JP2017110277A - 二酸化塩素の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低濃度の二酸化塩素を長期間に亘って安定的に製造することができる二酸化塩素の製造方法であって、二酸化塩素の発生効率にも優れた二酸化塩素の製造方法を提供する。【解決手段】 陰極と陽極とを備えた無隔膜の電解槽内で電解液に直流電流を供給して電気分解を行い、これにより二酸化塩素を発生させる二酸化塩素製造方法であって、下記の工程を含む電解式の二酸化塩素の製造方法。(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH調整剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程。(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリが含まれた供給液を電解槽内に供給する工程。(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程。【選択図】 図1
Description
本発明は、二酸化塩素の製造方法に関し、詳しくは低濃度の二酸化塩素を長期間に亘って安定的に製造することができる電解式の二酸化塩素の製造方法に関する。
従来から、二酸化塩素の製造方法として、溶液を混合させる方法、即ち、アルカリ金属塩素酸塩または塩素酸の溶液を塩素イオン、メタノールまたは過酸化水素の溶液と反応させる方法や、少量用途では亜塩素酸塩の溶液に酸を反応させる方法が一般的に知られている。また、一方で、二酸化塩素を安定的に製造する方法として、電解液を電気分解させる方法が知られており、特許文献1では亜塩素酸塩を含有する電解液を電気分解して二酸化塩素を製造する方法が提案されている。また、電解液の保存安定性と発生効率を改善した方法として、特許文献2では塩化アルカリ、亜塩素酸アルカリ、pH調整剤を含有した電解液を電気分解する二酸化塩素の製造方法が提案されている。
しかしながら、従来の溶液を混合して反応させる二酸化塩素の製造方法では、急激に反応が起こるため安定した低濃度の二酸化塩素の製造が困難である。また、電解液の電気分解を用いた方法では安定した二酸化塩素の発生は可能であるが、初期のpHが低い状態では亜塩素酸アルカリの濃度が高いと電気分解させる前から二酸化塩素が発生するといった問題があった。本発明の課題は、低濃度の二酸化塩素を長期間に亘って安定的に製造することができる二酸化塩素の製造方法であって、二酸化塩素の発生効率にも優れた二酸化塩素の製造方法を提供するところにある。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、電解液のpHを中性とする塩化ナトリウム溶液を電気分解しながら亜塩素酸アルカリ溶液を添加することにより、具体的には陰極と陽極とを備えた無隔膜の電解槽内で塩化ナトリウムおよびpH緩衝剤を含む電解液に亜塩素酸ソーダおよびpH緩衝剤の溶液を滴下しながら直流電流を供給して電気分解を行うことにより、「電解液の長期安定性」と「二酸化塩素の発生効率」のバランスを良好にすることができ、安定した二酸化塩素の製造を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、以下の二酸化塩素の製造方法を提供する。
本発明の態様は次のとおりである。
項1.
陰極と陽極とを備えた無隔膜の電解槽内で電解液に直流電流を供給して電気分解を行い、これにより二酸化塩素を発生させる二酸化塩素の製造方法であって、下記の工程を含む電解式の二酸化塩素の製造方法。(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH緩衝剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程。(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリが含まれた供給液を電解槽に供給する工程。
(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程。
項2.
電解液のpHを6〜8とした状態で電気分解を行うことを特徴とする項1に記載の二酸化塩素の製造方法。
項3.
(B)の工程において、供給液にpH緩衝剤を含有することを特徴とする項1または項2に記載の二酸化塩素の製造方法。
項4.
(C)の工程において、電解液中に空気または不活性ガスを送り込み、発生した二酸化塩素を回収することを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項5.
電解槽におけるpH緩衝剤の濃度が1〜5重量%であることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項6.
pH緩衝剤がクエン酸リン酸系緩衝剤であることを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項7.
(C)の工程において、供給液を供給された電解液の亜塩素酸アルカリの濃度が0.5重量%以下であることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項1.
陰極と陽極とを備えた無隔膜の電解槽内で電解液に直流電流を供給して電気分解を行い、これにより二酸化塩素を発生させる二酸化塩素の製造方法であって、下記の工程を含む電解式の二酸化塩素の製造方法。(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH緩衝剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程。(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリが含まれた供給液を電解槽に供給する工程。
(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程。
項2.
電解液のpHを6〜8とした状態で電気分解を行うことを特徴とする項1に記載の二酸化塩素の製造方法。
項3.
(B)の工程において、供給液にpH緩衝剤を含有することを特徴とする項1または項2に記載の二酸化塩素の製造方法。
項4.
(C)の工程において、電解液中に空気または不活性ガスを送り込み、発生した二酸化塩素を回収することを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項5.
電解槽におけるpH緩衝剤の濃度が1〜5重量%であることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項6.
pH緩衝剤がクエン酸リン酸系緩衝剤であることを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
項7.
(C)の工程において、供給液を供給された電解液の亜塩素酸アルカリの濃度が0.5重量%以下であることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
本構成によれば、初期の電解液がpH5〜8の範囲にあり、pHが大きく変動しないので、電解液の劣化が最小限に抑えられるため製造安定性に優れる。また、二酸化塩素の電解効率にも優れた効果を発揮する。また、電解液に直流電流を供給して電気分解を行うことにより、塩化アルカリより発生する塩素ガスが直ちに亜塩素酸アルカリと反応して二酸化塩素となるため、二酸化塩素の発生量の制御は電気的に行うことができる。これと同時に副次的に水酸化アルカリが生成するが、この水酸化アルカリは電解液中において中和され、しかもpH緩衝剤の作用により電解液のpHは大きく変動しない。
このとき、当該pH緩衝剤が塩素を含む場合、水酸化アルカリは中和後、再び塩化アルカリに戻るので好適である。また、発生した二酸化塩素は電解液中に溶存状態にあるので、従来公知の方法に従って溶液中から脱気するなどして取り出せばよい。
本発明によれば、電解液と供給液が分離され、それぞれのpH5〜8、特に好ましくはpH6〜8に調整した状態で保存、流通させるので電解液や供給液の流通中、保存中の劣化を防ぐことができる。
本発明によれば、電解液や供給液の「保存安定性」と「二酸化塩素の発生効率のバランス」により塩化アルカリを電気分解した際に起こる塩素の大気への流出が抑えられるため、安定した二酸化塩素の発生効率を得ることができる。
このとき、当該pH緩衝剤が塩素を含む場合、水酸化アルカリは中和後、再び塩化アルカリに戻るので好適である。また、発生した二酸化塩素は電解液中に溶存状態にあるので、従来公知の方法に従って溶液中から脱気するなどして取り出せばよい。
本発明によれば、電解液と供給液が分離され、それぞれのpH5〜8、特に好ましくはpH6〜8に調整した状態で保存、流通させるので電解液や供給液の流通中、保存中の劣化を防ぐことができる。
本発明によれば、電解液や供給液の「保存安定性」と「二酸化塩素の発生効率のバランス」により塩化アルカリを電気分解した際に起こる塩素の大気への流出が抑えられるため、安定した二酸化塩素の発生効率を得ることができる。
本発明の電解式の二酸化塩素製造方法は、陰極と陽極とを備えた無隔膜の電解槽内で電解液に直流電流を供給して電気分解を行い、これにより二酸化塩素を発生させる二酸化塩素の製造方法であって、下記の工程を含む。
(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH緩衝剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程。(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリが含まれた供給液を電解槽内に供給する工程。
(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程。
(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH緩衝剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程。(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリが含まれた供給液を電解槽内に供給する工程。
(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程。
「無隔膜の電解槽」とは、電解液を収容した電解槽内に隔膜を設けていない状態の電解槽をいう。
〔電極〕
電気分解に使用する電極としては、従来公知のものを使用すればよいが、酸素ガスの発生を最小限に抑え、塩素ガスの発生を良好にし、二酸化塩素を効率よく発生させることができる電極が好適に用いられる。例えば、陰極材料には、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル・クロム合金、又は他のバルブ金属が挙げられる。また、陽極材料は、白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、又はルテニウムなどの貴金属、黒鉛、黒鉛フェルト、多層黒鉛布、黒鉛織布、炭素、あるいはチタン上に白金を電気メッキした白金被覆材料、チタン、タンタル、ニオブ、又はジルコニウムのバルブ金属の酸化物で構成された電極などが挙げられ、電極触媒をコーティングしたものが好適に用いられる。
電気分解に使用する電極としては、従来公知のものを使用すればよいが、酸素ガスの発生を最小限に抑え、塩素ガスの発生を良好にし、二酸化塩素を効率よく発生させることができる電極が好適に用いられる。例えば、陰極材料には、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル・クロム合金、又は他のバルブ金属が挙げられる。また、陽極材料は、白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、又はルテニウムなどの貴金属、黒鉛、黒鉛フェルト、多層黒鉛布、黒鉛織布、炭素、あるいはチタン上に白金を電気メッキした白金被覆材料、チタン、タンタル、ニオブ、又はジルコニウムのバルブ金属の酸化物で構成された電極などが挙げられ、電極触媒をコーティングしたものが好適に用いられる。
直流電流の電流密度は、電極面積を大きくして電流密度を小さくすることが、二酸化塩素を効率よく発生させることができるという点で好ましい。具体的には、10A/dm2以下が好ましく、3A/dm2以下がさらに好ましく、1A/dm2以下がさらに好ましい。
(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH緩衝剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程について説明する。
〔電解液〕
工程(A)における電解液は塩化アルカリ、及びpH緩衝剤を含有し、水等に溶解されたものであってよい。
工程(A)における電解液は塩化アルカリ、及びpH緩衝剤を含有し、水等に溶解されたものであってよい。
本発明で使用される塩化アルカリとしては、例えば塩化アルカリ金属塩や塩化アルカリ土類金属塩が挙げられる。塩化アルカリ金属としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等が挙げられ、塩化アルカリ土類金属としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム等が挙げられる。なかでも、安価で入手が容易という点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムが好ましく、塩化ナトリウムが最も好ましい。これら塩化アルカリは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。
工程(A)で電解液における塩化アルカリの量は、1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがより好ましい。1重量%未満の場合、塩素ガスを安定的に発生させることができず、二酸化塩素の発生に支障をきたす可能性がある。塩化アルカリの量の上限は、電解液中の塩化アルカル濃度を高くすることが、二酸化塩素を効率よく発生させることができるという点で好ましいが、溶解度を超えると当然のことながら、電解液中に塩化アルカリが析出して悪影響を与えるため、溶解度未満であることが好ましく、おおよそのところ10重量%以下とすることが好ましい。
〔pH緩衝剤〕
本発明で使用されるpH緩衝剤としては、pHをある一定のpHに保つ作用を有する化合物であり、例えば酢酸+酢酸ナトリウム、リン酸+リン酸ナトリウム、クエン酸+クエン酸ナトリウム、クエン酸+リン酸ナトリウム、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム、酒石酸+酒石酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。特にクエン酸+リン酸ナトリウムは細かなpH調整がやり易い点で好ましい。
本発明で使用されるpH緩衝剤としては、pHをある一定のpHに保つ作用を有する化合物であり、例えば酢酸+酢酸ナトリウム、リン酸+リン酸ナトリウム、クエン酸+クエン酸ナトリウム、クエン酸+リン酸ナトリウム、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム、酒石酸+酒石酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。特にクエン酸+リン酸ナトリウムは細かなpH調整がやり易い点で好ましい。
電解槽におけるpH緩衝剤の濃度が1〜5重量%であることが好ましく、2〜5重量%であることがより好ましい。
工程(A)で電解液におけるpH緩衝剤の割合は、保存安定性と二酸化塩素の発生効率とのバランスを鑑み、電解液のpH(電気分解中の平均pH)が5〜8、好ましくはpH6〜8となるようにpH緩衝剤を配合するとよい。pH緩衝剤の配合割合は、上記pHの範囲となるように配合する限り、特に限定はない。電解液のpHがこれらの範囲であれば、電解液の保存中、流通中の劣化を防ぐことができる。ここで、「平均pH」とは、初期から終了まで一定時間間隔で測定したpHの平均値をいう。
本発明では、塩化アルカリおよびpH緩衝剤を含む電解液に、亜塩素酸アルカリを含む供給液が供給されるが、当該電解液のpHを常に5〜8、好ましくは6〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って二酸化塩素を発生させることが好ましい。
(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリを含む供給液を電解槽に供給する工程について説明する。供給液は亜塩素酸アルカリを含み、水等に溶解されたものであってよい。
〔亜塩素酸アルカリ〕
本発明で使用される亜塩素酸アルカリとしては、例えば亜塩素酸アルカリ金属塩や亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。亜塩素酸アルカリ金属塩としては、例えば亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム等が挙げられ、亜塩素酸アルカリ土類金属としては、例えば亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウム等が挙げられる。なかでも、入手が容易という点から、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウムが好ましく、亜塩素酸ナトリウムが最も好ましい。これら亜塩素酸アルカリは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。
本発明で使用される亜塩素酸アルカリとしては、例えば亜塩素酸アルカリ金属塩や亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。亜塩素酸アルカリ金属塩としては、例えば亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム等が挙げられ、亜塩素酸アルカリ土類金属としては、例えば亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウム等が挙げられる。なかでも、入手が容易という点から、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウムが好ましく、亜塩素酸ナトリウムが最も好ましい。これら亜塩素酸アルカリは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。
工程(B)で供給液における亜塩素酸アルカリの量は、1重量%〜10重量%であることが好ましく、2重量%〜8重量%であることがより好ましい。
本発明で工程(C)で供給される亜塩素酸アルカリ亜塩素酸アルカリを含む供給液は、供給した後の電解液における亜塩素酸アルカリの割合が、0.01重量%〜0.5重量%であることが好ましい。電解液における亜塩素酸アルカリをこの範囲にすることで、電気分解の電解槽において亜塩素酸アルカリが高濃度にはならず、安定した電気分解による二酸化塩素の発生をおこなうことが可能となる。0.01重量%未満の場合は、電解液に必要な亜塩素酸アルカリが供給されないという問題が生じる可能性があり、0.5重量%を超える場合は、電気分解を行う前から酸性条件で亜塩素酸ソーダが反応し二酸化塩素が発生するという問題が生じる可能性がある。安全性や安定性、二酸化塩素の発生効率などを鑑みた場合、さらに好ましい範囲は、0.02重量%〜0.5重量%であり、さらに好ましい範囲は0.1重量%〜0.5重量%である。亜塩素酸アルカリ亜塩素酸アルカリを含む供給液の供給は電解液における亜塩素酸アルカリをこの範囲に保てるように徐々に滴下または添加することが好ましい。
この場合、供給液に亜塩素酸アルカリとpH緩衝剤を混合しておくことが望ましい。そうすることにより亜塩素酸アルカリの自然分解を抑え、安定した保存性を確保できる。pH緩衝剤は工程(A)で電解液に含有するpH緩衝剤と同様のものを用いることができる。供給液にpH緩衝剤を含有する場合も、供給液のpHを5〜8の範囲となるように配合する限り、特に限定はない。
(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程について説明する。本発明の工程(C)では、工程(A)で電気分解により発生した塩素と工程(B)における供給液中に含まれる亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を取り出す工程である。
発生した二酸化塩素を取り出す方法としては、電解液を曝気もしくは気化加湿器を用いて二酸化塩素ガスを容易に収集することができ、経済的である。
〔曝気用ガス〕
本発明において、電解液に溶存する二酸化塩素を曝気して脱気・収集するための曝気用ガスとしては空気が用いられるが、これに限られるものではなく不活性ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
本発明において、電解液に溶存する二酸化塩素を曝気して脱気・収集するための曝気用ガスとしては空気が用いられるが、これに限られるものではなく不活性ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
電解液中に空気または不活性ガスを送り込み、電解液中に溶存する二酸化炭素を大気に放出させることで容易に二酸化塩素ガスを収集、捕獲することができる。
本発明を実施するための具体的な形態を以下の実施例を挙げて説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜2〕
図1は、二酸化塩素の製造装置の略示説明図である。図1に示すように、電解液(2)が入ったPVC製円筒形の電解槽(1)には、電解液として塩化ナトリウムとpH緩衝剤としてクエン酸−リン酸水素二ナトリウムを溶解させた水溶液が用いられている。陽極(3)であるPt/Irメッキチタン電極(15mm×50mm)と、陰極(4)であるチタン極(15mm×50mm)が設けてある。
また、二酸化塩素製造装置には、供給液(8)として亜塩素酸ソーダとpH緩衝剤としてクエン酸−リン酸二水素カリウムを溶解させた水溶液を電解槽(1)の中に供給するための供給液槽(7)が設けられ、定量ポンプ(11)で配管を通して電解槽(1)に供給される。
電解槽(1)の上部にはオーバーフロー用の配管が設置され(図示せず)、オーバーフローした電解液は供給液槽(7)に戻るようになっている。供給液槽では各成分の濃度が所定の濃度となるように調整されている。
曝気用ガスとして大気中の空気が定量ポンプ(9)から流量計(10)で流量を調整しながらガラスフィルター(5)を通して電解槽中に送られる。
電解槽の上部にはガスの出口(6)が設けられ、整流器(12)で電極に電圧を印加することにより、発生する二酸化塩素ガスが出口(6)から放出される。
図1は、二酸化塩素の製造装置の略示説明図である。図1に示すように、電解液(2)が入ったPVC製円筒形の電解槽(1)には、電解液として塩化ナトリウムとpH緩衝剤としてクエン酸−リン酸水素二ナトリウムを溶解させた水溶液が用いられている。陽極(3)であるPt/Irメッキチタン電極(15mm×50mm)と、陰極(4)であるチタン極(15mm×50mm)が設けてある。
また、二酸化塩素製造装置には、供給液(8)として亜塩素酸ソーダとpH緩衝剤としてクエン酸−リン酸二水素カリウムを溶解させた水溶液を電解槽(1)の中に供給するための供給液槽(7)が設けられ、定量ポンプ(11)で配管を通して電解槽(1)に供給される。
電解槽(1)の上部にはオーバーフロー用の配管が設置され(図示せず)、オーバーフローした電解液は供給液槽(7)に戻るようになっている。供給液槽では各成分の濃度が所定の濃度となるように調整されている。
曝気用ガスとして大気中の空気が定量ポンプ(9)から流量計(10)で流量を調整しながらガラスフィルター(5)を通して電解槽中に送られる。
電解槽の上部にはガスの出口(6)が設けられ、整流器(12)で電極に電圧を印加することにより、発生する二酸化塩素ガスが出口(6)から放出される。
電解液(2)には、塩化ナトリウムとクエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH緩衝剤:重量比0.7:1.8)が、供給液(8)には亜塩素酸ソーダとクエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH緩衝剤:重量比0.7:1.8)が下記表1に示した通りに配合されている(実施例1〜2)。
実施例1〜2では、電解液と供給液のpH緩衝剤の濃度が同一であり、亜塩素酸ソーダ溶液の供給を続けてもpHがほぼ一定となるように調整されている。
実施例1〜2では、電解液と供給液のpH緩衝剤の濃度が同一であり、亜塩素酸ソーダ溶液の供給を続けてもpHがほぼ一定となるように調整されている。
〔比較例1〜2〕
比較例1〜2では実施例1〜2と同じように図1の装置を用いて実験を行った。
電解液(2)には、塩化ナトリウムとクエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH緩衝剤:重量比1.5:0.6)が、供給液(8)には亜塩素酸ソーダとクエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH緩衝剤:重量比1.5:0.6)が下記表1に示した通りに配合されている(比較例1〜2)。
比較例1では、電解液と供給液のpH緩衝剤の濃度が同一であり、亜塩素酸ソーダ溶液の供給を続けてもpHがほぼ一定となるように調整されているが、酸性域での調整となる。
比較例2では、pH緩衝剤を電解液にも供給液にも添加していない。
比較例1〜2では実施例1〜2と同じように図1の装置を用いて実験を行った。
電解液(2)には、塩化ナトリウムとクエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH緩衝剤:重量比1.5:0.6)が、供給液(8)には亜塩素酸ソーダとクエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH緩衝剤:重量比1.5:0.6)が下記表1に示した通りに配合されている(比較例1〜2)。
比較例1では、電解液と供給液のpH緩衝剤の濃度が同一であり、亜塩素酸ソーダ溶液の供給を続けてもpHがほぼ一定となるように調整されているが、酸性域での調整となる。
比較例2では、pH緩衝剤を電解液にも供給液にも添加していない。
このような装置を用いて電気分解を行った(電流225mA、3A/dm2)。
尚、二酸化塩素を取り出す(脱気・収集する)ために、空気で曝気して取り出した。
二酸化塩素の製造結果(濃度、時間当たりの発生量、効率など)を下記表2に併記する。
尚、二酸化塩素を取り出す(脱気・収集する)ために、空気で曝気して取り出した。
二酸化塩素の製造結果(濃度、時間当たりの発生量、効率など)を下記表2に併記する。
この結果、本発明の実施例1〜2では比較例1〜2に比べて、効率よく二酸化塩素を得ることができることが示された。また、電解液に最初から高濃度の亜塩素酸ソーダが入っていてpHを5〜8に調整をされていない場合は、電解を開始する前から反応による二酸化塩素の発生量が多く、二酸化塩素の発生量が大きく変動してしまう。本発明の二酸化塩素の製造方法は、低濃度の二酸化塩素の製造安定性が優れた方法であるといえる。
本発明は、低濃度の二酸化塩素の安定した製造に利用することができる。
1 電解槽
2 電解液
3 陽極
4 陰極
5 ガラスフィルター
6 ガスの出口
7 供給液槽
8 供給液
9 定量ポンプ
10 流量計
11 定量ポンプ
12 整流器
2 電解液
3 陽極
4 陰極
5 ガラスフィルター
6 ガスの出口
7 供給液槽
8 供給液
9 定量ポンプ
10 流量計
11 定量ポンプ
12 整流器
Claims (7)
- 陰極と陽極とを備えた無隔膜の電解槽内で電解液に直流電流を供給して電気分解を行い、これにより二酸化塩素を発生させる二酸化塩素の製造方法であって、下記の工程を含む電解式の二酸化塩素の製造方法。(A)1重量%〜20重量%の塩化アルカリ及びpH緩衝剤が含まれた前記電解液に、電解液のpHを5〜8とした状態で直流電流を供給して電気分解を行って塩素を発生させる工程。(B)電気分解中、電解槽外部より、1重量%〜10重量%の亜塩素酸アルカリが含まれた供給液を電解槽内に供給する工程。(C)塩素と亜塩素酸アルカリが反応し、発生した二酸化塩素を電解液中から取り出す工程。
- 電解液のpHを6〜8とした状態で電気分解を行うことを特徴とする請求項1に記載の二酸化塩素の製造方法。
- (B)の工程において、供給液にpH緩衝剤を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二酸化塩素の製造方法。
- (C)の工程において、電解液中に空気または不活性ガスを送り込み、発生した二酸化塩素を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
- 電解槽におけるpH緩衝剤の濃度が1〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
- pH緩衝剤がクエン酸リン酸系緩衝剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
- 電解液への亜塩素酸アルカリの添加による、電解槽中の亜塩素酸アルカリの濃度が0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の二酸化塩素の製造方法。
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