JP2017116931A - 多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の構成1は、基板上に低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層させた多層膜からなり、露光光を反射するための多層反射膜を備える多層反射膜付き基板の製造方法であって、
高屈折率材料のターゲット及び低屈折率材料のターゲットに対して、イオン源からイオン粒子を供給することにより行うイオンビームスパッタリングにより、前記基板上に前記多層反射膜を成膜する工程を備え、
前記イオン源は、ターゲットに対して、クリプトン(Kr)イオン粒子を供給することを含むことを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法である。
本発明の構成2は、前記低屈折率層はモリブデン(Mo)層であり、高屈折率層はシリコン(Si)層であることを特徴とする構成1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
本発明の構成3は、前記多層反射膜上に保護膜を形成する工程をさらに有することを特徴とする構成1又は2に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
本発明の構成4は、前記多層反射膜付き基板に対して150℃〜300℃の加熱処理を施すことを特徴とする構成1〜3のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
本発明の構成5は、上記構成1〜4のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法により製造された多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上又は前記保護膜上に、吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法である。
本発明の構成6は、上記構成5に記載の反射型マスクブランクの製造方法により製造された反射型マスクブランクの前記吸収体膜をパターニングして、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法である。
本発明の構成7は、構成6に記載の反射型マスクの製造方法によって製造された反射型マスクを用いて、露光装置を使用したリソグラフィープロセスを行い、被転写体上に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
以下、本発明の製造方法により製造される多層反射膜付き基板110を構成する基板1及び各薄膜について説明をする。
本発明の多層反射膜付き基板110の製造方法に用いられる基板1は、EUV露光時の熱による吸収体パターン歪みの発生を防止することが必要である。そのため、基板1としては、0±5ppb/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられる。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO2−TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることができる。
本発明の多層反射膜付き基板110の製造方法では、基板1の表面に接して下地膜を形成することができる。下地膜は、基板1と多層反射膜5との間に形成される薄膜である。下地膜を形成することにより、電子線によるマスクパターン欠陥検査時のチャージアップを防止するとともに、多層反射膜5の位相欠陥が少なく、高い表面平滑性を得ることができる。
多層反射膜5は、反射型マスク200において、EUV光を反射する機能を付与するものである。多層反射膜5は、屈折率の異なる元素を主成分とする各層が周期的に積層された多層膜である。
本発明の多層反射膜付き基板110の製造方法では、図2に示すように、多層反射膜5上に保護膜6を形成することが好ましい。多層反射膜5上に保護膜6が形成されていることにより、多層反射膜付き基板110を用いて反射型マスク200を製造する際の多層反射膜5表面へのダメージを抑制することができる。そのため、得られる反射型マスク200のEUV光に対する反射率特性が良好となる。
上述した通り、多層反射膜5の形成後の加熱処理(アニール)において、加熱処理温度を高くすればするほど多層反射膜5の膜応力は低減できるが、多層反射膜5のEUV光に対する反射率が低下するという問題が生じる。そこで、イオンビームスパッタリングによる多層反射膜5の成膜の際に、クリプトン(Kr)イオン粒子を用いた場合と、アルゴン(Ar)イオン粒子を用いた場合とで、アニール温度を変えて平坦度の測定を行うことにより、どの程度、多層反射膜付き基板110の多層反射膜5の膜応力を低減できるか評価した。
本発明の反射型マスクブランク100の製造方法について説明する。
反射型マスクブランク100の製造方法では、上述のように製造された多層反射膜付き基板110の上に、吸収体膜7を形成する。すなわち、吸収体膜7は、多層反射膜5の上(保護膜6が形成されている場合には、保護膜6の上)に形成される。吸収体膜7の基本的な機能は、EUV光を吸収することである。吸収体膜7は、EUV光の吸収を目的とした吸収体膜7であっても良いし、EUV光の位相差も考慮した位相シフト機能を有する吸収体膜7であっても良い。位相シフト機能を有する吸収体膜7とは、EUV光を吸収するとともに一部を反射させて位相をシフトさせるものである。すなわち、位相シフト機能を有する吸収体膜7がパターニングされた反射型マスク200において、吸収体膜7が形成されている部分では、EUV光を吸収して減光しつつパターン転写に悪影響がないレベルで一部の光を反射させる。また、吸収体膜7が形成されていない領域(フィールド部)では、EUV光は、保護膜6を介して多層反射膜5から反射する。そのため、位相シフト機能を有する吸収体膜7からの反射光と、フィールド部からの反射光との間に所望の位相差を有することになる。位相シフト機能を有する吸収体膜7は、吸収体膜7からの反射光と、多層反射膜5からの反射光との位相差が170度から190度となるように形成される。180度近傍の反転した位相差の光同士がパターンエッジ部で干渉し合うことにより、投影光学像の像コントラストが向上する。その像コントラストの向上に伴って解像度が上がり、露光量裕度、焦点裕度等の露光に関する各種裕度を大きくすることができる。
基板1の第2主表面(裏面)の上(多層反射膜5の形成面の反対側であり、基板1に水素侵入抑制膜が形成されている場合には水素侵入抑制膜の上)には、静電チャック用の裏面導電膜2が形成される。静電チャック用として、裏面導電膜2に求められるシート抵抗は、通常100Ω/□以下である。裏面導電膜2の形成方法は、例えば、クロム又はタンタル等の金属、又はそれらの合金のターゲットを使用したマグネトロンスパッタリング法又はイオンビームスパッタリング法である。裏面導電膜2クロム(Cr)を含む材料は、Crにホウ素、窒素、酸素、及び炭素から選択した少なくとも一つを含有したCr化合物であることが好ましい。Cr化合物としては、例えば、CrN、CrON、CrCN、CrCON、CrBN、CrBON、CrBCN及びCrBOCNなどを挙げることができる。裏面導電膜2のタンタル(Ta)を含む材料としては、Ta(タンタル)、Taを含有する合金、又はこれらのいずれかにホウ素、窒素、酸素、炭素の少なくとも一つを含有したTa化合物を用いることが好ましい。Ta化合物としては、例えば、TaB、TaN、TaO、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHf、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSi、TaSiO、TaSiN、TaSiON、及びTaSiCONなどを挙げることができる。裏面導電膜2の膜厚は、静電チャック用としての機能を満足する限り特に限定されないが、通常10nmから200nmである。また、この裏面導電膜2はマスクブランク100の第2主表面側の応力調整も兼ね備えている。すなわち、裏面導電膜2は、第1主表面側に形成された各種膜からの応力とバランスをとって、平坦な反射型マスクブランク100が得られるように調整される。
本発明の製造方法で製造される多層反射膜付き基板110及び反射型マスクブランク100は、吸収体膜7上にエッチング用ハードマスク膜(「エッチングマスク膜」ともいう。)及び/又はレジスト膜を備えることができる。エッチング用ハードマスク膜の代表的な材料としては、ケイ素(Si)、並びにケイ素に酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、及び/又は水素(H)を加えた材料等がある。具体的には、SiO2、SiON、SiN、SiO、Si、SiC、SiCO、SiCN、及びSiCON等が挙げられる。但し、吸収体膜7が酸素を含む化合物の場合、エッチング用ハードマスク膜として酸素を含む材料(例えばSiO2)はエッチング耐性の観点から避けたほうが良い。エッチング用ハードマスク膜を形成した場合には、レジスト膜の膜厚を薄くすることが可能となり、パターンの微細化に対して有利である。
本発明は、上述の反射型マスク200を用いて、露光装置を使用したリソグラフィープロセスを行い、被転写体上に転写パターンを形成する工程を有する、半導体装置の製造方法である。本発明の半導体装置の製造方法によれば、EUV光に対する反射率が高い多層反射膜5を有する反射型マスク200を用いることができるので、微細でかつ高精度の転写パターンを有する半導体装置を製造することができる。
実施例1として、図1に示すように、基板1の一方の主表面に多層反射膜5を形成した多層反射膜付き基板110を作製した。実施例1の多層反射膜付き基板110の作製は、次のようにして行った。
第1主表面及び第2主表面の両表面が研磨された6025サイズ(約152mm×152mm×6.35mm)の低熱膨張ガラス基板であるSiO2−TiO2系ガラス基板を準備し、基板1とした。平坦で平滑な主表面となるように、粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、局所加工工程、及びタッチ研磨加工工程よりなる研磨を行った。
図5に示すようなイオンビームスパッタリング装置500を用いて、上述の基板1の第1主表面の上に、多層反射膜5を形成した。この多層反射膜5は、波長13.5nmのEUV光に適した多層反射膜5とするために、SiとMoからなる周期多層反射膜5とした。具体的には、高屈折率材料のターゲット及び低屈折率材料のターゲット(第一及び第二スパッタリングターゲット507及び508)として、Siターゲット及びMoターゲットを使用した。これらのターゲット507及び508に対して、イオン源505からクリプトン(Kr)イオン粒子を供給して、イオンビームスパッタリングを行うことにより、基板1上にSi層及びMo層を交互に積層した。
表1に示すように、実施例2として、多層反射膜5の成膜の際に、ニュートラライザー513を作動するためのガスとしてアルゴンを用いた以外は実施例1と同様に、基板1の第1主表面に多層反射膜5が形成された多層反射膜付き基板110を製造した。
表1に示すように、実施例3として、実施例1と同様に、基板1の第1主表面に多層反射膜5が形成された多層反射膜付き基板110を製造した。
表1に示すように、実施例4として、実施例1と同様に、基板1の第1主表面に多層反射膜5が形成された多層反射膜付き基板110を製造した。
表1に示すように、比較例1として、多層反射膜5の成膜の際に、イオン源からイオン粒子としてアルゴンイオンを用い、ニュートラライザー513を作動するためのガスとしてアルゴンを用いた以外は実施例1と同様に、基板1の第1主表面に多層反射膜5が形成された多層反射膜付き基板110を製造した。すなわち、比較例1の多層反射膜5の成膜の際には、クリプトンを用いなかった。
表1から明らかなように、イオン源505からクリプトンイオンを供給して多層反射膜5を形成した実施例1〜4の多層反射膜付き基板110の場合には、アニール前の多層反射膜5の反射率が68.4%という、高い値の反射率を得ることができた。これに対して比較例1の多層反射膜付き基板110のアニール前の多層反射膜5の反射率は、66.0%と低い値だった。また、実施例1〜3のアニール後の多層反射膜5の反射率も、67.7%以上であり、比較例1のアニール前の多層反射膜5の反射率よりも高かった。また、実施例4では、アニール後の反射率は比較例1と同じであったが、平坦度が50nmと高かった。以上のことから、実施例1〜3の多層反射膜付き基板110の場合には、アニールによる多層反射膜付き基板110の平坦度の向上をさせるとともに、反射型マスク200としての使用に耐える多層反射膜5の反射率を維持することができることが明らかとなった。また、実施例4の多層反射膜付き基板110の場合には、反射率を従前と同程度に維持しながら、平坦度をより向上させることができることが明らかになった。
上述の実施例1〜3の多層反射膜付き基板110を用いて、反射型マスクブランク100を製造することができる。以下、反射型マスクブランク100の製造方法について、説明する。
上述の多層反射膜付き基板110の表面に、保護膜6を形成した。Arガス雰囲気中で、Ruターゲットを使用したイオンビームスパッタリングによりRuからなる保護膜6を2.5nmの膜厚で成膜した。ここで、Ruのスパッタ粒子は、基板1の主表面の法線に対して30度の角度で入射させた。その後、大気中で130℃のアニールを行った。
次に、DCスパッタリング法により、下層吸収体膜71として膜厚56nmのTaBN膜を、上層吸収体膜72として膜厚14nmのTaBO膜を積層して、この2層膜よりなる吸収体膜7を形成した。TaBN膜は、TaBをターゲットに用いて、ArガスとN2ガスの混合ガス雰囲気にて反応性スパッタリング法で形成した。TaBO膜は、TaBをターゲットに用いて、ArガスとO2ガスの混合ガス雰囲気にて反応性スパッタリング法により形成した。TaBO膜は経時変化の少ない膜であるとともに、この膜厚のTaBO膜は光を用いたマスクパターン検査の時に反射防止膜として働き、検査感度を向上させる。EBでマスクパターン検査を行う場合でも、スループットの関係で、光によるマスクパターン検査を併用する方法が多用されている。すなわち、メモリセル部のような微細パターンが用いられている領域に対しては検査感度の高いEBでマスクパターン検査を行い、間接周辺回路部のような比較的大きなパターンで構成されている領域に対してはスループットの高い光でマスクパターン検査を行う。
次に、基板1の第2主表面(裏面)にCrNからなる裏面導電膜2をマグネトロンスパッタリング(反応性スパッタリング)法により下記の条件にて形成した。裏面導電膜2の形成条件:Crターゲット、ArとN2の混合ガス雰囲気(Ar:90原子%、N:10原子%)、膜厚20nm。
次に、実施例1〜3の上記の反射型マスクブランク100を用いて、反射型マスク200を製造した。図5を参照して反射型マスク200の製造を説明する
実施例1〜3の多層反射膜付き基板110を用いて製造した反射型マスク200をEUVスキャナにセットし、半導体基板上に被加工膜とレジスト膜が形成されたウエハに対してEUV露光を行った。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被加工膜が形成された半導体基板上にレジストパターンを形成した。
2 裏面導電膜
5 多層反射膜
5b 多層反射膜パターン
6 保護膜
6b 保護膜パターン
7 吸収体膜
7a 吸収体パターン
8 レジスト膜
8a レジストパターン
71 吸収体膜(下層吸収体膜)
71a 吸収体パターン(下層吸収体パターン)
72 吸収体膜(上層吸収体膜)
72a 吸収体パターン(上層吸収体パターン)
100 反射型マスクブランク
110 多層反射膜付き基板
200 反射型マスク
500 イオンビームスパッタリング装置
502 真空チャンバー
503 基板ホルダー
505 イオン源
506 基台
507 第一スパッタリングターゲット
508 第二スパッタリングターゲット
509 回転軸
510 給排通路
511 真空ポンプ
512 圧力センサ
513 ニュートラライザー
517 トップクランプ
Claims (7)
- 基板上に低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層させた多層膜からなり、露光光を反射するための多層反射膜を備える多層反射膜付き基板の製造方法であって、
高屈折率材料のターゲット及び低屈折率材料のターゲットに対して、イオン源からイオン粒子を供給することにより行うイオンビームスパッタリングにより、前記基板上に前記多層反射膜を成膜する工程を備え、
前記イオン源は、ターゲットに対して、クリプトン(Kr)イオン粒子を供給することを含むことを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。 - 前記低屈折率層はモリブデン(Mo)層であり、高屈折率層はシリコン(Si)層であることを特徴とする請求項1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
- 前記多層反射膜上に保護膜を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
- 前記多層反射膜付き基板に対して150℃〜300℃の加熱処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板の製造方法により製造された多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上又は前記保護膜上に、吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
- 請求項5に記載の反射型マスクブランクの製造方法により製造された反射型マスクブランクの前記吸収体膜をパターニングして、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
- 請求項6に記載の反射型マスクの製造方法によって製造された反射型マスクを用いて、露光装置を使用したリソグラフィープロセスを行い、被転写体上に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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