本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
縦方向と、前記縦方向と交差する横方向と、前記縦方向及び前記横方向と交差する前後方向と、を有し、前記横方向に沿った前胴回り部と、前記横方向に沿った後胴回り部と、前記前胴回り部と前記後胴回り部との間に設けられた股下部と、を備えた吸収性物品であって、前記横方向における前記後胴回り部の一方側の端部と、前記横方向における前記前胴回り部の一方側の端部とは、第1接合部によって接合されており、前記横方向における前記後胴回り部の他方側の端部には、着用時に前記前胴回り部に係止可能な係止部を有する係止部材が前記横方向に突出して設けられており、前記横方向における前記後胴回り部の前記他方側の端部と、前記係止部材とは、第2接合部によって接合されており、前記横方向において、前記係止部の、前記第2接合部の側の端が、前記股下部の、前記第1接合部とは反対側の端に位置するように、前記前胴回り部に前記係止部を係止した状態において、前記第2接合部は、前記第1接合部の位置よりも前側に位置している吸収性物品が明らかとなる。
このような吸収性物品によれば、着用時において、第2接合部が第1接合部の位置よりも前側(腹側)に位置していることから、剛性を有する第2接合部が、下方への位置ずれに対する支えとなるため、着用者のお腹の出っ張りによる下方への位置ずれが抑制されて、装着性が良好となる。
かかる吸収性物品であって、前記第2接合部は、前記後胴回り部の前記他方側の端部において、前記縦方向に沿って設けられていることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第2接合部が縦方向に沿って長く設けられていることにより、下方へずれようとする力を支える棒としての機能を発揮し、着用者のお腹の出っ張りによる下方への位置ずれをより抑制することができる。
かかる吸収性物品であって、前記第2接合部における剛性は、前記前胴回り部における剛性よりも大きいことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第2接合部における剛性を前胴回り部における剛性よりも大きくすることによって、前胴回り部の下方への位置ずれに対する支えがより確実となり、着用者のお腹の出っ張りによる下方への位置ずれをより抑制することができる。
かかる吸収性物品であって、前記第2接合部において重なっている部材の点数は、前記前胴回り部において重なっている部材の点数よりも多いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第2接合部において重なっている部材の点数が前胴回り部において重なっている部材の点数よりも多いことで、前胴回り部の剛性よりも第2接合部の剛性が大きくなり、厚みのある部材に変更する等の方法を取らずに、下方への位置ずれに対する支えをより確実にすることができる。
かかる吸収性物品であって、前記後胴回り部は、前記他方側の端部に、前記横方向に伸縮する弾性領域を有し、前記横方向において、前記係止部の、前記第2接合部の側の端が、前記股下部の、前記第1接合部とは反対側の端に位置するように、前記前胴回り部に前記係止部を係止した状態において、前記弾性領域は、前記第1接合部の位置よりも前側に位置する部分を有することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、着用時において、後胴回り部の弾性領域が第1接合部よりも前側(腹側)に位置する部分を有していることにより、着用者の肌側へ向かって押し付けるように弾性力が作用し、腹側における装着性が向上する。
かかる吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記股下部の前記横方向の中心から前記股下部の前記横方向における前記第1接合部とは反対側の端までの間に、前記係止部を係止するためのターゲット領域を有し、前記係止部の前記横方向の中心が、前記ターゲット領域の前記横方向の中心に位置するように、前記前胴回り部に前記係止部を係止した状態において、前記第2接合部は、前記横方向において、前記股下部の、前記第1接合部とは反対側の端よりも内側に位置していることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、着用時、第2接合部が前記股下部の端よりも横方向の内側に位置している、すなわち着用者の脚回りに第2接合部が位置していないことから、剛性の高い第2接合部が着用者の脚に直接触れないため、肌触りが良好となる。
===実施形態===
本発明の実施形態に係る吸収性物品の一例として、片開きパンツ型の使い捨ておむつ1(以下では単におむつ1とする)について説明する。
<おむつ1の構成>
おむつ1の構成について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るおむつ1の一構成例を示す概略斜視図である。図2は、展開した状態のおむつ1を着用者の肌側から見た概略平面図である。図3Aは、前胴回り部30の断面模式図であり、図3Bは、後胴回り部20の断面模式図であり、図3Cは、係止部材40の断面模式図である。図4は、弾性領域X及び弾性領域Yについて説明する説明図である。
このおむつ1は、主に新生児や乳幼児等を着用対象とした使い捨ておむつであり、図1に示すように、「縦方向」と、縦方向と交差する「横方向」と、縦方向及び横方向と交差する「前後方向」と、を有する。縦方向のうち、着用者の胴側を「上側」とし、着用者の股下側を「下側」とする。前後方向のうち、着用者の腹側となる側を「前側」とし、着用者の背側となる側を「後側」とする。また、着用者がおむつ1を着用した状態において、着用者の肌と接触する側を「肌側」とし、その反対側を「非肌側」とする。また、以下では、図の横方向の左側を「一方側」とし、右側を「他方側」として説明を行う(図2及び図4参照)。
おむつ1は、着用者の股下に配置して排泄物を吸収する吸収性本体10(「股下部」ともいう。)と、着用者の背側を覆う後胴回り部20と、着用者の腹側を覆う前胴回り部30とを有する。後胴回り部20の他方側の端部には、おむつ1の着用時に前胴回り部30に係止可能な係止部41を有する係止部材40が横方向に突出して設けられている。
図2に示した展開状態のおむつ1が、縦方向の略中央位置を折り畳み位置として二つ折りされ、横方向の一方側の端部において後胴回り部20と前胴回り部30とが第1接合部1bにて接合されることで、一方側の脚回り開口部1HLが形成される。横方向の他方側の端部においては、後胴回り部20と前胴回り部30とが接合されておらず、係止部41が前胴回り部30に係止されることによって、他方側の脚回り開口部1HL及び胴回り開口部1HBが形成される。
つまり、本実施形態のおむつ1は、横方向の一方側では後胴回り部20と前胴回り部30とが接合されて閉じており、他方側では両者が接合されずに開いている、所謂「片開き型のおむつ」である。なお、以下では、後胴回り部20と前胴回り部30とが接合されずに開いている側(横方向の他方側)を「オープン側」とも呼ぶ。
後胴回り部20及び前胴回り部30は、その平面形状が略矩形であり、吸収性本体10の長手方向の一端部10aに後胴回り部20が固定され、吸収性本体10の長手方向の他端部10bに前胴回り部30が固定されている。すなわち、後胴回り部20と前胴回り部30との間に吸収性本体10が架け渡されており、後胴回り部20及び前胴回り部30は、吸収性本体10の長手方向に間隔を空けて平行に配置されている。
吸収性本体10の長手方向の一端部10aの領域は、吸収性本体10と後胴回り部20とが重なった領域(第1領域)であり、図2に示すA−B−C−Dで囲まれた矩形状の領域である。また、吸収性本体10の長手方向の他端部10bの領域は、吸収性本体10と前胴回り部30とが重なった領域(第2領域)であり、図2に示すF−G−H−Iで囲まれた矩形状の領域である。
(吸収性本体10)
吸収性本体10(股下部)は、平面視略長方形をなし、その長手方向をおむつ1の縦方向に沿わせつつ横方向の中央に配置されている。図2及び図4において、中心線AC(一点鎖線で示す)は吸収性本体10の横方向における中心である。
吸収性本体10は、液体を吸収して保持する吸収体11と、吸収体11を着用者の肌側から覆いつつ尿等の排泄物を透過させる液透過性の表面シート12と、吸収体11を非肌側から覆いつつ非肌側からの液体の漏れを防ぐ液不透過性の裏面シート13を有する。吸収体11は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を図2に示されるような平面視略砂時計形状等の所定形状に成形したものであり、その内部には高吸収性ポリマーが混入されている。
また、横漏れの防止や脚回りのフィット性を良好にするため、吸収性本体10の横方向における両側部に位置する部位には、当該吸収性本体10の長手方向に沿って伸縮するレッグギャザーLG(脚回り伸縮部)がそれぞれ設けられているが、便宜上、図2等では図示を省略している。
(後胴回り部20)
後胴回り部20は、図3Bに示すように、着用者の肌側に位置する肌側部材21と、非肌側に位置する非肌側部材22と、肌側部材21と非肌側部材22の間に位置する複数の糸ゴム23と、を有する。非肌側部材22は、上端部が肌側に向かって折り返されており、肌側部材21の上端部及び吸収性本体10の上端部を覆っている。
肌側部材21と非肌側部材22とは、それぞれ不織布等の柔軟なシート部材である。糸ゴム23は、後胴回り部20に対して横方向の伸縮性を付与する弾性部材である。本実施形態では、縦方向に所定の間隔で並ぶ複数の糸ゴム23が、横方向に伸長された状態で接着剤等により肌側部材21と非肌側部材22との間で接合されている。
図2及び図4において一点鎖線で示す中心線RCは、後胴回り部20の横方向の中心を示している。後胴回り部20の一方側の端部には第1接合領域20jが設けられ、熱溶着や超音波溶着等の所定の接合手段を用いて前胴回り部30の接合領域30j(後述)と接合されることにより、おむつ1の第1接合部1bが形成される。また、後胴回り部20の他方側の端部には、係止部材40が接合される第2接合領域40jが設けられている。
後胴回り部20の下端部において、横方向の一方側に、横方向の一方側の横端20elから横方向の内側(吸収性本体10が配置された側)に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部20blを有している。また、後胴回り部20の下端部において、横方向の他方側に、横方向の他方側の横端20erから横方向の内側に向かって前胴回り部30の下端30bと略平行に形成された直線部20bsと、直線部20bsから横方向の内側に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部20brと、を有している。横方向の一方側における傾斜部20blと横方向の他方側における傾斜部20brとは、吸収性本体10の横方向の中心線ACを中心として線対称に形成されている。
このように、後胴回り部20が前胴回り部30の下端30bと略平行に形成された直線部20bsを有することにより、係止部41を前胴回り部30に係止した場合、すなわちおむつ1を着用した状態において、前胴回り部30の下端30bと後胴回り部20の直線部20bsとを揃えることができるため、おむつ1の着用状態における見栄えが良くなる。なお、横方向の他方側における傾斜部20brの横方向の長さL2を、横方向の一方側における傾斜部20blの横方向の長さL1より長く設定し(L2>L1)、当該他方側の傾斜部20brの傾斜角度を当該一方側の傾斜部20blの傾斜角度よりも緩やかにしてもよい。
複数の糸ゴム23は、弾性領域Xを形成しておむつ1のフィット性を向上させている。具体的には、後胴回り部20の上端部において、複数の糸ゴム23は、横方向の一方側の横端20elから他方側の横端20erに亘って連続して設けられており、縦方向に所定の間隔で並んで配置されている。後胴回り部20のうち吸収体11と重なる領域、つまり、後胴回り部20の縦方向の中央部及び下端部においては、吸収体11が配置された領域に対応する後胴回り部20の横方向の中央部に複数の糸ゴム23が配置されず、吸収体11よりも横方向の左側(一方側)の領域及び吸収体11よりも横方向の右側(他方側)の領域にそれぞれ、略平行に複数の糸ゴム23が設けられている。
ここで、図4に示すように、後胴回り部20の横方向の一方側に設けられた第1接合領域20jの横方向の内側(他方側)の端から、横方向の他方側に設けられた第2接合領域40jの横方向の内側(一方側)の端までの領域のうち、複数の糸ゴム23が配置されている領域を弾性領域Xという。図4では、弾性領域Xはハッチングで示している。なお、図4では、便宜上、第1接合領域20j及び第2接合領域40jのハッチングは省略している。
なお、図2及び図4に示すように、複数の糸ゴム23は、後胴回り部20の横方向の両側の横端20er,20elまで配置されているが、後胴回り部20の横方向の端部にはそれぞれ、接合領域20j及び第2接合領域40jが設けられているため、第1接合領域20j、及び当該第1接合領域20jよりも横方向の外側、並びに第2接合領域40j、及び当該第2接合領域40jよりも横方向の外側の部分では、伸縮力が実質的に発現できなくなる。したがって、弾性領域Xの横方向に沿った領域の範囲は、第1接合領域20jの横方向の内側の端から、第2接合領域40jの横方向の内側の端までとなっている。
この弾性領域Xの横方向の一方側の端Xe1は、第1接合領域20jの横方向の内側の横端と同じ位置であり、弾性領域Xの横方向の他方側の端Xe2は、第2接合領域40jの横方向の内側の横端と同じ位置である。なお、図4のハッチングで示される弾性領域X以外の領域(非弾性領域)にも複数の糸ゴム23が配置されている場合があるが、当該非弾性領域においては、複数の糸ゴム23が切断されることによって伸縮性を発現しないようにしている。
図4に示すように、弾性領域Xにおいて、横方向の一方側の端Xe1から中心線ACまでの距離L3は、横方向の他方側の端Xe2から中心線ACまでの距離L4よりも短い(L3<L4)。また、図2及び図4に示すように、横方向の中心線BCは、着用者が片脚を入れた状態における身体の略中心となる位置を示している。本実施形態では、当該中心線BCは、後胴回り部20の横方向の中心を示す中心線RCと同じ位置である。中心線RC、BCの横方向の位置は、吸収性本体10の横方向の中心を示す中心線ACとは異なる位置であり、中心線ACよりも横方向の右側(他方側)に距離dだけずれて位置している。
この場合において、後胴回り部20の中心線RCと吸収性本体10の中心線ACとの間の距離dは、前述した弾性領域Xにおける横方向の他方側の距離L4と一方側の距離L3との差よりも小さい(d<L4−L3)。また、当該距離dの2倍の長さ(2d)が、当該他方側の距離L4と当該一方側の距離L3との差以下であることがより好ましく(2d≦L4−L3)、最も好ましくは、当該距離dの2倍の長さと、当該他方側の距離L4と当該一方側の距離L3との差とが等しい場合である(2d=L4−L3)。
(係止部材40)
係止部材40は、図3Cに示すように、着用者の肌側に位置する肌側部材401と、非肌側に位置する非肌側部材402と、肌側部材401及び非肌側部材402よりも肌側に位置する係止部41と、を有する。非肌側部材402は、上端部が肌側に向かって折り返されており、肌側部材401の上端部を覆っている。係止部材40は、熱溶着や超音波溶着等の所定の接合手段を用いて後胴回り部20の第2接合領域40jに接合され、これにより、おむつ1の第2接合部2bが形成される。
肌側部材401と非肌側部材402とは、それぞれ不織布等の柔軟なシート部材である。係止部41は、例えばポリプロピレン等で形成されて、肌側の面に複数の係止用突起(図略)を備えた面ファスナーである。係止部41の係止用突起を、前胴回り部30に設けられたターゲット領域34(後述)に引っ掛けることにより、係止部材40が前胴回り部30に係止される。
第2接合部2b(第2接合領域40j)は、縦方向に沿って設けられており、縦方向の長さH2が、後胴回り部20の横方向の他方側の横端20erの縦方向の長さH1の半分よりも長い(H2>H1/2)。また、後胴回り部20の横方向の他方側の横端20erの縦方向の長さH1は、吸収性本体10の長手方向の一端部10a(第1領域)の下端から他端部10b(第2領域)の下端までの長さH3の半分よりも小さい(H1<H3/2)。
(前胴回り部30)
前胴回り部30は、図3Aに示すように、着用者の肌側に位置する肌側部材31と、非肌側に位置する非肌側部材32と、肌側部材31と非肌側部材32との間に位置する複数の糸ゴム33と、を有する。非肌側部材32は、上端部が肌側に向かって折り返されており、肌側部材31の上端部及び吸収性本体10の上端部を覆っている。また、前胴回り部30の横方向の一方側(左側)の端部には、接合領域30jを有し、後胴回り部20の第1接合領域20jと接合されることで第1接合部1bが形成される。
肌側部材31と非肌側部材32は、それぞれ不織布等の柔軟なシート部材である。糸ゴム33は、前胴回り部30に対して横方向の伸縮性を付与する弾性部材である。本実施形態では、縦方向に所定の間隔で並ぶ複数の糸ゴム33が、横方向に伸長された状態で接着剤等により肌側部材31と非肌側部材32との間で接合されている。
前胴回り部30の非肌側の面には、係止部41と係合可能なターゲット領域34が設けられている。当該ターゲット領域34は、例えば、不織布の表面の繊維をループ状に加工して、係止部41の係止用突起(フック)を係合させやすくした部材等によって形成される。なお、ターゲット領域34と前胴回り部30とを異なる部材とするのではなく、前胴回り部30の非肌側部材32の一部の領域を加工することによってターゲット領域34が形成されるのであっても良い。
複数の糸ゴム33は、弾性領域Yを形成しておむつ1のフィット性を向上させている。複数の糸ゴム33は、前胴回り部30のうち、横方向の一方側(左側)の横端30elから中心線ACよりも横方向の一方側の所定の位置までの間に設けられている。これに対して、前胴回り部30の横方向の他方側(右側)の横端30erから中心線ACまでの間には複数の糸ゴム33が設けられていない。図4のハッチング部分で示されるように、接合領域30jの横方向の内側の横端から、ターゲット領域34の横方向一方側の端34elよりも横方向の一方側(左側)の間で複数の糸ゴム33が配置されている領域を弾性領域Yという。
なお、図4のハッチングで示される弾性領域Y以外の領域(非弾性領域)にも複数の糸ゴム33が配置されている場合があるが、当該非弾性領域においては、複数の糸ゴム33が切断されることによって伸縮性を発現しないようにしている。
図2に示すように、中心線AC(吸収性本体10の横方向の中心の位置)から前胴回り部30の横方向の他方側の横端30erまでの距離L6は、中心線ACから前胴回り部30の横方向の一方側の横端30elまでの距離L5よりも短い(L6<L5)。
また、前胴回り部30の当該他方側の距離L6は、後胴回り部20の横方向の他方側の横端20erから中心線ACまでの距離L8よりも短い(L6<L8)。横方向において、前胴回り部30の横方向の一方側の横端30elの位置と後胴回り部20の横方向の一方側の横端20elの位置とは、ほぼ同じ位置に設けられている。したがって、前胴回り部30の横方向の一方側の横端30elから中心線ACまでの距離L5と、後胴回り部20の横方向の一方側の横端20elから中心線ACまでの距離L7とは、同じである(L5=L7)。距離L5、L6、L7、L8の関係より、前胴回り部30の横方向の長さは、後胴回り部20の横方向の長さよりも短い。横方向において、前胴回り部30の他方側の横端30erは、後胴回り部20の他方側の横端20erよりも内側に設けられている。
さらに、前胴回り部30の横方向の他方側の横端30erから中心線ACまでの距離L6は、係止部材40の横方向の長さL9よりも長い(L6>L9)。なお、横方向における距離(長さ)L5、L6、L7、L8、L9の大小関係は、後胴回り部20及び前胴回り部30を横方向に伸長させた状態におけるものである。ここで、「伸長させた状態」とは、後胴回り部20及び前胴回り部30を横方向に皺なく伸長させた状態をいう。より具体的には、後胴回り部20の横方向の寸法が、肌側部材21の横方向の寸法及び非肌側部材22の横方向の寸法と同じ又はこれらの寸法に近い長さになるまで横方向に伸長させた状態、ならびに、前胴回り部30の横方向の寸法が、肌側部材31の横方向の寸法及び非肌側部材32の横方向の寸法と同じ又はこれらの寸法に近い長さになるまで横方向に伸長させた状態をいう。
<おむつ1の使用態様及び着用状態について>
次に、おむつ1の使用態様及びおむつ1の着用状態について、図5〜9を参照して説明する。
図5Aは、おむつ1の使用態様を示す図であり、図5Bは、着用状態におけるおむつ1を側面から見た図であり、図5Cは、着用状態におけるおむつ1を正面から見た図である。図6は、比較例に係るおむつを着用した場合において、前胴回り部30に係止部40を係止した様子を示す説明図である。図7Aは、ターゲット領域34の範囲及び着用時における係止部41の位置についての一例を示す概略平面図であり、図7Bは、図7Aの状態におけるおむつ1を上から見たときの模式図である。図8は、ターゲット領域34の範囲及び着用時における係止部41の位置についての変形例1を示す概略平面図である。図9Aは、ターゲット領域34の範囲及び着用時における係止部41の位置についての変形例2を示す概略平面図であり、図9Bは、図9Aの状態におけるおむつ1を上から見たときの模式図である。
図5Aに示すように、おむつ1の横方向の一方側の端部は、前胴回り部30と後胴回り部20とが第1接合部1bによって接合され、脚回り開口部1HLが形成されている。これに対して、横方向の他方側の端部は、前胴回り部30と後胴回り部20とが接合されておらず開いた状態となっている。すなわち、おむつ1は、横方向の片側が開いた状態となっている。
このようなおむつ1を着用者(乳幼児等)に着用させる際には、まず、おむつ1の横方向の一方側に形成された脚回り開口部1HLに着用者の片脚(右脚)を入れて、当該片脚を着用状態と同じ位置、つまり、一方側の脚回り開口部1HLを着用者の右脚の付け根に配置する。その後、着用させようとする人が、片方の手で前胴回り部30の他方側の端部を横方向の他方側へ引っ張った状態で押さえる。そして、もう一方の手で係止部材40(後胴回り部20の他方側端部)を横方向の他方側へ引っ張りながら(図5Aにおいて矢印で示す)前胴回り部30の前方側に回し込み、係止部41を前胴回り部30のターゲット領域34に係止させる。これにより、他方側の脚回り開口部1HLが形成されると共に、胴回り開口部1HBが形成されて、おむつ1を着用状態とする(図5C参照)。
このような着用方法であれば、一方側の脚回り開口部1HLに着用者の片脚を通した状態で、ターゲット領域34に係止部41を係止させることで、他方側の脚回り開口部1HL及び胴回り開口部1HBを同時に形成することができる。したがって、着用者たる新生児や乳幼児が脚をバタつかせているような場合であっても、おむつ1を容易に着用させることができる。
このとき、弾性領域Xの横方向の一方側の端Xe1から吸収性本体10の中心線ACまでの距離L3と、他方側の端Xe2から中心線ACまでの距離L4とを同じ長さにすると、係止部材40を引っ張ることで後胴回り部20が横方向に伸長して、吸収体10が横方向の他方側に動いてしまい、着用者の身体の略中心から吸収性本体10がずれてしまって、排泄物が漏れてしまったり、着用者に違和感を与えてしまったりするおそれがあった。
そこで、おむつ1では、着用者の身体の略中心から吸収性本体10の横方向の中心がずれてしまうことを予め見越して、弾性領域Xの横方向の一方側の端Xe1から吸収性本体10の中心線ACまでの距離L3を、横方向の他方側の端Xe2から中心線ACまでの距離L4より短くした(L3<L4)。これにより、係止部材40を横方向の他方側に引っ張り、係止部41を前胴回り部30に係止して着用状態のおむつ1に変形させたとき、後胴回り部20が横方向に伸長して吸収性本体10が横方向の他方側(左脚側)へ移動するが、中心線ACが中心線BCに近づくため、吸収性本体10を着用者の身体の中心に近づけることができる。
また、おむつ1は、弾性領域Xの横方向の一方側の端Xe1から吸収性本体10の中心線ACまでの距離L3を、他方側の端Xe2から中心線ACまでの距離L4と異なる長さにすることができるため、一方側の距離L3を一方側の脚(本実施形態では右脚)の大きさに応じた脚回り開口部1HLに適した長さに設定して一方側の脚回り開口部1HLのフィット性を向上させることを可能とすると共に、係止部41の係止によって他方側の脚(本実施形態では左脚)の脚回り開口部1HLを調整して他方側の脚回り開口部1HLのフィット性も確保することができる。
本実施形態においては、前胴回り部30のうち、横方向の一方側の端部から中心線ACまでの領域は、横方向に沿った弾性領域Yを有しており、他方側の端部から中心線ACまでの領域は、弾性領域を有していない(伸縮性を有しない)ことで、おむつ1のフィット性を向上させている。前胴回り部30の他方側の端部から中心線ACまでの領域は、係止部材40の係止部41が係止する領域であるため、この領域に糸ゴム33等の弾性部材を配置すると、弾性部材の伸縮によって、係止が外れやすくなってしまうおそれがある。この問題を軽減するため、他方側の端部から中心線ACまでの領域、すなわち係止部41が係止される領域は、弾性領域を有していないのである。このとき、ターゲット領域34は、前胴回り部30のうち、弾性領域を設けていない部分に配置している。
さらに、本実施形態においては、横方向において、前胴回り部30の縦方向の上端の、一方側の端と中心線ACとの距離L5が、前胴回り部30の縦方向の上端の、他方側の端と中心線ACとの距離L6よりも長いため(L5>L6)、他方側の係止部41で前胴回り部30に係止した際に、後胴回り部20が前後方向に重ねられる前胴回り部30の領域をより小さくすることができる。これによって、着用中の、後胴回り部20と前胴回り部30が重ねられることによって生じる違和感や不快感を軽減させることができる。
さらに、本実施形態においては、横方向において、後胴回り部20の中心線RCから吸収性本体10の中心線ACまでの距離dを、弾性領域Xの他方側の端Xe2と中心線ACとの距離L4と、弾性領域Xの一方側の端Xe1と中心線ACとの距離L3との差より小さくすることで(d<L4−L3)、係止部41を前胴回り部30に係止する際に、横方向における吸収性本体10の中央(中心線AC)と、人の身体の略中心(中心線BC)とがずれてしまうおそれをより軽減することができる。なお、本実施形態においては、人の身体の略中心位置を示す中心線BCと、後胴回り部20の横方向の中央を示す中心線RCとを同位置としたが、これに限られない。人の身体の大きさや、各部材の寸法、弾性部材の伸縮力等によって、中心線BCの位置を適宜調整することができ、中心線BCの位置が中心線RCと異なる位置に設けられていてもよい。
前述のように、おむつ1は、前胴回り部30のうち、後胴回り部20や係止部材40が重ねられる領域は、糸ゴム33の伸縮力が発揮されないため、各糸ゴム23と各糸ゴム33とが同じ伸縮力を有している場合、人の身体の略中心を示す中心線BCと、後胴回り部20の横方向の中央を示す中心線RCとを同じ位置に設け、距離dの2倍の長さと、距離L4と距離L3との差とを同じにした場合(2d=L4−L3)が、糸ゴム23、33による胴回り開口部1HBを適度にフィットさせることができる最も理想的な位置関係となり得る。
おむつ1は、前胴回り部30のうち、中心線ACより他方側は、係止部41により係止されるため、糸ゴム33を有していない。また、この領域に糸ゴム33を有していても、係止部41の係止によって伸縮性が低下してしまい、着用中に、一方側に比べて他方側の伸縮性が弱くなってしまうおそれがある。そこで、後胴回り部20における複数の糸ゴム33が配置された領域である弾性領域Xにおいて、一方側の端Xe1と中心線ACとの間に設けられた弾性領域Xの糸ゴム33の数より、他方側の端Xe2と、中心線ACとの間に設けられた弾性領域Xの糸ゴム33の数の方を多く設けることが望ましい。これにより、おむつ1のフィット性を向上させることができる。
さらに、本実施形態においては、後胴回り部20は、係止部41を備えた係止部材40を有しており、係止部材40は、後胴回り部20の第2接合領域40jで、後胴回り部20の他方側の端部に固着されており、第2接合領域40jの縦方向の長さH2を、後胴回り部20の他方側の横端20erの長さH1の半分以上の長さとすることで(H2>H1/2)、図5Aに示す状態から、係止部材40を引っ張って前胴回り部30に係止させる際に、係止部材40を引っ張った力を、胴回り部20の他方側の横端20erの半分以上の部分に与えることができる。これによって、前胴回り部30により均等な力を加えることができ、前胴回り部30の一部分に過剰な力が加えられることによる前胴回り部30の破損や変形のおそれを軽減することができる。
さらに、後胴回り部20、前胴回り部30、及び吸収性本体10は、それぞれ別体で、後胴回り部20の下端部の横方向の一方側には傾斜部20blを有し、後ろ胴回り部20の下端部の横方向の他方側には傾斜部20brを有し、傾斜部20blの横方向の長さL1より傾斜部20brの横方向の長さL2の方を長くしてもよい(L2>L1)。一方側の傾斜部20blの横方向の長さL1を、着用者の脚回りの大きさに応じた長さに設定して、一方側の脚回り開口部1HLは、着用者の脚によりフィットさせる。他方側の傾斜部20brは、他方側の傾斜部20brの横方向の長さL2を、一方側の傾斜部20blの横方向の長さL1より長くして、着用時に係止部41による係止によって他方側の脚回り開口部1HBの大きさを調整してもよい。
さらに、本実施形態においては、後胴回り部20、前胴回り部30、及び吸収性本体10は、それぞれ別体であり、吸収性本体10の前後方向の後側に、後胴回り部20に重ねられた一端部10aが設けられており、吸収性本体10の前後方向の前側に、前胴回り部30に重ねられた他端部10bが設けられており、一端部10aの下端から他端部10bの下端までの吸収性本体10の長さH3の半分より、後胴回り部20の他方側の横端20erの長さH1の方が小さい(H3/2>H1)。一端部10aの下端から他端部10bの下端までの吸収性本体10の長さH3を比較的長くして、各脚回り開口部1HLを脚の大きさに応じた長さに設けることができるようにするとともに、後胴回り部20の他方側の端20eの長さを短くすることで、係止の際に係止部材40を引っ張った力を後胴回り部20に伝えやすくなるため、より装着させやすくなる。
さらに、本実施形態においては、横方向において、後胴回り部20の上端部における弾性領域Xは、少なくとも吸収性本体10の一端から他端に渡って連続して設けられているため、係止部41を前胴回り部30に係止する際に、横方向における吸収性本体10の中央(中心線AC)と、着用者の股間の中央(中心線BC)とがずれるおそれを軽減することができる。
(前胴回り部30と後胴回り部20との重なり部分の位置ずれについて)
次に、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と後胴回り部20の横方向の他方側の端部200との重なり部分の位置ずれについて、図6を参照して説明する。
図6は、比較例に係るおむつを着用した場合の様子を示す説明図である。
図6に示すおむつでは、前胴回り部30及び後胴回り部20を横方向に伸長させた状態において、前胴回り部30の横方向における、吸収性本体10の中心の位置(中心線AC)から他方側の横端30erまでの距離L6が、後胴回り部20の横方向における、吸収性本体10の中心の位置(中心線AC)から他方側の横端20erまでの距離L8(図2参照)と等しいか、当該距離L8よりも長い(L6≧L8)。この場合、おむつを着用した際、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と後胴回り部20の横方向の他方側との重なり部分の領域が大きくなる。
片開きパンツ型のおむつでは、横方向の他方側(オープン側)においては、係止部41が前胴回り部30のターゲット領域34に係止されているだけであるため、前胴回り部30において係止部分よりも横方向の他方側の部分(後胴回り部20の横方向の端部と重なる部分)では、後胴回り部20と固定されていない。例えば、寝ている赤ちゃん(着用者)が脚をバタつかせたような場合、赤ちゃんの脚の動きに追従して、肌側に位置する前胴回り部30の横方向の他方側において、後胴回り部20の横方向の他方側の端部200と重なる部分(端部300を含む領域)がよれて縦方向に位置ずれを起こしやすくなる(図6参照)。また、寝ている赤ちゃんが寝返りを打つ等して横方向に動いた場合、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300が横方向の一方側へ向かって丸まりやすくなる。そして、前胴回り部30の横方向の他方側において、後胴回り部20の横方向の他方側の端部と重なる部分の領域が大きいほど、当該重なる部分において前述のような位置ずれを起こしやすくなり、かつ位置ずれを起こした際のずれ幅が大きくなってしまう。なお、図6では、位置ずれを起こす前の前胴回り部30の状態(位置)を二点鎖線で示している。
しかしながら、おむつ1では、前述のとおり、前胴回り部30及び後胴回り部20を横方向に伸長させた状態において、前胴回り部30の横方向における、吸収性本体10の中心の位置(中心線AC)から他方側の横端30erまでの距離L6が、後胴回り部20の横方向における、吸収性本体10の中心の位置(中心線AC)から他方側の横端20erまでの距離L8よりも短い(L6<L8)ため(図2参照)、おむつ1の着用時において前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と後胴回り部20の横方向の他方側との重なり部分の領域が小さくなる。これにより、前述のような位置ずれを起こしにくくすることができる。また、位置ずれが起きた場合であっても、ずれ幅を小さくすることができる。このため、おむつ1の着用時においてフィット性を良好にすることができる。
次に、係止部41の係止位置、係止状態(着用状態)における弾性領域Xの位置、及び係止状態(着用状態)における第2接合部2bの位置について、図5〜図9を参照して説明する。
(係止部41の係止位置)
まず、係止部41の係止位置について説明する。
図7A及び図7Bでは、おむつ1を着用者に履かせた際、係止部41の横方向の中心41Cがターゲット領域34の横方向の中心34Cに位置するように、係止部41が前胴回り部30に係止される。
図8は、図7A及び図7Bに示す場合と比較して、胴回り開口部1HBが狭くなるように係止部41を係止させた状態について表している。ターゲット領域34が中心線ACよりも一方側の領域にも設けられていることにより、係止部41を中心線ACよりも一方側にずれた位置に係止させることが可能となる。これにより、後胴回り部20と前胴回り部30との重なり部分が大きくなり、その分、胴回り開口部1HBを小さく形成することができるようになるため、胴回りサイズの小さい着用者(乳幼児等)に良好なフィット感を与えることができる。
なお、図7〜図9では、係止部41の全領域がターゲット領域34と重なるように位置しているが、係止を行う際には必ずしも係止部41の全領域がターゲット領域34と重なる必要は無く、少なくとも一部の領域が互いに重複していれば良い。但し、係止部41とターゲット領域34との重複部分の面積が大きいほど両者の係合が強くなるため、係止部41の全領域がターゲット領域34と重複していることが望ましい。
図9A及び図9Bは、図8とは反対に、胴回り開口部1HBが広くなるように係止部41を係止させた状態について表している。図9A及び図9Bでは、横方向において、係止部41の第2接合部2b側の端41erが、吸収性本体10の横方向の他方側(第1接合部1b側とは反対側)の横端10erに位置するように、係止部41が前胴回り部30に係止される。これにより、後胴回り部20と前胴回り部30との重なり部分が小さくなり、その分、胴回り開口部1HBを大きく形成することができるようになるため、胴回りサイズの大きい着用者(乳幼児等)に良好なフィット感を与えることができる。
ただし、図9A及び図9Bに示す係止位置を基準の係止位置として、係止部41の第2接合部2b側の端41erが当該係止位置、又は当該係止位置よりも横方向の内側に位置するように係止部41が前胴回り部30に係止されることが望ましい。例えば、前胴回り部30の下端から係止部41が突出した状態で、係止部41が前胴回り部30に係止されるような場合を考える。仮に、係止部41の第2接合部2b側の端512が吸収性本体10の横方向の他方側の横端10erよりも横方向の外側に位置する場合、剛性を有する係止部41の突出部分が着用者の脚に触れて着用者の肌を傷つけてしまうおそれがある。一方で、係止部41の第2接合部2bの側の端41erが前述した基準の係止位置、又は基準の係止位置よりも横方向の内側に位置する場合には、係止部41の突出部分は吸収性本体10に重なるため、当該突出部分が着用者の脚に触れてしまうことを回避できる。
図8や図9A及び図9Bに示すように、係止部41の横方向の中心41Cがターゲット領域34の横方向の中心34Cに位置するように、係止部41を前胴回り部30に係止する必要は必ずしもない。
(係止状態における弾性領域Xの位置)
次に、係止部41が前胴回り部30に係止されている状態(おむつ1の着用状態)における弾性領域Xの位置について説明する。
図9A及び図9Bに示すように、係止部41が基準の係止位置で係止している状態では、弾性領域Xが横方向における前胴回り部30の横方向の他方側の端部300の非肌側に位置し、かつ、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と重なり部分(図9Bにおいて太い破線で示す)を有する。なお、係止部41が基準の係止位置よりも横方向の内側で係止している状態(図7A及び図7Bならびに図8参照)においても、弾性領域Xが横方向における前胴回り部30の横方向の他方側の端部300の非肌側に位置し、かつ、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と重なり部分(図7Bにおいて太い破線で示す)を有している。
図6に示すように、後胴回り部20の横方向の他方側の端部200が弾性領域Xを有していない場合には、前述のように、着用者である赤ちゃんが、脚をバタつかせたり、寝返りを打ったりした際、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と後胴回り部20の横方向の他方側の端部200とが滑り合って、重なり部分において位置ずれが起こりやすくなる。しかしながら、おむつ1では、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300が弾性領域Xの弾性力によって着用者の肌へ押し付けられるため、前胴回り部30と後胴回り部20との重なり部分における位置ずれを抑制して、おむつ1の着用時におけるフィット性を良好にすることができる。
また、本実施形態では、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300は、伸縮性を有していない(弾性領域Yを有していない)ため、弾性領域Xの弾性力が作用した際、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300が着用者の肌に対して平面的に押し付けられるため、肌への違和感が抑制されて肌触りが良好となる。
また、本実施形態では、弾性領域Xの縦方向の長さH5は、前胴回り部30の横方向の他方側の端部200の縦方向の長さH4よりも長い(H5>H4)ため、縦方向において、前胴回り部30の横方向の他方側の端部200を弾性領域Xによって覆うことができ、前胴回り部30の横方向の他方側の端部200の縦方向の領域全体に弾性力が作用することになり、前胴回り部30と後胴回り部20との重なり部分における位置ずれをより抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、係止部41が基準の係止位置で係止している状態(図9A参照)及び基準の係止位置よりも横方向の内側の位置で係止している状態(図7A及び図8参照)では、弾性領域Xは、前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と重なる部分を含め、第1接合部1bよりも前側に位置する部分を有している。これにより、おむつ1のオープン側においても、弾性領域Xによる弾性力が作用してフィット性を向上させることができる。
(係止状態における第2接合部2bの位置)
次に、係止部41が前胴回り部30に係止されている状態(おむつ1の着用状態)における第2接合部2bの位置について説明する。
係止部41を基準の係止位置に係止した状態(図9A参照)、及び基準の係止位置よりも横方向の内側の位置で係止した状態(図7A及び図8参照)において、第2接合部2bは第1接合部1bの位置よりも前側に位置している(図7B及び図9B参照)。
着用者である赤ちゃんは、図5Bに示すように、前方に向かってお腹が出っ張っていることが多く、前胴回り部30は着用者のお腹の出っ張りによって下方向の力を受ける(図5B及び図5Cに示す矢印参照)。前胴回り部と後胴回り部とが接合されて剛性を有する接合部は、着用時において着用者の両脇腹に位置していることが多く、前胴回り部は柔らかい不織布等で形成されていることから下方へずり落ちやすく、位置ずれを起こしやすい。
しかしながら、おむつ1では、前述したように、剛性を有する第2接合部2bが、着用者の右脇腹に位置する第1接合部1bよりも前側(腹側)に位置するため、第2接合部1bによって着用者のお腹の出っ張りを支えることができる(図5C参照)。これにより、着用者のお腹の出っ張りによる前胴回り部30の下方への位置ずれが抑制され、おむつ1の装着性が良好になる。
本実施形態では、第2接合部2bが、後胴回り部20の横方向の他方側の端部200において縦方向に沿って設けられており、部分的に設けられている場合よりも縦方向に長く設けられているため、着用者のお腹の出っ張りを支える「支え棒」としての機能を発揮して、着用者のお腹の出っ張りによる前胴回り部2の下方への位置ずれをより抑制することができる。
また、本実施形態では、第2接合部2bにおいて重なっている部材の点数(4枚)が、前胴回り部30において重なっている部材の点数(2枚)よりも多い(図3A及び図3C参照)。このように、第2接合部2bにおける剛性を前胴回り部30における剛性よりも大きくすることにより、第2接合部2bによって着用者のお腹の出っ張りをより確実に支えることが可能となる。ここで、第2接合部2bや前胴回り部30の剛性値としては、例えば、ガーレー剛軟度によって測定された値をサンプル片の長さで割った値を例示できる。ガーレー剛軟度の測定は、(株)安田精機製作所製のNo311のガーレー式柔軟度試験機を用いて、JIS−L1096に準拠して測定できる。
なお、必ずしも、第2接合部2bにおける部材の点数を前胴回り部30における部材の点数よりも多くすることにより、第2接合部2bにおける剛性を前胴回り部30における剛性よりも大きくする必要はないが、例えば厚みのある部材に変更する等の方法を取らずに剛性を大きくすることが可能となる。
また、本実施形態では、前胴回り部30の横方向における、吸収性本体10の中心の位置(中心線AC)から他方側の横端30erまでの距離L6が、係止部材40の横方向の長さL9よりも長い(L6>L9)ことから(図2参照)、係止部材40の横方向の先端(第2接合部2bとは反対側の端)が中心線ACに位置するように係止部41を前胴回り部30に係止した場合に、第2接合部2bが前胴回り部30の横方向の他方側の端部300と重なるため、剛性の高い第2接合部2bが着用者の肌に直接触れなく、肌触りを良好にすることができる。
また、本実施形態では、図7A及び図7Bに示すように、係止部41の横方向の中心41Cがターゲット領域34の横方向の中心34Cに位置するように、係止部41が前胴回り部30に係止した状態において、第2接合部2bが吸収性本体10の横方向の他方側の横端10erよりも内側に位置し、着用者の脚回りに位置しないため、剛性を有する第2接合部2bが着用者の脚(肌)に直接触れにくくなり、おむつ1の着用時において肌触りが良好となる。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
上記の実施形態では、種々の態様を説明したが、少なくとも、横方向において、係止部41の第2接合部2b側(弾性領域X側)の端41erが、吸収性本体10の横方向の他方側の横端10erに位置するように、前胴回り部30に係止部41を係止した状態において、弾性領域Xは、横方向における前胴回り部30の他方側の端部300の非肌側に位置し、かつ、前胴回り部30の他方側の端部300と重なり部分を有していればよい。したがって、当該重なり部分以外における部分での弾性領域Xは、例えば後胴回り部20の上端部のみに設ける構成であってもよい。
上記の実施形態では、ターゲット領域34は、前胴回り部30において、吸収性本体10の横方向の中心の位置(中心線AC)から吸収性本体10の横方向の他方側の横端10erの位置までの間に設けられていたが、これに限らず、係止部41の係止位置の許容範囲(吸収性本体10の横方向の他方側の横端10erの位置よりも内側の範囲)を満たすように設けられていればターゲット領域34の大きさについて特に制限はない。
上記の実施形態では、横方向に伸縮可能な複数の糸ゴム23,33によって弾性領域X,Yを形成していたが、これに限らず、例えば前胴回り部30や後胴回り部20を形成する不織布が横方向に伸縮可能な伸縮性の不織布等で弾性領域X,Yが形成されていてもよい。
上記の実施形態においては、吸収性物品の一例としていわゆる3ピースタイプの使い捨ておむつ1を例示したが、何等これに限られない。例えば、後胴回り部と前胴回り部とを股下を介して一体化した外装シートを第1部品、外装シートの肌側面に固定される吸収性本体を第2部品として有する2ピースタイプの使い捨ておむつであっても良い。
上記の実施形態では、ターゲット領域34がループを有し、係止部41がフックを有し、ループにフックが引っ掛かることによってターゲット領域34に係止部41を係止させる例について説明されていたが、ターゲット領域34及び係止部41の構成は、それぞれ上述の例には限られない。例えば、ターゲット領域34及び係止部41の少なくとも一方の表面に粘着性を有する部材が設けられており、当該粘着性の部材を他方の表面に貼付することによって、両者が係止されるのであっても良い。
上記の実施形態においては、着用時において、係止部材40が後胴回り部20から横方向に突出した状態を説明したが、使い捨ておむつ1が製造された状態で係止部材40が折り畳まれていても良く、係止部材40が前胴回り部30とミシン目等で仮連結されていても良い。
上記の実施形態においては、後胴回り部20及び前胴回り部30について、吸収体11と重なる領域は、糸ゴム23,33を設けないこととしたが、これに限られない。吸収体11と重なる領域に糸ゴム23,33を設けても良い。吸収体11と重なる領域に糸ゴム23,33を設けないことにより、吸収体11が糸ゴム23,33の伸縮により変形されるおそれを軽減することができる。一方、吸収体11と重なる領域に糸ゴム23,33を設けることで、伸縮力により、吸収性本体10をよりフィットさせることができる。
上記の実施形態においては、中心線RC、BCの横方向の位置は、中心線ACの横方向の位置よりも横方向の右側(他方側)に距離dだけずれていたが、中心線RC、BCの横方向の位置と中心線ACの横方向の位置とが同じであってもよい。すなわち、後胴回り部20の横方向の中心の位置と吸収性本体10の横方向の中心の位置とが同じになるように吸収性本体10が前胴回り部30と後胴回り部20との間に架け渡されていてもよい。