JP2017105710A - サファイア単結晶育成用ダイ及びダイパック、サファイア単結晶育成装置、サファイア単結晶の育成方法 - Google Patents

サファイア単結晶育成用ダイ及びダイパック、サファイア単結晶育成装置、サファイア単結晶の育成方法 Download PDF

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弘倫 斎藤
矢口 洋一
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Abstract

【課題】
EFG法によるサファイア単結晶の育成に使用するダイ上面の曲率Rを、長い時間やコストをかけることなく迅速に決定することにより、大口径かつ結晶品質に優れたサファイア単結晶及びサファイア基板を提供すること。並びに、EFG法によるサファイア単結晶の育成に用いられるダイ及びダイパックと、サファイア単結晶の育成方法を提供すること。
【解決手段】
EFG法によるサファイア単結晶の育成に使用するダイであって、上面が長手方向に曲率Rを有し、前記曲率Rが長手方向の幅Wの5倍以下であることを特徴とするダイを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、サファイア単結晶育成用ダイ及びダイパック、サファイア単結晶育成装置、サファイア単結晶の育成方法に関する。
従来、単結晶を成長させる方法として、チョクラルスキー(CZ)法、ヒートエクスチェンジ(HEM)法、ベルヌイ法、エッジデファインド・フィルムフェッド・グロース(EFG)法などが知られている。このうち、平板形状の単結晶を製造する方法としてはEFG法が唯一の方法として知られている。EFG法は、所定の結晶方位を有する単結晶を製造する場合に極めて利用価値が高い結晶製造方法であり、EFG法を用いて育成されたサファイア単結晶は、薄板状の基板加工への工数を減らすことができるという利点があることから、青色発光素子のエピタキシャル成長基板をはじめとする様々な用途に用いられている。
EFG法を用いたサファイア単結晶の量産方法として、特許文献1が知られている。特許文献1には、平板形状の単結晶材を成長させる原料溶融液面の長手方向に垂直な方向に、結晶成長用の種結晶を配置して引き上げることにより、一枚の種結晶から複数枚の単結晶材を育成するサファイア単結晶の製造方法とダイが開示されている。
特許文献2には、EFG法を用いたシリコンリボン単結晶成長装置において、キャピラリ上縁の長辺方向における形状が、その両端に対し中央部分が凹んでいるダイが開示されている。特許文献2のダイは、キャピラリ上縁の長辺方向の幅寸法Wに対し3W乃至20Wの曲率をもって凹形に湾曲していることを特徴としており、幅寸法が2.54cmのキャピラリを使用して、シリコンリボン結晶の引き上げ速度が毎分20mmのときには曲率Rが250mm、毎分30mmのときには曲率Rが150mmのものを用いて良質のリボン結晶が得られると記載されている。特許文献2に記載の湾曲したダイを用いてシリコン単結晶を成長させると、固液界面が水平面になるため育成結晶の結晶欠陥を抑えることができることが記載されている。
特許第4465481号公報 特開昭52−156184号公報
本出願人が従来から製造していたサファイア基板は、年々市場が求める基板サイズが大口径化し、育成結晶を大型化する必要があった。大口径化への対応として、ダイの長手方向の幅を変更して育成結晶を大型化する方法が試みられたが、育成結晶に線欠陥(slip)や結晶粒界(grain boundary)等の結晶欠陥が多数発生し、良好な大型結晶が得られなかった。
それに加えて、結晶育成中に融液が一時的に固化してしまうフリーズという現象が頻繁に発生していた。フリーズが起こると、結晶品質が悪くなるだけでなく、程度によっては育成を中断しなくてはならなくなり、結果として製品歩留まりが低下するという問題も引き起こしていた。
本発明者は、サファイア単結晶を育成する際、上面が僅かに湾曲したダイを用いることによって、上記の結晶欠陥の発生を抑える効果があるという知見を経験的に得ていた。しかしながら、特許文献2に開示されている3W乃至20Wを適用しても良好なサファイアの大型結晶は得られなかった。即ち、特許文献2では、単にキャピラリの幅寸法Wが2.54cmの場合の曲率R150mm及び250mmが、3W乃至20Wの範囲に含まれていたという結果を示しているにすぎず、サファイア単結晶育成には適用できなかった。そのため、サファイア単結晶について、結晶幅に応じた最適な曲率Rを決定する手法は確立されておらず、従来は、曲率Rを変更したダイを実際に数種類用意し、育成試験を繰り返すことによって結晶幅に応じた最適な曲率Rを決定する必要があり、長い時間とコストがかかっていた。
前述したように、大口径かつ結晶品質に優れたサファイア基板を市場に提供することが求められており、長い時間やコストをかけることなく最適な曲率Rを迅速に決定する必要があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長い時間やコストをかけることなく、ダイ上面の曲率Rを迅速に決定することにより、大口径かつ結晶品質に優れたサファイア単結晶及びサファイア基板を提供することを目的とする。また、EFG法によるサファイア単結晶育成に適用可能なダイ及びダイパックと、サファイア単結晶育成装置、サファイア単結晶の育成方法を提供することを目的とする。
本発明者は、育成結晶幅に応じたダイ上面の曲率Rの最適値を迅速に決定する手法を見出し、それによって求められた曲率Rを有するダイ及びダイパックを用いると、結晶品質に優れたサファイア単結晶及びサファイア基板を量産できることを見出した。本発明者の検証によると、サファイア単結晶育成に適用可能なダイ上面の曲率Rは、特許文献2に示された数値範囲とは異なることが分かった。
(1)即ち、本発明に係るダイは、EFG法によるサファイア単結晶の育成に使用するダイであって、上面が長手方向に曲率Rを有し、前記曲率Rが長手方向の幅Wの5倍以下であることを特徴とする。
(2)また、本発明に係るダイの一実施形態は、前記サファイア単結晶の成長主面がc面であることを特徴とする。
(3)また、本発明に係るダイの他の実施形態は、前記曲率Rが前記幅Wの3倍未満であることを特徴とする。
(4)また、本発明に係るダイの他の実施形態は、前記サファイア単結晶の成長主面がa面であることを特徴とする。
(5)また、本発明に係るダイパックは、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の前記ダイを複数組平行に対向配置させたダイパックであって、その数が2以上80以下であることを特徴とする。
(6)また、本発明に係るサファイア単結晶育成装置は、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のダイ又は上記(5)に記載のダイパックを用いることを特徴とする。
(7)また、本発明に係るサファイア単結晶の育成方法は、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のダイ又は上記(5)に記載のダイパックを使用することを特徴とする。
本発明によれば、長い時間やコストをかけることなく、ダイ上面の曲率Rを迅速に決定することにより、大口径かつ結晶品質に優れたサファイア単結晶及びサファイア基板の提供が可能になるという効果を有する。さらには、EFG法によるサファイア単結晶育成に適用可能なダイ及びダイパックと、サファイア単結晶育成装置、サファイア単結晶の育成方法を提供することが可能になるという効果を有する。
本発明に係るダイ及びダイパックを説明する(a)正面図、(b)側面図である。 ダイの長手方向の幅Wとダイ上面の曲率Rの関係を示すグラフである。 EFG法によるサファイア単結晶の製造装置を示す概略構成図である。 (a) 本発明の実施形態における種結晶とダイ及びダイパックの位置関係を模式的に示す図である。(b) 本発明の実施形態における、種結晶の一部を溶融する様子を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るサファイア単結晶のスプレーディング(spreading)工程を模式的に示す斜視図である。 EFG法により得られる複数枚のサファイア単結晶を模式的に示す斜視図である。 育成結晶の主面をc面とした場合のダイ長手方向の幅Wとダイ上面の曲率Rの関係を示すグラフである。 育成結晶の主面をa面とした場合のダイ長手方向の幅Wとダイ上面の曲率Rの関係を示すグラフである。
以下、図1を参照して、本発明に係るダイ及びダイパックについて詳細に説明する。
本発明のダイ101及びダイパック102の一例は、図1(a),(b)に示すように、一対の仕切り板201が微小間隙を空けて対向配置されている。原料溶融液は、該微小間隙を伝ってダイ上部に導かれ、原料溶融液面を形成する。仕切り板201は同一の平板形状を有し、微小間隙(スリット202)を形成するように平行に配置されている。
図1(a)は本発明に係るダイ101及びダイパック102の正面図、(b)は側面図である。本明細書中で記載する「ダイ」とは、一対の仕切り板(201,201)によって構成されるものを呼ぶものとする。そして「ダイパック」とは、前記ダイ101が複数組、互いのスリットが平行になるように対向配置したものを呼ぶものとする。
図1(a),(b)に示すように、本発明に係るダイ及びダイパックは、その上面がダイの長手方向に対し曲率Rを有している。曲率Rは、育成する結晶の直胴部分の幅によって決定される。ダイの長手方向の幅Wは、育成する結晶の直胴部分の幅と同一の幅を持つように設計される。結晶育成が行われるダイの上面形状は、一例として図1(a)に示すように、上面に傾斜面を有し、鋭角の開口部が形成されたものを用いるのが好ましい。
本発明者が実際に曲率Rの異なる数種類のダイ及びダイパックを準備して行った育成試験によれば、EFG法によるサファイア単結晶育成に適用可能な曲率Rは、ダイの長手方向の幅Wの5倍以下とするのが好ましい。5倍以下とすることで、ダイの長手方向における中央部分と端の部分での温度分布を小さくすることができるため、サファイア単結晶の成長主面の結晶面にかかわらず、結晶欠陥や育成中におけるフリーズの発生を抑えることが可能となり、結晶品質に優れたサファイア単結晶を製造できる。また、ダイの設計が容易になるという効果も有する。
さらに本発明者の育成試験による検証によれば、成長主面毎に幅Wに対する曲率Rの最適値を求める場合、幅Wの5倍以下とすることに加え、二次関数である数式R=eW2+fWを適用するのが好ましい。二次関数を適用して曲率Rの最適値を求める手法は、後述する実施例に基づいて本発明者が見出した手法である。図2は、ダイの長手方向の幅Wとダイ上面の曲率Rの関係を示すグラフであり、二次関数であるR=eW2+fWを適用する手法によって、あらゆる結晶幅に対して、曲率Rの最適値を簡便に決定することが可能となる。
ここで、育成結晶の成長主面にかかわらず、eは0.001以上0.2以下の値とするのが好ましい。eに加えて、fは0.001以上3以下とするのが好ましい。e及びfを上記の数値範囲とすることにより、育成結晶の成長主面にかかわらず、結晶欠陥やフリーズの発生を抑えることが可能となり、結晶品質に優れたサファイア単結晶を製造できる。
本発明者の育成試験による検証によれば、e及びfは、育成結晶の成長主面によって最適な数値範囲を選択すればよい。例えば成長主面がc面の場合は、eが0.001以上0.2以下、且つ、fが0.001以上3以下とするのが好ましく、eが0.001以上0.05以下、且つ、fが0.001以上3以下とするのがより好ましい。また、e及びfの条件に加えて、R/Wが3未満の値を有するように設定されるのが好ましい。すなわち、成長主面がc面の場合、曲率Rはダイの長手方向の幅Wの3倍未満とするのが好ましい。e及びfに数値範囲が設定されていることで、同じ幅Wであっても育成結晶の厚みやダイの枚数が異なる場合における若干の設計自由度を確保することが可能となる。
また、主面がa面の場合は、eが0.001以上0.1以下とするのが好ましく、さらに、eを0.005以上0.05以下とするのがより好ましい。また、前記eに加えてfの値は0.5以上2.5以下とするのが好ましい。
また、数式R=eW2+fWにより求められた曲率Rは、最大で±25%、好ましくは±10%、さらに好ましくは±5%の範囲内で必要に応じて変更することが可能であり、ダイの加工難易度を下げることができる。従って、ダイの加工コストを下げることが可能になる。
本発明のダイ及びダイパックにおいて、長手方向の幅Wは育成結晶の幅に対応し、その幅は20mm以上300mm以下であることが望ましい。幅Wが20mm未満と小さい場合には、ダイの長手方向に曲率Rを設ける効果自体が小さいため好ましくない。また、300mmを超えると、前述の数式を用いて曲率Rの最適値を求めることが困難になるため、好ましくない。20mm以上300mm以下とすることによって、結晶品質に優れ、かつ300mm以下までの大口径サファイア基板に対応した大型のサファイア単結晶を育成することができる。
図1(a)に示されるように、一対の仕切り板によって構成されるダイ101の厚みtは、育成結晶の厚みに対応する。本発明のダイは、その厚みtを1mm以上10mm以下とすることが望ましい。厚みtを1mm以上とすることで、育成されたサファイア単結晶自身の強度と自立性を確保することができる。さらに、サファイア基板に加工する場合でも、十分な加工代を確保することができる。また、厚みtが10mmを超えると結晶品質に優れたサファイア単結晶を得ることが困難となるため、10mm以下とするのが好ましい。
また本発明のダイパック102の一例は、前記ダイが複数組、互いのスリットが平行になるように対向配置したものである。本発明では、その数は2以上80以下、より好ましくは2以上50以下とするのが望ましい。本発明のダイパックを用いると、共通の種結晶から複数枚のサファイア単結晶を育成できるため量産性を向上できる。しかしながら、その数は育成結晶幅と結晶厚みによって制限を受ける。育成結晶枚数が80を超えると、枚数方向の温度バランス調整が難しくなるため好ましくない。
前記ダイ及びダイパックの材質は、サファイア単結晶育成時において2000℃を超える高温下での使用に適している高融点金属のモリブデン又はモリブデンの合金が好ましい。
前記ダイ及びダイパックは、育成結晶幅及び厚み、育成枚数に応じて作製され、坩堝内に設置される。
以下、本発明に係るダイ及びダイパックを使用して、EFG法においてサファイア単結晶を育成する方法について、図3〜図6を参照しながら詳細に説明する。ここでは、ダイパックを使用して複数枚のサファイア単結晶を育成する場合について説明するが、ダイを使用して一枚のサファイア単結晶を育成する場合も同様に育成することができる。
図3に示すように、サファイア単結晶の製造装置3は、サファイア単結晶を育成する育成容器4と、育成したサファイア単結晶を引き上げる引き上げ容器5とから構成され、EFG法により複数枚のサファイア単結晶20を成長させる。
育成容器4は、坩堝6、坩堝駆動部7、ヒータ8、電極9、ダイパック102、及び断熱材10を備える。坩堝6はモリブデン又はモリブデンの合金製であり、酸化アルミニウム原料を溶融する。坩堝駆動部7は、坩堝6をその鉛直方向を軸として回転させる。ヒータ8は坩堝6を加熱する。また、電極9はヒータ8を通電する。
ダイパック102は坩堝6内に設置され、サファイア単結晶を引き上げる際の酸化アルミニウム融液(以下、必要に応じて単に「融液」と表記)の液面形状を決定する。また断熱材10は、坩堝6とヒータ8とダイパック102を取り囲んでいる。
更に育成容器4は、雰囲気ガス導入口11と排気口12を備える。雰囲気ガス導入口11は、雰囲気ガスとして例えばアルゴンガスを育成容器4内に導入するための導入口であり、坩堝6やヒータ8、及びダイパック102の酸化消耗を防止する。一方、排気口12は育成容器4内を排気するために備えられる。
引き上げ容器5は、シャフト13、シャフト駆動部14、ゲートバルブ15、及び基板出入口16を備え、種結晶21から結晶成長した複数枚のサファイア単結晶20を引き上げる。シャフト13は種結晶21を保持する。またシャフト駆動部14は、シャフト13を坩堝6に向けて昇降させると共に、その昇降方向を軸としてシャフト13を回転させる。ゲートバルブ15は育成容器4と引き上げ容器5とを仕切る。また基板出入口16は、種結晶21を出し入れする。
なお製造装置3は、図示されない制御部も有し、この制御部により坩堝駆動部7及びシャフト駆動部14の回転を制御する。
次に、前記製造装置3を使用したサファイア単結晶20の製造方法について、図4〜図6を参照しながら説明する。最初にサファイア単結晶の原料である造粒された酸化アルミニウム原料粉末(99.99%酸化アルミニウム)をダイパック102が収納された坩堝6に所定量投入して充填する。酸化アルミニウム原料粉末には、製造しようとするサファイア単結晶の純度又は組成に応じて、酸化アルミニウム以外の化合物や元素が含まれていても良い。
続いて、坩堝6やヒータ8若しくはダイパック102を酸化消耗させないために、育成容器4内をアルゴンガスで置換し、酸素濃度を所定値以下とする。
次に、ヒータ8で加熱して坩堝6を所定の温度とし、酸化アルミニウム原料粉末を溶融する。酸化アルミニウムの融点は2050℃〜2072℃程度なので、坩堝6の加熱温度はその融点以上の温度(例えば2100℃)に設定する。加熱後しばらくすると原料粉末が溶融して、酸化アルミニウム融液17が用意される。図4(a)に示すように、融液の一部はダイのスリット202を毛細管現象により上昇してダイパック102の表面に達し、スリット上部に融液溜まり18が形成される。
次に、図4(b)に示すように、スリット上部の融液溜まり18の長手方向に対して垂直な角度に種結晶21を保持しつつ降下させ、種結晶21を融液溜まり18の融液面に接触させる。なお、種結晶21は、予め基板出入口16から引き上げ容器5内に導入しておく。
図4(a),(b)に示す種結晶21の形状は一例である。種結晶21の平面方向とダイパック102の長手方向が、互いに90°の角度で直交となるように配置されることによって、一枚の種結晶から複数枚のサファイア単結晶を同時に育成することが可能となる。従って、育成されたサファイア単結晶20の平面方向も、種結晶21の平面方向に90°の角度で直交することになる。
次に、図5に示すようにネック部分22を形成する。具体的には、まずシャフト13により基板保持具を高速で上昇させながら細いネック部分22を作製(ネッキング)する。以降ではこの工程をネッキング工程と称する。
ネック部分22は、種結晶21の厚み若しくは融液溜まり18の幅程度の細い径を有する結晶部分であり、結晶欠陥を低減又は除去するために形成される。またネック部分22の長さは、その径の3倍程度まで形成される。この程度まで結晶成長されると、ネック部分22で結晶欠陥が発生しても、その欠陥はサファイア単結晶20まで形成されることが防止される。従ってネッキング工程を経ることにより、結晶欠陥が低減又は解消された平板形状のサファイア単結晶20を製造することが可能となる。
ネッキング工程を経た後、ヒータ8を制御して坩堝6の温度を降下させると共に、基板保持具の上昇速度を所定の速度に設定し、種結晶21を中心に、図5に示すようにサファイア単結晶20をダイの長手方向に拡幅するように結晶成長させる(スプレーディング工程)。図5は、スプレーディング工程により該サファイア単結晶20の幅が広がる様子を示した模式図である。
サファイア単結晶20が、ダイの全幅まで拡幅すると(フルスプレッド)、ダイの長手方向の幅Wで規定される結晶幅を有する直胴部分23の育成が開始される(直胴工程)。直胴工程では、互いに略平行で対向する側面で規定される直胴部分を有する複数のサファイア単結晶20が製造される。直胴長さは特に限定されないが、2インチ以上(50.8mm以上)が好ましい。前述のネッキング工程、スプレーディング工程及び直胴工程を経て、図6に示すような、複数枚のサファイア単結晶20が得られる。
この後、得られた複数枚のサファイア単結晶20を放冷し、ゲートバルブ15を空け、引き上げ容器5側に移動して、基板出入口16から取り出す。
以上説明したような製造装置3、及びダイパック102を用いることにより、共通の種結晶21から複数枚のサファイア単結晶20を製造することが出来る。なお、種結晶21の結晶面を任意に設定することで、サファイア単結晶20の主面の結晶面も任意に変更することが可能となる。サファイア単結晶20の主面は、a面に限定されず、例えばc面、r面、m面等、所望の結晶面に設定することが可能である。
図1に示したダイパック102及び図3に示したサファイア単結晶の製造装置3を用いて、上述した方法でc面を主面とする複数のサファイア単結晶20を製造した。ダイ上面の曲率R(mm)、ダイの長手方向の幅W(mm)を表1に示すようにダイパック102の各パラメータとして変更し、実施例1〜5および比較例1、2のサファイア単結晶20を得た。なお、幅Wが105mmである実施例2〜4、及び比較例1におけるダイの厚みtは同一である。また、実施例3、4、及び比較例1における育成枚数は同一であり、実施例1、2とは育成枚数が異なっている。また、幅Wが155mmである実施例5と比較例2における、ダイの厚みt及び育成枚数は同一である。
Figure 2017105710
得られたサファイア単結晶20の結晶性を評価したところ、実施例1〜5では線欠陥や結晶粒界といった結晶箇所が無く良好な単結晶であったが、比較例1、2では線欠陥や結晶粒界が存在し結晶性が良好ではなかった。
図7は、育成結晶の主面をc面とした場合のダイ長手方向の幅Wとダイ上面の曲率Rの関係を示すグラフである。グラフ中では実施例1〜5を◆でプロットし、比較例1、2を×でプロットしている。また、グラフ中に示した曲線は実施例1〜5のデータを最小二乗法により近似した近似曲線であり、数式R=eW2+fWの関係を示す二次曲線である。
図7に示したように、良好な単結晶が得られた実施例1〜5は前述した数式R=eW2+fWの関係式を満たしているが、比較例1、2は関係式からやや外れており、グラフ中に示した直線R=3Wを境界にRが3W未満で良品となり、Rが3W以上では不良品であった。また、Rが0.05W未満の範囲では上述した数式R=eW2+fWの係数e及びfの下限値を満たすことが困難である。
したがって、本発明のEFG法におけるサファイア単結晶育成装置を用いたサファイア単結晶の育成方法では、サファイア単結晶の成長主面がc面とした場合には、ダイ上面の曲率Rをダイ長手方向の幅Wの3倍未満とすることで、良好なサファイア単結晶を育成できることがわかった。さらに、Rが3W未満を満たしつつ、数式R=eW2+fWを満たすものがより好ましいことが分かった。
次に、図1に示したダイパック102及び図3に示したサファイア単結晶の製造装置3を用いて、上述した方法でa面を主面とするサファイア単結晶20を製造した。ダイ上面の曲率R(mm)、ダイの長手方向の幅W(mm)を表1に示すようにダイパック102の各パラメータとして変更し、実施例6〜9および比較例3、4の複数のサファイア単結晶20を得た。なお、幅Wが138mmである実施例7、8、及び比較例3におけるダイの厚みt及び育成枚数は同一である。また、幅Wが150mmである実施例9と比較例4におけるダイの厚みt及び育成枚数は同一である。
Figure 2017105710
得られたサファイア単結晶20の結晶性を評価したところ、実施例6〜9では線欠陥及び結晶粒界といった結晶箇所が無く良好な単結晶であったが、比較例3、4では線欠陥や結晶粒界が存在し結晶性が良好ではなかった。
図8は、育成結晶の主面をa面とした場合のダイ長手方向の幅Wとダイ上面の曲率Rの関係を示すグラフである。グラフ中では実施例6〜9を◆でプロットし、比較例3、4を×でプロットしている。図7と同様に、図8のグラフ中に示した曲線は実施例6〜9のデータを最小二乗法により近似した近似曲線であり、数式R=eW2+fWの関係を示す二次曲線である。
図8に示したように、良好な単結晶が得られた実施例6〜9は前述した数式R=eW2+fWの関係式を満たしているが、比較例3、4は関係式からやや外れており、グラフ中に示した直線R=5Wを境界にRが5W以下で良品となり、Rが5Wより大きいと不良品であった。また、Rが0.05W未満の範囲では上述した数式R=eW2+fWの係数e及びfの下限値を満たすことが困難である。
したがって、本発明のEFG法におけるサファイア単結晶育成装置を用いたサファイア単結晶の育成方法では、サファイア単結晶の成長主面がa面とした場合には、ダイ上面の曲率Rをダイ長手方向の幅Wの5倍以下とすることで、良好なサファイア単結晶を育成できることがわかった。さらに、Rが5W以下を満たしつつ、数式R=eW2+fWを満たすものがより好ましいことが分かった。
図7ではWが約220mmよりも大きい領域において、数式R=eW2+fWはRが3W以上となっている。この領域では、図8に示したようにRが5W以下であれば数式R=eW2+fWの関係式を満たすことで良好な単結晶を育成できると予想されるが、c面での育成では図7に示したようにR=3Wを境界として線欠陥や結晶粒界が生じたため、余裕をもってRが3W未満とすることが好ましい。図8に示したa面の場合にも、同様にRが5W以下とすることが好ましい。
本発明のダイ及びダイパックを用いて育成されたサファイア単結晶は、直胴部分に線欠陥(slip)や結晶粒界(grain boundary)等の結晶欠陥がなく、結晶品質に優れている。「直胴部分に結晶欠陥を有さない」とは、育成結晶の直胴部分のうち、基板加工に使用される領域に上記のような結晶欠陥が存在しないことを意味する。具体的には、育成結晶の幅に対し95%以内の領域に結晶欠陥がないため、製品歩留まりを向上させることができる。また、育成結晶の直胴部分の下端面形状が、引き上げ方向に対し凹面に形成されるという特徴を有する。これは、本発明のダイ上面が長手方向に曲率を有することによる。このようにして得られたサファイア単結晶に研磨加工を施し、結晶品質に優れたサファイア基板を提供することができる。
101 ダイ
102 ダイパック
201 仕切り板
202 スリット
3 サファイア単結晶の製造装置
4 育成容器
5 引き上げ容器
6 坩堝
7 坩堝駆動部
8 ヒータ
9 電極
10 断熱材
11 雰囲気ガス導入口
12 排気口
13 シャフト
14 シャフト駆動部
15 ゲートバルブ
16 基板出入口
17 酸化アルミニウム融液
18 酸化アルミニウム融液溜まり
20 複数枚のサファイア単結晶
21 種結晶
22 ネック部分
23 直胴部分
R ダイ上面の曲率
W ダイの長手方向の幅
t ダイの厚み

Claims (7)

  1. EFG法によるサファイア単結晶の育成に使用するダイであって、上面が長手方向に曲率Rを有し、前記曲率Rが長手方向の幅Wの5倍以下であることを特徴とするダイ。
  2. 前記サファイア単結晶の成長主面がc面であることを特徴とする請求項1記載のダイ。
  3. 前記曲率Rが前記幅Wの3倍未満であることを特徴とする請求項2記載のダイ。
  4. 前記サファイア単結晶の成長主面がa面であることを特徴とする請求項1に記載のダイ。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載の前記ダイを複数組平行に対向配置させたダイパックであって、その数が2以上80以下であることを特徴とするダイパック。
  6. EFG法におけるサファイア単結晶育成装置であって、請求項1〜4の何れか一つに記載のダイ又は請求項5に記載のダイパックを用いるサファイア単結晶育成装置。
  7. EFG法におけるサファイア単結晶の育成方法であって、請求項1〜4の何れか一つに記載のダイ又は請求項5に記載のダイパックを使用することを特徴とするサファイア単結晶の育成方法。
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