JP2017119252A - 目標膜厚の塗膜の製造方法、塗料組成物、塗膜、塗膜付き基材および膜厚の検査方法 - Google Patents

目標膜厚の塗膜の製造方法、塗料組成物、塗膜、塗膜付き基材および膜厚の検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装面を目視にて判断しながら塗装することで、容易に目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができる、目標膜厚の塗膜の製造方法および塗料組成物を提供すること。
【解決手段】下記工程[1]および[2]を含む、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の製造方法。
[1]エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂用硬化剤(B)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して、0.03〜5重量%(不揮発分)の着色顔料(C)および20〜70重量%(不揮発分)の体質顔料(D)、前記(A)および(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
[2]前記工程[1]で得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
要件(a):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
【選択図】なし

Description

本発明は、目標膜厚の塗膜の製造方法、塗料組成物、塗膜、塗膜付き基材および膜厚の検査方法に関する。
長期に亘って塗膜性能を維持するためには、塗装膜厚の管理が非常に重要である。従来は、乾燥塗膜の膜厚不足を避けるため、塗装中にウェットゲージを用いて乾燥前の塗膜厚(ウェット状態の塗膜厚)を確認した後、膜厚を調整する方法や、塗膜形成後に膜厚計を用いて乾燥塗膜厚を実測し、規定の膜厚に達していない箇所にさらに塗り重ねる方法が取られていた。従って、例えば、船舶塗装分野においては、船舶外板、タンク等の大面積に塗装する場合、ウェットゲージや膜厚計でのチェック、およびその結果を基にした膜厚調整に多くの時間とコストを要していた。
このような従来の問題点を解決するための方法として、特許文献1〜3には、目標乾燥塗膜厚とそれより薄い膜厚の塗膜の色差または隠ぺい率が特定の範囲に規定された、特定組成の塗料を用いる方法が開示されている。
特開2002−066445号公報 特開2000−37659号公報 特許第5702503号公報
従来においても、250μmを超えるような厚膜の塗膜を被塗物に形成することは行われていた。船舶、橋梁、タンク、プラント、電力設備、港湾設備、海上ブイ、海中パイプライン等の(大型)鉄鋼構造物の表面に形成される防食塗膜がその代表例である。このような厚膜を形成する場合、特に船舶のバラストタンクでは、発錆等の原因となるピンホール等の塗膜欠陥の発生を抑制するため、複数回塗り(塗装およびその後の乾燥の一連の工程を複数回実施する塗装方法)で施工することが規則化されている。
前記のような厚膜の塗膜、特に該塗膜を複数回塗りで形成する場合、特許文献1〜3に記載の組成物を用いたのでは、目標膜厚の乾燥塗膜を目視判定で容易に形成することができず、膜厚不足の箇所や過膜厚の箇所が生じ易い傾向にあった。特に、特許文献1および2に記載の組成物を用いた場合には、目視判定ではこのような厚膜を形成し難く、膜厚不足の箇所や過膜厚の箇所が生じ易い傾向にあった。
また、従来の複数回塗りの場合、例えば、2回塗りの場合には、1回目と2回目で異なる色相の塗料が塗装されるため、2色以上の塗料を用意することが必要となり、各回ごとに塗装膜厚の管理が必要であった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、乾燥膜厚が250μm以上の厚膜を形成する場合、特に複数回塗りで該厚膜を形成する場合に、塗装作業者が塗装の際に、塗装面を目視にて判断しながら塗装することで、容易に目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができる、目標膜厚の塗膜の製造方法および塗料組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを容易に判断することができる、乾燥塗膜厚の検査方法を提供することを目的とする。
発明者が、前記課題を解決する方法について鋭意検討を重ねた結果、所定の色差または隠ぺい率を有し、特定組成の塗料組成物を用いる方法、組成物によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
<1> 下記工程[1]および[2]を含む、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の製造方法。
[1]エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)の着色顔料(C)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)の体質顔料(D)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
[2]前記工程[1]によって得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
要件(a):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
<2> 下記工程[1]および[2]を含む、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の製造方法。
[1]エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)の着色顔料(C)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)の体質顔料(D)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(b)を満たす塗料組成物を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
[2]前記工程[1]によって得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
要件(b):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
<3> 前記塗料組成物が下記要件(c)を満たす、<1>または<2>に記載の製造方法。
要件(c):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚が1.3Tμmである塗膜との色差ΔE2が1.0未満である
<4> 乾燥塗膜厚Tμmの塗膜が、複数回塗り(但し、塗装およびその後の乾燥を含む工程を1回塗りとする。)で製造される、<1>〜<3>の何れかに記載の製造方法。
<5> 前記体質顔料(D)が、タルク、マイカ、シリカ、長石、ドロマイト、炭酸カルシウム、石膏および硫酸バリウムの粉末または粒状物から選択される1種以上である、<1>〜<4>の何れかに記載の製造方法。
<6> 前記被塗物が鉄鋼構造物である、<1>〜<5>の何れかに記載の製造方法。
<7> エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物。
要件(a):該塗料組成物から形成される、目標乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
<8> エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(b)を満たす塗料組成物。
要件(b):前記塗料組成物から形成される、目標乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
<9> 下記要件(c)を満たす、<7>または<8>に記載の塗料組成物。
要件(c):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚が1.3Tμmである塗膜との色差ΔE2が1.0未満である
<10> 複数回塗り(但し、塗装およびその後の乾燥を含む工程を1回塗りとする。)で乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を形成するための組成物である、<7>〜<9>の何れかに記載の塗料組成物。
<11> 前記体質顔料(D)が、タルク、マイカ、シリカ、長石、ドロマイト、炭酸カルシウム、石膏および硫酸バリウムの粉末または粒状物から選択される1種以上である、<7>〜<10>の何れかに記載の塗料組成物。
<12> <7>〜<11>の何れかに記載の塗料組成物を用いて作成された塗膜。
<13> <12>に記載の塗膜と基材との積層体である塗膜付き基材。
<14> 前記基材が鉄鋼構造物である、<13>に記載の塗膜付き基材。
<15> エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物を、
下地隠ぺい性を目視にて観察しながら塗装することで、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを判断する、乾燥塗膜厚の検査方法。
要件(a):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)を有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
<16> エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(b)を満たす塗料組成物を、
下地隠ぺい性を目視にて観察しながら塗装することで、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを判断する、乾燥塗膜厚の検査方法。
要件(b):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
本発明によれば、乾燥膜厚が250μm以上の厚膜を形成する場合、特に複数回塗りで該厚膜を形成する場合であっても、塗装作業者が塗装の際に、塗装面を目視にて判断しながら塗装することで、容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができ、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを目視で容易に判断することができる。
また、本発明によれば、前記のように、略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を容易に形成することができるため、膜厚の過不足による塗膜欠陥の発生を抑制することができ、塗料組成物の使用量および塗装の際のコストを低減することができる。さらに、本発明によれば、前記のような厚膜を複数回塗りで形成する場合であっても、色相の異なる2種類以上の塗料組成物を使用することなく1種類の塗料組成物を用いても、略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を容易に形成することができる。
≪目標膜厚(乾燥塗膜厚Tμm)の塗膜の製造方法≫
本発明に係る乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の製造方法(以下「本発明の製造方法」ともいう。)は、下記工程[1]および[2]を含む。
[1]エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)の着色顔料(C)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)の体質顔料(D)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)または(b)を満たす塗料組成物(以下「本発明の組成物」ともいう。)を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
[2]前記工程[1]によって得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
要件(a):前記本発明の組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
要件(b):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
≪本発明の組成物≫
本発明の組成物は、エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびにシランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)または(b)を満たす組成物である。
要件(a):該塗料組成物から形成される、目標乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である。
要件(b):前記塗料組成物から形成される、目標乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
本発明の製造方法では、目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成するための塗料として前記所定の組成物が用いられる。本発明の組成物は、各種用途に使用できる塗料であってもよく、所定膜厚の乾燥塗膜を形成することが要求されるあらゆる用途に使用できる塗料であってもよいが、1つの代表例は防食塗料組成物である。
本発明の組成物は、塗装された塗料組成物(ウェット塗膜)の隠ぺい性または色差を目視観察することによって、その後の乾燥工程を経た際に、目標乾燥塗膜厚の塗膜が形成できているか否かを判定することが可能な「膜厚判定機能」を有する膜厚判定塗料であり、目標乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜の形成用塗料組成物である。
本発明において、膜厚判定する方法としては、隠ぺい性により膜厚を判定する方法、具体的には、塗装時の下地の透けを確認しながら塗装し、透けがなくなった時点で塗装を終了する方法が好ましい。このように、下地の透けを膜厚判定の基準とすることで、容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができ、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを目視で容易に判断することができる。
なお、本発明において、膜厚判定する方法としては、前記隠ぺい性の他にも、色差により膜厚を判定する方法、具体的には、予め、塗装したい箇所と同様の被塗物上に、塗装する塗料組成物を用いて目標乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を形成しておき(色見本)、この色見本と塗装時の色とを確認しながら塗装し、塗装時の色が色見本と同じになった時点で塗装を終了する方法を用いてもよい。
しかしながら、色見本を使用する方法では、色相のずれが生じやすく、ウェット塗膜と乾燥塗膜との光沢の違いによる見え方の違いにより、目標乾燥塗膜厚になっているか否かの判定が難しい傾向にある。一方で、下地の透けを膜厚判定の基準とする場合には、このような問題が生じ難い。このため、本発明では、隠ぺい性により、特に、下地の透けにより、膜厚判定することが好ましい。
本発明の組成物を用いることで、塗装の際の目視観察により容易に目標乾燥塗膜厚に達したか否かを判定できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
被塗物と形成されるウェット塗膜との間、複数回塗りで目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成する場合における各塗膜の層間、または、1層の塗膜自体中には、空気が入り込み、該空気によって生じる空隙(以下「塗膜中の空隙」ともいう。)により、隠ぺい性および色差が変化することを本発明者は初めて見出した。これは、塗膜中の空隙により光が屈折、反射、散乱することにより光透過性が低下するためであると考えられる。つまり、塗装の際に生じる空隙の量が多くなると、目視確認する際の塗膜厚に応じた隠ぺい性および色差の変化が大きくなるため、隠ぺい性または色差を目視観察することによって、目標乾燥塗膜厚に達したかどうかを判定することが困難になるのではないかと考えられる。
一方で、本発明の組成物を用いることで、塗装の際の目視観察により容易に目標乾燥塗膜厚に達したか否かを判定できるのは、本発明の組成物が、(E)および(F)成分を特定の(A)〜(D)成分と共に含有し、かつ、特定の色差または隠ぺい性を示す組成物であるため、ウェット塗膜の光透過性を向上させることができること、特に、塗膜中の空隙の発生を抑制することによると推測される。さらに、シランカップリング剤(F)を介して体質顔料(D)と反応性樹脂成分((A)、(B)および(F)成分ならびに下記反応性希釈剤成分等の、得られる塗膜中の樹脂成分の原料となる反応性の材料)が化学結合を形成し、該顔料周辺に生じやすい空隙を抑制することにより、塗膜中の空隙の発生を劇的に抑制できていることによると推測される。
従って、本発明の組成物は、通常、より前記空隙が生じやすい塗装方法である、複数回塗りで目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成する際、さらにはスプレー塗装により塗膜を形成する際に特にその効果を発揮する。つまり、本発明の組成物は、複数回塗りで乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を形成するための組成物として特に好適に用いられ、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を複数回塗りで製造する方法に特に好適に用いられる。
さらに、本発明の組成物は、前記のように塗膜中の空隙の発生を抑制できると考えられるため、該組成物から形成される塗膜は、従来の組成物を用いた場合の塗膜に比べ、より空気や水等から被塗物を保護することができると考えられる。従って、本発明の組成物は、特に防食塗料組成物、重防食塗料組成物として好適に使用され、防食性に加え、さらに膜厚の管理が要求される船舶用防食塗料組成物として好適に使用される。
<エポキシ樹脂(A)>
前記エポキシ樹脂(A)としては、特に制限されないが、分子内に2個以上のエポキシ基を含むポリマーまたはオリゴマー、およびそのエポキシ基の開環反応によって生成するポリマーまたはオリゴマー等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、水素化エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、1種単独で、または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、本発明の組成物を鋼板に塗布する場合には、該鋼板に対する付着性に優れる防食塗膜を形成することができる等の点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、さらにはビスフェノールA型およびビスフェノールF型のエポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル類の縮重合物が挙げられる。該ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル類としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエチレンオキシドジグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、鋼板に対して優れた付着性を示す防食塗膜を形成できる等の点から、前記硬化剤(B)等と反応硬化する前の状態では、常温(15〜25℃の温度、以下同様。)で液状または半固形状の樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂(A)の屈折率は、用いる体質顔料(D)の屈折率と同程度の屈折率であることが好ましく、通常は、1.50〜1.70であり、好ましくは1.55〜1.61である。エポキシ樹脂(A)の屈折率が前記範囲にあると、該屈折率が体質顔料(D)の屈折率と同程度となるため、より光透過性に優れる組成物を得ることができ、さらに、目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる。
なお、前記屈折率は、JIS K 0062に準拠して測定することができる。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、防食性等に優れる塗膜を形成できる等の点から、好ましくは150〜1,000、より好ましくは150〜800、特に好ましくは180〜700である。なお、エポキシ当量は、JIS K 7236に基づいて算出される。
エポキシ樹脂(A)は、従来公知の方法で合成して得たものでもよく、市販品であってもよい。該市販品の内、常温で液状の樹脂としては、「E−028」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量180〜190、不揮発分100%)、「jER 807」(三菱化学(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160〜175、不揮発分100%)、「E−028−90X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(828タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量200〜210、不揮発分90%)等が挙げられ、常温で半固形状の樹脂として、「jER 834」(三菱化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量230〜270、不揮発分100%)、「E−834−85X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(834タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量270〜320、不揮発分85%)等が挙げられ、常温で固形状の樹脂として、「jER 1001」(三菱化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500、不揮発分100%)、「E−001−75」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(1001タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量600〜660、不揮発分75%)等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、防食性等に優れる塗膜を形成できる等の点から、本発明の組成物100重量%(不揮発分)に対して、好ましくは5〜40重量%(不揮発分)、より好ましくは10〜30重量%(不揮発分)の量で含まれることが望ましい。
また、本発明の組成物が主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である場合、防食性等に優れる塗膜を形成できる等の点から、前記エポキシ樹脂(A)は主剤成分に含まれ、該主剤成分100重量%(不揮発分)中に、好ましくは5〜80重量%(不揮発分)、より好ましくは5〜50重量%(不揮発分)の量で含まれることが望ましい。
<硬化剤(B)>
前記硬化剤(B)は、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤であり、脂肪族系、脂環族系、芳香族系、複素環系等のアミン硬化剤およびこれらの変性物が挙げられる。
脂肪族系アミン硬化剤としては、例えば、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミンが挙げられる。
前記アルキレンポリアミンとしては、例えば、式:H2N−R1−NH2(R1は、炭素数1〜12の二価炭化水素基であり、該炭化水素基の任意の水素原子は、炭素数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、式:H2N−(Cm2mNH)nH(mは1〜10の整数であり、nは2〜10であり、好ましくは2〜6の整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミン等が挙げられる。
これら以外の脂肪族系アミン硬化剤としては、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2'−アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン−ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3−アミノエチル)アミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン等が挙げられる。
前記脂環族系アミン硬化剤としては、具体的には、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4'−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン(MDA)等が挙げられる。
前記芳香族系アミン硬化剤としては、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ベンゼン環に結合した2個以上の1級アミノ基を有する芳香族ポリアミン化合物等が挙げられる。
この芳香族系アミン硬化剤として、より具体的には、例えば、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、p−キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,4'−ジアミノビフェニル、2,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレンが挙げられる。
前記複素環系アミン硬化剤としては、具体的には、N−メチルピペラジン、モルホリン、1,4−ビス−(3−アミノプロピル)−ピペラジン、ピペラジン−1,4−ジアザシクロヘプタン、1−(2'−アミノエチルピペラジン)、1−[2'−(2''−アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン、1,11−ジアザシクロエイコサン、1,15−ジアザシクロオクタコサン等が挙げられる。
その他の硬化剤(B)としては、例えば、特公昭49−48480号公報に記載のアミン類(アミン化合物)、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
硬化剤(B)としては、さらに、前述したアミン硬化剤の変性物、例えば、ポリアミドアミン、エポキシ化合物とのアミンアダクト、マンニッヒ化合物(例:マンニッヒ変性ポリアミドアミン、フェナルカミン等)、ポリオキシアルキレンポリアミン、マイケル付加物、ケチミン、アルジミンも挙げられる。
硬化剤(B)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品でもよい。
市販品としては、例えば、脂肪族ポリアミンである「ACIハードナーK−39」(PTIジャパン(株)製)、ポリアミドアミンである「PA−66」、「PA−23」および「PA−290(A)」(いずれも、大竹明新化学(株)製)、マンニッヒ変性芳香族系ポリアミンである「MAD−204(A)」(大竹明新化学(株)製)、マンニッヒ変性ポリアミドアミンである「アデカハードナーEH−342W3」((株)ADEKA製)、マンニッヒ変性脂肪族ポリアミンである「サンマイドCX−1154」(三和化学(株)製)、フェナルカミンアダクトである「カードライトNC556X80」(カードライト社製)が挙げられる。
硬化剤(B)の活性水素当量は、防食性等に優れる塗膜を形成できる等の点から、好ましくは50〜1000、より好ましくは80〜400である。
防食性等に優れる塗膜を形成できる等の点から、本発明の組成物は、該組成物中に含まれる全成分における、アミノ基等に基づく活性水素当量/エポキシ当量が、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.5〜1.0となるような量で(A)や(B)成分等を用いることが望ましい。
本発明の組成物は、主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型であることが好ましく、前記エポキシ樹脂(A)は主剤成分に、前記硬化剤(B)は硬化剤成分に含まれることが好ましい。この硬化剤成分は、不揮発分が50〜100%となるように調製された成分であることが好ましく、その時のE型粘度計(型式TVE−22、東機産業(株)製)で測定した25℃における粘度は、取扱い性および塗装性等に優れる等の点から、好ましくは100,000mPa・s以下であり、より好ましくは50〜10,000mPa・sである。
<着色顔料(C)>
前記着色顔料(C)は、特に制限されず、従来公知の塗料配合用の着色顔料であればよい。
着色顔料(C)は、1種単独で、または2種以上を用いることができる。
着色顔料(C)としては、具体的には、酸化チタン等の白色顔料、黄鉛、黄色弁柄、ベンジジンエロー等の黄色顔料、赤口黄鉛、クロムバーミリオン等の橙色顔料、弁柄、パーマネントレッド4R等の赤色顔料、コバルトバイオレット等の紫色顔料、群青、シアニンブルー、コバルトブルー等の青色顔料、シアニングリーン、コバルトグリーン、クロムグリーン等の緑色顔料、カーボンブラック等の黒色顔料等が挙げられる。
特に、ブラスト処理鋼板を被覆するために用いる組成物には、黄色弁柄と酸化チタンとを併用することが、目視での膜厚判定性能の点から好ましい。
着色顔料(C)は、その含有量により、本発明の組成物の色差、隠ぺい性を調整することができ、一般的に着色顔料として使用される粒子(ある程度の範囲の平均粒子径を有する着色顔料)においては、その粒子径が色差や隠ぺい性に大きく影響を及ぼすことはないが、着色顔料(C)の、レーザー散乱回折式粒度分布測定装置(型式SALD 2200、(株)島津製作所製)で測定した平均粒子径(メディアン径(D50))は、通常、0.2〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.7μmである。
着色顔料(C)は、本発明の組成物100重量%(不揮発分)に対して、0.03〜5重量%(不揮発分)、好ましくは0.3〜5重量%(不揮発分)、より好ましくは0.3〜3重量%(不揮発分)の割合で含有される。
着色顔料(C)の含有量があまりに少ないと、下地隠ぺい力が小さすぎ、塗装途中のウェット塗膜の色相の変化も過度に小さくなるため、目標乾燥塗膜厚に達したか否かを目視で判定することが困難となる。一方、着色顔料の含有量があまりに多いと、下地隠ぺい力が大きすぎて、目標乾燥塗膜厚Tμmに達する前に塗膜が下地を隠ぺいしてしまうため、同じく、目標乾燥塗膜厚に達したか否かを目視で判定することが困難となる。
<体質顔料(D)>
前記体質顔料(D)としては、特に制限されないが、エポキシ樹脂と練った場合に透明で被塗面を隠ぺいしないような顔料(光透過性無機充填剤)であることが好ましい。前記体質顔料(D)としては、具体的には、タルク、マイカ、シリカ、長石、ドロマイト、炭酸カルシウム、石膏および硫酸バリウムの粉末ないし粒状物が挙げられる。
体質顔料(D)は、1種単独で、または2種以上を用いることができる。
体質顔料(D)のレーザー散乱回折式粒度分布測定装置(型式SALD 2200、(株)島津製作所製)で測定した平均粒子径(メディアン径(D50))は、通常、0.05〜80μm、好ましくは0.5〜30μmである。
前記体質顔料(D)の屈折率は、好ましくは1.40〜1.70、より好ましくは1.45〜1.65である。体質顔料(D)の屈折率が前記範囲にあると、該屈折率がエポキシ樹脂の屈折率(1.50〜1.70)と同程度となるため、より光透過性に優れる組成物を得ることができ、さらに、目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる。なお、前記屈折率は、JIS K 0062に準拠して測定することができる。
体質顔料(D)は、本発明の組成物100重量%(不揮発分)に対して、20〜70重量%(不揮発分)、好ましくは25〜70重量%(不揮発分)、さらに好ましくは30〜70重量%(不揮発分)の割合で含有される。体質顔料(D)の含有量が前記範囲にあると、光透過性に優れ、目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができるとともに、耐水性、耐浸透性および鋼板等の被塗物への付着性等に優れる塗膜を形成可能な組成物を得ることができる。体質顔料(D)の含有量が、あまりに少ないと塗膜の防食性が不十分となり、あまりに多いと塗料のレベリング性が不十分になり、造膜性が低下する。
なお、本発明の組成物の隠ぺい性は、体質顔料(D)の含有量には影響を受けるにしても、該顔料の種別、粒径等により大きく変化することはない。
<非反応性の液状樹脂(E)>
前記非反応性の液状樹脂(E)としては、本発明の組成物中の(A)および(B)成分に対し非反応性であり、かつ、常温で液状の樹脂であれば、特に制限されないが、エポキシ樹脂と相溶性の良い樹脂であることが好ましい。
このような(A)および(B)成分に対し非反応性で液状である樹脂(E)を用いることで初めて、250μmを超えるような厚膜の塗膜を被塗物上に形成する場合であっても、特に複数回塗りで該厚膜を形成する場合であっても、塗装作業者が塗装の際に、塗装面を目視にて判断しながら塗装することで、容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができ、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを目視で容易に判断することができる。
液状樹脂(E)は、1種単独で、または2種以上を用いることができる。
液状樹脂(E)は、より塗膜中の空隙の発生を抑制でき、光透過性に優れる組成物を得ることができる等の点から、E型粘度計(型式TVE−22、東機産業(株)製)で測定した25℃における粘度が、好ましくは10〜5,000mPa・s、より好ましくは100〜2,000mPa・sの範囲にある樹脂を用いることが好ましい。また、前記液状樹脂(E)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは160〜1000であり、より好ましくは160〜400の範囲にあることが望ましい。
液状樹脂(E)としては、特に、本発明の組成物から得られる塗膜が防食性に優れる等の点から、水酸基を含む液状樹脂が好ましく、このような樹脂として、フェノール変性炭化水素樹脂がより好ましい。
フェノール変性炭化水素樹脂としては、例えば、特開平9−268209号公報、特開平7−196793号公報等に記載されているような、石油の分解油留分に含まれるジオレフィンおよびモノオレフィン類を、フェノール類(フェノール化合物)と共重合させた樹脂が挙げられ、好ましくは、石油の分解油留分に含まれるスチレン、ビニルトルエン、クマロン、インデン等を、フェノール類と付加重合させた樹脂が挙げられる。
液状樹脂(E)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品でもよい。
市販品としては、「ネシレス EPX−L」、「ネシレス EPX−L2」(以上、NEVCIN社製、フェノール変性炭化水素樹脂、不揮発分100%)、「NOVARES LA−300」、「NOVARES LA−700」(以上、Rutgers Chemicals AG社製、フェノール変性炭化水素樹脂、不揮発分100%)、「ニカノール L」(フドー株式会社製、キシレン樹脂、不揮発分100%)等が挙げられる。
液状樹脂(E)は、本発明の組成物中の、反応性樹脂成分((A)、(B)および(F)成分ならびに下記反応性希釈剤成分等の、得られる塗膜中の樹脂成分の原料となる反応性の材料)100重量部(不揮発分)に対して、好ましくは1〜200重量部(不揮発分)、より好ましくは35〜150重量部(不揮発分)の量で含まれることが望ましい。液状樹脂(E)の含有量が前記範囲にあると、より塗膜中の空隙の発生を抑制でき、光透過性に優れる組成物を得ることができ、目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができるとともに、塗装性、防食性および鋼板等の被塗物への付着性等に優れる塗膜を形成可能な組成物を得ることができる。
<シランカップリング剤(F)>
シランカップリング剤(F)を用いることで、本発明の組成物は、被塗物に対する付着性に優れる塗膜を形成することができるだけでなく、体質顔料(D)と反応性樹脂成分との化学結合を形成することにより、塗膜中の空隙の発生を抑制することができると考えられるため、該組成物を用いることで、目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができる。
シランカップリング剤(F)は、1種単独で、または2種以上を用いることができる。
シランカップリング剤(F)としては、特に制限されず従来公知の化合物を用いることができるが、同一分子内に少なくとも2つの官能基を有し、被塗物に対する付着性の向上、本発明の組成物の粘度の低下等に寄与できる化合物であることが好ましく、式:X−Si(OR)3[Xは、有機質との反応が可能な官能基(例:アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、ハロ基、またはこれらの基を含有する炭化水素基。なお、この炭化水素基にはエーテル結合等が存在していてもよい。)またはアルキル基を示し、ORは、加水分解性基(例:メトキシ基、エトキシ基)を示す。]で表される化合物であることがより好ましい。
これらの中でも、前記Xがエポキシ基である、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物を他の(A)〜(E)成分と共に用いることで、得られる塗膜の被塗物への付着性をさらに向上させることができるのみならず、体質顔料(D)の表面において、加水分解性基の効果により化学結合を形成し、また、エポキシ基により硬化剤(B)とも化学結合することにより、体質顔料(D)と反応性樹脂成分とを強固に結びつけることができると考えられるため、塗膜中の空隙を減少させる効果があり、塗膜の光透過性を向上させ、目視での膜厚判定機能を向上させることができる。
好ましいシランカップリング剤(F)としては、具体的には、「KBM403」(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)、「サイラエースS−510」(JNC(株)製)等が挙げられる。
本発明の組成物100重量%(不揮発分)に対するシランカップリング剤(F)の含有量は、好ましくは0.05〜15重量%(不揮発分)、より好ましくは0.3〜5重量%(不揮発分)である。シランカップリング剤(F)の含有量が前記範囲にあると、本発明の組成物から形成される塗膜は、被塗物に対する付着性や防食性等の性能が向上し、より塗膜中の空隙の発生を抑制でき、光透過性に優れる組成物を得ることができ、目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる。
<その他の成分>
本発明の組成物には、これまでに述べた諸成分の他に、必要に応じて、前記着色顔料(C)や体質顔料(D)以外の顔料(例:防錆顔料)、溶剤、エポキシ基を有する反応性希釈剤、湿潤分散剤、消泡剤、可塑剤、タレ止め・沈降防止剤、無機脱水剤(安定剤)、防汚剤、硬化促進剤等を、本発明の目的を損なわない限りで配合することができる。
これらその他の成分は、それぞれ、1種単独で、または2種以上を用いることができる。
<エポキシ基を有する反応性希釈剤>
前記エポキシ基を有する反応性希釈剤としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1〜15、好ましくは11〜15)、グリシジルエステル(R123C−COO−Gly、R1+R2+R3=C8〜C10のアルキル基、Gly:グリシジル基)、α−オレフィンエポキサイド(CH3−(CH2n−Gly、n=11〜13、Gly:同上)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1〜20、好ましくは1〜5、例:メチルフェニルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、プロピルフェニルグリシジルエーテル)、アルキルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの反応性希釈剤の中では、単官能のフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテルが低粘度であるため、希釈効果(塗料の低粘度化)に優れ、塗料のハイソリッド化、つまり、塗料組成物中の溶剤含有量を低減することができ、VOC(揮発性有機化合物)含有量の少ない環境に優しい塗料組成物を得ることができる等の点で好ましい。
前記反応性希釈剤としては、「Epodil 759」(エアプロダクツ(株)製、アルキル(C12−C13)グリシジルエーテル、エポキシ当量285、不揮発分100%)、「Cardolite 2513HP」(カードライト社製、アルキルフェノールグリシジルエーテル、エポキシ当量400、不揮発分100%)が挙げられる。
前記反応性希釈剤は、本発明の組成物が主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である場合、主剤成分に含まれることが好ましく、前記エポキシ樹脂(A)100重量部(不揮発分)に対し、好ましくは0〜40重量部(不揮発分)、より好ましくは0〜30重量部(不揮発分)の量で含まれることが望ましい。
<硬化促進剤>
例えば、本発明の組成物が主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である場合、該硬化剤成分には、前記硬化剤(B)以外に、硬化速度の調整、特に促進に寄与できる硬化促進剤を配合することが好ましい。
前記硬化促進剤としては、例えば、3級アミン類が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、ジアルキルアミノエタノール、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザシクロ(2,2,2)オクタン)、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、「バーサミン EH30」:ヘンケル白水(株)製、「Ancamine K−54」:エアプロダクツ(株)製)等が挙げられる。
前記硬化促進剤は、本発明の組成物100重量%(不揮発分)に対して、必要により、0.1〜2.0重量%(不揮発分)の量で配合することができる。
<塗料組成物の不揮発分>
塗料組成物の不揮発分は、本発明の組成物に対する、該組成物を十分に反応硬化した後の塗膜の重量百分率を意味する。前記本発明における不揮発分(%)は、JIS K5601−1−2に準拠して、測定対象(本発明の組成物を十分に反応硬化した後の塗膜)を1±0.1g採取した試料を加熱温度125℃で1時間(常圧下)加熱した時の、測定対象に対する加熱残分より算出される重量百分率のことをいう。なお、本発明の組成物の不揮発分を測定する際には、該組成物を平皿に1±0.1g採取し、重量既知の針金を使用して、採取した組成物を平皿上に広げ、23±2℃で少なくとも24時間反応硬化させた後、該硬化物を125℃で1時間(常圧下)加熱した時の、硬化前の組成物の重量に対する硬化物加熱後の重量の重量百分率のことをいう。
<要件(a)>
本発明の組成物は、塗装終点の判別が容易となる組成物が得られる等の点から、前記特定の組成を有し、下記要件(a)または、下記要件(b)を満たす。
要件(a):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)を有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
前記色差ΔE1は、より目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる等の点から、好ましくは2.2以上である。
前記要件(a)は、目標乾燥塗膜厚とその厚みの塗膜に近づきつつある塗膜との間に目視判断可能な色差が存在することを規定しており、このような色差の塗膜を形成し得る組成物を用いることで、目視判断、特に下地隠ぺい性を判断することで容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができる。一方、前記色差ΔE1が2.0未満であると、塗装中のウェット塗膜の状態を目視判断しながら塗装する際に、塗装終点の判別が困難になる。色差と隠ぺい性とは必ずしも一致しないが、本発明では、前記ΔE1が所定の範囲にあることで、目視による下地の透け(下地隠ぺい性)を膜厚判定の基準として、容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができる。なお、色差と隠ぺい性との関係としては、乾燥塗膜厚Tμmとの色差が0.5以下となる膜厚の塗膜を目視判定すると、下地の透けがなく被塗物表面を隠ぺいした状態となっている。
本発明における色差ΔEは、分光色彩計を使用して測定することができ、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、乾燥塗膜厚Tμmは、本発明の組成物から形成される塗膜の用途によって、適宜選択すればよく、通常は、該塗膜の用途に応じて、予め決まっている値である。
前記Tが250μm以上であるときに初めて本発明が解決すべき課題が憂慮され、この課題を解決するために本発明の組成物、製造方法が有効となる。
前記Tは、250μm以上であれば特に制限されないが、本発明の組成物の効果がより発揮される等の点から、好ましくは250〜1500μmであり、より好ましくは250〜1000μm、さらに好ましくは300〜500μmである。
本発明の組成物、製造方法によれば、前記範囲の厚みの塗膜を容易に形成することができ、膜厚のブレの少ない、特に、過度に薄い部分が抑制された塗膜を製造することができる。
<要件(b)>
本発明の組成物は、塗装終点の判別が容易となる組成物が得られる等の点から、前記特定の組成を有し、前記要件(a)または、下記要件(b)を満たす。
要件(b):本発明の組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
前記隠ぺい率の差は、より目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる等の点から、好ましくは7%以上であり、より好ましくは8%以上である。
また、前記乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜の隠ぺい率は、より塗装終点の判別が容易となる組成物が得られる等の点から、好ましくは82〜92%であり、より好ましくは84〜92%である。
前記隠ぺい率の値は、塗装の際における塗装された塗料組成物(ウェット塗膜)の隠ぺい率とほぼ同様の値であり、この隠ぺい率の値により、塗装の際における塗装された塗料組成物(ウェット塗膜)の隠ぺい性を評価することができる。
前記要件(b)は、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜の隠ぺい率が94〜98%であることを規定している。隠ぺい率が94%以上であれば、乾燥塗膜厚Tμmまたはそれ以上の乾燥塗膜を形成するとき、被塗物を塗膜で隠ぺいできる。また、乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜の隠ぺい率が所定の範囲にあるということは、目標乾燥塗膜厚とその厚みの塗膜に近づきつつある塗膜との間に目視判断可能な隠ぺい性の違いが存在することを規定しており、このような隠ぺい率の塗膜を形成し得る特定組成の組成物を用いることで、より目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができる。
前記隠ぺい率は、JIS K 5600−4−1:1999に準拠して測定することができる。
<要件(c)>
本発明の組成物は、より塗装終点の判別が容易となる組成物が得られる等の点から、前記要件(a)または(b)に加え、下記要件(c)を満たすことが好ましい。
要件(c):本発明の組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚が1.3Tμmである塗膜との色差ΔE2が1.0未満である
前記色差ΔE2は、より塗装終点の判別が容易となる組成物が得られる等の点から、好ましくは0〜0.9であり、より好ましくは0〜0.7である。
前記要件(c)は、目標乾燥塗膜厚とその厚みを超えた塗膜との間に目視判断可能な色差が存在しないことを規定しており、このような色差の塗膜を形成し得る組成物を用いることで、塗装終点の判別がより容易となる。一方、前記色差ΔE2が1.0以上であると、目標乾燥塗膜厚となる量以上に塗料組成物を塗布してもまだ色相の変化が起こるため、塗装終点の判別が困難となる傾向にあり、得られる塗膜に色むらが生じるため好ましくない傾向にある。
<要件(d)>
本発明の組成物は、より目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる等の点から、前記要件(a)または(b)に加え、下記要件(d)を満たすことが好ましく、要件(a)〜(d)全てを満たすことがより好ましい。
要件(d):本発明の組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜と被塗物との色差ΔE3が20以上である
前記色差ΔE3は、より目視判断で容易に略均一な目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成可能な組成物を得ることができる等の点から、好ましくは25以上であり、より好ましくは30以上であり、特に好ましくは35以上である。前記色差ΔE3が20未満であると、本発明の組成物から形成された塗膜の膜厚が目標膜厚に近づいていることを、被塗物の隠ぺい性(透け)の変化によって目視で判定することが困難となる場合がある。
<本発明の組成物の調製方法>
本発明の組成物の調製方法は、特に制限されず、所望の原料を混合することで調製すればよく、好ましくは、所望の原料を含む主剤成分と、所望の原料を含む硬化剤成分とを使用直前に混合することで調製することができる。
前記要件(a)〜(d)を満たす塗料組成物は、着色顔料(C)の種類の選択およびその含有量を調製することにより得ることができ、より具体的には、前記(A)〜(F)成分を配合することで調製することができる。
本発明の組成物は、具体的には、例えば以下の(i)〜(iv)の工程をこの順で含む方法で調製することができる。
(i)塗料組成物全体を100gとし、エポキシ樹脂(A)の配合量(g)を設定し、それに応じた硬化剤(B)とシランカップリング剤(F)の配合量(g)を決める。
(ii)(A)、(B)および(F)成分量に応じた液状樹脂(E)の配合量(g)を決める。
(iii)着色顔料(C)の配合量(g)を、目標乾燥塗膜厚Tμmに応じて仮設定する。
(iv)体質顔料(D)の種類を決め、仮設定した塗料組成物中の不揮発分に対する体質顔料(D)の配合量(g)を決める。
(v)塗装方法を考慮し、溶剤の種類および配合量(g)を決定し、目標乾燥塗膜厚Tμmおよび0.7Tμmの塗膜を作成し、これら塗膜の色差または隠ぺい率の測定結果に基づき、必要により、着色顔料の配合量を微調整し、それに応じて溶剤の配合量を微調整する。(例えば、0.7Tμmにおける色差の値が所定の範囲より小さければ、着色顔料の配合量を増やす。)
<本発明の製造方法>
本発明の製造方法は、下記工程[1]および[2]を含む。
工程[1]:本発明の組成物を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
工程[2]:前記工程[1]によって得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
本発明の組成物を被塗物上に塗装していくと、形成される塗膜厚が大きくなるに従って、塗装表面の「透け」(塗装面からみた被塗物の判別性)の程度が小さくなる。そして、該「透け」がなくなるまで塗装する工程が前記工程[1]である。
本発明の組成物は、目標乾燥塗膜厚Tμmの塗膜が被塗物上に形成されたときに、被塗物が充分に隠ぺいされるような組成物である。そして、本発明の組成物(ウェット塗膜)の隠ぺい性と、該組成物を乾燥させることで得られる塗膜の隠ぺい性とはほぼ同様である。
つまり、工程[1]で形成された塗膜(ウェット塗膜)は、前記工程[2]を経ることで、目標乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜となる。
また、本発明の組成物(ウェット塗膜)の色相と、該組成物を乾燥させることで得られる塗膜の色相とはほぼ同様であるため、予め作成しておいた色見本(同じ被塗物上に、塗装される組成物を用いて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を形成したもの)と塗装中の塗膜(ウェット塗膜)の色相が一致した時をもって、被塗物表面が隠ぺいされたと判断することもできる。
前記被塗物としては、特に制限されず、所定膜厚の乾燥塗膜を形成したい基材であればよいが、所定膜厚の乾燥塗膜を形成することが要求され、かつ、防食性が要求される基材が好ましく、鉄鋼(例:鉄、鋼、合金鉄、炭素鋼、合金鋼等)製基材がより好ましく、船舶、橋梁、タンク、プラント、電力設備、港湾設備、海上ブイ、海中パイプライン等の(大型)鉄鋼構造物がより好ましい。
なお、前記被塗物は、前記基材そのまま(それらの表面が未処理)であってもよいし、前記基材の表面に存在しうる塗膜、錆、油脂、水分、塵埃、スライム、塩分等を、部分的、全面的に清掃・除去処理したものであってもよいし、前記基材の表面に下塗り塗料等(ショッププライマーや防食塗料等)から形成された塗膜が存在しているものでもよい。
前記下塗り塗料としては、公知の塗料を、基材の材質や用途に応じて適宜変更して用いることができる。
前記塗装方法としては、特に制限されず、所望の被塗物、塗装場所等に応じて、従来公知の方法を適宜選択すればよいが、例えば、スプレー、刷毛、ローラー、ヘラ、コテ等を用いた塗装方法が挙げられる。船舶等の大型構造物に塗装する場合には、大面積の被塗物を容易に塗装できる等の点から、スプレー塗装が好ましい。
前記スプレー塗装の条件は、形成したい乾燥塗膜厚に応じて適宜調整すればよいが、エアレススプレー時には、例えば、1次(空気)圧:0.4〜0.8MPa程度、2次(塗料)圧:10〜26MPa程度、ガン移動速度50〜120cm/秒程度が好ましい。
前記工程[2]における乾燥の条件としては、特に制限されず、用いた組成物、被塗物、塗装場所等に応じて、適宜設定すればよいが、例えば、5〜35℃で、12〜168時間の条件が挙げられる。
なお、複数回塗りで目標乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を製造する際には、本発明の組成物を被塗物上に塗布し乾燥する工程を少なくとも1回行った後、該工程で得られた乾燥塗膜上に対し、前記工程[1]および[2]を行えばよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本発明の実施例に用いた主な材料を以下の表1に示す。
[実施例1]
容器に、下記表2に示すように、エポキシ樹脂「E−028」(注1)16重量部と、エポキシ樹脂、ポリオキシアルキレンポリアミンおよびフェナルカミンに対し非反応性の液状樹脂「NOVARES LA−700」(注4)9重量部と、キシレン14.9重量部と、n−ブタノール3重量部と、MIBK(メチルイソブチルケトン)2重量部と、シランカップリング剤「KBM403」(注6)1重量部と、タルク「タルク MG115」(注7)23重量部と、マイカ「Mica powder」(注8)5重量部と、長石「Unispar PG−K10」(注9)24重量部と、チタン白「TITANE R−5N」(注11)0.7重量部と、黄色弁柄「TAROX LL−XLO」(注12)0.4重量部と、タレ止め剤「DISPARLON 6650」(注14)1重量部とを入れ、そこにガラスビーズを加えて、ペイントシェーカーでこれらの配合成分を混合した。次いで、ガラスビーズを取り除き、ハイスピードディスパーを用い、23℃で均一になるまで分散させ、56〜60℃に加温した後、30℃以下まで冷却することで、塗料組成物を構成する主剤成分を調製した。
また、下記表2に示すように、ポリオキシアルキレンポリアミン「Jeffamine D−230」(注15)2重量部と、フェナルカミン「Cardolite NX−4918」(注16)6重量部と、三級アミン「Ancamine K−54」(注20)0.2重量部と、1−メトキシ−2−プロパノール0.8重量部とを、ハイスピードディスパーを用いて常温、常圧下で混合することで、塗料組成物を構成する硬化剤成分を調製した。
得られた主剤成分と硬化剤成分を、塗装前に混合することで塗料組成物を調製した。
[実施例2〜8および比較例1〜5]
実施例1の主剤成分および硬化剤成分にそれぞれ含まれる配合成分および配合量を下記表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。
<試験板の作成>
寸法が150mm×70mm×1.6mm(厚)のブラスト処理された鋼板(以下「試験板(P1)」ともいう。)と、該鋼板に、ショッププライマー(中国塗料(株)製、「セラボンド2000 ブルー」)を乾燥塗膜厚が15μmとなるように塗装し、常温で24時間乾燥させた試験板(以下「試験板(P2)」ともいう。)とを作製した。
<1回塗りの試験板>
試験板(P1)に対して、得られた塗料組成物をエアレススプレーで塗装し、室温下(23℃±2℃、以下同様)で少なくとも24時間乾燥させて塗膜を形成した。このエアレススプレーでの塗装の際には、スプレーを動かすスピードを変更する等の塗装条件を変えて塗装することで、それぞれ、表3〜6に示す厚みの塗膜が形成された試験板(P1)を作製した。
各乾燥塗膜の膜厚(DFT)は、ケット(株)製の電磁式膜厚計「COATING THICKNESS TESTER LZ−990」を用いて測定した。
<2回塗りの試験板>
1回塗りの試験板の作成方法と同様にして、試験板(P1)および試験板(P2)に対して、得られた塗料組成物を、得られる乾燥塗膜厚が約T/2μmになるようにエアレススプレーで塗装し、室温下で少なくとも24時間乾燥させて1層目の塗膜を形成した。次に、1層目の塗膜を形成した塗料組成物と同じ塗料組成物を、1層目の塗膜上にエアレススプレーで塗装し、室温下で少なくとも24時間乾燥させて2回塗りの塗膜を形成した。この2回塗りの際には、スプレーを動かすスピードを変更する等の塗装条件を変えて塗装することで、各実施例および比較例において、それぞれ、表3〜6に示す各乾燥塗膜厚を有する複数の厚みの塗膜が形成された試験板(P1)および(P2)を作製した。
各乾燥塗膜の膜厚は、ケット(株)製の電磁式膜厚計「COATING THICKNESS TESTER LZ−990」を用いて測定した。
なお、表3〜6における2回塗りの結果部分の膜厚は、1層目の塗膜と2層目の塗膜との合計値である。
(1)目標乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と各乾燥塗膜厚の塗膜との色差
1回塗りまたは2回塗りで作成した各試験板について、JIS K 5600−4−5:1999に準拠した、分光色彩計(型式SD 5000、日本電色工業(株)製)による測定およびJIS K 5600−4−6:1999に準拠した計算により、各塗料組成物から形成された目標乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と各乾燥塗膜厚の塗膜との色差ΔEを算出した。その結果を表3および4に示す。
(2)各塗膜厚の塗膜を形成する際におけるウェット状態での塗装された塗料組成物の目視による下地隠ぺい性評価
1回塗りまたは2回塗りで作成した各試験板について、各乾燥塗膜厚の塗膜を形成する際におけるウェット塗膜状態での塗装された塗料組成物の下地隠ぺい性を目視で観察し、下記判定基準に基づいて評価した。その結果を表5および6に示す。
なお、2回塗りの場合は、2層目の下地隠ぺい性を目視で観察した。
(評価基準)
評価 5:下地が十分に隠ぺいされている(下地が判別できない)
評価 4:下地がかなり隠ぺいされている(下地を何とか確認できる)
評価 3:下地がやや隠ぺいされている(下地が少しわかりにくい)
評価 2:下地が透けている(下地がほぼ見えている)
評価 1:下地がかなり透けている(下地が完全に見えている)
(3)各乾燥塗膜厚の隠ぺい率
JIS K 5600−4−1に準拠し、下記方法で得られた表7および8に示す各乾燥塗膜厚の塗膜の隠ぺい率をそれぞれ測定した。
1回塗りの塗膜は、隠ぺい率試験紙に対して、得られた塗料組成物を、均一な塗膜が得られるように一様な速度で適切なアプリケータを引き下ろして塗装し、室温下で少なくとも24時間乾燥させて塗膜を形成した。このアプリケータでの塗装の際、アプリケータのすき間や引き下ろすスピードを変更する等の塗装条件を変えて塗装することで、それぞれ、表7および8に示す厚みの塗膜を形成した。
2回塗りの塗膜は、以下のように形成した。
隠ぺい率試験紙に対して、得られた塗料組成物を、得られる乾燥塗膜厚が約T/2μmになるように、一様な速度で適切なアプリケータを引き下ろして塗装し、室温下で少なくとも24時間乾燥させて1層目の塗膜を形成した。次に、1層目の塗膜を形成した塗料組成物と同じ塗料組成物を、1層目の塗膜上に一様な速度で適切なアプリケータを引き下ろして塗装し、室温下で少なくとも24時間乾燥させて2回塗りの塗膜を形成した。このアプリケータでの塗装の際、アプリケータのすき間や引き下ろすスピードを変更する等の塗装条件を変えて塗装することで、それぞれ、表7および8に示す厚みの塗膜を形成した。
実施例1〜8で得られた塗料組成物を用いた場合、1回塗りでも、2回塗りでも、さらには、3回以上塗りでも、塗装作業者が塗装の際に、塗装面を目視にて判断しながら塗装することで、容易に目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができ、また、目標膜厚の塗膜が形成されているか否かの検査が容易であった。
具体的には、実際の塗装時の状況を表す前記(2)の評価において、実施例で得られた塗料組成物を用いた場合では、目標乾燥塗膜厚Tμmの直前であっても、塗装された塗料組成物(ウェット状態の塗膜)に透けがあるのに対して、比較例で得られた塗料組成物を用いた場合では、目標乾燥塗膜厚Tμmに達する前から下地が隠ぺいされてしまい、どの段階で目標乾燥膜厚に達したのかを目視で判断することができなかった。
本発明によれば、塗装面を目視にて確認しながら塗装し、下地が隠ぺいされた時点で塗装を終了することで、その後の乾燥工程を経て得られる乾燥塗膜の膜厚は、略均一な目標乾燥塗膜厚Tμmを有している。従って、本発明によれば、容易に目標乾燥塗膜厚の塗膜を形成することができ、このように一見して塗装終了時を判別できるため、発錆等が起こりやすい膜厚不足の箇所が生じ難く、また、クラック等が起こりやすい膜厚過多の箇所が生じ難く、このような膜厚過多の箇所が生じ難いため、用いる塗料組成物を余分に使用することを抑制することができ、さらには、塗装部分でのウェットゲージや膜厚計を用いた膜厚測定の低減(削除)や、膜厚不足の箇所の補修や膜厚過多の箇所が生じた場合の他の箇所の補修等の低減(削除)による塗装作業の簡便化、効率化、低コスト化等を図ることができる。

Claims (16)

  1. 下記工程[1]および[2]を含む、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の製造方法。
    [1]エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)の着色顔料(C)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)の体質顔料(D)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
    [2]前記工程[1]によって得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
    要件(a):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmを有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
  2. 下記工程[1]および[2]を含む、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の製造方法。
    [1]エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)の着色顔料(C)、塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)の体質顔料(D)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(b)を満たす塗料組成物を、被塗物表面が隠ぺいされるまで塗装する工程
    [2]前記工程[1]によって得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を得る工程
    要件(b):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
  3. 前記塗料組成物が下記要件(c)を満たす、請求項1または2に記載の製造方法。
    要件(c):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚が1.3Tμmである塗膜との色差ΔE2が1.0未満である
  4. 乾燥塗膜厚Tμmの塗膜が、複数回塗り(但し、塗装およびその後の乾燥を含む工程を1回塗りとする。)で製造される、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 前記体質顔料(D)が、タルク、マイカ、シリカ、長石、ドロマイト、炭酸カルシウム、石膏および硫酸バリウムの粉末または粒状物から選択される1種以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 前記被塗物が鉄鋼構造物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物。
    要件(a):該塗料組成物から形成される、目標乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
  8. エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(b)を満たす塗料組成物。
    要件(b):前記塗料組成物から形成される、目標乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
  9. 下記要件(c)を満たす、請求項7または8に記載の塗料組成物。
    要件(c):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚が1.3Tμmである塗膜との色差ΔE2が1.0未満である
  10. 複数回塗り(但し、塗装およびその後の乾燥を含む工程を1回塗りとする。)で乾燥塗膜厚Tμmの塗膜を形成するための組成物である、請求項7〜9の何れか1項に記載の塗料組成物。
  11. 前記体質顔料(D)が、タルク、マイカ、シリカ、長石、ドロマイト、炭酸カルシウム、石膏および硫酸バリウムの粉末または粒状物から選択される1種以上である、請求項7〜10の何れか1項に記載の塗料組成物。
  12. 請求項7〜11の何れか1項に記載の塗料組成物を用いて作成された塗膜。
  13. 請求項12に記載の塗膜と基材との積層体である塗膜付き基材。
  14. 前記基材が鉄鋼構造物である、請求項13に記載の塗膜付き基材。
  15. エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(a)を満たす塗料組成物を、
    下地隠ぺい性を目視にて観察しながら塗装することで、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを判断する、乾燥塗膜厚の検査方法。
    要件(a):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)を有する塗膜と乾燥塗膜厚が0.7Tμmである塗膜との色差ΔE1が2.0以上である
  16. エポキシ樹脂(A)、ポリアミドアミン、ポリアミンおよびこれらの変性物から選択される1種以上のエポキシ樹脂用硬化剤(B)、着色顔料(C)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して0.03〜5重量%(不揮発分)、体質顔料(D)を塗料組成物100重量%(不揮発分)に対して20〜70重量%(不揮発分)、エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂用硬化剤(B)に対し非反応性の液状樹脂(E)、ならびに、シランカップリング剤(F)を含有し、下記要件(b)を満たす塗料組成物を、
    下地隠ぺい性を目視にて観察しながら塗装することで、形成される乾燥塗膜が目標の膜厚に達しているか否かを判断する、乾燥塗膜厚の検査方法。
    要件(b):前記塗料組成物から形成される、乾燥塗膜厚Tμm(但し、Tは250μm以上である。)の塗膜の隠ぺい率が94〜98%であり、該乾燥塗膜厚Tμmの塗膜と乾燥塗膜厚0.7Tμmの塗膜との隠ぺい率差が6%以上である
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