JP2017110040A - コア/シェル型ナノ粒子の製造方法、及び発光体 - Google Patents

コア/シェル型ナノ粒子の製造方法、及び発光体 Download PDF

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Abstract

【課題】コアを溶解させたり変質させたりすることなくシェルを形成可能であり、シェルの組成を任意に選択可能なコア/シェル型ナノ粒子の製造方法や、当該コア/シェル型ナノ粒子を含む発光体の提供を目的とする。
【解決手段】コア/シェル型構造を有するナノ粒子の製造方法であって、無機多孔質体の細孔内に、コア前駆体を吸着させて加熱し、コアを形成する工程と、少なくとも前記無機多孔質体の前記細孔内に形成された前記コアにシェル前駆体を吸着させて加熱し、前記コアを覆うシェルを形成する工程と、を含む、コア/シェル型ナノ粒子の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コア/シェル型ナノ粒子の製造方法、及び発光体に関する。
従来より、コア/シェル型のナノ粒子は、各種色素や発光体等として各種用途に用いられており、コア/シェル型ナノ粒子を樹脂やガラスに分散させた波長変換フィルムや、コア/シェル型ナノ粒子を標的指向性リガンドに結合させたバイオ標識試薬等が知られている(非特許文献1及び非特許文献2)。
このようなコア/シェル型ナノ粒子の作製方法として種々の方法が提案されている。例えば、ナノ粒子(コア)をアルコキシシラン含有溶液に添加し、アルコキシシランを加水分解・脱水縮合(ゾルゲル反応)させることで、コアの周囲にガラスからなるシェルを形成する方法が提案されている(非特許文献3)。当該方法では、シェルの形成を、ミセル中または逆ミセル中で行うことから、コア/シェル型ナノ粒子のサイズを調整しやすいとの利点がある。
また、均一な細孔径を有する無機多孔質体の細孔内で、ナノ粒子(コア)を作製した後、無機多孔質体を一部溶解、析出させることで、コアの周囲にシェルを形成する方法も提案されている(特許文献1)。
国際公開第2009/116408号
Kim, Jin Young, et al. 25th Anniversary Article: Colloidal Quantum Dot Materials and Devices: A Quarter‐Century of Advances. Advanced Materials 25.36 (2013): 4986-5010. Resch-Genger, Ute, et al. Quantum dots versus organic dyes as fluorescent labels. Nature methods 5.9 (2008): 763-775. Aubert, Tangi, et al. Bright and stable CdSe/CdS@ SiO2 nanoparticles suitable for long-term cell labeling. ACS applied materials & interfaces 6.14 (2014): 11714-11723.
コア/シェル型ナノ粒子では、コアを構成する材料とシェルを構成する材料との組み合わせによって、その物性が大きく変わる。例えば、コア/シェル型ナノ粒子が発光体である場合、シェルを構成する材料のバンドギャップを、コアを構成する材料のバンドギャップより広くすると、その蛍光量子収率が高まる。一方、シェルを構成する材料のバンドギャップを、コアを構成する材料のバンドギャップより狭くすると、発光体の発光ピーク波長が長波長側にシフトする。ただし、コアの格子定数とシェルの格子定数とが大きく相違すると、コア/シェル界面でミスフィット転位が生じやすく、所望の効果が得られ難くなる。
したがって、コア/シェル型ナノ粒子では用途に合わせてコアとシェルとを組み合わせることが重要であるが、非特許文献3の技術では、シェルの材料として、ゾルゲル反応可能である材料しか選択できず、シェルの種類を任意に選択することが難しい、との課題があった。
一方、特許文献1の技術では、無機多孔質体を溶解させる際に、コアも溶解してしまうことがあり、コアの粒径の制御やコアの変質の抑制が難しい、との課題があった。また、特許文献1の技術においても、シェルの種類を自由に選択できない、との課題があった。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明はコアを溶解させたり変質させたりすることなくシェルを形成可能であり、シェルの組成を任意に選択可能なコア/シェル型ナノ粒子の製造方法、及び当該コア/シェル型ナノ粒子を含む発光体の提供を目的とする。
すなわち、本発明の第一は、以下のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法にある。
[1]コア/シェル型構造を有するナノ粒子の製造方法であって、無機多孔質体の細孔内に、コア前駆体を吸着させて加熱し、コアを形成する工程と、少なくとも前記無機多孔質体の前記細孔内に形成された前記コアに、シェル前駆体を吸着させて加熱し、前記コアを覆うシェルを形成する工程と、を含む、コア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
[2]前記シェルは、前記無機多孔質体と異なる材料からなる、[1]に記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
[3]前記無機多孔質体が二酸化ケイ素からなる、[1]または[2]に記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
[4]前記コア/シェル型ナノ粒子の前記コアが半導体である、[1]〜[3]のいずれかに記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
[5]前記コア/シェル型ナノ粒子が発光体である、[1]〜[4]のいずれかに記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
本発明の第二は、以下の発光体にある。
[6]無機多孔質粒子と、前記無機多孔質粒子の細孔内に固定されたコア/シェル型ナノ粒子と、を含む、発光体。
[7]前記コア/シェル型ナノ粒子のシェルが、前記無機多孔質体と異なる材料からなる、[6]に記載の発光体。
本発明のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法によれば、シェル作製時にコアが溶解したり変質したりすることがない。またさらにシェルの材料を自由に選択することが可能である。したがって、本発明の製造方法によれば、コア及びシェルを所望の組み合わせとすることができ、種々の用途に利用可能なコア/シェル型ナノ粒子を製造することが可能である。
図1は、本発明のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法の一実施形態を説明するための模式図である。 図2は、本発明の一実施形態である発光体を適用した、蛍光プローブのイメージ図である。 図3(a)及び図3(b)は、発光体を波長変換層に適用した、LED装置の一実施形態の概略断面図である。 図4(a)は、投射型表示装置の構成を説明するための模式図であり、図4(b)は、発光体を光調整層に適用した、投射型表示装置用カラーホイールの一実施形態の正面図である。 図5(a)〜(d)は、発光体を波長変換層に適用した、バックライト装置の一実施形態の概略断面図である。 図6は、発光体を波長変換層に適用した、光電変換装置の一実施形態の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。なお、本明細書において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
1.コア/シェル型ナノ粒子の製造方法
本発明の一実施形態である、コア/シェル型ナノ粒子の製造方法は、細孔を有する無機多孔質体の細孔内で、コア/シェル型ナノ粒子のコア及びシェルを形成する方法である。
前述の非特許文献3の技術では、任意の方法でコアを作製した後、ゾル−ゲル法によりコアの周囲にシェルを形成している。当該方法では、シェルの材料に制約があり、コアとシェルとの組み合わせを自由に選択することができない。また、前述の特許文献1の技術では、無機多孔質体の細孔内でコアを作製後、無機多孔質体を溶媒に溶解させ、これを析出させることでシェルを形成している。当該方法では、シェルの形成時にコアが溶解したり変質したりしやすい。さらに、当該方法でも、シェルの材料に制約あり、コアとシェルとを自由に組み合わせることが難しい。
これに対し、本実施形態では、図1の模式図に示すように、無機多孔質体1の細孔内にコア前駆体を吸着させ、これを加熱することで、コア2を形成する(図1(a))。その後、当該無機多孔質体1の細孔内に、さらにシェル前駆体を吸着させ、これを加熱することでコア2の周囲にシェル3を形成する(図1(b))。本実施形態では、コア2の形成後、シェル3の形成時に、無機多孔質体を溶解させる必要がないことから、コア2が溶解したり劣化したりするおそれが少ない。また、本実施形態の製造方法では、コアの形成とシェルの形成を例えば同一の溶液内で、連続して行うことができるため、効率良くコア/シェル型ナノ粒子を製造できるとの利点もある。
さらに、無機多孔質体1内にシェル前駆体を吸着させて、シェル3を形成することから、シェル3の材料(シェル前駆体)として種々の化合物を選択することができる。したがって、コア及びシェルを任意の組み合わせとすることができ、各種コア/シェル型ナノ粒子を製造することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、シェルがコアに密着するように形成できるため、コアを半導体とする場合、量子閉じ込め効果が大きくなる。
以下、本実施形態における、コアの作製工程及びシェルの作製工程を説明するが、本実施形態のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法には、これら以外の工程が必要に応じて含まれてもよい。
(1)コア形成工程
本実施形態のコア形成工程では、まず、無機多孔質体の細孔内に、コア前駆体を吸着させる。無機多孔質体の細孔内にコア前駆体を吸着させる方法は特に制限されず、コア前駆体を含む液に無機多孔質体を一定時間浸漬させる方法等でありうる。
ここで、無機多孔質体は無機材料からなり、かつ細孔を有する物質であれば、その形状は特に制限されず、粒子状であってもよく、シート状であってもよい。無機多孔質体が粒子状である場合(以下、無機多孔質粒子ともいう)、その粒径はコア/シェル型ナノ粒子の用途に応じて適宜選択されるが、その平均粒径は200nm〜5000μmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜1000μmであり、さらに好ましくは40μm〜200μmである。無機多孔質粒子の平均粒径が40μm以上であると、各無機多孔質体が十分な量の細孔を有し、効率よくコア/シェル型ナノ粒子を作製することができる。一方、無機多孔質粒子の平均粒径が200μm以下であると、コア/シェル型ナノ粒子を作製後、無機多孔質体にコア/シェル型ナノ粒子を無機多孔質体に固定したまま、各種用途に用いることが可能となる。無機多孔質体の平均粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、または光学顕微鏡により、100個以上の無機多孔質体について、粒径を測定した場合の平均値とする。
無機多孔質体の比表面積は10m/g以上2000m/g以下であることが好ましく、100〜1000m/gであることがより好ましく、500〜800m/gであることがさらに好ましい。無機多孔質体の比表面積が10m/g以上であると、無機多孔質体の細孔内にコア前駆体や後述のシェル前駆体が吸着されやすくなり、当該細孔内でコアやシェルを形成することが可能となる。なお、比表面積は、試料をJIS Z 8830に記載の方法(吸着ガス量の測定方法:キャリアガス法、吸着質:窒素ガス、データ解析方法:一点法又は多点法)にて測定したBET比表面積値を用いる。BET比表面積は、市販の比表面積・細孔分布測定装置「フローソーブ」(島津製作所社製)を用いて測定することができる。
また、無機多孔質体の細孔径は、所望のコア/シェル型ナノ粒子の粒径に応じて適宜選択されるが、1〜15nmであることが好ましく、1.5〜10nmであることがより好ましく、2〜8nmであることがさらに好ましい。無機多孔質体の細孔径が大きいと、得られるコア/シェル型ナノ粒子の粒径が大きくなりやすく、細孔径が小さいと、前駆体が細孔内に取り込まれにくくなるほか、得られるコア/シェル型ナノ粒子の粒径が小さくなりやすい。そして、無機多孔質体の細孔径が上記範囲であると、十分に小さいコア/シェル型ナノ粒子を作製することができ、例えばコアに量子閉じ込め効果を発現させることができる。
無機多孔質体の材料は特に制限されず、その例には、各種金属の酸化物やカルコゲン化物;炭素系材料等が含まれる。無機多孔質体の材料としてより具体的には、SiO(二酸化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)、ZrO(酸化ジルコニウム)、ZnO(酸化亜鉛)、ゼオライト等が挙げられる。これらの中でも、細孔径の制御が容易であり、かつ作製が容易であるとの観点からSiOが好ましく、メソポーラスシリカが特に好ましい。
メソポーラスシリカからなる無機多孔質体は、以下のように作製することができる。まず、界面活性剤と、テトラエトキシシラン(以下、「TEOS」とも称する)等のシリカ源と、酸または塩基触媒を混合する。そして、界面活性剤がミセルを形成した状態、つまり界面活性剤の周囲にシリカ源が吸着された状態で、シリカ源をゾルゲル反応させる。次いで、これを焼成することにより、界面活性剤が熱分解されて、均一な細孔を有するメソポーラスシリカが得られる。なお、メソポーラスシリカの細孔径は界面活性剤のアルキル鎖長を変えることで容易に制御することができる。
また、メソポーラスシリカは、例えば国際公開第2011−108649号等に記載されている方法でも調製することができる。さらに、メソポーラスシリカは、市販のものを適用してもよい。市販のメソポーラスシリカとしては三菱化学製のメソピュアシリーズや、シグマアルドリッチ社製の試薬グレードのメソポーラスシリカ等が挙げられる。
一方、コア前駆体は、所望のコアの組成に合わせて適宜選択される。本実施形態で形成するコアは、公知のコア/シェル型ナノ粒子のコアと同様とすることができる。本工程で形成するコアの例には、CdSe、CdS、CdTe、ZnS等のII−VI族化合物;InP、InAs等のIII−V族化合物;CuGaS、CuInS等のI−III−IV族化合物;一般式ASnXまたはAPbX(いずれもAはCs等のアルカリ金属を表し、Xはハロゲンを表す)で表されるI−IV−VII化合物等が含まれる。ただし、本実施形態の製造方法で作製するコアの種類は、これらに限定されない。
コア前駆体は、所望のコアに合わせて適宜選択され、その例には、酢酸カドミウム、ビスオレイン酸カドミウム、ステアリン酸カドミウム、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、酢酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ヨウ化銅、酢酸銅、ガリウムアセチルアセトナート、ヨウ化セシウム、酢酸セシウム、炭酸セシウム、オレイン酸セシウム、ヨウ化スズ、酢酸スズ、オレイン酸スズ、酢酸鉛、オレイン酸鉛、酢酸水銀、オレイン酸水銀、金属セレン、セレノウレア、トリブチルホスフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセレニド、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウム、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、ドデカンチオール、オクタンチオール、チオウレア等が含まれる。これらは1種単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。なお、本実施形態で使用可能なコア前駆体は、上記化合物に限定されない。
コア前駆体を無機多孔質体の細孔内に吸着させる際、コア前駆体のみからなる液に無機多孔質体を浸漬させてもよいが、コア前駆体及び溶媒を含む液に無機多孔質体を浸漬させてもよい。コア前駆体を溶解もしくは分散させる溶媒としては、コア前駆体を均一に溶解または分散させることが可能であり、無機多孔質体を侵食せず、かつコア前駆体の加熱の際に安定なものであれば特に制限されない。このような溶媒の例には、1−オクタデセン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィン、オレイルアミン、オレイン酸、オクタンチオール、ドデカンチオール等が含まれる。これらの中でも、コア前駆体の無機多孔質体の細孔内へ侵入を阻害し難いとの観点から、1−オクタデセンが好ましい。
また、コア前駆体を含む液に無機多孔質体を浸漬させる際、副反応を抑えたり、無機多孔質の細孔内にコア前駆体を十分に侵入させる等の観点から、浸漬は、不活性雰囲気または真空下で行うことが好ましい。
このとき、コア前駆体を含む液の温度は、0〜100℃であることが好ましく、20〜80℃であることがより好ましい。コア前駆体を含む液の温度が上記範囲であると、コア前駆体が分解せず、かつ無機多孔質体の細孔内に効率よく吸着されやすくなる。
また、無機多孔質体を、コア前駆体を含む液に10分〜24時間浸漬させてから、後述の加熱を行うことが好ましく、浸漬時間は、10分〜12時間であることがより好ましい。生産性を高める観点からは、浸漬時間を10分〜30分とすることが好ましい。コア前駆体を2種以上用いる場合、全てのコア前駆体を無機多孔質体に同時に吸着させてもよいが、特定の種類のコア前駆体のみ無機多孔質体に先に吸着させておき、後から残りのコア前駆体を吸着させてもよい。特定の種類のコア前駆体のみを無機多孔質体の細孔内に吸着させておくことで、コア前駆体同士の反応が、細孔内で生じやすくなる。この場合、後からコア前駆体を添加するのと同時に、無機多孔質体を加熱してもよい。
無機多孔質体の細孔内にコア前駆体の一部または全部を吸着させた後、無機多孔質体を加熱する。これにより、無機多孔質体でコア前駆体が反応し、結晶が成長する。加熱は、無機多孔質体を、コア前駆体を含む液に浸漬させた状態で行うことが好ましい。また、加熱は、不活性雰囲気下もしくは真空下で行うことが好ましく、液を攪拌しながら行うことが好ましい。液を攪拌することで、反応系内の温度を均一にすることが出来る。また、加熱温度は、50〜420℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは100〜400℃であり、さらに好ましくは200〜370℃である。また、加熱時間は30秒〜10時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましい。加熱時間及び加熱温度が上記範囲であると、十分にコア前駆体の反応及び結晶化が進行し、所望の大きさのコアが得られる。
なお、本工程で形成するコアの平均粒径は、コア/シェル型ナノ粒子の用途に応じて適宜選択されるが、1〜15nmであることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。コアの平均粒径が上記範囲であると、量子閉じ込め効果が発生しやすく、コア/シェル型ナノ粒子のコアを半導体とすることが可能となる。コアの平均粒径の測定としては、コアを含む無機多孔質体を乳鉢で粉砕して断面を露出させた後、透過型電子顕微鏡(TEM)により、ランダムに選択した100個以上のコアについて粒径を計測する方法を採用することができ、これらの平均値を算出することで測定値とすることができる。また、コアの材質によっては、非特許文献Yu, W. William, et al. "Experimental determination of the extinction coefficient of CdTe, CdSe, and CdS nanocrystals." Chemistry of Materials 15.14 (2003): 2854-2860.に記載の式を用いて、紫外-可視吸収スペクトルの励起子ピーク波長から求めることも出来る。
上記コアの作製後、必要に応じて、無機多孔質体を液から取り出して、後述のシェル形成工程を行ってもよいが、無機多孔質体を液から取り出さずに、当該液中でさらにシェル形成工程を行うことが、コア/シェル型ナノ粒子の製造効率の観点等から好ましい。
(2)シェル形成工程
シェル形成工程では、無機多孔質体の細孔に、さらにシェル前駆体を吸着させる。無機多孔質体の細孔内にシェル前駆体を吸着させる方法は特に制限されず、シェル前駆体を含む液に、前述の無機多孔質体を浸漬させる方法等でありうる。なお、無機多孔質体を、コア形成工程を行った液から取り出さずに、続けてシェル形成工程を行う場合には、前述の液に、シェル前駆体を添加すればよい。
シェル前駆体は、所望のシェルの組成に合わせて適宜選択される。本実施形態で形成するシェルは、公知のコア/シェル型ナノ粒子のシェルと同様とすることができる。本工程で形成するシェルの例には、SiO;TiO、Al等の金属酸化物;CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnO、ZnSe、ZnTe等のII−VI族化合物;InP、AsP、InAs等のIII−V族化合物;CuGaS、CuInS等のI−III−IV族化合物;一般式ASnXまたはAPbX(いずれもAはCs等のアルカリ金属を表し、Xはハロゲンを表す)で表されるI−IV−VII化合物、AgSe、PbS、Fe等が含まれる。ただし、本実施形態の製造方法で作製するシェルの種類は、これらに限定されない。
シェル前駆体は、所望のシェルに合わせて適宜選択され、その例には、酢酸カドミウム、オレイン酸カドミウム、ステアリン酸カドミウム、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、酢酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ヨウ化銅、酢酸銅、ガリウムアセチルアセトナート、ヨウ化セシウム、酢酸セシウム、炭酸セシウム、オレイン酸セシウム、ヨウ化スズ、酢酸スズ、オレイン酸スズ、酢酸鉛、オレイン酸鉛、酢酸水銀、オレイン酸水銀、金属セレン、セレノウレア、トリブチルホスフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセレニド、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウム、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、ドデカンチオール、オクタンチオール、チオウレア等が含まれる。これらは1種単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。なお、本実施形態の製造方法で使用するシェル前駆体は、上記化合物に限定されない。
ここで、シェル前駆体やシェルは、無機多孔質体と同一の材料(例えば二酸化ケイ素等)からなるものであってもよいが、異なる材料からなるものであることがより好ましい。
シェル前駆体は溶媒に溶解または分散させて用いてもよい。シェル前駆体を溶解もしくは分散させる溶媒としては、シェル前駆体を均一に溶解または分散させることが可能であり、無機多孔質体を侵食せず、かつコア前駆体の加熱の際に安定なものであれば特に制限されない。このような溶媒としては、前述のコア前駆体を溶解または分散させる溶媒と同様のものを用いることができる。また、シェル形成用前駆体を無機多孔質体に吸着させる際には、シェル前駆体の反応性を高めるため、オレイルアミンやトリオクチルホスフィンをシェル前駆体と共に使用してもよい。
また、シェル前駆体を前述の液に添加、もしくはシェル前駆体を含む液に無機多孔質体を浸漬させる際、副反応を抑えたり、シェル前駆体を無機多孔質の細孔内に十分に侵入させる等の観点から、これらは不活性雰囲気または真空下で行うことが好ましい。またこのとき、シェル前駆体を含む(もしくはシェル前駆体を添加する)液の温度は、0〜100℃であることが好ましく、20〜80℃であることがより好ましい。溶液の温度が上記範囲であると、シェル前駆体が無機多孔質体の細孔内に効率良く吸着されやすくなる。
また、無機多孔質体を、シェル前駆体を含む液に10分〜24時間浸漬させてから、後述の加熱を行うことが好ましく、浸漬時間は10分〜12時間であることがより好ましい。生産性を高める観点からは、浸漬時間を10分〜30分とすることが好ましい。なお、シェル前駆体を2種以上用いる場合、全てのシェル前駆体を無機多孔質体に同時に吸着させてもよいが、特定の種類のシェル前駆体のみ無機多孔質体に先に吸着させておき、後から残りのシェル前駆体を吸着させてもよい。また、シェル前駆体の種類によっては、シェル前駆体を含む液への無機多孔質体の浸漬(もしくはシェル前駆体の添加)と同時に、無機多孔質体を加熱してもよい。
無機多孔質体の細孔内の少なくともコアにシェル前駆体の一部または全部を吸着させた後、無機多孔質体を加熱する。これにより、無機多孔質体でシェル前駆体が反応し、コアの周囲にシェルが形成される。加熱は、無機多孔質体を、シェル前駆体を含む液に浸漬させた状態で行うことが好ましい。また、加熱は、不活性雰囲気下もしくは真空下で行うことが好ましく、液を攪拌しながら行うことが好ましい。液を攪拌することで、シェル前駆体の反応が進みやすくなる。また、加熱温度は、50〜400℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは80〜370℃であり、さらに好ましくは100℃〜300℃である。また、加熱時間は10分〜10時間であることが好ましく、30分〜6時間であることがより好ましい。加熱時間及び加熱温度が上記範囲であると、十分にシェル前駆体の反応及び結晶化が進行し、所望の厚みのシェルが得られる。このように、細孔内にコアを生成し、シェル前駆体をコアに吸着させてシェルを生成することで、細孔内に固定されたコア/シェル型ナノ粒子を作製することができる。従って、無機多孔質体からコアを取り出すことなくコア及びシェルを続けて形成でき、細孔サイズが均一な無機多孔質体を用いることで、粒径の揃ったコア/シェル型ナノ粒子を生成することができる。また、特許文献1に記載される技術のように、無機多孔質体を溶解する成分を用いる必要がないので、その成分によってコアが溶解する問題も生じない。
本工程で形成するシェルの厚みは、コア/シェル型ナノ粒子の用途に応じて適宜選択されるが、0.3〜5であることが好ましく、1〜3nmであることがより好ましい。シェルの平均厚みが上記範囲であると、コアを隙間なく被覆することが可能となる。また、コアが半導体である場合に、上記厚みのシェルを形成することで、コアの量子閉じ込め効果が得られやすくなる。シェルの平均厚みは、上述したのと同様の手順でコアを形成し、さらにシェル形成をした後の無機多孔質体を乳鉢で粉砕して断面を露出させた後、透過型電子顕微鏡(TEM)により、ランダムに選択した100個以上のコア/シェル型ナノ粒子について、上述したのと同様にして粒径を測定する。そして、コア/シェル型ナノ粒子の平均粒径から先に測定したコアの平均粒径を差し引くことで、シェルの厚みを算出する。
2.コア/シェル型ナノ粒子の用途
前述のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法により製造されたコア/シェル型ナノ粒子は、無機多孔質体に固定したままの状態で各種用途に用いてもよく、無機多孔質体から取り出して各種用途に用いてもよい。これらの用途の例には、各種インク等における着色剤、充填剤等が含まれる。またコア/シェル型ナノ粒子のコアが非常に小さく、コアが半導体である場合には、コア/シェル型ナノ粒子を太陽電池の増感色素や、発光体等として用いることもできる。
なお、前述の製造方法により製造されるコア/シェル型ナノ粒子では、コアにシェルが密着している。また、無機多孔質体の細孔内でコア/シェル型ナノ粒子を製造していることから、コア/シェル型ナノ粒子の粒径にばらつきが少ない。このようなコア/シェル型ナノ粒子を、蛍光を発する発光体として用いると、蛍光量子収率が非常に高くなり、発光ピーク波長の半値幅が狭くなる。したがって、前述の方法で得られるコア/シェル型ナノ粒子は、発光体として非常に有用である。またさらに、コア/シェル型ナノ粒子を無機多孔質体に固定したまま、各種部材に分散させると、コア/シェル型ナノ粒子が凝集せず、消光が抑制されるという利点もある。
そこで、以下、コア/シェル型ナノ粒子が無機多孔質体に固定された発光体を、蛍光プローブ、LED装置、投射型表示装置のホイール、ディスプレイ装置、及び光電変換装置に適用する態様を説明するが、コア/シェル型ナノ粒子の用途や使用形態は、これらに限定されない。
(1)蛍光プローブ
本実施形態は、上述した発光体を、標的(ターゲット)生体分子を蛍光標識するための蛍光プローブに適用したものである。蛍光プローブは、図2のイメージ図に示されるように、標的生体分子(抗原)6に特異的に結合するための標的指向性リガンド5と、当該標的指向性リガンド5に結合した発光体4とを有するものとすることができる。なお、蛍光プローブは、水または緩衝液に分散させて蛍光プローブ分散液として用いてもよい。
標的生体分子を有する生細胞もしくは生体組織に蛍光プローブや蛍光プローブ分散液を投与すると、蛍光プローブが、標的生体分子に特異的に結合あるいは特異的に吸着する。そして、蛍光プローブを投与した位置に、所定の波長の励起光(放射線)を照射すると、蛍光プローブが含む発光体(コア/シェル型ナノ粒子)が励起されて、所定の波長の蛍光を発する。したがって、当該蛍光を検出することにより、標的生体分子の位置検出や検出量の把握が可能となる。
このような蛍光プローブは、発光体(コア/シェル型ナノ粒子もしくはシェル層)表面の官能基と、標的指向性リガンドが有する官能基とを共有結合(例えばアミド結合等)させることで得られる。標的指向性リガンドとは、特定の組織または細胞に対して、特異的に結合する機能を有する分子である。標的指向性リガンドの種類は特に限定されず、標的物質に合わせて適宜選択される。標的指向性リガンドの例には、以下のものが含まれる。
(i)標的が癌等の疾患組織あるいは細胞において特異的に発現する種々のマーカータンパク質またはペプチドである場合、標的指向性リガンドは、これらに対する抗体(例えば、HER2抗体、がん特異的抗体、血管内皮細胞特異的抗体、組織特異的抗体、リン酸化タンパク抗体など)またはその親和性物質、葉酸、トランスフェリン、トランスフェリン結合型ペプチド等とすることができる。
(ii)標的が糖鎖の場合、標的指向性リガンドは、糖鎖と結合性を有するタンパク質(例えば、レクチン)等とすることができる。
(iii)その他の標的指向性リガンドとしては、例えば、細胞膜親和性物質、ウイルス細胞認識部位、親油性トレーサー、複製機能のないウイルス粒子、細胞小器官親和性物質(例えば、DNA、ミトコンドリア、細胞骨格分子、ゴルジ体、リソソーム、エンドソーム、オートファゴソームなど)等が挙げられる。
前述のように、本実施の形態で用いる発光体は、各コア/シェル型ナノ粒子の蛍光量子収率が高い。また、各コア/シェル型ナノ粒子の粒径が均一であり、コア/シェル型ナノ粒子が発する蛍光の色純度が高い。したがって、蛍光スペクトル測定を行った際のシグナル/ノイズ比を十分に高めることができ、精度よく標的生体分子の位置や量を特定することが可能となる。
(2)LED装置
本実施形態は、上述した発光体を、LED装置の波長変換層を形成するための材料として用いたLED装置である。本実施形態のLED装置の模式的な断面図の一例を図3(a)及び図3(b)に示す。LED装置50には、基板10と、当該基板10上に配置されたLED素子20と、当該LED素子20の出射面状に配置された波長変換層30とが含まれる。LED装置50では、LED素子20が発する光の一部を、波長変換層30が、特定の波長の光に変換することで、LED装置50が発する光の色を所望の色とする。例えばLED素子20が青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する場合、波長変換層30に青色光により励起されて黄色の蛍光を発する発光体を含めることで、波長変換層30を透過した後の光を白色とすることができる。
なお、LED素子20が出射する光の波長は、前述の発光体(コア/シェル型ナノ粒子)を励起可能な波長であれば特に制限されず、青色光や、近紫外光等とすることができる。また、発光体(コア/シェル型ナノ粒子)が発する蛍光の色も特に制限されず、赤色や緑色、青色、黄色等、いずれの色であってもよい。LED素子20が出射する光の色と、コア/シェル型ナノ粒子が発する蛍光の色の組み合わせは、LED装置50の用途等に応じて適宜選択される。また、波長変換層30には、発光体が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
ここで、上記波長変換層30は、発光体が、バインダによって結着された層とすることができる。また、波長変換層30は、図3(a)に示されるように、LED素子20を被覆する層であってもよく、また図3(b)に示されるように、LED素子20上に載置されたフィルムであってもよい。いずれの態様においても、バインダは、光透過性を有し、かつ十分に発光体を結着可能なものであれば特に制限されず、無機材料からなるものであってもよく、樹脂からなるものであってもよい。バインダは、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂や、ポリシロキサン等の透光性セラミックとすることができる。
このような波長変換層30は、上述した発光体と、上記バインダもしくはその前駆体を含む組成物を公知の方法で塗布し、当該組成物を硬化させること等で得られる。波長変換層30を形成するための組成物には、必要に応じて溶媒が含まれてもよい。
前述のように、上述した発光体は、各コア/シェル型ナノ粒子の蛍光量子収率が高い。また、上記コア/シェル型ナノ粒子の粒径が均一であるため、コア/シェル型ナノ粒子が発する蛍光の色や輝度が均一である。したがって、色純度の高い蛍光が得られやすく、LED装置から出射する光の色度を所望の範囲に調整しやすい。
(3)投射型表示装置用カラーホイール
本実施形態は、上述した発光体を投射型表示装置用カラーホイール(以下、「カラーホイール」とも称する)の光調整層用の材料として用いたものである。カラーホイールを内蔵した投射型表示装置の模式図を図4(a)に示す。投射型表示装置120は、光源110と、カラーホイール100と、投射光学系114とを少なくとも含む。光源100から出射された光がレンズ111等により集光されて、前述のカラーホイール100に照射される。このとき、カラーホイール100の光調整層(図示せず)により、光源からの光が拡散や波長変換される。そして、当該カラーホイール100を透過した光が、レンズ112やミラー113等を介して投射光学系114に導かれて、投射光学系114によって投射されてスクリーンに画像が表示される。上述した発光体は、このような投射型表示装置のカラーホイール用の材料、より具体的には、光源110からの光を他の波長の光に変換するための材料として、カラーホイールに含めることができる。
投射型表示装置のカラーホイール100は、図4(b)に示されるように、回転中心の周囲に配置された光調整層を備えている。本実施形態では、カラーホイール100が、基板101と、発光体を含む光調整層102とが積層された構造を有する。当該カラーホイール100は、投射型表示装置において光源110と投射光学系114との間に設置され、光源110からの光を拡散したり、光源110からの光を別の特定の波長の光に変換したりする機能を果たす。
カラーホイール100には、一種類の光調整層のみ形成されていてもよいが、図4(b)に示されるように、一つのカラーホイール100に、複数種類の光調整層102a〜102cが形成されていてもよい。例えば、投射型表示装置の光源からの光が紫外光である場合等には、紫外光を受けて青色を出射する発光体を含む光調整層102aと、紫外光を受けて緑色を出射する発光体を含む光調整層102bと、紫外光を受けて赤色を出射する発光体を含む光調整層102cと、を含むカラーホイール100等とすることで、光源が一種のみであっても、光の三原色を再現することができる。なお、カラーホイール100に含まれる光調整層102の種類や光調整層102が形成される領域等については、投射型表示装置120の種類や、光源110が発する光の波長、投射型表示装置の構造等に合わせて適宜選択される。
ここで、上記光調整層102は、発光体がバインダによって結着された層とすることができる。また、光調整層102は自立性を有するフィルム状の部材であってもよい。光調整層102に含まれるバインダは、前述のLED装置の波長変換層に含まれるバインダと同様とすることができる。また、光調整層102の形成方法も、LED装置の波長変換層の形成方法と同様とすることができる。
前述のように、本実施形態で用いる発光体は、各コア/シェル型ナノ粒子の蛍光量子収率が高い。また、上記コア/シェル型ナノ粒子の粒径が均一であるため、コア/シェル型ナノ粒子が発する蛍光の色や輝度が均一になりやすい。したがって、光調整層によって所望の色の蛍光が得られやすく、投射型表示装置から投射される画像の色再現性が良好となる。
なお、上記では、カラーホイールが透過型カラーホイールである場合を例に説明したが、上述した発光体を、反射型カラーホイールに適用することも可能である。
(4)ディスプレイ装置
本実施形態は、上述した発光体を、各種ディスプレイ装置等に搭載されるバックライト装置に用いたものであり、具体的には、バックライト装置の波長変換層用の材料として用いたものである。本実施形態のバックライト装置の例を図5(a)〜(d)に示す。バックライト装置200は、例えば液晶パネル(図示せず)の背面に設けられる面状の発光装置であり、液晶パネルに光を照射するものである。上述した発光体が含むコア/シェル型ナノ粒子は、このようなバックライト装置の波長変換層用の材料、より具体的には、光源202からの光の一部を他の波長の光に変換するための材料に適用することができる。バックライト装置200では、光源202から出射される光を、波長変換層201で変換することで、所望の色の光を液晶パネルに照射することが可能となる。
バックライト装置200の構成は、その用途に応じて適宜選択される。例えば図5(a)に示されるように、光源202と、当該光源202の側方に配置された波長変換層201と、を有する構成とすることができる。また、例えば図5(b)や図5(c)に示されるように、光源202から出射する光、もしくは波長変換層201によって波長変換された光を、拡散させるための導光体203を有する構成とすることもできる。この場合、光源202や波長変換層201から出射した光が、導光体203によって拡散される。また、図5(d)に示されるように、光源202(202a、202b、及び202c)と波長変換層201とが間隙をおいて配置される構成としてもよい。
ここで、波長変換層201は、発光体がバインダによって結着された層とすることができる。なお、波長変換層201は、自立性を有するフィルム状の部材であってもよい。バインダは、光透過性を有し、かつ十分に発光体を結着可能なものであれば特に制限されない。このようなバインダは、前述のLED装置の波長変換層が含むバインダと同様とすることができる。また、バックライト装置200の波長変換層201の形成方法も、LED装置の波長変換層の形成方法と同様とすることができる。
前述のように、上述した発光体は、各コア/シェル型ナノ粒子の蛍光量子収率が高い。また、上記コア/シェル型ナノ粒子が均一であるため、コア/シェル型ナノ粒子が発する蛍光の色や輝度が均一になりやすい。したがって、波長変換層によって所望の色の蛍光が得られやすく、バックライト装置から出射する光の色度が所望の範囲に収まりやすい。
(5)光電変換装置
本実施形態は、上述した発光体を、光電変換層の波長変換層に用いた光電変換装置である。図6に光電変換装置の一例を示す。当該光電変換装置300は、基板301上に、電極層302、P型半導体層303、N型半導体層304、透明電極層305、及び波長変換層310が積層された構造を有する。上述した発光体は、波長変換層310を形成するための材料として用いることができる。より具体的には、光電変換層内部に入射する光を、所望の波長の光に変換するための材料とすることができる。
一般的な光電変換装置では、太陽光に含まれる特定の波長の光のみ、光電変換に利用が可能である。そこで、光電変換装置300の波長変換層310に発光体を含めることで、光電変換装置300の発電効率を改善することができる。例えば、光電変換に利用されていない波長の光によって発光体中のコア/シェル型ナノ粒子を励起させて、蛍光を得る。これにより、光電変換に利用可能な波長の光の量が多くなり、光電変換装置300の発電効率が高まりやすくなる。
ここで、光電変換装置300が含む波長変換層310は、発光体が、バインダによって結着された層とすることができる。また、波長変換層310は、自立性を有するフィルム状の部材であってもよい。バインダは、光透過性を有し、かつ十分に半導体を結着可能なものであれば特に制限されない。このようなバインダは、前述のLED装置の波長変換層が含むバインダと同様とすることができる。また、光電変換装置300の波長変換層310の形成方法も、LED装置の波長変換層の形成方法と同様とすることができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限されない。
<無機多孔質体>
・シリカゲルN60(球状、中性):関東化学社製、粒径40〜50μm、平均細孔径5.4±1nm
・シリカゲル60(球状)NH:関東化学社製、粒径40〜50μm、平均細孔径6.4±1nm
・以下の方法で作製したメソポーラスシリカ:細孔径約3.3nm
(メソポーラスシリカの作製)
テトラエトキシシラン14g、臭化ヘキシルトリメチルアンモニウム(界面活性剤)12.4g、及びHCl水溶液(pH1.0)3.6gを混合し、当該溶液を室温下で1時間撹拌した。その後、60℃にて14日間静置することで、ゲルを得た。続いて、ゲルを600℃で3時間焼成して、粒径約200μm〜3mmの砂粒状のメソポーラスシリカを作製した。
[実施例1]
(コア形成工程)
3つ口フラスコ内に酸化カドミウム65mg、オレイン酸3g、及び1−オクタデセン50mLを加えて、真空下100℃で1時間脱水脱気を行った。その後、3つ口フラスコ内を窒素雰囲気にしてから300℃まで昇温し、溶液の色が透明になるまで加熱した。その後、室温まで冷却することで、ビスオレイン酸カドミウムのストック溶液を得た。
一方、窒素環境下で、3つ口フラスコにセレン150mg、トリオクチルホスフィン2mL、及び1-オクタデセン(25mL)を加え、室温でセレンが溶解するまで撹拌し、トリオクチルホスフィンセレニド溶液を得た。
3つ口フラスコに、上記シリカゲルN60 3gを加えて、真空下100℃30分間脱水脱気を行った。その後、当該3つ口フラスコに前記ビスオレイン酸カドミウム溶液5mLを加えてさらに真空下100℃30分間脱水脱気を行った。その後、窒素環境下、当該3つ口フラスコ内の温度を室温まで下げてから、当該3つ口フラスコにトリオクチルホスフィンセレニド溶液を5mL加え、300℃まで昇温させて10分間保持した。その後、室温まで冷却した。当該工程により、シリカゲルN60内部にCdSe(セレン化カドミウム)ナノ粒子を作製した。
(シェル形成工程)
その後、上記3つ口フラスコに、オレイルアミン1mL、及びジエチルジチオカルバミン酸亜鉛18mgをさらに加え、110℃で1時間加熱した。これにより、CdSeナノ粒子をZnSで被覆し、シリカゲルN60の細孔内部にCdSe/ZnSからなるコアシェル型ナノ粒子が固定された発光体を作製した。
[実施例2]
実施例1のコア形成工程及びシェル形成工程で用いたシリカゲルN60を、シリカゲル60に変更した以外は、実施例1と同様にコア形成工程及びシェル形成工程を行い、シリカゲル60の細孔内部にCdSe/ZnSからなるコア/シェル型ナノ粒子が固定された発光体を作製した。
[実施例3]
実施例1のコア形成工程及びシェル形成工程で用いたシリカゲルN60を、メソポーラスシリカに変更した以外は、実施例1と同様にコア形成工程及びシェル形成工程を行い、メソポーラスシリカの細孔内部にCdSe/ZnSからなるコア/シェル型ナノ粒子が固定された発光体を作製した。
[比較例1]
実施例1と同様にコア形成工程を行った。その後、3つ口フラスコ内のスラリーを濾過し、シクロヘキサンで洗浄し乾燥させることでセレン化カドミウムを含むシリカを粉末状で得た。その後、28℃の20質量%フッ酸水溶液中に添加して40分間攪拌した後、石灰を用いて中和した。当該工程により、シリカゲルN60を溶解させ、さらにコア上に析出させることで、CdSe/SiOからなるコアシェル型ナノ粒子を作製した。なお、本実験例ではシリカゲルN60を溶解させているため、後述する表1においては、シリカゲルN60を括弧付きで示してある。
[比較例2]
実施例1と同様にコア形成工程のみを行い、シリカゲルN60の細孔内にCdSeからなるナノ粒子が固定された発光体を作製した。
[比較例3]
実施例2と同様にコア形成工程のみを行い、シリカゲル60の細孔内にCdSeからなるナノ粒子が固定された発光体を作製した。
[比較例4]
実施例2と同様にコア形成工程のみを行い、メソポーラスシリカの細孔内にCdSeからなるナノ粒子が固定された発光体を作製した。
[評価]
上記実施例及び比較例で作製した発光体について、それぞれ以下の手順で、発光波長、発光半値幅、発光強度の測定、及び透過型電子顕微鏡による観察を行った。
(発光波長、発光半値幅、及び発光強度の測定)
上記実施例及び比較例で作製した各発光体について、フォトルミネッセンス測定を行い、発光波長、発光半値幅、及び発光強度を求めた。測定は、スラリー状の発光体を三角セルに移し、粒子蛍光光度計(F−4500;日立製作所製)にて、励起波長365nmで行った。結果を表1に示す。
(透過型電子顕微鏡観察)
上記実施例及び比較例で作製した各発光体を10mLのシクロヘキサンで洗浄して室温で乾燥させた後、メノウ鉢で粉状に粉砕して透過型電子顕微鏡観察用のサンプルを調製した。
Figure 2017110040
上記透過型電子顕微鏡による観察により、実施例1〜3では、無機多孔質体の細孔内に、粒子が固定されていることが確認された。また、当該粒子について、X線光電子分光、ラマン分光、エネルギー分散型X線分析より組成を確認したところ、カドミウム、セレン、亜鉛、及び硫黄が確認された。つまり、CdSe/ZnSからなるコアシェル型ナノ粒子が作製されたことが確認された。
また、表1に示されるように、実施例1〜3では、いずれも十分な発光が得られた。これに対し、比較例1の発光体では、十分な発光が得られなかった。シェル作製時のフッ酸処理により、無機多孔質体だけでなくコアが溶解したため、十分な発光が得られなかったと推察される。また、比較例2〜4のように、多孔質材料内にコアのみを成長させた場合、粒子形成は確認されたものの、十分な発光が得られなかった。
本発明の製造方法では、コアとシェルとの組み合わせを任意に選択することができる。したがって、本発明の製造方法によれば、色素や、発光体等に適用可能な、各種コア/シェル型ナノ粒子を製造することができる。
1 無機多孔質体
2 コア
3 シェル
4 発光体
5 標的指向性リガンド
6 標的生体分子
10 基板
20 LED素子
30 波長変換層
50 LED装置
100 カラーホイール
101 基板
102 光調整層
110 光源
111、112 レンズ
113 ミラー
114 投射光学系
120 投射型表示装置
200 バックライト装置
201 波長変換層
202 光源
203 導光体
300 光電変換装置
301 基板
302 電極層
303 P型半導体層
304 N型半導体層
305 透明電極層
310 波長変換層

Claims (7)

  1. コア/シェル型構造を有するナノ粒子の製造方法であって、
    無機多孔質体の細孔内に、コア前駆体を吸着させて加熱し、コアを形成する工程と、
    少なくとも前記無機多孔質体の前記細孔内に形成された前記コアに、シェル前駆体を吸着させて加熱し、前記コアを覆うシェルを形成する工程と、
    を含む、コア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記シェルは、前記無機多孔質体と異なる材料からなる、
    請求項1に記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記無機多孔質体が二酸化ケイ素からなる、
    請求項1または2に記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記コア/シェル型ナノ粒子の前記コアが半導体である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記コア/シェル型ナノ粒子が発光体である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のコア/シェル型ナノ粒子の製造方法。
  6. 無機多孔質粒子と、
    前記無機多孔質粒子の細孔内に固定されたコア/シェル型ナノ粒子と、
    を含む、発光体。
  7. 前記コア/シェル型ナノ粒子のシェルが、前記無機多孔質体と異なる材料からなる、
    請求項6に記載の発光体。
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