JP2017119625A - 医薬品容器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度が高く、通常使用での破壊に十分耐え得るホウ珪酸ガラスからなる医薬品容器を提供する。【解決手段】ガラス組成として、質量%で、SiO270〜80%、Al2O35.8〜10%、B2O35〜15%、Na2O 3〜10%、K2O 0.4〜2.3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜3%含有するホウ珪酸ガラスからなり、少なくとも容器の外表面にイオン交換処理による圧縮応力層が形成されていることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、化学強化されたホウ珪酸ガラスからなる医薬品容器に関する。
従来、医薬品を保管する充填容器として種々の材質のガラス容器が用いられている。医薬品は大別して経口剤と注射剤とに区分され、その充填容器に用いられるガラス材質の種別は当該区分に応じて選択されている。
経口剤にはドリンク剤に代表されるような液剤、風邪薬や胃腸薬に代表される固形剤がある。経口剤の場合は、薬剤と空気中の水分や酸素、あるいは紫外線の遮断ができればよいため、安価なソーダガラスが用いられている。
一方、注射剤は直接血管に投与されるため、非常に厳しい品位が要求される。注射剤が充填される製品としてはアンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、カートリッジなどの形態が存在する。これらの容器は、ホウケイ酸ガラスからなるガラス管を用いて作製される。ホウケイ酸ガラスは加工しやすく、しかも充填された薬剤に影響を与えるアルカリ成分の溶出が少ない材質である。(例えば特許文献1)
さらに最近では、化学的耐久性の優れた、ホウ酸を含まない医薬品容器用ガラス材質も開発されている。(例えば特許文献2)
特開平7−206472号公報 特開2011−093792号公報
近年、薬学・医学の進歩により、これらの容器に充填される薬剤が変化している。従来は血液凝固剤や麻酔薬など、比較的安価な薬剤が対象であった。しかし、最近ではインフルエンザワクチンなどの予防薬、あるいは抗がん剤など、従来の薬品に比べて非常に高価な薬剤が充填されるケースが増加している。
このように高価な薬剤が充填された容器が製薬会社の製造工程や医療現場で破損した場合のロスは非常に大きい。製薬会社の医薬品充填工程でガラスが破損した場合は、単価の高い薬剤そのものの損失が大きい上、製造ラインがストップすることによる製造ロスも大きな問題となる。また、ガラスの破損による安全面でのリスクもある。
さらに、注射剤を医療従事者が投与するのではなく、患者自身が注射するセルフインジェクターという投与機器も存在し、このような使用環境でのガラスの破損はより深刻なものである。
一般的にガラスの初期強度は非常に高いものの、傷が入るとその強度は著しく低下する。そのため、ガラスの実強度はあまり高くなく、傷の深さに依存することが知られている。アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、カートリッジなどの容器に存在する傷は、容器加工、検査、輸送、薬剤充填等、種々の過程で発生しており、最終製品の強度低下の原因となっている。
本発明の課題は、機械的強度が高く、通常使用での破壊に十分耐え得る医薬品容器とその製造方法を提供することである。
本発明者は容器表面に圧縮応力層を形成することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明として提案するものである。
即ち、本発明の医薬品容器は、ガラス組成として、質量%で、SiO 70〜80%、Al 5.8〜10%、B 5〜15%、NaO 3〜10%、KO 0.4〜2.3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜3%含有するホウ珪酸ガラスからなり、少なくとも容器の外表面にイオン交換処理による圧縮応力層が形成されていることを特徴とする。
上記構成を有する本発明の医薬品容器は、化学耐久性や耐水性に優れ、またアルカリ成分の溶出が少ない。しかも薬品の充填工程や医療現場、或いは患者自身が投与する際に、容器表面に傷がついた場合でも、圧縮応力層の存在によって容器の破損を防止することが可能になる。
本発明においては、圧縮応力層の深さ(DOL)が15μm以上であることが好ましい。ここで「圧縮応力層の深さ」は表面分析によるカリウムイオン濃度測定によって定量することができる。
上記構成によれば、容器につけられた傷の深さよりも十分に厚い圧縮応力層となることから、容器の破損を大幅に防止することが可能になる。
本発明においては、圧縮応力層の圧縮応力値(CS)が250MPa以上であることが好ましい。ここで「圧縮応力層の圧縮応力値」はセナルモン法で定量することができる。
上記構成によれば、十分な強度を有する圧縮応力層となることから、容器の破損を大幅に防止することが可能になる。
本発明においては、ホウ珪酸ガラスの104.0dPa・sにおける温度が1200℃以下であることが好ましい。ここで、「104.0dPa・sにおける温度」とは、ガラスの粘度が104.0dPa・sとなる時の温度を意味し、白金球引き上げ法によって測定することができる。
ガラス管をバーナー加工して容器に成形する粘度は、大凡104.0dPa・sである。そこで上記構成を採用すれば、比較的低温でガラス管を加工することが可能となる。
本発明においては、ホウ珪酸ガラスの液相粘度が104.0dPa・s以上であることが好ましい。ここで「液相粘度」とは、ガラスから結晶が析出し始める粘度を指す。液相粘度は、まず結晶が析出し始める温度(液相温度)を求め、この温度における粘度を白金球引き上げ法で測定した結果と比較することにより求めることができる。液相温度は標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。
上記構成によれば、ガラス管を加工する際に失透が生じ難くなり、歩留まりよく医薬品容器を製造することができる。
本発明においては、ホウ珪酸ガラスの30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数が70×10−7/℃以下であることが好ましい。ここで、「30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数」は、ディラトメーターを用いて、平均熱膨張係数を測定することにより求めることができる。
上記構成によれば、熱衝撃に強く急冷しても割れにくいガラスとなり、生産効率を高めることが可能になる。
また本発明の医薬品容器の製造方法は、ガラス組成として、質量%で、SiO 70〜80%、Al 5.8〜10%、B 5〜15%、NaO 3〜10%、KO 0.4〜2.3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜3%含有するホウ珪酸ガラスを成形した後、KNO溶融塩中でイオン交換処理を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、化学耐久性、耐水性等に優れ、しかも破損しにくい医薬品容器を容易に作製することができる。
化学強化法は、ガラスの歪点以下の温度でイオン交換処理することにより、ガラスの表面にイオン半径が大きいアルカリイオンを導入してガラス表面に圧縮応力層を形成することでガラスを強化する方法である。化学強化法で圧縮応力層を形成すれば、ガラスの厚みが小さい場合や板状でない円筒状の容器でも、圧縮応力層を適正に形成し得る。
本発明の医薬品容器はこの化学強化法を用いて製造される。そしてイオン交換条件を適正且つ厳密に管理すれば、容器につけられた傷の深さよりも十分に深く、しかも通常使用での破壊に十分耐えられる圧縮応力値を持つ圧縮応力層を医薬品容器の外表面に形成することができる。
本発明の医薬品容器は、質量%で、SiO 70〜80%、Al 5.8〜10%、B 5〜15%、NaO 3〜10%、KO 0.4〜2.3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜3%含有するホウ珪酸ガラスからなる。ガラス組成を上記のように限定した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、特に断りがない限り、質量%を指す。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し易くなる。またガラスの耐酸性が悪くなる傾向にある。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなる。よってSiOの含有量は70〜80%であり、好ましくは70〜77%、70〜75%、特に70〜73%である。
Alは、イオン交換性能を高める成分であり、また歪点やヤング率を高める成分である。Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。一方、Alの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなる。さらに、耐酸性が低下し、内部に充填した医薬品の品質劣化を起こす虞がある。よってAlの含有量は5.8〜10%であり、好ましくは5.8〜9%、5.8〜8%、特に6〜8%である。
は、ガラスのネットワークを形成する成分である。また高温粘度や密度を低下させると共に、ガラスを安定化させて、結晶を析出させ難くし、液相温度を低下させる成分である。また、耐傷性を高める成分である。Bの含有量が多過ぎると、イオン交換によって、ヤケと呼ばれるガラス表面の着色が発生したり、耐水性が低下したり、圧縮応力層の深さが浅くなり易い。また温度変化に対して粘度変化が急になって、ガラスを成形し難くなる。Bの含有量が少な過ぎると、ガラスの粘度が上昇し、加工温度を上げる必要があり、Bがガラス中のNaOとともに蒸発して容器内面に付着する量が増加し、薬剤充填後のアルカリ溶出量が増加するという不具合が生じる。よってBの含有量は5〜15%であり、好ましくは7〜15%、7〜13%、9〜13%、特に9〜12%である。
NaOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。さらにガラスの熱膨張係数を調整する成分である。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下したり、熱膨張係数が低下したり、イオン交換性能が低下し易くなる。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し、成形中に割れが生じ易くなる。また、歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。よってNaOの含有量は3〜10%であり、好ましくは3〜8%、4〜8%、5〜8%、特に5〜7%である。
Oは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。さらにガラスの熱膨張係数を調整する成分である。KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し、成形中に割れが生じ易くなる。また、歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。更にイオン交換性能が低下しやすくなる。よってKOの含有量は0.4〜2.3%である。
CaOは、他の成分と比較して、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。またイオン交換性能を高める効果が大きい成分である。CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり、またガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなったり、イオン交換性能が低下したり、イオン交換溶液を劣化させ易くする傾向がある。よってCaOの含有量は0〜5%であり、好ましくは0〜4%、0〜3%、0〜2%、特に0.5〜1%である。
BaOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、液相温度を低下させる成分であるが、BaOの含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなること加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よってBaO含有量は0〜5%であり、好ましくは0〜4%、0〜3%、特に0〜2%である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
LiOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。さらにガラスの熱膨張係数を調整する成分である。しかしLiOの含有量が多くなり過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し、成形中に割れが生じ易くなるという不具合が生じる。LiOは高価な原料であるため、含有させる量は少ないほうがよい。よってLiOの含有量は0〜1%、0〜0.5%、特に0〜0.3%であることが好ましい。
MgOは、アルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を高める効果が大きい成分である。またガラスの熱膨張係数を調整する成分である。また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める効果がある。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり易く、またガラスが失透し易くなる傾向がある。さらに化学強化した場合に、圧縮応力値が小さく、強化層の深さも浅くなる傾向がある。よってMgOの含有量は0〜10%、0〜9%、0〜8%、0〜7%、0〜6%、特に0〜5%であることが好ましい。
SrOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、液相温度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなることに加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よってSrOの含有量は0〜5%、0〜3%、0〜2%、特に0〜1%であることが好ましい。
TiOは、イオン交換性能を高めたり、充填された医薬品を紫外線から守る働きをする成分であり、また高温粘度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、ガラスが着色したり、失透し易くなる。よってTiOの含有量は0〜2%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.3%、0〜0.1%、特に0〜0.05%であることが好ましい。
ZrOは、イオン交換性能を顕著に高める成分であると共に、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分である。しかし、ZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が著しく低下する虞がある。さらに化学強化した場合に、圧縮応力値が小さく、強化層の深さも浅くなる傾向がある。またZrOの含有量が少な過ぎると上記効果が得られない。よってZrO含有量は0.001〜5%、0.001〜4%、0.001〜3%、特に0.001〜2%であることが好ましい。
ZnOは、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力値を高める効果が大きい成分である。また低温粘性を低下させずに、高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、圧縮応力層の深さが浅くなる傾向がある。よってZnOの含有量は0〜3%、0〜2%、特に0〜1%であることが好ましい。
Feは、ガラス原料や工程から混入する成分である。TiOと適切に組み合わせることにより、容器の内部に充填された薬剤を紫外線から守る働きがある。しかし、Feの含有量が多過ぎると、ガラスが着色する虞がある。よって、Feの含有量は0.001%〜0.5%、0.001%〜0.2%、0.001%〜0.1%、特に0.001%〜0.05%であることが好ましい。
清澄剤として、As、Sb、F、Cl、SO、SnO、CeOの群(好ましくはCl、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0〜3%添加してもよい。
なおClは、ガラス製造時の泡切れを良くする成分でもある。Clの含有量が多くなると、ガラスの生産時に蒸発したClが水分と反応して、生産設備の金属を侵食する可能性がある。よって、Clの含有量は0〜1%、0〜0.5%、0〜0.3%、特に0.01〜0.3%であることが好ましい。
またSnOは、イオン交換性能を高める成分でもある。しかし、SnOが多くなると、ガラスの加工時にSnが還元してコロイドとして析出し、ガラスが褐色になる可能性がある。よってSnOの含有量は0〜3%、0.01〜3%、0.05〜3%、0.1〜3%、特に0.2〜3%であることが好ましい。なおSnOを清澄剤として使用する場合の含有量は、0.1〜1%、0.1〜0.5%、特に0.1〜0.3%であることが好ましい。
本発明の医薬品容器の特性について説明する。
本発明の医薬品容器は、圧縮応力層の圧縮応力値が250MPa以上、特に300MPa以上であることが好ましい。また圧縮応力層の深さは15μm以上、17μm以上、特に20μm以上であることが好ましい。圧縮応力値が小さ過ぎる場合、或いは圧縮応力層の深さが浅過ぎる場合は、容器の破損を十分に防止することが難しくなる。
本発明の医薬品容器を構成するホウ珪酸ガラスは、液相粘度が104.5dPa・s以上であることが好ましく、特に104.8dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.5dPa・s以上であることが望ましい。なお、液相粘度が高い程、耐失透性や成形性が向上する。また液相粘度が高いほど、ダンナー法によるガラス管の製造が容易になり、大量のガラス管を安価に供給することが可能になる。なお、ガラス組成中のNaO、KOの含有量を増加させたり、Al、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を適宜調整したりすれば、液相粘度を高めることができる。
本発明の医薬品容器を構成するホウ珪酸ガラスは、104.0dPa・sにおける温度が1200℃以下、1190℃以下、特に1185℃以下であることが好ましい。104.0dPa・sにおける温度が高すぎるとガラス中のBがガラス中のNaOとともに蒸発して容器内面に付着する量が増加し、薬剤充填後のアルカリ溶出量が増加するという不具合が生じるため好ましくない。
本発明の医薬品容器を構成するホウ珪酸ガラスは、30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数が70×10−7/℃以下であることが好ましく、60×10−7/℃以下、特に55×10−7/℃以下であることが望ましい。熱膨張係数を上記範囲に規制すれば、熱衝撃によって破損し難くなるため、強化処理前の予熱や強化処理後の徐冷に要する時間を短縮することができる。結果として、ガラスの製造コストを低廉化することができる。熱膨張係数が低くなり過ぎると、ガラスの粘度が上昇する傾向があり、溶融温度や成形温度が上昇してガラスを製造しづらくなる。また熱膨張係数が高くなり過ぎると、ガラスの製造工程、加工工程、滅菌工程など、種々の熱処理工程でのサーマルショックでの破損が起きる可能性が高くなる。なお、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を増加すれば、熱膨張係数が高くなり易く、逆にアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を低減すれば、熱膨張係数が低下し易くなる。
本発明の医薬品容器は、外径寸法が5〜50mm、5〜40mm、特に5〜30mmであることが好ましい。また厚み寸法は0.3〜2mm、0.3〜1.5mm、特に0.4〜1.5mmであることが好ましい。
次に、本発明の医薬品容器の製造方法を説明する。
まず容器の素材となる、ホウ珪酸ガラス製のガラス管を準備する。このガラス管は、ダウンドロー法、アップドロー法、ベロ−法などの成形方法によって製造することができる。
次にガラス管に、ガスバーナーを用いて局所的に加熱を行い、医薬品容器の形状に加工する。加工時に発生した残留歪はアニール炉に投入して取り除けばよい。
続いて容器内外の汚れを取り除いた後、医薬品容器をKNO溶融塩中に静置することでイオン交換処理を行う。イオン交換温度を高くすると短時間で圧縮応力層を深くまで入れることができるが、圧縮応力値が小さくなる。反対に、イオン交換温度を低くすると圧縮応力層を深くまで入れるのに時間がかかるが、圧縮応力値を大きくすることができる。よって、イオン交換条件を適切に選択、管理することにより、容器につけられた傷の深さよりも圧縮応力層の深さが十分に大きく、かつ、通常使用での破壊に十分耐えられる圧縮応力値を持つ医薬品容器を得ることができる。例えば圧縮応力層の圧縮応力値が250MPa以上、且つ圧縮応力層の深さが15μm以上の容器を得たい場合、イオン交換温度を450℃以上、イオン交換時間を9時間以内とすればよい。
その後、必要に応じて洗浄、熱処理等を行い、本発明の医薬品容器を得ることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を説明する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
表1は、医薬品容器を構成するホウ珪酸ガラスの組成例(試料No.1〜5)を示している。
次のようにして表中の各試料を作製した。まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合し、白金ポットを用いて1550〜1750℃で8時間溶融した。その後、得られた溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して、板状に成形した。得られたガラス板について、種々の特性を評価した。結果を表1に示す。
なお密度は、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
熱膨張係数αは、ディラトメーターを用いて、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値である。
歪点Ps、徐冷点Taは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
軟化点Tsは、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s及び103.0dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。
液相粘度logηTLは、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
次に、試料No.1のガラス試料を用いてイオン交換処理を行い、強化特性を評価した。表2、3は、強化したガラス試料(試料A〜I)を示している。
まず、30×30×2mmtの大きさとなるように加工したガラス試料の両表面に光学研磨を施した後、表中の条件でKNO溶融塩(使用履歴がないKNO溶融塩)中に試料を浸漬することにより、イオン交換処理を行った。
イオン交換処理後に各試料の表面を洗浄した。続いて、表面応力計(株式会社東芝製FSM−6000)を用い、観察される干渉縞の本数とその間隔から表面の圧縮応力層の圧縮応力値と深さを算出した。算出に当たり、各試料の屈折率を1.51、光学弾性定数を30[(nm/cm)/MPa]とした。なお、強化処理前後で、ガラスの表層におけるガラス組成が微視的に異なるものの、ガラス全体として見た場合は、ガラス組成は実質的に相違しない。
表2、3から明らかなように、イオン交換処理を施した各試料は、表面の圧縮応力層の圧縮応力値が235MPa以上、深さが13μm以上であった。特に試料A〜Gは、圧縮応力層の圧縮応力値が250MPa以上、深さが15μm以上であり、十分な大きさの圧縮応力値及び深さを持つ圧縮応力層が形成されることが確認された。
(実施例2)
実施例1のガラスを用いて、医薬品容器を作製する方法を説明する。
まず表1の何れかの組成となるようにバッチを調合する。
続いてバッチをタンク式ガラス溶融炉に投入し、1550〜1650℃で溶融した後、ダンナー成形装置にて外径10〜40mmφ、肉厚0.3〜1.5mmtのガラス管を成形する。
次に、得られたガラス管をバーナー加工することによって、容量5〜20mlのバイアルに成形する。
その後、医薬品容器を400〜550℃のKNO溶融塩に3〜10時間浸漬してイオン交換処理を行うことにより、医薬品容器の表面全体(外表面、内表面及び端面)に圧縮応力層を形成する。
このようにして得られる医薬品容器は、傷がついた場合でも、圧縮応力層の存在により、非常に破損し難いものとなる。
本発明の医薬品容器は、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、カートリッジ等の医薬品容器として好適である。

Claims (7)

  1. ガラス組成として、質量%で、SiO 70〜80%、Al 5.8〜10%、B 5〜15%、NaO 3〜10%、KO 0.4〜2.3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜3%含有するホウ珪酸ガラスからなり、少なくとも容器の外表面にイオン交換処理による圧縮応力層が形成されていることを特徴とする医薬品容器。
  2. 圧縮応力層の深さが15μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品容器。
  3. 圧縮応力層の圧縮応力値が250MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品容器。
  4. ホウ珪酸ガラスの104.0dPa・sにおける温度が1200℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の医薬品容器。
  5. ホウ珪酸ガラスの液相粘度が104.0dPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の医薬品容器。
  6. ホウ珪酸ガラスの30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数が70×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の医薬品容器。
  7. ガラス組成として、質量%で、SiO 70〜80%、Al 5.8〜10%、B 5〜15%、NaO 3〜10%、KO 0.4〜2.3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜3%含有するホウ珪酸ガラスを成形した後、KNO溶融塩中でイオン交換処理を行うことを特徴とする医薬品容器の製造方法。
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