以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(構成)
図1は、実施形態における表示システムの構成を示す図である。図2は、実施形態の表示システムにおける2次元測色計の構成を示すブロック図である。図3は、図2に示す2次元測色計の2次元測定部の構成を示すブロック図である。図3(A)は、2次元測定部における第1態様の構成を示し、図3(B)は、2次元測定部における第1態様の構成を示す。図4は、図2に示す2次元測色計の補正情報記憶部に記憶される光学特性情報テーブルの構成を示す図である。図5は、光学特性の一例として、像高別の分光透過率の一例を示す図である。図5(A)は、光軸の位置(像高r=0mm)での分光透過率を示し、図5(B)は、光軸から8mm離れた位置(像高r=8mm)での分光透過率を示し、図5(C)は、光軸から12mm離れた位置(像高r=12mm)での分光透過率を示し、そして、図5(D)は、光軸から8mm離れた位置(像高r=14.4mm)での分光透過率を示す。図5の横軸は、nm単位で表す波長(Wavelength)であり、その縦軸は、最大透過率で規格化した透過率(Transmittance(a.u))である。図6は、実施形態の表示システムにおける表示装置の構成を示すブロック図である。図7は、表示装置の表示面を2次元で測色する1個の2次元測色計での各測色位置を説明するための図である。図8は、表示装置の表示面を2次元で測色する複数の2次元測色計での各測色位置を説明するための図である。図9は、表示装置に測色情報として記憶される、図7(図8)に示す第1測色位置PM1で測色された第1測色結果の一例を示す図である。図10は、表示装置に測色情報として記憶される、図7(図8)に示す第2測色位置PM2で測色された第2測色結果の一例を示す図である。図11は、表示装置に測色情報として記憶される、図7(図8)に示す第3測色位置PM3で測色された第3測色結果の一例を示す図である。図12は、表示装置に測色情報として記憶される、図7(図8)に示す第4測色位置PM4で測色された第4測色結果の一例を示す図である。図13は、表示装置に測色情報として記憶される、図7(図8)に示す第5測色位置PM5で測色された第5測色結果の一例を示す図である。
実施形態における表示システムDSは、例えば、図1に示すように、測定対象を2次元で測色する2次元測色計MDと、表示を行う表示装置DPとを備える。
この2次元測色計MDは、測定対象を2次元で測色する装置である。表示システムDSでは、2次元測色計MDは、ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)での表示装置DPの見え方を解析するために用いられる。このような2次元測色計MDは、例えば、図2に示すように、2次元測定部21と、測色側制御処理部(MD制御処理部)22と、測色側インターフェース部(MDIF部)23と、測色側記憶部(MD記憶部)24とを備える。
2次元測定部21は、MD制御処理部22に接続され、MD制御処理部22の制御に従って変倍光学系を介して測定対象の各色成分を2次元で測定する装置である。2次元測色計MDが2次元色彩計である場合には、例えば、2次元測定部21は、変倍光学系を介して測定対象における三原色(赤(R)、緑(G)、青(B))の各成分を2次元で測定するための前記変倍光学系、光学フィルタおよびエリアイメージセンサ等を備え、測定対象の色に応じたRGBの各色成分それぞれに対応した各2次元光量分布(各画像)をMD制御処理部22へ出力する。
このような2次元測定部21は、より具体的には、例えば、図3(A)に示す第1態様の構成を持つ装置や、図3(B)に示す第2態様の構成を持つ装置等である。
第1態様の構成を持つ2次元測定部21aは、変倍光学系211と、光学フィルタ部212と、エリアイメージセンサ213と、焦点距離取得部214とを備える。
変倍光学系211は、焦点距離を所定の範囲内で可変できる光学系であり、いわゆるズームレンズである。変倍光学系211は、複数のレンズ群を備え、前記複数のレンズ群のうちの1または複数のレンズ群を光軸方向に沿って移動することで、焦点距離を所定の範囲内で、言い換えれば、倍率を所定の範囲内で、可変する。レンズ群は、1または複数のレンズを備える。
光学フィルタ部212は、変倍光学系211の射出側に配置され、入射光のうちの赤色成分の波長範囲の光、前記入射光のうちの緑色成分の波長範囲の光、および、前記入射光のうちの青色成分の波長範囲の光、のうちのいずれか1つを択一的に射出する装置である。より具体的には、光学フィルタ部212は、入射光のうちの赤色成分の波長範囲の光を射出する第1バンドパスフィルタ212−Xと、前記入射光のうちの緑色成分の波長範囲の光を射出する第2バンドパスフィルタ212−Yと、前記入射光のうちの青色成分の波長範囲の光を射出する第3バンドパスフィルタ212−Zと、中心周りに回転可能な円板部材と、前記円板部材を回転させる駆動機構とを備える。前記円板部材には、周方向に所定の間隔を空けて第1ないし第3貫通開口が形成され、この第1貫通開口には、第1バンドパスフィルタ212−Xが嵌め込まれ、第2貫通開口には、第2バンドパスフィルタ212−Yが嵌め込まれ、そして、第3貫通開口には、第3バンドパスフィルタ212−Zが嵌め込まれている。このような構成の光学フィルタ部212は、変倍光学系211の光軸に第1バンドパスフィルタ212−Xの光軸を合わせるように前記円板部材を中心周りに前記駆動機構によって回転させることで、入射光(変倍光学系211から射出された射出光)のうちの赤色成分の波長範囲の光を射出し、変倍光学系211の光軸に第2バンドパスフィルタ212−Yの光軸を合わせるように前記円板部材を中心周りに前記駆動機構によって回転させることで、前記入射光のうちの緑色成分の波長範囲の光を射出し、変倍光学系211の光軸に第3バンドパスフィルタ212−Zの光軸を合わせるように前記円板部材を中心周りに前記駆動機構によって回転させることで、前記入射光のうちの青色成分の波長範囲の光を射出する。
エリアイメージセンサ213は、MD制御処理部22に接続され、2次元アレイ状に配列された複数の光電変換素子(イメージセンサの画素)およびその周辺回路を備え、測定対象の光学像を受光し、その2次元光量分布のデータをMD制御処理部22の制御に従って生成する装置である。エリアイメージセンサ213は、その中心(対角線の交点)が変倍光学系211の光軸に合うように、かつ、その受光面が変倍光学系211による結像面に一致するように、光学フィルタ部212を介した変倍光学系211の射出側(すなわち、光学フィルタ部212の射出側)に配置される。エリアイメージセンサ213は、その生成した2次元光量分布のデータをMD制御処理部22へ出力する。
これら光学フィルタ部212およびエリアイメージセンサ213は、測定対象の光学像を変倍光学系を介して受光し、複数の色成分それぞれに対応した複数の2次元光量分布を測定する2次元測光部の一例である。そして、光学フィルタ部212およびエリアイメージセンサ213を備えて構成される本実施形態の2次元測光部21aは、測定対象の光学像を変倍光学系211を介して受光し、それぞれの色成分に対応した3種類の2次元光量分布を測定する。
焦点距離取得部214は、MD制御処理部22に接続され、エリアイメージセンサ213によって2次元光量分布を測定した際における変倍光学系214の焦点距離をMD制御処理部22の制御に従って取得する装置である。焦点距離取得部214は、その取得した変倍光学系214の焦点距離をMD制御処理部22へ出力する。本実施形態では、焦点距離は、広角端(Wide)を基準とした倍率βで表される。このような焦点距離取得部214は、例えば特開平7−199021号公報や特開平11−352384号公報等に開示された公知の構成を採用できる。この特開平7−199021号公報に開示された装置は、焦点距離を変更(設定)するための操作環の内周面に設けられた、回転角指標部および絶対角指標部と、固定レンズ鏡筒に設けられ、前記各指標部に光を照射する発光部および前記各指標部からの各反射光を読み取る指標読み取り部とを備え、前記指標読み取り部で読み取った各信号に基づいて、前記操作環の回転量、言い換えれば、焦点距離を求めることができる。前記回転角指標部は、交互に等間隔でストライプ状に並設された反射率の高い白部分と反射率の低い黒部分とを備え、前記絶対角指標部は、白部分の中に形成された楔状(細長い三角形状)の黒部分を備える。前記特開平11−352384号公報に開示された装置は、焦点距離を変更(設定)するための操作環の内周面に、周方向に等間隔で設けられた複数のスリットと、前記スリットによるパルスの位相が互いに90°ずれるように配置された2個のフォトインタラプタと、アップダウンカウンターとを備え、前記2個のフォトインタラプタで発生した各パルスを前記アップダウンカウンターで回転方向を含めてカウントすることで、前記操作環の回転量、言い換えれば、焦点距離を求めることができる。前記特開平11−352384号公報に開示された別の装置は、焦点距離を変更(設定)するための操作環の内周面に、周方向に等間隔で設けられ、S極とN極とを交互に着磁したストライプ状の複数の着磁面と、前記内周面に対向するように配置された磁気抵抗素子より成るMR(Magnetic Resistance)センサとを備え、前記MRセンサによって検出されるS極およびN極の磁極の変化に基づいて前記操作環の回転量、言い換えれば、焦点距離を求めることができる。
このような構成の2次元測定部21aでは、変倍光学系211における、焦点距離を変更(設定)するための操作環(ズーム倍率操作環)が操作されると、その回転量を検出することで焦点距離が焦点距離取得部214で取得され、この焦点距離取得部214で取得された焦点距離(本実施形態では倍率β)がMD制御処理部22へ出力される。一方、第1バンドパスフィルタ212−Xを用いることで、測定対象の光学像が、変倍光学系211および第1バンドパスフィルタ212−Xを介してエリアイメージセンサ213によって受光され、X成分の2次元光量分布が測定され、この測定されたX成分の2次元光量分布がMD制御処理部22へ出力され、第2バンドパスフィルタ212−Yを用いることで、前記測定対象の光学像が、変倍光学系211および第2バンドパスフィルタ212−Yを介してエリアイメージセンサ213によって受光され、Y成分の2次元光量分布が測定され、この測定されたY成分の2次元光量分布がMD制御処理部22へ出力され、そして、第3バンドパスフィルタ212−Zを用いることで、前記測定対象の光学像が、変倍光学系211および第3バンドパスフィルタ212−Zを介してエリアイメージセンサ213によって受光され、Z成分の2次元光量分布が測定され、この測定されたZ成分の2次元光量分布がMD制御処理部22へ出力される。
また、第2態様の構成を持つ2次元測定部21bは、変倍光学系211と、第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zと、第1ないし第3エリアイメージセンサ213−1、213−2、213−3と、焦点距離取得部214と、光分配部215とを備える。第1態様における2次元測定部21aは、上述したように、第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zを順次に択一的に切り換えることで、各色成分の2次元光量分布を1つのエリアイメージセンサ213で測定したが、この第2態様における2次元測定部21bは、変倍光学系211を介した測定対象の光学像を光分配部215によって3つに分配し、これら3つに分配された各光学像それぞれを第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zそれぞれを介して3つの第1ないし第3エリアイメージセンサ213−1、213−2、213−3それぞれで受光することで、各色成分の2次元光量分布を3つの第1ないし第3エリアイメージセンサ213−1、213−2、213−3で同時に測定する。このため、第2態様の2次元測定部21bにおける変倍光学系211および焦点距離取得部214は、それぞれ、第1態様の2次元測定部21aにおける変倍光学系211および焦点距離取得部214と同様であるので、その説明を省略する。
光分配部215は、変倍光学系211の射出側に配置され、入射光を複数に分配して複数の射出光を射出する光学素子である。本実施形態では、三原色の各色成分の2次元光量分布を同時に測定するので、光分配部215は、入射光を3つに分配する。より具体的には、光分配部215は、束ねられた複数の光ファイバを備え、これら複数の光ファイバは、その中間部分で3つに略等分に分けられている。このような構成によって光分配部215は、1つの入射面215Aと、3つの第1ないし第3射出面215B1、215B2、215B3とを備える。光分配部215は、その光軸が変倍光学系215の光軸に合うように、変倍光学系211の射出側に配置される。
第2態様の2次元測定部21bにおける第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zは、それぞれ、その配置態様の点を除き、第1態様の2次元測定部21aにおける第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zと同様である。第1バンドパスフィルタ212−Xは、光分配部215の第1射出面215B1側に配置され、第2バンドパスフィルタ212−Yは、光分配部215の第2射出面215B2側に配置され、そして、第3バンドパスフィルタ212−Zは、光分配部215の第3射出面215B3側に配置される。
第1ないし第3エリアイメージセンサ213−1、213−2、213−3は、それぞれ、その配置態様の点を除き、第1態様の2次元測定部21aにおけるエリアイメージセンサ213と同様である。第1エリアイメージセンサ213−1は、その中心(対角線の交点)が光分配部215における第1射出面215B1の光軸に合うように、かつ、その受光面が変倍光学系211による結像面に一致するように、光分配部215および第1バンドパスフィルタ212−Xを介した変倍光学系211の射出側(すなわち、第1バンドパスフィルタ212−Xの射出側)に配置される。第1エリアイメージセンサ213−1は、その生成した赤色成分の2次元光量分布のデータをMD制御処理部22へ出力する。第2エリアイメージセンサ213−2は、その中心(対角線の交点)が光分配部215における第2射出面215B2の光軸に合うように、かつ、その受光面が変倍光学系211による結像面に一致するように、光分配部215および第2バンドパスフィルタ212−Yを介した変倍光学系211の射出側(すなわち、第2バンドパスフィルタ212−Yの射出側)に配置される。第2エリアイメージセンサ213−2は、その生成した緑色成分の2次元光量分布のデータをMD制御処理部22へ出力する。第3エリアイメージセンサ213−3は、その中心(対角線の交点)が光分配部215における第3射出面215B3の光軸に合うように、かつ、その受光面が変倍光学系211による結像面に一致するように、光分配部215および第3バンドパスフィルタ212−Zを介した変倍光学系211の射出側(すなわち、第3バンドパスフィルタ212−Zの射出側)に配置される。第3エリアイメージセンサ213−3は、その生成した青色成分の2次元光量分布のデータをMD制御処理部22へ出力する。
なお、変倍光学系211および光分配部215は、いわゆるテレセントリック光学系を構成するように配置され、図3(B)に破線で示すように、第1射出面215B1と第1バンドパスフィルタ212−Xとの間には、第1射出面215B1から射出された測定対象の光学像を第1バンドパスフィルタ212−Xを介して第1エリアイメージセンサ213−1に結像する第1光学系216−1がさらに備えられ、第2射出面215B2と第2バンドパスフィルタ212−Yとの間には、第2射出面215B2から射出された前記測定対象の光学像を第2バンドパスフィルタ212−Yを介して第2エリアイメージセンサ213−2に結像する第2光学系216−2がさらに備えられ、そして、第3射出面215B3と第3バンドパスフィルタ212−Zとの間には、第3射出面215B3から射出された前記測定対象の光学像を第3バンドパスフィルタ212−Zを介して第3エリアイメージセンサ213−3に結像する第3光学系216−3がさらに備えられても良い。
これら光分配部215、第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zおよび第1ないし第3エリアイメージセンサ213−1、213−2、213−3は、測定対象の光学像を変倍光学系を介して受光し、複数の色成分それぞれに対応した複数の2次元光量分布を測定する2次元測光部の他の一例である。そして、本実施形態の2次元測光部21bは、測定対象の光学像を変倍光学系211を介して受光し、それぞれの色成分に対応した3種類の2次元光量分布を測定する。
このような構成の2次元測定部21bでは、変倍光学系211における、焦点距離を変更(設定)するための操作環(ズーム倍率操作環)が操作されると、その回転量を検出することで焦点距離が焦点距離取得部214で取得され、この焦点距離取得部214で取得された焦点距離(本実施形態では倍率β)がMD制御処理部22へ出力される。一方、測定対象の光学像は、変倍光学系211に入射されて変倍される。この変倍された測定対象の光学像は、光分配部215にその入射面215Aから入射されて3つに分配される。3つに分配された光学像のうちの1つの光学像は、第1射出面215B1から射出され、第1バンドパスフィルタ212−Xを介して第1エリアイメージセンサ213−1で受光され、X成分の2次元光量分布が測定され、この測定されたX成分の2次元光量分布がMD制御処理部22へ出力される。前記3つに分配された光学像のうちの他の1つの光学像は、第2射出面215B2から射出され、第2バンドパスフィルタ212−Yを介して第2エリアイメージセンサ213−2で受光され、Y成分の2次元光量分布が測定され、この測定されたY成分の2次元光量分布がMD制御処理部22へ出力される。そして、前記3つに分配された光学像のうちの残余の1つの光学像は、第3射出面215B3から射出され、第3バンドパスフィルタ212−Zを介して第3エリアイメージセンサ213−3で受光され、Z成分の2次元光量分布が測定され、この測定されたZ成分の2次元光量分布がMD制御処理部22へ出力される。
なお、上述の第1および第2態様の2次元測定部21a、21bにおいて、第1バンドパスフィルタ212−Xは、好ましくは、CIEで規定される等色関数Xに近似したXフィルタであり、第2バンドパスフィルタ212−Yは、好ましくは、CIEで規定される等色関数Yに近似したYフィルタであり、そして、第3バンドパスフィルタ212−Zは、好ましくは、CIEで規定される等色関数Zに近似したZフィルタである。
図2に戻って、MDIF部23は、測定結果を外部の機器へ出力するために、MD制御処理部22に接続され、MD制御処理部22の制御に従って外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、RS−485規格を用いたインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
MD記憶部24は、MD制御処理部22に接続され、MD制御処理部22の制御に従って各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、2次元測色計MDの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するMD制御プログラムや、2次元測定部21(21a、21b)で測定した複数の2次元光量分布、および、後述の補正情報記憶部241に記憶され、2次元測定部21の焦点距離取得部214で取得した焦点距離に対応した補正情報に基づいて、測定対象の2次元色分布を求める2次元測色演算プログラムや、表示装置DPに表示された2次元測色計MDの位置を後述の測色位置として取得し、この取得した2次元測色計MDの位置を対応付けて前記2次元色分布(2次元測色計MDの測色結果)をMDIF部23から出力する測色位置取得出力プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、前記補正情報等の各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。MD記憶部24は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。MD記憶部24は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるMD制御処理部22のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。そして、MD記憶部15は、前記光学特性を記憶するために、光学特性情報記憶部241を機能的に備える。
補正情報記憶部241は、前記補正情報を記憶するものである。この補正情報は、2次元測定部21の変倍光学系211における焦点距離(言い換えれば、倍率)に依存した所定の光学特性に起因して生じる測定誤差を補正するための情報である。本実施形態では、前記補正情報は、2次元測定部21の変倍光学系211における焦点距離(言い換えれば、倍率)に依存した所定の光学特性であり、前記所定の光学特性は、例えば、変倍光学系211における焦点距離(言い換えれば、倍率)に依存している変倍光学系211全系の分光透過率To(Transmittance optics)である。そして、本実施形態では、この分光透過率Toは、変倍光学系211における焦点距離(言い換えれば、倍率β)だけでなく、さらに、前記変倍光学系211の光軸中心からの、径方向に沿った距離(すなわち、前記変倍光学系211の像高)rに依存している(To(β、r、λ)、λは波長である)。
このような倍率βおよび像高rそれぞれに依存する複数の分光透過率To(β、r、λ)は、本実施形態では、テーブル形式で補正情報記憶部241に記憶される。より具体的には、各分光透過率To(β、r、λ)は、例えば、図4に示すように、縦方向を各倍率βとし、横方向を各像高rとする2次元マトリクス状の光学特性情報テーブルTTに登録されている。図4に示す例では、光学特性情報テーブルTTは、縦方向に、倍率β=1.0の場合(例えば広角端(Wide))における分光透過率To(1.0、r、λ)を登録する第1行2411−1、倍率β=1.2の場合における分光透過率To(1.2、r、λ)を登録する第2行2411−2、倍率β=1.5の場合における分光透過率To(1.5、r、λ)を登録する第3行2411−3、倍率β=2.0の場合における分光透過率To(2.0、r、λ)を登録する第4行2411−4、倍率β=2.5の場合における分光透過率To(2.5、r、λ)を登録する第5行2411−3、および、倍率β=3.0の場合(例えば望遠端(Tele))における分光透過率To(3.0、r、λ)を登録する第6行2411−6を備え、横方向に、像高r=0mmの場合の分光透過率To(β、0、λ)を登録する第1列2412−1、像高r=3mmの場合の分光透過率To(β、3、λ)を登録する第2列2412−2、像高r=7mmの場合の分光透過率To(β、7、λ)を登録する第3列2412−3、像高r=10mmの場合の分光透過率To(β、10、λ)を登録する第4列2412−4、および、像高r=14mmの場合の分光透過率To(β、14、λ)を登録する第5列2412−5を備える。例えば、図4において、3行2列の欄には、分光透過率To(1.5、3、λ)が登録されている。なお、光学特性情報テーブルTTの各欄には、分光透過率To(β、r、λ)自体のデータが登録されて良く、また、分光透過率To(β、r、λ)のデータのファイルネームが登録されて良い。このファイルネームから、MD制御処理部22は、分光透過率To(β、r、λ)のデータをMD記憶部24から読み込める。
この光学特性情報記憶部241に記憶される、変倍光学系211の分光透過率To(β、r、λ)の一例が図5に示されている。図5(A)には、像高r=0mmの場合における分光透過率To(β、0、λ)が示されており、図5(B)には、像高r=8mmの場合における分光透過率To(β、8、λ)が示されており、図5(C)には、像高r=12mmの場合における分光透過率To(β、12、λ)が示されており、そして、図5(D)には、像高r=14.4mmの場合における分光透過率To(β、14.4、λ)が示されている。各図において、実線は、広角端での分光透過率To(β、r、λ)であり、破線は、望遠端での分光透過率To(β、r、λ)である。図5において、実線(広角端)の分光透過率Toと破線(望遠端)の分光透過率Toとの比較から、分光透過率Toは、倍率に依存していることが分かる。また、各図(各像高r)の分光透過率Toの比較から、分光透過率Toは、像高rに依存していることが分かる。
図2に戻って、MD制御処理部22は、2次元測色計MDの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、測定対象を2次元で測色するための回路である。MD制御処理部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。MD制御処理部22は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、測色側制御部(MD制御部)221、2次元測色演算部222および測色位置取得出力処理部223を機能的に備える。
MD制御部221は、2次元測色計MDの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、2次元測色計MDの全体制御を司るものである。
2次元測色演算部222は、2次元測定部21(21a、21b)で測定した複数の2次元光量分布、および、補正情報記憶部241に記憶され、2次元測定部21の焦点距離取得部214で取得した焦点距離に対応した補正情報に基づいて、測定対象の2次元色分布を求めるものである。より具体的には、本実施形態では、2次元測定部21が三原色の色成分の2次元光量分布を測定しているので、2次元測色演算部222は、2次元測定部21で測定した赤色、緑色および青色の3種類の2次元光量分布、および、補正情報記憶部241に記憶され、2次元測定部21の焦点距離取得部214で取得した焦点距離(本実施形態では倍率β)に対応した補正情報に基づいて、測定対象の三刺激値X、Y、Zの2次元分布を求める。そして、本実施形態では、2次元測色演算部222は、さらに、この求めた測定対象の三刺激値X、Y、Zの2次元分布に基づいて、国際照明委員会(CIE)で規定された輝度Yおよび色度xyを求める。より詳しくは、2次元測色演算部222は、2次元測定部21で測定した複数の2次元光量分布を測定対象の2次元色分布へ変換する変換行列を用いることによって、2次元測定部21で測定した複数の2次元光量分布から測定対象の2次元色分布を求める。ここで、前記変換行列は、前記補正情報としての前記所定の光学特性(本実施形態では分光透過率To(β、r、λ))から後述のように求められ、前記変換行列の各行列成分は、変倍光学系211における焦点距離(本実施形態では倍率β)に依存した所定の光学特性(本実施形態では分光透過率To(β、r、λ))に基づいた値である。
測色位置取得出力処理部223は、表示装置DPに表示された2次元測色計MDの位置を測色位置として取得し、この取得した2次元測色計MDの位置を対応付けて前記2次元色分布(2次元測色計MDの測色結果)をMDIF部23から出力するものである。より具体的には、測色位置取得出力処理部223は、2次元測定部21によって取得した表示装置DPの画像から、公知の文字認識技術によって、表示装置DPに表示された2次元測色計MDの位置を前記測色位置として取得し、この取得した2次元測色計MDの位置を対応付けて前記測色結果をMDIF部23から出力する。2次元測定部21は、通常、上述のようにエリアイメージセンサ213を備えるので、表示装置DPの画像を取得できる。
一方、この表示システムDSにおける表示装置DPは、例えば、図6に示すように、ステレオカメラ11と、表示部12と、表示側制御処理部(DP制御処理部)14と、表示側記憶部(DP記憶部)15と、アンテナ16と、表示側インターフェース部(DPIF部)17とを備える。
ステレオカメラ11は、DP制御処理部14に接続され、DP制御処理部14の制御に従って所定の撮像対象を撮像して一対の画像(画像データ)を生成する装置である。後述するように本実施形態では、ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)は、ステレオカメラ11で生成された一対の画像に基づいて検出されるので、前記所定の撮像対象は、表示部12における表示面の前方の領域となる。ステレオカメラ11は、例えば、各撮影方向が互いに略平行となるように所定の距離(基線長)だけ離間して配設された一対のカメラを備える。ステレオカメラ11は、その生成した一対の画像をDP制御処理部14へ出力する。ステレオカメラ11は、後述の位置処理部143と組むことで、表示部12の表示面に対するユーザの所在位置を検出する位置検出部の一例を構成する。
表示部12は、DP制御処理部14に接続され、DP制御処理部14の制御に従って表示面に所定の表示を行う装置である。表示部12は、例えば、表示パネル、および、前記表示パネルの表示面に前記所定の表示として例えば静止画や動画等のコンテンツを表示するように、前記表示パネルをDP制御処理部の制御に従って駆動する駆動回路等を備えて構成される。前記表示パネルは、例えば、液晶表示パネルや有機ELパネルやプラズマパネル等である。
アンテナ16は、DP制御処理部14に接続され、電波を受信して受信信号を生成し、この生成した受信信号をDP制御処理部14へ出力するものである。
DPIF部17は、DP制御処理部14に接続され、DP制御処理部14の制御に従って外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、RS−485規格を用いたインターフェース回路、USB規格を用いたインターフェース回路、HDMI(High−Definition Multimedia Interface、登録商標)規格を用いたインターフェース回路およびIEEE1394規格を用いたインターフェース回路等である。
DP記憶部15は、DP制御処理部14に接続され、DP制御処理部14の制御に従って各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、表示装置DPの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するDP制御プログラムや、アンテナ16で得られた受信信号を映像信号に変換し、この映像信号の映像を表示部12の表示面に表示するように、表示部12を制御する映像信号生成プログラムや、ステレオカメラ11で生成した一対の画像に基づいてユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)を求める位置処理プログラムや、前記映像信号生成プログラムによって表示部12の表示面に前記映像を表示する際に、前記位置処理プログラムで求めたユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)と後述の測色情報とに基づいて、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)から前記表示面を見た場合に予め設定された目標の見え方となるように、表示部12の表示状態を調整する表示調整プログラムや、2次元測色計MDからDPIF部17を介して、2次元測色計MDの測色結果(表示面の2次元色分布)を取得しこの取得した前記測色結果を前記測色情報としてDP記憶部15に記憶する測色情報記憶処理プログラムや、前記測色結果を得るために表示部12の表示面に所定の色を表示する際に、ステレオカメラ11で生成した一対の画像に基づいて求めた2次元測色計MDの位置PM(MDx、MDy、MDz)を表示する位置表示処理プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、前記測色情報等の各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。DP記憶部15は、例えばROM、EEPROMおよびRAM等を含む。そして、DP記憶部15は、前記測色情報を記憶するために、測色情報記憶部151を機能的に備える。
測色情報記憶部151は、前記測色情報を記憶するものである。前記測色情報は、例えば製造段階や出荷段階等の、ユーザが表示装置DPを使用する前に、生産者等によって予め測色情報記憶部151に記憶される。前記測色情報は、表示部12の前記表示面に対する複数の測色位置(MDx、MDy、MDz)それぞれから前記表示面を2次元で測色した複数の測色結果に前記複数の測色位置(MDx、MDy、MDz)それぞれを対応付けた情報である。測色結果は、2次元で測色するので、位置の座標値および測色値を持つ(例えば、表示面上の水平方向の座標値DPx、表示面の垂直方向の座標値DPy、輝度値Y、色度値x、y等)。前記測色情報を得る測定(測色)では、表示部12の表示状態を調整する上で好適な予め設定された所定の画像(色度輝度補正用画像(測色情報取得用画像))が表示部12に表示され、前記測色位置(MDx、MDy、MDz)に2次元測色計MDが配置され、表示部12の表示面が2次元で測色される。そして、このような測色が前記複数の測色位置(MDx、MDy、MDz)それぞれで実行される。前記測定は、例えば、図7に示すように、前記複数の測色位置(MDx、MDy、MDz)に1個の2次元測色計MDが順次に配置されることで実行されて良く、また例えば、前記測定は、図8に示すように、前記複数の測色位置(MDx、MDy、MDz)それぞれに複数の2次元測色計MDが同時に配置されることで実行されて良い。
より具体的には、図7および図8それぞれに示すように、表示部12における前記表示面の中央位置(例えば前記表示面が矩形である場合に対角線の交点位置等)を通る前記表示面の法線をMDz軸とし、前記MDz軸に直交しかつ互いに直交する水平方向および垂直方向それぞれに沿った水平線および垂直線それぞれをMDx軸およびMDy軸とするMDxMDyMDz直交座標系を設定した場合に、前記測色情報は、5個の第1から第5測色位置PM1〜PM5に1個の2次元測色計MDが順次に配置され、あるいは、5個の第1から第5測色位置PM1〜PM5それぞれに5個の2次元測色計MD−1〜MD−5が同時に、配置され、表示部12の表示面が2次元で測色されることで、生成される。前記測定の際に、前記色度輝度補正用画像(測色情報取得用画像)として、前記表示面の全面に白色、原色および中間色それぞれが表示される。したがって、本実施形態では、前記測色情報は、前記複数の表示部12の測色位置(MDx、MDy、MDz)それぞれにおいて、前記表示面の全面に白色、原色および中間色それぞれを表示させて測色された測色結果を含む。前記原色は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)を含む(すなわち、前記測色情報は、前記複数の測色位置(MDx、MDy、MDz)それぞれにおいて、前記表示面の全面に赤色、緑色および青色それぞれを表示させて測色された測色結果を含む)。図7および図8それぞれに示す例では、ミリメートル単位(mm)で、第1測色位置PM1は、座標(0、0、1000)であり、第2測色位置PM2は、座標(−700、0、1000)であり、第3測色位置PM3は、座標(700、0、1500)であり、第4測色位置PM4は、座標(−350、−500、2000)であり、そして、第5測色位置PM5は、座標(350、500、2000)である。このように前記測色情報は、前記表示面から互いに異なる距離であって水平方向および垂直方向の互いに異なる複数の測色位置それぞれで得られた複数の測色結果を含む。このような第1から第5測色位置PM1〜PM5それぞれにおいて、所定の温度(例えば室温25℃等)の場合に、2次元測色計MDによって表示部12の前記表示面を2次元で測色した第1から第5測色結果の一例が図9〜図13それぞれに示されている。図9〜図13では、表示部12の表示面上に、表示部12における前記表示面の中央位置(例えば前記表示面が矩形である場合に対角線の交点位置等)を座標原点とし、互いに直交する水平線および垂直線それぞれをDPx軸およびDPy軸とするDPxDPy直交座標系を設定した場合に、各測色結果は、横方向を各DPx値とし、縦方向を各DPy値とする2次元マトリクス状のテーブルに登録されている。なお、各DPx値は、複数の画素数から成る第1間隔(水平)ごとに割り当てられ、各DPy値は、複数の画素数から成る第2間隔(垂直)ごとに割り当てられている。例えば、表示部12の表示解像度が1920×1080である場合、前記第1間隔は、62画素であり、各DPxは、62画素ごとに割り当てられ、前記第2間隔は、72画素であり、各DPyは、72画素ごとに割り当てられる。したがって、図9〜図13に示す例では、原則62×72を単位領域として表示部12の表示面における2次元分布が測色されている(周辺は、61×72)。したがって、前記測色結果は、表示部12の前記表示面を複数に分けた複数の単位領域それぞれに対する複数の測定値を含む。そして、前記テーブルの各欄には、上段に輝度値Yが登録され、中段に、xy色度図における色度xが登録され、そして、下段に、前記xy色度図における色度yが登録されている。白色表示(赤R=255/緑G=255/青B=255)した状態で、例えば、図9において、前記表示面上の位置(−7、−15)での測色結果は、輝度Yが40cd/m2であり、色度xが0.330であり、色度yが0.345であり、前記表示面上の位置(0、0)での測色結果は、輝度Yが100cd/m2であり、色度xが0.3127であり、色度yが0.3290であり、前記表示面上の位置(−7、15)での測色結果は、輝度Yが44cd/m2であり、色度xが0.329であり、色度yが0.345であり、そして、前記表示面上の位置(7、−15)での測色結果は、輝度Yが39cd/m2であり、色度xが0.333であり、色度yが0.348である。これら輝度Yは、前記表示面の全面に白色を表示させて測色された測色結果に基づいて得られ、色度x、yは、前記表示面の全面に赤色(R=255/G=0/B=0)、緑色(R=0/G=255/B=0)および青色(R=0/G=0/B=255)それぞれを表示させて測色された各測色結果に基づいて得られる。また、白色でも、諧調を変更した中間色表示、例えば、(R=128/G=128/B=128)、(R=64/G=64/B=64、(R=32/G=32/B=32)等を表示させて、図9〜図13に相当する測定結果が得られる。さらに、シアン(R=0/G=255/B=255)、マゼンタ(R=255/G=0/B=255)、イエロー(R=255/G=255/B=0)等補色を表示させて、図9〜図13に相当する測定結果が得られる。さらに、任意の各種中間色、例えばダークオレンジ(R=255/G=140/B=0)、ライトピンク(R=255/G=182/B=193)等の中間色を表示して、図9〜図13に相当する測定結果が得られる。そして、これを元に、単色の場合と同様に、測色情報に反映させる。なお、上述のように設定されたMDxMDyMDz直交座標系およびDPxDPy直交座標系では、MDx軸とDPx軸とは、互いに一致させ、MDy軸とDPy軸とは、互いに一致させている(MDx=DPx、MDy=DPy)。
そして、測色情報記憶部151には、このような各測色結果を登録した各テーブルがその測色位置(MDx、MDy、MDz)に対応付けられて記憶される。
なお、上述では、測色位置は、5個箇所であるが、これに限定されるものではなく、例えば表示部12の視野角や表示装置DPの仕様等に応じて適宜な個数に設定される。また、上述では、表示部12の測色における領域数は、表示部12の表示面を、横方向に31分割するとともに縦方向に15分割(31×15分割)した465個であるが、前記領域数は、これに限定されるものではなく、例えば表示部12の視野角や表示装置DPの仕様等に応じて適宜な個数に設定される。
図6に戻って、DP制御処理部14は、表示装置DPの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、表示部12の表示面に所定の表示を行う際に、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)から前記表示面を見た場合に、予め設定された目標の見え方となるように、前記表示部12の表示状態を調整する回路である。DP制御処理部14は、例えば、CPU(またはFPGA(field programmable gate aray))およびその周辺回路を備えて構成される。DP制御処理部14は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、表示側制御部(DP制御部)141、映像信号生成部142、位置処理部143、表示調整部144、測色情報記憶処理部145および位置表示処理部146を機能的に備える。
DP制御部141は、表示装置DPの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、表示装置DPの全体制御を司るものである。
映像信号生成部142は、アンテナ16で得られた受信信号を映像信号に変換し、この映像信号の映像を表示部12の表示面に表示するように、表示部12を制御するものである。なお、映像信号生成部142は、ネットワークを介してダウンロードしたコンテンツや、記録媒体から読み込んだコンテンツや、DP記憶部15に記憶されたコンテンツ等を表示部12の表示面に表示するように、表示部12を制御しても良い。
位置処理部143は、ステレオカメラ11で生成した一対の画像に基づいて前記ユーザの所在位置を求めるものである。より具体的には、位置処理部143は、ステレオカメラ11の一方で得られた画像から、例えば予め用意された人物モデルのパターンマッチングによって、あるいは、人物検出用に学習したニューラルネットワークによって、人物領域(ユーザを写した画像領域)を検出し、この検出した人物領域内における所定点の方向(Ux、Uy)を求め、ステレオカメラ11で得られた一対の画像から前記人物領域内の前記所定点に対する視差を求め、この求めた視差から三角測量の原理によって前記人物領域までの距離(Uz)を求め、これによってユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)を検出する。前記所定点は、前記人物領域内であれば任意の位置の点であって良く、例えば、前記人物領域の重心位置であって良く、また例えば、前記人物領域における頭部部分の重心位置であって良く、また例えば、前記人物領域に外接する矩形における各対角線の交点であって良い。
表示調整部144は、位置処理部143で求めたユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)と測色情報記憶部151に記憶された測色情報とに基づいて、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)から表示部12の前記表示面を見た場合に予め設定された目標の見え方となるように、表示部12の表示状態(表示出力)を調整する。前記表示状態(表示出力)は、輝度および色度のうちの少なくとも一方である。本実施形態では、前記測色情報は、輝度Yおよび色度x、yを含むので、前記表示状態(表示出力)は、輝度および色度の両方であるが(すなわち、輝度Yおよび色度x、yの両方が調整される)、前記測色情報が輝度Yのみである場合には、前記表示状態(表示出力)は、輝度Yのみであって良く(すなわち、輝度Yのみが調整される)、また、前記測色情報が色度x、yのみである場合には、前記表示状態(表示出力)は、色度x、yのみであって良い(すなわち、色度x、yのみが調整される)。
前記目標の見え方は、予め定義された所定の見え方であって良く、好ましくは、前記目標の見え方は、表示部12における表示面の中央位置を通る前記表示面の法線上から前記表示面の前記中央位置を見た場合における見え方(正常な見え方)であって良い。本実施形態では、前記目標の見え方は、表示部12の表示面における、ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)を通る前記表示面の法線を含む所定広さの領域(例えばユーザが法線方向に対してFOV(Field of View)5°以内で見る領域等)を前記法線上から見た場合における見え方(ユーザの所在位置での見え方)である。
より具体的には、表示調整部144は、測色情報記憶部151に記憶された測色情報から位置処理部143で求めたユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に応じた測色結果を取り出し、この取り出した測色結果と前記目標の見え方との差を補償するように表示部12における各画素の出力を調整することで、表示部12の表示状態を調整する。例えば、所在位置(Ux、Uy、Uz)のUxUyUz直交座標系およびMDxMDyMDz直交座標系が互いに一致する場合に、表示調整部144は、測色情報記憶部151に記憶された測色情報から、位置処理部143で求めたユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)を測定位置(MDx、MDy、MDz)とする測色結果(MDx=Ux、MDy=Uy、MDz=Uzの測色結果)を取り出す。図9〜図13に示す例では、輝度Yおよび色度x、yの各値は、表示部12における表示面上の位置に応じた値であるので、前記取り出した測色結果と前記目標の見え方との差(調整値)は、表示部12における表示面上の位置に応じた値となり、表示調整部144は、表示部12における前記表示面上の位置に応じた調整値で、表示部12の表示状態を調整する。より具体的には、表示調整部144は、表示部12における各画素ごとに、前記取り出した測色結果と前記目標の見え方との差を補償するように前記表示面上の位置に応じた調整値をそれぞれ生成し、この生成した各調整値で表示部12における各画素の出力を調整することで、表示部12の表示状態を調整する。例えば、図9に示す例において、ユーザが座標(0、0、1000)に所在する場合には、座標(0、0)の測定結果(輝度Y=100cd/m2、色度x=0.3127、色度y=0.3290)が前記目標の見え方となり、表示部12における表示面の各領域の測定結果それぞれと目標の見え方(輝度Y=100cd/m2、色度x=0.3127、色度y=0.3290)との差がそれぞれ求められ、これら各差を各領域に対する各調整値として、表示部12の表示状態が調整される。例えば、座標(−7、−15)の領域では、その測定結果(輝度Y=40cd/m2、色度x=0.330、色度y=0.345)と目標の見え方(輝度Y=100cd/m2、色度x=0.3127、色度y=0.3290)との差が求められ、この差を調整値として、表示部12の表示状態が調整される(例えば、輝度Yは、その差60cd/m2を補償するようにアップされる。すなわち、輝度Yは、2.5倍される)。
なお、表示調整部144は、測色情報記憶部151に記憶された測色情報に、位置処理部143で求めたユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に当たる測色結果が無い場合に、測色情報記憶部151に記憶された測色情報から前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に近い順に選択した複数(例えば4個や12個等)の測色位置に対応する複数の測色結果に基づいて、補間(例えば線形補間やスプライン補間やラグランジュ補間等)によって、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に応じた前記測色結果を生成して良い。前記補間のための測色位置の選択数は、2次元であるので、上下左右の最低4個であり、さらにその外側を用いる場合には12個となる。好ましくは、さらにその外側も用いる場合には、前記選択数は、100個程度となる。
測色情報記憶処理部145は、2次元測色計MDからDPIF部17で取得した測色結果を前記測色情報として測色情報記憶部151に記憶するものである。なお、2次元測色計MDで測定した測色結果は、例えば、図略のキーボードから表示装置DPに入力され、測色情報記憶部151に記憶されて良く、また例えば、USBメモリ等の記録媒体に保存され、この記録媒体からDPIF部17を介して表示装置DPに入力され、測色情報記憶部151に記憶されて良く、また例えば、PROM(Programmable ROM)やEPROM(Erasable Programmable ROM)にデータを書き込むためのROMライタ等を用いて測色情報記憶部151に記憶されて良い。
位置表示処理部146は、ステレオカメラ11で生成した一対の画像に基づいて2次元測色計MDの位置を前記測色位置として測定し、前記測色結果を得るために前記表示面に所定の色を表示する際に、この測定した2次元測色計MDの位置を表示するものである。より具体的には、位置表示処理部146は、ステレオカメラ11で生成した一対の画像のうちの一方から例えばエッジ検出等によって2次元測色計MDを検出し、この検出した2次元測色計MDの方向(MDx、MDy)を求め、ステレオカメラ11で得られた一対の画像から前記2次元測色計MDに関する視差を求め、この求めた視差から三角測量の原理によって前記2次元測色計MDまでの距離(MDz)を求め、これによって2次元測色計MDの位置PM(MDx、MDy、MDz)を検出する。そして、位置表示処理部146は、前記測色結果を得るために前記表示面に所定の色を表示する際に、この測定した2次元測色計MDの位置PM(MDx、MDy、MDz)を表示する。
(動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。図14は、表示装置および2次元測色計間の距離と画角(焦点距離、倍率)との関係を説明するための図である。図14(A)は、2次元測色計MDが表示装置DPの表示面に対し比較的近い位置に配置された場合(表示装置および2次元測色計間の距離が比較的短い場合)を示し、図14(B)は、2次元測色計MDが表示装置DPの表示面に対し比較的遠い位置に配置された場合(表示装置および2次元測色計間の距離が比較的長い場合)を示す。図15は、イメージセンサの出力に与える倍率の影響を説明するための図である。図15(A)は、CIEで規定された等色関数を示し、その横軸は、nm単位で表す波長(Wavelength)であり、その縦軸は、相対分光応答度である。実線は、等色関数X(x(λ))であり、破線は、等色関数Y(y(λ))であり、一点鎖線は、等色関数Z(z(λ))である。図15(B)は、レンズ(光学系)の分光透過率を示し、その横軸は、nm単位で表す波長(Wavelength)であり、その縦軸は、相対分光透過率(Transmittance(a.u))である。実線は、広角端での分光透過率(Wide)であり、そして、破線は、望遠端での分光透過率(Tele)である。図15(B)に示すように、光学倍率βにより分光透過率が変化している。2次元測色計MDのエリアイメージセンサ213に入射する光は、このようなレンズを通過してくるので、光学倍率βによる特性を考慮する必要がある。図16は、測色情報を取得する際に、実施形態の表示システムにおける表示装置の表示部に表示される画面の一例を説明するための図である。図17は、エリアイメージセンサの画素位置と像高との関係を説明するための図である。図17の横軸は、イメージセンサにおける横方向の画素位置(画素番号)を示し、その縦軸は、エリアイメージセンサにおける縦方向の画素位置(画素番号)を示す。前記横方向の画素位置iは、エリアイメージセンサ213における最も左にかつ最も上に位置する画素から右方向へ数えた画素番号iで表され、前記縦方向の画素位置jは、エリアイメージセンサ213における最も左にかつ最も上に位置する画素から右方向へ数えた画素番号jで表される。図18は、測色結果において、2次元測色計の座標値と表示装置の表示面の座標値との関係を説明するための図である。図19は、実施形態の表示システムにおける表示装置の表示状態の調整に関する動作を示すフローチャートである。
本実施形態における表示システムDSでは、表示装置DPは、ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に応じて表示部12の表示状態(表示出力)を調整している。このために、表示装置DPのユーザによる使用前に、ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)での表示装置DPの見え方を2次元測色計MDによって解析し、その測定結果(表示装置DPの表示面の2次元色分布)を測色情報としてDP記憶部15に記憶しておく必要がある。ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)での表示装置DPの見え方を解析するために、2次元測色計MDは、例えば、図7や図8に示すように、表示装置DPに対し様々な位置に配置される。このような様々な位置において、エリアイメージセンサ213の受光面全面を有効に活用するために、変倍光学系211の画角は、表示装置DPにおける表示面の大きさに、なるべく一致していることが望ましい。すなわち、2次元測色計MDが表示装置DPに対し比較的近い位置に配置される場合には、図14(A)に示すように、変倍光学系211は、広い画角、すなわち、広角端(Wide)寄りに設定されることが望ましい。一方、2次元測色計MDが表示装置DPに対し比較的遠い位置に配置される場合には、図14(B)に示すように、変倍光学系211は、狭い画角、すなわち、望遠端(Tele)寄りに設定されることが望ましい。
ところで、エリアイメージセンサ213から出力される信号S(Sx、Sy、Sz)は、変倍光学系211およびバンドパスフィルタ212を介してエリアイメージセンサ213で受光されることによって生成されるので、変倍光学系211の分光透過率Toと、バンドパスフィルタ212およびエリアイメージセンサ213の総合的な分光感度So(Sox、Soy、Soz)とに影響される。ここで、バンドパスフィルタ212およびエリアイメージセンサ213の総合的な分光感度Soが図15に示す等色関数Xであると仮定すると、X成分の信号Sxは、広角端では、等色関数Xを表す実線のグラフx(λ)(=Sox)と、広角端の分光透過率Toを表す実線のグラフWide(=To(広角端))との重なり部分の面積に応じた値(Sx(広角端)=Sox*To(広角端))となり、一方、望遠端では、等色関数Xを表す実線のグラフx(λ)(=Sox)と、望遠端の分光透過率Toを表す破線のグラフTele(=To(望遠端))との重なり部分の面積に応じた値(Sx(望遠端)=Sox*To(望遠端))となる。変倍光学系211の分光透過率Toが広角端から望遠端まで同じである場合(To(広角端)=To(望遠端))には、広角端におけるX成分の値と望遠端におけるX成分の値とは、互いに一致した値になる(Sx(広角端)=Sx(望遠端))。しかしながら、図15や上述の図5に示すように、変倍光学系211の分光透過率Toが広角端から望遠端まで同じであるとは限らないため(通常、To(広角端)≠To(望遠端))、広角端におけるX成分の値と望遠端におけるX成分の値とは、互いに一致した値になるとは限らない(通常、Sx(広角端)≠Sx(望遠端))。Y成分およびZ成分それぞれも同様である。このため、本実施形態における2次元測色計MDは、焦点距離の変化に伴う変倍光学系211の分光透過率Toの変化を、以下のように補償して測定値を求め、これによって測定誤差をより低減している。さらに、上述の図5に示すように、変倍光学系211の分光透過率Toが像高rにも依存しているので、他の一例で、広角端および望遠端間で生じる倍率色収差による色度誤差△x、△yを像高r別に求めると、表1に示す値が求まり、周辺(r=14.4)の色度は、倍率色収差により、真値より、色度(−0.0056、−0.0075)だけ間違った値となり、一般的な色度精度である±0.005程度を越えてしまうので、その誤差の修正が必要である。本実施形態における2次元測色計MDは、像高rの変化に伴う変倍光学系211の分光透過率Toの変化も、以下のように補償して測定値を求めている。
以下、表示装置DPにおける色度輝度補正用画像(測色情報取得用画像)の表示、2次元測色計MDによる、分光透過率Toの変化を補償した表示装置DPの測定、および、表示装置DPにおけるユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に応じた表示状態(表示出力)の調整の順でそれぞれを説明する。
(表示装置DPにおける色度輝度補正用画像の表示)
本実施形態における表示システムDSでは、表示装置DPにおける図略の電源スイッチがオンされると、DP制御処理部14は、必要な各部の初期化を実行し、制御処理プログラムの実行によって、DP制御処理部14には、DP制御部141、映像信号生成部142、位置処理部143、表示調整部144、測色情報記憶処理部145および位置表示処理部146が機能的に構成される。同様に、2次元測色計MDにおける図略の電源スイッチがオンされると、必要な各部の初期化を実行し、制御処理プログラムの実行によって、MD制御処理部22には、MD制御部221、2次元測色演算部222および測色位置取得出力処理部223が機能的に構成される。
まず、例えば、図7に示すように、第1測色位置PM1に2次元測色計MDが配置される。次に、表示装置DPは、DP制御処理部14の位置表示処理部146によって、ステレオカメラ11で生成した一対の画像に基づいて2次元測色計MDの位置(MDx、MDy、MDz)を前記測色位置として測定する。そして、表示装置DPは、DP制御処理部14の位置表示処理部146によって、例えば、図16に示すように、色度輝度補正用画像を表示部12の表示面に表示する際に、この測定した2次元測色計MDの位置(MDx、MDy、MDz)を表示する。図16に示す例では、表示部12には、2次元測色計MDの位置PMとして、MDx=0、MDy=0、MDz=1000が表示されている。また図16には、2次元測色計MDを表示部12の表示面上に正射影した場合における2次元測色計MDの影が破線で示されている。
(2次元測色計MDによる表示装置DPの測定)
表示装置DPが色度輝度補正用画像を表示部12に表示している間に、まず、生産者等のオペレータは、変倍光学系211の画角が表示部12における表示面の大きさに、なるべく一致するように、焦点距離、言い換えれば倍率(画角)を調整して設定する。そして、前記オペレータは、例えば図略の測定開始スイッチ等を操作し、この操作によって2次元測色計MDに測定を開始させる。
測定を開始すると、2次元測色計MDは、2次元測定部21によって、測定対象である表示部12の光学像を変倍光学系211を介して受光し、複数の色成分それぞれに対応した複数の2次元光量分布(表示部12の画像)を測定し、この測定の際の変倍光学系211の焦点距離を取得する。より具体的には、本実施形態では、2次元測定部21が第1態様の2次元測定部21aである場合には、第1ないし第3バンドパルフィルタ212−X、212−Y、212−Zを順次に択一的に切り換えることによって、2次元測定部21aは、測定対象の光学像を変倍光学系211およびバンドパスフィルタ212(212−X、212−Y、212−Z)を介してエリアイメージセンサ213で受光し、三原色の色成分それぞれに対応した3種類の2次元光量分布を測定し、これら3種類の2次元光量分布をMD制御処理部22へ出力する。そして、2次元測定部21aは、焦点距離取得部214によって、変倍光学系211の焦点距離を取得し、この取得した焦点距離に対応する倍率βをMD制御処理部22へ出力する。また、2次元測定部21が第2態様の2次元測定部21bである場合には、本実施形態では、2次元測定部21bは、測定対象の光学像を変倍光学系211、光分配部215および第1ないし第3バンドパスフィルタ212−X、212−Y、212−Zそれぞれを介して第1ないし第3エリアイメージセンサ213−1、213−2、213−3それぞれで受光し、三原色の色成分それぞれに対応した3種類の2次元光量分布を測定し、これら3種類の2次元光量分布をMD制御処理部22へ出力する。そして、2次元測定部21aは、焦点距離取得部214によって、変倍光学系211の焦点距離を取得し、この取得した焦点距離に対応する倍率βをMD制御処理部22へ出力する。
そして、2次元測色計MDは、MD制御処理部22の測色位置取得出力処理部223によって、2次元測定部21で測定した2次元光量分布、言い換えれば、測定対象である表示部12の画像から、OCR等の公知の文字認識技術によって、表示部12の表示面に表示された2次元測色計MDの位置(MDx、MDy、MDz)を前記測色位置として求める(図11に示す例では、MDx=0、MDy=0、MDz=1000)。
さらに、2次元測色計MDは、MD制御処理部22の2次元測色演算部222によって、2次元測定部21(21a、21b)で測定した複数の2次元光量分布、および、補正情報記憶部241に記憶され、2次元測定部21の焦点距離取得部214で取得した焦点距離に対応した補正情報に基づいて、測定対象の2次元色分布を求める。より具体的には、本実施形態では、2次元測色演算部222は、2次元測定部21で測定した赤色、緑色および青色の3種類の2次元光量分布、および、補正情報記憶部241に記憶され、2次元測定部21の焦点距離取得部214で取得した焦点距離に対応する倍率βに応じた補正情報(β)に基づいて、表示部12に表示された色度輝度補正用画像における三刺激値X、Y、Zの2次元分布を求め、この求めた三刺激値X、Y、Zの2次元分布に基づいて、国際照明委員会(CIE)で規定された輝度Yおよび色度xyを求める。ここで、2次元測色演算部222は、2次元測定部21で測定した複数の2次元光量分布を測定対象の2次元色分布へ変換する変換行列を用いることによって、2次元測定部21で測定した前記複数の2次元光量分布から前記測定対象の2次元色分布を求めており、前記変換行列は、前記補正情報としての分光透過率To(β、r、λ))から求められる。より詳しくは、2次元測色演算部222は、次のように、前記補正情報としての前記変換行列を用いて、前記複数の2次元光量分布から前記測定対象の2次元色分布を求めている。
エリアイメージセンサ213における横方向(水平方向)の画素番号をiとし、その縦方向(垂直方向)の画素番号をjとし、画素位置i、jの画素から出力される各色の測光量をXs(i、j)、Ys(i、j)、Zs(i、j)とし、画素位置i、jの画素で用いられる変換行列をC(i、j)とする場合、画素位置i、jの画素における三刺激値X(i、j)、Y(i、j)、Z(i、j)は、次式(1)によって求められる。
前記変換行列C(i、j)は、次の手順によって求められる。まず、分光放射計が校正用の基準測定器として予め用意される。次に、表示装置DPに、白色が表示され、同じ位置において、分光放射計および2次元測色計MDそれぞれで前記白色の表示が順次に測定される。これによって分光放射計の測定結果Xw(i、j)、Yw(i、j)およびZw(i、j)が得られ、2次元測色計MDの測定結果Xsw(i、j)、Ysw(i、j)およびZsw(i、j)が得られる。分光放射計の測定結果Xw(i、j)、Yw(i、j)およびZw(i、j)それぞれは、例えばMDIF部23を介して、あるいは、図略の入力部を介して、2次元測色計MDに入力される。分光放射計の測定結果Xw(i、j)、Yw(i、j)およびZw(i、j)それぞれを上記式(1)における各X(i、j)、Y(i、j)、Z(i、j)とすることで、次式(1−W)が得られる。
同様に、表示装置DPに、赤色、緑色および青色の各色が順次に表示され、これら各色それぞれの各表示に対し、同じ位置において、分光放射計および2次元測色計MDそれぞれで各色の表示が順次に測定され、次式(1−R)、式(1−G)および式(1−B)が得られる。
ここで、Xr(i、j)、Yr(i、j)およびZr(i、j)は、赤色の表示を測定した場合における分光放射計の測定結果であり、Xsr(i、j)、Ysr(i、j)およびZsr(i、j)は、同位置で赤色の表示を測定した場合における2次元測色計MDの測定結果である。Xg(i、j)、Yg(i、j)およびZg(i、j)は、緑色の表示を測定した場合における分光放射計の測定結果であり、Xsg(i、j)、Ysg(i、j)およびZsg(i、j)は、同位置で緑色の表示を測定した場合における2次元測色計MDの測定結果である。Xb(i、j)、Yb(i、j)およびZb(i、j)は、青色の表示を測定した場合における分光放射計の測定結果であり、Xsb(i、j)、Ysb(i、j)およびZsb(i、j)は、同位置で青色の表示を測定した場合における2次元測色計MDの測定結果である。
これら式(1−W)、式(1−R)、式(1−G)および式(1−B)を互いに連立させて解くことによって、変換行列C(i、j)が求められる。すなわち、変換行列C(i、j)の各成分c11(i、j)〜c13(i、j)、c21(i、j)〜c23(i、j)、c31(i、j)〜c33(i、j)が求められる。
ここで、各倍率βそれぞれにおいて、全ての画素(i、j)それぞれに対する測定を行うと、比較的多数の測定データが必要となり、スポット(点)で測定する分光放射計の測定には時間がかかるので、測定に時間がかかってしまう。例えば、32×18の画素それぞれに対して測定する場合、32×18=576個のデータが必要となり、その測定に時間がかかる。このため、本実施形態では、変倍光学系211の分光透過率To(β、r、λ)を用いることによって、特定の1個の画素位置s、t(例えば表示装置DPにおける表示面の中心位置等)の画素に対する分光放射計の測定結果X(s、t)、Y(s、t)、Z(s、t)から、任意の画素位置i、jの画素に対する分光放射計の測定結果X(i、j)、Y(i、j)、Z(i、j)が、次式(2−1)〜式(2−3)によって求められる。これによって、1個の画素位置s、tの画素に対する測定で済む。
X(i、j)=X(s、t)*∫{Sx(β、i、j、λ)/Sx(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−1)
Y(i、j)=Y(s、t)*∫{Sy(β、i、j、λ)/Sy(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−2)
Z(i、j)=Z(s、t)*∫{Sz(β、i、j、λ)/Sz(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−3)
ここで、L(β、s、t、λ)は、特定の画素位置s、tに相当する表示装置DPの分光放射輝度である。
すなわち、白色の表示では、白色の表示における、特定の画素位置s、tに当たる表示装置DPの分光放射輝度をLw(β、s、t、λ)とすると、任意の画素位置i、jの画素に対する分光放射計の測定結果Xw(i、j)、Yw(i、j)、Zw(i、j)は、次式(2−1−W)〜式(2−3−W)によって求めることができる。
Xw(i、j)=Xw(s、t)*∫{Sx(β、i、j、λ)/Sx(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−1−W)
Yw(i、j)=Yw(s、t)*∫{Sy(β、i、j、λ)/Sy(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−2−W)
Zw(i、j)=Zw(s、t)*∫{Sz(β、i、j、λ)/Sz(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−3−W)
赤色の表示では、赤色の表示における、画素位置s、tに当たる表示装置DPの分光放射輝度をLr(β、s、t、λ)とすると、任意の画素位置i、jの画素に対する分光放射計の測定結果Xr(i、j)、Yr(i、j)、Zr(i、j)は、次式(2−1−R)〜式(2−3−R)によって求めることができる。
Xr(i、j)=Xr(s、t)*∫{Sx(β、i、j、λ)/Sx(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−1−R)
Yr(i、j)=Yr(s、t)*∫{Sy(β、i、j、λ)/Sy(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−2−R)
Zr(i、j)=Zr(s、t)*∫{Sz(β、i、j、λ)/Sz(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−3−R)
緑色の表示では、緑色の表示における、画素位置s、tに当たる表示装置DPの分光放射輝度をLg(β、s、t、λ)とすると、任意の画素位置i、jの画素に対する分光放射計の測定結果Xg(i、j)、Yg(i、j)、Zg(i、j)は、次式(2−1−G)〜式(2−3−G)によって求めることができる。
Xg(i、j)=Xg(s、t)*∫{Sx(β、i、j、λ)/Sx(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−1−G)
Yg(i、j)=Yg(s、t)*∫{Sy(β、i、j、λ)/Sy(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−2−G)
Zg(i、j)=Zg(s、t)*∫{Sz(β、i、j、λ)/Sz(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−3−G)
青色の表示では、青色の表示における、画素位置s、tに当たる表示装置DPの分光放射輝度をLb(β、s、t、λ)とすると、任意の画素位置i、jの画素に対する分光放射計の測定結果Xb(i、j)、Yb(i、j)、Zb(i、j)は、次式(2−1−B)〜式(2−3−B)によって求めることができる。
Xb(i、j)=Xb(s、t)*∫{Sx(β、i、j、λ)/Sx(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−1−B)
Yb(i、j)=Yb(s、t)*∫{Sy(β、i、j、λ)/Sy(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−2−B)
Zb(i、j)=Zb(s、t)*∫{Sz(β、i、j、λ)/Sz(β、s、t、λ)}*L(β、s、t、λ)dλ ・・・(2−3−B)
また、Sx(β、i、j、λ)、Sy(β、i、j、λ)およびSz(β、i、j、λ)それぞれは、図14を用いて説明したように、次式(3−1)〜式(3−3)によって求めることができる。ここで、画素位置i、jの像高は、r(i,j)とされ、分光透過率To(β、r(i、j)、λ)は、補正情報記憶部241に記憶された光学特性情報テーブルTTから、焦点距離取得部214で取得された焦点距離(言い換えれば、倍率β)に対応するデータである。なお、補正情報記憶部241に記憶された光学特性情報テーブルTTに、焦点距離取得部214で取得された倍率βに対応する分光透過率To(β、r(i、j)、λ)が無い場合には、焦点距離取得部214で取得された倍率βに近い複数の分光透過率To(β、r(i、j)、λ)から、例えば線形補間やラグランジュ補間等を用いて求められる。例えば、焦点距離取得部214で取得された倍率βが1.7である場合では、補正情報記憶部241に記憶された光学特性情報テーブルTTに登録されている、倍率β=1.5の分光透過率To(1.7、r(i、j)、λ)と倍率β=2.0の分光透過率To(2.0、r(i、j)、λ)とから補間によって求められる。
Sx(β、i、j、λ)=Sox(β、i、j、λ)*To(β、r(i、j)、λ)・・・(3−1)
Sy(β、i、j、λ)=Soy(β、i、j、λ)*To(β、r(i、j)、λ)・・・(3−2)
Sz(β、i、j、λ)=Soz(β、i、j、λ)*To(β、r(i、j)、λ)・・・(3−3)
ここで、像高r(i、j)は、次のように求めることができる。エリアイメージセンサ213は、その中心(対角線の交点)が変倍光学系211の光軸に合うように配置されるので、像高rは、エリアイメージセンサ213における受光面の中心(対角線の交点)からの距離で与えられる。したがって、画素位置i、jの画素における像高r(i、j)は、図17から、次式(4)で求めることができる。
r(i、j)=Lp*((i−Oh)2+(j−Ov)2)1/2 ・・・(4)
ここで、Lpは、画素のサイズ(画素が正方形である場合の一辺の長さ)であり、(Oh、Ov)は、画素番号で表したエリアイメージセンサ213の中心(対角線の交点)である。例えば、エリアイメージセンサ213が横方向に32個の画素を持ち、縦方向に18個の画素を持ち、1つの画素サイズが780μm*780μmである場合、Oh=16.5、Ov=9.5となり、画素位置29、4の像高r(29、4)は、式(4)より、約10.7mmとなる(r(29、4)=780*((29−16.5)2+(4−9.5)2)1/2)。
前記変換行列C(i、j)は、このような手順によって、変倍光学系211における焦点距離に依存した前記所定の光学特性(本実施形態では分光透過率To(β、r、λ))に基づいた値として、求められる。
そして、2次元測色演算部222は、上記式(1)を用いて求めた三刺激値X(i、j)、Y(i、j)、Z(i、j)から、次式(5−1)〜式(5−3)を用いることによって、国際照明委員会(CIE)で規定された輝度Yおよび色度xyを求める。
色度x(i、j)=X(i,j)/(X(i、j)+Y(i、j)+Z(i、j))・・・(5−1)
色度y(i、j)=Y(i,j)/(X(i、j)+Y(i、j)+Z(i、j))・・・(5−2)
輝度Y(i、j)=Y(i、j)・・・(5−3)
このように輝度Yおよび色度xyを求めると、2次元測色計MDは、この求めた輝度Y、色度xyの測色結果に2次元測色計MDの位置(MDx、MDy、MDz)を対応付けてこれらをMDIF部23から表示装置DPへ出力する。
ここで、上述では、輝度Y(i、j)、色度x(i、j)、x(i、j)は、2次元測色計MDの画素位置i、jで表されている。一方、表示装置DPでは、表示装置DPの画素位置k、mで表された輝度Y(k、m)、色度x(k、m)、x(k、m)が必要である。このため、2次元測色計MDは、上述のように求めた輝度Y(i、j)および色度x(i、j)、x(i、j)を表示装置DPへ出力する前に、2次元測色計MDでの画素位置i、jを表示装置DPでの画素位置k、mへ変換する必要がある。この変換は、表示装置DPの表示部12における表示面が、2次元測色計MDのエリアイメージセンサ213においてどの領域で受光されるかが分かれば実行できる。より具体的には、この変換は、例えば、次のように行われる。
まず、表示装置DPの表示部12における表示面全面に所定の色が表示される。次に、2次元測色計MDは、表示装置DPの表示部12を2次元測定部21によって測定して2次元光量分布を生成し、この2次元光量分布から前記所定の色を判別するための判別閾値を用いることで、エリアイメージセンサ213における表示部12の領域を特定する。この特定したエリアイメージセンサ213における表示部12の領域の4頂点それぞれに対応するエリアイメージセンサ213の各画素位置i、jは、それぞれ、表示部12の4頂点の各画素位置k、mに対応するので、この対応関係から、2次元測色計MDは、MD制御処理部22によって、2次元測色計MDでの画素位置i、jを表示装置DPでの画素位置k、mへ変換する。例えば、白色の色度輝度補正用画像が表示装置DPによる前記所定の色の表示として利用される。その2次元光量分布が2次元測色計MDによって生成され、その結果の一例が、図18に示されている。ここで、前記判別閾値を輝度100cd/m2とすると、図18に示す領域ARが表示部12の領域として特定される。この領域ARの4頂点それぞれに対応するエリアイメージセンサ213の各画素位置i、jは、(3、3)、(29、3)、(3、15)および(29、15)である。表示部12が横方向に1920個の画素を持ち、縦方向に1080の画素を持つ場合、領域ARの4頂点の各画素(3、3)、(29、3)、(3、15)および(29、15)は、それぞれ、表示装置DPの画素位置k、mで、表示部12の4頂点の各画素(1、1)、(1920、1)、(1、1080)および(1920、108)に対応する。表示部12の4頂点(1、1)、(1920、1)、(1、1080)および(1920、108)の各画素の間に在る各画素は、線形補間法によって2次元測色計MDにおける画素と対応付けることができる。この結果、表示装置DPにおける各画素位置k、mの各画素は、2次元測色計MDにおける画素と対応付けられ、表示装置DPの画素位置k、mで表された輝度Y(k、m)、色度x(k、m)、x(k、m)が求められる。
なお、上述では、2次元測色計MDが座標変換を行い、2次元測色計MDは、表示装置DPの画素位置k、mで表された輝度Y(k、m)、色度x(k、m)、x(k、m)を表示装置DPへ出力したが、2次元測色計MDは、前記座標変換に必要な前記4頂点の対応関係の情報、および、2次元測色計MDの画素位置i、jで表された輝度Y(i、j)、色度x(i、j)、x(i、j)を表示装置DPへ出力し、表示装置DPが前記座標変換を行っても良い。
そして、表示装置DPは、DP制御処理部14の測色情報記憶処理部145によって、2次元測色計MDからDPIF部17で取得した2次元測色計MDの位置付き前記測色結果を前記測色情報として測色情報記憶部151に記憶する。なお、2次元測色計MDと表示装置DPとは、無線で接続されて良く、また、ケーブルCを介して互いに接続されて良い。
そして、このような第1測色位置PM1で実施された上述の各処理が第2から第5測色位置PM2〜PM5それぞれで順次に実施され、第1から第5測色位置PM1〜PM5に関する測色情報が測色情報記憶部151に記憶される。
また、測色処理における時間の短縮化やその労力の低減化を図るために、例えば、図8に示すように、5個の第1から第5測色位置PM1〜PM5それぞれに5個の2次元測色計MD−1〜MD−5が同時に、配置され、上述の各処理が実施されて良い。なお、この場合では、2次元測色計MDは、自機を特定し他の2次元測色装置MDから識別するための識別子である測色計識別子(測色計ID)をMD記憶部24に予め記憶し、表示装置DPのDP記憶部15には、2次元測色計MDのおおよその位置と測色計IDとを対応付けて予め記憶しておく。例えば、表示装置DPにおける位置の検出範囲が複数の領域に分割され、測色計IDは、その該当する領域に割り付けて予め記憶される。そして、表示装置DPは、2次元測色計MDの位置を検出し、この検出した位置に対応する測色計IDを選択し、前記検出した2次元測色計MDの位置と前記選択した測色計IDを表示し、2次元測色計MDは、表示部12の表示面に表示された2次元測色計MDの前記位置をその測色位置として取得する際に、自機の測色計IDに対応する2次元測色計MDの前記位置を取得する。
表示装置DPは、このような測色処理が実施された後に、出荷される。
(表示装置DPにおける表示状態(表示出力)の調整)
次に、表示装置DPの表示状態の調整に関する動作について説明する。本実施形態における表示システムDSおよび表示装置DPは、例えば静止画や動画等のコンテンツを表示部12に表示する際に、表示状態の調整に関し、前記静止画を表示する場合にはその際に、また、前記動画を表示する場合には各フレームごとに、あるいは、数フレームごとに、次のように動作する。なお、ステレオカメラ11および位置処理部143は、開始以降、常時、動作してモニタしている。
図19において、まず、DP制御処理部14は、ステレオカメラ11によって一対の画像を生成し、位置処理部143によってユーザの所在位置(Ux、Ud、Uz)を求めて検出する(S21)。
次に、DP制御処理部14は、表示調整部144によって、測色情報記憶部151に記憶された測色情報から、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)に応じた測色結果を選定し、取り出す。なお、表示調整部144は、上述した補間の処理を実行してもよい。
例えば、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)が座標(−700、0、1000)である場合、表示調整部144は、測色情報記憶部151に記憶された測色情報から、Ux=MDx=−700、Uy=MDy=0、Uz=MDz=1000の座標位置に配置された2次元測色計MDで測色された図10に示す測色結果を選定し、取り出す。また例えば、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)が座標(−350、0,1000)である場合、表示調整部144は、測色情報記憶部151に記憶された測色情報から、Ux=MDx=−350、Uy=MDy=0、Uz=MDz=1000の座標位置に近い位置に配置された2次元測色計MDで測色された図9および図10に示す各測色結果を選定し、これら図9および図10に示す各測色結果に基づいて、補間によって、前記座標(−350、0,1000)に対応する測色結果を生成する。
次に、DP制御処理部14は、表示調整部144によって、表示部12における各画素ごとに、この取り出した測色結果と前記目標の見え方との差を補償するように前記表示面上の位置に応じた調整値をそれぞれ生成する(S23)。
そして、DP制御処理部14は、処理S23で求めた各調整値を用いて表示を行い(S24)、処理を終了する。例えば、前記静止画の表示では、DP制御処理部14は、処理S23で求めた各調整値を用いて前記静止画の各画素値をそれぞれ調整して前記静止画を表示部12に表する。また例えば、前記動画の表示では、DP制御処理部14は、処理S3で求めた各調整値を用いて前記動画におけるフレームの各画素値を調整して前記動画のフレームを表示部12に表示する。
一例として、前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)が座標(−700、0、1000)である場合、座標(−15、0)の領域における測定結果(輝度Y=100cd/m2、色度x=0.3127、色度y=0.3290)が前記目標の見え方となり、表示部12における表示面の各領域の測定結果それぞれと目標の見え方(輝度Y=100cd/m2、色度x=0.3127、色度y=0.3290)との差がそれぞれ求められ、これら各差を各領域に対する各調整値として、各領域における各画素の表示状態が調整される。例えば、座標(14、0)の領域では、その測定結果(輝度Y=50cd/m2、色度x=0.336、色度y=0.355)と目標の見え方(輝度Y=100cd/m2、色度x=0.3127、色度y=0.3290)との差が求められ、この差を調整値として、座標(14、0)の領域における各画素の表示状態が調整される(例えば、各画素の輝度Yは、その差50cd/m2を補償するようにアップされる。すなわち、各画素の輝度Yは、2倍される)。
以上説明したように、本実施形態における2次元測色計MD、これに実装された2次元測色方法およびこれを用いた表示システムDSは、変倍光学系211を備えるので、測定対象の大きさ(サイズ)、および、測定対象と2次元測色計MDとの間の距離に応じて変倍光学系211の焦点距離、言い換えれば倍率を変更することで、測定対象全体の像を写し、かつ、測定対象を除く他の物体(例えば背景)の像をできるだけ除いたデータを生成することが可能となる。そして、上記2次元測色計MD、2次元測色方法および表示システムDSは、変倍光学系211における焦点距離に依存した所定の光学特性に起因して生じる測定誤差を補正するための補正情報を前記焦点距離に対応付けて補正情報記憶部241に予め記憶し、測定した複数の色成分それぞれに対応した複数の2次元光量分布、および、その際の変倍光学系211の焦点距離に応じた補正情報に基づいて、測定対象の2次元色分布を求めるので、変倍光学系211の焦点距離(言い換えれば倍率)に伴う測定誤差をより低減できる。したがって、上記2次元測色計MD、2次元測色方法および表示システムDSは、変倍光学系211を備え、より測定誤差を低減できる。
また、本実施形態では、前記光学特性が分光透過率Toであるので、上記2次元測色計MD、2次元測色方法および表示システムDSは、変倍光学系211の焦点距離の変化に従って変化する分光透過率に伴う測定誤差を低減できる。
また、上記表示システムDSは、2次元測色計MDがMDIF部23を備え、表示装置DPがDPIF部17および測色情報記憶処理部145を備えるので、2次元測色計MDが測定した測色結果を自動的に前記測色情報として表示装置DPの測色情報記憶部145に記憶できる。
ユーザは、表示装置DPの表示部12における表示面の各位置を、前記各位置に応じた各角度で見込むため、前記各位置に応じた各見え方で見えることになる。上記表示システムDSでは、表示装置DPは、前記表示面上の位置に応じた調整値で、表示部12の表示状態を調整するので、前記各位置に応じた各見え方を個々に調整できる。
なお、上述の実施形態では、補正情報記憶部241は、補正情報として光学特性情報テーブルTTを記憶しているが、上述したように、2次元測色計MDは、2次元測定部21で測定した複数の2次元光量分布を測定対象の2次元色分布へ変換する変換行列C(i、j)を用いることによって、2次元測定部21で測定した前記複数の2次元光量分布から前記測定対象の2次元色分布を求めているので、補正情報記憶部241は、前記光学特性情報テーブルTTに代え、前記補正情報として上述の変換行列C(i、j)(=C(r))を変倍光学系211の焦点距離(本実施形態では倍率β)および画素位置(i、j)(または像高r)に対応付けて記憶してもよい。例えば、補正情報記憶部241には、倍率β=1.0の場合に対応した第1変換行列(β=1.0)、倍率β=1.2の場合に対応した第2変換行列(β=1.2)、倍率β=1.5の場合に対応した第3変換行列(β=1.5)、倍率β=2.0の場合に対応した第4変換行列(β=2.0)、倍率β=2.5の場合に対応した第5変換行列(β=2.5)、および、倍率β=3.0の場合に対応した第6変換行列(β=3.0)それぞれが、全ての画素位置(i、j)に対応付けて、または、所定の間隔ごとの画素位置(i、j)に対応付けて記憶される。このような2次元測色計MD、2次元測色方法および表示システムDSは、変倍光学系211の焦点距離に伴う測定誤差の影響を考慮した変換行列Cを求めておくことで、2次元測定部21で測定した複数の2次元光量分布から、変倍光学系211の焦点距離に伴う測定誤差をより低減した、測定対象の2次元色分布を容易に求めることができる。
また、上述の実施形態では、三刺激値XYZから輝度Yおよび色度xyが求められたが、他の表色系での値が求められても良い。例えば、三刺激値XYZから次式(6−1)、式(6−2)によってLu’v’表色系のu’v’が求められても良い。
u’(i、j)=4*X(i、j)/(X(i、j)+15*Y(i、j)+3*Z(i、j)) ・・・(6−1)
v’(i、j)=9*Y(i、j)/(X(i、j)+15*Y(i、j)+3*Z(i、j)) ・・・(6−1)
また、上述の実施形態では、表示部12の表示面に対するユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)を検出する位置検出部は、ステレオカメラ11と位置処理部143とを備えて構成されたが、これに限定されるものではない。例えば、前記位置検出部は、所定の間隔を空けて2次元アレイ状に配列された複数の焦電素子、距離計および情報処理回路等を備えて構成され、前記情報処理回路は、複数の焦電素子における各出力からユーザの所在する方向(Ux、Uy)を検出し、この検出した方向(Ux、Uy)へ前記距離計によってユーザまでの距離(Uz)を測定することで、ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)を検出しても良い。前記距離計は、例えば、超音波やレーザ光のパルスを送受信し、そのTOF(Time Of Fright)から測定対象(ユーザ)までの距離を求めるTOF方式距離計等である。また例えば、前記位置検出部は、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)技術を用いることによって、被写体までの距離を表す情報で表現された複数の画素で構成される距離画像(Ux、Uy、Uz)を生成する距離画像センサおよび情報処理回路等を備えて構成され、前記情報処理回路は、距離画像から、例えば予め用意された人物モデルのパターンマッチングによって、あるいは、人物検出用に学習したニューラルネットワークによって、人物領域を検出し、この検出した人物領域内における所定点の位置を前記ユーザの所在位置(Ux、Uy、Uz)として検出しても良い。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。