JP2017105997A - 懸濁重合用分散助剤およびそれを用いるビニル系重合体の製造方法、並びに塩化ビニル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ビニル系化合物の懸濁重合に用いた際には、多量に使用した場合でも、重合槽へのスケールの付着が少なく安定的に良好な重合物(ビニル系樹脂)が得られる分散助剤を提供することを目的とする。【解決手段】懸濁重合用添加剤を、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上のポリビニルアルコール系重合体(A)を含有するものとする。【選択図】なし

Description

本発明は、ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤として好適に使用出来るポリビニルアルコール系重合体、このポリビニルアルコール系重合体を分散助剤として使用して懸濁重合することにより製造された塩化ビニル系樹脂、並びにその製造方法に関する。
塩化ビニル系樹脂(又は、以下、塩化ビニル系重合体ということがある)は、一般に、塩化ビニルモノマーを、重合開始剤及び分散安定剤などと共に水性媒体中に分散させて重合を行う懸濁重合法により製造されている。
その際使用される分散剤としては、塩化ビニルモノマーの分散性を安定化して、製造される塩化ビニル系樹脂の粒径を調節するために添加されるいわゆる「分散安定剤」と、製造される塩化ビニル系樹脂粒子中の空孔率(ポロシティ)を上げるために添加されるいわゆる「分散助剤」とがある。
従来、「分散安定剤」(又は、以下、一次分散剤ということがある)としては、ポリビニルアルコール(PVA)やヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが使用されている(特許文献1〜3参照)。また、「分散助剤」としては、前述した一次分散剤よりもケン化度が低いPVAが使用されている(特許文献4参照)。
例えば、特許文献4に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法では、分散安定剤には、ケン化度が75〜85mol%のPVAを使用し、分散助剤にはケン化度が20〜57mol%のPVAを使用している。
他にも特許文献5〜7にあるように、分散助剤の性能向上、例えば、塩化ビニル系樹脂粒子の空孔率向上のために、様々な提案がなされている。
しかし、重合条件に左右されることなく、高い空孔率を得るために多量に使用した場合でも重合槽へのスケールの付着が少なく安定的に良好な重合物が得られ、粗大粒子がなく、高い空孔率を持ち、可塑剤吸収性に優れた塩化ビニル系樹脂を得ることができる懸濁重合用の分散助剤は、これまでに得られていない。特に、非常に高い空孔率の塩化ビニル系樹脂を得るためには、分散助剤の添加量を増やす必要があるが、この場合、重合が不安定になるという問題がある。
一方で、分散助剤に用いられるケン化度が60mol%より低いケン化度のPVAは、水との親和性が低いため、水溶液や水性液として用いることができないという欠点がある。その欠点を補うために、特許文献8〜17のように、分子内にカルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基などのイオン性基やポリオキシアルキレンなどのポリビニルアルコール以外の親水基を導入したケン化度の低いPVAを分散助剤として使用して、塩化ビニル樹脂を製造する方法が提案されている。
しかし、特許文献8〜17に記載された様なイオン性基を導入した分散助剤では、水溶性や水分散性は改善されているものの、懸濁重合時の緩衝剤の使用量、緩衝剤の投入時期、重合系内の酸素濃度等により重合系内のpH値の範囲(3〜8)が変化するためか、その特性(ポロシティアップ、ポロシティ分布の均一性、脱モノマー性や可塑剤吸収能の向上等)を十分発揮することができない場合があり、更には重合安定性が不良になったり、スケールの付着等が著しくなったりなどの懸念があった。よって、水溶性又は水分散性であり、且つ重合安定性に優れた分散助剤の開発が望まれていた。
また、イオン性基を導入して水溶性や水分散性を改善した分散助剤は、10質量%以下のPVA含有量の水性液を得ることはできるが、20質量%以上のPVA含有量では分散助剤の凝集が起こり高含有量の水性液を得ることができないという問題があった。
特開2002−003510号公報 特開2003−327607号公報 特開2003−238606号公報 特開2005−281680号公報 特開平04−85303号公報 特開2004−115821号公報 特開平04−93301号公報 特開平04−154810号公報 特開平05−345805号公報 特開平10−168128号公報 特開平10−259213号公報 国際公開第91/15518号公報 特開平9−77807号公報 特開平10−152508号公報 特開平9−100301号公報 特開平9−183805号公報 特開2002−37807号公報
本発明は、ビニル系化合物の懸濁重合に用いた際には、多量に使用した場合でも、重合槽へのスケールの付着が少なく安定的に良好な重合物(ビニル系樹脂)が得られる分散助剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、ビニル系化合物の懸濁重合に用いた際には、粗大粒子のないビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)を得ることができる懸濁重合用分散助剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、空孔率や可塑剤吸収性等に優れたビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)を得ることができる懸濁重合用分散助剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好な安定性を持ち、高濃度においても取り扱いやすい粘度を有した、ビニル系化合物の懸濁重合分散助剤として有用な水性液を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、該分散助剤を用いて、可塑剤吸収性等に優れたビニル系樹脂の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らはかかる事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合用分散助剤は、多量に使用した場合でも、塩化ビニルの懸濁重合において、重合槽へのスケールの付着が少なく安定的に塩化ビニル系樹脂が得られることを見出した。
また、本発明者らは、このような懸濁重合用分散助剤を含む水性液は、ケン化度が60モル%より低いにもかかわらず、PVA系重合体(A)を30〜50質量%含有する場合でも水性液として安定であり、取り扱いやすい粘度を有することを見出した。
本発明者らはさらに研究を重ねて本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の懸濁重合用分散助剤等に関する。
[1]オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上のポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合用分散助剤。
[2]ポリビニルアルコール系重合体(A)中のアセタール基(a)を含む単位の変性量が、ポリビニルアルコール系重合体(A)のモノマーユニットあたり0.01〜10モル%である前記[1]記載の懸濁重合用分散助剤。
[3]水溶性高分子とともに重合系に存在させて懸濁重合させるための前記[1]又は[2]に記載の懸濁重合用分散助剤。
[4]水溶性高分子が、ケン化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体である前記[3]記載の懸濁重合用分散助剤。
[5]ビニル系単量体の重合に用いるための前記[1]〜[4]のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤。
[6]ビニル系単量体が塩化ビニルを含む前記[5]記載の懸濁重合用分散助剤。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤を含有する水性液。
[8]ポリビニルアルコール系重合体(A)を30〜50質量%含有する前記[7]記載の水性液。
[9]pHが4.5〜7.0である前記[7]又は[8]に記載の水性液。
[10]前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の懸濁重合用分散助剤の存在下で、ビニル系単量体を懸濁重合させるビニル系樹脂の製造方法。
[11]さらに、水溶性高分子の存在下で懸濁重合させる前記[10]記載の製造方法。
[12]水溶性高分子が、ケン化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体である前記[11]記載の製造方法。
[13]ビニル系単量体が塩化ビニルを含む前記[10]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上のポリビニルアルコール系重合体(A)を重合成分として含む、ビニル系樹脂。
[15]ポリビニルアルコール系重合体(A)中のアセタール基(a)を含む単位の変性量が、ポリビニルアルコール系重合体(A)のモノマーユニットあたり0.01〜10モル%である前記[14]記載のビニル系樹脂。
[16]塩化ビニル系樹脂である前記[14]又は[15]に記載のビニル系樹脂。
本発明によれば、ビニル系単量体の懸濁重合に用いた場合に、重合条件に左右されることなく重合することができ、高い空孔率のビニル系樹脂を得るために多量に使用した場合でも重合槽へのスケールの付着が少なく安定的に良好な重合物(ビニル系樹脂)が得られる、懸濁重合用分散助剤を提供することができる。
また、本発明の懸濁重合用分散助剤を用いれば、粗大粒子のないビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)を得ることができ、空孔率や可塑剤吸収性等に優れたビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)を得ることもできる。
このような本発明の分散助剤はPVA系重合体を含有するが、本発明の分散助剤を含む水性液は、PVA系重合体が高濃度であっても良好な安定性を持ち、取り扱いやすい粘度を有している。このため、当該水性液を用いれば、PVA系重合体が重合系において高濃度であってもビニル系化合物の懸濁重合を安定して行うことができ、重合槽へのスケールの付着を少なくすることができる。
さらに、本発明によれば、該分散助剤を用いて、空孔率や可塑剤吸収性等に優れたビニル系樹脂の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の懸濁重合用分散助剤(添加剤、分散剤)は、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上のポリビニルアルコール系重合体(A)を含むことを特徴とする。本発明の懸濁重合用分散助剤は、PVA系重合体(A)を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
[PVA系重合体(A)]
PVA系重合体(A)において、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)としては、特に限定されないが、例えば、PVA系重合体(B)のOH基を介して導入できる基であり、オレフィン系不飽和二重結合を有するカルボニル化合物由来の基が好ましい。また、アセタール基(a)は、環状アセタール基が好ましい。
カルボニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルデヒド、ケトン等が挙げられ、オレフィン系不飽和二重結合を有することが好ましい。
オレフィン系不飽和二重結合を有するカルボニル化合物を使用する場合、例えば、PVA系重合体(B)における隣接した2つのOH基を、オレフィン系不飽和二重結合を有するアルデヒド及び/又はケトンによってアセタール化することにより、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有するPVA系重合体(A)を得ることができる。
アルデヒドとしては、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドが好ましい。
オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド(又はアセタール基(a))において、オレフィン系不飽和二重結合の数は、特に限定されず、例えば1〜5個等である。尚、アルデヒドは、置換基(例えば、水酸基、ニトロ基、芳香族基等)を有していてもよい。
オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、アルケナール[例えば、アクロレイン、クロトンアルデヒド、メタクロレイン、3−ブテナール、3−メチル−2−ブテナール、2−メチル−2−ブテナール、2−ペンテナール、3−ペンテナール、4−ペンテナール、2−ヘキセナール、3−ヘキセナール、4−ヘキセナール、5−ヘキセナール、2−エチルクロトンアルデヒド、2−メチル−2−ペンテナール、3−(ジメチルアミノ)アクロレイン、ミリストレインアルデヒド、パルミトレインアルデヒド、オレインアルデヒド、エライジンアルデヒド、バクセンアルデヒド、ガドレインアルデヒド、エルカアルデヒド、ネルボンアルデヒド、リノールアルデヒド、シトロネラール、シンナムアルデヒド等の炭素数3〜30のアルケナール、好ましくは炭素数3〜25のアルケナール]、アルカジエナール[例えば、2,4−ペンタジエナール、2,4−ヘキサジエナール、2,6−ノナジエナール、シトラール等の炭素数5〜30のアルカジエナール、好ましくは炭素数5〜25のアルカジエナール]、アルカトリエナール[例えば、リノレンアルデヒド、エレオステアリンアルデヒド等の炭素数7〜30のアルカトリエナール、好ましくは炭素数7〜25のアルカトリエナール]、アルカテトラエナール[例えば、ステアリドンアルデヒド、アラキドンアルデヒド等の炭素数9〜30のアルカテトラエナール、好ましくは炭素数9〜25のアルカテトラエナール]、アルカペンタエナール[例えば、エイコサペンタエンアルデヒド等の炭素数11〜30のアルカペンタエナール、好ましくは炭素数11〜25のアルカペンタエナール]等の不飽和モノアルデヒド等が挙げられるが、これらのシス−トランス異性体が存在するものは、シス体及びトランス体の両方を含む。これらのオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドは、単独で又は二種以上を併用して用いることができる。
尚、ジアルデヒドなどの多価アルデヒドは、アセタール化して得られたPVA系重合体(A)が不溶化する恐れがあるため好ましくない。
本発明では、前述のオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドに代えて、該モノアルデヒドとアルコールとの縮合物であるアセタールも使用することができる。アセタールとしては、特に限定されないが、例えば、第1級アルコールとの縮合物が挙げられる。
ケトンとしては、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノケトンが好ましい。
オレフィン系不飽和二重結合を有するモノケトンにおいて、オレフィン系不飽和二重結合の数は、特に限定されず、例えば1〜5個等である。尚、ケトンは、置換基(例えば、水酸基、ニトロ基、芳香族基等)を有していてもよい。
オレフィン系不飽和二重結合を有するモノケトンとしては、特に限定されず、例えば、不飽和脂肪族モノケトン{例えば、アルケノン[例えば、メチルビニルケトン等の炭素数4〜30のアルケノン、好ましくは炭素数4〜25のアルケノン]等}等が挙げられる。これらのケトンは、1種又は2種以上使用することができる。
また、PVA系重合体(A)は、アセタール基(a)の範疇に属さないアセタール基(b)を有してもよい。アセタール基(b)の導入方法は、特に限定されず、例えば、PVA系重合体(B)における隣接した2つのOH基を、オレフィン系不飽和二重結合を有しないモノアルデヒドによってアセタール化する方法が挙げられる。
オレフィン系不飽和二重結合を有しないモノアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキサナール等の脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、テレフタルアルデヒド酸等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。
PVA系重合体(A)は、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有する単位として、例えば、下記式(1)で表される単位を有する。
(式中、Rはオレフィン系不飽和二重結合を有する基を示し、Rは水素原子又は置換基を示す。)
において、オレフィン系不飽和二重結合を有する基としては、例えば、アルケニル基[例えば、炭素数2〜30のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜16のアルケニル基]、アルカジエニル基[例えば、2,4−アルカジエニル基、2,6−アルカジエニル基等の炭素数4〜30のアルカジエニル基、好ましくは炭素数4〜16のアルカジエニル基]、アルカトリエニル基[例えば炭素数6〜30のアルカトリエニル基、好ましくは炭素数6〜16のアルカトリエニル基]、アルカテトラエニル基[例えば炭素数8〜30のアルカテトラエニル基、好ましくは炭素数8〜16のアルカテトラエニル基]、アルカペンタエニル基[例えば炭素数10〜30のアルカペンタエニル基、好ましくは炭素数10〜16のアルカペンタエニル基]等が挙げられる。これらの基は、さらに、置換基(例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、芳香族基等)1種又は2種以上により置換されていてもよい。
において、置換基としては、例えば、炭化水素基等の有機残基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基{例えば、飽和脂肪族基(例えば、炭素数1〜20のアルキル基等)、不飽和脂肪族基(例えば、炭素数2〜20のアルケニル基等)}、芳香族基(例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等)等が挙げられる。炭化水素基は、さらに、置換基(例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基等)1種又は2種以上により置換されていてもよい。
PVA系重合体(A)のケン化度は、JIS K 6726で規定されているPVAのケン化度測定方法により求められるケン化度が、通常は45モル%〜60モル%である。
ケン化度が60モル%以下であれば、分散助剤としての効果が優れ、得られるビニル系樹脂の空孔率、可塑剤吸収性が向上し、懸濁重合の安定性が優れ、得られるビニル系樹脂の粒子径が粗大化しにくい等の観点から好ましい。ケン化度が45モル%以上であれば、水中での分散性が優れる、分散助剤を含む水性液とした場合に水性液の安定性が優れる等の観点から好ましい。
PVA系重合体(A)のケン化度は、この原料であるPVA系重合体(B)のケン化度で調整することができる。例えば、PVA系重合体(B)をオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンでアセタール化する際に、反応系に水を含有させるとアセタール化反応中のPVA系重合体のケン化度の変化を少なくでき、PVA系重合体(A)及びPVA系重合体(B)間のケン化度の差を、例えば0〜5モル%程度に調整することができる。
PVA系重合体(A)の(平均)重合度は、特に限定されないが、JIS K 6726で規定されているPVAの平均重合度測定方法により求められる重合度が、通常は120〜400、より好ましくは160〜400である。
PVA系重合体(A)の重合度が120以上であれば、本発明の分散助剤としての性能が優れ、得られるビニル系樹脂の粒径が粗大化しにくい等の観点から好ましい。また、重合度が400以下であれば、水中での分散性が優れる、分散助剤を含む水性液とした場合に水性液の粘度が良好になり、流動性や取り扱い性が優れる、水性液を懸濁重合系に添加した際に水性媒体への分散が優れる等の観点から好ましい。
尚、PVA系重合体(A)の重合度は、この原料となるPVA系重合体(B)の重合度で調整することができ、通常、PVA系重合体(B)の重合度を反映することができる。
PVA系重合体(A)の残存脂肪酸基のブロックキャラクターは、通常は0.5以上であり、0.6〜0.9が好ましい。ブロックキャラクターが0.5以上であれば、水中での分散性が優れ、分散助剤を含む水性液とした場合に水性液の粘度が良好になり、流動性や取扱い性が優れる等の観点から好ましい。ブロックキャラクターが0.9以下であれば、得られるビニル系樹脂の空孔性が向上し、可塑剤吸収量が優れる等の観点から好ましい。
ここで、残存脂肪酸基のブロックキャラクター(η)とは、PVA系重合体の残存脂肪酸基の分布を示す指標であり、13C−NMRスペクトル中のメチレン領域に現れる3本のピークの解析により求められる。前記の3本のピークは、(OH、OH)、(OH、OR)、(OR、OR)に相当する3個の2単位連鎖構造に相当し、その吸収強度は3個の構造に比例している。ブロックキャラクター(η)は、下記(式2)で表される。尚、残存脂肪酸基(OR基)は、脂肪酸ビニルエステル単位(すなわち、脂肪酸ビニルエステル由来の単位)に含まれる脂肪酸基であり、例えば、脂肪酸ビニルエステルとして酢酸ビニルが使用された場合は、アセトキシ基(OAc基)を示す。
(式2) η=(OH、OR)/[2(OH)(OR)]
〔式中、(OH、OR)は、OH基とOR基が隣接する2単位連鎖構造(OH、OR)の割合を表し、13C−NMRスペクトルのメチレン炭素の強度比より求められる。また、式中、(OH)は、ケン化度を表し、(OR)は、残存脂肪酸基の割合を表し、それぞれモル分率で表される。〕
尚、(式2)において、(OH、OR)とは、(OH、OH)、(OH、OR)及び(OR、OR)の総量に対する、(OH、OR)の割合を表す。
また、(OH)、(OR)とは、PVA系重合体(A)に含まれる(OH)及び(OR)の総量に対する(OH)、(OR)の割合を表す。
このブロックキャラクターは、通常0〜2の値をとり、0に近いほど残存脂肪酸基分布のブロック性が高いことを示し、1に近いほどランダム性が高いことを示し、2に近いほど交互性が高いことを示す。残存脂肪酸基のブロック性は、塩化ビニルモノマー等のビニル系単量体の分散性に影響を与える。尚、このブロックキャラクターに関しては、「ポバール」、高分子刊行会(1981年発行)の第246〜249頁及びMacromolecules,10,532(1977年)にその測定法等が詳述されている。
PVA系重合体(A)の残存脂肪酸基のブロックキャラクターは、原料であるPVA系重合体(B)のブロックキャラクターで調整することができる。例えば、PVA系重合体(B)をモノアルデヒド又はモノケトンでアセタール化する際に、反応系に水を含有させるとアセタール化反応中のPVA系重合体のブロックキャラクターの変化を少なくすることができ、PVA系重合体(A)及びPVA系重合体(B)間の残存脂肪酸基のブロックキャラクターの差を、例えば0〜0.1程度に調整することができる。
PVA系重合体(A)は、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有する単位の変性量(含有量)が、PVA系重合体(A)のモノマーユニットあたり0.01〜10モル%が好ましく、0.05〜8モル%がより好ましく、0.1〜8モル%が特に好ましい。
なお、1モル%の含有量とは、モノマーユニット(例えば、ビニルアルコール単位)100個あたり、アセタール基(a)を有する単位(例えば、一般式(1)で示される構成単位)を1個有する場合をいう。
変性量が0.01モル%以上であれば、不飽和二重結合を導入した効果(例えば、分散助剤をビニル系単量体の懸濁重合に用いた際に、高いポロシティを得るため、多量に使用したとしてもスケールの付着が少なく、粗粒化が起こらない等)が得られやすい。変性量が10モル%以下の場合は、PVA系重合体本来の特性(例えば、水性媒体への分散性等)を維持できるため好ましい。
本発明において、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有する単位の変性量(例えば、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンによる変性量)を測定する方法は、特に限定されないが、例えば、PVA系重合体(A)をd6−DMSO溶媒に溶解させ、これをH−NMRにより測定し、二重結合に由来するシグナルを解析する方法、あるいは高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーにより未反応モノアルデヒドを測定し求める方法等が挙げられる。
[PVA系重合体(B)]
PVA系重合体(A)の原料となるPVA系重合体(B)としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系重合体をケン化反応することにより得られる従来公知のPVA系重合体を使用することができる。
該ビニルエステル系重合体は、ビニルエステル系単量体を重合することにより得ることができる。重合方法としては、特に限定されず、従来公知の方法に従って良いが、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、重合度の制御や重合後に行うケン化反応のことを考慮すると、メタノールを溶媒とした溶液重合、あるいは、水又は水/メタノールを分散媒とする懸濁重合が好ましいが、これらに限定されるものではない。
前記重合に用いることができるビニルエステル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル等を挙げることができ、これらのビニルエステル系単量体は1種又は2種以上使用することができる。これらの中でも酢酸ビニルが工業的観点から好ましい。
ビニルエステル系単量体の重合に際して、本発明の効果を奏する限り、ビニルエステル系単量体を他の単量体と共重合させても差し支えない。
使用しうる他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等)、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキル等)]、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体[例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等]、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のC1−20アルキルビニルエーテル等)、ニトリル類(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ハロゲン化ビニル類(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル等)、ハロゲン化ビニリデン類(例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)、アリル化合物(例えば、酢酸アリル、塩化アリル等)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等)及びその塩又はそのエステル、ビニルシリル化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン等)、脂肪酸アルキルエステル(例えば、酢酸イソプロペニル等)等が挙げられる。これらの他の単量体は1種又は2種以上使用することができる。
前記他の単量体を使用する場合、他の単量体の含有量は、ビニルエステル系単量体の総量に対して、例えば0.1〜20質量%等である。
また、ビニルエステル系単量体の重合に際して、得られるビニルエステル系重合体の重合度を調節すること等を目的として、連鎖移動剤を共存させても差し支えない。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等の有機ハロゲン類が挙げられ、中でもアルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数及び目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1〜10重量%が望ましい。
上述のようにして得られたビニルエステル系重合体をケン化反応することにより、PVA系重合体(B)を製造することができる。
ビニルエステル系重合体のケン化反応方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン;ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン;トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン;メチルアミン、エチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン;トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン等の有機アミン類等の塩基性触媒、又は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の酸性触媒を用いた、加アルコール分解ないし加水分解反応が適用できる。
ケン化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
PVA系重合体(B)のケン化度としては、特に制限はないが、続くアセタール化反応の際にPVA系重合体(A)のケン化度は原料であるPVA系重合体(B)のケン化度より高くなるので、PVA系重合体(A)の目標とするケン化度より低いケン化度(例えば、0〜5モル%低いケン化度)に調整することが好ましい。
また、PVA系重合体(B)の重合度としては、特に制限はないが、続くアセタール化反応の際にPVA系重合体(A)の重合度は原料であるPVA系重合体(B)を反映することができるので、PVA系重合体(A)の目標とする重合度に調整することが好ましい。
PVA系重合体(B)の残存脂肪酸基のブロックキャラクターは、特に限定されないが、PVA系重合体(A)の目標とするブロックキャラクターの近傍に調整することが好ましい。
PVA系重合体(B)の残存脂肪酸基のブロックキャラクターは、ビニルエステル系重合体をケン化してPVA系重合体(B)を製造する際に使用するケン化触媒及び溶媒の種類等により調整できる。
0.6以上のブロックキャラクターを得るためには、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の酸性触媒を用いケン化する方法が簡便である。
また、得られたPVA系重合体を加熱しブロックキャラクターを増加させることによって調整する方法もある。
[アセタール化]
本発明において、PVA系重合体(A)に、オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を導入する方法は特に限定されない。例えば、PVA系重合体(B)を、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンによりアセタール化させることにより、上記式(1)で表される単位を有するPVA系重合体(A)を得ることができる。アセタール化方法は、特に限定されず、公知のアセタール化方法を用いることができる。
アセタール化において、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンの使用量は、特に限定されないが、PVA系重合体(B)100質量部に対して、例えば0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
また、アセタール化反応は、酸性触媒の存在下で行うことが好ましい。酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。
酸性触媒の使用量は、特に限定されないが、PVA系重合体(B)100質量部に対して、例えば0.01〜10質量部である。
具体的なアセタール化方法としては、例えば、(i)ビニルエステル系重合体をメタノールなどの溶媒中にて水酸化ナトリウムなどの塩基性触媒でケン化反応させ、PVA系重合体(B)の溶液を得、その後オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンと酸性触媒を添加しアセタール化させ、その後塩基性物質で中和しPVA系重合体(A)の溶液を得る方法;(ii)ビニルエステル系重合体をメタノールなどの溶媒中でケン化触媒として酸性触媒を加えケン化反応させPVA系重合体(B)とした後、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンを添加し、ケン化反応で用いた酸性触媒をそのまま利用し、アセタール化反応させ、その後塩基性物質で中和し、PVA系重合体(A)の溶液を得る方法;(iii)前記(ii)と同様にビニルエステル系重合体を溶媒中で酸性触媒を加えケン化反応させPVA系重合体(B)を得る際に、予めオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンを添加しておき、アセタール化反応させ、その後塩基性物質で中和しPVA系重合体(A)の溶液を得る方法;(iv)水性液としたPVA系重合体(B)にオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンを溶解し酸性触媒下で反応させ、その後塩基性物質で中和しPVA系重合体(A)の水性液を得る方法;(v)スラリー状又は粉末状のPVA系重合体(B)に、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒド及び/又はモノケトンを直接添加、あるいは該モノアルデヒド及び/又はモノケトンをメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールもしくは水に溶解又は分散させた液体を添加し、酸性触媒を加えて反応させ、反応後塩基性物質で中和し、さらに余分な溶媒を乾燥してPVA系重合体(A)を得る方法;等が挙げられる。
(i)〜(iii)の方法では、その後溶媒を乾燥させ固体として得ることができるし、溶媒を水に置換して水性液にすることができる。
(iv)の方法では、水性液として得ることができるので、そのままビニルエステルの懸濁重合に用いることができる。
(v)のスラリー状態で反応させる方法は、PVA系重合体を固体として得ることができるため取り扱いやすい。
尚、(i)〜(v)の方法において、PVA系重合体(A)及びPVA系重合体(B)を水性液とする方法、ケン化、中和、溶解、分散及び乾燥の方法は、特に限定されず、常法を用いることができる。
また、中和に用いる塩基性物質としては、特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン;ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン;トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン;メチルアミン、エチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン;トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン等の有機アミン類等を挙げることができる。
アセタール化反応の際のpHは、3.0以下が反応速度の観点から好ましい。
また、中和のpHは、4.7〜8.5が、PVA系重合体の安定性の観点から好ましい。
本発明において、PVA系重合体(B)は単独で使用しても、あるいは特性の異なる2種以上のPVA系重合体(B)を混合して使用してもよい。
[水性液]
PVA系重合体(A)は、そのまま分散助剤として使用してもよいし、水に溶解させた水性液として使用してもよい。
本発明の水性液は、通常、PVA系重合体(A)及び水を含んでいればよい。水性液は、例えば、PVA系重合体(A)を分散質として、水中に分散又は溶解させたものである。
水性液において、PVA系重合体(A)の含有量は、30〜50質量%が好ましい。
該重合体の割合が30質量%以上であれば、PVA系重合体(A)と水との相溶性が優れ、PVA系重合体(A)が水から分離せず、水性液の放置安定性が向上する等の観点から好ましい。50質量%以下であれば、水性液の粘度が良好となり、流動性が優れる等の観点から好ましい。
本発明の水性液は、PVA系重合体(A)の含有量が30〜50質量%であっても、有機溶媒、分散剤や乳化剤を使用しなくても良好な安定性を有し、1年以上の良好な放置安定性を有する。
水性液を得る方法としては、特に限定されず、例えば、アセタール化時のアルコール等の溶媒をスチーム等の吹き込みにより水に置換する方法、撹拌下で水中へPVA系重合体(A)を投入し、引き続き撹拌してPVAを水に溶解または分散させる方法、更に撹拌時に加熱する方法等が挙げられる。
本発明の水性液には、放置安定性向上の観点から水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール誘導体;などが挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。
環境に対する配慮や作業性の向上の観点から、水溶性の有機溶媒の含有量は水性液に対して3.0質量%以下であることが好ましい。
本発明の水性液のpHは、JISZ8802で規定される測定方法に従って20℃において測定した値が、好ましくは4.5〜7である。
水性液のpHが4.5以上であれば、PVA系重合体(A)を含む水性液を保管した場合に、PVA系重合体(A)中のアセタール基(a)を有する単位の変性度の低下を防止することができる。pHが7を越える場合には、PVA系重合体(A)の残存脂肪酸基との中和反応が起こり、ケン化度が増加してしまうので、pHが7以上になることはない。
本発明の水性液のpHは、アセタール化反応の中和の際のpHで調整することができる。また、水性液のpHは、水性液作成後に酸性物質又は塩基性物質を加えることで調整することもできる。酸性物質又は塩基性物質は、前述のケン化反応やアセタール化反応に用いたものを用いることが好ましい。
本発明の水性液の粘度は、B型回転粘度計を用いて測定した20℃における粘度が、水性液の流動性や取り扱い性が優れる等の観点から、好ましくは10〜5000mPa・s、より好ましくは10〜3000mPa・sである。
[ビニル系樹脂の製造方法]
本発明の分散助剤を用いたビニル系単量体の懸濁重合法について説明する。本発明の分散助剤の存在下で、ビニル系単量体を懸濁重合させることにより、ビニル系樹脂を製造することができる。
懸濁重合は、通常、水性溶媒(例えば、水、加熱された水等)に本発明の分散助剤を添加し、ビニル系単量体を分散させて行う。尚、懸濁重合は、通常、重合開始剤の存在下で行う。
また、懸濁重合は、通常、重合系内に分散安定剤を存在させて行う。当該該分散安定剤は、通常、粒径を調節するために添加される、所謂一次分散剤を示す。
懸濁重合の対象となるビニル系単量体としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等)、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)クリル酸アルキルエステル等)、スチレン系モノマー(例えば、スチレン等)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸等)又はその無水物、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)等が挙げられるが、少なくとも塩化ビニルを含むことが好ましい。これらビニル系単量体は、1種又は2種以上を使用することができる。
塩化ビニルを含むビニル系単量体を懸濁重合させることにより、塩化ビニル系樹脂を得ることができる。塩化ビニル系樹脂の製造においては、使用するビニル系単量体総量に対して、50〜100モル%(又は50〜100質量%)が塩化ビニルであることが好ましい。
分散安定剤としては、例えば、水溶性高分子(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)等が挙げられる。
これらの中でも、PVA系重合体が好ましい。PVA系重合体としては、ケン化度が60モル%以上のPVA系重合体であればよく、このようなPVA系重合体のケン化度は、65〜90モル%であってもよい。中でも、ケン化度65〜90モル%のPVA系重合体や、重合度500〜3500のPVA系重合体が好適に用いられる。
ビニル系単量体の懸濁重合において、本発明の分散助剤の使用量は、特に制限はないが、ビニル系単量体100質量部に対して、分散助剤中に含有されるPVA系重合体(A)の質量が、通常は1質量部以下(例えば、0.001〜1質量部)になる量であり、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.2質量部がさらに好ましい。
一般的に、分散助剤の使用量が多いと懸濁重合が不安定になり易いが、本発明の分散助剤は、使用量が多くても(例えば、分散安定剤100重量部に対して分散助剤を50重量部以上した場合でも)、ビニル系単量体の懸濁重合を安定に行うことができる。
分散安定剤と本発明の分散助剤に含有されるPVA系重合体(A)との添加量の質量比は、分散安定剤の種類等によって一概に言えないが、90/10〜30/70の範囲が好ましく、特に80/20〜50/50が好ましい。
一般的に、分散助剤の使用比率(特に、分散安定剤に対する分散助剤の比率)を増加させると空孔率の高いビニル系樹脂を得ることができるが、懸濁重合が不安定になり易い。本発明の分散助剤を用いれば、分散助剤を高い使用比率(特に、分散安定剤の使用量に対して高い使用比率)で用いても安定した懸濁重合が可能となる。
尚、該分散安定剤及び分散助剤は、重合の初期に一括仕込みしても、又重合の途中で分割して仕込んでもよい。
本発明の分散助剤は、粉体の状態でビニル系単量体の重合系内に添加してもよいし、水性液として(好ましくは、PVA系重合体(A)30〜50質量%の水性液として)調製してから使用してもよい。また、本発明の分散助剤は、水溶性有機溶媒、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒などに溶解して重合系に添加することができる。また、本発明の分散助剤は、ビニル系単量体を重合系内に仕込む際又は仕込んだ後に重合系内に仕込んでもよいが、ビニル系単量体を重合系内に仕込む前に重合系内に仕込むことが好ましい。
また、重合開始剤は限定されず、特に、油溶性であってよく、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカノエートなどのパーオキシエステル化合物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物など、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどのパーオキシド化合物が挙げられる。
重合開始剤は、水又は単量体を仕込む前と仕込む後のどちらに添加してもよい。又は、予め水性エマルジョンとしてから重合槽に添加してもよい。
重合開始剤の添加量は、ビニル単量体又はそれを含む単量体混合物100質量部に対して、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。
なお、本発明のビニル系樹脂の製造方法における種々の条件は、公知の技術を用いることができる。例えば、各原料化合物の仕込み方法、単量体と水性溶媒との仕込み比率、重合温度や、重合転化率や、攪拌回転数等の重合条件は、特に限定されない。また、必要に応じて、消泡剤、重合度調節剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、耐電防止剤等の公知の各種添加剤を併用しても差し支えない。
[ビニル系樹脂]
本発明には、特定のビニル系樹脂も含まれる。ビニル系樹脂の製造方法は、特に限定されないが、通常、上記したビニル系単量体の懸濁重合により製造することができる。
ビニル系樹脂は、PVA系重合体(A)が含有されていてよく、PVA系重合体(A)が重合成分としてビニル系樹脂の重合鎖中に含まれていてもよい。
例えば、本発明の分散助剤の存在下でビニル系単量体を懸濁重合させ、分散助剤に含まれるPVA系重合体(A)の一部を、ビニル系単量体と共に懸濁重合させることにより、PVA系重合体(A)を重合成分として含むビニル系樹脂を製造することができる。
ビニル系樹脂において、PVA系重合体(A)由来の単位の含有量は、特に限定されないが、ビニル系樹脂を構成するモノマー換算で、例えば0.001〜1モル%、好ましくは0.001〜0.5モル%、より好ましくは0.005〜0.2モル%である。
本発明には、特定の塩化ビニル系樹脂も含まれる。塩化ビニル系樹脂の製造方法は、特に限定されないが、通常、上記したビニル系単量体の懸濁重合により製造することができる。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂の用途により最適値は異なるが、塩化ビニル系樹脂の可塑剤として用いられるジオクチルフタレートを、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、通常10質量部以上、好ましくは13〜40質量部、より好ましくは15〜40質量部吸収し得る。可塑剤吸収量が高い方が塩化ビニル系樹脂成形物を得るときにフィッシュアイが少なくなるため好ましい。ただし、通常可塑剤吸収量が高くなると、嵩比重が低くなるので、パイプ用途や窓枠用途のような可塑剤をあまり多く必要としない硬質塩化ビニル系樹脂用途に用いられる場合は、可塑剤吸収量はあまり高い必要はなく10質量部以上等が好ましいが、シートやフィルム用途のような可塑剤を多く含有する必要がある軟質塩化ビニル系樹脂用途に用いられる場合は、可塑剤の吸収量が20質量部以上であることが好ましい。尚、分散助剤は主に可塑剤吸収量を高めるため用いられ、添加量の増減により可塑剤吸収量の高低を調整することができる。本発明の分散助剤は、硬質塩化ビニル系樹脂用途、軟質塩化ビニル系樹脂用途のどちらに用いてもよい。可塑剤吸収量の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
塩化ビニル系樹脂の平均粒子径は、例えば100〜200μm、好ましくは110〜190μm、より好ましくは120〜180μmである。平均粒子径の測定方法は、特に限定されず、例えば、ロータップ式振動篩(JIS篩を使用)を用いて粒度分布を測定することにより、測定することができる。
塩化ビニル系樹脂の最大粒子径は、通常250μm以下である。塩化ビニル系樹脂は、JIS規格の#60篩を通過できない粒子の量が0.1質量%未満であることが好ましい。また、塩化ビニル系樹脂の粒度分布は、60〜250μmの範囲内にあることが好ましい。
また、塩化ビニル系樹脂は、JIS規格の#250篩を通過する粒子の量が0.1質量%未満であることが好ましい。
最大粒子径および粒度分布の測定方法は、特に限定されず、例えば、ロータップ式振動篩(JIS篩を使用)を用いた粒度分布の測定により、測定することができる。
塩化ビニル系樹脂の嵩比重(嵩密度)は、例えば0.35〜0.65g/ml、好ましくは0.4〜0.6g/ml、より好ましくは0.5〜0.6g/mlである。
嵩比重は、押出し速度が向上できるため高い方が好ましい。嵩比重は、JIS K 6721に従って測定することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂は、粗大粒子が無く、可塑剤吸収量に優れ、高い空孔率を持ち、フィッシュアイが発生しにくい等の優れた特性を持っている。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において「%」及び「部」は、特にことわりのない限り、「質量%」及び「質量部」を意味する。
はじめに、本実施例における水性液及び塩化ビニル樹脂(塩化ビニル樹脂)の特性評価方法を、以下に示す。
(水性液の特性評価)
得られた水性液について、安定性、粘度、流動性及び変性量安定性を、それぞれ下記の方法によって確認、測定した。
a)安定性:水性液200gを200mlのトールビカーに入れ、25℃で一日間放置した後の状態を目視で観察した。
○:均一(析出又は相分離なし)、×:不均一(析出又は相分離あり)
b)粘度:水性液の20℃における粘度を、B型回転粘度計を用いて測定した。
c)流動性:水性液の流動性を以下の基準に従って評価した。
○:粘度=5000mPa・s未満、×:粘度=5000mPa・s以上
d)pH:水性液についてJISZ8802で規定される測定方法に従って20℃において測定した。
e)変性量安定性:得られた水性液を室温で1か月間保管した後、オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドの変性度を測定し、水性液製造直後の値と比較した。
○:変性量の変化が水性液製造直後の変性度の10%未満
×:変性量の変化が水性液製造直後の変性度の10%以上
(塩化ビニル樹脂の評価)
塩化ビニル樹脂について、平均粒子径、スケール付着量、粗大粒子含有量、嵩比重、可塑剤吸収性、及びフィッシュアイを次のようにして評価した。
<平均粒子径、粗大粒子含有量>
ロータップ式振動篩(JIS篩を使用)により粒度分布を測定し、平均粒子径を求めた。
尚、塩化ビニル樹脂の平均粒子径は、100μm〜200μmが一般的である。
測定した粒子径分布より、60メッシュオン(すわなち、粒子径が250μm以上)の粗大粒子の含有量を%で表した。該含有量が小さいほど粗大粒子が少なくて粒度分布がシャープであり、重合安定性に優れていることを示す。尚、後述の表2及び3において、該含有量は#60オンと示す。
<スケール付着量>
重合体スラリーを重合槽から取り出した後の重合槽の内壁におけるスケールの付着状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:スケールの付着がほとんどない
△:スケールが目視で分かる程度に付着
×:白色のスケール付着が著しい
<嵩比重>
JIS K6721に準拠して測定した。嵩比重が大きいほど、押出し速度が向上し、加工性が良いことを示す。
<可塑剤吸収性>
底にグラスファイバーを詰めた円筒状容器に得られた樹脂を入れ、過剰のジオクチルフタレート(以下、DOPと略記する)を加え、30分放置することによって樹脂にDOPを浸透させた後、3000rpmで遠心分離することによって余分なDOPを除去した後、樹脂の重量を測定して、重合体100質量%あたりのDOP吸収量を算出した。DOP吸収量が大きいほど、空孔率が大きく、可塑剤吸収性がよく、成形加工性に優れることを示す。また、可塑剤吸収性が高いほど、塩化ビニル重合体の空孔率が高いことを示す。
<フィッシュアイ>
得られた樹脂100質量部、ジオクチルフタレート30質量部、三塩基性硫酸鉛1質量部、ステアリン酸鉛1.5質量部、二酸化チタン0.2質量部、カーボンブラック0.1質量部を150℃で3分間溶融混錬し、厚さ0.3mmのシートを作製し、100mm×100mmあたりのフィッシュアイ(0.4mm以上の透明粒子)の数を目視により測定した。フィッシュアイは、成形品の欠点となるため量は少ないことが好ましい。
<実施例1>
(PVA系重合体(B)の合成)
攪拌機、コンデンサー、窒素ガス導入口及び開始剤投入口を備えた反応槽に、予め酢酸ビニル10質量部、メタノール67質量部及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02質量部を重合缶に仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温した。その後、重合缶上部より、酢酸ビニル140質量部を、13時間かけて少しずつ連続的に滴下した。滴下が終了してから1時間後、重合率95%に達した時点で系を冷却し、重合を停止した。
次に、常法により未反応の酢酸ビニルを除去し、メタノール含量を調整しポリ酢酸ビニルの濃度が60%になるように調整した。得られたポリ酢酸ビニルの60%メタノール溶液100質量部に、ケン化触媒としてp−トルエンスルホン酸の45%メタノール溶液3質量部を加えて良く混合し、50℃でケン化反応を行い、水酸化ナトリウムの5%メタノール溶液6.5質量部を加え中和しケン化反応を停止し、PVA系重合体(B)の溶液を得た。得られた溶液を乾燥して、分析したところ、ケン化度53.0モル%、平均重合度230、ブロックキャラクター0.70であった。
(PVA系重合体(A)の合成)
上記で得られたPVA系重合体(B)の溶液100質量部に水2質量部を加え、さらにアクロレイン0.35質量部を加え良く混合した後、パラトルエンスルホン酸の45%メタノール溶液1質量部を添加し、40℃の温度で30分間反応を行った。次いで、5%水酸化ナトリウム水溶液を系のpHが7.1になるまで加えて中和した。次いで、真空乾燥機を用いて100℃で2時間乾燥しPVA系重合体(A)を得た。このPVA系重合体(A)の分析値は、ケン化度55.3モル%、重合度230で、ブロックキャラクターは、0.70であった。また、d6−DMSO溶媒に溶解させてH−NMR測定を行ったところ、5.8、5.4、5.2ppmに二重結合由来のシグナルが観測された。このシグナル強度から求めたアクロレインのPVA系重合体(A)への変性量は0.9モル%であった。
PVA系重合体(A)の製造条件のまとめと分析結果を表1に示す。
(水性液の作成)
上記のようにして得られたPVA系重合体(A)を溶質として40質量%含有するように水中に投入し、80℃で1時間撹拌することにより溶解し、室温まで冷却することにより水性液を得た。得られた水性液の評価結果を表1に示す。
得られた水性液のpHは5.7であった。また、水性液の析出及び相分離はなく安定で、流動性は良好であり、水性液を1か月間室温保管した後の変性量の変化は10%未満であった。
(塩化ビニルの懸濁重合(1)−分散助剤の使用比率の小さい処方)
上記で得られたPVA系重合体(A)の水性液を、分散助剤として用いて、以下に示す条件にて塩化ビニルの懸濁重合を行った。
内容積100リットルの重合機(耐圧オートクレーブ)に、脱イオン水112.5質量部に、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度80モル%、重合度2500)0.06質量部、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度72モル%、重合度800)0.02質量部を溶解させ仕込んだ。さらに上記で得られた本発明の水性液(PVA系重合体(A)の含有量が40%)0.0625質量部(PVA系重合体(A)として0.025質量部)を仕込み、さらにt−ブチルパーオキシネオデカエート0.05質量部を投入した。次に、重合機内を40mmHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体を100質量部仕込み、攪拌を開始した。重合温度は57℃とし、重合終了までこの温度を保持した。尚、本発明の水性液は室温で1か月以上保管した後のものを使用した。
重合転化率が80%に達した時点で反応を終了し、重合機内の未反応単量体を回収した後、重合体スラリーを系外に取り出し、脱水乾燥し、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
(塩化ビニルの懸濁重合(2)−分散助剤の使用比率の大きい処方)
上記で得られたPVA系重合体(A)の水性液を、分散助剤として用いて、以下に示す条件にて塩化ビニルの懸濁重合を行った。
内容積100リットルの重合機(耐圧オートクレーブ)に、脱イオン水112.5質量部に、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度80モル%、重合度2500)0.04質量部、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度72モル%、重合度800)0.01質量部を溶解させ仕込んだ、さらに上記で得られた本発明の水性液(PVA系重合体(A)の含有量が40%)0.1質量部(PVA系重合体(A)として0.04質量部)を仕込み、さらにt−ブチルパーオキシネオデカエート0.05質量部を投入した。次に、重合機内を40mmHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体を100質量部仕込み、攪拌を開始した。重合温度は57℃とし、重合終了までこの温度を保持した。尚、本発明の水性液は室温で1か月以上保管した後のものを使用した。
重合転化率が80%に達した時点で反応を終了し、重合機内の未反応単量体を回収した後、重合体スラリーを系外に取り出し、脱水乾燥し、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表3に示す。
分散助剤の使用比率の小さい処方のみならず、使用比率の大きい処方においても安定した重合ができ、スケールの付着がなく、粗大粒子が無く、非常に高い空孔率を持ち、可塑剤吸収量が非常に高く、フィッシュアイの非常に少ない良好な塩化ビニル樹脂が得られた。尚、いずれの処方においても、塩化ビニル樹脂にはPVA系重合体(A)が含まれていた。
<実施例2〜8>
表1に示すオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドを用いた以外は実施例1と同様にして合成されたPVA系重合体(A)を用い、実施例1と同様にして水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び3に示す。
得られた水性液は、全ての例において、析出及び相分離はなく安定で、流動性は良好であり、水性液を1か月間室温保管した後の変性量の変化は10%未満であった。
また、全ての例において、分散助剤の使用比率の小さい処方でも分散助剤の使用比率の大きい処方でもどちらの処方でも、特に分散助剤使用比率の大きい処方においても安定した重合ができ、スケールの付着がなく、粗大粒子が無く、非常に高い空孔率を持ち、可塑剤吸収量が非常に高く、フィッシュアイの非常に少ない良好な塩化ビニル樹脂が得られた。尚、いずれの処方においても、塩化ビニル樹脂にはPVA系重合体(A)が含まれていた。
<実施例9〜12>
表1に示す重合度、ケン化度及びブロックキャラクターを有するPVA系重合体(A)が得られるように酢酸ビニルの重合に用いるメタノールの使用量、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)の添加量、反応収率、ケン化反応時間、中和剤の使用量を、適宜変えた以外は実施例1と同様の方法で合成したPVA系重合体(B)、及び表1に示すオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドを用いて実施例1と同様にして合成されたPVA系重合体(A)を用い、実施例1と同様にして表1に示すPVA系重合体(A)含有量の水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び3に示す。
得られた水性液は、全ての例において、析出及び相分離はなく安定で、流動性は良好であり、水性液を1か月間室温保管した後の変性量の変化は10%未満であった。
また、全ての例において、分散助剤の使用比率の小さい処方でも分散助剤の使用比率の大きい処方でもどちらの処方でも、特に分散助剤使用比率の大きい処方においても安定した重合ができ、スケールの付着がなく、粗大粒子が無く、非常に高い空孔率を持ち、可塑剤吸収量が非常に高く、フィッシュアイの非常に少ない良好な塩化ビニル樹脂が得られた。
<比較例1>
表1に示すようにPVA系重合体(B)の代わりにPVA系重合体(A)をそのまま分散助剤として用いた以外は、実施例1と同様にして水性液を作り、実施例1と同様にして2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。
得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び表3に示す。
分散助剤の使用比率の小さい処方では、実施例1の結果とそれほど大きな差は無かったが、分散助剤の使用比率の大きい処方では、安定した重合ができず、スケールの付着があり、粗大粒子があり、空隙率、可塑剤吸収量がやや低く、フィッシュアイが多い塩化ビニル樹脂しか得られなかった。
<参考例1、2>
表1に示すようなケン化度となるようにケン化時間を変化させた以外は実施例1と同様にして合成されたPVA系重合体(A)を用い、実施例1と同様にして水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び表3に示す。
参考例1では、表1に示すとおり実施例1と同様にして40質量%の水性液を得ようとしたが、PVA系重合体(A)はケン化度が38.5モル%と低すぎたため、水への分散性が悪く、均一な水性液を得ることができなかった。そのため塩化ビニルの重合試験は行わなかった。
参考例2では、PVA系重合体(A)のケン化度が66.5モル%と高すぎたため、PVA系重合体(A)は分散助剤としての十分な効果が得られず、表2及び表3に示すとおり分散助剤の使用比率の小さい処方でも分散助剤の使用比率の大きい処方でも、粗大粒子があり均一な重合体粒子が得られず、スケール付着量が多く安定な重合ができず、また、空孔率、可塑剤吸収量は十分ではなく、フィッシュアイが多く、良好な塩化ビニル樹脂を得ることはできなかった。
<参考例3、4>
表1に示す重合度のPVA系重合体(B)が得られるように酢酸ビニルの重合に用いるメタノールの使用量、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)の添加量、反応収率を、適宜変えた以外は実施例1と同様の方法で合成したPVA系重合体(B)を用いた以外は実施例1と同様にして合成されたPVA系重合体(A)を用い、実施例1と同様にして水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び表3に示す。
参考例3では、重合度が110と低すぎたため、分散助剤としての性能が不十分であり、分散助剤の使用比率の小さい処方では、スケールの付着があり、粗大粒子があり、フィッシュアイが多く、分散助剤の使用比率の大きい処方では、安定した重合ができず、スケールの付着があり、粗大粒子があり、空隙率、可塑剤吸収量がやや低く、フィッシュアイが多い塩化ビニル樹脂しか得られなかった。
参考例4は、重合度が550と高すぎたため、表1に示すとおり水性液の流動性が非常に悪かった。そのため、塩化ビニルの懸濁重合で重合槽に添加したときに上手く水性媒体に分散せず、十分な効果を得ることはできず、表2及び表3に示すとおり分散助剤使用比率が少ない処方でも、分散助剤使用比率が多い処方でもどちらにおいても、得られた塩化ビニル樹脂は、粗大粒子があり均一な重合体粒子が得られず、スケール付着量が多く安定な重合ができておらず、また、空孔率、可塑剤吸収量も十分ではなく、フィッシュアイも多く、良好な塩ビ樹脂を得ることができなかった。
<参考例5>
表1に示すブロックキャラクターを有するPVA系重合体(B)が得られるようにケン化触媒を水酸化ナトリウムの5%メタノール溶液3質量部、中和剤を酢酸の5%メタノール溶液0.3質量部に変えた以外は実施例1と同様の方法で合成したPVA系重合体(B)を用いた以外は実施例1と同様にして合成されたPVA系重合体(A)を用い、実施例1と同様にして水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び表3に示す。
PVA系重合体(A)のブロックキャラクターが0.47と低すぎたため、水性液の流動性が悪かった。そのため、塩化ビニルの懸濁重合で重合槽に添加した時に上手く水性媒体に分散せず、十分な効果を得ることはできず、分散助剤使用比率が少ない処方でも、分散助剤使用比率が多い処方でもどちらにおいても、得られた塩化ビニル樹脂は、粗大粒子があり均一な重合体粒子が得られず、スケール付着量が多く安定な重合ができておらず、また、空孔率、可塑剤吸収量も十分ではなく、フィッシュアイも多く、良好な塩ビ樹脂を得ることができなかった。
<参考例6、7>
実施例1と同様のPVA系重合体(A)を用い、PVA系重合体(A)の含有量のみを表1に示すように変化させた以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法で水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び表3に示す。
参考例6は、水性液のPVA系重合体(A)の含有量が低すぎたため、水性液の安定性が悪く、分離析出が起こってしまった。そのため、塩化ビニルの懸濁重合で、重合槽に添加するときに上手く水に分散せず、十分な効果を得ることはできず、分散助剤使用比率が少ない処方でも、分散助剤使用比率が多い処方でもどちらにおいても、得られた塩化ビニル樹脂は、粗大粒子があり均一な重合体粒子が得られず、スケール付着量が多く安定な重合ができておらず、また、空孔率、可塑剤吸収量も十分ではなく、フィッシュアイも多かった。
参考例7は、水性液のPVA系重合体(A)の含有量が高すぎたため、水性液の流動性が非常に悪かった。そのため、塩化ビニルの懸濁重合で、重合槽に添加するときに上手く水に分散せず、十分な効果を得ることはできず、分散助剤使用比率が少ない処方でも、分散助剤使用比率が多い処方でもどちらにおいても、得られた塩化ビニル樹脂は、粗大粒子があり均一な重合体粒子が得られず、スケール付着量が多く安定な重合ができておらず、また、可塑剤吸収量も十分ではなく、フィッシュアイも多かった。
<参考例8>
オレフィン系不飽和二重結合を持つアルデヒドで用いるアセタール化反応の中和の水酸化ナトリウムの添加量を2.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして得たPVA系重合体(A)を用い、実施例1に記載の方法と同様の方法で水性液を作り、実施例1と同様に2つの処方で塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。得られた塩化ビニル樹脂の評価結果を表2及び表3に示す。
オレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドのアセタール化反応に用いた酸触媒の中和が不十分であったため、表1に示すとおり得られた水性液のpHが2.8と低くなってしまった。そのため、室温で1か月間保管した後のオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドの変性量は10%以上となり、大きく低下しまった。そのため、本発明の効果が十分得られず、表2に示すとおり分散助剤の使用比率の小さい処方では実施例1と大きく変わらない結果が得られたが、表3に示すとおり分散助剤の使用比率が多い処方では、得られた塩化ビニル樹脂は、粗大粒子があり均一な重合体粒子が得られず、スケール付着量が多く安定な重合ができておらず、また、空孔率、可塑剤吸収量も十分ではなく、フィッシュアイも多かった。
<参考例9〜10>
表1に示すようにオレフィン系不飽和二重結合を有するモノアルデヒドの代わりに脂肪族ジアルデヒドを使用した以外は実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成した。
参考例9及び10では、脂肪族ジアルデヒドを用いたため、得られたPVA系重合体が不溶化してしまい、表1に示すとおり水性液を得ることができなかった。そのため塩化ビニルの重合試験はできなかった。なお、アセタール化度は未反応アルデヒドの量より求めた。
本発明の分散助剤は、高い空孔率を得るために多量に使用した場合でも重合槽へのスケールの付着が少なく安定的に良好な重合物が得られ、粗大粒子がなく、非常に高い空孔率を持ち、可塑剤吸収性に優れた塩化ビニル系樹脂を得ることができるため、工業的に極めて有用である。

Claims (16)

  1. オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上のポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合用分散助剤。
  2. ポリビニルアルコール系重合体(A)中のアセタール基(a)を含む単位の変性量が、ポリビニルアルコール系重合体(A)のモノマーユニットあたり0.01〜10モル%である請求項1記載の懸濁重合用分散助剤。
  3. 水溶性高分子とともに重合系に存在させて懸濁重合させるための請求項1又は2に記載の懸濁重合用分散助剤。
  4. 水溶性高分子が、ケン化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体である請求項3記載の懸濁重合用分散助剤。
  5. ビニル系単量体の重合に用いるための請求項1〜4のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤。
  6. ビニル系単量体が塩化ビニルを含む請求項5記載の懸濁重合用分散助剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤を含有する水性液。
  8. ポリビニルアルコール系重合体(A)を30〜50質量%含有する請求項7記載の水性液。
  9. pHが4.5〜7である請求項7又は8に記載の水性液。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の懸濁重合用分散助剤の存在下で、ビニル系単量体を懸濁重合させるビニル系樹脂の製造方法。
  11. さらに、水溶性高分子の存在下で懸濁重合させる請求項10記載の製造方法。
  12. 水溶性高分子が、ケン化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体である請求項11記載の製造方法。
  13. ビニル系単量体が塩化ビニルを含む請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. オレフィン系不飽和二重結合を有するアセタール基(a)を有し、ケン化度が45〜60モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上のポリビニルアルコール系重合体(A)を重合成分として含む、ビニル系樹脂。
  15. ポリビニルアルコール系重合体(A)中のアセタール基(a)を含む単位の変性量が、ポリビニルアルコール系重合体(A)のモノマーユニットあたり0.01〜10モル%である請求項14記載のビニル系樹脂。
  16. 塩化ビニル系樹脂である請求項14又は15に記載のビニル系樹脂。
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