JP2017106221A - 既設鉄骨の補強構造 - Google Patents

既設鉄骨の補強構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2017106221A
JP2017106221A JP2015240305A JP2015240305A JP2017106221A JP 2017106221 A JP2017106221 A JP 2017106221A JP 2015240305 A JP2015240305 A JP 2015240305A JP 2015240305 A JP2015240305 A JP 2015240305A JP 2017106221 A JP2017106221 A JP 2017106221A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing
reinforcing member
steel frame
brace material
existing steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015240305A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6651827B2 (ja
Inventor
将男 前澤
Masao Maezawa
将男 前澤
照卓 小▲崎▼
Terutaka Ozaki
照卓 小▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2015240305A priority Critical patent/JP6651827B2/ja
Publication of JP2017106221A publication Critical patent/JP2017106221A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6651827B2 publication Critical patent/JP6651827B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Abstract

【課題】溶接等の火気を使用することなく、既設鉄骨における接続部材とブレースとの接続部を耐熱性を有した状態で補強する既設鉄骨の補強構造を提供する。【解決手段】既設鉄骨55における柱56と梁57とが固定された部分に設けられた接続部材59と、接続部材に端部58aが接続されたブレース材58との接続部62を補強する既設鉄骨の補強構造1であって、鋼材で形成された第一補強部材5と、柱及び梁の一方である第一軸状部材56と第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第一接続部15Aと、ブレース材と第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第二接続部15Bと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、既設鉄骨の補強構造に関する。
従来、例えば製鉄工場の建屋に設けられる鉄骨の補強では、一般的には耐熱性の高い鉄板等の鋼材を、溶接によって補強部位に接合している。
ところが、前述のような製鉄工場の建屋においては、補強対象(既設鉄骨)の周囲にはガス配管や電気配線、あるいは引火物が設けられており、火気養生や安全対策を厳重に行う必要ある等、火気の使用が制限されている。
そのため、溶接を用いない既設鉄骨の補強構造として、例えば特許文献1に示されるように、補強対象の変形発生部のうち引張り力が作用する部位に剛性を有する樹脂製の炭素繊維シートを接着してなる構造が知られている。
特開2013−47446号公報
既設鉄骨は、一般的に柱及び梁を有している。柱と梁とが固定された部分にはガセットプレート(接続部材)が設けられている。ガセットプレートには、ボルトやリベット等の締結部材によりブレースが接続されている。
長期間使用した既設鉄骨は、ガセットプレートとブレースとの接続部(締結部材、及び締結部材の近傍のガセットプレートを含む)の強度が、経年劣化、及び設計基準などの理由により低い。このため、接続部を補強することが検討されている。
しかしながら、従来の既設鉄骨の補強構造では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1に記載されるように炭素繊維シートを補強材として接続部に接着する方法の場合には、樹脂製の炭素繊維シートが変形性能を有するので、造形性はあるが、耐熱性が低い。高熱に晒される前述した製鉄工場のような使用環境で使用される場合にあっては、特許文献1の補強構造では充分な機能が発揮できないうえ、耐久性も低くなることから、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、溶接等の火気を使用することなく、既設鉄骨における接続部材とブレースとの接続部を耐熱性を有した状態で補強する既設鉄骨の補強構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の既設鉄骨の補強構造は、既設鉄骨における柱と梁とが固定された部分に設けられた接続部材と、前記接続部材に端部が接続されたブレース材との接続部を補強する既設鉄骨の補強構造であって、鋼材で形成された第一補強部材と、前記柱及び前記梁の一方である第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第一接続部と、前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第二接続部と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、接続部を跨ぐように第一補強部材を配置し、第一軸状部材と第一補強部材、及びブレース材と第一補強部材を摩擦接合又は係合接合により接続している。摩擦接合及び係合接合は溶接を使用しない接合である。補強部材は鋼材で形成されているため、耐熱性を有する。第一軸状部材又はブレース材に作用する外力が第一補強部材、第一接続部、及び第二接続部にも伝達され、外力を分散させることができる。そのため、接続部が負担する外力を小さく抑えることができ、接続部を補強することができる。
また、上記の既設鉄骨の補強構造において、鋼材で形成され、前記ブレースに対して前記第一補強部材とは反対側に配置された第二補強部材と、前記柱及び前記梁の他方である第二軸状部材と前記第二補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第三接続部と、前記ブレースと前記第二補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第四接続部と、を備えてもよい。
この発明によれば、第一補強部材と第二補強部材とで接続部を挟むように配置し、第二軸状部材と第二補強部材、及びブレース材と第二補強部材を、摩擦接合又は係合接合により接続している。第一補強部材と第二補強部材とで接続部を両側から補強することで、接続部をより確実に補強することができる。
また、上記の既設鉄骨の補強構造において、前記第四接続部は前記第二接続部と一体に構成されていてもよい。
この発明によれば、既設鉄骨の補強構造を簡単に構成することができる。
また、上記の既設鉄骨の補強構造において、前記第一軸状部材と前記第一補強部材とは、第一方向に接触し合うように並べて配置され、前記第一接続部は、前記第一軸状部材及び前記第一補強部材を前記第一方向の外側から押圧していることで、前記第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合により接続していてもよい。
この発明によれば、第一軸状部材及び第一補強部材を第一接続部により押圧していることで、第一接続部と第一軸状部材との間、第一軸状部材と第一補強部材との間、及び、第一補強部材と第一接続部との間に静止摩擦力が作用している。このため、溶接を使用せずに第一軸状部材と第一補強部材とを接続することができる。
また、上記の既設鉄骨の補強構造において、前記ブレース材と前記第一補強部材とは、第二方向に接触し合うように並べて配置され、前記第二接続部は、前記ブレース材及び前記第一補強部材を前記第二方向の外側から押圧していることで、前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合により接続していてもよい。
この発明によれば、ブレース材及び第一補強部材を第二接続部により押圧していることで、第二接続部とブレース材との間、ブレース材と第一補強部材との間、及び、第一補強部材と第二接続部との間に静止摩擦力が作用している。このため、溶接を使用せずにブレース材と第一補強部材とを接続することができる。
また、上記の既設鉄骨の補強構造において、前記第一接続部は、前記第一軸状部材に形成された第一軸状孔部と、前記第一補強部材に形成された補強主孔部と、前記第一軸状孔部内に配置されて前記第一軸状部材と係合接合により接続されているとともに、前記補強主孔部内に配置されて前記第一補強部材と係合接合により接続されている第一係合部材と、を備えてもよい。
この発明によれば、第一軸状部材と第一係合部材、第一係合部材と第一補強部材が係合接合する。このため、溶接を使用せずに、第一係合部材を介して第一軸状部材と第一補強部材とを接続することができる。
また、上記の既設鉄骨の補強構造において、前記第二接続部は、前記ブレース材に形成されたブレース孔部と、前記第一補強部材に形成された補強副孔部と、前記ブレース孔部内に配置されて前記ブレース材と係合接合により接続されているとともに、前記補強副孔部内に配置されて前記第一補強部材と係合接合により接続されている第二係合部材と、を備えてもよい。
この発明によれば、ブレース材と第二係合部材、第二係合部材と第一補強部材が係合接合する。このため、溶接を使用せずに、第二係合部材を介してブレース材と第一補強部材とを接続することができる。
本発明の既設鉄骨の補強構造によれば、耐熱性を有するとともに、溶接を使用することなく、既設鉄骨における接続部材とブレース材との接続部を補強することができる。
本発明の第1実施形態の既設鉄骨の補強構造が用いられる建屋の斜視図である。 同既設鉄骨の補強構造の第一補強部材の斜視図である。 同既設鉄骨の補強構造の第二補強部材の斜視図である。 同既設鉄骨の補強構造の第二接続部がブレース材に接続されている状態の側面の断面図である。 比較例の既設鉄骨のブレース材の側面の断面図である。 実施例及び比較例の既設鉄骨のブレース材をシミュレーションした結果を示す図である。 本発明の第2実施形態の既設鉄骨の補強構造が用いられる建屋の斜視図である。 同既設鉄骨の補強構造の第一接続部の断面図である。 ウォータージェット装置で柱に第一軸状孔部を形成する例を説明する断面図である。 本発明の第2実施形態の変形例における既設鉄骨の補強構造の第一接続部の断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る既設鉄骨の補強構造(以下、補強構造とも略称する)の第1実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
図1に示すように、例えば製鉄工場の建屋50内には、柱(第一軸状部材)56、梁(第二軸状部材)57、及びブレース材58を有する鉄骨(以下、既設鉄骨55と称する)が設置されている。既設鉄骨55における柱56と梁57とが固定された部分には、ガセットプレート(接続部材)59が設けられている。
例えば、柱56及び梁57にはH形鋼が用いられ、ブレース材58には山形鋼が用いられている。ガセットプレート59は、鋼板等で形成されている。
柱56、梁57、及びガセットプレート59は、互いに溶接等により接続されている。ガセットプレート59とブレース材58の一方の端部58aとは、ボルトやリベット等の締結部材60により接続されている。より詳しくは、ブレース材58は、第一板材58b及び第二板材58cを山形に形成して構成されている。ブレース材58の第一板材58bが、締結部材60によりガセットプレート59に接続されている。
本実施形態の補強構造1は、ガセットプレート59とブレース材58との接続部62を補強する。ここで言う接続部62とは、締結部材60、及び、ガセットプレート59のうち締結部材60の近傍の部分のことを意味する。
本補強構造1は、第一補強部材5と、ブレース材58に対して第一補強部材5とは反対側に配置された第二補強部材10と、柱56と第一補強部材5とを摩擦接合により接続している第一接続部15Aと、ブレース材58と第一補強部材5及び第二補強部材10とを摩擦接合により接続している第二接続部15Bと、梁57と第二補強部材10とを摩擦接合により接続している第三接続部15Cと、を備えている。
ここで言う摩擦接合とは、複数の部材が静止摩擦力により互いに接合されていることを意味する。
本実施形態では、本発明の第四接続部は、第二接続部15Bと一体に構成されている。
以下では、まず補強部材5、10の形状の一例について説明する。
図2に示すように、第一補強部材5は、補強板本体6と、補強板本体6の各端部に設けられた端板7、8とを有する。端板7は、柱56のフランジ56a(図1参照)に接触する形状に形成されている。端板8は、ブレース材58の第二板材58cに接触する形状に形成されている。第一補強部材5は、板状の鋼材等を折り曲げたり溶接したりすることで形成することができる。
図3に示すように、第二補強部材10は、補強板本体11と、補強板本体11の各端部に設けられた端板12、13とを有する。端板12は、梁57のフランジ57a(図1参照)に接触する形状に形成されている。端板13は、ブレース材58の第二板材58cに接触する形状に形成されている。図4に示すように、端板13は、ブレース材58の第二板材58cに対して第一補強部材5の端板8とは反対側に配置されている。すなわち、端板8、第二板材58c、及び端板13は、第二板材58cの厚さ方向(第二方向)Xに接触し合うように並べて配置されている。ここで言う端板8と第二板材58cとが厚さ方向Xに接触し合うとは、端板8における厚さ方向Xに直交する外面と、第二板材58cにおける厚さ方向Xに直交する外面とが、接触することを意味する。
第二補強部材10は、第一補強部材5と同様に形成することができる。
図1に示すように、補強部材5、10は、接続部62を挟むように配置されている。
本実施形態では、接続部15A、15B、15Cの構成は互いに同一である。このため、第二接続部15Bの構成については数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加し、接続部15A、15Cのうち第二接続部15Bと対応する構成については第二接続部15Bと同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」、「C」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、第二接続部15Bの接続部本体16Bと第一接続部15Aの接続部本体16Aとは、同一の構成である。
後述する接続部25A、25B、25Cについても、同様である。
図4に示すように、第二接続部15Bは、側面視でC字形に形成された接続部本体16Bと、接続部本体16Bの雌ネジ部16aBに螺合する雄ネジ部17Bとを有している。接続部本体16Bにおける雄ネジ部17Bの先端に対向する内面16bBは、平坦である。使用者は、接続部本体16Bに対して雄ネジ部17Bを雄ネジ部17Bの軸線周りに回転させて、雌ネジ部16aBに雄ネジ部17Bが螺合する位置を変える。これにより、接続部本体16Bの内面16bBと雄ネジ部17Bの先端との距離を調節することができる。雄ネジ部17Bの回転には、ドライバやスパナ等の一般的な工具を用いることができる。
接続部本体16B及び雄ネジ部17Bは、鋼材等で形成されていることが好ましい。
接続部本体16Bの内面16bBと雄ネジ部17Bとの間に、端板8、第二板材58c、及び端板13を挟んだ状態にする。雄ネジ部17Bを回転させて端板8、第二板材58c、及び端板13を厚さ方向Xの外側から内側に向かって押圧していることで、端板8、第二板材58c、及び端板13を、摩擦接合により接続している。第二接続部15Bは、3枚の板を挟んでいる(咥え込んでいる)。第二接続部15Bは、鋼材等で形成された摩擦接合金物である。
接続部本体16Bの内面16bBと端板8との間に静止摩擦力が作用し、接続部本体16Bの内面16bBと端板8とが接合される。端板8とブレース材58の第二板材58cとの間、ブレース材58の第二板材58cと端板13との間、及び、端板13と雄ネジ部17Bとの間についても同様である。
第一接続部15A及び第三接続部15Cは、第二接続部15Bと同様に構成されている。図1に示すように、柱56のフランジ56aと第一補強部材5の端板7とは、フランジ56aの厚さ方向(第一方向)に接触し合うように並べて配置される。第一接続部15Aは、フランジ56a及び端板7を、フランジ56aの厚さ方向の外側から内側に向かって押圧していることで、フランジ56aと端板7とを、摩擦接合により接続している。
梁57のフランジ57aと第二補強部材10の端板12とは、フランジ57aの厚さ方向に接触し合うように並べて配置される。第三接続部15Cは、フランジ57a及び端板12を、フランジ57aの厚さ方向の外側から内側に向かって押圧していることで、フランジ57aと端板12とを、摩擦接合により接続している。
第一接続部15A及び第三接続部15Cは、2枚の板を挟んでいる。
このように、接続部62を跨ぐように第一補強部材5を配置し、第一補強部材5の両端部を柱56及びブレース材58に接続している。接続部62を跨ぐように第二補強部材10を配置し、第二補強部材10の両端部を梁57及びブレース材58に接続している。
なお、図示はしないが、ブレース材58の他方の端部は、ブレース材58の一方の端部58aと同様に構成されている。ブレース材58の他方の端部は、柱56、梁57、及びガセットプレート59に補強構造1や締結部材60により接続されている。
次に、以上のように構成された補強構造1の作用について説明する。
例えば、柱56及び梁57が変形してブレース材58に沿う方向Yにおけるガセットプレート59間の距離が長くなった場合で説明する。このとき、ブレース材58が方向Yの全長にわたり引張られるとともに、柱56及び梁57が補強構造1の補強部材5、10を介してブレース材58の方向Yの中央部を引張る。このため、引張力(外力)の一部がガセットプレート59とブレース材58との接続部62を介さずにブレース材58に伝達される。したがって、接続部62に作用する引張力を抑え、接続部62を補強することができる。
方向Yにおけるガセットプレート59間の距離が短くなり、ブレース材58が方向Yに圧縮される場合についても同様に、補強構造1は接続部62に作用する圧縮力を抑え、接続部62を補強することができる。
次に、実施例の補強構造1を有する既設鉄骨55、及び補強構造1を有さない比較例の既設鉄骨55に引張荷重を作用させたときのシミュレーション結果について説明する。
図5に示す比較例となる従来の既設鉄骨55では、補強構造1は用いられていない。ガセットプレート59にブレース材58の第一板材58bが締結部材60により接続され、第二板材58cがガセットプレート59に接続されていないとする。このとき、ブレース材58の第二板材58cにおける第一板材58bから離間した部分となる領域R1には、第一板材58bに比べて、ガセットプレート59間に作用する引張り力及び圧縮力があまり作用しない。言い換えれば、領域R1は、ブレース材58の剛性にあまり寄与しない。
図6に、FEM(Finite Element Method)解析により、実施例及び比較例のブレース材58に引張り荷重を作用させたときのブレース材58の変位をシミュレーションした結果を示す。図6の横軸はブレース材58の変位(mm)を表し、縦軸はブレース材58に作用させた引張り荷重(kN(キロニュートン))を表す。
一点鎖線で示した線L1は、ブレース材58が形成された材料(母材)の降伏応力(316kN)を示す。実線で示した線L2は、実施例のブレース材58の引張り荷重を表し、点線で示した線L3は、比較例のブレース材58の引張り荷重を表す。
例えば、実施例及び比較例のブレース材58の長さは5000mmとした。
比較例のブレース材58では、ブレース材58の変位を増加させ、この変位が7mm程度になった領域R2において、接続部62の締結部材60が損傷してしまう。このため、領域R2において、引張り荷重が低下している。
これに対して、実施例のブレース材58では、接続部62が補強構造1で補強されていることで接続部62の損傷が抑えられる。このため、ブレース材58を8mm変位させても接続部62が損傷せず、ブレース材58が形成された材料の降伏応力程度の引張り荷重に耐えることができる。
実施例のブレース材58では、図4に示すように第二板材58cの領域R1を第二接続部15Bで押圧していることで、この領域R1にも引張り力及び圧縮力が伝達される。したがって、ブレース材58全体で引張り力及び圧縮力を伝達させることができる。
実施例のブレース材58では補強構造1が用いられているため、図1に示すようにブレース材58の座屈長さは、第二接続部15B間の長さであるL11となる。一方で、比較例のブレース材58では補強構造1が用いられていないため、ブレース材58の座屈長さは、接続部62間の長さであるL12となる。
実施例のブレース材58では、比較例のブレース材58に比べて座屈長さを短くして座屈耐力を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態の補強構造1によれば、接続部62を跨ぐように第一補強部材5を配置し、柱56と第一補強部材5、及びブレース材58と第一補強部材5を摩擦接合により接続している。摩擦接合は、溶接等の火気を使用しない接合である。第一補強部材5は鋼材で形成されているため、耐熱性を有する。柱56又はブレース材58に作用する圧縮力及び引張り力等の外力が第一補強部材5、第一接続部15A、及び第二接続部15Bにも伝達され、外力を分散させることができる。そのため、接続部62が負担する外力を小さく抑えることができ、接続部62を補強することができる。
補強構造1では、無火気で接続部62を補強することができる。
ブレース材58の第一板材58bだけでなく第二板材58cの領域R1でも、外力を伝達することができる。
座屈長さが第二接続部15B間の長さであるL11となるため、ブレース材58の圧縮座屈耐力を向上させることができる。
柱56、梁57、及びブレース材58として、H形鋼、I形鋼、山形鋼、及びT形鋼等の所望の断面形状の形鋼を用いることができる。
補強構造1は、第二補強部材10及び第三接続部15Cを備える。第一補強部材5と第二補強部材10とで接続部62を挟むように配置し、梁57と第二補強部材10、及びブレース材58と第二補強部材10とを、摩擦接合により接続している。補強部材5、10で接続部62を両側から補強することで、接続部62をより確実に補強することができる。
第四接続部は第二接続部15Bと一体に構成されているため、補強構造1を簡単に構成することができる。
柱56と第一補強部材5とは、厚さ方向Xに接触し合うように並べて配置され、第一接続部15Aは、柱56及び第一補強部材5を厚さ方向Xの外側から押圧している。このため、第一接続部15Aと柱56との間、柱56と第一補強部材5との間、及び、第一補強部材5と第一接続部15Aとの間に静止摩擦力が作用する。したがって、溶接等の火気を使用せずに柱56と第一補強部材5とを接続することができる。
第二接続部15Bについても、第一接続部15Aと同様に、溶接等の火気を使用せずにブレース材58と第一補強部材5とを接続することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7から図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態の補強構造2は、第1実施形態の補強構造1の接続部15A、15B、15Cに代えて、第一接続部25A、第二接続部25B、第三接続部25Cを備えている。
接続部25A、25B、25Cの構成は似ているため、第一接続部25Aを例に取って説明する。
図8に示すように、第一接続部25Aは、柱56のフランジ56aに形成された第一軸状孔部26Aと、第一補強部材5の端板7に形成された補強主孔部27Aと、第一軸状孔部26A内及び補強主孔部27A内に配置されたボルト(第一係合部材)28Aとを備えている。ボルト28Aの雄ネジ部28aAは、第一軸状孔部26A及び補強主孔部27A内に挿通されている。雄ネジ部28aAは、第一軸状孔部26A及び補強主孔部27Aに雄ネジ部28aAの径方向に係合している。ボルト28Aの頭部28bAは、端板7に端板7の厚さ方向に係合している。雄ネジ部28aAにはナット29Aの雌ネジ部29aAが螺合している。ナット29Aは、フランジ56aに端板7の厚さ方向に係合している。
このように、第一接続部25Aは、柱56とボルト28Aとを係合接合により接続しているとともに、第一補強部材5とボルト28Aとを係合接合により接続している。ここで言う係合接合とは、複数の部材が係合することにより互いに接合されていることを意味する。
第一接続部25Aは、2枚の板と係合している。
柱56の第一軸状孔部26A及び第一補強部材5の補強主孔部27Aは、公知のドリル等で形成することができる。ボルト28Aとナット29Aとの螺合の締め付けには、ドライバやスパナ等の一般的な工具を用いることができる。本実施形態では、柱56については、下穴である第一軸状孔部26Aを形成する工程と、第一軸状孔部26Aにボルト28Aを挿通する工程の2つの工程が必要である。
なお、図9に示すように、柱56の第一軸状孔部26A等は、公知のウォータージェット装置70から高圧のウォータージェットWを噴射することで形成してもよい。ウォータージェット装置70は、製鉄工場の建屋50内のような火気の使用が制限されている場所においても、安全に用いることができる。
第一軸状孔部26A等を、インパクトドライバで形成してもよい。
第二接続部25Bは、第一接続部25Aとは係合している板の枚数が異なるだけで、第一接続部25Aと同様に構成されている。第二接続部25Bは、3枚の板と係合している。第二接続部25Bは、本発明の第四接続部と一体に構成されている。
図示はしないが、第二接続部25Bは、第一補強部材5の端板8に形成された補強副孔部と、ブレース材58の第二板材58cに形成されたブレース孔部と、第二補強部材10の端板13に形成された孔部と、これらの孔部内に配置されて第一補強部材5、ブレース材58、及び第二補強部材10と係合接合により接続されるボルト(第二係合部材)とを備えている。
第三接続部25Cは、第一接続部25Aと同様に構成されている。
以上説明したように、本実施形態の補強構造2によれば、溶接等の火気を使用することなく、既設鉄骨55におけるガセットプレート59とブレース材58との接続部62を耐熱性を有した状態で補強することができる。
さらに、第一接続部25Aは、柱56の第一軸状孔部26Aと、第一補強部材5の補強主孔部27Aと、ボルト28Aとを備える。柱56とボルト28A、ボルト28Aと第一補強部材5が係合接合する。このため、溶接等の火気を使用せずに、ボルト28Aを介して柱56と第一補強部材5とを接続することができる。
第二接続部25Bについても、第一接続部25Aと同様に、溶接等の火気を使用せずに、ボルトを介してブレース材58と第一補強部材5とを接続することができる。
なお、本実施形態では、図10に示すように第一接続部35Aが、前述の柱56の第一軸状孔部26Aと、第一補強部材5の補強主孔部27Aと、第一軸状孔部26A内及び補強主孔部27A内に配置されたタッピングネジ(第一係合部材)36Aとを備えていてもよい。第一軸状孔部26Aは、タッピングネジ36Aの下穴となる。
この例では、第一補強部材5の補強主孔部27Aの内径はタッピングネジ36Aの雄ネジ部36aAの外径よりも大きく、補強主孔部27Aに雄ネジ部36aAが挿通されている。第一補強部材5にタッピングネジ36Aの頭部36bAが係合している。
柱56の第一軸状孔部26Aが形成された当初の内径は、タッピングネジ36Aの雄ネジ部36aAの先端側の外径よりも小さい。第一軸状孔部26Aに雄ネジ部36aAがねじ込まれて螺合することにより、柱56に雄ネジ部36aAが係合している。
第一接続部35Aがこのように構成されていても、柱56と第一補強部材5とを第一接続部35Aにより係合接合させることができる。
なお、柱56の第一軸状孔部26Aはフランジ56aを貫通していなくてもよいし、フランジ56aに第一軸状孔部26Aが形成されていなくてもよい。フランジ56aの厚さが薄い場合等には、予め下穴が形成されていなくても、タッピングネジ36Aを押込みながら回すことでフランジ56aにタッピングネジ36Aをねじ込むことができるからである。
フランジ56aに第一軸状孔部26Aが形成されない場合には、柱56については、フランジ56aにタッピングネジ36Aをねじ込む工程の1つの工程で済む。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、第四接続部は第二接続部と一体に構成されているとしたが、第四接続部は第二接続部とは別体として構成されていてもよい。この場合、第四接続部はブレース材58と第二補強部材10とを摩擦接合又は係合接合より接続している。
補強構造1は第二補強部材10及び第三接続部15Cを備えなくてもよい。第一補強部材5、第一接続部15A、及び第二接続部15Bだけでも接続部62を補強することができるからである。
第一軸状部材が柱56であり、第二軸状部材が梁57であるとした。しかし、第一軸状部材が梁57であり、第二軸状部材が柱56であるとしてもよい。
1、2 補強構造(既設鉄骨の補強構造)
5 第一補強部材
10 第二補強部材
15A、25A、35A 第一接続部
15B、25B 第二接続部
15C、25C 第三接続部
26A 第一軸状孔部
27A 補強主孔部
28A ボルト(第一係合部材)
36A タッピングネジ(第一係合部材)
55 既設鉄骨
56 柱(第一軸状部材)
57 梁(第二軸状部材)
58 ブレース材
58a 端部
59 ガセットプレート(接続部材)
62 接続部
X 厚さ方向(第二方向)

Claims (7)

  1. 既設鉄骨における柱と梁とが固定された部分に設けられた接続部材と、前記接続部材に端部が接続されたブレース材との接続部を補強する既設鉄骨の補強構造であって、
    鋼材で形成された第一補強部材と、
    前記柱及び前記梁の一方である第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第一接続部と、
    前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第二接続部と、
    を備える既設鉄骨の補強構造。
  2. 鋼材で形成され、前記ブレース材に対して前記第一補強部材とは反対側に配置された第二補強部材と、
    前記柱及び前記梁の他方である第二軸状部材と前記第二補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第三接続部と、
    前記ブレース材と前記第二補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第四接続部と、
    を備える請求項1に記載の既設鉄骨の補強構造。
  3. 前記第四接続部は前記第二接続部と一体に構成されている請求項2に記載の既設鉄骨の補強構造。
  4. 前記第一軸状部材と前記第一補強部材とは、第一方向に接触し合うように並べて配置され、
    前記第一接続部は、前記第一軸状部材及び前記第一補強部材を前記第一方向の外側から押圧していることで、前記第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合により接続している請求項1から3のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。
  5. 前記ブレース材と前記第一補強部材とは、第二方向に接触し合うように並べて配置され、
    前記第二接続部は、前記ブレース材及び前記第一補強部材を前記第二方向の外側から押圧していることで、前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合により接続している請求項1から4のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。
  6. 前記第一接続部は、
    前記第一軸状部材に形成された第一軸状孔部と、
    前記第一補強部材に形成された補強主孔部と、
    前記第一軸状孔部内に配置されて前記第一軸状部材と係合接合により接続されているとともに、前記補強主孔部内に配置されて前記第一補強部材と係合接合により接続されている第一係合部材と、
    を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。
  7. 前記第二接続部は、
    前記ブレース材に形成されたブレース孔部と、
    前記第一補強部材に形成された補強副孔部と、
    前記ブレース孔部内に配置されて前記ブレース材と係合接合により接続されているとともに、前記補強副孔部内に配置されて前記第一補強部材と係合接合により接続されている第二係合部材と、
    を備える請求項1から3、及び6のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。
JP2015240305A 2015-12-09 2015-12-09 既設鉄骨の補強構造 Expired - Fee Related JP6651827B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015240305A JP6651827B2 (ja) 2015-12-09 2015-12-09 既設鉄骨の補強構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015240305A JP6651827B2 (ja) 2015-12-09 2015-12-09 既設鉄骨の補強構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017106221A true JP2017106221A (ja) 2017-06-15
JP6651827B2 JP6651827B2 (ja) 2020-02-19

Family

ID=59059164

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015240305A Expired - Fee Related JP6651827B2 (ja) 2015-12-09 2015-12-09 既設鉄骨の補強構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6651827B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6367350A (ja) * 1986-09-09 1988-03-26 鹿島建設株式会社 可変角度接合金具
JP2013032689A (ja) * 2011-06-30 2013-02-14 Yahagi Construction Co Ltd 柱梁架構の耐震補強構造

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6367350A (ja) * 1986-09-09 1988-03-26 鹿島建設株式会社 可変角度接合金具
JP2013032689A (ja) * 2011-06-30 2013-02-14 Yahagi Construction Co Ltd 柱梁架構の耐震補強構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP6651827B2 (ja) 2020-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10253492B2 (en) Column and beam connection structure and method
JP5957257B2 (ja) 木部材接合構造
JP5169995B2 (ja) H形鋼のボルト継手接合部の補強構造および補強方法
JP2008002268A (ja) 高力ボルトによる摩擦接合構造及び構造物耐震補強方法
JP2010285780A (ja) 柱梁接合構造、及び柱梁接合構造を有する建物
JP2012007303A (ja) 耐震補強構造
JP2017020211A (ja) 箱形金物
JP6202931B2 (ja) 結合部材、結合部材の製造方法及び木部材接合構造
JP6338093B2 (ja) 柱梁接合構造
JP6544337B2 (ja) 冷間成形角形鋼管および柱梁接合部
JP6427917B2 (ja) 柱梁接合構造
JP6934285B2 (ja) 木質柱梁接合構造
JP6651827B2 (ja) 既設鉄骨の補強構造
JP2016153584A (ja) 建造物における無溶接補強構造
JP6080361B2 (ja) 接合部構造
JP6769758B2 (ja) 制振装置
JP6757218B2 (ja) 接合構造
JP6432758B2 (ja) 柱梁接合構造
JP2007205162A (ja) 鉄骨梁の開口補強工法
JP2020176492A (ja) 繊維強化プラスチック部材及び繊維強化プラスチック複合構造
JP5034579B2 (ja) 二重鋼管型ブレース材
JP6374738B2 (ja) 耐力壁
JP2018199956A (ja) H形鋼の接合方法
JP2008019662A (ja) 建物の梁又は柱と補強部材とを繋ぐ継手
JP4771161B2 (ja) 鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180803

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200106

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6651827

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees