JP2017100947A - 目的抗原に対する抗体の作製方法 - Google Patents

目的抗原に対する抗体の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目的抗原に対する抗体を効率良く作製できる方法等を提供する。
【解決手段】本発明は、目的抗原に対する抗体の作製方法であって、互いに接近することでアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインと、目的抗原との融合タンパク質を発現し得る形質転換細胞を、非ヒト動物に移植して生着させた後、該非ヒト動物由来の生体試料から該抗原に対する抗体を回収することを含むことを特徴とする方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、目的抗原に対する抗体を効率よく作製する方法、及び当該方法に用いる形質転換細胞等に関する。
ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体は、血液などの混合溶液中に含まれる微量なタンパク質と特異的に結合できるため、研究や臨床検査における試薬あるいは医薬品などとして産業上有用な物質である。
抗体分子は、細胞膜上に発現している抗原に対して抗原抗体反応を強く引き起こすため、疾病患者に投与した場合に治療効果を期待するためには、膜タンパク質を認識する抗体であることが望ましい。
現在までに上市されている疾病治療用の抗体は、大部分が膜タンパク質を認識するモノクローナル抗体であり(非特許文献1)、(1)標的細胞へ結合し、直接的または間接的に細胞死を誘導する(特許文献1)、(2)膜レセプターへのリガンドの結合を阻害して細胞内シグナル伝達を緩和する(特許文献2)、などの作用により治療効果を発揮している。
そして、これまでに上市された抗体は、一つ一つが創意工夫と膨大な作業を繰り返すことによって得られたものである。
これら膜タンパク質に対するモノクローナル抗体を作製した例の多くは、抗原を発現する細胞を免疫賦活剤(アジュバント)と混合し、マウスを免疫して得られたものである(非特許文献2)。そのため、細胞内外に発現する多数のタンパク質の中から目的の抗原を効率良く誘導できるわけではなく、低い確率で誘導された抗体群の中から、目的の抗原に対する抗体を選び出す、という方法であった。これに対し、転移性の高い細胞をマウスの乳腺へ移植することで、効率良く膜タンパク質に対するモノクローナル抗体が誘導されるという方法が報告された(特許文献3)。この方法は、Balb/cヌードマウスに転移性の高いヒト細胞を生きたまま移植することで、脾臓の肥大化が極端に進み、膜タンパク質に偏って免疫応答が引き起こされる、という方法である。
モノクローナル抗体を作製する上では、利用するマウスの系統は重要である。一般的には飼育が容易で、抗原に対する免疫応答性の良い野生型Balb/cマウスが用いられている。しかし、特許文献3記載の方法では、ヒト細胞を移植して免疫誘導を行うため、細胞が生着するには免疫不全であるヌードマウスの利用が必要であった。しかし、Balb/cヌードマウスはT細胞の数が野生型(Balb/c)に比べ大幅に少ないという問題があった。そこで、特許文献3記載の方法よりも効率を向上させるためには、免疫不全ではない非ヒト動物の利用が好ましいと考えられた。
野生型マウスに、同種由来の高転移性のがん細胞を移植した場合に、細胞は生着し、個体内の様々な臓器に転移していく。野生型マウスには免疫系が正常に機能しているが、同種由来のがん細胞は免疫系に対抗して増殖及び転移する性質を有しているため、速やかに体内にがん細胞が拡散し、マウスの死亡を招く。一例としては、野生型Balb/cマウスから樹立された、高転移性のマウス乳がん細胞(4T1)を、野生型Balb/cマウスの第四乳腺に4×104 cells/乳腺となるよう移植した場合、4週以内にマウスが死亡し始め、6週での80%以上のマウスが死亡する。
すなわち、特許文献3記載の方法を応用し、野生型のマウスに同種由来のがん細胞を生着させた場合には、短期間でマウスが死亡してしまうため、効率良く抗体の誘導を行うことが出来ないという問題があり、解決が望まれていた。
細胞を用いた抗体誘導法に関しては、死細胞を投与する方法が知られている(非特許文献4)。この方法では、あらかじめがん細胞を死滅させ、その死細胞を個体に投与して、がん細胞に対する抗体を誘導させる方法であり、がんワクチンとしての利用例が報告されている。この場合、目的抗原が免疫系に認識されやすくするために、細胞に自発的な(プログラムされた)細胞死、すなわちアポトーシスを引き起こさせ、死滅した細胞を皮下に投与する方法で行われる。
アポトーシスにより死滅した細胞を投与すると、死細胞はリンパ流に乗ってリンパ節に蓄積する。アポトーシスによって死滅した細胞はその表面にホスファチジルセリンを露出しているため、食細胞(マクロファージや樹状細胞)はこのホスファチジルセリンと結合することで死細胞のみを選択的に貪食する。取り込まれた細胞の成分は、抗原提示されて抗体を誘導することが報告されている(非特許文献5)。
しかし、生きたがん細胞を個体内へ移植した後に、アポトーシスを誘導させて死滅させ、ワクチンに利用するという方法は報告されていない。これは、ヒトにがん細胞を移植する方法であるために、治療法として認められない行為と考えられるためである。また、非ヒト動物内にがん細胞を生着させ、アポトーシスで死滅させることで目的抗原に対する抗体を効率良く誘導したという報告はない。
アポトーシスによる細胞死は、個体が発生する段階で不要となった細胞が除去される機構であり、細胞の自殺、すなわちプログラムされた細胞死として知られている。人為的にアポトーシスを誘導させる方法としては、紫外線や放射線、酸化、熱ショック、高浸透圧、重金属が知られているほか、サイトカイン等のタンパク質でも誘導されることが報告されている。サイトカインの中では、TNF(腫瘍壊死因子)ファミリーに属するリガンドが、それらの受容体(TNF受容体スーパーファミリー)を発現する細胞に結合すると、アポトーシスが誘導される。
TNFファミリーには、TNF-aやリンフォトキシンa、Fasリガンド、Apo-3、TRAIL等が含まれる。これらの受容体としては、TNFと結合するTNFR1、Fasリガンドと結合するFas、Apo-3リガンドと結合するApo-3、TRAILと結合するDR4やDR5等が知られている。リガンドと受容体が結合した場合、受容体は細胞膜上で局所的に多量体となることで、細胞内にシグナルを生じさせることが公知である(非特許文献5)。
TNF受容体の細胞内ドメインには、約70アミノ酸残基からなる共通したモチーフ配列が存在し、このモチーフはデスドメインと呼ばれる。デスドメインは他のデスドメインを有する分子と結合し、アダプタータンパク質と呼ばれるFADD(Fas-associating protein with death domain/MORT1)やTRADD(TNF receptor 1-associated death domain protein)が集まることによって、細胞内にアポトーシスシグナルが伝達されることが知られている(非特許文献6)。すなわち、リガンドの結合により受容体の多量体化が進み、デスドメインが近づくことによってアポトーシスシグナルが生じることが公知である。
デスドメインを含む2つ以上の分子が近づくことでアポトーシスが誘導されることを利用し、人工的にアポトーシスを誘導する機能分子を作り出した例が報告されている(非特許文献7)。この場合、エストロゲン受容体の細胞内ドメインにTNF受容体のデスドメインを融合させた融合タンパク質を作り出し、エストロゲンが結合することで細胞にアポトーシスを誘導することが出来る、としたものである。
しかしながら、抗体を誘導する目的で目的抗原とデスドメインを有する分子とを融合させた報告はない。また、個体内で新たに誘導された抗体によって、アポトーシスが引き起こされるよう設計したがん細胞についても報告はない。さらに、目的抗原とデスドメインを融合させた分子をがん細胞に発現させ、マウスに生着させた場合に、新たに誘導された抗体によって個体内でアポトーシスが引き起こされ、死滅した細胞が効率的に貪食細胞によって取り込まれることで、目的抗原に対する抗体が効率良く誘導される、といった報告もない。
特開2001−010974号公報 特開平7−188056号公報 国際公開第2012/026615号
日本薬理学雑誌,2008, vol. 131, p. 102-108 Molecular and cellular biology, 1989, vol. 9, p. 1165-1172 Blood, 1994, vol. 83 p. 435-445 Nature Medicine, 2007, vol. 13, p. 54-61 Current Opinion in Cell Biol., 1999, vol, 2, p. 255-260 Cell Death and Differentiation, 2003, vol. 10, p. 66-75 Cancer Research, 1966, vol. 56, p. 4164-4170
このような状況下において、目的抗原に対する抗体を効率良く作製できる方法の開発が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、目的抗原にアポトーシスを引き起こすデスドメインを融合させた融合タンパク質を発現する細胞を作出し、この細胞をマウス等の非ヒト動物に移植して生着させることによって、目的抗原に対する抗体が効率良く誘導できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)目的抗原に対する抗体の作製方法であって、
互いに接近することでアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインと、目的抗原との融合タンパク質を発現し得る形質転換細胞を、非ヒト動物に移植して生着させた後、該非ヒト動物由来の生体試料から該抗原に対する抗体を回収することを含む、
前記方法。
(2)前記細胞が、転移性腫瘍細胞において前記融合タンパク質を発現し得るようにした細胞である、前記(1)記載の方法。
(3)転移性腫瘍細胞は、リンパ節及び/又はリンパ液を介して転移し得る細胞である、前記(2)記載の方法。
(4)転移性腫瘍細胞が、転移性乳がん細胞である、前記(2)又は(3)記載の方法。
(5)前記ドメインが、細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するものである、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するドメインが、デスドメインである、前記(5)に記載の方法。
(7)細胞死受容体が、TNFR、Fas、DR3、DR4及びDR5からなる群より選択される少なくとも1つである、前記(5)又は(6)記載の方法。
(8)目的抗原が、タンパク質である、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9)目的抗原が、膜タンパク質である、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。
(10)膜タンパク質が、膜貫通型タンパク質である、前記(9)記載の方法。
(11)非ヒト動物が、野生型の非ヒト動物である、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の方法。
(12)非ヒト動物が、齧歯類動物である、前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の方法。
(13)齧歯類動物がマウスである、前記(12)記載の方法。
(14)前記移植後、1〜6ヵ月後に前記抗体の回収を行う、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(15)互いに接近することでアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインと、目的抗原としてのタンパク質との融合タンパク質を発現し得る、形質転換細胞。
(16)前記細胞は、転移性腫瘍細胞において前記融合タンパク質を発現し得るようにした細胞である、前記(15)記載の細胞。
(17)転移性腫瘍細胞は、リンパ節及び/又はリンパ液を介して転移し得る細胞である、前記(16)記載の細胞。
(18)転移性腫瘍細胞が、転移性乳がん細胞である、前記(16)又は(17)記載の細胞。
(19)前記ドメインが、細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するものである、前記(15)〜(18)のいずれか1項に記載の細胞。
(20)細胞死受容体が、TNFR、Fas、DR3、DR4及びDR5からなる群より選択される少なくとも1つの受容体の細胞内ドメインに由来するものである、前記(19)記載の細胞。
(21)目的抗原が、タンパク質である、前記(15)〜(20)のいずれか1項に記載の細胞。
(22)目的抗原が、膜タンパク質である、前記(15)〜(21)のいずれか1項に記載の細胞。
(23)膜タンパク質が、膜貫通型タンパク質である、前記(22)記載の細胞。
本発明によれば、目的抗原に対する抗体を効率的に誘導することのできる、新規な抗体作製方法を提供することができる。
本発明の作製方法では、融合タンパク質を発現する細胞をマウス等の非ヒト動物に移植して生着させた場合、目的抗原に対する抗体が誘導されると、当該細胞がアポトーシスにより死滅し、死滅した細胞は貪食細胞(マクロファージ)に効率的に取り込まれて抗原提示されやすくなる。それにより、目的抗原に対する抗体誘導効率が向上させることができる。また、上記細胞として腫瘍細胞(がん細胞)、より具体的には転移性の腫瘍細胞を用いた場合でも、生着後、移植した非ヒト動物内で誘導された抗体によってアポトーシスが誘導され死滅することから、当該非ヒト動物自体の死亡率を低下させることができ、長期間、抗体誘導をさせることができる点でも、本発明の作製方法は有用性及び実用性に優れた方法である。
本発明の概念図である。膜タンパク質である目的抗原の細胞内に、デスドメインを含む受容体の細胞内ドメインを融合させた、融合タンパク質を示す。デスドメインを持つ受容体は、リガンドの結合により細胞にアポトーシスを引き起こさせる。一方、デスドメインを含む融合タンパク質は、抗体の結合により細胞にアポトーシスを引き起こさせることを示す。 本発明で作製した融合タンパク質の概念図である。CD20とFasの細胞内ドメインを結合させたCD20-mfasDDを示す。 高転移性のマウス乳がん細胞である4T1にCD20をコードするDNAを組み込んだ発現用プラスミドベクター(pEF6-CD20)を導入し、ウエスタンブロットによりCD20過剰発現株が取得できていることを示す図である。
4T1にCD20-mfasDD融合タンパク質をコードするDNAを組み込んだ発現用プラスミドベクター(pEF6-CD20-mfasDD)を導入し、ウエスタンブロットによりCD20-mfasDD過剰発現株が取得できていることを示す図である。 アポトーシスを起こした細胞とネクローシスを起こした細胞が、蛍光顕微鏡下で見分けられることを示す図である。アポトーシスの特徴である核の凝集が、Hoechst33342 (図中Ho)のみで染色される場合が初期アポトーシス、propidium iodide (図中PI)との両方で染色される場合は後期アポトーシスであることを示す。ネクローシスはHo及びPIの両方で染色されるが、核が膨潤していることが特徴であり、見分けられることを示す。 4T1-CD20-mfasDDと抗CD20抗体とを反応させた場合に、細胞がアポトーシスによって死滅することを示す図である。
4T1-CD20と4T1-CD20-mfasDDをコントロール抗体あるいは抗CD20抗体とを24時間あるいは48時間反応させて培養した際の、生存細胞数を解析した結果を示す図である。 4T1-CD20あるいは4T1-CD20-mfasDDを、野生型マウス(Balb/c)へ移植した後、飼育したマウスの生存率の結果を示す図である。 本発明で作製したジーンレポーターアッセイ用の融合タンパク質の概念図である。CD20とCD3 zetaの細胞内ドメインを結合させたCD20-CD3zを示す。
CD20-CD3zをレポーター細胞であるBWZ.36で発現させた細胞を作製し、その細胞と抗CD20抗体とを反応性させた場合に、抗体濃度に依存して細胞内のβ-galactosidase活性が上昇し、基質が分解されて発色が上昇することを示す図である。また、CD20に結合しない抗体を同じ濃度で添加した場合は、発色の上昇が見られないことを示す。 4T1-CD20あるいは4T1-CD20-mfasDD移植マウスで誘導された抗CD20抗体の力価を、BWZ.36-CD20-CD3zを用いて解析した結果を示す図である。
以下、本発明について、その好ましい態様を具体的に説明する。なお。本発明は、以下の発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
1.概要
本発明に係る抗体作製方法は、目的抗原にデスドメインを含む配列を融合させた融合タンパク質を構築し、これを発現し得る細胞(好ましくは転移性の腫瘍細胞)を作製して、この細胞を非ヒト動物(好ましくは野生型の非ヒト動物)へ移植して生着させて、目的抗原に対する抗体を効率的に誘導できることを特徴とする方法である。すなわち、この細胞が生着した野生型の非ヒト動物では、誘導された抗体が目的抗原に結合すると、当該細胞がアポトーシスを引き起こして死滅する。死滅した細胞は貪食細胞(マクロファージや樹状細胞)によって取り込まれ、抗原提示されるため、抗体誘導が効率よく起きる。移植した細胞は非ヒト動物の体内で作られた抗体によって死滅するため、当該細胞が腫瘍細胞であっても、当該非ヒト動物の死亡率を低下させることができる。
すなわち、本発明は、目的抗原に対する抗体の誘導効率を大幅に向上させることの出来る方法である。
本発明に係る、目的抗原に対する抗体の作製方法は、前述したとおり、互いに接近することでアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインと、目的抗原との融合タンパク質を発現し得る形質転換細胞を、非ヒト動物に移植して生着させた後、該非ヒト動物由来の生体試料から該抗原に対する抗体を回収することを含む方法である。
より具体的には、本発明の作製方法は、
(1)互いに接近することで、細胞内にアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインを、タンパク質等の目的抗原と結合させた、融合タンパク質を作製する工程、
(2)当該融合タンパク質を発現し得るように、当該タンパク質をコードする遺伝子を導入するなどして形質転換した細胞(転移性腫瘍細胞等)を得る工程、
(3)当該形質転換細胞を非ヒト動物に移植して生着させる工程、
(4)その後、非ヒト動物の生体内で誘導及び産生された、目的抗原に対する抗体を、生体試料(例えば、血液、血清等)から回収し、必要に応じ精製等する工程、
(5)非ヒト動物の脾臓あるいはリンパ節等に存在する抗体生産細胞をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を作製する工程、
(6)上記ハイブリドーマ細胞から抗体を回収し、必要に応じ精製等する工程、
を含むものである。
なお、当該方法においては、必要により、適宜、前記融合タンパク質を発現し得る細胞に、目的抗原に対する抗体が結合したときに、当該細胞がアポトーシスにより死滅することを確認する工程も含んでいてもよい。
本発明において、免疫の目的の「抗原」は、免疫応答を引き起こさせる物質を意味し、移植するがん細胞で発現し、抗原抗体反応を生じる物質であれば特に限定されない。抗原として、タンパク質、核酸、ペプチド、糖類、および脂質などを使用することができるが、タンパク質であることが好ましく、膜タンパク質であることがさらに好ましい。
本発明において、「膜タンパク質」とは、生体膜に付着しているタンパク質を意味する。本発明の膜タンパク質は、脂質二重膜を貫通し、あるいは脂肪酸鎖等によって脂質二重層に結合する膜内在性タンパク質、及び非共有結合によって脂質二重層の親水性部分や他の膜タンパク質に結び付く表在性膜タンパク質を含む。本発明において、膜タンパク質は、複数回貫通型であってもよいし、一回貫通型であってもよい。
本発明において、「抗原を発現する」とは、免疫応答を引き起こすことが可能な量の抗原を転移性がん細胞が含むことを意味する。抗原がタンパク質の場合、免疫の目的となる抗原タンパク質をコードする遺伝子とデスドメインを有する遺伝子とを融合させた、融合遺伝子を作製し、この遺伝子を細胞に導入して発現させることが出来る。任意の遺伝子を細胞に導入する方法としては、公知の遺伝子工学的手法を利用してプラスミドなどベクターを用いて行うことができる。この場合、タンパク質に付加された糖鎖も抗原となりうる。抗原は、1種類だけでなく、複数種類を用いてもよい。いずれの場合も細胞内でタンパク質が局在する部位は、特に限定されず、核内、細胞質内、細胞膜上が挙げられる。
また、抗原の大きさも特に限定されない。抗原としてタンパク質を同種の動物に由来するがん細胞に発現させて移植した場合、タンパク質の立体構造や糖鎖などの修飾が本来の形を保ったまま免疫応答を刺激できるため好適である。
本発明において、「アポトーシス」とは細胞死の一つの形態であり、外傷などの細胞外の環境の極端な変化によって引き起こされる細胞死であるネクローシスとは区別される細胞死を意味する。アポトーシスは本来、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる細胞死の事であり、プログラムされた細胞死である。
アポトーシスを起こした細胞は、細胞膜の構造変化が起き、核(クロマチン)が凝縮し、DNAが180 bpからなるヌクレオソーム単位で切断され、アポトーシス小体と呼ばれる小型の構造に分解される特徴を有している。ネクローシスでは、細胞内小器官の膨張やDNAのランダムな断片化が観察される。
アポトーシスが引き起こされた細胞は、Hoechst33342とpropidium iodideによる二重染色(Journal of Biological Chemistry, 2004, vol. 279, p. 33865-33874)を行った後に、蛍光顕微鏡下で観察することにより検出できる他、TUNEL (TdT- mediated dUTP nick end labeling)法等、公知の方法で検出することが出来る。
2.アポトーシスに関与する受容体
本発明において、「アポトーシスを引き起こす」又は「アポトーシスシグナルを誘導する」とは、細胞内にアポトーシスシグナルを生じさせることで、細胞を死滅させることを言う。「アポトーシスシグナル」とは、細胞がアポトーシスにより死滅する過程で働く一連のシグナル伝達機構を意味し、MAPK(mitogen-activated protein kinase)経路等の複数の経路が公知である。
本発明において「アポトーシスに関わる受容体」とは、アポトーシスに関わる事が知られている受容体を意味する。これら受容体の中には、TNFレセプター(TNFR1(tumor necrosis factor receptor-1)等)やFas、DR3(Tumor necrosis factor receptor superfamily member 25)、DR4(Tumor necrosis factor receptor superfamily member 10A)、DR5(Tumor necrosis factor receptor superfamily member 10B)等の、各種の細胞死受容体が公知である。アポトーシスに関わる受容体によるアポトーシスシグナルの発生は、受容体がリガンドの結合により多量体となり、細胞内ドメインの一部分が接近することにより生じることが公知である。細胞死受容体の細胞内ドメインには、デスドメインと呼ばれる約70アミノ酸残基からなる共通したモチーフ配列が存在し、複数のデスドメインが互いに接近することでアポトーシスシグナルが発生する事が知られている。
3.融合タンパク質
本発明では、目的抗原と、上記アポトーシスに関わる受容体との融合タンパク質を利用する。「融合タンパク質」とは、本来異なった機能を有するタンパク質を融合させることを意味する。目的抗原がタンパク質の場合、タンパク質をコードするDNAを人工的につなぎ合わせることによって発現させることが出来る。本発明では、具体的には、互いに接近することで細胞内にアポトーシスシグナルを誘導し得る、細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するタンパク質ドメイン(すなわちデスドメインを含む領域)を、目的抗原の細胞内側に融合させた、融合タンパク質を用いる。ここで、目的抗原の細胞内側とは、宿主細胞において目的抗原(例えばタンパク質)を発現させた場合に、細胞膜より内側(細胞質内)に存在し得る当該抗原の少なくとも一部の領域のことをいうが、細胞膜より内側に存在する部分が無い場合は、より細胞質側に位置する少なくとも一部の領域のことをいう。当該融合タンパク質の設計及び作製においては、目的抗原に融合させるデスドメインが細胞質内に存在するように配置する。
本発明において、マウス、ラット及びヒトのFasのアミノ酸配列は、それぞれ順に、配列番号2、4及び6で示される。また、マウス、ラット及びヒトのFasをコードするDNAの塩基配列は、それぞれ順に、配列番号1、3及び5で示される。
マウス、ラット及びヒトのTNFR1のアミノ酸配列は、それぞれ順に、配列番号8、10及び12で示される。また、マウス、ラット及びヒトのTNFR1をコードするDNAの塩基配列は、それぞれ順に、配列番号7、9及び11で示される。
マウス、ラット及びヒトのDR3のアミノ酸配列は、それぞれ順に、配列番号14、16及び18で示される。また、マウス、ラット及びヒトのDR3をコードするDNAの塩基配列は、それぞれ順に、配列番号13、15及び17で示される。
ヒトのDR4のアミノ酸配列は、配列番号20で示される。また、ヒトのDR4をコードするDNAの塩基配列は、それぞれ順に、配列番号19で示される。
マウス、ラット及びヒトのDR5のアミノ酸配列は、それぞれ順に、配列番号22、24及び26で示される。また、マウス、ラット及びヒトのDR5をコードするDNAの塩基配列は、それぞれ順に、配列番号21、23及び25で示される。各アミノ酸配列及び塩基配列は、それぞれ、GenBankデータベースにおいて、以下に示す通り、所定のアクセッション番号(Accession No.)により登録されている。
マウスFasのアミノ酸配列:mlwiwavlplvlagsqlrvhtqgtnsiseslklrrrvretdkncseglyqggpfccqpcqpgkkkvedckmnggtptcapctegkeymdknhyadkcrrctlcdeehglevetnctltqntkckckpdfycdspgcehcvrcascehgtlepctatsntncrkqsprnrlwlltilvlliplvfiyrkyrkrkcwkrrqddpesrtssretipmnasnlslskyipriaedmtiqeakkfarennikegkideimhdsiqdtaeqkvqlllcwyqshgksdayqdlikglkkaecrrtldkfqdmvqkdlgkstpdtgnenegqcle(GenBank Accession No. NP 032013.2)(配列番号2)
ラットFasのアミノ酸配列:MLWIMAVLPLVLAGPELNVRMQGTDSISEGLELKRSVRETDNNCSEGLYQVGPFCCQPCQPGERKVKDCTTSGGAPTCHPCTEGEEYTDRKHYSDKCRRCAFCDEGHGLEVETNCTRTQNTKCRCKENFYCNASLCDHCYHCTSCGLEDILEPCTRTSNTKCKKQSSNYKLLWLLILPGLAILFVFIYKRYRKRQPGDPESGIPSPESVPMNVSDVNLNKYIWRTAEKMKICDAKKFARQHKIPESKIDEIEHNSPQDAAEQKIQLLQCWYQSHGKTGACQALIQGLRKANRCDIAEEIQAMVWEDHENSISNSRNENEGQSLE(GenBank Accession No. NP 631933.2)(配列番号4)
ヒトFasのアミノ酸配列:mlgiwtllplvltsvarlssksvnaqvtdinskglelrktvttvetqnleglhhdgqfchkpcppgerkardctvngdepdcvpcqegkeytdkahfsskcrrcrlcdeghgleveinctrtqntkcrckpnffcnstvcehcdpctkcehgiikectltsntkckeegsrsnlgwlcllllpiplivwvkrkevqktcrkhrkenqgshesptlnpetvainlsdvdlskyittiagvmtlsqvkgfvrkngvneakideikndnvqdtaeqkvqllrnwhqlhgkkeaydtlikdlkkanlctlaekiqtiilkditsdsensnfrneiqslv(GenBank Accession No. NP_000034.1)(配列番号6)
マウスFasをコードするDNAの塩基配列:atgctgtggatctgggctgtcctgcctctggtgcttgctggctcacagttaagagttcatactcaaggtactaatagcatctccgagagtttaaagctgaggaggcgggttcgtgaaactgataaaaactgctcagaaggattatatcaaggaggcccattttgctgtcaaccatgccaacctggtaaaaaaaaagttgaggactgcaaaatgaatgggggtacaccaacctgcgccccatgcacagaagggaaggagtacatggacaagaaccattatgctgataaatgcagaagatgcacactctgcgatgaagagcatggtttagaggtggaaacaaactgcaccctgacccagaataccaagtgcaagtgcaaaccagacttctactgcgattctcctggctgtgaacactgtgttcgctgcgcctcgtgtgaacatggaacccttgagccgtgcacagcaaccagcaatacaaactgcaggaaacaaagtcccagaaatcgcctatggttgttgaccatccttgttttgttaattccacttgtatttatatatcgaaagtaccggaaaagaaagtgctggaaaaggagacaggatgaccctgaatctagaacctccagtcgtgaaaccataccaatgaatgcctcaaatcttagcttgagtaaatacatcccgagaattgctgaagacatgacaatccaggaagctaaaaaatttgctcgagaaaataacatcaaggagggcaagatagatgagatcatgcatgacagcatccaagacacagctgagcagaaagtccagctgctcctgtgctggtaccaatctcatgggaagagtgatgcatatcaagatttaatcaagggtctcaaaaaagccgaatgtcgcagaaccttagataaatttcaggacatggtccagaaggaccttggaaaatcaaccccagacactggaaatgaaaatgaaggacaatgtctggagtga(GenBank Accession No. NM_007987.2)(配列番号1)
ラットFasをコードするDNAの塩基配列:atgctgtggatcatggctgtcctgcctctggtgcttgctggccccgagttaaatgttcgaatgcaagggactgatagcatctctgagggtttggagttgaagaggagcgttcgtgaaaccgacaacaactgctcagaagggttatatcaagtgggcccattttgctgtcaaccgtgtcagcctggtgaacgaaaagttaaggactgcacaacaagtggaggtgcaccaacctgccatccgtgcacagaaggggaggagtacacggacaggaaacactattctgataaatgcagaaggtgcgccttctgtgatgaagggcatggtttagaagtggaaacgaactgcacccggacccagaataccaagtgcaggtgcaaagaaaacttctattgcaatgcttctctctgtgaccactgttatcactgcacctcgtgtggacttgaagacatccttgagccttgcacacgaaccagcaacaccaaatgcaagaaacaaagttccaattataagctcctttggctgctgatcctccccggtttggcaattctatttgtgttcatatataaaaggtaccggaagaggcaacctggtgaccctgaatctggaatcccaagtcctgaaagtgtgccaatgaatgtctcagatgttaacttgaataaatacatctggagaactgccgaaaaaatgaaaatctgtgacgctaaaaaatttgctcggcagcacaagatcccggaaagcaagatcgatgagatcgagcacaacagcccccaagatgcagctgagcagaaaatccagctgctccagtgctggtatcaatctcacgggaagactggtgcgtgtcaagctttaatccagggtctcagaaaagctaaccgctgcgacatcgcagaggaaattcaagccatggtctgggaggaccatgaaaactcaatctcaaacagcagaaatgaaaatgaaggacaaagtctggagtga(GenBank Accession No. NM_139194.2)(配列番号3)
ヒトFasをコードするDNAの塩基配列:atgctgggcatctggaccctcctacctctggttcttacgtctgttgctagattatcgtccaaaagtgttaatgcccaagtgactgacatcaactccaagggattggaattgaggaagactgttactacagttgagactcagaacttggaaggcctgcatcatgatggccaattctgccataagccctgtcctccaggtgaaaggaaagctagggactgcacagtcaatggggatgaaccagactgcgtgccctgccaagaagggaaggagtacacagacaaagcccatttttcttccaaatgcagaagatgtagattgtgtgatgaaggacatggcttagaagtggaaataaactgcacccggacccagaataccaagtgcagatgtaaaccaaactttttttgtaactctactgtatgtgaacactgtgacccttgcaccaaatgtgaacatggaatcatcaaggaatgcacactcaccagcaacaccaagtgcaaagaggaaggatccagatctaacttggggtggctttgtcttcttcttttgccaattccactaattgtttgggtgaagagaaaggaagtacagaaaacatgcagaaagcacagaaaggaaaaccaaggttctcatgaatctccaactttaaatcctgaaacagtggcaataaatttatctgatgttgacttgagtaaatatatcaccactattgctggagtcatgacactaagtcaagttaaaggctttgttcgaaagaatggtgtcaatgaagccaaaatagatgagatcaagaatgacaatgtccaagacacagcagaacagaaagttcaactgcttcgtaattggcatcaacttcatggaaagaaagaagcgtatgacacattgattaaagatctcaaaaaagccaatctttgtactcttgcagagaaaattcagactatcatcctcaaggacattactagtgactcagaaaattcaaacttcagaaatgaaatccaaagcttggtctag(GenBank Accession No. NM_000043.4)(配列番号5)
マウスTNFR1のアミノ酸配列:MGLPTVPGLLLSLVLLALLMGIHPSGVTGLVPSLGDREKRDSLCPQGKYVHSKNNSICCTKCHKGTYLVSDCPSPGRDTVCRECEKGTFTASQNYLRQCLSCKTCRKEMSQVEISPCQADKDTVCGCKENQFQRYLSETHFQCVDCSPCFNGTVTIPCKETQNTVCNCHAGFFLRESECVPCSHCKKNEECMKLCLPPPLANVTNPQDSGTAVLLPLVILLGLCLLSFIFISLMCRYPRWRPEVYSIICRDPVPVKEEKAGKPLTPAPSPAFSPTSGFNPTLGFSTPGFSSPVSSTPISPIFGPSNWHFMPPVSEVVPTQGADPLLYESLCSVPAPTSVQKWEDSAHPQRPDNADLAILYAVVDGVPPARWKEFMRFMGLSEHEIERLEMQNGRCLREAQYSMLEAWRRRTPRHEDTLEVVGLVLSKMNLAGCLENILEALRNPAPSSTTRLPR(GenBank Accession No. NP_035739.2)(配列番号8)
ラットTNFR1のアミノ酸配列:MGLPIVPGLLLSLVLLALLMGIHPSGVTGLVPSLGDREKRDNLCPQGKYAHPKNNSICCTKCHKGTYLVSDCPSPGQETVCEVCDKGTFTASQNHVRQCLSCKTCRKEMFQVEISPCKADMDTVCGCKKNQFQRYLSETHFQCVDCSPCFNGTVTIPCKEKQNTVCNCHAGFFLSGNECTPCSHCKKNQECMKLCLPPVANVTNPQDSGTAVLLPLVIFLGLCLLFFICISLLCRYPQWRPRVYSIICRDSAPVKEVEGEGIVTKPLTPASIPAFSPNPGFNPTLGFSTTPRFSHPVSSTPISPVFGPSNWHNFVPPVREVVPTQGADPLLYGSLNPVPIPAPVRKWEDVVAAQPQRLDTADPAMLYAVVDGVPPTRWKEFMRLLGLSEHEIERLELQNGRCLREAHYSMLEAWRRRTPRHEATLDVVGRVLCDMNLRGCLENIRETLESPAHSSTTHLPR(GenBank Accession No. NP_037223.1)(配列番号10)
ヒトTNFR1のアミノ酸配列:MGLSTVPDLLLPLVLLELLVGIYPSGVIGLVPHLGDREKRDSVCPQGKYIHPQNNSICCTKCHKGTYLYNDCPGPGQDTDCRECESGSFTASENHLRHCLSCSKCRKEMGQVEISSCTVDRDTVCGCRKNQYRHYWSENLFQCFNCSLCLNGTVHLSCQEKQNTVCTCHAGFFLRENECVSCSNCKKSLECTKLCLPQIENVKGTEDSGTTVLLPLVIFFGLCLLSLLFIGLMYRYQRWKSKLYSIVCGKSTPEKEGELEGTTTKPLAPNPSFSPTPGFTPTLGFSPVPSSTFTSSSTYTPGDCPNFAAPRREVAPPYQGADPILATALASDPIPNPLQKWEDSAHKPQSLDTDDPATLYAVVENVPPLRWKEFVRRLGLSDHEIDRLELQNGRCLREAQYSMLATWRRRTPRREATLELLGRVLRDMDLLGCLEDIEEALCGPAALPPAPSLLR(GenBank Accession No. NP_001056.1)(配列番号12)
マウスTNFR1をコードするDNAの塩基配列:atgggtctccccaccgtgcctggcctgctgctgtcactggtgctcctggctctgctgatggggatacatccatcaggggtcactggactagtcccttctcttggtgaccgggagaagagggatagcttgtgtccccaaggaaagtatgtccattctaagaacaattccatctgctgcaccaagtgccacaaaggaacctacttggtgagtgactgtccgagcccagggcgggatacagtctgcagggagtgtgaaaagggcacctttacggcttcccagaattacctcaggcagtgtctcagttgcaagacatgtcggaaagaaatgtcccaggtggagatctctccttgccaagctgacaaggacacggtgtgtggctgtaaggagaaccagttccaacgctacctgagtgagacacacttccagtgcgtggactgcagcccctgcttcaacggcaccgtgacaatcccctgtaaggagactcagaacaccgtgtgtaactgccatgcagggttctttctgagagaaagtgagtgcgtcccttgcagccactgcaagaaaaatgaggagtgtatgaagttgtgcctacctcctccgcttgcaaatgtcacaaacccccaggactcaggtactgcggtgctgttgcccctggttatcttgctaggtctttgccttctatcctttatcttcatcagtttaatgtgccgatatccccggtggaggcccgaagtctactccatcatttgtagggatcccgtgcctgtcaaagaggagaaggctggaaagcccctaactccagccccctccccagccttcagccccacctccggcttcaaccccactctgggcttcagcaccccaggctttagttctcctgtctccagtacccccatcagccccatcttcggtcctagtaactggcacttcatgccacctgtcagtgaggtagtcccaacccagggagctgaccctctgctctacgaatcactctgctccgtgccagcccccacctctgttcagaaatgggaagactccgcccacccgcaacgtcctgacaatgcagaccttgcgattctgtatgctgtggtggatggcgtgcctccagcgcgctggaaggagttcatgcgtttcatggggctgagcgagcacgagatcgagaggctggagatgcagaacgggcgctgcctgcgcgaggctcagtacagcatgctggaagcctggcggcgccgcacgccgcgccacgaggacacgctggaagtagtgggcctcgtgctttccaagatgaacctggctgggtgcctggagaatatcctcgaggctctgagaaatcccgccccctcgtccacgacccgcctcccgcgataa(GenBank Accession No. NM_011609.4)(配列番号7)
ラットTNFR1をコードするDNAの塩基配列:atgggtctccccatcgtgcctggcctgctgctgtcactggtgctcctggctctgctgatggggatacacccatcaggggtcaccggactggttccttctcttggtgaccgggagaagagggataatttgtgtccccagggaaagtatgcccatccaaagaataattccatctgctgcaccaagtgccacaaaggaacctacttggtgagtgactgtccaagcccagggcaggaaacagtctgcgaggtgtgtgataaaggcacctttacagcttcgcagaaccacgtcagacagtgtctcagttgcaagacatgtcggaaagaaatgttccaggtggagatttctccttgcaaagctgacatggacaccgtgtgtggctgcaagaagaaccaattccagcgctacctgagtgagacgcatttccagtgtgtggactgcagcccctgcttcaatggcaccgtgacaatcccctgtaaggagaaacagaacaccgtgtgtaactgccacgcaggattctttctaagcggaaatgagtgcaccccttgcagccactgcaagaaaaatcaggaatgtatgaagctgtgcctacctccagttgcaaatgtcacaaacccccaggactcaggtactgccgtgctgttgcctctggttatcttcctaggtctttgccttttattctttatctgcatcagtctactgtgccgatatccccagtggaggcccagggtctactccatcatttgtagggattcagctcctgtcaaagaggtggagggtgaaggaattgttactaagcccctaactccagcctctatcccagccttcagccccaaccccggcttcaaccccactctgggcttcagcaccaccccacgcttcagtcatcctgtctccagtacccccatcagccccgtcttcggtcctagtaactggcacaacttcgtgccacctgtaagagaggtggtcccaacccagggtgctgaccctctcctctacggatccctcaaccctgtgccaatccccgcccctgttcggaaatgggaagacgtcgtcgcggcccagccacaacggcttgacactgcagaccctgcgatgctgtatgctgtggtggatggcgtgcctccgacacgctggaaggagttcatgcggctcctggggctgagcgagcacgagatcgagcggctggagctgcagaacgggcgttgcctccgcgaggctcattacagcatgctggaagcctggcggcgccgcacaccgcgacacgaggccacgctggacgtagtgggccgcgtgctttgcgacatgaacctgcgtggctgcctggagaacatccgcgagactctagaaagccctgcccactcgtccacgacccacctcccgcgataa(GenBank Accession No. NM_013091.1)(配列番号9)
ヒトTNFR1をコードするDNAの塩基配列:atgggcctctccaccgtgcctgacctgctgctgccactggtgctcctggagctgttggtgggaatatacccctcaggggttattggactggtccctcacctaggggacagggagaagagagatagtgtgtgtccccaaggaaaatatatccaccctcaaaataattcgatttgctgtaccaagtgccacaaaggaacctacttgtacaatgactgtccaggcccggggcaggatacggactgcagggagtgtgagagcggctccttcaccgcttcagaaaaccacctcagacactgcctcagctgctccaaatgccgaaaggaaatgggtcaggtggagatctcttcttgcacagtggaccgggacaccgtgtgtggctgcaggaagaaccagtaccggcattattggagtgaaaaccttttccagtgcttcaattgcagcctctgcctcaatgggaccgtgcacctctcctgccaggagaaacagaacaccgtgtgcacctgccatgcaggtttctttctaagagaaaacgagtgtgtctcctgtagtaactgtaagaaaagcctggagtgcacgaagttgtgcctaccccagattgagaatgttaagggcactgaggactcaggcaccacagtgctgttgcccctggtcattttctttggtctttgccttttatccctcctcttcattggtttaatgtatcgctaccaacggtggaagtccaagctctactccattgtttgtgggaaatcgacacctgaaaaagagggggagcttgaaggaactactactaagcccctggccccaaacccaagcttcagtcccactccaggcttcacccccaccctgggcttcagtcccgtgcccagttccaccttcacctccagctccacctatacccccggtgactgtcccaactttgcggctccccgcagagaggtggcaccaccctatcagggggctgaccccatccttgcgacagccctcgcctccgaccccatccccaacccccttcagaagtgggaggacagcgcccacaagccacagagcctagacactgatgaccccgcgacgctgtacgccgtggtggagaacgtgcccccgttgcgctggaaggaattcgtgcggcgcctagggctgagcgaccacgagatcgatcggctggagctgcagaacgggcgctgcctgcgcgaggcgcaatacagcatgctggcgacctggaggcggcgcacgccgcggcgcgaggccacgctggagctgctgggacgcgtgctccgcgacatggacctgctgggctgcctggaggacatcgaggaggcgctttgcggccccgccgccctcccgcccgcgcccagtcttctcagatga(GenBank Accession No. NM_001065.3)(配列番号11)
マウスDR3のアミノ酸配列:MEELPRRERSPPGAATPGSTARVLQPLFLPLLLLLLLLLGGQGQGGMSGRCDCASESQKRYGPFCCRGCPKGHYMKAPCAEPCGNSTCLPCPSDTFLTRDNHFKTDCTRCQVCDEEALQVTLENCSAKSDTHCGCQSGWCVDCSTEPCGKSSPFSCVPCGATTPVHEAPTPLFWVQVLLGVAFLFGAILICAYCRWQPCKAVVTADTAGTETLASPQTAHLSASDSAHTLLAPPSSTGKICTTVQLVGNNWTPGLSQTQEVVCGQASQPWDQLPNRTLGTPLASPLSPAPPAGSPAAVLQPGPQLYDVMDAVPARRWKEFVRTLGLREAEIEAVEVEICRFRDQQYEMLKRWRQQQPAGLGAIYAALERMGLEGCAEDLRSRLQRGP(GenBank Accession No. NP_149031.2)(配列番号14)
ラットDR3のアミノ酸配列:MEQRPRGCVVEPLFLPSLLLLLLLLLGGHGQGGTPGRCDCASEPQKRYGQLCCRGCPKGQYMKAPCTEPCGDSSCLPCPPGTFLARDSHFKTDCTRCQVCDEEALQVTLENCSAETDTHCGCQSGWCVDCSTEPCGKSSPFSCTPCSSYEPTTYRPCPPGFYIHGNGCASCPTSFSSVCPKACTAVCGWKQMFWVQVLLGASFLLGTVLICAYCRWQPCKPVVTADIAGMETLASPQTTHFSASDSAHTLLPPPGSTGKVCTTVQLVGNNWTPGLSQTEEVVCRQASQPWDQLPNRTLGPPLVPPLSPAPPAGSPAAVLQPGPQLYDVMDAVPARRWKEFVRTLGLREAEIEAVEVEICRFRDQQYEMLKRWRQQQPAGLGAIYAALERMGLEGCAEDLRSRLQRGP(GenBank Accession No. NP_001131116.1)(配列番号16)
ヒトDR3のアミノ酸配列:MEQRPRGCAAVAAALLLVLLGARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLAWENHHNSECARCQACDEQASQVALENCSAVADTRCGCKPGWFVECQVSQCVSSSPFYCQPCLDCGALHRHTRLLCSRRDTDCGTCLPGFYEHGDGCVSCPTPPPSLAGAPWGAVQSAVPLSVAGGRVGVFWVQVLLAGLVVPLLLGATLTYTYRHCWPHKPLVTADEAGMEALTPPPATHLSPLDSAHTLLAPPDSSEKICTVQLVGNSWTPGYPETQEALCPQVTWSWDQLPSRALGPAAAPTLSPESPAGSPAMMLQPGPQLYDVMDAVPARRWKEFVRTLGLREAEIEAVEVEIGRFRDQQYEMLKRWRQQQPAGLGAVYAALERMGLDGCVEDLRSRLQRGP(GenBank Accession No. NP_683866.1)(配列番号18)
マウスDR3をコードするDNAの塩基配列:atggaggagctgcctaggagggagaggtcacctcctggggcagccacaccagggtcaactgcacgtgttctccagcctctgttcctaccactgctgctgctgctgctgctgctgcttggtggccagggccagggcggcatgtctggcaggtgtgactgtgccagtgagtcccagaagaggtatggcccgttttgttgcaggggctgcccaaagggacactacatgaaggccccctgcgcagaaccctgtggcaactccacctgccttccctgtccctcggacaccttcttgaccagagacaaccactttaagactgactgtacccgctgccaagtctgtgatgaagaggcccttcaagtgacccttgagaactgctcggcaaagtcggacacccactgtggctgccagtcaggctggtgtgttgactgctccaccgagccatgtgggaaaagctcacctttctcttgtgtcccatgcggggctacaacaccagtccatgaggctccaacccccctgttttgggtccaggtgcttctaggagtcgcgttcctttttggggctatcctgatctgtgcatattgtcgatggcagccttgtaaggccgtggtcactgcagacacagctgggacggagaccctggcctcaccacagactgcccatctctcagcctcagacagcgcccacaccctcctggcacctccaagcagtactgggaaaatctgtaccactgtccagttggtaggcaacaactggacccctggcttatcccagactcaggaggtggtctgcggacaggcctcacaaccctgggatcagctgccaaacagaactcttggaactcctctggcatctccgctctcgccagcgccccctgcgggctctccggctgctgtgctccagcctggcccgcagctctacgatgtgatggatgcggtcccagcacgaaggtggaaggagttcgtgcgcacgctggggctgcgggaagcggaaattgaagccgtggaggtggaaatctgccgcttccgagaccagcagtatgagatgctcaagcgctggcgtcagcagcagcctgcaggcctcggtgccatctatgcggctctggagcgcatgggtctggaaggctgtgccgaggacctgcgcagccgcctgcagcgtggcccgtga(GenBank Accession No. NM_033042.3)(配列番号13)
ラットDR3をコードするDNAの塩基配列:atggagcaacggccgcggggctgcgtggtggagcctctgttcctaccatcgctgctgctgctgctgctactgctgcttggtggccatggccagggtggtacgcccggcaggtgtgactgtgccagtgagccacagaagaggtatggccagctttgttgcaggggctgcccaaagggacagtacatgaaggccccctgcacagaaccctgtggcgactcctcatgccttccctgtcctccgggcaccttcttggccagagacagccactttaagactgactgtacccgctgccaagtctgtgatgaagaggcccttcaggtgaccctggagaattgctccgcagagacggacactcactgtggctgccagtcaggctggtgtgttgactgctccaccgagccgtgtgggaaaagctcacctttctcttgtaccccctgctcaagctacgaacctacaacataccggccctgcccgcctggcttctacatacacggcaatggctgcgcgtcctgccccacgagcttcagcagcgtttgccctaaggcttgcactgctgtctgtggctggaagcagatgttctgggtccaggtgcttctaggggcctcgttccttcttgggactgtcctgatctgtgcatactgtcggtggcagccttgtaagcccgtggtcactgcagacatagctgggatggagaccctggcctcaccacagactacccatttctcagcatcagacagcgcccacaccctcctgccacccccaggcagtactgggaaagtctgcaccactgtccagttggtaggcaacaactggacccccggtttatcccagactgaggaggtggtctgcaggcaggcctcacaaccctgggatcagctgccaaacagaactcttggccctcctctggtacctccgctctcgccagcgcccccggcaggctctccggctgctgtgctccagcctggcccgcaactctacgacgtaatggatgcggtcccagccagaaggtggaaggagtttgtgcgcacgctggggctgcgggaggcagaaattgaggctgtggaggtggagatctgccgcttccgagaccagcagtatgagatgctcaagcgctggcggcagcagcagcctgcaggcttgggtgccatctatgcggccctggagcgcatggggctggaaggctgtgctgaggaccttcgtagccgcctgcagcgcggcccgtga(GenBank Accession No. NM_001137644.1)(配列番号15)
ヒトDR3をコードするDNAの塩基配列:atggagcagcggccgcggggctgcgcggcggtggcggcggcgctcctcctggtgctgctgggggcccgggcccagggcggcactcgtagccccaggtgtgactgtgccggtgacttccacaagaagattggtctgttttgttgcagaggctgcccagcggggcactacctgaaggccccttgcacggagccctgcggcaactccacctgccttgtgtgtccccaagacaccttcttggcctgggagaaccaccataattctgaatgtgcccgctgccaggcctgtgatgagcaggcctcccaggtggcgctggagaactgttcagcagtggccgacacccgctgtggctgtaagccaggctggtttgtggagtgccaggtcagccaatgtgtcagcagttcacccttctactgccaaccatgcctagactgcggggccctgcaccgccacacacggctactctgttcccgcagagatactgactgtgggacctgcctgcctggcttctatgaacatggcgatggctgcgtgtcctgccccacgccacccccgtcccttgcaggagcaccctggggagctgtccagagcgctgtgccgctgtctgtggctggaggcagagtaggtgtgttctgggtccaggtgctcctggctggccttgtggtccccctcctgcttggggccaccctgacctacacataccgccactgctggcctcacaagcccctggttactgcagatgaagctgggatggaggctctgaccccaccaccggccacccatctgtcacccttggacagcgcccacacccttctagcacctcctgacagcagtgagaagatctgcaccgtccagttggtgggtaacagctggacccctggctaccccgagacccaggaggcgctctgcccgcaggtgacatggtcctgggaccagttgcccagcagagctcttggccccgctgctgcgcccacactctcgccagagtccccagccggctcgccagccatgatgctgcagccgggcccgcagctctacgacgtgatggacgcggtcccagcgcggcgctggaaggagttcgtgcgcacgctggggctgcgcgaggcagagatcgaagccgtggaggtggagatcggccgcttccgagaccagcagtacgagatgctcaagcgctggcgccagcagcagcccgcgggcctcggagccgtttacgcggccctggagcgcatggggctggacggctgcgtggaagacttgcgcagccgcctgcagcgcggcccgtga(GenBank Accession No. NM_148965.1)(配列番号17)
ヒトDR4のアミノ酸配列:MAPPPARVHLGAFLAVTPNPGSAASGTEAAAATPSKVWGSSAGRIEPRGGGRGALPTSMGQHGPSARARAGRAPGPRPAREASPRLRVHKTFKFVVVGVLLQVVPSSAATIKLHDQSIGTQQWEHSPLGELCPPGSHRSEHPGACNRCTEGVGYTNASNNLFACLPCTACKSDEEERSPCTTTRNTACQCKPGTFRNDNSAEMCRKCSRGCPRGMVKVKDCTPWSDIECVHKESGNGHNIWVILVVTLVVPLLLVAVLIVCCCIGSGCGGDPKCMDRVCFWRLGLLRGPGAEDNAHNEILSNADSLSTFVSEQQMESQEPADLTGVTVQSPGEAQCLLGPAEAEGSQRRRLLVPANGADPTETLMLFFDKFANIVPFDSWDQLMRQLDLTKNEIDVVRAGTAGPGDALYAMLMKWVNKTGRNASIHTLLDALERMEERHAREKIQDLLVDSGKFIYLEDGTGSAVSLE(GenBank Accession No. NP_003835.3)(配列番号20)
ヒトDR4をコードするDNAの塩基配列:atggcgccaccaccagctagagtacatctaggtgcgttcctggcagtgactccgaatcccgggagcgcagcgagtgggacagaggcagccgcggccacacccagcaaagtgtggggctcttccgcggggaggattgaaccacgaggcgggggccgaggagcgctccctacctccatgggacagcacggacccagtgcccgggcccgggcagggcgcgccccaggacccaggccggcgcgggaagccagccctcggctccgggtccacaagaccttcaagtttgtcgtcgtcggggtcctgctgcaggtcgtacctagctcagctgcaaccatcaaacttcatgatcaatcaattggcacacagcaatgggaacatagccctttgggagagttgtgtccaccaggatctcatagatcagaacatcctggagcctgtaaccggtgcacagagggtgtgggttacaccaatgcttccaacaatttgtttgcttgcctcccatgtacagcttgtaaatcagatgaagaagagagaagtccctgcaccacgaccaggaacacagcatgtcagtgcaaaccaggaactttccggaatgacaattctgctgagatgtgccggaagtgcagcagagggtgccccagagggatggtcaaggtcaaggattgtacgccctggagtgacatcgagtgtgtccacaaagaatcaggcaatggacataatatatgggtgattttggttgtgactttggttgttccgttgctgttggtggctgtgctgattgtctgttgttgcatcggctcaggttgtggaggggaccccaagtgcatggacagggtgtgtttctggcgcttgggtctcctacgagggcctggggctgaggacaatgctcacaacgagattctgagcaacgcagactcgctgtccactttcgtctctgagcagcaaatggaaagccaggagccggcagatttgacaggtgtcactgtacagtccccaggggaggcacagtgtctgctgggaccggcagaagctgaagggtctcagaggaggaggctgctggttccagcaaatggtgctgaccccactgagactctgatgctgttctttgacaagtttgcaaacatcgtgccctttgactcctgggaccagctcatgaggcagctggacctcacgaaaaatgagatcgatgtggtcagagctggtacagcaggcccaggggatgccttgtatgcaatgctgatgaaatgggtcaacaaaactggacggaacgcctcgatccacaccctgctggatgccttggagaggatggaagagagacatgcaagagagaagattcaggacctcttggtggactctggaaagttcatctacttagaagatggcacaggctctgccgtgtccttggagtga(GenBank Accession No. NM_003844.3)(配列番号19)
マウスDR5のアミノ酸配列:MEPPGPSTPTASAAARADHYTPGLRPLPKRRLLYSFALLLAVLQAVFVPVTANPAHNRPAGLQRPEESPSRGPCLAGQYLSEGNCKPCREGIDYTSHSNHSLDSCILCTVCKEDKVVETRCNITTNTVCRCKPGTFEDKDSPEICQSCSNCTDGEEELTSCTPRENRKCVSKTAWASWHKLGLWIGLLVPVVLLIGALLVWKTGAWRQWLLCIKRGCERDPESANSVHSSLLDRQTSSTTNDSNHNTEPGKTQKTGKKLLVPVNGNDSADDLKFIFEYCSDIVPFDSWNRLMRQLGLTDNQIQMVKAETLVTREALYQMLLKWRHQTGRSASINHLLDALEAVEERDAMEKIEDYAVKSGRFTYQNAAAQPETGPGGSQCV(GenBank Accession No. NP_064671.2)(配列番号22)
ラットDR5のアミノ酸配列:MLQAFLLLSFFVPVTAKLAQDRPADLQRLKQSPLECPAGQYLSKEDGSCKACIDGENYTSGPNVLPSCLSCRVCKEDKVIKSRCVKARNTECECKPGSFEDKDSTEICQTCSKGCEQDHENTVGLSLLDAQTSRKTNGSHHNTEPDRTQSSPLGRKLLVLANGNNPADALKLIFERCSTEVPFNSWDRLMRHMGLTDNQIQMVRAETQVPCEVLYQMLLKWLYQTGLGASINHLLGALEAVGERCALEEIEDYAVKSGKFVYQNTTA(GenBank Accession No. NP_001102343.1)(配列番号24)
ヒトDR5のアミノ酸配列:MEQRGQNAPAASGARKRHGPGPREARGARPGPRVPKTLVLVVAAVLLLVSAESALITQQDLAPQQRAAPQQKRSSPSEGLCPPGHHISEDGRDCISCKYGQDYSTHWNDLLFCLRCTRCDSGEVELSPCTTTRNTVCQCEEGTFREEDSPEMCRKCRTGCPRGMVKVGDCTPWSDIECVHKESGTKHSGEVPAVEETVTSSPGTPASPCSLSGIIIGVTVAAVVLIVAVFVCKSLLWKKVLPYLKGICSGGGGDPERVDRSSQRPGAEDNVLNEIVSILQPTQVPEQEMEVQEPAEPTGVNMLSPGESEHLLEPAEAERSQRRRLLVPANEGDPTETLRQCFDDFADLVPFDSWEPLMRKLGLMDNEIKVAKAEAAGHRDTLYTMLIKWVNKTGRDASVHTLLDALETLGERLAKQKIEDHLLSSGKFMYLEGNADSAMS(GenBank Accession No. NP_003833.4)(配列番号26)
マウスDR5をコードするDNAの塩基配列:atggagcctccaggacccagcacgcccacagcctctgccgctgcccgggcagatcactacaccccaggcctccggccactcccgaagcgcagacttctatatagctttgcgttgctgcttgctgtgctacaggctgtctttgttccagtaacagctaacccagcccataatcgtccagctggcctacagcggccggaggagagcccatcaagaggaccctgtctagcaggccagtacctgtcagaagggaactgcaagccttgcagagagggtattgactacaccagccattccaaccattctctggattcatgtattctctgcacagtctgtaaggaagataaagtcgtagaaacccgatgcaacataaccacaaatacggtgtgtcgatgcaaaccaggcacctttgaagataaagactcccctgagatctgccagtcatgctctaactgcactgacggggaagaggaactgacttcctgtacccccagagaaaaccggaagtgtgtctccaaaacggcttgggcatcttggcataagctaggcctctggataggactcctggttccagtagtgctgctgattggagctctgcttgtctggaagactggagcatggaggcaatggttgctctgtataaaaagaggctgtgaacgggatcccgaaagtgcgaactctgtgcattcgtctctcttggaccgacagacatctagcacgacaaatgactctaaccacaacacggaacctggcaagactcagaaaacaggaaagaagttgctggttccggtaaacggaaacgactcagctgacgacctgaagtttatcttcgagtattgttcggacatagtgccctttgactcctggaaccgtctcatgcggcagttgggcctcacagacaatcaaatccaaatggtcaaagccgaaacactggtcacacgtgaggccctgtaccaaatgctgctcaagtggcgccaccagactgggcgaagtgcctccatcaaccatctgctggatgccttggaagccgtggaagagagagatgccatggagaaaattgaagactacgcagtgaaatccgggaggtttacttatcagaacgctgcagcccaaccagagacagggccaggaggatctcagtgcgtttga(GenBank Accession No. NM_020275.4)(配列番号21)
ラットDR5をコードするDNAの塩基配列:atgttacaagcttttctgctactgagtttctttgttccagtgactgctaagctagcccaggatcgcccagctgacctacagaggctgaagcagagtccactggaatgtccagcaggccagtacctgtccaaggaggatggctcgtgcaaagcttgcatagatggtgaaaactacaccagcggtcccaacgtcctgccttcctgcctttcctgcagggtctgtaaggaagataaagtcataaaaagccgatgcgtcaaagctagaaacacagagtgtgagtgcaaaccaggcagctttgaagataaagactcgactgagatctgccagacatgctctaaaggctgtgaacaggaccatgaaaacactgtgggtttatctctcttggacgcacagacatcgaggaagacaaatggctctcaccacaacacggaacctgacagaactcagagttcgccattaggaaggaagttgctggtactggcaaatggaaacaacccagctgatgccctgaagttgatcttcgagcgctgttcgaccgaagtgccctttaactcctgggaccgtctcatgcggcatatgggtctcacagacaatcaaattcaaatggtcagggctgagacacaagtcccatgtgaggtcttgtaccaaatgctgctgaagtggctctaccaaacggggctaggcgcctctatcaaccacctgctaggtgccttggaagcggtgggagaaagatgtgccctggaggaaattgaagactatgctgtgaaatccgggaagttcgtttatcagaacactacagcctag(GenBank Accession No. NM_001108873.1)(配列番号23)
ヒトDR5をコードするDNAの塩基配列:atggaacaacggggacagaacgccccggccgcttcgggggcccggaaaaggcacggcccaggacccagggaggcgcggggagccaggcctgggccccgggtccccaagacccttgtgctcgttgtcgccgcggtcctgctgttggtctcagctgagtctgctctgatcacccaacaagacctagctccccagcagagagcggccccacaacaaaagaggtccagcccctcagagggattgtgtccacctggacaccatatctcagaagacggtagagattgcatctcctgcaaatatggacaggactatagcactcactggaatgacctccttttctgcttgcgctgcaccaggtgtgattcaggtgaagtggagctaagtccctgcaccacgaccagaaacacagtgtgtcagtgcgaagaaggcaccttccgggaagaagattctcctgagatgtgccggaagtgccgcacagggtgtcccagagggatggtcaaggtcggtgattgtacaccctggagtgacatcgaatgtgtccacaaagaatcaggtacaaagcacagtggggaagtcccagctgtggaggagacggtgacctccagcccagggactcctgcctctccctgttctctctcaggcatcatcataggagtcacagttgcagccgtagtcttgattgtggctgtgtttgtttgcaagtctttactgtggaagaaagtccttccttacctgaaaggcatctgctcaggtggtggtggggaccctgagcgtgtggacagaagctcacaacgacctggggctgaggacaatgtcctcaatgagatcgtgagtatcttgcagcccacccaggtccctgagcaggaaatggaagtccaggagccagcagagccaacaggtgtcaacatgttgtcccccggggagtcagagcatctgctggaaccggcagaagctgaaaggtctcagaggaggaggctgctggttccagcaaatgaaggtgatcccactgagactctgagacagtgcttcgatgactttgcagacttggtgccctttgactcctgggagccgctcatgaggaagttgggcctcatggacaatgagataaaggtggctaaagctgaggcagcgggccacagggacaccttgtacacgatgctgataaagtgggtcaacaaaaccgggcgagatgcctctgtccacaccctgctggatgccttggagacgctgggagagagacttgccaagcagaagattgaggaccacttgttgagctctggaaagttcatgtatctagaaggtaatgcagactctgccatgtcctaa(GenBank Accession No. NM_003842.4)(配列番号25)
マウス由来のFasタンパク質は、327アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。Fasの細胞内ドメインは、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の第187番目〜第327番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号31)である。Fasのデスドメインは配列番号2で示されるアミノ酸配列中の第222番目〜第306番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号32)である。融合タンパク質を作製する場合には、配列番号31で示されるアミノ酸配列からなる領域が含まれていることが好ましく、配列番号32で示されるアミノ酸配列からなる領域が含まれていることがより好ましい。
ラット由来のFasタンパク質は、324アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。Fasの細胞内ドメインは、配列番号4で示されるアミノ酸配列中の第189番目〜第324番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号33)である。Fasのデスドメインは配列番号4で示されるアミノ酸配列中の第219番目〜第303番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号34)である。
ヒト由来のFasタンパク質は、335アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。Fasの細胞内ドメインは、配列番号6で示されるアミノ酸配列中の第191番目〜第335番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号35)である。Fasのデスドメインは配列番号6で示されるアミノ酸配列中の第230番目〜第314番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号36)である。
マウス由来のTNFR1タンパク質は、433アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。TNFR1の細胞内ドメインは、配列番号8で示されるアミノ酸配列中の第236番目〜第454番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号37)である。TNFR1のデスドメインは配列番号8で示されるアミノ酸配列中の第356番目〜第441番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号38)である。
ラット由来のTNFR1タンパク質は、440アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。TNFR1の細胞内ドメインは、配列番号10で示されるアミノ酸配列中の第235番目〜第461番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号39)である。TNFR1のデスドメインは配列番号10で示されるアミノ酸配列中の第363番目〜第448番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号40)である。
ヒト由来のTNFR1タンパク質は、455アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。TNFR1の細胞内ドメインは、配列番号12で示されるアミノ酸配列中の第235番目〜第455番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号41)である。TNFR1のデスドメインは配列番号12で示されるアミノ酸配列中の第356番目〜第441番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号42)である。
マウス由来のDR3タンパク質は、387アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR3の細胞内ドメインは、配列番号14で示されるアミノ酸配列中の第196番目〜第387番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号43)である。DR3のデスドメインは配列番号14で示されるアミノ酸配列中の第292番目〜第387番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号44)である。
ラット由来のDR3タンパク質は、407アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR3の細胞内ドメインは、配列番号16で示されるアミノ酸配列中の第216番目〜第407番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号45)である。DR3のデスドメインは配列番号16で示されるアミノ酸配列中の第313番目〜第407番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号46)である。
ヒト由来のDR3タンパク質は、393アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR3の細胞内ドメインは、配列番号18で示されるアミノ酸配列中の第221番目〜第417番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号47)である。DR3のデスドメインは配列番号18で示されるアミノ酸配列中の第332番目〜第413番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号48)である。
ヒト由来のDR4タンパク質は、445アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR4の細胞内ドメインは、配列番号20で示されるアミノ酸配列中の第263番目〜第468番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号49)である。DR4のデスドメインは配列番号20で示されるアミノ酸配列中の第365番目〜第448番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号50)である。
マウス由来のDR5タンパク質は、381アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR5の細胞内ドメインは、配列番号22で示されるアミノ酸配列中の第202番目〜第381番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号51)である。DR5のデスドメインは配列番号22で示されるアミノ酸配列中の第273番目〜第356番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号52)である。
ラット由来のDR5タンパク質は、267アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR5の細胞内ドメインは、配列番号24で示されるアミノ酸配列中の第101番目〜第267番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号53)である。DR5のデスドメインは配列番号24で示されるアミノ酸配列中の第171番目〜第267番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号54)である。
ヒト由来のDR5タンパク質は、385アミノ酸残基よりなる1回膜貫通型のタンパク質である。DR5の細胞内ドメインは、配列番号26で示されるアミノ酸配列中の第232番目〜第385番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号55)である。DR5のデスドメインは配列番号26で示されるアミノ酸配列中の第339番目〜第422番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号56)である。
目的抗原が膜タンパク質の場合、膜タンパク質の全長及び/又は細胞外領域全体、及び/又は細胞外領域の部分配列を利用することが出来る。
複数回膜貫通型のタンパク質の中には、N末端とC末端の両方が細胞外に存在し、細胞内に末端を持たないタンパク質が存在する。この場合、細胞内ドメインの一部にデスドメインを含むアミノ酸配列を導入する、あるいは、N末端および/又はC末端に膜貫通型ドメインを付加することで、デスドメインを含むアミノ酸配列が細胞内に存在するように適宜設計することが可能である。
上記の膜貫通型ドメインとは、約20アミノ酸残基からなるドメインであり、細胞膜を貫通する領域である。膜を貫通するドメインを有するタンパク質であれば利用可能であり、特に限定されるものではないが、例えばマウスCD8a (CD8 antigen, alpha chain)の膜貫通ドメインが利用できる(The Journal of Immunology, 2007, vol. 179, p. 1122-1128)。
マウスCD8aは、247アミノ酸残基からなる一回膜貫通型のタンパク質であり、配列番号58で示されるアミノ酸配列中の第197番目〜第217番目の21アミノ酸残基からなる領域(配列番号64)が膜貫通ドメインとして同定されており、例えば、同配列中の第183番目〜第221番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号66)を、膜貫通ドメインを含む領域として利用することが出来る。
ラットCD8aについては、配列番号60で示されるアミノ酸配列中の第197番目〜第217番目の21アミノ酸残基からなる領域(配列番号68)が膜貫通ドメインとして同定されており、例えば、同配列中の第183番目〜第221番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号70)を、膜貫通ドメインを含む領域として利用することが出来る。
ヒトCD8aについては、配列番号62で示されるアミノ酸配列中の第197番目〜第217番目の21アミノ酸残基からなる領域(配列番号72)が膜貫通ドメインとして同定されており、例えば、同配列中の第183番目〜第221番目のアミノ酸残基からなる領域(配列番号74)を、膜貫通ドメインを含む領域として利用することが出来る。
なお、本発明において、マウス、ラット及びヒトのCD8aアミノ酸配列は、それぞれ順に、配列番号58、60、及び62で示され、それらをコードするDNAの塩基配列は、それぞれ順に、配列番号57、59、及び61で示される。
マウスCD8aの膜貫通ドメインからなる領域のアミノ酸配列は、配列番号64で示され、当該領域をコードするDNAの塩基配列は、配列番号63で示され、また、マウスCD8aの膜貫通ドメインを含む領域のアミノ酸配列は、配列番号66で示され、当該領域をコードするDNAの塩基配列は、配列番号65で示される。
ラットCD8aの膜貫通ドメインからなる領域のアミノ酸配列は、配列番号68で示され、当該領域をコードするDNAの塩基配列は、配列番号67で示され、また、ラットCD8aの膜貫通ドメインを含む領域のアミノ酸配列は、配列番号70で示され、当該領域をコードするDNAの塩基配列は、配列番号69で示される。
ヒトCD8aの膜貫通ドメインからなる領域のアミノ酸配列は、配列番号72で示され、当該領域をコードするDNAの塩基配列は、配列番号71で示され、また、ヒトCD8aの膜貫通ドメインを含む領域のアミノ酸配列は、配列番号74で示され、当該領域をコードするDNAの塩基配列は、配列番号73で示される。
各アミノ酸配列及び塩基配列は、それぞれGenBankデータベースにおいて、所定のアクセッション番号(Accession No.)により登録されている。
マウスCD8aのアミノ酸配列:MASPLTRFLSLNLLLLGESIILGSGEAKPQAPELRIFPKKMDAELGQKVDLVCEVLGSVSQGCSWLFQNSSSKLPQPTFVVYMASSHNKITWDEKLNSSKLFSAMRDTNNKYVLTLNKFSKENEGYYFCSVISNSVMYFSSVVPVLQKVNSTTTKPVLRTPSPVHPTGTSQPQRPEDCRPRGSVKGTGLDFACDIYIWAPLAGICVALLLSLIITLICYHRSRKRVCKCPRPLVRQEGKPRPSEKIV(GenBank Accession No. NP_001074579.1)(配列番号58)
ラットCD8aのアミノ酸配列:MASRVICFLSLNLLLLDVITRLQVSGQLQLSPKKVDAEIGQEVKLTCEVLRDTSQGCSWLFRNSSSELLQPTFIIYVSSSRSKLNDILDPNLFSARKENNKYILTLSKFSTKNQGYYFCSITSNSVMYFSPLVPVFQKVNSIITKPVTRAPTPVPPPTGTPRPLRPEACRPGASGSVEGMGLGFACDIYIWAPLAGICAVLLLSLVITLICCHRNRRRVCKCPRPLVKPRPSEKFV(GenBank Accession No. NP_113726.1)(配列番号60)
ヒトCD8aのアミノ酸配列:MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV(GenBank Accession No. NP_001759.3)(配列番号62)
マウスCD8aをコードするDNAの塩基配列:atggcctcaccgttgacccgctttctgtcgctgaacctgctgctgctgggtgagtcgattatcctggggagtggagaagctaagccacaggcacccgaactccgaatctttccaaagaaaatggacgccgaacttggtcagaaggtggacctggtatgtgaagtgttggggtccgtttcgcaaggatgctcttggctcttccagaactccagctccaaactcccccagcccaccttcgttgtctatatggcttcatcccacaacaagataacgtgggacgagaagctgaattcgtcgaaactgttttctgccatgagggacacgaataataagtacgttctcaccctgaacaagttcagcaaggaaaacgaaggctactatttctgctcagtcatcagcaactcggtgatgtacttcagttctgtcgtgccagtccttcagaaagtgaactctactactaccaagccagtgctgcgaactccctcacctgtgcaccctaccgggacatctcagccccagagaccagaagattgtcggccccgtggctcagtgaaggggaccggattggacttcgcctgtgatatttacatctgggcacccttggccggaatctgcgtggcccttctgctgtccttgatcatcactctcatctgctaccacaggagccgaaagcgtgtttgcaaatgtcccaggccgctagtcagacaggaaggcaagcccagaccttcagagaaaattgtgtaa(GenBank Accession No. NM_001081110.2)(配列番号57)
ラットCD8aをコードするDNAの塩基配列:atggcctcacgggtgatctgctttctgtcgctgaacctgctactgctggatgttatcactaggctccaggtttccggacagttacagttgtcaccaaagaaagtggacgctgaaattggccaggaggtgaagctaacatgcgaagtgctgcgggacacttcgcaaggatgctcttggctcttccggaactccagctccgaactcctccagcccaccttcatcatctatgtatcttcatcccggagcaagctgaacgatatactggatccgaatctgttctctgcccggaaggaaaacaacaaatacatcctcaccctgagcaagttcagcactaaaaaccaaggctactatttctgctcaatcaccagcaactcggtgatgtacttcagtcctctggtgccggtgtttcagaaagtgaactctattatcaccaagccggtgacgcgagctcccacaccagtgcctcctcctacagggacaccccggcccctacgaccagaagcttgccgacccggggcgagtggctcagtggagggaatgggattgggcttcgcctgcgatatttacatctgggcacccttggccggaatctgcgcggttcttctgctgtccctggtcatcactctcatctgctgccacaggaaccgaaggcgtgtttgcaaatgtcccaggccccttgtcaagcccagaccttcagagaaattcgtgtaa(GenBank Accession No. NM_031538.2)(配列番号59)
ヒトCD8aをコードするDNAの塩基配列:atggccttaccagtgaccgccttgctcctgccgctggccttgctgctccacgccgccaggccgagccagttccgggtgtcgccgctggatcggacctggaacctgggcgagacagtggagctgaagtgccaggtgctgctgtccaacccgacgtcgggctgctcgtggctcttccagccgcgcggcgccgccgccagtcccaccttcctcctatacctctcccaaaacaagcccaaggcggccgaggggctggacacccagcggttctcgggcaagaggttgggggacaccttcgtcctcaccctgagcgacttccgccgagagaacgagggctactatttctgctcggccctgagcaactccatcatgtacttcagccacttcgtgccggtcttcctgccagcgaagcccaccacgacgccagcgccgcgaccaccaacaccggcgcccaccatcgcgtcgcagcccctgtccctgcgcccagaggcgtgccggccagcggcggggggcgcagtgcacacgagggggctggacttcgcctgtgatatctacatctgggcgcccttggccgggacttgtggggtccttctcctgtcactggttatcaccctttactgcaaccacaggaaccgaagacgtgtttgcaaatgtccccggcctgtggtcaaatcgggagacaagcccagcctttcggcgagatacgtctaa(GenBank Accession No. NM_001768)(配列番号61)
マウスCD8aの膜貫通ドメインからなる領域のアミノ酸配列:IWAPLAGICVALLLSLIITLI(配列番号64)
マウスCD8aの膜貫通ドメインからなる領域をコードするDNAの塩基配列:ATCTGGGCACCCTTGGCCGGAATCTGCGTGGCCCTTCTGCTGTCCTTGATCATCACTCTCATC(配列番号63)
マウスCD8aの膜貫通ドメインを含む領域のアミノ酸配列:SVKGTGLDFACDIYIWAPLAGICVALLLSLIITLICYHR(配列番号66)
マウスCD8aの膜貫通ドメインを含む領域をコードするDNAの塩基配列:TCAGTGAAGGGGACCGGATTGGACTTCGCCTGTGATATTTACATCTGGGCACCCTTGGCCGGAATCTGCGTGGCCCTTCTGCTGTCCTTGATCATCACTCTCATCTGCTACCACAGG(配列番号65)
ラットCD8aの膜貫通ドメインからなる領域のアミノ酸配列:IWAPLAGICAVLLLSLVITLI(配列番号68)
ラットCD8aの膜貫通ドメインからなる領域をコードするDNAの塩基配列:ATCTGGGCACCCTTGGCCGGAATCTGCGCGGTTCTTCTGCTGTCCCTGGTCATCACTCTCATC(配列番号67)
ラットCD8aの膜貫通ドメインを含む領域のアミノ酸配列:SVEGMGLGFACDIYIWAPLAGICAVLLLSLVITLICCHR(配列番号70)
ラットCD8aの膜貫通ドメインを含む領域をコードするDNAの塩基配列:tcagtggagggaatgggattgggcttcgcctgcgatatttacatctgggcacccttggccggaatctgcgcggttcttctgctgtccctggtcatcactctcatctgctgccacagg(配列番号69)
ヒトCD8aの膜貫通ドメインからなる領域のアミノ酸配列:IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号72)
ヒトCD8aの膜貫通ドメインからなる領域をコードするDNAの塩基配列:ATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACC(配列番号71)
ヒトCD8aの膜貫通ドメインを含む領域のアミノ酸配列:GGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCN(配列番号74)
ヒトCD8aの膜貫通ドメインを含む領域をコードするDNAの塩基配列:gggggcgcagtgcacacgagggggctggacttcgcctgtgatatctacatctgggcgcccttggccgggacttgtggggtccttctcctgtcactggttatcaccctttactgcaac(配列番号73)
4.アポトーシス誘導
本発明では、目的抗原と、デスドメインを含む細胞死受容体の細胞内ドメインとを融合させた融合タンパク質をコードするDNA(融合タンパク質遺伝子)を、所望の宿主細胞、好ましくはがん細胞、特に転移性のがん細胞に導入することにより、当該融合タンパク質を発現し得る形質転換細胞を作製する。遺伝子の導入は、細胞への人為的な遺伝子導入操作を言い、その方法としては、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ウイルス感染による方法等の公知の方法が利用できる。形質転換細胞における目的タンパク質の発現は、ウエスタンブロット法等の公知の検出方法で確認することが出来る。
本発明では、目的抗原に対する抗体が結合した場合に、目的抗原の細胞内側に融合させたデスドメインが互いに接近し、アポトーシスシグナルが発生することで細胞死が誘導される。上述した融合タンパク質を発現する形質転換細胞がアポトーシスを起こして死滅するものであるかどうかを、当該細胞を移植する前にあらかじめ確認するには、例えば、目的抗原に結合する市販のポリクローナル抗体が利用できる。さらに、目的抗原の細胞外側にタグを付加した場合には、タグを認識する抗体(タグ抗体)を利用することでも上記確認をすることができる。
本発明において「タグ」とは、目印のために付ける標識のことであり、放射性同位元素、蛍光色素、遺伝子マーカーなど、実験的に判別同定できる構造や形質を総称する。本発明では、目的抗原の細胞外ドメインに、特定の構造やアミノ酸残基を持つ物質を利用することが出来る。タグとしては、公知のものが利用でき、Hisタグ、HAタグ、mycタグあるいはFLAGタグ等が利用できるが、限定されるものではない。
前記形質転換細胞がアポトーシスを起こして死滅したかどうかは、例えば、Hoechst33342とPropidium iodideとの二重染色を行った後、蛍光顕微鏡下で観察することで確認することが出来る。
5.抗体誘導
本発明では、上述した融合タンパク質を発現する形質転換細胞をマウス等の非ヒト動物(実験動物)へ移植し、生着させる。この生着させる工程は、前掲の特許文献3(国際公開第2012/026615号)に記載の方法が利用可能である。
本発明において、「生着する」とは、実験動物に移植した形質転換細胞(形質転換がん細胞等)がその部位に留まり増殖し、細胞塊を作ることを意味する。例えば、形質転換細胞(形質転換がん細胞等)を実験動物内に生着させるためには、当該細胞を移植した後に、当該動物を飼育するだけでよい。以下、形質転換細胞の移植及び生着について、転移性がん細胞を例に挙げて説明するが、他の形質転換細胞についても同様の説明が適宜適用できる。
転移性がん細胞は、移植され、生着した後に、個体内に広がっていく。がん細胞が広がっていく過程では、原発巣の周辺に細胞が浸潤して広がる現象と、リンパ節を通り個体内へ広がっていく現象が生じる。特に、原発巣とは異なる臓器へ遠隔転移する場合には、リンパ節を通ってがん細胞が広がると考えられている。前掲の特許文献3に記載の方法を用いた場合には、リンパ節を介して細胞が転移する間に免疫誘導が行われ、転移する細胞の細胞膜上に発現するタンパク質に対して抗体が誘導される。
転移性がん細胞を実験動物に移植する工程においては、従来公知の方法により、がん細胞を当該動物に移植することができる。
転移性がん細胞の移植を行う方法としては、細胞懸濁液の他、シート状や多層構造など、二〜三次元構造様に培養した細胞を実験動物に注入する方法が挙げられる。
移植に用いる転移性がん細胞数は特に限定されないが、少なくとも0.1×106個であることが好ましく、免疫応答が効果的に行われる範囲において、より多数の細胞を用いることが好ましい。
転移性がん細胞の生着率を向上させるために、足場材料と混合した細胞懸濁液を注入することが好ましい。
足場材料としては、生着させるがん細胞が生育するための足場となる材料であれば特に限定されず、好ましくはラミニン、エンタクチン、コラーゲン、フィブリン、アガロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、およびポリグリコール酸などを成分として構成されたゲル、ハイドロゲル、および樹脂などが挙げられる。
足場材料としては、形成されるゲルの硬さや移植後の細胞増殖の良さの観点で、ラミニン/エンタクチンとコラーゲンを主成分とするゲルが好ましく、マトリゲル(Becton Dickinson社製)がより好ましい。マトリゲルとしては、好ましくは、Journal of Steroid Biochemistry Molecular Biology, 1993, vol. 44, p. 671-673に開示されたグロースファクターリデューストマトリゲルなどが挙げられる。
転移性がん細胞を移植する部位については、移植した細胞が生着しやすい器官や組織であれば特に限定されない。
転移性を有するがん細胞を移植する器官としては、例えば当該がん細胞が単離されたがんの原発巣が属する器官、および転移巣が属する器官が挙げられる。本発明において、原発巣が属する器官への移植を同所移植といい、転移巣が属する器官への移植を異所移植という。
転移巣が属する器官とは、これまでに当該がん細胞の転移巣形成が報告されている器官のほか、統計的なデータから、同種のがんにおいて遠隔転移が予測される器官も含む。
転移性がん細胞として、例えば、乳がん細胞を用いる場合には、乳房への同所移植が可能であるが、骨、肺、リンパ節、皮膚、肝臓、胸膜、および脳などの転移が頻繁に発生する器官への異所移植も利用できる。移植する器官としては、好ましくは同所移植であり、例えば乳がん細胞では乳房である。
6.抗原提示と抗体産生
本発明においては、(1) 上述したように実験動物で初めに目的抗原に対する抗体が誘導されると、(2) その抗体は、移植した形質転換細胞で発現する目的抗原(融合タンパク質中の抗原部分)に結合する。その後、(3) 当該抗体に結合した融合タンパク質中のデスドメインが細胞内で互いに接近することにより、細胞内でアポトーシスシグナルが誘導され、当該細胞はアポトーシスを起こして死滅する。(4) このアポトーシスを起こした細胞は、マクロファージ(貪食細胞)や樹状細胞等によって積極的に貪食されることにより、目的抗原が効率的に取り込まれて抗原提示されやすくなり、最終的にT細胞やB細胞を介して、目的抗原に対する抗体が、より効率的に生産される。(5) このようにして生産された抗体が、また、上記(2)〜(4)の過程を繰り返すことにより、さらに一層、目的抗原に対する抗体が効率的に生産される。また、本発明では、上記抗体産生に用いた形質転換細胞は、アポトーシスにより死滅するため、形質転換細胞に用いる宿主細胞として、転移性がん細胞などの各種腫瘍細胞を用いた場合でも、形質転換細胞を移植した実験動物の死亡率を効果的に低減することができる。これにより、長期にわたり抗体誘導及び産生を行うことができる。
なお、マクロファージ(貪食細胞)がアポトーシスにより死滅した細胞を取り込むことについては、次とおりである。すなわち、細胞が正常に分裂している場合では、細胞膜に存在するホスファチジルセリンは細胞の内側に存在する。しかし、アポトーシスが引き起こされアポトーシス小体となると、膜が反転し、ホスファチジルセリンが細胞外に露出される。このホスファチジルセリンを標的として、ホスファチジルセリン受容体を持つ貪食細胞により、アポトーシスを起こした細胞が積極的に取り込まれる(Cell Death and Differentiation, 1998, vol. 5, p. 551-562)。
細胞の転移はリンパ節と血液の双方を経由して行われると想定されているが、アポトーシスを起こした細胞が抗原提示されるためには、リンパ節に存在することが必要である。アポトーシスを起こした細胞は、血液及びリンパ節中の両方ともCD169陽性マクロファージによって貪食されることが報告されている。しかし、血液中で貪食された場合には抗原提示されず免疫寛容が誘導される。一方、リンパ節に存在する場合には、抗原提示が行われることが知られている(Immunity, 2011, vol. 34, p. 85-95)。
7.転移性がん細胞
転移性がん細胞(転移性腫瘍細胞)としては、例えば、骨、肺、リンパ節、皮膚、肝臓、胸膜、脳、乳房、乳腺、膀胱、大腸、または結腸の転移性を有するがん細胞などが挙げられ、転移性乳がん細胞が特に好ましい。本発明において、転移性がん細胞は樹立された細胞でもよいし、転移性がん細胞を有する動物から採取したがん細胞であってもよい。また、転移性がん細胞の由来は、細胞を採取可能な生体であれば特に限定されず、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ニワトリ、ヒトなどが挙げられ、より好ましくはマウスである。
転移性を有する細胞の中でも遠隔転移を引き起こしやすい細胞が好ましく、リンパ節及び/又はリンパ液を介して転移する細胞が好ましい。
リンパ節を介して転移するがん細胞としては、好ましくは転移性を有するがん細胞であり、より好ましくは転移性を有する乳がん細胞であり、さらに好ましくは高転移性を有する乳がん細胞である。高転移性を有する乳がん細胞としては、具体的には、4T1やMMT060562、FM3A等が挙げられ、好ましくは4T1である。
乳がん細胞以外の、高転移性を有するがん細胞としては、B16-F10(黒色腫腫瘍)、Lewis Lung Carcinoma(肺がん)、Colo26 (大腸がん)などが挙げられる。
転移性がん細胞として、転移性が細胞に本来備わっているほか、遺伝子を導入する、ホルモンやサイトカインなどの増殖因子を投与する、紫外線や薬剤で遺伝子変異を誘発する、および自然突然変異や後天的にクロマチンの修飾が変わった細胞を分離するなど、当業者に適宜採用される手段により、転移性を獲得するように調製したがん細胞を用いることもできる。
転移性がん細胞は、単一種類のがん細胞であってもよく、複数種のがん細胞であってもよいが、単一種類のがん細胞を用いることが好ましく、中でも、株化されたがん細胞を用いることが好ましい。
転移性を有するがん細胞など、本発明において形質転換細胞が移植される動物(実験動物)は、移植した細胞が生着して、液性免疫応答が機能する非ヒト動物であれば、特に限定されない。
実験動物の種類は特に限定されず、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ニワトリなどが挙げられるが、好ましくはマウス、ラット、モルモットなどの齧歯類であり、より好ましくはマウスである。さらに、齧歯類において好ましくは野生型の動物であり、より好ましくは野生型マウスである。本発明の方法によれば、野生型の実験動物に、前記形質転換細胞としてがんがん細胞(特に転移性腫瘍細胞)を移植した場合でも、当該動物は早期に死滅することなく生存できるので、より効率的に目的抗原に対する抗体を作製することができる。
実験動物としては、近交系やクローズドコロニー系のマウスが利用できる。野生型マウスとして、具体的には、Balb/cやC57BL/6、ICR系統などが挙げられ、中でも、Balb/cのメスは、免疫応答性が良く、飼育もしやすいため好適である。また、実験動物として、ヒト抗体産生マウスなどの遺伝子改変動物を使用することもできる。
転移性の細胞を乳腺へ投与して免疫する公知の方法(前掲の特許文献3)では、ヒト乳がん細胞を免疫不全のマウスへ移植することで、少なくとも10週以上、多くの場合で15週以上の長期間に渡り生存が確認されている。
一方、マウス乳がん細胞を野生型(Balb/c)マウスへ移植した場合には、4週以内にマウスが死亡し始め、6週での80%以上のマウスが死亡する。
本発明においては、目的抗原に対する抗体が移植した細胞に結合した場合、アポトーシスによる細胞死が誘導される。6週での生存率は60〜80%であり明確な延命期間が観察される。生存期間が長いことにより、免疫応答が刺激され続け目的抗原を認識する抗体の誘導効率が高まる。
上記に加え、がん細胞を採取した動物と同種の動物へ移植し、免疫応答を行わせる場合は、公知の方法(前掲の特許文献3)よりも優位性がある。移植した細胞表面に存在するタンパク質の大部分は、自己の体組織成分であるために、個体が発生する段階で免疫寛容になっている。すなわち、他動物由来のタンパク質を強制発現させた場合には、発現させたタンパク質のみが異物と判断され、目的抗原に対する抗体が優位に誘導されやすいと想定される。
8.細胞膜上の膜タンパク質を認識する抗体のスクリーニング
例えば、移植した実験動物の尾静脈から回収した血液内に含まれる抗体の力価を解析することで、目的抗原に対する抗体が誘導されているかを解析することが出来る。解析する方法としては、ELISA (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)やウエスタンブロット、フローサイトメーター等、公知の方法が利用できる。なお、上記回収及び解析は、移植後、1ヵ月以降後に行うのが好ましく、より好ましくは1ヵ月〜6ヶ月後である。
ELISAやウエスタンブロットで解析する場合には、細胞から目的抗原タンパク質を精製する、及び/又は、部分タンパク質の発現と精製が必要である。フローサイトメーターで解析する場合は、目的抗原を発現する生きた細胞がそのまま利用できるが、1つのサンプルを解析するために、短くても1分以上かかるのが普通である。モノクローナル抗体を取得する際には、数万種類以上のハイブリドーマ細胞の中から、数個の目的抗原と結合する抗体を生産するハイブリドーマ細胞を選び出すことが必要であり、フローサイトメーターによる解析は抗体の解析には向かない。
本発明では、上記に代わる方法として、ジーンレポーターアッセイを用いたスクリーニング手法を用いた。この方法では、International Immunology, 1994, vol. 6, p. 369-376及びWO2012108424に記載されているCD3 zetaの細胞内ドメインを目的抗原と融合させた融合タンパク質をコードする遺伝子を作製し、レポーター細胞であるBWZ.36細胞で発現させることで、抗体が目的抗原に結合した場合に、BWZ.36細胞内でレポータータンパク質が転写、翻訳されるという仕組みである。
CD3 zeta (T-cell surface glycoprotein CD3 zeta chain)は、TCR (T cell receptor)複合タンパク質のサブユニットの一つであり、CD3 zetaが2分子近接することにより細胞内にシグナルを伝達することが知られている。また、BWZ.36細胞はマウスT細胞由来の細胞でありCD3 zetaの二量体化によって生じるシグナルが、IL-2プロモーターに作動可能に連結されており、レポーター遺伝子として大腸菌由来のLacZが組み込まれている。LacZからb-galactosidaseが翻訳される。大腸菌由来のb-galactosidaseは至適pH 7.3であり、ほとんどの動物細胞が持つ内在性のb-galactosidase(pH 5以下)とは、至適pHの差を利用して選択的に活性を測定することが可能である。この時、CPRG(Chlorophenol Red-β-D-galactopyranoside Sodium Salt)等が利用できる。
すなわち、目的抗原とCD3 zetaの細胞内ドメインとを融合たせたタンパク質をBWZ.36細胞で発現させると、目的抗原と抗体とが反応した場合に、細胞内にb-galactosidaseが翻訳され、その活性を測定することで目的抗原と抗体との反応性を解析することが出来る。
本発明によれば、膜タンパク質等の目的抗原に対し、従来よりも高い免疫応答を引き起こすことができる。目的抗原に対する抗体を生産している実験動物から、抗体を採取(回収)することが出来る。例えば、当該実験動物の脾臓やリンパ節から、抗体産生細胞であるB細胞を取り出し、その後当該B細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させることにより、モノクローナル抗体細胞を樹立することもできる。
抗体の採取方法は特に限定されるものではなく、公知の任意の手法を採用することができる。例えば、抗体産生細胞を培養して抗体を産生させる、または、抗体産生細胞から抗体遺伝子をクローニングして組換え等を行うことにより、バクテリアや酵母、動物細胞、ウイルスなどで抗体を製造することができる。培養はin vitroで行うほか、マウスなど実験動物の腹腔に細胞を投与して腹水を得る方法により行うことができる。抗体遺伝子をクローニングする場合は、前述した方法と同様に、各細胞のmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、PCR法により抗体のVH遺伝子およびVL遺伝子を増幅する。増幅した後は、目的の抗体をコードする遺伝子を構築し、抗体の発現に適したベクターおよび細胞を用いて、抗体を産生し取得する。
抗体として免疫グロブリンを取得した場合には、酵素で切断することにより、Fv、Fab、Fab'、F(ab)'2などの抗体断片を製造することができる。具体的には、パパインを用いてFabを、ペプシンを用いてF(ab)'2を調製する。
以上の方法により、安定的に、目的の分子に対する様々な構造の抗体を製造することができる。
本発明によれば、高い免疫応答を引き起こすことができるため、本発明の抗体の製造方法は、目的抗原、特に膜タンパク質を認識する親和性の高い抗体の生産に非常に有用である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
融合タンパク質の作製
(1)細胞
4T1及びRAJIは、American Type Culture Collection (ATCC, Manassas, VA, USA)から購入した。それぞれの細胞は、10% (v/v)の血清(Hyclone社製)を含むRPMI1640培地(Sigma社製)で80%コンフルエントを越えないよう37℃、5% CO2下で48〜72時間培養および継代を行った。
(2)遺伝子のクローニング
本発明においては、4回膜貫通型のタンパク質であるCD20を例として実験を行った。CD20タンパク質をコードする遺伝子(GenBank Accession number: NM021950.3)はRAJIから増幅した。
RAJIを培養し、Qiagen社のRNeasy Miniキットを用いて、total RNAを抽出した。抽出したtotal RNA 2μgから、SuperScript III reverse transcriptase(Invitrogen)を用いて、逆転写(RT)反応を50℃で1時間行ってcDNAを合成し、85℃、5分間の加熱により、反応を停止させた。得られたcDNAを鋳型とし、以下のプライマーを用い、KOD PLUS(TOYOBO社)を用いたPCR反応を行なうことで、CD20の遺伝子を増幅した。
プライマー配列
BamHI-CD20-foward: aaaggatccGCATTCAGATGCATGACACAAGG(配列番号75)
NotI-CD20-reverse: aaagcggccgcCAGGAGAGCTGTCATTTTCTATTGG(配列番号76)
PCR反応は、95℃、10分間のプレインキュベーションを行ない、次に95℃、15秒間のデナチュレーション、および58℃、2分間のアニーリング/エロンゲーションのサイクルを40サイクル行い、遺伝子断片を増幅した。
得られた増幅断片は、プライマー上に配置した制限酵素サイトにおいて、制限酵素(BamHI及びNotI)で切断し、pEF6-myc/HisBベクター(Invitrogen社)へ組み込んだ。CD20遺伝子を組み込んだベクターをpEF6-CD20と以後記載する。
Fasの細胞内ドメイン領域のクローニングを行った。Fasタンパク質をコードする遺伝子はMCF7より増幅した。上記と同じ方法でmRNAの抽出及びcDNAの調製を行い、得られたcDNAを鋳型とし、以下のプライマーを用い、KOD PLUS(TOYOBO社)を用いたPCR反応を行なうことで、Fasの細胞内領域(187番目から327番目のアミノ酸)を増幅した。
プライマー配列
NotI-fas-foward: aaagcggccgcCGAAAGTACCGGAAAAGAAAGTG(配列番号77)
XbaI-fas-reverse: aaatctagaCTCTCCAGACATTGTCCTTCATTTTC(配列番号78)
PCR反応は、95℃、10分間のプレインキュベーションを行ない、次に95℃、15秒間のデナチュレーション、および58℃、1分間のアニーリング/エロンゲーションのサイクルを40サイクル行い、遺伝子断片を増幅した。
得られた増幅断片は、プライマー上に配置した制限酵素サイトにおいて、制限酵素(NotI及びXbaI)で切断し、上記記載のpEF6-CD20へ組み込んだ。組み込んだベクターをpEF6-CD20-mfasDDと以後記載する(図2)。
本発明において、Fasの細胞内ドメインを融合させたCD20タンパク質をCD20-mfasDDと記載する。CD20-mfasDDのアミノ酸配列は配列番号28、この遺伝子をコードするDNA配列は配列番号27で示した。
CD20-mfasDDのアミノ酸配列:
MTTPRNSVNGTFPAEPMKGPIAMQSGPKPLFRRMSSLVGPTQSFFMRESKTLGAVQIMNGLFHIALGGLLMIPAGIYAPICVTVWYPLWGGIMYIISGSLLAATEKNSRKCLVKGKMIMNSLSLFAAISGMILSIMDILNIKISHFLKMESLNFIRAHTPYINIYNCEPANPSEKNSPSTQYCYSIQSLFLGILSVMLIFAFFQELVIAGIVENEWKRTCSRPKSNIVLLSAEEKKEQTIEIKEEVVGLTETSSQPKNEEDIEIIPIQEEEEEETETNFPEPPQDQESSPIENDSSPGGRRKYRKRKCWKRRQDDPESRTSSRETIPMNASNLSLSKYIPRIAEDMTIQEAKKFARENNIKEGKIDEIMHDSIQDTAEQKVQLLLCWYQSHGKSDAYQDLIKGLKKAECRRTLDKFQDMVQKDLGKSTPDTGNENEGQCLESLEGPRFEQKLISEEDLNMHTGHHHHHH(配列番号28)
CD20-mfasDDをコードする遺伝子の塩基配列:
ATGACAACACCCAGAAATTCAGTAAATGGGACTTTCCCGGCAGAGCCAATGAAAGGCCCTATTGCTATGCAATCTGGTCCAAAACCACTCTTCAGGAGGATGTCTTCACTGGTGGGCCCCACGCAAAGCTTCTTCATGAGGGAATCTAAGACTTTGGGGGCTGTCCAGATTATGAATGGGCTCTTCCACATTGCCCTGGGGGGTCTTCTGATGATCCCAGCAGGGATCTATGCACCCATCTGTGTGACTGTGTGGTACCCTCTCTGGGGAGGCATTATGTATATTATTTCCGGATCACTCCTGGCAGCAACGGAGAAAAACTCCAGGAAGTGTTTGGTCAAAGGAAAAATGATAATGAATTCATTGAGCCTCTTTGCTGCCATTTCTGGAATGATTCTTTCAATCATGGACATACTTAATATTAAAATTTCCCATTTTTTAAAAATGGAGAGTCTGAATTTTATTAGAGCTCACACACCATATATTAACATATACAACTGTGAACCAGCTAATCCCTCTGAGAAAAACTCCCCATCTACCCAATACTGTTACAGCATACAATCTCTGTTCTTGGGCATTTTGTCAGTGATGCTGATCTTTGCCTTCTTCCAGGAACTTGTAATAGCTGGCATCGTTGAGAATGAATGGAAAAGAACGTGCTCCAGACCCAAATCTAACATAGTTCTCCTGTCAGCAGAAGAAAAAAAAGAACAGACTATTGAAATAAAAGAAGAAGTGGTTGGGCTAACTGAAACATCTTCCCAACCAAAGAATGAAGAAGACATTGAAATTATTCCAATCCAAGAAGAGGAAGAAGAAGAAACAGAGACGAACTTTCCAGAACCTCCCCAAGATCAGGAATCCTCACCAATAGAAAATGACAGCTCTCCTGGCGGCCGCCGAAAGTACCGGAAAAGAAAGTGCTGGAAAAGGAGACAGGATGACCCTGAATCCAGGACCTCCAGTCGTGAAACCATACCAATGAATGCCTCAAATCTTAGCTTGAGTAAATACATCCCGAGAATTGCTGAAGACATGACAATCCAGGAAGCTAAAAAATTTGCTCGAGAAAATAACATCAAGGAGGGCAAGATAGATGAGATCATGCATGACAGCATCCAAGACACAGCTGAGCAGAAAGTCCAGCTGCTCCTGTGCTGGTACCAATCTCATGGGAAGAGTGATGCATATCAAGATTTAATCAAGGGTCTCAAAAAAGCCGAATGTCGCAGAACCTTAGATAAATTTCAGGACATGGTCCAGAAGGACCTTGGAAAATCAACCCCAGACACTGGAAATGAAAATGAAGGACAATGTCTGGAGAGTCTAGAGGGCCCGCGGTTCGAACAAAAACTCATCTCAGAAGAGGATCTGAATATGCATACCGGTCATCATCACCATCACCATTGA(配列番号27)
融合タンパク質の発現
(1)細胞への遺伝子導入
実施例1で作製したpEF6-CD20及びpEF6-CD20-mfasDDベクターを、Fugene6(Promega社製)を用いて4T1に導入した。4T1は、高転移性を有するマウス乳がん細胞である。操作は当該キットに添付された説明書の記載に基づいて行った。ブラストサイジンS塩酸塩が10 μg/mLとなるよう添加した実施例1(1)記載の培地で細胞を培養し、3〜5日毎に培地を交換して薬剤耐性を持つ細胞を選択した。得られた耐性株の中からCD20及びCD20-mfasDD融合タンパク質を過剰発現している細胞を選び出すため、融合タンパク質のC末端に付加されているmycタグ配列を認識する抗体を用いて検出を行った。培養した4T1及び遺伝子導入した細胞それぞれを80%コンフルエントとなるよう96ウエルプレートに植え、37℃、5% CO2下で16時間培養した。
培養上清を除去後、10% (v/v)中性緩衝ホルマリン溶液(WAKO社製)を100μL添加し、10分間室温で反応させた。ホルマリン溶液を除去後、PBS (-)(0.01 M sodium-phosphate buffer、138 mM NaCl、2.7 mM KCl、pH 7.4)で3回洗浄し、風乾させることで各々の細胞を固定化したプレートを作製した。
抗c-myc抗体(Santa cruz社、クローン9E10)をTBS-T(25 mM Tris、150 mM NaCl、0.05% (v/v) Tween20、pH 7.4)で1μg/mLに希釈し、一次抗体として固定化プレートへ1ウエルあたり100μL添加し、室温で1時間反応させた。各ウエルを200μLのTBS-Tで3回洗浄した。
二次抗体として、抗マウスIgGポリクローナル抗体−HRP標識(BETHYL社製)をTBS-Tで5,000倍に希釈した。前記抗体の希釈液を1ウエルあたり100μL添加し、室温で30分反応させた。各ウエルを200μLのTBS-Tで3回洗浄した。
最終濃度0.5 mg/mLとなるようオルソフェニレンジアミン(Sigma社製)を50 mMの炭酸−クエン酸バッファー(pH 5.0)に希釈し、この溶液の10,000分の1量の35% (w/v)過酸化水素水(WAKO社製)を添加した混合液を基質溶液として各ウエルに100μL入れ、室温で10分間反応させた。25μLの3 N硫酸(WAKO社製)を添加することで反応を停止させた。492 nmの吸収をプレートリーダー(SpectraMaxPure384、モレキュラーデバイス社製)で測定して、シグナルを観察し、4T1よりもシグナルの高い株を選択した。
(2)ウエスタンブロット
上記(1)で得られた細胞を10 cmシャーレに90%コンフルエントになるまで培養し、PBS (-)で2回洗浄した。細胞に2×RIPA Buffer (0.1 M Tris、0.3 M NaCl、1% (v/v) Triton X-100、2% (w/v) sodium deoxycholate、0.2% (w/v) sodium dodecyl sulfate)を200μL添加し1分間氷上に放置した後、スクレーパーで細胞溶液を回収した。超音波破砕機(Branson社)で30秒間細胞を破砕し、抽出液を得た。それぞれの細胞について抽出液を作製し、Bradford法によりタンパク質濃度を測定後、同じタンパク質量となるよう調製し、SDS-PAGEに供した。泳動後、トランスブロットSDセル(バイオラッド社)を用い、メーカー推奨のプロトコールに従いPVDFメンブレン(PIERCE社)にタンパク質を転写した。TBS-Tに5% (w/v)となるよう溶解したスキムミルクを用いて、室温で30分間ブロッキングを行い、TBS-Tで3回洗浄を行った。c-myc抗体をTBS-Tで1μg/mLに希釈し、メンブレンと1時間、室温で反応させた。TBS-Tで3回洗浄後、二次抗体として、抗マウスIgGポリクローナル抗体−HPR標識(BETHYL社製)をTBS-Tで10,000倍に希釈した。メンブレンと室温で30分反応させた後、TBS-Tで3回洗浄した。メンブレンをImmobilon(Millipore社)に浸したのち、ラップしてLAS-3000(富士フィルム社)でシグナルを検出した。
4T1細胞にpEF6-CD20を導入した細胞の解析結果を図3に、pEF6-CD20-mfasDDを導入した細胞の解析結果を図4にそれぞれ示した。両方の遺伝子ともに効率良く4T1で発現していることが示された。以降、これらの細胞を4T1-CD20あるいは4T1-CD20-fasDDと呼ぶことがある。
アポトーシス誘導試験
(1)蛍光顕微鏡による形態観察
実施例2で作製した4T1-CD20-fasDDにおいて、CD20の細胞外ドメインを認識する抗体によってアポトーシスが誘導されるかを解析した。
CD20の細胞外ドメインと結合する抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ、中外製薬社製)5μg/mLを100μLずつ、96 wellプレート(TPP社製)に入れ、室温で1時間プレートに吸着させた。吸着後、ウエルをTBS-Tで洗浄した後、上記の細胞1×104 cell/wellとなるように細胞を添加し、20時間培養した。
Hoechst 33342(Calbiochem社)を1μg/mL、Propidium iodide (Calbiochem社)を2.5μg/mLとなるように添加し、37℃で10分間インキュベートした後、Axiovert 200M蛍光顕微鏡(ZEISS社製)を用いて解析した。アポトーシスによる細胞死は、凝集したクロマチンおよび/またはHoechst 33342で染色される断片化した核により特定することが出来る(Cancer Research, 1996, 56, p. 2161-2166)。アポトーシスを起こした細胞とネクローシスを起こした細胞を見分けた結果を図5に示した。生きた細胞では、Hoechst 33342及びPropidium iodideではほとんど染色されない。一方、アポトーシスが起き始めた初期の状態では、細胞膜の透過性が上昇していくために、Hoechst 33342での染色が観察される。さらにアポトーシスが進むと、Propidium iodideも透過できるようになる。この場合、両蛍光色素で染まる細胞の形態は、細胞が小さくなったアポトーシス小体の形態で観察される。ネクローシスを起こした細胞は、Hoechst 33342及びPropidium iodideの両方で染色されるが、アポトーシス小体は見られず、細胞が膨張した形態をとる。
4T1-CD20-mfasDDを、抗CD20抗体と反応させた結果を図6に示した。通常の培養状態においては、細胞は増殖し続けるが、抗CD20抗体を添加することによって、明確にアポトーシスによる細胞死が誘導されたことが示されている。
(2)増殖試験
上記実施例3(1)に記載した条件と同じ方法で、96 wellプレートに抗CD20抗体あるいはCD20と結合しない抗体(ハーセプチン、中外製薬社製)を吸着させ、4T1-CD20-fasDDを5×103 cell/wellとなるように細胞を添加した。24時間及び48時間後にCell Proliferation Kit I (MTT) (ロッシュ社製)を用いて細胞の増殖を解析した。操作は当該キットに添付された説明書の記載に基づいて行い、550 nm及び690 nmの吸収をプレートリーダーで測定した結果を図7に示した。24時間及び48時間後ともに、抗CD20抗体を吸着させたプレート上で細胞の像齲蝕が明確に抑制された。
以上の結果から、4T1-CD20-mfasDDは、細胞外ドメインを認識する抗CD20抗体でアポトーシスが引き起こされ、死滅したことが示されている。
免疫誘導試験
(1)細胞の移植
4T1-CD20及び4T1-CD20-mfasDDを野生型のBalb/cマウスの第4乳腺へ移植し、CD20に対する抗体誘導を行った。操作はWO2012/029990に記載の方法で実施した。
4T1は、Balb/cマウス由来の乳がん細胞であり、Balb/cマウスの乳腺へ移植した場合、速やかに生着し、増殖し、転移により個体内に広がっていく(WO2012/026615)。
野生型Balb/cマウスの乳腺1ヶ所あたり、4×103個となるよう、4T1-CD20及び4T1-CD20-mfasDDを移植した。4T1-CD20は10匹、4T1-CD20-mfasDDは21匹のマウスにそれぞれ移植を行った。実験の結果を図8に示す。
4T1-CD20では30日を過ぎたころからマウスが死亡し始め、47日目に全てのマウスが死滅した。一方、4T1-CD20-mfasDDでは、42日目からマウスが死亡し始め、50日後でも60%のマウスが生存していた。4T1-CD20で形成される腫瘍のサイズは3.5 cm3越えたところで死亡し、肺や膵臓等へ遠隔転移が見られた。一方、4T1-CD20-mfasDDの場合には、腫瘍サイズは5 cm3以上まで成長しているが、死亡したマウスでも肺や膵臓等への明確な遠隔転移は観察されなかった。
これらの結果は、4T1-CD20-mfasDDが抗CD20抗体を誘導し、誘導された抗体によってアポトーシスが引き起こされたことによって生きた細胞の数が減少したことが理由であると予測された。
<抗血清解析用細胞の樹立>
4T1-CD20あるいは4T1-CD20-mfasDDを移植した野生型Balb/cマウスそれぞれで誘導されている目的抗原(CD20)に対する抗体の力価を解析する。この際、細胞膜上に存在するタンパク質を認識する抗体の誘導効率を評価するため、細胞表面に抗原を発現する細胞を用い、抗体が結合した際に細胞内にシグナルが発生し、結合を評価できる実験系を用いた(International Immunology, 1994, vol. 6, p. 369-376)。
(1)遺伝子のクローニング
CD3 zetaのDNAをコードする遺伝子は、東京大学大学院新領域創成科学研究科の山本一夫教授より分譲頂いた。また、pMX-IBレトロウイルスベクターは東京大学医科学研究所付属先端医療研究センターの北村俊雄教授から使用ライセンスを購入した。
pEF6-CD20を鋳型とし、以下のプライマーを用い、KOD PLUS(TOYOBO社)を用いたPCR反応を行なうことで、CD20の遺伝子を増幅した。
プライマー配列
BamHI-CD20-foward: aaaggatccGCATTCAGATGCATGACACAAGG(配列番号79)
Nhe I-CD20-reverse: aaagctagcAGGAGAGCTGTCATTTTCTATTG(配列番号80)
PCR反応は、95℃、10分間のプレインキュベーションを行ない、次に95℃、15秒間のデナチュレーション、および58℃、2分間のアニーリング/エロンゲーションのサイクルを40サイクル行い、遺伝子断片を増幅した。
得られた増幅断片は、プライマー上に配置した制限酵素サイトにおいて、制限酵素(BamHI及びNheI)で切断し、pMX-IBベクターへ組み込んだ。CD20遺伝子を組み込んだベクターをpMX-CD20と以後記載する。
CD3 zetaの細胞内ドメイン領域は、Ly49H-CD3z(The Journal of Immunology, 2002, vol. 169, p. 126-136)を鋳型とし、以下のプライマーを用い、KOD PLUS(TOYOBO社)を用いたPCR反応を行なうことで、Fasの細胞内領域(187番目から327番目のアミノ酸)を増幅した。
プライマー配列
NheI-fas-foward: aaagctagcAGAGCAAAATTCAGCAGGAGTG(配列番号81)
NotI-fas-reverse: aaagcggccgcTTAGCGAGGGGCCAGGGTCTGCATATGC(配列番号82)
PCR反応は、95℃、10分間のプレインキュベーションを行ない、次に95℃、15秒間のデナチュレーション、および58℃、1分間のアニーリング/エロンゲーションのサイクルを40サイクル行い、遺伝子断片を増幅した。
得られた増幅断片は、プライマー上に配置した制限酵素サイトにおいて、制限酵素(NotI及びXbaI)で切断し、上記記載のpMX-CD20へ組み込んだ。組み込んだベクターをpMX-CD20-CD3z-IBと以後記載する(図9)。
本発明において、CD3 zetaの細胞内ドメインを融合させたCD20タンパク質をCD20-CD20zと記載する。CD20-CD3zのアミノ酸配列は配列番号30、この遺伝子をコードするDNA配列は配列番号29で示した。
CD20-CD3zのアミノ酸配列:
MTTPRNSVNGTFPAEPMKGPIAMQSGPKPLFRRMSSLVGPTQSFFMRESKTLGAVQIMNGLFHIALGGLLMIPAGIYAPICVTVWYPLWGGIMYIISGSLLAATEKNSRKCLVKGKMIMNSLSLFAAISGMILSIMDILNIKISHFLKMESLNFIRAHTPYINIYNCEPANPSEKNSPSTQYCYSIQSLFLGILSVMLIFAFFQELVIAGIVENEWKRTCSRPKSNIVLLSAEEKKEQTIEIKEEVVGLTETSSQPKNEEDIEIIPIQEEEEEETETNFPEPPQDQESSPIENDSSPASRAKFSRSAETAANLQDPNQLYNELNLGRREEYDVLEKKRARDPEMGGKQQRRRNPQEGVYNALQKDKMAEAYSEIGTKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQTLAPR(配列番号30)
CD20-CD3zをコードするDNAの塩基配列:
ATGACAACACCCAGAAATTCAGTAAATGGGACTTTCCCGGCAGAGCCAATGAAAGGCCCTATTGCTATGCAATCTGGTCCAAAACCACTCTTCAGGAGGATGTCTTCACTGGTGGGCCCCACGCAAAGCTTCTTCATGAGGGAATCTAAGACTTTGGGGGCTGTCCAGATTATGAATGGGCTCTTCCACATTGCCCTGGGGGGTCTTCTGATGATCCCAGCAGGGATCTATGCACCCATCTGTGTGACTGTGTGGTACCCTCTCTGGGGAGGCATTATGTATATTATTTCCGGATCACTCCTGGCAGCAACGGAGAAAAACTCCAGGAAGTGTTTGGTCAAAGGAAAAATGATAATGAATTCATTGAGCCTCTTTGCTGCCATTTCTGGAATGATTCTTTCAATCATGGACATACTTAATATTAAAATTTCCCATTTTTTAAAAATGGAGAGTCTGAATTTTATTAGAGCTCACACACCATATATTAACATATACAACTGTGAACCAGCTAATCCCTCTGAGAAAAACTCCCCATCTACCCAATACTGTTACAGCATACAATCTCTGTTCTTGGGCATTTTGTCAGTGATGCTGATCTTTGCCTTCTTCCAGGAACTTGTAATAGCTGGCATCGTTGAGAATGAATGGAAAAGAACGTGCTCCAGACCCAAATCTAACATAGTTCTCCTGTCAGCAGAAGAAAAAAAAGAACAGACTATTGAAATAAAAGAAGAAGTGGTTGGGCTAACTGAAACATCTTCCCAACCAAAGAATGAAGAAGACATTGAAATTATTCCAATCCAAGAAGAGGAAGAAGAAGAAACAGAGACGAACTTTCCAGAACCTCCCCAAGATCAGGAATCCTCACCAATAGAAAATGACAGCTCTCCTGCTAGCAGAGCAAAATTCAGCAGGAGTGCAGAGACTGCTGCCAACCTGCAGGACCCCAACCAGCTCTACAATGAGCTCAATCTAGGGCGAAGAGAGGAATATGACGTCTTGGAGAAGAAGCGGGCTCGGGATCCAGAGATGGGAGGCAAACAGCAGAGGAGGAGGAACCCCCAGGAAGGCGTATACAATGCACTGCAGAAAGACAAGATGGCAGAAGCCTACAGTGAGATCGGCACAAAAGGCGAGAGGCGGAGAGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGCACTGCCACCAAGGACACCTATGATGCCCTGCATATGCAGACCCTGGCCCCTCGCTAA(配列番号29)
(2)レトロウイルスによる遺伝子導入
レトロウイルスパッケージング細胞である Plat-E 細胞(Morita, S. et al., 2000)1×106 個を6-wellプレートにD10培地2 mLでまき、80〜90% コンフルエントな状態まで一晩培養した。その後、Lipofectamine 2000 (Invitrogen) 10 mLを用いて、4 μg のプラスミドをトランスフェクションした。方法はメーカーのプロトコールに従った。すなわち、無血清培地であるOPTI-MEM I (Gibco BRL) 250 μl にプラスミドを懸濁した(溶液(i))。同時に、OPTI-MEM I 240 μl にLipofectamine2000 を10 μl 加え、室温で5分間静置した(溶液(ii))。その後、溶液(i)と(ii)を混ぜ20分間室温でインキュベートした後、混合液を細胞に滴下しトランスフェクションを行った。トランスフェクション後48時間培養し、この培養上清を 2,370 x g、4℃で10 min遠心して回収し、レトロウイルス溶液とした。
5×104個のBWZ.36細胞を6 well plate に2 mLでまき、各ウェルにポリブレンを終濃度 10 μg/mL 加えた。3時間培養した後に、レトロウイルス溶液を2 mL/wellで添加して48時間培養した。安定して遺伝子導入された株を樹立するため、実施例2(1)記載の方法と同様の方法で薬剤選択を行った。樹立した細胞をBWZ.36-CD20-CD3zと以後記載する。
(3)ジーンレポーターアッセイ
目的抗原の膜タンパク質の細胞外ドメインと結合する抗体により、BWZ.36-CD20-CD3z内にシグナルが発生し、b-galactosidase活性が確認されるかどうかを解析した。
96 wellプレートにBWZ.36-CD20-CD3zを1×105 cell/wellとなるように細胞を添加し、20時間培養した。培養後、Dynabeads M-450 Goat anti-mouse-IgG (Dynal社)を1.5×104 beads/wellとなるように添加し、16時間培養した。その後、CPRG基質溶液(0.15 mM Chlorophenol Red-β-D-galactopyranoside, 100 mM 2-mercaptoethanol, 9 mM MgCl2, 0.125% Nonidet P-4, PBS (-))を100 μL添加して細胞を溶解させ、37℃で4時間発色させた後に、1 M Na2CO3を75μL添加して反応を停止させた。574 nmと660 nmの吸収をプレートリーダー(SpectraMaxPure384、モレキュラーデバイス社製)で測定し、660 nmの値をバックグラウンドとしてシグナルを解析した。
BWZ.36-CD20-CD3zに対し、抗CD20抗体の濃度を0.25、0.5、1、2μg/mLとした場合に観察される吸光度を解析した結果を図10に示す。抗CD20抗体を添加した場合には、抗体濃度の上昇に従って吸光度が上昇したが、CD20を認識しないコントロール抗体(抗myc-Tag抗体)を添加した場合には吸光度が上昇しなかった。この結果は、抗CD20抗体がCD20の細胞外ドメインに結合することでBWZ.36-CD20-CD3z内にシグナルが生じていることを示している。
<マウス抗血清の解析>
実施例4で4T1-CD20及び4T1-CD20-mfasDDを移植したマウスの移植後40日目に各2匹ずつ抗血清を回収し、20、100、500及び1000倍にPBS (-)で希釈した。これらを実施例5(3)で樹立したBWZ.36-CD20-CD3zを用いることで、抗血清中の細胞膜上に存在するCD20外ドメインと反応する抗CD20抗体の力価を解析した。実験結果を図11に示す。
4T1-CD20を移植したマウスに対し、4T1-CD20-mfasDDを移植したマウスでは明確に抗血清の力価が上昇していた。吸光度のシグナルが0.8付近のほぼ同じ値を示す希釈倍率を比較した所、4T1-CD20では20倍希釈であったところが、4T1-CD20-mfasDDでは100倍(Mouse No.1)あるいは500倍(Mouse No.2)であった。このことから、抗血清の力価は、5から25倍に上昇する、ということを示している。
本発明によれば、従来の方法では取得が困難であった抗体も効率よく作製することができる。また、本発明によれば、抗原が本来有する立体構造に対する抗体を得ることができるため、抗原に対して十分な中和能力を持つ抗体を得ることができる。
したがって、本発明は、臨床検査や治療用の新規な抗体として、新たな材料を市場へ提供することができる。
配列番号27:組換えDNA
配列番号28:組換えペプチド
配列番号29:組換えDNA
配列番号30:組換えペプチド
配列番号75:合成DNA
配列番号76:合成DNA
配列番号77:合成DNA
配列番号78:合成DNA
配列番号79:合成DNA
配列番号80:合成DNA
配列番号81:合成DNA
配列番号82:合成DNA

Claims (23)

  1. 目的抗原に対する抗体の作製方法であって、
    互いに接近することでアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインと、目的抗原との融合タンパク質を発現し得る形質転換細胞を、非ヒト動物に移植して生着させた後、該非ヒト動物由来の生体試料から該抗原に対する抗体を回収することを含む、
    前記方法。
  2. 前記細胞が、転移性腫瘍細胞において前記融合タンパク質を発現し得るようにした細胞である、請求項1記載の方法。
  3. 転移性腫瘍細胞は、リンパ節及び/又はリンパ液を介して転移し得る細胞である、請求項2記載の方法。
  4. 転移性腫瘍細胞が、転移性乳がん細胞である、請求項2又は3記載の方法。
  5. 前記ドメインが、細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するドメインが、デスドメインである、請求項5に記載の方法。
  7. 細胞死受容体が、TNFR、Fas、DR3、DR4及びDR5からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項5又は6記載の方法。
  8. 目的抗原が、タンパク質である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 目的抗原が、膜タンパク質である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 膜タンパク質が、膜貫通型タンパク質である、請求項9記載の方法。
  11. 非ヒト動物が、野生型の非ヒト動物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 非ヒト動物が、齧歯類動物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 齧歯類動物がマウスである、請求項12記載の方法。
  14. 前記移植後、1〜6ヵ月後に前記抗体の回収を行う、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 互いに接近することでアポトーシスシグナルを誘導し得るタンパク質ドメインと、目的抗原としてのタンパク質との融合タンパク質を発現し得る、形質転換細胞。
  16. 前記細胞は、転移性腫瘍細胞において前記融合タンパク質を発現し得るようにした細胞である、請求項15記載の細胞。
  17. 転移性腫瘍細胞は、リンパ節及び/又はリンパ液を介して転移し得る細胞である、請求項16記載の細胞。
  18. 転移性腫瘍細胞が、転移性乳がん細胞である、請求項16又は17記載の細胞。
  19. 前記ドメインが、細胞死受容体の細胞内ドメインに由来するものである、請求項15〜18のいずれか1項に記載の細胞。
  20. 細胞死受容体が、TNFR、Fas、DR3、DR4及びDR5からなる群より選択される少なくとも1つの受容体の細胞内ドメインに由来するものである、請求項19記載の細胞。
  21. 目的抗原が、タンパク質である、請求項15〜20のいずれか1項に記載の細胞。
  22. 目的抗原が、膜タンパク質である、請求項15〜21のいずれか1項に記載の細胞。
  23. 膜タンパク質が、膜貫通型タンパク質である、請求項22記載の細胞。
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