JP2017100148A - スポット溶接継手及びその溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な引張せん断強さを有するステンレス鋼板と炭素鋼板との溶接継手を提供する。
【解決手段】ステンレス鋼板と炭素鋼板がナゲットにより接合されているスポット溶接継手において、炭素鋼板は、ステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面に厚さが3〜50μmのNi系めっき層を有し、ステンレス鋼板と炭素鋼板は、ナゲットにより接合されているとともに、Ni系めっき層の溶融凝固部により接合されており、溶融凝固部は、ナゲットの周囲であって、ステンレス鋼板と炭素鋼板の重ね合わせ面の間に位置し、ナゲットの中心を含む炭素鋼板の厚さ方向の断面において、炭素鋼板の重ね合わせ面に平行な方向のナゲットの端部からナゲットから離れる方向の溶融凝固部の長さは、当該平行な方向のナゲットの長さ(mm)の0.3倍以上であることを特徴とするスポット溶接継手。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステンレス鋼板と炭素鋼板のスポット溶接継手及びその溶接方法に関するものである。
ステンレス鋼は、優れた耐食性を有することから、鉄道車両や、化学プラントをはじめとする各種プラント、4輪車や2輪車の排気系部品やブレーキ関連部品、海洋鋼構造物、建築材料、食品製造設備、調理器具、ドア、ハンドル等の幅広い分野で用いられている。一方で、ステンレス鋼は、炭素鋼と比べて高価であることから、ステンレス鋼で製造する製品のうち腐食が生じ難い部分を炭素鋼に変更し、ステンレス鋼と炭素鋼とを接合して製品とすることが知られている。
例えば、特許文献1には、バルブの回転軸を回転させるハンドルであって、回転軸に装着させる装着部をステンレス鋼として、樹脂等で被覆する操作部を炭素鋼として、ステンレス鋼と炭素鋼とを溶接して得られたハンドルが開示されている。
また、特許文献2には、側梁と横梁と車体の内部骨組とを高抗張力鋼として、車体の外板をステンレス鋼として、ステンレス鋼と高抗張力鋼とを溶接して得られた車両の車体構造が開示されている。
一方、炭素鋼で製造する製品に対しては、腐食対策を施す必要があり、有機材料等による被覆して防食することが行われている。しかし、有機材料等の皮膜は、経時劣化等により、長期間にわたり耐久性を維持することは困難なものである。そこで、炭素鋼で製造する製品のうち腐食が生じ易い部分をステンレス鋼に変更し、ステンレス鋼と炭素鋼とを接合して製品とすることが知られている。
例えば、特許文献3には、ステンレス鋼からなる内筒外面へ炭素鋼からなる外筒を溶接して得られた排気消音装置が開示されている。
また、非特許文献1には、ステンレス鋼を炭素鋼管に溶接して得られた海洋鋼構造物が開示されている。
特許文献1〜3及び非特許文献1に開示されるように、ステンレス鋼と炭素鋼との溶接継手が種々の分野において採用されている。
実開平02−141782号公報 実開昭64−016478号公報 特開2000−328939号公報
河合康博、他3名、海洋鋼構造物の高耐食ステンレス鋼ライニング溶接技術、新日鐵技報、2006、第385号,第86頁−第90頁
特許文献1〜3に開示される溶接継手は、ステンレス鋼板と炭素鋼板とを抵抗スポット溶接(以下、「スポット溶接」ということもある)により接合されたものである。このようなスポット溶接により接合された溶接継手の品質指標としては、引張強さがある。溶接継手の引張強さには、せん断方向に引張荷重を負荷して測定する引張せん断強さ(TSS)と、剥離方向に引張荷重を負荷して測定する十字引張強さ(CTS)がある。
ステンレス鋼板と炭素鋼板とをスポット溶接により接合された従来の溶接継手は、必要とする引張せん断強さを有するものであるが、使用環境等によっては、更に引張せん断強さを向上させることが望まれていた。
本発明は、このような実情に鑑み、十分な引張せん断強さを有するステンレス鋼板と炭素鋼板との溶接継手を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した。その結果、炭素鋼板として、Ni系めっき層を有するものを用い、ステンレス鋼板と炭素鋼板とをNi系めっき層を介して重ね合わせて、スポット溶接し、ナゲットを形成するとともに、ナゲットの周囲のNi系めっき層を溶融凝固させ、このNi系めっき層の溶融凝固部でステンレス鋼板と炭素鋼板とをろう付けすることで、ステンレス鋼板と炭素鋼板との接合面積が増加し、溶接継手の引張せん断強さが向上することを知見した。
更に、検討を進めたところ、ナゲットを含む炭素鋼板の厚さ方向の断面において、炭素鋼板の重ね合わせ面に平行な方向のナゲットの端部からナゲットから離れる方向のNi系めっき層の溶融凝固部の長さを、該平行な方向のナゲットの長さ(mm)(円相当直径Dn)の0.3倍以上の長さとすることで、十分な引張せん断強さを有する溶接継手となることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)重ね合わされたステンレス鋼板と炭素鋼板がナゲットにより接合されているスポット溶接継手において、
前記炭素鋼板は、少なくとも前記ステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面に厚さが3〜50μmのNi系めっき層を有し、
前記ステンレス鋼板と前記炭素鋼板は、前記ナゲットにより接合されているとともに、前記Ni系めっき層の溶融凝固部により接合されており、
前記溶融凝固部は、前記ナゲットの周囲であって、前記ステンレス鋼板と前記炭素鋼板の重ね合わせ面の間に位置し、
前記ナゲットの中心を含む前記炭素鋼板の厚さ方向の断面において、当該炭素鋼板の重ね合わせ面に平行な方向のナゲットの端部から当該ナゲットから離れる方向の前記溶融凝固部の長さは、当該平行な方向のナゲットの長さ(mm)の0.3倍以上である
ことを特徴とするスポット溶接継手。
(2)前記ステンレス鋼板に対する前記炭素鋼板の接合箇所周囲の板厚比が6.0以上であることを特徴とする前記(1)に記載のスポット溶接継手。
(3)ステンレス鋼板と炭素鋼板を重ね合わせてスポット溶接する方法において、
炭素鋼板の少なくともステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面に厚さが3〜50μmとなるようにNi系めっきを施し、
前記ステンレス鋼板とNi系めっき層を有する炭素鋼板とを重ね合わせて溶接電極により挟み込みスポット溶接を行い、ナゲットを形成するとともに、当該ナゲットの周囲であって、当該ステンレス鋼板と当該炭素鋼板の重ね合わせ面の間に前記Ni系めっき層の溶融凝固部を形成するものであり、
前記スポット溶接の際、溶接電極先端の直径、通電電流、通電時間及び溶接電極の加圧力の1又は2以上を調整して、前記ナゲットの中心を含む前記炭素鋼板の厚さ方向の断面において、当該炭素鋼板の重ね合わせ面に平行な方向のナゲットの端部から当該ナゲットから離れる方向の前記溶融凝固部の長さを、当該平行な方向のナゲットの長さ(mm)の0.3倍以上とする
ことを特徴とするスポット溶接方法。
(4)前記ステンレス鋼板に対する前記炭素鋼板の接合予定箇所の板厚比が6.0以上であるステンレス鋼板及び炭素鋼板を用いることを特徴とする前記(3)に記載のスポット溶接方法。
本発明によれば、重ね合わせ面のナゲットの周囲にNi系めっき層の溶融凝固部を設けたので、ステンレス鋼板と炭素鋼板との溶接継手の引張せん断強さを向上させることができ、更に、炭素鋼板がNi系めっき層を有しているので、溶接継手の耐食性を向上させることができる。
本発明の継手のナゲットの中心を含む炭素鋼板の厚さ方向の断面図である。
本発明のスポット溶接継手(以下、「本発明の継手」という)は、ステンレス鋼板と、Ni系めっき層を有する炭素鋼板とが、ナゲットと、ナゲットの周囲に位置するNi系めっき層の溶融凝固部とにより接合されているものである。
本発明の継手について、図面を用いて説明する。
図1に、本発明の継手のナゲットの中心を含む炭素鋼板の厚さ方向の断面図を示す。本発明の継手1は、ステンレス鋼板2と、炭素鋼板3とが重ね合わされている。炭素鋼板3は、少なくともステンレス鋼板2との重ね合わせ面側の表面にNi系めっき層4を有している。Ni系めっき層4の厚さtaは、3〜50μmである。
ステンレス鋼板2と炭素鋼板3とは、ナゲット5により接合されるとともに、Ni系めっき層の溶融凝固部6により、ろう付けされている。Ni系めっき層の溶融凝固部6は、ナゲット5の周囲であって、ステンレス鋼板2と炭素鋼板3の重ね合わせ面の間に位置している。また、炭素鋼板3に対してステンレス鋼板2を上側とすると、Ni系めっき層の溶融凝固部6は、上側から平面視したとき、ナゲット5の外側に円環状となっている。
このように、本発明の継手は、ナゲット5に加えて、Ni系めっき層の溶融凝固部6により接合されているので、接合面積がナゲット5による接合のみと比較して増加し、引張せん断強さが向上する。
また、炭素鋼板3の重ね合わせ面に平行な方向のナゲット5の端部からナゲット5から離れる方向のNi系めっき層の溶融凝固部の長さLは、該平行な方向のナゲット5の長さLn(mm)の0.3倍以上である。ナゲット5の長さLnは、炭素鋼板3側からナゲット5を平面視したとき、ナゲット5の円相当直径に相当するものである。また、ナゲット5の円相当直径とは、重ね合わせ面のナゲットの面積と同一面積の円の直径のことである。なお、ドーナツ状のナゲットが形成された場合、ナゲット5の長さLnは、炭素鋼板3側からナゲット5を平面視したとき、ドーナツ状ナゲットの外周より内側の全面積と同一面積の円の直径のことである。
このように、Ni系めっき層の溶融凝固部6の長さLを規定することで、十分な引張せん断強さを有する溶接継手となる。
次に、本発明のスポット溶接方法(以下、「本発明の溶接法」という)の流れについて説明する。
まず、本発明の溶接法では、ステンレス鋼板と炭素鋼板を準備する。例えば、ステンレス鋼板として、板厚0.2〜3.0mmのオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)を準備し、炭素鋼板として、板厚1.0〜20.0mmのC含有量が0.48質量%以下の炭素鋼板(SS400)を準備する。
次に、炭素鋼板の少なくとも一方の表面にNi系めっきを施す。例えば、炭素鋼板に電気めっきにより、Ni含有量が99質量%以上で、厚さが3〜50μmとなるようにめっきを施す。
次に、実際のスポット溶接に先立ち、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さLが、ナゲットの長さLn(mm)の0.3倍以上となる溶接条件を予めスポット溶接を行い、求める。ここで、Ni系めっき層の溶融凝固部は、主に、溶融凝固部が形成される位置に被覆されていたNi系めっき層が溶融凝固したものであるため、該位置の炭素鋼板は溶融しないが、Ni系めっき層が溶融する溶接条件を求める。また、この際の溶接条件としては、電極を銅合金等からなるドームラジアス型の先端直径6〜8mmのものとし、加圧力100〜600kgf、通電時間0.1〜0.8s、通電電流4〜16kAが例示される。
次に、ステンレス鋼板とNi系めっき層を有する炭素鋼板とを重ね合わせて、溶接電極により挟み込み、上記予め求めた溶接条件(通電電流、通電時間及び溶接電極の加圧力の1又は2以上)に調整して、鋼板の間を、断面楕円形状のナゲットで接合するとともに、ナゲットの周囲をNi系めっき層の溶融凝固部でろう付けする。
次に、本発明の継手及び溶接法について、更に、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。
(ステンレス鋼板)
スポット溶接されるステンレス鋼板の成分組成や組織等は、特に限定されるものでない。例えば、Feを主成分としてCrを10.5質量%以上含む合金で構成される、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、2相ステンレス、マルテンサイト系ステンレスとすることができる。
ステンレス鋼板は、少なくとも一部に板状部を有し、当該板状部が重ね合わされる部分を有するものであればよく、全体が板でなくともよい。また、ステンレス鋼板は、管状等の所定の形状に成形したものでもよい。ステンレス鋼板の板厚は、特に限定されるものでなく、0.2〜3.0mmとすることができる。
(炭素鋼板)
炭素鋼板の成分組成や組織等は、特に限定されるものでない。例えば、C含有量は0.48質量%以下、Mn含有量は2.5質量%以下、P含有量は0.05質量%以下、及び、S含有量は0.05質量%以下含有し、残部がFe及び不可避的不純物より炭素鋼板とすることができる。また、C含有量は0.01質量%以上0.30質量%以下、Mn含有量は0.40質量%以上1.8質量%以下、P含有量は0.03質量%以下、及び、S含有量は0.03質量%以下が好ましい。また、使用態様に応じて、必要な機械特性等が得られるように、更に、Si、Al、N、Ti、Nb、Cr、Cu、Ni、B、Mo、W、及び、Vの1種又は2種以上を含有させてもよい。
炭素鋼板は、少なくとも一部に板状部を有し、当該板状部が重ね合わされる部分を有するものであればよく、全体が板でなくともよい。また、炭素鋼板は、管状等の所定の形状に成形したものでもよい。炭素鋼板の板厚は、特に限定されるものでなく、1.0〜20.0mmとすることができる。
炭素鋼板は、少なくともステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面にNi系めっき層を有するものである。例えば、ステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面のみにNi系めっきが被覆された炭素鋼板や、炭素鋼板と溶接電極が接触する側の表面及びステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面にNi系めっきが被覆されている炭素鋼板である。溶接継手の耐食性を考慮すれば、炭素鋼板の両面にNi系めっきが被覆されていることが好ましい。
Ni系めっき層の厚さは3〜50μmとする。3μm未満では、耐食性が劣化することに加え、Ni系めっき層を炭素鋼板に均一に付着させることが困難になる。50μm超では、Niめっき層による耐食性向上の効果が飽和し経済的ではなく、また、Ni系めっき層内の残留応力が増加し、めっき密着性が低下する。更に、Ni系めっき層により、溶融凝固部が形成されるが、50μm超では、形成される溶融凝固部が厚くなりすぎて、溶融凝固部による継手強度の向上が低下する。好ましくは4〜15μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。
Ni系めっき層の厚さは、JIS H 8501に規定される顕微鏡断面試験法により測定される。この測定方法は、溶接継手の断面を埋め込み研磨した後、必要に応じて腐食液でエッチングし、研磨面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)、電子線マイクロアナライザー(EPMA)等で分析し、厚さを求める方法である。
本発明の継手では、試料を埋め込み研磨した後、研磨面を光学顕微鏡で観察し、Niめっき層の厚みを、互いに0.5mm以上離れた任意の10箇所の位置で求め、求めた値を平均した値を厚みとした。
Ni系めっき層は、Ni含有量が90質量%以上のものである。耐食性の観点から好ましくは95質量%以上である。めっき種としては、無電解Ni−Pめっきや、無電解Ni−Bめっき、電気Niめっき等であり、めっき作製条件は、特に限定されるものでなく、公知の条件を採用することができる。電気NiめっきよるNi含有量が99質量%以上のNi系めっき層が好ましい。
(ステンレス鋼板に対する炭素鋼板の板厚比:6.0以上)
ステンレス鋼板に対する炭素鋼板の接合箇所周囲及び溶接予定箇所の板厚比を6.0以上にすることができる。板厚比が大きい被溶接部材の溶接において、ナゲットの直径を大きくすることが難しく、十分な引張せん断強さを有する溶接継手を得ることができない。本発明では、ナゲットの周囲にNi系めっき層の溶融凝固部を設けるので、板厚比の大きい被溶接部材の溶接継手において、接合面積が増加し、十分な引張せん断強さの溶接継手を得ることができる。
また、ステンレス鋼板及び炭素鋼板の全体の板厚は、特に限定されるものでなく、1.2〜23.0mmとすることができる。
なお、接合箇所周囲とは、鋼板の重ね合わせ面において、ナゲットから遠い側のNi系めっき層の溶融凝固部の端部から、該溶融凝固部から離れる方向に10mm以内の部分のことであり、溶接継手の接合箇所周囲の板厚は、溶接前の鋼板の溶接予定箇所の板厚と一致する。
(ナゲット)
ナゲットは、ステンレス鋼板と炭素鋼板の重ね合わせ面に被覆されたNi系めっき層、ステンレス鋼板、及び、炭素鋼板が溶融し、凝固したものであり、Niを含有している。また、炭素鋼板側から平面視したときのナゲットの円相当直径(ナゲットの長さ)は、特に限定されるものでなく、薄い側の鋼板の板厚t(mm)に対し、2.5√t以上が例示される。
(Ni系めっき層の溶融凝固部)
Ni系めっき層の溶融凝固部は、ナゲットの周囲であって、ステンレス鋼板と炭素鋼板の重ね合わせ面の間に位置しており、炭素鋼板に対してステンレス鋼板を上側とすると、Ni系めっき層の溶融凝固部は、上側から平面視したとき、ナゲットの外側に円環状となっている。
Ni系めっき層の溶融凝固部は、溶融凝固部が形成される位置に被覆されていたNi系めっきと、溶接箇所の炭素鋼板の重ね合わせ面に被覆されていたNi系めっきの一部とが溶融凝固することで形成される。したがって、溶融凝固部の成分組成は、Ni系めっき層と同じであり、Ni含有量が90質量%以上である。
なお、溶接箇所の炭素鋼板の重ね合わせ面に被覆されていたNi系めっきの一部は、ナゲット形成の際に、溶融し、加圧されて、溶接箇所の炭素鋼板の重ね合わせ面から、Ni系めっき層の溶融凝固部が形成される位置に排出される。
Ni系めっき層の溶融凝固部の長さLは、ナゲットの長さLn(mm)の0.3倍以上である。これにより、十分な引張せん断強さを有する溶接継手となる。好ましくは、Lnの0.5倍以上である。上限は特に限定されるものでないが、Lnの2.5倍超にするには、Ni系めっき層を溶融させるための入熱量が多くなり、施工が困難になるため、実施行上、Lnの2.5倍が実質的な上限である。
Ni系めっき層の溶融凝固部の長さLは、溶接継手の炭素鋼板の板厚方向にナゲットの中心を含むように切断した任意の2つ以上の断面において、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)等で分析し、求めた値を平均した値を長さLとする。例えば、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さLを測定する断面は、直交する2つの断面とすることができる。
また、炭素鋼板の板厚方向のNi系めっき層の溶融凝固部の長さ(厚さ)は、特に限定されるものでなく、3〜55μmが例示される。3μm未満では、未接合箇所が発生することがあり、また、十分な引張せん断強さが得られないことがある。55μm超では、十分な引張せん断強さが得られないことがある。好ましくは4〜30μmであり、更に好ましくは5〜15μmである。
Ni系めっき層の溶融凝固部の厚さは、溶接継手の断面を埋め込み研磨した後、必要に応じて腐食液でエッチングし、研磨面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)、電子線マイクロアナライザー(EPMA)等で分析し、厚さを求めることができる。
本発明の継手では、試料を埋め込み研磨した後、研磨面をEPMAで炭素鋼板の表面から線分析し、Niが検出されなくなる厚みを、互いに0.1mm以上離れた任意の10箇所の位置で求め、求めた値を平均した値を厚さとした。
(スポット溶接)
溶接条件は、特に限定されるものでなく、通常の溶接条件を採用することができる。例えば、電極をドームラジアス型の先端直径4〜8mmのものとし、溶接電極の加圧力100〜600kgf、通電時間0.1〜0.8s、通電電流4〜16kAとすることができる。スポット溶接において、電極先端直径、加圧力又は通電時間を増加させることで、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さを長くすることができ、通電電流を増加させることで、ナゲットの長さ(ナゲットの円相当直径)を長くすることができる。そのため、電極先端直径、加圧力、通電時間及び通電電流の1又は2以上を鋼板の板厚や成分組成等に応じて調整し、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さをナゲットの長さの0.3倍以上とする。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に使用した鋼板について示す。炭素鋼板には、一部を除いて、脱脂、酸洗の前処理の後、めっき浴にワット浴を用い、表1に示すNi系めっき層の厚みとなるように電流を制御して、両面にNi系めっきを施した。Ni系めっき層のNi含有量は99質量%以上であった。なお、Ni系めっき層の厚みは、重ね合わせ面側の厚みである。
Figure 2017100148
表1に示す各試験番号のステンレス鋼板と炭素鋼板を重ね合わせて、両側から、クロム銅製の先端40R、φ6mmの電極で2枚の鋼板を挟み込み、直流インバータスポット溶接機で溶接を行った。スポット溶接では、加圧力を150〜450kgfの範囲、通電時間を10〜40サイクル(電源周波数50Hz)の範囲で調整し、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さを調整した。また、電流値を4〜16kAの範囲で調整し、試験番号1〜15では、ナゲットの円相当直径が3√tとなるようにし、試験番号16〜21では、5√tとなるようにした。t(mm)は、ステンレス鋼板の板厚である。
得られた試験片に対して、継手強度の評価のため引張せん断強度(TSS)を測定し、耐食性の評価のためJASOモードの複合サイクル腐食試験(CCT試験)を実施した。TSSは、JIS Z3136に規定されている試験方法に従い、CCTは、JIS H8502に規定されている試験方法に従い行った。
表2に、試験片のナゲット円相当直径Dn、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さL、L/Dn、継手断強度、耐食性を示す。継手強度の評価では、各試験番号において、ステンレス鋼板と、Ni系めっき層のない炭素鋼板とのスポット溶接継手を作製し、それを基準として評価した。引張せん断強度の向上が15%未満を「×」、15〜25%を「○」、25%以上「◎」とした。耐食性の評価では、5サイクルまでに赤錆が発生した場合を「×」、「5サイクルまで赤錆なしの場合を「○」、10サイクルまで赤錆なしの場合を「◎」とした。
Figure 2017100148
試験番号1〜7、10〜14、16〜21は、いずれも、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さが本発明の範囲内であるので、継手強度及び耐食性が向上した。それに対して、試験番号8は、Ni系めっき層の溶融凝固部を有さないため、試験番号9は、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さが本発明で規定する長さに達しないため、十分な継手強度及び耐食性が得られなかった。試験番号15は、Ni系めっき層の溶融凝固部の長さは本発明で規定する長さに達しているが、Ni系めっき層の厚みが本発明で規定する厚みを超えているため、十分な継手強度が得られなかった。
本発明によれば、重ね合わせ面のナゲットの周囲にNi系めっき層の溶融凝固部を設けたので、ステンレス鋼板と炭素鋼板との溶接継手の引張せん断強さを向上させることができ、更に、炭素鋼板がNi系めっき層を有しているので、溶接継手の耐食性を向上させることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1 溶接継手
2 ステンレス鋼板
3 炭素鋼板
4 Ni系めっき層
5 ナゲット
6 Ni系めっき層の溶融凝固部
Ln ナゲットの長さ
L Ni系めっき層の溶融凝固部の長さ
ta Ni系めっき層の厚さ

Claims (4)

  1. 重ね合わされたステンレス鋼板と炭素鋼板がナゲットにより接合されているスポット溶接継手において、
    前記炭素鋼板は、少なくとも前記ステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面に厚さが3〜50μmのNi系めっき層を有し、
    前記ステンレス鋼板と前記炭素鋼板は、前記ナゲットにより接合されているとともに、前記Ni系めっき層の溶融凝固部により接合されており、
    前記溶融凝固部は、前記ナゲットの周囲であって、前記ステンレス鋼板と前記炭素鋼板の重ね合わせ面の間に位置し、
    前記ナゲットの中心を含む前記炭素鋼板の厚さ方向の断面において、当該炭素鋼板の重ね合わせ面に平行な方向のナゲットの端部から当該ナゲットから離れる方向の前記溶融凝固部の長さは、当該平行な方向のナゲットの長さ(mm)の0.3倍以上である
    ことを特徴とするスポット溶接継手。
  2. 前記ステンレス鋼板に対する前記炭素鋼板の接合箇所周囲の板厚比が6.0以上であることを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接継手。
  3. ステンレス鋼板と炭素鋼板を重ね合わせてスポット溶接する方法において、
    炭素鋼板の少なくともステンレス鋼板との重ね合わせ面側の表面に厚さが3〜50μmとなるようにNi系めっきを施し、
    前記ステンレス鋼板とNi系めっき層を有する炭素鋼板とを重ね合わせて溶接電極により挟み込みスポット溶接を行い、ナゲットを形成するとともに、当該ナゲットの周囲であって、当該ステンレス鋼板と当該炭素鋼板の重ね合わせ面の間に前記Ni系めっき層の溶融凝固部を形成するものであり、
    前記スポット溶接の際、溶接電極先端の直径、通電電流、通電時間及び溶接電極の加圧力の1又は2以上を調整して、前記ナゲットの中心を含む前記炭素鋼板の厚さ方向の断面において、当該炭素鋼板の重ね合わせ面に平行な方向のナゲットの端部から当該ナゲットから離れる方向の前記溶融凝固部の長さを、当該平行な方向のナゲットの長さ(mm)の0.3倍以上とする
    ことを特徴とするスポット溶接方法。
  4. 前記ステンレス鋼板に対する前記炭素鋼板の接合予定箇所の板厚比が6.0以上であるステンレス鋼板及び炭素鋼板を用いることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接方法。
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