JP2017113889A - 整形用ドリルビットおよび複合ドリルビット - Google Patents
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Abstract
【課題】 アンカーの外径に対する下穴の穿孔径の推奨値を維持しつつ、後施工アンカーが円滑に挿入可能な下穴を形成することができる整形用ドリルビット等を提供する。【解決手段】 下穴用ドリルビット30の回転と打撃とにより穿孔された後施工アンカーA用の下穴Hを、研削により整形する整形用ドリルビット10であって、軸方向に所定の長さを有し、下穴Hの内周面を研削により整形する整形用ビット部11と、整形用ビット部11を支持するシャンク部12と、を備え、整形用ビット部11の径は、下穴用ドリルビット30の径と同径に形成されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、ハンマードリルや振動ドリル等で穿孔した、アンカー用の下穴を整形する整形用ドリルビットおよび複合ドリルビットに関するものである。
コンクリート躯体等に打ち込まれる後施工アンカーには、金属拡張アンカーや接着系アンカーが広く用いられている。金属拡張アンカーに分類される後施工アンカーには、例えばねじふし鉄筋をアンカー本体とするものが知られている(特許文献1参照)。
この後施工アンカーは、ねじふし鉄筋で構成されたアンカー本体と、アンカー本体の先端部に螺合したテーパー形状のコーンナットと、アンカー本体に挿着したスリーブおよび拡張部材と、を備えている。
この後施工アンカーの施工方法では、先ずコンクリート構造体に対し下穴用ドリルビットを用いてアンカー穴(下穴)を穿孔し、さらにアンダーカッターを用いてアンカー穴の穴底近傍に拡径部を形成する。次に、このアンカー穴に後施工アンカーを挿入し、打込み棒でスリーブおよび拡張部材を打ち込む。これにより、拡張部材が拡張して拡径部に圧接され、後施工アンカーがコンクリート構造体に定着される。
この後施工アンカーは、ねじふし鉄筋で構成されたアンカー本体と、アンカー本体の先端部に螺合したテーパー形状のコーンナットと、アンカー本体に挿着したスリーブおよび拡張部材と、を備えている。
この後施工アンカーの施工方法では、先ずコンクリート構造体に対し下穴用ドリルビットを用いてアンカー穴(下穴)を穿孔し、さらにアンダーカッターを用いてアンカー穴の穴底近傍に拡径部を形成する。次に、このアンカー穴に後施工アンカーを挿入し、打込み棒でスリーブおよび拡張部材を打ち込む。これにより、拡張部材が拡張して拡径部に圧接され、後施工アンカーがコンクリート構造体に定着される。
このような、従来の後施工アンカーの施工方法では、下穴用ドリルビット(例えば超硬ドリルビット)を、ハンマードリルや振動ドリルに装着してアンカー用の下穴(アンカー穴)が穿孔される。ハンマードリルや振動ドリルは、ダイヤモンドコアドリル等と比較して穿孔スピードが速いという利点はあるものの、回転と軸方向の打撃とによりコンクリートを砕きながら穿孔が行われるため、打撃時の衝撃により下穴用ドリルビットの先端がブレ易い(振れ回り)問題がある。
このため、特に下穴の開口部側において、軸方向の直線性や断面方向の形状性(楕円状となる)が損なわれることがある。一方で、後施工アンカーの定着性の観点から、アンカーの外径に対し下穴の穿孔径(下穴用ドリルビットの径)を、0.5〜1.0mm程度大きい径とすることが推奨されている。このため、穿孔した下穴に対し後施工アンカーが挿入不能となってしまう問題があった。この場合、ドリルビットをこじって下穴を広げることが行われており、後施工アンカーの定着性の悪化やドリルビットの破損を招いている。
このため、特に下穴の開口部側において、軸方向の直線性や断面方向の形状性(楕円状となる)が損なわれることがある。一方で、後施工アンカーの定着性の観点から、アンカーの外径に対し下穴の穿孔径(下穴用ドリルビットの径)を、0.5〜1.0mm程度大きい径とすることが推奨されている。このため、穿孔した下穴に対し後施工アンカーが挿入不能となってしまう問題があった。この場合、ドリルビットをこじって下穴を広げることが行われており、後施工アンカーの定着性の悪化やドリルビットの破損を招いている。
本発明は、アンカーの外径に対する下穴の穿孔径の推奨値を維持しつつ、後施工アンカーが円滑に挿入可能な下穴を形成することができる整形用ドリルビットおよび複合ドリルビットを提供することを課題としている。
本発明の整形用ドリルビットは、下穴用ドリルビットの回転と打撃とにより穿孔された後施工アンカー用の下穴を、研削により整形する整形用ドリルビットであって、軸方向に所定の長さを有し、下穴の内周面を研削により整形する整形用ビット部と、整形用ビット部を支持するシャンク部と、を備え、整形用ビット部の径は、下穴用ドリルビットの径と同径に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、整形用ビット部が所定の長さを有し、且つ下穴用ドリルビットの径(下穴の穿孔径)と同径に形成されているため、整形用ビット部により下穴の内周面を研削することにより、直線性および真円度の高い下穴に整形することができる。これにより、後施工アンカーが円滑に挿入可能な下穴を形成することができる。なお、整形用ビット部は、ダイヤモンドの切刃であってもよいし、超硬の切刃であってもよい。また、上記の「挿入可能」は、ハンマーで軽く叩き込む一般的な挿入方法を含む概念である。
この場合、整形用ビット部の先端部は、狭窄形状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、整形用ビット部は、その先端部により下穴への挿入および下穴内での移動がガイドされる。このため、下穴に対する適切な整形を円滑に行うことができる。
また、整形用ビット部は、シャンク部に支持されたビット本体と、ビット本体の外周面に突設され、周方向に均等に配置された複数の切刃部と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、隣接する切刃部の間から切削粉を逃がすことができ、目詰まりの生じ難い整形用ビット部を構成することができる。なお、切刃部は、ビット本体と一体に形成されていてもよいし、ビット本体に埋め込まれたチップ状のもの(いわゆる「付け刃ドリル」)であってもよい。
この場合、ビット本体は、円柱状に形成され、複数の切刃部は、ビット本体に対し平歯状またははす歯状に突設されていることが好ましい。
この構成によれば、下穴をほぼ真円となる形状に整形することができる。また、切刃部がはす歯状のものは、切削抵抗が小さく且つ切削粉の排出を促進することができる。
本発明の複合ドリルビットは、回転と打撃とにより後施工アンカー用の下穴を穿孔する下穴用ビット部と、下穴用ビット部のシャンク部に同軸上に取り付けられ、下穴の内周面を研削により整形する整形用ビット部と、を備え、整形用ビット部の径は、下穴用ビット部の径と同径に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、整形用ビット部は下穴用ビット部のシャンク部に取り付けられ、且つ下整形用ビット部の径と下穴用ビット部の径とが同径に形成されているため、整形用ビット部は、下穴用ビット部により穿孔された直後の下穴(の内周面)を研削することになる。この場合、下穴の穿孔に際しては、整形用ビット部が下穴用ビット部をガイドし、下穴の整形に際しては、下穴用ビット部が整形用ビット部をガイドする。このため、直線性および真円度の高い下穴を形成することができる。これにより、後施工アンカーが円滑に挿入可能な下穴を形成することができる。なお、整形用ビット部は、ダイヤモンドの切刃であってもよいし、超硬の切刃であってもよい。また、上記の「挿入可能」は、ハンマーで軽く叩き込む一般的な挿入方法を含む概念である。
この場合、整形用ビット部の先端部は、狭窄形状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、整形用ビット部は、その先端部により下穴への挿入および下穴内での移動がガイドされる。このため、下穴に対し適切や整形を円滑に行うことができる。
また、整形用ビット部は、シャンク部に取り付けられたビット本体と、ビット本体の外周面に突設され、周方向に均等に配置された複数の切刃部と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、隣接する切刃部の間から切削粉を逃がすことができ、目詰まりの生じ難い整形用ビット部を構成することができる。なお、切刃部は、ビット本体と一体に形成されていてもよいし、ビット本体に埋め込まれたチップ状のもの(いわゆる「付け刃ドリル」)であってもよい。
この場合、ビット本体は、円筒状に形成され、複数の切刃部は、ビット本体に対し平歯状またははす歯状に突設されていることが好ましい。
この構成によれば、下穴の開口部側をほぼ真円となる形状に整形することができる。また、切刃部がはす歯状のものは、切削抵抗が小さく且つ切削粉の排出を促進することができる。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る整形用ドリルビットおよび複合ドリルビットについて説明する。整形用ドリルビットは、ハンマードリルや振動ドリル等で穿孔した後施工アンカー(金属拡張アンカー)用の下穴を整形するものであり、複合ドリルビットは、下穴用ドリルビット(超硬ドリルビット)に、補助ビットとして整形用ドリルビットを付加したものである。
図1は実施形態に係る整形用ドリルビットの斜視図、図2はその半部断面図である。両図に示すように、整形用ドリルビット10は、下穴Hの内周面を研削により整形する整形用ビット部11と、整形用ビット部11を同軸上に支持するシャンク部12とを備えている。シャンク部12は、整形用ビット部11に対し細径に形成され、その基端部は、電動ドリル(例えば充電ドライバドリル)のチャックに合わせて丸軸、六角軸、SDSプラス軸等で構成されている(図示のものは「丸軸」)。
整形用ビット部11は、シャンク部12に支持されたビット本体21と、ビット本体21の外周面に突設された複数(実施形態のものは4つ)の切刃部22とを有している。4つの切刃部22は、ビット本体21の外周部に埋め込まれており、整形用ビット部11は、いわゆる「付け刃ドリル」の形態を有している。そして、シャンク部12を中心とする4つの切刃部22の回転軌跡の直径が、整形用ドリルビット10(整形用ビット部11)の径Dとなっている(図2参照)。
ビット本体21は、スチールやステンレス等で円柱状に形成されている。また、ビット本体21は、軸方向に所定の長さ、例えば下穴Hの穿孔深さの1/5〜1/3の長さに形成されている。これにより、直線性の高い下穴Hの整形が可能となる。なお、本実施形態のビット本体21は、シャンク部12と一体に形成されているが、これを別体としてもよい。例えば、シャンク部12とビット本体21とを、ねじ締め、溶接(ろう接)、焼嵌め等により接合する。
4つの切刃部22は、ビット本体21の外周部において周方向に均等配置されており、ビット本体21に対し平歯状の形態を有している。各切刃部22は、超硬合金のチップで構成されており、ビット本体21の外周部に埋め込まれている。より具体的には、ビット本体21の外周部には、切刃部22の幅に対応する溝が形成されており、切刃部22は、この溝に径方向の略半部を挿入するようにして溶着(例えば「ろう付け」)されている。
言うまでもないが、各切刃部22の切っ先は、整形用ビット部11の回転方向に対し、所定のすくい角および逃げ角を有している。これにより、下穴Hの内周面が適切に研削され、下穴Hが所望の形状に整形される。また、各切刃部22の先端部には、軸側に向かう傾斜面22aが形成されており、整形用ビット部11の先端部は、全体として狭窄形状に形成されている。これにより、整形用ビット部11は、ブレることなく下穴Hに適切に案内され、下穴Hの整形が円滑に行われる。
なお、ビット本体21と複数の切刃部22とは一体に形成されていてもよい。かかる場合には、ビット本体21を円筒状とすることが好ましい。また、切刃部22に倣って、ビット本体21の先端部がテーパー状に形成されていてもよい。
一方、詳細は後述するが、整形用ビット部11の径D(整形用ドリルビット10の呼び径)は、下穴Hを穿孔する下穴用ドリルビット30の超硬チップ31の径D(下穴用ドリルビット30の呼び径)と同径に形成されている(図2参照)。すなわち、下穴Hをハンマードリルや振動ドリル(下穴用ドリルビット30)で穿孔すると、下穴Hの開口部側は軸方向の直線性や断面方向の形状性(楕円状となる)が損なわれる。そこで、整形用ドリルビット10により、特に開口部側を研削(整形)して下穴Hの直線性や真円度を高め得るようにしている。
ここで、図3を参照して、本実施形態の整形用ドリルビット10を用いる後施工アンカーAの一連の施工手順(施工方法)について説明する。この施工方法では、コンクリート躯体Cに下穴Hを穿孔する穿孔工程(同図(a)および(b)参照)と、穿孔した下穴Hを整形する整形工程(同図(c)参照)と、整形した下穴Hに後施工アンカーAを挿填する挿填工程(同図(d)参照)と、後施工アンカーAを打ち込む定着工程(同図(e)参照)と、を備えている。なお、図示では省略したが、この施工方法では、整形工程と挿填工程との間において、下穴Hの奥部に拡径部Haを形成する拡径工程をも備えている。
図3(a)および(b)の穿孔工程では、図外のハンマードリルや振動ドリルに下穴用ドリルビット30を装着し、コンクリート躯体Cに所望の深さの下穴Hを穿孔する。ハンマードリルや振動ドリルは、回転と軸方向の打撃とによりコンクリートを砕きながら穿孔を行う穿孔装置であり、これに用いる下穴用ドリルビット30には、いわゆるコンクリート用ドリルビットが用いられる。この場合、下穴用ドリルビット30の径は、後施工アンカーAの外径より0.5〜1.0mm大きい径としている。
図3(c)の整形工程では、下穴用ドリルビット30と同径の整形用ドリルビット10を、図外の電動ドリル(回転、或いは回転+周方向の打撃)に装着して下穴Hの整形を行う。下穴Hの整形では、整形用ドリルビット10の整形用ビット部11を、下穴Hの開口部側を中心に1〜2往復させる。整形工程が終了したら下穴Hの清掃を行うが、実施形態のものは、拡径用ドリルビットを用いて拡径部Haを形成する(図示省略)。この拡径部Haの形成では、冷却液を供給しながら研削が行われ、研削粉が冷却液により外部に押し流されるため、下穴Hの清掃は省略される。
図3(d)の挿填工程では、後施工アンカーAを下穴Hに挿填する。この場合、下穴Hは、整形用ドリルビット10により適切な形状に整形されており、後施工アンカーAは、無理なく下穴Hに挿填される。もっとも、製造上の誤差等により、投入した後施工アンカーAが穴底に達しない場合には、後施工アンカーAをハンマー等で軽くたたき入れるようにする。なお、図示の後施工アンカーAは、スリーブ打込み式のものであり、全ねじのアンカー本体Aaと、アンカー本体Aaが挿通するスリーブAbと、アンカー本体Aaの先端部に螺合したコーンナットAcと、で構成されている。
図3(e)の定着工程では、専用の打込み棒Rを用い、ハンマー等によりスリーブAbを打ち込むようにする。スリーブAbが打ち込まれると、コーンナットAcによりスリーブAbの拡開部が開いて下穴Hの拡径部Haに圧接される。これにより、後施工アンカーAが下穴Hに定着され、後施工アンカーAはこれに作用する引抜き力に対しクサビ効果を発揮する。
以上のように、本実施形態(第1実施形態)の整形用ドリルビット10では、整形用ビット部11が所定の長さを有し、且つ下穴用ドリルビット30(下穴Hの穿孔径)と同径に形成されているため、整形用ビット部11により下穴Hの内周面を研削することにより、直線性および真円度の高い下穴Hに整形することができる。これにより、後施工アンカーAが円滑に挿入可能な下穴Hを形成することができる。加えて、上記の拡径用ドリルビットも後施工アンカーAと同径に形成されているため、拡径用ドリルビットも下穴Hに円滑に挿入可能となり、全体として作業性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、整形用ビット部11における切刃部22の数を4つとしたが、これに限定されるものではなく、2つ以上であればよい。もっとも、整形用ビット部11は、ビット本体21の外周面にダイヤモンドを塗着したダイヤモンドの切刃で構成してもよい。
次に、図4を参照して、整形用ドリルビット10Aの第2実施形態について説明する。この実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
この実施形態の整形用ドリルビット10Aでは、その整形用ビット部11において、4つの切刃部22がビット本体21に対しはす歯の形態を有している。すなわち、この整形用ドリルビット10Aでは、4つ(複数)の切刃部22が、軸線に対し斜めに傾いた状態でビット本体21に埋め込まれている。
この実施形態の整形用ドリルビット10Aでは、その整形用ビット部11において、4つの切刃部22がビット本体21に対しはす歯の形態を有している。すなわち、この整形用ドリルビット10Aでは、4つ(複数)の切刃部22が、軸線に対し斜めに傾いた状態でビット本体21に埋め込まれている。
このように、第2実施形態の整形用ドリルビット10Aにおいても、整形用ビット部11により、直線性および真円度の高い下穴Hに整形することができる。特にこの場合には、回転する切刃部22が研削粉を排出するように機能するため、目詰まり等を抑制することができる。
次に、図5を参照して、実施形態に係る複合ドリルビット50について説明する。この複合ドリルビット50は、後施工アンカーA用の下穴Hを穿孔する下穴用ビット部51と、下穴用ビット部51のシャンク部61に取り付けられ、下穴Hを研削により整形する整形用ビット部52と、を備えている。この場合、下穴用ビット部51は第1実施形態の下穴用ドリルビット30に相当し、整形用ビット部52は第1実施形態の整形用ドリルビット10の整形用ビット部11に相当する。すなわち、複合ドリルビット50は、補助ビットとして整形用ビット部52を同軸上に取り付けた下穴用ドリルビット30(コンクリート用ドリルビット)の形態を有している。
下穴用ビット部51は、シャンク部61と、シャンク部61に連なる螺旋状の逃がし溝62aを有する切刃本体62と、切刃本体62の先端部に埋め込んだ超硬チップ63と、を有している。シャンク部61は、丸軸、六角軸、SDSプラス軸等で構成された軸部61aと、軸部61aに連なり整形用ビット部52が取り付けられる雄ねじ部61bと、雄ねじ部61bに連なる段部61cと、を有している。シャンク部61は、軸部61a、雄ねじ部61b、段部61cの順で太径に形成されているが、切刃本体62に対しては十分に細径に形成されている。
切刃本体62は、コンクリートの研削粉を排出するための螺旋状の2条の逃がし溝62aを有している。また、切刃本体62の先端部には、コンクリートを粉砕しながら穿孔する超硬チップ63が埋め込まれている(付け刃ドリル)。すなわち、切刃本体62の先端部には、超硬チップ63に対応する溝が形成されており、超硬チップ63は、この溝に一部を挿入するようにして溶着(例えば「ろう付け」)されている。
そして、回転する超硬チップ63における輪郭の直径が、下穴用ビット部51の径D、言い換えれば下穴Hの穿孔径となっている。
整形用ビット部52は、第1実施形態の整形用ビット部11と同様に、シャンク部61に支持されたビット本体71と、ビット本体71の外周部に埋め込まれた(突設された)4つの切刃部72とを有している。この場合のビット本体71は、円筒状に形成されており、ビット本体71の内周面には、シャンク部61の雄ねじ部61bに螺合する雌ねじ部71aが形成されている。整形用ビット部52を、その雌ねじ部71aの部分でシャンク部61の雄ねじ部61bに螺合することで、同軸上において整形用ビット部52がシャンク部61に取り付けられる。なお、整形用ビット部52のシャンク部61への取り付けは、溶接(ろう接)等であってもよい。
この場合も、シャンク部61を中心とする4つの切刃部72の回転軌跡の直径が、整形用ビット部52の径Dとなっている(図5参照)。そして、整形用ビット部52の径Dは、下穴用ビット部51の径Dと同径に形成されている。すなわち、実施形態の複合ドリルビット50の径=Dであり、これによりハンマードリルや振動ドリルによる下穴Hの穿孔と同時並行で、下穴Hの開口部側の整形(研削)が行われる。
なお、詳細は後述するが、本実施形態の複合ドリルビット50では、下穴Hの穿孔および整形に際し、整形用ビット部52が下穴用ビット部51の穿孔をガイドする一方、下穴用ビット部51が整形用ビット部52の整形をガイドすることになる。このため、ビット本体71(整形用ビット部52)の長さは、第1実施形態のビット本体21ほど長くなくてもよい。
ここで、図6を参照して、本実施形態の複合ドリルビット50を用いる後施工アンカーAの一連の施工手順(施工方法)について説明する。この施工方法では、コンクリート躯体Cに下穴Hを穿孔すると同時に下穴Hを整形する穿孔・整形工程(同図(a)および(b)参照)と、形成した下穴Hに後施工アンカーAを挿填する挿填工程(同図(c)参照)と、後施工アンカーAを打ち込む定着工程(同図(d)参照)と、を備えている。なお、この場合も、整形工程と挿填工程との間において、下穴Hの奥部に拡径部Haを形成する拡径工程をも備えている(図示省略)。
図6(a)および(b)の穿孔・整形工程では、図外のハンマードリルや振動ドリルに複合ドリルビット50を装着し、コンクリート躯体Cに所望の深さの下穴Hを穿孔すると共に穿孔した下穴H部分を整形する。複合ドリルビット50の構造上、下穴Hの穿孔が下穴Hの整形に先行して行われる。すなわち、下穴用ビット部51による下穴Hの穿孔が進んでいくと、途中から整形用ビット部52が穿孔した下穴Hに入り込んでゆく。下穴用ビット部51は、ある程度穿孔が進むと(切刃本体62がほぼ下穴Hに没する状態)安定した穿孔状態に移行し、整形用ビット部52の整形をガイドすることになる。また、整形用ビット部52が穿孔した下穴Hに入り込んでゆくと、整形用ビット部52が下穴用ビット部51の穿孔をガイドすることにもなる。
このようにして、所望の深さまで下穴Hが穿孔される(穿孔完了)と、整形用ビット部52は、下穴Hの全深さの1/3程度の深さに達する。すなわち、この場合には、下穴Hの開口部から1/3程度の深さまで、整形用ビット部52による整形が行われることになる。これにより、穿孔が不適切になりがちな下穴Hの開口部側が、適切なものに整形される。なお、この場合も、複合ドリルビット50の径Dは、後施工アンカーAの外径より0.5〜1.0mm大きい径としている。また、拡径用ドリルビットを用いて拡径部Haを形成するようにしている。
図6(c)の挿填工程および図6(d)の挿填工程は、第1実施形態と同様であるため(図3(d)および(e)参照)、ここでの説明は省略する。
以上のように、本実施形態の複合ドリルビット50によれば、整形用ビット部52の径が下穴用ビット部51の径(下穴Hの穿孔径)と同径に形成されているため、下穴Hの穿孔動作に伴って下穴Hを直線性および真円度の高いものに整形することができる。これにより、後施工アンカーA等が円滑に挿入可能な下穴Hを形成することができる。なお、この場合も、整形用ビット部52における切刃部72の数は、2つ以上であればよい。また、整形用ビット部52をダイヤモンドの切刃であってもよい。
なお、図示しないが、複合ドリルビット50において、整形用ビット部52が、はす歯の形態を有しているものであってもよい。この場合には、下穴用ビット部51の切刃本体62により送り出された切削粉が、整形用ビット部52の切刃部72によりさらに下穴Hの開口部まで導かれる。また、整形用ビット部52に生ずるスラスト荷重(軸方向の分力)が、複合ドリルビット50に加える押圧力を補完することとなる。
10,10A…整形用ドリルビット、11…整形用ビット部、12…シャンク部、21…ビット本体、22…切刃部、30…下穴用ドリルビット、31…超硬チップ、50…複合ドリルビット、51…下穴用ビット部、52…整形用ビット部、61…シャンク部、62…切刃本体、63…超硬チップ、71…ビット本体、72…切刃部、A…後施工アンカー、C…コンクリート躯体、D…径、H…下穴
Claims (8)
- 下穴用ドリルビットの回転と打撃とにより穿孔された後施工アンカー用の下穴を、研削により整形する整形用ドリルビットであって、
軸方向に所定の長さを有し、前記下穴の内周面を研削により整形する整形用ビット部と、
前記整形用ビット部を支持するシャンク部と、を備え、
前記整形用ビット部の径は、前記下穴用ドリルビットの径と同径に形成されていることを特徴とする整形用ドリルビット。 - 前記整形用ビット部の先端部は、狭窄形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の整形用ドリルビット。
- 前記整形用ビット部は、
前記シャンク部に支持されたビット本体と、
前記ビット本体の外周面に突設され、周方向に均等に配置された複数の切刃部と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の整形用ドリルビット。 - 前記ビット本体は、円柱状に形成され、
前記複数の切刃部は、前記ビット本体に対し平歯状またははす歯状に突設されていることを特徴とする請求項3に記載の整形用ドリルビット。 - 回転と打撃とにより後施工アンカー用の下穴を穿孔する下穴用ビット部と、
前記下穴用ビット部のシャンク部に同軸上に取り付けられ、前記下穴の内周面を研削により整形する整形用ビット部と、を備え、
前記整形用ビット部の径は、前記下穴用ビット部の径と同径に形成されていることを特徴とする複合ドリルビット。 - 前記整形用ビット部の先端部は、狭窄形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の複合ドリルビット。
- 前記整形用ビット部は、
前記シャンク部に取り付けられたビット本体と、
前記ビット本体の外周面に突設され、周方向に均等に配置された複数の切刃部と、を有していることを特徴とする請求項5または6に記載の複合ドリルビット。 - 前記ビット本体は、円筒状に形成され、
前記複数の切刃部は、前記ビット本体に対し平歯状またははす歯状に突設されていることを特徴とする請求項7に記載の複合ドリルビット。
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JPH0347711U (ja) * | 1989-09-11 | 1991-05-07 | ||
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- 2015-12-21 JP JP2015248472A patent/JP2017113889A/ja active Pending
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