JP2017118048A - 積層体 - Google Patents

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隆司 関谷
絵美 川嶋
Emi Kawashima
絵美 川嶋
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Yuki Tsuruma
勇輝 霍間
義弘 上岡
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義弘 上岡
基浩 竹嶋
Motohiro Takeshima
基浩 竹嶋
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Shigekazu Tomai
重和 笘井
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Abstract

【課題】逆方向耐電圧が大きく、かつ順方向オン抵抗が低く、大電流を取り出すことができる半導体素子、及びそれに用いられる積層体を提供する。
【解決手段】積層体は、少なくとも導電性基板10、ショットキー電極層20、金属酸化物半導体層30をこの順に含み、金属酸化物半導体層30が2層以上の積層構造からなる積層体であって、金属酸化物半導体層30を構成する層のうちの1層はショットキー電極層20と接する耐圧層32であり、他の1層は耐圧層32と接するバルク層34であり、耐圧層内32のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1及びバルク層内34のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2が、Nd1<Nd2を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、それを用いた積層基板や半導体素子、それを用いた電子回路及び電気機器に関する。
ショットキーバリアダイオードは、キャリア濃度の十分高いショットキー金属と半導体の接合面に形成される電位障壁を利用して整流作用を持たせたダイオードである。例えば、金属の仕事関数をφ、n型半導体の仕事関数をφsとした場合、|φ|>|φs|の関係を満たすような金属と半導体を接触させると、金属と半導体のフェルミ準位が一致するように半導体中の接触界面付近の電子が金属側に移動し、半導体の接触界面に空乏領域が形成されるとともに、金属−半導体界面に電位障壁が形成される(半導体の仕事関数は真空準位とフェルミ準位の差として定義する)。これにより、金属側が正極、半導体側が負極のダイオードが形成される。順方向バイアス時には電位障壁が低くなり、電子が障壁を越えて電流が流れるようになる。逆方向バイアス時は電位障壁によって電子がブロックされ、電流が阻止される。
用いる半導体としてはSiが最も一般的である。Si系のショットキーダイオードは、高速スイッチング素子や数GHz周波数帯における送信/受信用ミキサ、周波数変換素子等に利用される。パワー用途にも一般的に使われるが、バンドギャップが1.1eVと小さく絶縁破壊電界も0.3eVと小さいため、大きな耐電圧を実現するには素子の厚みを大きくする必要があり、順方向オン抵抗が高くなるという欠点がある。また、高速応答性に優れたショットキーバリアダイオードは逆方向耐電圧が十分ではなかった。
Si系の欠点を克服するために、SiCを用いたショットキーバリアダイオードも検討されている。SiCはバンドギャップが3eV以上と大きく、絶縁破壊電界も3MV/cmと大きいためパワー用に適しており、盛んに適用が検討されている。しかしながら、良質な結晶基板を作製するのは困難であり、またエピタキシャル成長に高熱、長時間のプロセスを経るため量産性とコスト面で課題がある。
β−Gaはさらにバンドギャップが広く(4.8eV〜4.9eV)、高い耐圧性が期待され、また高速応答性に優れる。しかしながら、やはり良質な基板の製造に課題があり、量産性とコスト面で課題がある。
酸化物半導体はSiに比べ広いバンドギャップを有し、絶縁破壊電界が高いため、パワー半導体への応用が期待される。酸化物半導体を用いたショットキーバリアダイオードは、高速応答性や良好な逆回復特性が期待できる。
非特許文献1には、酸化物半導体として非晶質IGZOを用い、ショットキー金属電極としてTi/Pd積層構成を用いるショットキーバリアダイオードが開示されている。しかしながら、本技術では基板として絶縁性の基板を用いており、縦型ダイオードの特性を活かして大電流を取り出すことは困難であった。
特許文献1には、Ga系化合物半導体からなるショットキーバリアダイオードであって、ショットキー電極に接する半導体層にキャリア濃度の低いn−型半導体を用い、さらにキャリア濃度の高いn+型半導体を積層する技術が開示されている。しかしながら、n+半導体層が順方向バイアス時の付加的な抵抗成分となり、順方向特性を悪化させるという問題があった。
特許文献2には、2つの酸化物半導体を積層し、これを両端でオーミック接合で挟持した素子が開示されている。この技術は抵抗変化メモリを実現するためのもので、電流−電圧特性がヒステリシスを示すため、パワー用途には適さなかった。
特開2013−102081号公報 国際公開第2012/169195号パンフレット
IEEE TRANSACTION ON ELECTRON DEVICES, Vol.60, No.10, OCTOBER 2013, p.3407
本発明の目的は、逆方向耐電圧が大きく、かつ順方向オン抵抗が低く、大電流を取り出すことができる半導体素子、及びそれに用いられる積層体を提供することである。
一般に、酸化物半導体は同一の金属組成であっても成膜条件、成膜時の雰囲気やアニール条件によって異なる物性を発現し、特に絶縁破壊電界Ecが異なる場合がある。本発明者らの検討によると、Ecの高い酸化物半導体を用いた場合、ダイオードの順方向オン抵抗Ronも上昇し、酸化物半導体のEcが低い場合、Ronも低いという傾向があり、高いEcと低いRonを両立させることは困難であった。
本発明者らは鋭意検討した結果、Ecの異なる材料を積層することによって、この相反する特性、即ち高い絶縁破壊電界Ecと低い順方向オン抵抗Ronを両立させることに成功した。また、Ecとドナー濃度(膜厚方向の平均値)Ndに相関があることを見出した。
本発明によれば、以下の積層体等が提供される。
1.少なくとも導電性基板、ショットキー電極層、金属酸化物半導体層をこの順に含み、前記金属酸化物半導体層が2層以上の積層構造からなる積層体であって、
前記金属酸化物半導体層を構成する層のうちの1層は前記ショットキー電極層と接する耐圧層であり、他の1層は前記耐圧層と接するバルク層であり、
前記耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1及び前記バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2が、Nd1<Nd2を満たす
積層体。
2.少なくとも導電性基板、オーミック電極層、金属酸化物半導体層をこの順に含み、前記金属酸化物半導体層が2層以上の積層構造からなる積層体であって、
前記金属酸化物半導体層を構成する層のうちの1層は耐圧層であり、他の1層は前記耐圧層と接し、前記耐圧層とオーミック電極層の間に位置するバルク層であって、
前記耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1及び前記バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2がNd1<Nd2を満たす
積層体。
3.前記耐圧層の膜厚が、前記耐圧層の逆方向耐電圧に対応する空乏層膜厚よりも小さい1又は2に記載の積層体。
4.前記耐圧層の膜厚d1と前記バルク層の膜厚d2がd1<d2を満たす1〜3のいずれかに記載の積層体。
5.前記耐圧層を構成する材料の平均絶縁破壊電界Ec1と前記バルク層を構成する材料の平均絶縁破壊電界Ec2がEc1>Ec2を満たす1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記耐圧層の水素原子濃度が1020〜1022個/cmである1〜5のいずれかに記載の積層体。
7.前記バルク層の水素原子濃度が1020〜1022個/cmである1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.前記耐圧層におけるドナー濃度の膜厚方向分布と、前記バルク層におけるドナー濃度の膜厚方向分布が、これら2層の境界面において概連続である1〜7のいずれかに記載の積層体。
9.前記金属酸化物半導体層が、In、Ga、Zn及びSnから選択される少なくとも1種類の元素を含む1〜8のいずれかに記載の積層体。
10.前記金属酸化物半導体層が非晶質又は多結晶の材料からなる1〜9のいずれか記載の積層体。
11.前記耐圧層の水素原子濃度D1と前記バルク層の水素原子濃度D2がD1>D2を満たす1〜10のいずれかに記載の積層体。
12.1〜11のいずれかに記載の積層体を用いた半導体素子。
13.12に記載の半導体素子を用いた電子回路。
14.13に記載の電子回路を用いた電気機器。
本発明によれば、逆方向耐電圧が大きく、かつ順方向オン抵抗が低く、大電流を取り出すことができる半導体素子、及びそれに用いられる積層体が提供できる。
本発明の第1の積層体の一実施形態を模式的に示した断面図である。 本発明の第1の積層体の他の実施形態を模式的に示した断面図である。 本発明の第1の積層体の他の実施形態を模式的に示した断面図である。 本発明の第2の積層体の一実施形態を模式的に示した断面図である。 本発明の第2の積層体の他の実施形態を模式的に示した断面図である。 実施例1で得られた金属酸化物半導体層のドナー濃度の膜厚方向分布を示す図である。
[積層体]
本発明の第1の積層体は、少なくとも導電性基板、ショットキー電極層、金属酸化物半導体層をこの順に含み、金属酸化物半導体層が2層以上の積層構造からなる。金属酸化物半導体層を構成する層のうちの1層はショットキー電極層と接する耐圧層であり、他の1層は耐圧層と接するバルク層である。
耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1、及び前記バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2は、Nd1<Nd2を満たす。
本発明の第1の積層体の一実施形態を図1に示す。積層体1において、導電性基板10の上に、ショットキー電極層20、金属酸化物半導体層30がこの順で積層されている。金属酸化物半導体層30は耐圧層32及びバルク層34からなる。
本発明の第1の積層体は、金属酸化物半導体層の上、即ちショットキー電極層側の反対側にオーミック電極層を積層してもよい。オーミック電極層を積層した構成を図2に示す。積層体2において、バルク層34の上にオーミック電極層40が設けられている。
金属酸化物半導体層30(耐圧層32)の外縁(端部)は、ショットキー電極層20の外縁と同一であってもよいし、ショットキー電極層20の外縁の内側に位置するようにしてもよい。後者の構成を図2の構成に適用した場合を図3に示す。積層体3は、ショットキー電極層20が金属酸化物半導体層30(耐圧層32)の下面を覆うような構成、即ち金属酸化物半導体層30(耐圧層32)の下面の全面がショットキー電極層20と接する構成となる。
Si等の共有結合性の結晶性半導体においては、高耐電圧を実現するために、半導体層の端部がショットキー電極と直接接触しない構造にする必要がある。一方、金属酸化物半導体は膜端部での漏れ電流が少ないため、金属酸化物半導体層の端部がショットキー金属層の端部と同一であるか又は内側にある構成とすることが可能となる。このようにすることにより、逆バイアス印加時に、半導体層の端部に電界が集中することを防ぎ、高い絶縁耐圧を実現することができる。
本発明の第2の積層体は、少なくとも導電性基板、オーミック電極層、金属酸化物半導体層をこの順に含み、金属酸化物半導体層が2層以上の積層構造からなる。金属酸化物半導体層を構成する層のうちの1層は耐圧層であり、他の1層は、耐圧層と接し、耐圧層とオーミック電極層の間に位置するバルク層である。
耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1、及び前記バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2はNd1<Nd2を満たす。
本発明の第2の積層体の一実施形態を図4に示す。積層体100において、導電性基板110の上に、オーミック電極層120、金属酸化物半導体層130がこの順で積層されている。金属酸化物半導体層130はバルク層132及び耐圧層134からなる。
以下、本発明の第1の積層体と第2の積層体をまとめて「本発明の積層体」と称する場合がある。
本発明の第2の積層体は、金属酸化物半導体層の上、即ちオーミック電極層側の反対側にショットキー電極層を積層してもよい。この場合、好ましくは耐圧層とショットキー電極層が接する。ショットキー電極層を積層した構成を図5に示す。積層体101において、耐圧層134の上にショットキー電極層140が設けられている。
以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
(金属酸化物半導体層)
金属酸化物半導体層は、耐圧層とバルク層を含む2層以上の積層構造である。耐圧層とバルク層は接し、耐圧層は好ましくはショットキー電極層と接する。金属酸化物半導体層は耐圧層とバルク層以外の他の層を含んでもよいし、含まなくてもよい。
金属酸化物半導体層を構成する各層のキャリア濃度は、通常1×1013以上1×1018cm−3未満である。キャリア濃度は、例えばホール測定で求めることができる。
(耐圧層(高ドナー濃度層))
耐圧層は、ショットキー電極層と組み合わせることによって良好な逆方向耐電圧特性を発揮する層である。
耐圧層の組成は金属酸化物半導体であり、In、Ga、Zn及びSnから選択される1種以上の元素を含む酸化物であると好ましく、例えば、In,Ga及びZnの酸化物半導体(IGZO)、In、Sn及びZnの酸化物半導体(ITZO)、Gaの酸化物半導体であるGa等が挙げられる。
結晶性についても制限はなく、非晶質酸化物半導体からなる層、多結晶酸化物半導体からなる層、単結晶酸化物半導体からなる層、それらの混在した層のいずれも用いることができる。
耐圧層の厚さは、通常10nm〜2μmであり、好ましくは10nm〜1μmであり、より好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは20nm〜500nmである。
耐圧層の膜厚(d1)は、好ましくは耐圧層の逆方向耐電圧に対応する空乏層膜厚(WBD)よりも小さい。WBDは後述する式(i)より求める。
(バルク層(低ドナー濃度層))
バルク層は、耐圧層とともに逆方向電圧を分圧して支え、トータルで高い逆方向耐電圧を発揮する層である。また、バルク層は好ましくは耐圧層に比べバルク抵抗が低く、順方向バイアス時に素子抵抗を下げる。
バルク層の望ましい組成と結晶性は耐圧層と同様である。バルク層には耐圧層の組成と同一の組成の金属酸化物を用いてもよいし、異なる組成の金属酸化物を用いてもよい。
バルク層の厚さは、通常10nm〜10μmであり、好ましくは50nm〜10μmであり、より好ましくは50nm〜7μmであり、さらに好ましくは150nm〜5μmである。
(金属酸化物半導体層の他の層)
他の層を設ける場合、当該他の層も金属酸化物半導体層からなる層であり、具体的には上記バルク層と類似の低抵抗の層である。
金属酸化物半導体層全体の厚さは、通常10nm〜10μmである。膜厚は、所望の耐電圧性が得られるように選定することができる。膜厚が上記の範囲内であると、順方向バイアス時の低抵抗性に優れ、また、ショットキー障壁が確実に確立されるため逆方向の漏れ電流が低減される。
(耐圧層とバルク層の関係)
本発明者らの検討によると、単層構成の金属酸化物半導体層でショットキーバリアを構成した場合、同じ組成の金属酸化物半導体を用いても、その成膜条件、成膜時の雰囲気やアニール条件によって絶縁破壊電界Ecが変化して高いものと低いものが生成することが分かった。また、Ecが高い場合は順方向オン抵抗Ronも高くなることが分かった。
本発明者らがさらに検討した結果、ショットキー電極層側にEcが高い層(耐圧層)を配置し、さらにEcが低い層(バルク層)を配置することで、高い耐電圧性(絶縁破壊電界)と低い順方向オン抵抗を両立させることができることを見出した。
即ち、単層として評価した場合の層(バルク層)のEcが低くても、それより高いEcを有する層(耐圧層)と積層することにより、全体として十分な逆方向耐電圧を確保することが可能になる。また、バルク層も逆方向電圧を分圧して支えるため逆方向耐電圧性をより高めることができる。
また、金属酸化物半導体の物性は、組成が同一であっても水素原子濃度Dに大きく左右される。さらに、本発明者らが検討した結果、Dが高い場合、Ecは大きく、Ronも高く、ドーピング濃度Ndは小さくなる一方、Dが低い場合、Ecは小さく、Ronも低く、ドーピング濃度Ndは大きいという相関関係があることを見出した。
本発明において、耐圧層のNdはバルク層のNdよりも小さいため、耐圧層にはDの高い材料を用い、バルク層にはDの低い材料を用いることが好ましい。
当該Dは、金属酸化物半導体層を成膜する際の成膜雰囲気によって調整することができる。具体的に、成膜雰囲気中のHO濃度を調整することによってDを増減することができる。また、成膜雰囲気中のO濃度や成膜時の成膜チャンバー内の背圧によっても制御することができる。
耐圧層の成膜雰囲気中のHO濃度は、例えば5〜15%である。バルク層の成膜雰囲気中のHO濃度は、例えば0〜5%である。酸素濃度に関して、耐圧層の成膜雰囲気中のO濃度は、例えば5〜40%である。バルク層の成膜雰囲気中のO濃度は、例えば0〜5%である。
また、従来、半導体層の厚さは、空乏層の幅WBDより大きくなるように設計されていた。所望の逆方向耐電圧VBDが与えられたとき、これに対応する空乏層幅WBDは式(i)で与えられる。
(式(i)において、Ndは半導体のドナー濃度、εは当該半導体の誘電率、qは素電荷である。)
即ち、従来は、半導体層の厚さdがWBDより大きくなるようにdとNdが調整されていた。尚、WBD、VBD及びEcは下記式(ii)の関係を有する。上記関係式から一意にWBDとNdが決定されれば所望のVBDが達成される(松波弘之、他「半導体SiC技術と応用」、8.1.1節、日刊工業新聞社、2011年)。
一方、本発明によれば、空乏層厚さWBDを耐圧層の厚さd1より小さくする必要がなく、即ちd1<WBDとすることができる。これにより、抵抗の高い耐圧層をより薄くして、素子全体の順方向オン抵抗を下げることができる。好ましくは、耐圧層厚さd1とバルク層厚さd2をd1<d2として、順方向オン抵抗をさらに下げることが可能になる。
上記で述べた事項を以下に整理する。
(耐圧層とバルク層の関係:Ec)
耐圧層を構成する材料の平均絶縁破壊電界Ec1とバルク層を構成する材料の平均絶縁破壊電界Ec2は、好ましくはEc1>Ec2を満たし、より好ましくはEc1>Ec2+1.0MV/cmを満たす。
耐圧層に用いる材料の絶縁破壊電界Ecは、以下のように決定することができる。即ち、ショットキー電極層/単層の耐圧層/オーミック電極層の構成からなるダイオードを作製し、絶縁破壊電圧VBD1と半導体膜厚d1を測定し、絶縁破壊電界Ec1を、Ec1=VBD1/d1から求める。酸化物半導体を用いた場合、通常の共有結合性単結晶の理論とは異なり、後述するドーピング濃度Ndが低く、絶縁破壊時の電界の膜厚方向分布は台形型をしており、先の式でEc1を求めても良い近似を得る。
耐圧層が高い耐電圧性を発揮するために、好ましくはEc1≧1.5MV/cmであり、より好ましくはEc1≧2MV/cmであり、さらに好ましくはEc1≧2.5MV/cmである。
バルク層に用いる材料の絶縁破壊電界Ecも同様であり、以下のように決定することができる。即ち、ショットキー電極層/単層のバルク層/オーミック電極層の構成からなるダイオードを作製し、絶縁破壊電圧VBD2と半導体膜厚d2を測定し、絶縁破壊電界Ec2を、Ec2=VBD2/d2から求める。
好ましくはEc2≧0.5MV/cmであり、より好ましくはEc2≧0.7MV/cmである。
(耐圧層とバルク層の関係:Nd)
耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1と、バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2は、Nd1<Nd2を満たし、好ましくはNd1<(Nd2)/2を満たす。
Nd1、Nd2とも、上記の関係を満たす範囲において、1×1015〜1×1018cm−3の範囲にあるのが望ましい。
また、耐圧層内のドナー濃度は膜厚方向に連続して変化してもよく、例えば、バルク層との境界に向けてドナー濃度が高くなってもよい。また、バルク層内のドナー濃度は膜厚方向に連続して変化してもよく、例えば、耐圧層との境界に向けてドナー濃度が低くなってもよい。
Nd1とNd2の測定方法について説明する。
金属酸化物半導体において、特に非晶質や多結晶の半導体の場合、通常の共有結合性単結晶の場合と異なり不純物ドーピングによるドーピング濃度Ndの制御は困難である。しかしながら、半導体の測定で用いられる「(印加電圧)−1/(静電容量)」のプロットを用いた測定(國岡照夫、上村喜一、「新版基礎半導体光学」、13.2節、朝倉書店、1985年)に準じて、ドーピング濃度Nd1,Nd2を求めることができる。この場合、不純物に相当するのは酸素欠損や水素等に起因する欠陥であると考えられている。Nd1とNd2は、具体的には実施例に記載の方法によって測定する。
また、耐圧層におけるドナー濃度の膜厚方向分布と、前記バルク層におけるドナー濃度の膜厚方向分布は、好ましくは2層の境界面において概連続である。
Ndが両層の境界において概連続に変化すると、オン抵抗と耐電圧性にさらに優れる。従って、2層の境界においてNdの膜厚方向の分布が連続であることがより好ましい。
Ndの膜厚方向の分布が2層の境界面において概連続であるとは、境界面のドナー濃度の差がNd1とNd2の差の1/10以下であることを意味する。
尚、耐圧層とバルク層の組成が同一である場合、耐圧層とバルク層の境界とは、膜厚方向でドナー濃度(後述するNdの膜厚方向分布Nd(w))が不連続に変化する位置、又は分布曲線が屈曲点を有する位置である。ただし、ドナー濃度が連続して変化する場合も積層構造とする。その場合、膜厚方向でドナー濃度の平均値が異なる2層領域があればよい。
(耐圧層とバルク層の関係:D
耐圧層とバルク層の水素原子濃度は1020〜1022個/cmであると好ましい。酸化物半導体は酸素欠損を作りやすく、欠損を伝って漏れ電流が流れてしまう場合があるが、膜中の水素原子濃度を1020個/cm以上にすることによって酸素欠損を水酸基で終端させ、漏れ電流を低減することができる。
水素原子濃度は、2次イオン質量分析法により測定する。
また、耐圧層にはDの高い材料を用い、バルク層にはDの低い材料を用いることが好ましい。耐圧層の水素原子濃度D1とバルク層の水素原子濃度D2は、好ましくはD1>D2を満たし、より好ましくは、D1>2×D2を満たす。
(耐圧層とバルク層の関係:膜厚)
耐圧層の膜厚d1とバルク層の膜厚d2は、好ましくはd1<d2を満たし、より好ましくはd1<(d2)/2を満たし、さらに好ましくはd1<(d2)/4を満たす。
膜厚d1及びd2は、「(印加電圧)−1/(静電容量)」のプロットを用いた測定からNdの膜厚方向分布Nd(w)を求め、Ndの不連続点、又はNd曲線の屈曲点を2層の境界と特定することで、それぞれ決定する。
本発明の積層体は、金属酸化物半導体層をスパッタ法やイオンプレーティング法等の生産性に優れた方式で成膜しても、良好なダイオード特性を発現するショットキーバリアダイオードを提供することができる。
(導電性基板)
導電性基板としては、シリコン基板又は金属基板が挙げられる。好ましくはシリコン基板であり、より好ましくは不純物ドープ濃度の高い低抵抗のシリコン基板であり、さらに好ましくはn型の低抵抗シリコン基板である。
シリコン基板は低抵抗のものが好ましい。シリコン基板の体積抵抗率ρは、好ましくは100mΩcm以下であり、より好ましくは10mΩcm以下であり、さらに好ましくは5mΩcm以下である。
金属基板の金属としては、Cu、Al、Au、Cr、Fe、Ni、W等が挙げられ、これらの合金を用いることもできる。好ましくは、低抵抗で安価であり、かつ熱伝導性に優れるCu、Al又はこれらの合金である。
導電性基板の厚さは、通常200μm〜2mmである。厚さがこの範囲であると、順方向オン抵抗と基板としての安定性に優れる。
本発明の積層体は、安価なシリコン基板や金属基板を導電性基板として用いても、良好なダイオード特性を発現するショットキーバリアダイオードを提供することができる。
(ショットキー電極層)
ショットキー電極層を構成する金属としては、金属酸化物半導体層の耐圧層と良好なショットキー接触を形成する金属であれば特に限定されないが、例えば、Pd、Mo、Pt、Ir、Ru、Ni、W、Cr、Re、Te、Mn、Os、Fe、Rh及びCoから選択される1以上の金属の酸化物、又はこれらの金属の合金の酸化物が挙げられる。好ましくは、Pd酸化物、Pt酸化物、Ir酸化物、Ru酸化物である。これらであると、金属酸化物半導体層との組み合わせによって高いショットキー障壁を形成することができる。
ショットキー電極層のキャリア濃度は1×1018cm−3以上であることが好ましい。キャリア濃度は、例えばホール測定で求めることができる。
ショットキー電極層の厚さは、通常1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは、5〜100nmである。この範囲であると、逆方向漏れ電流を低減でき、電極の密着性にも優れる。また、順方向オン抵抗と逆方向耐電圧性に優れる。
ショットキー電極の金属酸化物層を得るための製造方法は特に限定されないが、大画面に対応可能で生産性に優れるスパッタ法や電子ビーム蒸着法を好適に用いることができる。
ショットキー電極層は、導電性基板や電流取出し電極との接触抵抗の低減や、密着性の向上、金属酸化物半導体と接するショットキー界面の保護や安定化のために、金属酸化物半導体層とは逆側に複数の組成の異なる金属や金属酸化物からなる層を積層することができる。
(オーミック電極層)
オーミック電極層の材料は、金属酸化物半導体層と良好なオーミック接続ができれば特に限定されないが、Mo、Ti、Au、Ag又はAlを好適に用いることができる。
また、オーミック電極層を複数の層で構成することもできる。例えば、金属酸化物半導体層に接する側にMoやTi電極層を用い、さらにAuやAl等の金属層を積層してワイヤボンディングの土台とすることができる。このようにすると電極の横方向の抵抗を下げ、大電流を取り出すことができる。
オーミック電極層の厚さは特に限定されないが、通常100nm〜5μmである。この範囲であると順方向オン抵抗に優れる。
上記の各層の成膜方法は特に限定されないが、熱CVD法、CAT−CVD法、光CVD法、ミストCVD法、MO−CVD法、プラズマCVD法等のCVD法、MBE、ALD等の原子レベル制御の成膜方法、イオンプレーティング、イオンビームスパッタリング、マグネトロンスパッタリング等のPVD法、ドクターブレード法、射出法、押出し法、熱間加圧法、ゾルゲル法、エアロゾルデポジション法等、従来公知のセラミックス工程を用いる方法、塗布法、スピンコート法、印刷法、スプレー法、電着法、メッキ法、ミセル電解法等の湿式法等を利用することができる。
[半導体素子]
本発明の積層体は、パワー半導体素子、ダイオード素子、ショットキーバリアダイオード素子等の半導体素子に用いることができる。特に、大電流を取り出せるため、パワー用途にも適している。この素子を用いた電子回路は、電気機器、電子機器、電動車両等に用いることができる。
実施例1
抵抗率0.001Ω・cmのn型Si基板(直径4インチ、厚さ250μm)をスパッタリング装置(アネルバ製:E−200S)に装着し、以下の積層電極を成膜した。まずTiをDC50W、Ar雰囲気で15nm成膜し、次いでPdをDC50W、Ar雰囲気で50nm成膜し、最後にショットキー電極層としてPdOをDC50W、ArとOの混合ガス雰囲気で20nm成膜した。
次に、この基板を半導体用エリアマクスとともにスパッタリング装置(ULVAC製:CS−200)にセットし、耐圧層としてIGZO(In:Ga:ZnO(wt%)=44.2:29.9:25.9、この組成の酸化物を以下「IGZO−1」とする。)を100nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:10%)とした。次に、バルク層としてIGZO−1を100nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:1%)とした。
この基板を取り出し、電気炉によって空気中300℃の条件で1時間アニールした。この基板を再度、電極用エリアマクス(穴直径0.2mm〜0.5mm)とともにスパッタリング装置にセットした後、オーミック電極層としてMoを150nm成膜した。成膜条件は、DC100W、Ar雰囲気とした。
得られた素子について、Agilent製B1500を用いて電圧(V)−電流特性(I)及び電圧(V)−容量(C)特性を測定した。V−I測定では、電極の横方向の抵抗の影響を抑制するために電極直径0.2mmの素子を用い、V−C測定では、電極面積の見積もり誤差低減のために電極直径0.5mmの素子を用いた。また、以下の各項目について評価を行った。測定結果を表1に示す。
1.逆方向電圧印加時に素子が破壊する電圧(逆方向耐電圧VBD)を測定し、平均絶縁破壊電界Ecを式(1)から求めた。式中、d1は耐圧層の膜厚、d2はバルク層の膜厚を示す。膜厚は触針式膜厚計を用いて測定した。尚、表1中の耐圧層の絶縁破壊電界Ec1は比較例1の結果を参照し、バルク層の絶縁破壊電界Ec2は比較例2の結果を参照して記載した。
2.順方向電圧V=1.5V印加時の順方向電流Iを測定し、電極直径を考慮して電流密度Jを式(2)から求め、順方向オン抵抗Ronを式(3)から求めた。式中、Aは電極面積を示す。
3.電圧(V)−容量測定(C)の結果からV−1/Cプロットを作成し、その傾きからNdの印加電圧依存性を求めた(式(4))。Cの電圧依存性から、空乏層厚みwを求め(式(5))、wとNdをVを介して対応させることで、ドナー濃度Ndの膜厚方向分布Nd(w)を求めた。Ndの膜厚方向分布Nd(w)を図6に示す。
IGZO−1の誘電率は、逆方向電圧が十分大きくCが飽和している領域におけるCと、w=d1+d2を用いて式(5)から求めた。この誘電率は、後述の比較例1及び2において同様にして求めたIGZO−1の誘電率と一致した。このことは、IGZO−1の成膜条件を変えても誘電率がほぼ一定であることを示している。
耐圧層とバルク層の平均ドナー濃度Nd1、Nd2は、以下のようにして求めた。上記の膜厚方向分布Nd(w)は、その測定原理上、w=0及びw=d(d=d1+d2)付近では値が発散してしまう。そこで、耐圧層膜厚全体の25%〜75%領域のNdを膜厚方向に平均してNd1を求めた。同様にバルク層膜厚全体の25%〜75%領域のNdを膜厚方向に平均してNd2を求めた。尚、d1とd2は、Nd(w)の屈曲点を耐圧層とバルク層の境界として求めた。これは上記の触針式膜厚計の測定結果と一致した。
4.二次イオン質量分析法を用いて、耐圧層の水素原子濃度D1とバルク層の水素原子濃度D2を求めた。
実施例1の素子は、比較例1及び2の素子の金属酸化物半導体層を特定の2層構成としたものであるが、逆方向耐電圧は比較例1並みの高い値を保持したまま、順方向オン抵抗を低減することができた。また、Ndの膜厚方向分布は耐圧層とバルク層の境界で概連続であった。
実施例2
耐圧層の膜厚を25nmとし、バルク層の膜厚を175nmとした以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例2の素子は、比較例1及び2の素子の金属酸化物半導体層を特定の2層構成とし、膜厚配分を変更したものであるが、逆方向耐電圧は比較例1並みの高い値を保持したまま、バルク層の厚みを相対的に増やした分、順方向オン抵抗を比較例2並みに低減することができた。また、Ndの膜厚方向分布は耐圧層とバルク層の境界で概連続であった。
実施例3
金属酸化物半導体層を以下のように成膜した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
耐圧層としてGaを25nmした。成膜条件は、DC300W、Ar雰囲気とした。さらに、バルク層としてIGZO−1を175nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:1%)とした。
実施例3の素子は、比較例3及び2の素子の金属酸化物半導体層を特定の2層構成としたものであるが、逆方向耐電圧は比較例3並みに高い値を保持したまま、順方向オン抵抗を低減することができた。また、Ndの膜厚方向分布は耐圧層とバルク層の境界で概連続であった。
実施例4
金属酸化物半導体層を以下のように成膜した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
耐圧層としてIGZO−1を25nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:10%)とした。さらに、バルク層としてIGZO(In:Ga:ZnO(wt%)=62.4:8.4:29.2、この組成の酸化物を以下「IGZO−2」とする。)を175nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとOの混合ガス雰囲気(O濃度:3%)とした。
実施例4の素子は、比較例1及び4の素子の金属酸化物半導体層を特定の2層構成としたものであるが、逆方向耐電圧は比較例1並みに高い値を保ったまま、順方向オン抵抗を比較例4並みに低減することができた。また、Ndの膜厚方向分布は耐圧層とバルク層の境界で概連続であった。
実施例5
抵抗率0.001Ω・cmのn型Si基板(直径4インチ、厚さ250μm)をスパッタリング装置(ULVAC製:CS−200)に装着し、最初にオーミック電極層としてMoを15nm成膜した。成膜条件は、DC50W、Ar雰囲気とした。
次にこの基板を半導体用エリアマクスとともにスパッタリング装置(ULVAC製:CS−200)にセットし、バルク層としてIGZO−1を175nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:1%)とした。次いで、耐圧層としてIGZO−1を25nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:10%)とした。
この基板を取り出し、電気炉によって空気中300℃の条件で1時間アニールした。
この基板を、再度電極用エリアマクス(穴直径0.2mm〜0.5mm)とともにスパッタリング装置(アネルバ製:E−200S)にセットし、ショットキー電極層として以下の成膜を行った。まずPdOをDC50W、ArとOの混合ガス雰囲気で10nm成膜し、次に、PdをDC50W、Ar雰囲気で150nm成膜した。
得られた素子について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例5の素子は、実施例1の素子の積層順序を逆にし、金属酸化物半導体層として比較例1及び2を特定の2層構成としたものであるが、逆方向耐電圧は比較例1並みに高い値を保ったまま、順方向オン抵抗を低減することができた。また、Ndの膜厚方向分布は耐圧層とバルク層の境界で概連続であった。
比較例1
金属酸化物半導体層を以下のように単層で成膜した以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
金属酸化物半導体層としてIGZO−1を200nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:10%)とした。
逆方向耐電圧は高いが、順方向オン抵抗も高くなった。また、VBD、Nd、εを用い、式(i)から最大空乏層幅WBDを計算した。誘電率εは、十分に逆方向電圧が印加され空乏層長が十分飽和した領域における容量Cを用いて式(6)から求めた。結果を表1に示す。
BDは、実施例1、2、4のd1と比較して大きな値であった(d1<WBD)。
比較例2
金属酸化物半導体層を以下のように単層で成膜した以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
金属酸化物半導体層としてIGZO−1を200nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:1%)とした。
順方向オン抵抗は低く良好であるが、逆方向耐電圧も低い値であった。
比較例3
金属酸化物半導体層を以下のように単層で成膜した以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
金属酸化物半導体層としてGaを200nm成膜した。成膜条件は、DC300W、Arガス雰囲気とした。
逆方向耐電圧が高く良好であるが、順方向オン抵抗も高い値であった。比較例1と同様にして最大空乏層幅WBDを計算したが、実施例3のd1と比較して大きな値(d1<WBD)であった。
比較例4
金属酸化物半導体層を以下のように単層で成膜した以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
金属酸化物半導体層としてIGZO−2を200nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとOの混合ガス雰囲気(O濃度:3%)とした。
順方向オン抵抗は低く良好であるが、逆方向耐電圧も低い値であった。
比較例5
金属酸化物半導体層を以下のように成膜した以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
耐圧層としてIGZO−1を100nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:1%)とした。さらに、バルク層としてIGZO−1を100nm成膜した。成膜条件は、DC300W、ArとHOの混合ガス雰囲気(HO濃度:10%)とした。
比較例5は、実施例1の素子において金属酸化物半導体層の積層順を逆にしたものであるが、逆方向耐電圧が低く、かつ順方向オン抵抗が大きく上昇した。Ec1<Ec2、即ちNd1>Nd2の構成は不適当であることが分かった。
本発明の積層体は、パワー半導体素子、ダイオード素子、ショットキーバリアダイオード素子等の半導体素子に用いることができ、この素子を用いた電子回路は、電気機器、電子機器、電動車両等に用いることができる。
1〜3、100、101 積層体
10,110 導電性基板
20 ショットキー電極層
30,130 金属酸化物半導体層
32,134 耐圧層
34,132 バルク層
40,120 オーミック電極層

Claims (14)

  1. 少なくとも導電性基板、ショットキー電極層、金属酸化物半導体層をこの順に含み、前記金属酸化物半導体層が2層以上の積層構造からなる積層体であって、
    前記金属酸化物半導体層を構成する層のうちの1層は前記ショットキー電極層と接する耐圧層であり、他の1層は前記耐圧層と接するバルク層であり、
    前記耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1及び前記バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2が、Nd1<Nd2を満たす
    積層体。
  2. 少なくとも導電性基板、オーミック電極層、金属酸化物半導体層をこの順に含み、前記金属酸化物半導体層が2層以上の積層構造からなる積層体であって、
    前記金属酸化物半導体層を構成する層のうちの1層は耐圧層であり、他の1層は前記耐圧層と接し、前記耐圧層とオーミック電極層の間に位置するバルク層であって、
    前記耐圧層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd1及び前記バルク層内のドナー濃度の膜厚方向の平均値Nd2がNd1<Nd2を満たす
    積層体。
  3. 前記耐圧層の膜厚が、前記耐圧層の逆方向耐電圧に対応する空乏層膜厚よりも小さい請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記耐圧層の膜厚d1と前記バルク層の膜厚d2がd1<d2を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記耐圧層を構成する材料の平均絶縁破壊電界Ec1と前記バルク層を構成する材料の平均絶縁破壊電界Ec2がEc1>Ec2を満たす請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記耐圧層の水素原子濃度が1020〜1022個/cmである請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記バルク層の水素原子濃度が1020〜1022個/cmである請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記耐圧層におけるドナー濃度の膜厚方向分布と、前記バルク層におけるドナー濃度の膜厚方向分布が、これら2層の境界面において概連続である請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記金属酸化物半導体層が、In、Ga、Zn及びSnから選択される少なくとも1種類の元素を含む請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記金属酸化物半導体層が非晶質又は多結晶の材料からなる請求項1〜9のいずれか記載の積層体。
  11. 前記耐圧層の水素原子濃度D1と前記バルク層の水素原子濃度D2がD1>D2を満たす請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の積層体を用いた半導体素子。
  13. 請求項12に記載の半導体素子を用いた電子回路。
  14. 請求項13に記載の電子回路を用いた電気機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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