以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のシール構造体50aを備える蒸気タービン1を模式的に示す子午断面図である。ここでは、低圧タービンを例示して説明する。
図1に示すように、蒸気タービン1は、ケーシング2を備える。ケーシング2内には、タービンロータ3が貫設されている。タービンロータ3には、複数のロータディスク4が形成されている。このロータディスク4に、複数の動翼6が周方向に植設され、動翼翼列を構成している。動翼翼列は、タービンロータ3の軸方向(以下、軸方向ともいう)に複数段構成されている。なお、タービンロータ3は、図示しないロータ軸受によって回転可能に支持されている。
ケーシング2の内周には、ダイアフラム外輪8が設置されている。ダイアフラム外輪8の内側には、ダイアフラム内輪9が設置されている。また、ダイアフラム外輪8とダイアフラム内輪9との間には、周方向に亘って複数の静翼10が配置され、静翼翼列を構成している。この静翼翼列は、軸方向に動翼翼列と交互に複数段備えられている。そして、静翼翼列と、その直下流側に位置する動翼翼列とで一つのタービン段落を構成している。
ダイアフラム外輪8とダイアフラム内輪9との間には、動翼6を回転させて動力を発生させる主蒸気Xの流れる環状の蒸気流路11が形成されている。タービンロータ3とケーシング2との間には、蒸気の外部への漏洩を防止するために、グランドシール部12が設けられている。また、後述するように、蒸気タービン1には、回転構造体の側面から突出している環状の突状部材13を備えるシール構造体50aが形成されている。
また、蒸気タービン1には、クロスオーバ管18からの蒸気を蒸気タービン1の内部に導入するための蒸気入口管(図示しない)がケーシング2を貫通して設けられている。最終段のタービン段落の下流側には、タービン段落において膨張仕事をした蒸気を排気するための排気流路(図示しない)が設けられている。この排気流路は、復水器(図示しない)に連通されている。
なお、ここでは、蒸気タービン1として、低圧タービンを例示して説明したが、本実施の形態の構成は、中圧タービンや高圧タービンなどにも適用することができる。本実施の形態の構成は、低圧タービン、中圧タービン、高圧タービンの少なくとも一つのタービン段落に設けられる。
次に、シール構造体50aについて詳しく説明する。
図2は、第1の実施の形態のシール構造体50aを模式的に示す断面図である。図2に示すように、シール構造体50aは、回転構造体、静翼10を有する静止構造体、突状部材13、およびシール部材14を備える。
回転構造体は、軸方向に複数のロータディスク4を有するタービンロータ3と、ロータディスク4に周方向に植設された複数の動翼6とを備える。タービンロータ3に形成されたロータディスク4は、タービンロータ3の周面から半径方向外側に周方向に亘って突出している。ロータディスク4の先端には、動翼6の植込部5を介して、動翼6が植設されている。また、動翼6の先端には、シュラウド7が設けられている。
静止構造体は、ダイアフラム外輪8と、ダイアフラム外輪8の内側に設けられているダイアフラム内輪9と、ダイアフラム外輪8およびダイアフラム内輪9の間に周方向に亘って支持されている複数の静翼10とを備える。静翼10は、軸方向に動翼6と交互に配設されている。
突状部材13は、環状であり、ロータディスク4の側面から周方向に亘って軸方向に突出される。突状部材13の外周面13aは、ダイアフラム内輪9の内周面9aに離間して対向している。突状部材13の外周面13aは、軸方向に水平、すなわち、ロータディスク4の側面4a,4bにほぼ垂直である。突状部材13のうち、ロータディスク4の下流側の側面4aに設けられ、下流側の側面4aから、当該ロータディスク4の直下流のロータディスク4の上流側の側面4bに向かって突出している突状部材がある。以下では、この突状部材を上流側の突状部材13ともいう。さらに、突状部材13のうち、ロータディスク4の上流側の側面4bに設けられ、上流側の側面4bから、当該ロータディスク4の直上流のロータディスク4の下流側の側面4aに向かって突出している突状部材がある。以下では、この突状部材を下流側の突状部材13ともいう。
突状部材13は、軸方向において、ダイアフラム内輪9の内周面9aに平行な外周面13aと、外周面13aに対して鋭角な所定の角度で傾斜した傾斜面13bとを備える。外周面13aは、環状であり、ロータディスク4の側面から周方向に亘って軸方向に伸びている。また、傾斜面13bは、突状部材13の内周面に相当する。外周面13aは、タービンロータ3の半径方向(以下、半径方向ともいう)の内側から傾斜面13bに支持されることによって、ダイアフラム内輪9との離間を維持している。外周面13aの軸方向の長さについては、少なくとも一部、例えば上流側の突状部材13であれば、外周面13aの下流側の端部がダイアフラム内輪9に設けられているシール部材14に離間して対向できればよい。
ロータディスク4の側面における突状部材13の半径方向の設置位置は、後述するように、突状部材13の外周面13aとシール部材14の先端との稼動時間隙が狭くなるように設定されることが好ましく、稼動時間隙がほぼゼロとなるように設定されることが好ましい。
また、突状部材13の材質は、後述するように、タービンロータ3の回転時に、突状部材13が遠心力によって撓むことができればよい。
ロータディスク4の側面から突出している突状部材13は、ロータディスク4と一体化されておらずに、ロータディスク4と別体に構成される。そして、突状部材13は、ロータディスク4に対して着脱可能である。突状部材13の詳細な構成については、後で説明する。
シール部材14は、環状であり、突状部材13の外周面13aとダイアフラム内輪9の内周面9aとの間に配設される。このシール部材14は、突状部材13の外周面13aとダイアフラム内輪9の内周面9aとの間からの蒸気Yの漏出を抑制する。ここでは、図2に示すように、シール部材14が軸方向に複数設けられる構成を示すが、シール部材14は一つであってもよい。シール構造体50aのシール性能の観点から、シール部材14は複数設けられることが好ましい。
シール部材14は、ダイアフラム内輪9の内周面9aから突状部材13に向けて突出される環状のシールフィンである。シールフィンの先端は、突状部材13の外周面13aと離間して対向している。シール部材14は、ダイアフラム内輪9と一体であってもよいし、別体であってもよい。シール部材14が別体であるとき、シール部材14はダイアフラム内輪9に支持される。
図2に示す蒸気Yは、蒸気流路11を流れる主蒸気Xから分流したものであり、蒸気タービン1の動力の発生に寄与しない。主蒸気Xから分流した蒸気Yは、植込部5の下流側の側面とダイアフラム内輪9の上流側の側面との間隙を、タービンロータ3の半径方向内側に漏出する。続いて、蒸気Yは、突状部材13の外周面13aとダイアフラム内輪9の内周面9aとの間隙を、タービンロータ3の軸方向下流側に漏出する。続いて、蒸気Yは、植込部5の上流側の側面とダイアフラム内輪9の下流側の側面との間隙を、タービンロータ3の半径方向外側に漏出する。
次に、突状部材13の構成について説明する。以下では、突状部材13の一例を説明するものであり、突状部材13の構成は、ロータディスク4と別体で、ロータディスク4に対して着脱可能であれば、特には限定されない。
図3は、図1のA−A線に沿った断面図である。図3に示す断面図は、下流側から見たタービンロータ3の軸方向に垂直な図である。図4は、図3のB−B線に沿った断面図であり、突状部材13を構成する突状部材片15を模式的に示す断面図である。また、図5は、図3のC−C線に沿った断面図であり、突状部材13を構成する突状部材片16を模式的に示す断面図である。なお、上記の図2は、図4に示す突状部材片15の設置位置での断面図である。
図3に示すように、環状の突状部材13は、タービンロータ3の周方向(以下、周方向ともいう)に亘って任意の数に分割可能な構成である。ここでは、突状部材13は、周方向に10等分に分割される。例えば、突状部材13は、図4に示す円弧状の突状部材片15を九個と、図5に示す円弧状の突状部材片16を一個とを周方向に連結させて構成される。
図4に示すように、突状部材片15は、半径方向内側の突状部材内部片151と半径方向外側の突状部材外部片152とから構成される。突状部材内部片151と突状部材外部片152とは、突状部材内部片151の外周面15aから、軸方向に分割される。突状部材片15における突状部材外部片152の内周面は、突状部材内部片151の外周面15aに接触している。突状部材内部片151の外周面15aは、突状部材13を周方向に分割させたときの分割された外周面13aに相当する。
上流側の突状部材13については、図4に示すように、突状部材内部片151の上流側の半径方向内側に、半径方向内側に向かって突出するフック部151aが形成されている。さらに、突状部材外部片152の上流側の半径方向外側に、半径方向外側に向かって突出するフック部152aが形成されている。また、下流側の突状部材13については、突状部材内部片151の下流側の半径方向内側に、半径方向内側に向かって突出するフック部151aが形成されている。さらに、突状部材外部片152の下流側の半径方向外側に、半径方向外側に向かって突出するフック部152aが形成されている。
図5に示す突状部材片16の構成は、円弧状の突状部材中部片163を具備する以外は、突状部材片15と同様である。突状部材片16は、半径方向内側の突状部材内部片161と、半径方向外側の突状部材外部片162と、突状部材内部片161および突状部材外部片162の間の突状部材中部片163とから構成される。突状部材内部片161と突状部材中部片163とは、突状部材内部片161の外周面16aから、軸方向に分割される。また、突状部材中部片163と突状部材外部片162とは、外周面16aよりも半径方向外側の任意の面から、軸方向に分割される。突状部材中部片163の半径方向の長さは、突状部材外部片162の半径方向の長さよりも小さい。
また、突状部材内部片151のフック部151aと同様に、突状部材内部片161にはフック部161aが形成されている。また、突状部材外部片152のフック部152aと同様に、突状部材外部片162にはフック部162aが形成されている。
また、ロータディスク4の下流側の側面4aおよび上流側の側面4bには、周方向に亘って嵌合溝41が形成されている。
図4および図5に示すように、側面4aに形成されている嵌合溝41は、ロータディスク4の上流側の半径方向内側および外側に、突状部材内部片151,161のフック部151a,161aおよび突状部材外部片152,162のフック部152a,162aと嵌合する溝部42を備える。さらに、嵌合溝41は、ロータディスク4の下流側の半径方向内側および外側に、フック部151a,161aおよびフック部152a,162aと軸方向で当接して、フック部151a,161aおよびフック部152a,162aの下流側への離脱を阻止する溝フック部43を備えている。溝フック部43は、フック部151a,161aおよびフック部152a,162aと嵌合している。
また、側面4bに形成されている嵌合溝41は、ロータディスク4の下流側の半径方向内側および外側に、突状部材内部片151,161のフック部151a,161aおよび突状部材外部片152,162のフック部152a,162aと嵌合する溝部42を備える。さらに、嵌合溝41は、ロータディスク4の上流側の半径方向内側および外側に、フック部151a,161aおよびフック部152a,162aと軸方向で当接して、フック部151a,161aおよびフック部152a,162aの上流側への離脱を阻止する溝フック部43を備えている。
なお、嵌合溝41に設けられている溝部42および溝フック部43の寸法は、後述する突状部材13の組立時および解体時に、突状部材片15の突状部材内部片151および突状部材外部片152が周方向にスライドできる程度に設計されている。
次に、突状部材13の組立方法および解体方法について説明する。ここでは、図3に示すように九個の突状部材片15と一個の突状部材片16とからなる突状部材13について説明する。しかしながら、突状部材13を構成する突状部材片15および突状部材片16の構成比は、特には限定されず、突状部材片16を少なくとも一個含まれていればよい。
突状部材13の組立方法は、まず突状部材片15を組立て、最後に突状部材片16を組立てる。具体的には、突状部材片15を構成する突状部材内部片151または突状部材外部片152の一方を、図3に示す突状部材片16を嵌合する嵌合溝41の部分に挿入し、嵌合溝41に嵌合させながら周方向にスライドして、突状部材片15を嵌合する嵌合溝41の部分に移動する。続いて、突状部材内部片151または突状部材外部片152の他方を、同様に突状部材片16を嵌合する嵌合溝41の部分に挿入し、周方向にスライドして、予め移動させた突状部材内部片151または突状部材外部片152の一方に合わせる。こうして、一つの突状部材片15を組立てる。続いて、同様にして、突状部材内部片151および突状部材外部片152を嵌合溝41に挿入し周方向に移動して、残りの突状部材片15を組立てる。
突状部材片15を嵌合する嵌合溝41の部分に九個の突状部材片15を組立てた後、突状部材片16を構成する突状部材内部片161または突状部材外部片162の一方を、突状部材片16を嵌合する嵌合溝41の部分に挿入する。続いて、突状部材内部片161または突状部材外部片162の他方を、同様に突状部材片16を嵌合する嵌合溝41の部分に挿入する。続いて、突状部材片16を嵌合する嵌合溝41の部分に予め挿入させた突状部材内部片161と突状部材外部片162との間に、突状部材中部片163を挿入する。突状部材中部片163は、嵌合溝41に最後に挿入する部材である。その後、突状部材内部片161と突状部材外部片162と突状部材中部片163とを溶接や固定ピンなどで構造的に固定させることによって、突状部材片16を組立てる。このように、複数の突状部材片15および突状部材片16を周方向に連結させることによって、突状部材13が組立てられる。
突状部材13の解体方法は、まず固定されている突状部材片16を解体した後に、突状部材片15を解体する。具体的には、溶接や固定ピンなどで構造的に固定されている突状部材内部片161と突状部材外部片162と突状部材中部片163とを所定の方法によって解体して、これらを嵌合溝41から取外す。続いて、複数の突状部材内部片151および突状部材外部片152を周方向に移動して、嵌合溝41から取外す。こうして、突状部材内部片151および突状部材外部片152がロータディスク4から取外されることによって、突状部材13が解体される。
なお、上記の突状部材13の組立方法および解体方法は、一例を示したものであり、突状部材13の組立方法および解体方法は上記によって何ら限定されるものではない。
図6は、第1の実施の形態のシール構造体50aの他の例を模式的に示す断面図である。シール構造体50aの他の例であるシール構造体50bとシール構造体50aとは、シール部材の配設構成が異なる以外は基本的に同じであり、シール性能や蒸気タービン1の仕事効率について同様の効果をもたらす。図6に示すように、シール構造体50bのシール部材14は、突状部材13の外周面13aからダイアフラム内輪9に向けて突出される環状のシールフィンである。シールフィンの先端は、ダイアフラム内輪9の内周面9aと離間して対向している。シール部材14は、突状部材13と一体であってもよいし、別体であってもよい。シール部材14が別体であるとき、シール部材14は突状部材13に支持される。
次に、蒸気タービン1の稼動時のシール構造体50aについて説明する。
蒸気タービン1の停止時では、ロータディスク4の側面から軸方向に突出している突状部材13の外周面13aと、ダイアフラム内輪9に設けられたシール部材14の先端との間に、間隙(以下、停止時間隙ともいう)が設定されている。停止時間隙は、突状部材13およびシール部材14の組立時の間隙に相当する。
タービンロータ3が回転すると、突状部材13には、遠心力が働く。突状部材13に作用する遠心力は、突状部材13を半径方向外周に浮上させる力である。この遠心力は、上流側の突状部材13に対して、ロータディスク4の側面4aの嵌合溝41に嵌合している突状部材13の上流側の部分(以下、固定部ともいう)を回転軸とする、反時計回りのモーメント力を与える。また、この遠心力は、下流側の突状部材13に対して、ロータディスク4の側面4bの嵌合溝41に嵌合している突状部材13の下流側の部分(以下、固定部ともいう)を回転軸とする、時計回りのモーメント力を与える。突状部材13がこのようなモーメント力を受けることによって、突状部材13は、固定部を起点として、半径方向外側に撓む。
蒸気タービン1の稼動時では、このように撓んだ突状部材13の外周面13aと、シール部材14の先端との間に、間隙(以下、稼動時間隙ともいう)が設定されている。上記のように、撓んだ突状部材13は半径方向外側に変形しているため、稼動時間隙のタービンロータの半径方向の長さは、停止時間隙よりも小さい。タービンロータ3の回転速度の上昇とともに、稼動時間隙は小さくなるため、シール構造体50aのシール性能は向上する。
また、停止時間隙よりも稼動時間隔が小さいことから、蒸気タービン1の稼動時を考慮して、突状部材13を設置することができる。換言すると、タービンロータ3の定格回転速度時における突状部材13とシール部材14との間隙を限りなくゼロとなるように、突状部材13をタービンロータ3のロータディスク4に設置することができる。そのため、突状部材13の設置時には、突状部材13とシール部材14との間隙を限りなくゼロとなるように近づける必要がない。すなわち、タービンロータ3の定格回転速度に応じて、シール部材14に対して所定の間隙を開けて突状部材13を設置することができる。したがって、突状部材13はシール部材14に対して容易に取付けおよび取外しすることができる。
また、ダイアフラム内輪9の半径方向の長さは、当該ダイアフラム内輪9の直下流のロータディスク4の半径方向の長さよりも小さい。ダイアフラム内輪9の半径方向の長さとは、ダイアフラム内輪9の内周面9aから、ダイアフラム内輪9の外周面と静翼10との接続部までの長さである。ロータディスク4の半径方向の長さとは、タービンロータ3の周面とロータディスク4の底部との接続部から、ロータディスク4と植込部5との接続部までの長さである。ダイアフラム内輪の半径方向の長さが当該ダイアフラム内輪の直下流のロータディスクの半径方向の長さよりも大きい従来の蒸気タービンに比べて、ダイアフラム内輪の半径方向の長さが短縮される。そのため、蒸気タービンの製造コストを削減することができる。
次に、蒸気タービン1の稼動時に流れる蒸気に対するシール構造体50aの作用について説明する。
図1に示すように、クロスオーバ管18から流入した蒸気は、主蒸気Xとして、各タービン段落の動翼6および静翼10を備える蒸気流路11を流通する。主蒸気Xは、蒸気流路11を流通しながら膨張仕事を行い、タービンロータ3を回転させる。
主蒸気Xが蒸気流路11を流れているとき、突状部材13とダイアフラム内輪9との間隙を流れる蒸気Yが主蒸気Xから分流する。主蒸気Xから分流した蒸気Yは、図2に示すように、植込部5の下流側の側面とダイアフラム内輪9の上流側の側面との間隙を、半径方向内側に漏出する。半径方向内側に漏出した蒸気Yは、突状部材13の外周面13aとダイアフラム内輪9の内周面9aに設けられたシール部材14の先端との稼動時間隙を、軸方向下流側に漏出する。
突状部材13は、タービンロータ3の回転で生じる遠心力を受けることによって、半径方向外側であるダイアフラム内輪9側に撓む。突状部材13の外周面13aとシール部材14の先端との稼動時間隙は、タービンロータ3の回転速度の上昇と共に狭まる。そして、タービンロータ3が定格回転速度になると、稼動時間隙が狭まる状態を維持し、好ましくはほぼゼロの状態を維持する。突状部材13の外周面13aとシール部材14の先端との間を軸方向下流側に流れる蒸気Yの流れは、シール部材14によって妨げ続けられるため、蒸気Yの漏出量の減少は維持される。そして、主蒸気Xから分流した蒸気Yは、タービンロータ3の回転に寄与しないため、シール構造体50aは、蒸気タービン1の仕事効率を向上することができる。
シール部材14の先端が突状部材13の外周面13aに接触する場合、この接触によって突状部材13には摩耗や熱変形などの欠陥が生じる。しかしながら、突状部材13と別体構成であり、突状部材13と距離が離れているタービンロータ3には、このような欠陥は生じない。そのため、タービンロータ3には、欠陥に起因するラビング振動も発生しない。突状部材13とシール部材14との接触によるシール構造体50aのシール性能の低下が生じた場合には、欠陥の生じた箇所を含む突状部材片15,16を適宜交換すればよく、タービンロータ3の交換は不要である。突状部材片15,16の交換は、上記のように突状部材13を解体することによって容易に実施できる。もし従来のようにタービンロータ3を交換する場合には、蒸気タービン1全体を解体しなければならず、交換に多くの時間を要する。
上記では、シール構造体50aが上流側の突状部材13と下流側の突状部材13とを備えた構成について説明したが、シール構造体50aは上流側の突状部材13および下流側の突状部材13のいずれか一方を備えてもよい。シール性能や蒸気タービン1の仕事効率の観点から、シール構造体50aは上流側の突状部材13と下流側の突状部材13とを備えることが好ましい。
上記したように、第1の実施の形態のシール構造体50aによれば、ロータディスク4の側面から軸方向に突出した突状部材13と、突状部材13およびダイアフラム内輪9との間に配設したシール部材14とを具備することによって、突状部材13とダイアフラム内輪9との間隙を漏出する蒸気Yの量を減少させることができる。また、突状部材13はタービンロータ3のロータディスク4と別体に構成される。そのため、突状部材13とシール部材14とが接触した場合であっても、タービンロータ3には摩耗や熱変形などの欠陥やこれら欠陥に起因するラビング振動が発生しないので、シール構造体50aは信頼性に優れている。さらに、シール性能が低下した場合には、タービンロータ3を交換せずに、欠陥の生じた部分の突状部材13を交換すればよいので、シール構造体50aはメンテナンス性に優れている。
また、タービンロータ3が定格回転速度のとき、突状部材13とシール部材14との間隙が限りなくゼロとなるように、突状部材13はダイアフラム内輪9側に撓んだ状態を維持する。そのため、突状部材13は、シール部材14に対して所定の間隙を開けて設置させることができる。したがって、シール構造体50aは、突状部材13の取付けを容易にすることができ、蒸気タービン1の稼動時のシール性能を向上することができる。
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態のシール構造体50cを模式的に示す断面図である。なお、以下に示す実施の形態において、第1の実施の形態のシール構造体50aの構成と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
第2の実施の形態のシール構造体50cにおいて、動翼6の植込部52および突状部材53の構成が異なる以外は、第1の実施の形態のシール構造体50aの構成と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態のシール構造体50cの回転構造体は、ロータディスク4を有するタービンロータ3と、ロータディスク4に周方向に植設された複数の動翼6とを備える。ロータディスク4の先端には、動翼6の植込部52を介して、動翼6が植設されている。植込部52には、突状部材53が形成されている。
突状部材53は、環状であり、動翼6の植込部52の側面から周方向に亘って軸方向に突出される。突状部材53の外周面53aは、ダイアフラム内輪9の内周面9aに離間して対向している。
突状部材53は、軸方向において、ダイアフラム内輪9の内周面9aに平行な外周面53aと、外周面53aに対して鋭角な所定の角度で傾斜した傾斜面53bとを備える。外周面53aは、環状であり、植込部52の側面から周方向に亘って軸方向に伸びている。また、傾斜面53bは、突状部材53の内周面に相当する。外周面53aの軸方向の長さについては、外周面53aの少なくとも一部がダイアフラム内輪9に設けられているシール部材14に離間して対向できればよい。
突状部材53は、タービンロータ3の回転時に、突状部材53が遠心力によって撓むことができ、かつ強度が確保されるような形状である。
動翼6の側面から突出している突状部材53は、動翼6の植込部52と一体化されて構成される。
ここでは、周方向からロータディスク4に挿入して植設する動翼6を例示しているが、動翼6の構成はこれに限定されるものではない。例えば、動翼6は、軸方向からロータディスク4に挿入されて植設される構成であってもよい。
シール部材14は、環状であり、突状部材53の外周面53aとダイアフラム内輪9の内周面9aとの間に配設される。このシール部材14は、突状部材53の外周面53aとダイアフラム内輪9の内周面9aとの間からの蒸気Yの漏出を抑制する。
シール部材14は、ダイアフラム内輪9の内周面9aから突状部材53に向けて突出される環状のシールフィンである。シールフィンの先端は、突状部材53の外周面53aと離間して対向している。シール部材14は、ダイアフラム内輪9と一体であってもよいし、別体であってもよい。
また、シール部材14は、突状部材53の外周面53aからダイアフラム内輪9に向けて突出される環状のシールフィンであってもよい。このとき、シールフィンの先端は、ダイアフラム内輪9の内周面9aと離間して対向している。シール部材14は、突状部材53と一体であってもよいし、別体であってもよい。
次に、蒸気タービン1の稼動時に流れる蒸気に対するシール構造体50cの作用について説明する。
主蒸気Xから分流した蒸気Yは、図7に示すように、植込部52の下流側の側面とダイアフラム内輪9の上流側の側面との間隙を、半径方向内側に漏出する。半径方向内側に漏出した蒸気Yは、植込部52に設けられた突状部材53の外周面53aとダイアフラム内輪9の内周面9aに設けられたシール部材14の先端との稼動時間隙を、軸方向下流側に漏出する。
突状部材53は、タービンロータ3の回転で生じる遠心力を受けることによって、半径方向外側であるダイアフラム内輪9側に撓む。突状部材53の外周面53aとシール部材14の先端との稼動時間隙は、タービンロータ3の回転速度の上昇と共に狭まる。そして、タービンロータ3が定格回転速度になると、稼動時間隙が狭まる状態を維持する。突状部材53の外周面53aとシール部材14の先端との間を軸方向下流側に流れる蒸気Yの流れは、シール部材14によって妨げ続けられるため、蒸気Yの漏出量の減少は維持される。そして、主蒸気Xから分流した蒸気Yは、タービンロータ3の回転に寄与しないため、シール構造体50cは、蒸気タービン1の仕事効率を向上することができる。
シール部材14の先端が突状部材53の外周面53aに接触する場合、この接触によって突状部材53には摩耗や熱変形などの欠陥が生じる。しかしながら、突状部材53と別体構成であり、突状部材53と距離が離れているタービンロータ3には、このような欠陥は生じない。そのため、タービンロータ3には、ラビング振動も発生しない。突状部材53とシール部材14との接触によるシール構造体50cのシール性能の低下が生じた場合には、欠陥の生じた箇所を含む動翼6の植込部52を適宜交換すればよく、タービンロータ3の交換は不要である。
上記では、シール構造体50cが上流側の突状部材53と下流側の突状部材53とを備えた構成について説明したが、シール構造体50cは上流側の突状部材53および下流側の突状部材53のいずれか一方を備えてもよい。
上記したように、第2の実施の形態のシール構造体50cによれば、動翼6の側面から軸方向に突出した突状部材53と、突状部材53およびダイアフラム内輪9の間に配設したシール部材14とを具備することによって、突状部材53とダイアフラム内輪9との間隙を漏出する蒸気Yの量を減少させることができる。また、突状部材53はタービンロータ3のロータディスク4と別体に構成される。そのため、突状部材53とシール部材14とが接触した場合であっても、タービンロータ3には摩耗や熱変形などの欠陥やラビング振動が発生しないので、シール構造体50cは信頼性に優れている。さらに、シール性能が低下した場合には、タービンロータ3を交換せずに、欠陥の生じた部分の動翼6の植込部52を交換すればよいので、シール構造体50cはメンテナンス性に優れている。
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態のシール構造体50dを模式的に示す断面図である。なお、以下に示す実施の形態において、第1の実施の形態のシール構造体50aの構成と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
第3の実施の形態のシール構造体50dにおいて、シール部材60およびダイアフラム内輪90の構成が異なる以外は、第1の実施の形態のシール構造体50aの構成と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
図8に示すように、第3の実施の形態のシール構造体50dのシール部材60は、ダイアフラム内輪90によって支持されてシールフィン14aを支持するシールフィン支持部材61と、シールフィン支持部材61とダイアフラム内輪90との間に設けられる弾性部材62とを備える。
シールフィン支持部材61は、周方向に亘って環状であり、軸方向に水平な断面の形状がエ字状に構成されている。シールフィン支持部材61は、半径方向内側から、支持部材内部170と、支持部材中部171と、支持部材外部173とから構成される。支持部材内部170および支持部材外部172は、支持部材中部171よりも、軸方向に突出している。支持部材中部171は、支持部材内部170および支持部材外部172よりも、軸方向に窪んでいる。また、支持部材内部170の内周面は、シールフィン支持部材61の内周面61aに相当する。
ダイアフラム内輪90の内側には、周方向に亘って環状の嵌合溝91が形成されている。ダイアフラム内輪90の内側に形成されている嵌合溝91は、半径方向外側の上流側および下流側に、シールフィン支持部材61の支持部材外部172と嵌合する溝部92を備える。さらに、嵌合溝91は、半径方向内側の上流側および下流側に、支持部材中部171と嵌合し、支持部材外部172と半径方向で当接して、支持部材外部172の半径方向内側への離脱を阻止する溝フック部93を備えている。溝フック部93は、支持部材外部172と嵌合している。溝部92の半径方向の長さは、支持部材外部172の半径方向の長さよりも大きい。
弾性部材62は、溝部92内に設置され、シールフィン支持部材61を半径方向内側に押圧する。例えば、弾性部材62は、支持部材外部172の外周面に対向する溝部92の外周面に設置され、支持部材外部172の外周面を突状部材13側に押圧する。弾性部材62は、例えば、コイルスプリングや板ばねなどで構成される。支持部材外部172の半径方向の長さは、溝部92の半径方向の長さよりも小さいことから、弾性部材62は、シールフィン支持部材61を半径方向内側および外側に往復移動させることができる。
シールフィン14aは、環状であり、突状部材13の外周面13aとダイアフラム内輪90の内周面との間に配設される。このシールフィン14aは、突状部材13の外周面13aとダイアフラム内輪90の内周面との間からの蒸気Yの漏出を抑制する。シールフィン14aは、シールフィン支持部材61の内周面61a、言い換えると、支持部材内部170の内周面から半径方向に沿って突状部材13に突出される。シールフィン14aの先端は、突状部材13の外周面13aと離間して対向している。シールフィン14aは、シールフィン支持部材61と一体であってもよいし、別体であってもよい。
次に、蒸気タービン1の稼動時に流れる蒸気に対するシール構造体50dの作用について説明する。
タービンロータ3が回転すると、タービンロータ3の回転で生じる遠心力によって、突状部材13は、ダイアフラム内輪90側に撓む。突状部材13の外周面13aとシールフィン支持部材61に設けられたシールフィン14aの先端との稼動時間隙は、タービンロータ3の回転速度の上昇と共に狭まる。そして、タービンロータ3が定格回転速度になると、稼動時間隙が狭まる状態を維持する。突状部材13の外周面13aとシールフィン14aの先端との間を軸方向下流側に流れる蒸気Yの流れは、シールフィン14aによって妨げ続けられるため、蒸気Yの漏出量の減少は維持される。そして、主蒸気Xから分流した蒸気Yは、タービンロータ3の回転に寄与しないため、シール構造体50dは、蒸気タービン1の仕事効率を向上することができる。
シールフィン14aの先端が突状部材13の外周面13aに接触すると、シールフィン14aを支持しているシールフィン支持部材61は、弾性部材62を介して半径方向外側に動く。シールフィン支持部材61が突状部材13から離れるように動くため、シールフィン14aの先端は突状部材13の外周面13aから離れ、この接触状態が解消される。そして、突状部材13とシールフィン14aとの接触時間や接触時の衝撃が弾性部材62によって減少されるため、突状部材13やシールフィン14aに生じる摩耗などの欠陥を低減することができる。
シールフィン支持部材61が半径方向外側に動いたことによって突状部材13とシールフィン14aとの接触状態が解消された後、シールフィン支持部材61は、弾性部材62からの半径方向内側の押圧を受けて、再び稼動時間隙が狭まる状態に戻る。そして、シール構造体50dは、蒸気タービン1の仕事効率を回復することができる。
図9は、第3の実施の形態のシール構造体50dの他の例を模式的に示す断面図である。シール構造体50dの他の例であるシール構造体50eとシール構造体50dとは、シール部材の配設数が異なる以外は基本的に同じである。図9に示すように、シール構造体50eは、軸方向上流側に配設されるシール部材60aと、シール部材60aよりも軸方向下流側に配設されるシール部材60bとを備える。シール部材60aに設けられたシールフィン14aの先端は、上流側の突状部材13の外周面と離間して対向している。シール部材60bに設けられたシールフィン14aの先端は、下流側の突状部材13の外周面と離間して対向している。シール部材60a,60bの構成は、シール構造体50dのシール部材60の構成と同様である。
図9に示すように、シール部材60aとシール部材60bとを軸方向に別々に配設することによって、突状部材13とシールフィン14aとが接触したときに、シール部材60aとシール部材60bとが半径方向に別々に動くことができる。シール部材60a、60bによる機能的なシールを複数個所で行うことができるため、突状部材13やシールフィン14aに生じる欠陥をさらに低減することができ、蒸気タービン1の仕事効率をさらに改善することができる。
上記したように、第3の実施の形態のシール構造体50dによれば、ロータディスク4の側面から軸方向に突出した突状部材13と、突状部材13およびダイアフラム内輪9との間に配設したシールフィン14aとを具備することによって、突状部材13とダイアフラム内輪9との間隙を漏出する蒸気Yの量を減少させることができる。そのため、突状部材13とシール部材14とが接触した場合であっても、タービンロータ3には摩耗や熱変形などの欠陥やラビング振動が発生しないので、シール構造体50dは信頼性に優れている。さらに、シール性能が低下した場合には、タービンロータ3を交換せずに、欠陥の生じた部分の突状部材13を交換すればよいので、シール構造体50dはメンテナンス性に優れている。
また、突状部材13とシールフィン14aとが接触したときは、シールフィン14aを具備するシールフィン支持部材61が弾性部材62を介して半径方向外側に動く。そのため、突状部材13とシールフィン14aとの接触によって生じる突状部材13やシールフィン14aの欠陥を低減することができ、蒸気タービン1の経年劣化に対する信頼性を向上することができる。さらに、シールフィン支持部材61が半径方向外側に動いた直後に、シールフィン支持部材61は弾性部材62によって半径方向内側に動いて稼動時間隙を再び狭くする。そのため、蒸気タービン1の仕事効率を再び改善することができる。さらには、シールフィン14aを備えたシール部材60a、60bを軸方向に複数設けることによって、これらシール部材60a、60bによる機能的なシールを複数個所で実施することができる。そのため、突状部材13やシールフィン14aの欠陥をさらに低減することができ、蒸気タービン1の仕事効率をさらに改善することができる。
(第4の実施の形態)
図10は、第4の実施の形態のシール構造体50fを模式的に示す断面図である。なお、以下に示す実施の形態において、第1の実施の形態のシール構造体50aの構成と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
第4の実施の形態のシール構造体50fにおいて、アブレイダブル部材70をさらに備える以外は、第1の実施の形態のシール構造体50aの構成と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
図10に示すように、第4の実施の形態のシール構造体50fに設けられている突状部材13の外周面13aには、アブレイダブル部材70が配設されている。アブレイダブル部材70の硬度は、シール部材14の硬度よりも低い。アブレイダブル部材70の配置位置は、ダイアフラム内輪9に設けられているシール部材14と離間して対向する外周面13aの部分であればよく、アブレイダブル部材70は外周面13aの全面に設けられていてもよい。また、突状部材13はアブレイダブル部材70と同様の材料から構成されてもよい。
蒸気タービン1の稼動時にシール部材14の先端が突状部材13の外周面13aに設けられたアブレイダブル部材70に接触すると、シール部材14よりも低い硬度を有するアブレイダブル部材70は、シール部材14によって切削される。このとき、アブレイダブル部材70は、シール部材14と接触した箇所のみ切削される。そのため、突状部材13とシール部材14との間隙の増加を抑制しながら、突状部材13やシール部材14に生じる欠陥を低減することができる。
図11は、第4の実施の形態のシール構造体50fの他の例を模式的に示す断面図である。シール構造体50fの他の例であるシール構造体50gとシール構造体50fとは、アブレイダブル部材の配設構成が異なる以外は基本的に同じである。図11に示すように、シール構造体50gのアブレイダブル部材70は、ダイアフラム内輪9の内周面9aに配設されている。アブレイダブル部材70の配置位置は、突状部材13に設けられているシール部材14と離間して対向する内周面9aの部分であればよく、アブレイダブル部材70は内周面9aの全面に設けられていてもよい。また、ダイアフラム内輪9はアブレイダブル部材70と同様の材料から構成されてもよい。
上記したように、第4の実施の形態のシール構造体50fによれば、ロータディスク4の側面から軸方向に突出した突状部材13と、突状部材13およびダイアフラム内輪9の間に配設したシール部材14とを具備することによって、突状部材13とダイアフラム内輪9との間隙を漏出する蒸気Yの量を減少させることができる。そのため、突状部材13とシール部材14とが接触した場合であっても、タービンロータ3には摩耗や熱変形などの欠陥やラビング振動が発生しないので、シール構造体50fは信頼性に優れている。さらに、シール性能が低下した場合には、タービンロータ3を交換せずに、欠陥の生じた部分の突状部材13を交換すればよいので、シール構造体50fはメンテナンス性に優れている。
また、シール構造体50fはシール部材14と対向して離間する箇所にアブレイダブル部材70を具備することによって、突状部材13とシール部材14とが接触したとき、シール部材14と接触した箇所のアブレイダブル部材70のみが切削される。そのため、突状部材13とシール部材14との間隙を維持し、突状部材13やシール部材14に生じる欠陥を改善することができる。
以上説明した実施の形態によれば、タービンのメンテナンス性に優れ、さらには、タービンロータのラビング振動を回避することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。