JP2017106085A - 焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結前の圧粉成形体に対する機械加工が容易で、生産性に優れる焼結体の製造方法を提供する。【解決手段】準備工程と、成形工程と、加工工程と、焼結工程とを備える焼結体の製造方法である。準備工程では、鉄系の金属粉末を含む原料粉末を用意する。成形工程では、前記原料粉末を冷間等方圧加圧によって圧粉成形体とする。加工工程では、前記圧粉成形体を機械加工して加工成形体を作製する。焼結工程では、前記加工成形体を焼結して焼結体を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、金属粉末を加圧成形した圧粉成形体を焼結する焼結体の製造方法に関する。
自動車などの機械に利用される金属部材として、例えばスプロケット、ロータ、ギア、リング、フランジ、プーリー、ベーン、軸受けなどを挙げることができる。これら金属部材の作製方法として、例えば鋳造法、鍛造法、メタルインジェクションモールディング(MIM)法、粉末冶金法、金属固化体を切削する方法などが挙げられる。
鋳造法では、高額な鋳造型が必要である上、十分な寸法精度の金属部材を得ることが難しい。また鋳造体の寸法精度が悪いため、所望の寸法の金属部材を得るには膨大な量の後加工やバリ取りが必要となる。また、後加工時に発生した加工屑を再利用するには、加工屑を溶解しなければならない。鍛造法でも鋳造法と同様の問題が発生する。
MIM法では、成形原料に約20%もの有機バインダーを添加する必要があり、成形後の脱脂工程が複雑で時間がかかる。有機バインダーを取り除いた時の形状変化が大きく、所望の寸法精度の金属部材を得ることが難しい。また、MIM法は、小物品の成形に限られるため、大型の金属部材を得ることができないという問題もある。
金属粉末を含有する原料粉末を金型で加圧成形して圧粉成形体を作製し、これを焼結する粉末冶金法では、上記3種の製造方法よりは寸法精度に優れる。しかし、金型を用いた加圧成形では複雑な形状の金属部材を得ることは難しく、複雑な形状の金属部材を得るには焼結体を後加工する必要がある。多段成形を行なえば複雑な形状の金属部材を得ることもできるが、作製する金属部材の形状によっては多段成形であっても後加工が必要になる。また、多段成形では複雑な形状のキャビティ内に均一に金属粉末を充填できず、粉末成形体の成形密度に局所的なばらつきが発生し易い。そのような粉末成形体を焼結した場合、低密度部の寸法精度が低下したり、低密度部の機械的な強度が低下したりする虞がある。この粉末冶金法でも、後加工で発生した加工屑を再利用するには加工屑を溶解しなければならない。
金属固化体を切削する方法では、生産性が低いという問題がある。金属固化体はその硬度が高いため、加工速度を速くできないからである。また、硬度が高い金属固化体の切削には高剛性の高価なマシニングセンタが必要で、しかもマシニングセンタに備わる加工工具の寿命が短くなるという問題もある。この方法でも、切削で発生した加工屑を再利用するには加工屑を溶解しなければならない。
上記問題に鑑み、近年では、焼結前の圧粉成形体に機械加工を行って、所定の形状に加工した圧粉成形体を焼結する金属部材の製造方法が提案されている。焼結前の圧粉成形体は、焼結体に比べて硬度が低いため、加工コストの低減が期待できる。しかし、単に加圧成形のみした圧粉成形体は脆く、機械的強度が低いため、機械加工の際に欠けや亀裂が発生し易いなど、切削加工性の点で課題がある。
上記課題に対して、特許文献1には、金属粉末を加圧成形した成形体を仮焼成し、仮焼成した仮焼成体を機械加工した後、本焼成する金属部材の製造方法(焼結体の製造方法)が開示されている。特許文献1の製造方法によれば、成形体を仮焼成した仮焼成体は、仮焼成前の成形体に比較して機械的強度が高く、機械加工した際に欠け難くなり、機械加工が容易になる。また、仮焼成体は、本焼成後の焼結体に比較して硬度が低く、機械加工が容易になる。つまり、特許文献1の製造方法では、圧粉成形体を仮焼成して機械的強度を高め、仮焼成体に対して機械加工を行うことにより、機械加工性の課題を解決することを提案している。
特開2007−77468号公報
特許文献1の金属部材の製造方法では、圧粉成形体を仮焼成することによって、金属粉末の粒子同士の焼結がある程度進んでいる。そのため、仮焼成体は、本焼成後の焼結体に比べて硬度が低いとはいうものの、ある程度の硬さを有している。そのため、特許文献1の技術には、機械加工性の点で改善の余地がある。しかも、仮焼結することによって金属粉末の粒子同士が焼結しているため、加工屑を再利用するには加工屑を溶解しなければならない。
また、特許文献1の金属部材の製造方法では、加圧成形→仮焼結→機械加工→本焼結を行なっており、金属部材を得るために必要な工程数が多い。そのため、特許文献1の技術には、金属部材の生産性の点で改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、焼結前の圧粉成形体に対する機械加工が容易で、生産性に優れる焼結体の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係る焼結体の製造方法は、下記準備工程と、成形工程と、加工工程と、焼結工程と、を備える。
準備工程では、鉄系の金属粉末を含む原料粉末を用意する。
成形工程では、前記原料粉末を冷間等方圧加圧によって圧粉成形体とする。
加工工程では、前記圧粉成形体を機械加工して加工成形体を作製する。
焼結工程では、前記加工成形体を焼結して焼結体を得る。
上記焼結体の製造方法は、焼結前の圧粉成形体に対する機械加工が容易で、生産性に優れる。
上段図は、圧粉成形体を切削工具で機械加工する様子を示す模式図、下段図は金属固化体を切削工具で機械加工する様子を示す模式図である。 作製例1に記載のプラネタリキャリアとプラネタリギアとの組物の概略斜視図である。 作製例1に記載のプラネタリギアの概略側面図である。 上段図は、作製例1に記載のプラネタリキャリアの概略正面図、下段図は、上段図のA−A断面図である。
・本発明の実施形態の説明
<1>実施形態に係る焼結体の製造方法は、下記準備工程と、成形工程と、加工工程と、焼結工程と、を備える。
準備工程では、鉄系の金属粉末を含む原料粉末を用意する。
成形工程では、前記原料粉末を冷間等方圧加圧によって圧粉成形体とする。
加工工程では、前記圧粉成形体を機械加工して加工成形体を作製する。
焼結工程では、前記加工成形体を焼結して焼結体を得る。
上記焼結体の製造方法では、冷間等方圧加圧(CIP)によって圧粉成形体を作製している。CIPでは、原料粉末に等方的に圧力を作用させて原料粉末を成形するため、密度が均一で局所的に脆い箇所のない圧粉成形体を得られる。そのため、CIPで得られた圧粉成形体は、単にプレス成形して得られた圧粉成形体よりも機械的強度に優れており、機械加工の際に欠けや亀裂が発生し難い。つまり、CIPで得られた圧粉成形体は、仮焼結することなく加工工程に供することができるので、上記焼結体の製造方法によれば生産性良く焼結体を製造することができる。
上記焼結体の製造方法では、CIPで密度が均一な圧粉成形体を作製しているため、圧粉成形体を加工した加工成形体を焼結する際、加工成形体の寸法変化の仕方が安定する。つまり、加工成形体の収縮度合いが局所的にばらつかず、加工成形体全体がほぼ均等に収縮する。そのため、焼結体の実寸法が設計寸法から大きく外れることを抑制することができる。
上記焼結体の製造方法では、圧粉成形体を焼結することなく加工工程に供しているため、加工工程における加工抵抗が低い。そのため、金属固化体を機械加工する場合に比べて、加工速度を5倍〜10倍近い速度にできるし、機械加工に用いる工具寿命を10倍〜100倍近くまで延ばすことができる。また、圧粉成形体の加工抵抗が低いため、刃具やシャンクの剛性が小さくて済むため、機械加工時に長尺あるいは細径の刃具やシャンクを利用することができる。このように刃具やシャンクの選択の自由度が高いために、金属部材の形状の設計に制約が少ない、即ち当該設計の自由度が高い。例えば、中空加工などの細かい造形を施した金属部材を作製することも可能になる。
また、上記焼結体の製造方法では、機械加工によって生じた加工屑を溶解することなく再利用することができる。それは、冷間で加圧成形することで圧粉成形体を作製すると共に、機械加工の前に圧粉成形体を焼結していないため、加工屑に含まれる金属粉末が変質していないからである。
<2>実施形態に係る焼結体の製造方法の一形態として、前記成形工程に供する前記原料粉末に内部潤滑剤を混合する形態を挙げることができる。
原料粉末に内部潤滑剤を混合しておくことで、加工工程において機械加工が行ない易く、圧粉成形体に欠けや亀裂が生じ難い。ここで、金型を用いて圧粉成形体を得る場合、金型に圧粉成形体が焼き付かないように、原料粉末に内部潤滑剤を混合することが一般的であるが、原料粉末を詰めた袋の外周から等圧的に圧力を作用させるCIPでは本来、内部潤滑剤が必要ない。つまり、上記構成では成形の際に必要のない内部潤滑剤を敢えて原料粉末に混合している。原料粉末に内部潤滑剤を混合させることで、加工工程における機械加工性を向上させることができる。
<3>実施形態に係る焼結体の製造方法の一形態として、前記準備工程で前記原料粉末に前記内部潤滑剤を混合する場合、前記原料粉末における前記内部潤滑剤の含有量は、0.05質量%以上2.0質量%以下である形態を挙げることができる。
内部潤滑剤の含有量が上記範囲であれば、加工工程における加工速度を向上させ、工具寿命を延ばすことができる。また、機械加工時に圧粉成形体に割れや欠けが生じ難くなる。
<4>実施形態に係る焼結体の製造方法の一形態として、前記冷間等方圧加圧の圧力は、100MPa以上2000MPa以下である形態を挙げることができる。
上記範囲の圧力で圧粉成形体を作製することで、高密度で機械加工性に優れる圧粉成形体を得ることができる。
<5>実施形態に係る焼結体の製造方法の一形態として、前記加工工程は、多軸のマシニングセンタで行なう形態を挙げることができる。
加工工程における機械加工は代表的には切削加工である。切削加工としては、例えば、転削加工や旋削加工を挙げることができる。転削加工には、フライスやエンドミルを用いた加工やドリルを用いた穴あけ加工が挙げられる。多軸のマシニングセンタは、一台でこれら転削加工や旋削加工を行なうことができるので、複雑な形状の加工成形体を短時間で効率的に製造することができる。その結果、加工成形体を焼結してなる焼結体も効率的に製造することができる。
<6>実施形態に係る焼結体の製造方法の一形態として、前記焼結体の実寸法を設計寸法に近づける仕上げ加工を行なう仕上げ工程を備える形態を挙げることができる。
圧粉成形体を焼結して得られた焼結体は、圧粉成形体に比べて縮む。そのため、圧粉成形体は、焼結体の設計寸法よりも若干大きめに形成する。そのため、焼結体を仕上げ加工することで、焼結体の実寸法を設計寸法に近づけることができる。また、研磨などによって仕上げ加工を行なうことで、焼結体の表面性状を改善することができる。
<7>実施形態に係る焼結体の製造方法の一形態として、前記焼結体の実寸法と設計寸法との差に基づいて、前記加工工程における加工度合いを再調整する形態を挙げることができる。
上記焼結体の製造方法ではCIPで圧粉成形体を作製している。この圧粉成形体では全周から均等に圧力が掛かっているため、焼結時の加工成形体の寸法変化の仕方が安定する。そのため、焼結体の実寸法と設計寸法との差に基づいて、加工工程における加工度合いを調整することで、焼結体の実寸法を設計寸法にかなり近づけることができる。焼結体の仕上げ加工を行なう場合、その手間をかなり低減できることが期待される。
・本発明の実施形態の詳細
本発明の実施形態に係る焼結体の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<実施形態1>
≪焼結体の製造方法の概要≫
実施形態に係る焼結体の製造方法は、下記工程を備える。
1.準備工程:鉄系の金属粉末を含む原料粉末を用意する。
2.成形工程:原料粉末を冷間等方圧加圧(以下、CIP)によって圧粉成形体とする。
3.加工工程:圧粉成形体を機械加工して加工成形体を作製する。
4.焼結工程:加工成形体を焼結して焼結体を得る。
5.仕上げ工程:焼結体の実寸法を設計寸法に近づける仕上げ加工を行なう。
以下、各工程を詳細に説明する。
≪1.準備工程≫
[金属粉末]
金属粉末は、焼結体を構成する主たる材料であり、金属粉末としては、例えば、鉄又は鉄を主成分とする鉄合金の粉末が挙げられる。金属粉末には、代表的には、純鉄粉や鉄合金粉を用いることが挙げられる。ここで、「鉄を主成分とする鉄合金」とは、構成成分として、鉄元素を50質量%超、好ましくは80質量%以上、更に90質量%以上含有することを意味する。鉄合金としては、Cu,Ni,Sn,Cr,Mo及びCから選択される少なくとも1種の合金化元素を含有するものが挙げられる。上記合金化元素は、鉄系焼結体の機械的特性の向上に寄与する。上記合金化元素のうち、Cu,Ni,Sn,Cr及びMoの含有量は、合計で0.5質量%以上5.0質量%以下、更に1.0質量%以上3.0質量%以下とすることが挙げられる。Cの含有量は、0.2質量%以上2.0質量%以下、更に0.4質量%以上1.0質量以下とすることが挙げられる。また、金属粉末に鉄粉を用い、これに上記合金化元素の粉末(合金化粉末)を添加してもよい。この場合、原料粉末の段階では金属粉末の構成成分が鉄であるが、後の焼結工程で焼結することによって鉄が合金化元素と反応して合金化される。原料粉末における金属粉末(合金化粉末を含む)の含有量は、例えば、90質量%以上、更に95質量%以上とすることが挙げられる。金属粉末には、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、カルボニル法、還元法などにより作製したものを利用できる。
金属粉末の平均粒径は、例えば、20μm以上200μm以下、更に50μm以上150μm以下とすることが挙げられる。金属粉末の平均粒径を上記範囲内とすることで、取り扱い易く、後の成形工程(S2)において加圧成形し易い。更に、金属粉末の平均粒径を20μm以上とすることで、原料粉末の流動性を確保し易い。金属粉末の平均粒径を200μm以下とすることで、緻密な組織の焼結体を得易い。金属粉末の平均粒径は、金属粉末を構成する粒子の平均粒径のことであり、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した体積粒度分布における累積体積が50%となる粒径(D50)とする。微粒の金属粉末を利用することで、金属部材の表面粗さを小さくしたり、コーナーエッジをシャープにすることができる。
[内部潤滑剤]
金型を用いたプレス成形では、金型への金属粉末の焼き付きを防止するために、金属粉末と内部潤滑剤とを混合した原料粉末を用いることが一般的である。これに対して、実施形態に係る焼結体の製造方法で行なうCIPでは金型を利用しないため、内部潤滑剤は原則的に必要がない。しかし、原料粉末に内部潤滑剤を含有させておくことで、後述する加工工程における圧粉成形体の機械加工性を向上させることができる。そのため、敢えて原料粉末に内部潤滑剤を含有させておいても構わない。
内部潤滑剤は、液体潤滑剤でも良いし、潤滑剤粉末からなる固体潤滑剤でも良い。特に、金属粉末中に均一的に混合し易い点で、内部潤滑剤は固体潤滑剤とすることが好ましい。固体潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸を固体潤滑剤として利用することができる。その他、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドを利用することもできる。
内部潤滑剤の配合量は、例えば、0.05質量%以上2.0質量%以下、さらには0.05質量%以上1.0質量%以下とすることが挙げられる。潤滑剤の配合量は、金属粉末と潤滑剤との合計量を100質量%としたときの合計量に対する潤滑剤の割合である。
[その他]
後述する加工工程において圧粉成形体に割れや欠けが生じることを抑制するために、原料粉末に有機バインダーを添加しても構わない。有機バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、パラフィン、各種ワックスなどが挙げられる。有機バインダーは、必要に応じて添加すればよく、添加しなくてもよい。
≪2.成形工程≫
成形工程では、原料粉末をCIPで加圧成形する。CIPは、ゴムなどの弾性変形可能な袋状の成形型に原料粉末を充填し、水などの圧力媒体で成形型の外周から等方的に圧力をかけることで圧粉成形体を得る方法である。CIPの加圧の圧力は、例えば、100MPa以上1500MPa以下、更に500MPa以上2000Ma以下とすることが挙げられる。
圧粉成形体の形状は、略直方体状や略円柱状などとすることが挙げられる。圧粉成形体の形状は、金属部材の最終形状に応じて適宜選択すると良く、特に限定されない。圧粉成形体の大きさも特に限定されない。
≪3.加工工程≫
加工工程では、CIPで圧粉成形体を作製した後、焼結などを行なうことなく、圧粉成形体に機械加工を行なう。機械加工は、代表的には切削加工であり、切削工具を用いて所定の形状に圧粉成形体を加工する。切削加工としては、例えば、転削加工、旋削加工などが挙げられ、転削加工には、穴あけ加工が含まれる。切削工具には、穴あけ加工の場合、ドリルやリーマ、転削加工の場合、フライスやエンドミル、旋削加工の場合、バイトや刃先交換型切削チップなどを用いることが挙げられる。複数種の加工を自動で行なえるマシニングセンタを用いると、機械加工の時間を短縮できて好ましい。
機械加工のイメージを図1のイメージ図に基づいて説明する。図1の上段図は、圧粉成形体200を切削工具100で機械加工する様子を模式的に示しており、下段図は金属固化体300を切削工具100で機械加工する様子を模式的に示している。図1の上段図に示すように、金属粒子202が押し固まって形成される圧粉成形体200では、切削工具100によって圧粉成形体200の表面から金属粒子202が引き剥がされるように機械加工が施される。そのため、機械加工によって生じる加工屑201は、圧粉成形体200を構成する個々の金属粒子202が分離してなる金属粉末で構成される。粉末状の加工屑201は、溶解することなく再利用することができる。金属粒子202が固まった粒塊がある場合、必要に応じて粒塊を解砕しても構わない。一方、図1の下段図に示すように、金属固化体300では、切削工具100によって金属固化体300の表面が削り取るように機械加工が施される。機械加工によって生じる加工屑301は、一連の組織で構成されるため、加工屑301を溶解しなければ再利用することができない。

ここで、機械加工に供する前に、圧粉成形体の表面に有機バインダーを噴霧あるいは塗布して、機械加工時の圧粉成形体の表層の割れや欠けを抑制しても構わない。
≪4.焼結工程≫
焼結工程では、圧粉成形体を機械加工して得られた加工成形体を焼結する。圧粉成形体を焼結することによって、金属粉末の粒子同士が接触して結合された焼結体が得られる。圧粉成形体の焼結は、金属粉末の組成に応じた公知の条件を適用できる。例えば、金属粉末が鉄粉や鉄合金粉の場合、焼結温度は、例えば、1100℃以上1400℃以下、更に1200℃以上1300℃以下とすることが挙げられる。焼結時間は、例えば、15分以上150分以下、更に20分以上60分以下とすることが挙げられる。
ここで、焼結体の実寸法と設計寸法との差に基づいて、加工工程における加工度合いを調整しても良い。CIPで作製した圧粉成形体を加工した加工成形体は、焼結時にほぼ均等に収縮する。そのため、焼結後の実寸法と設計寸法との差に基づいて、加工工程の加工度合いを調整することで、焼結体の実寸法を設計寸法にかなり近づけることができる。その結果、次の仕上げ加工の手間と時間を少なくすることができる。機械加工をマシニングセンタで行なう場合、加工度合いの調整は容易に行なえる。
≪5.仕上げ工程≫
仕上げ工程では、焼結体の表面を研磨するなどして、焼結体の表面粗さを小さくすると共に、焼結体の寸法を設計寸法に合わせる。
<作製例1>
作製例1では、実施形態の焼結体の製造方法によって図2に示すプラネタリギア2とプラネタリキャリア3の組物1を作製した。プラネタリギア2は、図3に示すように、歯20を軸線(一点鎖線参照)に対して斜めに切ったヘリカルギアである。また、プラネタリキャリア3は、図2,4に示すように、円盤状の第一部品31と、円板部32sに三つのブリッジ部32bが形成された第二部品32と、で構成されている。
まず、銅粉を2.0質量%、黒鉛(C)を0.8質量%の割合で添加した鉄粉(平均粒径80μm)と、内部潤滑剤としてエチレンビスステアリン酸アミドとを用意し、鉄粉に内部潤滑剤を0.8質量%の割合で配合して、原料粉末を調整した。
次に、原料粉末をCIP装置で加圧成形して、次の三つの圧粉成形体を作製した。成形圧力はいずれも980MPaとした。
・プラネタリギア2用の円柱状の圧粉成形体…直径50mm×高さ20mm
・第一部品31用の円盤状の圧粉成形体…直径130mm×高さ35mm
・第二部品32用の円柱状の圧粉成形体…直径130mm×高さ35mm
次いで、市販のマシニングセンタを用いて、作製した各圧粉成形体に機械加工を施し、所望の形状の加工成形体を作製した。プラネタリギア2用の圧粉成形体の機械加工では、軸線に対して50°傾いた歯20を形成した。第一部品31用の圧粉成形体の機械加工では、図1に示すように、削り出しによってボス部31bを形成すると共に、ボス部31bの中央に孔を形成し、その孔の内部にインターナルギアの歯を形成した。第二部品32用の圧粉成形体の機械加工では、削り出しによってブリッジ部32bを形成すると共に、図4の下段図に示すようにブリッジ部32bの根元部分のうち、円板部32sに繋がる内周面部分(黒矢印で示す部分を参照)をR形状に形成した。当該内周面部分をR形状とすることで、ブリッジ部32bの強度を向上させることができる。上記いずれの圧粉成形体の機械加工においても、圧粉成形体に割れや欠けなどは生じなかった。機械加工によって生じた加工屑は、圧粉成形体を構成する個々の粒子が分離してなる金属粉末であった。
次に、加工成形体を焼結し、焼結体で構成されるプラネタリギア2およびプラネタリキャリア3を作製した。その焼結時に、焼結体に割れや欠けは生じなかった。最後に、研磨加工などによってプラネタリギア2およびプラネタリキャリア3の寸法を設計寸法に近づけると共に、表面粗さを小さくした。
<作製例2>
作製例2では、長尺の円筒形状の焼結体を作製した。まず、作製例1と同じ原料粉末を用いてCIPで円柱状の圧粉成形体を作製した。CIPの成形圧力は作製例1と同じであった。その圧粉成形体の外周面を旋削加工によって整えると共に、中空加工によって圧粉成形体の中心に孔を空け、円筒状の加工成形体を作製した。円筒の外径は30mm、内径は20mm、円筒の軸方向長さは100mmであった。このような薄肉で長尺の加工成形体であっても、加工成形体に割れや欠けは生じなかった。また、この加工成形体を焼結して焼結体としたときにも、焼結体に割れや欠けは生じなかった。機械加工によって生じた加工屑は、圧粉成形体を構成する個々の粒子が分離してなる金属粉末であった。
<作製例3>
作製例3では、薄肉で平坦な円板状の焼結体を作製した。まず、作製例1と同じ原料粉末を用いてCIPで所定の厚さの円板状の圧粉成形体を作製した。CIPの成形圧力は作製例1と同じであった。その圧粉成形体の一面と他面とを旋削加工によって平坦になるように整えると共に、圧粉成形体の縁を旋削加工によって円形となるように整えて、円板状の加工成形体を作製した。加工成形体の直径は100mm、厚さは2mmであった。このような薄肉で大径の加工成形体であっても、加工成形体に割れや欠けは生じなかった。また、この加工成形体を焼結して焼結体としたときにも、焼結体に割れや欠けは生じなかった。機械加工によって生じた加工屑は、圧粉成形体を構成する個々の粒子が分離してなる金属粉末であった。
本発明の焼結体の製造方法は、金型を用いた加圧成形のみでは成形することが困難な複雑な形状を有する焼結部品の製造に好適に利用可能である。
1 組物
2 プラネタリギア 20 歯
3 プラネタリキャリア
31 第一部品 31b ボス部
32 第二部品 32s 円板部 32b ブリッジ部
100 切削工具
200 圧粉成形体 201 加工屑 202 金属粒子
300 金属固化体 301 加工屑

Claims (7)

  1. 鉄系の金属粉末を含む原料粉末を用意する準備工程と、
    前記原料粉末を冷間等方圧加圧によって圧粉成形体とする成形工程と、
    前記圧粉成形体を機械加工して加工成形体を作製する加工工程と、
    前記加工成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
    を備える焼結体の製造方法。
  2. 前記成形工程に供する前記原料粉末に内部潤滑剤を混合する請求項1に記載の焼結体の製造方法。
  3. 前記原料粉末における前記内部潤滑剤の含有量は、0.05質量%以上2.0質量%以下である請求項2に記載の焼結体の製造方法。
  4. 前記冷間等方圧加圧の圧力は、100MPa以上2000MPa以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  5. 前記加工工程は、多軸のマシニングセンタで行なう請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  6. 前記焼結体の実寸法を設計寸法に近づける仕上げ加工を行なう仕上げ工程を備える請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  7. 前記焼結体の実寸法と設計寸法との差に基づいて、前記加工工程における加工度合いを再調整する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
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