JP2017122147A - 印刷インキ用バインダー及びこれを用いた印刷インキ - Google Patents
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Abstract
【課題】 トルエンを含まない印刷インキに使用しても溶剤への再溶解性に優れ、非塩素系であり、ポリエステル、ナイロン及びポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに対して優れた密着性を有し、各種プラスチックフィルムに汎用的に使用できる印刷インキ用バインダーを提供する。【解決手段】 一般式(1)で表される構造単位を有するポリエステルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U)を含有する印刷インキ用バインダー。【化1】[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であって、R1とR2が同時に水素原子となることはない。]【選択図】なし
Description
本発明は印刷インキ用バインダー及びこれを用いた印刷インキに関する。
従来、プラスチックフィルム用の印刷インキの溶剤として、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)及び酢酸エチル等の溶剤が混合使用されてきた。このなかでもトルエンは安価でしかも比較的高沸点であるために、印刷時にグラビア版上のインキの乾燥を抑え、フィルムへ転移せずに残存したグラビア版のセル中のインキが、インキパン中の新インキと接触して、十分に再溶解することにより、セルの版詰まりを防ぐのに好適な溶剤であり、印刷インキの主溶剤として使用されてきた。これらトルエンを含有する溶剤を使用した印刷インキで再溶解性の良いバインダーとしては、3−メチルペンタンアジペートジオールを使用したポリウレタン樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、近年、労働安全衛生法の改正でトルエンの環境濃度規制が強化され、印刷作業環境の改善が必要となり、またトルエンは比較的高沸点であるために印刷物中に多く残留する傾向にあり、PL法施行後、残留溶剤の低減が必要となり、トルエンを含まない溶剤系の印刷インキの要望が大きくなった。トルエンを使用せずMEK及び酢酸エチル等の溶剤だけを使用して、従来のポリエステル系ポリウレタン樹脂をバインダーとして用いた印刷インキは、溶剤の乾燥が速いためにグラビア版のセル中に残存したインキがインキパン中の新インキと接触するまでに乾燥し、十分に再溶解せずに版詰まりを起こし、深度の浅い版では印刷できなくなる等の問題がある。
また、ポリウレタン樹脂をバインダーとする印刷インキはポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対しては単独で優れた接着力を有するが、汎用フィルムであるポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムに対しては充分な接着力がなく、また、塩素化ポリオレフィンをバインダーとした印刷インキはポリオレフィンフィルムに対しては良好な接着力を示すが、ポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対しては充分な接着力がないため基材フィルムが制限されるという問題がある。
ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム及びポリオレフィンフィルムに対する接着力を向上させ、各種プラスチックフィルムに汎用的に使用する目的で、ポリウレタン樹脂と塩素化ポリオレフィンとを混合して使用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、近年、環境問題への取り組みが重視されるようになり、使用済み品の廃棄処理において、有害物質の発生を抑制することが強く望まれており、塩素化ポリオレフィンは、塩素を含んでいるため、焼却時に有害物質が発生し、環境を汚染する恐れがあると言う問題があった。
トルエンを含まない印刷インキに使用しても溶剤への再溶解性に優れ、非塩素系であり、ポリエステル、ナイロン及びポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに対して優れた密着性を有し、各種プラスチックフィルムに汎用的に使用できる印刷インキ用バインダーを提供する。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、
一般式(1)で表される構造単位を有するポリエステルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U)を含有する印刷インキ用バインダー;前記印刷インキ用バインダーとトルエンを含有しない溶剤(D)を含有する印刷インキ用バインダー組成物;前記印刷インキ用バインダー又は前記印刷インキ用バインダー組成物を含有してなる印刷インキである。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリエステルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U)を含有する印刷インキ用バインダー;前記印刷インキ用バインダーとトルエンを含有しない溶剤(D)を含有する印刷インキ用バインダー組成物;前記印刷インキ用バインダー又は前記印刷インキ用バインダー組成物を含有してなる印刷インキである。
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であって、R1とR2が同時に水素原子となることはない。]
本発明の印刷インキ用バインダーは、トルエンを含有しない溶剤に対して優れた再溶解性を有し、塩素化ポリオレフィンを使用しなくてもポリオレフィンフィルムに対する接着性が良好であり、各種プラスチックフィルム用の印刷インキ用バインダーとして汎用的に使用できる。
本発明の印刷インキ用バインダーは、上記一般式(1)で表される構造単位を有するポリエステルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U)を含有することにより、トルエンを含有しない溶剤に対して優れた再溶解性及びポリオレフィンフィルムに対する接着性に優れる。
ポリウレタン樹脂(U)の重量に対する、一般式(1)で表される構造単位の重量%が好ましくは5〜80重量%、接着性及び再溶解性の観点からより好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは25〜60重量%である。
ポリウレタン樹脂(U)の重量に対する、一般式(1)で表される構造単位の重量%が好ましくは5〜80重量%、接着性及び再溶解性の観点からより好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは25〜60重量%である。
上記一般式(1)において、R1及びR2は同時に水素原子になることはなく、一方が水素原子で他方は炭素数1〜20の炭化水素基、又は両方が炭素数1〜20の炭化水素基である。R1及びR2のうち、原料入手のし易さの観点から好ましいのは、いずれか一方が水素原子であって、他方が1〜20の炭化水素基、さらに好ましいのは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素基、とりわけ好ましいのは炭素数8〜20の分岐状アルキル基及び分岐状のアルケニル基である。
一般式(1)におけるR1及びR2で示される基のうち、炭化水素基としては脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。
脂肪族炭化水素基としては、鎖式炭化水素基および脂環式炭化水素基が挙げられる。鎖式炭化水素基としては、直鎖状炭化水素基および分岐状炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、鎖式炭化水素基および脂環式炭化水素基が挙げられる。鎖式炭化水素基としては、直鎖状炭化水素基および分岐状炭化水素基が挙げられる。
直鎖状炭化水素基としては、直鎖状アルキル基及び直鎖状アルケニル基が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基及びオクタデシル基等が挙げられる。
直鎖状アルケニル基としては、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基及びイコセン基等が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、分岐状アルキル基及び分岐状アルケニル基が挙げられる。分岐状アルキル基としては、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、2,4,6−トリメチルヘプチル基、2,4,6,8−テトラメチルノニル基、2−n−ブチルテトラデシル基、プロピレンテトラマーの水添化物の残基、及びブテントリマーの水添化物の残基等が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、分岐状アルキル基及び分岐状アルケニル基が挙げられる。分岐状アルキル基としては、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、2,4,6−トリメチルヘプチル基、2,4,6,8−テトラメチルノニル基、2−n−ブチルテトラデシル基、プロピレンテトラマーの水添化物の残基、及びブテントリマーの水添化物の残基等が挙げられる。
分岐状アルケニル基としては、t−ブテニル基、2−エチルへキセニル基、2,4,6−トリメチルヘプテニル基、2,4,6,8−テトラメチルノネニル基、2−n−ブチルテトラデセニル基、プロピレンテトラマーの残基、及びブテントリマーの残基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプチル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプチル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、キシリル基、ナフチル基、オクチルフェニル基、及びノニルフェニル基等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(A)は下記一般式(2)又は(3)で表される化合物(a)を必須成分としたポリカルボン酸と化学式量又は数平均分子量(以下、Mnと略記)が500未満のポリオールを、従来公知の方法でエステル化反応、又は重縮合反応させて得ることができる。
ポリエステルポリオール(A)は下記一般式(2)又は(3)で表される化合物(a)を必須成分としたポリカルボン酸と化学式量又は数平均分子量(以下、Mnと略記)が500未満のポリオールを、従来公知の方法でエステル化反応、又は重縮合反応させて得ることができる。
一般式(2)又は(3)で表される化合物(a)のうち、アルケニルコハク酸(無水物)は、上記の炭素数が4〜20、好ましくは8〜20の直鎖および/または分岐鎖を有するα−オレフィンに、溶液法または溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和−1,2−ジカルボン酸(無水物)を熱的に付加させる方法で製造することができる。反応温度は通常160〜250℃、好ましくは180〜220℃、反応時間は通常5〜15時間、好ましくは7〜10時間、反応圧力は通常1〜5気圧、好ましくは1〜3気圧である。上記付加反応に際してのα−オレフィン:α,β−不飽和ジカルボン酸(無水物)のモル比は、通常1〜2:1、好ましくは1.2〜1.8:1、さらに好ましくは1.4〜1.6:1である。過剰(未反応)のα−オレフィンは反応終了後に減圧蒸留等の方法により回収される。また、アルキルコハク酸(無水物)は、該アルケニルコハク酸(無水物)を水素添加することにより得ることができる。
上記α,β−不飽和ジカルボン酸(無水物)としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)シトラコン酸、メサコン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種または2種以上を併用することができる。これらのうち好ましいものは(無水)マレイン酸および(無水)シトラコン酸であり、特に好ましいのは無水マレイン酸である。
ポリエステルポリオール(A)は化合物(a)以外のポリカルボン酸(a1)を構成単量体としても良い。
ポリカルボン酸(a1)としては炭素数2〜15の脂肪族ジカルボン酸[シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸及びフマル酸等]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸及びイソフタル酸等]、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)及びこれらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル及びジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]等が挙げられ、再溶解性の観点から好ましいのはアジピン酸である。(a)に対する(a1)の比率は0〜900重量%である。
上記α,β−不飽和ジカルボン酸(無水物)としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)シトラコン酸、メサコン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種または2種以上を併用することができる。これらのうち好ましいものは(無水)マレイン酸および(無水)シトラコン酸であり、特に好ましいのは無水マレイン酸である。
ポリエステルポリオール(A)は化合物(a)以外のポリカルボン酸(a1)を構成単量体としても良い。
ポリカルボン酸(a1)としては炭素数2〜15の脂肪族ジカルボン酸[シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸及びフマル酸等]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸及びイソフタル酸等]、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)及びこれらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル及びジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]等が挙げられ、再溶解性の観点から好ましいのはアジピン酸である。(a)に対する(a1)の比率は0〜900重量%である。
カルボン酸成分は化合物(a)のカルボン酸を必須成分とし、2種以上を併用してもよい。
化学式量又はMnが500未満のポリオールとしては、炭素数2〜16の脂肪族2価アルコール、炭素数6〜10の脂環基含有2価アルコール、脂肪族3価アルコール及び脂肪族4価以上のアルコール等が挙げられる。
炭素数2〜16の脂肪族2価アルコールとしては、直鎖ジオール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジ(1,3−プロピレン)グリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,12−ドデカンジオール等]及び分岐アルキル鎖を有するジオール[1,2−プロパンジオール、ジ(1,2−プロピレン)グリコール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−、1,4−又は2,4−ペンタンジオール、2−又は3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−、1,5−又は2,5−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−又は3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−、3−又は4−メチル−1,7−ヘプタンジオール及び2−、3−又は4−メチル−1,8−オクタンジオール等]等が挙げられる。
炭素数6〜10の脂環基含有2価アルコールとしては、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
脂肪族3価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン及びトリアルカノールアミン等が挙げられ、脂肪族4価以上のアルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン及びソルバイド等が挙げられる。
これらの内で、接着性の観点から好ましいのは炭素数2〜16の脂肪族2価アルコールである。化学式量又はMnが500未満のポリオールは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオール(A)の分子量は500〜5000、再溶解性と接着性の観点から好ましくは1000〜4000である。
本発明におけるポリエステルポリオール(A)は、通常のポリエステル樹脂の合成法と同様の方法で、カルボン酸成分とポリエステル成分とを重縮合させることにより製造することができる。重縮合反応の反応温度は、通常130〜250℃、好ましくは140〜230℃である。反応は着色を防止するため窒素ガス等の不活性ガス中で行うことが好ましく、反応末期には反応の完結あるいは揮発性成分の除去を促進するため、反応を減圧下で行ってもよい。該(A)の合成に際してのカルボン酸成分とポリオール成分の当量比(カルボキシル基/水酸基)は、1/(1.05〜3)、好ましくは1/(1.2〜2)である。一般式(1)の構造単位はポリエステルポリオール(A)の重量に基づいて好ましくは10〜90重量%である。
本発明におけるポリエステルポリオール(A)は、通常のポリエステル樹脂の合成法と同様の方法で、カルボン酸成分とポリエステル成分とを重縮合させることにより製造することができる。重縮合反応の反応温度は、通常130〜250℃、好ましくは140〜230℃である。反応は着色を防止するため窒素ガス等の不活性ガス中で行うことが好ましく、反応末期には反応の完結あるいは揮発性成分の除去を促進するため、反応を減圧下で行ってもよい。該(A)の合成に際してのカルボン酸成分とポリオール成分の当量比(カルボキシル基/水酸基)は、1/(1.05〜3)、好ましくは1/(1.2〜2)である。一般式(1)の構造単位はポリエステルポリオール(A)の重量に基づいて好ましくは10〜90重量%である。
ポリエステルポリオール(A)は化合物(a)に、炭素数2〜12のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)を従来公知の方法で重付加して得られるジエステルジオールも含まれる。
炭素数2〜12のAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)、3−メチルTHF、スチレンオキサイド及びα−オレフィンオキサイド等]が挙げられ、再溶解性の観点から好ましいのはEO及びPOである。AOは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
尚、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
有機ポリイソシアネート成分(B)としては、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b2)、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(b5)等が挙げられる。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b1)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b2)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b3)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDI略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
(b1)〜(b4)のポリイソシアネートの変性物(b5)としては、前記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビュレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が通常8〜33重量%、好ましくは10〜30重量%、特に12〜29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビュレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
これらの内で再溶解性の観点から好ましいのは、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b2)であり、更に好ましいのはIPDIである。有機ポリイソシアネート(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン樹脂(U)は必須構成単位としての化合物(A)及び(B)以外に、任意成分である活性水素成分(E)として、Mnが500〜5,000のポリエーテルポリオール(E1)、Mnが500〜5,000のポリエステルポリオール(E2)、カルボキシル基と活性水素を有する化合物(E3)、鎖伸長剤(E4)及び反応停止剤(E5)等を含有することができる。
ポリエーテルポリオール(E1)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜90重量%である。
ポリエステルポリオール(E2)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜90重量%である。
カルボキシル基と活性水素を有する化合物(E3)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%である。
鎖伸長剤(E4)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%である。
反応停止剤(E5)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%である。
ポリエーテルポリオール(E1)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜90重量%である。
ポリエステルポリオール(E2)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜90重量%である。
カルボキシル基と活性水素を有する化合物(E3)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%である。
鎖伸長剤(E4)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%である。
反応停止剤(E5)はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%である。
(E1)の内、再溶解性の観点から好ましいのは分岐アルキル鎖を有するもの、即ち原料として前記化学式量又はMnが500未満のポリオールの内の分岐アルキル鎖を有するジオールを用いたものやAO付加物におけるAOとしてPO、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及び3−メチルテトラヒドロフラン等を用いたもの等であり、更に好ましいのは分岐アルキル鎖を有する2価アルコールの脂肪族ポリエーテルポリオール、特に好ましいのはポリオキシプロピレングリコール及びポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)グリコール、最も好ましいのはポリオキシプロピレングリコールである。(E1)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオール(E1)のMnは、再溶解性と接着性の観点から好ましくは1,000〜5,000である。
Mnが500〜5,000のポリエステルポリオール(E2)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルジオールとしては、前記化学式量又はMnが500未満のポリオールと前記ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級(炭素数1〜4)アルキルエステル及び酸ハライド等]との縮合により得られるもの等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、前記化学式量又はMnが500未満のポリオールを開始剤としてラクトンモノマー(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の混合物等)を開環重合したもの等が挙げられる。ポリラクトンポリオールの具体例としては、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記化学式量又はMnが500未満のポリオールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
カルボキシル基と活性水素を有する化合物(E3)としては、カルボキシル基と水酸基と有する炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸等)及び酒石酸等]及び炭素数2〜10のアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン等)等が挙げられる。
鎖伸長剤(E4)としては、炭素数2〜10のアルキレンジアミン(F)、ポリアルキレンポリアミン、芳香族ポリアミン、N−アルキル置換ポリアミン及びアルカノールポリアミン等及び前記炭素数2〜16の脂肪族2価アルコール等が挙げられる。(E4)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、アルコールに対する溶解性の観点から好ましいのはイソホロンジアミン、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール及び1,3−ブタンジオールである。
炭素数2〜10のアルキレンジアミン(F)としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等が挙げられ、再溶解性の観点から好ましいのはイソホロンジアミンである。
反応停止剤(E5)としては、炭素数1〜10のモノアルコール(メタノール、プロパノール、ブタノール及び2−エチルヘキサノール等)、炭素数2〜8のモノアミン[炭素数2〜8のモノ又はジアルキルアミン(n−ブチルアミン及びジ−n−ブチルアミン等)及び炭素数2〜6のモノ又はジアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びプロパノールアミン等)]等が挙げられる。これらの内、好ましいのは炭素数2〜6のモノ又はジアルカノールアミンである。反応停止剤(E5)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオール(A)、及び有機ポリイソシアネート(B)、必要により活性水素成分(E)を反応させてポリウレタン樹脂(U)を製造する方法は特に制限されず、(A)及び(B)、必要により(E)を一度に反応させるワンショット法又は段階的に反応させる多段法[例えば(A)と(E)の一部とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを形成した後、(E)の残量を加えて更に反応させて製造する方法]のいずれの方法でもよい。
有機ポリイソシアネート(B)のNCO基と、ポリエステルポリオール(A)及び活性水素成分(E)の活性水素含有基の当量比(NCO基:活性水素含有基)は、通常0.7:1〜0.99:1、好ましくは0.8:1〜0.98:1である。
有機ポリイソシアネート(B)のNCO基と、ポリエステルポリオール(A)及び活性水素成分(E)の活性水素含有基の当量比(NCO基:活性水素含有基)は、通常0.7:1〜0.99:1、好ましくは0.8:1〜0.98:1である。
ポリエステルポリオール(A)、活性水素成分(E)及び有機ポリイソシアネート(B)の反応は通常20〜140℃、好ましくは40〜120℃の温度で行われる。但し、アミンを反応させる場合は通常100℃以下、好ましくは0〜80℃である。
前記反応に際しては、反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応において使用される触媒[アミン触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン及びトリエチレンジアミン等)、錫系触媒(ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート及びオクチル酸錫等)及びチタン系触媒(テトラブチルチタネート等)]等を使用してもよい。触媒の使用量はポリウレタン樹脂に対して通常0.1重量%以下である。
また、上記反応は有機溶剤中で行ってもよく、有機溶剤を反応途中又は反応後に加えてもよい。使用できる溶剤としては[エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びエチルセロソルブアセテート等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルイソブチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、炭化水素系溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン及びシクロヘキサン等)及びアルコール系溶剤{エタノール、メタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等}等]が挙げられる。これらの内、ポリウレタン樹脂(U)の溶解性の観点から好ましいのは、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、n−プロピルアルコール及びイソプロピルアルコールであり、特に好ましいのは酢酸エチル、メチルイソブチルケトン及びイソプロピルアルコールである。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(U)の有機溶剤溶液の樹脂濃度はハンドリング性等の観点から好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。また、(U)の有機溶剤溶液の20℃での粘度は、同様の観点から好ましくは50〜100,000mPa・s、更に好ましくは100〜10,000mPa・sである。本発明における粘度はB型回転粘度計で測定される。
本発明の印刷インキは、本発明の印刷インキ用バインダー、顔料及び前記有機溶剤を必須成分としてなる。顔料としては特に制限はなく、通常の印刷インキに用いられる無機顔料及び有機顔料等が使用できる。
また、必要により印刷インキに通常使用される他の樹脂類及び顔料分散剤等の添加剤を配合することもできる。他の樹脂類及び添加剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の樹脂類としては、例えばポリアミド樹脂、ニトロセルロース、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレンマレイン酸共重合系樹脂、エポキシ樹脂及びロジン系樹脂等が挙げられる。これら他の樹脂類の添加量は印刷インキ中通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
印刷インキの製造方法は特に制限はなく、公知の方法等、例えば三本ロール、ボールミル及びサンドグラインダーミル等の通常のインキ製造装置を用いて印刷インキを製造できる。
本発明の印刷インキの配合処方の一例を示せば下記の通りである。
本発明のバインダー(樹脂固形分の量):5〜40重量%(好ましくは10〜30重量%)
顔料:5〜40重量%(好ましくは10〜30重量%)
他の樹脂類:0〜30重量%(好ましくは0〜20重量%)
溶剤:30〜80重量%(好ましくは40〜70重量%)
本発明のバインダー(樹脂固形分の量):5〜40重量%(好ましくは10〜30重量%)
顔料:5〜40重量%(好ましくは10〜30重量%)
他の樹脂類:0〜30重量%(好ましくは0〜20重量%)
溶剤:30〜80重量%(好ましくは40〜70重量%)
本発明の印刷インキ用バインダーを用いてなる印刷インキは、一液型印刷インキとして使用してもよいが、例えばポリイソシアネート系硬化剤と併用して二液型印刷インキとして使用することもできる。この場合のポリイソシアネート系硬化剤としては、例えばトリメチロールプロパン1モルと、1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、トリレンジイオシアネート又はIPDI3モルとからのアダクト体;1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート又はIPDIのイソシアネート基の環状三量化によって合成されるイソシアヌレート基含有の三量体;水1モルと1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート3モルとから誘導される部分ビュレット反応物及びこれらの2種以上の混合物が好適である。二液型印刷インキとして使用する場合、ポリイソシアネート系硬化剤の使用量は、本発明の印刷インキ用バインダーの重量に基づいて通常0.5〜10重量%である。
本発明の印刷インキを用いた印刷方法としては、従来のプラスチックフィルムの印刷に使用される特殊グラビア印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷及び感熱転写印刷等の印刷方法が挙げられる。
本発明の印刷インキは、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、表面処理又は無処理ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、アセテートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びこれらのフィルムにアルミ蒸着を施したフィルム等の各種プラスチックフィルムの印刷に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下において「部」は重量部を示す。
製造例1
温度計、撹拌機、窒素導入管および還流器を備えた四ツ口フラスコに、「ライトテトラマー」〔プロピレン四量体;三菱石油(株)製〕720部および無水マレイン酸280部仕込み、200℃で8時間反応させた。反応物を100℃まで冷却し、減圧蒸留により精製し、ドデセニル無水コハク酸(a−1)550部を得た。
温度計、撹拌機、窒素導入管および還流器を備えた四ツ口フラスコに、「ライトテトラマー」〔プロピレン四量体;三菱石油(株)製〕720部および無水マレイン酸280部仕込み、200℃で8時間反応させた。反応物を100℃まで冷却し、減圧蒸留により精製し、ドデセニル無水コハク酸(a−1)550部を得た。
製造例2
製造例1と同様の反応装置に、「ハイマスポリマー」〔プロピレン五量体;日本石油洗剤(株)製〕769部および無水マレイン酸231部仕込み、210℃で9時間反応させた。反応物を100℃まで冷却し、減圧蒸留により精製し、ペンタドデセニル無水コハク酸を500部を得た。別の四つ口フラスコに上記ペンタドデセニル無水コハク酸を500部と水を35部仕込み、95℃で3時間反応させ、ペンタデセニルコハク酸530部(a−2)を得た。
製造例3
撹拌装置を備えた反応装置に、(a−1)を415部、エチレングリコールを113部仕込み、混合系内を窒素で置換した。次いで200℃にて留出する水を除去しながら20時間反応し、淡褐色ペースト状のポリエステルポリオール(A−1)500部を得た。(A−1)の水酸基価は56であった。
製造例1と同様の反応装置に、「ハイマスポリマー」〔プロピレン五量体;日本石油洗剤(株)製〕769部および無水マレイン酸231部仕込み、210℃で9時間反応させた。反応物を100℃まで冷却し、減圧蒸留により精製し、ペンタドデセニル無水コハク酸を500部を得た。別の四つ口フラスコに上記ペンタドデセニル無水コハク酸を500部と水を35部仕込み、95℃で3時間反応させ、ペンタデセニルコハク酸530部(a−2)を得た。
製造例3
撹拌装置を備えた反応装置に、(a−1)を415部、エチレングリコールを113部仕込み、混合系内を窒素で置換した。次いで200℃にて留出する水を除去しながら20時間反応し、淡褐色ペースト状のポリエステルポリオール(A−1)500部を得た。(A−1)の水酸基価は56であった。
製造例4
撹拌装置を備えた反応装置に、(a−1)を267部、アジピン酸を147部、エチレングリコールを140部仕込み、混合系内を窒素で置換した。次いで200℃にて留出する水を除去しながら20時間反応し、淡褐色ペースト状のポリエステルポリオール(A−2)500部を得た。(A−2)の水酸基価は56であった。
撹拌装置を備えた反応装置に、(a−1)を267部、アジピン酸を147部、エチレングリコールを140部仕込み、混合系内を窒素で置換した。次いで200℃にて留出する水を除去しながら20時間反応し、淡褐色ペースト状のポリエステルポリオール(A−2)500部を得た。(A−2)の水酸基価は56であった。
製造例5
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に(a−2)162部と水酸化カリウム0.4部を仕込んだ後、撹拌下にPO838部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水25部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)25部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製して、ジエステルジオール(A−3)1000部を得た。(A−3)の水酸基価は56であった。
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に(a−2)162部と水酸化カリウム0.4部を仕込んだ後、撹拌下にPO838部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水25部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)25部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製して、ジエステルジオール(A−3)1000部を得た。(A−3)の水酸基価は56であった。
比較製造例1
撹拌装置を備えた反応装置に、コハク酸を397部、エチレングリコールを224部仕込み、混合系内を窒素で置換した。次いで200℃にて留出する水を除去しながら20時間反応し、白色固体のポリエステルポリオール(A’−1)500部を得た。(A’−1)の水酸基価は56であった。
撹拌装置を備えた反応装置に、コハク酸を397部、エチレングリコールを224部仕込み、混合系内を窒素で置換した。次いで200℃にて留出する水を除去しながら20時間反応し、白色固体のポリエステルポリオール(A’−1)500部を得た。(A’−1)の水酸基価は56であった。
実施例1
撹拌装置を備えた反応装置に、(A−1)200部及びIPDI 22.2部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させ、イソシアネート基含量3.4重量%のウレタンプレポリマーを得た。30℃に冷却後、酢酸エチル408部とイソプロパノール204部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン17.8部を加え、30℃で1時間反応させて本発明の印刷インキ用バインダーであるポリウレタン樹脂(U−1)の溶液を得た。(U−1)における一般式(1)で表される構造単位の重量%は73重量%であった。
撹拌装置を備えた反応装置に、(A−1)200部及びIPDI 22.2部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させ、イソシアネート基含量3.4重量%のウレタンプレポリマーを得た。30℃に冷却後、酢酸エチル408部とイソプロパノール204部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン17.8部を加え、30℃で1時間反応させて本発明の印刷インキ用バインダーであるポリウレタン樹脂(U−1)の溶液を得た。(U−1)における一般式(1)で表される構造単位の重量%は73重量%であった。
実施例2
実施例1において(A−1)200部の代わりに(A−2)200部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(U−2)の溶液を得た。(U−2)における一般式(1)で表される構造単位の重量%は47重量%であった。
実施例1において(A−1)200部の代わりに(A−2)200部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(U−2)の溶液を得た。(U−2)における一般式(1)で表される構造単位の重量%は47重量%であった。
実施例3
実施例1において(A−1)200部の代わりに(A−3)100部と3−メチルペンタンアジペートジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000]100部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(U−3)の溶液を得た。(U−3)における一般式(1)で表される構造単位の重量%は7重量%であった。
実施例1において(A−1)200部の代わりに(A−3)100部と3−メチルペンタンアジペートジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000]100部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(U−3)の溶液を得た。(U−3)における一般式(1)で表される構造単位の重量%は7重量%であった。
比較例1
実施例1において(A−1)200部の代わりに(A’−1)200部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(U’−1)の溶液を得た。
実施例1において(A−1)200部の代わりに(A’−1)200部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(U’−1)の溶液を得た。
比較例2
実施例2において(A−2)100部の代わりにポリプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製「ニューポールPP−2000」:Mn=2000]100部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、ポリウレタン樹脂(U’−2)の溶液を得た。
実施例2において(A−2)100部の代わりにポリプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製「ニューポールPP−2000」:Mn=2000]100部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、ポリウレタン樹脂(U’−2)の溶液を得た。
実施例4〜6及び比較例3、4
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたポリウレタン樹脂の溶液を用いて、以下の処方にて実施例4〜6及び比較例3、4の印刷インキを作製した。
[青インキの作製]
ポリウレタンウレア樹脂の溶液100部、顔料(β型フタロシアニンブルー)30部、イソプロピルアルコール30部、酢酸エチル70部及びガラスビーズ150部からなる混合物をペイントコンデイショナー(レッドデビル社製)にて1時間混練し、ガラスビーズをろ過により除去して青インキを得た。
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたポリウレタン樹脂の溶液を用いて、以下の処方にて実施例4〜6及び比較例3、4の印刷インキを作製した。
[青インキの作製]
ポリウレタンウレア樹脂の溶液100部、顔料(β型フタロシアニンブルー)30部、イソプロピルアルコール30部、酢酸エチル70部及びガラスビーズ150部からなる混合物をペイントコンデイショナー(レッドデビル社製)にて1時間混練し、ガラスビーズをろ過により除去して青インキを得た。
得られた印刷インキを使用して以下の性能試験を行った結果を表1に示す。
[接着性の試験方法]
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡績株式会社製「パイレンP−2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡績株式会社製「エスペットE−5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡績株式会社製「ハーデンN−1130」(厚さ15μm)]に印刷インキを固形分で2〜3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥後、塗布面にセロハンテープ(ニチバン製、12mm巾)を貼り、このセロハンテープの一端を塗面に対して直角方向に急速に引き剥がしたときの塗布面状態を観察して以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:インキがまったく剥がれない。
○:インキが80%以上残る。
△:インキが50%以上残る。
×:インキの残りが50%未満。
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡績株式会社製「パイレンP−2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡績株式会社製「エスペットE−5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡績株式会社製「ハーデンN−1130」(厚さ15μm)]に印刷インキを固形分で2〜3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥後、塗布面にセロハンテープ(ニチバン製、12mm巾)を貼り、このセロハンテープの一端を塗面に対して直角方向に急速に引き剥がしたときの塗布面状態を観察して以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:インキがまったく剥がれない。
○:インキが80%以上残る。
△:インキが50%以上残る。
×:インキの残りが50%未満。
[再溶解性の試験方法]
版詰まりグラビア印刷試験機(TS−1型印刷機;東谷鉄工所製)で、深度35μmのグラビア版を用いて、30m/分のスピードでOPPフィルムに印刷インキを100m印刷した後、グラビア版に付着した余分のインキをイソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤(重量比3:7)でかるく洗い落とした後、セルの目詰まり状態を観察した。
<評価基準>
◎:セル中のインキの残りが5%未満。
○:セル中のインキの残りが5%以上20%未満。
△:セル中のインキの残りが20%以上50%未満。
×:セル中のインキが50%以上残る。
版詰まりグラビア印刷試験機(TS−1型印刷機;東谷鉄工所製)で、深度35μmのグラビア版を用いて、30m/分のスピードでOPPフィルムに印刷インキを100m印刷した後、グラビア版に付着した余分のインキをイソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤(重量比3:7)でかるく洗い落とした後、セルの目詰まり状態を観察した。
<評価基準>
◎:セル中のインキの残りが5%未満。
○:セル中のインキの残りが5%以上20%未満。
△:セル中のインキの残りが20%以上50%未満。
×:セル中のインキが50%以上残る。
本発明のバインダーは接着性及び溶剤への再溶解性に優れることから、各種プラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びセロファンフィルム等)用特殊グラビアインキ用バインダーとして特に好適である。また、本発明のバインダーは前記用途だけではなく、フレキソ印刷インキ用バインダー、塗料用のバインダー、接着剤及び紙等のコーテング剤としても有用である。
Claims (7)
- 一般式(1)で表される構造単位を有するポリエステルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U)を含有する印刷インキ用バインダー。
- 一般式(1)におけるR1及びR2のうち、いずれか一方が水素原子で、他方が炭素数8〜20のアルケニル基である請求項1に記載の印刷インキ用バインダー。
- 前記ポリエステルポリオール(A)が、一般式(1)で表される構造単位を有する二塩基酸と炭素数2〜16の2価アルコールを重縮合させてなる数平均分子量500〜5000のポリエステルポリオールである請求項1又は2に記載の印刷インキ用バインダー。
- ポリウレタン樹脂(U)の重量に対する、一般式(1)で表される構造単位の重量%が5〜80重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷インキ用バインダー。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷インキ用バインダー(C)とトルエンを含有しない溶剤(D)を含有する印刷インキ用バインダー組成物。
- トルエンを含有しない溶剤(D)が炭素数1〜8のアルコールを含有する溶剤(D1)である請求項5に記載の印刷インキ用バインダー組成物。
- 請求項5又は6に記載の印刷インキ用バインダー組成物を含有してなる印刷インキ。
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