JP2017110594A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より適正な量の還元剤をNOx触媒へ供給する。【解決手段】選択還元型NOx触媒を担持し、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、選択還元型NOx触媒におけるNOx浄化率を検出する検出部と、フィルタに粒子状物質が堆積していないときのNOx浄化率を基準NOx浄化率として記憶する記憶部と、検出部により検出されるNOx浄化率と、基準NOx浄化率と、の差が、増加量閾値よりも大きな場合には、増加量閾値以下の場合よりも、還元剤供給装置から供給する還元剤量を少なくする補正部と、を備える。【選択図】図12

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
アンモニアを還元剤として使用することで、内燃機関からの排気中に含まれるNOxを浄化する選択還元型NOx触媒(以下、単に「NOx触媒」という。)が知られている。このNOx触媒よりも上流側には、排気中にアンモニア又はアンモニアの前駆体を添加する添加弁等が設置される。アンモニアの前駆体としては、尿素を例示できる。以下、アンモニアの前駆体またはアンモニアをまとめて「還元剤」ともいう。
ここで、NOx触媒よりも上流側にフィルタを備えた構成において、フィルタに粒子状物質(以下、PMともいう。)が捕集されている場合には、このPMによって排気中のNOがNOに還元される。これにより、NOxを浄化するためにNOx触媒に供給する還元剤の適正量が変化する。このため、フィルタにおけるPM堆積量に基づいてNOx触媒へ供給する還元剤量を調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−293606号公報 特開2001−193440号公報
"Physico-Chemical Modeling of an Integrated SCR on DPF (SCR/DPF) System," SAE International Journal of Engines, August 2012 vol. 5 no. 3, 958-974
ここで、NOx触媒を担持したフィルタが知られている。このNOx触媒を担持したフィルタにおいては、アンモニアの飽和吸着量が、PM堆積量以外が同じ条件であれば、フィルタの隔壁内(すなわち、隔壁に形成された細孔内)のPM堆積量に応じては変化するが、フィルタの隔壁の表面上のPM堆積量に応じては変化しないことが判明した。このため、単にPM堆積量に応じて還元剤供給量を調整しても、PMが堆積している場所によっては還元剤供給量が適正でない虞もある。一方、フィルタの壁内のPM堆積量に基づいて還元剤供給量を調整することで適正量の還元剤を供給することが可能となるが、フィルタに堆積していたPMが酸化されることにより減少した場合には、フィルタの隔壁内のPMが減少したのか、または、フィルタの隔壁の表面上のPMが減少したのかを判断することが困難であるため、フィルタの壁内のPM堆積量を求めることは困難である。
そこで本発明は、より適正な量の還元剤をNOx触媒へ供給することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、内燃機関の排気通路に設けられ該排気通路内にアンモニアの前駆体またはアンモニアを還元剤として供給する還元剤供給装置と、前記還元剤供給装置よりも下流の排気通路に設けられ、還元剤によりNOxを選択還元する選択還元型NOx触媒を担持し、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、前記選択還元型NOx触媒におけるNOx浄化率を検出する検出部と、前記検出部により検出されるNOx
浄化率であって前記フィルタに粒子状物質が堆積していないときのNOx浄化率を基準NOx浄化率として記憶する記憶部と、前記フィルタに堆積している粒子状物質の量以外の条件が同じ場合において、前記検出部により検出されるNOx浄化率と、前記基準NOx浄化率と、の差が、増加量閾値よりも大きな場合には、前記増加量閾値以下の場合よりも、前記還元剤供給装置から供給する還元剤量を少なくする補正部と、を備える。
本発明によれば、より適正な量の還元剤をNOx触媒へ供給することができる。
実施例に係る内燃機関と、その吸気系及び排気系と、の概略構成を示す図である。 還元剤供給量を求めるためのブロック図である。 フィルタの隔壁内に堆積しているPM量(壁内PM堆積量)と飽和吸着量との関係を示した図である。 フィルタの隔壁の表面上に堆積しているPM量(表層PM堆積量)と飽和吸着量との関係を示した図である。 フィルタにPMが堆積していない場合における、NOx触媒の総アンモニア吸着量と、フィルタから流出するアンモニアの濃度(流出アンモニア濃度)と、NOx触媒のNOx浄化率との推移を示したタイムチャートである。 フィルタの隔壁内にPMが堆積している場合における、NOx触媒の総アンモニア吸着量と、フィルタから流出するアンモニアの濃度(流出アンモニア濃度)と、NOx触媒のNOx浄化率との推移を示したタイムチャートである。 触媒温度と飽和吸着量との関係を示した図である。 触媒温度、総アンモニア吸着量、流出アンモニア濃度の推移を示したタイムチャートである。 フィルタにおける総PM堆積量と、飽和吸着量と、の関係を示した図である。 基準NOx浄化率からのNOx浄化率の増加量DNOxと、触媒温度と、アンモニア脱離量を補正するための補正係数との関係を示した図である。 NOx触媒における推定吸着量を求めるためのブロック図である。 実施例に係る還元剤供給量の補正係数を算出するフローを示したフローチャートである。 還元剤供給量を算出するためのフローを示したフローチャートである。 還元剤供給量を補正するためのブロック図である。 総PM堆積量と、NOx浄化率の増加量DNOx、アンモニア脱離量の補正係数、総アンモニア吸着量、NOx触媒におけるNOx浄化率、触媒温度が上昇した場合の流出アンモニア濃度と、の関係を示した図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例)
図1は、本実施例に係る内燃機関と、その吸気系及び排気系と、の概略構成を示す図である。内燃機関1は車両駆動用のディーゼルエンジンである。ただし、内燃機関1はガソリンエンジンであってもよい。内燃機関1には排気通路2が接続されている。排気通路2には、アンモニアを還元剤として排気中のNOxを選択還元する選択還元型NOx触媒3
1(以下、「NOx触媒31」という。)を担持したフィルタ3が設けられている。フィルタ3は、排気中のPMを捕集するウォールフロー型のフィルタである。また、NOx触媒31は、アンモニアを吸着し、該アンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する。
また、NOx触媒31よりも上流の排気通路2には、還元剤を噴射する添加弁4が設けられている。還元剤には、アンモニア(NH)が用いられる。なお、添加弁4は、アンモニアに代えて、アンモニアの前駆体である尿素水を噴射してもよい。添加弁4から噴射された尿素水は、排気の熱またはNOx触媒31からの熱により加水分解されてアンモニアとなり、NOx触媒31に吸着する。このアンモニアは、NOx触媒31において還元剤として利用される。すなわち、添加弁4からは、アンモニアに変化する物質、または、アンモニアを供給すればよい。なお、本実施例においては添加弁4が、本発明における還元剤供給装置に相当する。
さらに、添加弁4よりも上流の排気通路2には、フィルタ3に流れ込む排気中のNOxを検出する上流側NOxセンサ11が設けられている。また、フィルタ3よりも下流の排気通路2には、フィルタ3から流れ出る排気中のNOxを検出する下流側NOxセンサ12と、排気温度を検出する温度センサ13と、が設けられている。さらに、排気通路2には、フィルタ3よりも上流側の排気の圧力とフィルタ3よりも下流側の排気の圧力との差であるフィルタ差圧を検出する差圧センサ17が設けられている。
また、内燃機関1には、吸気通路6が接続されている。吸気通路6の途中には、内燃機関1の吸入空気量を調整するスロットル7が設けられている。また、スロットル7よりも上流の吸気通路6には、内燃機関1の吸入空気量を検出するエアフローメータ16が取り付けられている。
そして、内燃機関1には電子制御ユニットであるECU10が併設されている。ECU10は、内燃機関1の運転状態や排気浄化装置等を制御する。ECU10には、上述した上流側NOxセンサ11、下流側NOxセンサ12、温度センサ13、エアフローメータ16、差圧センサ17の他、クランクポジションセンサ14及びアクセル開度センサ15が電気的に接続され、各センサの出力値がECU10に渡される。
ECU10は、クランクポジションセンサ14の検知に基づく機関回転速度や、アクセル開度センサ15の検知に基づく機関負荷等の内燃機関1の運転状態を把握可能である。なお、本実施例では、フィルタ3に流れ込む排気中のNOxは上流側NOxセンサ11によって検出可能であるが、内燃機関1から排出される排気(NOx触媒31に浄化される前の排気であり、すなわちフィルタ3に流れ込む排気)に含まれるNOxは、内燃機関1の運転状態と関連性を有することから、上記内燃機関1の運転状態に基づいて、推定することも可能である。また、ECU10は、温度センサ13によって検出される排気温度に基づいて、フィルタ3及びNOx触媒31の温度を検出することが可能である。なお、フィルタ3とNOx触媒31とは一体であるため、フィルタ3の温度とNOx触媒31の温度は等しいものとみなすことができる。また、ECU10は、内燃機関1の運転状態に基づいて、フィルタ3及びNOx触媒31の温度を推定することも可能である。一方、ECU10には、添加弁4及びスロットル7が電気配線を介して接続されており、該ECU10によりこれらの機器が制御される。
ECU10は、NOx触媒31のアンモニア吸着量が、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の目標値(以下、目標吸着量ともいう。)となるように、添加弁4から還元剤を供給する。この際、ECU10は、前回の還元剤の供給開始時点から今回の還元剤の供給開始時点までの期間(以下、供給間隔ともいう。)に、NOx触媒31においてNOx
を浄化するために消費されたアンモニア量(以下、アンモニア消費量ともいう。)と、NOx触媒31から脱離してNOxを浄化することなく減少したアンモニア量(以下、アンモニア脱離量ともいう。)と、を補うことでNOx触媒31のアンモニア吸着量が目標吸着量となるように、添加弁4から添加する還元剤量(以下、還元剤供給量ともいう。)を算出する。このため、ECU10は、フィルタ3に流入するNOx量(以下、流入NOx量ともいう。)、NOx触媒31の温度(以下、触媒温度ともいう。)、NOx触媒31における目標吸着量に基づいて、供給間隔中に含まれる複数の演算周期毎に繰り返し還元剤供給量を算出し、供給間隔中に算出された還元剤供給量を積算していく。そして、還元剤の供給開始時点における還元剤供給量の積算値が、ECU10から添加弁4へ与えられる指令値となる。この還元剤供給量の指令値は、実際に添加弁4から供給するべき還元剤量である。還元剤供給量と添加弁4の開弁時間とには相関関係があるため、この関係を予め実験またはシミュレーション等により求めておけば、算出された還元剤供給量から添加弁4の開弁時間を決定することができる。ECU10は、還元剤供給量に応じた時間だけ添加弁4を開弁させることにより、還元剤を供給する。
図2は還元剤供給量を求めるためのブロック図である。この図2は、ECU10での処理で実現される機能をイメージ化したものである。アンモニア消費量は、流入NOx量、触媒温度、目標吸着量に基づいて得ることができる。また、アンモニア脱離量は、触媒温度及び目標吸着量に基づいて得ることができる。ECU10の演算周期毎にNOx触媒31に流入するNOx量は、排気のNOx濃度と排気の流量とに関連しており、排気の流量はエアフローメータ16により検出される吸入空気量と関連している。したがって、上流側NOxセンサ11の検出値及びエアフローメータ16の検出値に基づいて、演算周期毎にNOx触媒31に流入するNOx量を算出することができる。なお、上流側NOxセンサ11の検出値及びエアフローメータ16の検出値は、今回の演算時の値が前回の演算時から今回の演算時まで継続しているものとして扱うか、または、前回の演算時の値が前回の演算時から今回の演算時まで継続しているものとして扱う。また、前回の演算時から今回の演算時までの上流側NOxセンサ11の検出値及びエアフローメータ16の検出値の平均値を夫々求めて、この値が前回の演算時から今回の演算時まで継続しているものとして扱ってもよい。
また、触媒温度は、温度センサ13により検出することができる。還元剤供給量を算出するときに用いる触媒温度には、前回の演算時のNOx触媒31の温度、今回の演算時のNOx触媒31の温度、または、前回の演算時から今回の演算時までのNOx触媒31の温度の平均値を用いることができる。さらに、目標吸着量は、今回の演算時での内燃機関1の運転状態に基づいて決定されるアンモニア吸着量、または、前回の演算時での内燃機関1の運転状態に基づいて決定されるアンモニア吸着量を用いることができる。目標吸着量は、NOx触媒31において所望のNOx浄化率を確保でき、且つ、NOx触媒31からのアンモニアの流出量を許容範囲内に抑制することができる値として、予め実験またはシミュレーション等により求めることができる。アンモニア消費量は、触媒温度が高いほど多くなり、流入NOx量が多いほど多くなり、目標吸着量が多いほど多くなる。アンモニア脱離量は、触媒温度が高いほど多くなり、目標吸着量が多いほど多くなる。そしてECU10は、演算周期毎に、NOx触媒31におけるアンモニア消費量と、NOx触媒31におけるアンモニア脱離量と、の総量を供給すべきアンモニア量として還元剤供給量を算出し、この値を積算していく。そして、還元剤の供給時期に至った時点での還元剤供給量の積算値が、還元剤供給量の指令値となる。
ところで、フィルタ3にPMが堆積している場合には、PMが堆積していない場合よりも、NOx触媒31が吸着可能なアンモニア量(以下、飽和吸着量ともいう。)が増加することが見出された。ここで、図3は、フィルタ3の隔壁内に堆積しているPM量(以下、壁内PM堆積量ともいう。)と飽和吸着量との関係を示した図である。一方、図4は、
フィルタ3の隔壁の表面上に堆積しているPM量(以下、表層PM堆積量ともいう。)と飽和吸着量との関係を示した図である。PMがフィルタ3の隔壁内に堆積している途中では、壁内PM堆積量が増加するにしたがって飽和吸着量も増加するが、PMがフィルタ3の隔壁の表面上に堆積している途中では、表層PM堆積量が増加したとしても飽和吸着量は増加しない。なお、PMがフィルタ3に堆積するときには、まずは隔壁内に堆積し、隔壁内へのPMの堆積が終了した後に、隔壁の表面上に堆積することが判明している。したがって、PMが隔壁内に堆積している途中では、PMの堆積量が増加するにしたがって飽和吸着量が増加するが、隔壁内へのPMの堆積が終了してPMが隔壁の表面上に堆積するようになると、PMの堆積量が増加しても飽和吸着量は増加しない。
ここで、還元剤供給量が変化しない場合であっても、飽和吸着量が増加することにより、NOx触媒31に吸着されるアンモニアの総量(以下、総アンモニア吸着量ともいう。)が増加する。しかし、このように総アンモニア吸着量が増加した状態で触媒温度が上昇すると、NOx触媒31から脱離するアンモニア量が増加するため、NOx触媒31から流れ出るアンモニア量が多くなる虞がある。
ここで、図5は、フィルタ3にPMが堆積していない場合における、NOx触媒31の総アンモニア吸着量と、フィルタ3から流出するアンモニアの濃度(流出アンモニア濃度)と、NOx触媒31のNOx浄化率との推移を示したタイムチャートである。また、図6は、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合における、NOx触媒31の総アンモニア吸着量と、フィルタ3から流出するアンモニアの濃度(流出アンモニア濃度)と、NOx触媒31のNOx浄化率との推移を示したタイムチャートである。図5及び図6は、後述する本実施例に係る還元剤供給量の補正を実施していない場合であって、図5と図6とで同量の還元剤を供給した場合を示している。実線は実測値を示し、一点鎖線は目標値を示している。図5においては、実測値と目標値とは略等しい。また、総アンモニア吸着量における「制御目標値」は、総アンモニア吸着量の最終的な目標値を示している。
図5に示されるように、フィルタ3にPMが堆積していない場合には、総アンモニア吸着量、流出アンモニア濃度、NOx濃度の何れも実測値と目標値とが略等しい。一方、図6に示されるように、フィルタ3にPMが堆積している場合には、NOx触媒31の飽和吸着量の増加により、総アンモニア吸着量の実測値が目標値よりも大きくなる。このため、流出アンモニア濃度が増加を始める時期が、フィルタ3にPMが堆積していない場合よりも遅れる。さらに、フィルタ3にPMが堆積している場合には、堆積していない場合よりも、流出アンモニア濃度が収束するまでの時間が長くなる。また、総アンモニア吸着量が増加することによりNOx浄化率が増加するため、NOx浄化率が必要以上に高くなってしまう。NOx浄化率が高くなると、消費されるアンモニア量が増加するため、流出アンモニア濃度が低くなる。
そして、NOx触媒31の温度が低温から高温へ変化した場合には、NOx触媒31からアンモニアが脱離するが、このときには総アンモニア吸着量が多いほど、NOx触媒31から脱離するアンモニア量が多くなる。ここで、図7は、触媒温度と飽和吸着量との関係を示した図である。実線はフィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合を示し、一点鎖線はフィルタ3にPMが堆積していない場合を示している。何れも触媒温度が低いほど、飽和吸着量が多くなるが、フィルタ3にPMが堆積している場合には、堆積していない場合よりも、低温側で飽和吸着量がより多くなる。すなわち、PMが堆積している影響は、低温側ほど大きいといえる。したがって、触媒温度が低温から高温へ変化したときの飽和吸着量の変化量は、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合の方が、PMが堆積していない場合よりも大きい。例えば、触媒温度が図7におけるTAからTBへ上昇した場合、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合には飽和吸着量がGAだけ減少し、フィルタ3にPMが堆積していない場合には飽和吸着量がGBだけ減少する。そして、G
BよりもGAのほうが大きい。このため、触媒温度がTAからTBに変化したときには、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合の方が、PMが堆積していない場合よりも、飽和吸着量の減少量が大きくなるため、NOx触媒31からのアンモニア脱離量が大きくなり易い。
図8は、触媒温度、総アンモニア吸着量、流出アンモニア濃度の推移を示したタイムチャートである。実線はフィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合を示し、一点鎖線はフィルタ3にPMが堆積していない場合を示している。図8は、内燃機関1の運転状態の変化により触媒温度が上昇した場合を示しており、触媒温度の上昇度合いは、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している場合と、フィルタ3にPMが堆積していない場合とで等しい。そして、触媒温度の上昇にしたがって、飽和吸着量が減少するため、総アンモニア吸着量が減少する。ただし、フィルタ3にPMが堆積していない場合よりも、フィルタ3にPMが堆積している場合の方が、総アンモニア吸着量の減少量が大きくなる。このため、触媒温度が上昇したときの流出アンモニア濃度は、フィルタ3にPMが堆積していない場合よりも、フィルタ3にPMが堆積している場合の方が高くなる。
図9は、フィルタ3におけるPM堆積量の総量(以下、総PM堆積量ともいう。)と、飽和吸着量と、の関係を示した図である。なお、図9は、PMが途中で酸化されることなく堆積した場合における総PM堆積量と飽和吸着量との関係を示している。なお、PMが酸化される場合には総PM堆積量が減少し、それに伴って飽和吸着量も変化するため、図9に示した関係にはならない。図9においてG1は、隔壁内へのPMの堆積が終了したときの総PM堆積量を示している。G1は、隔壁内においてPMが飽和したときの壁内PM堆積量である。したがって、総PM堆積量がG1以下の場合には、壁内PM堆積量が増加している状態であり、総PM堆積量がG1よりも多い場合には、表層PM堆積量が増加している状態である。図3に示したように、壁内PM堆積量が増加している途中、すなわち、総PM堆積量がG1以下の場合では、総PM堆積量が増加するにしたがって、飽和吸着量が増加する。一方、図4に示したように、表層PM堆積量が増加している途中、すなわち総PM堆積量がG1よりも多い場合には、総PM堆積量が増加したとしても、飽和吸着量は増加しない。したがって、壁内PM堆積量が増加している途中の場合と、表層PM堆積量が増加している途中の場合とで飽和吸着量が異なる値となる。そうすると、触媒温度が上昇したときの流出アンモニア濃度の上昇度合いも、壁内PM堆積量が増加している途中の場合と、表層PM堆積量が増加している途中の場合とで異なる。
このように触媒温度が低温から高温に変化したときに流出アンモニア濃度が増加する虞がある。そこで本実施例では、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している途中の場合よりも、フィルタ3の隔壁の表面上にPMが堆積している途中の場合のほうが、還元剤供給量が少なくなるように補正係数を用いて還元剤供給量を補正する。これにより、触媒温度が上昇したときにNOx触媒31から脱離するアンモニア量を減少させる。ここで、図9に示したように、壁内PM堆積量が増加しているときには、飽和吸着量が増加するが、この詳細な関係は明らかになっていない。このため、壁内PM堆積量の増加量にしたがって還元剤供給量を減少させるのではなく、壁内PM堆積量が増加しているときには還元剤供給量の補正係数を一定とし、表層PM堆積量が増加しているときには、壁内PM堆積量が増加しているときよりも還元剤供給量が少なくなるように補正係数を設定している。
壁内PM堆積量が増加しているときには、飽和吸着量の増加によりNOx浄化率が徐々に高くなっていき、壁内へのPMの堆積が終了して表層PM堆積量が増加しているときにはNOx浄化率が高いまま一定の値となる。したがって、フィルタ3にPMが堆積していないときのNOx浄化率を基準NOx浄化率として記憶しておき、検出されるNOx浄化率の基準NOx浄化率からの増加量が増加量閾値を超えた場合には、フィルタ3の壁内へのPMの堆積が終了してフィルタ3の隔壁の表面上にPMが堆積していると判定すること
ができる。増加量閾値は、フィルタ3の隔壁内のPMの堆積が終了したときの基準NOx浄化率からの増加量、若しくは、フィルタ3の隔壁内のPMの堆積が終了するPM堆積量よりも余裕を持たせた少ないPM堆積量のときの基準NOx浄化率からの増加量として予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておくことができる。なお、NOx浄化率は、NOx触媒31に流入する排気中のNOx濃度に対する、NOx触媒31で減少するNOx濃度の比率であり、上流側NOxセンサ11及び下流側NOxセンサ12により検出することができる。
ここで、壁内PM堆積量の増加に応じてNOx触媒31でのアンモニア吸着量が増加し易くなるのは、壁内PM堆積量が増加すると該NOx触媒31におけるアンモニアの飽和吸着量が増加し、それに伴って、該NOx触媒31から脱離するアンモニア量が減少するためだと考えられる。したがって、図2におけるアンモニア消費量及びアンモニア脱離量のうち、飽和吸着量の変化の影響を受けるのは、アンモニア脱離量に限られるため、上記の還元剤供給量を補正するときには、アンモニア脱離量を補正する。すなわち、図2に示したアンモニア脱離量に補正係数を乗算することにより、該アンモニア脱離量を補正する。この補正係数は、壁内PM堆積量が増加中のときよりも、表層PM堆積量が増加中のときに、補正係数が小さくなるように設定される。これにより、壁内PM堆積量が増加中のときよりも、表層PM堆積量が増加中のときに、アンモニア脱離量がより小さくなるように算出されるため、還元剤供給量が少なくなるように算出される。この補正後のアンモニア脱離量と、上記のアンモニア消費量との総量がNOx触媒31に供給すべきアンモニア量となる。なお、飽和吸着量はNOx触媒31の温度の影響を受けるため、アンモニア脱離量を補正する補正係数は温度が低いほど小さくなるようにしてもよい。また、本実施例では、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している途中のときには、還元剤供給量の補正を行わないために補正係数を1とする。
図10は、基準NOx浄化率からのNOx浄化率の増加量DNOxと、触媒温度と、アンモニア脱離量を補正するための補正係数との関係を示した図である。NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値を超えている場合には、補正係数は0よりも大きく且つ1よりも小さい値に設定され、さらに、触媒温度が低いほど小さい値に設定される。ここで、図7で説明したように、触媒温度が低いほど触媒温度が増加したときの影響が大きいため、触媒温度が低いほど、アンモニア脱離量が少なく計算されるように、補正係数を小さくしている。また、NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値を超えている場合には、PM堆積量が増加しても飽和吸着量は変わらないため、補正係数はPM堆積量によらない値となる。図10に示した関係は、予め実験またはシミュレーション等により求める。一方、NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値以下の場合には、補正係数が1に設定される。このようにして、NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値を超えている場合、すなわち、表層PM堆積量が増加している途中の場合には、壁内PM堆積量が増加している途中の場合よりも、アンモニア脱離量が少なくなるように補正されるため、還元剤供給量が少なくなるように補正される。これにより、触媒温度上昇時にNOx触媒31からアンモニアが流出することを抑制できる。
また、後述する図12に示したフローチャートを実行するときに必要となるため、ECU10は、NOx触媒31のアンモニア吸着量を推定している。以下、この推定値を、推定吸着量と称する。推定吸着量も、厳密には、壁内PM堆積量の影響を受けるが、本実施例では、推定吸着量における壁内PM堆積量の影響が小さいものとして無視する。図11は、NOx触媒31における推定吸着量を求めるためのブロック図である。この図11は、ECU10での処理で実現される機能をイメージ化したものである。本実施例では、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の演算周期毎の変化量を積算することにより、推定吸着量を求める。NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の演算周期毎の変化量は、アンモニア吸着量の演算周期毎の増加量から演算周期毎の減少量を減算することにより求
めることができる。NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の演算周期毎の増加量は、添加弁4から添加される演算周期毎の還元剤量(図11の「供給NH量」)とすることができる。また、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の演算周期毎の減少量は、NOx触媒31で消費される演算周期毎の還元剤量(図11の「消費NH量」)、及び、NOx触媒31から脱離する演算周期毎の還元剤量(図11の「脱離NH量」)とすることができる。そして、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の演算周期毎の変化量を積算することにより、現時点におけるアンモニア吸着量(図11の「吸着量」)を算出する。
添加弁4から添加される演算周期毎の還元剤量(図11の「供給NH量」)は、図2で説明したようにして知ることができる。NOx触媒31で消費される演算周期毎の還元剤量(図11の「消費NH量」)は、NOx触媒31におけるNOx浄化率(図11の「NOx浄化率」)と、内燃機関1の演算周期毎の排気の流量(図11の「排気流量」)と、NOx触媒31に流れ込む排気中のNOx濃度(図11の「入NOx濃度」)と、に関連しているため、これらの値に基づいて算出することができる。なお、排気流量は、吸入空気量と相関関係にあるため、エアフローメータ16の検出値に基づいて算出することができる。
NOx浄化率は、触媒温度と、排気流量と、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量(図11の「吸着量前回値」)と、に関連しているため、こられの値に基づいて算出することができる。NOx触媒31におけるアンモニア吸着量は、前回算出された値を用いる。NOx触媒31におけるNOx浄化率は、NOx触媒31の温度と、排気流量と、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量と、相関関係にあるため、これらの関係を予め実験またはシミュレーション等により求めておくことで、NOx浄化率を算出することができる。これらの関係を予めマップ化しておいてもよい。
また、NOx触媒31から脱離する演算周期毎の還元剤量(図11の「脱離NH量」)は、NOx触媒31の温度(図11の「温度」)と、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量(図11の「吸着量前回値」)と、関連しているため、これらの値に基づいて算出することができる。NOx触媒31の温度と、アンモニア吸着量と、脱離NH量と、の関係を予め実験またはシミュレーション等により求めておけば、NOx触媒31の温度及びアンモニア吸着量に基づいて、脱離NH量を求めることができる。これらの関係を予めマップ化しておいてもよい。
以上のようにして、NOx触媒31におけるアンモニア吸着量の演算周期毎の変化量を算出することができる。この値を積算することにより現時点におけるアンモニア吸着量を算出することができる。なお、ECU10の単位時間当たりのアンモニア吸着量の変化量を算出し、この変化量を積算することで、現時点におけるアンモニア吸着量を算出することもできる。
図12は、本実施例に係る還元剤供給量の補正係数を算出するフローを示したフローチャートである。本フローチャートは、フィルタ3の再生処理が実施された後にECU10により所定の演算周期で実行される。フィルタ3の再生は、フィルタ3のPM堆積量が堆積量閾値以上となったときに実施される。内燃機関1から排出されるPM量は、内燃機関1の運転状態(機関回転速度及び機関負荷)と関連していることから、例えば、内燃機関1の運転状態により求められる演算周期毎のPM排出量を積算することによりフィルタ3のPM堆積量を求めることができる。この場合のPM堆積量は、PMが途中で酸化されないと仮定して求めてもよい。
ステップS101では、NOx浄化率の算出条件が成立しているか否か判定している。
本ステップS101では、アンモニア吸着量の増加に応じてNOx浄化率が高くなる状態であるか否か判定している。これは、NOx触媒31において十分なNOx浄化性能を発揮できる状態であるか否か判定しているといえる。NOx触媒31において十分なNOx浄化性能を発揮できる状態でなければ、基準NOx浄化率からのNOx浄化率の増加量DNOxと、壁内PM堆積量との相関関係が変化してしまうため、補正係数を適正な値に設定することが困難となる。したがって、このような場合に算出されるNOx浄化率は、補正係数を設定するときには用いない。NOx浄化率は、触媒温度、排気流量、アンモニア吸着量に応じて変化するため、触媒温度、排気流量、アンモニア吸着量の何れもが予め定めておいた範囲内の場合に、NOx浄化率の算出条件が成立していると判定される。なお、アンモニア吸着量には、図11で説明した推定吸着量が用いられる。ステップS101で肯定判定がなされた場合にはステップS102へ進み、一方、否定判定がなされた場合には本フローチャートを終了させる。
ステップS102では、NOx浄化率が算出される。NOx浄化率は、上流側NOxセンサ11及び下流側NOxセンサ12の検出値に基づいて算出される。
ステップS103では、PM堆積量が所定堆積量よりも大きいか否か判定される。本ステップS103では、フィルタ3の壁内にPMが堆積しているか否か判定している。所定堆積量は、NOx浄化率に影響を与えない程度のPM堆積量である。フィルタ3の再生処理を実施した直後であれば、PM堆積量が所定堆積量以下となる。すなわち、PM堆積量が所定堆積量以下の場合に算出されるNOx浄化率が、PMによる飽和吸着量の増加の影響を受けていないときのNOx浄化率であり、このときのNOx浄化率が基準NOx浄化率となる。したがって、本ステップS103では、基準NOx浄化率を求めるための判定を行っているといえる。ステップS103で肯定判定がなされた場合には、ステップS104へ進む。一方、ステップS105で否定判定がなされた場合には、ステップS105へ進んで、ステップS102で算出されたNOx浄化率が基準NOx浄化率としてECU10に記憶される。すでに基準NOx浄化率が記憶されている場合には、基準NOx浄化率が更新される。
ステップS104では、基準NOx浄化率からのNOx浄化率の増加量DNOxが算出される。すなわち、今回のステップS102で算出されたNOx浄化率から、以前のステップS105で記憶された基準NOx浄化率を減算することにより、NOx浄化率の増加量DNOxが算出される。
ステップS106では、NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値よりも大きいか否か判定される。本ステップS106では、フィルタ3の隔壁内へのPMの堆積が完了しているか否か判定される。すなわち、還元剤供給量を補正する必要があるか否か判定している。ステップS106で肯定判定がなされた場合にはステップS107へ進んでアンモニア脱離量を補正するための補正係数が算出される。補正係数は、図10の上段の関係にしたがって算出される。この関係は、予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。
なお、本ステップS107において補正係数が算出された後に、該補正係数を用いて算出された還元剤供給量にしたがって還元剤を供給すると、実際のNOx浄化率が低下する。そうすると、次回にフローチャートを実施したときにステップS104において算出される増加量DNOxが小さくなる。このため、次回に本フローチャートを実施すると、表層PM堆積量が増加しているのにもかかわらずステップS106において否定判定がなされてしまう。そうすると、補正係数が1に設定されてしまい、還元剤供給量が増加してしまう。したがって、本ステップS107が実行された後には、次のフィルタ3の再生処理が終了するまではNOx浄化率によらずに図10の上段に示した関係を用いて補正係数を
算出する。これは、ステップS107が一度実施された後は、次回のフィルタ3の再生処理が終了するまで、本フローチャートのステップS107のみを繰り返し実施するともいえる。
一方、ステップS106で否定判定がなされた場合にはステップS108へ進んでアンモニア脱離量を補正するための補正係数が1に設定される。この場合、還元剤供給量は補正しないことになる。ステップS107またはステップS108の処理が終了すると本フローチャートが終了する。なお、本実施例においてはECU10がステップS102を処理することで、本発明における検出部として機能する。また、本実施例においてはECU10がステップS105を処理することで、本発明における記憶部として機能する。さらに、本実施例においてはECU10がステップS106、ステップS107、ステップS108を処理することで、本発明における補正部として機能する。
次に、図13は、還元剤供給量を算出するためのフローを示したフローチャートである。本フローチャートは、ECU10により所定の演算周期で実行される。本フローチャートは、図12に示したフローチャートに続けて実行してもよい。
ステップS201では、前回フローチャートが実施されてから今回のフローチャートが実施されるまでの期間、すなわち、演算周期におけるアンモニア消費量が算出される。本ステップS201では、流入NOx量、触媒温度、目標吸着量に基づいてアンモニア消費量が算出される。ECU10は、本フローチャートとは別に、上流側NOxセンサ11の検出値及びエアフローメータ16の検出値に基づいて、演算周期毎にNOx触媒31に流入するNOx量を算出値し、このNOx量を積算することにより、流入NOx量を算出する。触媒温度は、例えば現時点の触媒温度である。目標吸着量は、現時点での内燃機関1の運転状態に応じて決定される。これらの関係は予めマップ化しておいてECU10に記憶させておいてもよい。
ステップS202では、演算周期におけるアンモニア脱離量が算出される。本ステップS202では、NOx触媒31の温度及び目標吸着量に基づいてアンモニア脱離量が算出される。これらの関係は予めマップ化しておいてECU10に記憶させておいてもよい。
ステップS203では、アンモニア脱離量が補正される。ステップS202で算出されるアンモニア脱離量に、ステップS107またはステップS108で求めた補正係数を乗算することでアンモニア脱離量を補正する。ここで図14は、還元剤供給量を補正するためのブロック図である。この図14は、ECU10での処理で実現される機能をイメージ化したものである。図2に示したブロック図に対して、アンモニア脱離量を補正する処理が追加されている。
ステップS204では、還元剤供給量が算出される。すなわち、ステップS105で算出されるアンモニア消費量と、ステップS107で算出される補正後のアンモニア脱離量と、を合算してアンモニアの供給量を算出する。添加弁4から尿素水を供給する場合には、算出されたアンモニアの供給量に応じて尿素水の供給量が算出される。このように演算周期毎に算出される還元剤供給量は積算される。そして、還元剤の供給時期が来ると、積算した還元剤供給量にしたがって添加弁4から還元剤を供給する。
図15は、総PM堆積量と、NOx浄化率の増加量DNOx、アンモニア脱離量の補正係数、総アンモニア吸着量、NOx触媒31におけるNOx浄化率、触媒温度が上昇した場合の流出アンモニア濃度と、の関係を示した図である。実線は本実施例に係る還元剤供給量の補正を行う場合を示し、一点鎖線は本実施例に係る還元剤供給量の補正を行わない場合を示している。図15における流出アンモニア濃度は、図8に示したように、仮に触
媒温度が上昇した場合の流出アンモニア濃度を示している。
図15におけるG1は図9におけるG1と同じPM堆積量であり、隔壁内へのPMの堆積が終了したときの総PM堆積量を示している。したがって、総PM堆積量がG1以下の場合には、壁内PM堆積量が増加している状態であり、総PM堆積量がG1よりも多い場合には、表層PM堆積量が増加している状態である。壁内PM堆積量が増加している途中、すなわち、総PM堆積量がG1以下の場合では、総PM堆積量が増加するにしたがって、飽和吸着量が増加する。このため、総PM堆積量が増加するにしたがって、総アンモニア吸着量が増加し、これにより、NOx浄化率が増加する。このときには、総アンモニア吸着量及びNOx浄化率は目標値よりも大きくなっているため、NOx浄化率が過剰に高くなっている。したがって、総PM堆積量がG1以下の場合では、NOx浄化率の増加量DNOxは、総PM堆積量が増加するにしたがって大きくなる。
一方、表層PM堆積量が増加している途中、すなわち総PM堆積量がG1よりも多い場合には、総PM堆積量が増加したとしても、飽和吸着量は増加しない。本実施例に係る還元剤供給量の補正を行う場合には、総PM堆積量がG1を超えた場合に、補正係数が1よりも小さくされる。一方、本実施例に係る還元剤供給量の補正を行わない場合には、補正係数は1と考えることができる。この場合、飽和吸着量の増加にしたがって総アンモニア吸着量が過剰に多くなってしまい、NOx浄化率も過剰に高くなってしまう。そして、還元剤供給量の補正を行わない場合には、NOx触媒31の温度が上昇したときの流出アンモニア濃度が高くなってしまう。これに対して、本実施例に係る還元剤供給量の補正を行う場合には、総アンモニア吸着量が過剰に多くなることを抑制できるため、NOx浄化率を目標値に合わせることができる。さらには、触媒温度が上昇したとしても、流出アンモニア濃度の増加を抑制することができる。
なお、アンモニア脱離量の補正は以下のようにして行うこともできる。NOx触媒31の状態が、アンモニアの吸着速度と脱離速度とが同一となる平衡状態であると仮定した場合、ラングミュアの吸着等温式に基づき、NOx触媒31でのアンモニア吸着量とアンモニア脱離量との関係は下記式1で表すことができる。
Figure 2017110594

AD:NOx触媒31でのアンモニア吸着量
DD:アンモニア脱離量
SA:NOx触媒31におけるアンモニアの飽和吸着量
K1:平衡定数
そして、上記式1を変換することで、アンモニア脱離量を算出するための式として下記式2を得ることができる。
Figure 2017110594
ここで、NOx触媒31における飽和吸着量SAおよび平衡定数K1は触媒温度に応じて変化する値である。すなわち、触媒温度が高いほどNOx触媒31の飽和吸着量SAは
少なくなる。また、触媒温度が高いほど平衡定数K1は小さくなる。そして、アンモニア脱離量DDとNOx触媒31でのアンモニア吸着量ADとの間に上記式2で示すような相関関係が成立し、また、NOx触媒31の飽和吸着量SAおよび平衡定数K1のそれぞれと、触媒温度と、が上記の相関関係を有することから、触媒温度およびNOx触媒31でのアンモニア吸着量のそれぞれと、アンモニア脱離量との相関関係を夫々求めることができる。
本実施例では、壁内PM堆積量の増加中のときよりも表層PM堆積量の増加中のときのほうが飽和吸着量が増加することから、上記式2に対して飽和吸着量を補正係数で補正することによりアンモニア脱離量を補正してもよい。すなわち、上記式2を修正することで得られる下記式3を用いてアンモニア脱離量を算出することもできる。
Figure 2017110594

AD:NOx触媒31でのアンモニア吸着量
DD:アンモニア脱離量
SA:NOx触媒31の飽和吸着量
K1:平衡定数
SA0:補正係数
アンモニア脱離量を算出する際には、上記式3におけるアンモニア吸着量ADにはアンモニア脱離量の前回値が代入される。また、上記式3におけるNOx触媒31の飽和吸着量SAおよび平衡定数K1は、アンモニア脱離量を算出する際の触媒温度に基づいて定められる。また、上記式3における補正係数SA0は、NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値よりも大きい場合には1よりも大きな値となり、NOx浄化率の増加量DNOxが増加量閾値以下の場合には1となる。
以上説明したように本実施例によれば、検出されるNOx浄化率と、記憶されているNOx浄化率と、の差が、増加量閾値以上の場合には、増加量閾値未満の場合よりも、還元剤供給装置から供給する還元剤量を少なくすることにより、NOx触媒31からのアンモニアの流出を抑制することができる。すなわち、フィルタ3の隔壁の表面上にPMが堆積している途中の場合には、フィルタ3の隔壁内にPMが堆積している途中のときよりも還元剤供給量を少なくすることにより、NOx触媒31からのアンモニアの流出を抑制することができる。このように、本実施例によれば、より適正な量の還元剤をNOx触媒31へ供給することができる。
1 内燃機関
2 排気通路
3 フィルタ
4 添加弁
6 吸気通路
7 スロットル
10 ECU
11 上流側NOxセンサ
12 下流側NOxセンサ
13 温度センサ
14 クランクポジションセンサ
15 アクセル開度センサ
16 エアフローメータ
17 差圧センサ
31 選択還元型NOx触媒

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ該排気通路内にアンモニアの前駆体またはアンモニアを還元剤として供給する還元剤供給装置と、
    前記還元剤供給装置よりも下流の排気通路に設けられ、還元剤によりNOxを選択還元する選択還元型NOx触媒を担持し、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
    前記選択還元型NOx触媒におけるNOx浄化率を検出する検出部と、
    前記検出部により検出されるNOx浄化率であって前記フィルタに粒子状物質が堆積していないときのNOx浄化率を基準NOx浄化率として記憶する記憶部と、
    前記フィルタに堆積している粒子状物質の量以外の条件が同じ場合において、前記検出部により検出されるNOx浄化率と、前記基準NOx浄化率と、の差が、増加量閾値よりも大きな場合には、前記増加量閾値以下の場合よりも、前記還元剤供給装置から供給する還元剤量を少なくする補正部と、
    を備える内燃機関の排気浄化装置。
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