JP2017107842A - 負極活物質、それを用いた負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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卓也 青木
康之 川中
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康之 川中
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正孝 宮下
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Abstract

【課題】高い初期充放電効率を持つ負極活物質、負極及びリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】本発明に係る負極活物質は、LiとFeと酸素から構成される酸化物を含有し、前記酸化物は、FeがFe2O3換算で84.88〜91.82質量%であり、かつLiをLi2O換算したとき、Fe2O3/Li2Oの質量比が5.61≦x≦11.22で表される組成を持ち、更に前記酸化物はClを含有し、前記Cl含有量が10ppm以上、600ppm以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、負極活物質、それを用いた負極及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。また、ハイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として有力な候補ともなっている。そして、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
リチウムイオン二次電池の容量は主に電極の活物質に依存する。負極活物質には、一般に黒鉛が利用されている。しかし、黒鉛の理論容量は372mAh/gであり、実用化されている電池では、既に約350mAh/gの容量が利用されている。よって、将来の高機能携帯機器のエネルギー源として十分な容量を有する非水電解質二次電池を得るためには、さらなる高容量化を実現する必要があり、そのためには、黒鉛以上の理論容量を有する負極材料が必要である。
かかる負極活物質の一例として、鉄酸化物(鉄を構成元素として含む酸化物)が挙げられる。これら鉄酸化物は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能であり、黒鉛に比べて非常に大きな容量の充放電が可能である。例えばLiFeOの放電容量は黒鉛の2倍以上の高容量を示すことが知られている。(特許文献1、2)
特開2012−28264号公報 特開2014−2847号公報
しかしながら、上記の先行技術に開示される組成の材料では、リチウムイオン二次電池としたときの初期充放電効率として十分であるとは言えない。
本発明は、このような実情のもとに創案されたものであって、その目的は初期充放電効率に優れる負極活物質、それを用いた負極及びリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質は、LiとFeと酸素から構成される酸化物を含有し、前記酸化物はFeがFe換算で84.88〜91.45質量%であり、かつLiをLiO換算したとき、Fe/LiOの質量比xが5.61≦x≦11.22で表される組成を持ち、更に前記酸化物はCl(塩素)を含有し、前記塩素の含有量が10ppm以上、600ppm以下であることを特徴とする。
かかる構成によれば初期充放電効率を向上させることができる。このときFeが84.88質量%未満またはxが5.61未満であると異相ができやすく組成的に不安定であるため初期充放電効率が劣化する可能性がある。Feが91.82質量%を超える、またはxが11.22を超えるとLi欠損状態となるため初期充放電効率が低下する可能性がある。
更に本発明にかかる負極活物質はCl含有量を所定の量に制御することにより優れた初期充放電効率を得ている。Cl含有量が10ppm未満であるとイオン導電率の低下により初期充放電効率が低下する。Cl含有量が600ppmを超えると充放電反応を阻害するなどの不具合が起こる可能性が高く初期充放電効率を低下させる。
本発明に係る負極活物質は、前記酸化物の比表面積(SSA:Specific Surface Area)が1.5m/g以上30m/g以下であることが好ましい。
このように、比表面積を1.5m/g以上、30m/g以下に制御することにより初期充放電効率が更に向上する。
本発明に係る負極活物質は、前記酸化物がLiFeO相を含有し、X線回折によるLiFeO相(222)面の半価幅が3.0×10−3ラジアン以下であることを特徴とする。
このように、LiFeO相(222)面の半価幅を3.0×10−3ラジアン以下に制御することにより高結晶性となり初期充放電効率が向上する。
本発明によれば、初期充放電効率に優れた負極活物質、それを用いた負極及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
(リチウムイオン二次電池)
図1に、リチウムイオン二次電池100の構成断面図を示す。リチウムイオン二次電池100は、外装体50と外装体の内部に設けられた正極10および負極20と、これらの間に配置されたセパレータ18を介して積層されることで形成される電極体30と電解質を含む非水電解液(図示せず)から構成され、上記セパレータ18は充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である上記非水電解液を保持する。さらに、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部が外装体の外部に突出される負極リード62と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部が外装体の外部に突出される正極リード60とを備える。
リチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限はなく、例えば、円筒型、角型、コイン型、偏平型、ラミネートフィルム型など、いずれであってもよい。本発明では、ラミネートフィルムを外装体50として用い、下記実施例では、アルミラミネートフィルム型電池を作製し評価する。
上記正極10は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む正極活物質層14を正極集電体12の少なくとも一方の主面に備えて構成されており、上記負極20は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む負極活物質層24を負極集電体22の少なくとも一方の主面に備えて構成されている。
<実施形態1>
(負極)
本実施形態1の負極20に形成される負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、導電助剤を含有している。
この負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を負極集電体22上に塗布し、負極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
(負極活物質)
本実施形態にかかる負極活物質はLi(リチウム)とFe(鉄)と酸素から構成される酸化物を含有し、前記酸化物はFeがFe換算で84.88〜91.82質量%であり、かつFe/LiOの質量比xが5.61≦x≦11.22で表される組成を持ち、更に前記酸化物中のCl(塩素)含有量が10ppm以上、600ppm以下であることを特徴とする。
このときFeが84.88質量%未満またはxが5.61未満であると異相ができやすく組成的に不安定であるため初期充放電効率が劣化する可能性がある。Feが91.82質量%を超えるまたはxが11.22を超えるとLi欠損状態となるため初期充放電効率が低下する可能性がある。
また、Fe/LiOの質量比xが5.88≦x≦8.02で表される組成を持つことが好ましい。かかる構成によれば初期充放電効率のみならず容量維持率の向上にも貢献できる。
Feの含有量はLiとFeと酸素から構成される酸化物を蛍光X線分析装置を用いて測定する。Li含有量はLiとFeと酸素から構成される酸化物を酸に溶解させた後、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析にて測定する。
更に本実施形態にかかる負極活物質はCl含有量を所定の量に制御することにより優れたサイクル特性を得ている。Cl含有量が10ppm未満であるとイオン導電率の低下により初期充放電効率が低下する。Cl含有量が600ppmを超えると充放電反応を阻害するなどの不具合が起こる可能性が高く初期充放電効率を低下させる。
Cl含有量はLiとFeと酸素から構成される酸化物を蛍光X線分析装置を用いて測定する。
酸化物の比表面積は、1.5m/g以上、30m/g以下であることが好ましい。
このように、比表面積を1.5m/g以上、30m/g以下に制御することにより初期充放電効率が更に向上する。
LiとFeと酸素から構成される酸化物は、LiとFeと酸素を主成分とする化合物として構成されていればよい。また、その化合物は1種以上含んでいればよく、複数含んでいてもよい。なお、酸化物は負極活物質中に主成分として存在すればよく80%以上含有されていることが好ましい。
また、酸化物は少なくともLiFeO相を含有していることが好ましい。さらに酸化物はLiFeO相を含有し、X線回折によるLiFeO相(222)面の半価幅は、3.0×10−3ラジアン以下であることが好ましい。
このように、LiFeO相(222)面の半価幅を3.0×10−3ラジアン以下に制御することにより高結晶性となり初期充放電効率が向上する。
(半価幅の測定)
なお、半価幅は、LiとFeと酸素からなる酸化物を粉末X線回折装置により測定し、得られたLiFeO相(222)の回折ピークから求めればよい。
<実施形態2>
本実施形態2の負極20に形成される負極活物質層24は、負極活物質、黒鉛、バインダー、導電助剤を含有している。
この負極活物質層24は、負極活物質、黒鉛、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を負極集電体22上に塗布し、負極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
本実施形態にかかる黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素、MCF(メソカーボンファイバー)、MCMB等)等を用いることができる。
中でも、良好な負極容量及びサイクル特性を示すことから人造黒鉛が好ましく、電極密度向上の観点から、人造黒鉛を天然黒鉛と混合して使用することが更に好ましい。
また、これら黒鉛は表面にカーボン等の被覆層を有することが好ましい。これによりサイクル特性が更に向上する。
本実施形態に係る負極の構成は実施形態2であることが好ましい。
(負極活物質の作製方法)
LiとFeと酸素から構成される酸化物は、固相反応法により製造することができる。LiとFeと酸素からなる酸化物の合成には、Li源、Fe源として、酸化物、または加熱により酸化物となる化合物を用いることができ、例えば、塩化物、炭酸塩、水酸化物、蓚酸塩、硝酸塩などの粉末が挙げられる。原料を選択する際は、一部に塩化物を混合しておく。各原料粉末の平均粒径は0.1〜5.0μm程度の範囲で適宜選択すればよい。原料粉末は所定の組成となるように、それぞれ秤量すればよい。
まず、必要な原料粉末をボールミルにより、例えば水中で湿式混合し、乾燥、粉砕の後、600〜1000℃の範囲で焼成する。このようなプロセスによりLiとFeと酸素からなる酸化物が得られる。なお、焼成の保持時間は1〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。
なおLiとFeと酸素からなる酸化物は、水熱合成などの液相法を用いて合成をしてもよい。
LiとFeと酸素からなる酸化物中のCl量は焼成時に導入する水蒸気の露点を変化させることにより調整を行う。
負極活物質層24中の負極活物質の含有量は、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、50〜95質量%であることが好ましく、75〜93質量%であることがより好ましい。上記の範囲であれば、大きな容量をもつ負極を得られる。
(バインダー)
バインダーは、負極活物質同士を結合すると共に、負極活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアルギン酸等を用いることができる。
負極活物質層24中のバインダーの含有量は、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。上記の範囲であれば大きな容量をもつ負極を得られる。
(導電助剤)
導電助剤としては負極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、およびグラファイトなどの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
負極活物質層24中の導電助剤の含有量も特に限定されないが、添加する場合には通常、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1〜10質量%であることが好ましい。
(溶媒)
溶媒としては、前述の負極活物質、導電助剤、バインダーを塗料化できる物であれば特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
(負極集電体)
負極集電体22は、導電性の板材で厚みの薄いものであることが好ましく、厚みが8〜30μmの金属箔であることが好ましい。負極集電体22は、リチウムと合金化しない材料から形成されていることが好ましく、特に好ましい材料としては、銅が挙げられる。このような銅箔としては電解銅箔が挙げられる。電解銅箔は、例えば、銅イオンが溶解された電解液中に金属製のドラムを浸漬し、これを回転させながら電流を流すことにより、ドラムの表面に銅を析出させ、これを剥離して得られる銅箔である。
また、鋳造した銅塊を所望の厚さに圧延することによって製造される圧延銅箔であってもよく、圧延銅箔の表面に電解法により銅を析出させ表面を粗面化した銅箔であっても良い。
このように、上述した負極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を塗布する塗布方法としては、特に制限はなく、通常、電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
負極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する方法は特に限定されず、塗料が塗布された負極集電体22を、例えば80℃〜150℃で乾燥させればよい。
そして、このようにして負極活物質層24が形成された負極20を、その後、必要に応じて、例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、100〜5000kgf/cmとすることができる。
(非水電解液)
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものであれば特に限定されず、公知の環状カーボネートを使用できる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートとしては、環状カーボネートの粘性を低下させることができるものであれば特に限定されず、公知の鎖状カーボネートを使用できる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCF、CFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、導電性の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液の導電性を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
(正極)
本実施形態の正極10は、正極集電体12の片面または両面に、正極活物質を含む正極活物質層14が形成された構造を有している。正極活物質層14は、負極製造方法と同様の工程にて、正極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を正極集電体12上に塗布し、正極集電体12上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質材料を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、FeまたはVOを示す)が挙げられる。
また、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な酸化物、硫化物も正極活物質として使用できる。
更に、正極活物質材料以外の各構成要素(導電助剤、結着剤)は、負極20で使用されるものと同様の物質を使用することができる。
正極集電体12は、リチウムイオン二次電池用の集電体に使用されている各種公知の金属箔を用いることができる。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などの金属箔を用いることができ、特にアルミニウム箔が好ましい。
(セパレータ)
セパレータ18は絶縁性の多孔体から形成されていれば、材料、製法等は特に限定されず、リチウムイオン二次電池に用いられている公知のセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、公知のポリオレフィン樹脂、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの単独重合体または共重合体は、1種を単独で使用することができるが、2種以上のものを混合して用いてもよい。また、単層であっても複層であってもよい。
外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されず、金属缶、アルミラミネートフィルムなどが使用できる。アルミラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されている。
負極リード62、正極リード60はアルミニウムやニッケルなどの導電材料から形成されていればよい。
以上、実施の形態により本発明の例を詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、ラミネートフィルム構造を有するリチウムイオン二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだり、あるいは積み重ねた構造を有するリチウムイオン二次電池についても同様に適用することができる。さらにコイン型、角型あるいは扁平型などのリチウムイオン二次電池についても好適に応用することができる。
作製したリチウムイオン二次電池について、以下の方法によって、評価した。
(初期充放電容量の測定)
二次電池充放電試験装置を用いて、電圧範囲を4.0Vから1.0Vまでとし、負極活物質重量当たり1C=1200mAh/gとしたときの0.1Cでの電流値で充電、0.1Cでの電流値で放電を行った。この初回充放電における充電容量と放電容量の比(初回放電容量/初回充電容量)から初期充放電容量を算出した。なお1Cとは公称容量値の容量を有する電池セルを定電流充電、または定電流放電して、ちょうど1時間で充放電が終了となる電流値のことである。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実験例1]
(負極活物質の作製)
表1のサンプル1〜17に示されるようなFe量と、Fe/LiOの質量比xの負極活物質となるように、原料として酸化鉄および炭酸リチウムを用い、LiとFeと酸素から構成される酸化物を合成した。Cl含有量についてはFeClを酸化鉄と炭酸リチウムの合計質量に対して0.5質量%含有させた。その際の合成方法は固相反応法を用いた。
この固相反応法の手順を詳細に説明する。まず、酸化鉄及び炭酸リチウムを所定量秤量し、その原料混合物に水を加え、またCl源となるFeClを加え、ボールミルで6時間湿式混合した後、乾燥し水を除去した。
次いで、その乾燥物を大気中、900℃で3時間焼成した。その際、キャリアガスに空気(Air)を用いて3L/min.の流量で水蒸気を炉内に導入した。水蒸気の露点を変えることによりCl含有量を調整した。サンプルNo. 6は露点30℃、サンプルNo. 17は露点40℃、サンプルNo. 16は露点50℃、サンプルNo.1、2、3、4、7、8、9、10、11、12、13は露点60℃、サンプルNo. 15は露点70℃、サンプルNo. 14は露点80℃、サンプルNo. 5は露点90℃とした。焼成後、粉砕し、目標とするLiとFeと酸素から構成される酸化物を得た。
得られたLiとFeと酸素から構成される酸化物の生成相をX線回折装置により同定した。サンプル1、2はLiFeO相が検出され、サンプル3〜17はLiFeO相とLiFe相が検出された。また、Liの含有量はICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析にて調べた。FeとClは蛍光X線分析装置にて分析した。分析したLiはLiO、FeはFeに換算し、Clの結果と合わせ、100質量%になるように規格化した。Feの質量とFe/LiOの質量比xおよびCl含有量を表1に示した。
(負極の作製)
上述の通り作製したLiとFeと酸素からなる酸化物を負極活物質として85質量部、導電助剤としてケッチェンブラックを5質量部、バインダーとしてポリアミドイミドを10質量部とを混合して負極合剤とした。続いて、負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤塗料とした。この塗料を、厚さ10μmの電解銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が2.5mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。その後、線圧2000kgf/cmでローラープレスにより加圧成形し、真空中、350℃で3時間熱処理し、厚みが70μmの負極を作製した。
(正極の作製)
正極活物質としてLiCoOを90質量部と、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを5質量部とを混合して正極合剤とした。続いて、正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤塗料とした。この塗料を、厚さ20μmのアルミニウム箔の一面に、正極活物質の塗布量が18.4mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで正極活物質層を形成した。その後、ロールプレスにより加圧成形し厚みが132μmの正極を作製した。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
上記作製した負極と正極とを、厚さ16μmのポリプロピレン製のセパレータを介して積層し、積層体を作製した。負極3枚と正極2枚とを負極と正極が交互に積層されるようセパレータ4枚を介して積層した。さらに、上記電極体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。そしてこの積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、上記外装体内にEC/DECが3:7の割合で配合された溶媒中に、リチウム塩として1M(mol/L)のLiPFが添加された非水電解液を注入した後に、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実験例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
(初期充放電容量の測定)
得られたリチウムイオン二次電池に対し、二次電池充放電試験装置を用いて、電圧範囲を4.0Vから1.0Vまでとし、負極活物質重量当たり1C=1200mAh/gとしたときの0.1Cでの電流値で充電、0.1Cでの電流値で放電を行った。この初回充放電における充電容量と放電容量の比(初回放電容量/初回充電容量)から初期充放電効率を算出した。なお1Cとは公称容量値の容量を有する電池セルを定電流充電、または定電流放電して、ちょうど1時間で充放電が終了となる電流値のことである。
(容量維持率の測定)
また充放電容量の測定と同様の装置を用いて、0.5Cでの電流値で充電、0.5Cでの電流値で放電する条件において、充放電サイクル特性の評価を行った。なお、充放電サイクル特性は容量維持率(%)として評価し、容量維持率(%)は、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とし、初期放電容量に対する各サイクル数における放電容量の割合であり以下の数式(1)で表される。
Figure 2017107842
上記の条件によって充放電を繰り返し、100サイクル後の容量維持率によって充放電サイクル特性を評価した。これら評価により表1に示す特性が得られた。
[実験例2]
(比表面積(SSA)の異なる負極活物質の作製)
酸化鉄を88.91質量%、炭酸リチウムをFe/LiOの質量比が8.02になるように秤量した。
秤量した原料混合物に水を加え、またCl源となるFeClを0.5質量%加え、ボールミルで6時間湿式混合した後、乾燥し水を除去した。
次いで乾燥物を大気中、900℃で3時間焼成した。その際、キャリアガスに空気(Air)を用いて3L/min.の流量で露点60℃の水蒸気を炉内に導入した。焼成後、粉砕時間を調整することにより異なる比表面積(SSA)の粉体を得た。なお得られたLiとFeと酸素からなる酸化物の組成は実験例1と同様に分析し、生成相はLiFeO相とLiFe相が検出され、蛍光X線分析による分析で、Feとして88.91質量%、Fe/LiOの質量比xが8.02、Cl含有量は387ppmであった。
比表面積(SSA)は、比表面積測定装置を用いて窒素ガスを使用し、気体吸着法にて求めた。こうして実験例2で得られたLiとFeと酸素からなる酸化物(サンプルNo.18〜26)を用いて実験例1と同様の手順と条件でリチウムイオン二次電池を得た。また実験例1と同様にこのリチウムイオン二次電池の評価を行い、各サンプルの初期充放電効率の値を表2中に示す。
[実験例3]
(半値幅の異なる負極活物質の作製)
酸化鉄を88.91質量%、炭酸リチウムをFe/LiOの質量比が8.02になるように秤量した。
秤量した原料混合物に水を加え、またCl源となるFeClを0.5質量%加え、ボールミルで6時間湿式混合した後、乾燥し水を除去した。
次いで乾燥物を表3に示す仮焼温度および粉砕時間の調整により、異なる半価幅の粉体を得た。なお焼成の際はキャリアガスに空気(Air)を用いて3L/min.の流量で露点60℃の水蒸気を炉内に導入した。半価幅は粉末X線回折装置(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA)により測定し、得られたLiFeO相(222)の回折ピークから求めた。なお得られたLiとFeと酸素からなる酸化物の組成は実験例1と同様に分析し、生成相はLiFeO相とLiFe相が検出され、酸化鉄が88.91質量%、Fe/LiOの質量比xが8.02、Cl含有量は387ppmであった。こうして実験例3で得られたLiとFeと酸素からなる酸化物(サンプルNo.27〜30)を用いて実験例3のリチウムイオン二次電池を得た。また実験例1と同様にこのリチウムイオン二次電池の評価を行い各サンプルの初期充放電効率の値を表3中に示す。
[実験例4]
(LiとFeと酸素から構成される酸化物と、黒鉛と、を含有する負極の作製)
サンプル11と同様の方法でLiとFeと酸素から構成される酸化物を得た。これを黒鉛にサンプル31は0.5質量%、サンプル32は1.0質量%、サンプル33は5.0質量%、サンプル34は10.0質量%混合し、LiとFeと酸素からなる酸化物と、黒鉛と、を含有する負極を得た。
こうして実験例4で得られたLiとFeと酸素からなる酸化物と、黒鉛と、を含有する負極を用いて実験例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を得た。
実験例4で得られたそれぞれの負極をX線回折測定で測定し、酸化鉄と、黒鉛とのピーク強度比から組成比を半定量した結果、得られた負極における酸化鉄と、黒鉛との比率は、混合時と同等であることを確認した。
実験例1と同様にして、実験例4のリチウムイオン二次電池の評価を行った。LiとFeと酸素からなる酸化物の含有率0質量%のときの初期充放電効率を100としたときの各サンプルの初期充放電効率の比を表4中に示す。
表1に示される結果より本発明の効果は明らかである。すなわちFe換算で84.88〜91.82質量%であり、かつFe/LiOの質量比が5.61≦x≦11.22で表される組成のLiとFeと酸素からなる酸化物において、更にCl含有量が10ppm以上、600ppm以下とすることにより初期充放電効率に優れる効果を発現する。
また表2から明らかなように比表面積が1.5m/g以上、30m/g以下とすることで初期充放電効率に優れる効果を発現する。
更に表3から明らかなようにLiFeO相(222)面の半価幅が3.0×10−3ラジアン(rad)以下とすることで初期充放電効率に優れる効果を発現する。
表4から明らかなようにLiとFeと酸素から構成される酸化物と、黒鉛と、を含有する負極においても初期充放電効率に優れる効果を発揮する。
Figure 2017107842
Figure 2017107842
Figure 2017107842
Figure 2017107842
本発明によって優れた初期充放電効率を持つ負極活物質およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
10…正極、12…正極集電体、14…正極活物質層、18…セパレータ、20…負極、22…負極集電体、24…負極活物質層、30…積層体、50…外装体、60…正極リード、62…負極リード、100…リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. LiとFeと酸素から構成される酸化物を含有し、前記酸化物は、FeがFe換算で84.88〜91.82質量%であり、かつLiをLiO換算したとき、Fe/LiOの質量比xが5.61≦x≦11.22で表される組成を持ち、更に前記酸化物はClを含有し、前記Cl含有量が10ppm以上、600ppm以下である負極活物質。
  2. 前記酸化物の比表面積が1.5m/g以上30m/g以下である請求項1に記載の負極活物質。
  3. 前記酸化物は、LiFeO相を含有し、X線回折によるLiFeO相(222)面の半価幅が3.0×10−3ラジアン以下である請求項1または2に記載の負極活物質。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の負極活物質を含む負極。
  5. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の負極活物質と、黒鉛と、を含有する負極。
  6. 請求項4または5に記載の負極と、正極と、セパレータと非水電解質と、を有するリチウムイオン二次電池。

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