JP2017125109A - 衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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昌洙 孫
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Abstract

【課題】造核剤成分の表面への移行が抑制され、かつ、物性が改善された成形品が得られることから衛生材料用として好適なポリエチレン樹脂組成物を製造することができる衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法を提供する。【解決手段】造核剤成分を有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤の混合溶媒に溶解させたものを、エチレンモノマーの重合により得られるエチレン重合体100質量部に対して、造核剤成分が、0.001〜0.5質量部となるように、エチレンモノマーの重合前又は重合中に配合してエチレンモノマーを重合する工程を備えることを特徴とする衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法に関し、詳しくは、造核剤成分の表面への移行が抑制され、かつ、物性が改善された成形品が得られることから衛生材料用として好適なポリエチレン樹脂組成物を製造することができる衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法に関する。
オレフィン樹脂は、安価で、透明性、耐熱性、表面光沢性、耐油性、力学的特性などの諸特性が良好であることから、工業材料、自動車材料、家電材料、包装材料など幅広い分野に用いられている。安価な製品であるため、他の樹脂材料の代替え検討が進められており、衛生用途材料の検討も進められている。
オレフィン樹脂を衛生用途に用いる場合に求められる特性は種々挙げられるが、特に、オレフィン樹脂は容器や包装材として内容物と直接接触する場合があるため、ポリエチレン樹脂に配合される添加剤が非移行性であること、成形品が衛生性を確保することが重要である。
一方、オレフィン樹脂は成形後の結晶化速度が遅いため、成形サイクルが低く、また、加熱成形後の結晶化の進行具合によっては大きな結晶が生成し、成形品の透明性や強度が不足する欠点があった。これらの欠点は、全て、オレフィン樹脂の結晶性に由来するものであり、オレフィン樹脂の結晶化温度を高め、微細な結晶を急速に生成させることができれば解消されることが知られている。
この目的のために、造核剤を添加することが知られており、従来から、安息香酸ソジウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ソジウム及び2ソジウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ソジウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ソジウム2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等のアセタール骨格を有する化合物等が用いられており、例えば、特許文献1〜8に開示されている。
上記造核剤のなかでは、ソルビトール誘導体は優れた造核効果を示すが、ソルビトール誘導体は樹脂からブリードして、製膜時にロール汚れを生じたり、加工時の臭気が強いため、用途によって使用が制限される。また、一般によく用いられている芳香族カルボン酸の金属塩は造核剤として作用するが、オレフィン樹脂の透明性を著しく低下させたり、フィルムに成形した場合、ボイドが多数発生する問題がある。
造核剤をオレフィン樹脂に添加する方法は、ヘンシェルミキサー、ミルロール、Vブレンダー、リボンブレンダー、ニーダーブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー等を用いて、オレフィン樹脂と造核剤あるいは透明化剤を含む添加剤を混合して、押出機に投入して造粒することが行われている。
また、特許文献9において、プロピレンの予備重合後に、造核剤としてアルミニウム−ビス(p−tert−ブチル安息香酸)ヒドロキシ又は安息香酸ソジウム塩を添加して二段階の重合を行う方法が提案されている。
さらにまた、特許文献10において、プロピレンモノマーに核剤を添加する製造方法が提案されている。
特開昭58−1736号公報 特開昭59−184252号公報 特開平6−340786号公報 特開平7−11075号公報 特開平7−48473号公報 特開平8−3364号公報 特開平9−118776号公報 特開平10−25295号 特許3044259号 特開2014−095044号公報
しかしながら、エチレン重合体と造核剤を混合して溶融混練する方法では、ポリエチレン樹脂中における造核剤の分散不良に対応するために、必要以上に造核剤を添加しなければならず、成形品表面への移行が発生する問題があった。また、粉末の造核剤を用いる場合、作業中に粉が舞い上がるなど作業環境への悪影響や、コンタミネーションの問題があった。
また、エチレンモノマーの重合時に造核剤を配合する方法は、重合後の押出加工等の溶融混練による造核剤の配合工程を省略できる利点が得られるが、造核剤が、重合触媒の触媒活性を低下させたり、重合触媒の金属との相互作用によってポリエチレン樹脂を着色させたりする問題が指摘されており、重合条件の選定、管理が煩雑になる問題があった。
上記特許文献9記載の方法は、造核剤の均一分散と、それによる重合体の剛性の改善を目的とするが、二段階重合による重合方法であって、プロピレンの一段階重合後に造核剤を添加する方法である。特許文献9には、造核剤が重合活性に影響を与えうること、造核剤をマスキングすること、および、造核剤をマスキングすることにより触媒活性に対する悪影響を防ぐこと、のいずれについても開示されていない。また、特許文献9記載の方法では、造核剤を重合触媒に直接接触させる一段階重合においては効果が得られない。また、特許文献9に記載の造核剤は、有機アルミニウム化合物及び有機溶媒には溶解せず、重合活性を損ねるものであった。
特許文献10において、プロピレンモノマーに核剤を添加する製造方法が提案されているが、エチレンモノマーに核剤を添加する方法は具体的に記載されていなかった。
そこで本発明の目的は、造核剤成分の表面への移行が抑制され、かつ、物性が改善された成形品が得られることから衛生材料用として好適なポリエチレン樹脂組成物を製造することができる衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題の解決のために鋭意検討を重ねた結果、所定の造核剤を有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤の混合溶媒に溶解させたものを添加して、エチレンモノマーを重合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法は、造核剤成分を有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤の混合溶媒に溶解させたものを、エチレンモノマーの重合により得られたエチレン重合体100質量部に対して、造核剤成分が、0.001〜0.5質量部となるように、エチレンモノマーの重合前又は重合中に配合してエチレンモノマーを重合する工程を備えることを特徴とするものである。
本発明においては、上記造核剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2017125109
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、直鎖又は分岐を有してもよい炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは1又は2を表し、mが1の場合、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表し、mが2の場合、Mは、二族元素、Al(OH)又はZnを表す。)
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、上記造核剤が、アミド化合物であることが好ましい。
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、上記有機アルミニウム化合物が、トリアルキルアルミニウムであることが好ましい。
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、上記有機溶剤が、脂肪族炭化水素化合物及び芳香族炭化水素化合物から選択されるものであることが好ましい。
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法は、好適には、ISO−6452に規定されるフォギング試験において、加熱温度100℃、加熱時間5時間、冷却温度50℃の条件でフォギングしないポリエチレン樹脂組成物を製造できる。
本発明の成形品は、上記いずれかの衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法により製造された衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物を成形してなることを特徴とするものである。
本発明によれば、造核剤成分の表面への移行が抑制され、かつ、物性が改善された成形品が得られることから衛生材料用として好適なポリエチレン樹脂組成物を製造することができる衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも称する)について、以下に詳述する。
本発明に用いられる造核剤成分としては、有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤の混合溶媒に溶解する造核剤が挙げられる。溶解しないものは樹脂中への分散性が悪く本発明の効果が得られない場合がある。造核剤成分の溶解性については、本発明の製造方法を実施する前にあらかじめ確認しておく必要がある。溶解するか否かは、造核剤を、有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤に溶解させ、残存物が発生するかを目視により確認することで判断できる。
また、有機アルミニウム化合物によって分解する造核剤は重合体を着色させたり、重合活性を阻害する場合があるため、本発明の製造方法に採用できない。
本発明において、好ましい造核剤成分としては、下記一般式(1)、
Figure 2017125109
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、直鎖又は分岐を有してもよい炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは1又は2を表し、mが1の場合、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表し、mが2の場合、Mは、二族元素、Al(OH)又はZnを表す。)で表される化合物及びアミド化合物が挙げられる。
上記一般式(1)中の、R、R、R及びRで表される、炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基が挙げられるが、これらの中でも特に、メチル基、tert−ブチル基、tert−ヘプチル基であるものが好ましい。
上記一般式(1)中のMで表される第二族元素としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられ、これらの中でも、マグネシウム、カルシウムであるものが、造核剤成分の核剤効果が顕著であるので好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記に示す化合物が挙げられる。但し、本発明は下記の化合物により制限を受けるものではない。
Figure 2017125109
前記アミド化合物としては、例えば、下記一般式(2)、
Figure 2017125109
(式中、Rは水素原子、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基を表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造を有する化合物、
下記一般式(3)、
Figure 2017125109
(式中、Xは、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、R〜R10は、各々、独立して、ハロゲン原子、直鎖又は分岐を有する置炭素原子数1〜4のアルキル基、及び直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜4のアルコキシ基よりなる群から選択されるものを表し、p、q、r、sは各々独立して、0〜3の整数(ただし、pおよびsは0ではない)を表す)で表される化合物、
下記一般式(4)、
Figure 2017125109
(式中、R11及びR12は各々独立して、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、X及びXは、各々独立して、単結合手、または、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される化合物、
下記一般式(5)、
Figure 2017125109
(式中、R13及びR14は各々独立して、水素原子、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素原子数6〜20のアリール基を表し、Xは、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜20のアリーレン基を表す。なお、R13およびR14が互いに結合して縮合環構造を形成してもよい)で表される化合物、
下記一般式(6)、
Figure 2017125109
(式中、R15は、水素原子、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素原子数6〜20のアリール基を表し、Xは、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜20のアリーレン基を表す)で表される化合物、
下記一般式(7)、
Figure 2017125109
(式中、R16及びR17は各々独立して、直鎖又は分岐を有してもよいアルキル基を表す)で表される化合物、脂肪酸アミド化合物等が挙げられる。
前記炭素原子数1〜10の炭化水素基とは、炭素原子と水素原子で構成される化合物を表し、その分子構造は、アルカン、アルケン、シクロアルカン、芳香族炭化水素等が挙げられ、かかる炭化水素基の少なくとも4個の水素原子がカルバメート構造で置換されたものを表す。上記炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又はアリール基で中断されていてもよく、炭化水素基中の水素原子が下記の置換基で置換されたものであってもよい。これら中断又は置換は組み合わされていてもよい。
前記一般式(2)中のRで表される直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
これらアルキル基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又は下記のアリール基で中断されていてもよく、アルキル基中の水素原子が下記の置換基で置換されていてもよく、これら中断または置換は組み合わされていてもよい。
上記置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基等の鎖状脂肪族基、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、2H−ピラン、4H−ピラン、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフタレン、アントラセン、ピロリジン、ピリンジン、インドリン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、又はシクロアルキル基等の環状脂肪族基が挙げられる。
上記一般式(2)中のRで表される、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基中の水素原子が、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基又はシアノ基で置換されていてもよい。
上記一般式(2)中のRで表される、炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられ、アリール基中の水素原子が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基、又はアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい。
上記一般式(2)で表される化合物のうち、下記一般式(8)、
Figure 2017125109
(式中、R18は、上記一般式(2)中のRと同じものを表し、kは2〜10の整数を表し、複数あるR18は各々異なるものであってもよい)で表される化合物、又は、下記一般式(9)、
Figure 2017125109
(式中、R19は、上記一般式(2)中のRと同じものを表し、複数あるR19は各々異なるものであってもよい)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2017125109
前記一般式(3)中におけるXの、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、これらのアルキレン基中の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。またアルキレン基中の水素原子が、ハロゲン原子、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アリール基又は飽和脂肪族環で置換されていてもよい。
前記一般式(3)中におけるR〜R10の直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、これらアルキル基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又は上記のアリール基で中断されていてもよく、アルキル基中の水素原子が上記の置換基で置換されていてもよく、これら中断または置換は組み合わされていてもよい。
前記一般式(3)中におけるR〜R10の炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。これらアルコキシ基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又は上記のアリール基で中断されていてもよく、アルコキシ基中の水素原子が上記の置換基で置換されていてもよく、これら中断または置換は組み合わされていてもよい。
本発明における上記一般式(3)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に制限されるものではない。
Figure 2017125109
前記一般式(3)で表される化合物の中でも、一般式(3)中のR及びR10がベンゼン環のオルト位にある化合物が好ましく用いられる。
また、上記一般式(3)中のp及びsが1かつqおよびrが2である化合物が好ましく用いられる。
前記一般式(4)中のR11又はR12で表される、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基等が挙げられ、これらアルキル基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又は上記のアリール基で中断されていてもよく、アルキル基中の水素原子が上記の置換基で置換されていてもよく、これら中断または置換は組み合わされていてもよい。
前記一般式(4)中のR11又はR12で表される、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、前記一般式(2)中のRと同じものが挙げられる。
前記一般式(4)中のR11又はR12で表される、炭素原子数6〜20のアリール基としては、前記一般式(2)中のRと同じものが挙げられる。
前記一般式(4)中のX又はXで表される、直鎖又は分岐を有していてもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基とは、前記一般式(3)中のXと同じものが挙げられる。
前記一般式(4)で表される化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2017125109
(式中、R20は、上記一般式(4)中のR11と同じものを表し、R21は、上記一般式(4)中のR12と同じものを表し、tは、0又は1を表す)
前記一般式(4)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に制限されるものではない。
Figure 2017125109
前記一般式(5)中のR13及びR14又は前記一般式(6)中のR15で表される、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜12のアルキル基としては、前記一般式(2)中のRと同じものが挙げられる。
前記一般式(5)中のR13及びR14又は前記一般式(6)中のR15で表される、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、前記一般式(2)中のRと同じものが挙げられる。
前記一般式(5)中のR13及びR14又は前記一般式(6)中のR15で表される、炭素原子数6〜20のアリール基としては、前記一般式(2)中のRと同じものが挙げられる。
前記一般式(5)又は(6)中のX及びXで表される、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。これらアルキレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又は上記のアリール基で中断されていてもよく、アルキレン基中の水素原子が上記の置換基で置換されていてもよく、これら中断または置換は組み合わされていてもよい。
前記一般式(5)又は(6)中のX及びXで表される、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基としては、1,2−シクロプロピレン基、1,3−シクロヘプチレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基等が挙げられる。これらシクロアルキレン基中の水素原子が上記の置換基で置換されていてもよい。
前記一般式(5)又は(6)中のX及びXで表される、炭素原子数6〜20のアリーレン基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,6−フェナレン基、1,6−フェナントレン基、2,7−フェナントレン基、2,6−アントラセン基等が挙げられる。これらアリーレン基の水素原子が上記の置換基で置換されていてもよい。
また、前記一般式(5)中のR13及びR14又は、前記一般式(6)中のR15がアルキル基である場合、アルキル基の炭素数が長くなると、エチレン重合体の造核剤としての作用効果を示すものの、化合物自身の耐熱性が低下し、エチレン重合体の成形加工の際に、分解して成形品に悪影響を及ぼす場合があるので、本発明において、R13、R14、又はR15が表すアルキル基の炭素原子数は1〜8の範囲内が好ましく、1〜5の範囲内が特に好ましい。
本発明における上記一般式(5)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に制限されるものではない。
Figure 2017125109
本発明における上記一般式(6)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に制限されるものではない。
Figure 2017125109
前記一般式(7)におけるR16及びR17で表される、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
本発明においては、前記一般式(7)で表される化合物のうち、下記一般式で表される化合物が好ましい。
Figure 2017125109
(式中、R22は、一般式(7)中のR16と同じものを表し、R23は一般式(7)中のR17と同じものを表す)、
Figure 2017125109
(式中、R24は、一般式(7)中のR16と同じものを表し、R25は、一般式(7)中のR17と同じものを表す)
本発明における上記一般式(7)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に制限されるものではない。
Figure 2017125109
前記脂肪酸アミド化合物としては、例えば、エチレンビスステアロアミド、エチレンビス(12−ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、本発明において利用可能な上記アミド化合物以外のその他のアミド化合物としては、例えば、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2,3−ジメチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、 1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−イソブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−イソブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−イソブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−イソブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−イソブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−イソブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(ベンジルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(シクロヘプチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(3,4−ジメチルフェニルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(シクロドデシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(tert−オクチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(S(+)−1−シクロヘキシルエチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(R(−)−1−シクロヘキシルエチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(シクロオクチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,3−ジメチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(シクロオクチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(n−ブチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミド)、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロピオンアミド)ベンゼン等が挙げられる。
上記造核剤成分の使用量の範囲は、効果が発現される量から添加効果の向上が見られなくなる範囲である。本発明の製造方法により得られたエチレン重合体100質量部に対する使用量は、0.001〜10質量部の範囲が好ましく、0.005〜3質量部の範囲がより好ましく、0.01〜0.5質量部の範囲が特に好ましい。
0.001質量部より少ないと、造核剤の作用効果が得られない場合があり、10質量部以上の配合は、本発明の製造方法により得られたエチレン重合体単独で成形加工した場合、添加効果が得られない場合があり不経済である。
本発明の製造方法において、上記造核剤成分が有機アルミニウム化合物、又は有機アルミニウム及び有機溶剤に溶解されたものをエチレンモノマーの重合前又は重合中に添加されるが、添加箇所としては特に限定されず、例えば、重合系、触媒系、配合管のいずれにも添加することができる。
上記造核剤成分をエチレンモノマーの重合前又は重合中に添加する場合は、造核剤成分及び有機アルミニウム化合物を混合したものであってもよく、有機溶媒中に上記造核剤を分散させてから有機アルミニウム化合物を加えて、造核剤成分を溶解させたものであってもよい。これにより造核剤成分が、有機アルミニウム化合物によりマスキングされると考えられる。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハイドライド等が使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、特に好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−へキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられる。上記有機アルミニウム化合物はいずれも混合物として使用することができる。また、アルキルアルミニウム又はアルキルアルミニウムハイドライドと水との反応によって得られるアルミノキサンも同様に使用することができる。
本発明の製造方法においては、有機アルミニウム化合物でマスキング処理されたものを水、アルコール、酸等の水素供与性化合物で処理することにより、再生可能となるような有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
上記造核剤成分と有機アルミニウム化合物の混合比としては、造核剤成分と有機アルミニウム化合物のアルミニウム分のモル比が、1/1000〜1/0.3が好ましい。1/0.3より造核剤成分が多いと、過剰な造核剤成分がエチレンモノマーの重合活性に悪影響を及ぼすことがあり、1/1000より造核剤成分が少ないと重合後に有機アルミニウム化合物がエチレン重合体に残留し、エチレン重合体の物性が低下したり、触媒金属の成分に影響して所望の重合を行えないことがある。
上記有機溶剤としては、脂肪族及び芳香族炭化水素化合物が挙げられる。脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン及び精製ケロシン等の飽和炭化水素化合物、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の環状飽和炭化水素化合物等が挙げられ、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレンなどの化合物が挙げられる。これら有機溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機溶媒のうち、n−ヘキサン、又は、n−ヘプタンが好ましく用いられる。有機溶媒中の有機アルミニウム化合物の濃度は、0.001〜0.5mol/Lの範囲が好ましく、特に好ましくは、0.01〜0.1mol/Lである。
本発明におけるエチレン重合体は、エチレンモノマーの単独重合体の他に、5mol%以下のα−オレフィン単量体の共重合体、又は、官能基に炭素、酸素、及び水素原子だけを持つ1mol%以下の非オレフィン単量体との共重合体を含むものであってもよい。
上記α−オレフィン単量体としては、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、プロペン酸メチル、プロペン酸エチル、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロアルカン、ビニルシクロアルカンあるいはこれらの誘導体等が挙げられ、非オレフィン単量体としては、ビニルアセテート、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等が挙げられるが、本発明においては特に制限なく用いることができる。また、エチレン酢酸ビニルコポリマーのようにポリエチレンを部分構造として持つ共重合体に対しても本発明の製造方法を利用することが可能である。
本発明に係るエチレン重合体の好ましい密度は、0.890〜0.970g/cmであり、より好ましくは、0.900〜0.940g/cmである。平均分子量としては、重量平均分子量が、10000 〜 7000000の範囲のものが好ましい。
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法は、上記エチレンモノマーの重合前又は重合中に、造核剤を有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤に溶解させたものを配合して、エチレンモノマーを重合する工程を備えることに特徴を有するものである。エチレンモノマーと造核剤成分の比率としては、エチレンモノマーを重合して得られたエチレン重合体100質量部に対して、造核剤成分が0.001〜0.5質量部となるように調整して行われる。
エチレン重合体に対して、造核剤成分を上記の配合量に調整する方法としては、造核剤成分を加えずに重合した場合の重合活性を求め、得られる重合体に対して、所望の配合量の造核剤成分になるように、造核剤を有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶媒に溶解させたものを加えて、造核剤成分を加えなかった場合と同一条件で重合する方法を採用することができる。また、各成分の添加量を調整する機器を重合設備に導入して、造核剤成分が上記配合量になるように調整して重合するものであってもよい。
本発明の製造方法が適用可能な重合体としては、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、シクロオレフィン、超高分子量ポリエチレンなどが挙げられる。
エチレンモノマーを含有するモノマーの重合は、重合触媒の存在下で、窒素等の不活性ガス雰囲気中にて行う必要があるが、上記の不活性な溶媒中で行ってもよい。また、重合を阻害しない範囲で、活性水素化合物、微粒子状担体、有機アルミニウム化合物、イオン交換性層状化合物、無機珪酸塩を添加してもよい。
本発明においては、上記重合触媒は、特に限定されるものではなく、公知の重合触媒を利用可能であり、例えば、周期表第3〜11族の遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、鉛、白金、イットリウム、サマリウム等)の化合物が挙げられ、代表的なものとしては、チーグラー触媒、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分からなるチーグラー・ナッタ触媒、少なくとも一個のシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物と助触媒成分からなるメタロセン触媒、クロム系触媒等を用いることができる。
本発明においては、エチレンモノマーの重合方法は、特に制限がなく公知の方法を採用することができ、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ガソリン留分、水素化ジーゼル留分などの不活性溶媒中での重合であるスラリー重合法、重合を気相中で実施する気相重合法、エチレンモノマー自体を溶媒として使用するバルク重合法、ポリマーを液状で生成させる溶液重合法、若しくはこれらを組み合わせた重合法、一段重合法又は多段重合法によって、エチレンモノマーを重合して、エチレン単独重合体を製造する方法や、プロピレンと、炭素原子数2〜12のオレフィン単位からなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン(プロピレンを除く)単位を共重合して共重合体を製造する方法の重合方法が挙げられ、また、バッチ式、連続式の生産方式を区別なく採用することができる。
上記重合法で用いられる重合槽としては、既存の重合設備における連続反応槽をそのまま使用すればよく、サイズ、形状、材質など、従来の重合設備に対して特に限定することなく用いることができる。
本発明において重合に悪影響を与えない範囲において、必要に応じてさらに、ポリエチレン樹脂に通常使用される他の添加剤をエチレンモノマーの重合時に添加することができる。エチレンモノマーの重合時に添加する場合において、その他の添加剤、造核剤及び有機アルミニウム化合物を混合・撹拌したものを用いてもよい。この方法による反応において、副生した化合物が重合物へ影響しない場合はそのまま用いることができるが、副生した化合物が重合物へ悪影響を与える場合は、該化合物を減圧留去等により取り除いてから用いることが好ましい。また、エチレンモノマーの重合後に配合してもよい。
また、その他の添加剤が、直接添加すると重合に悪影響があるものであっても、有機アルミニウム化合物でマスキングすることによって、重合に対する影響を抑制できる場合は、本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法に用いることができる。
上記その他の添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、重金属不活性化剤、造核剤、難燃剤、金属石鹸(脂肪族カルボン酸金属塩)、ハイドロタルサイト、充填剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’−オキサミド−ビス[エチル−3−(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−エチルヘキシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−tertブチルフェノール)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸及びC13−15アルキルのエステル、2,5−ジ−tertアミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロール社製商品名AO.OH.98)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2−tertブチル−6−(3−tertブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tertペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tertペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネートカルシウム塩、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノン、とo−キシレンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、DL−a−トコフェノール(ビタミンE)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tertブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tertブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3−(3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤の使用量は、得られたエチレン重合体に対し、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2―tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、(1−メチル−1―プロペニル−3−イリデン)トリス(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’−イソプロピリデンジフェノールC12−15アルコールホスファイト等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の好ましい使用量は、エチレン重合体100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
前記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル−4−[3−n−アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5−tert−ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、ジステアリル−ジサルファイドが挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、又は金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、又はキレート類等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部である。
前記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN NOR 371等が挙げられる。
前記ヒンダードアミン化合物の好ましい使用量は、得られるエチレン体重合体100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部である。
前記難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1−メチルエチリデン)−4,1−フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3−フェニレンテトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、株式会社ADEKA製商品名アデカスタブFP−500、株式会社ADEKA製商品名アデカスタブFP−600、株式会社ADEKA製商品名アデカスタブFP−800等の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン含有ビニルベンジル化合物及び赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン及び2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、及び、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等を挙げることができる。これら難燃剤はフッ素樹脂等のドリップ防止剤や多価アルコール、ハイドロタルサイト等の難燃助剤と併用することが好ましい。
前記難燃剤の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、1〜50質量部、より好ましくは、10〜30質量部である。
前記滑剤は、成形体表面に滑性を付与し傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、マンニトール、ステアリン酸、硬化ひまし油、ステアリンサンアマイド、オレイン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
前記滑剤の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、0.01〜2質量部、より好ましくは、0.03〜0.5質量部である。
前記充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長及びアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。また、充填剤は、必要に応じて表面処理したものを用いることができる。
前記充填剤の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、0.01〜80質量部、より好ましくは、1〜50質量部である。
脂肪族カルボン酸金属塩としては、例えば、下記一般式(15)、
Figure 2017125109
(式中R26は、分岐鎖を有してもよく、ヒドロキシル基及びシクロアルキル基から選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素原子数1〜30の脂肪族基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、1〜4の整数であって、Mの金属原子の価数と対応する数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(15)において、R26は、炭素原子数1〜30の脂肪族基であり、ヒドロキシル基を有するものでもよく、シクロアルキル基を有するものでもよく、分岐を有してもよい。脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、2つ以上の不飽和結合が導入されたアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。
上記一般式(15)で表される脂肪族カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、ネオデシル酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸、リシノール酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、2−メチル−β−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸、モノメチロールプロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素原子数12〜22の脂肪族基であるものが、ポリエチレン樹脂の物性改善効果が高くなるので好ましく、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の飽和又は不飽和脂肪酸の塩、12−ヒドロキシステアリン酸等が好ましい。
上記一般式(15)において、Mで表される金属原子とは、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、珪素、ジルコニウム、イットリウム、バリウム又はハフニウム等が挙げられる。これらの中でも、ソジウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましく、特に、ソジウム及びリチウムがエチレン重合体の結晶化温度が良好となるので好ましく用いられる。
前記脂肪族カルボン酸金属塩の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対し、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜5質量部である。
前記ハイドロタルサイト類としては、天然物や合成物として知られるマグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基及び任意の結晶水からなる複合塩化合物であり、マグネシウム又はアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛等他の金属で置換したものや水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したものが挙げられ、具体的には、例えば、下記一般式(16)で表されるハイドロタルサイトの金属をアルカリ金属に置換したものが挙げられる。また、Al―Li系のハイドロタルサイト類としては、下記一般式(17)で表される化合物も用いることができる。
Figure 2017125109
ここで、一般式(16)中、x1及びx2はそれぞれ下記式、
0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20
で表される条件を満たす数を表し、pは0又は正の数を表す。
Figure 2017125109
ここで、一般式(17)中、Aq-は、q価のアニオンを表し、pは0又は正の数を表す。
また、前記ハイドロタルサイト類における炭酸アニオンは、一部を他のアニオンで置換したものでもよい。
前記ハイドロタルサイト類は、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆されたものであってもよい。
前記ハイドロタルサイト類は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。該化合物の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129合公報、特公平3−36839号公報、特開昭61−174270号公報、特開平5−179052号公報等に記載されている公知の方法が挙げられる。また、前記ハイドロタルサイト類は、その結晶構造、結晶粒子等に制限されることなく使用することができる。
前記ハイドロタルサイト類の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対し、0.001〜5質量部、より好ましくは、0.05〜3質量部である。
前記帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。係る帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。
前記帯電防止剤の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部、より好ましくは、3〜10質量部である。
前記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリーン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
前記染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
上記充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等が好ましい。これらの充填剤において、平均粒径(球状乃至平板状のもの)又は平均繊維径(針状乃至繊維状)が5μm以下のものが好ましい。
前記充填材の好ましい使用量は、得られたエチレン重合体100質量部に対して、0.01〜50質量部、より好ましくは、1〜30質量部である。
上記に示した使用量とは、本発明の製造方法で製造されたポリエチレン樹脂組成物を用いて成形された成形品中の各添加剤の最終的な使用量を示すものである。
本発明の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物を成形するに際しては、一般のプラスチックと同様に、押出成形、射出成形、中空成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形等の成形を行うことができ、フィルム、シート、棒、ビン、容器、繊維、中空成形品等の各種成形品を容易に得ることができ、食品用容器・食品用包装品、注射筒などの医療用器具、紙おむつ、衛生用ナプキン等の生理用品、水道用パイプ等に用いることができる。
本発明の製造方法により得られるオレフィン樹脂組成物は、造核剤の配合により物性が改善され、かつ、配合した造核剤の表面や外部への移行が抑制されることから、様々なものとの接触が予定される衛生材料用として好適である。特に、好適にはISO−6452(国際標準化機構により策定された国際標準規格)に規定されるフォギング試験において、加熱温度100℃、加熱時間5時間、冷却温度50℃の条件でフォギングしないオレフィン樹脂組成物を得ることができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら制限されるものではない。
(造核剤成分の溶液の調製)
窒素置換したフラスコに、表1に記載の配合量で、造核剤成分に有機溶媒を加え、撹拌しながら有機アルミニウム化合物を滴下して、造核剤成分が20mg/mlの造核剤成分の溶液を調製した。造核剤成分が溶解した場合は○、溶解しなかった場合は×として表1に、それぞれ示す。
Figure 2017125109
化合物1:ソディウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
化合物2:3,3’−(メチレンビス(2,6−ジエチル−4,1−フェニレン))ビス(1−(o−トリイル)プロパン−2−オン)
化合物3:安息香酸ソジウム塩
〔実施例1−1、実施例1−2〕
窒素置換したオートクレーブにヘプタン600ml、トリエチルアルミニウム152mg、チーグラー触媒、及び、得られたエチレン重合体100質量部に対して、造核剤成分が表2に記載の配合量になるように表1の造核剤成分の溶液を順次加え、撹拌した。オートクレーブ内をエチレン雰囲気に置換し、水素で1kgf/cmGの圧力をかけ、70℃まで昇温し、オートクレーブ内にエチレンで6kgf/cm2Gの圧力をかけ、70℃で1.5時間重合反応を行った。窒素ガスで系内を置換してから40℃でエタノール5mlを加え重合反応を停止させた後、50℃で減圧脱溶媒を行ない、次いで、真空中、40℃でポリマーを5時間乾燥することにより、重合体を得た。得られた重合体の重合活性は、触媒1gあたり、12.0kg以上であった。
次に、得られた重合体100質量部に対して、表2の造粒時添加した添加剤の配合量で添加剤を添加・混合し、ラボ用小型射出成形機(DSM Xplore社製Compounder15,Injection molder 12)にて260℃で溶融混練してストランドを得て、ペレタイズした。また、上記ラボ用小型射出成形機を用いて、射出温度260℃、金型温度40℃の条件で射出成形して、80mm×10mm×4mmの曲げ試験片及び、50mm×50mm×1mmの平板状試験片を得た。
〔比較例1〜4〕
上記の実施例1において、チーグラー触媒のヘプタンスラリーを加えずに、オートクレーム中の溶液が全体で600mlになるようにヘプタンを添加した以外は、実施例1と同一条件で重合してエチレン重合体を得た。
得られたエチレン重合体に対して、表2の造粒時添加した添加剤の配合量で添加剤を添加・混合し、実施例1と同様に成形加工して、80mm×10mm×4mmの曲げ試験片及び、50mm×50mm×1mmの平板状試験片を得た。
なお、製造例3の造核剤成分の溶液を用いてエチレンモノマーを重合した場合、重合活性が低く成形加工に必要な量のエチレン重合体が得られなかった。
(評価)
上記の成形加工で得られた曲げ試験片、及び平板状試験片を用いて、下記の評価を行った。これらの結果についてそれぞれ表2に示す。
(耐フォギング)
ISO−6452準拠のフォギング試験装置に上記で得られた平板状試験片をセットし、加熱温度100℃、加熱時間;5時間、冷却板温度;20℃の試験条件で処理した。処理後の試験片の表面を40倍の倍率で顕微鏡観察を行い、表面に異常がない場合を○、表面が荒れていたり、添加剤成分が表面に現れていた場合を×として評価した。
(曲げ弾性率)
得られた曲げ試験片は、射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で48時間以上静置した後、曲げ試験機((株)島津製作所製;AG−IS)にて、ISO178に準拠して曲げ弾性率(MPa)を測定した。これらの結果についてそれぞれ表1に示す。
Figure 2017125109
化合物1:ヒドロキシ−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
化合物2:3,3’−(メチレンビス(2,6−ジエチル−4,1−フェニレン))ビス(1−(o−トリイル)プロパン−2−オン)
化合物3:安息香酸ソジウム塩
化合物4:ソルビトール核剤(Milliken社商品名Millad 3988)
AO−1:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
AO−2:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
DHT−4A:協和化学工業株式会社製ハイドロタルサイト商品名「DHT−4A」
Na−St:ステアリン酸ソジウム塩
比較例2と実施例1及び比較例3と実施例2の比較結果より、造核剤成分をエチレンの重合時に供給せず、造粒時添加した場合は、試験片の剛性の改善効果に乏しい。特に、比較例3と実施例2より、本発明の製造方法で得られたポリエチレン樹脂組成物は、造粒時に3倍量の造核剤を配合したポリエチレン樹脂組成物よりも剛性の改善効果が高いことが確認できた。
さらにまた、比較例4より、造粒時にソルビトール系核剤を配合した場合、試験片にフォギングが発生した。
これらに対して、実施例1及び2より、本発明の製造方法により得られたポリエチレン樹脂組成物の成形体は、剛性の改善効果に優れ、耐フォギングに優れることが確認できた。
以上より、本発明の製造方法で得られたポリエチレン樹脂組成物は、低添加量の造核剤で物性を向上させることができ、かつ、耐フォギング性に優れることから衛生材料用途において好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 造核剤成分を有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物と有機溶剤の混合溶媒に溶解させたものを、エチレンモノマーの重合により得られるエチレン重合体100質量部に対して、造核剤成分が、0.001〜0.5質量部となるように、エチレンモノマーの重合前又は重合中に配合してエチレンモノマーを重合する工程を備えることを特徴とする衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記造核剤が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1記載の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2017125109
    (式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、直鎖又は分岐を有してもよい炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは1又は2を表し、mが1の場合、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表し、mが2の場合、Mは、二族元素、Al(OH)又はZnを表す。)
  3. 前記造核剤が、アミド化合物である請求項1記載の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記有機アルミニウム化合物が、トリアルキルアルミニウムである請求項1〜3のいずれか一項記載の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記有機溶剤が、脂肪族炭化水素化合物及び芳香族炭化水素化合物から選択されるものである請求項1〜4のいずれか一項記載の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
  6. ISO−6452に規定されるフォギング試験において、加熱温度100℃、加熱時間5時間、冷却温度50℃の条件でフォギングしないポリエチレン樹脂組成物を製造できる請求項1〜5のいずれか一項記載の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の衛生材料用ポリエチレン樹脂組成物の製造方法で製造されたエチレン重合体を成形してなることを特徴とする成形品。
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