本発明の第1の実施形態に係る給水装置1を、図1,2を用いて説明する。図1は、給水装置1を示す概略図である。図2は、給水装置1による給水流量Qと全揚程との関係を示す線図である。
給水装置1は、例えば、水道本管に直結され、水道本管から吸い込んだ水を増圧し、建造物の蛇口やシャワーヘッド等の給水先に給水する、所謂直結増圧型給水装置である。
本実施形態の給水装置1は、複数のポンプ装置20を備える。給水装置1は、複数のポンプ装置20を有している。これら、ポンプ装置20は、並列運転は行わず、単独運転を行う。本実施形態では、給水装置1は、複数の一例として、一対のポンプ装置20を備える。ポンプ装置20のポンプ21は、単独運転を行い、並列運転は行わない。
図1に示すように、給水装置1は、一対の吸込配管10、各吸込配管10に設けられた第1の圧力検出装置15、各吸込配管10の二次側に連結されたポンプ21を有するポンプ装置20、ポンプ21の二次側に連結された連結管80、連結管80に設けられた流量検出装置40、連結管80の二次側に連結された合流管81、合流管81の二次側に連結された吐出配管30、吐出配管30に設けられ、全揚程を検出可能な第2の圧力検出装置60、及び、ポンプ装置20を制御可能に構成された制御装置70を有している。
吸込配管10の一次側は、水道本管に連結されている。吸込配管10の二次側は、ポンプ21に連結されている。
第1の圧力検出装置15は、吸込配管10内の圧力を検出し、検出結果に応じた信号を出力可能に形成されている。すなわち、第1の圧力検出装置15は、ポンプ21の一次側の圧力を検出可能に形成されている。
ポンプ装置20は、ポンプ21、及び、ポンプ21を駆動するモータ22を有している。ポンプ21は、吸込配管10からの水を増圧して、二次側に揚水可能に形成されている。
モータ22は、回転軸23を有している。モータ22は、モータ22に供給される交流電力の周波数に比例して回転軸23の回転数を変化可能に構成されている。回転軸23は、ポンプ21のインペラに連結されている。
連結管80の一端は、ポンプ21の二次側に連結され、他端は、合流管81に連結されている。
流量検出装置40は、ポンプ21の駆動を停止する停止流量Q2を検出可能に構成されている。流量検出装置40は、例えば、パドル式の流量検出装置である。流量検出装置40は、例えば、流量が停止流量Q2以下となるとオフ状態となり、停止流量Q2より大きい場合は、オン状態となる。流量検出装置40は、オン状態となると、オン信号を出力し、オフ状態となると、信号の出力を停止可能に形成されている。
合流管81は、3つのポートを有するたとえばT字の管部材であり、1つのポートに、一方の連結管80の二次側開口が連結されている。1つのポートに、他方の連結管80の二次側開口が連結されている。残りのポートに吐出配管30の一次側開口が連結されている。
吐出配管30は、給水先に連結されており、増圧された水を給水先に送水可能に形成されている。
第2の圧力検出装置60は、全揚程を検出可能に構成されている。本実施形態では、第2の圧力検出装置60は、吐出配管30内の圧力を検出することにより、全揚程を検出する。第2の圧力検出装置60は、検出結果に応じた信号を出力可能に形成されている。
制御装置70は、ポンプ装置20を制御可能に構成されている。制御装置70は、モータ22に電力を供給するインバータ71、給水装置1の全揚程の目標値P等の情報を記憶する記憶部72、及び、インバータ71を制御する制御部73を有している。インバータ71は、モータ22に交流電力を供給可能に構成されている。
本実施形態では、一対のポンプ21は、交互に単独運転され、並列運転はされない。単独運転とは、一方のポンプ21が運転している状態では他方のポンプ21の運転が停止される運転状態である。
記憶部72が記憶する目標値Pは、本実施形態では、給水装置1が2台のポンプ21を有しているが、交互に単独運転するため、1台のポンプ21の吐出圧力の目標値Pとなる。
目標値Pは、給水装置1から給水先への給水流量(図2の横軸に示す)の最小値から最大値までを複数に分けた給水流量範囲のそれぞれ内の給水流量を確保可能な圧力値である。目標値Pは、各給水流量の範囲に1つずつ一定の値が設定されており、給水流量範囲が大きくなるに従い、高くなる。
本実施形態では、図2に示すように、給水装置1の給水流量範囲は、一例として、3つの給水流量範囲に分けられている。具体的には、給水流量範囲は、最小給水流量範囲v1、中間給水流量範囲v2、最大給水流量範囲v3を有している。中間給水流量範囲v2は、給水流量範囲v1,v2間の給水流量範囲である。記憶部72は、各給水流量範囲v1,v2,v3の情報を有している。
目標値Pは、最小給水流量範囲v1内の給水流量を確保可能な最小目標値P1、中間給水流量範囲v2内の給水流量を確保可能な、最小目標値P1より大きい中間目標値P2、及び、最大給水流量範囲v3を確保可能な、中間目標値P2より大きい最大目標値P3を有している。中間目標値P2は、例えば、P2={(P1+P3)/2}である。
また、記憶部72は、インバータ71からモータ22に供給する交流電力の最低出力周波数f1、及び、最高出力周波数f2の情報を記憶している。
最低出力周波数f1は、ポンプ21の吐出圧力を最小目標値P1とし、かつ、流量検出装置40の検出結果をポンプ21の駆動を停止する停止流量Q2とする周波数である。最低出力周波数f1は、例えば給水装置1の試運転時に得ることができる。給水装置1の試運転時に、流量検出装置40の検出結果が停止流量Q2となった時にポンプ21の吐出圧力を最小目標値P1とする為にインバータ71から出力された交流電力の周波数が、最低出力周波数f1となる。
最高出力周波数f2は、ポンプ21を駆動するモータ22に供給される交流電力の周波数の最大値であり、ポンプ21からの吐出流量を、ポンプ21の最大流量となる定格流量とする為の周波数である。
記憶部72は、目標値Pを、ポンプ21のモータ22に供給される交流電力の周波数に関連させて記憶している。
具体的には、目標値Pは、最低出力周波数f1から最高出力周波数f2までの周波数範囲を、各給水流量内の給水流量と各給水流量範囲に設定された目標値Pを得ることが可能となるように分けられた複数の周波数範囲のそれぞれに対して設定されている。
本実施形態では、給水流量範囲が3つの範囲に分けられているので、周波数範囲は、3つ設定されている。
図2に示すように、最低出力周波数f1から最高出力周波数f2までの範囲が、最小周波数範囲r1、中間周波数範囲r2、及び、最大周波数範囲r3に分けられている。
最小周波数範囲r1は、最小目標値P1を維持しつつ、最小給水流量範囲v1内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。中間周波数範囲r2は、中間目標値P2を維持しつつ、中間給水流量v2内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。最大周波数範囲r3は、最大目標値P3を維持しつつ、最大給水流量範囲v3内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。
記憶部72は、周波数範囲r1,r2,r3の情報を記憶している。具体的には、記憶部72は、最小周波数範囲r1の下限値及び上限値、中間周波数範囲r2の下限値及び上限値、並びに、最大周波数範囲r3の下限値及び上限値を記憶している。
最小周波数範囲r1の下限値は、最低出力周波数f1であり、上限値は、周波数f3である。中間周波数範囲r2の上限値は、周波数f4であり、下限値は、周波数5である。最小周波数範囲r1の上限値は、最高出力周波数f2であり、下限値は、周波数f6である。これら周波数の関係は、f1<f5<f3<f6<f4<f2となる。
また、記憶部72は、周波数範囲の変更の判断に用いられる閾値が記憶されている。閾値は、本実施形態では、一例として、各周波数範囲の上限値、及び、下限値である。
本実施形態では、隣り合う周波数範囲において、周波数値が小さい周波数範囲の上限値と、周波数が高い周波数範囲の下限値とを異なる値にすることにより、閾値にヒステリシスが設定されている。
具体的には、最小周波数範囲r1の上限値である周波数f3は、中間周波数範囲r2の下限値とは異なり、f5<f3である。中間周波数範囲r2の上限値である周波数f4は、最大周波数範囲r3の下限値である周波数f6とは異なり、f6<f4である。
最小周波数範囲r1から中間周波数範囲r2に変更されたとの判断に用いられる閾値は、最小周波数範囲r1の上限値であるf3である。中間周波数範囲r2から最大周波数範囲r3に変更されたとの判断に用いられる閾値は、中間周波数範囲r2の上限値であるf4である。
最大周波数範囲r3から中間周波数範囲r2に変更されたとの判断に用いられる閾値は、最大周波数範囲r3の下限値であるf6である。中間周波数範囲r2から最小周波数範囲r1に変更されたとの判断に用いられる閾値は、中間周波数範囲r2の下限値であるf5である。
最低出力周波数f1と最高出力周波数f2との差であるΔfを、Δf=(f1−f2)とすると、例えば、f3=(f2+1/3・Δf)であり、f4=(f2+2/3・Δf)である。そして、Δf1を、Δf1>0となる例えば微小な値とすると、f5=f3−Δf1であり、f6=f4−Δf1である。なお、f3とf5との差と、f4とf6との差が同一であることに限定されない。
また、記憶部72は、閾値ΔPs、第1の所定時間t1、第2の所定時間t2、及び、第3の所定時間t3が記憶されている。
閾値ΔPsは、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psの増減値である。第1の所定時間t1は、目標値Pが変更され、当該変更後の目標値Pにより圧力一定制御を行うべくインバータ71からモータ22に交流電力の供給が開始されてから、目標値Pを維持する時間である。
第2の所定時間t2は、ポンプ21の一次側の吸込圧力値PsがΔPs以上増大または減少したと判断されてから、目標値Pを維持する時間である。第3の所定時間t3は、第1の圧力検出装置15の検出結果を確認する間隔である。
また、記憶部72は、キーボード等の入力装置によって、作業員が外部から入力した情報を記憶可能に構成されている。記憶部72は、入力装置によって、上述の各種の情報が入力可能に構成されている。
制御部73は、圧力検出装置15,60、及び、流量検出装置40の検出結果に基づいてインバータ71を制御することにより、ポンプ21を交互に運転し、且つ、運転中のポンプ21を制御可能に形成されている。
具体的には、制御部73は、給水装置1の全揚程(本実施形態では、2台のポンプ21が交互に運転される為、1台のポンプ21の吐出圧力)を目標値Pにするべく、インバータ71を制御可能に形成されている。
制御部73は、交互に行われる単独運転の一例として、第2の圧力検出装置60が起動圧力を検出すると、一方のポンプ21を起動するべくインバータ71を制御する。制御部73は、このとき起動されたポンプ21が連結された連結管80に設けられた流量検出装置40が停止流量を検出するまでは、一方のポンプ21を駆動し続ける。そして、次にポンプ21を起動する必要が生じると、他方のポンプ21を起動する。制御部71は、このように、一対のポンプ21を交互に運転する。
そして、制御部73は、給水装置1の全揚程となるポンプ21の吐出圧力を目標値Pとするべく、目標値Pと圧力検出装置60の検出結果とを比較し、圧力検出装置60の検出結果が目標値Pとなるように、インバータ71を制御可能に形成されている。
また、制御部73は、モータ22にインバータ71から供給されている交流電力の周波数と閾値とを比較することにより、当該供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲を判断し、当該周波数範囲に設定されている目標値Pを、全揚程の目標値として選択可能に形成されている。
具体的には、制御部73は、モータ22に供給される交流電力の周波数の増大時では、インバータ71からモータ22に供給される交流電力の周波数と、閾値となる各周波数範囲の上限値とを比較する。制御部73は、モータ22に供給される交流電力の周波数の減少時では、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数と、閾値となる各周波数範囲の下限値とを比較する。
そして、制御部73は、この比較結果により、モータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲を判断することにより、この周波数範囲に設定された目標値Pをポンプ21の吐出圧力の目標値として選択する。
また、制御部73は、目標値Pが変更されると、変更後の目標値Pによる圧力一定制御の開始後、即ち、インバータ71からのモータ22への交流電力の供給開始後、当該変更後の目標値Pを第1の所定時間t1維持し、第1の所定時間t1経過後、インバータ71から供給されている交流電力の周波数が含まれる範囲を判断可能に形成されている。
また、制御部73は、第3の所定時間t3の間隔で第1の圧力検出装置15の検出結果を確認し、ポンプ21の一次側の吸込圧力値PsがΔPs以上増大または減少したと判断すると、全揚程の目標値Pを、当該判断時から第2の所定時間t2の間、維持可能に形成されている。
次に、給水装置1の動作を説明する。制御部73は、圧力検出装置60が起動圧力を検出すると、一方のポンプ21を起動するべく、インバータ71を制御する。このときの目標値Pは、最小目標値P1である。
制御部73は、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が最小周波数範囲r1内にあった状態において、当該周波数が、閾値となる周波数f3以上になると、モータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が、最小周波数範囲r1から中間周波数範囲r2に変更されたと判断し、目標値Pを最小目標値P1から中間目標値P2に変更する。そして、制御部73は、中間目標値P2での圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
制御部73は、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が中間周波数範囲r2にあった状態において、当該周波数が、閾値となる周波数f4以上となると、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が、中間周波数範囲r2から最大周波数範囲r3に変更されたと判断し、目標値Pを中間目標値P2から最大目標値P3に変更する。そして、制御部73は、最大目標値P3での圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
制御部73は、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が最大周波数範囲r3にあった状態において、当該周波数が、閾値となる周波数f6以下になると、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が、最大周波数範囲r3から中間周波数範囲r2に変更されたと判断し、目標値Pを最大目標値P3から中間目標値P2に変更する。そして、制御部73は、中間目標値P2での圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
制御部73は、インバータ71からモータ22に供給される交流電力の周波数が中間周波数範囲r2にあった状態において、当該周波数が、閾値となる周波数f5以下となると、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が、中間周波数範囲r2から最小周波数範囲r1に変更されたと判断し、目標値Pを中間目標値P2から最小目標値P1に変更する。そして、制御部73は、圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
また、制御部73は、目標値Pが変更されると、当該変更後の目標値Pでの圧力一定制御をするべくインバータ71からモータ22への交流電力の供給を開始した時点から、第1の所定時間t1の間は、目標値Pを維持する。
例えば、制御部73は、モータ22へ供給される交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が最小周波数範囲r1から中間周波数範囲r2に変更されたと判断すると、中間目標値P2での圧力一定制御を行うべくインバータ71からモータ22に交流電力を供給するとともに、中間目標値P2での圧力一定制御の為の交流電力供給開始時点から第1の所定時間t1の間は、目標値Pを中間目標値P2に維持する。
制御部73は、第1の所定時間t1の経過後、インバータ71からモータ22に供給される交流電力の周波数と、周波数範囲を判断する閾値とを比較する。具体的には、モータ22に供給される交流電力の周波数が閾値以上であるか、または、閾値以下であるかを判断する。
本実施形態では、隣り合う周波数範囲の閾値にはヒステリシスが設定されているので、制御部73は、第1の所定時間t1の経過後の、モータ22に供給される交流電力の周波数が、隣り合う周波数範囲のうち値の大きな周波数範囲の下限値以下であるか、または、値の小さな周波数範囲の上限値以上であるか、比較する。
値の小さい周波数範囲の上限値以上である場合は、周波数範囲は、値が大きい周波数範囲が選択される。値の大きい周波数範囲の下限値以下である場合は、周波数範囲は、値が小さい周波数範囲が選択される。
また、第1の所定時間t1の経過後、モータ22に供給される交流電力の周波数が、隣り合う2つ周波数範囲のうち大きい周波数範囲の下限値と小さい周波数範囲の上限値との間に含まれる場合がある。例えば、供給される交流電力の周波数が、周波数f5以上であって周波数f3以下の範囲に含まれる場合がある。
この場合は、周波数範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小周波数範囲r1から中間周波数範囲r2に変更されたと判断されて目標値Pが中間目標値P2に変更された後、第1の所定時間t1の経過後の、モータ22に供給される交流電力の周波数が、f5以上であってf3以下の範囲にある場合は、中間周波数範囲r2のまま維持される。
また、中間周波数範囲r2から最小周波数範囲r1に変更されたと判断されて目標値Pが最小目標値P1に変更された後、第1の所定時間t1の経過後の、モータ22に供給される交流電力の周波数が、f5以上であってf3以下の範囲にある場合は、最小周波数範囲r1のまま維持される。
モータ22に供給される交流電力の周波数が、f6以上であってf4以下の範囲にある場合であっても、同様である。
制御部73は、第3の所定時間t3毎に、第1の圧力検出装置15の検出結果を確認することにより、ポンプ21の一次側の吸込圧力値を確認する。そして、制御部73は、ポンプ21の一次側の圧力値が、前回の検出値に対してΔPs以上増減していると判断すると、この判断時から第2の所定時間t2の間は、吐出圧力の目標値として、当該判断時の目標値Pを維持する。
このように構成された給水装置1では、目標値Pは、インバータ71からモータ22に供給される交流電力の周波数の増大に合わせて、最小目標値P1から最大目標値P3まで、段階的に増加する。
具体的には、最低出力周波数f1から、最高出力周波数f2までの周波数範囲を、複数の周波数範囲r1,r2,r3に分け、これら複数の周波数範囲r1,r2,r3のそれぞれに、目標値Pを設定する。
この為、給水装置1は、各周波数範囲において圧力一定制御を行うことができるので、省エネルギ性、及び、圧力制御の安定性を得ることができる。
また、目標値Pの選択の判断に、給水装置1の駆動状態の一例である、ポンプ21を駆動するモータ22に供給される交流電力の周波数を用いることにより、制御部73によって把握される情報を用いることとなるので、当該判断の為の情報として特別な情報を用いることがない。この為、当該特別な情報を検出する為の装置が不要となることにより、給水装置1の構造が複雑になることを防止できる。
また、周波数範囲の変更を判断する為に用いられる閾値を、周波数増大時と減少時とでヒステリシスを有するように設定することによって、給水流量が急激に変化することによる圧力変動に伴ってモータ22へ供給される交流電力の周波数が短時間で増減を繰り返しても、目標値Pの変更が頻繁に生じることを防止できるので、圧力制御の安定性を向上することができる。
例えば、モータ22へ供給される交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が最小周波数範囲r1から中間周波数範囲r2へ変化した後、直ぐに、モータ22へ供給される交流電力の周波数が減少しても、周波数範囲の判断の為の閾値がヒステリシスを有することによって、モータ22へ供給される交流電力の周波数の減少時では中間周波数範囲r2から最小周波数範囲r1への変更を判断する閾値が、周波数増大時の閾値に対して小さい値となる為、周波数範囲の変更が生じ難くなり、それゆえ、目標値Pの変更が生じ難くなる。この為、圧力制御の安定性を向上することができる。
また、目標値Pが変更された後、変更後の目標値Pでの圧力一定制御を行うべくインバータ71からモータ22に交流電力の供給が開始されてから第1の所定時間t1の間、目標値Pが維持されることにより、吐出圧力がハンチングすることを防止できる。
また、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが前回検出時の吸込圧力値Psに対してΔPs以上増大している場合は、目標値Pを第2の所定時間t2の間、維持することによって、吐出圧力値の低下を防止できる。
具体的に説明すると、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが前回検出値に対してΔPs以上増大することによって、ポンプ21の吐出圧力値が目標値Pを超えると、制御部73は、モータ22へ供給する交流電力の周波数を減少する。
しかしながら、モータ22へ供給される交流電力の周波数が減少することによって周波数範囲がより小さい周波数範囲に変更されると、より低い目標値Pが選択される。これでは、ポンプ21の一次側の吸込圧力が通常値に戻った時に、目標値Pが低い値のままとなってしまい、それゆえ、必要な吐出圧力確保することができなくなる。つまり、圧力低下を生じる。
これに対して、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが、前回検出値に対してΔPs以上増加しても第2の所定時間t2の間、目標値Pを維持することによって、この第2の所定時間t2の間にポンプ21の一次側の圧力が減少して通常値に戻っても、第2の所定時間t2の間、目標値Pが維持されることにより、吐出圧力が低下することがない。
また、ポンプ21の一次側の吸込圧力値が、前回検出値に対してΔPs以上減少しても、第2の所定時間t2の間、ポンプ21の吐出圧力の目標値Pを維持することによって、電力消費を防止できる。
具体的に説明すると、ポンプ21の一次側の吸込圧力値が、前回検出値に対してΔPs以上減少することによって、吐出圧力が減少し、それゆえ、モータ22へ供給される交流電力の周波数を増大する。この増大により、周波数範囲が変化すると、より大きな目標値Pが選択される。
しかしながら、周波数が変化した後、第2の所定時間t2内にポンプ21の一次側の圧力が減少すると、目標圧力は、不要に高い値に設定されたままとなり、無駄に電力を消費してしまう。
これに対して、ポンプ21の一次側の吸込圧力値が、前回検出値に対してΔPs以上減少しても、第2の所定時間t2の間、目標値Pを維持することによって、第2の所定時間t2の間にポンプ21の一次側の吸込圧力値が増大して通常値に戻っても、目標値Pが維持されることにより、無駄な電力消費を防止できる。
第2の所定時間t2は、例えば、ポンプ21の一次側の吸込圧力の上述のような変動が回復するまでの想定される時間に設定されている。
また、目標値Pを、推定末端圧力一定制御による、給水流量とポンプ21の吐出圧力の目標値との関係を示す線図に近似するように設定することにより、推定末端圧力と同様の省エネ性を得ることができる。
また、上述のように、周波数範囲の判断の閾値にヒステリシスを設けるとともに、第1の所定時間及び第2の所定時間、吐出圧力の目標値Pを維持することにより、高い圧力制御の安定性を得ることができるので、本実施形態の給水装置1は、推定末端圧力一定制御による省エネ性、呼び、吐出圧力一定制御の制御安定性を得ることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る給水装置1Aを、図3,4を用いて説明する。本実施形態において第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の給水装置1Aは、複数のポンプ装置20を備える。給水装置1Aは、一例として、一対のポンプ装置20を備える。本実施形態では、ポンプ21は、単独運転、及び、並列運転を行う。給水装置1Aの全揚程は、駆動しているポンプ21の吐出圧力の合計値となる。
図3は、給水装置1Aを示す概略図である。図4は、給水装置1Aによる給水流量Qと、給水装置1の全揚程との関係を示す線図である。
図3に示すように、給水装置1Aは、一対の吸込配管10、第1の圧力検出装置15、一対のポンプ装置20、ポンプ21の二次側に連結された連結管80、連結管80に設けられた流量検出装置40、連結管80の二次側に連結された合流管81、合流管81の二次側に連結された吐出配管30、第2の圧力検出装置60、及び、ポンプ装置20を制御可能に構成された制御装置70Aを有している。
制御装置70Aは、モータ22に電力を供給するインバータ71、給水装置1Aの全揚程の目標値P等の情報を記憶する記憶部72A、及び、インバータ71を制御する制御部73Aを有している。
目標値Pは、給水装置1Aから給水先への給水流量(図4の横軸に示す)を最小給水流量から最大給水流量までを複数に分けた給水流量範囲のそれぞれ内の給水流量を確保可能な圧力値である。
目標値Pは、各給水流量範囲に対して1つ設定される一定の値であり、給水流量がより大きな値となる給水流量範囲になるにつれて、大きな値となる。
本実施形態では、図4に示すように、給水装置1Aの給水流量範囲は、一例として、4つの給水流量範囲に分けられている。具体的には、給水流量範囲は、最小給水流量範囲v1A、第1の中間給水流量範囲v4A、第2の中間給水流量範囲v5A、及び、最大給水流量範囲v3Aを有している。
第1の中間給水流量範囲v4Aは、最小給水流量範囲v1Aより大きく、かつ、第2の中間給水流量範囲v5Aより小さい範囲である。第2の中間給水流量範囲v5Aは、第1の中間給水流量範囲v4Aより大きく、かつ、最大給水流量範囲v3Aより小さい範囲である。
目標値Pは、最小目標値P1A、第1の中間目標値P4A、第2の中間目標値P5A、及び、最大目標値P3Aを有している。
最小目標値P1Aは、最小給水流量範囲v1A内の給水流量を給水可能な圧力値である。第1の中間目標値P4Aは、第1の中間給水流量範囲v4A内の給水流量を給水可能な圧力値である。
第2の中間目標値P5Aは、第2の中間給水流量範囲v5A内の給水流量を給水可能な圧力値である。最大目標値P3Aは、最大給水流量範囲v3A内の給水流量を給水可能な圧力値である。
第1の中間目標値P4Aは、最小目標値P1Aより大きく、かつ、第2の中間目標値P5Aより小さい値である。第2の中間目標値P5Aは、第1の中間目標値P4Aより大きく、かつ、最大目標値P3Aよりも大きい値である。
記憶部72Aは、目標値Pを、後述される可変速運転されるポンプ21のモータ22に供給される交流電力の周波数に関連付けて記憶している。
具体的には、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数は、最低出力周波数f1から最高出力周波数f2まで、各給水流量範囲に設定された目標値Pを維持しつつ、各給水流量範囲内の給水流量を給水可能となる複数の周波数範囲に分けられている。
ここで、複数のポンプ21の運転について説明する。本実施形態では、圧力検出装置60が起動圧力を検出すると、いずれか1つのポンプ21が先発のポンプとして起動される。そして、先発のポンプ21に最高出力周波数f2の交流電力が供給された運転状態でも、全揚程が目標値Pに達さない場合、残りのポンプ21が後発のポンプとして順次起動される。
複数のポンプ21が同時に駆動される運転状態において、最初に駆動された先発のポンプ21以外の後発のポンプ21を駆動するモータ22には、最高出力周波数f2の交流電力が供給され、先発のポンプ21を駆動するモータ22には、給水装置1Aの全揚程が目標値Pとなるように周波数が調整された交流電力が、インバータ71から供給される。すわなち、先発のポンプ21は、可変速運転される。
目標値Pの説明に戻る。本実施形態では、給水流量範囲が4つの範囲に分けられている。また、本実施形態では、2台のポンプ21が用いられている。この為、可変速運転するポンプ21を駆動するモータ22へ供給される交流電力の周波数範囲を、ポンプ21の単独運転と並列運転とのそれぞれにおいて、2つの周波数範囲に分けることにより、4つの給水流量範囲に応じた周波数範囲が設定される。
より具体的には、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数範囲は、最小周波数範囲r1A、及び、最大周波数範囲r3Aに分けられる。
最小周波数範囲r1Aは、ポンプ21の単独運転状態では、最小目標値P1Aを維持しつつ、最小給水流量範囲v1A内の給水流量を給水可能であり、ポンプ21の並列運転状態では、第2の中間目標値P5Aを維持しつつ、第2の中間給水流量範囲v5A内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。
最大周波数範囲r3Aは、ポンプ21の単独運転状態では、第1の中間目標値P4Aを維持しつつ、第1の中間給水流量範囲v4A内の給水流量を給水可能であり、ポンプ21の並列運転状態では、最大目標値P3Aを維持しつつ、最大給水流量範囲v3A内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。
1台のポンプ21が駆動している単独運転状態では、最小周波数範囲r1Aに設定される目標値Pは、最小目標値P1Aである。最大周波数範囲r3Aに設定される目標値Pは、第1の中間目標値P4Aである。第1の中間目標値P4は、ΔPAを、ΔPA=(P3A−P1A)とすると、例えば、P4=(P2A+1/3ΔPA)である。
2台のポンプ21が並列運転している状態、すわなち、後発のポンプ21のモータ22に最高出力周波数f2の交流電力が供給され、先発のポンプ21が可変速運転している状態では、先発のポンプ21に供給される交流電力の最小周波数範囲r1Aに設定される目標値Pは、第2の中間目標値P5Aであり、最大周波数範囲r3Aに設定される目標値Pは、最大目標値P3Aである。第2の中間目標値P5Aは、例えば、P5=P1A+2/3ΔPAである。
このように、可変速運転するポンプ21に供給される交流電力の周波数範囲を複数の周波数範囲に分け、駆動するポンプ21の台数に応じて、周波数範囲のそれぞれに目標値Pが設定される。
また、記憶部72Aは、最小周波数範囲r1Aの情報、及び、最大周波数範囲r2Aの情報を記憶している。具体的には、記憶部72は、最小周波数範囲r1Aの上限値及び下限値となる周波数値、並びに、最大周波数範囲r3Aの上限値及び下限値となる周波数値を記憶している。
最小周波数範囲r1Aの下限値は、最低出力周波数f1である。最小周波数範囲r1Aの上限値は、f7である。最大周波数範囲r3Aの下限値は、周波数f8である。最大周波数範囲r3Aの上限値は、最高出力周波数f2である。
最低出力周波数f1と最高出力周波数f2との差であるΔfを、Δf=(f2−f1)とすると、例えば、f7=(f2+1/2Δf)であり、f8=f7−Δf2(Δf2>0)であり、f8<f7である。
また、記憶部72は、周波数範囲の変更の判断に用いられる閾値を記憶している。閾値は、本実施形態では、一例として、各周波数範囲の上限値、及び、下限値である。具体的には、最小周波数範囲r1Aから最大周波数範囲r3Aへ変更されたとの判断に用いられる閾値は、最小周波数範囲r1Aの上限値となる周波数f7である。最大周波数範囲r3Aから最小周波数範囲r1Aへ変更されたとの判断に用いられる閾値は、最大周波数範囲r3Aの下限値となる周波数f8である。
このように、隣り合う周波数範囲のより高い範囲への切り替えの判断に用いられる閾値と、より低い周波数範囲への切り替えの判断に用いられる閾値とを異なる値とすることによって、閾値にヒステリシスが設定されている。
また、記憶部72Aは、閾値ΔPs、第1の所定時間t1、第2の所定時間t2、及び、第3の所定時間t3が記憶されている。また、記憶部72Aは、キーボード等の入力装置によって、作業員が外部から入力した情報を記憶可能に構成されている。記憶部72は、入力装置によって、上述の各種の情報が入力可能に構成されている。
制御部73Aは、圧力検出装置15,60の検出結果、流量検出装置40の検出結果、及び、記憶部72Aに記憶されている各種情報に基づいて、インバータ71を制御することによって、全揚程となる圧力検出装置60の検出結果が目標値Pとなるように、ポンプ21を制御可能に形成されている。
具体的には、制御部73Aは、圧力検出装置60の検出結果を目標値Pとするべく、可変速運転されるモータ22にインバータ71から供給されている交流電力の周波数と閾値とを比較可能に形成されている。
そして、制御部73Aは、この比較結果により、モータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲を判断することにより、この周波数範囲に設定された目標値Pを給水装置1Aの全揚程の目標値として採用する。そして、当該採用された目標値Pで圧力一定制御を行うべく、可変速運転されているモータ22に交流電力を供給するインバータ71を制御可能に形成されている。
また、制御部73Aは、目標値Pが変更されると、変更後の目標値Pによる圧力一定制御の開始後、即ち、インバータ71からのモータ22への交流電力の供給開始後、当該変更後の目標値Pを第1の所定時間t1維持し、第1の所定時間t1経過後、インバータ71から供給されている交流電力の周波数と閾値とを比較可能に形成されている。
また、制御部73Aは、第3の所定時間t3の間隔で第1の圧力検出装置15の検出結果を確認し、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが前回検出値に対してΔPs以上増大または減少したと判断すると、目標値Pを、当該判断時から第2の所定時間t2の間、維持可能に形成されている。
また、制御部73Aは、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22に供給される交流電力の周波数が、最大周波数範囲以上となっても、全揚程を目標値Pまで増大することができないと判断した場合に、ポンプ21の駆動台数を増大するべくインバータ71を制御可能に形成されている。
また、制御部73Aは、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22に供給される交流電力の周波数が、最小周波数範囲以下となっても、全揚程が目標値Pまで減少できないと判断した場合に、ポンプ21の駆動台数を減台するべくインバータ71を制御可能に形成されている。
次に、給水装置1Aの動作を説明する。制御部73Aは、圧力検出装置60が起動圧力を検出すると、先発のポンプ21を起動するべく、インバータ71を制御する。このとき、目標値Pは、最小目標値P1Aが選択される。
制御部73Aは、ポンプ21の単独運転時に、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が最小周波数範囲r1A内にあった状態において、当該周波数が、閾値となる周波数f7以上になると、モータ22に供給されている交流電力の周波数が含まれる周波数範囲が、最小周波数範囲r1Aから最大周波数範囲r3Aに変更されたと判断し、目標値Pを、最小目標値P1Aから第1の中間目標値P4Aに変更する。そして、第1の中間目標値P4にて圧力一定制御を行うよう、インバータ71を制御する。
制御部73Aは、ポンプ21の単独運転中に、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数が最大周波数範囲r3Aにあった状態において、当該周波数が、閾値となるf2以上となると、ポンプ21の駆動台数を増大するべく、他方のポンプ21も駆動し、ポンプ21を単独運転から並列運転に切り替える。
そして、制御部73Aは、目標値Pとして第2の中間目標値P5Aを選択する。制御部73Aは、後発のポンプ21を駆動するモータ22に対して最高出力周波数f2の交流電力を供給し、第2の中間目標値P5Aで圧力一定制御を行うよう、インバータ71を制御する。
制御部73Aは、ポンプ21の並列運転時に、可変速運転しているポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数が最小周波数範囲r1Aにあった状態において、周波数が閾値となるf7以上となると、周波数範囲が最小周波数範囲r1Aから最大周波数範囲r3Aに変更されたと判断し、目標値Pとして最大目標値P3Aを選択する。そして、制御部73Aは、最大目標値P3Aで圧力一定制御を行うよう、インバータ71を制御する。
制御部73Aは、ポンプ21の並列運転時に、可変速運転しているポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数が最大周波数範囲r3Aにあった状態において、周波数が閾値となるf8以下となると、周波数範囲が最大周波数範囲r3Aから最小周波数範囲r1Aに変更されと判断し、目標値Pとして、第2の中間目標値P5Aを選択する。そして、制御部73Aは、第2の中間目標値P5Aで圧力一定制御を行うよう、インバータ71を制御する。
制御部73Aは、ポンプ21の並列運転時に、可変速運転しているポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数が最小周波数範囲r1Aにあった状態において、周波数が閾値となる周波数f1以下となると、先発のポンプ21の駆動を停止し、ポンプ21を単独運転に移行する。
そして、制御部73Aは、目標値Pとして第1の中間目標値P4Aを選択し、第1の中間目標値P4Aで圧力一定制御を行うよう、インバータ71を制御する。
制御部73Aは、ポンプ21の単独運転時に、当該ポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数が最大周波数範囲r3Aにあった状態において、周波数が閾値となる周波数f8以下となると、周波数範囲が最大周波数範囲r3Aから最小周波数範囲r1Aに変更されたと判断し、目標値Pとして最小目標値P1Aを選択する。そして、制御部73Aは、最小目標値P1Aで圧力一定制御を行うよう、インバータ71を制御する。
また、制御部73Aは、ポンプ21の吐出圧力の目標値Pが変更されると、当該変更後の目標値Pでの圧力一定制御をするべくインバータ71からモータ22への交流電力の供給を開始した時点から、第1の所定時間t1の間は、吐出圧力の目標値を維持する。
例えば、制御部73Aは、目標値Pが最小目標値P1Aから第1の中間目標値P4Aに変更されると、第1の中間目標値P4Aでの圧力一定制御を行うべくインバータ71からモータ22に交流電力を供給するとともに、この交流電力供給開始時点から第1の所定時間t1の間は、目標値Pを第1の中間目標値P4Aに維持する。
制御部73Aは、第1の所定時間t1が経過すると、インバータ71からモータ22に供給されている交流電力の周波数と、周波数範囲を判断する閾値と、を比較する。
制御部73Aは、第1の所定時間t1の経過後、可変速運転するポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給されている交流電力の周波数と、周波数範囲を判断する閾値とを比較する。具体的には、モータ22に供給される交流電力の周波数が閾値以上であるか、または、閾値以下であるかを判断する。
本実施形態では、隣り合う周波数範囲の閾値にはヒステリシスが設定されているので、制御部73は、第1の所定時間t1の経過後の、モータ22に供給される交流電力の周波数が、隣り合う周波数範囲のうち値の大きな周波数範囲の下限値以下であるか、または、値の小さな周波数範囲の上限値以上であるか、比較する。
値の小さい周波数範囲の上限値以上である場合は、周波数範囲は、値が大きい周波数範囲が選択される。値の大きい周波数範囲の下限値以下である場合は、周波数範囲は、値が小さい周波数範囲が選択される。
また、第1の所定時間t1の経過後、モータ22に供給される交流電力の周波数が、隣り合う2つ周波数範囲のうち大きい周波数範囲の下限値と小さい周波数範囲の上限値との間に含まれる場合がある。例えば、供給される交流電力の周波数が、f8以上であってf7以下の範囲に含まれる場合がある。
この場合は、周波数範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小周波数範囲r1Aから最大周波数範囲r3Aに変更されたと判断された後、第1の所定時間t1の経過後に、モータ22に供給される交流電力の周波数が、f8以上であってf7以下の範囲にある場合は、最大周波数範囲r3Aのまま維持される。
また、最大周波数範囲r3Aから最小周波数範囲r1Aに変更されたと判断された後、第1の所定時間t1の経過後に、モータ22に供給される交流電力の周波数が、f8以上であってf7以下の範囲にある場合は、最小周波数範囲r1Aのまま維持される。
また、制御部73Aは、第3の所定時間t3毎に、第1の圧力検出装置15の検出結果を確認することにより、ポンプ21の一次側の吸込圧力値PSを確認する。そして、制御部73は、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが、前回の検出値に対してΔPs以上増減していると判断すると、この判断時から第2の所定時間t2の間は、吐出圧力の目標値として、当該判断時の目標値Pを維持する。
本実施形態の給水装置1Aは、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、ポンプ装置20の数は、2台に限定されるものではない。図5は、ポンプ装置20を3台備える給水装置1Bを示している。図6は、給水装置1Bの給水流量と全揚程との関係を示す線図である。
以下、第2の実施形態の変形例として、給水装置1Bについて、図5,6を用いて説明する。なお、図3に示す構成と同様の機能を有する構成は、図3に示す構成と同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、給水装置1Bは、水道本管に連結された3本の吸込配管10、第1の圧力検出装置15、3台のポンプ装置20、連結管80、流量検出装置40、合流管81、吐出配管30、圧力検出装置60、及び、ポンプ装置20のそれぞれを制御可能に構成された制御装置70Bを有している。
制御装置70Bは、モータ22に電力を供給するインバータ71、給水装置1Bの全揚程の目標値Pに係る情報等が記憶される記憶部72B、及び、インバータ71を制御する制御部73Bを有している。
記憶部72Bが記憶する給水装置1Bの全揚程の目標値Pは、給水装置1Bから給水先への給水流量Q(図6の横軸に示す)を最小値から最大値まで複数に分けた給水流量範囲のそれぞれを給水可能な圧力値である。
目標値Pは、各給水流量範囲に対して1つ設定される一定の値であり、給水流量Qがより大きな値となる給水流量範囲になるにつれて、大きな値となる。
本実施形態では、図6に示すように、給水装置1Bの給水流量範囲は、一例として、6つの給水流量範囲に分けられている。具体的には、給水流量Qは、最小給水流量範囲v1B、第1の中間給水流量範囲v4B、第2の中間給水流量範囲v5B、第3の中間給水流量範囲v6B、第4の中間給水流量範囲v7B、及び、最大給水流量範囲v3Bに分けられている。
第1の中間給水流量範囲v4Bは、最小給水流量範囲v1Bより大きく、かつ、第2の中間給水流量範囲v5Bより小さい範囲である。第2の中間給水流量範囲v5Bは、第1の中間給水流量範囲v4Bより大きく、かつ、第3の中間給水流量範囲v6Bより小さい範囲である。第3の中間給水流量範囲v6Bは、第2の中間給水流量範囲v5Bより大きく、かつ、第3の中間給水流量範囲v6Bより小さい範囲である。第4の中間給水流量範囲v7Bは、第3の中間給水流量範囲v6Bより大きく、かつ、最大給水流量範囲V3Bより小さい範囲である。
目標値Pは、最小目標値P1B、第1の中間目標値P4B、第2の中間目標値P5B、第3の中間目標値P6B、第4の中間目標値P7B、最大目標値P3Bを有している。
最小目標値P1Bは、最小給水流量範囲v1B内の給水流量を給水可能な圧力値である。第1の中間目標値P4Bは、第1の中間給水流量範囲v4B内の給水流量を給水可能な圧力値である。
第2の中間目標値P5Bは、第2の中間給水流量範囲v5B内の給水流量を給水可能な圧力値である。第3の中間目標値P6Bは、第3の中間給水流量範囲v6B内の給水流量を給水可能な圧力値である。
第4の中間目標値P7Bは、第4の中間給水流量範囲v7B内の給水流量を給水可能な圧力値である。最大目標値P3Bは、最大給水流量範囲V3B内の給水流量を給水可能な圧力値である。これら目標値は、P1B<P4B<P5B<P6B<P7B<P3Bとなる。
記憶部72Bは、目標値Pを、可変速運転されるポンプ21のモータ22に供給される交流電力の周波数に関連付けて記憶している。
具体的には、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数は、最低出力周波数f1から最高出力周波数f2まで、各給水流量範囲に設定された目標値Pを維持しつつ、各給水流量範囲内の給水流量を給水可能となる複数の周波数範囲に分けられている。
本変形例では、給水流量範囲が6つの範囲に分けられている。また、本変形例では、3台のポンプ21が用いられている。この為、可変速運転するポンプ21を駆動するモータ22へ供給される交流電力の周波数範囲を、ポンプ21の単独運転と並列運転とのそれぞれにおいて、2つの周波数範囲に分けることにより、6つの給水流量範囲に応じた周波数範囲が設定される。
より具体的には、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の周波数の範囲は最小周波数範囲r1B、及び、最大周波数範囲r3Bに分けられる。
最小周波数範囲r1Bは、ポンプ21の単独運転状態では、最小目標値P1Bを維持しつつ、最小給水流量範囲v1B内の給水流量を給水可能な周波数範囲であり、ポンプ21の2台並列運転状態では、第2の中間目標値P5Bを維持しつつ、第2の中間給水流量範囲v5B内の給水流量を給水可能な周波数範囲であり、ポンプ21の3台並列運転状態では、第4の中間目標値P7Bを維持しつつ、第4の中間給水流量範囲v7B内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。
最大周波数範囲r3Bは、ポンプ21の単独運転状態では、第1の中間目標値P4Bを維持しつつ、第1の中間給水流量範囲v4B内の給水流量を給水可能であり、ポンプ21の2台並列運転状態では、第3の中間目標値P6Bを維持しつつ、第3の中間給水流量範囲v6B内の給水流量を給水可能な周波数範囲であり、ポンプ21の3台並列運転状態では、最大目標値P3Bを維持しつつ、最大給水流量範囲v3B内の給水流量を給水可能な周波数範囲である。
1台のポンプ21の単独運転状態では、最小周波数範囲r1Bに設定される目標値Pは、最小目標値P1Bであり、最大周波数範囲r3Bに設定される目標値Pは、第1の中間目標値P4Bである。第1の中間目標値P4Bは、ΔPBを、ΔPB=(P3B−P1B)とすると、例えば、P4B=(P1B+1/5ΔPB)である。
ポンプ21の2台並列運転状態では、可変速制御されるポンプ21に供給される交流電力の最小周波数範囲r1Bに設定される目標値Pは、第2の中間目標値P5Bであり、最大周波数範囲r3Bに設定される目標値Pは、第3の中間目標値P6Bである。P5Bは、例えば、P5B=(P1B+2/5ΔPB)である。P6Bは、例えば、P6B=(P1B+3/5ΔPB)である。
ポンプ21の3台並列運転状態では、可変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22に供給される交流電力の最小周波数範囲r1Bに設定される目標値Pは、第4の中間目標値P7Bであり、最大周波数範囲r3Bに設定される目標値Pは、最大目標値P3Bである。P7Bは、例えば、P7B=(P1B+4/5ΔPB)である。
このように、可変速運転するポンプ21に供給される交流電力の周波数範囲を複数の周波数範囲に分け、並列運転するポンプ21の台数に応じて、周波数範囲のそれぞれに目標値Pが設定される。
記憶部72Bは、最小周波数範囲r1Bの情報、及び、最大周波数範囲r3Bの情報を記憶している。具体的には、記憶部72Bは、最小周波数範囲r1Bの上限値及び下限値となる周波数値、並びに、最大周波数範囲r3Bの上限値及び下限値となる周波数値を記憶している。
最小周波数範囲r1Bの下限値は、最低出力周波数f1である。最小周波数範囲r1Bの下限値は、f9である。最大周波数範囲r3Bの下限値は、周波数f10である。最大周波数範囲r3Bの上限値は、最高出力周波数f2である。上述の周波数は、f1<f10<f9<f1となる。
また、記憶部72Bは、周波数範囲の変更を判断する閾値が記憶されている。閾値は、各周波数範囲の上限値、及び、下限値である。具体的には、最小周波数範囲r1Bから最大周波数範囲r3Bへの変更の判断の閾値は、最小周波数範囲r1Bの上限値となる周波数f9である。最大周波数範囲r3Bから最小周波数範囲r1Bへの変更の判断の閾値は、最大周波数範囲r3Bの下限値となる周波数f10である。このように、隣り合う周波数範囲間の閾値にヒステリシスが設けられている。
また、記憶部72Bは、閾値ΔPs、第1の所定時間t1、第2の所定時間t2、及び、第3の所定時間t3が記憶されている。
また、記憶部72Bは、キーボード等の入力装置によって、作業員が外部から入力した情報を記憶可能に構成されている。記憶部72は、入力装置によって、上述の各種の情報が入力可能に構成されている。
本変形例においても、制御部73Bは、制御部73Aと同様に動作する。本変形例においても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、第3の実施形態に係る給水装置1Cを、図7,8を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、給水装置1Cを示す概略図である。図8は、給水装置1Cの全揚程と給水流量Qとの関係を示す線図である。図7に示すように、給水装置1Cは、例えば、水道本管に直結され、水道本管から供給された水を増圧し、建造物の蛇口やシャワーヘッド等の給水先に給水する、所謂直結増圧型給水装置である。
給水装置1Cは、一対の吸込配管10、第1の圧力検出装置15、一対のポンプ装置20、連結管80、連結管80に設けられた流量検出装置40C、合流管81、吐出配管30、第2の圧力検出装置60、及び、ポンプ装置20を制御可能に構成された制御装置70Cを有している。
流量検出装置40Cは、流量を検出し、検出結果に応じた信号を出力可能に形成されている。流量検出装置40Cは、例えば流量に応じて回転する羽根車を有する羽根車式であり、羽根車の回転数を検出することにより、流量を検出することが可能に形成されている。
制御装置70Cは、モータ22に電力を供給するインバータ71、目標値Pに係る情報が記憶される記憶部72C、及び、インバータ71を制御する制御部73Cを有している。なお、本実施形態では、ポンプ21は、第1の実施形態と同様に、単独運転される。
記憶部72Cは、ポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の最低出力周波数f1の情報、並びに、停止流量Q2等の情報を記憶している。
また、記憶部72Cは、給水装置1Cの給水流量に応じた全揚程の目標値Pの情報が記憶されている。本実施形態では、給水装置1Cが2台のポンプ21を有しているが、交互に単独運転するため、全揚程の目標値Pは、1台のポンプ21の吐出圧力の目標値Pとなる。
給水装置1Cの全揚程の目標値Pは、給水装置1Cから給水先への給水流量(図8の横軸に示す)の最小値から最大値までを複数に分けた給水流量範囲のそれぞれの給水流量を給水可能な圧力値である。目標値Pは、各給水流量の範囲に1つずつ一定の値が設定されており、給水流量範囲が大きくなるに従い、段階的に高くなる値である。
本実施形態では、図8に示すように、給水装置1Cの給水流量Qは、一例として、3つの給水流量範囲に分けられており、最小給水流量範囲v1C、中間給水流量範囲v2C、及び、最大給水流量範囲v3Cを有している。記憶部72Cは、各給水流量範囲v1C,v2C,v3Cの情報を有している。
具体的には、記憶部72Cは、最小給水流量範囲v1Cの下限値及び上限値、中間給水流量範囲v2Cの下限値及び上限値、並びに、最大給水流量範囲v3Cの下限値及び上限値の情報を記憶している。
最小給水流量範囲v1Cの下限値は、停止流量Q2である。最小給水流量範囲v1Cの上限値は、給水流量Q3である。
中間給水流量範囲v2Cの下限値は、給水流量Q5である。中間給水流量範囲v2Cの上限値は、給水流量Q4である。最大給水流量範囲v3Cの下限値は、給水流量Q6である。最大給水流量範囲v3Cの上限値は、給水流量Q1である。
さらに具体的には、ΔQを、ΔQ=(Q1−Q2)とすると、Q3=(Q2+1/3・ΔQ)とし、Q4=(f2+2/3・ΔQ)となる。さらに、ΔQ1は、ΔQ1>0となる微小な値とすると、Q5=(Q3−ΔQ1)であり、Q6=(Q4−ΔQ1)となる。
目標値Pは、最小給水流量範囲v1C内の給水流量を給水可能な最小目標値P1C、中間給水流量範囲v2C内の給水流量を給水可能な中間目標値P2C、最大給水流量範囲v3C内の給水流量を給水可能な最大目標値P3Cを有している。
これら目標値Pは、P1C<P2C<P3Cである。中間目標値P2Cは、例えば、P3={(P2C+P1C)/2}である。
また、記憶部72Cは、インバータ71からモータ22に供給する交流電力の最低出力周波数f1、及び、最高出力周波数f2の情報を記憶している。
また、記憶部72は、給水流量範囲の変更の判断に用いられる閾値が記憶されている。本実施形態では、閾値は、各給水流量範囲の下限値及び上限値である。最小給水流量範囲v1Cから中間給水流量範囲v2Cへの変更の判断に用いられる閾値は、最小給水流量範囲v1Cの上限値となるQ3である。中間給水流量範囲v2Cから最大給水流量範囲v3Cへの変更の判断に用いられる閾値は、中間給水流量範囲v2Cの上限値である、Q4である。
最大給水流量範囲v3Cから中間給水流量範囲v2Cへの変更の判断に用いられる閾値は、最大給水流量範囲v3Cの下限値である、Q6である。中間給水流量範囲v2Cから最小給水流量範囲v1Cへの変更の判断に用いられる閾値は、中間給水流量範囲v2Cの下限値である、Q5である。
このように、給水流量Qの増大に伴う給水流量範囲の変更の判断に用いられる閾値と、給水流量Qの減少に伴う給水流量範囲の変更の判断に用いられる閾値と、を異なる値とすることによって、閾値にヒステリシスが設定されている。
最小給水流量範囲v1Cの目標値Pは、最小目標値P1Cである。中間給水流量範囲v2Cの目標値Pは、中間目標値P2Cである。最大給水流量範囲v3Cの目標値Pは、最大目標値P3Cである。中間目標値P2Cは、例えば、P2C={(P1C+P2C)/2}である。
また、記憶部72Cは、閾値ΔPs、第1の所定時間t1、第2の所定時間t2、及び、第3の所定時間t3が記憶されている。
制御部73Cは、圧力検出装置15,60、及び、流量検出装置40Cの検出結果、並びに、記憶部72Cに記憶されている情報に基づいて、インバータ71Cを制御することによって、ポンプ21を制御可能に形成されている。
具体的には、制御部73Cは、流量検出装置40Cの検出結果である給水装置1Cの給水流量Qと、閾値(Q3、Q4、Q5、Q6)と、を比較し、給水流量範囲を判断し、当該給水流量範囲に設定された目標値Pでの圧力一定制御を行うべく、ポンプ21を駆動するモータ22へ供給される交流電力を調整するよう、インバータ71を制御可能に形成されている。
また、制御部73Cは、給水流量範囲が変化すると、当該変化後の給水流量範囲に設定された目標値Pで圧力一定制御を行うべく可変速運転を行うポンプ21を駆動するモータ22に交流電力の供給が開始されてから第1の所定時間t1の間は、目標値Pを維持可能に形成されている。
また、制御部73Cは、第3の所定時間t3毎に、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psを確認する。そして、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが、前回の検出値に対してΔPs以上増加または減少していると、目標値Pを、第2の所定時間t2の間、維持可能に形成されている。
次に、給水装置1Cの動作を説明する。制御部73Cは、圧力検出装置60が起動圧力を検出すると、ポンプ21を起動するべく、インバータ71を制御する。起動後の目標値は、最小目標値P1Cが選択される。
制御部73Cは、流量検出装置40Cの検出結果である給水流量Qが最小給水流量範囲v1C内にあった状態において、当該給水流量が閾値となるQ3以上となると、給水流量範囲が最小給水流量範囲v1Cから中間給水流量範囲v2Cに変更されたと判断して、目標値Pを最小目標値P1Cから中間目標値P2Cに変更する。そして、制御部73Cは、中間目標値P2Cでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
制御部73Cは、給水流量Qが中間給水流量範囲v2C内にあった状態において、当該給水流量Qが閾値となるQ4以上となると、給水流量範囲が中間給水流量範囲v2Cから最大給水流量範囲v3Cに変更されたと判断して、目標値Pを中間目標値P2Cから最大目標値P3Cに変更する。そして、制御部73Cは、最大目標値P3Cでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
制御部73Cは、給水流量Qが最大給水流量範囲v3C内にあった状態において、当該給水流量が閾値となるQ6以下となると、給水流量範囲が最大給水流量範囲v3Cから中間給水流量範囲v2Cに変更されたと判断し、目標値Pを最大目標値P3Cから中間目標値P2Cに変更する。そして、制御部73Cは、中間目標値P2Cでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
制御部73Cは、給水流量Qが中間給水流量範囲v2Cにあった状態において、当該給水流量が閾値となるQ5以下となると、給水流量範囲が中間給水流量範囲v2Cから最小給水流量範囲v1Cに変更されと判断し、目標値Pを中間目標値P2Cから最小目標値P1Cに変更する。そして、制御部73Cは、最小目標値P1Cでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71を制御する。
また、制御部73Cは、目標値Pが変更されると、当該変更後の目標値Pでの圧力一定制御をするべくインバータ71からモータ22への交流電力の供給を開始した時点から、第1の所定時間t1の間は、目標値Pを維持する。
例えば、制御部73Cは、給水流量範囲が最小給水流量範囲v1Cから中間給水流量範囲v2Cに変更されたと判断すると、中間目標値P2Cでの圧力一定制御を行うべくインバータ71からモータ22に交流電力を供給するとともに、交流電力供給開始時点から第1の所定時間t1の間は、目標値Pを中間目標値P2Cに維持する。
制御部73Cは、第1の所定時間t1の経過後、給水流量Qと閾値とを比較する。具体的には、給水流量Qが閾値以上であるか、または、閾値以下であるかを判断する。
本実施形態では、隣り合う給水流量範囲の閾値にはヒステリシスが設定されているので、制御部73Cは、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、隣り合う給水流量範囲のうち値の大きな給水流量範囲の下限値以下であるか、または、値の小さな給水流量範囲の上限値以上であるか、比較する。
値の小さい給水流量範囲の上限値以上である場合は、給水流量範囲は、値が大きい給水流量範囲が選択される。値の大きい給水流量範囲の下限値以下である場合は、給水流量範囲は、値が小さい給水流量範囲が選択される。
また、第1の所定時間t1の経過後、給水流量Qが、隣り合う2つの給水流量範囲のうち大きい給水流量範囲の下限値と小さい給水流量範囲の上限値との間に含まれる場合がある。例えば給水流量Qが、Q5以上であってQ3以下の範囲に含まれる場合がある。
この場合は、給水流量範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小給水流量範囲v1Cから中間給水流量範囲v2Cに変更されたと判断されて目標値Pが中間目標値P2Cに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q5以上であってQ3以下の範囲にある場合は、中間給水流量範囲v2Cのまま維持される。
また、中間給水流量範囲v2Cから最小給水流量範囲v1Cに変更されたと判断されて目標値Pが最小目標値P1Cに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q5以上であってQ3以下の範囲にある場合は、最小給水流量範囲v1Cのまま維持される。給水流量Qが、Q6以上であってQ4以下の範囲にある場合であっても、同様である。
また、制御部73Cは、第3の所定時間t3毎に、第1の圧力検出装置15の検出結果を確認することにより、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psを確認する。そして、制御部73Cは、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが、前回の検出値に対してΔPs以上増減していると判断すると、この判断時から第2の所定時間t2の間は、吐出圧力の目標値として、当該判断時の目標値Pを維持する。
このように構成された給水装置1Cでは、目標値Pが給水流量Qに応じて段階的に増加するように設定され、各目標値Pでの圧力一定制御が行われる。この為、給水装置1Cは、省エネルギ性、及び、圧力制御の安定性を得ることができる。
また、目標値Pを選択する為の閾値として給水流量を用い、当該閾値と比較される給水装置1の駆動状態として給水装置1Cの給水流量Qを用いることにより、目標値Pを判断する為に、ポンプ装置20の駆動状態を示す特別な値を用いることがない。この為、この特別な値を検出する装置が不要となるので、給水装置1Cの構造が複雑になることを防止できる。
また、各給水流量範囲間の閾値に、給水流量増大時と減少時とでヒステリシスを設定している。この為、給水流量の急激な増減に伴って目標値Pの変更が頻繁に生じることを防止できるので、圧力制御の安定性を向上することができる。
また、給水流量範囲が変化してから第1の所定時間t1Cの間、目標値Pを維持することにより、吐出圧力がハンチングすることを防止できる。
また、給水流量Qに応じて目標値Pを設定しているため、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psの時間当たりの圧力変動値が小さい場合は、給水流量の変動も少なく、目標値Pが変更されないので、時間的余裕を持って吐出圧力を目標値Pに維持することにより、圧力制御の安定性を向上することができる。
また、制御部73Cは、第3の所定時間t3毎に、第1の圧力検出装置15の検出結果を確認することにより、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psを確認する。そして、制御部73Cは、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが、前回の検出値に対してΔPs以上増大していると判断すると、目標値Pを、第2の所定時間t2の間、維持する。
同様に、ポンプ21の一次側の圧力値が、前回検出値に対してΔPs以上低い場合は、制御部73は、目標値Pを、第2の所定時間t2の間、維持する。
この為、給水流量Qが急激に増大した場合でも、目標値Pが変更されないので、圧力制御の安定性を向上することができる。
また、上述のように、給水流量範囲の判断の閾値にヒステリシスを設け、第1の所定時間t1及び第2の所定時間t2の間、目標値Pを維持することにより、高い圧力制御の安定性を得ることができるので、本実施形態の給水装置1Cは、推定末端圧力一定制御による省エネ性、呼び、吐出圧力一定制御の制御安定性を得ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る給水装置1Dを、図9,10を用いて説明する。本実施形態において第2,3の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の給水装置1Dは、複数のポンプ装置20を備える。給水装置1Dは、一例として、一対のポンプ装置20を備える。本実施形態では、ポンプ21は、第2の実施形態と同様に、単独運転、及び、並列運転を行う。図9は、給水装置1Dを示す概略図である。図10は、給水装置1Dの給水流量Qと全揚程との関係を示す線図である。
図9に示すように、給水装置1Dは、一対の吸込配管10、第1の圧力検出装置15、一対のポンプ装置20、連結管80、連結管80に設けられた流量検出装置40C、合流管81、吐出配管30、第2の圧力検出装置60、及び、ポンプ装置20を制御可能に構成された制御装置70Dを有している。
記憶部72Dは、可変速運転するポンプ21を駆動するモータ22にインバータ71から供給される交流電力の最高出力周波数f2の情報、並びに、停止流量Q2等の情報を記憶している。
また、記憶部72Dは、給水装置1Dの給水流量Qに応じた全揚程の目標値Pの情報が記憶されている。本実施形態では、給水装置1Dが複数のポンプ21を有しているので、全揚程の目標値Pは、複数のポンプ21の吐出圧力の合計値となる。
給水装置1Dの全揚程の目標値Pは、給水装置1Dから給水先への給水流量(図10の横軸に示す)を複数に分けた給水流量範囲のそれぞれの給水流量を給水可能な圧力値である。目標値Pは、各給水流量の範囲に1つずつ一定の値が設定されており、給水流量範囲が大きくなるに従い、段階的に高くなる値である。
本実施形態では、図10に示すように、給水装置1Dによる給水流量範囲は、一例として、4つの給水流量範囲に分けられており、最小給水流量範囲v1D、第1の中間給水流量範囲v4D、第2の中間給水流量範囲v5D、及び、最大給水流量範囲v3Dを有している。
第1の中間給水流量範囲v4Dは、最小給水流量範囲v1Dと第2の中間給水流量範囲v5Dとの間の給水流量範囲である。第2の中間給水流量範囲v5Dは、第1の中間給水流量範囲v4Dと最大給水流量範囲v3Dとの間の給水流量範囲である。
記憶部72Dは、各給水流量範囲v1D,v2D,v3D、v4Dの情報を有している。具体的には、制御部73Dは、最小給水流量範囲v1Dの下限値及び上限値、第1の中間給水流量範囲v4Dの下限値及び上限値、第2の中間給水流量範囲v5Dの下限値及び上限値、並びに、最大給水流量範囲v3Dの上限値及び下限値の情報を記憶している。
最小給水流量範囲v1Dの下限値は、停止流量Q2である。最小給水流量範囲v1Dの上限値は、給水流量Q7である。第1の中間給水流量範囲v4Dの下限値は、Q10である。第1の中間給水流量範囲v4Dの上限値は、Q8である。
第2の中間給水流量範囲v5Dの下限値は、Q11である。第2の中間給水流量範囲v5Dの上限値は、Q9である。最大給水流量範囲v3Dの下限値は、Q12である。最大給水流量範囲v3Dの上限値は、Q3Dである。これら給水流量は、Q1<Q10<Q7<Q11<Q8<Q12<Q9<Q3Dとなる。
目標値Pは、最小給水流量範囲v1D内の給水流量を給水可能な最小目標値P1D、第1の中間給水流量範囲v4D内の給水流量を確保可能な第1の中間目標値P4D、第2の中間給水流量範囲v5D内の給水流量を確保可能な第2の中間目標値P5D、最大給水流量範囲v3D内の給水流量範囲を確保可能な最大目標値P3Dを有している。これら目標値Pは、P1D<P4D<P5D<P3Dとなる。
また、記憶部72Dは、インバータ71からモータ22に供給する交流電力の最低出力周波数f1、及び、最高出力周波数f2の情報を記憶している。
また、記憶部72Dは、給水流量範囲の変更の判断に用いられる閾値を記憶している。閾値は、各給水流量範囲の下限値、及び、上限値である。
具体的には、最小給水流量範囲v1Dから第1の中間給水流量範囲v4Dへの変更を判断する閾値は、最小給水流量範囲v1Dの上限値である、Q7である。第1の中間給水流量範囲V4Dから第2の中間給水流量範囲v5Dへの変更の判断に用いられる閾値は、第1の中間給水流量範囲V4Dの上限値である、Q8である。第2の中間給水流量範囲v5Dから最大給水流量範囲v3Dへの変更の判断に用いられる閾値は、第2の中間給水流量範囲v5Dの上限値である、Q9である。
最大給水流量範囲V3Dから第2の中間給水流量範囲v5Dへの変更の判断に用いられる閾値は、最大給水流量範囲v3Dの下限値である、Q12である。第2の中間給水流量範囲V5Dから第1の中間給水流量範囲V4Dへの変更の判断に用いられる閾値は、第2の中間給水流量範囲v5Dの下限値である、Q7である。第1の中間給水流量範囲V4Dから最小給水流量範囲v1Dへの変更の判断に用いられる閾値は、第1の中間給水流量範囲V4Dの下限値である、Q10である。
このように、給水流量Qの増大に伴う給水流量範囲の切り替えの判断に用いられる閾値と、給水流量Qの減少に伴う給水流量範囲の切り替えの判断に用いられる閾値と、を異なる値とすることによって、閾値にヒステリシスが設定されている。
最小給水流量範囲v1Dに設定される目標値Pは、最小目標値P1Dである。第1の中間給水流量範囲v4Dに設定される目標値Pは、第1の中間目標値P4Dである。第2の中間給水流量範囲v5Dに設定される目標値Pは、第2の中間目標値P5Dである。最大給水流量範囲v3Dに設定される目標値Pは、最大目標値P3Dである。
また、記憶部72Cは、閾値ΔPs、第1の所定時間t1、第2の所定時間t2、及び、第3の所定時間t3が記憶されている。
制御部73Dは、各流量検出装置40Cの検出結果を合計することにより、給水流量Qを算出可能に形成されている。制御部73Dは、第2の実施形態と同様に、複数のポンプ21を単独運転、及び、並列運転可能に形成されている。
また、制御部73Dは、圧力検出装置15,60、及び、流量検出装置40Cの検出結果、並びに、記憶部72Dに記憶されている各種情報に基づいて、第2の圧力検出装置60の圧力が目標値Pとなるように、インバータ71を制御可能に形成されている。
次に、給水装置1Dの動作を説明する。制御部73Dは、圧力検出装置60が起動圧力を検出すると、先発のポンプ21を起動するべく、インバータ71を制御する。起動後では、目標値Pは、最小目標値P1Dが選択される。
制御部73Dは、給水流量Qが最小給水流量範囲v1D内にあった状態において、給水流量Qが閾値となるQ7以上となると、給水流量範囲が最小給水流量範囲v1Dから第1の中間給水流量範囲V4Dに変更されたと判断し、目標値Pを第1の中間目標値P4Dに変更する。そして、制御部73Dは、第1の中間目標値P4Dでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71Dを制御する。
制御部73Dは、給水流量Qが第1の中間給水流量範囲v4D内にあった状態において、給水流量Qが閾値となるQ8以上となると、給水流量範囲が第1の中間給水流量範囲v4Dから第2の中間給水流量範囲v5Dに変更されたと判断し、目標値Pを第2の中間目標値P5Dに変更する。そして、制御部73Dは、第2の中間目標値P5Dでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71Dを制御する。
制御部73Dは、給水流量Qが第2の中間給水流量範囲v5D内にあった状態において、給水流量Qが閾値となるQ9以上となると、給水流量範囲が第2の中間給水流量範囲v5Dから最大給水流量範囲v3Dに変更されたと判断し、目標値Pを最大目標値P3Dに変更する。そして、制御部73Dは、最大目標値P3Dでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71Dを制御する。
制御部73Dは、給水流量Qが最大給水流量範囲v3D内にあった状態において、給水流量Qが閾値となるQ12以下となると、給水流量範囲が最大給水流量範囲v3Dから第2の中間給水流量範囲v5Dに変更されたと判断し、目標値Pを第2の中間目標値P5Dに変更する。そして、制御部73Dは、第2の中間目標値P5Dでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71Dを制御する。
制御部73Dは、給水流量Qが第2の中間給水流量範囲v5D内にあった状態において、給水流量Qが閾値となるQ11以下となると、給水流量範囲が第2の中間給水流量範囲v5Dから第1の中間給水流量範囲v4Dに変更されたと判断し、目標値Pを第1の中間目標値P4Dに変更する。そして、制御部73Dは、第1の中間目標値P4Dでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71Dを制御する。
制御部73Dは、給水流量Qが第1の中間給水流量範囲v4D内にあった状態において、給水流量Qが閾値となるQ10以下となると、給水流量範囲が第1の中間給水流量範囲v4Dから最小給水流量範囲V1Dに変更されたと判断し、目標値Pを最小目標値P1Dに変更する。そして、制御部73Dは、最小目標値P1Dでの圧力一定制御を行うべく、インバータ71Dを制御する。
制御部73Dは、目標値Pが変更されると、当該変更後の目標値Pでの圧力一定制御をするべくインバータ71からか変速運転されるポンプ21を駆動するモータ22への交流電力の供給を開始した時点から、第1の所定時間t1の間は、目標値Pを維持する。
例えば、制御部73Dは、目標値Pが第2の中間目標値P5Dに変更されると、第2の中間目標値P5Dでの圧力一定制御を行うべくインバータ71から可変速運転するポンプ21を駆動するモータ22に交流電力を供給するとともに、この交流電力供給開始時点から第1の所定時間t1の間は、目標値Pを第2の中間目標値P5Dに維持する。
制御部73Dは、第1の所定時間t1の経過後、給水流量Qと閾値とを比較する。具体的には、給水流量Qが閾値以上であるか、または、閾値以下であるかを判断する。
本実施形態では、隣り合う給水流量範囲の閾値にはヒステリシスが設定されているので、制御部73Dは、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、隣り合う給水流量範囲のうち値の大きな給水流量範囲の下限値以下であるか、または、値の小さな給水流量範囲の上限値以上であるか、比較する。
値の小さい給水流量範囲の上限値以上である場合は、給水流量範囲は、値が大きい給水流量範囲が選択される。値の大きい給水流量範囲の下限値以下である場合は、給水流量範囲は、値が小さい給水流量範囲が選択される。
また、第1の所定時間t1の経過後、給水流量Qが、隣り合う2つの給水流量範囲のうち大きい給水流量範囲の下限値と小さい給水流量範囲の上限値との間に含まれる場合がある。例えば給水流量Qが、Q10以上であってQ7以下の範囲に含まれる場合がある。
この場合は、給水流量範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小給水流量範囲v1Dから第1の中間給水流量範囲v4Dに変更されたと判断されて目標値Pが第1の中間目標値P4Dに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q10以上であってQ7以下の範囲にある場合は、第1の中間給水流量範囲v4Dのまま維持される。
また、第1の中間給水流量範囲v4Dから最小給水流量範囲v1Dに変更されたと判断されて目標値Pが最小目標値P1Dに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q10以上であってQ7以下の範囲にある場合は、最小給水流量範囲v1Dのまま維持される。給水流量Qが、Q11以上であってQ8以下の範囲内にある場合、及び、Q12以上であってQ9以下の範囲内にある場合であっても、同様である。
また、制御部73Dは、第3の所定時間t3毎に、第1の圧力検出装置15の検出結果を確認することにより、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psを確認する。そして、制御部73Dは、ポンプ21の一次側の吸込圧力値Psが、前回の検出値に対してΔPs以上増減していると判断すると、この判断時から第2の所定時間t2の間は、吐出圧力の目標値として、当該判断時の目標値Pを維持する。
本実施形態では、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、第4の実施形態では、複数のポンプ21に対して1つずつ流量検出装置40Cが用いられた。他の例では、合流管81の二次側に1つの流量検出装置40Cを設けてもよい。合流管81の二次側に流量検出装置40Cが設けられることにより、1つの流量検出装置40Cで、給水流量Qを検出することができる。この場合、ポンプ21の停止流量を検出可能な例えばパドル式のオンオフ式の流量検出装置を、各ポンプ21の二次側に設けてもよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
本発明の一態様として、給水装置は、ポンプ、及び、前記ポンプを駆動するモータを備えるポンプ装置と、前記モータに交流電力を供給するインバータと、前記ポンプ装置による給水流量の最小値から最大値までを分けた複数の範囲のそれぞれに対して1つずつ一定の値に設定された前記範囲内の給水流量を給水可能な全揚程の目標値、及び前記インバータが供給する前記交流電力の周波数の閾値または給水流量の閾値を記憶する記憶部と、前記交流電力の周波数と前記交流電力の前記周波数の前記閾値の比較の結果、または給水流量と前記給水流量の前記閾値の比較の結果選択した前記目標値のいずれか1つでの圧力一定制御で、前記インバータを制御する制御部と、を備える。
この場合は、周波数範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小周波数範囲r1から中間周波数範囲r2に変更されたと判断されて目標値Pが中間目標値P2に変更された後、第1の所定時間t1の経過後の、モータ22に供給される交流電力の周波数が、f5以上であってf3以下の範囲にある場合は、中間周波数範囲r2のままとし、目標値Pが中間目標値P2に維持される。
また、中間周波数範囲r2から最小周波数範囲r1に変更されたと判断されて目標値Pが最小目標値P1に変更された後、第1の所定時間t1の経過後の、モータ22に供給される交流電力の周波数が、f5以上であってf3以下の範囲にある場合は、最小周波数範囲r1のままとし、目標値Pが最小目標値P1に維持される。
本実施形態の給水装置1Aは、複数のポンプ装置20を備える。給水装置1Aは、一例として、一対のポンプ装置20を備える。本実施形態では、ポンプ21は、単独運転、及び、並列運転を行う。
この場合は、給水流量範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小給水流量範囲v1Cから中間給水流量範囲v2Cに変更されたと判断されて目標値Pが中間目標値P2Cに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q5以上であってQ3以下の範囲にある場合は、中間給水流量範囲v2Cのままとし、目標値Pが中間目標値P2Cに維持される。
また、中間給水流量範囲v2Cから最小給水流量範囲v1Cに変更されたと判断されて目標値Pが最小目標値P1Cに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q5以上であってQ3以下の範囲にある場合は、最小給水流量範囲v1Cのままとし、目標値Pが最小目標値P1Cに維持される。給水流量Qが、Q6以上であってQ4以下の範囲にある場合であっても、同様である。
この場合は、給水流量範囲が変更されていないと判断される。例えば、最小給水流量範囲v1Dから第1の中間給水流量範囲v4Dに変更されたと判断されて目標値Pが第1の中間目標値P4Dに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q10以上であってQ7以下の範囲にある場合は、第1の中間給水流量範囲v4Dのままとし、目標値Pが第1の中間目標値P4Dに維持される。
また、第1の中間給水流量範囲v4Dから最小給水流量範囲v1Dに変更されたと判断されて目標値Pが最小目標値P1Dに変更された後、第1の所定時間t1の経過後の給水流量Qが、Q10以上であってQ7以下の範囲にある場合は、最小給水流量範囲v1Dのままとし、目標値Pが最小目標値P1Dに維持される。給水流量Qが、Q11以上であってQ8以下の範囲内にある場合、及び、Q12以上であってQ9以下の範囲内にある場合であっても、同様である。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ポンプ、及び、前記ポンプを駆動するモータを備えるポンプ装置と、
前記モータに交流電力を供給するインバータと、
前記ポンプ装置による給水流量の最小値から最大値までを分けた複数の範囲のそれぞれに対して1つずつ一定の値に設定された、前記範囲内の給水流量を給水可能な全揚程の目標値、並びに、前記ポンプ装置の駆動状態と比較される閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプ装置の駆動状態と前記閾値との比較の結果選択した前記目標値のいずれか1つでの圧力一定制御で、前記インバータを制御する制御部と、
を具備することを特徴とする給水装置。
[2]
前記閾値は、前記複数の前記目標値のうち隣り合う2つの目標値間での変更の判断に用いられ、
前記制御部は、前記ポンプ装置の前記駆動状態が前記閾値以上になると、選択されている前記目標値に対して隣り合うより大きな値の前記目標値を選択し、かつ、前記ポンプ装置の前記駆動状態が前記閾値以下になると、前記選択されている前記目標値に対して隣り合うより小さな値の前記目標値を選択する
ことを特徴とする[1]に記載の給水装置。
[3]
前記閾値は、前記ポンプ装置の前記駆動状態が当該閾値以上となる時と、前記ポンプ装置の前記駆動状態が当該閾値以下となる時とで、異なる値である
ことを特徴とする[2]に記載の給水装置。
[4]
前記記憶部は、前記目標値を維持する第1の所定時間を記憶し、
前記制御部は、前記目標値の変更後、当該変更後の目標値での圧力一定制御の為に前記インバータから前記モータへの前記交流電力の供給が開始されてから前記目標値を前記第1の所定時間維持し、前記第1の所定時間経過後、前記ポンプ装置の前記駆動状態と前記閾値とを比較する
ことを特徴とする[1]に記載の給水装置。
[5]
前記ポンプの一次側の圧力を検出する圧力検出装置を具備し、
前記記憶部は、前記目標値を維持する第2の所定時間、及び、前記ポンプの前記一次側の圧力の増減値である所定値を記憶し、
前記制御部は、前記圧力検出装置の検出値が、前回の検出値に対して前記所定値以上増減したと判断すると、当該判断時に選択されている前記目標値を当該判断時から前記第2の所定時間、維持する
ことを特徴とする[1]に記載の給水装置。
[6]
前記ポンプ装置を複数備え、
前記制御部は、少なくとも2台の前記ポンプを並列運転する場合、1台の前記ポンプを可変速運転するとともに、残りの前記ポンプを最高出力周波数で運転し、前記可変速運転される前記ポンプを有する前記ポンプ装置の駆動状態と前記閾値との比較の結果前記目標値を選択する
ことを特徴とする[1]に記載の給水装置。
[7]
前記ポンプ装置の駆動状態は、前記インバータから前記モータに供給される前記交流電力の周波数であり、
前記閾値は、前記範囲内の流量を給水可能とする、前記モータに供給される交流電力の周波数範囲の上限値、及び、下限値である
ことを特徴とする[2]に記載の給水装置。
[8]
前記給水流量を検出する流量検出装置を具備し、
前記ポンプ装置の駆動状態は、前記流量検出装置の検出結果であり、
前記閾値は、前記範囲の上限値、または、下限値である
ことを特徴とする[2]に記載の給水装置。