JP2017110082A - ラテックスフォームの製造方法及びゲル化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 作業環境や生体への安全性が高く、また、優れた性質を有する発泡体を得ることが可能なラテックスフォームの製造方法及びそれに用いられるゲル化剤を提供する。【解決手段】 ラテックス組成物にゲル化剤を添加するゲル化工程を含み、ゲル化剤が、固体状のラクトン化合物と液体媒体とを含み、ラクトン化合物は、水に可溶であり、液体媒体は、有機媒体であり、液体媒体に対するラクトン化合物の溶解度が50(g/100g)以下である、ラテックスフォームの製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、環境や生体への安全性が高く、且つ、優れた性質を有するラテックスフォームの製造方法及びそれに用いられるゲル化剤に関する。
エマルジョンから連続気泡構造の発泡体(フォーム)を製造する方法としては、樹脂分散体であるエマルジョンを起泡させ、これに固化剤を加えて、樹脂粒子を分散安定化している界面活性剤を失活させることで融着させ、反応系を固化させる化学的手法や、曇点を利用した感熱ゲル化などがある。後者は熱により、ゲル化を達成させることから、混入させた泡が破れたり、合一しやすく、厚みのある成形体の製造には不向きである。前者としては、ケイフッ化ソーダを用いた手法が広く使われている。具体的には、ケイフッ化ソーダから生じるフッ化水素によるpH低下によってゲル化が生じる。また、この際に、合わせて助剤として起泡安定剤を使用することで、急激なゲル化による破泡を抑制することが可能となる。ケイフッ化ソーダと気泡安定剤を組み合わせたこの手法は、均一な連続気泡構造を有したフォームの製造には必須となっている。
しかしながら、ケイフッ化ソーダは劇毒物に指定されており、エマルジョンを固化させる反応によって、フッ化水素を発生させる。これは、フッ化水素毒物及び劇物取締法の医薬用外毒物に指定されており、作業環境や発泡体製造時に排出される排水が問題視されている。従って、ケイフッ化ソーダを用いずとも、均一な連続気泡構造を有したフォームを製造可能な方法が求められている。
ここで、ケイフッ化ソーダを用いないフォームの製造方法として、例えば特許文献1には、発泡させたエマルジョンに固化ガスを接触させることでフォームを形成する方法が記載されている。
特開2007−9110
しかしながら、特許文献1に係る方法においては、大型の成形物の作成は困難であり、また、気孔セルの連なりが長距離になり、例えば化粧用パフ等で好まれる風合いとは異なったセル構造となってしまうなど、ケイフッ化ソーダと気泡安定剤を組み合わせた従来の化学的手法によって得られたフォームと比較し、更なる改善点があった。
そこで、本発明は、ケイフッ化ソーダを用いずとも、ケイフッ化ソーダと気泡安定剤を組み合わせた化学的手法と同様に優れた性質を有する発泡体を得ることが可能であり、且つ、作業環境や生体への安全性が高い、ラテックスフォームの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った所、特定の性質を有するラクトン化合物及び溶媒を含む混合物をゲル化剤として用いることにより、ケイフッ化ソーダを用いずとも、所望のフォームを形成可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明は、ゴムポリマーの粒子が分散媒に分散されたゴムラテックスを含むラテックス組成物を発泡させる工程を有する、ラテックスフォームの製造方法であって、
前記ラテックス組成物にゲル化剤を添加するゲル化工程を含み、
前記ゲル化剤が、固体状のラクトン化合物と液体媒体とを含み、
前記ラクトン化合物は、水に可溶であり、
前記液体媒体に対する前記ラクトン化合物の溶解度が50(g/100g)以下である、ラテックスフォームの製造方法である。
なお、前記液体媒体は、主成分として、2価以上のポリオール、脂肪酸及びカルボン酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好適である。
ここで、本発明は、ラテックスフォーム製造用のゲル化剤であって、
前記ゲル化剤が、固体状のラクトン化合物と液体媒体とを含み、
前記ラクトン化合物は、水に可溶であり、
前記液体媒体は、前記ラクトン化合物の溶解度が50(g/100g)以下である、ゲル化剤であってもよい。
なお、前記液体媒体は、主成分として、2価以上のポリオール、脂肪酸及びカルボン酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好適である。
本発明によれば、作業環境や生体への安全性が高く、また、優れた性質を有する発泡体を得ることが可能なラテックスフォームの製造方法及びそれに用いられるゲル化剤を提供することを課題とする。
図1は、実施例に係る発泡体の写真である。 図2は、全体ゲル化可否評価に係る写真である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれには何ら限定されない。
なお、本発明に係るラテックスフォームの製造方法については、以下の順序で説明する。
1 ラテックスフォームの製造方法
1−1 原料
1−2 製造工程
2 ラテックスフォームの構造・物性
3 ラテックスフォームの用途
<ラテックスフォームの製造方法>
本形態に係るラテックスフォームの製造方法は、分散媒及び分散剤を含むゴムラテックスに、加硫剤、起泡剤、気泡安定剤及び軟化剤を添加したラテックス組成物に、ゲル化剤及び気体を混合させることで発泡及びゲル化させ、加熱加硫してラテックスフォームを製造する方法である。
より詳細には、本形態においては、ゴムラテックスからセル構造を有する発泡体であるラテックスフォームを製造する方法として、以下の方法を採用している。すなわち、ゴムポリマー粒子の水分散体であるゴムラテックスに各種添加剤を添加したラテックス組成物を起泡させるとともに、ゲル化剤を添加して、ゴムポリマー粒子を分散安定化している分散剤(界面活性剤)を失活させる。その結果、ゴムポリマー粒子が融着・凝集し、気泡を含んだまま固化する。以下、本形態に係るラテックスフォームの製造方法について、その原料、製造プロセスの順に詳細に説明する。
[原料]
本形態に係るラテックスフォームの製造方法に用いられる原料としては、ラテックスフォームの主原料となるゴムラテックスと、ゲル化剤と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、起泡剤、気泡安定剤、軟化剤及びその他の添加剤等を用いてもよい。以下、各々について詳述する。
〔ゴムラテックス〕
ゴムラテックスは、ゴムポリマー粒子が分散剤により分散媒(水性媒体等、水を含む分散媒)中に安定して分散しているものである。以下、各々について説明するが、本形態に係るゴムラテックスはこれには限定されない。
(ゴムポリマー)
本形態で用いられるゴムラテックスは、天然ゴム又は合成ゴムの未架橋又は部分架橋ポリマー(以下、「ゴムポリマー」と記載する。)が、粒子として水中に分散されたものである。ゴムポリマーが天然ゴムの場合、ゴム樹液、これを濃縮したもの、又はゴム樹液等に更に保存剤等を配合したものが用いられる。ゴムポリマーが合成ゴムの場合、ゴムラテックスは、一般に乳化重合によって調製される。あるいは、溶液重合等の方法によって得られたポリマーを、界面活性剤と水によって乳化し、必要に応じて溶媒を除去して調製することもできる。ラテックスフォームの原料としては、通常、ゴムポリマーの含有量が55〜70質量%のラテックスが用いられるが、安定な発泡体(フォーム)を形成し得ることから、好ましくは60〜68質量%のゴムポリマーを含有するラテックスが用いられる。ただし、本形態では、上記含有量範囲を外れるゴムラテックスを用いることは勿論差し支えなく、例えば、後述するようにカルボキシル変性されたゴムラテックスが用いられる場合、ゴムポリマーの含有量が上記範囲から外れたラテックスが用いられることもある。
本形態のゴムポリマーとしては、ゴム系のポリマーであれば特に限定されないが、モノマー単位としてエチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリルアミド誘導体、ビニルエーテルおよびビニルピロリドン等を1種以上含むポリマーを使用することができる。このようなポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)や、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、アクリレート−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム(MBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の合成ゴムが挙げられる。また、本形態で使用可能なゴムポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン系ラテックス、DPL(解重合ラテックス)又はクロロスルホン化ポリエチレンラテックス中のゴムポリマー等も挙げられる。
また、本形態では、上記混合物中に含まれるゴムポリマーのうちの少なくとも一部が、官能基としてカルボキシル基又は水酸基を有するもの(以下、「カルボキシル変性ゴムポリマー」又は「水酸基変性ゴムポリマー」等と記載する場合もある。)を用いてもよい。このような変性ゴムポリマーとしては、例えば、カルボキシ変性スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。また、このような変性ゴムポリマーを使用する場合、変性されていないゴムポリマーと変性ゴムポリマーとの質量比(変性されていないゴムポリマー:変性ゴムポリマー)は、各々のゴムポリマーが分散されたラテックスにおけるゴムポリマーの含有量にもより異なるが、例えば、90:10〜0:100とすればよい。
なお、本形態においては、上述したようなゴムポリマーを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(分散剤)
分散剤は、ゴムラテックスに各種添加剤を添加したラテックス組成物中のゴムポリマー粒子や各種添加剤の分散性を向上させる役割を有する。分散剤を添加することで、ラテックス組成物を均一にできるため、混入させる気体を良好な状態で(微細且つ均一)に分散させることができる。分散剤としては、ラテックス組成物の分散性を向上させ、後述する気泡安定剤の添加により界面活性が失活するものであれば、特に制限はされないが、例えば、脂肪酸アルカリ金属塩、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のようなアニオン性界面活性剤を使用すればよく、必要に応じてソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのようなノニオン性界面活性剤等を併用してもよい。
分散剤の添加量は、ゴムラテックスの種類等によっても異なるが、ゴムラテックス中の固形分100質量部に対して、通常は、0.01〜5.0質量部であり、好ましくは0.02〜3.0質量部である。
(ゲル化剤)
次に、本形態に係るゲル化剤によるゲル化機構を説明した後に、本形態に係るゲル化剤に含まれる、ラクトン化合物、及び、液体媒体について詳述する。なお、本形態に係るゲル化剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、その他の成分(例えば、添加剤)等を含んでいてもよい。
・ゲル化機構
ゲル化剤は、ラテックス組成物中に分散しているゴムポリマー粒子を凝集させてゲル化させる役割を有する。この際、ラテックス組成物に混入させた気体により発生した気泡の分散状態を維持したままラテックス組成物がゲル化し、このゲル化したラテックス組成物を加熱加硫することで、均一なセル構造を有するラテックスフォームを得ることができる。
ここで、ラテックス組成物がゲル化する機構について説明する。ラテックス組成物において、ゴムポリマー粒子の分散性を維持している分散剤はアルカリ性側で界面活性機能を有している(ゴムポリマー粒子の分散性を維持するために、ラテックス組成物はアルカリ性側に調整されている)。このようなラテックス組成物にゲル化剤を添加すると、ゲル化剤由来の酸が生じ、pHが低下する。このpHの低下によりラテックス組成物が酸性側に移行すると、分散剤の界面活性機能が失活するため、分散していたゴムポリマー粒子が凝集・ゲル化する。
従来のラテックスフォームの製造方法においては、ゲル化剤としてケイフッ化ソーダを使用し、ケイフッ化ソーダから生じるフッ化水素によるpH低下により分散剤を失活させ、ゴムポリマー粒子を融着・凝集する手法が用いられてきた。しかしながら、前述したように、ケイフッ化ソーダを使用すると、環境負荷の問題が生じ、またケイフッ化ソーダを使用しない場合には、用途によって必要とされるのに十分な性質のセルを形成できない場合があった。
本形態においては、ゲル化剤として、水に可溶であり、固体状であるラクトン化合物と、液体媒体と、を含み、且つ、ラクトン化合物の液体媒体に対する溶解度(ラクトン溶解度)を50(g/100g)以下としている。
ここで、ラクトン化合物は、アルカリ水溶液中において開環しカルボン酸が生成され、当該カルボン酸が、ラテックスのゲル化に寄与することとなる。しかしながら、ラクトン化合物をゲル化剤として用いる際に、ゲル化反応に寄与するラクトン化合物が全て溶液又は液体状である場合、ラクトン化合物の反応性が極端に高まり、ラテックスとゲル化剤との接触部分のみが急速に反応すると共に凝集が生じ、ラテックス全体を均一にゲル化させることが出来ない。
本形態に係るゲル化剤は、上述のような構成とすることにより、ラテックス組成物中に配合した際に、ゲル化反応に寄与するラクトン化合物の少なくとも一部が固体状のままラテックス組成物全体に拡散されると共に、ラテックス組成物中の水分によってラクトン化合物の加水分解反応が生じ、ラテックス組成物中にカルボン酸が経時的に徐放される、といった反応機構となるものと考えられる。そのため、ラテックス組成物中における急速な凝集が防止され、ラテックス全体を均一にゲル化させることが可能となる。
・ラクトン化合物
ラクトン化合物としては、前述のように、ラテックス組成物中における徐放性を奏するために、ゲル化剤中にて固体状として存在することが求められる。
更に、前述のように、ゲル化剤中に液体状のラクトン化合物が含まれると、均一な凝集が達成し難くなる。そのため、ゲル化剤中において、液体状のラクトン化合物は、ラクトン化合物全体に対して30質量%以下(0質量%を含む。)であることが好適である。
なお、ラクトン化合物を「固体状」(又は「液体状」)とする場合の温度条件としては、具体的な製造段階において使用されるゲル化剤の温度条件に等しい条件であればよいが、製造条件として特別な条件を用いない場合には、当該温度条件は常温(例えば、23〜27℃)としてよい。
また、前述のように、本形態に係るラクトン化合物は、アルカリ水溶液中において加水分解反応を生じることが求められる。従って、本形態に係るラクトン化合物は、水に可溶なものを用いる必要がある。ここで、本発明において、ラクトン化合物が「水に可溶」であるとは、加水分解可能であることを示す(より具体的には、ラクトン化合物の水への溶解度が、0.1g/100g以上であることを示す)。なお、当該「水に可溶」とする場合の温度条件としては、具体的な製造段階において使用されるラテックス組成物の温度条件に等しい条件であればよいが、製造条件として特別な条件を用いない場合には、当該温度条件は常温(例えば、23〜27℃)としてよい。
このようなラクトン化合物としては特に限定されないが、グルコノラクトン(グルコノ‐δ‐ラクトン)、D‐(+)‐リボノ‐1,4‐ラクトン、L‐(+)‐グロン酸γ‐ラクトン、2,3‐O‐イソプロピリデン‐D(−)‐リボノ‐1,4‐ラクトン、α‐アミノ‐γ‐ブチロラクトン 臭化水素酸塩、等が例示できる。中でも、反応性や安全性の面から、グルコノラクトンが好ましい。
なお、固体状のラクトン化合物の形状としては特に限定されないが、前述のように、ラテックス組成物中において均一に拡散させるために、粒状(特に粉体状)であることが好ましい。
また、これらのラクトン化合物は、1種を単独で、又は、2種以上を混合して用いてもよい。
・液体媒体
液体媒体は、前述のラクトン化合物の溶解度(ラクトン化合物の液体媒体への溶解度)が、50(g/100g)以下であることを要し、40(g/100g)以下であることが好適である。前述のラクトン化合物に対する溶解度が50(g/100g)を超えてしまうと、前述のように、液体媒体に溶解したラクトンとラテックス組成物との接触部にて急速な凝集が発生してしまい、ラテックスフォーム全体を均一にゲル化させることが出来ない。なお、当該「溶解度」における温度条件としては、具体的な製造段階において使用されるゲル化剤の温度条件に等しい条件であればよいが、製造条件として特別な条件を用いない場合には、当該温度条件は常温(例えば、23〜27℃)としてよい。ここで、ラクトン化合物の液体媒体への溶解度は、下記の方法に従って計測されるものとする。
(1)環境温度を設定する(例えば、23℃)。
(2)ガラス瓶に液体媒体100gを入れ、更にラクトン化合物を0.1g添加する。
(3)ガラス瓶を密閉し、ミックスローターで撹拌(100rpm)する。
(4)ラクトン化合物が溶けない場合、引き続き24h撹拌を行う。
(3)ラクトン化合物が溶けた場合(固体状のラクトン化合物が目視できなくなる場合)、更にラクトン化合物を0.1g添加する。
(6)上記(3)〜(5)を繰り返し、24hの撹拌を行ってもラクトン化合物が溶けなくなった段階で測定終了とする。
(7)測定終了となる一段階前の、ラクトン化合物が溶ける最大の添加量を、ラクトン化合物の液体媒体への溶解度(g/100g)とする。
本形態に係る液体媒体としては、前述の性質を有するものであれば特に限定されないが、有機媒体を主成分(例えば、有機媒体の成分の合計量が、液体媒体全体に対して、50質量%以上であり、好適には80質量%以上である。)として含むことが好適である(このような有機媒体としては、複数種の混合物であってもよい)。更に、本形態に係る液体媒体は、2価以上のポリオール、脂肪酸及びカルボン酸エステル(モノカルボン酸又はポリカルボン酸のエステル)からなる群より選択される1種又は2種以上の有機媒体を主成分とすることがより好適であり、2価以上のポリオールを主成分とすることが特に好適である。有機媒体としてこれらを用いることで、より均質なゲル化を行うことが可能となる。
2価以上のポリオールとしては、特に限定されないが、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、2個以上のヒドロキシル基を有する脂肪族多価アルコール(例えば、グリセリン等)等を例示できる。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、特に限定されないが、ステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、リシノール酸、ラウリン酸等を例示できる。
カルボン酸エステルとしては、特に限定されず、フルエステルであっても部分エステルであってもよいが、フタル酸エステル(ビス(2‐エチルヘキシル)フタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート等)、セバシン酸エステル(ビス(2‐エチルヘキシル)セバケート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、ジメチルセバケート等)、トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリス(2‐エチルヘキシル)、トリメリット酸トリノルマルオクチル、トリメリット酸トリイソデシル等)、安息香酸エステル(エチレングリコールジベンゾアート、ジプロピレングリコールジベンゾエート等)等の可塑剤を例示できる。
ここで、本形態に係る水性媒体においては、脂肪酸や脂肪酸エステルを含む有機媒体として、植物油も好適に使用可能である。植物油としては、特に限定されないが、綿実油、落花生油、胡麻油、米油、オリーブ油、ひまし油等を例示できる。
なお、液体媒体は、前述の性質を有すれば特に限定されないが、水溶性のもの、又は、水に乳化可能なもの(油や可塑剤等を含む。)であることが好適であり、水溶性であることがより好適である。液体媒体がこのような性質を有すると、ラクトン化合物が分散されたゲル化剤が、更にラテックスフォーム中に分散し易くなるため、ラテックス組成物中におけるゲル化剤(及びラクトン化合物)の分散性が向上し、ラテックスフォームにおけるセルの均一性が向上する。なお、本発明において、液体媒体が「水溶性」であるとは、水溶解度が、0.1g/100gであることを示す。なお、この場合の温度条件としては、具体的な製造段階におけるラテックス組成物の温度条件に等しい条件であればよいが、製造条件として特別な条件を用いない場合には、当該温度条件は常温(例えば、23〜27℃)としてよい。
本形態に係るゲル化剤の製造方法は特に限定されず、前述したラクトン化合物と液体媒体とが適宜の方法で混合されていればよいが、ミル等を用いてラクトン化合物が液体媒体中に(均一に)分散したペースト状であることが好ましい。
ここで、ゲル化剤中において、ラクトン化合物と液体媒体との配合量比は特に限定されず、ラクトン化合物:液体媒体(質量比)を、1:99〜99:1等とすればよいが、10:90〜90:10とすることが好適である。
ゲル化剤の添加量は、ゴムラテックス中の固形分100質量部に対して、固形分として0.1〜10質量部程度が好適である。
なお、本形態に係るラテックスフォームの製造方法においては、本発明の効果を阻害しない範囲内で、本形態に係るゲル化剤とその他の公知のゲル化剤とを併せて用いてもよい。
(加硫剤)
加硫剤としては、ゴムポリマーの種類及び架橋反応機構に応じて、硫黄、有機過酸化物、又はフェノール化合物等が用いられる。硫黄による架橋の場合、コロイド状硫黄及び微粉末硫黄の他;二塩化硫黄及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物等を用いることができる。有機過酸化物による架橋の場合、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド等のアシルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブトキシペルオキシ)ヘキサン等のアルキルペルオキシド;t−ブトキシペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノアート、t−ブトキシペルオキシベンゾアート等のペルオキシエステル;1,1−ビス(t−ブトキシペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブトキシペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ等のペルオキシケタール;t−ブトキシペルオキシイソプロピルカルボナート、t−ブトキシペルオキシ−2−エチルヘキシルカルボナート等のペルオキシカルボナート等の有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物は、そのまま配合してもよく、モレキュラーシーブ等の無機粉末に吸着させたり、炭化水素や可塑剤に溶解したり、ポリジメチルシロキサンなどの不活性の液体に混和したりして安定化したものを、配合に使用してもよい。フェノール化合物による架橋の場合、アルキフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、硫化−p−第三ブチルフェノール樹脂及びアルキルフェノール・スルフィド樹脂等を用いることができる。
加硫剤の配合量は、ゴムポリマーの種類、架橋機構、及び加硫剤の種類によっても異なるが、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.02〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
(加硫助剤)
加硫助剤は、加硫剤の働きを促進させるものである。加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛や酸化マグネシウム等の無機化合物や、ステアリン酸やアミン類等の有機物等を使用することができる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤は、加硫時間の短縮等の目的で用いられる。加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛のようなジチオカルバミン酸亜鉛類;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドのようなチウラム類;N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドのようなスルフェンアミド類;2−メルカプトベンゾチアゾール及びその塩(ナトリウム塩、亜鉛塩、シクロヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホリニル−2−ベンゾチアジルジスルフィド、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール類;並びにそれらの混合物等を用いることができる。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−p−フェニレンジアミンのようなジフェニルアミン系化合物;芳香族アミンと脂肪族ケトンの縮合物;2−メルカプトベンゾイミダゾールやその亜鉛塩のようなイミダゾール系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールのようなモノフェノール系化合物;その他、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系化合物等が挙げられる。
なお、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤及び老化防止剤については、ゴムラテックス中での分散性を向上させるため、これらの副原料を予め分散剤等を用いて水中に分散させてペースト状にしたもの(加硫系ペースト)を調製し、この加硫系ペーストをゴムラテックス中に添加してもよい。また加硫助剤、加硫促進剤及び老化防止剤の配合量も、加硫剤の配合量に合わせて適宜のものとすればよい。
(起泡剤)
起泡剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸のような脂肪酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウムのようなサルコシン塩;やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムのような硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムのようなスルホン酸塩;塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性界面活性剤等が例示される。
起泡剤の配合量は、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜6.0質量部がより好ましい。
(気泡安定剤)
気泡安定剤としては、例えば、塩化エチルなどの塩化アルキルを、ホルムアルデヒド及びアンモニアと反応させて得られる反応生成物、例えばエチルクロリド・ホルムアルデヒド・アンモニア反応生成物;アルキル第四級アンモニウムクロリド;アルキルアリールスルホン酸塩;及び高級脂肪酸アンモニウム等が例示される。これらのうち、気泡安定効果が優れることから、塩化アルキル・ホルムアルデヒド・アンモニアの反応生成物がより好ましい。
なお、本形態に係るラテックスフォームの製造方法においては、気泡安定剤としてポリエチレンイミン及び/又はポリエチレンイミン誘導体を用いてもよい。
ポリエチレンイミンは、ポリエチレン「イミン」と一般に称されているが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン又はモノエタノールアミンと、エチレンイミンとの共重合体である。ポリエチレンイミンは、公知の合成方法(例えば、特公昭49−33120号公報、特公昭43−8828号公報等に記載の方法に準じた方法)により得ることができる。具体的には、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン等のベースアミンに、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒下でエチレンイミンを反応させることで、ポリエチレンイミンを得ることができる。また、本形態におけるポリエチレンイミンとしては市販品を使用してもよい。市販品としては、エポミン(登録商標)SPシリーズ(日本触媒製)、Lupasolシリーズ(BASF社製)、LUGALVAN−G15000(BASF社製)等が挙げられる。
また、本形態に係る気泡安定剤としては、ポリエチレンイミン誘導体も使用することができる。このようなポリエチレンイミン誘導体としては、例えば、ポリエチレンイミンをエピクロルヒドリン等のエポキシ化合物と反応させたエポキシ変性ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンをアクリルニトリル等のアクリル化合物と反応させたアクリル変性ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンをアルキルハライド等のハロゲン化合物と反応させたハロゲン変性ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンをアルキルイソシアネート等のイソシアネート化合物と反応させたイソシアネート変性ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンを脂肪酸と反応させた脂肪酸変性ポリエチレンイミン等が挙げられる。
上記ポリエチレンイミンとその誘導体は、1種を単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。
気泡安定剤の配合量は、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜6.0質量部がより好ましい。
(軟化剤)
軟化剤は、本形態のラテックスフォームに適度な柔軟性を付与する成分である。軟化剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の炭化水素系プロセス油、スピンドル油、ペトロラタム及び流動パラフィンの等の炭化水素油;ひまし油、紅花油、綿実油、あまに油、菜種油、大豆油、落下生油、パーム油、やし油、オリーブ油、コーン油等の植物油および動物油、並びにそれらを脱水又は水素化して得られる脂肪酸エステル油等の生物起源脂肪酸エステル油、例えば脱水ひまし油等;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、テトラヒドロフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、リン酸トリクレジル、リン酸アルキルアリル、ブチルフタリルブチルグリコレート、セバシン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、トリエチレングリコール・ジ(2−エチル・ヘキソエート)、クエン酸アセチル・トリ−n−ブチル等の可塑剤;並びにそれらの混合物;トリメリット酸系、ピロメリット酸系、安息香酸系の芳香族エステル等が挙げられる。
軟化剤の添加量は、軟化剤の種類によっても異なるが、ゴムラテックス中の固形分100質量部に対して、軟化剤の添加量は1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましく、6〜30質量部であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
その他、本形態に係るラテックスフォームの製造方法においては、ゴムラテックスに添加する添加剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、抗菌剤、充填剤、顔料及び染料のような着色剤、香料、増粘剤、分散剤、安定剤、防黴剤等を用いてもよい。
[製造プロセス]
次に、本形態のラテックスフォームの製造プロセスについて詳細に説明する。本形態に係るラテックスフォームの製造方法は、前述のゲル化剤を用いる限り特に限定されないが、例えば、(工程1:混合工程)ゴムラテックスに、加硫ペースト(加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤)、起泡剤、気泡安定剤、軟化剤及びその他の添加剤を混合してラテックス組成物を形成する工程、(工程2:発泡・ゲル化工程)ラテックス組成物にゲル化剤及び気体を混合させることで発泡及びゲル化させ発泡ゲル状物を形成する工程、(工程3:成形・加熱工程)発泡ゲル状物を加熱加硫してラテックスフォームを製造する工程、を含む。以下、各々の工程について詳述する。なお、各工程にて用いられる原料は前述の通りであるため、説明を省略する場合がある。
(工程1:混合工程)
まず、ゴムラテックスに、必要に応じて、加硫ペースト(加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤)、起泡剤、気泡安定剤、軟化剤及びその他の添加剤を含む各種添加剤を添加した液状のラテックス組成物を調製する。
これらの添加剤をゴムラテックス中に均一に分散させるために、ミキサー等で十分に撹拌して混合することが好ましい。なお、ゴムラテックスとして、2種類以上のゴムラテックスを用いる場合には、得られたラテックスフォーム中において、各々のゴムラテックスが均一に存在することが好ましい。そのため、各種添加剤をゴムラテックスに添加する前に、2種類以上のゴムラテックスを均一に混合させる工程を経ることが好ましい。ただし、2種類以上のゴムラテックスを均一に混合させることが可能であれば、これらの混合工程中に、各種添加剤を添加してもよい。
(工程2:発泡・ゲル化工程)
次に、工程1で調製したラテックス組成物に、ゲル化剤及び空気等の気体を混入させ、十分に撹拌混合することで発泡させるとともにゲル化させ、発泡ゲル状物を得る{なお、本発明においては、ゲル化が進行中(ゲル化が未完了の状態)であるラテックス組成物も、ラテックス組成物としている}。
ここで、本形態に係るラテックスフォームの製造方法で使用される発泡方法としては、ラテックスフォームの製造で一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、より具体的には、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することができる。メカニカルフロス法は、ラテックス組成物を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気をラテックス組成物に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、ラテックス組成物と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度のラテックスフォームを得ることができる。
なお、ゲル化剤は、生産効率を考慮すると、気体の混入前又は気体の混入と同時に添加することが好適であるが、ゲル化剤をラテックス組成物に十分に混合させることが可能であれば気体の混入後に添加しても技術的には可能である。また、ゲル化剤のゲル化スピード及び設備面の都合を考慮すると、ゲル化剤を添加後、短時間のうちに(例えば、1〜数分以内に)気体を混入させることが好適である。
ラテックス組成物に混合される発泡ガスは、ラテックスフォーム中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡ガスの混入量によって、得られるラテックスフォームの発泡倍率及び密度が決まる。ラテックスフォームの密度を調整するためには、所望のラテックスフォームの密度と、ラテックス組成物の体積(例えば、ラテックス組成物が注入される成形型の内容積)とから、必要なラテックス組成物の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡ガスの量を決定すればよい。ここで、本製造工程に用いられる気体としては、安価で入手し易いことから、空気が最も好ましい。また、必要に応じて、他の気体も使用可能である。他の気体としては、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス及び周囲温度で通常気体であるフルオロカーボン類が挙げられる。
ラテックス組成物と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1〜10分、好ましくは2〜6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物(ラテックスフォーム)の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
上述したゲル化の完了により、ゲル化したラテックス組成物中に存在する発泡ガスは気泡として保持されることになる。この気泡は、そのまま最終的に得られるラテックスフォームのセルとなるため、この気泡の大きさはセル径を決定することになる。気泡径は、基本的にゲル化時間に依存している。すなわち、ゲル化時間が長ければ、その間にゲル化したラテックス組成物中に混合された気泡が互いに接触し合って合一して巨大化したり、ゲル化したラテックス組成物の外へ排出されることになってしまうので、ゲル化時間が短い程、小さなセル径となる。
(工程3:成形・加熱工程)
次いで、工程2で得られた発泡ゲル状物を、流延、注型又は押出し成形等の方法により所望の形状に加工し、更に、加硫剤の種類に応じて50〜200℃に加熱して十分に加硫(架橋反応を進行)させる。ここでの加熱方法は、発泡ゲル状物を加硫させ得るものであれば、特に制限されない。最後に、適宜加工を加えて、所定形状のラテックスフォームを得ることができる。
本工程では、成形型に注入された発泡ゲル状物の架橋が充分に進行するのに充分な加熱を行ない、ゴムポリマーの架橋(硬化)反応を進行及び完了させてラテックスフォームに成形する。具体的には、上述した架橋剤によりゴムポリマー同士が架橋され、硬化したゴムが形成される。この際の加熱手段としては、発泡ゲル状物に充分な加熱を施し、ゴムポリマーを架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、ゴムポリマーを架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、50〜200℃、好適には80〜150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
また、本工程の加熱時に、ラテックス組成物に含まれていた水分が発泡ゲル状物中から水蒸気として抜けるが、この水蒸気が抜ける際の通り道が、ラテックスフォーム内部から外部まで連通されることとなる。従って、本形態に係るラテックスフォームでは、この水蒸気が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、ラテックスフォーム中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。ここで、本工程を経た後にも発泡ゲル状物中の発泡ガスがそのまま残存している場合には、得られたラテックスフォーム中では独立気泡となり、混入された発泡ガスが、本工程において水蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られたラテックスフォーム中では連続気泡となる。また、本形態においては、ラテックスフォーム中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であってもよく、あるいは、全ての気泡が連続気泡であってもよい。
<ラテックスフォームの構造・物性>
上述した本形態に係る製造方法により得られるラテックスフォームは、細かく、均一なセル構造を有する。また、本形態に係るラテックスフォームの気泡構造としては、独立気泡、連続気泡又はその両方を有していてよく、特に制限されないが、得られるラテックスフォームの吸液性を高めたい場合、連続気泡を有していることが好ましい。
<ラテックスフォームの用途>
本形態に係る製造方法により得られるラテックスフォームは、例えば、肌に直接適用する化粧用パフ、顔面に貼るシート、マスカラ等に使用できる。また、それ以外にも本発明のラテックスフォームは、マットレス、和洋枕、敷布団、椅子用クッションなどの家庭用品、列車、飛行機及び自動車等の乗り物用の座席クッション、更にはじゅうたんの裏打ち及びドアパッキング、並びに電子機器及び家庭用電化製品のシール材及び緩衝材等にも使用できる。また、本発明のラテックスフォームは、ワイビング材、スポンジたわし、吸水ロール及び吸水マット等にも使用できる。これらの中でも、本発明のラテックスフォームは、特に、化粧用パフに使用すると好適である。
<原料>
[ゴムラテックス]
(合成ラテックスゴム)
商品名 Nipol LX531B〔アクリロニトリル‐ブタジエンゴムラテックス〕;日本ゼオン株式会社製
[ゲル化剤(ゲル化剤ペースト)]
〔ラクトン化合物〕
(1)グルコノ‐δ‐ラクトン;和光純薬工業株式会社製
(2)L−(+)−グロン酸γ−ラクトン
(3)ε-カプロラクトン
〔液体媒体〕
(1)エチレングリコール;和光純薬工業株式会社製
(2)プロピレングリコール
(3)プロパンジオール
(4)ポリエチレングリコール
(5)綿実油
(6)ベンゾフレックス(ジプロピレングリコールジベンゾエート)
(7)水
[分散剤]
商品名 デモールN;花王株式会社製
[起泡剤]
商品名 FR−14(オレイン酸カリ石鹸);花王株式会社製
[気泡安定剤]
(1)商品名 エポミンSP003(カチオン性高分子);株式会社日本触媒製
(2)商品名 トリメンベース;ユニロイヤル株式会社製
[加硫系ペースト]
(加硫剤)
商品名 硫黄;細井化学工業製
(加硫促進剤)
商品名 ノクセラーMZ;大内新興化学工業株式会社製
(加硫促進剤)
商品名 酸化亜鉛2種;堺化学工業株式会社製
(老化防止剤)
商品名 アデカスタブAO‐60;株式会社ADEKA
本実施例に係るラクトン化合物及び液体媒体の性質を表1及び表2に示す。なお、ラクトン化合物の溶解度は前述の方法により測定されたものである。
[加硫系ペーストの調製]
10質量部の加硫剤、6.0質量部のノクセラーMZ、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3.0質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して、加硫系ペーストを調製した。
[ゲル化剤の調製]
〔ゲル化剤1〕
50質量部のグルコノ‐δ‐ラクトンを50質量部のエチレングリコールに加えてボールミルにて12時間分散して、ゲル化剤1を調製した。
〔ゲル化剤2〜9〕
ラクトン化合物と液体媒体を表3及び表4に示すものとした以外は、ゲル化剤1と同様にして、ゲル化剤2〜9を調整した。
〔ゲル化剤10〕
参考用のゲル化剤として、ケイ弗化ナトリウム(ゲル化剤10)を用意した。
<ラテックスフォーム>
[実施例1の調製]
NBRラテックス150質量部に対し、16質量部の加硫系ペースト、1.0質量部の起泡剤、1.0質量部の気泡安定剤(エポミンSP003)を配合して混合ラテックスフォーム原料を得て、この原料に対して3.0質量部のゲル化剤1およびエアーを加えオークスミキサーにて起泡させ、その後加硫を行い、実施例1に係る発泡体を作製した。実施例1に係る発泡体の外観写真を図1に示す。
[実施例2〜8及び比較例1〜3の調製]
原料及びその配合量を、表3及び表4に示すものとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8及び比較例1〜3に係る発泡体を作製した。
<評価>
前述の、実施例1〜8及び比較例1〜3の調製において、以下の項目を評価した。
(ゲルタイム)
ゲル化剤添加から、ゲル化開始までの時間(分’秒)をゲルタイムとして評価した。ゲル化剤添加後、直ぐに凝集が開始されてしまう場合、ゲルタイムを「0’00」としている。
(全体ゲル化可否)
発泡工程において、発泡させた原料全体がゲル化している場合を○とし、その一部のみが凝集し、全体はゲル化されていない場合を×として評価した。
なお、図2は、比較例2(全体ゲル化可否が×となる例)に係る全体ゲル化可否に係る写真である。図2のように、全体がゲル化せずにその一部のみが凝集してしまう場合には、発泡体の形成が困難となる。

Claims (4)

  1. ゴムポリマーの粒子が分散媒に分散されたゴムラテックスを含むラテックス組成物を発泡させる工程を有する、ラテックスフォームの製造方法であって、
    前記ラテックス組成物にゲル化剤を添加するゲル化工程を含み、
    前記ゲル化剤が、固体状のラクトン化合物と液体媒体とを含み、
    前記ラクトン化合物は、水に可溶であり、
    前記液体媒体に対する前記ラクトン化合物の溶解度が50(g/100g)以下である
    ことを特徴とする、ラテックスフォームの製造方法。
  2. 前記液体媒体は、主成分として、ポリオール、脂肪酸及びカルボン酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項1記載の製造方法。
  3. ラテックスフォーム製造用のゲル化剤であって、
    前記ゲル化剤が、固体状のラクトン化合物と液体媒体とを含み、
    前記ラクトン化合物は、水に可溶であり、
    前記液体媒体に対する前記ラクトン化合物の溶解度が50(g/100g)以下である
    ことを特徴とする、ゲル化剤。
  4. 前記液体媒体は、主成分として、ポリオール、脂肪酸及びカルボン酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項3記載のゲル化剤。
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