JP2016040030A - 水処理システム - Google Patents

水処理システム Download PDF

Info

Publication number
JP2016040030A
JP2016040030A JP2014164548A JP2014164548A JP2016040030A JP 2016040030 A JP2016040030 A JP 2016040030A JP 2014164548 A JP2014164548 A JP 2014164548A JP 2014164548 A JP2014164548 A JP 2014164548A JP 2016040030 A JP2016040030 A JP 2016040030A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
adsorption
treatment system
hydrophilic polymer
reverse osmosis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014164548A
Other languages
English (en)
Inventor
圭介 森川
Keisuke Morikawa
圭介 森川
祐貴 立花
Yuki Tachibana
祐貴 立花
藤原 直樹
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2014164548A priority Critical patent/JP2016040030A/ja
Publication of JP2016040030A publication Critical patent/JP2016040030A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/40Valorisation of by-products of wastewater, sewage or sludge processing

Abstract

【課題】ファウリング原因物質を効率良く除去可能な水処理システムを提供する。【解決手段】本発明の水処理システムは、下水を活性汚泥処理する活性汚泥処理装置と、活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置と、吸着装置でファウリング原因物質を吸着除去された吸着処理水を逆浸透膜によってろ過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離する逆浸透膜処理装置と、を備える。吸着装置は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であって、25℃水中における膨潤度が20〜400%であり、汚泥処理水中のファウリング原因物質の吸着性に優れる親水性高分子吸着材を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、逆浸透膜を用いて下水等の汚水を処理する水処理システムに関する。
下水を処理するシステムとして、逆浸透膜を用いてろ過することによって、下水を処理する水処理システムが知られている。この水処理システムにおいては、運転時間の経過に伴い、膜の目詰まりによって逆浸透膜の透過性能が低下する現象(膜ファウリング)が生じる。特に、ファウリング原因物質による膜汚染であるバイオファウリングは、物理的に不可逆なファウリングである。このため、水処理システムにおいて、バイオファウリングを抑制することが求められている。
近年、逆浸透膜を用いた水処理システムにおいては、ファウリング原因物質の1つである有機体炭素を吸着する吸着材を用いて、下水中の有機体炭素を吸着除去する水処理システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、下水を活性汚泥処理した後に、ポリアミド又はポリイミド等から成る疎水性の高い吸着材によって、ファウリング原因物質の1つである有機体炭素を吸着除去している。
また、ろ過装置等を用いて、下水中の有機体炭素を除去する水処理システムも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2では、下水を膜分離活性汚泥処理した後に、活性炭との接触ろ過、凝集砂ろ過、凝集沈殿砂ろ過、生物膜処理、オゾン処理、促進酸化処理等によってファウリング原因物質の1つである有機体炭素を除去している。
一方、膜ろ過におけるファウリング物質に関する詳細な解析がなされており、例えば、非特許文献1では、不可逆ファウリングの原因物質は、フミンなどよりも比較的親水性が高い糖類やたんぱく質などのバイオポリマーが主因であることが報告されている。
特開2010−234353号公報 特開2007−244979号公報
渡辺義公、膜、38(5)、207−214(2013)
しかしながら、特許文献1〜2では、物理的吸着によってファウリング原因物質を除去しているため、バイオファウリングの主因であるバイオポリマーを効率良く除去することができないという問題を有する。
本発明の目的は、下水に含まれるファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうちバイオポリマーを効率的に吸着除去することができる水処理システムを提供する。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、25℃水中での膨潤度が特定の範囲にある親水性高分子吸着材を用いると、適度な膨潤により、吸着材内部までファウリング原因物質が浸透するため、内部の吸着性官能基も有効に活用でき、かつ、ファウリング原因物質による目詰まりも起こり難いため、優れたファウリング原因物質除去能を発現することを見出した。また、このような親水性高分子吸着材は、特に有機体炭素のうち親水性が高いバイオポリマーとの親和性が高いため、バイオポリマーの吸着能力に優れることを見出した。
その結果、逆浸透膜を用いた水処理システムにおいて、逆浸透膜を用いてろ過処理する逆浸透膜処理装置の前段に、ファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうち親水性が高いバイオポリマーを吸着することが可能な親水性高分子吸着材を備えた吸着装置を設けることにより、膜汚染を抑制でき、長期に渡り透水性を維持することができる水処理システムを提案するに至った。
本発明の一態様に係る水処理システムは、
下水を活性汚泥処理する活性汚泥処理装置と、
前記活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置と、
前記吸着装置でファウリング原因物質が吸着除去された吸着処理水を逆浸透膜によってろ過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離する逆浸透膜処理装置と、
を備え、
前記吸着装置は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であって、25℃水中における膨潤度が20〜400%であり、前記汚泥処理水中のファウリング原因物質の吸着性に優れる親水性高分子吸着材を備える。
本発明に係る水処理システムによれば、下水に含まれるファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうちバイオポリマーを効率的に吸着除去することができる。
本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成図 本発明の第1実施形態に係る水処理システムにおける吸着装置の構成図 実施例4で用いられた被処理水について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に湿式全有機炭素計測器(OCD計)を接続したLC−OCD(DOC-Labor製)により測定された有機体炭素の分子量分布スペクトルを示すグラフ 本発明の第2実施形態に係る水処理システムの構成図 本発明の第3実施形態に係る水処理システムの構成図 本発明の第4実施形態に係る水処理システムの構成図 本発明の第4実施形態に係る水処理システムの変形例の構成図 本発明の第5実施形態に係る水処理システムの構成図 本発明の第5実施形態に係る水処理システムの変形例の構成図 本発明の第6実施形態に係る水処理システムの構成図
本発明の第1の態様に係る水処理システムは、
下水を活性汚泥処理する活性汚泥処理装置と、
前記活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置と、
前記吸着装置でファウリング原因物質が吸着除去された吸着処理水を逆浸透膜によってろ過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離する逆浸透膜処理装置と、
を備え、
前記吸着装置は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であって、25℃水中における膨潤度が20〜400%であり、前記汚泥処理水中のファウリング原因物質の吸着性に優れる親水性高分子吸着材を備えてもよい。
本発明の第2の態様に係る水処理システムは、
下水を膜分離活性汚泥処理する膜分離活性汚泥処理装置と、
前記膜分離活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置と、
前記吸着装置でファウリング原因物質を吸着除去された吸着処理水を逆浸透膜によってろ過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離する逆浸透膜処理装置と、
を備え、
前記吸着装置は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であって、25℃水中における膨潤度が20〜400%であり、前記汚泥処理水中のファウリング原因物質の吸着性に優れる親水性高分子吸着材を備えてもよい。
本発明の第3の態様に係る水処理システムにおいては、前記第2の態様における前記膜分離活性汚泥処理装置で処理された前記汚泥処理水を逆浸透膜によってろ過し、下水逆浸透膜濃縮水と下水逆浸透膜処理水とに分離する下水逆浸透膜処理装置と、
海水を前処理する前処理装置と、
前記下水逆浸透膜処理装置で分離された前記下水逆浸透膜濃縮水と、前記前処理装置で処理された前処理水と、を混合する混合装置と、
を備え、
前記吸着装置は、前記混合装置で混合された前記下水逆浸透膜濃縮水と前記前処理水との混合液に含まれるファウリング原因物質を吸着除去してもよい。
本発明の第4の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜3のいずれかの態様における前記吸着装置に流体を供給し、前記流体によって前記親水性高分子吸着材を再生する吸着材再生装置を備えてもよい。
本発明の第5の態様に係る水処理システムは、前記第4の態様における前記吸着材再生装置は、
前記逆浸透膜処理装置によって分離された濃縮水を前記吸着装置に供給し、前記流体として前記濃縮水を用いて、前記吸着装置の親水性高分子吸着材を再生してもよい。
本発明の第6の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜5のいずれかの態様における前記吸着装置で吸着除去した後の前記吸着処理水のファウリング原因物質濃度を計測する濃度計測装置を備えてもよい。
本発明の第7の態様に係る水処理システムにおいては、前記第4又は5の態様における前記吸着装置で吸着除去した後の前記吸着処理水のファウリング原因物質濃度を計測する濃度計測装置と、
前記濃度計測装置の結果に基づき、前記吸着材再生装置の流体供給条件を制御する制御装置と、
を備えてもよい。
本発明の第8の態様に係る水処理システムにおいては、前記第7の態様における前記流体供給条件は、前記吸着材再生装置から前記吸着装置に供給される前記流体の温度、流速、時間、及び流量の少なくとも1つを含んでもよい。
本発明の第9の態様に係る水処理システムにおいては、前記第6〜8のいずれかの態様における前記濃度計測装置は、吸光度計測装置、全有機体炭素計、ろ過性評価装置、高速液体クロマトグラフ装置の少なくともいずれか1つであってもよい。
本発明の第10の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜9のいずれかの態様における前記吸着装置は、第1吸着装置と、第2吸着装置とを含み、
前記汚泥処理水を前記第1吸着装置に供給するか、または前記第2吸着装置に供給するかを選択する選択手段を備え、
前記選択手段は、前記第2吸着装置に前記汚泥処理水を供給することを選択し、前記第2吸着装置において前記汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する一方、前記第1吸着装置において親水性高分子吸着材を再生してもよい。
本発明の第11の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜10のいずれかの態様における前記親水性高分子吸着材は、カチオン性の官能基を有してもよい。
本発明の第12の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜11のいずれかの態様における前記親水性高分子吸着材において、吸着対象のファウリング原因物質がバイオポリマーであってもよい。
本発明の第13の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜12のいずれかの態様における前記親水性高分子吸着材は、親水性高分子を母体とし、
前記親水性高分子は、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンのいずれかから選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明の第14の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜13のいずれかの態様における前記親水性高分子吸着材において、化学吸着性官能基が、アミノ基、4級アンモニウム基およびそれらの塩からなる群から選択された少なくとも一種の化学吸着性官能基であってもよい。
本発明の第15の態様に係る水処理システムにおいては、前記第1〜14のいずれかの態様における前記親水性高分子吸着材は、化学吸着性官能基を有する高分子(A)と親水性高分子(B)とで少なくとも構成されたアロイ材であってもよい。
本発明の第16の態様に係る水処理システムにおいては、前記第15の態様における前記親水性高分子吸着材において、親水性高分子(B)がエチレン−ビニルアルコール系共重合体であってもよい。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の全ての図において、同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る水処理システムについて説明する。
[第1実施形態に係る水処理システムの構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成図を示す。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る水処理システム100Aは、活性汚泥処理装置101と、吸着装置102と、逆浸透膜処理装置103とを備え、各装置は下水又は処理水などが流通する配管で接続されている。なお、図1においては、説明を簡略化するため、各装置及び配管についてのみ図示しており、例えば、貯水槽、ポンプ、又はバルブ等を省略している。
図1に示すように、水処理システム100Aでは、下水が活性汚泥処理装置101に供給される。活性汚泥処理装置101に供給された下水は、活性汚泥処理装置101によって活性汚泥処理される。活性汚泥処理とは、活性汚泥による生物化学反応によって、下水に含まれる(溶解している)汚濁物を固形化する処理である。活性汚泥処理装置101で処理された下水は、汚泥処理水として吸着装置102に供給され、吸着装置102によって汚泥処理水中に含まれるファウリング原因物質が吸着除去される。吸着装置102でファウリング原因物質を吸着除去された汚泥処理水は、吸着処理水として逆浸透膜処理装置103に供給される。吸着処理水は、逆浸透膜処理装置103によって、不純物を含む濃縮水と、不純物を除去した逆浸透膜処理水とに分離される。
本明細書では、活性汚泥処理装置101によって活性汚泥処理された処理水を「汚泥処理水」と定義している。また、本明細書では、吸着装置102によって汚泥処理水中に含まれるファウリング原因物質が吸着除去された処理水を「吸着処理水」と定義している。
次に、水処理システム100Aの各構成要素について具体的に説明する。
<活性汚泥処理装置>
活性汚泥処理装置101は、スクリーンと、最初沈殿池と、反応タンク(曝気槽)と、最終沈殿池と、砂ろ過装置と、を備える。活性汚泥処理装置101は、スクリーンによって、下水に含まれる粗大な夾雑物又はごみ等を除去する。スクリーンを通過した下水は、最初沈殿池に供給されることにより、下水に含まれる細かいごみ等を沈降させる。最初沈殿池で下水に含まれる細かいごみ等を沈降させることによって得られた上澄み水は、反応タンクに供給される。反応タンクでは、下水に含まれる浮遊物や溶解有機物等が微生物によって分解され、活性汚泥となる。反応タンクで浮遊物や溶解有機物等が分解された処理水は、最終沈殿池に供給され、活性汚泥と、活性汚泥を除去した汚泥処理水とに分けられる。
活性汚泥処理装置101の動作について具体的に説明する。
活性汚泥処理装置101は、ポンプ等によって下水を汲み上げ、下水をスクリーンに通過させることによって、下水に含まれる大きな夾雑物又はごみ等を除去する。粗大なごみ等が除去された下水は、最初沈殿池に供給される。最初沈殿池では、下水が緩やかに流れることによって、スクリーンで除去しきれなかった下水中の細かいごみ等を沈降させ、上澄み水を得る。最初沈殿池で細かいごみ等が除去された上澄み水は、反応タンクに供給される。反応タンクでは、供給されてきた上澄み水に活性汚泥を接触させると共に、空気を供給し、微生物の働きによって下水中の浮遊物や溶解有機物を分解する。反応タンク内に空気を供給するのは、微生物の活動を活発にするためである。微生物によって浮遊物や溶解有機物を分解すると、微生物の代謝物が活性汚泥として発生する。反応タンク内で微生物によって溶解有機物(汚濁物)等が分解された処理水は、最終沈殿池に供給される。最終沈殿池では、処理水中の活性汚泥を自然沈殿させることによって、活性汚泥と、活性汚泥を除去した汚泥処理水とに分ける。汚泥処理水は、最終沈殿池で除去しきれなかった不純物を、砂ろ過装置によって除去された後、吸着装置102に供給される。汚泥処理水は、例えば、活性汚泥処理装置101と吸着装置102との間に設けられた供給ポンプによって、汚泥処理水が流通可能に連通された配管を通じて吸着装置102に供給される。また、最終沈殿池に沈殿した活性汚泥の一部は、返送ポンプによって反応タンク内に返送され、再び反応タンク内で使用される。なお、活性汚泥処理装置101は、さらに消毒装置を備えてもよい。消毒装置は、ろ過装置で不純物を除去した汚泥処理水を消毒し、汚泥処理水に含まれる微生物を除去することができる。
<吸着装置>
図2は、本発明の第1実施形態に係る水処理システム100Aにおける吸着装置の構成図を示す。図2に示すように、吸着装置102は、活性汚泥処理装置101から汚泥処理水を供給される吸着容器(カラム)201と、吸着容器201内に配置される親水性高分子吸着材200と、を備える。親水性高分子吸着材200は、詳しくは後述するが、ファウリング原因物質を吸着除去することができる。親水性高分子吸着材200は、ファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素うちバイオファウリングの主因となるバイオポリマーを効率良く吸着することができる材料から成る。吸着装置102は、活性汚泥処理装置101から供給された汚泥処理水を、吸着容器201の入口202から容器内に供給する。汚泥処理水は、吸着容器201内の親水性高分子吸着材200を通過することによって、汚泥処理水中に含まれるファウリング原因物質が吸着除去される。吸着装置102によって有機体炭素を吸着除去された汚泥処理水は、吸着処理水として、吸着容器201の出口203から排出される。出口203から排出された吸着処理水は、逆浸透膜処理装置103に供給される。吸着処理水は、例えば、吸着装置102と逆浸透膜処理装置103との間に設けられた供給ポンプによって、吸着処理水が流通可能に連通された配管を通じて逆浸透膜処理装置103に供給される。なお、吸着容器201内には、親水性高分子吸着材200を支えるフィルター又はメッシュなどを備えてもよい。また、吸着装置102は、図2に示すように、カラムを説明したが、さらに大きい設備、例えば、プール又はタンク等であってもよい。
<逆浸透膜処理装置>
逆浸透膜処理装置103は、吸着装置102からの吸着処理水を供給する処理容器と、処理容器の内部に配置された逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane:RO膜)と、吸着処理水に圧力を加えて逆浸透膜を通過させる高圧ポンプと、を備える。逆浸透膜処理装置103は、吸着装置102から供給されてきた吸着処理水を、高圧ポンプに供給する。高圧ポンプは、吸着処理水に圧力を加えて、処理容器内に吸着処理水を供給する。処理容器内に供給された吸着処理水は、逆浸透膜を通過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離される。
(吸着工程)
下水には、各種ファウリング原因物質が存在しているが、本発明の第1実施形態に係る水処理システム100Aでは、吸着工程において、従来吸着が困難であったファウリング原因物質を吸着除去することができる。特に、水処理システム100Aは、粒子径0.45μm以下の有機物(例えば、フミン酸やフルボ酸などの芳香族含有有機物、界面活性剤等の合成化学物質、バイオポリマーなど)を効率よく吸着することが可能である。
本明細書において、ファウリング原因物質とは、ファウリングを生じさせる原因となる物質を意味する。ファウリング原因物質は、例えば、有機体炭素、各種菌、無機粒子等を含む。なお、第1実施形態における親水性高分子吸着材200で吸着除去できるファウリング原因物質としては、無機粒子を除いてもよい。また、本明細書において、有機体炭素とは、水中に存在する有機物を構成する炭素を意味する。有機体炭素は、例えば、多糖やタンパク質などのバイオポリマー、フミン、フルボ酸、ウロン酸、クツロン酸、臭気成分(ゲオスミン、2−メチルイソボルネオ−ル)などを含む。なお、第1実施形態における親水性高分子吸着材200で吸着除去できる有機体炭素としては、臭気成分を除いてもよい。
水処理システム100Aにおける吸着工程では、ファウリング原因物質の中でも、特に、親水性が高いバイオポリマーの除去に優れている。バイオポリマーは、各種原水中に存在する有機体炭素の一種であり、一般的には、みかけ分子量が10万Da以上の多糖類およびタンパク質とされている。
本発明では、他の有機体炭素とバイオポリマーとを区別する指標として、例えば、実施例で示したLC−OCD(Hubers社製、DOC−Labor)の分析にて、25分−35分の保留時間の成分をバイオポリマー、保留時間35分−46分の成分をフミン質と定義してもよい。
バイオポリマーは、ベンゼン環などの不飽和結合が少ないことから、バイオポリマーは主に親水性の高い有機物で構成されており、例えば、SUVA値が1.0[L/(m・mg)]以下を示す有機物で構成されていてもよい。
一方、フミン質は、ベンゼン環などUV吸収性を有する構造が含まれているため、フミン質は、主に疎水性が高い有機物で構成されており、例えば、SUVA値が2.0[L/(m・mg)]以上を示す有機物で構成されていてもよい。
なお、SUVA値は、以下の式で求められる。
SUVA(L/mg−C・m)=UV(m−1)/DOC(mg−C/L)
UV値算出方法
(i)バイオポリマーのUV=全スペクトルのUV×バイオポリマー(保留時間:25〜35分)の面積値/全スペクトルの面積値
(ii)フミン質のUV=全スペクトルのUV×フミン質(保留時間:35〜46分)の面積値/全スペクトルの面積値
DOC値算出方法
(i)バイオポリマーのDOC=全スペクトルのDOC×バイオポリマー(保留時間:25〜35分)の面積値/全スペクトルの面積値
(ii)フミン質のDOC=全スペクトルのDOC×フミン質(保留時間:35〜46分)の面積値/全スペクトルの面積値
現在一般に上市されているスチレン系やアクリル系のイオン交換樹脂やキレート樹脂では、このような親水性のバイオポリマーを効率よく吸着することができない。しかしながら、水処理システム100Aでは、特定の親水性高分子吸着材200を用いることによって、このような親水性のバイオポリマーであっても、効率よく吸着することが可能となる。
吸着工程では、汚泥処理水と、親水性高分子吸着材200とを接触させることができる限り特に限定されず、例えば、汚泥処理水へ吸着材を添加し、公知の方法で撹拌することにより吸着処理を行ってもよいし、親水性高分子吸着材200を充てんしたカラムに対し、汚泥処理水を通液させることにより吸着処理を行ってもよい。また、吸着工程は、一段であってもよいし、多段であってもよい。
また、吸着工程では、吸着処理後、必要に応じて公知の方法により固液分離工程を行ってもよく、固液分離工程により、吸着処理後の吸着材を吸着処理液から除去してもよい。
吸着工程では、被処理水中のファウリング原因物質を効率よく吸着することができ、特に、上述のようにバイオポリマーの吸着を効率よく行うことができる。例えば、吸着工程では、汚泥処理水からのバイオポリマーの除去率が、例えば15%以上であってもよく、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であってもよい。なお、除去率は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。除去率が低すぎる場合、後段の膜ろ過工程(逆浸透膜処理工程)における膜汚染の抑制効果が十分でない場合がある。
[親水性高分子吸着材]
水処理システム100Aにおける吸着装置102に用いられる親水性高分子吸着材200について、説明する。
親水性高分子吸着材200は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であり、25℃水中における膨潤度が20〜400%である。好ましくは、親水性高分子吸着材200は、親水性高分子を母体として吸着性官能基が導入された吸着材である。
親水性高分子吸着材200は、親水性高分子であることにより、ファウリング原因物質が内部まで浸透し、吸着性官能基を有効利用でき、ファウリング原因物質を効率的に吸着することができる。従来のイオン交換樹脂では、ポリスチレンなどの疎水性高分子を母体として吸着性官能基を付与したものである。そのため、このような疎水性高分子と比べて、水処理システム100Aに用いられる親水性高分子吸着材200は、水中のファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうち親水性が高く膜汚染の懸念物質と考えられ始めているバイオポリマーを効率的に吸着することができる。
一方で、膨潤度が所定の範囲に制御されているため、親水性高分子を母体とする場合であっても、過度な膨潤により吸着材の取扱い性が悪化することを抑制しつつ、水中におけるファウリング原因物質を効率よく吸着することが可能である。
例えば、親水性高分子吸着材200は、膨潤度が制御されているため、特許第5218731号公報に記載されている水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーと異なって、あらかじめ水への膨潤処理を行うことなく、被処理水と接触させてもよい。また、膨潤性が制御されているため、含水状態であったとしても、流通性に優れている。
上記の親水性高分子は、例えば、繰り返し単位中に水酸基、エーテル基、カチオン性基、アニオン性基、アミド基等の親水性基を有する高分子のことをいう。例えば、酢酸ビニル誘導体ポリマー[例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドなどの各種アルデヒド類によるポリビニルアルコールアセタール化物)]、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリピリジン、ポリビニルピリジン、ポリアミノ酸、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリヌクレオチドなど)、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアミック酸)、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、デキストリン、キチン、およびキトサンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
これらのポリマーは、他のコモノマー単位(例、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸単位、シラノール基、アルデヒド基、又はスルホン酸基を有するモノマー単位など)を有していてもよい。
親水性高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール)、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンが好ましく、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールがより好ましく、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルホルマールが特に好ましく、耐水性を有するだけでなく、成形性および親水性に優れる観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体が最も好ましい。このとき、エチレン単位の含量が全モノマー単位中20〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜50モル%である。エチレン含量が20モル%より小さいと、耐水性が悪くなるおそれがある。一方、エチレン含量が60モル%を超えると、製造が難しい。
水処理システム100Aにおける吸着装置102に用いられる親水性高分子吸着材200は、ファウリング原因物質と相互作用する化学吸着性官能基を有する。化学吸着性を有する官能基としては、キレート形成基、カチオン性イオン交換基、アニオン性イオン交換基などが挙げられ、ファウリング原因物質に対する吸着性を有する限り、特に限定されない。
官能基は、例えば、N、S、PおよびOからなる群から選択された元素を少なくとも一つ含む化学吸着性官能基であってもよい。
具体的には、そのような官能基としては、アミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基)、4級アンモニウム基、イミノ基、イミダゾール基、4級イミダゾリウム基、ピリジル基、4級ピリジニウム基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホネート基、スルホン酸基、スルホニウム基、メルカプト基、チオウレア基、ホスホネート基、ホスホン酸基、ホスホニウム基などが挙げられる。それらは塩の状態で存在していてもよい。これらの官能基は、単独でまたは二種以上組み合わせて存在していてもよい。これらのうち、好ましい官能基としては、アミノ基、4級アンモニウム基およびそれらの塩が挙げられる。
化学吸着性官能基は、上記親水性高分子を作製する際に吸着性官能基を重合や後変性により導入してもよく、化学吸着性官能基を有する成分とアロイ化することにより導入されていてもよい。導入の容易さと膨潤度の制御の観点から化学吸着性官能基含有高分子(A)と親水性高分子マトリクス(B)のアロイ化により導入することが好ましい。
[化学吸着性官能基含有高分子(A)]
例えば、化学吸着性官能基含有高分子(A)は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリアミック酸などのアニオン系ポリマーであってもよいし;ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリピリジン、ポリビニルピリジン、ポリアミノ酸、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリヌクレオチドなどのカチオン性ポリマーであってもよい。このような高分子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、親水性マトリクス高分子と組み合わせて、バイオポリマーをより効率よく吸着する観点から、上述のカチオン性ポリマーが好ましく、特に、強塩基性高分子(4級アンモニウム基含有高分子、4級ピリジニウム基含有高分子など)や、高カチオン密度を有する高分子(例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンなど)が好ましい。
[親水性マトリクス高分子(B)]
親水性マトリクス高分子(B)は、特に限定されないが、例えば、親水性マトリクス高分子(B)としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール)、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、(メタ)アクリル系高分子、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアミド、セルロース誘導体、デキストリン、キチン、キトサンなどを挙げることができる。これらの高分子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの高分子は、他のコモノマー単位を有していてもよく、コモノマー単位の含有量は、全モノマー単位中10モル%以下であることが好ましく、5%モル以下であることがより好ましい。
親水性マトリクス高分子(B)の重量平均分子量は、高分子の種類に応じて適宜好ましい範囲を設定することが可能であるが、化学吸着性官能基含有高分子(A)を親水性マトリクス高分子(B)の内部に保持する観点から、例えば、親水性マトリクス高分子(B)の重量平均分子量は、少なくとも5000以上(例えば、5000〜100000)であってもよく、好ましくは10000以上であってもよい。なお、重量平均分子量は、例えばGPCを用いて求めることができる。
好ましい親水性マトリクス高分子(B)としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール)などが挙げられ、成形性および親水性の双方に優れる観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン単位の含量は、全モノマー単位中20〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜55モル%であってもよい。エチレン含量が少なすぎると、成形体の耐久性が悪くなるおそれがある。一方、エチレン含量が多すぎると、親水性が低下するおそれがある。
なお、ポリビニルアルコールに関しては、粘度平均重合度で規定してもよく、化学吸着性官能基含有高分子(A)を所定の分散径で分散できる限り特に限定されず、30℃水溶液の粘度から求めた粘度平均重合度が、例えば100〜15000程度の幅広い範囲から選択できる。マトリクス高分子としての耐久性を向上させる観点から、高重合度のものを用いるのが好ましく、その場合、例えば、平均重合度は好ましくは800〜13000程度、さらに好ましくは1000〜10000程度であってもよい。
また、ポリビニルアルコールのけん化度も、目的に応じて適宜選択でき特に限定されるものではないが、例えば、88モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であってもよい。特に耐久性を向上させる観点からは、けん化度98モル%以上のものが好ましい。
[化学吸着性官能基含有高分子(A)と親水性マトリクス高分子(B)との質量比]
水処理システム100Aにおける吸着装置102に用いられる親水性高分子吸着材200で、化学吸着性官能基含有高分子(A)と親水性高分子マトリクス(B)のアロイにおける、化学吸着性官能基含有高分子(A)と親水性マトリクス高分子(B)との割合は、高分子(A)が所定の範囲で分散する限り特に限定されない。この割合は、例えば、質量比で高分子(A)/高分子(B)=1/99〜70/30程度であってもよく、好ましくは5/95〜65/45程度、より好ましくは8/92〜60/40程度であってもよい。高分子(A)が多すぎると、耐水性が低下する恐れがあり、高分子(A)が少ないと、吸着性能が低下する傾向にある。
[その他の成分]
なお、水処理システム100Aにおいて、ファウリング原因物質の吸着性を有する親水性高分子吸着材200は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、樹脂成分として、化学吸着性官能基含有高分子(A)及び親水性マトリクス高分子(B)以外のポリマー高分子を含んでいてもよい。また、水処理システム100Aにおける吸着装置102に用いられる親水性高分子吸着材200は、必要に応じて、例えば、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、消泡剤、分散剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
水処理システム100Aにおける吸着装置102に用いられる親水性高分子吸着材200では、バイオポリマーの吸着を可能にするとともに、ハンドリング性を良好にする観点から、25℃における膨潤度が20〜400%の範囲内に保持されている。親水性高分子吸着材の膨潤度は、好ましくは40〜300%程度であってもよく、より好ましくは50〜200%程度であってもよい。なお、親水性高分子吸着材の膨潤度は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
膨潤度が20%未満であると、バイオポリマーを含有する溶液との接触が不十分となるためか、バイオポリマーの吸着性が不良となり、また、膨潤度が400%を超えると、過度の膨潤のため吸着材が軟化し、カラムの閉塞が起こり易くなる。吸着材使用後にカラムから吸着材を取り出す際に、カラム取り出し性が悪化するなどの問題が生じる。
例えば、親水性高分子吸着材200の膨潤性は、架橋剤により架橋することにより制御してもよいし、化学吸着性官能基含有高分子(A)に対して、低膨潤性または非膨潤性である親水性マトリクス高分子(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリアミドなど)を組み合わせたアロイ材として制御してもよい。
特に、水処理システム100Aにおける吸着装置102に用いられる親水性高分子吸着材200は、耐久性や膨潤性を制御する観点から、架橋剤により架橋していることが好ましい。架橋剤は、親水性高分子の架橋反応性基の種類に応じて適宜決定することができるが、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、酸無水物基、酸ハライド基、ホルミル基、N−クロロホルミル基、クロロホーメイト基、アミジニル基、イソシアネート基、ビニル基、アルデヒド基、アゼチジン基、カルボジイミド基などから選択される少なくとも1種又は2種以上の官能基を少なくとも2個含む化合物が挙げられる。また、ジルコニル系架橋剤(硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル)、チタン系架橋剤(チタン系架橋剤、チタンラクテート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート))などを用いてもよい。このような架橋剤は、市販されている各種架橋剤を利用することができ、特に限定されないが、エポキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基、ビニル基、アルデヒド基、アゼチジン基、カルボジイミド基などから選択される少なくとも1種又は2種以上の官能基を少なくとも2個含む化合物が好ましい。
例えば、架橋剤による架橋構造の導入は、親水性高分子吸着材200を合成時にジビニルモノマーを共重合することにより、架橋構造を導入してもよい。
また、架橋剤と親水性高分子吸着材の構成成分と合わせて溶融混練することにより架橋構造を導入してもよい。
溶融混練を行う場合、親水性高分子吸着材200の構成成分、架橋剤、必要に応じて任意成分を、二軸型の混練機などを用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が挙げられる。この溶融混練法によれば、各成分が均一に分散した吸着材を得ることが容易であるという利点を有する。
また、一旦、親水性高分子吸着材材料を溶融成形、溶液成形などにより成形し、各種形状の成形体を形成した後、架橋剤を含む溶液に成形体を浸漬させて架橋構造を導入してもよい。
溶融成形を行う場合、例えば、架橋剤を少なくとも除く親水性高分子吸着材材料を、二軸型の混練機などを用いて溶融混練し、溶融混練物を押出成形、射出成形などにより各種形状の成形体を得た後、この成形体に対して架橋剤を含む溶液に浸漬させ架橋処理を施してもよい。
また、溶液成形を行う場合、例えば、架橋剤を少なくとも除く親水性高分子吸着材材料から、適当な溶媒を用いて混合液を調製し、この混合液を用いて、キャスト製膜または乾式紡糸、湿式紡糸などにより、膜状または繊維状の成形体を得た後、この成形体に対して架橋剤を含む溶液に浸漬させ架橋処理を施してもよい。
(親水性高分子吸着材の形状)
親水性高分子吸着材200は、被処理水からのバイオポリマーの吸着処理に用いることができる限り、各種形状を有することができ、例えば、粒子状、繊維状、フィルム状、各種立体形状などであってもよい。表面積を大きく取り、吸着効率を向上させる観点から、親水性高分子吸着材200は、粒子状または繊維状であるのが好ましく、カラム充填し使用する方法を考慮すると体積充填率の観点から粒子状が好ましい。
親水性高分子吸着材200が粒子状である場合、その粒子径は特に制限はないが、粒子径は1μm〜5000μmが好ましく、10μm〜4000μmがさらに好ましく、20μm〜3000μmが最も好ましい。粒子径が小さすぎる場合、微粉が舞い易いなど取り扱いが難しい。粒子径が大きすぎる場合、吸着性能が充分に得られないことがある。なお粒子径は、篩分けにより分級された値を示す。
親水性高分子吸着材200が繊維状である場合、その繊維径は特に制限はないが、0.1〜1000μmの幅広い範囲から選択することができ、例えば1〜500μmであってもよく、好ましくは2〜200μmであってもよい。なお、繊維径は、例えば、短繊維を無作為にサンプリングし、繊維の断面を電子顕微鏡で観察し繊維径を測定して求めることができる。
以下、実施例により親水性高分子吸着材200をより詳細に説明するが、親水性高分子吸着材200は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
(膨潤度の評価)
吸着材1gを25℃の水に12時間浸漬させた後、吸着材を遠心脱水して秤量(A)した後、105℃で4時間乾燥して秤量(B)する。以下の式より、膨潤度を求めた。
膨潤度=[(A−B)/(B)]×100 (%)
(バイオポリマーの測定方法)
バイオポリマー濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に湿式全有機炭素計測器(OCD計)を接続したLC−OCD(DOC-Labor製)により測定する。測定は、Stefan A. Huber et al. “Characterisation of aquatic humic and non-humic matter with size-exclusion chromatography -organic carbon detection -organic nitrogen detection (LC-OCD-OND)” Water Research 45 (2011) pp879-885に記載された方法に準じ、以下の条件下で行った。
流速:1.1mL/min
サンプル注入量:1mL
カラム:250mm×20mm、TSK HW50S
UV波長:254nm
OCD計:酸注入量 0.2mL/min
溶離液:pH6.85 リン酸バッファ
酸性化溶液:1L超純水に対し、4mL O-リン酸(85%)およびペルオキソ二硫酸カリウム0.5gを添加
(ファウリング原因物質の除去率)
ファウリング原因物質を有する被処理液に対して吸着材を用いて吸着処理を行った後、吸着材をろ別し吸着処理液を得た。吸着処理液のファウリング原因物質である有機体炭素のうちバイオポリマーの除去率(%)を以下のようにして算出した。
吸着処理前後の上澄み液を、LC−OCD(Hubers社製、DOC−Labor)を用いて分析し、バイオポリマー(保留時間25〜35分)の除去率(%)を以下の式にて算出した。
(i)バイオポリマーの除去率=(吸着工程前のバイオポリマー濃度―吸着工程後のバイオポリマー濃度)/(吸着工程前のバイオポリマー濃度)×100(%)
(ろ過膜の透水性評価)
処理対象の水をFlux 2.0(m/m/日)でろ過膜に対して通液するとともに、30分に1回Flux 3.0m/m/日)の純水で逆洗浄を実施し、膜を通液する際の圧力変化を評価し、60kPaに到達するまでの時間(分)を求め、以下の基準にて、長期の透水性を評価した。
A:1200分以上
B:900分以上1200分未満
C:600分以上900分未満
D:600分未満
[実施例1]
(親水性高分子吸着材の作製)
アコジェルC(MTアクアポリマー(株)製)の鉱物油エマルジョンをヘキサンにて洗浄後、乾燥させ4級アンモニウム基を有する粒子を得た。粒子20質量部とエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「G−156」)80部をラボプラストミルにて溶融混練した後、粉砕処理を施し粒子状吸着材を得た。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は70%であった。
被処理水として、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(ファウリング原因物質濃度=3.6mg−C/L、バイオポリマーのSUVA値:0.21(L/mg−C・m)、フミン質のSUVA値:3.3(L/mg−C・m)、pH=8.7)を用い、被処理水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに、得られた親水性高分子吸着材を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた吸着処理水を用いて、PE製MF膜(三菱レイヨン(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
ファウリング原因物質の吸着処理を行わない以外、実施例1と同様に水処理をして、PE製MF膜(三菱レイヨン(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はDであった。結果を表1に示す。
Figure 2016040030
[実施例2]
ポリビニルアルコール((株)クラレ製「PVA―117」)88質量部、ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル(株)製「PAA−15C」)12質量部となるような樹脂組成とし、それら樹脂を水に溶解させた。この溶液を直径0.08mm、孔数1000のノズルから40℃の飽和硫酸ナトリウム浴に湿式紡糸し、15m/分の速度で引き取った。形成した糸はさらに2倍に湿延伸した後、130℃で乾燥させ、230℃で5倍の乾熱延伸を施した。この繊維をさらにグルタルアルデヒド1%、マレイン酸2%の40℃の溶液に浸漬し架橋処理を行い、目的の繊維状吸着材を得た。得られた吸着材の25℃での膨潤度は65%であった。
被処理水として、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(ファウリング原因物質濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7)を用い、被処理水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに、得られた親水性高分子吸着材を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、PVDF製MF膜(旭化成(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はBであった。結果は表2に示す。
[実施例3]
エチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「F−101」)60質量部、及びポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)40質量部をラボプラストミルにて210℃で溶融混練した後、粉砕処理を施し、粒子径0.6〜1.2mmの複合体を得た。さらに、この複合体をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製デナコールEX−810(商品名))2%の25℃の溶液で架橋処理を行い、目的の粒子状吸着材を得た。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は125%であった。
被処理水として、印旛沼(千葉県)から採取した表流水(ファウリング原因物質濃度=3.6mg−C/L、pH=8.7)を用い、被処理水を、まず、排除径2μmのステンレスメッシュカートリッジフィルター(TMP−2、Advantech社製)でろ過することにより不溶物を取り除き、そのろ過後の水1Lに、得られた親水性高分子吸着材を5g投入し、25℃にて2時間攪拌した。撹拌後、親水性高分子吸着材をろ別し、得られた処理水を用いて、PVDF製MF膜(旭化成(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
[実施例4]
エチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、「E−105」)75部、及びポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)25部をラボプラストミルにて210℃で溶融混練した後、粉砕処理を施し粒子径0.1〜0.2mmの複合体を得た。この複合体をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製デナコールEX−810(商品名))2%の25℃の溶液で架橋処理を行い、目的の粒子状吸着材を得た。得られた吸着材の25℃水中の膨潤度は82%であった。
この吸着材を用いて実施例3と同様にして、被処理水の吸着処理およびろ過処理を行った。ろ過処理に用いたPVDF製MF膜(旭化成(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
なお、LC−OCDによりこの実施例において使用された被処理水中に含まれる有機物の分子量分布を測定した際に、図3に示すようなスペクトルが得られた。
[実施例5]
ポリエチレンイミン((株)日本触媒製、「エポミンSP−200」)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、「デナコールEX−810」)を用いて架橋させた後、粉砕処理を施した。得られた粉砕物を多量の80℃熱水で攪拌洗浄することで、表1に示すとおり目的の粒子状の親水性高分子吸着材200を得た。得られた親水性高分子吸着材200の25℃水中の膨潤度は276%であった。
得られた親水性高分子吸着材200を、モデル海水に浸漬、攪拌させ、アルギン酸ナトリウムの吸着試験を行った。吸着試験後に得られた処理水を用いて、PVDF製MF膜(旭化成(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表2に示す。
[比較例2]
ファウリング原因物質の吸着処理を行わない以外、実施例3と同様に水処理をして、PVDF製MF膜(旭化成(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はDであった。結果を表2に示す。
[比較例3]
吸着材として、25℃水中の膨潤度が58%である市販の粒状活性炭(Charcol activated、和光純薬社製)を用いる以外は、実施例3と同様にして水処理を行って、PVDF製MF膜(旭化成(株)製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はCであった。結果を表2に示す。
[比較例4]
25℃水中の膨潤度が98%である市販の陰イオン吸着材(Amberlite IRA400、Sigma−Aldrich社製)を用いる以外は、実施例3と同様にして水処理を行って、PVDF製MF膜(旭化成社製、孔径0.1μm)の透水性を評価した結果、長期透水性はCであった。結果を表2に示す。
Figure 2016040030
[実施例6]
実施例4で用いた吸着材で吸着処理した処理水を用いて、ポリアクリロニトリル(PAN)製UF膜(旭化成(株)製、分画分子量100kDa)の透水性を評価した結果、長期透水性はAであった。結果を表3に示す。
Figure 2016040030
[比較例5]
アコジェルC(MTアクアポリマー(株)製)の鉱物油エマルジョンをヘキサンにて洗浄後、乾燥させ4級アンモニウム基を有する粒子を得た。この粒子をそのままファウリング原因物質の吸着工程に用いようとしたところ、乾燥状態の粒子は粒子径が極めて小さいため、被処理水に対する撹拌性が悪いだけでなく、被処理水により膨潤した後は、粒子が400%を超えて膨潤し、粒子同士を良好に撹拌することが困難であったため、試験を中止した。
実験例1〜6に見られるように、25℃水中における膨潤度が20〜400%である親水性を有する高分子吸着材を用いて水中のファウリング原因物質を除去する工程を設けた場合、効率的に親水性が高いファウリング原因物質の中でも、特に、バイオポリマーを除去できる。その結果、ろ過膜の透水性が長期に安定であることが分かる。
一方、比較例1および2にみられるように、ファウリング原因物質を除去する工程を設けない場合、長期の透水性は得られない。また、比較例3および4にみられるように、市販の活性炭やイオン交換樹脂など疎水性の構造が主成分である吸着材を用いた場合、一部のファウリング原因物質は、除去可能であるが、バイオポリマーの除去能が低いため、充分な長期透水性が得られない。比較例5のような4級アンモニウムを有するポリマーの架橋体では膨潤度が高すぎるという問題があった。
処理すべき下水は、通常水中有機物がアニオン性であることが多いため、水処理システム100Aにおける親水性高分子吸着材200は、カチオン性の官能基を有することが好ましい。
[第1実施形態に係る水処理システムの効果]
本発明の第1実施形態に係る水処理システム100Aにおいては、吸着装置102に25℃水中での膨潤度が特定の範囲に存在する親水性高分子吸着材200を用いている。この親水性高分子吸着材200は、ファウリング原因物質を高度に吸着することができる。親水性高分子吸着材200は、ファウリング原因物質の中でも有機体炭素、特に糖類やたんぱく質といった親水性が高いバイオポリマーを効率良く吸着除去することが可能である。したがって、水処理システム100Aは、バイオファウリングの原因物質となるバイオポリマーを効率良く低減することができるため、バイオファウリングを抑制することができる。その結果、水処理システム100Aによれば、逆浸透膜の透水性を長期にわたって維持することができるとともに、逆浸透膜の交換寿命を延ばし、システム全体としての運転コストを低減することができる。また、水処理システム100Aにおいては、吸着装置102を設けることにより、逆浸透膜を詰まらせる下水中のファウリング原因物質、特にバイオポリマーを効率的に除去することができ、安定した運転が可能となる。
下水は、アニオン性の有機物を多く含むため、親水性高分子吸着材200がカチオン性の官能基を含む場合、さらに効率良く下水を処理することができる。
なお、吸着装置102は、吸着容器201の前段に、吸着容器201内の汚泥処理水に圧力を加えて、親水性高分子吸着材200に強制的に汚泥処理水を通過させるろ過ポンプを備えてもよい。
水処理システム100Aは、活性汚泥処理装置101、吸着装置102、逆浸透膜処理装置103をそれぞれ1つずつ備える構成を説明したが、この構成に限定されない。これらの装置は、複数備えてもよい。
水処理システム100Aは、必要に応じて、ポンプ、バルブ、フィルター等を備えてもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る水処理システムについて説明する。
[第2実施形態に係る水処理システムの構成]
図4は、本発明の第2実施形態に係る水処理システムの構成図を示す。図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る水処理システム100Bは、前述の第1実施形態の水処理システム100Aと比べて、活性汚泥処理装置101の代わりに膜分離活性汚泥処理装置108を備える点で異なる。水処理システム100Bにおいて、膜分離活性汚泥処理装置108以外の他の構成は、第1実施形態に係る水処理システム100Aの構成と同じである。
水処理システム100Bは、膜分離活性汚泥処理装置108を用いて下水を膜分離活性汚泥処理することにより、下水に含まれるごみ等の不純物を除去している。膜分離活性汚泥処理とは、活性汚泥を用いた下水処理において、活性汚泥と汚泥処理水との分離を、第1実施形態の水処理システム100Aの最終沈殿池に代えて分離膜を用いて行う処理である。したがって、水処理システム100Bにおける膜分離活性汚泥処理装置108は、最終沈殿池の代わりに、分離膜を有する膜分離装置を備えている。この構成により、水処理システム100Bの小型化を実現することができる。
水処理システム100Bにおける膜分離活性汚泥処理装置108について具体的に説明する。水処理システム100Bにおいて、膜分離活性汚泥処理装置108以外の他の構成は、第1実施形態に係る水処理システム100Aの構成と同じであるため、説明を省略する。
<膜分離活性汚泥処理装置>
膜分離活性汚泥処理装置108は、スクリーンと、最初沈殿池と、反応タンク(曝気槽)と、膜分離装置と、を備える。スクリーンと、最初沈殿池と、反応タンクとは、第1実施形態と同じものである。膜分離装置は、分離膜と、反応タンクで処理された処理水を分離膜に供給するポンプと、を備える。
膜分離活性汚泥処理装置108の動作について説明する。
膜分離活性汚泥処理装置108は、スクリーンによって、下水に含まれる大きな夾雑物又はごみ等を除去し、最終沈殿池で下水中の細かいごみ等を沈降させる。最終沈殿池でごみ等が沈降することによって得られた上澄み水は、反応タンクに供給される。反応タンクでは、微生物によって下水に含まれる浮遊物や溶解有機物が分解され、活性汚泥となる。
反応タンクで処理された処理水は、膜分離装置に供給される。膜分離装置に供給された処理水は、ポンプより圧力がかけられ、分離膜を透過させられる。分離膜を透過した処理水は、活性汚泥と汚泥処理水とに分離される。
分離膜としては、例えば、精密ろ過膜(Microfiltration Membrane:MF膜)、限外ろ過膜(Ultrafiltration Membrane:UF膜)、ナノ膜(Nanofiltration Membrane:NF膜)等の多数の孔を有する膜を使用することができる。汚泥処理水は、例えば、膜分離活性汚泥処理装置108と吸着装置102との間に設けられた供給ポンプによって、汚泥処理水が流通可能に連通された配管を通じて吸着装置102に供給される。
膜分離活性汚泥処理装置108で膜分離活性汚泥処理された汚泥処理水は、吸着装置102の親水性高分子吸着材200によって、ファウリング原因物質が吸着除去される。特に、吸着装置102によって、ファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうちバイオポリマーが吸着除去される。ファウリング原因物質が除去された吸着処理水は、逆浸透膜処理装置103に供給され、逆浸透膜によって、電解質などの不純物を含む濃縮水と、不純物が除去された逆浸透膜処理水とに分離される。
[第2実施形態の水処理システムの効果]
本発明の第2実施形態に係る水処理システム100Bは、膜分離活性汚泥処理装置108によって、下水を効率良く活性汚泥と汚泥処理水とに分離することができる。また、水処理システム100Bでは、膜分離装置を用いることにより、システムの小型化を実現することができる。
膜分離活性汚泥処理装置108では、活性汚泥を沈降させずに、分離膜を用いて強制的に下水を活性汚泥と汚泥処理水とに分離するため、バルキング(浮きやすくなる)等の原因によって汚泥処理水に活性汚泥が流入することを抑制することができる。そのため、水処理システム100Bでは、活性汚泥と汚泥処理水とを分離する処理をした後に、ろ過装置によって、汚泥処理水から除去しきれなかった不純物(例えば、活性汚泥等)を除去する必要がない。また、分離膜装置は、分離膜によって、微生物等も除去できるため、消毒装置等を必要としない。その結果、さらにシステムの小型化を実現することが可能となるとともに、砂ろ過処理、消毒処理などの工程が必要ないため、ランニングコストの低減を実現することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る水処理システムについて説明する。
[第3実施形態に係る水処理システムの構成]
図5は、本発明の第3実施形態に係る水処理システムの構成図を示す。本発明の第3実施形態に係る水処理システム100Cは、下水処理と海水淡水化処理とを組み合わせたシステムである。図5に示すように、水処理システム100Cは、前述の第2実施形態の水処理システム100Bの構成に、膜分離活性汚泥処理した汚泥処理水を、逆浸透膜でろ過することによって、下水逆浸透膜濃縮水と、下水逆浸透膜処理水と、に分離する下水逆浸透膜処理装置109を備える。下水逆浸透膜処理装置109は、膜分離活性汚泥処理装置108の後段に設けられている。また、水処理システム100Cは、海水を前処理する前処理装置110と、前処理装置110で処理した前処理水と下水逆浸透膜濃縮水とを混合する混合装置111と、を備える。前処理装置110と混合装置111とは、吸着装置102の前段に設けられている。混合装置111は、下水逆浸透膜処理装置109と前処理装置110とに、下水逆浸透膜濃縮水又は前処理水が流通する配管を介して接続されている。
本明細書では、下水逆浸透膜処理装置109によって分離された塩分や電解質等の不純物を含む濃縮水を「下水逆浸透膜濃縮水」と定義し、不純物が除去された処理水を「下水逆浸透膜処理水」と定義している。また、本明細書では、海水中に含まれる濁質成分又は夾雑物等の混入物を除去することを「前処理する」と定義している。また、本明細書では、前処理装置110で前処理された海水、即ち前処理装置110によって海水中に含まれる濁質成分又は夾雑物等の混入物が除去された処理水を「前処理水」と定義している。また、本明細書では、混合装置111によって下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを混合した液体を「混合液」と定義している。
下水処理と海水淡水化処理とを組み合わせた水処理システムにおいては、下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを混合することによって、塩分濃度の高い前処理水を下水逆浸透膜濃縮水で希釈している。これにより、海水淡水化処理において、被処理水の塩分濃度を下げることができるとともに、生産水(淡水)の取水量を増やすことができる。しかし、下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを混合すると、バイオファウリングの形成速度が増大するという問題がある。この問題を解決するため、水処理システム100Cは、下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを混合した後、吸着装置102によって、混合液中のファウリング原因物質、特に有機体炭素のうちバイオポリマーを吸着除去している。
水処理システム100Cにおける下水逆浸透膜処理装置109と、前処理装置110と、混合装置111と、について具体的に説明する。水処理システム100Cにおいて、下水逆浸透膜処理装置109と、前処理装置110と、混合装置111以外の他の構成は、第2実施形態に係る水処理システム100Bの構成と同じであるため、説明を省略する。
<下水逆浸透膜処理装置>
下水逆浸透膜処理装置109は、膜分離活性汚泥処理装置108で処理された汚泥処理水に含まれる塩分やイオン等の不純物を除去する低圧逆浸透膜と、低圧逆浸透膜に汚泥処理水を供給するポンプと、を備える。下水逆浸透膜処理装置109は、膜分離活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水を、ポンプによって低圧逆浸透膜に透過させ、塩分やイオン等の不純物を含む下水逆浸透膜濃縮水と、不純物が除去された下水逆浸透膜処理水とに分離する。下水逆浸透膜濃縮水は、混合装置111に供給され、下水逆浸透膜処理水は、生産水(淡水)として使用される。生産水としては、例えば、工業用水や都市用水、農業用水等に使用できる。
低圧逆浸透膜は、例えば、約1〜2MPaの透過圧力の逆浸透膜を使用してもよい。下水の塩分濃度は、例えば、0.1%程度であるため、低圧の逆浸透膜を使用することができる。
<前処理装置>
前処理装置110は、海から取水された海水を入れる前処理容器と、前処理容器内に充填されたろ砂から成るろ過材と、を備えた砂ろ過装置である。前処理装置110においては、海水を取水するポンプによって海から取水された海水が前処理容器に供給される。前処理容器内に供給された海水は、ろ過材を通過し、海水中に含まれる濁質成分又は夾雑物等の混入物が除去される。混入物が除去された海水は、前処理水として、混合装置111に供給される。
<混合装置>
混合装置111は、下水逆浸透膜処理装置109からの下水逆浸透膜濃縮水と前処理装置110からの前処理水とが供給される混合容器と、下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを撹拌して混合する撹拌器と、を備える。撹拌器は、例えば、モータと、モータに接続されたシャフトと、シャフトの先端に取り付けられたプロペラと、を備え、プロペラは混合容器内に配置される。混合装置111では、下水逆浸透膜処理装置109からの下水逆浸透膜濃縮水と、前処理装置110からの前処理水と、が混合容器に供給される。混合容器に供給された下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とは、撹拌器によって混合される。撹拌器は、例えば、シャフトに接続されたモータを回転させることによって、シャフトの先端に取り付けられたプロペラを回転させる。このプロペラの回転によって、混合容器内の下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを撹拌し、混合する。混合装置111で混合された下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とは、混合液として、吸着装置102に供給される。
吸着装置102に供給された下水逆浸透膜濃縮水と前処理水との混合液は、吸着装置102の親水性高分子吸着材200によって、ファウリング原因物質が吸着除去される。吸着装置102では、ファウリング原因物質の中でも有機体炭素、特にバイオポリマーが吸着除去される。ファウリング原因物質が除去された吸着処理水は、逆浸透膜処理装置103に供給され、逆浸透膜によって、塩分等を含む濃縮水と、塩分等が除去された逆浸透膜処理水(淡水)と、に分離される。
なお、逆浸透膜処理装置103では、例えば、約3〜5MPaの透過圧力の逆浸透膜を用いてもよい。
[第3実施形態の水処理システムの効果]
本発明の第3実施形態に係る水処理システム100Cは、下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを混合する混合装置111の後段に、ファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置102を備える。この構成により、下水逆浸透膜濃縮水と前処理水とを混合することにより増大したファウリング原因物質、特に有機体炭素のうちのバイオポリマーを効率良く除去することができる。したがって、水処理システム100Cでは、バイオファウリングの形成速度を低減し、バイオファウリングの発生を効率良く抑制することができる。
水処理システム100Cによれば、下水逆浸透膜濃縮水を、海水を前処理した前処理水に加えることによって、前処理水の塩分濃度を希釈することができる。このため、逆浸透膜処理装置103の逆浸透膜として、中圧(例えば、3〜5MPa程度の透過圧力)の逆浸透膜を用いることができる。さらに、逆浸透膜処理装置103の高圧ポンプについても、動力の小さいものを使用することができる。したがって、水処理システム100Cは、低コスト化を実現することができる。
なお、前処理装置110は、ろ過材としてろ砂を用いた砂ろ過装置を説明したが、これに限定されない。前処理装置110は、海水中に含まれる混入物を除去できる砂ろ過処理相当の装置であればよい。例えば、前処理装置110は、ろ過材の代わりに、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノ膜(Nanofiltration Membrane:NF膜)等の多数の孔を有する膜を用いた膜ろ過装置であってもよい。また、前処理装置110は、活性炭、イオン交換樹脂、金属膜又はセラミック膜等の無機膜を用いたろ過装置であってもよい。
前処理装置110において、前処理容器内のろ過材に強制的に海水を通過させるために、前処理容器の前段に、ろ過ポンプを設けてもよい。このろ過ポンプによって、海水に圧力を加えて、前処理容器内のろ過材に海水を通過させることができる。
また、前処理装置110は、ろ過装置の前段に、さらに溶解成分析出装置を備えてもよい。溶解成分析出装置とは、海水中に含まれる溶解成分を析出する装置である。例えば、溶解成分析出装置は、凝集剤又はアルカリ剤等の薬品や、二酸化炭素を海水に注入することによって、海水中の溶解成分を析出する。析出した溶解成分は、ろ過装置によって除去されるため、前処理装置110において、さらに海水中の混入物等を除去することができる。
なお、前処理装置110の後段に海水逆浸透膜処理装置を備えてもよい。海水逆浸透膜処理装置は、例えば、前処理装置110で処理された前処理水に含まれる塩分やイオン等の不純物を除去する高圧逆浸透膜と、高圧逆浸透膜に前処理水を供給する高圧ポンプと、を備える。高圧逆浸透膜は、例えば、約6〜8MPaの透過圧力の逆浸透膜を用いる。海水逆浸透膜処理装置では、前処理装置110で処理された前処理水を、高圧ポンプで圧力をかけて、高圧逆浸透膜を透過させることにより、塩分やイオン等の不純物を含む海水逆浸透膜濃縮水と、不純物が除去された海水逆浸透膜処理水(淡水)とに分離する。海水逆浸透膜処理水は、例えば、飲料水等に使用することができる。一方、海水逆浸透膜濃縮水は、混合装置111に供給され、下水逆浸透膜濃縮水と混合される。海水逆浸透膜濃縮水と下水逆浸透膜濃縮水との混合液は、吸着装置102でファウリング原因物質を吸着除去された後、逆浸透膜処理装置103で濃縮水と淡水とに分離される。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る水処理システムについて説明する。
[第4実施形態に係る水処理システムの構成]
図6は、本発明の第4実施形態に係る水処理システムの構成図を示す。図6に示すように、本発明の第4実施形態に係る水処理システム100Dは、前述の第1実施形態の水処理システム100Aの構成に、さらに吸着材再生装置104を備えた構成を有する。吸着材再生装置104は、流体が流通可能に連通された配管を介して吸着装置102と接続されている。
吸着装置102における親水性高分子吸着材200では、運転時間の経過に伴い、吸着材の表面に有機体炭素が蓄積されていき、親水性高分子吸着材200の有機体炭素の吸着性能が低下していく。水処理システム100Dにおいて、吸着材再生装置104は、親水性高分子吸着材200の表面に蓄積された有機体炭素を洗浄して取り除くことができる。そのため、水処理システム100Dにおいては、親水性高分子吸着材200を再生することによって、吸着性能を回復させることができる。
水処理システム100Dにおける吸着材再生装置104について具体的に説明する。水処理システム100Dにおいて、吸着材再生装置104以外の他の構成は、第1実施形態に係る水処理システム100Aの構成と同じであるため、説明を省略する。
<吸着材再生装置>
吸着材再生装置104は、親水性高分子吸着材200を洗浄する洗浄流体を入れる洗浄容器と、洗浄容器から吸着装置102に洗浄流体を供給する洗浄流体供給ポンプと、洗浄流体の流量調整を行う流量調整弁と、を備える。洗浄容器内の洗浄流体を加熱するヒータを備えていてもよい。
洗浄容器内の洗浄流体は、必要に応じて、洗浄容器に取り付けられたヒータによって任意の温度まで加熱される。任意の温度は、例えば、40〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜90℃である。洗浄流体の温度は、高温ほど再生しやすくなる。洗浄容器内の加熱された洗浄流体は、洗浄流体供給ポンプによって配管を通じて吸着装置102に供給される。洗浄容器から吸着装置102へ供給される洗浄流体の流量は、洗浄容器と吸着装置102とを接続する配管に取り付けられた流量調整弁の開度によって調整される。
洗浄容器と吸着装置102とを接続する配管には、吸着装置102への洗浄流体の供給の開始又は停止を行うことができる開閉弁を設けてもよい。使用者は、この開閉弁を開閉操作することによって、吸着装置102への洗浄流体の供給の開始又は停止を行うことができる。この開閉弁は、流量調整弁と兼用していてもよい。また、吸着材再生装置104は、一定時間毎に開閉弁の開閉を自動的に行うことによって、吸着装置102への洗浄流体の供給の開始又は停止を行ってもよい。
吸着材再生装置104は、任意の供給条件で洗浄流体を供給することができる。吸着材再生装置104は、供給条件として、例えば、洗浄流体の温度、洗浄流体を供給する速度(流速)、洗浄流体を供給している時間、又は洗浄流体の流量等を設定することができる。
吸着材再生装置104は、加熱された洗浄流体を吸着装置102に供給することによって、親水性高分子吸着材200を洗浄している。親水性高分子吸着材200が洗浄されると、親水性高分子吸着材200の表面に付着したファウリング原因物質が取り除かれ、親水性高分子吸着材200が再生される。
洗浄流体としては、ファウリング原因物質を含まない又は低減された流体であれば、特に限定されない。洗浄流体としては、例えば、純水、吸着処理水、淡水、洗浄薬剤を添加した水溶液を用いることができる。また、洗浄流体は、液体に限定されず、例えば、空気又は加熱蒸気等の気体であってもよい。即ち、洗浄流体は、親水性高分子吸着材200を洗浄し、表面に付着したファウリング原因物質を剥がすことができる流体であればよい。
なお、水処理システム100Dにおける吸着材再生装置104は、これらの構成に限定されない。例えば、洗浄流体供給ポンプにインバータが接続されてもよい。インバータは、洗浄流体供給ポンプの回転数を制御することによって、洗浄流体の流量、流速を調整することができる。また、吸着材再生装置104は、洗浄流体の温度を計測する温度センサ、洗浄流体の流量を計測する流量センサ等を備えてもよい。例えば、温度センサによって洗浄流体の温度を検出し、洗浄流体を任意の温度に設定することができる。また、流量センサによって、洗浄流体の流量を制御してもよい。
[第4実施形態の水処理システムの効果]
本発明の第4実施形態に係る水処理システム100Dによれば、吸着材再生装置104によって、吸着性能が低下した親水性高分子吸着材200を再生し、元の状態に戻すことができる。元の状態とは、親水性高分子吸着材200でファウリング原因物質を吸着する前の状態である。したがって、水処理システム100Dは、長期間にわたって安定的に下水中のファウリング原因物質を効率良く除去することができる。その結果、水処理システム100Dは、バイオファウリングによる逆浸透膜の性能低下を抑制することができ、システム全体のランニングコストを低減することができる。
[第4実施形態に係る水処理システムの変形例]
図7は、本発明の第4実施形態に係る水処理システムの変形例の構成図を示す。図7に示すように、本発明の第4実施形態の変形例に係る水処理システム100Eにおいて、第4実施形態に係る水処理システム100Dと異なる点は、吸着材再生装置104が、逆浸透膜処理装置103で分離された濃縮水を洗浄流体として使用する点である。
水処理システム100Eにおいて、吸着材再生装置104は、逆浸透膜処理装置103で分離された濃縮水を洗浄容器に返送する濃縮水返送手段を備える。濃縮水返送手段は、濃縮水を貯水する貯水槽と、貯水槽と洗浄容器とを接続する配管と、貯水槽から洗浄容器へ濃縮水を返送する返送ポンプと、を備える。
逆浸透膜処理装置103で分離された濃縮水は、貯水槽に貯水される。貯水槽に貯水された濃縮水は、返送ポンプによって配管を通じて洗浄容器に返送される。洗浄容器に返送された濃縮水は、親水性高分子吸着材200を洗浄する洗浄流体として使用され、吸着装置102に供給される。
このように、水処理システム100Eによれば、吸着材再生装置104、洗浄流体として濃縮水を用いることによって、低コストの水処理システムを提供することができる。
なお、水処理システム100Eとして、逆浸透膜処理装置103で分離された濃縮水を洗浄流体として使用する例を説明したが、これに限定されない。例えば、洗浄流体として、吸着処理水、又は逆浸透膜処理装置103で分離された淡水を使用してもよい。
また、吸着装置102の前段に、開閉弁を設けてもよい。吸着装置102において親水性高分子吸着材200が洗浄されている間、この開閉弁を閉じることにより、汚泥処理水が吸着装置102に供給されないようにしてもよい。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る水処理システムについて説明する。
[第5実施形態に係る水処理システムの構成]
図8は、本発明の第5実施形態に係る水処理システムの構成図を示す。図8に示すように、本発明の第5実施形態に係る水処理システム100Fは、前述の第4実施形態の水処理システム100Dに、さらに濃度計測装置105を備えた構成を有する。濃度計測装置105は、活性汚泥処理装置101と吸着装置102との間の配管、及び吸着装置102と逆浸透膜処理装置103との間の配管に接続されている。
濃度計測装置105は、吸着装置102で吸着する前の汚泥処理水のファウリング原因物質の第1濃度と、吸着装置102で吸着した後の吸着処理水のファウリング原因物質の第2濃度と、を計測する。水処理システム100Fは、濃度計測装置105で計測された濃度の結果に基づいて、親水性高分子吸着材200を再生する時期(タイミング)を判断することができる。
水処理システム100Fにおける濃度計測装置105について具体的に説明する。水処理システム100Fにおいて、濃度計測装置105以外の他の構成は、第4実施形態に係る水処理システム100Dの構成と同じであるため、説明を省略する。
<濃度計測装置>
濃度計測装置105は、ファウリング原因物質の濃度を吸光度により計測する吸光度測定装置である。濃度計測装置105は、活性汚泥処理装置101と吸着装置102とを接続する配管より分岐されたサンプリング配管を経由して汚泥処理水を取得する。また、濃度計測装置105は、吸着装置102と逆浸透膜処理装置103とより分岐されたサンプリング配管を経由して吸着処理水を取得する。これらのサンプリング配管には、流体の流通を制御するバルブを設けてもよい。また、濃度計測装置105は、計測結果を表示する表示部を備える。
濃度計測装置105は、汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質の第1濃度と、吸着処理水に含まれるファウリング原因物質の第2濃度と、を計測する。使用者は、濃度計測装置105で計測された濃度の結果に基づいて、吸着装置102の親水性高分子吸着材200を再生する時期を知ることができる。例えば、濃度計測装置105で計測された第1濃度と第2濃度との差又は比が表示部に表示され、使用者は、親水性高分子吸着材200の吸着性能が低下していると判断することができる。また、表示部は、計測された第1濃度と第2濃度との差又は比が所定の閾値を超えると、点滅などして使用者に親水性高分子吸着材200の吸着性能が低下していることを知らせてもよい。使用者は、濃度計測装置105の計測結果から親水性高分子吸着材200の吸着性能が低下していると判断した場合、吸着材再生装置104から吸着装置102へ洗浄流体を供給し、親水性高分子吸着材200を再生することができる。
[第5実施形態に係る水処理システムの効果]
本発明の第5実施形態に係る水処理システム100Fによれば、濃度計測装置105による下水中のファウリング原因物質の濃度計測結果に基づいて、親水性高分子吸着材200の吸着性能の低下を知ることができる。したがって、使用者は、適切なタイミングで吸着性能が低下した親水性高分子吸着材200を、吸着材再生装置104によって再生することができる。その結果、水処理システム100Fにおいて、有機体炭素の吸着除去を効率良く、かつ安定して行うことができる。
なお、水処理システム100Fにおいては、濃度計測装置105として、吸光度を計測する吸光度計測装置を説明しているが、これに限定されない。例えば、濃度計測装置105は、吸光度以外に光学的性質として屈折率、蛍光等、又は電気化学的性質として導電率、pH等を計測してもよい。
濃度計測装置105は、高速液体クロマトグラフィー法を実施する高速液体クロマトグラフィー装置であってもよい。また、濃度計測装置105は、ろ過性評価装置であってもよい。ろ過性評価装置とは、吸着装置102において処理水が親水性高分子吸着材200を通過する速度(ろ過速度)を測定し、ろ過速度の変化からファウリング原因物質の濃度を計測する。濃度計測装置105は、全有機体炭素計であってもよく、高速液体クロマトグラフィー装置と全有機体炭素計を組み合わせた装置であってもよい。その他、濃度計測装置105は、電気伝導度検出器、質量分析計等であってもよい。
また、水処理システム100Fにおいては、濃度計測装置105は、吸着前の汚泥処理水の第1濃度と、吸着後の吸着処理水の第2濃度とを計測する構成について説明したが、これに限定されない。例えば、濃度計測装置105は、吸着後の吸着処理水の第2濃度のみを計測する構成としてもよい。このような構成の場合、使用者は、例えば、第2濃度が所定の閾値を超えた場合に、吸着材再生装置104から吸着装置102に洗浄流体を供給し、親水性高分子吸着材200を再生してもよい。
水処理システム100Fでは、吸着材再生装置104を備える構成について説明したが、これに限定されない。例えば、吸着材再生装置104を備えていない構成、即ち第1実施形態に係る水処理システム100Aに濃度計測装置105を備えた構成としてもよい。このような構成においては、使用者は、濃度計測装置105の計測結果に基づき、ファウリング原因物質の吸着性能が低下した親水性高分子吸着材200を、新しい吸着材に交換してもよい。
[第5実施形態に係る水処理システムの変形例]
図9は、本発明の第5実施形態に係る水処理システムの変形例の構成図を示す。図9に示すように、本発明の第5実施形態の変形例に係る水処理システム100Gにおいて、第5実施形態に係る水処理システム100Fと異なる点は、吸着材再生装置104を制御する制御装置106を備える点である。制御装置106は、濃度計測装置105及び吸着材再生装置104と通信可能に接続されている。
<制御装置>
制御装置106は、コントローラ等のコンピュータで構成される。制御装置106は、濃度計測装置105の計測結果に基づいて、吸着材再生装置104の洗浄流体の供給条件を制御する。制御装置106は、濃度計測装置105で計測された吸着前後の処理水の濃度(汚泥処理水の第1濃度と吸着処理水の第2濃度)の比又は差に基づいて、洗浄流体の温度、洗浄流体を供給する速度(流速)、洗浄流体を供給する時間、又は洗浄流体の流量等を設定する。
制御装置106は、吸着材再生装置104におけるヒータ、洗浄流体供給ポンプ、流量調整弁と通信可能に接続されている。制御装置106は、ヒータ、洗浄流体供給ポンプ、流量調整弁の動作を制御することによって、所望の供給条件を設定することができる。制御装置106は、濃度計測装置105の計測結果に基づいて、ヒータの温度、洗浄流体供給ポンプの回転速度、流量調整弁の開度を制御する。
水処理システム100Gの動作について説明する。
まず、濃度計測装置105は、汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質の第1濃度と、吸着処理水に含まれるファウリング原因物質の第2濃度と、を計測する。計測結果は、制御装置106に送信される。
制御装置106は、濃度計測装置105の計測結果から、親水性高分子吸着材200の吸着性能の低下の度合いを判断する。制御装置106は、吸着性能の低下が大きいと判断すると、洗浄力の高い供給条件を設定する。洗浄力の高い供給条件とは、例えば、洗浄流体の温度が高い、洗浄時間が長い、洗浄流体の流速が大きい、単位時間当たりの流量が多い等である。また、制御装置106は、親水性高分子吸着材200の吸着性能の低下の度合いに応じた複数の供給条件を予め用意しておき、濃度計測装置105の計測結果に応じて、複数の供給条件うちから最適な供給条件を選択して設定してもよい。なお、親水性高分子吸着材200の吸着性能の低下の度合いは、第1濃度と第2濃度との比が大きいほど、吸着性能の低下が小さいと判断してもよい。または、第1濃度と第2濃度との差が小さいほど、吸着性能の低下が大きいと判断してもよい。
制御装置106は、濃度計測装置105の計測結果に基づいて、吸着材再生装置104による吸着材の再生動作と、吸着装置102によるファウリング原因物質の吸着動作と、を切り替える信号を、吸着材再生装置104と吸着装置102とに送信する。例えば、制御装置106は、濃度計測装置105で測定された濃度の比又は差が所定の閾値を超えている場合に、吸着動作から再生動作へ切り替える再生信号を、吸着材再生装置104と吸着装置102とに送信する。また、制御装置106は、濃度計測装置105で測定された濃度の比又は差が所定の閾値以下になった場合に、再生動作から吸着動作に切り替える吸着信号を、吸着材再生装置104と吸着装置102とに送信する。
制御装置106から吸着材再生装置104に再生信号又は吸着信号が送信された場合について説明する。
吸着材再生装置104においては、洗浄容器から吸着装置102への洗浄流体の供給を開始及び停止する開閉弁が備えられている。吸着材再生装置104における開閉弁は、制御装置106と通信可能に接続されており、制御装置106からの信号によって、開閉動作を行う。例えば、吸着材再生装置104における開閉弁は、制御装置106からの再生信号を受信すると、弁を開いて吸着装置102へ洗浄流体の供給を開始し、制御装置106からの吸着信号を受信すると、弁を閉じて洗浄流体の供給を停止する。なお、吸着材再生装置104において、この開閉弁は、流量調整弁と兼用してもよい。
制御装置106から吸着装置102に再生信号又は吸着信号が送信された場合について説明する。
吸着装置102においても、吸着容器(カラム)201内への汚泥処理水の供給を開始及び停止する開閉弁が備えられている。吸着装置102における開閉弁は、制御装置106と通信可能に接続されており、制御装置106からの信号によって、開閉動作を行う。例えば、吸着装置102における開閉弁は、制御装置106からの再生信号を受信すると、弁を閉じて吸着容器201へ汚泥処理水の供給を停止し、制御装置106からの吸着信号を受信すると、弁を開いて汚泥処理水の供給を開始する。
本発明の第5実施形態の変形例に係る水処理システム100Gによれば、制御装置106によって、吸着材再生装置104から吸着装置102へ供給される洗浄流体の供給条件を、親水性高分子吸着材200の吸着性能の低下の度合いに応じて設定することができる。また、濃度計測装置105の結果に基づいて、吸着材再生装置104による吸着材の再生動作と、吸着装置102による吸着動作を自動的に行うことができる。その結果、水処理システム100Gは、さらに効率良く下水中のファウリング原因物質を吸着除去することができる。
なお、水処理システム100Gにおいては、制御装置106は、吸着材再生装置104及び吸着装置102におけるそれぞれの開閉弁の開閉動作を制御する構成について説明したが、これに限定されない。例えば、吸着材再生装置104及び吸着装置102におけるそれぞれの開閉弁の開閉動作は、使用者によって手動で行われてもよい。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る水処理システムについて説明する。
[第6実施形態に係る水処理システムの構成]
図10は、本発明の第6実施形態に係る水処理システムの構成図を示す。図10に示すように、本発明の第6実施形態に係る水処理システム100Hは、前述の第5実施形態の変形例に係る水処理システム100Gの構成と比べて、吸着装置として第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとを備える点、及び選択手段107を備える点で異なる。水処理システム100Hにおいて、その他の構成は、第5実施形態の変形例に係る水処理システム100Gの構成と同じである。
水処理システム100Hにおける第1吸着装置102a、第2吸着装置102b、選択手段107について具体的に説明する。水処理システム100Hにおいて、第1吸着装置102a、第2吸着装置102b、及び選択手段107以外の他の構成は、第5実施形態の変形例に係る水処理システム100Gの構成と同じであるため、説明を省略する。
<第1吸着装置及び第2吸着装置>
水処理システム100Hにおいて、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとは、それぞれ並列に接続されている。また、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとは、配管を通じて吸着材再生装置104と接続されている。第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとは、どちらも親水性高分子吸着材200a、200bを内部に含み、汚泥処理水中に含まれるファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうちのバイオポリマーを吸着除去することができる。また、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとは、どちらも吸着材再生装置104によって、それぞれの親水性高分子吸着材200a、200bを再生することができる。
<選択手段>
水処理システム100Hにおいて、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとの前段に選択手段107が設けられている。選択手段107は、活性汚泥処理装置101で前処理された汚泥処理水を、第1吸着装置102aに供給するか、又は第2吸着装置102bに供給するかを選択する選択弁である。例えば、選択手段107が、第2吸着装置102bに汚泥処理水を供給することを選択した場合を説明する。第2吸着装置102bにおいて汚泥処理水が供給されると、第2吸着装置102bによって汚泥処理水中の有機体炭素が吸着除去される(吸着動作)。一方、第1吸着装置102aにおいて、汚泥処理水の供給が停止される。このとき、第1吸着装置102aでは、吸着材再生装置104によって、第1吸着装置102aにおける親水性高分子吸着材200aが再生される(再生動作)。
選択手段107は、制御装置106によって選択動作を制御されてもよい。例えば、制御装置106が、濃度計測装置105の計測結果に基づいて、汚泥処理水の供給先として第1吸着装置102a又は第2吸着装置102bを選択する信号を、選択手段107に送信する。具体的な例として、選択手段107が、第1吸着装置102aを選択しているときに、汚泥処理水の供給先を第2吸着装置102bに変更する信号を、制御装置106から受信した場合を説明する。
制御装置106は、濃度計測装置105で計測された汚泥処理水の第1濃度と、吸着処理水の第2濃度との比又は差が所定の閾値を超えている場合、汚泥処理水の供給先を第1吸着装置102aから第2吸着装置102bに変更する信号を選択手段107に送信する。選択手段107は、信号を受信すると、第2吸着装置102bを選択し、第2吸着装置102bに汚泥処理水を供給するとともに、第1吸着装置102aへの供給を停止する。汚泥処理水が供給された第2吸着装置102bにおいては、汚泥処理水中に含まれる有機体炭素の吸着動作が行われる。
次に、制御装置106は、第1吸着装置102aの親水性高分子吸着材200aを再生するため、吸着材再生装置104に再生信号を送信する。再生信号を受信した吸着材再生装置104は、汚泥処理水の供給が停止された第1吸着装置102aに、洗浄流体を供給することによって、親水性高分子吸着材200aの再生動作を行う。吸着材再生装置104から第1吸着装置102aへの洗浄流体の供給は、制御装置106で設定された供給条件に従って行われる。例えば、親水性高分子吸着材200aの再生動作は、所定時間が経過したら停止してもよいし、第2吸着装置102bで吸着動作をしている間、継続してもよい。
第2吸着装置102bで吸着動作をしている場合において、濃度計測装置105で計測された汚泥処理水の第1濃度と、吸着処理水の第2濃度との比又は差が所定の閾値を超えると、制御装置106は、汚泥処理水の供給先を第2吸着装置102bから第1吸着装置102aに変更する信号を選択手段107に送信する。選択手段107は、信号を受信すると、第1吸着装置102aを選択し、第1吸着装置102aに汚泥処理水を供給するとともに、第2吸着装置102bへの供給を停止する。第1吸着装置102aにおいては、再び吸着動作が行われる。一方、第2吸着装置102bにおいては、第1吸着装置102aの親水性高分子吸着材200aの再生動作と同様に、親水性高分子吸着材200bの再生動作が行われる。
このように、水処理システム100Hにおいては、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとを用い、一方の吸着装置で汚泥処理水中の有機体炭素を吸着除去しつつ、他方の吸着装置で親水性高分子吸着材200の再生を行っている。
[第6実施形態に係る水処理システムの効果]
本発明の第6実施形態に係る水処理システム100Hによれば、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bとによって、第1吸着装置102aで吸着動作を行いながら、第2吸着装置102bで親水性高分子吸着材200bの再生動作を行うことができる。このため、水処理システム100Hは、汚泥処理水中の有機体炭素を効率良く安定して吸着除去することができる。また、水処理システム100Hは、ファウリング原因物質の中でも特にバイオポリマーを効率良く除去し、バイオファウリングを抑制することができるため、運転コストを低減することができる。
なお、水処理システム100Hにおいては、2つの吸着装置102a、102bを備える構成について説明したが、これに限定されない。例えば、吸着装置102は、3つ以上備えてもよい。
また、第1吸着装置102aが吸着動作を行っている間、第2吸着装置102bで親水性高分子吸着材200bの再生動作を行うこと、又は第2吸着装置102bで吸着動作を行っている間、第1吸着装置102aで親水性高分子吸着材200bの再生動作を行うことを説明したが、これらに限定されない。例えば、第1吸着装置102aと第2吸着装置102bの両方で吸着動作を行ってもよい。
水処理システム100Hにおいては、選択手段107は、制御装置106によって選択動作を制御する構成について説明したが、これに限定されない。例えば、使用者が、濃度計測装置105の計測結果を見て、手動で選択手段107を操作してもよい。また、選択手段107は、所定の時間毎に自動的に汚泥処理水の供給先を変更してもよい。
本発明をある程度の詳細さをもって各実施形態において説明したが、これらの実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
第4〜6実施形態については、第1実施形態における活性汚泥処理装置101を備える構成について説明したが、これに限定されない。第4〜6実施形態は、例えば、活性汚泥処理装置101の代わりに、第2実施形態における膜分離活性汚泥処理装置108を備える構成としてもよい。また、第4〜6実施形態は、第3実施形態に係る下水処理と海水淡水化処理を組み合わせた水処理システムと組み合わせてもよい。
本発明の水処理システムでは、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて既存の装置を組み合わせてもよい。既存の装置としては、例えば、砂ろ過装置、凝集沈殿装置、オゾン処理装置、既存の吸着材や活性炭等を用いた吸着装置等が挙げられる。これらの装置は、本発明の水処理システムに、単独で又は2つ以上を組み合わせてもよい。
本発明は、下水中に含まれるファウリング原因物質の中でも、特に有機体炭素のうちバイオファウリングの原因物質となるバイオポリマーを効率良く吸着除去することが可能であるため、逆浸透膜を用いた水処理システムに有用である。
100 水処理システム
101 活性汚泥処理装置
102 吸着装置
103 逆浸透膜処理装置
104 吸着材再生装置
105 濃度計測装置
106 制御装置
107 選択手段
108 膜分離活性汚泥処理装置
109 下水逆浸透膜処理装置
110 前処理装置
111 混合装置
200 親水性高分子吸着材
201 吸着容器
202 入口
203 出口

Claims (16)

  1. 下水を活性汚泥処理する活性汚泥処理装置と、
    前記活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置と、
    前記吸着装置でファウリング原因物質を吸着除去された吸着処理水を逆浸透膜によってろ過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離する逆浸透膜処理装置と、
    を備え、
    前記吸着装置は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であって、25℃水中における膨潤度が20〜400%であり、前記汚泥処理水中のファウリング原因物質の吸着性に優れる親水性高分子吸着材を備える、水処理システム。
  2. 下水を膜分離活性汚泥処理する膜分離活性汚泥処理装置と、
    前記膜分離活性汚泥処理装置で処理された汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する吸着装置と、
    前記吸着装置でファウリング原因物質を吸着除去された吸着処理水を逆浸透膜によってろ過し、濃縮水と逆浸透膜処理水とに分離する逆浸透膜処理装置と、
    を備え、
    前記吸着装置は、化学吸着性官能基が導入された親水性高分子吸着材であって、25℃水中における膨潤度が20〜400%であり、前記汚泥処理水中のファウリング原因物質の吸着性に優れる親水性高分子吸着材を備える、水処理システム。
  3. 更に、
    前記膜分離活性汚泥処理装置で処理された前記汚泥処理水を逆浸透膜によってろ過し、下水逆浸透膜濃縮水と下水逆浸透膜処理水とに分離する下水逆浸透膜処理装置と、
    海水を前処理する前処理装置と、
    前記下水逆浸透膜処理装置で分離された前記下水逆浸透膜濃縮水と、前記前処理装置で処理された前処理水と、を混合する混合装置と、
    を備え、
    前記吸着装置は、前記混合装置で混合された前記下水逆浸透膜濃縮水と前記前処理水との混合液に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する、請求項2に記載の水処理システム。
  4. 更に、
    前記吸着装置に流体を供給し、前記流体によって前記親水性高分子吸着材を再生する吸着材再生装置を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水処理システム。
  5. 前記吸着材再生装置は、
    前記逆浸透膜処理装置によって分離された濃縮水を前記吸着装置に供給し、前記流体として前記濃縮水を用いて、前記吸着装置の親水性高分子吸着材を再生する、請求項4に記載の水処理システム。
  6. 更に、
    前記吸着装置で吸着除去した後の前記吸着処理水のファウリング原因物質濃度を計測する濃度計測装置を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水処理システム。
  7. 更に、
    前記吸着装置で吸着除去した後の前記吸着処理水のファウリング原因物質濃度を計測する濃度計測装置と、
    前記濃度計測装置の結果に基づき、前記吸着材再生装置の流体供給条件を制御する制御装置と、
    を備える、請求項4または5に記載の水処理システム。
  8. 前記流体供給条件は、前記吸着材再生装置から前記吸着装置に供給される前記流体の温度、流速、時間、及び流量の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の水処理システム。
  9. 前記濃度計測装置は、吸光度計測装置、全有機体炭素計、ろ過性評価装置、高速液体クロマトグラフ装置の少なくともいずれか1つである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の水処理システム。
  10. 更に、
    前記吸着装置は、第1吸着装置と、第2吸着装置とを含み、
    前記汚泥処理水を前記第1吸着装置に供給するか、または前記第2吸着装置に供給するかを選択する選択手段を備え、
    前記選択手段は、前記第2吸着装置に前記汚泥処理水を供給することを選択し、前記第2吸着装置において前記汚泥処理水に含まれるファウリング原因物質を吸着除去する一方、前記第1吸着装置において親水性高分子吸着材を再生する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の水処理システム。
  11. 前記親水性高分子吸着材は、カチオン性の官能基を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水処理システム。
  12. 前記親水性高分子吸着材において、吸着対象のファウリング原因物質がバイオポリマーである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の水処理システム。
  13. 前記親水性高分子吸着材は、親水性高分子を母体とし、
    前記親水性高分子は、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キチン、およびキトサンのいずれかから選択される少なくとも1種である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の水処理システム。
  14. 前記親水性高分子吸着材において、化学吸着性官能基が、アミノ基、4級アンモニウム基およびそれらの塩からなる群から選択された少なくとも一種の化学吸着性官能基である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の水処理システム。
  15. 前記親水性高分子吸着材は、化学吸着性官能基を有する高分子(A)と親水性高分子(B)とで少なくとも構成されたアロイ材である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水処理システム。
  16. 前記親水性高分子吸着材において、親水性高分子(B)がエチレン−ビニルアルコール系共重合体である、請求項15に記載の水処理システム。
JP2014164548A 2014-08-12 2014-08-12 水処理システム Pending JP2016040030A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014164548A JP2016040030A (ja) 2014-08-12 2014-08-12 水処理システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014164548A JP2016040030A (ja) 2014-08-12 2014-08-12 水処理システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016040030A true JP2016040030A (ja) 2016-03-24

Family

ID=55540621

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014164548A Pending JP2016040030A (ja) 2014-08-12 2014-08-12 水処理システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016040030A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017170014A1 (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 東洋紡株式会社 造水システム
CN107478797A (zh) * 2017-10-11 2017-12-15 宜昌吉达环保科技有限公司 一种新型工业污水检测装置
WO2018105569A1 (ja) * 2016-12-05 2018-06-14 旭化成株式会社 水処理方法および装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017170014A1 (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 東洋紡株式会社 造水システム
JP2017176929A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 東洋紡株式会社 造水システム
WO2018105569A1 (ja) * 2016-12-05 2018-06-14 旭化成株式会社 水処理方法および装置
JPWO2018105569A1 (ja) * 2016-12-05 2019-10-24 旭化成株式会社 水処理方法および装置
JP7113454B2 (ja) 2016-12-05 2022-08-05 旭化成株式会社 水処理方法および装置
CN107478797A (zh) * 2017-10-11 2017-12-15 宜昌吉达环保科技有限公司 一种新型工业污水检测装置
CN107478797B (zh) * 2017-10-11 2018-06-22 江苏新测检测科技有限公司 一种新型工业污水检测装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Muhamad et al. Preparation and characterization of PES/SiO 2 composite ultrafiltration membrane for advanced water treatment
Gao et al. Ultrasonic control of UF membrane fouling by natural waters: Effects of calcium, pH, and fractionated natural organic matter
Kim et al. Effects of wastewater effluent organic materials on fouling in ultrafiltration
WO2015076371A1 (ja) 親水性高分子吸着材およびそれを用いた水処理方法
WO2015178458A1 (ja) 膜ファウリング原因物質吸着材およびそれを用いた水処理方法ならびに吸着材の再生方法
JP2017018843A (ja) 水処理方法、水処理用高分子吸着材、およびその再生方法
Uyak et al. Natural organic matter removal and fouling in a low pressure hybrid membrane systems
Zhang et al. Algal fouling and extracellular organic matter removal in powdered activated carbon-submerged hollow fiber ultrafiltration membrane systems
JP2016215147A (ja) 膜ファウリング原因物質吸着材
Lu et al. Influence of KMnO4 preoxidation on ultrafiltration performance and membrane material characteristics
JP2016040030A (ja) 水処理システム
JP2017094259A (ja) 膜ファウリング抑制材
Zhang et al. Reduction of long-term irreversible membrane fouling: A comparison of integrated and separated processes of MIEX and UF
Aniagor et al. CuO nanoparticles as modifiers for membranes: A review of performance for water treatment
JP2016215156A (ja) 水処理用安全フィルター
JP2016040031A (ja) 冷却塔の循環水処理システム
JP2011156519A (ja) 高分子水処理膜、水処理方法及び高分子水処理膜のメンテナンス方法
Kusworo et al. Enhanced anti-fouling behavior and performances of nano hybrid PES-SiO2 and PES-ZnO membranes for produced water treatment
AU2013365015B2 (en) Method for hydrophilizing reverse osmosis membrane
JP2017018842A (ja) 親水性高分子吸着材およびそれを用いた水処理方法
Meng et al. Study on the treatment of sudden cadmium pollution in surface water by a polymer enhanced ultrafiltration process
Yamamura et al. Influence of calcium on the evolution of irreversible fouling in microfiltration/ultrafiltration membranes
JP6441712B2 (ja) 被処理水の膜閉塞度評価方法
Kim Microfiltration of humic-rich water coagulated with cationic polymer: The effects of particle characteristics on the membrane performance
WO2015076370A1 (ja) バイオポリマー吸着性組成物およびそれを用いた水処理方法