体膜の抵抗温度係数との差をΔTCR(%/K)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素および前記第2元素を互いに等しい添加量で添加したときの、前記第1元素および前記第2元素の添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素を添加したときの、前記第1元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)とし、
    |(M−4)−(N−4)|=aとしたとき、
    ΔTCR=nΔTCR+(a+1)(m−n)ΔTCRとなることに基づいて、前記最大値TCRMaxから前記差ΔTCRを減算して得られる前記抵抗体膜の抵抗温度係数が2%/Kよりも大きくなるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項1または2に記載の温度センサ。
  5. |M−4|<|N−4|であり、
    酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の最大値TCRMax(%/K)と前記抵抗体膜の抵抗温度係数との差をΔTCR(%/K)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素および前記第2元素を互いに等しい添加量で添加したときの、前記第1元素および前記第2元素の添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素を添加したときの、前記第1元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第2元素を添加したときの、前記第2元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)とし、
    |(M−4)−(N−4)|=aとしたとき、
    m<(a+1)nではΔTCR=mΔTCR+{(a+1)n−m}ΔTCRとなり、(a+1)n<mではΔTCR={(a+1)n−m}ΔTCR+{m−(a+1)n}ΔTCRとなることに基づいて、前記最大値TCRMaxから前記差ΔTCRを減算して得られる前記抵抗体膜の抵抗温度係数が2%/Kよりも大きくなるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項1または2に記載の温度センサ。
  6. 前記抵抗体膜の抵抗温度係数が10%/Kよりも大きくなるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項3ないし5のいずれか1つに記載の温度センサ。
  7. 前記第2元素は、酸化バナジウム(IV)と共にルチル構造の固溶体を形成する元素である請求項1ないし6のいずれか1つに記載の温度センサ。
  8. 前記第2元素は、クロム、アルミニウム、ガリウム、鉄のいずれかである請求項7に記載の温度センサ。
  9. 前記第2元素の価数は3である請求項8に記載の温度センサ。
  10. 照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)と、前記赤外線吸収膜の温度変化に伴って抵抗値が変化する抵抗体膜(2)と、前記抵抗体膜に電気的に接続される配線層(4)と、を備え、前記抵抗体膜の抵抗値の変化を前記配線層より赤外線の照射強度を表す信号として取り出す温度センサであって、
    前記抵抗体膜は、第1元素と、第2元素とが添加された酸化バナジウム(IV)により構成されており、
    前記第1元素の価数Mは4より大きく、
    前記第2元素の価数Nは4であり、
    前記抵抗体膜を構成する酸化バナジウム(IV)への前記第1元素の添加量m(atom%)は、前記第2元素の添加量n(atom%)よりも大きい温度センサ。
  11. 前記第1元素の添加量mと、前記第2元素の添加量nとが、n≧m−7を満たす請求項10に記載の温度センサ。
  12. |M−4|>|N−4|であり、
    酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の最大値TCRMax(%/K)と前記抵抗体膜の抵抗温度係数との差をΔTCR(%/K)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素および前記第2元素を互いに等しい添加量で添加したときの、前記第1元素および前記第2元素の添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素を添加したときの、前記第1元素の単位添加量あたりの該酸化バナジウム(IV)の抵抗温度係数の変化量をΔTCR(%/K/atom%)とし、
    |(M−4)−(N−4)|=aとしたとき、
    ΔTCR=nΔTCR+(a+1)(m−n)ΔTCRとなることに基づいて、前記最大値TCRMaxから前記差ΔTCRを減算して得られる前記抵抗体膜の抵抗温度係数が2%/Kよりも大きくなるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項10または11に記載の温度センサ。
  13. 前記抵抗体膜の抵抗温度係数が10%/Kよりも大きくなるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項12に記載の温度センサ。
  14. 前記第2元素は、酸化バナジウム(IV)と共にルチル構造の固溶体を形成する元素である請求項10ないし13のいずれか1つに記載の温度センサ。
  15. 前記第2元素は、チタンである請求項14に記載の温度センサ。
  16. 前記抵抗体膜の温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅をΔT(K)、
    酸化バナジウム(IV)の温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅をΔT(K)としたとき、ΔT<ΔTである請求項1ないし15のいずれか1つに記載の温度センサ。
  17. 前記抵抗体膜の温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅をΔT(K)、
    酸化バナジウム(IV)の温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅をΔT(K)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第1元素を添加したときの、前記第1元素の単位添加量あたりの温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅の低下量をK(K/atom%)、
    酸化バナジウム(IV)に前記第2元素を添加したときの、前記第2元素の単位添加量あたりの温度に対する抵抗値変化のヒステリシス幅の低下量をK(K/atom%)としたとき、
    ΔT−ΔT=mK+nKであることに基づいて、前記ヒステリシス幅ΔTが1.0K未満となるように前記第1元素の添加量mおよび前記第2元素の添加量nが設定された請求項1ないし15のいずれか1つに記載の温度センサ。
  18. 前記第1元素は、酸化バナジウム(IV)と共にルチル構造の固溶体を形成する元素である請求項1ないし17のいずれか1つに記載の温度センサ。
  19. 前記第1元素は、ニオブ、タングステン、モリブデン、タンタルのいずれかである請求項18に記載の温度センサ。
  20. 前記第1元素は、5価のニオブ、6価のタングステン、5価のモリブデン、5価のタンタルのいずれかである請求項19に記載の温度センサ。
  21. 前記第1元素が5価のニオブであり、
    前記第2元素が3価のクロムである請求項1または2に記載の温度センサ。
  22. 前記第1元素の添加量mと、前記第2元素の添加量nとが、n≧7(m−11)/2、n≦−5m/7+28を満たす請求項21に記載の温度センサ。
  23. 前記第1元素の添加量mと、前記第2元素の添加量nとが、n≧7(m−5)/2を満たす請求項22に記載の温度センサ。
  24. 前記第1元素の添加量mと、前記第2元素の添加量nとが、n≧−5(m−8)/3を満たす請求項21ないし23のいずれか1つに記載の温度センサ。
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