(実施の形態1)
(無線通信システムの構成例)
図1は、実施の形態1にかかる無線通信装置を含むシステムの全体構成例を示す図である。無線通信装置は、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、各無線LANルータ101が接続されるコントローラ102と、コントローラ102に接続されるサーバ103と、を含む。
第1の無線通信装置は、オフィス等の既設のネットワークインフラに設けられた(予め登録された)通信機器111との間の無線通信を行う無線LAN(WLAN)ルータ101(101a〜101e)である。第2の無線通信装置は、既設のネットワークインフラに対し外部から持ち込まれる不特定な無線LAN(WLAN)モバイルルータ112(112a,112b)である。無線LANモバイルルータ112は、同様に外部から持ち込まれる外部通信機器121との間の無線通信を行う。
実施の形態1では、無線LANルータ101と、外部から持ち込まれる無線LANモバイルルータ112とで異なるモードを予め設定しておく。例えば、「ホームモード」と「アウェイモード」の2種類のモードとする。そして、無線LANルータ101は、「ホームモード」に設定する。無線LANモバイルルータ112は、「アウェイモード」に設定する。これらのモードは、機器製造時等にメモリに設定記憶しておくことができる。
無線LANルータ101は、例えば、オフィス等に設置されるものであり、各無線LANルータ101(101a〜101e)の通信範囲HA〜HEの一部が重なるように、予め設置位置を定めて所定位置に固定設置される。無線LANルータ101は、無線LANのアクセスポイント(AP)として機能し、通信範囲HA〜HEに位置しているオフィスの通信機器111(例えば、PC等のコンピュータ装置)と無線通信を行い、コントローラ102を介してサーバ103に通信接続する。
コントローラ102は、APである複数の無線LANルータ101が送受信するデータを管理制御する。また、コントローラ102は、無線LANルータ101の通信状態に関する情報をサーバ103に出力する。また、コントローラ102は、サーバ103が出力する制御情報を無線LANルータ101に転送する。後述するが、制御情報は、無線LANモバイルルータ112の無線電波の発信/停止の情報を含む。
サーバ103は、インターネット等の外部ネットワークに接続され、コントローラ102を介して無線LANルータ101に無線接続された通信機器111に対するデータ等情報の入出力を制御する。
サーバ103は、無線LANルータ101を、1台単位あるいは、例えば、所定のエリア毎にグループ分けし、グループ別の複数台の無線LANルータ101を単位別に管理してもよい。図1の例では、無線LANルータ101a〜101cを一つのグループ(GroupA)に設定し、無線LANルータ101d,101eを他のグループ(GroupB)に設定する。
サーバ103は、この単位に相当する1台あるいは複数台の無線LANルータ101の通信範囲内に制御情報を定期的に通信することで、設定した1台あるいはグループ単位の通信範囲に持ち込まれた無線LANモバイルルータ112に対する通信制御を行う。例えば、オフィスの部署毎に異なるグループに設定する。そして、グループ単位の複数の無線LANルータ101の通信状態を判断し、判断した通信状態に基づき、グループ単位の複数の無線LANルータ101の通信範囲内の無線LANモバイルルータ112に対する通信制御を行うことができる。
無線通信システム100で規定したネットワークインフラの通信範囲HA〜HE内には、ユーザ等が携帯する無線LANモバイルルータ112が持ち込まれる。無線LANモバイルルータ112は、外部通信機器121等との間の無線通信を行う第2の無線通信装置である。
ここで、図1に示すように、ユーザが無線LANモバイルルータ112(112a,112b)と、外部通信機器121(121a〜121e)とを持ち込み、これら無線LANモバイルルータ112と、外部通信機器121との間の無線通信を行ったとする。
この場合、既設のネットワークインフラの無線LANルータ101により形成される通信範囲HB,HC,HDに2台の無線LANモバイルルータ112a,112bの通信範囲AA,ABの一部が重なる状態となる。そして、ユーザが持ち込んだ外部通信機器121aが無線LANモバイルルータ112aとの無線通信を行う際、外部通信機器121aの無線電波WAは、既設の通信機器111が無線LANルータ101bの無線電波WHと干渉する恐れがある。無線電波WAと無線電波WHが使用する通信周波数(使用チャンネル:ch)が同一の場合、無線電波WAが既設の通信機器111の無線電波WHに干渉し、既設の通信機器111(即ち既設のネットワークインフラ)の無線通信を妨害することになる。
例えば、無線LANルータ101bの通信範囲HBに無線LANモバイルルータ112aの通信範囲AAの一部が重なり、無線電波WHに対し無線電波WAが干渉する。これに限らず、持ち込まれた無線LANモバイルルータ112a,112bの移動等により、さらに多くの既設の通信範囲HA〜HEにおける無線電波の干渉が生じる恐れがある。
一般に、無線LANモバイルルータ112のチャンネルは、固定のチャンネルを選択して設定するモードと周囲の電波状況から空いているチャンネルを自動で選択するモードの2種類のモードを有する。無線LANモバイルルータ112は、チャンネルを自動で選択するモードにおいて周囲の電波状況から空いているチャンネルを選択する場合、周囲の無線電波を出力している通信機器(例えば外部通信機器121)に関係なく電波状況を見てチャンネルを選択する。
このような2種類のモードは、オフィス等でネットワークインフラ設備として設置されている無線LANルータ101も同様に有する。この場合、無線LANモバイルルータ112および無線LANルータ101が互いにチャンネル干渉を避けるためにチャンネル切り替えやデータの再送を頻繁に行うこととなり、通信品質を低下させる要因となる。また、無線LANモバイルルータ112が多数持ち込まれた場合、空いているチャンネルを見つけることができず適当なチャンネルに設定されるため、無線LANルータ101を用いるネットワークインフラに対する電波干渉源となり、通信障害を引き起こす。
このため、実施の形態1では、図1に示すように、オフィス等に設置されているネットワークインフラ向けの無線LANルータ(第1の無線通信装置)101をホームモードに分類する。一方、外部から持ち込まれる無線LANモバイルルータ(第2の無線通信装置)112をアウェイモードに分類する。
そして、ネットワークインフラ向けの(ホームモードの)無線LANルータ101は、定期的に発信するビーコンフレームの中に制御情報(制御パラメータ)を組み込む。そして、外部から持ち込まれる(アウェイモードの)無線LANモバイルルータ112に対し制御情報を含むビーコンを送信し、無線LANモバイルルータ112における無線LANの電波の発信/停止を制御する。
制御情報は、サーバ103が生成する。サーバ103は、ネットワークインフラの各無線LANルータ101の通信状態に関する情報(例えば通信品質)をコントローラ102を介して収集する。そして、サーバ103は、無線LANルータ101の通信品質の悪化(通信品質の劣化等)に基づき、グループを指定しコントローラ102を介して制御情報を無線LANルータ101に送信する。これにより、無線LANモバイルルータ112の無線LANの電波が、無線LANルータ101の電波に干渉することを回避して、ネットワークインフラである無線LANルータ101を用いた無線通信の通信品質を確保する。
(無線LANルータの構成例)
図2は、実施の形態1にかかる第1の無線通信装置の構成例を示す図である。上記無線LANルータ(第1の無線通信装置)101の内部構成例を示す。無線LANルータ101は、制御部201と、メモリ部202と、有線LAN通信部203と、無線LAN通信部204と、ルータ部205と、電源部206と、表示部207と、有線WAN通信部208と、バス209と、を含む。
制御部201は、無線LANルータ101全体の制御を司る。制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。そして、CPUがROMに格納されたプログラムを実行し、RAMを作業領域として用いることで、制御部201の機能を実現できる。
メモリ部202は、制御部201の制御により、無線LANルータ101の各種設定情報やデータ等を記憶保持する。そして、メモリ部202には、予め出荷時等に、無線LANルータ(第1の無線通信装置)101であることを示す識別情報として「ホームモード」を設定記憶しておく。
有線LAN通信部203は、有線接続された通信機器との間で有線LANによる通信を行う。図1の例では、無線LANルータ101bの有線LAN通信部203は、無線LANルータ101の近傍(例えば通信範囲HB相当の範囲)に位置するコンピュータ装置111と有線LANによる通信を行う。
無線LAN通信部204は、無線LANルータ101の通信範囲内に位置する通信機器との間で無線LANによる無線通信を行う。例えば、図1に示すコンピュータ装置111との間で、無線LANによる無線通信を行ってもよい。
そして、制御部201は、無線LAN通信部204を介して定期的にビーコンフレームを通信範囲内に無線送信させる。このビーコンフレームには、サーバ103が生成した「アウェイモード」の無線LANモバイルルータ112に対する通信の制御情報が含まれる。ビーコンフレームは、例えば、無線LAN規格(例えば、IEEE802.11)のフレームフォーマットを用いることができる。制御情報は、例えば、ビーコンフレームのうち一部、例えば、データ領域のうち1ビットを用い「1:通信、0:停止(停波)」の状態を規定して用いることができる。
有線WAN通信部208は、無線LANルータ101を外部の有線WANと有線接続する。有線WANは、例えばイーサネットを介して接続されるインターネット等の外部ネットワークである。この有線WAN通信部208は、例えばイーサネット(登録商標)によりコントローラ102を介してサーバ103に接続され、サーバ103を介して外部ネットワーク(WAN)に接続される。
ルータ部205は、有線LAN通信部203および無線LAN通信部204により通信接続した通信機器と、有線WAN通信部208により通信接続した有線WANとの間のデータの経路設定を行う。これにより、無線LANルータ101を介して無線LANルータ101近傍や通信範囲内に位置する通信機器111がインターネット等の外部ネットワークに接続できる。
電源部206は、無線LANルータ101を構成する各部に動作電源を供給する。表示部207は、例えばLED等により無線LANルータ101の動作状態等を表示する。バス209は、制御部201に各構成部(202〜208)をバス接続する。
(無線LANモバイルルータの構成例)
図3は、実施の形態1にかかる第2の無線通信装置の構成例を示す図である。上記の無線LANモバイルルータ(第2の無線通信装置)112の内部構成例を示す。無線LANモバイルルータ112は、制御部301と、メモリ部302と、無線LAN通信部303と、ルータ部304と、電源部305と、表示部306と、無線WAN通信部307と、バス308と、を含む。
制御部301は、無線LANモバイルルータ112全体の制御を司る。制御部301は、例えば、CPUとROM、RAM等を含む。そして、CPUがROMに格納されたプログラムを実行し、RAMを作業領域として用いることで、制御部301の機能を実現できる。
メモリ部302は、制御部301の制御により、無線LANモバイルルータ112の各種設定情報やデータ等を記憶保持する。そして、メモリ部302には、予め出荷時等に、無線LANモバイルルータ(第2の無線通信装置)112であることを示す識別情報として「アウェイモード」を設定記憶しておく。
そして、制御部301は、サーバ103が生成し、コントローラ102を介して無線LANルータ101が送信するビーコンフレーム中に含まれる制御情報に基づき、無線電波の送信および停止を行う。すなわち、無線LANモバイルルータ112は、ネットワークインフラの無線LANルータ101の通信範囲内に位置しているとき、制御情報に基づき通信が制御される。制御部301は、メモリ部302の設定内容として、自機(無線LANモバイルルータ112)が「アウェイモード」である場合、サーバ103の制御情報にしたがって無線電波の送信制御(送信または停波等)を行う。
無線LAN通信部303は、無線LANモバイルルータ112の通信範囲内に位置する通信機器との間で無線LANによる無線通信を行う。図1の例では、無線LANモバイルルータ112aの無線LAN通信部303は、通信範囲AA内に位置する外部通信機器121a,121cと無線通信を行う。
無線WAN通信部307は、無線LANモバイルルータ112を外部の無線WANと無線接続する。無線WANは、例えば、LTE(Long Term Evolution)の通信規格の携帯電話網である。
ルータ部304は、無線LAN通信部303により無線接続した通信機器と、無線WAN通信部307による無線接続した無線WANとの間のデータの経路設定を行う。これにより、無線LANモバイルルータ112を介して通信範囲AA内に位置する外部通信機器121a,121cが無線WANを介してインターネット等の外部ネットワークに接続できる。
電源部305は、無線LANモバイルルータ112を構成する各部に動作電源を供給する。表示部306は、例えばLED等により無線LANモバイルルータ112の動作状態等を表示する。バス308は、制御部301に各構成部(302〜307)をバス接続する。
(コントローラの構成例)
図4は、実施の形態1にかかるコントローラの構成例を示す図である。上記コントローラ102の内部構成例を示す。コントローラ102は、制御部401と、メモリ部402と、ルータ部403と、電源部404と、表示部405と、有線LAN通信部406と、バス407と、を含む。
制御部401は、コントローラ102全体の制御を司る。制御部401は、例えば、CPUとROM、RAM等を含む。そして、CPUがROMに格納されたプログラムを実行し、RAMを作業領域として用いることで、制御部401の機能を実現できる。
メモリ部402は、制御部401の制御により、コントローラ102の各種設定情報やデータ等を記憶保持する。このメモリ部402には、データの一部としてグループ内の各無線LANルータ101毎の通信品質を格納する(詳細は後述する)。
ルータ部403は、自機(コントローラ102)に無線接続された通信機器と、サーバ103との間のデータの経路設定を行う。有線LAN通信部406は、無線LANルータ101およびサーバ103との間でイーサネット等による通信を行う。
電源部404は、コントローラ102を構成する各部に動作電源を供給する。表示部405は、例えばLED等によりコントローラ102の動作状態等を表示する。バス407は、制御部401に各構成部(402〜406)をバス接続する。
制御部401は、自機(コントローラ102)に接続された無線LANルータ101をグループ毎に管理し、グループ内の各無線LANルータ101の通信状態(通信品質)を取得する。例えば、制御部401は、無線LANルータ101が無線通信している通信機器との間の再送の回数に基づき、通信品質を判断し、判断した無線LANルータ101の通信品質を、有線LAN通信部406を介してサーバ103に送信する機能を有する。
また、制御部401は、有線LAN通信部406を介してサーバ103が生成した制御情報を該当する無線LANルータ101に転送する。
(サーバの構成例)
図5は、実施の形態1にかかるサーバの構成例を示す図である。上記サーバ103の内部構成例を示す。サーバ103は、制御部501と、メモリ部502と、電源部503と、入力部504と、表示部505と、有線LAN通信部506と、バス507と、を含む。
制御部501は、サーバ103全体の制御を司る。制御部501は、例えば、CPUとROM、RAM等を含む。そして、CPUがROMに格納されたプログラムを実行し、RAMを作業領域として用いることで、制御部501の機能を実現できる。
メモリ部502は、制御部501の制御により、サーバ103の各種設定情報やデータ等を記憶保持する。このメモリ部502には、設定情報の一部として通信品質管理テーブル512を保持する。通信品質管理テーブル512は、コントローラ102から受信した、グループ内の各無線LANルータ101が送信する通信品質を記憶保持する(詳細は後述する)。
有線LAN通信部506は、コントローラ102との間でイーサネット等による通信を行う。
電源部503は、サーバ103を構成する各部に動作電源を供給する。入力部504は、サーバ103を操作設定するキーボード等を用いることができる。表示部505は、例えばディスプレイ等によりサーバ103の動作状態や設定状態等を表示する。バス507は、制御部501に各構成部(502〜506)をバス接続する。
制御部501は、コントローラ102から受信した無線LANルータ101の通信状態(通信品質)を通信品質管理テーブル512に受信の都度、更新記憶する。例えば、制御部501は、通信品質管理テーブル512に設定した1台の無線LANルータ101単位、あるいは複数台の無線LANルータ101をまとめたグループ単位で通信品質を判断する。そして、制御部501は、定めた単位に対応する無線LANルータ101の通信範囲に位置する無線LANモバイルルータ112の通信を制御する制御情報を生成する。制御部501は、生成した制御情報を、有線LAN通信部506を介してコントローラ102に送信する。
サーバ103が生成した制御情報は、コントローラ102によりグループに該当する無線LANルータ101に送信される。無線LANルータ101は、制御情報を含むビーコンフレームをグループ(通信範囲)内の無線LANモバイルルータ112に送信し、無線LANモバイルルータ112の無線通信を制御する。
(システム全体の処理概要)
図6は、実施の形態1にかかるシステム全体の処理概要を示すシーケンス図である。上述した無線LANルータ101、無線LANモバイルルータ112、コントローラ102、サーバ103間でやり取りする情報を主に記載してある。
はじめに、コントローラ102は、通信機器111の通信状態をサーバ103に報告する通信状態報告の処理を行う(ステップS601)。この処理では、コントローラ102は、配下の無線LANルータ101の通信状態として、無線LANルータ101が通信機器111との間で行った再送回数を取得し、再送回数に基づいて無線LANルータ101の通信状態(通信品質)を判断する。
例えば、コントローラ102は、無線LANルータ101の再送回数が少なければ通信品質が「良好」、再送回数が多ければ通信品質が「不良」、再送回数が「良好」と「不良」の間であれば通信品質「悪化」と判断する。そして、判断結果の通信状態(通信品質)をサーバ103に送信する。
この際、コントローラ102は、通信状態(通信品質)を所定のデータフレーム(QLI:Quality Level Information)611に設定してサーバ103に送信する。このように、コントローラ102は、配下の複数台の無線LANルータ101(101a〜101e)に対するデータ送受信および通信状態を管理し、各無線LANルータ101の通信状態をQLI611に設定し、例えば定期的にサーバ103に送信する。
この後、サーバ103は、コントローラ102から受信したQLI611が示す無線LANルータ101の通信状態(通信品質)を通信品質管理テーブル512の該当する無線LANルータ101の記憶領域に記憶する。通信品質管理テーブル512には、予め1台あるいはグループ単位の無線LANルータ101が登録されている。
そして、サーバ103は、単位毎の無線LANルータ101の通信状態(通信品質)を判断し、判断結果に基づく制御情報を生成する。そして、制御情報をコントローラ102を介して該当する無線LANルータ101に送信する制御情報送信の処理を行う(ステップS602)。
この際、サーバ103は、制御情報を所定のデータフレーム(QDC:Quality Defense Command)621に設定してコントローラ102に送信する。コントローラ102は、サーバ103から受信したQDC621を該当する無線LANルータ101に転送する。このように、サーバ103は、コントローラ102配下の複数台の無線LANルータ101の通信状態に基づき、制御情報をQDC621に設定し、無線LANルータ101に送信する。
この後、QDC621を受信した無線LANルータ101は、QDC621に含まれる制御情報をビーコンフレームとして通信範囲内に無線送信する通信制御通知の処理を行う(ステップS603)。ビーコンフレーム内には、ACF(Away Control Frame)631が設けられる。ACF631は、例えば1ビットを用いて「1:通信、0:停止(停波)」と規定しておくことができる。
無線LANルータ101は、通信範囲内にビーコンフレームを送信することで、このビーコンフレームは、ネットワークインフラの無線LANルータ101、および外部から持ち込まれた無線LANモバイルルータ112のいずれも受信する。
無線LANルータ101は、「ホームモード」に設定されており、ビーコンフレーム内のACF631を受信しても、ACF631に基づく通信制御は行わず、ACF631を無視する(破棄する)。
一方、無線LANモバイルルータ112は、「アウェイモード」に設定されており、無線LANモバイルルータ112は、ACF631に基づく通信制御を実行する(ステップS604)。例えば、無線LANモバイルルータ112は、ACF631が停止(停波)を示すものであれば、無線電波の送信を停止する。
(通信状態報告のデータフレーム例)
図7は、実施の形態1にかかる通信状態報告のデータフレーム例を示す図表である。コントローラ102は、図7(a)に示すように、通信状態報告用のデータフレーム(QLI)611として、通信品質とともに無線LANルータ101の各種情報を設定してサーバ103に送信する。
QLI611は、1台の無線LANルータ101毎に設定する。このQLI611は、無線LANルータ101の管理番号(10ビット)毎に、ネットワーク識別アドレス(48ビット)と、使用チャンネル(8ビット)と、通信品質(2ビット)と、を含む。ネットワーク識別アドレスとしては、BSSID(Basic Service Set Identifier、48ビット)を使用できる。通信品質として、上記のように「良好」、「不良」、「悪化」の3段階とした場合、2ビットで段階を識別できる。
管理番号は、コントローラ102およびサーバ103が無線LANルータ101を識別する情報であり、ネットワークインフラとして無線LANルータ101を所定の位置に固定設置した際に、コントローラ102およびサーバ103に設定しておくことができる。このため、無線LANルータ101の設置後は、コントローラ102は、管理番号を除く情報をサーバ103に送信すればよく、BSSIDを用いて無線LANルータ101を識別できる。
サーバ103側では、図7(b)に示すように、コントローラ102から受信した各無線LANルータ101毎のQLI611を用いて通信品質管理テーブル512を作成する。この例では、通信制御の単位をグループ化したものであり、例えば、グループAは、通信範囲HA〜HCの3台の無線LANルータ101a〜101cに設定する(図1参照)。
(ビーコンフレームのフォーマット例)
図8は、実施の形態1にかかるビーコンフレームのフォーマット例を示す図表である。無線LANルータ101が通信範囲内に定期的に送信するビーコンフレームの内容であり、例えば、IEEE802.11の規定に沿ったフレーム内容を有する。ビーコンフレーム800の先頭にはフレームコントロール(FC)が設けられ、以降、時間/ID、アドレス1〜3、シーケンスコントロール、アドレス4、データ部、FCS(Frame Check Sequence)がそれぞれ設けられる。
データ部801の一部(末尾の1ビット)には、上述したACF631を設ける。このACF631は、サーバ103が生成した制御情報に基づき、無線LANルータ101が定期的に送信するビーコンに含み無線送信する。このACF631は、無線LANルータ101の通信範囲内に位置している「アウェイモード」の無線LANモバイルルータ112に向けて無線送信される。無線LANモバイルルータ112(制御部301)は、ACF801の内容「1:通信、0:停止(停波)」にしたがって、自機(無線LANモバイルルータ112)の無線LAN通信部303の無線電波を発信または停止制御する。実施の形態1では、ACF801が停止だけを制御するための情報としてもよく、この場合、ACF801のビットが「1」の時、無線LAN通信部303の無線電波を停止制御することとしてもよい。
(通信品質管理テーブルの設定例)
図9は、実施の形態1にかかる通信品質管理テーブルの設定例および通信制御の判断例を説明する図表である。サーバ103が保持する通信品質管理テーブル512の設定例を示す。
図示の例では、グループA〜Cにグループ分けされ、グループAとして3台の無線LANルータ101が設定されている。3台の無線LANルータ101には、それぞれ管理番号が付与され、コントローラ102から受信したQLI611に基づき、BSSID、使用チャンネル、通信品質が更新記憶される。
そして、サーバ103(制御部501)は、通信品質管理テーブル512の通信状態(通信品質)に基づき、グループを単位として、制御情報を生成する。通信品質管理テーブル512の通信品質は、コントローラ102から通知されたものであり、サーバ103は、グループ単位内の複数の無線LANルータ101の通信品質に基づく制御情報を生成する。
例えば、グループAの3台(管理番号1〜3)の無線LANルータ101の通信品質がそれぞれ「良好」、「悪化」、「悪化」であり、サーバ103は、電波発信を停止(ON)にする制御情報(QDC621)を生成する。電波発信の制御内容は、QDC621内の制御情報622(図10参照)の領域に設定され、グループAに属する無線LANルータ101に送信される。
また、グループBの3台(管理番号4〜6)の無線LANルータ101の通信品質がそれぞれ「良好」、「良好」、「悪化」であり、サーバ103は、制御情報(QDC621)を生成せず無線LANルータ101に送信しない。また、電波発信を通信(停止OFF)にする制御情報(QDC621)を生成し、無線LANルータ101に送信することとしてもよい。
このように、サーバ103は、例えば、グループ内の無線LANルータ101の数あたりの通信品質が悪い数の割合が高ければ電波発信を停止(ON)にする制御情報(QDC621)を生成する。
また、グループCの3台(管理番号7〜9)の無線LANルータ101の通信品質がそれぞれ「不良」、「良好」、「良好」である場合、グループ内の無線LANルータ101の数あたりの通信品質が「良好」側である割合が高い。しかし、一つでも「不良」がある場合、サーバ103は、電波発信を停止(ON)にする制御情報(QDC621)を生成し、グループCに属する無線LANルータ101に送信することとしてもよい。
(制御情報送信のデータフレーム例)
図10は、実施の形態1にかかる制御情報送信のデータフレーム例を示す図表である。サーバ103がコントローラ102を介し無線LANルータ101に送信する制御情報送信用のデータフレームとしてQDC621を用いる。QDC621は、通信制御を行う単位(例えば、上記グループA)に属する無線LANルータ101の識別情報と、無線電波発信の制御情報622とを含む。
識別情報は、例えば、グループAの無線LANルータ101を識別できるものであればよく、管理番号(1〜3)、BSSID(A111,A222,A333)等を用いることができる。QDC621を受信したコントローラ102は、識別番号に対応する無線LANルータ101に対してQDC621を転送する。
また、サーバ103およびコントローラ102がいずれも同じグループの情報を保持していれば、サーバ103は、コントローラ102に対してグループの情報を識別情報として用い送信してもよい。
そして、無線LANルータ101は、受信したQDC621に含まれる制御情報622が示す無線電波発信の制御内容をビーコンフレーム内のACF631に設定し、通信範囲内に無線送信する(図8参照)。
(コントローラの制御処理例)
図11は、実施の形態1にかかるコントローラの制御処理例を示すフローチャートである。コントローラ102の制御部401が実行する通信状態報告(図6のステップS601)に関する制御処理例を説明する。
はじめに、制御部401は、無線LANルータ101のBSSIDをチェックし(ステップS1101)、BSSIDをQLI611に設定する(ステップS1102)。個々では、制御部401は、コントローラ102に接続されている無線LANルータ101のBSSIDを取得してQLI611のBSSIDの領域に設定する(図6参照)。
次に、制御部401は、無線LANルータ101の使用チャンネルをチェックし(ステップS1103)、使用チャンネルをQLI611に設定する(ステップS1104)。ここでは、制御部401は、無線LANルータ101が通信範囲の通信機器111と無線通信を行っているチャンネルを取得し、QLIの使用チャンネルの領域に設定する。
次に、制御部401は、無線LANルータ101に再送要求の数が何回生じているかその頻度を確認する(ステップS1105)。無線LANルータ101が通信機器111との間で再送回数が多いほど、通信状態(通信品質)が悪い傾向となる。制御部401は、再送回数に対応した複数の閾値X、Y、Z(X<Y<Z)を用いた再送回数に基づき、通信状態を判断する。例えば、再送回数がX回未満であれば通信品質が「良好」と判断する(ステップS1106)。再送回数がX回以上Y回未満であれば通信品質が「悪化」と判断する(ステップS1107)。再送回数がZ回以上であれば通信品質が「不良」と判断する(ステップS1108)。
そして、制御部401は、ステップS1106〜ステップS1108の判断結果のいずれかの通信品質をQLI611に設定し(ステップS1109)、QLI611をサーバ103に送信する(ステップS1110)。以上により、コントローラ102が管理する1台の無線LANルータ101の通信状態(通信品質)をサーバ103に報告することができる。コントローラ102の制御部401は、管理している複数の無線LANルータ101を順次対象として上記処理を実行することで、コントローラ102配下の無線LANルータ101の通信状態(通信品質)をサーバ103に報告できる。
(サーバの制御処理例)
図12は、実施の形態1にかかるサーバの制御処理例を示すフローチャートである。サーバ103の制御部501が実行する制御情報送信(図6のステップS602)に関する制御処理例を説明する。
制御部501は、コントローラ102が送信したQLI611を受信すると(ステップS1201)、一つの管理番号を付加してQLI611に含まれる情報(図7参照)を通信品質管理テーブル512に設定する(ステップS1202)。これにより、一つの無線LANルータ101に関する通信状態(通信品質)を通信品質管理テーブル512として保持できる。
この後、制御部501は、通信品質管理テーブル512に同じBSSIDが存在するか確認する(ステップS1203)。通信品質管理テーブル512に同じBSSIDが存在する場合(ステップS1203:Yes)、既に管理番号を付加して設定済みの無線LANルータ101に関するQLI611を再度受信した状態に相当する。この場合、制御部501は、今回受信した最新のQLI611の情報を、通信品質管理テーブル512に既に設定済みの同じBSSID(設定済みの無線LANルータ101)の情報に上書き(更新)する(ステップS1204)。
一方、通信品質管理テーブル512に同じBSSIDが存在しない場合(ステップS1203:No)、新たな無線LANルータ101の設置時やグループの追加、変更、あるいはネットワークインフラの新規設置時等に相当する。この場合、制御部501は、今回受信した最新のQLI611の情報を、通信品質管理テーブル512に新規追加する(ステップS1205)。
制御部501は、ステップS1204またはステップS1205の実行後、各グループの通信品質管理テーブル512の通信品質をチェックする(ステップS1206)。チェックの結果、グループ単位(例えばグループA)内で通信品質が悪い割合が高いか判断する。この例では、グループ内の無線LANルータ101について、1台以上通信品質が「不良」または2台以上の「悪化」が存在するか判断する(ステップS1207)。
判断の結果、1台以上通信品質が「不良」または2台以上の「悪化」が存在する場合(ステップS1207:Yes)、制御部501は、QDC621に電波発信停止をON(停波)にする制御情報を設定する(ステップS1208、図9参照)。具体的には、制御部501は、QDC621内の制御情報622のビットを「0:停波」に設定する。
この後、制御部501は、制御情報622を含むQDC621をコントローラ102経由で無線LANルータ101に送信する(ステップS1209)。QDC621には、電波発信停止に該当する無線LANルータ101の識別情報(グループ単位に相当)が設定されている。したがって、ステップS1209の処理後、サーバ103は、送信したQDC621のグループに属する(例えばグループA)の通信品質管理テーブル512に設定したQLIの情報をクリアーし(ステップS1210)、以上の処理を終了する。
なお、電波発信停止に該当する無線LANルータ101にQDC621を送信するが、上述したように、「ホームモード」に設定されている無線LANルータ101は、QDC621を受信しても自機の無線電波の発信を停止しない(図6等参照)。
また、ステップS1207で1台以上通信品質が「不良」または2台以上の「悪化」が存在しない場合(ステップS1207:No)、制御部501は、該当するグループの通信品質が良好であると判断する。そして、制御部501は、ステップS1208以降の処理を実行せず、以上の処理を終了する。
(無線LANルータの制御処理例)
図13は、実施の形態1にかかる無線LANルータの制御処理例を示すフローチャートである。無線LANルータ101の制御部201が実行する通信制御通知(図6のステップS603)に関する制御処理例を説明する。
無線LANルータ101の制御部201は、サーバ103が送信するQDC621をコントローラ102経由で受信待機する(ステップS1301:No)。QDC621を受信すると(ステップS1301:Yes)、制御部201は、ACF631にQDC611の情報を反映させ(ステップS1302)、ビーコンフレーム800の一部にACF631を組み込む(図8参照)。この後、制御部201は、無線LAN通信部204を介してビーコンを自機の通信範囲に無線送信させ(ステップS1303)、以上の処理を終了する。
(無線LANモバイルルータの制御処理例)
図14は、実施の形態1にかかる無線LANモバイルルータの制御処理例を示すフローチャートである。「アウェイモード」に設定された無線LANモバイルルータ112の制御部301が実行する通信制御実行(図6のステップS604)に関する制御処理例を説明する。
無線LANモバイルルータ112は、無線LANルータ101の通信範囲内に位置した状態のとき、無線LANルータ101が無線送信するビーコンを受信する(ステップS1401)。そして、無線LANモバイルルータ112の制御部301は、ビーコンを受信すると、ビーコンフレーム800中に含まれるACF631を確認する(ステップS1402)。
この後、制御部301は、ACF631に無線電波の発信停止が設定されているか否かを確認する(ステップS1403)。ACF631のビットが無線電波の発信停止「0:停止(停波)」であれば(ステップS1403:Yes)、制御部301は、無線LAN通信部303による電波の発信を停止制御する(ステップS1404)。この後、制御部301は、予め定めた一定時間(例えば30分や1時間等)経過すると(ステップS1405)、無線LAN通信部303による電波の発信を再開制御し(ステップS1406)、以上の処理を終了する。
また、ステップS1403において、ACF631のビットが無線電波の発信停止でなければ(ステップS1403:No、「1:通信」に相当)、制御部301は、ステップS1404以降の処理を実行せず、以上の処理を終了する。
以上説明した実施の形態1は、ネットワークインフラ(システム)側である無線LANルータ101と、コントローラ102と、サーバ103は、無線LANルータ101の通信状態(通信品質)の変化を判断する。そして、システムは、通信状態が悪化した場合、持ち込まれた不特定な無線LANモバイルルータ112の無線通信を停止させる制御を行う。これにより、ネットワークインフラとして構築済みの無線LANルータ101の通信範囲内に、無線LANモバイルルータ112が外部から不特定な位置に持ち込まれた場合でも、無線LANルータ101の通信状態(通信品質)の悪化を回避できる。
無線LANモバイルルータ112および無線LANルータ101は、チャンネル切り替えにより互いのチャンネル干渉を避ける機能を有する。しかし、無線LANモバイルルータ112が多数持ち込まれると、全チャンネルが使用中となり、空きチャンネルがなくなる状況となる。このような場合でも、システム側は、無線LANモバイルルータ112の無線通信を停止制御できる。これにより、不特定の無線LANモバイルルータ112が外部から持ち込まれても、無線LANルータ101に対する電波干渉が生じることがなく、ネットワークインフラ側は常に安定した無線通信が行え、通信品質を維持できるようになる。
また、無線LANルータ101は、ビーコンフレームの一部に無線電波停止の制御情報を挿入して通信範囲内に無線送信する。これにより、特別な無線信号を用意せず既存のフレーム構成のまま持ち込まれた無線LANモバイルルータの無線電波の送信を簡単に制御できるようになる。
また、上述したように、無線LANモバイルルータ112を「アウェイモード」に設定し、無線LANルータ101を「ホームモード」に設定しておくことで、「アウェイモード」の各種通信機器が無線電波停止の制御対象であることを明確に分類できる。
上記のシステム構成例では、コントローラ102を設けることで、配下の複数の無線LANルータ101を管理し、サーバ103が通信状態の変化に基づき通信制御の判断処理を行うこととした。これに限らず、各無線LANルータ101が自身の通信状態の変化に基づき、制御情報をビーコンで送信する構成とすることもできる。この場合、無線LANモバイルルータ112に対する通信制御を、無線LANルータ101の制御部201が実行すればよい。また、コントローラ102が配下の複数の無線LANルータ101を1台単位、あるいはグループ単位とした通信状態の変化に基づき、制御情報を生成する構成とすることもできる。この場合、無線LANモバイルルータ112に対する通信制御を、コントローラ102の制御部401が実行すればよい。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1で説明した制御信号に使用チャンネルの情報を追加し、干渉しないチャンネルがあれば、無線LANモバイルルータ112に対し、無線通信のチャンネルを変更して無線通信を継続させる構成である。
実施の形態2のシステムにおける無線LANルータ101、コントローラ102、サーバ103、および無線LANモバイルルータ112の基本構成は、実施の形態1(図2〜図5)と同じである。以下、実施の形態1と異なる構成を主に説明する。
(ビーコンフレームのフォーマット例)
図15は、実施の形態2にかかるビーコンフレームのフォーマット例を示す図表である。実施の形態2では、無線LANルータ101が通信範囲内に定期的に送信するビーコンフレーム800のデータ部801には、実施の形態1同様のACF631に加えて、チャンネル制御情報1501を設ける。
チャンネル制御情報1501は、例えば8ビットの領域を有する。サーバ103は、制御情報(QDC621)を生成する際、無線LANルータ101が使用可能な空きチャンネルの情報をQDC621に含んで無線LANルータ101に送信する。無線LANルータ101は、受信したQDC621に基づき、ACF631とチャンネル制御情報1501をビーコンで無線送信する。これにより、無線LANルータ101と無線通信する通信機器111は、空きチャンネルの情報が示すチャンネルを使用チャンネルとしてチャンネル選択することができる。
(通信品質管理テーブルの設定例)
図16は、実施の形態2にかかる通信品質管理テーブルの設定例および通信制御の判断例を説明する図表である。サーバ103が保持する通信品質管理テーブル512の設定例を示す。
図16に示す通信品質管理テーブル512の設定例は、実施の形態1(図9)同様である。そして、グループAの3台(管理番号1〜3)の無線LANルータ101の通信品質がそれぞれ「良好」、「悪化」、「悪化」であるとき、サーバ103は、電波発信の停止(ON)にする制御情報(QDC621)を生成する。
また、サーバ103は、無線LANルータ101で使用可能な空きチャンネルの情報(11ch)についてもQDC621に設定する。空きチャンネルの情報は、コントローラ102による無線LANルータ101の管理により検出可能であり、コントローラ102は、サーバ103への通信状態報告(図6のステップS601)でQLI611を用いて空きチャンネルを通知することができる。
そして、サーバ103は、これら電波発信の制御と、空きチャンネルの情報をQDC621内の制御情報622(図10参照)に設定し、グループAに属する無線LANルータ101に送信する。
(サーバの制御処理例)
図17A,図17Bは、実施の形態2にかかるサーバの制御処理例を示すフローチャートである。サーバ103の制御部501が実行する制御情報送信(図6のステップS602)に関する制御処理例を説明する。
制御部501は、コントローラ102が送信したQLI611を受信すると(ステップS1701)、一つの管理番号を付加してQLI611に含まれる情報(図7参照)を通信品質管理テーブル512に設定する(ステップS1702)。これにより、一つの無線LANルータ101に関する通信状態(通信品質)を通信品質管理テーブル512として保持できる。
この後、制御部501は、通信品質管理テーブル512に同じBSSIDが存在するか確認する(ステップS1703)。通信品質管理テーブル512に同じBSSIDが存在する場合(ステップS1703:Yes)、既に管理番号を付加して設定済みの無線LANルータ101に関するQLI611を再度受信した状態に相当する。この場合、制御部501は、今回受信した最新のQLI611の情報を、通信品質管理テーブル512既に設定済みの同じBSSID(設定済みの無線LANルータ101)の情報に上書き(更新)する(ステップS1704)。
一方、通信品質管理テーブル512に同じBSSIDが存在しない場合(ステップS1703:No)、新たな無線LANルータ101の設置時やグループの追加、変更、あるいはネットワークインフラの新規設置時等に相当する。この場合、制御部501は、今回受信したQLI611の情報を、通信品質管理テーブル512に新規追加する(ステップS1705)。
制御部501は、ステップS1704またはステップS1705の実行後、各グループの通信品質管理テーブル512の通信品質をチェックする(ステップS1706)。チェックの結果、グループ単位(例えばグループA)内で通信品質が悪い割合が高いか判断する。この例では、グループ内の無線LANルータ101について、1台以上通信品質が「不良」または2台以上の「悪化」が存在するか判断する(ステップS1707)。
判断の結果、1台以上通信品質が「不良」または2台以上の「悪化」が存在しない場合(ステップS1707:No)、該当するグループの通信品質が良好であるため、制御部501は、ステップS1708以降の処理を実行せず、以上の処理を終了する。
また、1台以上通信品質が「不良」または2台以上の「悪化」が存在する場合(ステップS1707:Yes)、制御部501は、通信品質管理テーブル512に設定された使用チャンネルを読み出す。そして、使用チャンネルと現在無線LANルータ101が使用可能なチャンネルと比較する(ステップS1708)。
そして、制御部501は、使用チャンネルと使用可能なチャンネルとの比較により空きチャンネルがあるか判断する(ステップS1709)。使用可能なチャンネルの中から使用チャンネルを除いたチャンネルが空きチャンネルである。空きチャンネルがあれば(ステップS1709:Yes)、制御部501は、空きチャンネルの情報をQDC621のチャンネル制御の情報1501(図15参照)に設定する(ステップS1710)。
一方、空きチャンネルがなければ(ステップS1709:No)、制御部501は、QDC621に電波発信停止をON(停波)にする制御情報を設定する(ステップS1711、図15参照)。具体的には、制御部501は、QDC621内の制御情報622のビットを「0:停波」に設定する。
ステップS1710またはステップS1711の処理後、制御部501は、制御情報622およびチャンネル制御の情報1501を含むQDC621をコントローラ102経由で無線LANルータ101に送信する(ステップS1712)。そして、ステップS1712の処理後、サーバ103は、送信したQDC621のグループに属する(例えばグループA)の通信品質管理テーブル512に設定したQLIの情報をクリアーし(ステップS1713)、以上の処理を終了する。
(無線LANモバイルルータの制御処理例)
図18は、実施の形態2にかかる無線LANモバイルルータの制御処理例を示すフローチャートである。「アウェイモード」に設定された無線LANモバイルルータ112の制御部301が実行する通信制御実行(図6のステップS604)に関する制御処理例を説明する。
無線LANモバイルルータ112は、無線LANルータ101の通信範囲内に位置した状態のとき、無線LANルータ101が無線送信するビーコンを受信する(ステップS1801)。そして、無線LANモバイルルータ112の制御部301は、ビーコンを受信すると、ビーコンフレーム800中に含まれるACF631を確認する(ステップS1802)。
この後、制御部301は、ACF631に無線電波の発信停止が設定されているか否かを確認する(ステップS1803)。ACF631のビットが無線電波の発信停止「0:停止(停波)」であれば(ステップS1803:Yes)、制御部301は、無線LAN通信部303による電波の発信を停止制御する(ステップS1804)。この後、制御部301は、予め定めた一定時間(例えば30分や1時間等)経過すると(ステップS1805)、無線LAN通信部303による電波の発信を再開制御し(ステップS1806)、以上の処理を終了する。
また、ステップS1803において、ACF631のビットが無線電波の発信停止でなければ(ステップS1803:No、「1:通信」に相当)、制御部301は、ACF631のチャンネル制御情報1501に格納されている空きチャンネルの情報を読み出す。そして、制御部301は、無線LAN通信部303による電波のチャンネルを空きチャンネルに変更して(例えば1chを6chに変更)、通信を行わせ(ステップS1807)、以上の処理を終了する。
以上説明した実施の形態2によれば、実施の形態1同様の作用効果を有する。また、実施の形態2によれば、無線電波の制御情報(ACF)に、電波発信停止に加えて、使用するチャンネルの情報を加えている。これにより、「アウェイモード」の無線LANモバイルルータ112に対する電波発信停止に加え、常に変化する現在の使用可能なチャンネルも制御できるようになる。無線LANモバイルルータ112が使用しようとするチャンネルを空いたチャンネルに誘導して無線通信させることで、無線LANモバイルルータ112が無駄にチャンネルサーチを行って電波干渉が生じることを回避できる。また、無線LANモバイルルータ112での通信を継続できるようになる。
各実施の形態で示したように、無線モバイルルータ等の無線電波を発信する不特定な通信機器がオフィスに持ち込まれて無線通信した場合、無線LANモバイルルータが既存の無線LANのネットワークインフラ環境に対する電波干渉源になる。そして、干渉発生時には、ネットワークインフラ環境の通信品質を低下させる。このような場合、ネットワークインフラのシステム側は、無線LANルータの通信状態に基づき、予め特定のモード、「アウェイモード」が設定されている無線LANモバイルルータ等の通信機器の電波の発信を停止制御する。無線LANルータの通信範囲内に「アウェイモード」の無線LANモバイルルータが位置しているとき、無線LANモバイルルータは、電波の発信を停止させる。
これにより、ユーザが無意識に無線LANモバイルルータ等の通信機器をオフィス等の不特定な位置に持ち込んだ場合でも、無線LANルータへの干渉発生時に、無線LANモバイルルータに対する電波の発信を制御することができる。そして、オフィス等の無線LANのネットワークインフラ環境の通信品質を確保できるようになる。
無線LANルータが使用するチャンネルと同じチャンネルを無線LANモバイルルータが使用することで干渉が発生するが、多数のチャンネルが使用された場合や、通信機器が持ち込まれた場合には、空きチャンネルがなくなり、干渉が発生しやすくなる。また、無線LANルータおよび無線LANモバイルルータは、互いにチャンネル干渉を避けるためにチャンネル切り替えを頻繁に行うと通信品質を低下させる。実施の形態によれば、無線LANモバイルルータに対する電波の発信を制御することで、チャンネルの切り替えを抑制でき、ネットワークインフラ環境の通信品質を確保できるようになる。
また、干渉発生時にシステム側が、無線LANモバイルルータに対して、電波の発信を停止制御するだけに限らず、空きチャンネルがあれば無線LANモバイルルータに通知することで、無線LANモバイルルータでのチャンネル探索を不要にできる。また、無線LANモバイルルータは干渉発生時に電波の発信を停止せずに通信継続することができるようになる。
システム側は、無線LANルータの通信状態を監視し、通信状態が悪化したとき、無線LANルータが通信範囲内に送信するビーコンフレーム内に無線LANモバイルルータの電波発信の制御情報を含ませて送信する。これにより、特別な制御信号を用いることなく、既存のシステム構成を用いて、外部から持ち込まれた無線LANモバイルルータの通信制御を簡単にリモート制御できるようになる。
また、既存のネットワークインフラの無線LANルータを「ホームモード」に設定しておくことで、通信制御の対象外とすることができ、ネットワークインフラ内の運用に影響を与えない。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)自無線通信装置の通信状態の変化に基づき、特定のモードが設定された第2の無線通信装置の無線電波を停波させる制御情報を所定の通信フォーマットに含ませ送信する制御部を有する、
ことを特徴とする無線通信装置。
(付記2)前記制御部は、
自無線通信装置の通信範囲に前記通信フォーマットのビーコンを送信し、自無線通信装置の通信範囲に持ち込まれた不特定の前記第2の無線通信装置の無線電波を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)前記制御部は、
自無線通信装置の無線通信の再送回数に基づき前記通信状態を判断し、前記再送回数が所定の閾値を超えた場合、前記第2の無線通信装置の無線電波を停波させる前記制御情報を送信する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の無線通信装置。
(付記4)自無線通信装置は、サーバに接続され、
前記サーバに前記通信状態を送信し、前記通信状態に基づき前記第2の無線通信装置の無線電波を停波させるか否かの前記サーバの判断結果を受信し、当該判断結果にしたがった前記制御情報を送信する、
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の無線通信装置。
(付記5)前記通信フォーマットの中に、さらに、使用チャンネルのチャンネル制御情報を含み、
前記制御部は、自無線通信装置および前記第2の無線通信装置が使用中のチャンネルを除き使用可能なチャンネルの情報を前記チャンネル制御情報に含み送信する、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の無線通信装置。
(付記6)第1の無線通信装置と、複数の前記第1の無線通信装置が接続されるサーバとを含むシステムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
自装置の通信状態の変化に基づき、自装置の通信範囲に持ち込まれた特定のモードが設定された第2の無線通信装置の無線電波を停波させる制御情報を所定の通信フォーマットに含ませ送信する制御部を有し、
前記サーバは、
複数の前記第1の無線通信装置を所定のグループ化し、前記第1の無線通信装置の前記通信状態を更新可能にテーブル保持し、
前記グループ内の複数の前記第1の無線通信装置の前記通信状態の変化に基づき、前記グループに属する前記第1の無線通信装置に対し、前記第2の無線通信装置の無線電波を停波させるか否かの判断を行い、前記制御情報を前記第1の無線通信装置に出力する制御部を有する、
ことを特徴とするシステム。
(付記7)前記サーバの制御部は、
前記グループ内の前記第1の無線通信装置の数に対して、前記第1の無線通信装置の前記通信状態が悪化した数の割合が増えた場合、前記判断を行い、前記制御情報を前記グループ内の複数の前記第1の無線通信装置に出力すること、
を特徴とする付記6に記載のシステム。
(付記8)コンピュータが、
第1の無線通信装置の通信状態の変化に基づき、特定のモードが設定された第2の無線通信装置の無線電波を停波させる制御情報を所定の通信フォーマットに含ませ送信する処理、
を実行することを特徴とする停波判断方法。
(付記9)コンピュータに、
第1の無線通信装置の通信状態の変化に基づき、特定のモードが設定された第2の無線通信装置の無線電波を停波させる制御情報を所定の通信フォーマットに含ませ送信する処理、
を実行させることを特徴とする停波判断プログラム。