本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係る空気調和機の外観斜視図である。本発明の各実施形態に係る空気調和機は、室内機1と室外機2とを備える分離型の空気調和機であって、室内機1と室外機2との間で電力及び制御信号を伝送するためのVA線3と、室内機1と室外機2との間で冷媒を循環させるための冷媒配管4及び5と、水を排出するドレイン管6と、室内機1から延出する電源コードの端部に設けられる電源プラグ7とを備えている。なお、図1においては図示を省略しているが、通常、VA線3と、冷媒配管4及び5と、ドレイン管6とは化粧カバーによってまとめて覆われる。
図2は、本発明の各実施形態に係る空気調和機の冷凍サイクルを示す図である。なお、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付す。
室外機2内には、圧縮機11と、四方弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁14と、室外ファン15とが設けられる。室内機1内には、室内熱交換器16と、室内ファン17とが設けられる。
圧縮機11は、冷媒管18内に冷媒を流通させ冷凍サイクルを運転する。冷媒管18の一部が、室内機1と室外機2との間で冷媒を循環させるための冷媒配管4及び5に該当する。
室外熱交換器13及び室内熱交換器16は、冷媒管18に近接する多数のフィン(不図示)を有しており、フィン間を通過する空気と熱交換を行う。
圧縮機11には四方弁12及び冷媒管18を介して室外熱交換器13及び室内熱交換器16の各一端が接続される。室外熱交換器13及び室内熱交換器16の他端同士は膨張弁14及び冷媒管18を介して接続される。
室外ファン15は室外熱交換器13に対向配置される。室外ファン15の駆動によって室外の空気が室外熱交換器13に供給され、室外熱交換器13と室外の空気との熱交換が促進される。室外熱交換器13と熱交換した空気は室外ファン15に面して室外機2の正面に開口する排気口(図1参照)を介して外部に排気される。
室内熱交換器16及び室内ファン17は室内機1に設けた送風通路(不図示)内に配される。室内ファン17の駆動によって室内の空気が送風通路に流入して室内熱交換器16に供給され、送風通路を流通する空気と室内熱交換器16とが熱交換される。室内熱交換器16と熱交換した空気は室内機1の正面下方に運転状態において開口し運転停止状態において閉口する吹出口(図1参照)を介して室内に送出される。
暖房運転時には室外ファン15及び室内ファン17が駆動され、四方弁12が図中、実線で示すように切り替えられる。これにより、圧縮機11の駆動によって矢印Aに示す方向に冷媒が流通し、圧縮機11により圧縮された高温高圧の冷媒は室内熱交換器16で放熱しながら凝縮する。
高温の冷媒は膨張弁14で低温低圧となり、室外熱交換器13に送られる。室外熱交換器13に流入する冷媒は吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となり、圧縮機11に送られる。この冷凍サイクルにより、冷凍サイクルの高温部となる室内熱交換器16と熱交換した空気が室内ファン17により室内に送出され、室内の暖房が行われる。また、冷凍サイクルの低温部となる室外熱交換器13と熱交換した空気が室外ファン15により外部に排気される。
冷房運転時には室外ファン15及び室内ファン17が駆動され、四方弁12が図中、破線で示すように切り替えられる。これにより、圧縮機11の駆動によって矢印Aと逆方向に冷媒が流通し、室内熱交換器16が冷凍サイクルの低温部となるとともに室外熱交換器13が冷凍サイクルの高温部となる。室内熱交換器16と熱交換した空気が室内ファン17により室内に送出され、室内の冷房が行われる。室内熱交換器16と熱交換した空気の水蒸気の凝集によって発生する水はドレイン管6(図1参照)から外部に排出される。また、冷凍サイクルの高温部となる室外熱交換器13と熱交換した空気が室外ファン15により外部に排気される。
図3は、本発明の各実施形態に係る空気調和機の基本回路ブロック図である。本発明の各実施形態に係る空気調和機は、ノイズフィルター回路101と、整流回路102と、PFC回路103と、平滑回路104と、インバータ回路105と、圧縮機11とを備えている。なお、図3において、図2と同一の部分には同一の符号を付す。
ノイズフィルター回路101は、インバータ回路105で生じるスイッチングノイズが電源ラインを通じて商用電源に伝導し、商用電源に接続されている他の機器に悪影響を及ぼすことを抑制するための回路である。
整流回路102は、ダイオードブリッジであり、商用電源から出力され電源プラグ7(図1参照)及びノイズフィルター回路101を経由して供給されるAC電圧を整流する。
PFC回路103は、整流回路102の出力に対して力率改善を行う。PFC回路103は、力率改善を行う以外に直流電圧の昇圧や降圧を行う。また、PFC回路103は、高調波電流の抑制も行う。PFC回路103は、直流電圧の昇圧や降圧を行うためのコイル103Aと、コイル103Aを流れる電流の通電/遮断を切り替えるためのスイッチング部品(例えばIGBT)103Bと、スイッチング部品103Bのスイッチングにより発生したコイル電流を流すためのダイオード103Cとを備えている。
平滑回路104は、コンデンサであり、PFC回路103の出力電圧を直流電圧にする。
インバータ回路105は、IPMなどを有し、平滑回路104から出力される直流電圧を疑似交流電圧(例えばパルス幅変調電圧)に変換する。
圧縮機11は、インバータ回路105から出力される疑似交流電圧によって駆動する。
整流回路102であるダイオードブリッジ、PFC回路103のスイッチング部品103B、PFC回路103のダイオード103C、インバータ回路105のIPMは、通電電流の値や使用環境を考えると自身で放熱はできないため、放熱器に実装する必要がある発熱部品である。放熱器は、各発熱部品が熱破壊しないための放熱容量が必要であるが、空気調和機内部の限られた空間に設置しなければならないため、放熱器の放熱容量だけにたよらず、放熱器のフィンに室外ファン15が回転することによって生じる風をあてて強制空冷も行っている。したがって、放熱器は室外ファン15の近傍に設置される。
<第1実施形態>
図4は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の室外機2の要部透過正面図である。室外機2には、圧縮機11、室外熱交換器13、室外ファン15、室外ファン15の回転によって生じた風を排気口(図1参照)に導く導風器107、室外ファン15の設置空間と圧縮機11の設置空間とを遮蔽する遮蔽版108、PFC回路103(図3参照)やインバータ回路105(図3参照)等を格納する電装ボックス109、第1の放熱器110A、及び第2の放熱器110Bが設けられている。なお、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bのフィン数は図示の便宜上3個にしているが、フィン数は3個に限定されるものではない。
電装ボックス109は、図5に示す通り、内部に回路基板111を備えている。回路基板111と第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bとの間には、第1の放熱器110A又は第2の放熱器110Bに実装されており回路基板111のプリント配線に電気的に接続されるPFC回路部品やインバータ回路部品等の発熱部品112が配置されている。室外機内部では圧縮機11及び四方弁12、膨張弁14を設置しているスペースと室外ファン15による室外熱交換器13を放熱させるスペースは水の浸入を防ぐため遮蔽板108で2分割されている。電装ボックス109内に設置された第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bの各フィンは熱交換器13を放熱するスペースに設置され室外ファン15の風により放熱させている。第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bの各フィンは図4に示す通り電装ボックス109の外部に突出し、遮蔽版108の室外機ファン側に位置している。
ここで、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bの形状について説明する。図6は、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bの外観斜視図である。なお、本実施形態では、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとは同一の形状であるが、互いに異なる形状であっても構わない。
本実施形態では、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとが同一の形状であるため、以下第1の放熱器110Aを例に挙げて説明する。第1の放熱器110Aは、板状のベース部B1と、複数のフィンF1とを備えている。複数のフィンF1は、ベース部B1の一方の主面である上面に突設されており、ベース部B1の主面の長手方向すなわち図6中に示している矢印の方向延びている。
なお、本実施形態とは異なり、図7に示すようにベース部B1の主面の短手方向に延びるフィンを設けた場合、放熱器を製造する工程において、指定している形状になるように放熱器の材料(アルミなど)を高温に熱し、金型から押し出している。押し出されたあとアルミが短時間で冷却される際、図8に示すような反りが発生し易い。このため、短時間で反りが発生しないよう効率よく生産性を行う場合は、フィンF1が延びている方向はベース部B1の主面の長手方向であることが好ましい。
次に、本実施形態に係る空気調和機の室外機2の要部透過上面図である図9及びその部分拡大図である図10を参照して、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bについて更に詳細に説明する。なお、図9及び図10中の矢印は風の流れを示している。
第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとが隙間を空けて隣接配置されている。本実施形態では第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間を約10mmとしているが、室外ファン15の風量や室外ファン15と第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bとの位置関係等に応じて適した値に設定するとよい。なお、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間は、長すぎると当該隙間を含めた第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bの設置スペースを確保することが難しくなるので、ベース部B1の主面の長辺よりも短く、更にはベース部B1の主面の短辺よりも短いことが好ましい。
第1の放熱器110Aを流れた風は、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間から室外ファン15側に流れ出すことができる。また、第2の放熱器110Bにおいても、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間のおかげで、室外ファン15側に引き込まれる風が流れる。これにより、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bを流れる風の流れが良好になり、室外ファン15の回転量に対する第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bの放熱効率が向上する。したがって、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bを大型化せずに第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bを十分に空冷することができる。
これに対して、従来のように放熱器を一つにした場合、図11に示すような理想的な配置にできずに、例えば図12に示すような配置になるため、放熱器を流れる風はフィンの中央付近で減速してしまい、空気が溜まる領域R1ができ、放熱効率が低下してしまう。
また、本実施形態では、第1の放熱器110Aのフィンが延びている方向と第2の放熱器110Bのフィンが延びている方向とが揃っており、フィンが延びている方向に第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間が存在する。
したがって、第1の放熱器110Aを流れて、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間から室外ファン15側に流れ出す風が第1の放熱器110Aのフィンによって妨げられず、第2の放熱器110Bにおいても室外ファン15側に引き込まれる風が第2の放熱器110Bのフィンによって妨げられない。
また、本実施形態では、第1の放熱器110A及び第2の放熱器110Bのフィンが延びている方向において、室外ファン15が第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間に対して第2の放熱器110B側にずれている。これにより、第1の放熱器110Aと第2の放熱器110Bとの隙間から風がスムーズに室外ファン15側に流れ出す。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る空気調和機は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機にSIP部品を実装する放熱器とSIP部品のピンが挿入される回路基板との距離を固定するスペーサを追加した構成である。なお、後述する図13〜図20では、実際には回路基板等によって隠れているピンや特殊ねじ等の外形線を適宜図示している。
第1実施形態及び本実施形態では、第1の放熱器110Aに発熱部品112であるDIP部品112Aを実装し、第2の放熱器110Bに発熱部品112であるSIP部品112Bを実装している(図13及び図14参照)。
DIP部品112Aにおいては、各ピンの中央に基板穴挿入止め部S1が形成されており、SIP部品112Bにおいては、各ピンの根元に基板穴挿入止め部S2が形成されている(図13及び図14参照)。
第1実施形態では、図13に示す通り、DIP部品112Aのピンを回路基板111の基板穴に挿入すると、基板穴挿入止め部S1が回路基板111に当たるため、DIP部品112Aを実装する第1の放熱器110Aと回路基板111との距離L1が固定されるのに対して、SIP部品112Bのピンを途中で直角に曲げてから回路基板111の基板穴に挿入すると、基板穴挿入止め部S2が回路基板111に当たらないため、SIP部品112Bを実装する第2の放熱器110Bと回路基板111との距離L2が変動する。
一方、本実施形態では、図14に示す通り、DIP部品112Aのピンを回路基板111の基板穴に挿入すると、基板穴挿入止め部S1が回路基板111に当たるため、DIP部品112Aを実装する第1の放熱器110Aと回路基板111との距離L1が固定される点では第1実施形態と同一であるが、SIP部品112Bのピンを途中で直角に曲げてから回路基板111の基板穴に挿入すると、基板穴挿入止め部S2が回路基板111に当たらないけれども、スペーサの一例である特殊ねじ113によってSIP部品112Bを実装する第2の放熱器110Bと回路基板111との距離L2が固定される。したがって、距離L2を距離L1に揃えることができる。これにより、放熱器のフィン間に流れる風の流れが一様になり各放熱器の熱抵抗が小さくなり、その結果、第1の放熱器での放熱性能と第2の放熱器での放熱性能とのばらつきを低減することができる。
特殊ねじ113は、図15に示す通り、M3用コネジを締め付けることができるナット部分113Aと、M3用穴への締め付けが可能なボルト部分113Bが一体化されているねじである。
ここで、図14に示す構造体の組み立て方法について図16〜図20を参照して説明する。まず、第2の放熱器110BのM3用穴に特殊ねじ113を締め付け特殊ねじ113を第2の放熱器110Bに固定する(図16参照)。なお、特殊ねじ113のボルト部分113Bの高さは上述した距離L2になっており、結果、距離L1と同一距離にしたものである。
次に、回路基板111のピン用穴にSIP部品112Bを挿入する(図17参照)。その後、特殊ねじ113のナット部分113Aに回路基板111のコネジ用穴を合わせて特殊ねじ113上に回路基板111を配置する(図18参照)。それから、特殊ねじ113のナット部分113Aにコネジ114を締め付け回路基板111を特殊ねじ113に固定する(図19参照)。
次に、ねじ115でSIP部品112Bを第2の放熱器110Bに固定する(図20参照)。それから、SIP部品112Bのピンと回路基板111のプリント配線とを半田116によって電気的に接続する(図21参照)。
その後、回路基板111のピン用穴にDIP部品112Aを挿入し、DIP部品112Aのピンと回路基板111のプリント配線とを半田によって電気的に接続する。その後、ねじでDIP部品112Aを第1の放熱器110Aに固定すると、図14に示す構造体が完成する。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る空気調和機は、図22に示すように、図3中の回路ブロックに漏洩電流低減回路117及びリレーSW1を追加した回路構成である。
漏洩電流が流れる回路としては、ノイズフィルター回路101とインバータ回路105とがある。
ノイズフィルター回路101では、図23に示すように、電源ライン間で直列接続され接続ノードN1がアースに接続されているコンデンサC1及びC2を通って図中に点線矢印で示す漏洩電流が流れる。なお、図23に示す回路はノイズフィルター回路101の一例であり、ノイズフィルター回路101は図23に示す回路に限定されない。
インバータ回路105では、図24に示すように、インバータ回路105の出力電圧が圧縮機コイルに印加されたときに、インバータ回路105から圧縮機コイルを経由し、圧縮機内部に充填されている潤滑油や冷媒によって形成される浮遊容量を通じてアースに図中に点線矢印で示す漏洩電流が流れる。なお、図24に示すインバータ回路はインバータ回路105の一例であり、インバータ回路105は図24に示すインバータ回路に限定されない。
インバータ回路105の或る相を流れる漏洩電流の大きさは、図25に示すように、インバータ回路105の同一の相から出力される電圧の大きさに比例している。また、インバータ回路105を流れる漏洩電流の大きさは、圧縮機コイルと圧縮機内部に充填されている潤滑油や冷媒との接触面積に比例している。したがって、図27に示す構造の方が、図26に示す構造よりも圧縮機コイル118と圧縮機内部に充填されている潤滑油や冷媒119との接触面積が大きくなるので、漏洩電流も大きくなる。
ここで、ノイズフィルター回路101を流れる漏洩電流とインバータ回路105を流れる漏洩電流を比較すると、インバータ回路105を流れる漏洩電流の方がノイズフィルター回路101を流れる漏洩電流よりもはるかに大きい。上述した通り、最近では空気調和機の冷暖房性能を向上させるため、圧縮機コイルに印加する電圧を上昇させたり、圧縮機コイルの巻数量(巻線量)を増やしたりする傾向にある。この結果、インバータ回路105を流れる漏洩電流が増える傾向になっている。
そこで、本実施形態に係る空気調和機では、インバータ回路105を流れる漏洩電流を漏洩電流低減回路117によって低減している。漏洩電流低減回路117の一例を図28に示す。図28に示す回路例の漏洩電流低減回路117は、通常、圧縮機から外部の漏洩電流が存在しない場合は特殊コイル120の各電源間のメインコイルMLには圧縮機を含む負荷に流れる電流と同一の電流が流れている。しかし圧縮機から外部への漏洩電流が存在すると各メインコイルMLを流れる電流の間に外部に流れだしている漏洩電流分の差が生じる。この差を特殊コイル120のサブコイルSLによって検出し、漏洩電流低減回路117内のPNPトランジスタとNPNトランジスタとを相補的にオン/オフさせることによって、漏洩電流をキャンセルさせる電圧を発生させてインバータ回路105を流れる漏洩電流を低減している。
特殊コイル120の正面図、上面図、背面図、及び底面図を図29(a)〜(d)に示す。また、特殊コイル120の結線図を図30に示す。図29及び図30中の黒丸はホット側を示している。特殊コイル120は、2つのメインコイルMLと、1つのサブコイルSLとを備えており、2つのメインコイルML及び1つのサブコイルSLが一つのドーナツ形状のコアに巻かれている構造である。
前記のように漏洩電流低減回路117は、圧縮機11が動作中に漏洩電流を検出し圧縮機外装(アース)に漏洩電流が流れないようにする回路であるため、圧縮機11の停止中、すなわちインバータ回路105のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていない期間中に流れる漏洩電流を低減することができない。
そのため、インバータ回路105と圧縮機11との間に、インバータ回路105のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていないときにインバータ回路105と圧縮機11との電気的接続を遮断するリレーを設けない構成にした場合、すなわち本実施形態とは異なる図31に示す構成にした場合、少しでも変動する電圧が圧縮機11の停止中にインバータ回路105に印加されると、インバータ回路105のスイッチング素子に形成されている浮遊容量を通じて電流が圧縮機コイルに流れ込み、結果的に圧縮機11から圧縮機外装(アース)に漏洩電流が流れてしまう。
これに対して、本実施形態では、インバータ回路105と圧縮機11との間に、インバータ回路105のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていないときにインバータ回路105と圧縮機11との電気的接続を遮断するリレーSW1を設けている。これにより、変動する電圧が圧縮機11の停止中にインバータ回路105に印加された場合でも、リレーSW1がインバータ回路105と圧縮機11との電気的接続を遮断するため、図32に示すように漏洩電流が圧縮機コイルに流れ込むことを防止することができる。したがって、圧縮機が停止中に流れる漏洩電流を低減することができる。
リレーSW1のオン/オフを制御する制御回路とインバータ回路105のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路とを同一の制御回路とし、インバータ回路105がスイッチングを行う、いわゆる圧縮機を動作させる直前にリレーSW1をオンさせる方がリレーSW1の制御が容易になるので好ましい。
また、空気調和機の室外機2を生産した際、部品の不良や組立不良による絶縁不良有無を確認することを目的として絶縁耐圧試験が実施される。この絶縁耐圧試験では、室外機2のAC電圧入力部と室外機本体(アース)との間に高電圧を印加したときに、漏洩電流が生産工程内での規格値以下であるか否かを確認している。
例えば上述した通り冷暖房性能の向上のために圧縮機コイルの巻数量(巻線量)を増加されている場合、インバータ回路105と圧縮機11との間に、インバータ回路105のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていないときにインバータ回路105と圧縮機11との電気的接続を遮断するリレーを設けない構成においては、絶縁耐圧試験においてもインバータ回路から圧縮機ケースへ流れる漏洩電流が大きくなり、絶縁耐圧試験の結果が不良になるおそれがある。
絶縁耐圧試験の結果が不良になることは、絶縁耐圧試験において用いる漏洩電流の規定値を大きくすることで回避できる。しかしながら、絶縁耐圧試験において用いる漏洩電流の規定値を大きくすると、他の部品の絶縁不良も判断できなくなってしまうという問題が発生する。
これに対して、本実施形態では、インバータ回路105と圧縮機11との間に、インバータ回路105のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていないときにインバータ回路105と圧縮機11との電気的接続を遮断するリレーSW1を設けている。これにより、絶縁耐圧試験時の過大な漏洩電流も低減できるので、各部品の絶縁不良を適切に検出することができる。
<まとめ>
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、上述した第1及び第2実施形態では、放熱器は2個であったが、3個以上設けても構わない。また、例えば、第3実施形態では機械式スイッチとしてリレーを用いたが、コンタクタ等の他の機械式スイッチをリレーの代わりに用いても構わない。また、例えば、第1実施形態又は第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて実施することができる。また、本発明の第3実施形態に関する発明は、空気調和機に限らず、圧縮機を備える電気機器全般に適用することができる。
以上説明した空気調和機は、室外に配される室外熱交換器に室外の空気を供給する室外ファンと、第1の発熱部品(112)を少なくとも一つ実装する第1の放熱器(110A)と、第2の発熱部品(112)を少なくとも一つ実装する第2の放熱器(110B)とを備え、前記第1の放熱器(110A)と前記第2の放熱器(110B)とが隙間を空けて隣接配置され、前記室外ファン(15)が回転することによって前記第1の放熱器(110A)と前記第2の放熱器(110B)とが強制空冷される構成(第1の構成)とする。
このような構成によると、第1の放熱器と第2の放熱器との隙間から風が室外ファン側に流れ出すことができるので、第1の放熱器及び第2の放熱器を流れる風の流れが良好になり、室外ファンの回転量に対する第1の放熱器及び第2の放熱器の放熱効率が向上する。したがって、放熱器を大型化せずに放熱器を十分に空冷することができる。
上記第1の構成の空気調和機において、前記第1の放熱器(110A)及び前記第2の放熱器(110B)がそれぞれ、板状のベース部(B1)と、前記ベース部(B1)の一方の主面に突設される複数のフィン(F1)とを備え、前記第1の放熱器(110A)の前記フィン(F1)が延びている方向と前記第2の放熱器(110B)の前記フィン(F1)が延びている方向とが揃っており、前記フィン(F1)が延びている方向に前記隙間が存在する構成(第2の構成)にすることが好ましい。
このような構成によると、フィンが風の流れを妨げないので、第1の放熱器及び第2の放熱器を流れる風の流れがより一層良好になる。
上記第2の構成の空気調和機において、前記フィン(F1)が延びている方向において、前記隙間と前記室外ファン(15)とがずれている構成(第3の構成)にすることが好ましい。
このような構成によると、第1の放熱器と第2の放熱器との隙間から風がスムーズに室外ファン側に流れ出すので、第1の放熱器及び第2の放熱器を流れる風の流れがより一層良好になる。
上記第2又は第3の構成の空気調和機において、前記フィン(F1)が延びている方向が前記主面の長手方向である構成(第4の構成)にすることが好ましい。
このような構成によると、第1の放熱器及び第2の放熱器の反りを抑えることができる。
上記第1〜第4のいずれかの構成の空気調和機において、前記第1の発熱部品(112)及び前記第2の発熱部品(112)の一方がSIP部品(112B)であり他方がDIP部品(112A)であり、前記第1の放熱器(110A)及び前記第2の放熱器(110B)のうち前記SIP部品(112B)を実装する放熱器(110B)と前記SIP部品(112A)のピンが挿入される回路基板(111)との距離を固定するスペーサ(113)を備える構成(第5の構成)にすることが好ましい。
このような構成によると、SIP部品を実装する放熱器とSIP部品のピンが挿入される回路基板との距離を固定することができるので、SIP部品を実装する放熱器とSIP部品のピンが挿入される回路基板との距離を、DIP部品を実装する放熱器とDIP部品のピンが挿入される回路基板との距離に揃えることができる。これにより、放熱器のフィン間に流れる風の流れが一様になり各放熱器の熱抵抗を小さくなり、その結果、第1の放熱器での放熱性能と第2の放熱器での放熱性能とのばらつきを低減することができる。
上記第5の構成の空気調和機において、前記スペーサが、雌ねじ部(113A)と雄ねじ部(113B)とが一体化されている特殊ねじであり、前記雄ねじ部(113B)に螺合する放熱器側雌ねじ部が、前記第1の放熱器(110A)及び前記第2の放熱器(110B)のうち前記SIP部品(112B)を実装する放熱器(110B)に設けられ、前前記雌ねじ部(113A)に螺合する雄ねじが貫通する貫通孔が前記回路基板(111)に設けられている構成(第6の構成)にすることが好ましい。
このような構成によると、スペーサの設置が容易になる。
また、以上説明した電気機器は、 インバータ回路(105)と、前記インバータ回路(105)の出力電圧によって駆動する圧縮機(11)と、
前記インバータ回路(105)のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていないときに前記インバータ回路(105)と前記圧縮機(11)との電気的接続を遮断する機械式スイッチ(SW1)を備える構成(第7の構成)とする。
このような構成によると、インバータ回路のスイッチング素子がスイッチング動作を行っていないときにインバータ回路から前記圧縮機に漏洩電流が流れることを機械式スイッチが防止するので、圧縮機が停止中に流れる漏洩電流を低減することができる。