JP2017124341A - 水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原水中に含まれる有機体炭素を吸着材を用いて除去するとともに、該吸着材を高温の水性媒体(浄水を除く)を用いて再生する水処理方法を提供する。
【解決手段】水処理方法は、有機体炭素を含有する原水と、高分子吸着材とを室温付近で接触させ、吸着材により有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着させる吸着工程と、
前記成分を吸着した吸着材を40℃以上に加温した水性媒体と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備える水処理方法である。
【選択図】なし
【解決手段】水処理方法は、有機体炭素を含有する原水と、高分子吸着材とを室温付近で接触させ、吸着材により有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着させる吸着工程と、
前記成分を吸着した吸着材を40℃以上に加温した水性媒体と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備える水処理方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、原水中に含まれる有機体炭素を吸着材を用いて除去するとともに、該吸着材を高温の水性媒体(浄水を除く)を用いて再生する水処理方法に関する。
自然環境下または人工環境下から得られる原水に対して水処理を行う場合、そのような原水には、有機体炭素が存在しており、有機体炭素には溶存有機炭素(溶存性有機体炭素、DOC:Dissolved Organic carbon)などが含まれる。特許文献1によると、DOCは、有機炭素、有機着色剤、及び天然の有機物質を包含する用語であるとともに、植物残留物の分解により形成される有機化合物の混合物であるフミン酸及びフルボ酸のようなフミン質をも包含する用語であり、DOCを構成する主要な化合物及び材料は可溶性であるため、水から容易に分離できないとされている。そして特許文献1では;a.溶解された有機炭素を含む水にイオン交換樹脂を添加し;b.前記樹脂上への前記溶解された有機炭素の吸着を可能にするために前記水に前記樹脂を分散し;そしてc.前記溶解された有機炭素により負荷された樹脂を前記水から分離する工程により、溶解された有機炭素を水から除去する方法を提案している。さらに、d.有機炭素が負荷された樹脂をブラインにて再生する工程も提案されている。
一方、近年、膜ろ過におけるファウリング物質に関する詳細な解析がなされており、非特許文献1では、物理的に不可逆な膜ファウリングの原因物質は、フミン酸やフルボ酸などの芳香族環を有する疎水性物質よりも、比較的親水性が高い溶存有機物である糖類やたんぱく質などのバイオポリマーが主因であることが報告されている。
物理的に不可逆な膜ファウリングの原因物質の吸着除去技術については、例えば、特許文献2ではゼオライトや活性炭が吸着材として例示され、TEP(transparent exopolymer particles)が除去された処理水を加熱し、洗浄水として用いる吸着材の再生方法も提案されている。
しかしながら、特許文献2の発明では、処理水中に含まれるスケール成分がゼオライトなどの無機物に付着するため、結果的に無機物の洗浄を行うことができなくなってしまう。
しかしながら、特許文献2の発明では、処理水中に含まれるスケール成分がゼオライトなどの無機物に付着するため、結果的に無機物の洗浄を行うことができなくなってしまう。
一方で、特許文献3では、前処理膜の洗浄方法として、原水中の濁質分をろ過するために限外ろ過膜や精密ろ過膜などの分離膜を前処理膜として用い、汚染された前処理膜を、逆浸透膜装置で生産された淡水により逆洗浄する方法が記載されている。
渡辺義公、膜、38(5)、207−214(2013)
しかし、特許文献1の発明では、吸着材の再生方法として高濃度塩化ナトリウム溶液であるブラインという特殊な水溶液を用いているため、再生処理を行う上でコスト的に不利である。
さらに特許文献3の発明では、造水された浄水を用いることが必須であるため、水処理における造水率の低下、ひいては造水コストの上昇に繋がるという問題を有している。
さらに特許文献3の発明では、造水された浄水を用いることが必須であるため、水処理における造水率の低下、ひいては造水コストの上昇に繋がるという問題を有している。
本発明の目的は、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆な膜ファウリングの原因物質、その主因と報告されている多糖やたんぱく質などのバイオポリマーを吸着するとともに、浄水以外の水性媒体を利用して、造水コスト的に有利に吸着後の吸着材を再生することができる水処理方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の点を見出した。すなわち、従来、再汚濁を防止して吸着材を再生させるためには、浄水などの造水された水を洗浄水として用いて吸着材の再生を行うということが当業者における当然の知識であった。しかしながら、大変意外なことに、所定の高温に加温された水性媒体を、高分子吸着材に対して適用する場合、浄化して用いられる浄水ではなくとも、再生工程において吸着材に有機体炭素が付着するのを抑制しつつ、吸着材の再生が可能であり、その結果、造水コストを低減することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の一つの態様は、有機体炭素を含有する原水と、高分子吸着材とを室温付近で接触させ、吸着材により有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着させる吸着工程と、
前記成分を吸着した高分子吸着材を40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備える水処理方法である。
前記成分を吸着した高分子吸着材を40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備える水処理方法である。
水処理方法において、再生媒体(再生水)としては、50℃〜110℃に加温した水性媒体を用いることが好ましく、より好ましくは再生工程において、吸着材を60℃以上に加温した水性媒体と15分以上接触させてもよい。
また、再生媒体(再生水)としては、塩化ナトリウム濃度0.1質量%以上の水性媒体を用いてもよい。また、再生工程において、全有機体炭素濃度0.01mg−C/L以上の水性媒体が再生に用いられてもよく、濁度200NTU以下の水性媒体が再生に用いられてもよい。
また、再生媒体(再生水)としては、塩化ナトリウム濃度0.1質量%以上の水性媒体を用いてもよい。また、再生工程において、全有機体炭素濃度0.01mg−C/L以上の水性媒体が再生に用いられてもよく、濁度200NTU以下の水性媒体が再生に用いられてもよい。
吸着工程で吸着された成分が、バイオポリマーを含んでいてもよい。
好ましい高分子吸着材としては、アミノ基、およびそれらの塩からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有していてもよく、親水性高分子を主骨格とする高分子吸着材を用いていても良い。
吸着材として、高分子吸着材の主骨格である親水性高分子が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、デキストリン、キチン、およびキトサンからなる群から選択される少なくとも1種を含む高分子吸着材を用いていても良い。
さらに、吸着工程により得られた吸着処理水を、膜ろ過処理により膜ろ過する、膜ろ過工程を含む、水処理方法であってもよく、膜ろ過工程が、限外ろ過(UF)膜、精密ろ過(MF)膜、ナノろ過(NF)膜、および逆浸透(RO)膜からなる群から選択される少なくとも一種の膜を用いて、一段または多段にて行われる、水処理方法であっても良い。
本発明の水処理方法では、高分子吸着材により、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質(特に糖類やたんぱく質といった親水性が高いバイオポリマー)を吸着することができるだけでなく、吸着工程後の高分子吸着材を、高温の水性媒体(特に、吸着対象の有機体炭素を含む水性媒体)と接触させることにより、水性媒体が非浄水であっても、再生媒体として有効に利用して、すでに吸着材に吸着されている吸着物質を、吸着材から脱離させて再生することができる。そして、再生された吸着材を、再び吸着処理へ有効に用いることができる。
本発明の水処理方法では、従来用いられている浄水や、ブラインなど特別な洗浄水を利用しなくとも、水性媒体の温度に着目して再生媒体を利用するため、浄水でなくとも洗浄水として利用することができ、水処理方法における造水コストの低減、造水率の改善が達成される。
本発明の水処理方法では、従来用いられている浄水や、ブラインなど特別な洗浄水を利用しなくとも、水性媒体の温度に着目して再生媒体を利用するため、浄水でなくとも洗浄水として利用することができ、水処理方法における造水コストの低減、造水率の改善が達成される。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではない。
[水処理方法]
本発明の水処理方法は、有機体炭素を含有する原水と、高分子吸着材とを室温付近で接触させ、吸着材により有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着させる吸着工程と、
前記成分を吸着した吸着材を40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備えている。
本発明の水処理方法は、有機体炭素を含有する原水と、高分子吸着材とを室温付近で接触させ、吸着材により有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着させる吸着工程と、
前記成分を吸着した吸着材を40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備えている。
(吸着工程)
被処理水は、自然環境下、人工環境下で得られるさまざまな原水を被処理水として利用可能であり、有機体炭素を含有する限り特に限定されないが、例えば、原水としては、一般の河川水、湖沼水、海水、土壌溶出水、用水、生物処理水、下水処理やし尿処理施設での生物処理水や三次処理などの高度処理水、各種工場排水、これらを前処理(例えば、砂ろ過処理、水処理膜を用いた粗ろ過処理、凝集沈殿処理、オゾン処理、既存の吸着材や活性炭などを用いた吸着処理、生物処理)した後の処理水後の水などが挙げられる。
また、吸着前処理を行う場合、例えば、粒子径が5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.45μmより大きい粒子が排除された水を、吸着工程において被処理水として用いるのが好ましい。
被処理水は、自然環境下、人工環境下で得られるさまざまな原水を被処理水として利用可能であり、有機体炭素を含有する限り特に限定されないが、例えば、原水としては、一般の河川水、湖沼水、海水、土壌溶出水、用水、生物処理水、下水処理やし尿処理施設での生物処理水や三次処理などの高度処理水、各種工場排水、これらを前処理(例えば、砂ろ過処理、水処理膜を用いた粗ろ過処理、凝集沈殿処理、オゾン処理、既存の吸着材や活性炭などを用いた吸着処理、生物処理)した後の処理水後の水などが挙げられる。
また、吸着前処理を行う場合、例えば、粒子径が5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.45μmより大きい粒子が排除された水を、吸着工程において被処理水として用いるのが好ましい。
被処理水は、有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質を含有するとともに、0.1質量%以上の塩化ナトリウムを含む原水であってもよい。例えば、そのような原水は、海水(塩化ナトリウム濃度2〜4質量%)、汽水(塩化ナトリウム濃度0.5〜2質量%)、油田やガス田の採掘の際に発生する随伴水などであってもよく、またはこれらを処理して得られる、より塩濃度の高い水などであってもよく、自然環境下の原水に由来して得られるさまざまな塩を含む水を被処理水として用いてもよい。
例えば、原水は、0.1質量%以上(例えば、0.5〜30質量%程度)、1質量%以上、または2質量%以上の塩化ナトリウム濃度を有していてもよい。また被処理水中には、塩化ナトリウム以外にも、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などが含まれていてもよい。
原水中に含まれる有機体炭素とは、ここでは、上述する原水中に含まれる溶存有機炭素(DOC:Dissolved Organic carbon)や粒子性有機体炭素(POC)を意味しており、TEPを構成する有機化合物などが含まれる。本発明の吸着工程では、高分子吸着材により有機体炭素の少なくとも一部の成分が吸着されればよい。
また、原水には、有機体炭素として、物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質が含まれていてもよく、高分子吸着材により、この原因物質の少なくとも一部の成分が吸着されてもよい。物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質とは、有機体炭素の一種であり、膜ろ過を行う際に、物理的な逆洗などの手段により取り除くことが困難である物質を意味している。具体的な原因物質については未だ研究中ではあるが、本発明の吸着工程を経た処理水を膜処理工程へ供する場合、吸着工程を経ることなく被処理水を膜処理工程へ供する場合と比較して、膜処理工程における膜の寿命を向上することが可能である。
したがって、原因物質が具体的に特定されていなくとも、吸着工程によって、物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質の量が低減できていることを確認することが可能である。
したがって、原因物質が具体的に特定されていなくとも、吸着工程によって、物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質の量が低減できていることを確認することが可能である。
原因物質としてはさまざまな化合物が考えられるが、吸着工程において吸着される原因物質は、物理的に吸着した場合に脱離するのが困難であると考えられる粒子径0.45μm以下の有機物に属する物質であってもよい。
粒子径0.45μm以下の有機物としては、フミン酸やフルボ酸などの芳香族含有有機物、界面活性剤等の合成化学物質、バイオポリマーなどが挙げられる。
例えば、吸着される成分は、親水性の10万ダルトン以上を有する化合物であって、高速液体クロマトグラフィーに湿式全有機炭素計測器を接続したLC−OCDにおいて、フミン質の信号ピークが現れる保留時間より短い保留時間において、信号ピークを示す物質であってもよい。
粒子径0.45μm以下の有機物としては、フミン酸やフルボ酸などの芳香族含有有機物、界面活性剤等の合成化学物質、バイオポリマーなどが挙げられる。
例えば、吸着される成分は、親水性の10万ダルトン以上を有する化合物であって、高速液体クロマトグラフィーに湿式全有機炭素計測器を接続したLC−OCDにおいて、フミン質の信号ピークが現れる保留時間より短い保留時間において、信号ピークを示す物質であってもよい。
吸着工程では、高分子吸着材により、有機体炭素の少なくとも一部の成分として、バイオポリマーを少なくとも吸着するのが好ましい。
バイオポリマーとは、親水性の高分子量(例えば、10万ダルトン以上)を有する化合物(例えば、多糖類およびタンパク質)とされている。より詳細には、Stefan A. Huber et al. Water Research 45 (2011) pp879-885に記載された方法により測定したAフラクション、例えばLC−OCDによる保留時間が、25分以上38分以下の成分であってもよい。実施例では、上記記載された方法に基づくLC−OCD(Hubers社製、DOC-Labor)の分析にて、25分以上38分以下の保留時間の成分をバイオポリマーとして測定している。また、フミン質は、同じ条件下での測定におけるBフラクション、例えば保留時間38分を超えて50分以下の成分であってもよい。
バイオポリマーは、ベンゼン環などの疎水性構造が少なく、主に親水性の高い有機物で構成されており、例えば、SUVA値が1.0[L/(m・mg)]以下を示す有機物で構成されていてもよい。
一方、フミン質は、ベンゼン環などが含まれているため、UV吸収性を有する構造するだけでなく、疎水性が高く、例えば、SUVA値が2.0[L/(m・mg)]以上を示す有機物で構成されていてもよい。
一方、フミン質は、ベンゼン環などが含まれているため、UV吸収性を有する構造するだけでなく、疎水性が高く、例えば、SUVA値が2.0[L/(m・mg)]以上を示す有機物で構成されていてもよい。
なお、SUVA値は、以下の式で求められる。
SUVA(L/mg−C・m)=UV(m-1)/DOC(mg−C/L)
SUVA(L/mg−C・m)=UV(m-1)/DOC(mg−C/L)
なお、ここで、SUVA値を算出するための各パラメータはStefan A. Huber et al. Water Research 45 (2011) pp879-885に記載された方法により測定されたものであり「面積値」とは、LC−OCDにより得られる面積値を表し、「UV」とは、波長254nmでの吸光度、「DOC」とは供試サンプル中のDOC濃度(mg−C/L)を示している。
UV値算出方法
(i)バイオポリマーのUV=供試サンプル全体のUV×スペクトル中のバイオポリマー(保留時間tb:25分≦tb≦38分)の面積値/スペクトル全体の面積値
(ii)フミン質のUV=供試サンプル全体のUV×スペクトル中のフミン質(保留時間th:38分<th≦50分)の面積値/スペクトル全体の面積値
(i)バイオポリマーのUV=供試サンプル全体のUV×スペクトル中のバイオポリマー(保留時間tb:25分≦tb≦38分)の面積値/スペクトル全体の面積値
(ii)フミン質のUV=供試サンプル全体のUV×スペクトル中のフミン質(保留時間th:38分<th≦50分)の面積値/スペクトル全体の面積値
DOC値算出方法
(i)バイオポリマーのDOC=供試サンプル全体のDOC×スペクトル中のバイオポリマー(保留時間tb:25分≦tb≦38分)の面積値/スペクトル全体の面積値
(ii)フミン質のDOC=供試サンプル全体のDOC×スペクトル中のフミン質(保留時間th:38分<th≦50分)の面積値/スペクトル全体の面積値
(i)バイオポリマーのDOC=供試サンプル全体のDOC×スペクトル中のバイオポリマー(保留時間tb:25分≦tb≦38分)の面積値/スペクトル全体の面積値
(ii)フミン質のDOC=供試サンプル全体のDOC×スペクトル中のフミン質(保留時間th:38分<th≦50分)の面積値/スペクトル全体の面積値
吸着工程では、被処理水と、高分子吸着材とを接触させることができる限り特に限定されず、例えば、バッチ式として、被処理水へ吸着材を添加し、必要に応じて公知の方法で撹拌することにより、吸着処理を行ってもよいし;連続式として、親水性高分子吸着材を充てんしたカラムに対し、被処理水を通液させることにより吸着処理を行ってもよい。また、吸着工程は、一段であってもよいし、多段であってもよい。
吸着工程での被処理水の温度は、室温付近にあればよく、例えば0℃以上40℃未満であってもよく、好ましくは5〜38℃、より好ましくは10〜35℃であってもよい。
被処理水に対して用いられる吸着材の量は、被処理水の種類、吸着材の形態などに応じて適宜選択することができるが、例えば、バッチ式の場合、吸着材の量は、被処理水1Lあたり、0.05〜30g程度、好ましくは0.1〜10g程度であってもよい。
また、吸着材を被処理水に浸漬し撹拌を行う場合、機械的撹拌、気泡撹拌などにより、吸着材を撹拌してもよい。機械的撹拌を行う場合、周速として0.1〜20m/s程度であってもよく、0.3〜15m/s程度であってもよい。
一方で、連続式の場合、カラムに充填された吸着材に対して、被処理水のカラムへの通液速度は、例えば、処理水流速を吸着材容積で割った値である空塔速度として0.5〜200h-1程度であってもよく、好ましくは1〜150h-1程度であってもよい。
(高分子吸着材)
本発明で用いられる高分子吸着材について、説明する。
本発明で用いられる高分子吸着材は、高分子から形成され、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着する吸着材である限り特に限定されず、各種高分子吸着材を利用することができる。
本発明で用いられる高分子吸着材について、説明する。
本発明で用いられる高分子吸着材は、高分子から形成され、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着する吸着材である限り特に限定されず、各種高分子吸着材を利用することができる。
また、高分子吸着材は、再生工程に用いられる再生媒体の使用温度における耐熱水溶解性を有しているのが好ましい。ここで、耐熱水溶解性とは、再生工程中の使用温度(40℃以上、好ましくは50℃〜110℃、より好ましくは60℃〜105℃、さらに好ましくは70℃〜100℃)における熱水に対して、1時間高分子吸着材を浸漬させた場合の下記式で表される溶解度(X)が5%以下であることを意味していてもよい。
X=[(Y−Z)/(Y)]×100 (%)
(式中、Yは、高分子吸着材を熱水に浸漬する前に、105℃で4時間乾燥して秤量した高分子吸着材の乾燥重量であり、Zは、高分子吸着材を所定の温度の熱水に1時間浸漬した後、105℃で4時間乾燥して秤量した乾燥重量である。)
(式中、Yは、高分子吸着材を熱水に浸漬する前に、105℃で4時間乾燥して秤量した高分子吸着材の乾燥重量であり、Zは、高分子吸着材を所定の温度の熱水に1時間浸漬した後、105℃で4時間乾燥して秤量した乾燥重量である。)
例えば、本発明で用いられる高分子吸着材としては、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質が、吸着材に対して吸着されるための結合形成基を有する高分子吸着材が挙げられる。
結合形成基は、吸着成分との各種結合(例えば、水素結合、配位結合、イオン結合など)を形成することが可能である。例えば、結合形成基としては、水素結合形成基、キレート形成基、カチオン性イオン交換基、アニオン性イオン交換基などが挙げられ、これらの結合形成基は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。好ましくは、カチオン性イオン交換基を少なくとも有していてもよい。
結合形成基は、吸着成分との各種結合(例えば、水素結合、配位結合、イオン結合など)を形成することが可能である。例えば、結合形成基としては、水素結合形成基、キレート形成基、カチオン性イオン交換基、アニオン性イオン交換基などが挙げられ、これらの結合形成基は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。好ましくは、カチオン性イオン交換基を少なくとも有していてもよい。
結合形成基は、例えば、N、S、PおよびOからなる群から選択された元素を少なくとも一つ含む官能基であってもよい。
具体的には、そのような官能基としては、アミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基)、4級アンモニウム基、イミニウム基、イミダゾール基、4級イミダゾリウム基、ピリジル基、4級ピリジニウム基、水酸基、カルボキシル基、スルホネート基、スルホン酸基、スルホニウム基、メルカプト基、チオウレア基、ホスホネート基、ホスホン酸基、ホスホニウム基などが挙げられる。それらは塩の状態で存在していてもよい。これらの官能基は、単独でまたは二種以上組み合わせて存在していてもよい。これらのうち、好ましい官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、イミニウム基、イミダゾール基、4級イミダゾリウム基、ピリジル基、4級ピリジニウム基であり、さらに好ましくは、アミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基)、およびそれらの塩が挙げられる。
具体的には、そのような官能基としては、アミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基)、4級アンモニウム基、イミニウム基、イミダゾール基、4級イミダゾリウム基、ピリジル基、4級ピリジニウム基、水酸基、カルボキシル基、スルホネート基、スルホン酸基、スルホニウム基、メルカプト基、チオウレア基、ホスホネート基、ホスホン酸基、ホスホニウム基などが挙げられる。それらは塩の状態で存在していてもよい。これらの官能基は、単独でまたは二種以上組み合わせて存在していてもよい。これらのうち、好ましい官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、イミニウム基、イミダゾール基、4級イミダゾリウム基、ピリジル基、4級ピリジニウム基であり、さらに好ましくは、アミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基)、およびそれらの塩が挙げられる。
高分子吸着材は、前記結合形成基とともに、疎水性高分子を主骨格として有していてもよいし、親水性高分子を主骨格として有していてもよい。
疎水性高分子は、一般に、Fedorの推算法により算出した凝集エネルギー密度(Ecoh)とモル分子容(V)を用いて、下記式にて算出された溶解度パラメータ(δ)が、22未満である高分子のことをいう。 δ=[ΣEcoh/ΣV]1/2
疎水性高分子としては、具体的には、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系高分子;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系高分子;ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン系ビニルポリマーなどが挙げられる。これらの高分子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。これらのうち、スチレン系高分子、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどが好ましい。
疎水性高分子の重量平均分子量は、高分子の種類に応じて適宜好ましい範囲を設定することが可能であるが、例えば、親水性高分子の重量平均分子量は、少なくとも5000以上(例えば、5000〜100000)であってもよく、好ましくは10000以上であってもよい。なお、重量平均分子量は、例えばGPCを用いて求めることができる。
疎水性高分子を主骨格として有する疎水性高分子吸着材としては、上述の疎水性高分子に対して、上記官能基が導入された高分子吸着材などが挙げられる。導入される量は、例えば、全モノマー単位中2〜100モル%、好ましくは、3〜95モル%、より好ましくは、5〜90モル%であってもよい。
このような疎水性高分子吸着材は、例えば、ピュロライト株式会社より「ピュロライト(登録商標)」シリーズ;住化ケムテックス株式会社より、「スミキレート(登録商標)」シリーズ、「デュオライト(登録商標)」シリーズ;三菱化学株式会社より「ダイヤイオン(登録商標)」シリーズなどとして上市されている。
好ましくは、高分子吸着材は、親水性高分子を主骨格として有していてもよい。親水性高分子を主骨格として有する高分子吸着材は、疎水性高分子を主骨格とするイオン交換樹脂やキレート樹脂と比べ、原水中に含まれる有機体炭素(特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質やバイオポリマー)の吸着性に優れているため、有機体炭素の吸着性の観点から好ましい。
本発明で用いられる親水性高分子吸着材が作用するメカニズムは、定かではないが、以下のようなメカニズムが推測される。(i)親水性高分子を主骨格とすることで水に対する濡れ性が高まり、有機体炭素の少なくとも一部の成分、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質が吸着材内部まで浸透し、(ii)浸透した成分は、この成分との結合形成が可能な基(結合形成基)を有する吸着材と水素結合、配位結合、イオン結合などの相互作用により捕捉され、吸着材は、有機体炭素の少なくとも一部の成分、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質(特に、親水性が高く膜汚染の懸念物質と考えられ始めているバイオポリマー)を効率的に吸着することができる、と推測される。
親水性高分子吸着材は、主骨格として、親水性高分子を有している。例えば、高分子吸着材は、親水性高分子を主骨格として有し、その親水性高分子に対して、結合形成基が導入されたものであってもよい。または、主骨格として親水性高分子がマトリクス成分を構成するポリマーアロイなどであってもよい。
ここで、親水性高分子とは、一般に、Fedorの推算法の下記式にて算出された溶解度パラメータ(δ)が、22以上である高分子のことをいう。好ましくは23以上であり、より好ましくは24以上であり、25以上がさらに好ましい。なお、溶解度パラメータの上限は特に限定されないが、例えば、35程度であってもよい。
δ=[ΣEcoh/ΣV]1/2
親水性高分子は、上記溶解パラメータを満たすものであれば特に限定されないが、例えば、繰り返し単位中に水酸基、エーテル基、カチオン性基、アニオン性基、アミド基等の親水性基を有する高分子などが挙げられる。
ここで、親水性高分子とは、一般に、Fedorの推算法の下記式にて算出された溶解度パラメータ(δ)が、22以上である高分子のことをいう。好ましくは23以上であり、より好ましくは24以上であり、25以上がさらに好ましい。なお、溶解度パラメータの上限は特に限定されないが、例えば、35程度であってもよい。
δ=[ΣEcoh/ΣV]1/2
親水性高分子は、上記溶解パラメータを満たすものであれば特に限定されないが、例えば、繰り返し単位中に水酸基、エーテル基、カチオン性基、アニオン性基、アミド基等の親水性基を有する高分子などが挙げられる。
例えば、親水性高分子としては、酢酸ビニル誘導体ポリマー[例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドなどの各種アルデヒド類によるポリビニルアルコールアセタール化物)]、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリピリジン、ポリビニルピリジン、ポリアミノ酸、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリヌクレオチドなど)、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアミック酸)、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、デキストリン、キチン、およびキトサンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
これらのポリマーは、他のコモノマー単位(例、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸単位、シラノール基、アルデヒド基、又はスルホン酸基を有するモノマー単位など)を有していてもよい。
これらのポリマーは、他のコモノマー単位(例、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸単位、シラノール基、アルデヒド基、又はスルホン酸基を有するモノマー単位など)を有していてもよい。
親水性高分子の重量平均分子量は、高分子の種類に応じて適宜好ましい範囲を設定することが可能であるが、例えば、親水性高分子の重量平均分子量は、少なくとも5000以上(例えば、5000〜100000)であってもよく、好ましくは10000以上であってもよい。なお、重量平均分子量は、例えばGPCを用いて求めることができる。
特に好ましい親水性高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール)、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンが好ましく、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールがより好ましく、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルホルマールが特に好ましく、耐水性を有するだけでなく、成形性および親水性に優れる観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体が最も好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン単位の含量は、全モノマー単位中20〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜55モル%であってもよい。エチレン含量が少なすぎると、耐久性が悪くなるおそれがある。一方、エチレン含量が多すぎると、親水性が低下するおそれがある。
なお、ポリビニルアルコールに関しては、粘度平均重合度で規定してもよく、30℃水溶液の粘度から求めた粘度平均重合度が、例えば100〜15000程度の幅広い範囲から選択できる。耐久性を向上させる観点から、高重合度のものを用いるのが好ましく、その場合、例えば、粘度平均重合度は好ましくは800〜13000程度、さらに好ましくは1000〜10000程度であってもよい。
また、ポリビニルアルコールのけん化度も、目的に応じて適宜選択でき特に限定されるものではないが、例えば、88モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であってもよい。特に耐久性を向上させる観点からは、けん化度98モル%以上のものが好ましい。
親水性高分子吸着材は、親水性高分子を主骨格として有しており、親水性高分子自体が、その構造中に結合形成基を有していてもよいし、親水性高分子に対して、結合形成基が導入されたものであってもよい。その場合、結合形成基は、上記親水性高分子を作製する際に、結合形成基を含有するモノマー(またはその誘導体)を共重合することにより導入してもよいし、親水性高分子を作製した後、後変性により結合形成基を導入してもよい。官能基を導入する場合、導入される結合形成基は、親水性高分子の親水性基とは、異なる種類の官能基であってもよい。
また、導入される量は、全モノマー単位中2〜100モル%、好ましくは、3〜95モル%、より好ましくは、5〜90モル%であってもよい。
また、導入される量は、全モノマー単位中2〜100モル%、好ましくは、3〜95モル%、より好ましくは、5〜90モル%であってもよい。
また、高分子吸着材は、上記親水性高分子または疎水性高分子をマトリクス成分とし、結合形成性官能基(結合形成基)を有する成分とアロイ化することにより、結合形成基を親水性高分子または疎水性高分子に導入したものであってもよい。導入の容易さや得られる高分子吸着材の強度や膨潤度などの物理特性付与の観点から、高分子吸着材は、結合形成基含有高分子(A)と、マトリクス高分子(B)とのポリマーアロイであるのが好ましい。
[結合形成基含有高分子(A)]
例えば、結合形成基含有高分子(A)は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリアミック酸などのアニオン系ポリマーであってもよいし;ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリピリジン、ポリビニルピリジン、ポリアミノ酸、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリヌクレオチドなどのカチオン性ポリマーであってもよい。このような高分子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
例えば、結合形成基含有高分子(A)は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリアミック酸などのアニオン系ポリマーであってもよいし;ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリピリジン、ポリビニルピリジン、ポリアミノ酸、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリヌクレオチドなどのカチオン性ポリマーであってもよい。このような高分子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、マトリクス高分子と組み合わせて、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆な膜ファウリングを生じる原因物質をより効率よく吸着する観点から、上述のカチオン性ポリマーが好ましく、アミノ基含有高分子、4級アンモニウム基含有高分子、4級ピリジニウム基含有高分子がより好ましく、特に、高カチオン密度を有する高分子(例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンなど)が好ましい。
[マトリクス高分子(B)]
マトリクス高分子(B)は、結合形成基含有高分子(A)とポリマーアロイ化が可能である限り、疎水性マトリクス高分子であっても、親水性マトリクス高分子であっても、いずれであってもよく、両者のブレンド高分子であってもよい。
マトリクス高分子(B)は、結合形成基含有高分子(A)とポリマーアロイ化が可能である限り、疎水性マトリクス高分子であっても、親水性マトリクス高分子であっても、いずれであってもよく、両者のブレンド高分子であってもよい。
疎水性マトリクス高分子(B1)としては、例えば、疎水性高分子で例示した高分子であってもよく、好ましくは、ポリスチレンなどのスチレン系高分子;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系高分子;ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン系ビニルポリマーなどであってもよい。
親水性マトリクス高分子(B2)としては、例えば、親水性高分子で例示した高分子であってもよく、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール)、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、デキストリン、キチン、キトサンなどを挙げることができる。
これらのポリマーは、他のコモノマー単位(例、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸単位、シラノール基、アルデヒド基、又はスルホン酸基を有するモノマー単位など)を有していてもよい。
これらのポリマーは、他のコモノマー単位(例、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸単位、シラノール基、アルデヒド基、又はスルホン酸基を有するモノマー単位など)を有していてもよい。
疎水性マトリクス高分子(B1)および親水性マトリクス高分子(B2)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
マトリクス高分子(B)は、好ましくは親水性マトリクス高分子(B2)であり、特にポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンが好ましく、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールがより好ましく、耐水性を有するだけでなく、成形性および親水性に優れる観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。
マトリクス高分子(B)は、好ましくは親水性マトリクス高分子(B2)であり、特にポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンが好ましく、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールがより好ましく、耐水性を有するだけでなく、成形性および親水性に優れる観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。
なお、親水性マトリクス高分子(B2)に関し、その重量平均分子量、エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレン単位の含量、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度およびけん化度については、上述の親水性高分子での記載事項と同様であってもよい。
[結合形成基含有高分子(A)とマトリクス高分子(B)との質量比]
本発明の高分子吸着材で、結合形成基含有高分子(A)とマトリクス高分子(B)のポリマーアロイにおける、結合形成基含有高分子(A)とマトリクス高分子(B)との割合は、例えば、質量比で高分子(A)/高分子(B)=1/99〜70/30程度であってもよく、好ましくは5/95〜65/45程度、より好ましくは8/92〜60/40程度であってもよい。高分子(A)が多すぎると、耐水性が低下する恐れがあり、高分子(A)が少なすぎると、吸着性能が低下する傾向にある。高分子(A)は、マトリクス高分子(B)中に分散しているのが好ましい。
本発明の高分子吸着材で、結合形成基含有高分子(A)とマトリクス高分子(B)のポリマーアロイにおける、結合形成基含有高分子(A)とマトリクス高分子(B)との割合は、例えば、質量比で高分子(A)/高分子(B)=1/99〜70/30程度であってもよく、好ましくは5/95〜65/45程度、より好ましくは8/92〜60/40程度であってもよい。高分子(A)が多すぎると、耐水性が低下する恐れがあり、高分子(A)が少なすぎると、吸着性能が低下する傾向にある。高分子(A)は、マトリクス高分子(B)中に分散しているのが好ましい。
[その他の成分]
なお、本発明において、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質に対して吸着性を有する高分子吸着材は、必要に応じて、例えば、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、消泡剤、分散剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
なお、本発明において、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質に対して吸着性を有する高分子吸着材は、必要に応じて、例えば、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、消泡剤、分散剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
架橋剤は、親水性高分子の架橋反応性基の種類に応じて適宜決定することができるが、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、酸無水物基、酸ハライド基、ホルミル基、N−クロロホルミル基、クロロホーメイト基、アミジニル基、イソシアネート基、ビニル基、アルデヒド基、アゼチジン基、カルボジイミド基などから選択される少なくとも1種又は2種以上の官能基を少なくとも2個含む化合物が挙げられる。また、ジルコニル系架橋剤(硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル)、チタン系架橋剤[チタン系架橋剤、チタンラクテート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)]などを用いてもよい。このような架橋剤は、市販されている各種架橋剤を利用することができ、特に限定されないが、エポキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基、ビニル基、アルデヒド基、アゼチジン基、カルボジイミド基などから選択される少なくとも1種又は2種以上の官能基を少なくとも2個含む化合物が好ましい。
また、架橋剤による架橋構造の導入は、高分子吸着材を合成時にジビニルモノマーなどの共重合成分を用いることにより、架橋構造を導入してもよい。
また、架橋剤と高分子吸着材の構成成分と合わせて溶融混練することにより架橋構造を導入してもよい。
溶融混練を行う場合、高分子吸着材の構成成分、架橋剤、必要に応じて任意成分を、二軸型の混練機などを用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が挙げられる。当該溶融混練法によれば、各成分が均一に分散した吸着材を得ることが容易であるという利点を有する。
溶融混練を行う場合、高分子吸着材の構成成分、架橋剤、必要に応じて任意成分を、二軸型の混練機などを用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が挙げられる。当該溶融混練法によれば、各成分が均一に分散した吸着材を得ることが容易であるという利点を有する。
また、一旦、高分子吸着材材料を溶融成形、溶液成形などにより成形し、各種形状の成形体を形成した後、架橋剤を含む溶液に成形体を浸漬させて架橋構造を導入してもよい。
溶融成形を行う場合、例えば、架橋剤を少なくとも除く高分子吸着材材料を、二軸型の混練機などを用いて溶融混練し、溶融混練物を押出成形、射出成形などにより各種形状の成形体を得た後、この成形体を、架橋剤含有溶液に浸漬させることにより、架橋処理を施してもよい。
一方で、溶液成形を行う場合、例えば、架橋剤を少なくとも除く高分子吸着材材料から、適当な溶媒を用いて混合液を調製し、この混合液を用いて、キャスト製膜または乾式紡糸、湿式紡糸などにより、膜状または繊維状の成形体を得た後、この成形体を、架橋剤含有溶液に浸漬させることにより、架橋処理を施してもよい。
一方で、溶液成形を行う場合、例えば、架橋剤を少なくとも除く高分子吸着材材料から、適当な溶媒を用いて混合液を調製し、この混合液を用いて、キャスト製膜または乾式紡糸、湿式紡糸などにより、膜状または繊維状の成形体を得た後、この成形体を、架橋剤含有溶液に浸漬させることにより、架橋処理を施してもよい。
[高分子吸着材の吸着性]
例えば、高分子吸着材は、有機体炭素を含有する原水と接触することにより、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着することができる。
吸着される成分は、有機体炭素の少なくとも一部の成分である限り特に限定されず、例えば、粒子径0.45μm以下の有機物に属する物質であってもよく;好ましくは、親水性の10万ダルトン以上を有する化合物であって、高速液体クロマトグラフィーに湿式全有機炭素計測器を接続したLC−OCDにおいて、フミン質の信号ピークが現れる保留時間より短い保留時間において、信号ピークを示す物質であってもよく;より好ましくは、フミン酸やフルボ酸などの芳香族含有有機物、界面活性剤等の合成化学物質、バイオポリマーなどであってもよい。
本発明で用いられる高分子吸着材は、例えば、被処理水からのバイオポリマーの除去率(または吸着率)が、例えば15%以上であってもよく、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上であってもよい。なお、除去率は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
例えば、高分子吸着材は、有機体炭素を含有する原水と接触することにより、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着することができる。
吸着される成分は、有機体炭素の少なくとも一部の成分である限り特に限定されず、例えば、粒子径0.45μm以下の有機物に属する物質であってもよく;好ましくは、親水性の10万ダルトン以上を有する化合物であって、高速液体クロマトグラフィーに湿式全有機炭素計測器を接続したLC−OCDにおいて、フミン質の信号ピークが現れる保留時間より短い保留時間において、信号ピークを示す物質であってもよく;より好ましくは、フミン酸やフルボ酸などの芳香族含有有機物、界面活性剤等の合成化学物質、バイオポリマーなどであってもよい。
本発明で用いられる高分子吸着材は、例えば、被処理水からのバイオポリマーの除去率(または吸着率)が、例えば15%以上であってもよく、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上であってもよい。なお、除去率は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
このような高分子吸着材は、特にバイオポリマーの吸収性に優れているのが好ましく、25℃のバイオポリマーモデル水(アルギン酸ナトリウム濃度:4.3mg―C/Lのアルギン酸ナトリウム水溶液)およびフミン質モデル水(フミン酸ナトリウム濃度:4.3mg―C/Lのフミン酸ナトリウム水溶液)のそれぞれにおいて、アルギン酸ナトリウムの吸着率(A)と、フミン酸ナトリウムの吸着率(B)との比が、例えば、(A)/(B)=0.3〜10程度であってもよく、好ましくは(A)/(B)=1.0〜10程度、より好ましくは1.1〜9程度、さらに好ましくは1.3〜8程度であってもよい。なお、ここでそれぞれのモデル水において、バイオポリマーモデルとしてはアルギン酸ナトリウムを用い、フミン質モデルとしてはフミン酸ナトリウムを用いている。またそれぞれの吸着率は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
また、本発明で用いられる高分子吸着材は、25℃のバイオポリマーモデル水(アルギン酸ナトリウム濃度:4.3mg―C/Lのアルギン酸ナトリウム水溶液)において、アルギン酸ナトリウムの吸着率(A)が、例えば、30%以上(例えば30〜100%)であってもよく、好ましくは35%以上であってもよく、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上であってもよい。吸着率については、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
また、本発明で用いられる高分子吸着材は、25℃のフミン質モデル水(フミン酸ナトリウム濃度:4.3mg―C/Lのフミン酸ナトリウム水溶液)において、フミン酸ナトリウムの吸着率(A)が、例えば、25%以上(例えば25〜90%)であってもよく、好ましくは35%以上であってもよく、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上であってもよい。吸着率については、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
(高分子吸着材の特徴)
高分子吸着材は、被処理水からの有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質の吸着処理に用いることができる限り、各種形状を有することができ、例えば、粒子状、繊維状、各種立体形状などであってもよい。吸着効率を向上させる観点から、高分子吸着材は、粒子状または繊維状であるのが好ましく、粒子状であることが最も好ましい。
高分子吸着材は、被処理水からの有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質の吸着処理に用いることができる限り、各種形状を有することができ、例えば、粒子状、繊維状、各種立体形状などであってもよい。吸着効率を向上させる観点から、高分子吸着材は、粒子状または繊維状であるのが好ましく、粒子状であることが最も好ましい。
本発明の高分子吸着材は、被処理水の浸透性と、吸着材の吸着および再生工程での取扱い性の観点から、例えば、25℃水中における膨潤度が20〜500%である高分子吸着材であってもよい。この場合、膨潤度は30〜450%であることが好ましく、40〜350%であることがより好ましく、50〜250%であることが特に好ましい。膨潤度が低すぎると、吸着材の吸着性が低下する虞があり、膨潤度が高すぎると、吸着材が変形する虞がある。
例えば、高分子吸着材の膨潤性は、架橋剤により架橋することにより制御してもよいし、結合形成基含有高分子(A)に対して、疎水性マトリクス高分子や、低膨潤性または非膨潤性である親水性マトリクス高分子(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリアミドなど)を組み合わせたアロイ材として制御してもよい。また、必要に応じて、アロイ材に対しても架橋をしてもよい。
吸着工程により、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着した吸着材は、必要に応じて、公知のろ別手段により分離され、再生工程へと供される。一方で、吸着材がろ別されることにより固液分離した吸着処理水は、必要に応じて、膜ろ過工程へ用いられ、ろ過工程において膜ろ過されてもよい。
(再生工程)
再生工程では、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着した吸着材を40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する。
再生工程で用いられる再生媒体は、好ましくは50℃〜110℃に加温した水性媒体であってもよく、より好ましくは60℃〜105℃、さらに好ましくは70℃〜100℃に加温した水性媒体であってもよい。
再生工程では、有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着した吸着材を40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する。
再生工程で用いられる再生媒体は、好ましくは50℃〜110℃に加温した水性媒体であってもよく、より好ましくは60℃〜105℃、さらに好ましくは70℃〜100℃に加温した水性媒体であってもよい。
再生工程における再生媒体は、前記所定の範囲内の温度であれば、再生工程中に再生媒体の温度が低下してもよい。または、必要に応じて、所定の加熱手段により加熱された再生媒体を用いて再生工程を行ってもよい。例えば、加熱手段としては、あらゆる熱源を対象とすることができ、例えば、ヒートポンプ、電気加熱手段、ガスや石油などの燃焼熱を用いた燃焼手段、太陽熱や地熱などの天然由来熱源等、これらの熱源由来の二次的熱源(例えば、前記熱源により加熱された加熱用熱媒体)などが挙げられる。これらの熱源は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
また、加熱様式としては、再生媒体が流通する配管を各種熱源で加熱する方式、外部または内部に熱源を設けた加熱タンクへ再生媒体を収容することにより加熱する方式などが挙げられる。これらの方式は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。例えば、配管や加熱タンクは、直接熱源を利用して加熱してもよいし、工場で用いられるスチームなどの二次的熱源を利用して加熱してもよい。
なお、再生媒体を加熱する加熱タンクは、再生処理を行う収容器であってもよいし、再生処理前の再生媒体を保管するための収容器であってもよい。再生時間が長時間(例えば、1時間以上)である場合、再生媒体の温度を維持するため、再生処理を行う収容器を加熱するのが好ましい。
なお、再生媒体を加熱する加熱タンクは、再生処理を行う収容器であってもよいし、再生処理前の再生媒体を保管するための収容器であってもよい。再生時間が長時間(例えば、1時間以上)である場合、再生媒体の温度を維持するため、再生処理を行う収容器を加熱するのが好ましい。
また、再生工程では、吸着材を再生できる限りその処理時間は特に限定されず、吸着材や再生媒体の状態、量などに応じて適宜設定することができる。再生処理時間は、例えば、10分以上であってもよく、好ましくは20分以上であってもよく、より好ましくは30分以上であってもよい。また、再生処理時間は、再生処理を効率化する観点から、36時間以下であってもよく、好ましくは25時間以下であってもよい。
再生効率を向上させる観点から、60℃以上に加温した水性媒体を用いて行う再生処理時間が、例えば、15分以上であってもよく、好ましくは20分以上であってもよく、より好ましくは30分以上であってもよい。また、再生処理時間は、再生処理を効率化する観点から、36時間以下であってもよく、好ましくは25時間以下であってもよい。
本発明では、高分子吸着材に対する再生工程で用いる再生媒体が、特定の温度に加温した状態であれば、造水された浄水でなくとも再生媒体として利用することができ、有機体炭素による再汚染を抑制できることを見出したものである。再生媒体として、浄水を用いる必要がないため、本発明の水処理方法では、造水コストを低減することが可能である。なお、ここで浄水とは、原水に対して適切な処理操作により、清浄化行為を行った水(例えば、出願時において、日本における水道法が定める水質基準を充足する水)である。
例えば、再生媒体は、吸着工程において上述した各種原水またはその関連水を用いることが可能である。原水の関連水としては、原水を各種膜処理する際に発生する非透過水(例えば、RO膜処理後に得られる濃縮水など)、原水の吸着工程後に得られる処理水などが挙げられる。原水は、吸着工程で利用する原水を一部取り分けて再生工程において利用してもよい。または、吸着工程で用いた原水とは異なる原水を再生媒体として利用してもよい。
例えば、再生媒体として用いられる水性媒体は、全有機体炭素(TOC)濃度が0.01mg−C/L以上であってもよく、0.05mg−C/L以上であってもよく、0.1mg−C/L以上、3.1mg−C/L以上であってもよい。なお、ここでTOC濃度は、JIS K 0101に規定されるTOCおよびその測定方法を意味している。
なお、再生媒体として利用することが出来る限り、TOC濃度は特に限定されないが、例えば、20mg−C/L以下であってもよい。
なお、再生媒体として利用することが出来る限り、TOC濃度は特に限定されないが、例えば、20mg−C/L以下であってもよい。
再生媒体として用いられる水性媒体は、吸着工程で吸着された有機体炭素成分を、吸着材から脱着することができる限り特に限定されないが、例えば、再生媒体として用いられる水性媒体の濁度は、200NTU以下(例えば1〜200NTU)であってもよく、好ましくは150NTU以下(例えば5〜150NTU)、より好ましくは100NTU以下(例えば10〜100NTU)であってもよい。ここで水性媒体の濁度は、ホルマジンを濁度標準液とし、透過散乱光測定方式で測定した値である。
再生媒体として用いられる水性媒体は、好ましくは、粒子径が5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.45μmより大きい粒子が排除された原水であってもよい。
また、再生媒体は、有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質を含有するとともに、0.1質量%以上の塩を含む水性媒体であってもよい。例えば、そのような水性媒体としては、海水(塩化ナトリウム濃度2〜4質量%)、汽水(塩化ナトリウム濃度0.5〜2質量%)、油田やガス田の採掘の際に発生する随伴水などであってもよく、またはこれらを処理して得られる、より塩濃度の高い水など、自然環境下の原水に由来して得られるさまざまな塩を含む水を再生媒体として用いてもよい。
例えば、再生媒体としての水性媒体が、0.1質量%以上(例えば、0.5〜30質量%程度)、1質量%以上、または2質量%以上の塩化ナトリウム濃度を有している場合であっても、所定の温度で用いる限り、再生媒体として好適に使用することが可能である。
被処理水中には、塩化ナトリウム以外にも、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などが含まれていてもよい。
再生媒体のpHは、水性媒体のままであってもよいし、水性媒体に対してpH調節剤を用いて調節してもよい。再生媒体のpHは、例えば、5〜14程度であってもよく、好ましくは5.5〜12程度、より好ましくは6〜11程度であってもよい。pHが中性領域(pH6〜8)であると、再生処理後の再生媒体の廃棄処理上好ましく、pHが弱塩基性(pH8〜11)であると、再生性能が良好である。
再生工程では、再生媒体と、高分子吸着材とを接触させることができる限り特に限定されず、再生工程での再生媒体との接触は、一段であっても多段であってもよく、多段である場合、複数の種類の再生媒体を別々に用いてもよい。
例えば、バッチ式として、再生媒体へ吸着材を添加し、必要に応じて公知の方法で撹拌することにより、再生処理を行ってもよいし;連続式として、高分子吸着材を充てんしたカラムに対し、再生媒体を通液させることにより再生処理を行ってもよい。また、再生工程は、一段であってもよいし、多段であってもよい。
例えば、バッチ式として、再生媒体へ吸着材を添加し、必要に応じて公知の方法で撹拌することにより、再生処理を行ってもよいし;連続式として、高分子吸着材を充てんしたカラムに対し、再生媒体を通液させることにより再生処理を行ってもよい。また、再生工程は、一段であってもよいし、多段であってもよい。
さらに、必要に応じて、再生工程で用いられる水性媒体を、複数回繰り返して用いてもよい。このような繰り返しの利用により、再生媒体中の有機体炭素の濃度を濃縮し、廃棄物としての再生媒体の減容化を図ってもよい。
吸着材に対して用いられる再生媒体の量は、再生媒体の種類、吸着材の形態、再生工程の形式(バッチ式または連続式)などに応じて適宜選択することができる。また、吸着材を再生媒体に浸漬し撹拌を行う場合、機械的撹拌、気泡撹拌などにより、吸着材を撹拌してもよい。また、機械的撹拌を行う場合、周速として0.1〜20m/s程度であってもよく、0.3〜18m/s程度であってもよい。
再生工程により再生された吸着材は、必要に応じて、公知のろ別手段により分離され、再度、吸着工程へと供されてもよい。
再生工程では、再生媒体との接触により吸着材を効率よく再生することができる。例えば、再生工程では、再生処理前後での吸着材の吸着率を、再生効率として評価することができ、例えば、再生効率は、30%以上であってもよく、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であってもよい。なお、再生効率は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
(膜ろ過工程)
吸着工程の後、吸着処理された吸着処理水(または供給水)は、必要に応じて、膜ろ過工程において膜ろ過されてもよい。このような膜ろ過を組み合わせることにより、用途に応じた浄水化を行うことができる。膜ろ過工程は、一段であってもよいし、多段であってもよい。膜ろ過工程の膜の種類については、同一の膜を用いても良いし、異なる種類の膜を組み合わせてもよい。
吸着工程の後、吸着処理された吸着処理水(または供給水)は、必要に応じて、膜ろ過工程において膜ろ過されてもよい。このような膜ろ過を組み合わせることにより、用途に応じた浄水化を行うことができる。膜ろ過工程は、一段であってもよいし、多段であってもよい。膜ろ過工程の膜の種類については、同一の膜を用いても良いし、異なる種類の膜を組み合わせてもよい。
膜ろ過工程は、水処理の目的に応じて、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)、逆浸透(RO)膜などを適宜用いて行うことができる。
本発明では、吸着工程により、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質の量を低減することができるため、いずれの膜を用いた場合でも、膜ファウリングの発生を効率よく抑制することが可能である。
本発明では、吸着工程により、原水中に含まれる有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質の量を低減することができるため、いずれの膜を用いた場合でも、膜ファウリングの発生を効率よく抑制することが可能である。
膜ろ過工程では、これらの膜を単独で一段以上用いて膜ろ過を行ってもよいし、複数の種類の膜を組み合わせ、それぞれ一段以上用いて膜ろ過を行ってもよい。
また、複数の種類の膜を組み合わせる場合、MF膜またはUF膜で供給処理された処理水を膜ろ過処理した後、NF膜または逆浸透(RO)膜でさらに膜ろ過処理を行ってもよい。
また、複数の種類の膜を組み合わせる場合、MF膜またはUF膜で供給処理された処理水を膜ろ過処理した後、NF膜または逆浸透(RO)膜でさらに膜ろ過処理を行ってもよい。
膜ろ過工程におけるろ過膜の膜素材としては、特に限定されず、公知のものはいずれも適用可能である。例えば、UF膜やMF膜の膜素材としては、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、セラミックなどが挙げられる。NF膜の膜素材としては、ポリアミド系、ポリピペラジンアミド系、ポリエステルアミド系、あるいは水溶性のビニルポリマーを架橋したものなどが挙げられる。また、RO膜の膜素材としては、酢酸セルロース系、ポリアミド系などが挙げられる。
膜形態については、特に限定されず、平膜、管状膜、中空糸膜等、いずれの形状のものでもよい。たとえば膜厚は、10μm〜1mmの範囲、中空糸膜の場合、内径が0.2〜2mm程度、外径が0.4〜5mm程度であってもよい。また、ろ過膜は、網目状構造、ハニカム状構造、微細間隙構造などの微細多孔質構造を有していてもよい。
これらのろ過膜は、モジュール化されていてもよい。例えば、平膜状の場合はスパイラル型、プリーツ型、プレート・アンド・フレーム型、円盤状のディスクを積み重ねたディスクタイプであってもよく、中空糸膜の場合は、中空糸をU字状やI字状に束ねて容器に収納した中空糸膜型であってもよい。
ろ過流量は、膜への供給水の種類、ろ過膜の種類、などに応じて適宜設定することが可能であるが、例えば、クロスフロー方式でろ過を行う場合、ろ過流量は、Flux0.5〜5.0(m3/m2/日)でろ過膜に対して通液してもよく、好ましくはFlux1.0〜4.0(m3/m2/日)であってもよい。
本発明の水処理方法では、特定の吸着工程を行うことで、ろ過膜への供給水から、膜ファウリングの原因物質である有機体炭素、特に物理的に不可逆的な膜ファウリングを生じる原因物質を低減させることができる。その結果、ろ過膜に膜ファウリング(特に物理的に不可逆な膜ファウリング)が発生するのを抑制し、ろ過膜の目詰まりにより、ろ過膜の透水性が低下するのを抑制することが出来る。
さらに、供給水中の原因物質の量を低減することができるため、膜ファウリングを抑制することができ、洗浄頻度や洗浄薬品の使用量低減、膜の使用寿命を延命化することができる。
さらに、供給水中の原因物質の量を低減することができるため、膜ファウリングを抑制することができ、洗浄頻度や洗浄薬品の使用量低減、膜の使用寿命を延命化することができる。
本発明の水処理方法では、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、既存の水処理方法と組み合わせてもよい。既存の水処理方法としては、例えば、砂ろ過処理、粗ろ過処理、凝集沈殿処理、オゾン処理、既存の吸着材や活性炭などを用いた吸着処理、生物処理などが挙げられる。これらの処理は、単独でまたは二種以上組み合わせて行ってもよい。また、これらの水処理は、適宜、吸着処理前および/または吸着処理後に行われてもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
(膨潤度の評価)
吸着材1gを25℃の水に12時間浸漬させた後、吸着材を遠心脱水して秤量(A)した後、105℃で4時間乾燥して秤量(B)する。以下の式より、膨潤度を求めた。
膨潤度=[(A−B)/(B)]×100 (%)
吸着材1gを25℃の水に12時間浸漬させた後、吸着材を遠心脱水して秤量(A)した後、105℃で4時間乾燥して秤量(B)する。以下の式より、膨潤度を求めた。
膨潤度=[(A−B)/(B)]×100 (%)
(バイオポリマーの吸着率)
バイオポリマーのモデル物質としてアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、型番:199−09961)の吸着評価を実施した。各実施例と比較例で得られた吸着材1.0g(12時間真空乾燥機にて乾燥させた状態での質量であり、以下の記載において同じ)を200mLのモデル河川水1(アルギン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L)もしくはモデル海水1(アルギン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L、NaCl:3.5%)に添加し、マグネチックホットスターラーにより攪拌した(180rpm、25℃)。18時間攪拌の前後の上澄み液40mlを全有機炭素計によって評価し、該吸着材によるバイオポリマーの吸着率を以下のように評価した。
バイオポリマーの吸着率=(吸着評価前のアルギン酸ナトリウム濃度―吸着評価後のアルギン酸ナトリウム濃度)/吸着評価前のアルギン酸ナトリウム濃度×100(%)
バイオポリマーのモデル物質としてアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、型番:199−09961)の吸着評価を実施した。各実施例と比較例で得られた吸着材1.0g(12時間真空乾燥機にて乾燥させた状態での質量であり、以下の記載において同じ)を200mLのモデル河川水1(アルギン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L)もしくはモデル海水1(アルギン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L、NaCl:3.5%)に添加し、マグネチックホットスターラーにより攪拌した(180rpm、25℃)。18時間攪拌の前後の上澄み液40mlを全有機炭素計によって評価し、該吸着材によるバイオポリマーの吸着率を以下のように評価した。
バイオポリマーの吸着率=(吸着評価前のアルギン酸ナトリウム濃度―吸着評価後のアルギン酸ナトリウム濃度)/吸着評価前のアルギン酸ナトリウム濃度×100(%)
(フミン質の吸着率)
フミン質のモデル物質としてフミン酸ナトリウム(Aldrich社製、型番:H16752−100G)の吸着評価を実施した。各実施例と比較例で得られた吸着材1.0gを200mLのモデル河川水2(フミン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L)もしくはモデル海水2(フミン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L、NaCl:3.5%)に添加し、マグネチックホットスターラーにより攪拌した(180rpm、25℃)。18時間攪拌の前後の上澄み液40mlを全有機炭素計によって評価し、該樹脂によるフミン質の吸着率を以下のように評価した。
フミン質の吸着率=(吸着評価前のフミン酸ナトリウム濃度―吸着評価後のフミン酸ナトリウム濃度)/吸着評価前のフミン酸ナトリウム濃度×100(%)
フミン質のモデル物質としてフミン酸ナトリウム(Aldrich社製、型番:H16752−100G)の吸着評価を実施した。各実施例と比較例で得られた吸着材1.0gを200mLのモデル河川水2(フミン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L)もしくはモデル海水2(フミン酸ナトリウム濃度:4.0mg―C/L、NaCl:3.5%)に添加し、マグネチックホットスターラーにより攪拌した(180rpm、25℃)。18時間攪拌の前後の上澄み液40mlを全有機炭素計によって評価し、該樹脂によるフミン質の吸着率を以下のように評価した。
フミン質の吸着率=(吸着評価前のフミン酸ナトリウム濃度―吸着評価後のフミン酸ナトリウム濃度)/吸着評価前のフミン酸ナトリウム濃度×100(%)
(バイオポリマーとフミン質の吸着率の比)
上記のバイオポリマーの吸着率とフミン質の吸着率の比から、以下の算式によりバイオポリマーとフミン質の吸着率の比を算出した。
バイオポリマーとフミン質の吸着率の比=バイオポリマーの吸着率/フミン質の吸着率
上記のバイオポリマーの吸着率とフミン質の吸着率の比から、以下の算式によりバイオポリマーとフミン質の吸着率の比を算出した。
バイオポリマーとフミン質の吸着率の比=バイオポリマーの吸着率/フミン質の吸着率
(吸着材の再生)
アルギン酸ナトリウムを吸着後、ろ別し、所定の温度に設定したモデル河川水1もしくはモデル海水1に浸漬、1時間攪拌することでアルギン酸ナトリウムを脱離させ再生処理した。下記式により、再生効率を評価した。
吸着材の再生効率=再生処理後の吸着率/再生処理前の吸着率×100(%)
アルギン酸ナトリウムを吸着後、ろ別し、所定の温度に設定したモデル河川水1もしくはモデル海水1に浸漬、1時間攪拌することでアルギン酸ナトリウムを脱離させ再生処理した。下記式により、再生効率を評価した。
吸着材の再生効率=再生処理後の吸着率/再生処理前の吸着率×100(%)
(ろ過膜の透水性評価)
処理対象の水をFlux2.0(m3/m2/日)でろ過膜に対して通液するとともに、30分に1回Flux3.0m3/m2/日)の純水で逆洗浄を実施し、膜を通液する際の圧力変化を評価し、60kPaに到達するまでの時間(分)を求め、以下の基準にて、長期の透水性を評価した。
A:1000分以上
B:1000分未満
処理対象の水をFlux2.0(m3/m2/日)でろ過膜に対して通液するとともに、30分に1回Flux3.0m3/m2/日)の純水で逆洗浄を実施し、膜を通液する際の圧力変化を評価し、60kPaに到達するまでの時間(分)を求め、以下の基準にて、長期の透水性を評価した。
A:1000分以上
B:1000分未満
[実施例1]
25℃水中の膨潤度が113%であるメタクリレート系ポリアミン型である市販イオン交換樹脂(ピュロライト(株)製、「ピュロライトA830W」)を多量の80℃熱水にて浸漬、攪拌洗浄することで吸着材1を得た。なお、吸着材1は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。吸着材1を用いて、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。結果を表1に示す。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
25℃水中の膨潤度が113%であるメタクリレート系ポリアミン型である市販イオン交換樹脂(ピュロライト(株)製、「ピュロライトA830W」)を多量の80℃熱水にて浸漬、攪拌洗浄することで吸着材1を得た。なお、吸着材1は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。吸着材1を用いて、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。結果を表1に示す。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)を用いて架橋させた後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物を多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材2を得た。なお、吸着材2は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は276%であった。
ポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)を用いて架橋させた後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物を多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材2を得た。なお、吸着材2は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は276%であった。
得られた吸着材2を、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
[実施例3]
主骨格である親水性高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「E−105」)75質量部とポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)25質量部をラボプラストミルにて、210℃において溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物に対し、篩を用いて分級することで粒子径0.4〜0.7mmの粒子を得た。さらに、この粒子をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)2%の25℃の溶液で1時間架橋処理を行い、ろ別後、多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材3を得た。なお、吸着材3は、90℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は88%であった。
主骨格である親水性高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「E−105」)75質量部とポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)25質量部をラボプラストミルにて、210℃において溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物に対し、篩を用いて分級することで粒子径0.4〜0.7mmの粒子を得た。さらに、この粒子をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)2%の25℃の溶液で1時間架橋処理を行い、ろ別後、多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材3を得た。なお、吸着材3は、90℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は88%であった。
得られた吸着材3を、モデル海水1およびモデル海水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。
モデル海水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、90℃に調整したモデル水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル海水1に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
モデル海水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、90℃に調整したモデル水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル海水1に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
[実施例4]
表2に示すように、吸着材3の再生に用いる水をモデル海水2にしたこと以外は実施例3と同様にして、吸着、再生の評価を行った。評価結果を表1に示す。
表2に示すように、吸着材3の再生に用いる水をモデル海水2にしたこと以外は実施例3と同様にして、吸着、再生の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
表2に示すように、吸着材2の再生に用いる水を50℃のモデル河川水1にしたこと以外は実施例3と同様にして、吸着、再生の評価を行った。評価結果を表1に示す。
表2に示すように、吸着材2の再生に用いる水を50℃のモデル河川水1にしたこと以外は実施例3と同様にして、吸着、再生の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
主骨格である親水性高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「F−101」)70質量部とポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)30質量部をラボプラストミルにて、210℃において3分間溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕処理を施し、篩を用いて分級することで粒子径0.4〜0.7mmの粒子を得た。さらに、この粒子をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)2%の25℃の溶液で1時間架橋処理を行い、ろ別後、多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材4を得た。なお、吸着材4は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は105%であった。
主骨格である親水性高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「F−101」)70質量部とポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)30質量部をラボプラストミルにて、210℃において3分間溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕処理を施し、篩を用いて分級することで粒子径0.4〜0.7mmの粒子を得た。さらに、この粒子をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)2%の25℃の溶液で1時間架橋処理を行い、ろ別後、多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材4を得た。なお、吸着材4は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は105%であった。
得られた吸着材4を、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。
モデル河川水2からのフミン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水2に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、フミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
モデル河川水2からのフミン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水2に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、フミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
[実施例7]
25℃水中の膨潤度が85%であるスチレン系の強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「IRA400」)を多量の80℃熱水にて浸漬、攪拌洗浄することで吸着材5を得た。なお、吸着材5は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。吸着材5を用いて、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。結果を表1に示す。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
25℃水中の膨潤度が85%であるスチレン系の強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「IRA400」)を多量の80℃熱水にて浸漬、攪拌洗浄することで吸着材5を得た。なお、吸着材5は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。吸着材5を用いて、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。結果を表1に示す。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
[実施例8]
ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル(株)製、「PAA−15C」)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)を用いて架橋させた後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物を多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材6を得た。なお、吸着材6は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は346%であった。
ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル(株)製、「PAA−15C」)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)を用いて架橋させた後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物を多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の吸着材6を得た。なお、吸着材6は、80℃熱水に対して耐熱水溶解性を有していた。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は346%であった。
得られた吸着材6を、モデル河川水1およびモデル河川水2のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムの吸着試験を行った。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
モデル河川水1からのアルギン酸ナトリウムの吸着工程の後、吸着材をろ別し、80℃に調整したモデル河川水1に浸漬し、1時間攪拌させ、吸着材の再生処理を行った。その後、再生処理された再生吸着材をろ別回収した。
ろ別回収した再生吸着材を、再度モデル河川水1のそれぞれに浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。得られた吸着材の再生後の吸着評価結果を表1に示す。
[比較例1]
吸着材1の再生を行わずに2回目の吸着試験を実施したこと以外は実施例1と同様に吸着の評価を行った。評価結果を表1に示すが、再生を行わない場合、2回目の吸着では目的物をほとんど吸着しなかった。
吸着材1の再生を行わずに2回目の吸着試験を実施したこと以外は実施例1と同様に吸着の評価を行った。評価結果を表1に示すが、再生を行わない場合、2回目の吸着では目的物をほとんど吸着しなかった。
[比較例2]
吸着材1の再生を25℃のモデル河川水1を用いて行った後、2回目の吸着試験を実施したこと以外は実施例1と同様に吸着の評価を行った。評価結果を表1に示すが、室温の再生水を用いたため、再生が不充分となり、2回目の吸着では目的物をほとんど吸着しなかった。
吸着材1の再生を25℃のモデル河川水1を用いて行った後、2回目の吸着試験を実施したこと以外は実施例1と同様に吸着の評価を行った。評価結果を表1に示すが、室温の再生水を用いたため、再生が不充分となり、2回目の吸着では目的物をほとんど吸着しなかった。
表1に示すように、実施例1では、モデル河川水からのアルギン酸ナトリウムおよびフミン酸ナトリウムを双方とも吸着し、高温のモデル河川水で再生し、2回目の吸着も可能であることが分かった。実施例2〜6では、モデル河川水もしくはモデル海水において、吸着材の主骨格が親水性高分子で構成されているため、特にアルギン酸ナトリウムの吸着性に優れる結果を得た。これらの実施例では、アルギン酸ナトリウムの吸着率(A)と、フミン酸ナトリウムの吸着率(B)との比(A)/(B)が1.1倍以上を示している。そのため、本発明の吸着材は、例えば、フミン質がバイオポリマーよりも多く存在しているような場合であっても、効率的にバイオポリマーを吸着できることを示唆している。また、再生においてもモデル河川水、モデル海水共に機能することが分かった。
再生効率としては、実施例1〜4および6では90%以上であり、5では40%以上であり、再生処理において用いられる水性媒体の温度が60℃以上であると再生効率が高い傾向にある。
再生効率としては、実施例1〜4および6では90%以上であり、5では40%以上であり、再生処理において用いられる水性媒体の温度が60℃以上であると再生効率が高い傾向にある。
[実施例9]
(1)原水として、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(全有機体炭素濃度=4.0mg−C/L、溶存有機物濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7、バイオポリマーのSUVA値:0.21(L/mg−C・m)、バイオポリマーの濃度:0.50(ppm−C)、フミン質のSUVA値:3.3(L/mg−C・m)、フミン質の濃度:1.8(ppm−C)を用い、原水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに対して、吸着材3を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、PVDF製MFモジュール(旭化成(株)製、UNA−620A)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
(1)原水として、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(全有機体炭素濃度=4.0mg−C/L、溶存有機物濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7、バイオポリマーのSUVA値:0.21(L/mg−C・m)、バイオポリマーの濃度:0.50(ppm−C)、フミン質のSUVA値:3.3(L/mg−C・m)、フミン質の濃度:1.8(ppm−C)を用い、原水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに対して、吸着材3を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、PVDF製MFモジュール(旭化成(株)製、UNA−620A)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
(2)上記(1)で原水と接触させた後の吸着材3をろ別回収し、80℃に熱した印旛沼(千葉県)から採取した表流水を用いて加温下で水温を維持したまま24時間撹拌して再生処理を行った後、再度上記(1)と同様に25℃で原水と接触させ、処理水を得た。得られた処理水を用いて、PVDF製MFモジュール(旭化成(株)製、UNA−620A)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。なお、再生に用いた表流水は、採取後、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除いた状態(濁度200NTU以下)である。
[実施例10]
(1)原水として、上記と同様、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(全有機体炭素濃度=4.0mg−C/L、溶存有機物濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7)を用い、原水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに対して、吸着材3を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、ポリアクリロニトリル(PAN)製UF膜(旭化成(株)製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
(1)原水として、上記と同様、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(全有機体炭素濃度=4.0mg−C/L、溶存有機物濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7)を用い、原水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに対して、吸着材3を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、ポリアクリロニトリル(PAN)製UF膜(旭化成(株)製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
(2)上記(1)で原水と接触させた後の吸着材3をろ別回収し、80℃に熱した印旛沼(千葉県)から採取した表流水を用いて1時間撹拌して再生処理を行った後、再度上記(1)と同様に25℃で原水と接触させ、処理水を得た。ポリアクリロニトリル(PAN)製UF膜(旭化成(株)製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。なお、再生に用いた表流水は、採取後、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除いた状態(濁度200NTU以下)である。
(3)上記(2)で原水と接触させた後の吸着材3をろ別回収し、上記(2)のUF膜にて処理した後の濃縮水(非透過水)を80℃に熱し再生水とし、吸着材3を再生処理した後、再度上記(1)と同様に25℃で原水と接触させ、処理水を得た。ポリアクリロニトリル(PAN)製UF膜(旭化成(株)製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
[実施例11]
(1)原水として、上記と同様、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(全有機体炭素濃度=4.0mg−C/L、溶存有機物濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7)を用い、原水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに対して、吸着材3を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、ポリエーテルスルホン(PES)製UF膜(Pentair製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
(1)原水として、上記と同様、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(全有機体炭素濃度=4.0mg−C/L、溶存有機物濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7)を用い、原水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに対して、吸着材3を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、ポリエーテルスルホン(PES)製UF膜(Pentair製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
(2)上記(1)で原水と接触させた後の吸着材3をろ別回収し、80℃に熱した印旛沼(千葉県)から採取した表流水を用いて1時間撹拌して再生処理を行った後、再度上記(1)と同様に25℃で原水と接触させ、処理水を得た。ポリエーテルスルホン(PES)製UF膜(Pentair製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。なお、再生に用いた表流水は、採取後、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除いた状態(濁度200NTU以下)である。
[比較例3]
吸着材を用いずに表流水を排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過した後、PVDF製MFモジュール(旭化成(株)製、UNA−620A)の透水性を評価したこと以外は実施例7と同様に評価を行った。吸着材で膜ファウリングを生じる原因物質を除去しなかったため、長期透水性はBであった。結果を表2に示す。
吸着材を用いずに表流水を排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過した後、PVDF製MFモジュール(旭化成(株)製、UNA−620A)の透水性を評価したこと以外は実施例7と同様に評価を行った。吸着材で膜ファウリングを生じる原因物質を除去しなかったため、長期透水性はBであった。結果を表2に示す。
本発明に係る水処理方法では、高分子吸着材に対する再生媒体として、造水された浄水でなくとも、原水などを水性媒体として利用することができるため、造水コストを低減させつつ、水処理を行うことが可能である。特に、特定の吸着材を用いる場合、溶存有機物の中でも、特に吸着が困難であるバイオポリマーなどを吸着することができるだけでなく、そのような吸着材を効率よく造水コストを抑制しつつ再生することが可能であるという産業上の利用可能性がある。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の
範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加および置
換ができることが理解可能であろう。
範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加および置
換ができることが理解可能であろう。
Claims (12)
- 有機体炭素を含有する原水と、高分子吸着材とを室温付近で接触させ、吸着材により原水中に含まれる有機体炭素の少なくとも一部の成分を吸着させる吸着工程と、
前記成分を吸着した高分子吸着材を、40℃以上に加温した水性媒体(浄水を除く)と接触させ、前記吸着材を再生する再生工程と、を少なくとも備える水処理方法。 - 請求項1の水処理方法において、50℃〜110℃に加温した水性媒体を再生に用いる水処理方法。
- 請求項1または2の水処理方法において、再生工程において、吸着材を60℃以上に加温した水性媒体と15分以上接触させる水処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項の水処理方法において、塩化ナトリウム濃度0.1質量%以上の水性媒体を再生に用いる水処理方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項の水処理方法において、吸着工程で吸着された成分が、バイオポリマーを含む、水処理方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項の水処理方法において、高分子吸着材は、アミノ基、およびそれらの塩からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する、水処理方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項の水処理方法において、親水性高分子を主骨格とする高分子を高分子吸着材として用いる、水処理方法。
- 高分子吸着材の主骨格である親水性高分子が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項7に記載の水処理方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項の水処理方法において、再生工程において、全有機体炭素濃度0.01mg−C/L以上の水性媒体が再生に用いられる水処理方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項の水処理方法において、再生工程において、濁度200NTU以下の水性媒体が再生に用いられる水処理方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項の水処理方法において、さらに、吸着工程により得られた吸着処理水を、膜ろ過処理により膜ろ過する、膜ろ過工程を含む、水処理方法。
- 請求項11の水処理方法において、膜ろ過工程が、限外ろ過(UF)膜、精密ろ過(MF)膜、ナノろ過(NF)膜、および逆浸透(RO)膜からなる群から選択される少なくとも一種の膜を用いて、一段または多段にて行われる、水処理方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014106855A JP2017124341A (ja) | 2014-05-23 | 2014-05-23 | 水処理方法 |
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Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (1)
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CN115785473A (zh) * | 2022-12-20 | 2023-03-14 | 上海赛翠克环保科技有限公司 | 端异硫脲基三羟甲基丙烷芯树枝状聚合物及其制备方法和缓蚀应用 |
-
2014
- 2014-05-23 JP JP2014106855A patent/JP2017124341A/ja active Pending
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CN115785473B (zh) * | 2022-12-20 | 2023-08-18 | 上海赛翠克环保科技有限公司 | 端异硫脲基三羟甲基丙烷芯树枝状聚合物及其制备方法和缓蚀应用 |
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